(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 34/28 20200101AFI20240619BHJP
D06F 101/00 20200101ALN20240619BHJP
D06F 103/68 20200101ALN20240619BHJP
D06F 105/58 20200101ALN20240619BHJP
D06F 103/40 20200101ALN20240619BHJP
【FI】
D06F34/28
D06F101:00
D06F103:68
D06F105:58
D06F103:40
(21)【出願番号】P 2021014687
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 敬太
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-095562(JP,A)
【文献】特開2019-096435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 34/28
D06F 101/00
D06F 103/68
D06F 105/58
D06F 103/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽に収容された収容物を処理する運転機能を制御する運転制御部と、
前記運転機能の実行状態を示す運転状態情報を取得する運転状態情報取得部と、
音声を取得する音声取得部と、
前記音声取得部によって取得された前記音声に対応する機能であり、且つ前記運転機能と関連付けられた予約機能とは異なる対象機能を実行する対象機能実行部と、
を備え
、
前記対象機能実行部は、前記運転状態情報が前記運転機能の実行中である場合は、前記音声取得部によって取得された前記音声を無効にする洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯機から所定範囲内の位置にいるユーザを検出するユーザ検出部をさらに備え、
前記対象機能実行部は、前記ユーザ検出部によって前記ユーザが検出された場合、前記対象機能の実行を可能にする、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ユーザ検出部によって前記ユーザが検出された場合、前記音声取得部によって前記音声を取得することを許可する音声許可部をさらに備える請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記音声取得部によって取得された前記音声に基づいて、前記ユーザ検出部によって検出された前記ユーザが
予め登録された登録ユーザか否かを識別する識別部をさらに備え、
前記対象機能実行部は、前記識別部によって識別された前記ユーザ
が前記登録ユーザか否かに対応
して、前記対象機能を実行
するか無効とするか判定する、請求項2
または3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記洗濯槽に形成された開口を開閉するカバーを備え、
前記対象機能実行部は、前記対象機能として、前記カバーを開閉する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記対象機能を実行するか否かに関する制限条件を設定する条件設定部をさらに備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
音声を出力する音声出力部をさらに備え、
前記対象機能実行部は、前記音声を無効にした場合に、前記音声取得部によって取得された音声による指示が無効であることを示す音声を前記音声出力部から出力する、請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音声入力により洗濯開始時刻等の予約を行い、予約された時刻に洗濯を開始する全自動洗濯機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、音声によって洗濯開始時刻等の予約機能しか利用できない。本開示の一態様は、音声に対応する機能を実行する洗濯機の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗濯機は、収容物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽に収容された収容物を処理する運転機能を制御する運転制御部と、音声を取得する音声取得部と、音声取得部によって取得された音声に対応する機能であり、且つ前記運転機能と関連付けられた予約機能とは異なる対象機能を実行する対象機能実行部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第一実施形態に係る洗濯機システムの一例を示す図である。
【
図2】
図1に記載の端末の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に記載の洗濯機の外観の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った洗濯機の断面図である。
【
図5】
図1に記載の洗濯機の電気的構成の一例を示す図である。
【
図6】第一実施形態に係る洗濯機の制御部の機能的構成の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示す記憶部に記憶される制御情報テーブルの一例を示す図である。
【
図8A】第一実施形態に係る洗濯機で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8B】
図8Aに続く処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第二実施形態に係る洗濯機の制御部の機能的構成の一例を示す図である。
【
図10】第二実施形態に係る洗濯機で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第二実施形態に係る洗濯機が運転中において、音声を有効にする時間を説明するための図である。
【
図12】第三実施形態に係る洗濯機の制御部の機能的構成の一例を示す図である。
【
図13】第三実施形態において、
図5に示す記憶部に記憶される制限条件テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第一実施形態)
図1~
図8Bを参照して第一実施形態について説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
図1は、第一実施形態の洗濯機システム100の一例を示す図である。
図1に示すように、第一実施形態の洗濯機システム100は、洗濯機101と端末102とを有している。洗濯機101と端末102とは、互いに通信を行うことができる。ユーザ103は端末102を介して洗濯機101への操作入力を行うことができる。端末102は、ユーザ103が携帯する電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット等である。洗濯機101は、洗濯機101から所定範囲104内の位置にいるユーザ103を検出し、ユーザ103を検出した場合、ユーザ103の音声に対応する機能を実行する。例えば、所定範囲104は、2mである。
【0009】
図2は、端末102の一例を示す図である。
図2に示すように、端末102は、通信部201、制御部202等を含む。通信部201は、洗濯機101と無線通信を行うためのインタフェースである。一例として通信部201は、BLE(Bluetooth Low Energy)に準拠する近距離無線通信を行う。制御部202は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、端末102を制御する。
【0010】
図3は、洗濯機101の外観の一例を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った洗濯機の断面図である。以下の説明では、
図4の紙面上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ洗濯機101の上側、下側、前側、及び後側として説明する。
図3及び
図4に例示する洗濯機101は、外箱301の上側にカバー302が設けられた縦型洗濯機である。洗濯機101は、開口401、水槽402、洗濯槽403、パルセータ404、回転駆動機構405等を含む。
【0011】
開口401は、洗濯槽403の上側に設けられ、カバー302によって開閉自在に覆われている。ユーザ103は、取手303を把持してカバー302を開けることで、開口401から洗濯槽403に衣類等の収容物を入れることができる。本例のカバー302は、図示外の開閉駆動機構によって自動開閉が可能である。
【0012】
操作部304は、外箱301の上側にカバーよりも前側に設けられ、電源ボタン、洗濯コースの設定ボタン等を含む。ユーザ103は、操作部304を操作することで、洗濯機101の電源オン、洗濯コースの設定等を行うことができる。
【0013】
水槽402は、外箱301の内側に設けられる。洗濯槽403は、水槽402の内側に設けられ、衣類等の収容物を収容する。洗濯槽403には、洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水が溜められる。パルセータ404は、洗濯槽403の底に設けられる。パルセータ404が回転することにより、洗濯槽403に溜められた水が撹拌される。回転駆動機構405は、水槽402の底に設けられる。回転駆動機構405は、例えば洗濯運転時において、洗濯槽403を回転させずにパルセータ404を回転させ、脱水運転時はパルセータ404を回転させずに洗濯槽403を回転させる。
【0014】
図5は、洗濯機101の電気的構成の一例を示す図である。
図5に示すように、洗濯機101は、記憶部501、通信部502、音声取得部503、音声出力部504、開閉検出部505、ユーザ検出部506、制御部507等を備える。
【0015】
記憶部501は、各種データ、プログラム等を記憶可能な記憶媒体であり、例えば、フラッシュメモリ等である。記憶部501は、制御情報テーブル701(
図7参照)等を記憶する。また、記憶部501は、ユーザ103の音声の特徴を示す登録音声特徴量を記憶する。登録音声特徴量は、ユーザ103の音声から抽出された信号強度、周波数特性等である。
【0016】
通信部502は、端末102と無線通信を行うためのインタフェースであり、本例ではBLEに準拠する近距離無線通信を行う。音声取得部503は、ユーザ103の音声を取得するためのマイクである。例えば音声取得部503は、カバー302の開閉時でも洗濯機101の前にいるユーザ103の音声を安定して取得できるように、外箱301のうちでカバー302よりも前側に設けられる。音声出力部504は、ユーザ103に向けて音声を出力するためのスピーカであり、例えば外箱301に設けられる。
【0017】
開閉検出部505は、カバー302の開閉状態を検出するためのセンサである。ユーザ検出部506は、洗濯機101から所定範囲104(
図1参照)内の位置にいるユーザ103を検出する。例えば、ユーザ検出部506は、通信部502を制御して、洗濯機101と端末102との間で実行されている近距離無線通信の信号強度を計測する。ユーザ検出部506は、計測された信号強度が所定閾値を超え、且つ当該端末102が記憶部501に予め登録されたユーザ端末に対応する場合、洗濯機101から所定範囲104内の位置にいるユーザ103を検出したと判定する。
【0018】
制御部507は、CPU等を含み、洗濯機101を制御する。
図6は、制御部507の機能的構成の一例を示す図である。
図6に示すように、制御部507が記憶部501に記憶されるプログラムを実行することで、音声許可部601、運転状態情報取得部602、対象機能実行部603、音声認識部604、識別部605、指示情報取得部606、運転制御部607等の各機能ブロックが実現される。
【0019】
音声許可部601は、ユーザ検出部506によってユーザ103が検出された場合、音声取得部503によって音声を取得することを許可する。音声許可部601によって音声を取得することが許可されると、例えば、音声取得部503は音声を取得して、その音声が有効とされる。運転状態情報取得部602は、運転状態情報を取得する。運転状態情報は、洗濯機101の運転機能の実行状態を示す。運転機能は、洗濯槽403に収容された収容物を処理する機能であり、洗濯運転、すすぎ運転、または脱水運転等を含む。運転機能は、例えば、運転制御部607が洗濯槽403またはパルセータ404を回転させることで実行される。
【0020】
対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声に対応する機能であり、且つ運転機能と関連付けられた予約機能とは異なる対象機能を実行する。例えば、対象機能は、運転機能を実行可能な状態にする機能、カバー302を開閉する機能等を含む。運転機能を実行可能な状態とは、洗濯機101の電源がオンの状態である。
【0021】
音声認識部604は、音声取得部503によって取得された音声に対して音声認識を実行することで、当該音声を文字情報に変換する。識別部605は、音声取得部503によって取得された音声に基づいて、ユーザ検出部506によって検出されたユーザ103を識別する。指示情報取得部606は、音声認識部604によって認識された音声に対応する指示情報を取得する。指示情報は、対象機能を制御するための情報である。運転制御部607は、運転機能を制御する。
【0022】
図7は、制御情報テーブル701の一例を示す図である。
図7に例示するように、制御情報テーブル701には、音声指示と、指示情報と、運転状態情報と、ユーザ識別要否情報と、ユーザ登録判定情報と、制御情報とが関連付けられている。音声指示は、ユーザ103が洗濯機101に予約機能とは異なる機能の実行を指示するための発話内容を示す。指示情報は、予約機能とは異なる機能を識別するための情報である。例えば、
図7に例示する制御情報テーブル701では、洗濯機101を電源オンする機能の指示情報である「電源オン」に、音声指示である「電源をつけて」が関連付けられている。また、カバー302を開く機能の指示情報である「カバー開」に、音声指示である「カバーを開けて」が関連付けられている。
【0023】
ユーザ識別要否情報は、識別部605が音声に基づいてユーザ103を識別するか否かを示す。ユーザ識別要否情報である「要」は、識別部605が音声に基づいてユーザ103を識別することを示す。一方、ユーザ識別要否情報である「不要」は、識別部605が音声に基づいてユーザ103を識別しないことを示す。
【0024】
制御情報は、対象機能実行部603に実行させる対象機能を示す情報である。制御情報である「電源オン」は、その対象機能として、運転機能を実行可能な状態にすることを示す。制御情報である「電源オフ」は、その対象機能として、運転機能を実行不可能な状態にすることを示す。
【0025】
制御情報である「カバー開」は、その対象機能として、カバー302を開くように開閉駆動機構を駆動させることを示す。制御情報である「カバー閉」は、その対象機能として、カバー302を閉じるように開閉駆動機構を駆動させることを示す。制御情報である「洗濯開始」は、その対象機能として、運転制御部607に洗濯運転を開始させることを示す。制御情報である「洗濯停止」は、その対象機能として、運転制御部607に洗濯運転を停止させることを示す。
【0026】
さらに、制御情報は、対象機能の実行が可能であるか否かを示してもよい。制御情報である「指示無効」は、対象機能実行部603が、音声取得部503によって取得された音声による指示を無効にすることを示す。制御情報である「指示無効を通知」は、音声出力部504が、音声取得部503によって取得された音声による指示が無効であることを音声出力で通知することを示す。
【0027】
ユーザ登録判定情報である「登録ユーザ」に関連付けられた制御情報は、登録されたユーザに関連付けられた制御情報を示す。一方、ユーザ登録判定情報である「未登録ユーザ」は、未登録のユーザに関連付けられた制御情報を示す。
【0028】
図8A~
図8Bを参照して、洗濯機101で実行される各種処理について説明する。
図8A~
図8Bは、洗濯機101で実行される処理の一例を示すフローチャートである。洗濯機101の制御部507が通電した場合、制御部507は、
図8Aに示すステップS801の処理を開始する。
【0029】
ステップS801においてユーザ検出部506は、洗濯機101から所定範囲104内の位置にいるユーザ103を検出したか否かを判定する。ステップS801においてユーザ検出部506が、洗濯機101から所定範囲104内の位置にいるユーザ103を検出しない場合、制御部507は、処理をステップS801に戻す。一方、ステップS801においてユーザ検出部506が、洗濯機101から所定範囲104内の位置にいるユーザ103を検出した場合、ステップS802において音声許可部601は、音声取得部503によって音声を取得することを許可する。
【0030】
音声許可部601によって音声を取得することが許可されると、音声取得部503によって取得される音声が有効とされる。これにより、洗濯機101から所定範囲104内にユーザ103がいる場合に、ユーザ103により発声された音声が有効になるため、洗濯機101が周辺の環境音によって誤動作することを抑制できる。
【0031】
また、例えば、洗濯機101は、所定範囲104外にいるユーザ103が、洗濯機101以外の家電に対して音声により指示したとする。その場合、ユーザ検出部506は、洗濯機101から所定範囲104内にユーザ103を検出しないため、ユーザ103により発声された音声が有効にならない。そのため、洗濯機101から所定範囲104内にユーザ103がいる場合に、ユーザ103により発声された音声が有効になることで、所定範囲104外にいる人の音声による指示によって、洗濯機101が誤動作することを防止できる。
【0032】
ステップS803において音声認識部604は、音声取得部503が音声を取得したか否かを判定する。ステップS803において音声取得部503が音声を取得しない場合、ステップS804において音声認識部604は、ステップS801でユーザ検出部506がユーザ103を検出してから、所定時間が経過したか否かを判定する。例えば、所定時間は1分である。ステップS804においてユーザ検出部506がユーザ103を検出してから、所定時間が経過していない場合、制御部507は処理をステップS803に戻す。一方、ステップS804においてユーザ検出部506がユーザ103を検出してから、所定時間が経過した場合、制御部507は、処理をステップS801に戻す。
【0033】
ステップS803において音声取得部503が音声を取得した場合、ステップS805において音声認識部604は、取得された音声に対して音声認識を実行する。音声認識部604は、取得された音声に対して音声認識を実行することで当該音声を文字情報に変換し、変換された文字情報に対応する音声指示を決定する。
【0034】
ステップS806において指示情報取得部606は、決定された音声指示に対応する指示情報を取得する。例えば、指示情報取得部606は、取得された音声に対して音声認識を実行し、「電源をつけて」との音声指示を決定したとする。その場合、指示情報取得部606は、
図7に例示する制御情報テーブル701を参照し、音声指示である「電源をつけて」に関連付けられた指示情報である「電源オン」を取得する。
【0035】
ステップS807において運転状態情報取得部602は、運転状態情報を取得する。例えば、運転機能が実行中である場合には、運転状態情報取得部602は、運転機能が実行中であることを示す運転状態情報である「運転中」を取得する。一方、運転機能が実行されていない場合には、運転状態情報取得部602は、運転機能が実行されていないことを示す運転状態情報である「停止中」を取得する。
【0036】
図8Bに例示するステップS811において対象機能実行部603は、ステップS806で取得された指示情報と、ステップS807で取得された運転状態情報とに基づいて、ユーザ103を識別することが必要であるか否かを判定する。具体的には、対象機能実行部603は、制御情報テーブル701を参照し、ステップS806で取得された指示情報と、ステップS807で取得された運転状態情報とに関連付けられたユーザ識別要否情報を取得する。対象機能実行部603は、ユーザ識別要否情報である「要」を取得した場合、ユーザ103を識別することが必要な指示情報を取得したと判定する。一方、対象機能実行部603は、ユーザ識別要否情報である「不要」を取得した場合、ユーザ103を識別することが必要ではないと判定する。
【0037】
ステップS811においてユーザ103を識別することが必要ではないと判定された場合、ステップS812において対象機能実行部603は、取得された指示情報と、運転状態情報とに関連付けられた制御情報を取得する。そして、制御部507は、処理をステップS815に移行する。
【0038】
一方、ステップS811においてユーザ103を識別することが必要であると判定された場合、ステップS813において識別部605は、取得された音声に対応するユーザ103を識別する。例えば、識別部605は、取得された音声の特徴を示す特徴量と、予め記憶部501に記憶される登録音声特徴量とを照合する。識別部605は、照合結果に基づいて、ユーザ103を識別する。
【0039】
ステップS814において対象機能実行部603は、ユーザ識別結果と、取得された指示情報と、運転状態情報とに関連付けられた制御情報を取得する。
【0040】
ステップS815において対象機能実行部603は、ステップS812またはステップS814で取得された制御情報に基づいて、対象機能を実行する。そして、制御部507は、処理をステップS801に戻す。
【0041】
例えば、指示情報取得部606によって取得された指示情報が「電源オン」であり、運転状態情報取得部602によって取得された運転状態情報が「停止中」であるとする。音声取得部503によって取得された音声が登録されたユーザの音声ではない場合、対象機能実行部603は、
図7に例示する制御情報テーブル701を参照し、指示情報である「電源オン」と、運転状態情報である「停止中」と、ユーザ登録判定情報である「未登録ユーザ」とに関連付けられた制御情報である「指示無効」を取得する。この場合、未登録のユーザが洗濯機101に対して「電源オン」と発話しても、対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声による指示を無効にする。
【0042】
一方、音声取得部503が、登録されたユーザによる「電源オン」との音声を取得した場合、対象機能実行部603は、
図7に例示する制御情報テーブル701を参照し、指示情報である「電源オン」と、運転状態情報である「停止中」と、ユーザ登録判定情報である「登録ユーザ」とに関連付けられた制御情報である「電源オン」を取得する。その場合、対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声に対応する、電源をオンにする機能を実行する。これにより、洗濯機101は、登録されたユーザが「電源オン」と発話すると、このユーザが操作部304を操作することなく、このユーザの音声による指示によって電源をオンにできる。従って、洗濯機101は、ユーザ103の音声による指示によって対象機能を実行可能な状態にできる。これにより、洗濯機101は、ユーザ103の動作を減らすことができ、ユーザ103の省力化に貢献する。
【0043】
また、例えば、対象機能実行部603は、制御情報である「カバー開」を取得した場合、カバー302を開くように開閉駆動機構を駆動させる。これにより、洗濯機101は、カバー302を開ける際に手を使う煩わしさから、ユーザ103を解放できる。
【0044】
以上より、本実施形態に係る洗濯機101は、音声に対応する機能を実行でき、利便性が向上する。
【0045】
(第二実施形態)
図9~
図11を参照して、第二実施形態について説明する。以下の各実施形態では、第一実施形態と実質的に共通の機能を有する構成及び処理を共通の符号で参照して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を説明する。
【0046】
図9は、本実施形態に係る制御部507の機能的構成の一例を示す図である。
図9に示す制御部507と、
図5に示す制御部507との相違点は、
図9に示す制御部507は、エラー出力部901を備える点である。
【0047】
エラー出力部901は、エラー情報を出力する。例えば、エラー出力部901は、音声出力によりエラー情報を出力する。エラー情報は、運転機能の実行中のエラーを示す情報である。
【0048】
本実施形態の対象機能実行部603は、運転機能の実行中には、音声取得部503によって取得された音声に対応する対象機能の実行を不可にする。つまり、本実施形態の対象機能実行部603は、運転機能の実行中には、音声取得部503によって取得された音声を無効にする。さらに、本実施形態の対象機能実行部603は、運転機能の実行中にエラー出力部901によってエラー情報が出力された場合、対象機能の実行を可能にする。
【0049】
図10~
図11を参照して、本実施形態の洗濯機101で実行される処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る洗濯機101で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、音声を有効にする時間を説明するための図である。洗濯機101の電源がオンになり、運転制御部607が運転機能を実行可能な状態になった場合、制御部507は、
図10に示すステップS1001の処理を開始する。
図11に例示する時点T1101以前において、音声取得部503が音声を取得した場合、取得された音声は有効であるとする。さらに、
図11に例示する時点T1101以前において、運転機能が実行されていないとする。なお、制御部507は、
図8A~
図8Bに例示する処理と、
図10に例示する処理とを並列に実行する。
【0050】
ステップS1001において運転制御部607は、運転機能の実行を開始したか否かを判定する。ステップS1001において運転機能の実行が開始されない場合、制御部507は、処理をステップS1001に戻す。つまり、運転機能の実行が開始されるまで、ステップS1001の処理が繰り返し実行される。
【0051】
一方、ステップS1001において運転機能の実行が開始された場合、対象機能実行部603はステップS1002を実行する。ステップS1002が実行された時点T1101以降は、音声取得部503によって取得された音声が無効になる。つまり、対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声に対応する対象機能の実行を不可にする。これにより、洗濯機101は、運転機能の実行中、音声による指示に基づいて、洗濯機101が誤動作することを防止できる。
【0052】
また、例えば、運転機能の実行中、音声取得部503が「カバーを開けて」との音声を取得した場合、対象機能実行部603は、「カバーを開けて」との音声を無効にする。その結果、運転機能の実行中、カバー302が開かないため、安全性が向上する。
【0053】
ステップS1003において対象機能実行部603は、エラー出力部901がエラー情報を出力したか否かを判定する。ステップS1003においてエラー出力部901がエラー情報を出力していない場合、制御部507は、処理をステップS1007に移行する。一方、ステップS1003においてエラー出力部891がエラー情報を出力した場合、対象機能実行部603は、ステップS1004を実行する。ステップS1004が実行された時点T1102以降は、音声取得部503によって取得された音声が有効になる。
【0054】
例えば、運転制御部607が運転機能を実行中にエラーが発生したとする。その場合、運転制御部607は、運転機能の実行を停止する。そして、エラー出力部901は、エラー情報を出力する。エラー出力部901がエラー情報を出力後、対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声を有効にする。その結果、対象機能実行部603は、運転機能の実行中にエラーが発生した場合、所定時間、ユーザ103の音声による指示に基づいて、対象機能を実行できる。例えば、所定時間は5分である。
【0055】
ステップS1005において対象機能実行部603は、エラー出力部901がエラー情報を出力時から所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS1005においてエラー情報の出力時から所定時間が経過したと判断されていない場合、制御部507は、処理をステップS1005に戻す。
【0056】
一方、ステップS1005においてエラー情報の出力時から所定時間が経過したと判断された場合、対象機能実行部603は、ステップS1006を実行する。ステップS1006が実行された時点T1103以降、音声取得部503によって取得された音声が無効になる。
【0057】
ステップS1007において対象機能実行部603は、運転機能の実行を終了するか否かを判定する。ステップS1007において対象機能実行部603が運転機能の実行を終了しない場合、制御部507は、処理をステップS1003に戻す。
【0058】
ステップS1007において運転制御部607が運転機能の実行を終了した場合、対象機能実行部603は、ステップS1008を実行する。ステップS1008が実行された時点T1104以降、音声取得部503によって取得された音声が有効になる。
【0059】
本実施形態の洗濯機101において、音声許可部601は、運転機能の実行中、音声取得部503によって音声を取得することを禁止してもよい。そして、音声許可部601は、音声取得部503によって音声を取得することを禁止している状態において、エラー出力部901がエラー情報を出力した場合、音声許可部601は、音声取得部503によって取得された音声を有効にする。さらに、対象機能実行部603は、音声取得部503によって取得された音声に対応する対象機能の実行を可能にする。
【0060】
(第三実施形態)
図12~
図13を参照して、第三実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る制御部507の機能的構成の一例を示す図である。
図13は、制限条件テーブル1301の一例を示す図である。
【0061】
図12に示す制御部507と、
図5に示す制御部507との相違点は、
図12に示す制御部507は、条件設定部1201を備える点である。条件設定部1201は、対象機能を実行するか否かに関する制限条件を設定する。
【0062】
本実施形態に係る対象機能実行部603は、制限条件テーブル1301(
図13参照)に含まれる制限条件を満たすか否かを判定する。本実施形態に係る対象機能実行部603は、制限条件テーブル1301に含まれる制限条件を満たす場合、当該制限条件に関連付けられた制限処理情報に基づいて、対象機能を実行する。
【0063】
本実施形態に係る記憶部501は、制限条件テーブル1301をさらに記憶する。
図13に示すように、制限条件テーブル1301には、制限条件と制限処理情報とが関連付けられている。例えば、
図13に示す制限条件テーブル1301では、制限条件である「21:00~06:00」と、制限処理情報である「指示無効」とが関連付けられている。これは、21時から翌日6時までにおいては、対象機能実行部603が、音声取得部503によって取得された音声を無効にすることを示す。
【0064】
例えば、ユーザ103が制限条件と制限処理情報とを、端末102に入力してもよい。端末102は、入力された制限条件と、入力された制限処理情報とを関連付けて、洗濯機101に送信する。制御部507は、取得された制限条件と、取得された制限処理情報とを関連付けて、制限条件テーブル1301に登録する。そして、制御部507は、登録された制限条件と制限処理情報とに基づいて、洗濯機101を制御する。これにより、洗濯機101は、ユーザ103が端末102に入力した制限条件と制限処理情報とに基づいて動作することができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機101は、上記実施形態と同様の効果を奏するとともに、利便性がより一層向上する。
【0065】
なお、上記の説明においては、洗濯機101の記憶部501が、制御情報テーブル701を記憶する形態について説明した。しかし、洗濯機101とは異なる情報処理装置が制御情報テーブル701を記憶されてもよい。例えば、洗濯機101と当該情報処理装置とがネットワークを介して接続する場合、洗濯機101は、当該情報処理装置に記憶される制御情報テーブル701を参照することで、ネットワークを介して指示情報及び制御情報を取得してもよい。
【0066】
本開示の一態様は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく変形可能であり、上記の構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0067】
100 洗濯機システム、101 洗濯機、102 端末、103 ユーザ、104 所定範囲、201 通信部、202 制御部、301 外箱、302 カバー、303 取手、304 操作部、401 開口、402 水槽、403 洗濯槽、404 パルセータ、405 回転駆動機構、501 記憶部、502 通信部、503 音声取得部、504 音声出力部、505 開閉検出部、506 ユーザ検出部、507 制御部、601 音声許可部、602 運転状態情報取得部、603 対象機能実行部、604 音声認識部、605 識別部、606 指示情報取得部、607 運転制御部、701 制御情報テーブル、901 エラー出力部、1201 条件設定部、1301 制限条件テーブル