(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】エレベーター運行管理サーバ、エレベーターシステム、および、エレベーター混雑状況表示方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240619BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B66B1/14 Z
B66B3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021048179
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅則
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸裕
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189399(JP,A)
【文献】特許第6597937(JP,B1)
【文献】特開2020-196597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、
前記受信部は、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対す
る利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
を備え
、
前記利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含み、
前記許容値判定部は、前記希望時間における前記乗車率および前記待ち時間のうち少なくとも一方が前記許容値を満たさなかった場合に、前記許容値を満たす提案時間を出力する
ことを特徴とするエレベーター運行管理サーバ。
【請求項2】
利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、
前記受信部は、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
を備え、
前記許容値判定部は、前記利用者端末からの情報の取得要求を基に、前記取得要求に従って前記情報を利用者端末に出力する
ことを特徴とするエレベーター運行管理サーバ。
【請求項3】
利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、
前記受信部は、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
混雑状況の評価をするアンケートの情報を作成して出力するアンケート作成部と、
を備え、
前記許容値設定部は、前記アンケートの結果を基に前記許容値を補正する
ことを特徴とするエレベーター運行管理サーバ。
【請求項4】
前記利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含む
ことを特徴とする請求項
2又は3に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項5】
前記利用状況は、エレベーターの乗車率であり、
前記許容値判定部は、前記希望時間における前記乗車率が前記許容値を満たすか否かを判定する
請求項1
~3のいずれか一項に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項6】
前記利用状況は、エレベーターの待ち時間であり、
前記許容値判定部は、前記希望時間における前記待ち時間が前記許容値を満たすか否かを判定する
請求項1
~3のいずれか一項に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項7】
前記許容値判定部は、前記希望時間における前記乗車率および前記待ち時間のうち少なくとも一方が前記許容値を満たさなかった場合に、前記許容値を満たす提案時間を出力する
請求項
4に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項8】
前記利用者端末に表示するための画面を生成する画面生成部を備え、
前記画面生成部は、前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たさない場合に、エレベーターの混雑状況を示す表示の態様を変更する
請求項1
~3のいずれか一項に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項9】
前記許容値判定部は、前記利用者端末からの情報の取得要求を基に、前記取得要求に従って前記情報を利用者端末に出力する
請求項1
又は3に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項10】
前記画面生成部は、前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たさない場合に強調表示する
請求項
8に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項11】
前記判定結果は、時間帯別に混雑状況を表す画面を含み、
前記画面生成部は、前記利用状況が前記許容値以下である時間帯の混雑状況を第1の態様で表示し、前記利用状況が前記許容値を超える時間帯の混雑状況を前記第1の態様と異なる第2の態様で表示するように、前記画面を生成する
請求項
8に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項12】
前記第1の態様と前記第2の態様は、前記時間帯別に区分された表示フィールドの背景色、および、文字の強調度合いのうち、少なくとも1つが異なる
請求項
11に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項13】
混雑状況の評価をするアンケートの情報を作成して出力するアンケート作成部をさらに備え、
前記許容値設定部は、前記アンケートの結果を基に前記許容値を補正する
請求項1
又は2に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項14】
前記許容値は、前記利用者端末を利用者が操作することによって設定または変更が可能な値である
請求項1
~3のいずれか一項に記載のエレベーター運行管理サーバ。
【請求項15】
利用者が利用する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なエレベーター運行管理サーバと、を備えるエレベーターシステムであって、
前記エレベーター運行管理サーバは、
前記利用者端末からの情報を受信するとともに、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信する受信部と、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対す
る利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
を備え
、
前記利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含み、
前記許容値判定部は、前記希望時間における前記乗車率および前記待ち時間のうち少なくとも一方が前記許容値を満たさなかった場合に、前記許容値を満たす提案時間を出力する
エレベーターシステム。
【請求項16】
利用者が利用する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なエレベーター運行管理サーバと、を備えるエレベーターシステムであって、
前記エレベーター運行管理サーバは、
前記利用者端末からの情報を受信するとともに、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信する受信部と、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
を備え、
前記許容値判定部は、前記利用者端末からの情報の取得要求を基に、前記取得要求に従って前記情報を利用者端末に出力する
エレベーターシステム。
【請求項17】
利用者が利用する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なエレベーター運行管理サーバと、を備えるエレベーターシステムであって、
前記エレベーター運行管理サーバは、
前記利用者端末からの情報を受信するとともに、前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信する受信部と、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力する許容値判定部と、
混雑状況の評価をするアンケートの情報を作成して出力するアンケート作成部と、
を備え、
前記許容値設定部は、前記アンケートの結果を基に前記許容値を補正する
エレベーターシステム。
【請求項18】
利用者が操作する利用者端末にエレベーターの混雑状況を表示するエレベーター混雑状況表示方法であって、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報を記憶するステップと、
前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信するステップと、
前記利用状況に対す
る利用者個人の許容値を設定するステップと、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力するステップと、
前記利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含み、
前記希望時間における前記乗車率および前記待ち時間のうち少なくとも一方が前記許容値を満たさなかった場合に、前記許容値を満たす提案時間を出力するステップと、
を含むエレベーター混雑状況表示方法。
【請求項19】
利用者が操作する利用者端末にエレベーターの混雑状況を表示するエレベーター混雑状況表示方法であって、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報を記憶するステップと、
前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信するステップと、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定するステップと、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力するステップと、
前記利用者端末からの情報の取得要求を基に、前記取得要求に従って前記情報を利用者端末に出力するステップと、
を含むエレベーター混雑状況表示方法。
【請求項20】
利用者が操作する利用者端末にエレベーターの混雑状況を表示するエレベーター混雑状況表示方法であって、
エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報を記憶するステップと、
前記利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信するステップと、
前記利用状況に対する利用者個人の許容値を設定するステップと、
前記希望時間における前記利用状況が前記許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を前記利用者端末に出力するステップと、
混雑状況の評価をするアンケートの情報を作成して出力するステップと、
前記アンケートの結果を基に前記許容値を補正するステップと、
を含むエレベーター混雑状況表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター運行管理サーバ、エレベーターシステム、および、エレベーター混雑状況表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルや商業ビルを建築する際には、建築計画時にエレベーターの利用者の人数を予測し、エレベーターのスムーズな運行が行えるようにするため、エレベーターの設置台数や速度、容量などを最適な設備仕様にしてエレベーターを設置する。エレベーターを設置した後は、ビル管理会社やエレベーターのメンテナンスを行う保守会社が、エレベーターの運行状況を監視する。ビル管理会社や保守会社は、エレベーターの運行情報を収集してデータ分析を行うことにより、各階のエレベーター乗り場(以下、単に「乗り場」とも記す。)における利用者の待ち時間が少なくなる、最適な運行ができるように調整している。
【0003】
近年では、エレベーターを利用するにあたって、ビルの利用者、テナント会社、ビルオーナー、ビル管理者など、ビルに関わる関係者から、エレベーターのかご内や乗り場での混雑を回避したいという要望が高まっている。その大きな理由は、感染症に対する感染予防である。また、エレベーターの乗り場やかご内において利用者の間に一定の距離を確保することで、より快適にエレベーターを利用したいという要望もある。
【0004】
特許文献1には、エレベーターの利用者が所有する携帯端末装置から行先階を登録する場合に、無駄な行先階の登録を防ぐと共に、行先階の変更にも対応できるように、『エレベータの運行を行う制御装置を有し、利用者がエレベータに乗込むまでに行先階登録を行うエレベータシステムにおいて、エレベータホールの入口あるいはエレベータホールへ至る経路に設置された複数の命令装置と、行先階変更可否情報を前記複数の命令装置に設定する認識装置と、を備え、前記認識装置は、前記複数の命令装置のうちの一台以上の命令装置は行先登録階変更可能に、前記複数の命令装置のうちその他の命令装置は行先階変更不可に、前記行先階変更可否情報を設定し、前記複数の命令装置は利用者が備える情報端末へそれぞれ設定された前記行先階変更可否情報を送信する、ことを特徴とするエレベータシステム。』に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、利用者が携帯する携帯端末装置の画面表示部に「よく利用する行先階」やエレベーター利用時に「重視する性能」を選択可能な「呼び登録アプリ」の初期設定画面を表示し、初期設定画面で利用者が選択した行先階や性能を予め登録しておいて、その登録情報をエレベーターのかご割り当てに利用している。また、特許文献1には、エレベーター利用時に「重視する性能」の選択肢として混雑度が挙げられ、実際に利用者が混雑度を選択した場合は、混雑度の低いかごを配車することが記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、エレベーター利用時に「重視する性能」として利用者が混雑度を選択した場合でも、利用者の行先階に対して割り当てられるエレベーターの混雑状況が利用者の要望を満たさない可能性がある。その理由は、エレベーターが混雑しているかどうかの判断基準は、実際にエレベーターを利用する利用者個人の感覚によって変わる場合があるからである。具体的には、まったく同じ条件および環境で複数の利用者が同じエレベーターに乗車した場合に、利用者Aはやや混雑していると感じ、利用者Bは混雑していないと感じる場合がある。また、混雑していることは気にしないが、待ち時間を短くしたいといったエレベーター利用者もいる。したがって、エレベーター利用時に重視する性能として利用者が単に選択するだけでは、エレベーターの混雑状況に関して利用者個人の要望に応えることはできない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、エレベーターの混雑状況に関して利用者個人の要望に応えることができるエレベーター運行管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、たとえば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。 本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、受信部は、利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、希望時間における利用状況が許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を利用者端末に出力する許容値判定部と、を備え、利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含み、許容値判定部は、希望時間における乗車率および待ち時間のうち少なくとも一方が許容値を満たさなかった場合に、許容値を満たす提案時間を出力する。
また、本願は、利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、受信部は、利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、希望時間における利用状況が許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を利用者端末に出力する許容値判定部と、を備え、許容値判定部は、利用者端末からの情報の取得要求を基に、取得要求に従って情報を利用者端末に出力する。
また、本願は、利用者が操作する利用者端末からの情報を受信する受信部を有するエレベーター運行管理サーバであって、受信部は、利用者によって特定された希望時間を含む情報を受信し、エレベーターの利用状況を含むエレベーター運行情報が記憶されたエレベーター運行情報記憶部と、利用状況に対する利用者個人の許容値を設定する許容値設定部と、希望時間における利用状況が許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を利用者端末に出力する許容値判定部と、混雑状況の評価をするアンケートの情報を作成して出力するアンケート作成部と、を備え、許容値設定部は、アンケートの結果を基に許容値を補正する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エレベーターの混雑状況に関して利用者個人の要望に応えることができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るエレベーターシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】群管理エレベーターの内部構成例を示すブロック図である。
【
図3】利用者がエレベーター利用サービスのシステムにログインするために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】利用者端末に表示されるログイン画面の一例を示す図である。
【
図5】利用者端末に表示されるサービスメニュー画面の一例を示す図である。
【
図6】利用者が行先階を登録するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】利用者端末に表示される行先階登録画面の一例を示す図である。
【
図8】利用者がエレベーターの混雑に対する許容値を設定するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】利用者端末に表示されるエレベーター混雑許容値設定画面の一例を示す図である。
【
図10】利用者が普段利用しているエレベーターのかご内の混雑状況と利用者が事前に設定登録した許容値を満たす時間帯とを把握するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】利用者端末に表示されるかご内混雑状況予測画面の一例を示す図である。
【
図12】かご内平均乗車率テーブルの一例を示す図である。
【
図13】利用者が普段利用しているエレベーターの乗り場待ち時間と利用者が事前に設定登録した許容値を満たす時間帯とを把握するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】利用者端末に表示される乗り場待ち時間予測画面の一例を示す図である。
【
図15】利用者がエレベーター混雑許容値設定画面で許容値を設定し、かつ、行先階登録画面で行先階を登録して、エレベーターのかご呼びを行い、エレベーターに乗車した場合に行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】利用者端末に表示されるアンケート画面の一例を示す図である。
【
図17】利用者端末に表示される許容値補正画面の一例を示す図である。
【
図18】利用者がエレベーターの混雑状況の通知を受ける時間帯等を設定するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【
図19】利用者端末に表示される混雑通知設定画面の一例を示す図である。
【
図20】エレベーターの混雑通知に関してエレベーター運行管理サーバで行われる処理の手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図21】エレベーターの混雑通知に関してエレベーター運行管理サーバで行われる処理の手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図22】利用者端末に表示される混雑通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
<エレベーターシステム>
図1は、本実施形態に係るエレベーターシステムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、エレベーターシステム50は、利用者1が操作する利用者端末2と、利用者端末2と双方向に通信可能なエレベーター運行管理サーバ3と、を備えている。なお、
図1においては、利用者端末2を1つだけ表示しているが、利用者端末2はエレベーター運行管理サーバ3の管理下にあるエレベーターを利用する利用者ごとに存在するため、実際には複数の利用者端末2がエレベーター運行管理サーバ3と通信可能に接続される。
【0014】
利用者1は、たとえば、ビル内のオフィスや店舗等のテナントに行くために、エレベーターを利用する者である。利用者端末2は、利用者1が所有する端末である。利用者端末2の具体例としては、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCなどの携帯端末が挙げられる。利用者1は、利用者端末2を使用してエレベーター運行管理サーバ3にアクセスし、エレベーターの混雑状況を表す情報などをエレベーター運行管理サーバ3から取得可能である。
【0015】
<エレベーター運行管理サーバ>
エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2との間でデータをやり取りすることにより、利用者に関する情報およびエレベーターの混雑に関する情報を含む、種々の情報を処理する。また、エレベーター運行管理サーバ3は、群管理エレベーター20との間でデータをやり取りすることにより、エレベーターの運行に関する情報を処理する。
【0016】
エレベーター運行管理サーバ3は、サーバ処理部4と、ビル・エレベーター情報記憶部13と、通信装置16と、運行データ収集装置17と、エレベーター運行情報記憶部18と、を備えている。
【0017】
サーバ処理部4は、画面生成部5と、混雑情報算出部6と、利用者認証部7と、運転指令部8と、情報検索部9と、許容値設定情報DB(DBはデータベースの略称、以下同じ。)10と、アンケート情報DB11と、利用者情報DB12と、混雑通知設定情報DB31と、を備えている。
【0018】
画面生成部5は、利用者端末2に表示するための画面を生成し、生成した画面を利用者端末2に出力する。また、画面生成部5は、利用者端末2からの情報を受信する受信部として機能するとともに、利用者端末2とサーバ処理部4との間でやり取りされるデータを入出力するインタフェース機能を有する。画面生成部5が生成する画面には、ログイン画面、サービスメニュー画面、行先階登録画面、かご内混雑状況予測画面、乗り場待ち時間予測画面、エレベーター混雑許容値設定画面、混雑通知設定画面、アンケート画面、許容値補正画面、混雑通知画面など、種々の画面が含まれる。このうち、かご内混雑状況予測画面および乗り場待ち時間予測画面は、それぞれ、エレベーターの混雑状況を時間帯別に表す混雑状況通知画面に相当する。各々の画面の具体例については後述する。
【0019】
混雑情報算出部6は、エレベーターの利用状況の一例として、エレベーターの混雑状況を示す指標値を算出する算出部としての機能を有する。また、混雑情報算出部6は、利用者1によって特定された希望時間における利用状況が許容値を満たすか否かを判定し、判定結果を利用者端末2に出力する許容値判定部として機能する。混雑情報算出部6による判定結果の出力は画面生成部5を介して行われる。すなわち、混雑情報算出部6による判定結果は、画面生成部5が生成する画面に反映される。また、混雑情報算出部6は、希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合のみ、許容値を満たす提案時間を出力する。本実施形態において、混雑情報算出部6は、エレベーターの混雑状況を示す指標値として、かご内平均乗車率および乗り場平均待ち時間のうち少なくとも一方を算出する。かご内平均乗車率は、エレベーターの乗車率の一例であり、乗り場平均待ち時間は、エレベーターの待ち時間の一例である。かご内平均乗車率は、かご内乗車率の平均値である。かご内乗車率(%)は、エレベーターの乗車人数を乗車定員で割った値に、100を掛けて得られる。たとえば、乗車人数が6人で、乗車定員が10人であれば、かご内乗車率は60%となる。乗り場平均待ち時間(秒)は、利用者がエレベーター乗り場でかご呼びボタンを押してから、あるいは、利用者1が利用者端末2を操作して行先階を登録してから、指定の階床にかごが到着するまでの待ち時間の平均値である。
【0020】
利用者認証部7は、利用者の認証処理を行う。利用者認証部7は、利用者端末2を操作する利用者1が、エレベーター運行管理サーバ3が提供するサービスを利用する際に、利用者を認証する。利用者の認証が必要なサービスとしては、後述するサービスメニューに含まれる各種のサービス(行先階登録サービス、かご内混雑状況通知サービス、乗り場待ち時間状況通知サービス、混雑許容値設定サービス、混雑通知設定サービスなど)が考えられる。
【0021】
運転指令部8は、群管理エレベーター20に対してエレベーターの運転指令を行う。
【0022】
情報検索部9は、ビル・エレベーター情報記憶部13に記憶された情報や、エレベーター運行情報記憶部18に記憶された情報から、指定範囲の情報(データ)を抽出するための検索処理を実行する。また、情報検索部9は、検索処理によって抽出した情報を、画面生成部5や利用者端末2に提供する。
【0023】
許容値設定情報DB10は、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値に関する情報を利用者端末2から受け取って当該DB内に設定登録する。利用者個人の許容値とは、個々の利用者が自身の要望に応じて設定可能な値である。また、許容値は、利用者端末2を利用者が操作することによって選択または変更が可能な値である。したがって、許容値設定情報DB10は、エレベーターの混雑状況に関する許容値を利用者ごとに設定して管理する。
【0024】
アンケート情報DB11は、後述するアンケート画面に対して利用者が利用者端末2を操作して回答したアンケート結果を含む情報を保存するデータベースである。
【0025】
利用者情報DB12は、利用者に関する情報である利用者情報を保存するデータベースである。利用者情報には、利用者認証に用いる情報が含まれる。本実施形態においては、利用者認証に用いる情報の一例として、ユーザーIDおよびパスワードを1つの組とするログイン情報を挙げる。ログイン情報は、利用者ごとに割り当てられる。具体例を挙げると、まず、顧客ビルに設置されたエレベーターの保守や販売を行う会社が、当該顧客ビルの管理会社等に対してビルの利用者の人数分のユーザーIDおよびパスワードを割り当て、さらに当該管理会社が、テナントやオフィスの利用者個人に対してユーザーIDおよびパスワードを割り当てる。なお、パスワードについては、あらかじめ決められた規則(文字種、文字数など)を満たすように利用者自身(個人)が決めてもよい。
【0026】
混雑通知設定情報DB31は、利用者1が利用者端末2を操作して選択した、エレベーターの混雑通知に関する設定情報である混雑通知設定情報を保存する。混雑通知設定情報には、利用者がエレベーターの混雑通知を受ける時間帯に関する情報が含まれる。
【0027】
ビル・エレベーター情報記憶部13は、ビルマスタ情報DB14と、エレベーター情報DB15と、を備えている。ビルマスタ情報DB14は、ビルマスタ情報を記憶する。ビルマスタ情報は、エレベーターが設置されるビルを特定するための情報と、ビル内の階床を特定するため情報とを含む。エレベーター情報DB15は、エレベーター情報を記憶する。エレベーター情報は、群管理エレベーター20によって管理されるエレベーターの機器情報、かごの積載荷重、エレベーターが設置されるビル、エレベーターの設置台数、サービス可能な階床、かごの乗車定員、群管理エレベーター20の管理単位であるバンク情報、接続情報等の情報を含む。
【0028】
通信装置16は、高速通信網を通じて群管理エレベーター20に接続可能な装置である。通信装置16は、群管理エレベーター20から送信される、所定の通信方式に従ったフォーマットのエレベーター運行データを、運行データ収集装置17で取り込み可能な形式に変換し、変換後のエレベーター運行データを運行データ収集装置17に出力する。
【0029】
運行データ収集装置17は、顧客ビル内に設置された群管理エレベーター20から高速通信網を通じてエレベーター運行データを定期的に収集する。また、運行データ収集装置17は、収集したエレベーター運行データをエレベーター運行情報記憶部18に出力する。
【0030】
エレベーター運行情報記憶部18は、エレベーター運行情報DB19を備えている。エレベーター運行情報記憶部18は、運行データ収集装置17から出力されるエレベーター運行データを、エレベーターの運行情報としてエレベーター運行情報DB19に記憶する。これにより、エレベーター運行情報DB19には、運行データ収集装置17から出力されるエレベーター運行データが、エレベーター運行情報として蓄積される。エレベーター運行情報は、エレベーターの利用状況を含む情報である。エレベーターの利用状況は、エレベーターの乗車率とエレベーターの待ち時間のうち少なくとも一方のパラメーターを含む。
【0031】
<群管理エレベーター>
群管理エレベーター20は、顧客が管理するビル(以下、「顧客ビル」ともいう。)に設置された複数台のエレベーターの運行を群管理する。また、群管理エレベーター20は、顧客ビルに設置された各々のエレベーターの運行データをエレベーター運行管理サーバ3に送信する。
【0032】
図2は、群管理エレベーター20の内部構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、群管理エレベーター20は、顧客ビルに設置される。群管理エレベーター20は、通信装置21と、群管理制御装置22と、エレベーター制御装置23a~23nと、エレベーター24a~24nと、運行データ記憶部25と、を備えている。
【0033】
通信装置21は、高速通信網に接続し、エレベーター運行管理サーバ3との間で各種のデータを送受信する。通信装置21は、たとえば、エレベーター運行管理サーバ3から送信されるエレベーター運行データの取得要求を受信したり、高速通信網でエレベーター運行データを送信可能な形式に変換してエレベーター運行管理サーバ3にエレベーター運行データを送信したりする。
【0034】
群管理制御装置22は、エレベーター24a~24nの運行を制御するための指示をエレベーター制御装置23a~23nに出力する。エレベーター制御装置23a~23nは、群管理制御装置22から入力される指示に従って、エレベーター24a~24nの運行を制御する。制御の対象となるエレベーター24a~24nの運行には、かごの昇降移動、ドアの開閉、ランプの点灯などがある。また、群管理制御装置22は、エレベーター制御装置23a~23nからエレベーター24a~24nのエレベーター運行データを収集する。収集の対象となるエレベーター運行データには、かごの出発階、かごの出発時刻、かごの到着階、かごの到着時刻、ドアの開閉時刻、かごの乗車人数、かごの降車人数などがある。
【0035】
運行データ記憶部25は、群管理制御装置22が、エレベーター制御装置23a~23nおよびエレベーター24a~24nから収集したエレベーター運行データを、エレベーター運行データDB26に記憶する。運行データ記憶部25のエレベーター運行データDB26は、たとえば、SDカードなどのメモリカードを用いて構成される。以下の説明では、エレベーター24a~24nを区別しない場合、単に「エレベーター」と呼ぶ。
【0036】
ここで、群管理エレベーター20がエレベーター運行管理サーバ3にエレベーター運行データを送信する場合の処理の流れについて説明する。
まず、
図1に示すエレベーター運行管理サーバ3の運行データ収集装置17は、高速通信網に接続された通信装置16を通じて、
図2に示す群管理エレベーター20の通信装置21に定期的に接続する。運行データ収集装置17は、通信装置16が通信装置21に接続した後、運行データの収集を群管理制御装置22に依頼する。次に、群管理制御装置22は、運行データ記憶部25のエレベーター運行データDB26に記憶されているエレベーター運行データを読み出し、通信装置21に出力する。次に、通信装置21は、受信したエレベーター運行データを高速通信網に送信する。次に、通信装置16は、高速通信網を通じてエレベーター運行データを受信する。次に、運行データ収集装置15は、通信装置16が受信したエレベーター運行データを、エレベーター運行情報記憶部18のエレベーター運行情報DB19にエレベーター運行情報として保存する。このエレベーター運行情報には、上述したかごの出発階、かごの出発時刻、かごの到着階、かごの到着時刻、ドアの開閉時刻、かごの乗車人数、かごの降車人数などの情報が含まれる。また、エレベーター運行情報には、上述したエレベーターの利用状況が含まれる。エレベーターの利用状況は、エレベーター運行情報から直接読み出させるパラメーターであってもよいし、エレベーター運行情報から演算等によって導き出せるパラメーターであってもよい。
【0037】
<エレベーターシステムの処理>
次に、エレベーター運行管理サーバ3が提供するエレベーター利用サービスを、利用者端末2を操作する利用者1が利用する場合に、エレベーターシステム50で行われる処理について説明する。
【0038】
図3は、利用者がエレベーター利用サービスのシステムにログインするために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者1は、利用者端末2を操作してエレベーター運行管理サーバ3にアクセスする(ステップS101)。この場合、利用者端末2の操作の一例としては、アクセス先のURLのデータが埋め込まれたアイコンをタップするなどの操作などが考えられる。
【0039】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2からのアクセスに対して、画面生成部5がログイン画面を生成し、このログイン画面を利用者端末2に出力する(ステップS102)。
次に、利用者端末2は、画面生成部5から出力されたログイン画面を表示する(ステップS103)。
【0040】
図4は、利用者端末2に表示されるログイン画面の一例を示す図である。
図4に示すように、ログイン画面100は、ユーザーID入力欄101と、パスワード入力欄102と、ログインボタン103と、を有している。エレベーター利用サービスを受ける利用者1は、ユーザーID入力欄101にユーザーIDを、パスワード入力欄102にパスワードをそれぞれ入力した後、ログインボタン103を選択することになる。
【0041】
再び
図3に戻って説明すると、利用者端末2は、利用者1からユーザーIDとパスワードの入力を受け付ける(ステップS104)。
次に、利用者端末2は、ログインボタン103が選択されたかどうかを判断し(ステップS105)、ログインボタン103が選択されると、ログイン用のデータであるユーザーIDとパスワードをエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS106)。
【0042】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信されたログイン用のデータを利用者認証部7で受信する(ステップS107)。
次に、利用者認証部7は、利用者端末2から受信したログイン用のデータに一致する利用者情報が利用者情報DB12に保存されているかどうかを確認する(ステップS108)。
【0043】
次に、利用者認証部7は、ログイン用のデータに一致する利用者情報が利用者情報DB12に保存されていた場合は、利用者端末2に対してログイン成功を通知する(ステップS109)。次いで、画面生成部5は、サービスメニュー画面(後述)を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS110)。これに対し、利用者認証部7は、ログイン用のデータに一致する利用者情報が利用者情報DB12に保存されていない場合は、利用者端末2に対してログイン失敗を通知する(ステップS111)。次いで、画面生成部5は、ログインエラー画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS112)。
【0044】
次に、利用者端末2は、エレベーター運行管理サーバ3の利用者認証部7から通知されたログインの判定結果がログイン成功であるかどうかを確認する(ステップS113)。
次に、利用者端末2は、ログインの判定結果がログイン成功である場合はサービスメニュー画面を表示し(ステップS114)、ログイン失敗である場合はログインエラー画面を表示する(ステップS115)。
【0045】
以上の処理により、予め利用者情報DB12に利用者情報が保存(登録)されている利用者1だけを対象に、エレベーター利用サービスを提供することが可能となる。
【0046】
図5は、利用者端末2に表示されるサービスメニュー画面の一例を示す図である。
図5に示すように、サービスメニュー画面200は、行先階登録ボタン201と、かご内混雑状況ボタン202と、乗り場待ち時間状況ボタン203と、混雑許容値設定ボタン204と、混雑通知設定ボタン205と、ログアウトボタン206と、を有している。行先階登録ボタン201は、利用者1がエレベーターの行先階を登録するときに選択するボタンである。かご内混雑状況ボタン202は、利用者1がかご内の混雑状況を確認するときに選択するボタンである。乗り場待ち時間状況ボタン203は、利用者1が乗り場の待ち時間状況を確認するときに選択するボタンである。混雑許容値設定ボタン204は、利用者1がエレベーターの混雑状況に対する許容値を設定するときに選択するボタンである。混雑通知設定ボタン205は、利用者1がエレベーターの混雑通知を受ける時間帯などを設定するときに選択するボタンである。ログアウトボタン206は、利用者1がログアウトするときに選択するボタンである。
【0047】
図6は、利用者が行先階を登録するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者端末2において、利用者1はサービスメニュー画面200(
図5参照)の行先階登録ボタン201を選択する(ステップS200)。このとき、利用者端末2からはエレベーター運行管理サーバ3に向けて、利用者1が行先階登録ボタン201を選択した旨の通知と、利用者1が行先階登録ボタン201を選択した時間(時刻)とを含む情報が送られる。利用者1が行先階登録ボタン201を選択した時間は、利用者1によって特定された希望時間に相当する。一方、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、利用者端末2から送られた情報を受信するとともに、利用者端末2で行先階登録ボタン201が選択された旨の通知を受けて、行先階登録画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS201)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、サービスメニュー画面200から行先階登録画面(後述)に遷移する(ステップS202)。なお、利用者端末2において利用者1が何らかの操作(選択、入力等)を行うと、その都度、利用者端末2は利用者1の操作を受け付ける。たとえば、上記ステップS200において、利用者1が行先階登録ボタン201を選択すると、利用者端末2は、当該選択を受け付ける。したがって、ステップS200の処理を行う主体を利用者端末2に置き換えると、ステップS200において、利用者端末2は、利用者1による行先階登録ボタン201の選択を受け付けることになる。この点は、
図6および
図6以外の図面における他のステップにおいても同様である。
【0048】
図7は、利用者端末2に表示される行先階登録画面の一例を示す図である。
図7に示すように、行先階登録画面300は、エレベーター名プルダウン301、混雑状況表示欄302と、お薦め時間帯表示欄303と、出発階プルダウン304と、行先階プルダウン305と、登録ボタン306と、戻るボタン307と、を有している。エレベーター名プルダウン301は、利用者1が利用可能なエレベーター名をリストで表示し、そのリストの中から利用者1が利用を希望するエレベーター名を選択するためのプルダウンである。
【0049】
混雑状況表示欄302は、エレベーターの現在の混雑状況を表示する欄である。混雑状況表示欄302には、現在の混雑状況として、かご内平均乗車率と、乗り場平均待ち時間とが表示されている。現在の混雑状況は、利用者1によって特定された希望時間における利用状況に相当する。かご内平均乗車率、および、乗り場平均待ち時間は、いずれも、エレベーターの混雑状況を示す指標値に相当する。また、かご内平均乗車率、および、乗り場平均待ち時間は、いずれも混雑情報算出部6が過去のエレベーター運行情報を用いて算出する。なお、エレベーターの混雑状況を示す指標値である、かご内平均乗車率、および、乗り場平均待ち時間については、過去のエレベーター運行データを基に算出した統計量を用いて算出し、その算出結果を混雑状況表示欄302に表示してもよい。過去の運行データを基に算出した統計量とは、過去の一定期間(たとえば、過去一週間や過去一ヶ月間)のエレベーター運行データを用いて、時間帯別の平均を算出した混雑状況(平均乗車率、待ち時間)のデータを意味する。
【0050】
ここで、行先階登録画面300の表示態様のうち、混雑状況表示欄302の表示態様は、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値を反映した態様になっている。具体的には、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値の一例として、かご内平均乗車率の許容値は60%と設定され、乗り場平均待ち時間の許容値は40秒と設定された場合を想定している。そして、この想定の下で、混雑状況表示欄302の表示態様は、次のように変更されている。
【0051】
まず、かご内平均乗車率は、上りエレベーターが48%、下りエレベーターが78%と表示され、乗り場平均待ち時間は20秒と表示されている。このうち、下りエレベーターのかご内平均乗車率である78%は、許容値である60%を超えているため、太字で強調されている。一方、上りエレベーターのかご内平均乗車率である48%は、許容値である60%以内であり、乗り場平均待ち時間である20秒は、許容値である40秒以内であるため、どちらも太字で強調されていない。つまり、希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合に、強調表示されている。このように、エレベーターの混雑状況が許容値以内であるか否かによって行先階登録画面300の表示態様を変更することにより、利用者は、自身が設定した許容値以内の混雑状況であるエレベーターを利用可能であるかどうかを素早く見分けることができる。ちなみに、希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合とは、利用状況(乗車率、待ち時間等)が許容値を超える場合であり、希望時間における利用状況が許容値を満たす場合とは、利用状況が許容値以下の場合である。
【0052】
お薦め時間帯表示欄303は、エレベーターの混雑状況に関して、後述するエレベーター混雑許容値設定画面600(
図9参照)で利用者1が設定した許容値(未設定の場合はデフォルトの許容値)以内の条件でエレベーターを利用可能な時間帯のうち、これから訪れる直近の時間帯をお薦め時間帯として表示する欄である。お薦め時間帯は、利用者1が設定した許容値を満たす提案時間に相当する。お薦め時間帯表示欄303に表示される直近のお薦め時間帯の数字は、利用者が設定した許容値によって変わる可能性がある。つまり、お薦め時間帯表示欄303の表示態様も、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値に応じて変更される対象となり得る。
【0053】
出発階プルダウン304は、エレベーター名プルダウン301で利用者1がエレベーター名を選択したエレベーターの階床をリストで表示し、そのリストの中から利用者1が出発階を選択するためのプルダウンである。行先階プルダウン305は、エレベーター名プルダウン301で利用者1がエレベーター名を選択したエレベーターの階床をリストで表示し、そのリストの中から利用者1が行先階を選択するためのプルダウンである。登録ボタン306は、上述したエレベーター名プルダウン301、出発階プルダウン304、および、行先階プルダウン305を用いて利用者1が選択した、行先階に関する内容を登録するときに、利用者1が選択するボタンである。行先階に関する内容には、利用者1が選択したエレベーター名、出発階、行先階の情報が含まれる。戻るボタン307は、行先階の登録をせずに
図5のサービスメニュー画面200に戻るときに、利用者1が選択するボタンである。
【0054】
再び
図6に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は、エレベーター名プルダウン301により、利用するエレベーター名を選択する(ステップS203)。
次に、利用者1は、出発階プルダウン304により出発階を選択した後(ステップS204)、行先階プルダウン305により行先階を選択する(ステップS205)。出発階と行先階を選択する順序は逆でもよい。
【0055】
次に、利用者1は、登録ボタン306を選択する(ステップS206)。
次に、利用者端末2は、行先階登録情報をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS207)。利用者端末2からエレベーター運行管理サーバ3に送信される行先階登録情報には、上述したエレベーター名プルダウン301、出発階プルダウン304、および、行先階プルダウン305を用いて利用者1が選択した、行先階に関する内容が含まれる。
【0056】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信された行先階登録情報を受信する(ステップS208)。エレベーター運行管理サーバ3において、行先階登録情報は、サーバ処理部4の利用者認証部7で受信され、運転指令部8に与えられる。
【0057】
次に、運転指令部8は、利用者認証部7から受け取った行先階登録情報にしたがってかご呼びの指令コマンドを群管理エレベーター20に送信する(ステップS209)。かご呼びの指令コマンドは、運転指令部8から通信装置16を経由して群管理エレベーター20に送られる。
【0058】
次に、群管理エレベーター20は、エレベーター運行管理サーバ3から送信されたかご呼びの指令コマンドを受信する(ステップS210)。
次に、群管理エレベーター20は、受信したかご呼びの指令コマンドに基づいてかご呼びを実行する(ステップS211)。
【0059】
次に、群管理エレベーター20は、かご呼びを行ったエレベーターのかごが出発階に到着したか否かを判断し(ステップS212)、出発階にかごが到着し、ドアの開閉により利用者1がかごに乗車したら、行先階を登録する(ステップS213)。
【0060】
以上の処理により、利用者1は、エレベーターの乗り場に設置されたかご呼びボタンや、かご内に設置された行先ボタンなどを操作しなくても、
図7の行先階登録画面300で選択した出発階にエレベーターのかごを呼び、出発階から行先階までエレベーターを使って移動することができる。また、エレベーターの混雑状況に関して利用者が設定した許容値に応じて行先階登録画面300の表示態様を変更することにより、行先階を登録する際に利用者が知りたいエレベーターの混雑状況を含む画面を利用者端末2にタイムリーに表示することができる。また、オフィスビルなどに勤務する利用者1は、かご内が混雑する時間帯や乗り場の待ち時間が長い時間帯を避けて、エレベーターを利用することができる。
【0061】
図8は、利用者がエレベーターの混雑に対する許容値を設定するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者端末2において、利用者1はサービスメニュー画面200(
図5参照)の混雑許容値設定ボタン204を選択する(ステップS300)。そうすると、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、利用者端末2で混雑許容値設定ボタン204が選択された旨の通知を受けて、エレベーター混雑許容値設定画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS301)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、サービスメニュー画面200からエレベーター混雑許容値設定画面(後述)に遷移する(ステップS302)。
【0062】
図9は、利用者端末2に表示されるエレベーター混雑許容値設定画面の一例を示す図である。
図9に示すように、エレベーター混雑許容値設定画面600は、利用者が事前に選択したエレベーター名を表示する欄の他に、許容値種別プルダウン601と、出発階プルダウン602と、許容値設定レベル表示欄603と、許容値選択ラジオボタン604と、登録ボタン605と、戻るボタン606と、を有している。
【0063】
許容値種別プルダウン601は、利用者1が許容値の種別を選択するためのプルダウンである。許容値の種別には、かご内平均乗車率と、乗り場平均待ち時間とがある。
図9では、かご内平均乗車率が選択された状況を示している。出発階プルダウン602は、利用者1が頻繁に利用する階床などを出発階として選択するためのプルダウンである。たとえば利用者1の勤務先であるオフィスが7階にあれば、利用者1は7階を出発階として選択する。画面生成部5は、出発階プルダウン602で利用者1が選択した階床を、
図11に示す出発階プルダウン401や
図14に示す出発階プルダウン501のデフォルト(階床の初期表示値)として用いる。
【0064】
許容値設定レベル表示欄603は、許容値の設定レベルを数字で表示する欄である。
図9の例では、かご内平均乗車率が20%、かご内の最大乗車人数の目安が2人のときの、許容値の設定レベルが「1」となっている。そして、許容値の設定レベルが上がるにつれて、かご内平均乗車率およびかご内の最大乗車人数の目安の各値が段階的に増加している。このようにエレベーター混雑許容値設定画面600は、利用者1が択一的に選択可能な複数のかご内平均乗車率(選択候補)のほかに、各々のかご内平均乗車率に対応する最大乗車人数の目安を表示する画面になっている。これにより、利用者1は、平均乗車率の情報だけでは把握しにくいエレベーターの混雑状況を、最大乗車人数の目安を参照することで、より正確に把握することができる。したがって、利用者1が許容値として選択したかご内平均乗車率と、許容値と同じかご内乗車率のエレベーターに乗車したときの利用者1の感覚とのミスマッチを小さく抑えることができる。
【0065】
許容値選択ラジオボタン604は、エレベーターの混雑状況に関して利用者1が自身の感覚を考慮して許容する許容値を選択するためのボタンである。
図9では、かご内平均乗車率に関して許容値の設定レベルが「5」に相当する許容値、すなわちかご内平均乗車率=60%が、許容値選択ラジオボタン604で選択されている状況を示している。登録ボタン605は、許容値種別プルダウン601および許容値選択ラジオボタン604によって利用者個人が選択した許容値をエレベーター運行管理サーバ3側に登録するときに利用者1が選択するボタンである。戻るボタン606は、許容値の設定をせずに
図5のサービスメニュー画面200に戻るときに利用者1が選択するボタンである。
【0066】
再び
図8に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は、許容値種別プルダウン601により許容値の種別を選択する(ステップS303)。
次に、利用者1は、出発階プルダウン602により出発階を選択する(ステップS304)。
次に、利用者1は、許容値選択ラジオボタン604により許容値を選択する(S305)。
出発階と許容値を選択する順序は逆でもよい。
【0067】
次に、利用者1は、登録ボタン605を選択する(ステップS306)。
次に、利用者端末2は、利用者1が選択した許容値に関する設定情報(以下、「許容値設定情報」ともいう。)をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS307)。利用者端末2からエレベーター運行管理サーバ3に送信される許容値設定情報には、上述した許容値種別プルダウン601、出発階プルダウン602、および、許容値選択ラジオボタン604を用いて利用者1が選択した、許容値の設定に関する内容が含まれる。
【0068】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信された許容値設定情報を受信する(ステップS308)。エレベーター運行管理サーバ3において、許容値設定情報は、サーバ処理部4の画面生成部5で受信され、許容値設定情報DB10に転送される。
【0069】
次に、許容値設定情報DB10は、画面生成部5から転送された許容値設定情報を保管する(ステップS309)。この場合、許容値設定情報DB10は、利用者個人の許容値を利用者端末2から受け取って設定する許容値設定部として機能する。
【0070】
以上の処理により、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値が許容値設定情報DB10に設定登録される。こうして設定された許容値は、エレベーター運行管理サーバ3が提供するエレベーター利用サービスを利用者1が利用する場合に、画面生成部5が生成する各種の画面の表示態様に反映される。つまり、画面生成部5は、許容値設定情報DB10に設定された許容値に応じて、画面の表示態様を変更する。また、画面生成部5は、許容値設定情報DB10に設定された許容値と混雑情報算出部6によって算出された指標値との比較結果に基づいて、画面の表示態様を変更する。
【0071】
なお、
図9のエレベーター混雑許容値設定画面600に関し、許容値の種別として、乗り場平均待ち時間が選択された場合は、たとえば図示はしないが、乗り場平均待ち時間の選択候補を10秒間隔で、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒、…と複数表示し、これらの選択候補の中から利用者1がラジオボタンなどでいずれか1つを許容値として選択可能な画面構成を採用すればよい。
【0072】
また、エレベーターの混雑状況に関して利用者個人が設定する許容値の種別は、上述したかご内平均乗車率および乗り場平均待ち時間に限らず、たとえば、単位時間あたりのかご内最大乗車率、あるいは、長待ち確率など、エレベーターの混雑状況によって数値が変わる種別であれば、どのような種別であってもよい。長待ち確率とは、利用者が所定時間以上長く待たされた乗り場からのかご呼びが、全ホールかご呼び数の何%であるかを示す値である。これにより、各種の混雑指標に対する許容値の設定が可能となり、利用者の要望に応じたエレベーター乗車時間帯の把握が可能となる。
【0073】
以降の説明では、利用者端末2に表示されるエレベーター混雑許容値設定画面600を利用者1が操作することにより、かご内平均乗車率の許容値が60%、乗り場平均待ち時間の許容値が40秒に設定されたものとする。
【0074】
図10は、利用者が普段利用しているエレベーターのかご内の混雑状況と利用者が事前に設定登録した許容値を満たす時間帯とを把握するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。利用者が事前に設定登録した許容値を満たす時間帯とは、エレベーターの混雑状況を示す指標値が、上記
図8に示す処理によって利用者が設定した許容値以内の条件を満たすエレベーターの利用時間帯を意味する。
【0075】
まず、利用者端末2において、利用者1はサービスメニュー画面200(
図5参照)のかご内混雑状況ボタン202を選択する(ステップS400)。このとき、利用者端末2からはエレベーター運行管理サーバ3に向けて、利用者1がかご内混雑状況ボタン202を選択した旨の通知と、利用者1がかご内混雑状況ボタン202を選択した時間(時刻)とを含む情報が送られる。利用者1がかご内混雑状況ボタン202を選択した時間は、利用者1によって特定された希望時間に相当する。一方、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、利用者端末2から送られた情報を受信するとともに、利用者端末2でかご内混雑状況ボタン202が選択された旨の通知を受けて、かご内混雑状況予測画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS401)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、サービスメニュー画面200からかご内混雑状況予測画面(後述)に遷移する(ステップS402)。
【0076】
図11は、利用者端末2に表示されるかご内混雑状況予測画面の一例を示す図である。
図11に示すように、かご内混雑状況予測画面400は、利用者が事前に選択したエレベーター名を表示する欄の他に、出発階プルダウン401と、上り/下り表示選択ボタン402と、かご内混雑状況予測一覧403と、を有している。かご内混雑状況予測画面400は、時間帯別にエレベーターの混雑状況を表す画面に相当する。
【0077】
出発階プルダウン401は、利用者1が出発階を選択するためのプルダウンである。出発階プルダウン401には、上述したエレベーター混雑許容値設定画面600の出発階プルダウン602で利用者1が選択した階床がデフォルトで表示される。出発階プルダウン401にデフォルトで表示される階床は、利用者1が頻繁に利用する階床である。このため、出発階プルダウン401で選択すべき階が、たとえば利用者1が勤務している階である場合は、その階がデフォルトで表示される。したがって、出発階プルダウン401で利用者1が出発階を選択する手間を省くことができる。
【0078】
上り/下り表示選択ボタン402は、出発階からのエレベーターの進行方向、すなわち上りおよび下りのいずれか一方を利用者1が選択するためのボタンである。かご内混雑状況予測一覧403は、出発階プルダウン401および上り/下り表示選択ボタン402により、利用者1が選択した出発階およびエレベーターの進行方向に関するかご内混雑状況の予測を一覧で表示する。かご内混雑状況予測一覧403の直上には、エレベーターの乗車定員の人数(図例では12名)と、現在設定されているかご内平均乗車率の許容値(図例では60%)が表示されている。
【0079】
かご内混雑状況予測一覧403は、かご内混雑状況の予測結果を表すもので、時間帯、かご内乗車人数の目安、および、かご内平均乗車率の各項目に分かれている。時間帯は、利用者1によって特定された希望時間以降の時間帯であって、12:00-12:05、12:05-12:10、12:10-12:15、…といった具合に、5分ごとに分かれている。そして、各々の時間帯が行を変えて表示されている。時間帯別に分かれた行は、表示フィールドに相当する。ただし、表示フィールドは、行に限らず、表示する項目ごとに分かれた表示欄または表示領域などであってもよい。一方、かご内平均乗車率は、時間帯ごとに混雑情報算出部6によって算出され、この算出結果が、対応する時間帯の右側に、かご内乗車人数の目安と併せて表示されている。
【0080】
かご内乗車人数の目安は、乗車定員とかご内平均乗車率とに基づいて、混雑情報算出部6が算出する。たとえば、12:05-12:10の時間帯を例に挙げて説明すると、この時間帯における定員は12名で、かご内平均乗車率は67%である。この場合、混雑情報算出部6は、M=12×0.67の算出値(M=8.04)を小数点以下四捨五入することより、かご内乗車人数の目安を8人と算出する。
【0081】
図12は、かご内平均乗車率テーブルの一例を示す図である。
かご内平均乗車率テーブル960は、情報検索部9がエレベーター運行情報DB19から抽出したエレベーター運行情報を用いて、混雑情報算出部6が算出したかご内平均乗車率を、時間帯別および階床別にテーブル形式で表示したものである。かご内平均乗車率テーブル960を作成するにあたって、混雑情報算出部6は、エレベーター運行情報DB19に保存されているエレベーター運行情報のうち、過去の一定期間のエレベーター運行情報を基に、エレベーターが出発階床を出発してから当該エレベーターの進行方向が反転するまでの間のかご内平均乗車率を、階床ごと、および、時間帯ごとに算出する。そして、算出値が最大となる階床のかご内平均乗車率を時間帯ごとに表示する。これにより、
図12に示すかご内平均乗車率テーブル960の場合、符号961で示す12:05-12:10の時間帯では、10階から6階までの各階床のかご内平均乗車率の値は、いずれも許容値以内となっており、5階から2階までの各階床のかご平均乗車率の値はいずれも許容値を超えた値、すなわち67%となっている。これに対し、符号962で示す12:10-12:15の時間帯では、すべての階床のかご内平均乗車率の値が許容値以内となっている。
【0082】
混雑情報算出部6がかご内平均乗車率を算出する場合に算出対象とする期間等の条件は、あらかじめ決めておいてもよいが、エレベーター利用サービスの利便性を高めるうえでは、利用者1が利用者端末2を操作して変更できるようにするとよい。たとえば、算出対象とする期間については、現在から遡って過去一週間、過去一ヶ月間、過去半年間、過去一年間などを利用者1が選択できるようにしてもよい。また、算出対象とする期間と合わせて、または、算出対象とする期間とは別に、算出対象とする日にち、および、時間帯のうち少なくとも一方を利用者1が選択できるようにしてもよい。算出対象とする日にちの選択肢としては、たとえば、平日、休日、祭日、曜日などを挙げることができる。また、利用者1が選択した日にちや時間帯を算出対象から除外できるようにしてもよい。
【0083】
このように、利用者1が利用者端末2を操作して、算出対象とする期間等の条件を選択(指定)した場合、あるいは、かご内平均乗車率の算出対象となる期間等の条件があらかじめ決まっている場合、情報検索部9は、当該条件を満たすエレベーター運行情報をエレベーター運行情報DB19から抽出する。また、混雑情報算出部6は、情報検索部9がエレベーター運行情報DB19から抽出した所定期間のエレベーター運行情報を用いてかご内平均乗車率を算出するとともに、その算出値を許容値(本形態例では60%)と比較し、この比較結果を画面生成部5に通知する。
【0084】
画面生成部5は、混雑情報算出部6から通知される比較結果に基づいて、かご内混雑状況予測画面400(
図11参照)の表示態様を変更する。具体的には、画面生成部5は、混雑情報算出部6が算出したかご内平均乗車率が許容値以内である時間帯については、
図11に符号404で示すように、該当する時間帯の行の背景色を変更したり、該当する時間帯の行の表示文字を標準よりも太い文字に変更したりする。これにより、かご内混雑状況予測画面400を目視した利用者1は、エレベーターの混雑状況を示す指標値の1つであるかご内平均乗車率が許容値以内である時間帯を一目で把握することができる。
【0085】
なお、
図11においては、算出したかご内平均乗車率が許容値以内である時間帯の行を対象に、背景色と文字の太さの両方を変更しているが、どちらか一方のみを変更してもよい。また、文字の強調度合いに関しては、文字の太さに限らず、文字の色、フォント、サイズなどを変更してもよい。また、算出したかご内平均乗車率が許容値を超える時間帯の行のみを対象に、背景色や文字の太さなどを変更してもよい。つまり、画面生成部5は、かご内平均乗車率が許容値以内である時間帯の行と許容値を超える時間帯の行とを、利用者1が容易に見分けることができるように、かご内混雑状況予測画面400の表示態様を変更すればよい。
【0086】
再び
図10に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は、出発階プルダウン401により出発階を選択する(ステップS403)。
次に、利用者1は、上り/下り表示選択ボタン402によりエレベーターの進行方向を選択する(ステップS404)。
出発階とエレベーターの進行方向を選択する順序は逆でもよい。
【0087】
次に、利用者端末2は、上記ステップS403およびS404で利用者1が選択した内容(出発階、および、エレベーターの進行方向)を含む検索条件をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS405)。検索条件には、上述のように利用者1が選択した期間、日にち、時間帯などを含めてもよい。
【0088】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信された検索条件を受信する(ステップS406)。エレベーター運行管理サーバ3において、検索条件は画面生成部5で受信され、情報検索部9に転送される。
【0089】
次に、情報検索部9は、画面生成部5から転送された検索条件に従ってエレベーター運行情報を検索する(ステップS407)。情報検索部9が検索するエレベーター運行情報は、エレベーター運行情報記憶部18のエレベーター運行情報DB19に保存されている。
【0090】
次に、情報検索部9は、かご内混雑状況の予測に必要な情報をエレベーター運行情報DB19から抽出する(ステップS408)。情報検索部9が抽出した情報は、画面生成部5を経由して混雑情報算出部6に与えられる。かご内混雑状況の予測に必要な情報とは、検索条件で指定された期間等の条件を満たすエレベーター運行情報であって、かつ、予測すべきかご内混雑状況を算出するために必要なエレベーター運行情報である。この場合、予測すべきかご内混雑状況とは、かご内平均乗車率である。
【0091】
次に、混雑情報算出部6は、上述のように情報検索部9が抽出した情報を用いて、かご内混雑状況の予測データを算出する(ステップS409)。この場合、混雑情報算出部6が算出するかご内混雑状況の予測データは、上記
図12のかご内平均乗車率テーブル960に示すように、時間帯別および階床別のかご内平均乗車率を示すデータである。混雑情報算出部6が算出したかご内混雑状況の予測データは、画面生成部5に与えられる。
【0092】
次に、画面生成部5は、混雑情報算出部6から与えられたかご内混雑状況の予測データを用いてかご内混雑状況予測一覧403(
図11参照)の画面を生成し、この画面を利用者端末2に出力する(ステップS410)。
【0093】
次に、利用者端末2は、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5から出力されたかご内混雑状況予測一覧403の画面を取得する(ステップS411)。
次に、利用者端末2は、取得したかご内混雑状況予測一覧403の画面を、かご内混雑状況予測画面400の中に表示する(ステップS412)。かご内混雑状況予測一覧403の画面は、かご内混雑状況予測画面400の一部を構成する画面である。かご内混雑状況予測一覧403に表示される内容は、利用者1が出発階プルダウン401により出発階を変更すると、変更後の出発階に応じて切り替わる。また、かご内混雑状況予測一覧403に表示される内容は、利用者1が上り/下り表示選択ボタン402によりエレベーターの進行方向を変更すると、変更後のエレベーターの進行方向に応じて切り替わる。
【0094】
以上の処理により、利用者1は、利用者端末2に表示されるかご内混雑状況予測画面400のかご内混雑状況予測一覧403を見て、かご内の混雑状況と事前登録した許容値を満たす時間帯とを把握することができる。
【0095】
図13は、利用者が普段利用しているエレベーターの乗り場待ち時間と利用者が事前に設定登録した許容値を満たす時間帯とを把握するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
【0096】
まず、利用者端末2において、利用者1はサービスメニュー画面200(
図5参照)の乗り場待ち時間状況ボタン203を選択する(ステップS500)。このとき、利用者端末2からはエレベーター運行管理サーバ3に向けて、利用者1が乗り場待ち時間状況ボタン203を選択した旨の通知と、利用者1が乗り場待ち時間状況ボタン203を選択した時間(時刻)とを含む情報が送られる。利用者1が乗り場待ち時間状況ボタン203を選択した時間は、利用者1によって特定された希望時間に相当する。一方、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、利用者端末2から送られた情報を受信するとともに、利用者端末2で乗り場待ち時間状況ボタン203が選択された旨の通知を受けて、乗り場待ち時間予測画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS501)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、サービスメニュー画面200から乗り場待ち時間予測画面(後述)に遷移する(ステップS502)。
【0097】
図14は、利用者端末2に表示される乗り場待ち時間予測画面の一例を示す図である。
図14に示すように、乗り場待ち時間予測画面500は、利用者が事前に選択したエレベーター名を表示する欄の他に、出発階プルダウン501と、上り/下り表示選択ボタン502と、乗り場待ち時間予測一覧503と、を有している。乗り場待ち時間予測画面500は、時間帯別にエレベーターの混雑状況を表す画面に相当する。
【0098】
出発階プルダウン501は、利用者1が出発階を選択するためのプルダウンである。出発階プルダウン501には、上述したエレベーター混雑許容値設定画面600の出発階プルダウン602で利用者1が選択した階床がデフォルトで表示される。
【0099】
上り/下り表示選択ボタン502は、出発階からのエレベーターの進行方向、すなわち上りおよび下りのいずれか一方を利用者1が選択するためのボタンである。乗り場待ち時間予測一覧503は、出発階プルダウン501および上り/下り表示選択ボタン502により、利用者1が選択した出発階およびエレベーターの進行方向に関する乗り場待ち時間の予測を一覧で表示する。乗り場待ち時間予測一覧503の直上には、現在設定されている乗り場平均待ち時間の許容値(図例では40秒)が表示されている。
【0100】
乗り場待ち時間予測一覧503は、乗り場待ち時間の予測結果を表すもので、時間帯、乗り場待ち時間の時間帯推移、および、乗り場平均待ち時間の各項目に分かれている。時間帯は、利用者1によって特定された希望時間以降の時間帯である。時間帯の表示形式については、前述したとおりである。乗り場平均待ち時間は、たとえば5分ごとに、乗り場待ち時間の予測値として算出される。また、乗り場平均待ち時間は、時間帯ごとにエレベーター運行情報を用いて混雑情報算出部6によって算出され、この算出結果が、対応する時間帯の右側に、乗り場待ち時間の時間帯推移と併せて表示されている。乗り場待ち時間の時間帯推移は、混雑情報算出部6によって算出された乗り場平均待ち時間を時間帯別に棒グラフ形式で表している。これにより、利用者1は、たとえば出勤時間帯において、乗り場待ち時間の時間帯推移における棒の長さから、乗り場平均待ち時間の長短を視覚的に把握することができる。
【0101】
混雑情報算出部6が乗り場平均待ち時間を算出する場合に算出対象とする期間等の条件については、上述したかご内平均乗車率を算出する場合と同様に、あらかじめ決めておいてもよいし、利用者1が利用者端末2を操作して変更できるようにしてもよい。
【0102】
利用者1が利用者端末2を操作して、算出対象とする期間等の条件を選択(指定)した場合、あるいは、乗り場平均待ち時間の算出対象となる期間等の条件があらかじめ決まっている場合、情報検索部9は、当該条件を満たすエレベーター運行情報をエレベーター運行情報DB19から抽出する。また、混雑情報算出部6は、情報検索部9がエレベーター運行情報DB19から抽出した所定期間のエレベーター運行情報を用いて乗り場平均待ち時間を算出するとともに、その算出値を許容値(本形態例では40秒)と比較し、この比較結果を画面生成部5に通知する。
【0103】
画面生成部5は、混雑情報算出部6から通知される比較結果に基づいて、乗り場待ち時間予測画面500(
図14参照)の表示態様を変更する。具体的には、画面生成部5は、混雑情報算出部6が算出した乗り場平均待ち時間が許容値以内の時間帯については、
図14に符号504で示すように、該当する時間帯の行の背景色を変更したり、該当する時間帯の行の表示文字を標準よりも太い文字に変更したりする。これにより、乗り場待ち時間予測画面500を目視した利用者1は、エレベーターの混雑状況を示す指標値の1つである乗り場平均待ち時間が許容値以内である時間帯を一目で把握することができる。
【0104】
なお、
図14においては、算出した乗り場平均待ち時間が許容値以内の時間帯の行を対象に、背景色と文字の太さの両方を変更しているが、どちらか一方のみを変更してもよい。また、文字に関しては、文字の色、フォント、サイズなどを変更してもよい。また、算出した乗り場平均待ち時間が許容値を超える時間帯の行のみを対象に、背景色や文字の太さなどを変更してもよい。つまり、画面生成部5は、乗り場平均待ち時間が許容値以内である時間帯の行と許容値を超える時間帯の行とを、利用者1が容易に見分けることができるように、乗り場待ち時間予測画面500の表示態様を変更すればよい。
【0105】
再び
図13に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は、出発階プルダウン501により出発階を選択する(ステップS503)。
次に、利用者1は、上り/下り表示選択ボタン502によりエレベーターの進行方向を選択する(ステップS504)。
出発階とエレベーターの進行方向を選択する順序は逆でもよい。
次に、利用者端末2は、上記ステップS503およびS504で利用者1が選択した内容(出発階、および、エレベーターの進行方向)を含む検索条件をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS505)。検索条件には、利用者1が選択した期間、日にち、時間帯などを含めてもよい。
【0106】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信された検索条件を受信する(ステップS506)。エレベーター運行管理サーバ3において、検索条件は画面生成部5で受信され、情報検索部9に転送される。
【0107】
次に、情報検索部9は、画面生成部5から転送された検索条件に従ってエレベーター運行情報を検索する(ステップS507)。情報検索部9が検索するエレベーター運行情報は、エレベーター運行情報記憶部18のエレベーター運行情報DB19に保存されている。
【0108】
次に、情報検索部9は、乗り場待ち時間の予測に必要な情報をエレベーター運行情報DB19から抽出する(ステップS508)。情報検索部9が抽出した情報は、画面生成部5を経由して混雑情報算出部6に与えられる。乗り場待ち時間の予測に必要な情報とは、検索条件で指定された期間等の条件を満たすエレベーター運行情報であって、かつ、予測すべき乗り場待ち時間を算出するために必要なエレベーター運行情報である。この場合、予測すべき乗り場待ち時間とは、乗り場平均待ち時間である。
【0109】
次に、混雑情報算出部6は、上述のように情報検索部9が抽出した情報を用いて、乗り場待ち時間の予測データを算出する(ステップS509)。この場合、混雑情報算出部6が算出する乗り場待ち時間の予測データは、時間帯別および階床別の乗り場平均待ち時間を示すデータである。混雑情報算出部6が算出した乗り場待ち時間の予測データは、画面生成部5に与えられる。
【0110】
次に、画面生成部5は、混雑情報算出部6から与えられた乗り場待ち時間の予測データを用いて乗り場待ち時間予測一覧503(
図14参照)の画面を生成し、この画面を利用者端末2に出力する(ステップS510)。
【0111】
次に、利用者端末2は、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5から出力された乗り場待ち時間予測一覧503の画面を取得する(ステップS511)。
次に、利用者端末2は、取得した乗り場待ち時間予測一覧503の画面を、乗り場待ち時間予測画面500の中に表示する(ステップS512)。乗り場待ち時間予測一覧503の画面は、乗り場待ち時間予測画面500の一部を構成する画面である。乗り場待ち時間予測一覧503に表示される内容は、利用者1が出発階プルダウン501により出発階を変更すると、変更後の出発階に応じて切り替わる。また、乗り場待ち時間予測一覧503に表示される内容は、利用者1が上り/下り表示選択ボタン502によりエレベーターの進行方向を変更すると、変更後のエレベーターの進行方向に応じて切り替わる。
【0112】
以上の処理により、利用者1は、利用者端末2に表示される乗り場待ち時間予測画面500の乗り場待ち時間予測一覧503を見て、エレベーターの乗り場待ち時間の状況と事前登録した許容値を満たす時間帯とを把握することができる。
【0113】
図15は、利用者1がエレベーター混雑許容値設定画面600(
図9参照)で許容値を設定し、かつ、行先階登録画面300(
図7参照)で行先階を登録して、エレベーターのかご呼びを行い、エレベーターに乗車した場合に行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者1が行先階登録画面300で事前に登録した出発階から行先階までエレベーターに乗車し、その行先階にエレベーターのかごが到着すると、エレベーター運行管理サーバ3においては、画面生成部5が予め決められた仕様でアンケート画面(後述)を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS601)。これにより、利用者端末2は、アンケート画面を表示する(ステップS602)。利用者1を乗せたエレベーターのかごが行先階に到着したことは、運転指令部8から運行指令を受けた群管理エレベーター20が、運行指令に対する応答としてエレベーター運行管理サーバ3に通知すればよい。
【0114】
図16は、利用者端末2に表示されるアンケート画面の一例を示す図である。
図16に示すように、アンケート画面800には、アンケートへの協力をお願いするメッセージの他に、乗車時のかご内平均乗車率表示欄801と、乗車後アンケート選択欄802と、アンケート回答選択肢803と、登録ボタン804と、スキップボタン805と、が表示されている。
【0115】
乗車時のかご内平均乗車率表示欄801は、事前に行先階登録を済ませた利用者1が、当該行先階登録にしたがってかご呼びされたエレベーターに乗車した場合に、当該乗車したエレベーターのかご内平均乗車率(図例では58%)を表示する欄である。乗車後アンケート選択欄802は、今回乗車したエレベーターに関して、エレベーター乗車後に、かご内の混雑具合について利用者1がどのように感じたかを選択するための欄である。
【0116】
アンケート回答選択肢803は、乗車後アンケート選択欄802において、利用者1がアンケートに回答するための選択肢を表示する欄である。乗車後アンケート選択欄802は、選択欄と項目欄とに分かれている。項目欄には、アンケート回答の選択肢として、「混雑していた」、「やや混雑していた」、「どちらともいえない」、「やや空いていた」および「空いていた」の計5つの選択肢が表示されている。選択欄には、5つの選択肢に対応して5つのラジオボタンが設けられている。利用者1は、項目欄に表示された5つの選択肢の中から、いずれか1つをラジオボタンで選択可能となっている。
【0117】
登録ボタン804は、アンケート回答選択肢803で利用者1が選択した回答を登録するときに選択するボタンである。スキップボタン805は、利用者1がアンケートへの回答をスキップするときに選択するボタンである。
【0118】
再び
図15に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1はアンケート画面800のアンケート回答選択肢803に表示されている選択肢の中から、今回乗車したエレベーターに関して利用者自身が感じた混雑具合を、アンケートの回答として選択する(ステップS603)。
次に、利用者1は、登録ボタン804を選択する(ステップS604)。
次に、利用者端末2は、アンケート結果をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS605)。アンケート結果には、アンケート回答選択肢803で利用者1が選択(回答)した内容が含まれる。
【0119】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信されたアンケート結果を受信する(ステップS606)。エレベーター運行管理サーバ3において、アンケート結果は、サーバ処理部4の画面生成部5で受信され、アンケート情報DB11に転送される。
次に、アンケート情報DB11は、画面生成部5から転送されたアンケート結果をアンケート情報として保存する(ステップS607)。
【0120】
次に、画面生成部5は、アンケート結果に含まれる内容、すなわち利用者1の回答が「混雑していた」または「やや混雑していた」となっているかどうかを確認する(ステップS608)。そして、画面生成部5は、利用者1の回答が、混雑していた、または、やや混雑していた、となっている場合は、許容値補正画面(後述)を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS609)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、アンケート画面800から許容値補正画面に遷移する(ステップS610)。
なお、本実施形態においては、画面生成部5がアンケート画面を生成して出力することにより、利用者端末2にアンケート画面を表示する構成となっているが、これに限らず、画面生成部5は、アンケート画面の生成に必要な情報を作成して出力し、その情報を用いて利用者端末2がアンケート画面を生成して表示する構成としてもよい。すなわち、画面生成部5は、アンケート画面そのもの、あるいは、利用者端末2側でアンケート画面を生成するために必要な情報を、アンケートの情報として作成し出力するアンケート作成部としての機能を有する。
【0121】
図17は、利用者端末2に表示される許容値補正画面の一例を示す図である。
図17に示すように、許容値補正画面900は、エレベーターの混雑状況に対して利用者個人が設定した許容値を補正するための画面であり、許容値補正欄901を有している。許容値補正欄901には、今回乗車時のかご内平均乗車率を表示する欄と、現在設定されているかご内平均乗車率の許容値を表示する欄とが設けられている。許容値補正欄901においては、一例として、今回乗車時のかご内平均乗車率は58%と表示され、現在設定されているかご内平均乗車率の許容値は60%と表示されている。これら2つの数値を利用者1に提示することにより、利用者1は、今回乗車したエレベーターのかご内平均乗車率が許容値以内(数値の大小関係が逆転した場合は許容値超)であったことや、利用者1が感じたエレベーターの混雑具合と実際の乗車率との間に感覚的なずれがあったかどうかなどを確認することができる。
【0122】
また、許容値補正欄901には、上述した表示欄の他に、許容値補正データ設定欄902と、設定ボタン903と、取消ボタン904とが設けられている。許容値補正データ設定欄902は、現在設定されているかご内平均乗車率の許容値をどの程度補正するかを利用者1が設定するための欄である。許容値補正データ設定欄902は、現在設定されているかご内平均乗車率の許容値に対し、±10%の範囲で補正後の許容値(かご内平均乗車率)を選択可能になっている。設定ボタン903は、許容値補正データ設定欄902で利用者1が選択した許容値をかご内平均乗車率の許容値として設定し直すとき、つまり許容値を変更する場合に利用者1が選択するボタンである。取消ボタン904は、かご内平均乗車率の許容値を現在の設定値のままにする、つまり許容値を補正しない場合に利用者1が選択するボタンである。
【0123】
なお、許容値補正データ設定欄902は、上記の例に限らず、たとえば、補正後の許容値を数値入力によって受け付ける形式でもよい。また、許容値補正データ設定欄902は、上記
図9に示すエレベーター混雑許容値設定画面600で利用者1が設定可能な許容値よりも細かい数値刻みで、許容値の補正が可能な構成にするとよい。
【0124】
また、本実施形態においては、エレベーター乗車後のアンケートに対して「混雑していた」または「やや混雑していた」と回答した利用者1の利用者端末2のみを対象に、画面生成部5が生成した許容値補正画面900を表示する構成を採用しているが、これに限らず、行先階登録をしてエレベーターに乗車したすべての利用者1の利用者端末2を対象に許容値補正画面900を表示する構成を採用してもよい。
【0125】
再び
図15に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は、許容値補正画面900の許容値補正データ設定欄902で許容値補正データを選択する(ステップS611)。許容値補正データは、上述したとおり±10%の範囲で利用者1が選択した補正後の許容値を示すデータである。
【0126】
次に、利用者1は、設定ボタン903を選択する(ステップS612)。
次に、利用者端末2は、許容値補正データをエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS613)。このとき、エレベーター運行管理サーバ3に送信される許容値補正データは、許容値の変更要求に相当する。
【0127】
一方、エレベーター運行管理サーバ3において、画面生成部5は、上記ステップS609で許容値補正画面900を出力してから一定時間内に利用者端末2から許容値の変更要求(許容値補正データの送信)があったかどうかを確認する(ステップS614)。そして、画面生成部5は、一定時間内に許容値の変更要求がなければ、そのまま処理を終了する。また、画面生成部5は、一定時間内に許容値の変更要求があれば、当該変更要求である許容値補正データを受信するとともに、受信した許容値補正データを許容値設定情報DB10に転送する(ステップS615)。
【0128】
次に、許容値設定情報DB10は、画面生成部5から受け取った許容値補正データに基づいて、かご内平均乗車率の許容値を補正(変更)する(ステップS616)。これにより、かご内平均乗車率に関して、補正前の許容値が60%、許容値補正データが示す補正後の許容値が58%である場合は、許容値設定情報DB10に設定されるかご内平均乗車率の許容値は60%から58%へと更新(書き換え)される。
【0129】
以上の処理により、事前に行先階登録を済ませた利用者1がエレベーターに乗車した場合に、現在設定さているエレベーター混雑状況の許容値に対して利用者1がどのように感じたかをアンケート結果から把握することができる。また、利用者1が感じたエレベーターの混雑具合と現在設定されているエレベーター混雑状況の許容値との間にミスマッチが生じている場合は、エレベーターの混雑状況に対する利用者個人の許容値を、実際にエレベーターに乗車した利用者1の感覚に合わせて変更することができる。
なお、上記の例では、許容値設定部としての許容値設定情報DB10が、アンケートの結果に基づく利用者1からの補正指示(許容値の変更要求)に従って許容値を補正しているが、本発明はこれに限らず、許容値設定情報DB10は、アンケートの結果を基に許容値を補正してもよい。たとえば、混雑状況の評価をするアンケートの項目として、「大変混雑している」、「混雑している」、「想定通り」、「すいている」、「大変すいている」という5つの項目を用意し、利用者1がアンケートで回答した評価の結果に応じて許容値を補正してもよい。また、許容値設定情報DB10は、アンケートの結果を基に許容値を補正する場合に、たとえばアンケートの評価項目別に重み付け係数を設定しておき、利用者1がアンケートに回答した評価に対応付けられた重み係数を、現在設定されている許容値に掛け合わせることにより、補正後の許容値を決定してもよい。このように、アンケートの結果を基に許容値を補正することにより、利用者1の負担を減らすことができる。アンケートの結果を基に許容値を補正する場合の処理の流れは、
図15のフローチャートにおいて、利用者端末2側でアンケート結果の送信(ステップS605)を行った後、エレベーター運行管理サーバ3側でアンケート結果の受信(ステップS606)、および、アンケート結果に基づく許容値の補正(ステップS616)を順に行うことになる。
【0130】
図18は、利用者がエレベーターの混雑状況の通知を受ける時間帯等を設定するために行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者端末2において、利用者1はサービスメニュー画面200(
図5参照)の混雑通知設定ボタン205を選択する(ステップS700)。そうすると、エレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、利用者端末2で混雑通知設定ボタン205が選択された旨の通知を受けて、混雑通知設定画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS701)。これにより、利用者端末2に表示される画面は、サービスメニュー画面200から混雑通知設定画面(後述)に遷移する(ステップS702)。
【0131】
図19は、利用者端末2に表示される混雑通知設定画面の一例を示す図である。
図19に示すように、混雑通知設定画面700は、利用者1が行先階登録画面300(
図7参照)で選択したエレベーター名を表示する欄の他に、出発階プルダウン701と、かご内混雑通知可否選択スイッチ702と、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703と、混雑通知時間帯一覧704と、混雑通知時間帯選択欄705と、登録ボタン706と、戻るボタン707と、を有している。
【0132】
出発階プルダウン701は、エレベーター名が表示されたエレベーターの階床をリストで表示し、そのリストの中から利用者1が出発階を選択するためのプルダウンである。
かご内混雑通知可否選択スイッチ702は、エレベーターのかご内の混雑状況について通知を受けるか否か、つまり通知の有効(する)/無効(しない)を選択するためのボタンである。かご内混雑通知可否選択スイッチ702により通知が無効となっている場合は、かご内の混雑状況にかかわらず、通知が行われることはない。これに対し、かご内混雑通知可否選択スイッチ702により通知が有効となっている場合は、第1の条件を満たすことで、通知が行われる。第1の条件を満たす場合とは、出発階プルダウン701で利用者1が選択(指定)した階床から上昇または下降するエレベーターのうち、少なくともいずれかの進行方向のエレベーターのかご内平均乗車率が許容値を超える場合である。
【0133】
待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703は、エレベーター乗り場での待ち時間の状況について通知を受けるか否か、つまり通知の有効/無効を選択するためのボタンである。待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703により通知が無効となっている場合は、待ち時間の状況にかかわらず、通知が行われることはない。これに対し、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703により通知が有効となっている場合は、第2の条件を満たすことで、通知が行われる。第2の条件を満たす場合とは、上昇または下降するエレベーターのうち、少なくともいずれかのエレベーターのかごが、出発階プルダウン701で利用者1が選択(指定)した階床に到着するまでの乗り場平均待ち時間が許容値を超える場合である。
【0134】
混雑通知時間帯一覧704は、混雑通知を受けられる通知時間帯の一覧である。混雑通知時間帯選択欄705は、利用者1が混雑通知を受けたい時間帯を選択するための欄である。混雑通知時間帯選択欄705には、混雑通知時間帯一覧704に表示された通知時間帯ごとにチェックボックスが設けられている。利用者1は、混雑通知時間帯一覧704に表示された複数の通知時間帯の中から、混雑通知を受けたい通知時間帯を1つまたは複数選択することができる。
図19においては、一例として、12:00-12:30の時間帯と、12:30-13:00の時間帯とが選択された状況を示している。これにより、利用者1が選択した通知時間帯以外の通知時間帯では、仮に、かご内混雑通知可否選択スイッチ702および待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703でそれぞれ通知を有効に選択し、かつ、上記第1の条件または上記第2の条件を満たす場合でも、通知は行われない。よって、利用者1が通知不要と考える通知時間帯では、通知を行わないように設定することができる。
【0135】
なお、本実施形態において、利用者1は、混雑通知設定画面700を操作することにより、混雑通知を受ける通知時間帯を選択可能となっているが、これに加えて、たとえば、平日、休日、日付、曜日など、混雑通知を受ける日にちを選択可能となっていてもよい。
【0136】
登録ボタン706は、上述した出発階プルダウン701、かご内混雑通知可否選択スイッチ702、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703、および、混雑通知時間帯選択欄705を用いて利用者1が選択した、混雑通知に関する内容を登録するときに、利用者1が選択するボタンである。戻るボタン707は、混雑通知に関する内容を登録せずに
図5のサービスメニュー画面200に戻るときに、利用者1が選択するボタンである。
【0137】
再び
図18に戻って説明すると、利用者端末2において、利用者1は出発階プルダウン701を操作することにより出発階を選択する(ステップS703)。
次に、利用者1は、かご内混雑通知可否選択スイッチ702を操作することによりかご内混雑通知の可否を選択する(ステップS704)。
次に、利用者1は、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703を操作することにより待ち時間悪化通知の可否を選択する(ステップS705)。
次に、利用者1は、混雑通知時間帯選択欄705を操作することにより、混雑通知を受ける通知時間帯を選択する(ステップS706)。このとき、利用者1が選択した通知時間帯は、利用者1によって特定された希望時間に相当する。
なお、ステップS703~S706の選択順は任意に変更可能である。
【0138】
次に、利用者1は、登録ボタン706を選択する(ステップS707)。
次に、利用者端末2は、混雑通知設定情報をエレベーター運行管理サーバ3に送信する(ステップS708)。混雑通知設定情報には、上述した出発階プルダウン701、かご内混雑通知可否選択スイッチ702、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703、および、混雑通知時間帯選択欄705を用いて利用者1が選択した、混雑通知に関する内容が含まれる。
【0139】
次に、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2から送信された混雑通知設定情報を受信する(ステップS709)。エレベーター運行管理サーバ3において、混雑通知設定情報は、サーバ処理部4の画面生成部5で受信され、混雑通知設定情報DB31に与えられる。
【0140】
次に、混雑通知設定情報DB31は、画面生成部5から受け取った混雑通知設定情報を保存する(ステップS710)。このとき、混雑通知設定情報は、ログイン中(認証済み)の利用者1を識別可能な情報と対応付けて混雑通知設定情報DB31に保存される。ログイン中の利用者1を識別可能な情報としては、たとえばユーザーIDを利用することが可能である。
【0141】
以上の処理により、利用者1は、エレベーターの混雑状況について通知を受ける時間帯(希望時間)、あるいは、通知を受けなくてもよい時間帯を、利用者自身の希望に応じて自由に設定することができる。また、利用者1は、混雑通知の対象となる種別(かご内混雑通知、待ち時間悪化通知)を設定することもできる。
【0142】
図20および
図21は、エレベーターの混雑通知に関してエレベーター運行管理サーバ3で行われる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、運行データ収集装置17は、群管理エレベーター20のエレベーター運行データDB26に保存されているエレベーター運行データを定期的、たとえば約5分間隔に収集し、収集したエレベーター運行データをエレベーター運行情報としてエレベーター運行情報DB19に保存する(ステップS801)。
【0143】
次に、情報検索部9は、エレベーター運行情報DB19に保存されているエレベーター運行情報の中から、現在のかご内平均乗車率を算出するために必要なエレベーター運行情報を抽出し、抽出したエレベーター運行情報を、画面生成部5を経由して混雑情報算出部6に送る(ステップS802)。
【0144】
次に、混雑情報算出部6は、上述のように情報検索部9によって抽出されたエレベーター運行情報を基に、現在のかご内平均乗車率を算出する(ステップS803)。
【0145】
次に、混雑情報算出部6は、現在の時刻が上記混雑通知設定画面700(
図19参照)の混雑通知時間帯選択欄705で利用者1が選択した通知時間帯であるか否かを、混雑通知設定情報DB31に保存された混雑通知設定情報を参照して判断する(ステップS804)。そして、現在の時刻が通知時間帯ではないと混雑情報算出部6が判断した場合は、上記ステップS801の処理に戻る。
【0146】
一方、現在の時刻が通知時間帯であると混雑情報算出部6が判断した場合は、現在のかご内平均乗車率が許容値以内であるかどうかを混雑情報算出部6が判断する(ステップS805)。この判断ステップで適用される許容値は、かご内平均乗車率について利用者1が事前に設定した許容値である。現在のかご内平均乗車率が許容値以内である場合は、上記ステップS801に戻り、現在のかご内平均乗車率が許容値を超える場合はステップS806に進む。
【0147】
ステップS806において、混雑情報算出部6は、過去の一定期間のエレベーター運行情報を用いて階床別および時間帯別にかご内平均乗車率を算出した結果である、かご内平均乗車率テーブル960(
図12参照)において、現在の時刻を含む時間帯を、読み出し時間帯に設定する。読み出し時間帯とは、かご内平均乗車率テーブル960から全階床のかご内平均乗車率のデータを読み出すために設定される時間帯である。
【0148】
次に、混雑情報算出部6は、読み出し時間帯を次の時間帯に変更(シフト)して、かご内平均乗車率テーブル960から、該当する時間帯の全階床のかご内平均乗車率のデータを読み出す(ステップS807)。本実施形態においては、上記ステップS806で現在の時刻を含む時間帯が読み出し時間帯に設定されるが、次のステップS807では読み出し時間帯を次の時間帯に変更するため、現在の時刻を含む時間帯のかご内平均乗車率のデータがかご内平均乗車率テーブル960から読み出されることはない。また、ステップS806からS807へと進んだ場合は、現在の時間よりも後の時間帯であって、かつ、現在の時刻に最も近い時間帯のかご内平均乗車率を示すデータがかご内平均乗車率テーブル960から読み出されることになる。
【0149】
次に、混雑情報算出部6は、上記ステップS807で読み出した全階床のかご内平均乗車率のデータが、現在の時刻から一定内の時間帯のデータであるか否かを判断する(ステップS808)。そして、ステップS808の判断結果がYesの場合はステップS809に進み、Noの場合はステップS811に移行する。ステップS808の処理を設けることにより、利用者1に対してエレベーターの利用をお薦めするお薦め時間帯が存在するか否かを判別できるとともに、現在の時刻からかけ離れた時間帯がお薦め時間帯として設定されることを避けることができる。
【0150】
ステップS809において、混雑情報算出部6は、上記ステップS807で読み出した全階床のかご内平均乗車率の値をそれぞれ許容値と比較することにより、現在の読み出し時間帯のかご内平均乗車率が全階床で許容値以内であるか否かを判断する。そして、ステップS809の判断結果がYesの場合はステップS810に進み、Noの場合は上記ステップS807に戻る。
【0151】
ステップS810において、画面生成部5は、現在の読み出し時間帯を、お薦め時間帯欄(後述)に表示する時間帯に設定する。一方、ステップS811において、画面生成部5は、お薦め時間帯欄に表示する内容を「該当時間帯無し」などの文言に設定する。
【0152】
次に、画面生成部5は、上記ステップS810またはステップS811の設定にしたがって混雑通知画面を生成し、当該画面を利用者端末2に出力する(ステップS812)。これにより、利用者端末2には、
図22に示す混雑通知画面950が表示される。
【0153】
以上の処理により、利用者1が所有する利用者端末2には、
図19に示す混雑通知設定画面700で利用者1が選択した通知時間帯に限定して混雑通知画面950を表示させることができる。また、利用者1が選択した通知時間帯でも、現在のかご内平均乗車率が許容値以内である場合は、画面生成部5は混雑通知画面の生成および出力を行わない。つまり、許容値判定部としての混雑情報算出部6は、希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合にのみ、判定結果を出力してもよい。これにより、現在のかご内平均乗車率が許容値を超える場合に限り、利用者端末2に混雑通知画面950を表示させることができる。
【0154】
図22は、利用者端末2に表示される混雑通知画面の一例を示す図である。
図22に示すように、混雑通知画面950は、混雑通知メッセージ欄951と、対象エレベーター欄952と、かご内乗車率許容値欄953と、現在のかご内平均乗車率欄954と、直近のお薦め時間帯欄955と、を有している。
【0155】
混雑通知メッセージ欄951は、上述した混雑通知設定画面700で利用者1が選択した出発階から出発するエレベーターのかご内平均乗車率が許容値を超える旨のメッセージを、現在の時刻と併せて表示する欄である。
図22においては、一例として、12:00現在、下りのエレベーターのかご内平均乗車率が許容値を超えている旨のメッセージが、混雑通知メッセージ欄951に表示されている。
【0156】
対象エレベーター欄952は、混雑通知の対象になっているエレベーター名を表示する欄である。対象エレベーター欄952には、上述した行先階登録画面300(
図7参照)で利用者1が出発階プルダウン304を操作して選択したエレベーター名が表示される。
【0157】
かご内乗車率許容値欄953は、かご内平均乗車率に関して現在設定されている許容値を表示する欄である。かご内乗車率許容値欄953には、上述したエレベーター混雑許容値設定画面600(
図9参照)で利用者1が許容値選択ラジオボタン604により選択した許容値、あるいは、上述した許容値補正画面900(
図17参照)で利用者1が許容値補正データ設定欄902により選択した許容値が表示される。
【0158】
現在のかご内平均乗車率欄954は、現在のかご内平均乗車率を表示する欄である。現在のかご内平均乗車率欄954には、上記
図20に示すフローチャートのステップS803において混雑情報算出部6が算出した現在のかご内平均乗車率が表示される。
図22に例示する混雑通知画面950の現在のかご内平均乗車率欄954には、現在のかご内平均乗車率が許容値以下である「上りエレベーター」の乗車率と、現在のかご内平均乗車率が許容値を超える「下りエレベーター」の乗車率とが、異なる態様で表示されている。具体的には、現在のかご内平均乗車率が許容値を超える「下りエレベーター」の乗車率は、文字が標準よりも太く表示されており、現在のかご内平均乗車率が許容値以下である「上りエレベーター」の乗車率は、文字が標準の太さで表示されている。すなわち、「下りエレベーター」の乗車率は、「上りエレベーター」の乗車率に比べて、より強調された表示態様になっている。
【0159】
直近のお薦め時間帯欄955は、利用者1に対してエレベーターの利用をお薦めするお薦め時間帯のうち、直近のお薦め時間帯を表示する欄である。直近のお薦め時間帯欄955には、上記
図20に示すフローチャートのステップS810において画面生成部5がお薦め時間帯欄に表示する時間帯として設定した読み出し時間帯が表示される。
【0160】
このような混雑通知画面950を利用者端末2に表示することにより、利用者1は、かご内が混雑している時間帯を避けてエレベーターを利用することができる。
【0161】
なお、
図22に示す混雑通知画面950は、混雑通知設定画面700で利用者1が選択した通知時間帯において、かご内平均乗車率が許容値を超える場合に画面生成部5が生成する混雑通知画面であるが、これ以外にも図示はしないが、乗り場平均待ち時間が許容値を超える場合に画面生成部5が生成する混雑通知画面も存在する。つまり、混雑情報算出部6は、利用者1によって特定された希望時間における乗車率および待ち時間のうち少なくとも一方が許容値を満たさなかった場合に、許容値を満たす提案時間(お薦め時間帯)を出力する。
【0162】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態に係るエレベーター運行管理サーバ3の画面生成部5は、許容値設定情報DB10に設定された利用者個人の許容値に応じて、画面の表示態様を変更する。これにより、利用者端末2に表示される画面の内容を、エレベーターの混雑状況に対する個々の利用者の感覚にあわせて変えることができる。したがって、エレベーターの混雑状況に対して利用者個人の要望にきめ細かく応えることができる。たとえば、かご内平均乗車率の許容値を設定した利用者1に対しては、かご内平均乗車率が許容値以内の条件を満たす直近のお薦め時間帯を利用者端末2の画面に表示するなどして、利用者1が好みのエレベーターに乗車できるように構成することができる。また、利用者1が現在のエレベーター混雑状況を知りたい場合は、利用者1が設定した許容値以内の条件で乗車できる時間帯とそれ以外の時間帯とを区別できるように画面の表示態様を変更することにより、利用者1は、行先階登録画面300で登録ボタン306を選択する前、すなわちかご呼びの登録を確定する前に、利用者自身の感覚(好み)を満足するエレベーターの利用時間を一目で把握することができる。さらに、利用者端末2にエレベーター混雑状況を通知する場合に、エレベーター混雑状況を示す指標値が許容値を超える場合のみ、エレベーター混雑状況を通知することができる。これにより、エレベーターの混雑状況に関して利用者端末2における表示の煩雑さを解消することができる。
【0163】
また、本実施形態において、画面生成部5は、許容値設定情報DB10に設定された許容値と混雑情報算出部6によって算出された指標値との比較結果に基づいて、画面の表示態様を変更する。これにより、指標値が許容値以内である場合と、指標値が許容値を超える場合で、利用者端末2に表示される画面の内容を変えることができる。このため、利用者1は、たとえば、利用者自身が設定した許容値内の時間帯を把握した後、必要に応じて利用者が乗車する時間帯を変更してエレベーターに乗車することで、より快適な乗車体験を利用者に提供することができる。
【0164】
また、本実施形態において、許容値設定情報DB10に設定される許容値は、利用者端末2を利用者1が操作することによって選択または変更が可能な値である。これにより、利用者1は、エレベーターの混雑状況に対する自身の感覚に合わせて許容値を自由に設定することができる。また、利用者1は、許容値を一度設定した後でも、それが自身の感覚に合わないと判断した場合は、許容値を自由に変更することができる。
【0165】
また、本実施形態において、利用者端末2に表示するための画面には、かご内混雑状況予測画面400や乗り場待ち時間予測画面500などの混雑状況通知画面が含まれる。そして、画面生成部5は、指標値が許容値以下である時間帯の混雑状況については、たとえば背景色や文字の太さを標準仕様とは異なる第1の態様で表示し、指標値が許容値を超える時間帯の混雑状況については、たとえば背景色や文字の太さを標準仕様にあわせた第2の態様で表示するように、混雑状況通知画面を生成する。これにより、利用者1は、自身の感覚(好み)を満足する時間帯を一目で把握することができる。
【0166】
さらに、本実施形態において、上記第1の態様と第2の態様は、時間帯別に区分された表示フィールド(表示領域)の背景色、および、文字の強調度合いのうち、少なくとも1つが異なる。これにより、指標値が許容値以下である時間帯と、指標値が許容値を超える時間帯とを、視覚的に明確に区別して表示させることができる。
【0167】
また、本実施形態において、利用者端末2に表示するための画面には混雑通知設定画面700が含まれ、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2に表示された混雑通知設定画面700で利用者1が選択した通知時間帯を含む情報を利用者端末2から受け取って設定する混雑通知設定情報DB31をさらに備える。また、画面生成部5は、混雑通知設定情報DB31によって設定された通知時間帯に対応して混雑情報算出部6が過去のエレベーター運行情報を用いて算出した指標値が許容値を超えていた場合に、その旨のメッセージを記した混雑通知メッセージ欄951を含む混雑通知画面950を生成して出力する。これにより、利用者1は、自身が利用を希望する時間帯のエレベーターが混雑していることを確実に把握することができる。
【0168】
さらに、本実施形態において、画面生成部5は、混雑通知設定情報DB31によって設定された通知時間帯に対応して混雑情報算出部6が過去のエレベーター運行情報を用いて算出した指標値が許容値以下である場合に、混雑通知画面950の生成および出力を行わない。換言すると、混雑情報算出部6は、利用者1によって特定された希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合にのみ、その判定結果を示す混雑通知画面を画面生成部5に生成かつ出力させる。これにより、利用者1が希望する時間帯のエレベーターが混雑していない場合は、利用者端末2に不要な通知画面が表示されることを避けることができる。
【0169】
また、本実施形態において、画面生成部5が生成する混雑通知画面950には、上述したメッセージの他に、現在設定されている許容値、混雑通知設定情報DB31により設定された通知時間帯に対応して混雑情報算出部6が算出した指標値、および、指標値が許容値以下となる直近のお薦め時間帯のうち、少なくとも1つを含む。これにより、利用者1は、混雑通知画面30の内容を確認することにより、現在設定されている許容値の適否、指標値に基づくエレベーター混雑状況、希望するエレベーターの乗車時間などを把握することができる。
【0170】
また、本実施形態において、画面生成部5が生成する混雑通知設定画面700は、エレベーターの混雑通知を受けるか否かを選択可能な通知可否選択スイッチ(かご内混雑通知可否選択スイッチ702、待ち時間悪化通知可否選択スイッチ703)を含む。これにより、利用者1がエレベーターの混雑通知を希望する場合と希望しない場合の両方に対応することができる。
【0171】
また、本実施形態において、画面生成部5は、指標値が許容値以下であるエレベーターに乗車した利用者1の利用者端末2に対して、エレベーターの混雑具合を伺うアンケート画面800を生成して出力し、許容値設定情報DB10は、画面生成部5がアンケート画面800を出力した後、利用者端末2から許容値の変更要求を受け付けて許容値を変更する。これにより、許容値設定情報DB10に設定される許容値を、実際にエレベーターに乗車した利用者1の混雑状況に対する感覚に応じて迅速かつ適切に変更することができる。
【0172】
<変形例等>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
【0173】
たとえば、上記実施形態において、エレベーター運行管理サーバ3は、利用者端末2に表示するための画面を生成する画面生成部5を備え、この画面生成部5が、希望時間における利用状況が許容値を満たさない場合に、エレベーターの混雑状況を示す表示の態様を変更する構成を採用しているが、これに限らない。たとえば、許容値判定部として機能する混在情報算出部6が、利用者端末2から情報の取得要求を基に、その取得要求に従って情報を利用者端末2に出力する構成であってもよい。混雑情報算出部6が利用者端末2に出力する情報には、希望時間における利用状況が許容値を満たすか否かの判定結果を含む場合がある。利用者端末2からの情報の取得要求は、
図5に示すサービスメニュー画面200のいずれかのボタンを利用者1が選択することによってなされる。たとえば、利用者1が行先階登録ボタン201を選択した場合は、利用者端末2からエレベーター運行管理サーバ3に対し、行先階登録のための情報の取得要求がなされ、この取得要求に従って混雑情報算出部6が行先階登録のための情報を利用者端末2に出力する。行先階登録のための情報とは、この情報を用いて利用者端末2自身が行先階登録画面300(
図7参照)を生成可能な情報である。この点は、利用者1が、かご内混雑状況ボタン202、乗り場待ち時間状況ボタン203、混雑許容値設定ボタン204、または混雑通知設定ボタン205を選択した場合についても同様である。これにより、エレベーター運行管理サーバ3では、利用者端末2からの情報の取得要求に従って情報の出力を行われ、利用者端末2では、混雑情報算出部6から出力される情報を用いて表示内容の選択および表示態様の変更が行われる。
【符号の説明】
【0174】
1…利用者、2…利用者端末、3…エレベーター運行管理サーバ、5…画面生成部(受信部、アンケート作成部)、6…混雑情報算出部(許容値判定部)、10…許容値設定情報DB(許容値設定部)、18…エレベーター運行情報記憶部、31…混雑通知設定情報DB(混雑通知設定部)、50…エレベーターシステム、400…かご内混雑状況予測画面(混雑状況通知画面)、500…乗り場待ち時間予測画面(混雑状況通知画面)、700…混雑通知設定画面、702…かご内混雑通知可否選択スイッチ(通知可否選択スイッチ)、703…待ち時間悪化通知可否選択スイッチ(通知可否選択スイッチ)、800…アンケート画面、950…混雑通知画面