(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】圧電デバイス及びパッケージ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20240619BHJP
H03H 9/10 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H03H9/02 A
H03H9/10
(21)【出願番号】P 2020215984
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 博史
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-112627(JP,A)
【文献】特開2012-191446(JP,A)
【文献】特開2017-085386(JP,A)
【文献】特開2007-035906(JP,A)
【文献】特開2017-098340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/02
H03H 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で矩形状の底板と、前記底板の縁に沿って設けられた土手部と、前記土手部で囲まれた凹部と、前記凹部の底面に設けられた接着パッドと、を有したパッケージ、及び、前記パッケージの前記凹部内に実装されていて平面視で矩形状で、かつ、厚み滑りモードで振動する圧電振動片を、備える圧電デバイスにおいて、
前記凹部の四隅各々に、前記土手部から前記底板に向かって下っていて前記接着パッドの付近の前記圧電振動片を実装する所定位置の境界に至る傾斜部を備え、
前記傾斜部は、前記土手部の角部から前記凹部の対角線に沿う方向に下っている対角線傾斜部であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
平面視で矩形状の底板と、前記底板の縁に沿って設けられた土手部と、前記土手部で囲まれた凹部と、前記凹部の底面に設けられた接着パッドと、を有したパッケージ、及び、前記パッケージの前記凹部内に実装されていて平面視で矩形状で、かつ、厚み滑りモードで振動する圧電振動片を、備える圧電デバイスにおいて、
前記凹部の四隅各々に、前記土手部から前記底板に向かって下っていて前記接着パッドの付近の前記圧電振動片を実装する所定位置の境界に至る傾斜部を備え、
前記傾斜部は、前記圧電振動片の厚み滑り振動方向に沿う方向に土手部から凹部側に下っている1方向傾斜部であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
平面視で矩形状の底板と、前記底板の縁に沿って設けられた土手部と、前記土手部で囲まれた凹部と、前記凹部の底面に設けられた接着パッドと、を有し、前記凹部内に圧電振動片が実装されて使用され、
平面視で長方形状のパッケージにおいて、
前記凹部の四隅各々に、前記土手部から前記底板に向かって下っていて前記接着パッドの付近の前記圧電振動片を実装する所定位置の境界に至る傾斜部を備え、
前記傾斜部は、前記土手部の角部から前記凹部の対角線に沿う方向に下っている対角線傾斜部であることを特徴とするパッケージ。
以 上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片をパッケージに所定の位置精度で実装できる構造を有した圧電デバイス、およびその製造に用いて好適なパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスの代表的なものとして、水晶振動子がある。その一例が、例えば特許文献1に開示されている。
図6(A)~(C)は、この水晶振動子70の概略的な説明図であり、(A)図は上面図、(B)図は(A)図のP-P線に沿う断面図、(C)図は(A)図のQ-Q線に沿う断面図である。なお、(A)図では蓋部材77の図示を省略している。
【0003】
この水晶振動子70は、セラミック製パッケージ71と、このセラミック製パッケージ71内に実装された水晶片73と、を備えている。詳細には、セラミック製パッケージ71は、平面視で矩形状の底板71aと、底板71aの縁に沿って設けられた土手部71bと、この土手部71bで囲まれた凹部71cと、凹部71cの底面に設けられた接着パッド71dと、底板71aの外側面に設けられた外部接続端子71eと、を備えている。この例の場合、接着パッド71dは、凹部71c内の四隅に合計4個設けられている。
【0004】
水晶片73は、表裏に励振用電極73aおよび引出電極73bを有している。水晶片73は、接着パッド71dに導電性接着剤75によって、いわゆる4点接着で固定されている。4点の接着パッド71dのうちの2点は、図示しないビア配線等を介して外部接続端子71eに接続されている。
【0005】
この種の水晶振動子を製造する場合、セラミック製パッケージ71の接着パッド71dに、導電性接着剤75が、ロボット等の組み立て装置によって塗布される。そして、組み立て装置が有する吸着ノズルによって、水晶片73を吸着し、CCDカメラ等でセラミック製パッケージ71の位置を確認しながら、水晶片73がセラミック製パッケージ71の所定位置に置かれ、その後、導電性接着剤75の硬化が行われて、水晶片73のセラミック製パッケージ71への実装が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、組み立て装置の水晶片搭載精度や、予期せぬ振動、衝撃等の原因によって、水晶片73をセラミック製パッケージ71に搭載する位置が所定位置からずれてしまう場合がある(
図6(A)中の破線で示した水晶片73x)。ずれを修正する機能が無い場合は、水晶片はセラミック製パッケージに正しくない位置のまま接着され硬化されるため、水晶振動子の特性不良や、市場への不具合品の流出を起こす場合があった。
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、圧電振動片をパッケージに所定の位置精度で実装できる構造を有した圧電デバイス、およびその製造に用いて好適なパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的の達成を図るため、この発明の圧電デバイスによれば、平面視で矩形状の底板と、前記底板の縁に沿って設けられた土手部と、前記土手部で囲まれた凹部と、前記凹部の底面に設けられた接着パッドと、を有したパッケージ、及び、前記パッケージの前記凹部内に実装されていて平面視で矩形状で、かつ、厚み滑りモードで振動する圧電振動片を備える圧電デバイスにおいて、
前記凹部の四隅各々に、前記土手部から前記底板に向かって下っていて前記接着パッドの付近の前記圧電振動片を実装する所定位置の境界に至る傾斜部を、備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の構成によれば、傾斜部を有しているため、水晶片を凹部内に置いた際に水晶片が所定位置から万一ずれても傾斜部によって所定位置に導かれる。すなわち、水晶片の搭載位置がずれても修正が行える。
また、前記傾斜部は前記凹部の四隅に設けてあるため、傾斜部は平面視で矩形状の圧電振動片の四隅のみに接する。平面視で矩形状の厚み滑りモードで振動する圧電振動片では、四隅の方が辺の中央付近に比べて振動変位が小さいため、傾斜部が圧電振動片の四隅のどこかに接触する場合があっても、圧電デバイスの特性を低下させるおそれが低い。
【0010】
この発明を実施するに当たり、前記傾斜部は、前記土手部の第1の辺から、該第1の辺と直交する第2の辺に沿う方向に傾斜する第1傾斜部と、前記第2の辺から前記第1の辺に沿う方向に傾斜する第2傾斜部との2方向傾斜部(
図1参照)で構成することができる。
2方向傾斜部を設けた場合、平面視で矩形状の圧電振動片の第1の辺に沿う方向と第1の辺に直交する第2の辺に沿う方向それぞれ独立に修正機能を持たせることができる。
【0011】
この発明を実施するに当たり、前記傾斜部は、前記土手部の角部から前記凹部の対角線に沿う方向に下っている対角線傾斜部(
図2参照)で構成することができる。
対角線傾斜部を設けた場合、傾斜部の形成が比較的容易である。
【0012】
この発明を実施するに当たり、前記傾斜部は、前記圧電振動片の厚み滑り振動方向に沿う方向に土手部から凹部側に下っている1方向傾斜部(
図3参照)で構成することができる。ここで振動方向とは、典型的には、圧電振動片を導電性接着剤で固定する際の固定位置がずれると圧電デバイスの特性に大きく影響する方向のことで、圧電振動片がATカット水晶片の場合であれば、水晶の結晶軸の1つであるX軸に沿う方向であり、圧電振動片がSCカットに代表される2いわゆる2回回転水晶片の場合であれば、水晶の結晶軸の1つであって2回回転で生じるX′軸に沿う方向である。
1方向傾斜部を設けた場合、圧電デバイスの特性に影響が大きい方向のずれ修正を最低限できると共に、傾斜部の形成が比較的容易である。
【0013】
なお、上記した2方向傾斜部、対角線傾斜部および1方向傾斜部各々の傾斜面は、平面状の傾斜面(
図1(B)、(C)参照)でも、また、曲面状の傾斜面(
図4参照)でも良い。傾斜部を曲面状の傾斜面を持つものとする場合、曲面は凹部側に凸になる曲面(
図4参照)でも、それとは逆に土手部側に凹状に凹んだ曲面いずれでも良い。しかし、凹部側に凸になる曲面(
図4参照)の方が、圧電振動片がずれた場合の修正が行い易い。
【0014】
また、この出願の別の発明であるパッケージによれば、平面視で矩形状の底板と、前記底板の縁に沿って設けられた土手部と、前記土手部で囲まれた凹部と、前記凹部の底面に設けられた接着パッドと、を有し、前記凹部内に圧電振動片が実装されて使用されるパッケージにおいて、
前記凹部の四隅各々に、前記土手部から前記底板に向かって下っていて前記接着パッドの付近の前記圧電振動片を実装する所定位置の境界に至る傾斜部を、備えたことを特徴とする。
このパッケージの発明を実施するに当たり、前記傾斜部は、上記の圧電デバイスの発明と同様に、2方向傾斜部、対角線傾斜部および1方向傾斜のいずれかであることができ、また、傾斜面も平面でも曲面でも良い。
【0015】
なお、この出願の圧電デバイスおよびパッケージの各発明でいうパッケージは、任意の材料のもので良いが、好ましくはセラミック製パッケージが良い。セラミック製パッケージは、量産に適しており、かつ、信頼性にも優れ、かつ、近年は、成形による工法で製造できるからである。成形による工法であると、上記した2方向傾斜部、対角線傾斜部および1方向傾斜部を、傾斜面が平面状のもの、曲面状のもの含め、比較的容易に製造できる。また、傾斜部の傾斜面は平滑な面である方が、圧電振動片の位置がずれた際の修正を行い易いので、傾斜面はなるべく平滑面にすることが良い。また、傾斜面にメタライズをする等、平滑な面にする工夫をすることも好ましい。
この出願の圧電デバイスおよびパッケージによれば、圧電振動片をパッケージに所定の位置精度で実装できる構造を有した圧電デバイス、およびその製造に用いて好適なパッケージを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の圧電デバイス10及びパッケージ11を説明する図であり、特に
図1(A)はその平面図、
図1(B)は
図1(A)のP-P線に沿った断面図、
図1(C)は
図1(A)のQ-Q線に沿った断面図である。なお、
図1(A)では、
図1(B)及び(C)に示した蓋部材17の図示を省略してある。
【
図2】
図2は、第2の実施形態の圧電デバイス30及びパッケージ31の傾斜部31aを説明する図であり、
図1(A)と同様に示した平面図である。
【
図3】
図3は、第3の実施形態の圧電デバイス40及びパッケージ41の傾斜部41aを説明する図であり、
図1(A)と同様に示した平面図である。
【
図4】
図4は、第4の実施形態の圧電デバイス50及びパッケージ51の傾斜部51aを説明する図であり、
図1(A)と同様に示した平面図である。
【
図5】(A)図は、本発明を片持ち支持構造の圧電デバイス60に適用した例を説明する平面図、(B)図は(A)図中のP-P線に沿った断面図である。
【
図6】
図6(A)~(C)は、従来の圧電デバイス70を説明する図であり、特に
図6(A)はその平面図、
図6(B)は
図6(A)のP-P線に沿った断面図、
図6(C)は
図6(A)のQ-Q線に沿った断面図である。なお、
図6(A)では、
図6(B)及び(C)に示した蓋部材77の図示を省略してある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこれら発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の実施形態中で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0018】
1. 第1の実施形態
図1に示すように、第1の実施形態の圧電デバイス10は、パッケージとしてのセラミック製パッケージ11(以下、パッケージ11ともいう)と、圧電振動片としての水晶片13と、導電性接着剤15と、蓋部材17と、を備えている。以下、各構成成分について具体的に説明する。
【0019】
パッケージ11は、平面視で矩形状の底板11aと、底板11aの縁に沿って設けられた土手部11bと、土手部11bで囲まれた凹部11cと、凹部11cの底面に設けられた接着パッド11dと、を有している。
底板11aは1層でも2層以上の多層構造でも良い。底板11aの外側面に外部実装用端子11eを設けてあり、外部実装用端子11eと接着パッド11dとは、図示しないビア配線又はキャスタレーション配線によって接続してある。
【0020】
接着パッド11dは、この実施形態では、凹部11cの四隅各々の近傍に設けてある。接着パッド11dに水晶片13の四隅を、導電性接着剤によって接続してある。すなわち、4点支持構造の圧電デバイスとなっている。ただし、4つの接着パッドのうち2つは水晶片13の表裏の励振用電極13aとの接続に用いてあり、残りの接着パッドは電気的にはフローティングであっても良いし、アースに接続されていても、設計に応じ任意である。
【0021】
水晶片13は、平面視で四角形状のもので、表裏に励振用電極13aを有するもので、かつ、厚み滑りモードで振動するものである。水晶片13は、具体的には、ATカット水晶片、また、SCカット等に代表される2回回転の水晶片であり、ベベル加工されたものでも(図示のもの)、ベベル加工のないものでもいずれでも良い。
導電性接着剤15は、典型的には、シリコーン系の導電性接着剤である。また、蓋部材17は、パッケージ11の土手部11bの天面に接合されて、水晶片13をパッケージ11の凹部11c内に封止するものである。蓋部材17は、封止方式に応じた構成とする。
【0022】
そして、第1の実施形態の圧電デバイス10は、凹部11cの四隅各々に、土手部11bから底板11aに向かって下っていて接着パッド11dの付近の水晶片13を実装する所定位置の境界(
図1中Rで示す領域)に至る傾斜部11fを、備えたことを特徴とする。しかも、第1の実施形態における傾斜部11fは、土手部の第1の辺から、第1の辺と直交する第2の辺に沿う方向に傾斜する第1傾斜部11faと、第2の辺から第1の辺に沿う方向に傾斜する第2傾斜部11fbとの2方向傾斜部11fで構成してある。なお、
図1中の傾斜部11f中に示した矢印Sは、傾斜面が下っている方向を示している。なお、傾斜面各々は平面としてあるが、後に、曲面の実施形態も示している(
図4参照)。
ここで水晶片13を実装する所定位置の境界Rとは、凹部11c内に水晶片13を置く際に予め定めた好ましい領域の境界である。具体的には、例えば、圧電デバイス10の特性を維持できる範囲で接着パッド11dに対しずれが許容される限界位置である。従って、傾斜部は、具体的には、例えば下記の寸法で配置することが好ましい。すなわち、
図1(B))に示したように、パッケージ11の土手部11bの内面から水晶片13の端までの設計寸法をAとし、パッケージ11の土手部11bの内面から傾斜部11faの端までの距離をaとしたとき、a/Aが0.55≦a/A≦0.9から選ばれた値、より好ましくは0.66≦a/A≦0.80から選ばれたと値となるようにaを決めることが良い。また、傾斜部11faの水平線に対する角度θ(
図1(B)参照)は、土手部11bの高さを超えない範囲で45度以上が好ましい。水晶片の短辺方向における寸法も上記a/Aの関係となるよう決めるのが良い。
【0023】
この第1実施形態の圧電デバイス10の場合、
図1(B)、(C)に示したように、圧電デバイス10を製造する際に、水晶片13を凹部内に投入した際、水晶片13の位置が正しい位置からずれた場合でも、傾斜部11fの作用で水晶片13を、図中にSで示すよう移動でき、所定位置に置くことができる。なお、修正は、セルフアライメント的に修正される場合、又は、吸着ノズルで水晶片13を凹部11c内に押し込む際に修正される場合等、任意の方法で行って良い。
【0024】
2.第2の実施形態
図2は、第2の実施形態の圧電デバイス30及びパッケージ31の傾斜部31aを説明する平面図である。第2の実施形態の第1の実施形態との相違点は、傾斜部31aにある。第2の実施形態では、傾斜部31aは、凹部11cを囲っている土手部11bの角部から凹部11cの対角線に沿う方向に下っている対角線傾斜部31aとなっている。ただし、対角線傾斜部31aの凹部11c側の端部は、第1の実施形態の場合と同様に、水晶片13を実装する所定位置の境界Rである。
【0025】
3.第3の実施形態
図3は、第3の実施形態の圧電デバイス40及びパッケージ41の傾斜部41aを説明する平面図である。第3の実施形態の第1の実施形態との相違点は、傾斜部41aにある。第3の実施形態では、傾斜部41aは、厚み滑りモードで振動する水晶片13の振動方向に沿う方向に土手部から凹部側に下っている1方向傾斜部41aにある。ここで振動方向とは、具体的には、水晶片13を導電性接着剤15で固定する際の固定位置がずれると圧電デバイスの特性に大きく影響する方向のことで、ATカット水晶片の場合であれば、水晶の結晶軸の1つであるX軸に沿う方向であり、圧電振動片がSCカットに代表される2いわゆる2回回転水晶片の場合であれば、水晶の結晶軸の1つであって2回回転で生じるX′軸に沿う方向である。
平面視で矩形状のATカット水晶片を用いる場合、一般には、長方形状でかつ長辺が水晶のX軸に平行な水晶片を用いるので、その場合であれば傾斜方向は水晶片の長辺に沿う方向である。
【0026】
4.第4の実施形態
図4は、第4の実施形態の圧電デバイス50及びパッケージ51の傾斜部51aを説明する平面図である。第4の実施形態の第1の実施形態との相違点は、傾斜部51aにある。第1~第3の実施形態は、各傾斜部の傾斜面を平面で構成する例であったが、第4の実施形態は、傾斜部51aの傾斜面を曲面51aaで構成してある。曲面51aaは、この例では、凹部11c側に凸になっている曲面としてある。ただし、曲面は土手部11b側に凹状になった曲面でも良い。
曲面を有した傾斜部51aは、上記の2方向傾斜部11f、対角線傾斜部31aおよび1方向傾斜部41a各々にも適用できる。
【0027】
5.他の適用例
図5(A)、(B)は本発明を、片持ち支持構造の圧電デバイス60に適用した例を説明する図である。具体的には、水晶片13は、1つの辺に沿った両端2か所に引出電極13bが引き出されている。そして、この水晶片13を、セラミック製パッケージ11の1つの辺に沿っている2つの接着パッド11dに導電性接着剤15によって固定して、片持ち支持を完成してある。なお、水晶片13の導電性接着剤15で固定した側とは反対端部、すなわち水晶片13の先端に対応する底板11aの部分に、枕部11gを設けておくのが好ましい。水晶片13の振動部(励振用電極13aの領域)が底板11aに接触することを防ぐためである。
片持ち支持構造であっても、水晶片13の位置ずれが生じた場合は、傾斜部11fの効果を利用できる。
【符号の説明】
【0028】
10:第1の実施形態の圧電デバイス 11:パッケージ
11a:底板 11b:土手部
11c:凹部 11d:接着パッド
11e:外部接続端子 11f:傾斜部(2方向傾斜部)
11fa:第1傾斜部 11fb:第2傾斜部
13:圧電振動片(水晶片) 15:導電性接着剤
17:蓋部材
30:第2の実施形態の圧電デバイス 31:パッケージ
31a:傾斜部(対角線傾斜部)
40:第3の実施形態の圧電デバイス 41:パッケージ
41a:傾斜部(1方向傾斜部)
50:第4の実施形態の圧電デバイス 51:パッケージ
51a:傾斜部 51aa:曲面
60:本発明を適用した片持ち支持構造の圧電デバイス