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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020208002
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022094969
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長友 芳郎
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-054551(JP,A)
【文献】特開2020-074830(JP,A)
【文献】特開2020-000404(JP,A)
【文献】特開2022-012949(JP,A)
【文献】特開2006-026402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0233927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機であって、
洗濯槽と、
前記洗濯槽に投入され得る洗濯処理剤を複数回分保持可能な第1保持部と、
前記洗濯槽に投入され得る水を供給する給水ユニットと、
前記水または洗濯処理剤を水と混合した液体を前記洗濯槽に投入可能に貯留して保持する第2保持部と、
前記洗濯機内において熱を発生し得る発熱部と
を具備し、前記第2保持部は、前記第1保持部と前記発熱部との間に位置するとともに、前記洗濯機が運転を終了した後も前記水を保持し続ける、洗濯機。
【請求項2】
前記発熱部は、空気を加熱するヒータと、前記ヒータによって加熱された空気を前記洗濯槽に送り出すファンと、前記ヒータによって加熱された空気が通る送風ダクトとの少なくともいずれかを含む、請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
1回の洗濯に必要な前記洗濯処理剤の量を計算する演算部、をさらに備え、
前記第1保持部には、複数回の洗濯に必要な前記洗濯処理剤を投入可能であり、
前記演算部の計算結果に基づき、前記第1保持部は、1回の洗濯に必要な量の前記洗濯処理剤を前記第2保持部に供給する、請求項記載の洗濯機。
【請求項4】
前記洗濯処理剤は、ベンチュリ効果を用いた負圧方式により、前記第2保持部に投入され得る、請求項記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第2保持部は、前記第1保持部の底面の少なくとも一部と側面の少なくとも一部の、少なくとも一方を被覆する、請求項1乃至いずれか1項記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯機は縦型である、請求項1乃至いずれか1項記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤や柔軟剤などを洗濯槽に自動投入可能な洗濯機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-042184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一形態は、動作信頼性を向上できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態の洗濯機は、洗濯槽と、洗濯槽に投入され得る洗濯処理剤を保持可能な第1保持部と、液体を保持可能な第2保持部と、洗濯機内において熱を発生し得る発熱部とを備え、第2保持部は、洗濯機内において第1保持部と発熱部との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図3】第1実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図4】第1実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図5】第1実施形態に係る洗濯機における洗剤自動投入機構の原理を示す概念図。
図6】第1実施形態に係る洗濯機の一部領域を示す断面図。
図7】第2実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図8】第2実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す斜視図。
図9】第3実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図10】第3実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図11】第1乃至第3実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
図12】第1乃至第3実施形態に係る洗濯機の内部構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係る洗濯機につき説明する。本実施形態は、洗剤及び柔軟剤の自動投入機構と、洗濯対象物の乾燥機能とを備えた縦型洗濯機を例に挙げて説明する。
【0009】
<構成について>
図1は、本実施形態に係る洗濯機1の外部構成を示す斜視図である。図1において、洗濯機1を、使用に理想的な平面(水平面)に設置した際の、この水平面に対する鉛直方向をZ軸方向とする。すなわち、Z軸は、洗濯機1のユーザにとっての上下方向である。また、Z軸に直交し、ユーザにとっての前面から奥行き方向に沿った方向をY軸方向とする。そして、Y軸及びZ軸に直交する方向、すなわちユーザにとっての左右方向をX軸方向とする。
【0010】
図1に示すように、洗濯機1は、筐体2の上面に、開閉自在な上蓋3と上面カバー4とを備えている。上面カバー4は、上蓋3によって開閉される洗濯物投入口を備えている。また、上面カバー4には、筐体2のY軸方向に沿って洗濯物投入口よりも後方に、給水部6が設けられ、更に後述する洗剤タンク7a及び柔軟剤タンク7bが配されている。以下では、洗剤タンク7a及び柔軟剤タンク7bを区別しない場合には、タンク7と呼ぶことにする。給水部6は、給水ホースと接続可能とされている。そして、この給水部6を介して給水ホースから洗濯機1内部に水が供給される。上蓋3のY軸方向前面には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、複数のタッチキーと表示画面を含む。そして、タッチキーがユーザからの入力を受け付けることにより、洗濯機1の洗濯運転や乾燥運転が選択される。また表示画面は、例えば洗濯機1の現在の運転状況や、洗濯運転や乾燥運転の残り時間などを表示する。
【0011】
図2は、洗濯機1のYZ平面における断面構造を示している。図示するように洗濯機1は、筐体2内部に外槽10を備えており、更に外槽10の内部に内槽(洗濯兼脱水槽)11を備えている。外槽10及び内槽11は、共にZ軸方向上面が開放された有底の円筒形状を有しており、且つXY平面において、すなわち洗濯機1を上面から見たときに、互いの中心が一致または略一致するように配置されている。
【0012】
内槽11は、洗剤等を溶かした水またはすすぎ用の水などの洗濯水を貯水可能である。そして、内槽11の底部には、後述する駆動装置14の脱水軸13aが設けられている。また内槽11は、その底部の中央または略中央に攪拌翼12を備えている。攪拌翼12は、XY平面内において攪拌翼軸13bを中心に回転可能とされている。攪拌翼12は、操作パネル5で受け付けたユーザの指示に基づく運転コース等に応じて回転する。例えば、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、攪拌翼12は、正回転方向及び逆回転方向に交互に繰り返し回転する。また脱水運転を行う場合には、攪拌翼12は、内槽11と一緒に逆回転方向に回転する。
【0013】
更に洗濯機1は、内槽11及び攪拌翼12を駆動するための駆動装置14を備えている。駆動装置14は、モータ14a、クラッチ機構14b、及び回転軸14cを備えている。モータ14aは、内槽11及び攪拌翼12を回転させる。クラッチ機構14bは、内槽11及び攪拌翼12の回転か、攪拌翼12のみの回転かを切り替える。回転軸14cは、内槽11底部の中央または略中央に位置し、脱水軸13a及び攪拌翼軸13bに、モータ14aによる回転力を、クラッチ機構14bを介して伝達する。
【0014】
また洗濯機1は、乾燥機として機能するための乾燥ユニットを備えている。乾燥ユニットは、ヒータ15、ファン16、送風ダクト17、及び乾燥ダクト18を備えている。ヒータ15は、空気を加熱して乾燥風を得る。ファン16は、乾燥風を循環させる。送風ダクト17は、乾燥風を外槽10内部に送り出す。乾燥ダクト18は、外槽10内を通過した乾燥風をファン16に送り込む。これにより、ヒータ15で暖められた乾燥風が内槽11に供給され、内槽11内の洗濯対象物を乾燥させる。
【0015】
更に洗濯機1は、前述のタンク7、投入部19、給水ユニット21、液剤交換室22、液剤投入経路20、23を備えている。給水ユニット21は、給水部6から与えられる水を、内槽11、投入部19、及び液剤交換室22に供給する。投入部19は、ユーザによって手動で投入される、1回の洗濯に必要な洗剤や柔軟剤を保持する。この1回の洗濯に必要な洗剤や柔軟剤の量は、図示せぬ演算部によって、洗濯を開始する際に自動的に計算され、例えば操作パネル5に表示される。そして投入部19は、給水部6から供給される水と共に、水と洗剤とが混合された液剤、または水と柔軟剤とが混合された液剤を、液剤投入経路20介して適切なタイミングで内槽11に投入する。したがって投入部19は、1回の洗濯が完了するたびに空となる。
【0016】
タンク7は、ユーザによって投入される、複数回の洗濯に必要な洗剤や柔軟剤を保持する。そしてタンク7は、洗濯に適切な量の洗剤と柔軟剤とを液剤交換室22に供給する。この供給量も、図示せぬ演算部によって算出される。タンク7の上面は、例えば図1に示すように上面カバー4に覆われておらず、この部分からユーザは洗剤や柔軟剤をタンク7に投入できる。もちろん、タンク7全体が洗濯機1内部に配置され、例えば上蓋3を開けることでユーザがタンクに洗剤や柔軟剤を投入可能な構成であってもよい。液剤交換室22は、洗剤用の液剤交換室22aと柔軟剤の液剤交換室22bとを含む。以下では、両者を区別しない場合には単に液剤交換室22と呼ぶ。液剤交換室22aは、給水ユニット21から供給される水を保持する。そして、洗濯開始時には、液剤交換室22aにはタンク7aから供給された適切な量の洗剤が供給され、これらの水と洗剤とが混合された液剤を内槽11に投入する。同様に、液剤交換室22bは、給水ユニット21から供給される水を保持する。そして、洗濯開始時には、液剤交換室22bにはタンク7bから供給された適切な量の柔軟剤が供給され、これらの水と柔軟剤とが混合された液剤を内槽11に投入する。液剤交換室22a及び22bは共に、常に水または液剤を保持する。つまり、1回の洗濯が終了した後も、液剤交換室22a及び22bの内部は液体で満たされている。
【0017】
以上のように、本実施形態に係る洗濯機1は2つの液剤投入機構を備えている。すなわち、一方の投入機構は、洗濯を行うたびに、ユーザが適切な量の洗剤及び柔軟剤を投入部19に投入する手動投入機構である。他方の投入機構は、複数回の洗濯に十分な量の洗剤及び柔軟剤をユーザがタンク7に投入しておき、その後は液剤交換室22が適切な量の液剤を内槽11に投入する自動投入機構である。自動投入機構によれば、洗濯のたびにユーザが洗剤や柔軟剤を計量して投入部19に投入する必要がない。したがって、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0018】
<熱源と液剤交換室22及びタンク7との配置について>
次に、上記説明した液剤交換室22及びタンク7と、洗濯機1内部の熱源との配置関係について、図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4はそれぞれ、上記配置関係をXY平面及びXZ平面で示している。なお、図3及び図4では、上記配置関係の説明に必要な構成のみを図示している。本実施形態では、乾燥機能を実現するための構成を熱源であると仮定する。すなわち、ヒータ15、ファン16、及び送風ダクト17の少なくともいずれかが熱源である。
【0019】
図3及び図4に示すように、洗剤タンク7aと柔軟剤タンク7bとが、X軸方向に並んで、且つ内槽11及び外槽10上方に配置されている。また、これらのタンク7a及び7bにX軸方向で間隔を空けて隣り合うように熱源が配置されている。熱源は、例えば送風ダクト17、ヒータ15、及びファン16の順でY軸方向に並んでいる。そして、タンク7a及び7bと熱源との間に、液剤交換室22a及び22bが設けられている。より具体的には、Z軸に沿ったタンク7bの下方に液剤交換室22bが設けられ、タンク7aの下方に液剤交換室22aが設けられている。更に液剤交換室22aは、タンク7aのY軸に沿った側面であって、且つ熱源に相対する側面にまで延在している。すなわち、液剤交換室22aは、Y軸座標においてタンク7aとヒータ15及び送風ダクト17とがオーバーラップする領域において、これらの間に設けられている。そして前述のとおり、液剤交換室22a及び22bには、給水ユニット21から水が供給される。また、投入部19も、洗剤用の投入部19aと柔軟剤用の投入部19bが設けられる。そして投入部19a及び19bには、注水ホース28a及び28bを介して給水ユニット21から水が供給される。そして、手動投入機構を利用する際には、投入部19a及び19bから液剤が内槽11に供給され、自動投入機構を利用する際には、液剤交換室22a及び22bから液剤が内槽11に供給される。
【0020】
<自動投入機構について>
上記説明した本実施形態に係る自動投入機構につき、図5を用いて簡単に説明する。図5は自動投入機構の原理を説明するための原理を示している。以下では、洗剤の自動投入機構について説明するが、柔軟剤についても同様である。また本例に係る自動投入機構は、例えばベンチュリ効果を用いた負圧方式を適用している。
【0021】
図示するように、給水ユニット21から二本の水路30、31が設けられ、水路30には取水弁32を介して液剤投入経路23に接続される。また、液剤投入経路23には、液剤投入経路23に水で負圧を発生するベンチュリ管33が設けられる。また、水路31には取水弁34、水路39、及び逆止弁35を介して液剤交換室22aに接続されている。また、液剤交換室22aは、逆止弁35及び水路36を介してタンク7aに接続されている。更に液剤交換室22aは、水路37により液剤投入経路23に接続され、水路37には流量計38が設けられている。また水路37は、ベンチュリ管33の後部で液剤投入経路23に接続される。
【0022】
本構成において、水路30によって洗濯水が液剤投入経路23を介して内槽11に供給される。また、水路31により液剤交換室22aに水が供給される。液剤投入経路23を水が通過する際、ベンチュリ管33を通過すると、ベンチュリ効果により水流が細くなり、流速が加速する。その結果、ベンチュリ管33の後側の水路37に負圧エリアが発生する。このとき、取水弁34が閉じていると、この負圧によって逆止弁35が開き、タンク7aから洗剤が液剤交換室22aに抽出され、水と混合される。その際、液剤交換室22a内に充填されていた水がタンク7aからの洗剤に押し出され、流量計38を通って液剤投入経路23に流れる。したがって、流量計38を流れた水の量を計測することで、液剤交換室22aに抽出された洗剤の量を計測できる。液剤交換室22aに抽出された洗剤の量が必要量に達したら、取水弁34を開ける。すると、水路37の負圧が解消されるため、逆止弁35が閉じてタンク7aからの洗剤の供給が停止する。液剤交換室22aに抽出された洗剤は水路31からの水によって水路37を通り液剤投入経路23に流れる。このようにして、水と混合された洗剤が液剤投入経路23から内槽11に投入される。
【0023】
上記のような負圧方式の場合、液剤交換室22aに抽出された洗剤はすぐに水によって流されるため各水路が詰まりにくく、また液剤交換室22aは常に水、または水と洗剤の混合液により満たされる。
【0024】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態に係る洗濯機によれば、動作信頼性を向上できる。本効果につき、以下説明する。
【0025】
図6は、ヒータ15、タンク7、及び液剤交換室22のXZ平面における位置関係を示した模式図である。図示するように、本実施形態によれば、洗剤自動投入機構を備えた洗濯乾燥機において、複数回分の洗濯に要する洗剤や柔軟剤を保持するタンク7と、洗濯乾燥機内の熱源との間に液剤交換室22を配置している。液剤交換室22は、少なくとも洗濯運転開始から乾燥運転終了までの期間は液体(水または液剤)を保持し続ける。したがって、液剤交換室22が熱源からの熱を遮断する。その結果、タンク7への熱の伝達を抑制できる。これにより、タンク7内の洗剤や柔軟剤の水分の蒸発や熱による粘性増加、さらには液体洗剤や液体柔軟剤が固まることを抑制できる。また、熱を遮断するために液剤交換室22を利用することで、新たな部材を設ける必要がなく、上記効果を得るために発生するコストを抑制できる。更に、液剤交換室22に保持される水は洗濯運転の度に給水部6から新たに供給される水となるため、洗濯運転後の乾燥運転時には、水道から供給されたばかりの比較的低水温の水が保持されていることになり、遮熱性能を向上できる。したがって、熱に対する耐性を持たせるように洗剤や柔軟剤を改良する必要がなく、従来の洗剤や柔軟剤をそのまま使用できる。なお、図4では、タンク7と液剤交換室22との間に空間が設けられ、両者が離隔しているが、タンク7と液剤交換室22とが接していてもよい。
【0026】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態に係る洗濯機につき説明する。本実施形態は、上記第1実施形態において、タンク7の周囲を液剤交換室22によって被覆するものである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0027】
<構成について>
図7は、液剤交換室22及びタンク7と、洗濯機1内部の熱源との配置関係をXZ平面において示しており、第1実施形態で説明した図4に対応する。また図8は、図7の斜視図であり、図7における要部のみを図示している。
【0028】
図7及び図8に示すように、液剤交換室22aは、タンク7aの底部のみならず、タンク7aのXY平面における周囲を覆うようにして設けられている。同様に、液剤交換室22bは、タンク7bの底部のみならず、タンク7aのXY平面における周囲を覆うようにして設けられている。もちろん、本例においても、タンク7と液剤交換室22とが接していてもよい。そして、本実施形態においても、少なくとも洗濯運転開始から乾燥運転終了までの期間は液体を保持し続ける。
【0029】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態に係る洗濯機によれば、タンク7の周囲を液剤交換室22により覆うことにより、熱のタンク7への伝達を第1実施形態よりも更に抑制できる。なお、図7及び図8の例では、XY平面においてタンク7の周囲全体を覆う場合を例に説明したが、熱伝達を抑制する点で効果が低いと予想される部分については設けない場合であってもよい。例えば、ヒータ15から遠い位置にあるタンク7bと給水ユニット21との間の液剤交換室22bが設けられない場合であってもよい。
【0030】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態に係る洗濯機につき説明する。本実施形態は、上記第1実施形態及び第2実施形態において、液剤交換室22の代わりに冷却用タンクを設け、これにより熱の伝達を抑制するものである。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0031】
<構成について>
図9及び図10はそれぞれ、上記配置関係をXY平面及びXZ平面で示しており、それぞれ第1実施形態で説明した図3及び図4に対応する。
【0032】
図9及び図10に示すように、本例においては、液剤交換室22a及び22bのZ軸方向上方に冷却用タンク40が設けられている。冷却用タンク40は、タンク7a及び7bの底面及び側面を覆うように設けられ、その内部には例えば給水ユニット21から供給された水を保持する。すなわち、タンク7a及び7bは、その一部(または全体)が冷却用タンク40内の水に浸かった状態で配置される。そして冷却用タンク40内には、少なくとも洗濯運転開始から乾燥運転終了までの期間、水を保持し続ける。なお、冷却用タンク40内の水は、給水ユニット21から直接供給される場合に限らず、洗濯機1内または洗濯機1外のいずれかの経路によって供給されればよい。
【0033】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によっても、冷却用タンク40内の水により、タンク7への熱の伝達を抑制できる。
【0034】
(変形例など)
上記のように、この発明の第1乃至第3実施形態に係る洗濯機(例えば洗濯機1)は、洗濯槽(例えば内槽11など)と、洗濯槽に投入され得る洗濯処理剤(例えば洗剤または柔軟剤など)を保持可能な第1保持部(例えばタンク7a,7bなど)と、液体を保持可能な第2保持部(例えば液剤交換室22a,22bや冷却用タンク40など)と、洗濯機内において熱を発生し得る発熱部(例えばヒータ15,ファン16,及び送風ダクト17の少なくともいずれかなど)とを備える。そして第2保持部は、第1保持部と発熱部との間に位置する。本構成によれば、液体洗剤や液体柔軟剤が固まることを抑制し、洗濯機1の動作信頼性を向上できる。なお、上記実施形態は上記説明した構成に限らず、種々の変形が可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、液剤交換室22や冷却用タンク40が、洗濯運転開始から乾燥運転終了までの期間、水を保持し続ける場合を例に説明した。しかし、洗濯運転時は水を保持せず、少なくとも乾燥運転の開始から終了までの期間、保持していればよい。また、洗濯機の運転終了後も水を保持し続けてもよい。また、第3実施形態で説明した冷却用タンク40が保持する液体は水に限らず、その他の液剤であってもよいし、場合によっては冷却機能を有する固体であってもよい。
【0036】
また、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、第2実施形態で説明した図7及び図8の構成であると、タンク7と液剤交換室22との間には空間が存在する。よって、この空間に水などの冷却用の液体(または固体)を設けてもよい。本構成によれば、液剤交換室22内の液剤と冷却用の液体(または固体)との両方によって、タンク7への熱の伝達を抑制できる。更に、この場合、及び第3実施形態で冷却用の液体として水を使用する場合には、この水を洗い運転やすすぎ運転時の洗濯水として用いてもよい。すなわち、例えば冷却用タンク40から内槽11へ水を供給する経路を設け、洗濯時にはこの経路を用いて水を内槽11へ供給してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、熱の伝達を抑制する手段がタンク7の周囲に設けられる場合について説明した。しかし、熱源からのタンク7に達する熱は、必ずしも完全に遮断する必要はなく、タンク7内の洗剤や柔軟剤が固まらない程度であれば十分である。したがって、熱の伝達を抑制する手段は、例えばタンク7の底面のみ、または側面のみに設けられる場合であってもよい。また、必ずしもタンク7近傍に設けられる必要はない。例えば、熱源とタンク7との間に設けられていればよく、例えば内槽11に水を供給する経路によって熱の伝達を抑制してもよい。また、除湿機能を有する乾燥機が知られている。このような乾燥機の場合、洗濯槽を循環する空気は、ヒータ15で空気を加熱する前に、除湿機構によって空気を冷やして水分を除去する。この空気を冷やすためには水が用いられ得る。そして、除湿機構においては、効果的に空気を冷却するために、流水を用いられ得る。この流水経路を、熱源とタンク7との間に設けてもよい。通常、乾燥運転中には常に流水経路を水が流れるため、タンク7への熱の伝達をより効果的に抑制できる。なお、製品によっては必ずしも乾燥運転開始から終了まで常に流水経路を水が流れていない場合もあり得るが、少なくとも乾燥運転中の一定期間に水が流れていればよい。
【0038】
更に、熱の伝達を抑制する手段としては、なんらかの液体保持手段や液体経路である必要はない。すなわち、タンク7内の洗剤や柔軟剤が固まる大きな原因としては、タンク7の温度の急激な上昇である可能性がある。したがって、この温度の急激な上昇を抑制できればよく、その手段として水蒸気を用いてもよい。例えば、洗濯機1内において水蒸気を発生する機構を設け、この水蒸気が熱源とタンク7との間に供給される場合であってもよい。このような例としては、例えば熱源(ヒータ15、ファン16、及び送風ダクト17)や、洗濯機1の図示せぬ電源ユニット、または駆動装置14の近傍に液体の貯水手段または液体が流れる経路を設ければよい。そして、熱源、電源ユニット、または駆動装置14によって発生した熱により、水蒸気を発生させることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、タンク7に影響を与える熱源として、ヒータ15、ファン16、及び送風ダクト17の例を説明した。しかし、熱を発生する機構としては、上記の電源ユニットや駆動装置14も考えられ得る。そして、これらが発生する熱がタンク7に影響する場合には、これらも上記実施形態における「熱源」に含まれ、本明細書における「熱源」として読み替えることができる。
【0040】
更に、上記実施形態では洗濯槽が縦型である洗濯機を例に説明した。しかし、ドラム式の洗濯機にも同様に適用可能である。一般的に、ドラム式の洗濯機は縦型の洗濯機よりも大型であり、熱源とタンク7との間隔を十分に確保できる可能性が高い。しかし、ドラム式であっても同様の問題が発生し得る場合には、上記実施形態を適用できる。また、上記実施形態ではタンク7が洗剤及び柔軟剤を保持する場合を例に説明した。しかし、洗剤と柔軟剤の少なくとも一方のみであってもよく、また洗剤及び柔軟剤以外の液剤であってもよい。また、必ずしも液体に限らず、固体洗剤などであってもよく、洗濯や乾燥に必要なあらゆるもの(洗濯処理剤)であってよい。
【0041】
更に、上記実施形態では、熱源とタンク7との間に、熱の伝達を抑制する手段を設ける場合を例に説明した。この「熱源とタンク7との間」は、適宜、必要に応じた領域であればよい。これについて図11及び図12を用いて説明する。図11及び図12は、熱源と、熱の伝達を抑制する手段(以下、これを熱伝達抑制手段と呼ぶ)との位置関係を示しており、図11はXY平面、図12はXZ平面を示している。
【0042】
図11に示すように、XY平面で見た際に、X軸方向においてタンク7から最も遠い熱源の座標をX1、最も近い熱源の座標をX2、熱源に最も近いタンク7の座標をX3、最も遠いタンク7の座標をX4とする。また、熱源がY軸方向に沿って座標Y1からY4にわたって位置し、熱源とタンク7とがオーバーラップする範囲を座標Y2からY3の間とする。この場合、X軸においてX2からX3の間であり、且つY軸においてY2からY3の間に少なくとも一部が位置するように熱伝達抑制手段50aを設けることが好ましい。しかし、熱源からの熱量に応じて、X軸においてX1からX4の間であり、Y軸においてY1からY4の間に熱伝達手段を設けてもよい(例えば図11における例えば熱伝達抑制手段50b)。
【0043】
また図12に示すように、XZ平面で見た際に、熱源がZ軸方向に沿って座標Z1からZ4にわたって位置し、熱源とタンク7とがオーバーラップする範囲を座標Z2からY3の間とする。この場合、X軸においてX2からX3の間であり、且つZ軸においてZ2からZ3の間に少なくとも一部が位置するように熱伝達抑制手段50cを設けることが好ましい。しかし、熱源からの熱量に応じて、X軸においてX1からX4の間であり、Z軸においてZ1からZ4の間に熱伝達手段を設けてもよい(例えば図12における例えば熱伝達抑制手段50d)。
【0044】
なお、図11及び図12では、熱源とタンク7とがX軸方向で並ぶように配置される場合を例に示している。しかし、Y軸方向で並ぶように配置される場合には、上記説明においてX軸座標とY軸座標とを読み替えればよい。
【0045】
上記では、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した形態に限定されるものではなく、適宜変形可能である。そして上記の構成は、実質的に類似の構成、類似の作用効果を奏する構成または類似の目的を達成できる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…洗濯機、2…筐体、3…上蓋、4…上面カバー、5…操作パネル、6…給水部、7、7a、7b…タンク、10…外槽、11…内槽、12…攪拌翼、13a…脱水軸、13b…攪拌翼軸、14…駆動装置、14a…モータ、14b…クラッチ機構、14c…回転軸、15…ヒータ、16…ファン、17…送風ダクト、18…乾燥ダクト、19、19a、19b…投入部、20、23…液剤投入経路、21…給水ユニット、22、22a、22b…液剤交換室、28a、28b…注水ホース、30、31、36、37、39…水路、32、34…取水弁、33…ベンチュリ管、35…逆止弁、38…流量計、40…冷却用タンク、50a、50b、50c、50d…熱伝達抑制手段
図1
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図12