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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】統合測定システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021527936
(86)(22)【出願日】2019-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 IL2019051253
(87)【国際公開番号】W WO2020105036
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】263106
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】515037896
【氏名又は名称】ノヴァ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVA LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】ドータン・エラッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンホツケル・モシェ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロヴ・シモン
(72)【発明者】
【氏名】デイフ・ヴァレリ
(72)【発明者】
【氏名】リンゲル・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】シュルマン・ベニ
(72)【発明者】
【氏名】バル・オン・ヨシ
(72)【発明者】
【氏名】バッサン・シャハル
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-537455(JP,A)
【文献】特表2004-513509(JP,A)
【文献】特開2000-114166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0150820(US,A1)
【文献】特表2020-501358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278942(US,A1)
【文献】特表2003-524748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に対して光測定を適用する,処理設備と統合するように構成される測定システムであって,
測定下の構造物を測定面に保持する支持アセンブリであって,上記測定面に平行な面内において回転しかつ上記測定面内の第1の横軸に沿って移動するように構成されかつ動作する支持アセンブリと,
垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームのそれぞれに照明光チャネルおよび収集光チャネルを規定する光学系であって,上記照明光チャネルおよび収集チャネルに配置される少なくとも第1から第3の3つのレンズ・ユニットを備える光学ヘッドを備える光学系と,
上記光学ヘッドを移送する支持ユニット,および上記第1の横軸に垂直な第2の横軸に沿って延びる経路に沿って上記支持ユニットのスライド移動を案内するように構成されかつ動作する案内ユニットを備えるホルダ・アセンブリと,
上記測定面から所定距離にある上記光学ヘッドの間に配置されたフェースプレートに形成される少なくとも第1から第3の3つの光学窓を備える光学窓配置とを備え,
第1のレンズ・ユニットおよび第1の光学窓が,垂直光学測定スキームの照明光チャネルおよび収集光チャネルに対応づけられており,
第2のレンズ・ユニットおよび第2の光学窓が,斜め光学測定スキームの照明光チャネルに対応付けられており,
第3のレンズ・ユニットおよび第3の光学窓が,斜め光学測定スキームの収集光チャネルに対応づけられており,
上記第1から第3の少なくとも3つの光学窓が間隔をあけて平行関係で配置されておりかつ上記経路に平行に延びており,上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームにしたがう上記光学ヘッドからの照明光の伝播および照明領域から上記光学ヘッドに戻る光の伝播のために上記照明光チャネルおよび収集チャネルとそれぞれ位置合わせされている,
測定システム。
【請求項2】
上記光学系の動作を垂直光学測定スキームおよび斜め光測定スキーム間で制御可能にシフトするように構成されかつ動作するコントローラをさらに備えている,請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
上記支持アセンブリの回転動作を駆動し,かつ上記支持アセンブリおよび上記ホルダ・アセンブリの上記支持ユニットの上記第1および第2の横軸のそれぞれに沿う移動を駆動するように構成されかつ動作するナビゲーション移動システムをさらに備えている,請求項1または2に記載の測定システム。
【請求項4】
上記光学系が,上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームの照明チャネルに光学的に結合される共通照明アセンブリ,ならびに上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームのそれぞれの収集チャネルに収納される個別検出デバイスを備えている,請求項1から3のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項5】
上記収集チャネルのそれぞれが,収集された反射戻り光を空間的に分離された撮像チャネルおよび測定チャネルに導光するように構成されている,請求項1から4のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項6】
上記収集チャネルのそれぞれが,収集された光を撮像光部分および測定光部分に空間的に分離し,これらを撮像チャネルおよび測定チャネルを通じて伝播するように導光するピンホール・ミラー装置を備えている,請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
上記撮像チャネルおよび測定チャネルが撮像装置および測定検出装置に光学的に結合されている,請求項6に記載の測定システム
【請求項8】
上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームのそれぞれの上記測定チャネルが同じ分光検出器に光学的に結合されている,請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
上記少なくとも第1から第3の3つのレンズ・ユニットのそれぞれが,対物レンズ・ユニットを備えている,請求項1から8のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項10】
上記対物レンズ・ユニットが低色収差のものである,請求項9に記載の測定システム。
【請求項11】
上記光学系が,上記照明光チャネルおよび収集チャネルの少なくとも一方に配置された少なくとも一つの偏光子を含む偏光アセンブリを備えている,請求項1から10のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項12】
上記偏光アセンブリが上記光学ヘッド内に配置されており,かつ上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームの照明光チャネルおよび収集光チャネルのそれぞれに配置された3つの偏光子を備えている,請求項11に記載の測定システム
【請求項13】
上記少なくとも第1から第3の3つの光学窓がそこを通過する光の偏光を維持するように構成されている,請求項1から12のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項14】
上記少なくとも第1から第3の3つの光学窓のそれぞれが,その長さに沿って実質的に均一な厚さを有しており,上記長さは上記厚さより少なくとも2桁長い,請求項1から13のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項15】
上記少なくとも第1から第3の3つの光学窓のそれぞれの厚さが数ミリメートルである,請求項14に記載の測定システム。
【請求項16】
上記フェースプレートが,第1の光学窓が作成される平面ファセットと,残りの第2および第3の2つの光学窓が作成される上記平面ファセットの両反対側の2つの傾斜側面ファセットを有しており,上記第1から第3の光学窓のそれぞれが,それぞれのレンズ・ユニットの光軸に対して90度の向きの平面内に配置されている,請求項1から15のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項17】
ナビゲーション移動システムが,上記案内ユニットの案内レールに沿って上記ホルダ・アセンブリの上記支持ユニットのスライド移動を駆動するように構成されかつ動作する駆動アセンブリを備えている,請求項3から16のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項18】
上記駆動アセンブリがリニア磁気モータを備えている,請求項17の測定システム。
【請求項19】
上記リニア磁気モータが,可動磁石および静止コイル・アセンブリを備えている,請求項18に記載の測定システム。
【請求項20】
上記支持アセンブリが,上記光学ヘッドに対して上記測定面の位置を制御する駆動機構によって構成されかつ動作する,請求項1から19に記載の測定システム。
【請求項21】
上記駆動機構がダブル・ウェッジ・エンジンを備え,これによって上記第1の軸に沿う上記測定システムの寸法が低減される,請求項20に記載の測定システム。
【請求項22】
構造物に対して光測定を適用する,処理設備と統合するように構成される測定システムであって,
測定面を規定し,測定面内に測定下の構造物を保持する支持アセンブリであって,x-シータ・ステージとして構成されかつ動作する支持アセンブリと,
垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームを構成する光学系であって,光学ヘッド,および光源からの入射光を上記光学ヘッドに導光しかつ上記光学ヘッドによって収集された収集光を検出システムに導光する,少なくとも第1から第3の3つの導光素子を備える光学系,
y軸に沿う上記光学ヘッドのスライド移動を案内するyステージとして構成されかつ動作するホルダ・アセンブリと,
上記光学ヘッドと上記測定面との間において上記測定面から所定の距離に配置されるフェースプレート中に作成される少なくとも第1から第3の3つの光学窓を備え,
第1の導光素子および第1の光学窓が,垂直光学測定スキームにおける上記入射光および上記収集光に対応づけられており,
第2の導光素子および第2の光学窓が,斜め光学測定スキームにおける上記入射光に対応付けられており,
第3の導光素子および第3の光学窓が,斜め光学測定スキームにおける上記収集光に対応づけられており,
上記第1から第3の少なくとも3つの光学窓が間隔をあけて平行関係で配置されておりかつy軸に沿って延びており,上記垂直光学測定スキームおよび斜め光学測定スキームにしたがう上記光学ヘッドからの光の伝播および照明領域から光学ヘッドに戻る光の伝播を提供する光学窓配置と,
を備えている,測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は測定技術分野のもので,特に半導体産業に有用な統合測定/監視システムに用いられる光測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造は多段階プロセスから構成され,生産ライン上において進行する連続するウェハに対して製造ステップ間でウェハを測定する必要がある。半導体産業における現在のダウンサイジングのトレンド,および半導体製造中の処理の動的性質(dynamic nature)が,閉ループ制御やフィードフォワード制御といったフィードバックループ応答に対する短時間のリアルタイムに近い測定を提供可能な正確な診断ツールの必要性を高めている。この厳しい要件はリアルタイム応答を提供しないオフライン(「スタンドアローン」)測定システムでは得ることができず,かつ性能が十分に正確ではないのでエンドポイント検出装置などの現場検出装置(in-situ detection devices)によっても提供することはできない。
【0003】
半導体製造工場の生産ライン内に完全な計測機能を備える監視ツールを物理的に実装する統合測定/監視技術が開発されている。統合測定システムは,処理設備の内部に物理的に設置されるまたは処理設備に取り付けられるシステムであり,特定処理に専用のものである。
【0004】
統合測定システムはいくつかの側面を考慮して実行可能にするために特定の要件を満たす必要がある。この要件にはとりわけ次が含まれる。小さな設置面積(フットプリント)であること,すなわち統合測定システムは,処理設備内に物理的に収納するために可能な限り小さな設置面積を持つべきであること(たとえばCMP設備のような処理設備内に設置される,またはロードポートを介して設備フロントエンドモジュール(EFEM)(Equipment Front End Module)に接続される処理設備の環境から(たとえばシールされたエンクロージャーを使用して)測定ユニットを分離すること),高速測定ユニット(たとえば高速位置決め,オートフォーカス,測定),生産プロセスによってバイパスしてオフラインモードで動作するオプションを持つこと等である。
【0005】
NovaScan(登録商標)3090Next,NOVA i500(登録商標)など,本願の譲受人から市販されている,さまざまな統合測定/計測システムが開発されかつ広く使用されている。
【発明の概要】
【0006】
パターン化構造,特に複雑な構造の光学測定のために,垂直(法線)測定スキーム(方式)と斜め測定スキームの両方(both normal and oblique measurement schemes)を使用して光学的限界寸法(optical critical dimension)(OCD)の測定が可能な新しい統合測定システムが当該業界において必要とされている。
【0007】
多くの場合,測定チャネル数を増やすためには,垂直スキームと斜めスキームの両方を使用して光ウェハ計測測定を実行するのが好ましい。実際,垂直および斜め測定スキームを用いた測定は,測定される構造物に関するより完全な情報を提供することができる。
【0008】
計測システムについて検討すると,特に複雑なパターン構造のOCD測定においてはさまざまな測定スキームからの追加情報の提供が重要である。これは,垂直測定スキームを用いた測定と斜め測定スキームを用いた測定が様々な構造パラメータに対して異なる感度を持つことがあるからであり,したがって組み合わせて使用することによって測定下の構造物についての情報量が増加する。さらに,垂直測定スキームと斜め測定スキームを組み合わせると,たとえば,垂直入射スキームにおけるパターンに関する光の偏光面の様々な向きの使用,および/または入射光の様々な方位角の使用など,さらなる測定チャネルの追加が容易になる。
【0009】
この発明は,主にOCD測定用の新規な光統合計測システムを提供するもので,その設計/構成は,一方においては処理設備とともに使用するために十分にコンパクトになるように(設置面積が小さい)最適化され,他方においては垂直測定スキームと斜め測定スキームの両方を備えるように構成され,これらの2つの動作スキームを効果的に切り替えて異なる測定条件を用いた測定ができるようにするものである。上述したように,これらの異なる測定条件には,たとえば斜め入射スキームにおける方位角変動(azimuth variation)および/または垂直入射スキームにおける偏光変動(polarization variation)が含まれる。
【0010】
この発明の統合測定システムは,対称構造,すなわち円盤状構造などの対称軸を有する幾何学的輪郭(geometrical contour)を持つ構造物の測定に有利に使用することができ,計測光学系に対して構造物移送ステージ(the structure-carrying stage)の180度の回転を実施することによって半分ずつ測定することができる。
【0011】
すなわち,この発明による広い実施態様によると,測定システムが提供され,この測定システムは,
測定面内に測定下の構造物を保持する支持アセンブリであって,上記測定面に平行な平面内において回転し,かつ上記測定面内の第1の横軸(a lateral axis in said measurement plane)に沿って移動するように構成されかつ動作する支持アセンブリと,
垂直光学スキームおよび斜め光学スキームの照明および収集光チャネル(illumination and collection light channels)を規定する光学系(光学システム)であって,上記照明および収集チャネルに配置される少なくとも3つのレンズ・ユニットを備える光学ヘッドを備える光学系と,
上記光学ヘッドを支持する支持ユニット,および上記第1の横軸に垂直な第2の横軸に沿って延びる経路に沿って上記支持ユニットのスライド移動を案内(ガイド)するように構成されかつ動作する案内ユニットを備えるホルダ(保持)アセンブリと,
上記測定面から所定距離にある上記光学ヘッドの間に位置するフェースプレートに形成される少なくとも3つの光学窓を備える光学窓配置とを備え,上記窓(複数)が間隔をあけて平行に配置されておりかつ上記経路に平行に延びており,上記光学窓(複数)が,上記垂直および斜め光学スキームにしたがう上記光学ヘッドからの照明光の伝播および照明領域から光学ヘッドへの戻り光の伝播のためにそれぞれ上記照明および収集チャネルと位置合わせ(整列)されている(aligned)ものである。
【0012】
上記測定システムはさらに,上記光学系の動作を垂直および斜め光学スキーム間で制御可能にシフトするように構成されかつ動作するコントローラを含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施態様では,上記測定システムは,上記支持アセンブリの回転動作を駆動し,かつ上記支持アセンブリおよび上記ホルダ・アセンブリの上記支持ユニットの上記第1および第2の横軸のそれぞれに沿う移動を駆動するように構成されかつ動作するナビゲーション動作システムを含む。
【0014】
いくつかの実施態様では,上記光学系は,上記垂直および斜め光学スキームの照明チャネル(複数)に光学的に結合される共通光源と,上記垂直および斜め光学スキームのそれぞれの収集チャネル(複数)に収納される(accommodated)個別検出デバイス(複数)とを含む。
【0015】
いくつかの実施態様では,上記収集チャネルのそれぞれが,収集された反射戻り光(the collected specularly returned light)を空間的に分離された撮像チャネルおよび測定チャネル(imaging and measurement channels)に導光する(方向づける)(directing)ように構成されている。たとえば,上記収集チャネルのそれぞれは,収集された光を撮像光部分および測定光部分(imaging and measurement light portions)に空間的に分離し,これらを撮像チャネルおよび測定チャネルを通じて伝搬するように導光する(方向付ける)ためのピンホール・ミラー装置を含んでもよい。
【0016】
上記撮像チャネルおよび測定チャネルは撮像装置および測定検出装置に光学的に結合されてもよい。これに代えて,上記測定チャネル(複数)は光ファイバ(複数)を含んでもよい。これらの構成のいずれかまたは両方において,上記垂直および斜め光学スキームの測定チャネル(複数)は同じ分光検出器(spectrometric detector)に光学的に結合させてもよい。
【0017】
いくつかの実施態様では,上記光学系の上記光学ヘッドは,上記垂直および斜め光学スキームのそれぞれに配置された少なくとも3つの対物レンズ・ユニット(複数)を含む。上記対物レンズ・ユニット(複数)は低色収差(low chromatic aberrations)のものが好ましい。
【0018】
いくつかの実施態様では,上記光学系は,上記照明チャネルおよび収集チャネルの少なくとも一方に配置された少なくとも一つの偏光子を含む偏光アセンブリを備えている。
【0019】
本書に開示される主題をよりよく理解し,それが実際にどのように実行されるかを例示するために,添付の図面を参照して非限定的な例としてのみの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】処理設備を備える測定/計測システムの統合(集積)の一例の模式図である。
図2】この発明による統合測定/計測システムの構成を概略的に示す。
図3A】この発明の光学系における光学ヘッドを保持するホルダ・アセンブリの具体的な非限定的な構成例を示す。
図3B】この発明の光学系における光学ヘッドを保持するホルダ・アセンブリの具体的な非限定的な構成例を示す。
図3C】この発明の光学系における光学ヘッドを保持するホルダ・アセンブリの具体的な非限定的構成例を示す。
図4A】X軸の動きをZ軸の動きに変換するためにZステージにおいて用いられる標準的なウェッジ設計の原理を示す。
図4B】X軸の動きをZ軸の動きに変換するためにZステージにおいて用いられる標準的なウェッジ設計の原理を示す。
図4C】この発明の測定システムにおける使用に適する,ダブル・ウェッジ・エンジンを利用するZステージの具体的な非限定的構成例を示す。
図4D】この発明の測定システムにおける使用に適する,ダブル・ウェッジ・エンジンを利用するZステージの具体的な非限定的構成例を示す。
図5】垂直動作モードおよび斜め動作モードを持つ光学系の動作のために構成された,この発明の統合測定/計測システムの光学系における光伝搬スキームを示す。
図6A】この発明の例示的な統合測定システムの天面図を概略的に示すもので,上記システムの設置面積内の光学窓およびウェハ(支持アセンブリ)の移動範囲を示す。
図6B】ウェハにおいて測定される複雑なパターン構造の典型的な形状を示すもので,この発明のシステム構成によって斜めモードにおいては多くの利用可能な方位角(パターンごと)が,垂直モードにおいては多くの偏光方位角が測定可能であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述したように,この発明は処理設備によって処理される前または後において構造物に対して光測定を適用する,処理設備と統合するように構成される測定システムを提供する。上記処理設備は一または複数の処理ツールを含むことができ,構造物は上記処理設備の連続するステージを経ることで進行し,そのときに上記測定システムは少なくともいくつかの処理ステージの前または後において上記構造物に測定を適用することができる。上述したように,統合測定システムは上記処理設備の内部に配置されることもあれば,統合測定システムはロードポートを介して設備フロントエンドモジュール(Equipment Front End Module)(EFEM)に接続されることもある。以下の説明では,統合測定/計測システムは処理設備と統合されたものまたは処理設備内で統合されたもの(integrated with or within a processing equipment)として記載され,任意の上述した実現可能な構成をカバーする。
【0022】
これに関連して,図1を参照して,図1は処理設備(processing equipment)PE(たとえば材料除去(CMP,エッチング)装置または堆積(CVD)装置)に統合された測定システム(measurement system)10をブロック図によって例示するものである。この例では,上記処理設備PEは処理/製造ツールおよびこれに関連するEFEMを含む。EFEMは,典型的には対応する数のウェハカセットユニットに関連付けられた複数のロードポートLPと,構造物/ウェハWを上記カセットユニットのロードポートから処理ツールに搬送するロボットR(複数のロボット)を有している。統合測定システム10は,処理設備内たとえば処理ツール・ステーション内に収納され,および/またはEFEM側(カセットステーションと同様にロードポートを有する)に収納され,同じロボットを使用してそれぞれのロードポートLPを介してウェハを測定システム10のホルダまたは支持ステージに搬送することができる。典型的には,上記ホルダ(またはグリッパ/チャック)は構造物ハンドリング・アセンブリの一部である。
【0023】
処理設備の構成および動作,ならびに構造物輸送および保持手段の構成および動作は,この発明の一部を形成しないので,以下の点を除いて具体的に説明する必要はない。上記処理設備PEにおいて構造物に対して行われる処理を制御するために,処理ツールによる処理の後に,および/または処理ツールによる処理の前に,構造物に対して測定が行われ,この制御によって構造物に適用される処理が制御される,すなわち処理ツールの作業パラメータが制御される。すなわち,統合測定システムによって提供される測定データは閉ループプロセス制御に利用することができ,測定が処理の後に行われる場合には特定の処理ツールにフィードバック結果が提供され,および/または上記ツールによって処理される前に構造物に対する測定が行われる場合には,たとえば処理開始時に初期条件を規定するために特定の処理ツールにフィードフォワード結果が提供される。たとえば,処理設備PEは,化学機械研磨(Chemical Mechanical Planarization)(CMP)のものとすることができ,統合計測システム10はCMP後測定(post-CMP measurements)を実行することができ,必要であればCMP前測定(pre-CMP measurements)も実行することができる。
【0024】
次に図2を参照して,図2はこの発明の測定システム100をブロック図によって概略的に示すもので,上記処理設備の処理ツールによって処理される前および/または後に,構造物に対してOCD測定を適用する処理設備(たとえば図1の例に類似するもの)と統合可能に構成されかつ動作可能なものである。上記測定システム100は,測定下の構造物W(すなわち半導体ウェハ)を保持しかつ測定面MPを規定する構造物支持アセンブリ102,光学系(光学システム)104,および光学系104の可動部を保持するホルダ・アセンブリを含む。
【0025】
上記支持アセンブリ102は,上記測定面内の一または複数の軸に沿って移動するように構成される移動ステージ(motion stage)と,上記移動ステージ上に組み立てられた回転可能チャック(rotatable chuck)とを含むことができる。すなわち,一般的には,上記支持アセンブリはr,θステージ(r,θ stage)として構成することができ,適切なドライバ/モータ105によって駆動され,測定面MPに平行な平面内で回転しかつこの平面内の第1の横軸であるX軸に沿って移動する。この動きを上記構造物(ウェハ)上でナビゲートして測定部位に到達させるために用いることができる。
【0026】
上記支持アセンブリ102は上記測定面MPのz軸位置を調整するようにも構成されている。以下により詳細に説明するように,ステージのz軸の位置決めは好ましくはダブル・ウェッジ・エンジン(double-wedge engine)(2枚くさび機関)を用いて行われる。
【0027】
上記光学系104は垂直および斜め光学スキームを規定するように構成されている。上記光学系104は,光源系(光源システム)108および光検出系(光検出システム)110に光学的に結合する光学ヘッド106を含み,かつ照明および光収集チャネル(複数)を規定する光誘導アセンブリ(光方向付けアセンブリ)(たとえば,折り畳みミラー,レンズ等)を備えている。上記光学系は,様々な偏光条件を用いて測定可能な偏光アセンブリ(a polarization assembly)(図示略)を含むこともできる。
【0028】
光源系108および光検出系110のいずれか一方または両方は,上記統合測定システム100内の光学系104の構成(内部)部分として光出力ポートおよび光入力ポートによってそれぞれ構成されてもよいし,照明/検出アセンブリまたはその一部が統合測定システム100の外部に収容されて,光入力および出力ポート(たとえばファイバなどの導光素子によって)に光学的に結合できるようにしてもよいことに留意されたい。すなわち,光源系108および光検出系110をそれぞれ示すブロック108および110のそれぞれは広く解釈されるべきであり,発光体および光感知検出器を含む必要は必ずしもない。
【0029】
上記ホルダ・アセンブリ112は,光学ヘッド106を保持するように構成された支持ユニット(キャリッジ)112A,および上記X軸に直交する第2の横軸であるY軸に沿ってのびる案内レール(図示略)を含む案内ユニット112Bを含む。上記キャリッジ112Aは上記案内ユニット112Bに取り付けられ,駆動ユニット/機構111によって案内レールに沿ってスライド移動するように駆動される。
【0030】
すなわち,ホルダ・アセンブリ112はY軸に沿う光学ヘッド106(光学系104の可動部分)の移動のためのYステージとして実際に構成されかつ動作可能である。上記構造物(ウェハ)はx-θステージ102上を移動する。以下にさらに詳細に説明するように,Yステージ112は,対物レンズのセットおよび必要な場合に偏光子(polarizers)および曲げミラー(bending mirrors)を含む光学ヘッド106を移動させ,上記光源からの光線を対物レンズおよびウェハに向かわせ,かつ戻すように動作する。
【0031】
いくつかの実施態様では,測定下の構造物は,所定の横方向寸法を有する対称構造物であり,たとえば所定の直径を有する円盤状の構造物(たとえば半導体ウェハ)である。Y軸に沿う光学ヘッド106の移動距離yは,構造物の寸法,ウェハ直径であればたとえば300mmまでとすることができる。x軸に沿う移動距離(すなわちナビゲーション移動中)は構造物の約半分の寸法,たとえばウェハの半径であるたとえば150mmとすることができ,ステージ回転角Qは0~180度の範囲とすることができる。これについては図6Aを参照して以下でさらに説明する。
【0032】
システム100はまた,光ヘッド106からの,および光ヘッド106への光が伝搬するように適切に構成された光学窓配置(optical window arrangement)114を含む。この光学窓配置114は,上記ホルダ・アセンブリ112(その上に光学ヘッド106を備える)と測定面MP(ウェハ面)との間のプレート/エンクロージャー/フレーム(いわゆるフェースプレート)115に形成される。上記光学窓配置114を備えるフェースプレート115は光学ヘッドの入力/出力光面を表す。
【0033】
上記光学窓配置114は可動部品(光学ヘッド106)を構造物から密閉するように設計されている。上記光学窓配置114は3つの光学窓OW,OW,OWを含み,これらは細長く,Y軸に沿って延び,上記照明および収集チャネルに配置されるフェースプレート115中に間隔をあけて平行関係で配置される。上記光学窓配置114(すなわち光学ヘッドの入力/出力光平面)と測定面MPとの間に所定距離zが確保される。上記光学窓は,y軸の移動距離に対応する長さを有しており,これは構造物,たとえば300mm直径のウェハの寸法に対応する。
【0034】
以下により詳細に説明するように,中央の光学窓OWは水平面内に延在しており,かつ上記光学系の垂直スキーム動作用に機能し,残りの2つの光学ウインドウOWおよびOWは傾斜面(複数)に沿って延在しており,上記光学系の斜めスキーム動作用に機能する。
【0035】
以下に詳細に説明しかつさらに例示するように,上記光学ヘッド106は対物レンズ・アセンブリを含む。光学ヘッド106と測定面MPとの間の距離は,対物レンズ・アセンブリと測定面との間の距離/ギャップができるだけ小さくなるように選択され,これによって統合測定/計測システムの全体の設置面積を可能な限り小さくする要件が満たされ,光学部材(optics)によって引き起こされる収差効果が減らされる。したがって上記対物レンズは短焦点レンズ(short-focus lens(es))である。
【0036】
たとえば図1に例示するように,処理設備PEと統合された統合測定システム100を考える場合,上記測定面の近傍における,すなわち測定される構造物の近傍における所定環境を維持する必要が生じることがあることも留意すべきである。これはNや真空やCOといった特定環境とされることもある。この発明は,この目的のために,処理設備(処理ツールのそれぞれ)において用いられるガス供給源の使用を提供し,これによって任意の追加のガス源の必要性を排除する。より詳細には,EFEFからのガス(N)を追加のN源を使用する必要なく用いることができる。この目的のために,統合測定システム100とEFEMのインターフェースが密閉され,かつ統合測定システム100内のウェハ・コンパートメントが密封されて,上記システム100内にあるウェハの近傍にEFEMからのNを流すことができる。
【0037】
上述したように,上記光学系104は,垂直照明チャネルおよび斜め照明チャネルに沿って上記構造物上に入射(照明)光を導光し(方向づけ),構造物上の照明領域から戻る光を収集し個別の収集チャネルに沿って伝搬する垂直および斜め光測定スキームを規定するように構成される。上記戻り光は,上記構造物からの照明の正反射(鏡面反射)(specular reflection)および/またはゼロ次散乱光(zero-order scattered light)を含んでもよい。上記光学系は暗視野測定にも使用でき,照明光と収集光が異なるチャネルに沿って伝搬して,たとえば同じ斜め照明チャネルおよび異なる収集チャネルを使用して明視野モードと暗視野モードの両方を実行してもよい。たとえば中央の光学的窓OWが垂直および斜めスキームの光路の一致/重複領域内に配置されて照明および収集チャネルICnorおよびDCnorを規定し,光学窓OWおよびOWが中央窓の両反対側に配置され,それぞれが,斜めスキームの照明および収集チャネルICoblおよびDCoblを規定する。
【0038】
たとえば,上記光学系104は,垂直および斜め光学スキームの照明チャネルICnorおよびICoblに光学的に結合された共通の光源系108を利用することができ,別個の検出装置DおよびDを垂直および斜め光学スキームのそれぞれの収集チャネルに収容することができる。
【0039】
いくつかの実施態様では,上記測定システム100は,構造物の撮像および測定の両方を実行するように構成される。したがって,光学系104は,収集チャネルDCnorおよびDCoblの少なくとも一方が,2つの異なる検出器DおよびD,たとえばCCD(画像検出器)および分光光度計(測定検出器)に関連する空間的に分離された撮像および測定チャネル/経路を規定するように構成される。この目的のために,上記収集チャネルDCnorおよびDCoblの少なくとも一方が分光装置,たとえばピンホール・ミラー装置を含み,収集光を撮像光部分および測定光部分に空間的に分離し,撮像/測定チャネル(複数)/経路(複数)を通じて伝播するようにそれらを導光する(方向付ける)。たとえば,垂直および斜め光学スキームの両方の測定チャネルは同じ検出器(たとえば分光器)に光学的に結合してもよい。測定システム100の構成および動作は以下により詳細に例示する。
【0040】
図2にさらに示すように,測定システム100は,任意の適切な技術の有線および/または無線信号伝送を介して,制御システム120とデータ通信するように構成される。上記制御システム120は,データ入力および出力ユーティリティ120A,120B,メモリ・ユーティリティ120C,測定データ分析器120Dを含む。
【0041】
制御システム120にはまた上記システムの動作を制御するさまざまなコントローラが設けられ,これには測定モード・コントローラ120Eおよびナビゲーション移動コントローラ120Fが含まれる。上記測定モード・コントローラ120Eは垂直および斜め測定モード間で上記システムをシフト/スイッチ制御するように構成され,さらには偏光および/または波長および/または方位角などの変動としての条件を制御するようにも構成することができる。上記ナビゲーション移動コントローラ120Fはドライバ105および111を操作して,構造物支持アセンブリ102(たとえばチャック)の回転移動,構造物支持アセンブリ102(たとえばステージ)のX軸移動,およびY軸に沿う光学ヘッド106の移動をそれぞれ制御するように構成かつ動作可能である。
【0042】
上述したように,上記支持アセンブリ102(たとえばチャック)の回転移動は第1および第2の連続する測定セッションを実施できるように動作し,これは構造物Wの第1および第2の半体HおよびHをそれぞれ測定位置に移動する,ステージ102の第1および第2の反対の角度位置に対応する。上記第1および第2の測定セッションのそれぞれは順次実行され,そのときにX軸およびY軸に沿う支持アセンブリ102および光学ヘッド106の横方向の動きが制御され,これによって構造物Wの第1および第2の半体のそれぞれにおいて複数の測定部位の測定がナビゲートされる。上述したように,円盤状の構造物の測定を考慮すると,X軸に沿う上記支持アセンブリ102の最大移動距離xは構造物の半径rに対応し(同じであるかわずかに大きい),Y軸に沿う光学ヘッドの移動距離yは上記構造物の直径2rまでとなる。
【0043】
概略的には,上記統合測定/計測システムは,典型的にはウェハ上の複数の測定部位において測定を実行する。ウェハと光学ヘッドとの間の相対変位を実施するやり方は,特定の構造物(たとえば300mmウェハ)のサンプリング・プランに依存することを理解されたい。非限定的な例である上述した2つの半体の測定モードは,選択された測定部位が対称的に配置/配向されている場合に使用することができる(180度の対称性を持つとき)。ウェハ/測定部位の他の方向を測定することもある。その場合,ナビゲーション(回転および/またはX軸移動および/またはY軸移動)は測定部位の数およびそれらの方向によって最適化することができる。上記の変換スキームは,ウェハ全体(シータ/R,Rなど)をカバーすることができる最小化された移動スキームではないが,いくつかのアプリケーションでは最適化されることがあることも留意されたい。この発明の原理は2つの半体の測定モードに限定されるものではない。
【0044】
図3A~3Dを参照して,これらは光学系104の光学ヘッド部分106(可動部分)を移送するホルダ・アセンブリ112の構成を例示するものである。
【0045】
図3Aに示すように,光学ヘッド106は3つの光伝播経路を規定する3つの光誘導光学ユニット(集光光学系)L,L,Lを有しており,それぞれが斜めスキーム照明チャネルICobl,垂直光学スキームの照明および収集チャネルICnorおよびDCnor,ならびに斜め光学スキームの検出チャネルDCoblに関連する。上記光学ユニットL,L,Lは対物レンズOL,OL,OL(および場合によっては他の光学要素)を含み,これらは上記ホルダ・アセンブリ112と測定される構造物が配置される測定面との間のフェースプレート115に設けられる光学窓OW,OW,OWと整列する対応する光学経路を規定する。上記フェースプレート115は光学窓OWが作成される平面(水平)ファセット115A,ならびに光学窓OWおよびOWが作成される2つの傾斜ファセット115Bおよび115Cを有している。上記光学ユニットL,L,Lは,上記光学ユニットL,L,Lの光出力/入力がそれぞれ光学窓OW,OW,OWと整列するように,フェースプレート115に対して配置される。上記光学窓(複数)の傾斜した向きはそれぞれのレンズ・ユニットおよび窓表面の光軸間で90度をなすことに留意されたい。
【0046】
図3Aおよび図3Cを参照して,ホルダ・アセンブリ112は支持ユニット112A(光学ヘッド・キャリッジ)を有しており,そこにフォーカシング/対象物光学ユニットL,L,Lが光学スキームに対応する適切な角度方向で取り付けられている。光学ヘッド106を保持する支持ユニット112Aは案内レール112Cに沿ってスライド運動する案内ユニット112Bに取り付けられており,案内レール112Cによってこれに沿って支持ユニット112Aが前後に移動するスライド移動経路が規定される。
【0047】
上述したように,ホルダ・アセンブリ112(支持ユニット112Aおよび案内ユニット112B)は上記光学系104の可動部(光学ヘッド)のためのYステージを提示する。上記光学窓配置114(たとえば上記フェースプレート115上に形成される3つの窓配置)は上記ホルダ・アセンブリ112と上記測定面MPの間に配置される。窓の一つであるOWは垂直光学スキーム用に水平であり,他の2つの窓OWおよびOWは水平面に対して傾斜して斜め光学スキームで用いられる。Yステージは上記光学ヘッド106(対物レンズを含む3つの光学ユニットのセット,および場合により偏光器および曲げ(導光(光指向))ミラー,以下に詳細に説明する)を移動して,上記光源からの照明光線を対物レンズおよび構造物にもたらし,上記構造物からの戻り光を上記検出システムに向けるように構成される。
【0048】
いくつかの実施態様では,Yステージ・ドライブ111がリニア磁気モータを含む。好ましくは,上記リニア磁気モータは磁石111Aが移動しかつコイル・アセンブリ111Bが静止するように構成される。この構成によって比較的一定の駆動電流および上記コイルからシステム境界への熱伝達が提供され,熱放散インターフェース111Cを介して熱放散される。このような要件は温度安定性を必要とする光学ヘッド環境にステージを非常に近づける必要性に関連することがある。
【0049】
上述したように,上記対物レンズは上記測定面に対して可能な限り近くに位置決めする必要があり,したがって光学ユニットL,L,Lは単焦点レンズを備えている。この要件は,ボアサイトの変化を低減するために(to reduce boresight changes),たとえば2mmの非常に薄い光学窓を備えた光学窓配置114を構成することによってさらにサポートされ,ここで窓の厚さは窓に沿って実質的に均一であり(±1μm許容値),その長さは厚さより少なくとも2桁大きく,たとえば長さ約300mmとされる。また,上述しかつ以下でさらに具体的に例示するように,光学系106は,偏光子を(たとえば光学ユニットL,L,L中に)を含んでもよい。したがって,光学窓WO,WO,WOはそこを通過する光の偏光を維持する(つまり影響を与えない)ように構成される。たとえば光学窓のメディアは複屈折性であってもよい(the optical windows’ media may be birefringent)。
【0050】
光学ヘッド106に対する支持アセンブリ102の所与の位置のそれぞれについて,(Y軸に沿う)案内レール112Cに沿う光学ヘッド106のスライド移動によって,上記測定面MPに配置される構造物WのY軸に沿う細長領域内において測定をすることができる。X軸に沿う範囲(0-r)の所定の距離のステージ102のステップ移動の後,たとえば光学ヘッドをY軸に沿って最大2rの距離だけ移動させて,上記構造物のさらなる領域に測定を適用することができる。このようなX軸に沿うステージ(支持アセンブリ)102およびY軸に沿う光学ヘッド106(すなわち支持ユニット112A)のこのようなステップ移動によって,ウェハの複数の部位において測定を実行することができる。たとえば,ステージ102および112のxおよびy移動を用いて構造物Wの一方の半体Hを最初に検査し,次に,上記ステージ102を180度回転して上記構造物の残りの半体Hを測定位置にもたらし,上記処理を繰り返して上記構造物のこの半体に測定を実行することができる。
【0051】
さらに,上記測定面MPに対する光学ヘッド106のz軸位置が,たとえば焦点合わせの目的のために制御される。上記支持アセンブリ102のz位置は好ましくはダブル・ウェッジ・エンジンを用いて実行される。これに関して図4A図4Bおよび図4C図4Cを参照する。図4Aおよび図4BはX軸の動きをZ軸の動きに変換するためのZステージ構成において用いられる標準ウェッジ・デザインを示すもので,それぞれzアップ位置(x閉位置)およびzダウン位置(x開位置)を示している。この構成は,開位置のときに,x次元において比較的大きな非対称の設置面積(フットプリント)が発生する。図4Cおよび図4Dは,2つの反対側に対称のウェッジWおよびWによって形成されるダブル・ウェッジ構成を利用するzステージ102の特定の実施例を示しており,図4Cがzアップ,x閉位置を,図4Dがzダウン,x開位置を示している。この構成によってシステムのx次元の設置面積が削減される。
【0052】
次に図5を参照して,図5は光学系104の構成および動作と,そこでの光伝搬スキームを例示するものである。ここに示す非限定の例では,単一の(共通の)照明アセンブリ(光源系)108が垂直光伝搬スキームと斜め光伝搬スキームの両方に使用される。上記光源系108は発光体から照明チャネルに光を導く照明ファイバを含んでもよい。
【0053】
また,この例では,垂直動作モードと斜め動作モードの間の切り替え/シフト(すなわち垂直スキームと斜めスキームにおける光伝搬の間のシフト)は,シャッタ136,すなわちいわゆるジャンピング・ミラーの位置を制御することによって実施される。また,この例では,検出系110は,垂直および斜め収集チャネルDCnorおよびDCoblに関連する2つの検出アセンブリを含む。この2つの検出アセンブリのそれぞれは,撮像モードおよび測定モードと同時に動作するように構成され,それぞれが撮像検出器ユニットDおよびD(たとえばCCD)を含み,それぞれの測定検出器D1'およびD2'または共通の測定検出器(分光測定器)が垂直スキームと斜めスキームの両方に使用される。このシステムはたとえば210-2500nmの範囲内における広帯域照明を用いて動作する。また,ここに示す非限定的な例では,偏光アセンブリ(polarization assemblies)が用いられる。この図では,偏光子/分析器が,光学ヘッド106を形成する光学ユニットL,L,Lの一部として示されている。もっとも,この発明は,任意の偏光子が使用されることにも,光学系の可動部分すなわちホルダ・アセンブリ112によって移送される光学ヘッド106内に偏光子が収容されることにも,限定されないことを理解されたい。
【0054】
照明光線LBが光源系108から伝播し,導光素子(光方向付け素子)(たとえば,照明リレー・レンズユニットおよびチューブ・レンズユニット)によって方向付けられ,入力光路134に沿ってモードシフト位置135に向けて伝播する。この目的のために,リダイレクト素子136,たとえばミラーが設けられており,リダイレクト素子136は,それが位置135に位置決めされる動作状態と光路134の外側にある非動作状態との間で制御可能に(たとえば測定モード・コントローラ120Eによって)変位することができる。
【0055】
上記ミラー136が動作位置にあるとき,照明光線LBはミラー136と相互作用して反射され,斜めスキームの照明チャネルICoblに沿って伝播し,したがってシステムは斜めモードで動作する。照明チャネルICoblは光学ヘッド106の個別光学アセンブリLに光学的に結合されている。図5の非限定的な具体例に示すように,照明チャネルICoblは,一または複数の導光(光指向)(光路屈曲)素子,たとえばミラーを含むことができ,この例では3つの導光素子(ミラー)LD,LD,LDが示されている。さらに図示するように,光学アセンブリ/ユニットLはレンズ・ユニット(一または複数のレンズ)を含み,さらにまた偏光子Pを含み,斜めスキーム照明チャネルICoblに配置されている。これによって作成された斜め入射偏光照明光線LB (obl)は個別光学窓OWを介して構造物上の照明領域に焦点合わせされる。上記光線LB (obl)によって照明された領域から戻る光LB (obl)は光学窓OWを介して光学アセンブリLによって収集され,光の偏光が個別偏光子Pによって調整されて,収集された戻り光は斜めスキーム検出チャネルDCoblに沿って伝播するように方向づけられる。同様にして,この検出チャネルDCoblは,この概略図に5つの素子LD-LDとして示されているような,一または複数の導光(指向)素子(たとえばミラー)を含むことができる。素子LDは2つの反射ファセットを備えるウェッジ・プリズム(くさび形プリズム)として構成することができ,光入射位置に応じてそこに入射する光を向け直す(リダイレクトする)。すなわち,素子LDは斜め反射光線LB1(obl)を斜めスキーム検出アセンブリに向けて伝播して,分割素子164(たとえばピンホール・ミラー)と相互作用するように方向付け,そこで光線は撮像および測定コンポーネントに分割され,撮像および測定検出器(またはそれぞれの光入力ポート)D(たとえばCCD)およびD’(分光計)に関連する2つの空間的に分離された撮像および測定検出チャネルC(obl)imagおよびC(obl)measに沿って伝播する。
【0056】
上記素子136が非動作位置にあるとき(光路134の外側に移動される),照明光線LBは位置135を通過してビーム・スプリッタ160と相互作用し,ビーム・スプリッタは上記垂直スキームの照明チャネルICnorに沿って伝播するように上記照明光線を方向づけ(この実施例では反射),これによって上記システムは垂直モードで動作する。上記照明チャネルICnorは,上記光学ヘッド106の個別光学アセンブリ/ユニットL(対物レンズ・ユニットOL)に光学的に結合されている。垂直照明チャネルICnorは導光素子(光指向素子),たとえばミラー(複数)を含むことができる。図面に例示するように,この構成では,垂直照明光線LBが導光素子(ミラー)LDおよびLDと連続的に相互作用し,対物レンズ(一または複数)および偏光子Pを含む光学ユニットLに入射して,光学窓OWを介して構造物上の同一領域上に,偏光された垂直入射光線LB (nor)を集束させる。光線LB (nor)によって照明された領域から戻る光LB (nor)が光学窓OWによって収集され,光学ユニットLを通過して垂直スキーム光収集チャネルDCnorに沿う同一経路に沿って伝播するように方向づけられ,そこで上記光線は導光素子(ミラー)LD,LDおよびLDの連続的な相互作用によって方向付けられ,後者が光線LB (nor)を分割素子(ピンホール・ミラー)162に向け,これによって光線LB (nor)の2つの分割部分は,空間的に分離された撮像および測定検出チャネルに沿って,垂直スキーム撮像検出器/光入力ポートD(たとえばCCD)および測定検出器と光学的に結合された光入力ポートDに向かうように伝播される。上述したように,同一の測定検出器(分光計)を用いて垂直光学スキームおよび斜め光学スキームの両方の光を検出してもよい。
【0057】
この発明の測定システムは,垂直および斜めスキーム収集チャネルの両方において2つの検出チャネルに分割することに限定されないことに留意されたい。たとえば,これらの収集チャネルのそれぞれは,単一の検出チャネル/単一の検出器を使用することができ,または,垂直および斜めスキーム収集チャネルの一方が2つの異なる検出スキームを含み,他方のチャネルは含まないようにしてもよい。さらに,異なる検出スキームが検出のタイプにおいて異なっていてもよく(たとえば上述のように撮像データおよび非撮像データを検出する),および/または異なるスペクトル範囲の検出において異なっていてもよい。
【0058】
図6Aおよび図6Bを参照して,これらはこの発明の他のいくつかの特徴を示している。上述したように,いくつかの実施態様では,統合測定システムは,たとえば500mm未満の小さな設置面積を有しており,300mmウェハをX方向およびY方向にスキャンすることはできない。他方,ウェハ上で測定されるパターン化構造(図6Bに示す)は斜めチャネルに対して回転対称性を持たない。したがって,上記構造物は,(上記ホルダ・アセンブリ112の支持ユニット112Aの移動を介した)Y軸に沿う光学ヘッドの変位,ならびにX軸に沿う構造物の変位および(支持アセンブリ102の個々の動きを介した)測定面内における構造物の回転によって,その複数の部位において測定することができる。これが図6Aに例示されており,図6Aはこの発明の統合測定システムの上面図を概略的に示すもので,光学窓114および上記システムの設置面積(フットプリント)FP内の範囲を移動する構造物/ウェハWを示している。図6Aはそのロード位置にある半径r(たとえば直径300mmのウェハの150mm)の構造物Wを示しており,かつX軸に沿う上記構造物の変位ならびに測定面における上記構造物の回転に対応する2つの変位位置W’およびW’’を示しており,これは支持アセンブリ102のX軸の動きおよび回転から生じるものである。Y軸に沿う光学ヘッドの移動距離Ywは,Y軸設置面積寸法YFP内において構造物の直径2rまで(たとえば半導体ウェハを考慮すると300mmまたはそれよりもやや大きい距離,たとえば302-304mm)である。X軸に沿う移動距離は上記構造物の約半分の寸法,たとえばウェハの半径たとえば150mm(またはわずかに大きい距離たとえば154mm)とすることができる。上記構造物の支持アセンブリ102は測定面内において0-180度の範囲の回転角θで上記構造物Wを回転させる。すなわち,上記光学ヘッドをY軸に沿って移動させ,上記構造物の支持アセンブリをX軸に沿って移動させ,かつ上記支持アセンブリを回転させることによって,上述したように,垂直および斜め測定スキームの一方または両方を用いて,上記光学窓配置114を通じて上記構造物を半分ずつ複数の部位において測定することができる。
【0059】
図6Bを参照して,図6Bは,複雑なパターン化構造Wに適用される垂直および斜め測定スキームの組み合わせを概略的に示している。上述したシステム構成によって,すなわち,測定される構造物の取り扱い,移動および回転,ならびに光学ヘッドの移動範囲によって,この発明は斜めモードにおける多数の利用可能な方位角(パターンごと)および垂直モードにおける偏光方位角を用いて測定することができる。この図面は,照明および反射戻り光線LB (nor)およびLB (nor)の伝搬のための照明および検出チャネルICnorおよびDCnorによって規定される垂直測定スキームを例示している。この図面は,光学系に対する測定面における上記構造物の回転によって得られる,0度および90度の2つの方位角に対応する,照明および検出チャネル(ICobl)-(DCobl)および(ICobl)-(DCobl)によってそれぞれ規定される2つの異なる斜め測定スキームも示している。ウェハ上の構造物/パターンは角度範囲0-180を除いて方位角の対称性を破る(breaks azimuth except for the angular range 0-180)。
【0060】
このように,この発明は,垂直光学スキームと斜め光学スキームの両方において動作可能な光測定システムのための比較的簡単な新規の解決策を提供するものであり,設置面積を低減したシステム構成を処理設備と適切に統合することを可能にする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B