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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】還元性が改善された混合酸化物
(51)【国際特許分類】
   C01G 49/00 20060101AFI20240619BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20240619BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20240619BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240619BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20240619BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240619BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C01G49/00 A ZAB
B01J23/89 A
B01J35/60 Z
B01J37/02 101Z
B01J37/03 B
B01J37/08
B01D53/94 222
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021516621
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019107202
(87)【国際公開番号】W WO2020063510
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/107177
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イフラー, シモン
(72)【発明者】
【氏名】ビソン, ロール ジャンヌ シモーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フォーレ, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ コエーリョ マルケス, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー, リン
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037784(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102744074(CN,A)
【文献】国際公開第2017/187085(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107244885(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107235706(CN,A)
【文献】米国特許第06585944(US,B1)
【文献】特開2008-018322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 49/00
B01J 21/00 -38/74
B01D 53/94
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、鉄と、任意選択的なセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~45.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~15.0重量%のランタン;
・最大15.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・0.05重量%~0.25重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部;
を有し、
これらの割合は、全体としての前記混合酸化物に対する酸化物の重量で与えられ、
前記混合酸化物がハフニウムを更に含み、
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、以下の特性:
・少なくとも25mgのBET比表面積;
・最大530℃の最大還元可能温度(Tmax);
を示す、混合酸化物。
【請求項2】
ハフニウムの割合が2.5重量%以下であり、この割合は全体としての前記混合酸化物に対する酸化物の重量基準で与えられることを特徴とする、請求項1に記載の混合酸化物。
【請求項3】
ジルコニウムの酸化物、セリウムの酸化物、ランタンの酸化物、鉄の酸化物ハフニウムの酸化物、及び任意選択的なセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素の酸化物の組み合わせからなるか又はこれらから本質的になる混合酸化物であって、
・18.0重量%~45.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~15.0重量%のランタン;
・最大15.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・0.05重量%~0.25重量%の鉄;
・2.5重量%以下のハフニウム;
・ジルコニウムとしての残部;
の組成を有し、
これらの割合は、全体としての前記混合酸化物に対する酸化物の重量基準で与えられ、
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、以下の特性:
・少なくとも25mgのBET比表面積;
・最大530℃の最大還元可能温度(Tmax);
を示す、混合酸化物。
【請求項4】
前記混合酸化物を構成する元素Zr、Hf、Ce、La、Fe、及びRE(存在する場合)が前記混合酸化物中に酸化物として存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項5】
前記混合酸化物を構成する元素Zr、Hf、Ce、La、Fe、及びRE(存在する場合)が前記混合酸化物中に酸化物として存在し、水酸化物又はオキシ水酸化物の形態でも部分的に存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項6】
前記セリウムの割合が18.0重量%~45.0重量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項7】
前記ランタンの割合が1.0重量%~15.0重量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項8】
前記ランタンの割合が1.0重量%~7.0重量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項9】
前記セリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合が最大10.0重量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項10】
前記セリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合が少なくとも10.0重量%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項11】
前記鉄の割合が0.15重量%超であることを特徴とする、請求項10に記載の混合酸化物。
【請求項12】
前記混合酸化物が、少なくとも10.0重量%の割合のイットリウムを含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載の混合酸化物。
【請求項13】
以下の組成物C1~C3のうちの1つ:
・組成物C1
・18.0重量%~22.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~7.0重量%のランタン;
・3.0重量%~7.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%の重量の鉄;
・ジルコニウムとしての残部;
・組成物C2
・28.0重量%~32.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~7.0重量%のランタン;
・3.0重量%~7.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部;
・組成物C3
・38.0重量%~42.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~7.0重量%のランタン;
・3.0重量%~6.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部
を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項14】
前記ランタンの割合が3.0重量%~7.0重量%である、請求項13に記載の混合酸化物。
【請求項15】
前記鉄の割合が0.10重量%~0.20重量%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項16】
前記鉄の割合が0.10重量%よりも多い(>0.10重量%)、請求項1~15のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項17】
前記ジルコニウムの割合が少なくとも45.0重量%であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項18】
前記混合酸化物中のNaの量が150ppm未満であり、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項19】
前記混合酸化物中のNaの量が10ppm~150ppmに含まれ、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項20】
前記混合酸化物中のClの量が100ppm未満であり、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項21】
前記混合酸化物中のClの量が1ppm~100ppmに含まれ、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項22】
前記混合酸化物中のSO 2-の量が200ppm未満であり、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項23】
前記混合酸化物中のSO 2-の量が5ppm~200ppmであり、この量は全体としての前記混合酸化物に対する重量基準(ppm)で与えられることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項24】
1000℃の空気中で4時間焼成した後に、少なくとも50mgのBET比表面積を示す、請求項1~23のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項25】
maxが460℃~530℃であることを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項26】
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、前記混合酸化物が、混合酸化物1g当たり少なくとも17mLの水素の総消費量(V H2 を示し、この量が200℃~800℃で測定されることを特徴とする、請求項1~25のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項27】
1000℃の空気中で4時間焼成した後に、前記混合酸化物が0.20~0.40mL/gの総細孔容積(TPV)を示し、前記総細孔容積がNポロシメトリーによって測定されることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項28】
少なくとも70mgの比表面積を示す、請求項1~27のいずれか一項に記載の混合酸化物。
【請求項29】
以下の工程:
(a1)硫酸塩アニオン(SO 2-)と、塩化ジルコニウム塩と、塩化セリウム(III)とを含む水溶液を、水酸化ナトリウムの塩基性水溶液が入っている撹拌されているタンクの中に入れて析出物を形成する工程;
(b1)次いで、塩化鉄(III)の水溶液と、任意選択的なセリウム及びランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1種の塩を、前記撹拌されているタンクの中に入れる工程;
(c1)工程(b1)の終わりに得られた前記析出物を液体媒体から分離し、SO 2-、Na、及びClの量を減らすために水の中に入れて再パルプ化する工程;
(d1)工程(c1)の終わりに得られた前記析出物を水性媒体中で加熱する工程;
(e1)前記析出物の懸濁液にランタン塩を添加する工程;
(f1)工程(e1)の終わりに得られた混合物に有機テクスチャー付与剤を添加する工程;
(g1)工程(e1)の終わりに得られた固体材料を前記液体媒体から分離し、空気中で焼成する工程
を含む、混合酸化物の調製方法であって、
前記混合酸化物が、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、鉄と、任意選択的なセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素(RE)との混合酸化物であって、以下の組成:
・18.0重量%~45.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~15.0重量%のランタン;
・最大15.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・0.05重量%~0.25重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部;
を有し、
これらの割合は、全体としての前記混合酸化物に対する酸化物の重量で与えられ、
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、前記混合酸化物が以下の特性:
・少なくとも25m /gのBET比表面積;
・最大530℃の最大還元可能温度(T max );
を示す、調製方法
【請求項30】
少なくとも1種の無機物質と混合された、請求項1~28のいずれか一項に記載の混合酸化物を含有する組成物。
【請求項31】
前記無機物質が、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、スピネル、ゼオライト、ケイ酸塩、結晶性ケイ素-アルミニウムリン酸塩、及び結晶性リン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の組成物から形成されており、且つ固体支持体上に堆積されている触媒活性コーティング層を含む、自動車排ガスを処理するための触媒コンバーター。
【請求項33】
自動車排ガスを処理するための触媒コンバーターの製造のための、請求項1~28のいずれか一項に記載の混合酸化物の使用。
【請求項34】
自動車排ガスを処理するための触媒を調製するための、請求項1~28のいずれか一項に記載の混合酸化物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月24日出願の国際特許出願第PCT/CN2018/107177号に基づく優先権を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に完全に援用される。本出願とこのPCT出願との間に用語又は表現の明確さに影響を与える何らかの矛盾がある場合には、本出願のみが参照されるものとする。
【0002】
本発明は、高い還元性を示すジルコニウムとセリウムとに基づく混合酸化物組成物、その調製方法、及び触媒分野におけるその使用に関する。
【0003】
「多機能性」触媒が、現在、内燃エンジンからの排ガスの処理(自動車後燃え触媒反応)のために使用されている。用語「多機能性」は、特に排ガス中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の酸化のみならず、特にこれらのガス中に同様に存在する窒素酸化物の還元をも実施することができる触媒(「三元」触媒)を意味すると理解される。酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及び任意選択的な他の希土類金属の1つ以上の酸化物に基づく製品は、今日、このタイプの触媒の組成物中に含まれる特に重要な且つ有利な構成成分のように見える。有効であるためには、これらの構成成分は、例えば少なくとも1100℃などの高温にさらされた後であっても高い比表面積を持たなければならない。
【0004】
これらの触媒構成成分に対して要求される別の品質は、還元性である。用語「還元性」はここでは、及び本説明の残りについては、還元性雰囲気下で還元される及び酸化性雰囲気下で再酸化される触媒の能力を意味する。還元性は、所定の温度範囲についての可動性の酸素の量と関連する。現在、触媒の還元性は、上述した製品の非常に高い温度で最大である。そこで、より低い温度範囲でその還元性が十分な触媒が必要とされる。還元性の改善は、混合酸化物のみと、混合酸化物と白金族金属(又はPGM)とから構成される触媒の両方についても非常に望まれている。
【0005】
最先端技術では、上述の2つの特性は多くの場合調整するのが困難であるようである、すなわち、より低い温度での高い還元性は、むしろ低い比表面積を伴うようである。
【0006】
本発明の目的は、高い比表面積とより低い温度での良好な還元性とを組み合わせて有するこのタイプの組成物を提供することである。
【背景技術】
【0007】
国際公開第2013/004534号パンフレットには、高い還元性を示す、本質的にジルコニウムとセリウムとからなる混合酸化物が記載されている。混合酸化物は、1100℃で4時間焼成した後、少なくとも8m/g、より具体的には少なくとも10m/gの比表面積を示す。実施例に開示されている混合酸化物は、25m/gよりはるかに小さい比表面積を示す。
【0008】
米国特許出願公開第2009/0325793号明細書には、ジルコニウム、セリウム、ランタン、及び鉄を含み、鉄の含有量が1.0%より大きい(例えば実施例2の混合酸化物の酸化鉄の含有量:2.7%)混合酸化物が記載されている。比表面積についての言及もなされていない。
【0009】
米国特許出願公開第2017072386号明細書には、ジルコニウムとセリウムと鉄とを含む比表面積が小さい(<2m/g)混合酸化物が記載されている。
【0010】
国際公開第2007/132253号パンフレットには、低いTmaxを有する混合酸化物が記載されている。混合酸化物にはスズが含まれているものの、鉄については言及されていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】以下の製品のTPR曲線を示す:・1100℃の空気中で4時間焼成した実施例1の混合酸化物;・実施例に開示の「リーン/リッチ」条件A1~A2でエージングした0.1重量%Rhの実施例1の混合酸化物に対応する触媒1。
図2】以下の製品のTPR曲線を示す:・1100℃の空気中で4時間焼成した実施例2の混合酸化物;・「リーン/リッチ」条件A1~A2でエージングした0.1重量%Rhの実施例2の混合酸化物に対応する触媒2。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願において、焼成、特に表面積値が与えられた後の焼成は、別段の記載がない限り、空気中での焼成である。本説明の継続のためには、特に明記しない限り、与えられる範囲の値において、限界値は含められることがまた明記される。
【0013】
本発明は、ジルコニウムと、セリウムと、ランタンと、鉄と、任意選択的なセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素(RE)との混合酸化物であって、
・18.0重量%~45.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~15.0重量%のランタン;
・最大15.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部;
の組成を有し、
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、以下の特性:
・少なくとも25m/g、より具体的には少なくとも26m/g、より具体的には少なくとも28m/g、更に具体的には少なくとも30m/gのBET比表面積;
・最大530℃、より具体的には最大500℃の最大還元可能温度(Tmax);
を示す、混合酸化物に関する。
【0014】
上述した元素は、一般的に混合酸化物中に酸化物として存在する。とはいえ、これらは、水酸化物又はオキシ水酸化物の形態で部分的に存在していてもよい。
【0015】
本発明の混合酸化物は、ハフニウム元素も含み得る。実際、この元素は、通常、天然の状態で存在する鉱石中にジルコニウムとの組み合わせで存在する。ジルコニウムに対するハフニウムの相対的割合は、ジルコニウムが抽出される鉱石に依存する。一部の鉱石におけるZr/Hfの重量基準の相対的割合は、約50/1であり得る。したがって、バデレアイトは概ね98重量%のZrO及び2重量%のHfOを含有する。ジルコニウムの場合、ハフニウムは一般に酸化物として存在する。しかしながら、ハフニウムが部分的に水酸化物又はオキシ水酸化物の形態でも存在することは除外されない。ハフニウムの割合は、2.5重量%以下、更には2.0重量%以下である。
【0016】
混合酸化物の分野で一般的なように、元素の割合は、全体としての混合酸化物に対する酸化物の重量基準で与えられる。これらの割合の計算では、以下の酸化物が考慮される:Pr11が考慮されるPrを除いた全てのREについて、CeO、Fe、ZrO、HfO、La、RE。したがって、例として、20.0重量%のセリウムの割合は、混合酸化物中の20.0重量%のCeOの割合を意味する。元素の割合は、蛍光X線分析や誘導結合プラズマ質量分析のような一般的な分析方法によって決定される。また、別段の記載がない限り、示されている値の範囲には限界値が含まれていることも特記される。
【0017】
本発明の混合酸化物は、上記の元素を上記の割合で含むが、不純物などのその他の元素を追加的に含んでもよい。不純物は、混合酸化物の調製プロセスで使用される原材料又は出発物質に由来する場合がある。不純物の合計割合は、通常混合酸化物に対して0.2重量%未満とすることができる。
【0018】
本発明による混合酸化物は、まず第一に、その成分の性質及び割合によって特徴付けられる。混合酸化物中のセリウムの割合は、18.0重量%~45.0重量%、より具体的には18.0重量%~42.0重量%である。セリウムの割合は、18.0重量%~22.0重量%又は28.0重量%~32.0重量%又は38.0重量%~42.0重量%であってもよい。
【0019】
混合酸化物中のランタンの割合は、1.0重量%~15.0重量%、より具体的には3.0重量%~12.0重量%である。この割合は、3.0重量%~7.0重量%であってもよい。この割合は、1.0重量%~7.0重量%、より具体的には、1.0重量%~5.0重量%であってもよい。
【0020】
混合酸化物中の鉄の割合は、0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%である。鉄の割合は、0.10重量%~0.20重量%、より具体的には、0.10重量%~0.15重量%であってもよい。一実施形態によれば、鉄の割合は、厳密に0.10重量%よりも大きい(>0.10重量%)。酸化鉄の割合及び使用されるプロセスのため、酸化鉄は混合酸化物内によく分散される。また、XRDは酸化鉄に起因するピークを示さない。
【0021】
混合酸化物は、セリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素も含んでいてもよい。希土類元素は、好ましくは、Nd、Y、及びPrからなる群の中で選択することができる。Y及びPrがより特に好ましい。
【0022】
混合酸化物中のセリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合は最大15.0重量%である。一実施形態によれば、この合計割合は、最大10.0重量%、より具体的には最大7.0重量%とすることができる。
【0023】
別の実施形態によれば、混合酸化物中のセリウム以外且つランタン以外の希土類元素の合計割合は、少なくとも10.0重量%、より具体的には少なくとも12.0重量%とすることができる。この実施形態は、鉄の割合が0.15重量%超、更には0.20重量%超である場合に特に適用される。この別の実施形態によれば、混合酸化物は、少なくとも10.0重量%、より具体的には少なくとも12.0重量%の割合のイットリウムを含有する。
【0024】
酸化ジルコニウムは、組成物の残部を構成する。ジルコニウムの重量割合は、混合酸化物の他の元素の100%への残部としてである。混合酸化物中のジルコニウムの割合は、少なくとも45.0重量%、より具体的には少なくとも49.0重量%、更に具体的には少なくとも50.0重量%、更に具体的には少なくとも54.0重量%又は少なくとも55.0重量%である。この割合は、最大77.0重量%又は最大70.0重量%であってもよい。
【0025】
本発明による特定の組成物C1は、以下の組成に対応する:
・18.0重量%~22.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~7.0重量%のランタン;
・3.0重量%~7.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%の重量の鉄;
・ジルコニウムとしての残部。
【0026】
組成物C1については、ジルコニウムの割合は、64.0重量%~76.0重量%であってもよい。
【0027】
本発明による別の特定の組成物C2は、以下の組成に対応する:
・28.0重量%~32.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~7.0重量%のランタン;
・3.0重量%~7.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部。
【0028】
組成物C2については、ジルコニウムの割合は、54.0重量%~66.0重量%であってもよい。
【0029】
本発明による別の特定の組成物C3は、以下の組成に対応する:
・38.0重量%~42.0重量%のセリウム;
・3.0重量%~6.0重量%のランタン;
・3.0重量%~6.0重量%のイットリウム;
・0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%の鉄;
・ジルコニウムとしての残部。
【0030】
組成物C3については、ジルコニウムの割合は、46.0重量%~56.0重量%であってもよい。一実施形態によれば、組成物C3については、ジルコニウムの割合は、46.0重量%と56.0重量%の間であってもよい(この後者の値は除外される)。
【0031】
この3つの特定の組成物C1~C3については、残りの全ての割合が同じであり、ランタン含有量も、1.0重量%~7.0重量%、より具体的には、1.0重量%~5.0重量%であってもよい。
【0032】
本発明の混合酸化物は、高い比表面積によっても特徴付けられる。「比表面積(BET)」という用語は、窒素吸着によって決定されるBET比表面積を意味すると理解される(BET;Brunauer-Emmett-Teller)。この技術は当業者に周知である(例えばJACS 1938,60,309を参照)。比表面積は、規格ASTM D3663-03(2015年再承認)に従って得ることができる。比表面積は、実施例に開示の方法によって決定することができる。
【0033】
混合酸化物のBET比表面積は、少なくとも70m/g、より具体的には少なくとも75m/gとすることができる。
【0034】
空気中1100℃で4時間焼成した後の混合酸化物のBET比表面積は、少なくとも25m/g、より具体的には少なくとも26m/g、より具体的には少なくとも28m/g、更に具体的には少なくとも30m/gである。この比表面積は、最大40m/g、より具体的には最大35m/g、更に具体的には最大31m/gであってもよい。この比表面積は、25~40m/g、より具体的には26~40m/g、より具体的には28~40m/g、更に具体的には30~40m/gに含まれ得る。比表面積は、25~31m/gにも含まれ得る。
【0035】
1000℃の空気中で4時間焼成した後、本発明の混合酸化物は、少なくとも50m/g、より具体的には少なくとも55m/g、更に具体的には少なくとも60m/gのBET比表面積も示し得る。この比表面積は、50~70m/g、より具体的には55~65m/gに含まれ得る。この比表面積は、60の間に含まれ得る。
【0036】
本発明の混合酸化物は、改善された還元性によっても特徴付けられる。還元性を特徴付けるために使用される方法は、昇温還元法(TPR)である。無機酸化物の特性評価のこの手法は当業者に周知である。例えば、Adrien Mekki-Berrada及びAline AurouxによるCharacterization of Solid Materials and Heterogeneous Catalysts,Vol.1,Wiley,isbn 978-3-527-32687-7の“Thermal Methods”の章;又は“An Integrated Approach to Homogeneous,Heterogeneous and Industrial Catalysis”,Elsevier,1993,isbn 978-0-080-88698-5の中のF.Kapteijn,J.A.Moulijn,A.Tafaouiによる“Temperature Programmed Reduction and Sulphiding”を参照されたい。
【0037】
max及びVH2は、TPRにより決定される。Tmax及びVH2を決定する方法は、混合酸化物が加熱されている間の水素の消費量を温度の関数として測定することからなる(Hの消費量vs.T)。水素消費量は、Ar(90.0体積%)とH(10.0体積%)とから構成される還元性雰囲気下で混合酸化物を10℃/分の昇温速度で50℃から900℃まで加熱しながら、熱伝導度型検出器(TCD)を用いて測定される。TmaxはTPR曲線上でTCDのシグナル強度が最大になる温度として定義される。
【0038】
TPR曲線の例が図1及び2に示されている。得られるTPR曲線は、サンプルの温度(x軸)の関数としてのTCDのシグナルの強度(y軸)を示す。これについて、TCDの生のシグナルは負であるため、TPR曲線が最大値を有する少なくとも1つのピークを含むように、生のシグナルの逆をプロットするのが標準的である。Tmaxは、水素の取り込みが最大になる温度に対応する(TPR曲線のピーク)。
【0039】
max及びVH2の測定は、Micromeritics Autochem 2920装置を用いて行うことができる。
【0040】
1100℃の空気中で4時間焼成した後、混合酸化物は、最大530℃、より具体的には最大500℃の最大還元可能温度(Tmax)を示す。Tmaxは、通常、少なくとも400℃、より具体的には少なくとも460℃、更には具体的には少なくとも490℃である。Tmaxは、460℃~530℃、より具体的には460℃~500℃、更に具体的には490℃~530℃に含まれ得る。Tmaxは、490℃~500℃に含まれ得る。一般的に言えば、本発明の混合酸化物は50℃~550℃の範囲内に単一のピークを示す。
【0041】
この方法により、200℃~800℃の水素の総消費量(又は水素の取り込み)を決定することも可能である(VH2と表される)。VH2は、ベースラインからの水素シグナルの失われた表面積から計算される。1100℃の空気中で4時間焼成した後、本発明の混合酸化物は、混合酸化物1g当たり少なくとも17.0mLの水素総消費量を示し得る。VH2は、17.0~25.0mL/gの範囲であってもよい。この体積は標準状態(20℃;1bar)で表される。
【0042】
本発明の混合酸化物は、1000℃の空気中で4時間焼成した後、0.20~0.40mL/g、好ましくは0.30~0.40mL/gの総細孔容積(TPV)によっても特徴付けることができる。総細孔容積は、通常のNポロシメトリーによって測定される。TPVの測定は、Tristar II 3020装置によって行うことができる。この完全に自動化された装置により、N吸着の技術を使用して固体材料の高品質な空隙率測定値を得ることができる。
【0043】
本発明の混合酸化物は、立方晶系又は正方晶系の結晶構造によっても特徴付けることができ、好ましくは固有の相を示す。結晶構造は、通常のX線回折技術によって測定される。
【0044】
本発明の混合酸化物は、Zr及びCeの塩化物、析出及び硫酸塩アニオンの添加のために使用される塩基としてのNaOHを含む、以下に開示のプロセスによって調製することができる。そのようなプロセスにより、混合酸化物中に少量のSO 2-、Na、及びClを含む混合酸化物を得ることが可能である。混合酸化物中のNaの量は、150ppm未満、より具体的には100ppm未満であってもよい。この量は、10ppm~150ppm、より具体的には20ppm~150ppm、更に具体的には20ppm~100ppmに含まれていてもよい。
【0045】
混合酸化物中のClの量は、100ppm未満、より具体的には50ppm未満であってもよい。この量は、1ppm~100ppm、より具体的には1ppm~50ppm、更に具体的には5ppm~50ppmに含まれていてもよい。
【0046】
混合酸化物中のSO 2-の量は、200ppm未満、より具体的には150ppm未満、更に具体的には100ppm未満であってもよい。この量は、5ppm~200ppm、より具体的には5ppm~150ppm、更に具体的には5ppm~100ppmに含まれていてもよい。Na、Cl、及び硫酸塩の量は、全体としての混合酸化物に対する重量(ppm)で示される。
【0047】
本発明は、より具体的には、ジルコニウム、セリウム、ランタン、鉄、任意選択的なセリウム以外且つランタン以外の少なくとも1種の希土類元素、並びに任意選択的なハフニウムの酸化物の組み合わせからなるかこれらから本質的になる混合酸化物であって、
・18.0重量%~45.0重量%のセリウム;
・1.0重量%~15.0重量%のランタン;
・最大15.0重量%の、セリウム以外且つランタン以外の希土類元素(RE);
・0.05重量%~0.25重量%、より具体的には0.05重量%~0.20重量%、更に具体的には0.05重量%~0.15重量%の鉄;
・0重量%~2.5重量%、より具体的には0重量%~2.0重量%のハフニウム;
・ジルコニウムとしての残部;
の組成を有し、
1100℃の空気中で4時間焼成した後に、以下の特性:
・少なくとも25m/g、より具体的には少なくとも26m/g、より具体的には少なくとも28m/g、更に具体的には少なくとも30m/gのBET比表面積;
・最大530℃、より具体的には最大500℃の最大還元可能温度(Tmax);
を示す、混合酸化物に関する。
【0048】
表現「から本質的になる」は、必須元素に加えてその他の元素の存在を許容するが、特許請求される組成物の本質的特徴が前記その他の元素の存在によって実質的な影響を受けないことを条件とするものとして解釈される。既に開示した全ての技術的特徴及び実施形態は、特に上で開示した組成物C1、C2、及びC3について、そのように開示されたものがこの混合酸化物にも適用される。
【0049】
本発明による混合酸化物の使用に関しては、これは、自動車汚染防止触媒反応の分野内に入る。本発明による混合酸化物は、その役割が自動車排ガスを処理することである、触媒コンバーターの製造に使用され得る。触媒コンバーターは、混合酸化物から調製され、そして固体支持体上に堆積した触媒活性コーティング層を含む。コーティング層の役割は、化学反応によって、排ガスのある種の汚染物質、特に一酸化炭素、非焼却炭化水素、及び窒素酸化物を、環境に対して害が少ない生成物へ変換することである。
【0050】
関与する化学反応は、次のものの可能性がある:
2CO+O→2CO
2NO+2CO→N+2CO
4C+(4x+y)O→4xCO+2yH
【0051】
固体支持体は、金属モノリス、例えばFeCr合金であってもよいし、又はセラミック製であってもよい。セラミックは、コーディエライト、炭化ケイ素、アルミナチタネート又はムライトであってもよい。一般に使用される固体支持体は、多孔性壁を有する多数の小さい平行チャネルを含む、一般に円筒形の、モノリスからなる。このタイプの支持体は多くの場合、コーディエライトからできており、高い比表面積と限定された圧力降下との折衷を示す。
【0052】
一般に「ウォッシュコート」として知られるコーティング層は、固体支持体の表面に堆積される。コーティング層は、少なくとも1種の無機物質と混合された混合酸化物を含む組成物から形成される。無機物質は、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、スピネル、ゼオライト、ケイ酸塩、結晶性ケイ素-アルミニウムリン酸塩、及び結晶性リン酸アルミニウムからなる群から選択することができる。組成物はまた、各配合剤に固有の他の添加剤:HS捕捉剤、コーティングを容易にするという役割を有する有機又は無機変性剤、コロイド状アルミナなどを含むこともできる。コーティング層はしたがって、そのような組成物を含む。アルミナは、一般に用いられる無機物質であり、このアルミナが、バリウムなどの、例えばアルカリ土類金属で、任意選択的にドープされることが可能である。コーティング層は、少なくとも1種の分散されたPGMも含んでいてもよく、これは、より具体的にはPt、Rh、又はPdからなる群において選択される。PGMの量は、通常ft単位で表されるモノリスの体積に対して1~400gである。貴金属は触媒活性である。
【0053】
PGMを分散させ、触媒を調製する1つの方法は、PGMの塩の水溶液と、混合酸化物又は無機物質又は混合酸化物と無機物質とから形成された混合物の水性懸濁液とを混合すること;混合物を乾燥させて水を部分的又は全体的に除去し、空気中で固体を焼成すること;からなる。この塩は、例えば、貴金属の塩化物又は硝酸塩(例えば実施例中のRhIII硝酸塩)であってもよい。貴金属を固定するために、水が懸濁液から除去され、固体は乾燥させられ、これは、通常300~800℃の温度で空気中で焼成される。触媒調製の例は、米国特許第7,374,729号明細書の実施例1の中で見ることができる。
【0054】
コーティング層は、固体支持体への懸濁液の塗布によって得られる。その結果、コーティング層は触媒活性を示し、汚染防止触媒として機能し得る。汚染防止触媒は、内燃エンジンからの排ガスを処理するために使用され得る。本発明の触媒系及び混合酸化物は、最終的に、酸化環境中でさえも、NOトラップとして、又はNOの還元を促進するために使用され得る。
【0055】
このため、本発明はまた、コーティング層が上に記載されているとおりである、コーティング層を含む触媒コンバーターを用いることを特徴とする内燃エンジンからの排ガスの処理方法にも関する。
【0056】
本発明の混合酸化物の具体的な利点は、触媒上のPGMの分散物が十分且つ均一に分散されることである。
【0057】
本発明の混合酸化物の調製方法
本発明の混合酸化物は、以下の工程を含む以下の方法によって調製することができる:
(a1)硫酸塩アニオン(SO 2-)と、塩化ジルコニウム塩と、塩化セリウム(III)とを含む水溶液を、水酸化ナトリウムの塩基性水溶液が入っている撹拌されているタンクの中に入れて析出物を形成する工程;
(b1)次いで、塩化鉄(III)の水溶液と、任意選択的なセリウムとランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1種の塩を、撹拌されているタンクの中に入れる工程;
(c1)工程(b1)の終わりに得られた析出物を液体媒体から分離し、SO 2-、Na、及びClの量を減らすために水の中に入れて再パルプ化する工程;
(d1)工程(c1)の終わりに得られた析出物を水性媒体中で加熱する工程;
(e1)析出物の懸濁液にランタン塩を添加する工程;
(f1)工程(e1)の終わりに得られた混合物に有機テクスチャー付与剤を添加する工程;
(g1)工程(e1)の終わりに得られた固体材料を液体媒体から分離し、空気中で焼成する工程。
【0058】
工程(a1)では、硫酸塩アニオン(SO 2-)、塩化ジルコニウム塩、及び塩化セリウム(III)を含む水溶液(簡潔にするためにCZR溶液と示される)が、水酸化ナトリウムの塩基性水溶液が入っているタンクの中に入れられて析出物が形成される。塩化ジルコニウム塩はZrOClであってもよい。
【0059】
CZR溶液は、ジルコニウム及びセリウムの元素1モルあたり、0.5~2.0モルの硫酸塩アニオン(SO 2-)を含有する。このモル比SO 2-/(Zr+Ce)は、好ましくは0.7~1.5の範囲内である。硫酸塩アニオンは、硫酸の添加によって簡便に供給される。
【0060】
CZR溶液は、不活性ガスで予め脱気することができる。これは、水溶液の上に不活性ガスを循環させることによって、又は不活性ガスをCZR溶液に注入してCZR溶液中で不活性ガスの飽和に到達させることによって、行うことができる。「不活性ガス」は、プロセスで使用される条件下で反応物と反応しない気体である。不活性ガスは、例えば窒素やアルゴンのような無酸素雰囲気であってもよい。注入は、不活性ガスをCZR溶液の中に吹き込むことであってもよい。
【0061】
塩基性溶液中のNaOHの量は、塩基性溶液のpHが7以上になるような量であり、好ましい量はpHが7.0~11.0になるような量である。NaOHの量は、通常、Zr、Ce、及びREに対してモル過剰の塩基性化合物が存在するような量である。約10重量%のNaOHの水溶液を都合よく使用することができる。
【0062】
工程(a1)の反応は、好ましくは、不活性雰囲気下で、特に閉鎖反応器又は半閉鎖反応器のいずれかで行われる。接触は、通常は撹拌されている反応器の中で行われる。工程(a1)は、5℃~50℃に含まれる温度で行うことができる。
【0063】
工程(b1)では、塩化鉄の水溶液と、任意選択的なセリウムとランタン以外の希土類元素(RE)の少なくとも1種の塩とがタンクの中に入れられる。REの塩は、例えば、硝酸プラセオジム、硝酸ネオジム、塩化イットリウム(III)(YCl)、又は硝酸イットリウム(Y(NO)などの硝酸塩又は塩化物であってもよい。水溶液は、希土類元素の1種以上の塩も含んでいてもよい。
【0064】
工程(c1)では、工程(b1)の終わりに得られた析出物は、液体媒体から分離され、SO 、Na、及びClの量を減らすために水の中に入れられて再パルプ化される。分離は、例えば、ヌッチェフィルターを用いて、遠心分離により、又はデカンテーションにより行うことができる。析出物は、任意選択的に水で洗浄されてもよい。洗浄は、固体析出物中の、及びその結果として最終混合酸化物中のSO 2-、Na、及びClイオンの量を減らすために使用される。更に、析出物は、特に40℃~80℃に含まれる温度で任意選択的に乾燥されてもよい。
【0065】
工程(d1)では、工程(c1)の終わりに得られた析出物が、水性媒体中で加熱される。この熱処理は、媒体を加熱し、通常60℃~200℃、より具体的には95℃~150℃に含まれる温度に維持することからなる。この処理の継続時間は1時間~4時間であってもよい。熱処理の例は、懸濁液を97℃で1時間エージングする実施例に開示されている。この処理は、不活性雰囲気下で行うこともでき、工程(a)のこの雰囲気に関する説明はここでも同様に適用される。同様に、処理は撹拌されている反応器の中で行うことができる。熱処理後、固体材料は水で洗浄されてもよい。洗浄は、固/液分離あり又はなしで様々な方法で行われ得る。そのため、これは、例えばフロンタル濾過、沈降、又は遠心分離により、固体粒子を液相から分離することによって行われ得る。得られた固体は、次いで、水相に再懸濁される。このプロセスは、タンジェンシャル濾過によっても行うことができる。この洗浄は、必要に応じて、例えば懸濁液の所定の導電率が得られるまで任意選択的に繰り返すことができ、導電率は、この懸濁液に存在する不純物の量を測定する。
【0066】
工程(e1)では、特に液体又は固体形態のランタン塩を、工程(d1)の終わりに得られた混合物に添加することができる。硝酸ランタンを都合よく使用することができる。
【0067】
工程(f1)では、工程(e1)の終わりに得られた混合物に有機テクスチャー付与剤が添加される。有機テクスチャー付与剤は、混合酸化物の多孔質構造、特にはメソ多孔質構造を制御することができる界面活性剤などの有機化合物を指す。「メソ多孔質構造」という用語は、「メソ細孔」という用語により説明される、2~50nmに含まれる直径を有する細孔を含む無機構造を指す。有機テクスチャー付与剤は、溶液又は懸濁液の形態で添加することができる。焼成工程(g1)後に得られる混合酸化物の重量に対する添加剤の重量パーセントとして表される有機テクスチャー付与剤の量は、通常5~100重量%、より具体的には15~60重量%である。
【0068】
有機テクスチャー付与剤は、好ましくは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、カルボン酸及びそれらの塩、並びにカルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型の界面活性剤からなる群の中で選択される。この添加剤に関して、出願国際公開第98/45212号パンフレットの教示が参照されてもよく、この公文書に記載されている界面活性剤が使用されてもよい。アニオン型の界面活性剤として、エトキシカルボキシレート、エトキシル化脂肪酸、サルコシネート、ホスフェートエステル、アルコールサルフェートなどのサルフェート、アルコールエーテルサルフェート及びサルフェート化アルカノールアミドエトキシレート、並びにスルホスクシネート、及びアルキルベンゼン又はアルキルナフタレンスルホネートなどのスルホネートを挙げることができる。非イオン性界面活性剤として、アセチレン系界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルカノールアミド、アミンオキシド、エトキシル化アルカノールアミド、長鎖エトキシル化アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのコポリマー、ソルビタン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセリルエステル及びそれらのエトキシル化誘導体、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシル化オイル及びアルキルフェノールエトキシレートを挙げることができる。銘柄Igepal(登録商標)、Dowanol(登録商標)、Rhodamox(登録商標)及びAlkamide(登録商標)の下で販売される製品が特に挙げることができる。カルボン酸に関しては、特に、脂肪族モノカルボン酸又はジカルボン酸及び、これらの中でも、より特に飽和酸を使用することが可能である。脂肪酸、より特に飽和脂肪酸がまた使用されてもよい。したがって、特に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸を挙げることができる。ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を挙げることができる。
【0069】
カルボン酸の塩、特にアンモニウム塩がまた使用されてもよい。例として、より具体的にはラウリン酸及びラウリン酸アンモニウムを挙げることができる。
【0070】
最後に、カルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型のものから選択される界面活性剤を使用することも可能である。表現「カルボキシメチル化脂肪族アルコールエトキシレート型の生成物」は、鎖の末端にCH-COOH基を含むエトキシル化又はプロポキシル化脂肪アルコールからなる生成物を意味することを意図する。
【0071】
これらの生成物は、式:
-O-(CR-CR-O)-CH-COOH
(式中、Rは、その長さが一般に最大でも22個の炭素原子、好ましくは少なくとも12個の炭素原子である飽和又は不飽和の炭素ベースの鎖を意味し;R、R、R及びRは、同一であってもよく、水素を表してもよく、或いはRは、アルキル基、例えば、CH基を表してもよく、R、R及びRは水素を表し;nは、最大でも50、より特には5~15であってもよいゼロではない整数であり、これらの値は含まれる)
に相当してもよい。界面活性剤は、Rが、それぞれ、飽和若しくは不飽和であってもよい上式の生成物の混合物、又は代わりに-CH-CH-O-及び-C(CH)-CH-O-基の両方を含む生成物の混合物からなってもよいことが留意される。
【0072】
工程(f1)では、工程(e1)の終わりに得られた固体材料が液体媒体から分離され、空気中で焼成される。分離は、工程(b1)と同様に行うことができる。固体材料は、任意選択的には、水溶液、好ましくは塩基性のpHを有する水、例えばアンモニア水溶液で洗浄されてもよい。更に、析出物は、任意選択的に適切な程度まで乾燥されてもよい。その温度は、500℃~1200℃に含まれ得る。温度の選択は、比表面積及びかさ密度の必要とされる値に応じて、必要に応じて行うことができる。焼成の継続時間は、温度に応じて適切に決定することができ、好ましくは1~20時間であってもよい。焼成は、好ましくは、750℃~900℃に含まれる温度で行うことができる。
【0073】
本発明の混合酸化物は、より具体的には、反応物の性質及び量を調整して、実施例2及び3で示される処方によって調製することができる。本発明は、上で開示した方法により得られる混合酸化物にも関する。
【実施例
【0074】
比表面積(BET)
比表面積は、Flowsorb II 2300上で自動的に決定される。いずれの測定の前にも、サンプルを注意深く脱気して吸着種を脱離させる。そのために、サンプルを200℃のストーブ中で2時間、次いで300℃の装置のセルの中で15分間加熱することができる。
【0075】
ポロシメトリー
TPVは、Nポロシメトリーによって決定される。Micromeriticsの装置Tristar II 3020は、製造者の推奨に従って使用される。Harkins & Jura等温線を用いるBJH法が使用される。
【0076】
TPR
混合酸化物又は触媒の還元性は、水素の消費量を測定することによって決定される。水素消費量は、Ar(90.0体積%)とH(10.0体積%)とから構成される還元性雰囲気下で、サンプルを10℃/分の昇温速度で50℃から900℃まで加熱しながら、熱伝導度型検出器(TCD)を用いて測定される。測定は、Micromeritics Autochem 2920装置を用いて行われる。水素の取り込み(VH2)は、水素シグナル(TCDより)からベースラインまでの失われた面積から計算される。VH2は、200℃~800℃の温度について測定される。TPRのために使用されるベースラインは式y=y0の直線に対応し、このy0は50℃でのシグナルの強度である。
【0077】
Rhを含む触媒の調製(ロジウムの含有量:0.1重量%)
触媒は、以下の工程を含むプロセスによって調製される:混合酸化物にロジウム硝酸塩水溶液を湿式含浸させること;水を部分的に又は完全に除去するために乾燥し、空気中で500℃で4時間焼成すること。触媒1及び2は、実施例1(鉄を含まない比較)及び2(本発明)の混合酸化物の含浸にそれぞれ対応する。
【0078】
その後、触媒を、以下の交互の雰囲気中で1000℃で6時間エージングした:
・ 2.7体積%のO/10.0体積%のHO/残部のNからなり、90秒間適用される雰囲気A1;続いて
・ 2.7体積%のCO/10.0体積%のHO/残部のNからなり、更に90秒間適用される雰囲気A2;
・ 交互の雰囲気A1-A2のサイクルは、全体で6時間の前記エージングの間繰り返される。
【0079】
比較例1:FeClを含まないプロセスで調製された混合酸化物
この実施例は、40重量%、50重量%、5重量%、5重量%の酸化物のそれぞれの割合でセリウム、ジルコニウム、ランタン、及びイットリウムに基づく組成物を調製することを目的としている。調製は、傾斜ブレードを有する撹拌機を備えた約300リットルの反応器の中で行った。
【0080】
最初に42.8Lの脱イオン水(DIW)と16.71LのCeCl水溶液([Ce]=1.53mol/L、d1.33)を混合し、これに15.43kgのZrOCl水溶液(36.2重量%のZrO)を添加することにより、水溶液を調製した。この溶液に、37.25LのHSO水溶液(8.77重量%;密度1.05)を添加した。
【0081】
硫酸を添加した後、溶液を2時間混合したままに保った。析出は、得られた水溶液を、100LのNaOH水溶液(10.8重量%;密度1.099)が予め入れられている沈殿槽の中に50分かけて移すことによって引き起こされる。析出中の撹拌速度は220rpmであった。
【0082】
最終酸化物中で5%のYの目標割合にするのに必要な量を含む1.7mol/Lの塩化イットリウムの水溶液を、沈殿槽に迅速に入れた。
【0083】
SO 2-、Na、及びClの量を減らすために(各イオンについて200ppm未満)、濾過及び水中での再パルプ化によってスラリーを水で洗浄した。100g固体/Lで水中で再パルプ化した後、スラリーを97℃で1時間エージングした。
【0084】
エージング後、最終酸化物中で5%のLaの目標割合にするのに必要な量を含む2.0mol/Lの硝酸ランタンの水溶液を、反応混合物の中に迅速に入れた。
【0085】
次いで、3.63kgのラウリン酸を1時間撹拌しながら添加した。その後、懸濁液を濾過し、得られたケーキを800℃の空気中で3時間焼成することで、混合酸化物を得た。
【0086】
得られた混合酸化物は以下の特性を示す:
BET比表面積(1000℃/4h)=61m/g
BET比表面積(1100℃/4h)=31m/g
1100℃の空気中で4時間焼成後:Tmax=578℃
1100℃の空気中で4時間焼成後:VH2=15.2mL/g
TPV(1000℃/4h)=0.24mL/g
【0087】
実施例2:本発明の方法を用いて調製された混合酸化物
この実施例は、比較例1と同じ装置を使用して、40重量%、49.9重量%、5重量%、5重量%、0.1重量%の酸化物のそれぞれの割合でセリウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、及び鉄に基づく組成物を調製することを目的としている。
【0088】
最初に42.8LのDIWと16.71LのCeCl水溶液([Ce]=1.53mol/L、密度1.33)を混合し、これに15.40kgのZrOCl水溶液(36.2重量%のZrO)を添加することにより、水溶液を調製した。この溶液に、37.25LのHSO水溶液(8.77重量%;d1.05)を添加した。
【0089】
硫酸を添加した後、溶液を2時間混合したままに保った。析出は、得られた水溶液を、100LのNaOH水溶液(10.8重量%;d1.099)が予め入れられている沈殿槽の中に50分かけて移すことによって引き起こされる。析出中の撹拌速度は220rpmであった。
【0090】
最終酸化物中で5重量%のY及び0.1重量%のFeの目標割合にするのに必要な量を含む1.7mol/Lの塩化イットリウムと塩化鉄(III)を含む水溶液を、沈殿槽に迅速に入れた。
【0091】
SO 2-、Na、及びClの量を減らすために(各イオンについて200ppm未満)、濾過及び水中での再パルプ化によってスラリーを洗浄した。100g固体/Lで水中で再パルプ化した後、スラリーを97℃で1時間エージングした。
【0092】
エージング後、最終酸化物中で5重量%のLaの目標割合にするのに必要な量を含む2.0mol/Lの硝酸ランタンの水溶液を、反応混合物の中に迅速に入れた。
【0093】
次いで、3.63kgのラウリン酸を1時間撹拌しながら添加した。その後、懸濁液を濾過し、得られたケーキを800℃の空気中で3時間焼成することで、混合酸化物を得た。
【0094】
混合酸化物は以下の特性を示す:
Naの割合:91ppm;Clの割合:<20ppm;硫酸塩の割合:<150ppm
BET比表面積(1000℃/4h)=58m/g
BET比表面積(1100℃/4h)=26m/g
1100℃の空気中で4時間焼成後:Tmax=498℃
TPV(1000℃/4h)=0.34mL/g
【0095】
実施例3:本発明の方法を用いて調製された混合酸化物
この実施例は、比較例1と同じ装置を使用して、30重量%、59.9重量%、10重量%、及び0.1重量%の酸化物のそれぞれの割合でセリウム、ジルコニウム、ランタン、及び鉄に基づく組成物を調製することを目的としている。
【0096】
最初に44.6LのHOと12.53LのCeCl水溶液([Ce]=1.53mol/L、d1.33)を混合し、これに18.49kgのZrOCl(36.2重量%のZrO)水溶液を添加することにより、水溶液を調製した。この溶液に、38.55LのHSO水溶液(8.77重量%;密度1.05)を添加した。
【0097】
硫酸を添加した後、溶液を2時間混合したままに保った。析出は、得られた水溶液を、100LのNaOH水溶液(10.8重量%;d1.099)が予め入れられている沈殿槽の中に50分かけて移すことによって引き起こされる。析出中の撹拌速度は220rpmであった。
【0098】
最終酸化物中で0.1%のFeの目標割合にするのに必要な量を含む1.7mol/Lの塩化鉄(III)を含む溶液を、沈殿槽に迅速に入れた。
【0099】
SO 2-、Na、及びClの量を減らすために(各イオンについて200ppm未満)、濾過及び水中での再パルプ化によってスラリーを洗浄した。100g固体/Lで水中で再パルプ化した後、スラリーを97℃で1時間エージングした。
【0100】
エージング後、最終酸化物中で10重量%のLaの目標割合にするのに必要な量を含む2.0mol/Lの硝酸ランタンの水溶液を、反応混合物の中に迅速に入れた。
【0101】
次いで、3.63kgのラウリン酸を1時間撹拌しながら添加した。その後、懸濁液を濾過し、得られたケーキを800℃の空気中で3時間焼成することで、混合酸化物を得た。
【0102】
混合酸化物は以下の特性を示す:
Naの割合:50ppm;Clの割合:<20ppm;硫酸塩の割合:<150ppm
BET比表面積(1000℃/4h)=45m/g
BET比表面積(1100℃/4h)=30m/g
1100℃の空気中で4時間焼成後:Tmax=516℃
1100℃の空気中で4時間焼成後:VH2=18.9mL/g
TPV(1000℃/4h)=0.27mL/g
【0103】
理解されるように、実施例2及び3の混合酸化物は、比較例1の混合酸化物(Tmax=578℃)よりも低いTmax(それぞれTmax=498℃及び516℃)を示す。図1及び2の破線の曲線も参照されたい。本発明の混合酸化物については、Tmax≦530℃、より具体的にはTmax≦500℃である。
【0104】
実施例4:触媒のエージング
触媒1及び2を、過酷な条件(1000℃;6時間のリーン/リッチ条件)でエージングした。図1及び図2の完全な曲線から分かるように、触媒上にRhが存在すると、Tmaxも低くなり、Hの消費量も多くなる。
【0105】
鉄を含む触媒2(=Fe+Rh)については、Hの消費のピークがより狭いことも観察することができる。これは、混合酸化物の均一系触媒部位に十分に分散されているRhの特徴である。これにより、触媒表面上へのOの吸着性が確実に向上するため、より迅速且つより多い酸素供給により触媒活性が高められるはずである。
【0106】
本開示の方法により調製された混合酸化物の別の実施例を表Iに示す。
【0107】
図1
図2