(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】固体沈殿装置および固体沈殿方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240619BHJP
C02F 1/74 20230101ALI20240619BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C02F1/00 G
C02F1/74 101
B01J3/00 A
(21)【出願番号】P 2021538278
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2019129198
(87)【国際公開番号】W WO2020140841
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】201811651664.9
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518405289
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司大連石油化工研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】周▲とう▼
(72)【発明者】
【氏名】方向晨
(72)【発明者】
【氏名】郭宏山
(72)【発明者】
【氏名】楊涛
(72)【発明者】
【氏名】蒋広安
(72)【発明者】
【氏名】孟兆会
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-276880(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108862698(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108751384(CN,A)
【文献】特開平02-111497(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101376092(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/02、1/70-1/78
C02F1/52-1/56
B01D21/00-21/34
B01D9/00-9/04
B01J3/00-3/08
B01J8/00-8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体沈殿装置であって、ハウジングと、溶媒および溶質を含むストリームのための入口と、排出口(すなわちストリーム出口)と、前記ハウジングの内室内に配置された担体とを備え、前記担体は、固体粒子であり、
前記ハウジングの内室内に配置された内部部材も含んでおり、前記内部部材は前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸の中空管を含んでおり、前記中空管の上端および下端は開放しており、前記内部部材は前記中空管の上に位置するバッフルも含んで
おり、
前記中空管は上部直管部および下部円錐形拡散部を含み、前記ハウジングの内壁と前記中空管の外壁との間に間隙(第1の間隙と呼ばれる)が存在し、前記バッフルと前記中空管の上縁との間に間隙(第2の間隙と呼ばれる)が存在し、かつ前記バッフルと前記ハウジングの内壁との間に間隙(第6の間隙と呼ばれる)が存在する、固体沈殿装置。
【請求項2】
前記固体沈殿装置が脱塩装置である、および/または前記ハウジングが垂直円筒形ハウジングである、および/または前記ストリームが塩含有廃水または高塩分廃水である、請求項1に記載の固体沈殿装置。
【請求項3】
超臨界状態で操作される、請求項1に記載の固体沈殿装置。
【請求項4】
前記溶媒の超臨界状態で操作される、請求項
1に記載の固体沈殿装置。
【請求項5】
前記担体が、結晶種、無機粒子、シリカ球、砂、石英砂、耐熱材料粒子、および固体廃棄物のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の固体沈殿装置。
【請求項6】
前記固体粒子の使用量(体積による)が前記ハウジングの内室の総体積の1/4~3/4を含み、および/または前記固体粒子の等価直径が0.1~1.0mmであり、および/または前記固体粒子の比表面積が100~300m
2/gであり、および/または前記固体粒子の嵩密度が0.6~0.7g/cm
3である、請求項1に記載の固体沈殿装置。
【請求項7】
前記固体粒子の使用量(体積による)が前記ハウジングの内室の総体積の1/4~1/2を含み、および/または前記固体粒子の等価直径が0.2~0.7mmである、請求項6に記載の固体沈殿装置。
【請求項8】
前記内部部材は前記ハウジングの内室の上部に配置されている、および/または第1の間隙は環状間隙である、および/または前記バッフルは傘状キャップである、および/または前記バッフルは前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である、および/または前記第2の間隙は環状間隙である、および/または前記第6の間隙は環状間隙である、請求項
1に記載の固体沈殿装置。
【請求項9】
前記傘状キャップは前記中空管と同軸であり、30~150°の円錐角を有し、および/または前記中空管の前記直管部の外径が前記ハウジングの内径の60~80%であり、および/または前記中空管の前記直管部の高さは前記ハウジングの内室の高さの10~30%であり、および/または前記中空管の前記円錐形拡散部の最大外径が前記ハウジングの内径の75~90%であり、および/または前記中空管の前記円錐形拡散部の高さは前記ハウジングの内室の高さの3~10%であり、および/または前記バッフルの高さは前記ハウジングの内室の高さの5~20%である、請求項8に記載の固体沈殿装置。
【請求項10】
前記傘状キャップは60~120°の円錐角を有し、および/または前記中空管の前記直管部の外径が前記ハウジングの内径の67~73%である、請求項
9に記載の固体沈殿装置。
【請求項11】
前記ハウジングの内壁の周りに配置されたガイド構造も含み、前記ガイド構造は前記ハウジングの内室を取り囲んで、頂部および底部で開いているチャネル(ガイド開口部と呼ばれる)を形成し、前記ガイド構造は前記中空管の下方および前記ストリーム入口の上方に配置され、前記ガイド構造と前記中空管の下縁との間に間隙(第3の間隙と呼ばれる)が存在し、および/または前記ガイド開口部は前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸であり、および/または前記ガイド構造が前記ハウジングの内室の上部に配置される、請求項1に記載の固体沈殿装置。
【請求項12】
前記ハウジングの中心軸に沿った
前記ガイド構造の長手方向断面は台形であり、および/または前記台形のカバー角度アルファおよび摩擦角度ベータは5~70°であり、および/または前記ガイド開口部は円筒形チャネルであり、および/または、前記第3の間隙は環状間隙である、請求項
11に記載の固体沈殿装置。
【請求項13】
前記ストリーム入口が前記ハウジングの底部または下部に位置し、前記ストリーム入口の構造が前記ハウジングの内室内に前記ストリームを噴霧するのに適しており、および/または前記排出口が前記ハウジングの頂部または上部に位置し、および/または前記ハウジングの内室の高さ(単位はm)の、内径(単位はm)に対する比率が7~17であり、および/または前記ガイド開口部の内径が前記ハウジングの内径の60~80%であり、および/または前記ガイド開口部の高さが、前記ハウジングの内室の高さの5~15%である、請求項
11に記載の固体沈殿装置。
【請求項14】
前記ストリーム入口の構造はノズルまたは液体分配器である、および/または前記排出口が前記バッフルの上方に位置する、および/または前記ハウジングの内室の高さ(単位はm)の、内径(単位はm)に対する比率が10~14である、請求項
13に記載の固体沈殿装置。
【請求項15】
担体装填入口および担体排出口も含み、および/または前記担体装填入口が前記ハウジングの頂部または上部に位置し、および/または前記担体排出口が前記ハウジングの底部に位置する、請求項
11に記載の固体沈殿装置。
【請求項16】
前記担体装填入口が前記ガイド構造の上方もしくは前記バッフルの上方に位置する、および/または前記担体排出口が前記ストリーム入口の下方に位置する、請求項
15に記載の固体沈殿装置。
【請求項17】
熱剤入口も含み、前記熱剤入口は前記ハウジングの底部または下部に位置し、前記熱剤入口の構造は前記ハウジングの内室に噴霧するために熱剤に適合している、および/または前記熱剤入口が前記ストリーム入口の上方または下方に位置する、請求項
11に記載の固体沈殿装置。
【請求項18】
前記熱剤は空気、酸素ガスまたは加熱ガスのうちの少なくとも1つから選択される、および/または前記熱剤入口の構造はノズルまたはガス分配器である、および/または前記熱剤入口が前記ストリーム入口の下方に位置する、請求項
17に記載の固体沈殿装置。
【請求項19】
内管も含み、前記熱剤入口は前記ハウジングの底部に位置し、前記ハウジングの内壁と前記内管の外壁との間に間隙(第4の間隙と呼ばれる)が存在し、前記内管の下縁もしくは内壁と前記熱剤入口との間に間隙(第5の間隙と呼ばれる)が存在し、前記第5の間隙は前記第4の間隙および前記内管の内部空間と連通し、前記内管は前記熱剤入口から注入された前記熱剤が前記内管の内部空間に実質的に完全に入るような構成を有し、前記ストリーム入口は前記第4の間隙および前記内管の上縁の下方に配置され、および/または前記内管の上縁の下方に位置する前記ハウジングの内室の空間は緩衝ゾーンと呼ばれ、次いで、前記緩衝ゾーンは前記ハウジングの内室の全容積の25~40%または20~60%を含み、および/または前記熱剤入口の構造がガス分配器であり、前記内管は前記ガス分配器の上方に位置するか、もしくは前記ガス分配器を含み、両方が前記第5の間隙によって仕切られ、および/または前記内管が前記ガイド構造の下方に位置し、および/または前記ストリーム入口が前記内管の上縁よりも垂直方向に100~500mm低く、および/または前記内管の外径が前記ハウジングの内径の60~80%であり、および/または前記内管の高さは前記ハウジングの内室の高さの20~60%であり、および/または前記内管が前記ハウジングの内室の下部に配置される、請求項
17に記載の固体沈殿装置。
【請求項20】
前記内管が直管形状またはホーン管形状、および/または前記内管が前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である、および/または前記第4の間隙が環状間隙である、および/または前記第5の間隙が環状間隙である、および/または前記熱剤入口の構造が前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である、および/または前記内管の外径が前記ハウジングの内径の67~73%である、および/または前記内管の高さが前記ハウジングの内室の高さの30~50%である、請求項
19に記載の固体沈殿装置。
【請求項21】
溶質および溶媒を含有するストリームを請求項1に記載の固体沈殿装置に通して、溶質の少なくとも一部を堆積させ、前記ハウジングの内室内に配置された前記担体上に装填させることを含む、固体沈殿方法。
【請求項22】
前記方法が脱塩方法である、および/または前記溶質が無機塩であり、かつ前記溶媒が水である、および/または前記溶質の少なくとも一部を沈殿反応により、または過飽和により沈殿させる、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項23】
前記ストリームが、前記固体沈殿装置に入る前に、亜臨界状態に保たれ、および/または前記担体の温度が前記溶媒の超臨界温度より高く、および/または前記ハウジングの内室に担体が加えられ、前記担体の温度は前記溶媒の超臨界温度よりも高く、および/または前記担体および前記ストリームは、それらを混合した後に、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超えるような割合である、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項24】
前記ストリームが、前記固体沈殿装置に入る前に、亜臨界状態であって、温度が前記溶媒の超臨界温度より低く、室温から前記溶媒の超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃低い温度までに保たれる、または、圧力が前記溶媒の超臨界圧力である、もしくは前記溶媒の超臨界圧力より高いが、温度が前記溶媒の超臨界温度より低い、室温から前記溶媒の超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃低い温度までに保たれる、および/または前記担体の温度が前記超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃高い温度である、および/または前記ハウジングの内室に加えられる前記担体が、前記超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃高い温度である、請求項
23に記載の固体沈殿方法。
【請求項25】
前記ハウジングの内室の動作条件は、動作圧が23~35MPaGであり、動作温度が350~650℃であり、ストリーム滞留時間が10~1800秒であり、空間速度が1.5~270h
-1であることを含む、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項26】
前記動作圧が25~30MPaGであり、前記動作温度が450~550℃であり、前記ストリーム滞留時間が60~600秒である、請求項
25に記載の固体沈殿方法。
【請求項27】
前記ハウジングの内室に熱剤が添加され、前記熱剤は、前記ハウジングの内室に入った後に、前記ストリームが超臨界状態を形成するような量で使用され、および/または前記ストリームが塩含有廃水または高塩分廃水であり、前記熱剤が酸化ガスであり、および/または前記熱剤および前記ストリームは、それらを混合した後に、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超える割合であ
り、および/または前記熱剤の使用量が、前記ストリームの酸化のための理論的酸素要求量の100~500%である、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項28】
前記ストリームが前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超えるような量で使用され、および/または前記ストリームが高塩分有機廃水であり、および/または前記熱剤が酸素ガスまたは空気であり、および/または前記熱剤の使用量が、前記ストリームの酸化のための理論的酸素要求量の150~350%である、請求項
27に記載の固体沈殿方法。
【請求項29】
前記ストリームおよび/または前記ハウジングの内室にpH調整剤が添加され、前記pH調整剤は、前記ハウジングの内室内の内容物のpH値が9~13に維持されるような量で使用される、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項30】
前記ストリームが高塩分廃水であり、前記高塩分廃水が20重量%以下のTDS、および20000mg/Lを超えるCODを有する、請求項
21に記載の固体沈殿方法。
【請求項31】
前記ストリームが高塩分有機廃水であり、および/または前記高塩分廃水が5~20重量%のTDS、および20000~40000mg/LのCODを有する、請求項
30に記載の固体沈殿方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体沈殿装置に関し、特に、高塩分廃水のための脱塩装置に関する。本発明はまた、前記固体沈殿装置を用いて固体沈殿を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高塩分廃水とは、総塩分質量分率が少なくとも1%の廃水をいう。石油生産、印刷および染色、製紙、薬局、化学工業等の製造プロセス等の特定の工業産業において排出される廃水の塩分含有量は一般に約15~25%であり、廃水は様々な物質(塩、油、有機物、重金属、および放射性物質を含む)を含有し、廃水が処理されずに直接排出される場合、廃水は、水生生物、家庭用飲料水、ならびに工業用および農業用生産水に対して大きな害を生じさせる可能性がある。
【0003】
現在、国内外の高塩分廃水に関する研究は、主に生物学的方法、物理化学的方法等から構成されている。生物学的方法は高塩分廃水を処理する際に高い有機物除去率を示すが、高濃度塩分物質は微生物に対して阻害効果を有し、装填水の塩分含有量を制御する必要がある。物理化学的方法としては主に蒸着法、電気化学的方法、イオン交換法、膜分離技術などがあるが、いずれも出資が高く、操作コストが高く、再生廃水等の二次汚染が起こりやすく、期待される浄化効果が得られにくいという問題がある。
【0004】
CN105461134Aは、ナノ濾過塩分離ユニット、ダブルインおよびダブルアウト多重効果蒸発ユニット、および母液エージング処理ユニットの3つのユニットを通して工業廃水中の水、塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを回収する、石炭化学工業における高塩分廃水を再循環させるための方法および装置を開示する。
【0005】
CN104326615Aは、省エネルギーの高塩分廃水処理システムおよび処理方法を開示する。このシステムは陽性浸透塩濃縮装置および多重効果蒸発器を含み、陽性浸透塩濃縮装置はFO膜閉鎖交換ボックス、汲み上げ溶液回収利用装置および浄水回収装置を含み、FO膜閉鎖交換ボックスの少なくとも1つのステージが提供され、汲み上げ溶液回収利用装置は電気バルブを介してFO膜閉鎖交換ボックスのすべてのステージにそれぞれ接続され、浄水回収装置は汲み上げ溶液回収利用装置に接続され、FO膜閉鎖交換ボックスのすべてのステージは液体排出電気バルブを介して順次接続され、バイパス電気バルブを介して母液多重効果蒸発器に接続される。
【0006】
CN105110542Aは、工業用高塩分廃水のゼロエミッション塩分離および浄化方法を開示している。この方法は最初に、冷凍プロセスによって強塩水中の硫酸ナトリウムを回収し、排出された塩水を蒸発器に通して塩水濃度を25~30%までさらに増加させ、次いで、塩水を強制循環晶析装置に通し、晶析装置中の固形分が30~35%に達したときに、循環ポンプによってハイドロサイクロン分離器に排出し始め、仮固液分離を実現し、少量の母液を含有する分離結晶を完全な固液分離のための遠心分離機に通し、母液を遠心分離によって直接母液槽に通す工程を含む。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、特に高塩分廃水の脱塩に用いる場合に、長期間の安定運転の要件を満たし、廃水からの塩の効率的な除去を実現し、高塩分廃水の脱塩が困難であること、容易に閉塞すること等の問題を解決することができる、固体沈殿装置および固体沈殿方法を工業的研究により見出した。
【0008】
具体的には、本発明は以下の態様に関する:
1.固体沈殿装置(特に脱塩装置)であって、ハウジング(例えば垂直ハウジング、特に垂直円筒形ハウジング)と、ストリーム(例えば溶液、海水または廃水、特に溶媒および溶質を含む塩含有廃水または高塩分廃水)のための入口と、排出口(すなわちストリーム出口)と、前記ハウジングの内室内に配置された担体とを備え、前記担体の構成は、担体上に堆積され装填される固体物質に適している、固体沈殿装置。
【0009】
2.超臨界状態(特に水などの前記溶媒の超臨界状態)で操作される、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0010】
3.前記担体が固体粒子(例えば、結晶種、アルミナ球、シリカ球、砂、石英砂などの無機粒子、セラミック粒子などの耐火材料粒子、セラミック球などの耐熱材料粒子、およびスラグなどの固体廃棄物から選択される少なくとも1つ)、プレート(非多孔質プレートおよび多孔質プレートなど)、グリッド、メッシュ、ケージ、繊維およびストリップのうちの少なくとも1つから選択され、好ましくは固体粒子である、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0011】
4.前記固体粒子の使用量(体積による)が前記ハウジングの内室の総体積の1/4~3/4(好ましくは1/4~1/2)を含み、および/または前記固体粒子の等価直径が0.1~1.0mm(好ましくは0.2~0.7mm)であり、および/または前記固体粒子の比表面積が100~300m2/gであり、および/または前記固体粒子の嵩密度が0.6~0.7g/cm3である、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0012】
5.前記ハウジングの内室内(特に前記内室の上部)に配置された内部部材も含み、前記内部部材は前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸の中空管を含み、前記中空管の上端および下端は開放しており、前記中空管は上部直管部および下部円錐形拡散部を含み、前記ハウジングの内壁と前記中空管の外壁との間に間隙(第1の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在し、前記内部部材は前記中空管の上に位置するバッフル(例えば傘状キャップ、前記バッフルは好ましくは前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である)も含み、前記バッフルと前記中空管の上縁との間に間隙(第2の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在し、かつ前記バッフルと前記ハウジングの内壁との間に間隙(第6の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在する、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0013】
6.前記傘状キャップは前記中空管と同軸であり、30~150°(好ましくは60~120°)の円錐角を有し、および/または前記中空管の前記直管部の外径が前記ハウジングの内径の60~80%(好ましくは67~73%)であり、および/または前記中空管の前記直管部の高さは前記ハウジングの内室の高さの10~30%であり、および/または前記中空管の前記円錐拡散部の最大外径が前記ハウジングの内径の75~90%であり、および/または前記中空管の前記円錐拡散部の高さは前記ハウジングの内室の高さの3~10%であり、および/または前記バッフルの高さは前記ハウジングの内室の高さの5~20%である、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0014】
7.前記ハウジングの内壁の周りに配置されたガイド構造(好ましくは前記ハウジングの中心軸に沿ったその長手方向断面は台形であり、前記台形のカバー角度アルファおよび摩擦角度ベータは鋭角(好ましくは5~70°)である)も含み、前記ガイド構造は前記ハウジングの内室を取り囲んで、頂部および底部で開いているチャネル(特に、ガイド開口部と呼ばれる円筒形チャネル)を形成し、前記ガイド構造は前記中空管の下方および前記ストリーム入口の上方に配置され、前記ガイド構造と前記中空管の下縁との間に間隙(第3の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在し、および/または前記ガイド開口部は前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸であり、および/または前記ガイド構造が前記ハウジングの内室の上部に配置される、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0015】
8.前記ストリーム入口が前記ハウジングの底部または下部に位置し、前記ストリーム入口の構造が前記ハウジングの内室内に前記ストリームを噴霧するのに適しており(前記ストリーム入口の構造は好ましくはノズルまたは液体分配器である)、および/または前記排出口が前記ハウジングの頂部または上部に位置し(好ましくは前記バッフルの上方に位置する)、および/または前記ハウジングの内室の高さ(単位はm)の、内径(単位はm)に対する比率が7~17、好ましくは10~14であり、および/または前記ガイド開口部の内径が前記ハウジングの内径の60~80%であり、および/または前記ガイド開口部の高さが、前記ハウジングの内室の高さの5~15%である、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0016】
9.担体装填入口および担体排出口も含み、および/または前記担体装填入口が前記ハウジングの頂部または上部に位置し(好ましくは前記ガイド構造の上方に位置し、より好ましくは前記バッフルの上方に位置する)、および/または前記担体排出口が前記ハウジングの底部に位置する(好ましくは前記ストリーム入口の下方に位置する)、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0017】
10.熱剤入口も含み、前記熱剤入口は前記ハウジングの底部または下部に位置し、前記熱剤入口の構造は前記ハウジングの内室に噴霧するために熱剤(例えば、空気、酸素ガスまたは加熱ガス)に適合し(前記熱剤入口の構造は好ましくはノズルまたはガス分配器である)、および/または前記熱剤入口が前記ストリーム入口の上方または下方に位置する(好ましくは前記ストリーム入口の下方に位置する)、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0018】
11.内管(例えば直管形状またはホーン管形状、特に直円筒形状、前記内管は好ましくは前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である)も含み、前記熱剤入口は前記ハウジングの底部に位置し、前記ハウジングの内壁と前記内管の外壁との間に間隙(第4の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在し、前記内管の下縁もしくは内壁と前記熱剤入口との間に間隙(第5の間隙と呼ばれ、特に環状間隙である)が存在し、前記第5の間隙は前記第4の間隙および前記内管の内部空間と連通し、前記内管は前記熱剤入口から注入された前記熱剤が前記内管の内部空間に実質的に完全に入るような構成を有し、前記ストリーム入口は前記第4の間隙および前記内管の上縁の下方に配置され、および/または前記内管の上縁の下方に位置する前記ハウジングの内室の空間は緩衝ゾーンと呼ばれ、次いで、前記緩衝ゾーンは前記ハウジングの内室の全容積の25~40%または20~60%を含み、および/または前記熱剤入口の構造がガス分配器(好ましくは前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸)であり、前記内管は前記ガス分配器の上方に位置するか、もしくは前記ガス分配器を含み、両方が前記第5の間隙によって仕切られ、および/または前記内管が前記ガイド構造の下方に位置し、および/または前記ストリーム入口が前記内管の上縁よりも垂直方向に100~500mm低く、および/または前記内管の外径が前記ハウジングの内径の60~80%(好ましくは67~73%)であり、および/または前記内管の高さは前記ハウジングの内室の高さの20~60%(好ましくは30~50%)であり、および/または前記内管が前記ハウジングの内室の下部に配置される、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置。
【0019】
12.溶質(無機塩など)および溶媒(水など)を含有するストリームを上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿装置に通して、溶質の少なくとも一部を堆積させ(例えば、沈殿反応または過飽和により沈殿させ)、前記ハウジングの内室内に配置された前記担体上に装填させることを含む、固体沈殿方法(特に脱塩方法)。
【0020】
13.前記ストリームが、前記固体沈殿装置に入る前に、亜臨界状態(特に、前記溶媒の超臨界温度より低く、例えば、室温から前記溶媒(特に水)の超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃低い温度まで、より特に、前記溶媒の超臨界圧力で、またはより高いが、前記溶媒の超臨界温度より低い、例えば、室温から前記溶媒(特に水)の超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃低い温度まで)に保たれ、および/または前記担体の温度が前記溶媒の超臨界温度より高く(例えば、前記超臨界温度より1~15℃、4~10℃または6~8℃高い温度)、および/または前記ハウジングの内室に担体が加えられ、前記担体の温度は前記溶媒の超臨界温度よりも高く(例えば、前記超臨界温度よりも1~15℃、4~10℃または6~8℃高い温度)、および/または前記担体および前記ストリームは、それらを混合した後に、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超えるような割合である、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0021】
14.前記ハウジングの内室の動作条件は、動作圧が23~35MPaG(好ましくは25~30MPaG)であり、動作温度が350~650℃(好ましくは380~650℃、450~600℃または450~550℃)であり、ストリーム滞留時間が10~1800秒(好ましくは60~600秒)であり、空間速度が1.5~270h-1であることを含む、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0022】
15.前記ハウジングの内室に熱剤が添加され、前記熱剤は、前記ハウジングの内室に入った後に、前記ストリームが超臨界状態を形成(例えば、前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超える)するような量で使用され、および/または前記ストリームが塩含有廃水または高塩分廃水(特に、高塩分有機廃水)であり、前記熱剤が酸化ガス(例えば、酸素ガスまたは空気)であり、および/または前記熱剤および前記ストリームは、それらを混合した後に、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超える割合であり、および/または前記熱剤および前記ストリームが、前記内管の上縁を離れる際に、前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超える割合であり、および/または前記熱剤の使用量が、前記ストリームの酸化のための理論的酸素要求量の100~500%、好ましくは150~350%である、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0023】
16.前記ストリームおよび/または前記ハウジングの内室にpH調整剤が添加され、前記pH調整剤は、前記ハウジングの内室内の内容物のpH値が9~13に維持されるような量で使用される、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0024】
17.前記ストリームは前記ストリーム入口から前記ハウジングの内室の下部に入り、前記担体は前記担体装填入口から前記ハウジングの内室の上部に入り、次いで、前記第1の間隙、前記第3の間隙、および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に入り、前記ストリームは前記担体を流動状態で存在させ、前記溶質の少なくとも一部は前記担体上に堆積および装填されて、装填された担体を形成し、前記装填された担体の一部は前記ハウジングの内室の底部に移動し、前記担体排出口から前記ハウジングの内室を排出し、前記装填された担体の別の一部は、溶質の少なくとも一部が除去された前記ストリーム(精製されたストリームと呼ばれる)と共に前記ハウジングの内室の上部に移動し、前記ガイド開口部を通過し、前記円錐拡散部から前記直管部に入り、次いで、前記第2の間隙から排出し、前記装填された担体は前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に還流し、前記精製されたストリームは前記第6の間隙を介して前記ハウジングの内室の頂部に移動し、前記放出出口から前記ハウジングの内室を排出し、
または、
前記担体は前記担体装填入口から前記ハウジングの内室の上部に入り、次いで、前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に入り、
前記ストリームは前記ストリーム入口から前記第4の間隙に入り、次いで、前記第5の間隙を介して前記内管の内部空間に入り、前記熱剤入口から前記内管の内部空間に入る前記熱剤と混合して混合物を形成し、温度が上昇して前記溶媒の超臨界温度に達しもしくは超えた後に前記内管の上縁から前記内管を排出し、
前記混合物の一部が前記第4の間隙および前記第5の間隙を介して前記内管の内部空間に還流し(内部再循環を形成する)、前記混合物の別の一部は前記担体を流動状態で存在させ、前記溶質の少なくとも一部は前記担体上に堆積および装填されて、装填された担体を形成し、前記装填された担体の一部は前記第4の間隙を介して前記ハウジングの内室の底部に移動し、前記担体排出口から前記ハウジングの内室を排出し、前記装填された担体の別の一部は、溶質の少なくとも一部が除去された前記混合物(精製された混合物と呼ばれる)と共に前記ハウジングの内室の上部に移動し、前記ガイド開口部を通過し、前記円錐拡散部から前記直管部に入り、次いで、前記第2の間隙から排出され、前記装填された担体は前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に還流し、前記精製された混合物は前記第6の間隙を介して前記ハウジングの内室の頂部に移動し、前記排出口から前記ハウジングの前記内室を排出する、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0025】
18.前記ストリームが高塩分廃水(特に高塩分有機廃水)であり、前記高塩分廃水が20重量%以下(好ましくは5~20重量%)のTDS、および20000mg/Lを超える(好ましくは20000~200000mg/Lまたは20000~40000mg/L)CODを有する、上述または後述の態様のいずれかに従った固体沈殿方法。
【0026】
一方、本発明は、以下の態様に関する:
1.高塩分有機廃水を処理する方法であって、以下の内容を含むことを特徴とする方法:前記高塩分有機廃水および酸化剤を沸騰床反応器に導入して超臨界水酸化状態で反応させ、廃水中の塩を沸騰床反応器の固体粒子上に堆積させ、反応後のストリームが気液分離後の放出要件を満たす。
【0027】
2.前記高塩分有機廃水において、CODが数万mg/L~数十万mg/L、好ましくは20000~200000mg/Lと高く、TDSが20重量%以下、好ましくは5重量%~20重量%であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0028】
3.前記酸化剤が空気および酸素ガスの少なくとも一方であり、使用量が廃水の酸化のための理論的酸素要求量の100%~500%、好ましくは150%~350%であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0029】
4.前記沸騰床反応器中の前記固体粒子がアルミナセラミックペレットおよびシリカペレットのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0030】
5.前記固体粒子は直径が0.1~1.0mm、好ましくは0.2~0.7mm、比表面積が100~300m2/g、かつ嵩密度が0.6~0.7g/cm3であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0031】
6.前記固体粒子を反応器の体積の1/4~3/4の量で添加することを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0032】
7.前記沸騰床反応器に直結固体粒子装填および排出システムが設けられ、前記固体粒子が周期的に、前記沸騰床反応器に装填され、排出されることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0033】
8.排出された塩含有固体粒子に超音波、高温撹拌、研磨等を施して粒子に堆積した塩を回収し、粒子の再生を実現することを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0034】
9.前記超臨界水酸化の運転圧力は23MPa~30MPaであり、作動温度は380℃~650℃、好ましくは450℃~600℃であり、反応時間は10秒~180秒であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0035】
10.前記超臨界水酸化後のストリームが気液分離槽に入り、反応器供給廃水との熱交換後に液相が排出されるか、または供給廃水が希釈され、超臨界水酸化反応器に入るCOD含有量が安定に保たれ、かつ反応器内の温度の大きな変動を避けて安定に反応が行われることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0036】
11.前記供給廃水に適量のアルカリ液を添加し、装填水のpHを9~13に制御することを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【0037】
12.前記アルカリ液は、水酸化ナトリウム溶液および水酸化カリウム溶液の少なくとも一方であることを特徴とする、上述または後述の態様のいずれかに従った方法。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、以下の技術的効果の少なくとも1つを実現することができる:
(1)本発明の固体沈殿装置および方法、特に脱塩装置および方法は、操作が容易であり、長期間の安定運転(20日以上の連続運転、好ましくは30日以上、50日以上または100日以上の連続運転など)の要件を満たすことができ、廃水中の塩分の高効率除去を実現することができ、かつ、高塩分廃水の脱塩が困難であり装置および配管内で容易に堆積または閉塞してしまうという問題を解決することができる。
【0039】
(2)本発明の固体沈殿装置および方法、特に脱塩装置および方法は、特定の内部部材を利用することで、固体粒子および脱塩ストリームの高効率分離を確実にし、固体粒子の大きなキャリーオーバーを回避し、同時に長期間の安定運転(例えば、20日以上の連続運転、好ましくは30日以上、50日以上、または100日以上の連続運転)を保証する。
【0040】
(3)本発明の固体沈殿装置および方法、特に脱塩装置および方法は、緩衝ゾーンを配置し、廃水中の有機物質の酸化からの熱放出を利用して反応温度を上昇させ、したがって塩沈殿面積の制御が実現され、有機物質を分解および除去し得るだけでなく、脱塩装置の底部での沈殿および閉塞が回避され、したがって一石二鳥の効果が達成される。
【0041】
(4)本発明の好ましい一実施形態によれば、高塩分有機廃水の特性を目的として、沸騰床反応器を超臨界水酸化技術と組み合わせて、高塩分有機廃水を処理する。処理後、廃水の脱塩率は95%より高く、COD除去率は99%以上に達し、排水のCODは60mgL未満であり、直接排出の要件を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の脱塩方法の一実施形態のフロー図である。ここで、1:熱交換器、2:沸騰床反応器、3:気液分離槽、4:固体粒子直結装填システム、5:固体粒子直結放出システムである。
【
図2】本発明の脱塩装置の一実施形態の構造概略図である。ここで、1:廃水入口、2:固体粒子排出口、3:液体分配器、4:固体粒子、5:装置ハウジング、6:ガイド開口部、7:ガイド構造、8:中空管、9:傘状キャップ、10:排出口、11:固体粒子入口である。
【
図3】本発明の脱塩装置の別の実施形態の構造概略図である。ここで、1:ガス入口、2:固体粒子排出口、3:ガス分配器、4:固体粒子、5:装置ハウジング、6:ガイド開口部、7:ガイド構造、8:中空管、9:傘状キャップ、10:排出口、11:固体粒子入口、12:内管、13-1,2:廃水入口である。
【
図4】本発明の脱塩装置の別の実施形態の構造概略図である。ここで、1:ガス入口、2:固体粒子排出口、3:ガス分配器、4:内管、5-1,2:廃水入口、6:装置ハウジング、7:中空管、8:傘状キャップ、9:排出口、10:固体粒子入口である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで、本発明の本実施形態を詳細に参照するが、本発明の範囲は実施形態によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。
【0044】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0045】
本明細書が「当業者に知られている」、「従来技術」、または類義語などの表現で材料、物質、プロセス、工程、装置、要素などを導出する場合、そのように導出された対象は本出願の出願時に当技術分野で従来から使用されているものを包含するが、現在ではそれほど一般的に使用されていない可能性があるが、同様の目的に適しているものとして当技術分野で知られるようになることも包含する。
【0046】
本明細書の文脈において、「実質的に」という用語は、当業者に許容される、または当業者によって合理的であると考えられる偏差、例えば、±10%以内、±5%以内、±1%以内、±0.5%以内、または±0.1%以内の偏差の存在の許容を意味する。
【0047】
本明細書の文脈において、常温とは25℃をいう。
【0048】
本明細書の文脈において、CODはHJ828-2017によって提供される分析方法を使用することによって決定され、TDSはHJT51-1999によって提供される分析方法を使用することによって決定され、嵩密度はGB/T6286-1986によって提供される分析方法を使用することによって決定される。
【0049】
本明細書の文脈において、様々な間隙(例えば、本明細書の以下の本文で説明される第1の間隙~第6の間隙)の大きさおよび形状は、様々な材料(例えば、本明細書の以下の本文で説明されるストリーム、担体、装填された担体、熱剤など)がそこを通って流れることを可能にする連絡通路として機能する限り、特に限定されない。
【0050】
本明細書中で言及される全てのパーセンテージ、部、比率などは明示的に示されない限り、重量によるものであり、圧力はゲージ圧である。
【0051】
本明細書の文脈において、本発明の任意の2つ以上の実施形態は任意の組み合わせで組み合わせることができ、得られる技術的解決策は本明細書の元の開示の一部であり、本発明の範囲内である。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、本発明は固体沈殿装置に関する。ここで、前記固体沈殿装置としては、具体的には例えば、溶媒と溶質とを含むストリーム中の溶質の少なくとも一部を、物理的変化(例えば、溶解度の低下による沈殿物の生成)により固体状に沈殿させる必要がある場合において好適な任意の装置を挙げることができ、より特には例えば、脱塩装置および結晶化装置、特に、脱塩装置を挙げることができる。なお、本明細書においては、本発明の固体沈殿装置について、主に脱塩装置を例に挙げて詳細に説明し、図示しているが、本発明は脱塩装置に限定されるものではないことは明らかである。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記ストリームとして、例えば、溶液、海水または廃水、特に塩含有廃水または高塩分廃水、特に有機物含有高塩分廃水(高塩分有機廃水としても知られる)を具体的に挙げることができる。しかしながら、本発明はこれらの特定のストリームに限定されるものではなく、溶媒および溶質を含み、本明細書において先に説明したような固体形態で沈殿した溶質の少なくとも一部を含有することが意図される任意のストリームが、本発明における使用に適している。ここで、前記高塩分廃水として、そのTDSは、一般に20重量%以下、好ましくは5~20重量%である。有機物質を含有する場合、前記高塩分廃水のCODは、一般に20000mg/Lを超え、好ましくは20000~200000mg/Lまたは20000~40000mg/Lである。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記ストリームは前記固体沈殿装置に入る前に亜臨界状態、特に前記溶媒の超臨界温度未満、より特に溶媒の超臨界圧力またはそれ以上(23~35MPaG、好ましくは25~30MPaGなど)であるが、前記溶媒の超臨界温度未満に保たれる。ここで、前記ストリームの温度としては、例えば、前記溶媒の超臨界温度よりも低い任意の温度、特に、常温から前記溶媒(特に水)の超臨界温度よりも1~15℃、4~10℃または6~8℃低い温度までの範囲の温度を挙げることができる。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置はハウジング(すなわち、装置ハウジング)と、ストリーム入口と、排出口(すなわち、ストリーム出口)と、前記ハウジングの内室内に堆積された担体とを備える。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングとして、具体的には例えば、垂直ハウジング、具体的には垂直円筒形ハウジングを挙げることができる。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングの内室の高さ(単位はm)の内径(単位はm)に対する比率は、7~17、好ましくは10~14である。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記担体の構成は、固体物質(例えば、本明細書において前述した様々な沈殿物)がその上に堆積され、装填されるのに適しており、それによって、沈殿物を外側シェルとして、かつ担体を内側コアとして、コア-シェル構造(装填された担体とも呼ばれる)を形成する。装填された担体が所定のサイズに成長する(すなわち、担体に所定量の沈殿物が装填される)と、当該担体は状況に応じて前記固体沈殿装置から除去または排出され得、同時に、またはその後、除去または排出された担体は固体沈殿プロセスを継続するために新しい担体と交換される。ここで、担体としては目的を達成することができる構造および形状であればよく、具体的には例えば、固体粒子、プレート、グリッド、メッシュ、ケージ、繊維、ストリップ等が挙げられ、好ましくは固体粒子が挙げられる。
【0059】
本明細書の文脈において、いわゆる「前記担体の構成は、担体上に堆積され装填される固体物質に適している」とは、担体の形状または構造などの構成が、その上に専らまたは意図的に、固体物質の実質的な一部(例えば、全固体物質の80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、または98重量%以上)が堆積され、装填されるように設計されることを意味する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記固体粒子として、具体的には例えば、脱塩または結晶化に特に適した無機塩粒子などの種結晶;無機粒子、特に耐火材料粒子、具体的には中間体として無機粒子を使用する脱塩に特に適したアルミナ球、シリカ球、砂、石英砂、セラミック粒子など;廃棄物再循環に特に適したスラグおよび固体ごみなどの固体廃棄物を挙げることができる。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、最適な堆積および装填効果を実現するために、前記固体粒子は、前記固体沈殿装置において前記ストリームと接触されて、流動化または沸騰状態を形成する。これにより、前記固体沈殿装置は、流動床反応器または沸騰床反応器とも呼ばれることがある。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記固体粒子は前記固体沈殿装置に装填するのに適した任意の大きさおよび形状であってもよく、特に、前記固体粒子の等価直径は、一般に0.1~1.0mm、好ましくは0.2~0.7mmである。また、前記固体粒子の比表面積は一般に100~300m2/gであり、嵩密度は一般に0.6~0.7g/cm3である。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置における前記固体粒子の装填量として、具体的には、例えば、前記固体粒子の使用量(体積による)は一般に、前記ハウジングの内室の総体積の1/4~3/4、好ましくは1/4~1/2を構成する。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、前記プレート、グリッド、メッシュ、ケージ、繊維、ストリップなどとして、それらは、前記固体沈殿装置に設置するための任意の適切な構造および形状であってよく、特に限定されない。例えば、前記プレートとして、以下を特に挙げることができる:前記沈殿物がプレート上に装填される非多孔質プレート;または前記沈殿物がプレート上および細孔中に装填される多孔質プレート。
【0065】
本発明によれば、前記固体粒子が担体として使用される場合、担体は連続操作に特に適しており、すなわち、担体は前記固体沈殿装置に連続的に添加され、同時に、装填された担体は連続的に排出されるか、またはバッチ操作に特に適しており、すなわち、担体は沈殿物の装填度に応じて定期的に交換され;プレート、グリッド、メッシュ、ケージ、繊維、ストリップなどが担体として使用される場合、担体はバッチ操作に特に適しており、すなわち、担体は、沈殿物の装填度に応じて定期的に交換される。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置から排出された装填された担体は、超音波、高温撹拌、研磨等を受けて、担体上に堆積した沈殿物を回収し、担体の再生が実現される。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングの内室において、ストリーム滞留時間は一般に10~1800秒、好ましくは60~600秒または10~180秒であり、空間速度は、一般に1.5~270h-1である。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置のハウジングの内室は、超臨界状態で、特に水などの前記溶媒の超臨界状態で運転される。ここで、前記超臨界状態としては、具体的には例えば、運転圧力が23~35MPaG、好ましくは25~30MPaG、運転温度が350~650℃、好ましくは450~600℃または450~550℃であることを挙げることができる。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、前記超臨界状態を実現するために、前記担体は、前記ハウジングの内室内に配置されてもよく、その温度は前記溶媒の超臨界温度よりも高い温度、例えば、前記超臨界温度よりも1~15℃、4~10℃、または6~8℃高い温度に設定される。ここで、前記担体および前記ストリームの割合は、それらを混合した後、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するかまたはそれを超えるような割合である。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、前記超臨界状態を実現するために、前記担体を前記ハウジングの内室にさらに加えることができ、前記担体の温度は溶媒の超臨界温度よりも高く、例えば、超臨界温度よりも1~15℃、4~10℃または6~8℃高い温度である。ここで、前記担体および前記ストリームの割合は、それらを混合した後、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するかまたはそれを超えるような割合である。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置は、前記ハウジングの内室内(特に上部)に配置された内部部材も備える。ここで、前記内部部材は、前記ハウジング、特に中空円筒の中心軸と実質的に同軸の中空管を含む。前記装置のシェルの内壁と前記中空管の外壁との間に間隙(第1の間隙と呼ばれる)があるべきである。加えて、前記内部部材は、前記中空管の上方に配置されたバッフルも含む。前記バッフルは、前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸であることが好ましい。さらに、前記バッフルと前記中空管の上縁との間に間隙(第2の間隙と呼ばれる)があるべきであり、前記バッフルと前記ハウジングの内壁との間に、関連するストリームの出入りチャネルとして使用される間隙(第6の間隙と呼ばれる)が存在する。上記間隙としては、環状間隙が好ましい。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、前記内部部材は、前記ハウジングの内室の上部に配置される。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、具体的には例えば、板状構造またはキャップ状構造、特に傘状キャップを前記バッフルとして挙げることができる。好ましくは、前記傘状キャップが前記中空管と同軸であり、典型的には30~150°、好ましくは60~120°の円錐角を有する。さらに、特に限定されないが、前記バッフルの高さは一般に、前記ハウジングの内室の高さの5~20%である。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、前記中空管の上端および下端は開放されており、前記中空管は、上部直管部および下部円錐拡散部を備える。ここで、前記中空管の前記直管部の外径は、一般に前記ハウジングの内径の60~80%、好ましくは67~73%である。特に限定されないが、前記中空管の直管部の高さは一般に、前記ハウジングの内室の高さの10~30%である。特に限定されないが、前記中空管の前記円錐拡散部の最大外径(すなわち、円錐底部の外径)は一般に、前記ハウジングの内径の75~90%である。特に限定されるものではないが、前記中空管の前記円錐拡散部の高さは一般に、前記ハウジングの内室の高さの3~10%である。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置は、前記ハウジングの内壁の周りに配置されたガイド構造も備える。前記ガイド構造は前記ハウジングの内室を取り囲んで、頂部および底部で開口しているチャネル(ガイド開口部と呼ばれる)を形成し、特に、頂部および底部で開口している円筒形チャネルを形成する。好ましくは、前記ハウジングの中心軸に沿った前記ガイド構造の長手方向断面は台形であり、前記台形のカバー角度アルファおよび摩擦角度ベータは鋭角、好ましくは5~70°である。本発明によれば、前記ガイド構造と前記中空管の下縁との間に間隙(第3の間隙と呼ぶ)が存在するべきである。好ましくは、前記ガイド開口部は前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である。前記第3の間隙としては、特に環状間隙が好ましい。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記ガイド開口部の内径は、一般に前記ハウジングの内径の60~80%である。さらに、前記ガイド開口部の高さは、一般に前記ハウジングの内室の高さの5~15%である。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、前記ガイド構造は、前記中空管の下であって、前記ストリーム入口の上に配置され、前記ハウジングの内室の上部に配置される。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、前記ストリーム入口は、前記ハウジングの底部または下部に配置される。ここで、前記ストリーム入口の構造は、前記ストリームを前記ハウジングの内室内に噴霧するのに適している。前記構造としては、例えば、ノズルまたは液体分配器、好ましくは液体分配器、特に液体分配プレートを挙げることができる。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、前記排出口は、前記ハウジングの頂部または上部に配置され、特に前記ハウジングの頂部に配置される。好ましくは、前記排出口が前記バッフルの上に配置される。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置はまた、担体装填入口および担体排出口を含む。ここで、前記担体装填入口は一般に、前記ハウジングの頂部または上部に位置し、好ましくは、前記ハウジングの頂部に位置する。好ましくは前記担体装填入口が前記ガイド構造の上に配置され、より好ましくは前記バッフルの上に配置される。さらに、前記担体排出口は一般に、前記ハウジングの底部に配置され、好ましくは、前記ストリーム入口の下に配置される。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、前記超臨界状態を実現するために、前記固体沈殿装置は、熱剤入口を含むこともできる。ここで、前記熱剤入口は、前記ハウジングの底部または下部に配置され、好ましくは前記ハウジングの底部に配置される。さらに、前記熱剤入口の構造は、前記ハウジングの内室内に前記熱剤を噴霧するのに適している。前記構造としては、例えば、ノズルまたはガス分配器、好ましくはガス分配器、特にガス分配プレートを挙げることができる。好ましくは、前記ガス分配器が前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、前記熱剤は、物理的熱交換または化学的放熱などによって、ストリームの温度を上昇させて溶媒の超臨界温度に達するか、または超臨界温度を超えることができる。前記熱剤としては、具体的には例えば、空気および酸素ガスなどの酸化性ガス、過酸化水素などの酸化性液体、過塩水溶液(総称して酸化剤と呼ぶ)、蒸気などの加熱ガス(例えば前記溶媒の蒸気)などが挙げられる。好ましくは、前記熱剤は前記ストリームが前記ハウジングの内室に入った後に、超臨界状態を形成し、例えば、前記溶媒の超臨界温度に達するか、またはそれを超えるような量で使用される。例えば、前記熱剤および前記ストリームの割合は、それらを混合した後、前記ストリームの温度が上昇して前記溶媒の超臨界温度に達するかまたはそれを超えるような割合である。ここで、化学的放熱としては、例えば、前記熱剤がある構成要素または前記ストリームに含まれるある構成要素と化学反応して放熱する場合が挙げられる。特に、ストリームが塩含有廃水または高塩分廃水であり、前記熱剤が酸化性ガスである場合、酸化性ガスおよび塩含有廃水または高塩分廃水中の有機汚染物質は、酸化反応を受けて熱を放出し、それによって塩含有廃水または高塩分廃水の温度を上昇させて水の超臨界温度に達するかもしくはそれを超えるか、または塩含有廃水もしくは高塩分廃水が固体沈殿装置に入る前に未臨界状態のままである場合、その温度を4℃以上(好ましくは6~8℃)上昇させて水の超臨界温度に達するかもしくはそれを超える。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、前記ストリームは塩含有廃水または高塩分廃水、特に高塩分有機廃水であり、前記熱剤は前記酸化性ガスであり、前記熱剤の使用量は、前記ストリームの酸化のための理論的酸素要求量の100~500%、好ましくは150~350%である。ここで、酸化のための理論的酸素要求量は、有機廃水中のCODの完全酸化に必要な酸素量である。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、前記熱剤が前記内室に装填されるときの温度および圧力などの条件は、特に限定されない。ここで、前記温度としては、具体的には例えば、室温から溶媒(特に水)の超臨界温度までの任意の温度を挙げることができる。前記圧力として、具体的には例えば、前記熱剤を確実に前記内室に装填することができる任意の圧力を挙げることができ、より具体的には例えば、前記ストリームの圧力と実質的に同一の圧力を挙げることができる。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、特に、前記ストリームが20000mg/L(好ましくは、20000~200000mg/Lまたは20000~40000mg/L)を超えるCODを有する塩含有廃水または高塩分廃水(特に高塩分有機廃水)であり、前記熱剤が前記酸化ガスである場合、前記熱剤の温度が前記溶媒(特に水)の超臨界温度よりはるかに低く、例えば、実質的に常温であっても、前記ストリームの温度を上昇させて、前記溶媒の超臨界温度に達するかまたはそれを超えることができ、したがって、本発明の期待される技術的効果を効率的に実現することができる。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置における温度の大きな変動を回避するために、状況に応じて、より高いまたはより低いCODを有する高塩分有機廃水などの他の有機廃水を前記ストリームに添加することができる。これにより、前記固体沈殿装置に入るときの前記ストリームのCOD含有量が実質的に一定のままとなる。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、前記熱剤入口は、前記ストリーム入口の上または下に配置され、好ましくは前記ストリーム入口の下に配置される。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置はまた、(中空管構造内でもある)内管を含む。前記内管としては、例えば、直管状またはホーン管状、特に直円筒状が挙げられる。好ましくは、前記内管が前記ハウジングの中心軸と実質的に同軸である。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、前記内管の外径は、一般に前記ハウジングの内径の60~80%、好ましくは67~73%である。さらに、前記内管の高さは、一般に前記ハウジングの内室の高さの20~60%、好ましくは30~50%である。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、前記内管は、前記ガイド構造の下に配置される。さらに、前記内管は、好ましくは前記ハウジングの内室の下部に配置される。
【0091】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングの内壁と前記内管の外壁との間に間隙(第4の間隙と呼ばれる)、特に環状間隙が存在する。さらに、前記内管の下縁または内壁と前記熱剤入口との間に間隙(第5の間隙と呼ばれる)、特に環状間隙が存在する。ここで、前記第5の間隙は、前記第4の間隙と前記内管の内部空間とに連通している。好ましくは、前記ストリーム入口が前記第4の間隙内かつ前記内管の上縁の下に配置される。さらに好ましくは、前記ストリーム入口が垂直方向において前記内管の上縁よりも100~500mm低い。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、前記内管は、前記熱剤入口から導入された前記熱剤が前記内管の内部空間に実質的に完全に入るような構成を有する。具体的には、例えば、
図3または
図4を参照すると、前記熱剤入口の構造はガス分配器であり、前記内管は前記ガス分配器の上に配置されるか、または前記ガス分配器を含み、両方とも前記第5の間隙によって区分される。第1のケースでは前記内管が垂直方向にガス分配器上に突起を有し、ガス分配器の全てのガスノズル開口部は突起領域に配置される。本発明はこれに限定されず、当業者は内管に対するこの要件に基づいて、任意の可能な構成を企図することができる。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、前記内管の上縁の下に位置する前記ハウジングの内室の空間は、緩衝ゾーンと呼ばれ、前記緩衝ゾーンは一般に、前記ハウジングの内室の全容積の25~40%または20~60%を含む。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、前記緩衝ゾーンにおいて、前記熱剤および前記ストリームの割合は、前記内管の上縁を離れると(すなわち、前記緩衝ゾーンを離れると)、前記ストリームの温度が前記溶媒の超臨界温度に達するかまたはそれを超えるように上昇するような割合である。特に、前記ストリームが塩含有廃水または高塩分廃水であり、前記熱剤が前記酸化ガスである場合、反応熱は廃水中の有機汚染物質の酸化分解の間に放出され、その結果、廃水が前記緩衝ゾーンにある場合、その温度は水の超臨界温度未満であり、それが前記緩衝ゾーンを離れる場合、その温度は水の超臨界温度に達するかまたはそれを超えるまで上昇し、それによって緩衝ゾーンにおける塩の沈殿を回避する。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置を操作するプロセスとして、例えば、以下を挙げることができる:前記ストリームは前記ストリーム入口から前記ハウジングの内室の下部に入り、前記担体は前記担体装填入口から前記ハウジングの内室の上部に入り、次いで、前記第1の間隙、前記第3の間隙、および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に入り、前記ストリームは前記担体を流動状態で存在させ、前記溶質の少なくとも一部は前記担体上に堆積および装填されて、装填された担体を形成し、前記装填された担体の一部は前記ハウジングの内室の底部に移動し、前記担体排出口から前記ハウジングの内室を排出し、前記装填された担体の別の一部は、溶質の少なくとも一部が除去された前記ストリーム(精製されたストリームと呼ばれる)と共に前記ハウジングの内室の上部に移動し、前記ガイド開口部を通過し、前記円錐拡散部から前記直管部に入り、次いで、前記第2の間隙から排出し、前記装填された担体は前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に還流し、前記精製されたストリームは前記第6の間隙を介して前記ハウジングの内室の頂部に移動し、前記放出出口から前記ハウジングの内室を排出する。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置を操作する別のプロセスとして、例えば、以下を挙げることができる:前記担体は前記担体装填入口から前記ハウジングの内室の上部に入り、次いで、前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に入り;前記ストリームは前記ストリーム入口から前記第4の間隙に入り、次いで、前記第5の間隙を介して前記内管の内部空間に入り、前記熱剤入口から前記内管の内部空間に入る前記熱剤と混合して混合物を形成し、温度が上昇して前記溶媒の超臨界温度に達しもしくは超えた後に前記内管の上縁から前記内管を排出し;前記混合物の一部が前記第4の間隙および前記第5の間隙を介して前記内管の内部空間に還流し(内部再循環を形成する)、前記混合物の別の一部は前記担体を流動状態で存在させ、前記溶質の少なくとも一部は前記担体上に堆積および装填されて、装填された担体を形成し、前記装填された担体の一部は前記第4の間隙を介して前記ハウジングの内室の底部に移動し、前記担体排出口から前記ハウジングの内室を排出し、前記装填された担体の別の一部は、溶質の少なくとも一部が除去された前記混合物(精製された混合物と呼ばれる)と共に前記ハウジングの内室の上部に移動し、前記ガイド開口部を通過し、前記円錐拡散部から前記直管部に入り、次いで、前記第2の間隙から排出され、前記装填された担体は前記第1の間隙、前記第3の間隙および前記ガイド開口部を介して前記ハウジングの内室の下部に還流し、前記精製された混合物は前記第6の間隙を介して前記ハウジングの内室の頂部に移動し、前記排出口から前記ハウジングの前記内室を排出する。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、状況に応じて、pH調整剤を前記ストリームおよび/または前記ハウジングの内室に添加することができ、前記pH調整剤は、前記ハウジングの内室内の内容物のpH値が9~13に維持されるような量で使用される。ここで、前記pH調整剤としては当該技術分野においてpH値を調整するために用いることができるものであればよく、具体的には例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、特に限定されるものではない。この理由のために、前記固体沈殿装置はストリームをアルカリ性環境に調整するためのpH調整装置をさらに備えることができ、それによって装置が腐食するのを防止する。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、状況に応じて、前記固体沈殿装置に熱交換装置を設けることもできる。前記熱交換装置は、前記固体沈殿装置の排出されたストリーム(例えば、前記ストリーム出口から排出された精製ストリーム)と前記固体沈殿装置への供給物(例えば、前記ストリーム入口から供給されたストリーム)との間の熱回収のために使用される。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、前記固体沈殿装置に含まれる任意の構成要素、例えば、装置ハウジング、内部部材などは溶媒の超臨界状態(特に、高温および高圧)に対して材料および構造において耐性を有し得ることは当業者には明らかである。このため、特に高塩分廃水の脱塩に使用する場合、これらの構成要素の設計圧力は一般に35MPa以上であり、設計温度は一般に650℃以上である。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、固体沈殿方法、特に脱塩方法にも関する。この方法は、本明細書の先行する態様のいずれかに記載されているようなストリームを、本明細書の先行する態様のいずれかに記載されているような固体沈殿装置に入れることを可能にすること、および沈殿物を前記担体上に堆積させ、装填することを可能にすることを含む。
【0101】
以下、本発明を、高塩分廃水の脱塩を例にとり、添付図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0102】
本発明の脱塩方法は、
図1を参照してより詳細に説明される。
【0103】
廃水は最初に熱交換器1に入り、気液分離後に高温の液体と熱交換し、次いで超臨界水の酸化処理のために沸騰床反応器2に入り、酸化された廃水は気液分離後に基準に達し得、排出される。使用される沸騰床反応器は当技術分野で従来採用されている反応器であり、主に、反応器シェル、気液分配ディスク、固体粒子などの従来の構成要素を含む。沸騰床反応器内の固体粒子は直結装填排出システムを通して、沸騰床反応器内外に周期的に装填および排出される。直結装填排出システムは、固体粒子直結装填システム4および固体粒子直結排出システム5を備える。固体粒子直結装填システム4は、装填ホッパーと、装填槽と、バルブとを備える。固体粒子を反応器に装填しなければならない場合、装填槽と反応器との間のバルブを最初に閉じ、次いで、装填槽を空にするために、空にするバルブを開き、ガス送達もしくは液体送達を採用することによって、または重力によって、装填ホッパー内の固体粒子を装填槽に装填し、次いで、配管上のバルブを閉じ、窒素加圧バルブを通して窒素を装填槽に装填する。その結果、装填槽内の圧力は、基本的に反応器圧力に等しい。その後、装填槽と反応器との間の接続配管のバルブを開放し、重力により粒子が反応器に入る。固体粒子直結排出システム5は、固体粒子の排出槽とバルブとを含む。反応器から塩分を含む固体粒子を排出する前に、まず反応器底部と塩分を含む固体粒子の排出槽との間の接続配管のバルブを閉じ、槽を供給廃水で満たした後、反応圧力に高圧の窒素ガスを導入し、反応器底部と塩分を含む固体粒子の排出槽との間の接続配管のバルブを開け、重力の作用により反応器底部から固体粒子の排出槽に粒子が入るようにする。
【0104】
本発明の脱塩装置の構造上の特徴および作用原理は、
図2を参照して以下の通りである:
前記脱塩装置は装置ハウジング5と脱塩装置の内部部材とを備え、脱塩装置の内部部材はガイド構造7と、中空管8と、傘状キャップ9とを備える。中空管8および中空管の上方に位置する傘状キャップ9はガイド構造7の上方に配置されており、前記中空管の上端および下端は開放されており、前記中空管は下部円錐形拡散部を有し、傘状キャップ9は中空管8と同心である。中空管8の下部開口部はストリームガイド開口部6であり、中空管の下部開口部と脱塩装置の内壁とにより形成される環状開口部は脱塩装置内の固体粒子の還流入口であり、分離された固体粒子は脱塩装置の下部に戻る。
【0105】
高塩分廃水は供給原料入口1から導入され、液体分配器3を通過し、次いで、脱塩装置に均一に入り、その結果、固体粒子4は、流動状態で存在する。ストリームの運搬作用下で、粒子床層はある高さまで膨張され、脱塩反応が脱塩装置内で行われ、その結果、塩が粒子上に堆積される。反応したストリームは粒子の一部を同伴して、分離のためにガイド構造7によって囲まれたガイド開口部6を通って中空管8および傘状キャップ9に入り得、分離された粒子は管構造の内部部材の外側を通って脱塩装置の下部に還流し、脱塩された廃水は、排出口10を通って脱塩装置から排出される。結晶化した飽和固体粒子を適時に脱塩装置から排出し、新鮮な粒子を補充するために、新鮮な粒子を、脱塩装置の上部に位置する固体粒子入口11を通して反応系に補充することができ、固体粒子を、脱塩装置の下部に位置する固体粒子排出口2を通して反応系から排出することができる。
【0106】
本発明の脱塩装置の構造上の特徴および作用原理は、
図3を参照して以下の通りである:
図2に基づき、脱塩装置の下部に内管12およびガス分配器3が配置され、ガス分配器が液分配器を置換し、ガス分配器の上に内管12が配置され、脱塩装置の底部の2つの面に廃水入口13が配置され、廃水は緩衝ゾーンの内管と装置ハウジングの内壁との間の環状間隙に対称的に入る。
【0107】
高塩分廃水は、脱塩装置の下部に位置する2つの対称な廃水入口13から緩衝ゾーンの内管と装置ハウジングの内壁との間の環状間隙に入り、運転中に緩衝ゾーン内に内部再循環が形成され、ガスがガス入口1およびガス分配器3を介して緩衝ゾーンに入り、ガスおよび液体の作用を受けて流動状態で固体粒子が存在し、緩衝ゾーン内で反応後に温度が4~8℃上昇し、高塩分廃水が上部域に入り所定の温度および圧力で反応し、高塩分廃水中の塩が固体粒子上に堆積し、堆積した塩を有する固体粒子が反応に伴って固体粒子排出口まで下方に移動し、反応後ストリームが固気二相分離に供され、固相が脱塩装置に戻り、気相が脱塩装置から排出される。
【0108】
本発明の脱塩装置の構造上の特徴および作用原理は、
図4を参照して以下の通りである:
前記脱塩装置は装置ハウジング6と、脱塩装置の内部部材とを備え、脱塩装置の内部部材は中空管7と、内管4と、傘状キャップ8とを備える。中空管の上端および下端はともに開口している。
【0109】
高塩分廃水は、装置の下部に配置された2対以上の対称な供給入口を通って、内管4と装置の外壁との間の環状間隙に入る。気相は内管4の下部から装置に入り、固体粒子は装置の上部から装置に入り、内管の内部および外部の気体内容物が異なるために内部再循環が形成され、内管の上部では、気液固混合物の一部は中空管7に入るように上方に流れ、気液固混合物の他の部分は内管4と装置の外壁との間の環状間隙に入り、第4の間隙および第3の間隙を通って中空管の内部に入る。中空管7に入る気液固混合物は上方に流れ、気液固三相分離は、気液固混合物が中空管7の頂部に到達した後に行われ、固体粒子および液相の一部は第2の間隙および第1の間隙を通って中空管7と装置の外壁との間の環状間隙に入り、装置の下部へ還流する。気相および液相の一部は、気液分離のために、装置の上部に位置する出口9を通って装置から排出される。
【実施例】
【0110】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0111】
以下の実施例および比較例において、使用したすべての試験方法は特に明記しない限り、当技術分野で慣用のものであり、使用したすべての試験材料は特に明記しない限り、慣用の生化学ストアから購入した。
【0112】
実施例1
図1に示すフロースキームを採用することにより、高塩分有機廃水において、COD濃度は92600mg/Lであり、TDSは13.5重量%であり、pHは8.5であった。
【0113】
高塩分有機廃水および酸素を沸騰床反応器に導入した。ここで、沸騰床反応器中の固体粒子は直径0.4mm、嵩密度0.65g/cm3、比表面積260m2/gのアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は反応器の体積の1/2であった。酸化剤の導入量は、廃水の酸化に対する理論的酸素要求量の300%であった。超臨界酸化の条件は、反応温度600℃、反応圧力28MPa、反応滞留時間30秒であった。反応中の固体粒子の装填排出量は、装填水の75g.h-1.L-1であった。廃水中の塩を沸騰床反応器中の固体粒子上に堆積させ、反応後のストリームを気液分離し、反応器供給廃水との熱交換後に液相を排出し、または供給廃水を希釈し、超臨界水酸化反応器に入るCOD含量を安定に保ち、反応器中の温度の大きな変動を回避して反応を安定に実施した。
【0114】
上記処理後の排水のCOD濃度は46mg/L、TDSは25mg/Lであり、直接排水の要件を満たしていた。
【0115】
実施例2
図1に示すフロースキームを採用することにより、高塩分有機廃水において、COD濃度は21700mg/Lであり、TDSは5.3重量%であり、pHは8であった。
【0116】
高塩分有機廃水および酸素を沸騰床反応器に導入した。ここで、沸騰床反応器中の固体粒子は直径0.2mm、嵩密度0.67g/cm3、比表面積100m2/gのアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は反応器の体積の1/3であった。酸化剤の導入量は、廃水の酸化のための理論的酸素要求量の150%であった。超臨界酸化の条件は、反応温度380℃、反応圧力23MPa、反応滞留時間150秒であった。反応中の固体粒子の装填排出量は、装填水の58g.h-1.L-1であった。廃水中の塩を沸騰床反応器中の固体粒子上に堆積させ、廃水中の有機物を二酸化炭素と水に酸化分解し、反応後のストリームを気液分離し、反応器供給廃水と熱交換した後に液相を排出し、または供給廃水を希釈し、超臨界水酸化反応器に入るCOD含量を安定に保ち、反応器中の温度の大きな変動を回避して反応を安定に実施した。
【0117】
上記処理後の排水のCOD濃度は58mg/L、TDSは113mg/Lであり、直接排水の要件を満たしていた。
【0118】
実施例3
図1に示すフロースキームを採用することにより、高塩分有機廃水において、COD濃度は137200mg/Lであり、TDSは14.3重量%であり、pHは8.7であった。
【0119】
高塩分有機廃水および酸素を沸騰床反応器に導入した。ここで、沸騰床反応器中の固体粒子は直径0.7mm、0.62g/cm3の嵩密度、300m2/gの比表面積を有するアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は、反応器の体積の1/2であった。酸化剤の導入量は、廃水の酸化のための理論的酸素要求量の350%であった。超臨界酸化の条件は、反応温度650℃、反応圧力30MPa、反応滞留時間30秒であった。反応中の固体粒子の装填排出量は、装填水の79g.h-1.L-1であった。廃水中の塩を沸騰床反応器中の固体粒子上に堆積させ、廃水中の有機物を二酸化炭素と水に酸化分解し、反応後のストリームを気液分離し、反応器供給廃水と熱交換した後に液相を排出し、または供給廃水を希釈し、超臨界水酸化反応器に入るCOD含量を安定に保ち、反応器中の温度の大きな変動を回避して反応を安定に実施した。
【0120】
上記処理後の排水のCOD濃度は54mg/L、TDSは23mg/Lであり、直接排水の要件を満たしていた。
【0121】
実施例4
酸化剤として空気を使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を行った。上記処理後の排水のCOD濃度は59mg/L、TDSは26mg/Lであった。
【0122】
実施例5
固体粒子が直径0.5mm、比表面積230m2/gのシリカペレットであることを除き、実施例1と同じ手順を行った。上記処理後の排水のCOD濃度は53mg/L、TDSは62mg/Lであった。
【0123】
実施例6
供給廃水に水酸化ナトリウムを添加して、投入水のpHを11に制御したことを除いて、実施例1と同じ手順を行った。上記処理後、排水中のCODおよびTDSは大きく変化しなかった。しかし、投入水のpH値はアルカリ性に制御されており、廃水中のアルカリ性物質が反応プロセスで生成される酸性物質を中和することができ、それによって反応器の腐食を回避することができる。
【0124】
実施例7
図2に示すように本発明の脱塩装置を用いた。ここで、装置は内室高さ2m、内径0.17mであり、中空管の直管部の外径は0.12m、中空管の直管部の高さは0.4m、傘状キャップの円錐角は100°、傘状キャップの高さは0.25m、傘状キャップの外径は0.14m、円錐状拡散部の最大外径は0.14mであり、円錐状拡散部の高さは0.15mであり、ガイド構造は高さ0.2mの台形断面を有するリング構造であり、ガイド開口部の内径は0.13mであり、カバー角度アルファは45°、摩擦角度ベータは45°であった。高塩分有機廃水では、TDSは13.5重量%、pHは8.5であった。
【0125】
脱塩装置に高塩分有機廃水(温度:360℃、圧力:30MPa)を導入した。ここで、脱塩装置内の固体粒子は直径0.4mm、嵩密度0.65g/cm3、比表面積260m2/gのアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は反応器体積の1/2であった。装置の内室では、動作温度は600°C、圧力は28MPa、滞留時間は30秒であった。装填排出量は荷電水の75g・h-1.L-1であった。処理後の排水のTDSは113mg/Lであった。
【0126】
連続運転の100日後、装置および配管に閉塞は生じなかった。
【0127】
実施例8
図3に示すように本発明の脱塩装置を用いた。ここで、装置は内室高さ2m、内径0.17mであり、中空管の直管部の外径は0.12m、中空管の直管部の高さは0.4m、傘状キャップの円錐角は100°、傘状キャップの高さは0.25m、傘状キャップの外径は0.14m、円錐拡散部の最大外径は0.14m、円錐拡散部の高さは0.15m、ガイド構造は高さ0.2mの台形断面を有するリング構造であり、ガイド開口部の内径は0.13mであり、カバー角度アルファは45°、摩擦角度ベータは45°であった。内管は外径0.12m、高さ0.7mであり、高塩分有機廃水入口は内管の垂直方向の上縁よりも200mm低かった。高塩分有機廃水では、COD濃度は92600mg/L、TDSは13.5重量%、pHは8.5であった。
【0128】
脱塩装置に高塩分有機廃水(温度:常温、圧力:30MPa)および酸素ガス(温度:常温、圧力:30MPa)を導入した。ここで、脱塩装置内の固体粒子は直径0.4mm、嵩密度0.65g/cm3、比表面積260m2/gのアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は反応器の体積の1/2であった。酸素ガスの導入量は、廃水の酸化に必要な理論的酸素要求量の300%であった。装置の内室では、動作温度は600°C、圧力は28MPa、滞留時間は30秒であった。装填排出量は装填水の75g・h-1.L-1であった。上記処理後の排水のCOD濃度は54mg/L、TDSは63mg/Lであり、直接排水の要件を満たしていた。
【0129】
連続運転の100日後、装置および配管に閉塞は生じなかった。
【0130】
実施例9
図4に示すような本発明の脱塩装置を用いた。ここで、装置は内室高さ2m、内径0.17mであり、中空管の直管部の外径は0.12mであり、中空管の直管部の高さは0.4mであり、傘状キャップの円錐角は100°、傘状キャップの高さは0.25mであり、傘状キャップの外径は0.12mであり、内管は外径0.12mおよび高さ0.7mであり、高塩分有機廃水入口は、垂直方向で内管の上縁より150mm低かった。高塩分有機廃水では、COD濃度は92600mg/L、TDSは13.5重量%、pHは8.5であった。
【0131】
脱塩装置に高塩分有機廃水(温度:常温、圧力:30MPa)および酸素ガス(温度:常温、圧力:30MPa)を導入した。ここで、脱塩装置内の固体粒子は直径0.4mm、嵩密度0.65g/cm3、比表面積260m2/gのアルミナセラミックペレットであり、固体粒子の添加量は反応器の体積の1/2であった。酸素ガスの導入量は、廃水の酸化に必要な理論的酸素要求量の300%であった。装置の内室では、動作温度は600°C、圧力は28MPa、滞留時間は30秒であった。固体粒子の装填排出量は装填水の75g・h-1.L-1であった。上記処理後の排水のCOD濃度は46mg/L、TDSは43mg/Lであり、直接排水の要件を満たしていた。
【0132】
連続運転の100日後、装置および配管に閉塞は生じなかった。
【0133】
実施例10
固体粒子が直径0.5mm、比表面積230m2/gのシリカペレットであることを除き、実施例8と同様の操作を行った。上記処理後の排水のCOD濃度は53mg/L、TDSは62mg/Lであった。
【0134】
実施例11
投入した高塩分有機廃水に水酸化ナトリウムを添加して投入水のpHを11に制御したこと以外は、実施例8と同様の操作を行った。上記処理後、排水中のCOD、TDSは大きく変化しなかった。しかし、投入水のpH値はアルカリ性に制御されており、廃水中のアルカリ性物質は脱塩プロセスで生成される酸性物質を中和することができ、それによって装置の腐食を回避することができる。
【0135】
実施例12
中空管、傘状キャップおよびガイド構造体を設けなかったことを除いて、実施例7と同じ手順を行った。上記処理後の排水のTDSは436mg/Lであった。
【0136】
連続運転の30日後、装置および配管にわずかな閉塞が生じた。
【0137】
比較例1
沸騰床反応器ではなく通常の反応器を使用したことを除いて、実施例1と同じ手順を行った。上記処理後、排水中のCOD濃度は96mg/L、TDSは138700mg/Lであり、反応器、配管ともに閉塞が発生した。
【0138】
比較例2
反応温度270℃、反応圧力9.0MPa、滞留時間1時間の条件下で沸騰床反応器を用いて処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ手順を行った。上記処理後の排水のCOD濃度は13790mg/L、TDSは14270mg/Lであった。
【0139】
比較例3
固体粒子を装置に添加しなかったことを除いて、実施例7と同じ手順を行った。上記処理後、排水のTDSは138700mg/Lであった。
【0140】
連続運転のわずか1日後に、装置および配管に重度の閉塞が生じた。