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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ダイヤフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20240619BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F04B45/04 D
F04B43/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021010059
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113984
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000121833
【氏名又は名称】マブチモーターオーケン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 晃
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-218581(JP,A)
【文献】特開2017-089405(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105804988(CN,A)
【文献】特開2015-129545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 43/02
F16K 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の変形部を有するダイヤフラムと、
前記変形部の開口部分を閉塞し、前記変形部と協働してポンプ室を形成する隔壁と、
前記ポンプ室に連通された吸入通路と、
前記隔壁を貫通する吐出用貫通孔を介して前記ポンプ室に連通された吐出通路と、
モーターの回転を往復運動に変換して前記変形部を前記ポンプ室の容積が増大する方向と前記ポンプ室の容積が減少する方向とに交互に変形させる駆動機構と、
前記ポンプ室の容積が増大する行程で前記吸入通路を開き、その他の行程で前記吸入通路を閉じる吸入弁と、
前記吐出通路内に配置されて前記隔壁に取付けられ、前記ポンプ室の容積が減少する行程で前記吐出通路を開き、その他の行程で前記吐出通路を閉じる吐出弁と、
前記吐出弁を前記隔壁と協働して挟持する押圧部材とを備え、
前記吐出弁は、
前記隔壁に突設された突起に嵌合する凸部と、
前記凸部を中心として前記隔壁に沿って延びる円板状に形成され、前記吐出用貫通孔の開口を覆う弁体部と、
前記弁体部より厚み方向に突出して前記凸部から前記弁体部の外周部まで放射状に延びるように形成され、前記押圧部材によって前記隔壁に向けて押される複数のリブと、
前記リブと前記弁体部との境界部分に前記リブに沿って延びるように形成された第1の溝と、
前記弁体部における、互いに隣り合う2つの前記リブに挟まれたシール部に径方向に延びるように形成された第2の溝とを有することを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
請求項1記載のダイヤフラムポンプにおいて、前記第2の溝は、前記凸部を中心とする放射状に形成されているとともに、前記シール部の2箇所に形成され、
前記吐出用貫通孔は、前記弁体部の厚み方向から見て、2つの前記第2の溝の間となる部分に位置付けられていることを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハット形の吐出弁を備えたダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のダイヤフラムポンプとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示されたダイヤフラムポンプの吐出弁は、ポンプ室と吐出通路とを仕切る隔壁の吐出通路側に取付けられている。隔壁には、ポンプ室と吐出通路とを連通する貫通孔が形成されている。吐出弁は、この貫通孔の吐出通路側の開口を覆う円板状の弁体部と、弁体部より厚く形成されて弁体部の中央から放射状に延びるリブとを備えている。このリブは、隔壁と協働して吐出通路を形成する蓋体によって隔壁に押し付けられている。リブと弁体部との境界となる部分には、リブに沿って延びる溝が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-218581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたダイヤフラムポンプの吐出弁は、弁体の根元、すなわち中央側が厚く、外縁部が薄く形成されており、弁の開閉時に根元の厚い箇所の抵抗が大きかった。また、リブが隔壁に押し付けられることにより弾性変形し、このリブの変形に伴って弁体部も変形してしまうおそれがあった。弁体部が変形すると、貫通孔の開口部分を閉じるときにシールが不完全になってしまう。
【0005】
本発明の目的は、吐出弁の弁体部の開閉性能が向上するとともに全閉時のシール性が向上するダイヤフラムポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係るダイヤフラムポンプは、カップ状の変形部を有するダイヤフラムと、前記変形部の開口部分を閉塞し、前記変形部と協働してポンプ室を形成する隔壁と、前記ポンプ室に連通された吸入通路と、前記隔壁を貫通する吐出用貫通孔を介して前記ポンプ室に連通された吐出通路と、モーターの回転を往復運動に変換して前記変形部を前記ポンプ室の容積が増大する方向と前記ポンプ室の容積が減少する方向とに交互に変形させる駆動機構と、前記ポンプ室の容積が増大する行程で前記吸入通路を開き、その他の行程で前記吸入通路を閉じる吸入弁と、前記吐出通路内に配置されて前記隔壁に取付けられ、前記ポンプ室の容積が減少する行程で前記吐出通路を開き、その他の行程で前記吐出通路を閉じる吐出弁と、前記吐出弁を前記隔壁と協働して挟持する押圧部材とを備え、前記吐出弁は、前記隔壁に突設された突起に嵌合する凸部と、前記凸部を中心として前記隔壁に沿って延びる円板状に形成され、前記吐出用貫通孔の開口を覆う弁体部と、前記弁体部より厚み方向に突出して前記凸部から前記弁体部の外周部まで放射状に延びるように形成され、前記押圧部材によって前記隔壁に向けて押される複数のリブと、前記リブと前記弁体部との境界部分に前記リブに沿って延びるように形成された第1の溝と、前記弁体部における、互いに隣り合う2つの前記リブに挟まれたシール部に径方向に延びるように形成された第2の溝とを有するものである。
【0007】
本発明は、前記ダイヤフラムポンプにおいて、前記第2の溝は、前記凸部を中心とする放射状に形成されているとともに、前記シール部の2箇所に形成され、前記吐出用貫通孔は、前記弁体部の厚み方向から見て、2つの前記第2の溝の間に位置付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、リブからシール部に伝達される変形が第2の溝によって吸収される。また、シール部の第2の溝が形成された部分は剛性が低下する。このため、シール部は、第2の溝で折れるようになって開閉時の弾性変形が容易になる。
したがって、本発明によれば、吐出弁の弁体部の開閉性能が向上するとともに全閉時のシール性が向上するダイヤフラムポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
図2図2は、吐出弁の平面図である。
図3図3は、吐出弁の側面図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るダイヤフラムポンプの一実施の形態を図1図4を参照して詳細に説明する。
図1に示すダイヤフラムポンプ1は、図1において最も下に位置するモーター2に取付けられ、このモーター2によって駆動されて動作する。この実施の形態によるダイヤフラムポンプ1は、空気を吸込んで吐出するポンプである。
このダイヤフラムポンプ1は、モーター2に固定されたハウジング3を備えている。このダイヤフラムポンプ1を構成する機能部品は、このハウジング3に保持されている。
【0011】
ハウジング3は、複数の部材をモーター2の軸線方向に組み合わせて円柱状に形成されており、モーター2の回転軸4と同一軸線上に位置付けられている。ハウジング3を構成する複数の部材は、モーター2に取付けられた有底円筒状の底体5と、この底体5の開口部分に取付けられたダイヤフラムホルダー6と、このダイヤフラムホルダー6との間に後述するダイヤフラム7が挟まれる状態でダイヤフラムホルダー6に取付けられた円板状のバルブホルダー8と、このバルブホルダー8に重なる状態で取付けられた蓋体9などである。この実施の形態においては、バルブホルダー8が本発明でいう「隔壁」に相当する。
【0012】
ダイヤフラム7は、ダイヤフラムホルダー6とバルブホルダー8とに挟まれて保持されている。また、ダイヤフラム7は、バルブホルダー8に向けて開口する複数のカップ状の変形部11を有している。これらの変形部11は、ハウジング3の周方向において、ダイヤフラム7を複数に分割する位置にそれぞれ設けられている。
変形部11の開口部分は、バルブホルダー8によって閉塞されている。
【0013】
この変形部11とバルブホルダー8との間にポンプ室12が形成されている。このため、ダイヤフラム7は、ポンプ室12の壁の一部を構成している。
カップ状を呈する変形部11の底壁11aには、ポンプ室12とは反対方向に向けて突出する連結片13が設けられている。連結片13には駆動機構21が接続されている。
【0014】
駆動機構21は、モーター2の回転軸4に取付けられたクランク体22と、このクランク体22に駆動軸23を介して連結された駆動体24などを備えている。クランク体22は、回転軸4に固定されており、回転軸4と一体に回転する。クランク体22と駆動体24は、プラスチック材料によって形成されている。駆動軸23は、金属材料によって形成されている。
【0015】
駆動軸23は、モーター2の回転軸4に対して傾斜した状態でクランク体22の偏芯した部分に固着されている。駆動軸23が傾斜する方向は、駆動軸23の先端部において回転軸4に対する偏心量が少なくなる方向である。
【0016】
駆動体24は、駆動軸23が接続された円柱状の軸部25と、この軸部25から径方向の外側に突出する複数の腕部26とによって構成されている。
軸部25は、駆動軸23を回転自在に支持する軸受部材25aと、軸受部材25aを覆う筒体25bとによって構成されている。
【0017】
駆動体24の腕部26は、ダイヤフラム7の変形部11毎に設けられており、軸部25から放射状に径方向の外側へ延びている。腕部26には貫通穴26aが穿設されている。この貫通穴26aには、ダイヤフラム7の連結片13が係入されている。連結片13は、腕部26を貫通した状態で腕部26に固定されている。このため、腕部26は、ダイヤフラム7の複数の変形部11にそれぞれ接続されている。
【0018】
この駆動機構21によれば、モーター2の回転軸4が回転することによりクランク体22および駆動軸23が回転軸4を中心として回転する。このとき、駆動体24は、ダイヤフラム7によって回転が規制されているために、駆動軸23の傾斜する方向の変化に伴って揺動する。この揺動により、腕部26が変形部11を押したり引いたりする。このため、駆動体24が回転軸4の回転を往復運動に変換して変形部11に伝達する。
【0019】
ダイヤフラム7の変形部11が腕部26によってモーター2側に引かれて拡張することにより、ポンプ室12の容積が増大する。一方、ダイヤフラム7の変形部11が腕部26によってバルブホルダー8側へ押されることにより、変形部11が収縮されてポンプ室12の容積が減少する。このため、クランク体22が連続して回転することにより、ポンプ室12の容積が増大する状態と容積が減少する状態とが交互に繰り返される。
【0020】
バルブホルダー8におけるポンプ室12の壁を構成する部分には、吸入弁31が設けられているとともに、吸入用貫通孔32と吐出用貫通孔33とが形成されている。吸入弁31は、ゴム材料によって形成され、ポンプ室12毎に設けられている。図1においては二つの吸入弁31が図示されているが、吸入弁31の数、すなわちポンプ室12の数は2つに限定されることはない。この実施の形態による吸入弁31は、バルブホルダー8を貫通してバルブホルダー8に固定された軸部31aと、バルブホルダー8におけるポンプ室12側の壁面に密着する弁体31bとを有している。
【0021】
吸入用貫通孔32は、バルブホルダー8を貫通してポンプ室12と後述する吸入通路34とを連通する孔である。吸入用貫通孔32のポンプ室12側の開口は吸入弁31の弁体31bによって開閉される。この開口から弁体31bが離れることにより吸入通路34が開き、この開口を弁体31bが閉塞することにより吸入通路34が閉じる。すなわち、吸入弁31は、図1の右側に描いてあるように、ポンプ室12の容積が増大する行程で吸入通路34を開き、その他の行程で吸入通路34を閉じる。
吸入通路34は、バルブホルダー8と蓋体9との間の外周側に形成され、バルブホルダー8の中央部に突設された筒状壁35によって後述する吐出通路36とは隔てられている。筒状壁35の先端は蓋体9に気密に密着している。この実施の形態による吸入通路34の上流端は、蓋体9の外周部に設けられた吸入パイプ37によって構成されている。
【0022】
吐出用貫通孔33は、バルブホルダー8を貫通してポンプ室12と吐出通路36とを連通する孔である。
吐出通路36は、バルブホルダー8と蓋体9との間の中央部であって筒状壁35の内方に形成された吐出用流体室38と、蓋体9の軸心部に突設された吐出パイプ39とによって構成されている。吐出用流体室38内には吐出弁41が設けられている。この吐出弁41は、図2図4に示すように、いわゆるハット形のもので、ゴム材料によって形成されている。
【0023】
吐出弁41は、第1~第3の機能部を有している。第1の機能部は、バルブホルダー8に取付けられる凸部42である。凸部42は、バルブホルダー8に突設された突起43に嵌合するように形成されている。この実施の形態による凸部42は、図2に示すように、平面視において長円状に形成されている。なお、バルブホルダー8の突起43も凸部42と同様の形状に形成されている。
【0024】
第2の機能部は、吐出用貫通孔33の吐出通路36側の開口を開閉する弁体部44である。弁体部44は、凸部42を中心としてバルブホルダー8に沿って延びる円板状に形成されている。弁体部44は、吐出弁41がバルブホルダー8に取付けられた状態で吐出用貫通孔33の開口を覆う。
第3の機能部は、弁体部44をバルブホルダー8に押し付けるためのリブ45である。リブ45は、弁体部44より厚み方向に突出して凸部42から弁体部44の外周部まで放射状に延びるように形成されている。リブ45が弁体部44より突出する方向は、バルブホルダー8から離れる方向である。
【0025】
この実施の形態によるリブ45は、図2に示すように、弁体部44の4箇所から突出するように設けられている。詳述すると、4つのリブ45は、凸部42の長手方向の一端側に2つ設けられ、凸部42の長手方向の他端側に2つ設けられている。以下においては、凸部42の長手方向の一端側に位置する二つのリブ45を総じて第1のリブ群46といい、凸部42の長手方向の他端側に位置する二つのリブ45を総じて第2のリブ群47という。第1のリブ群46の一対のリブ45どうしのなす角度aと、第2のリブ群47の一対のリブ45どうしのなす角度bは同一である。
【0026】
また、第1のリブ群46の一方のリブ45と、このリブ45と隣接する第2のリブ群47の一方のリブ45とのなす角度cは、角度aおよび角度bより大きい。以下においては、弁体部44における、第1のリブ群46と第2のリブ群47との間に位置する部分をシール部51という。この実施の形態による弁体部44は、二つのシール部51を有している。吐出弁41は、これらのシール部51がバルブホルダー8の吐出用貫通孔33を覆うように構成されている。
【0027】
4つのリブ45は、吐出弁41がバルブホルダー8に取付けられた状態で蓋体9の押圧部材52(図1参照)によってバルブホルダー8に向けて押され、圧縮されて弾性変形する。押圧部材52は、蓋体9にバルブホルダー8に向けて突出するように設けられており、吐出弁41をバルブホルダー8と協働して挟持する。
リブ45が押圧部材52によって押されることにより、弁体部44におけるリブ45が形成されている部分がバルブホルダー8に密着する。
【0028】
リブ45と弁体部44との境界部分には、リブ45に沿って延びる第1の溝53が形成されている。この実施の形態による第1の溝53は、弁体部44のシール部51とリブ45との境界部分に形成されている。
シール部51には、第2の溝54が形成されている。第2の溝54は、弁体部44における、互いに隣り合う2つのリブ45(第1のリブ群46のリブ45と第2のリブ群47のリブ45)に挟まれたシール部51に径方向に延びるように形成されている。
【0029】
詳述すると、第2の溝54は、凸部42を中心とする放射状に形成されているとともに、シール部51が3等分されるように2箇所に形成されている。また、第2の溝54は、弁体部44の外周縁から凸部42の近傍まで延びている。このため、この実施の形態によるシール部51の外周部分は、リブ45に第1の溝53を介して接続された二つの外側シール部51a,51bと、これらの外側シール部51a,51bに第2の溝54を介して接続された内側シール部51cとに分けられる。
バルブホルダー8の吐出用貫通孔33は、弁体部44の厚み方向から見て、2つの第2の溝54の間(内側シール部51cと対向する部分)に位置付けられている。
【0030】
吐出用貫通孔33の吐出用流体室38側の開口は、吐出弁41の弁体部44によって開閉される。この開口から弁体部44が離れることにより吐出通路36が開き、この開口を弁体部44が閉塞することにより吐出通路36が閉じる。すなわち、吐出弁41は、図1の右側に描いてあるように、ポンプ室12の容積が増大する行程で吐出通路36を閉じ、その他の行程で吐出通路36を開く。
【0031】
この実施の形態による吐出弁41の弁体部44は、第1の溝53と第2の溝54とが形成されているから、リブ45が押圧部材52によって押されて弾性変形するにもかかわらず、リブ45の変形の影響を受け難くなる。リブ45が押圧部材52によって押されて弾性変形すると、このリブ45の変形が弁体部44のシール部51にも伝播される。この変形は、第1の溝53では完全には吸収されず、僅かながらも外側シール部51a,51bに伝達される。しかし、外側シール部51a,51bに伝達された変形は、第2の溝54で吸収される。
【0032】
このため、シール部51の内側シール部51cは、リブ45の変形が殆ど伝わらないから、全閉時にバルブホルダー8に密着して吐出用貫通孔33の開口部分を確実に塞ぐ。また、シール部51の第2の溝54が形成された部分は、剛性が低下する。このようなシール部51は、第2の溝54で折れるようになって開閉時の弾性変形が容易になる。
したがって、この実施の形態によれば、吐出弁41の弁体部44の開閉性能が向上するとともに全閉時のシール性が向上するダイヤフラムポンプを提供することができる。
【0033】
この実施の形態による第2の溝54は、凸部42を中心とする放射状に形成されているとともに、シール部51の2箇所に形成されている。吐出用貫通孔33は、弁体部44の厚み方向から見て2つの第2の溝54の間に位置付けられている。このため、シール部51の内側シール部51cが扇状に形成され、吐出用貫通孔33から吐出された空気の圧力で弁体部44が開くときに扇状の内側シール部51cの外周部がバルブホルダー8から大きく離れるようになる。この結果、空気の吐出が円滑に行われて吐出効率が高くなる。
【符号の説明】
【0034】
1…ダイヤフラムポンプ、2…モーター、7…ダイヤフラム、8…バルブホルダー(隔壁)、11…変形部、12…ポンプ室、33…吐出用貫通孔、34…吸入通路、36…吐出通路、21…駆動機構、31…吸入弁、41…吐出弁、42…凸部、43…突起、44…弁体部、45…リブ、51…シール部、52…押圧部材、53…第1の溝、54…第2の溝。
図1
図2
図3
図4