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  • 特許-釣糸ガイド、該釣糸ガイドを備える釣竿 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】釣糸ガイド、該釣糸ガイドを備える釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
A01K87/04 D
A01K87/04 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021057583
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154512
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】河合 一輝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昌幸
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149832(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090717(WO,A1)
【文献】特許第6826934(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸を案内する貫通孔が形成された釣糸案内部と、釣竿に固定される釣竿固定部と、該釣糸案内部と該釣竿固定部とを接続する接続部とを設けた釣糸ガイドであって、
前記釣糸ガイドはセラミック材料により一体に形成されていることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項2】
前記釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、円弧状に湾曲している、請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項3】
前記釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、直線部分がない、請求項1又は2に記載の釣糸ガイド。
【請求項4】
前記釣糸案内部は、前記貫通孔の軸線方向でみて、前記接続部に向かうにつれその肉厚が大きくなるようにされる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項5】
前記接続部は、前記貫通孔の軸線方向でみて、前記釣竿固定部に向かうにつれその肉厚が大きくなるようにされる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項6】
前記釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、複数の円弧状部からなり、各円弧状部は、1又は複数の変曲点により接続される、請求項1に記載の釣糸ガイド。
【請求項7】
前記釣糸案内部は、前記釣竿固定部に対して10-45°傾斜している、請求項1から6までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項8】
前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて、前記釣糸案内部の外面側の外側輪郭は、凸状に湾曲している、請求項1から7までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項9】
前記釣糸案内部の外径と内径との差が、1.2mmから2.0mmの範囲である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項10】
前記釣糸案内部の外径に対する該釣糸案内部の内径の割合が、0.55以上である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の釣糸ガイド。
【請求項11】
竿管と、
釣糸を案内する貫通孔が形成された釣糸案内部と、該竿管に固定される釣竿固定部と、該釣糸案内部と該釣竿固定部とを接続する接続部とを設けた釣糸ガイドと、を備えた釣竿であって、
前記釣糸ガイドはセラミック材料により一体に形成されていることを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸ガイド、該釣糸ガイドを備えた釣竿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣竿に装着されて釣糸を案内するための種々の釣糸ガイドが知られている。このような釣糸ガイドでは、釣竿の外周面に装着されるフレーム又は竿体が端部に挿入されるフレームと、フレームに止着され釣糸が挿通されるガイドリングとを備えるよう構成される。
【0003】
このような釣糸ガイドとして、特許文献1には、金属製で形成されたフレームに、釣糸を挿通させるガイドリングを保持するためのリング保持部と、釣竿の外表面に装着するための固定部とが一体形成された釣糸ガイドが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、竿体の外側に取り付けられる釣糸ガイドであって、釣糸を案内するためのガイドリングと該ガイドリングを保持するための金属製のガイドフレームとを備え、該ガイドフレームは、竿体に取り付けるための取付部と、該取付部から立設され、ガイドリングが装着されるリング装着孔が形成されたフレーム本体部とを備え、ガイドフレームは、鍛造により一体的に形成されたものであり、フレーム本体部と取付部との境界部分に、取付部よりも肉厚の厚い厚肉部を備えている釣糸ガイドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-340661号公報
【文献】特開2016-119887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の釣糸ガイドでは、リング部と、金属製のフレーム部とからなり、糸の放出方向によっては糸が金属部に接触するが、当該金属部は摩擦係数が大きいため、糸絡みや糸撚れが発生してしまうという問題があった。また、リング部と、フレーム部の2つの構成部材から形成されるため、重量が増大し、また寸法が大きくなってしまうという問題もあった。
【0007】
また、特許文献2に開示のような釣糸ガイドでは、ガイドフレームが鍛造により一体的に形成され、ロウ付け部分等の接合部分が存在せず、その接合部分における腐食や糸絡み、糸撚れの発生が防止され、また、ガイドフレームが鍛造により形成されているために、薄肉化しても十分に強度を確保することができるうえに、肉厚に変化を持たせることができ、ガイドフレームを全体として軽量化しつつ強度を確保することができるとしている。しかしながら、リング部と、金属製のフレーム部とからなり、糸の放出方向によっては糸が金属部に接触するが、当該金属部は摩擦係数が大きいため、糸撚れが発生してしまうという問題があった。また、薄肉化できるとしても金属製であり、さらにリング部とフレーム部の2つの構成部材から形成されるため、不可避的に重量が増大し、また寸法が大きくなってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明の実施形態は、上記のような問題点に鑑み、ガイド全体として剛性や強度を確保しつつ軽量化を可能とするだけでなく、実釣時の糸撚れや糸絡みの発生を低減することが可能な釣糸ガイド、該釣糸ガイドを備えた釣竿を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、釣糸を案内する貫通孔が形成された釣糸案内部と、釣竿に固定される釣竿固定部と、該釣糸案内部と該釣竿固定部とを接続する接続部とを設けた釣糸ガイドであって、前記釣糸ガイドはセラミック材料により一体に形成されている。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、円弧状に湾曲している。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、直線部分がないように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドにおいて、前記釣糸案内部は、前記貫通孔の軸線方向でみて、前記接続部に向かうにつれその肉厚が大きくなるように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドにおいて、前記接続部は、前記貫通孔の軸線方向でみて、前記釣竿固定部に向かうにつれその肉厚が大きくなるように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて凹状に形成され、前記釣糸案内部と前記接続部の内面側の外側輪郭は、複数の円弧状部からなり、各円弧状部は、1又は複数の変曲点により接続される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドにおいて、前記釣糸案内部は、前記釣竿固定部に対して10-45°傾斜している。
【0017】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、前記貫通孔の軸線に垂直な方向からみて、前記釣糸案内部の外面側の外側輪郭は、凸状に湾曲している。
【0018】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドにおいて、前記釣糸案内部の外径と内径との差は、1.2mmから2.0mmの範囲である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドは、前記釣糸案内部の外径に対する該釣糸案内部の内径の割合が、0.55以上である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、竿管と、釣糸を案内する貫通孔が形成された釣糸案内部と、該竿管に固定される釣竿固定部と、該釣糸案内部と該釣竿固定部とを接続する接続部とを設けた釣糸ガイドと、を備えた釣竿であって、前記釣糸ガイドはセラミック材料により一体に形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の様々な実施形態により、ガイド全体として剛性や強度を確保しつつ軽量化を可能とするだけでなく、実釣時の糸撚れや糸絡みの発生を低減することが可能な釣糸ガイド、該釣糸ガイドを備えた釣竿を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態における釣竿1の一態様を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の全体を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の一態様を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の一態様を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の一態様を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の釣糸案内部の外径及び内径を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない。以下、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図である。図示のように、本発明の一実施形態による釣竿1は、竿体2と、竿体2にリールシート9を介して取り付けられたリール6と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10(10Dはトップガイドという)と、を備える。図示の実施形態においては、リールシート9及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0025】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0026】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。このような熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル、フェノール、ビニルエステルが考えられるが、これらに限られない。また、熱可塑樹脂を用いる場合、PES(ポリエーテル サルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PC(ポリカーボネード)、PA(ポリアミド:6、12、66等)が考えられるが、これらに限られない。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0027】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、リールシート9に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられている。
【0028】
次に、図2、3、4、5及び6を参照して、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド(トップガイド)10についてさらに説明する。図2に示すように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、釣糸を案内する貫通孔11が形成された釣糸案内部12と、釣竿1の竿体2に固定される釣竿固定部13と、該釣糸案内部12と該釣竿固定部13とを接続する接続部14とを設けた釣糸ガイド10であって、該釣糸ガイド10はセラミック材料により一体に形成されている。ここで、図示の例では、説明の便宜上、トップガイド10Dを例として説明しているが、その他の釣糸ガイド10にも適用可能である(以下同様)。また、当該セラミック材料は、その破壊靭性が5MPa・m1/2以上であることが望ましいが、必ずしもこれに限られない。
【0029】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10により、ガイド全体として剛性や強度を確保しつつ軽量化を可能とするだけでなく、実釣時の糸撚れや糸絡みの発生を低減することができる釣糸ガイドを提供することが可能となる。より具体的には、当該釣糸ガイドは釣糸を案内するために別途ガイドリングを設ける必要がなく軽量化が可能となり、(強度や剛性に関する記載)、また、釣糸ガイドがセラミック材料により形成されることで釣糸の放出時に釣糸が金属フレーム等に接触する事による摩擦抵抗を大幅に低減することができるため、釣糸の放出時の糸撚れや、実釣時の糸絡みの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0030】
次に、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、当該貫通孔11の軸線(X)に垂直な方向(図3の紙面の方向)からみて凹状に形成され、当該釣糸案内部12と当該接続部14の内面側15の外側輪郭は、円弧状に湾曲している。このようにして、釣糸ガイドを不注意でぶつける等により発生する大きな力により当該釣糸案内部12と当該接続部14に生じる応力の集中を回避することができるため、強度や耐久性が大幅に向上することが判っている。
【0031】
また、同図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、当該貫通孔11の軸線(X)に垂直な方向からみて凹状に形成され、当該釣糸案内部12と当該接続部14の当該内面側15の外側輪郭は、直線部分がないように構成される。このようにして、釣糸ガイドを不注意でぶつける等により発生する大きな力により当該釣糸案内部12と当該接続部14に生じる応力の集中を回避することができるため、強度や耐久性が大幅に向上することが判っている。
【0032】
また、同図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10において、当該釣糸案内部12は、当該貫通孔11の軸線方向(X)でみて、当該接続部14に向かうにつれその肉厚が大きくなるように構成される。このようにして、糸絡みが少なくなり、強度も向上する。
【0033】
さらに、同図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10において、当該接続部14は、当該貫通孔11の軸線方向でみて、当該釣竿固定部13に向かうにつれその肉厚が大きくなるように構成される。このようにして、糸絡みが少なくなり、強度も向上する。
【0034】
次に、図4に示す例では、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、当該貫通孔11の軸線(X)に垂直な方向(図4の紙面の方向)からみて凹状に形成され、当該釣糸案内部12と当該接続部14の内面側15の外側輪郭は、円弧状に湾曲し、当該釣竿固定部13は直線状若しくは凡そ直線状に形成されている。このようにして、このような形状により、釣糸ガイドを不注意でぶつける等により発生する大きな力により当該釣糸案内部12と当該接続部14に特に生じる応力の集中を効果的に回避することができるため、強度や耐久性が大幅に向上することが判っている。
【0035】
次に、図5に示す例では、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、当該貫通孔11の軸線(X)に垂直な方向(図5の紙面の方向)からみて凹状に形成され、当該釣糸案内部12と当該接続部14の内面側15の外側輪郭は、複数の円弧状部16(図示の例では、3つの円弧状部16)からなり、各円弧状部16は、1又は複数の変曲点P(図示の例では、2つの変曲点P1、P2)により接続される。このようにして、このような形状により、釣糸ガイドを不注意でぶつける等により発生する大きな力により当該釣糸案内部12と当該接続部14に特に生じる応力の集中を回避することができるため、強度や耐久性が大幅に向上することが判っている。ここで、当該円弧状部16は、上記内面側15からみて、凹状若しくは凸状のいずれの場合も考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0036】
次に、図6に示す例では、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10は、当該貫通孔11の軸線(X)に垂直な方向(図6の紙面の方向)からみて、当該釣糸案内部12の外面側17の外側輪郭は、凸状に湾曲している(図示の例では、当該釣糸案内部12と、当該釣竿固定部13の一部とを合わせて、その外面側17の外側輪郭が凸状に湾曲して形成されている)。このようにして、当該釣糸案内部12の強度を向上させることができる。
【0037】
次に、再度図3を参照する。本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10において、当該釣糸案内部12は、当該釣竿固定部13に対して10-45°傾斜している、すなわち角度αが10-45°の範囲とされる。このようにして、糸絡みがし難くなる。
【0038】
次に、図7を参照しながら、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12及び貫通孔11の寸法について説明する。下記表は、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)毎の外径と、当該外径と内径の差を示したものである。
【0039】
ここで、釣糸案内部12及び貫通孔11の形状は、円形や略円形の場合だけでなく、図7に示す楕円形や略楕円形の場合もある。釣糸案内部12及び貫通孔11の形状が楕円形や略楕円形の場合において、釣糸案内部12の外径とは、図7に示す短径の外径を指し、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)とは、同図7に示す長径の内径を指すものとする。
【0040】
まず、表1に釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)が2.2mmの場合の本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外径及び当該外径と内径との差について示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記に示す通り、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外径は、3.6mmとなっており、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)が同一である従来の釣糸ガイド10と比較して、より小さく形成されていることが判る。また、当該外径と内径との差も1.4mmと、従来の釣糸ガイド10比較して最も薄く形成されていることが判る。このように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10によれば、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)を従来の釣糸ガイドと同一に保ちながらも、釣糸ガイドの寸法を小さくコンパクトに形成することができ、釣糸案内部12の外径を小さくすることで糸絡みや糸撚れの発生を低減できることが判っている。また、釣糸案内部12の外径を小さくしても釣糸ガイドの強度に問題がないことも判っている。
【0043】
次に、表2に釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)が2.5mm(長径2.6mm)の場合の本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外径及び当該外径と内径との差について、貫通孔が円形の場合と楕円形の場合とをそれぞれ示す。
【0044】
【表2】
【0045】
上記に示す通り、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外
径は、それぞれ4.5、3.7mmとなっており、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の
径)が同一である従来の釣糸ガイド10と比較して、より小さく形成されていることが判
る。また、当該外径と内径との差も2.0、1.2mmと、従来の釣糸ガイド10比較し
て最も薄く形成されていることが判る。このように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイ
ド10によれば、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)を従来の釣糸ガイドと同一に
保ちながらも、釣糸ガイドの寸法を小さくコンパクトに形成することができ、釣糸案内部
12の外径を小さくすることで糸絡みや糸撚れの発生を低減できることが判っている。ま
た、釣糸案内部12の外径を小さくしても釣糸ガイドの強度に問題がないことも判ってい
る。
【0046】
次に、表3に釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)が4.1mm場合の本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外径及び当該外径と内径との差について示す。
【0047】
【表3】
【0048】
上記に示す通り、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の当該釣糸案内部12の外径は、6.0mmとなっており、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)が同一である従来の釣糸ガイド10と比較して、より小さく形成されていることが判る。また、当該外径と内径との差も1.9mmと、従来の釣糸ガイド10比較して最も薄く形成されていることが判る。このように、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10によれば、釣糸案内部12の内径(貫通孔11の径)を従来の釣糸ガイドと同一に保ちながらも、釣糸ガイドの寸法を小さくコンパクトに形成することができ、釣糸案内部12の外径を小さくすることで糸絡みや糸撚れの発生を低減できることが判っている。また、釣糸案内部12の外径を小さくしても釣糸ガイドの強度に問題がないことも判っている。
【0049】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10において、当該釣糸案内部12の外径と内径との差は、1.2mmから2.0mmの範囲である。このようにして、糸絡みを軽減でき、更に軽量化が可能となる。
【0050】
本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10において、当該釣糸案内部12の外径に対する該釣糸案内部12の内径の割合が、0.55以上である。このようにして、糸絡みを軽減でき、更に軽量化が可能となる。
【0051】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、竿管と、釣糸を案内する貫通孔が形成された釣糸案内部と、該竿管に固定される釣竿固定部と、該釣糸案内部と該釣竿固定部とを接続する接続部とを設けた釣糸ガイドと、を備えた釣竿であって、前記釣糸ガイドはセラミック材料により一体に形成されている。
【0052】
本発明の一実施形態に係る釣竿により、ガイド全体として剛性や強度を確保しつつ軽量化を可能とするだけでなく、実釣時の糸撚れや糸絡みの発生を低減することができる釣糸ガイドを備えた釣竿を提供することが可能となる。より具体的には、当該釣糸ガイドは釣糸を案内するために別途ガイドリングを設ける必要がなく軽量化が可能となり、また、釣糸ガイドがセラミック材料により形成されることで釣糸の放出時に釣糸が金属フレーム等に接触する事による摩擦抵抗を大幅に低減することができるため、実釣時の糸撚れや糸絡みの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0053】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、竿管と、上述したいずれかの本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10と、を備えるように構成することができる。
【0054】
最後に、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10の成形方法を説明する。まず、セラミック材料を用意し、射出成型により所望の寸法・形状の釣糸ガイド原型を成形し、これに焼結処理を施し、当該処理済みの釣糸ガイド原型に対してバレル処理を行うことで、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイド10が成形される。これ以上の成形方法の詳細は省略する。
【0055】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 釣竿
2 竿体
3 元竿
5 中竿
6 リール
7 穂先竿
8 リールシート
10 釣糸ガイド
11 貫通孔
12 釣糸案内部
13 釣竿固定部
14 接続部
15 内面側
16 円弧状部
17 外面側
X 貫通孔の軸線
P1 変曲点
P2 変曲点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7