(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】船舶の船体を洗浄するように構成されたロボット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20240101AFI20240619BHJP
B63B 59/10 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G05D1/00
B63B59/10 A
(21)【出願番号】P 2021559830
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020058231
(87)【国際公開番号】W WO2020207791
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-10
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519316391
【氏名又は名称】ヨツン アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル アクセル オフテダール
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-509225(JP,A)
【文献】特表2017-526573(JP,A)
【文献】特開2014-125201(JP,A)
【文献】特開2013-067358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
B63B 59/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船体を、前記船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットを制御する方法であって、前記方法は、
前記船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記少なくとも1つの信号から、前記船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)前記少なくとも1つの信号を使用して、前記船舶の速度が所定の期間内に前記所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出する前記ステップに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記船舶の速度が前記所定の
速度閾値を下回ったと判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの信号は、少なくとも1つのセンサから受信されたセンサ信号であって、前記センサ信号は、前記少なくとも1つのセンサによって出力されたセンサデータを含む、センサ信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、前記ロボット上の1つ又は複数のセンサを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、前記船舶上の1つ又は複数のセンサを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサは、錨センサを含み、前記センサデータは、前記船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあることを示す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、
速度センサであって、前記センサデータは、前記船舶の速度を示す速度データを含む、速度センサと、
振動センサであって、前記センサデータは、前記船舶の速度を示す振動データを含む、振動センサと、のうちの1つ又は複数を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの信号は、前記ロボットの外部の遠隔計算装置から受信された信号を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記遠隔計算装置から受信された前記信号は、
前記船舶の速度を示す速度データと、
前記船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあるという表示と、のうちの1つ又は複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの信号は、前記船舶の対地速力を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの信号は、前記船舶の対水速力を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の速度閾値は、0.1~40ノットの間の値を有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す前記洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記
ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す前記洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定する前記ステップは、
カメラからカメラ信号を受信するステップであって、前記カメラ信号は画像データを含む、ステップと、
前記画像データの分析に基づいて、前記ロボットの経路内の物体を検出するステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カメラは前記ロボット上にある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カメラは前記船舶上にある、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップは、前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号を受信するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す前記信号は、風情報又は波動情報を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す前記信号は、前記ロボット上のセンサ、前記船舶上のセンサ又は前記ロボットの外部の遠隔計算装置から受信される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記船舶の前記船体の汚損のリスクを示す信号の受信に基づいて汚損リスク値を計算し、前記汚損リスク値を汚損リスク閾値と比較するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、前記汚損リスク値が前記汚損リスク閾値未満であると判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す前記洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記汚損リスク値が前記
汚損リスク閾値を超えて増大したと判定するステップに基づいて、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す前記洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記船舶の前記船体の汚損を示す前記信号は、(i)前記船舶の水域環境でのクロロフィルの量、(ii)前記水域環境のpH値、(iii)前記水域環境の栄養水準、(iv)感知された前記水域環境の光強度、(v)前記水域環境の塩分濃度、(vi)前記水域環境の温度、(vii)前記水域環境での二酸化炭素の量、(viii)前記船舶の地理的位置、(ix)前記船舶の前記水域環境で水に溶解した気体酸素の量及び(x)前記水域環境の深さのうちの1つ又は複数に関する情報を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄が一時停止されている間に、前記ロボットは静止するように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記ロボットは、前記船舶上のドッキングステーションに移動するように構成される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、前記ロボットの監視モジュールによって実施され、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに出力して、前記洗浄を一時停止するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに出力して、前記洗浄を再開するステップを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記ロボット上の監視モジュールによって実施され、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の遠隔計算装置に前記洗浄一時停止信号を出力するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の前記遠隔計算装置に前記洗浄再開信号を出力するステップを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、前記ロボットの外部の遠隔計算装置上の監視モジュールによって実施される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに自動的に送信して、前記洗浄を一時停止するステップを含み、
前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに自動的に送信して、前記洗浄を再開するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、検証のために前記洗浄一時停止信号をユーザに出力してから、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに送信して前記洗浄を一時停止するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、検証のために前記洗浄再開信号をユーザに出力してから、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに送信して前記洗浄を再開するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1~27のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
船舶の船体を、前記船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットであって、前記ロボットは、プロセッサを具備し、前記プロセッサは、
前記船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信し、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記少なくとも1つの信号から、前記船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)前記少なくとも1つの信号を使用して、前記船舶の速度が所定の期間内に前記所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることの前記検出に応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力し、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記船舶の速度が前記所定の
速度閾値を下回ったとの判定に基づいて、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力する、ように構成される、ロボット。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記ロボット上の洗浄モジュールに前記洗浄一時停止信号を出力して、前記洗浄を一時停止し、前記ロボットの前記洗浄モジュールに前記洗浄再開信号を出力して、前記洗浄を再開するように構成される、請求項29に記載のロボット。
【請求項31】
前記プロセッサは、ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の遠隔計算装置に前記洗浄一時停止信号を出力し、前記ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の前記遠隔計算装置に前記洗浄再開信号を出力するように構成される、請求項29に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視モジュールに関する。特に、本開示は、船舶の船体を、船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットを制御するための監視モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
海水に沈められた全表面には、細菌、珪藻、藻類、イガイ、チューブワーム及びフジツボなどの生物の汚損が付着することになる。海洋汚損とは、海水に沈められた構造物への微生物、藻類及び動物の望ましくない蓄積である。汚損生物は、まとまって生育し、汚損群衆を形成する、微細汚損生物(細菌性生物膜及び二原子生物膜)と大型汚損生物(例えば、大型藻類、フジツボ、イガイ、チューブワーム、コケムシ)とに分けられる。汚損過程の簡単な概要では、最初のステップは、有機分子が表面に付着するコンディショニングフィルムの発現である。これは、表面が海水に沈むと瞬時に発生する。一次コロニー形成物、細菌と珪藻は、1日以内に定着することになる。二次コロニー形成物、大型藻類と原生動物の胞子は、1週間以内に定着することになる。最後に、三次コロニー形成物、大型汚損生物の幼生は、2~3週間以内に定着することになる。
【0003】
海洋汚損の防止は既知の問題である。船舶の船体の汚損が、引き摺り抵抗の増大と燃料消費量の増大又は速度の低下につながることになる。燃料消費量の増大が、CO2、NOX及び硫黄の排出量の増大につながることになる。このほか、汚損が激しいと、船舶の操縦性の低下につながる可能性がある。多くの商用船(例えば、コンテナ船、ばら積み貨物船、タンカー、旅客船)が世界中で航行している。船舶の船体が汚損された場合、生物は、その元の生態系から別の生態系に移送されることになる。これは、新たな種が、影響を受けやすい生態系に導入され、在来種を排除する可能性があるため、問題がある。
【0004】
伝統的に、防汚塗装が、海洋生物の定着と成長を防ぐために使用されてきた。最も効率的な防汚塗装には、塗装膜から漏出することにより汚損の量を減らす殺生物剤が含まれている。
【0005】
このほか、「クローラー」又はROV(遠隔作業機)と呼ばれることもあるロボットが、以前は船体などの水没した表面の洗浄に使用されていた。背景技術が、特許文献1(国際公開第2014/043411号)、特許文献2(米国特許第8506719号明細書)及び特許文献3(国際公開第2014/043395号)に認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/043411号
【文献】米国特許第8506719号明細書
【文献】国際公開第2014/043395号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、船舶への防汚塗装の適用には限界があることを確認した。特に、商業船は、待機期間を含むさまざまな活動で、さまざまな海域、さまざまな航路にて運航することが多い。汚損のリスクは、物体が静止しているか低速の場合は、生物が表面に定着する時間が長くなるため、高くなる。商用船の一般的な業務間隔は24~90カ月である。船舶が業務と修理のために乾ドックに入るとき、防汚塗装は通常、次の期間の計画された航路に従って指定される。しかし、船舶の航路は業務期間中に変更される可能性がある。このため、可能性のあるあらゆる状況に最適な防汚塗装を設計し、指定することは困難である。殺生物剤の使用は厳しく規制されている。このほか、水循環が低い特定の港では、殺生物剤の濃度が蓄積するため、防汚塗装を含む殺生物剤の使用に制限がある。
【0008】
本発明者らはこのほか、ロボットが水中に沈められた表面の洗浄に以前は使用されていたが、洗浄過程は、手動で開始されるか、事前定義された頻度に従って判定されるか、船舶の汚損(例えば、ロボットによって測定されるクロロフィル濃度の増大)によって起動されるかのいずれかであることを確認した。ここに挙げたものは非効率的で複雑でエラーが発生しやすい方法であり、表面の汚損のリスクが高くなる。このほか、船舶の航路が変化する可能性があり、洗浄過程が船舶の航路にはもはや最適なものではなくなり、汚損のリスクが発生することになるため、所定の洗浄頻度で最適な洗浄方法を実現することが困難である。
【0009】
本発明者らは、船舶の表面を効果的に洗浄することができるロボットが使用される場合、殺生物剤の量を減らした防汚塗装、さらには殺生物剤を含まない塗装を使用することもあり得ることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ロボットは、洗浄に貢献する条件の場合にのみ船舶の船体の洗浄を実施するという事実により、本開示の実施形態が、ロボットとドッキングステーション(又は船舶の他の部分)との間に任意のワイヤ又は他の連結具を使用せずにロボットの使用を有利に可能にする。これは、他の方法で、ロボットが船舶から外れて消失するのを防ぐために必要になる場合がある。
【0011】
本開示の実施形態では、船舶の船体の汚損の量を減らすために、ロボットが、船舶全体にわたって移動している間に、連続的な洗浄を実施する。
【0012】
本開示の一態様によれば、船舶の船体を、船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットを制御する方法が提供される。この方法は、船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信するステップと、ロボットが実施している洗浄の間に、(i)少なくとも1つの信号から、船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)少なくとも1つの信号を使用して、船舶の速度が所定の期間内に所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出するステップと、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出するステップに応答して、洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力するステップと、洗浄が一時停止されている間に、船舶の速度が所定の閾値を下回ったと判定するステップに基づいて、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力するステップと、を含む。
【0013】
高速移動中には、ロボットが破損するか消失することになるリスクが高くなる。ほとんどの海洋生物は高速では表面に定着することができないため、汚損のリスクも高速では低い。このため、本開示の実施形態では、船舶が特定の速度に達するか、あるいは船舶が今にもこの速度に達すると予測される場合、連続的洗浄は一時停止される。
【0014】
少なくとも1つの信号は、少なくとも1つのセンサから受信されたセンサ信号を含んでもよく、センサ信号は、少なくとも1つのセンサによって出力されたセンサデータを含む。
【0015】
少なくとも1つのセンサは、ロボット上の1つ又は複数のセンサを含んでもよい。少なくとも1つのセンサは、船舶上の1つ又は複数のセンサを含んでもよい。
【0016】
少なくとも1つのセンサは、錨センサを含んでもよく、センサデータは、船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあることを示す。
【0017】
少なくとも1つのセンサは、速度センサであって、センサデータは、船舶の速度を示す速度データを含む、速度センサと、振動センサであって、センサデータは、船舶の速度を示す振動データを含む、振動センサとのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0018】
少なくとも1つの信号は、上記ロボットの外部の遠隔計算装置から受信された信号を含んでもよい。
【0019】
遠隔計算装置から受信した信号は、船舶の速度を示す速度データと、船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあることの表示とのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0020】
少なくとも1つの信号は、船舶の対地速力を示してもよい。このような実施形態では、所定の速度閾値は、0.1~40ノットの間の値を有する。
【0021】
少なくとも1つの信号は、船舶の対水速力を示してもよい。このような実施形態では、所定の速度閾値は、0.1~40ノットの間の値を有する。
【0022】
この方法は、ロボットが実施している洗浄の間に、(i)ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップに基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力するステップと、洗浄が一時停止されている間に、物体がもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す前記洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含んでもよい。
【0023】
ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップは、カメラからカメラ信号を受信するステップであって、カメラ信号は画像データを含む、ステップと、画像データの分析に基づいて、ロボットの経路内の物体を検出するステップと、を含んでもよい。このような実施形態では、カメラはロボット上又は船舶上にあってもよい。
【0024】
ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップは、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号を受信するステップを含んでもよい。
【0025】
ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号は、風情報又は波動情報を含んでもよい。
【0026】
ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号は、ロボット上のセンサ、船舶上のセンサから受信されても、ロボットの外部の遠隔計算装置から受信されてもよい。
【0027】
この方法は、船舶の船体の汚損のリスクを示す信号の受信に基づいて汚損リスク値を計算し、汚損リスク値を汚損リスク閾値と比較するステップと、ロボットが実施している洗浄の間に、汚損リスク値が汚損リスク閾値未満であると判定するステップに基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力するステップと、洗浄が一時停止されている間に、汚損リスク値が所定の閾値を超えて増大したと判定するステップに基づいて、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含んでもよい。
【0028】
船舶の船体の汚損を示す信号は、(i)船舶の水域環境でのクロロフィルの量、(ii)水域環境のpH値、(iii)水域環境の栄養水準、(iv)感知された水域環境の光強度、(v)水域環境の塩分濃度、(vi)水域環境の温度、(vii)水域環境での二酸化炭素の量、(viii)船舶の地理的位置、(ix)船舶の水域環境で水に溶解した気体酸素の量及び(x)水域環境の深さのうちの1つ又は複数に関する情報を含んでもよい。
【0029】
洗浄が一時停止されている間に、ロボットは静止するように構成されてもよい。
【0030】
ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、ロボットは、船舶上のドッキングステーションに移動するように構成されてもよい。
【0031】
この方法は、ロボット上の監視モジュールによって実施されてもよい。ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、この方法は、洗浄一時停止信号をロボット上の洗浄モジュールに出力して、洗浄を一時停止するステップを含んでもよい。ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、この方法は、洗浄再開信号をロボット上の洗浄モジュールに出力して、洗浄を再開するステップを含んでもよい。
【0032】
この方法は、ロボット上の監視モジュールによって実施されてもよい。ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、この方法は、ユーザによる検証のために、ロボットの外部の遠隔計算装置に洗浄一時停止信号を出力するステップを含んでもよい。ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、この方法は、ユーザによる検証のために、ロボットの外部の遠隔計算装置に洗浄再開信号を出力するステップを含んでもよい。
【0033】
この方法は、ロボットの外部の遠隔計算装置上の監視モジュールによって実施されてもよい。
【0034】
ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、この方法は、洗浄一時停止信号をロボット上の洗浄モジュールに自動的に送信して、洗浄を一時停止するステップを含んでもよい。ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、この方法は、洗浄再開信号をロボット上の洗浄モジュールに自動的に送信して、洗浄を再開するステップを含んでもよい。
【0035】
ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、この方法は、検証のために洗浄一時停止信号をユーザに出力してから、洗浄一時停止信号をロボット上の洗浄モジュールに送信して、洗浄を一時停止するステップを含んでもよい。ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、この方法は、検証のために洗浄再開信号をユーザに出力してから、洗浄再開信号をロボット上の洗浄モジュールに送信して、洗浄を再開するステップを含んでもよい。
【0036】
本開示の別の態様によれば、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提供される。命令は、装置のプロセッサによって実行されると、装置に本明細書に記載の方法のステップを実施させる。
【0037】
装置は、本明細書で言及されるロボット又はロボットの外部の計算装置(例えば、ロボットと通信する船舶又は陸上の計算装置)に対応してもよい。
【0038】
命令は、ディスク、CD-ROM又はDVD-ROMなどの記憶媒体、読み取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムされたメモリ、あるいは光信号記憶媒体又は電気信号記憶媒体などのデータ記憶媒体に提供されてもよい。本開示の実施形態を実施するためのコード(及び/又はデータ)には、Cなどの従来の(解釈されるかコンパイルされた)プログラミング言語のソース、オブジェクト又は実行可能コード、あるいはアセンブリコード、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定するか制御するためのコード、あるいはハードウェア記述言語のコードが含まれてもよい。
【0039】
本開示の別の態様によれば、船舶の船体を、船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットが提供される。ロボットは、プロセッサを具備する。プロセッサは、船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信し、ロボットが実施している洗浄の間に、(i)少なくとも1つの信号から、船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)少なくとも1つの信号を使用して、船舶の速度が所定の期間内に所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることの検出に応答して、洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力し、洗浄が一時停止されている間に、船舶の速度が所定の閾値を下回ったとの判定に基づいて、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力する、ように構成される。
【0040】
プロセッサは、ロボット上の洗浄モジュールに洗浄一時停止信号を出力して、洗浄を一時停止し、ロボット上の洗浄モジュールに洗浄再開信号を出力して、洗浄を再開するように構成されてもよい。
【0041】
プロセッサは、ユーザによる検証のために、ロボットの外部の遠隔計算装置に洗浄一時停止信号を出力し、ユーザによる検証のために、ロボットの外部の遠隔計算装置に洗浄再開信号を出力するように構成されてもよい。
【0042】
ここに挙げた態様をはじめとする態様は、以下に記載する実施形態から明らかになるであろう。本開示の範囲は、この概要によって限定されることも、記載した不利な点のいずれか又は全部を必然的に解決する実装例によって限定されることも意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示をいっそうよく理解し、実施形態をどのように実施し得るかを示すために、添付の図面を参照する。
【
図3a】本開示の一実施形態による監視モジュール及び洗浄モジュールを示す図である。
【
図3b】本開示の別の実施形態による監視モジュール及び洗浄モジュールを示す図である。
【
図3c】本開示のさらに別の実施形態による監視モジュール及び洗浄モジュールを示す図である。
【
図4】監視モジュールによって実施される、ロボットを制御する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、実施形態を、例としてのみ説明する。
【0045】
図1は、水上船舶100、例えば、コンテナ船、ばら積み貨物船、タンカー又は旅客船を示す。水生船舶は船体101を備える。
【0046】
ロボット102が、動作前に、ロボット102を充電するために使用され得るロボットステーション104(ドッキングステーション)に静止することになる。ロボットステーション104は、海水面より上方の船舶上に位置決めされることになる。本開示のいくつかの実施形態では、ロボットステーション104は、ロボットが実施する洗浄動作が一時停止されたときに、ロボット102の待機を可能にする。ロボット102は、船体101の表面の洗浄中に、海洋汚損が形成される可能性のある船体101の任意の表面(例えば、船体の平坦な底部又は側面の底部)を横断してもよい。
【0047】
図1に示すように、計算装置106を、ロボット102と通信するために、船舶の甲板室に設けてもよい。さらに、船舶の錨110に結合された錨センサ108を設けてもよく、錨センサ108は、計算装置106と通信している。
【0048】
本開示の実施形態では、監視モジュールを、ロボット102が船体101全体にわたって移動している間に、船舶100の船体101の洗浄を制御するように構成する。既知の技術とは対照的に、本明細書に記載の実施形態では、ロボット102の初期設定状態は、船体101を連続的に洗浄することであり、洗浄動作は、ロボット102がその電源を(例えば、ロボットステーション104に戻ることによって)再充電する必要がある場合、あるいはロボットがその洗浄を実施するのが安全でない場合、例えば、船舶100が高速で移動している場合にのみ、一時停止する。船舶100が高速で移動している場合、ロボットが高速移動中に損傷するか、消失することになるリスクが高い。ほとんどの海洋生物は高速では表面に定着することができないため、汚損のリスクも高速では低くなる。
【0049】
「洗浄」への言及を、本明細書では、船体101の表面からの汚損生物の除去を指すために使用し、そのような洗浄は、「グルーミング」又は「予防的洗浄」と呼ばれることがある。ロボット102は、船体101の表面の連続的な洗浄を実施することにより、典型的には、有機分子が船体101の表面に付着していたり、及び/又は二次コロニー形成物の前の一次コロニー形成物が定着する可能性があった初期コンディショニングフィルムの除去を実施する。しかし、ロボット102が実施する洗浄はこのほか、二次コロニー形成物及びその後の任意のコロニー形成物の除去に及ぶことが理解されるであろう。
【0050】
本明細書で説明するロボット102が実施する連続的洗浄動作の期間は変化してもよい。ロボットが再充電のためにドッキングステーション104に戻ったときにのみ洗浄が一時停止されるという点で、連続的洗浄動作が継続的であってもよい。これとは別に、連続的洗浄動作は、新たな連続的洗浄動作を開始する前に、ロボットがドッキングステーション104に戻るまでの設定期間を有してもよい。例えば、船舶が1週間待機状態で、ロボットが船体の洗浄に半日を費やした場合、ロボットがその日の残りの時間、船体の洗浄を続ける必要がない可能性は否定できない。このため、(例えば、ロボットの損耗を減らすために)連続的洗浄動作を終了し、ロボットは翌日、新たな連続的洗浄動作を再開することができる。
【0051】
図1は、簡略にするために船舶上の単一のロボット102を示しているが、船舶上に複数のロボットがあり得ることが理解されよう。同じように、単一のロボットステーション104を
図1に示しているが、船舶上に複数のロボットステーションがあり得ることが理解されよう。
【0052】
図2は、ロボット102の概略ブロック図である。
図2に示すように、ロボット102は中央処理装置(「CPU」)202を備える。CPU202は、CPU202に結合され、船体101の表面から汚損生物の除去を実施する(回転円筒形ブラシの形態をとり得る)洗浄装置208を制御するように構成された洗浄モジュール204を備える。洗浄モジュール204は、洗浄一時停止信号の受信に応答して、洗浄装置208が実施している洗浄を一時停止するように構成される。洗浄モジュール204は、洗浄再開信号の受信に応答して、洗浄装置208を再開して、洗浄を実施するように構成される。
【0053】
CPU202はこのほか、監視モジュール206を備えてもよい。ロボット102は監視モジュール206を備え得るが、(
図3cを参照して以下でさらに詳細に説明する)代替の実施形態では、監視モジュールは計算装置106の構成要素であり得ることが、以下から明らかになるであろう。
【0054】
CPU202は、電源214(例えば、1つ又は複数の電池)に結合される。電源214は、例えば、ロボットステーション104を使用して、再充電可能であってもよい。ロボット102はこのほか、当技術分野で知られているように、データを保存するためのメモリ210を備える。
【0055】
図2に示すように、ロボット102は、監視モジュール206にセンサ信号を出力するように構成された1つ又は複数のセンサ212を備えてもよい。本明細書に記載のセンサのそれぞれは、物理センサ(即ち、物理学的測定機器)であっても、仮想センサ(即ち、複数の物理センサから感知されたデータを組み合わせて測定値を計算するソフトウェア)であってもよい。
【0056】
センサ212は、船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するように構成された1つ又は複数のセンサを備えてもよい。船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、船舶100の速度を示す速度データを出力するように構成された速度センサ(例えば、速度ログ)を備えてもよい。速度センサは、「対地速力」又は「対水速力」の測定を実施するように構成されてもよい。「対地速力」測定を実施するように構成された速度センサは、船舶のナビゲーションシステム又は搭載されている他のGPSセンサ(例えば、ドッキングステーション104のGPSセンサ)から抽出することができるGPS情報を使用してもよい。「対水速力」測定を実施するように構成された速度センサは、1つ又は複数の搭載センサ(典型的には、ドップラーベース又は電磁のセンサ)を使用してもよい。このほか、ロボット102を「対水速力」測定のための仮想センサとして使用することが可能である。
【0057】
これとは別に、あるいはこれに加えて、船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、船舶100の速度を示す振動データを出力するように構成された振動センサを含んでもよい。例えば、船舶のエンジンは、船舶のエンジンの動作状態(例えば、船舶がエンジンを停止した状態で静止しているか、エンジンを稼働した状態で静止し、船舶が今にも航海を開始しようとしているか、低速で移動しているか、高速で移動しているか、など)に基づいて、船体101全体にわたってさまざまな程度の振動を生成することになる。
【0058】
船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、ロボット102上に位置づけられていると説明してきたが、このようなセンサを船舶100上に位置づけてもよい。
【0059】
船舶上に位置づけられ、船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサの追加の例には、錨センサ108が挙げられる。錨センサ108は、上昇状態(この状態から、船舶が移動しているか、移動しようとしていると推測することができる)又は下降状態(この状態から、船舶が静止しているか、停止しようとしていると推測することができる)にある、船舶の錨110を示すセンサ信号を出力するように構成される。
【0060】
船舶100上に位置づけられ、船舶100の速度を示すセンサ信号を出力するセンサは、インターフェース216を介してロボット102上の監視モジュール206に直接センサ信号を出力してもよい。これとは別に、船舶100上に位置づけられたセンサは、センサ信号を計算装置106に出力してもよく、計算装置106は、インターフェース216を介してセンサ信号をロボット102に中継する。
【0061】
センサ212は、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示すセンサ信号を出力するように構成された1つ又は複数のセンサを含んでもよい。
ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、画像データを含むカメラ信号を出力するように構成されたカメラを含んでもよい。カメラは、ロボットの経路内の物体を検出し、ひいては、画像データの分析に基づいて、ロボット102が損傷のリスクにさらされていると判定するように構成された監視モジュール206に、カメラ信号を直接出力してもよい。これとは別に、カメラは、カメラ信号を計算装置106に出力してもよく、計算装置106を操作するユーザが、(例えば、カメラが捕捉した画像データを見ることによって)ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを確認し、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示す信号を監視モジュール206に送信してもよい。
【0062】
水中では視界が悪いため、カメラが使いにくくなる可能性が否定できない。このため、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、これとは別に、あるいはこれに加えて、光を放出する(例えば、Lidarセンサ)か、音を放出して(例えば、音響センサ)、物体がロボットの経路にあることを検出するための反射パルスを測定してもよい。
【0063】
これとは別に、あるいはこれに加えて、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、船舶100の水域環境での波動の程度を感知し、波動情報を出力するように構成された波動センサを含んでもよい。
【0064】
波動センサはロボット102上に位置づけられてもよく、これとは別に、船舶100上に位置づけられてもよい。さらに、監視モジュール206は、ロボット102の外部の計算装置(例えば、船舶上のコンピュータ装置106、陸上、例えば、測候所にあるコンピュータ装置、あるいは水中の計算装置、例えば、気象ブイ又は半潜水型プラットフォーム上の計算装置から、波動情報を受信してもよい。
【0065】
センサ212は、船舶の船体の汚損のリスクを示すセンサ信号を出力するように構成された1つ又は複数のセンサを含んでもよい。
【0066】
船舶の船体の汚損のリスクを示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサは、(i)船舶の水域環境でのクロロフィルの量を感知するように構成されたクロロフィルセンサと、(ii)船舶の水域環境のpH値を感知するように構成されたpHセンサと、(iii)船舶の水域環境での栄養水準を感知するように構成された栄養センサと、(iv)船舶の水域環境での光強度を感知するように構成された光強度センサと、(v)船舶が感知した水域環境の塩分濃度を感知するように構成された塩分センサ(例えば、導電率センサ)と、(vi)船舶の水域環境の温度を感知するように構成された温度センサと、(vii)船舶の水域環境での二酸化炭素の量を感知するように構成された二酸化炭素センサと、(viii)船舶の地理的位置を感知するように構成された位置センサ(例えば、GPSセンサ)と、(ix)船舶の水域環境での水に溶解した気体酸素の量を感知するように構成された溶存酸素センサと、(x)船舶の水域環境の深さを感知するように構成された深度センサ(例えば、圧力センサ)と、のうちの1つ又は複数を含んでもよい。そのようなセンサは当業者に既知のものであるため、本明細書ではさらに詳細に説明することはしない。
【0067】
船舶の船体の汚損のリスクを示すセンサ信号を出力するように構成されたセンサを、ロボット102上に位置づけられているものとして説明してきたが、このようなセンサは、船舶100上に位置づけられてもよい。
【0068】
さらに、船舶の船体の汚損のリスクを示す信号を、(例えば、船舶上の計算装置106が監視モジュール206を備える実施形態にて)監視モジュール206にて衛星から直接受信しても、(例えば、衛星及び/又は船舶100に位置づけられたセンサからデータを受信し、汚損のリスクを示す信号をロボット102上の監視モジュール206に供給する計算装置106に基づいて)船舶上の計算装置106から受信してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、インターフェース216を設けて、ロボット102がデータを送受信することができるようにする。インターフェース216は、有線及び/又は無線のインターフェースを含んでもよい。
図3aは、監視モジュール206及び洗浄モジュール204の両方がロボット102上に位置づけられている、本開示の一実施形態による監視モジュール206及び洗浄モジュール204を示す。
【0070】
図3aの実施形態では、監視モジュール206は、洗浄モジュール204と通信するように構成される。
【0071】
この実施形態では、監視モジュール206は、入力信号を受信するように構成され、このような入力信号に基づいて、監視モジュール206は、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、洗浄一時停止信号をロボット102上の洗浄モジュール204に出力するように構成され、このような入力信号に基づいて、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、ロボット102上の洗浄モジュール204に洗浄再開信号を出力するようにさらに構成される。
【0072】
図3aの実施形態では、入力信号は、船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を含み、これは、ロボット上のセンサ、船舶上のセンサ又は遠隔計算装置のうちの1つ又は複数から受信されてもよい。
【0073】
図3bは、監視モジュール206及び洗浄モジュール204の両方がロボット102上に位置づけられている、本開示の別の実施形態による監視モジュール206及び洗浄モジュール204を示す。しかし、この実施形態では、監視モジュール206は、「中間者」機能を提供するために、洗浄モジュール204ではなく、計算装置106と通信するように構成される。
【0074】
この実施形態では、監視モジュール206は、入力信号を受信するように構成され、このような入力信号に基づいて、監視モジュール206は、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、遠隔計算装置106のユーザによる検証のために(例えば、遠隔計算装置106上のディスプレイを介して)洗浄一時停止信号を遠隔計算装置106に出力するように構成される。遠隔計算装置106のユーザが、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを(遠隔計算装置106の入力装置を使用して)確認した場合、ユーザは、遠隔計算装置106に適切な入力を実施し、洗浄一時停止信号が、遠隔計算装置106からロボット102上の洗浄モジュール204に出力されるようにする。
【0075】
監視モジュール206は、ロボットが実施した洗浄がこのような入力信号に基づいて再開される必要があることを検出し、遠隔計算装置106のユーザによる検証のために遠隔計算装置106に洗浄再開信号を出力するようにさらに構成される。遠隔計算装置106のユーザが、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを確認した場合、ユーザは、遠隔計算装置106に適切な入力を実施し、洗浄再開信号が遠隔計算装置106からロボット102上の洗浄モジュール204に出力されるようにする。
【0076】
図3bの実施形態では、入力信号は、船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を含み、これは、ロボット上のセンサ、船舶上のセンサ又は遠隔計算装置のうちの1つ又は複数から受信されてもよい。
【0077】
図3cは、本開示の別の実施形態による、監視モジュール206及び洗浄モジュール204を示しており、洗浄モジュール204はロボット102上に位置づけられ、監視モジュール206は遠隔計算装置106上に位置づけられる。
【0078】
図3cに示すように、遠隔計算装置106は、メモリ310に結合されたCPU302を備える。CPU302は、監視モジュール206を備える。
図3cの実施形態では、遠隔計算装置106上の監視モジュール206は、ロボット102上の洗浄モジュール204と通信するように構成される。
【0079】
この実施形態では、監視モジュール206は、入力信号を受信するように構成され、このような入力信号に基づいて、監視モジュール206は、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出するように構成される。ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることの検出に応答して、監視モジュール206は、洗浄一時停止信号をロボット102上の洗浄モジュール204に自動的に送信して、洗浄を一時停止するように構成されてもよい。これとは別に、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることの検出に応答して、監視モジュール206は、遠隔計算装置106のユーザによる検証のために洗浄一時停止信号を(例えば、遠隔計算装置106上のディスプレイを介して)出力するように構成されてもよい。遠隔計算装置106のユーザが、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを確認した場合、ユーザは、遠隔計算装置106に適切な入力を実施し、洗浄一時停止信号が遠隔計算装置106からロボット102上の洗浄モジュール204に出力されるようにする。
【0080】
監視モジュール206は、このような入力信号に基づいて、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出するようにさらに構成される。ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることの検出に応答して、監視モジュール206は、ロボット102上の洗浄モジュール204に洗浄再開信号を自動的に送信して、洗浄を再開するように構成されてもよい。
【0081】
これとは別に、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることの検出に応答して、監視モジュール206は、遠隔計算装置106のユーザによる検証のために洗浄再開信号を出力するように構成されてもよい。遠隔計算装置106のユーザが、ロボットが実施している洗浄が再開される必要があることを確認した場合、ユーザは、遠隔計算装置106に適切な入力を実施し、洗浄再開信号が遠隔計算装置106からロボット102上の洗浄モジュール204に出力されるようにする。
【0082】
図3cの実施形態では、入力信号は、船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を含み、これは、ロボット上のセンサ又は船舶上のセンサのうちの1つ又は複数から受信されてもよい。
【0083】
図4は、ロボットを制御するために監視モジュール206が実施する例示的な過程400を示す。
【0084】
上記のように、ロボット102の初期設定状態は、船体101全体にわたって移動している間に、船体101を連続的に洗浄することである。監視モジュール206は、連続的な洗浄動作が開始された時点で、過程400を実施するように構成される。
【0085】
ステップS402では、監視モジュール206は、船舶100の速度を示す信号を受信する。
図3a~
図3cを参照して上で述べたように、船舶100の速度を示す信号は、ロボット上のセンサ、船舶上のセンサ又は遠隔計算装置から受信されてもよい。
【0086】
S404では、監視モジュール206は、検出された速度が所定の速度閾値よりも大きいかどうかを判定する。所定の速度閾値の値は、(
図3a及び
図3bの実施形態での)メモリ210又は(
図3cの実施形態での)メモリ310に保存されてもよい。
【0087】
検出された速度は、船舶100の対地速力の測定値を含んでもよい。このような実施形態では、所定の速度閾値は、0.1~40ノットの範囲にあってもよい。好ましくは、所定の速度閾値は、0.5~3.5ノットの範囲にある。例えば、所定の速度閾値は2ノットであってもよい。所定の速度閾値のこの値は単なる例であり、他の値を使用し得ることが理解されよう。
【0088】
検出された速度は、船舶100の対水速力の測定値を含んでもよい。このような実施形態では、所定の速度閾値は、0.1から40ノットの範囲にあってもよい。好ましくは、所定の速度閾値は、2~10ノットの範囲にある。例えば、所定の速度閾値は6ノットであってもよい。所定の速度閾値のこの値は単なる例であり、他の値を使用し得ることが理解されよう。
【0089】
検出された速度が所定の速度閾値よりも大きいと監視モジュール206が判定した場合、過程400は、監視モジュール206が洗浄一時停止信号を出力するステップS406に進む。
【0090】
図3a及び
図3cの実施形態では、洗浄一時停止信号は、監視モジュール206からロボット102上の洗浄モジュール204に出力される。
図3bの実施形態では、洗浄一時停止信号は、監視モジュール206から計算装置106に出力される。
【0091】
洗浄一時停止信号の受信に応答して、洗浄モジュール204は、洗浄装置208と通信することにより、洗浄装置208が実施している洗浄を一時停止するように構成される。
【0092】
連続的洗浄が一時停止されると、ロボットは船舶の船体上のその現在の位置で静止したままになるように構成されてもよい。これとは別に、ロボットは、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、安全な場所として指定され、それにより、ロボットが高速移動中に損傷することも消失することもない船舶上のドッキングステーション104又は他の場所に移動するように構成されてもよい。
【0093】
連続的洗浄が一時停止されている間に、監視モジュール206は、受信した入力信号に基づいて船舶の速度を監視し続ける。過程400の間、監視モジュール206は、所定の間隔で、例えば、毎秒数回、あるいは1分、2分、5分又は10分ごとに数回、船舶の速度を検出するように構成されてもよい。このような値は単なる例であり、他の値を使用し得ることが理解されよう。
【0094】
監視モジュール206がステップS410にて、船舶の速度が所定の速度閾値を超えたままであると判定した場合、洗浄は再開されない。
【0095】
監視モジュール206がステップS410にて、船舶の速度が所定の閾値を下回ったと判定した場合、過程400はステップS412に進み、ここで、監視モジュール206は、ロボットによる連続的洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力する。
【0096】
図3a及び
図3cの実施形態では、洗浄再開信号は、監視モジュール206からロボット102上の洗浄モジュール204に出力される。
図3bの実施形態では、洗浄再開信号が監視モジュール206から計算装置106に出力され、過程400はステップS402に戻り、ここで、監視モジュール206は船舶の速度を監視し続ける。
【0097】
洗浄可能なロボット102を監視モジュール206と組み合わせることにより、ロボットは、安全であり、汚損リスクが最も高いときに洗浄し、それにより、表面の汚損の量を低減することになる。過程400は、船舶の船体の汚損の量を低減するための効率的かつ安全な方法を提供する。
【0098】
過程400は、検出された速度が所定の速度閾値よりも大きいとステップS404にて判定する監視モジュール206による反応的動作モードを示しているが、代替の実施形態では、監視モジュール206は、予防的動作モードで動作してもよい。予防的動作モードでは、監視モジュール206は、ステップS402にて受信された船舶100の速度を示す信号を使用して、船舶の速度が所定の期間内に所定の速度閾値を超えることになるかどうかをステップS404にて予測する。船舶の速度が所定の期間内に所定の速度閾値を超えることになると監視モジュール206が予測する場合、過程400はステップS406に進み、上記の過程に従って進む。
【0099】
ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、ロボットはドッキングステーション104に移動するように構成され、予防的動作モードでの監視モジュール206によって使用される予測は、船舶が所定の速度に到達し、ロボット102が損傷するか消失するリスクにさらされる前に、ロボットがドッキングステーション104に移動するのに充分な時間を与えることができる。所定の期間は、船舶のサイズ及び/又はロボット102が船体101全体にわたって移動することができる速度に依存して設定され得ることが理解されよう。
【0100】
図3a~
図3cの実施形態では、入力信号は、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示す少なくとも1つの信号を追加的に含んでもよい。
【0101】
このような実施形態では、ロボットが実施している洗浄の間に、監視モジュール206は、ロボットが損傷のリスクにさらされているとの判定に基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、それに応答して、洗浄を一時停止することを示す洗浄一時停止信号を出力するように構成される。洗浄が一時停止されている間に、監視モジュール206は、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力するように構成される。
【0102】
監視モジュール206は、画像データを含むカメラ信号をカメラから受信してもよく、画像データの分析に基づいて、ロボットの経路内の物体を検出し(ひいては、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを検出し)てもよい。例えば、ロボット102は、ロボットステーションから、船舶の横にあるバンカーバージの上方の水位線まで操縦されていてもよい。カメラは、ロボット自体(例えば、センサ212のうちの1つ)上にあってもよい。これとは別に、カメラは、船舶上にあり、インターフェース216を介してロボットと通信するように構成されてもよい。このような実施形態では、監視モジュール206は、カメラ信号に基づいて、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出するように構成される。
【0103】
これとは別に、(ロボット上又は船舶上の)カメラは、カメラ信号を計算装置106に送信してもよく、画像データを見るユーザが、ロボットの経路内の物体を検出し(ひいては、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを検出し)、ロボットによる洗浄を一時停止するためのメッセージを計算装置106から監視モジュール206に送信してもよい。カメラが捕捉した画像データを見るユーザが、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出すると、ユーザは、計算装置106から監視モジュール206にメッセージを送信して、連続的洗浄を再開してもよい。
【0104】
上記のように、カメラを使用することに加えて、あるいはカメラを使用する代わりに、Lidarセンサ又は音響センサを使用して、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを検出してもよい。そのようなセンサは、ロボット又は船舶に搭載されてもよい。
【0105】
監視モジュール206は、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号の受信に基づいて、ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定してもよい。
【0106】
ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号は、船舶の水域環境での波動の程度に関連する波動情報を含んでもよい。波動情報を含む信号は、監視モジュール206によって、ロボット上の波動センサ、船舶上の波動センサ、計算装置106又は陸上(例えば、測候所)の計算装置から受信されてもよい。高波の間、ロボットは損傷又は消失のリスクにさらされているため、監視モジュール206は、これを防ぐために洗浄を一時停止するための行動をとってもよい。このような実施形態では、監視モジュール206は、波動情報を含む信号の受信に基づいて、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出するように構成される。
【0107】
ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号は、船舶の環境での風の程度に関連する風情報を含んでもよい。監視モジュール206は、風情報を使用して、高い波の前兆である風に基づいて、ロボットが損傷のリスクにさらされていることを検出してもよい。風情報を含む信号は、監視モジュール206によって、ロボット上の風センサ、船舶上の風センサ、計算装置106又は陸上(例えば、測候所)の計算装置から受信されてもよい。このような実施形態では、監視モジュール206は、風情報を含む信号の受信に基づいて、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出するように構成される。
【0108】
ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号は、環境情報を含まなくてもよく、代わりに、ロボットが高波のために損傷のリスクにさらされていることを検出する計算装置に基づく、計算装置(例えば、計算装置106又は陸上(例えば、測候所)の計算装置)から受信した洗浄を一時停止するメッセージであってもよい。このような実施形態では、監視モジュール206は、計算装置から受信した洗浄を再開するためのメッセージの受信に基づいて、ロボットがもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出するように構成される。
【0109】
船舶の速度を示す少なくとも1つの信号に加えて、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示す少なくとも1つの信号を使用することに関連して、実施形態を本明細書に記載してきたが、ロボットが実施する連続的洗浄の一時停止及びその後の洗浄の再開を制御するために、本開示の他の態様では、ロボット102が損傷のリスクにさらされていることを示す少なくとも1つの信号を、そのような速度情報とは独立して使用して、ロボットが実施する連続的洗浄の一時停止及びその後の洗浄の再開を制御してもよい。
【0110】
図3a~
図3cの実施形態では、入力信号は、船舶の船体の汚損のリスクを示す少なくとも1つの信号を追加的に含んでもよい。
【0111】
このような実施形態では、監視モジュール206は、船舶の船体の汚損のリスクを示す信号の受信に基づいて汚損リスク値を計算し、汚損リスク値を汚損リスク閾値と比較するように構成される。ロボットが実施している洗浄の間に、監視モジュール206は、汚損リスク値が汚損リスク閾値よりも小さいとの判定に基づいて、ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、それに応じて、洗浄を一時停止することを示す洗浄一時停止信号を出力するように構成される。
【0112】
洗浄が一時停止されている間に、監視モジュール206は、汚損リスク値が所定の閾値を超えて増大したとの判定に基づいて、ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、ロボットによる洗浄を再開することを示す洗浄再開信号を出力するように構成される。
【0113】
船舶の船体の汚損を示す信号は、(i)船舶の水域環境でのクロロフィルの量、(ii)水域環境のpH値、(iii)水域環境の栄養水準、(iv)感知された水域環境の光強度、(v)水域環境の塩分濃度、(vi)水域環境の温度、(vii)水域環境での二酸化炭素の量、(viii)船舶の地理的位置、 (ix)船舶の水域環境で水に溶解した気体酸素の量及び(x)水域海洋環境の深さのうちの1つ又は複数に関する情報を含んでもよい。
【0114】
船舶の船体の汚損を示す信号は、ロボット102上に位置づけられた1つ又は複数のセンサ、船舶100上に位置づけられた1つ又は複数のセンサ、船舶上の計算装置106又は衛星のうちの1つ又は任意の組み合わせから受信されてもよい。
【0115】
船舶の速度を示す少なくとも1つの信号に加えて、船舶の船体の汚損のリスクを示す少なくとも1つの信号を使用することに関連して、実施形態を本明細書に記載してきたが、ロボットが実施した連続的洗浄の一時停止及びその後の洗浄の再開を制御するために、本開示の他の態様では、船舶の船体の汚損のリスクを示す少なくとも1つの信号を、そのような速度情報とは独立して使用して、ロボットが実施した連続的洗浄の一時停止及びその後の洗浄の再開を制御してもよい。
【0116】
図5は、海洋船舶の塗装された船体を洗浄するための例示的なロボット102を示す。ロボットの車輪4は、鉄の船体に付着するために磁気を帯びている。ロボット102は、車輪4によって駆動され、車輪4は、(図示しない)電気モータによって駆動される。
図5では、ロボット102は、斜視図にて完全に組み立てられた状態で示される。ロボット1のシャーシ2は、電源(例えば、電池)を封入する密封容器3を保持する周囲フレームであり、
図2に示す電気部品のうちの1つ又は複数を含んでもよい。容器3は防水性であり、水の浸入を防ぐために密封される。2つのビーム「軸」5がシャーシ2に固定され、このようなビーム5は、車輪4のほか、車輪4のための懸架装置及び操縦機構の関連要素を支持する。ロボット102は、回転円筒形ブラシの形態をとり得る洗浄機構208を含み、これはこのほか、シャーシ2に固定される。洗浄機構208は、洗浄モジュール204によって制御される。
【0117】
図5は、ロボット102がとり得る形態の一例を示すに過ぎず、他の例が可能であることが理解されよう。
【0118】
一般に、本明細書で説明する機能のいずれも、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、固定論理回路)又はこのような実装例の組み合わせを使用して実装することができる。本明細書で使用する「機能性」及び「モジュール」という用語は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はその組み合わせを概ね表す。ソフトウェア実装の場合、機能性又はモジュールは、プログラムコードであって、プロセッサ(例えば、1つ又は複数のCPU)で実行されたときに、指定されたタスクを実行するプログラムコードを表す。プログラムコードは、1つ又は複数のコンピュータ可読メモリ装置(例えば、メモリ210又はメモリ310)に保存することができる。以下で説明する手法の特徴は、プラットフォームに依存しない。即ち、さまざまなプロセッサを有するさまざまな商用計算プラットフォームに手法を実装してもよい。
【0119】
本開示を、好ましい実施形態を参照して具体的に示し、説明してきたが、当業者には、添付の請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細のさまざまな変更を施し得ることが理解されよう。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
<態様1>
船舶の船体を、前記船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットを制御する方法であって、前記方法は、
前記船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記少なくとも1つの信号から、前記船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)前記少なくとも1つの信号を使用して、前記船舶の速度が所定の期間内に前記所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出する前記ステップに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記船舶の速度が前記所定の閾値を下回ったと判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力するステップと、を含む方法。
<態様2>
前記少なくとも1つの信号は、少なくとも1つのセンサから受信されたセンサ信号であって、前記センサ信号は、前記少なくとも1つのセンサによって出力されたセンサデータを含む、センサ信号を含む、態様1に記載の方法。
<態様3>
前記少なくとも1つのセンサは、前記ロボット上の1つ又は複数のセンサを含む、態様2に記載の方法。
<態様4>
前記少なくとも1つのセンサは、前記船舶上の1つ又は複数のセンサを含む、態様2又は3に記載の方法。
<態様5>
前記少なくとも1つのセンサは、錨センサを含み、前記センサデータは、前記船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあることを示す、態様4に記載の方法。
<態様6>
前記少なくとも1つのセンサは、
速度センサであって、前記センサデータは、前記船舶の速度を示す速度データを含む、速度センサと、
振動センサであって、前記センサデータは、前記船舶の速度を示す振動データを含む、振動センサと、のうちの1つ又は複数を含む、態様2~5のいずれか一項に記載の方法。
<態様7>
前記少なくとも1つの信号は、前記ロボットの外部の遠隔計算装置から受信された信号を含む、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
<態様8>
前記遠隔計算装置から受信された前記信号は、
前記船舶の速度を示す速度データと、
前記船舶の錨が上昇状態又は下降状態にあるという表示と、のうちの1つ又は複数を含む、態様7に記載の方法。
<態様9>
前記少なくとも1つの信号は、前記船舶の対地速力を示す、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
<態様10>
前記少なくとも1つの信号は、前記船舶の対水速力を示す、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
<態様11>
前記所定の速度閾値は、0.1~40ノットの間の値を有する、態様9又は10に記載の方法。
<態様12>
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す前記洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記物体がもはや損傷のリスクにさらされていないことを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す前記洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含む、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
<態様13>
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定する前記ステップは、
カメラからカメラ信号を受信するステップであって、前記カメラ信号は画像データを含む、ステップと、
前記画像データの分析に基づいて、前記ロボットの経路内の物体を検出するステップと、を含む、態様12に記載の方法。
<態様14>
前記カメラは前記ロボット上にある、態様13に記載の方法。
<態様15>
前記カメラは前記船舶上にある、態様13に記載の方法。
<態様16>
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていると判定するステップは、前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す信号を受信するステップを含む、態様14に記載の方法。
<態様17>
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す前記信号は、風情報又は波動情報を含む、態様16に記載の方法。
<態様18>
前記ロボットが損傷のリスクにさらされていることを示す前記信号は、前記ロボット上のセンサ、前記船舶上のセンサ又は前記ロボットの外部の遠隔計算装置から受信される、態様16又は17に記載の方法。
<態様19>
前記船舶の前記船体の汚損のリスクを示す信号の受信に基づいて汚損リスク値を計算し、前記汚損リスク値を汚損リスク閾値と比較するステップと、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、前記汚損リスク値が前記汚損リスク閾値未満であると判定するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検知し、それに応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す前記洗浄一時停止信号を出力するステップと、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記汚損リスク値が前記所定の閾値を超えて増大したと判定するステップに基づいて、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す前記洗浄再開信号を出力するステップと、をさらに含む、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
<態様20>
前記船舶の前記船体の汚損を示す前記信号は、(i)前記船舶の水域環境でのクロロフィルの量、(ii)前記水域環境のpH値、(iii)前記水域環境の栄養水準、(iv)感知された前記水域環境の光強度、(v)前記水域環境の塩分濃度、(vi)前記水域環境の温度、(vii)前記水域環境での二酸化炭素の量、(viii)前記船舶の地理的位置、(ix)前記船舶の前記水域環境で水に溶解した気体酸素の量及び(x)前記水域環境の深さのうちの1つ又は複数に関する情報を含む、態様19に記載の方法。
<態様21>
前記洗浄が一時停止されている間に、前記ロボットは静止するように構成される、態様1~20のいずれか一項に記載の方法。
<態様22>
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記ロボットは、前記船舶上のドッキングステーションに移動するように構成される、態様1~21のいずれか一項に記載の方法。
<態様23>
前記方法は、前記ロボットの監視モジュールによって実施され、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに出力して、前記洗浄を一時停止するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに出力して、前記洗浄を再開するステップを含む、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
<態様24>
前記方法は、前記ロボット上の監視モジュールによって実施され、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の遠隔計算装置に前記洗浄一時停止信号を出力するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の前記遠隔計算装置に前記洗浄再開信号を出力するステップを含む、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
<態様25>
前記方法は、前記ロボットの外部の遠隔計算装置上の監視モジュールによって実施される、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
<態様26>
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに自動的に送信して、前記洗浄を一時停止するステップを含み、
前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに自動的に送信して、前記洗浄を再開するステップを含む、態様25に記載の方法。
<態様27>
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出した時点で、前記方法は、検証のために前記洗浄一時停止信号をユーザに出力してから、前記洗浄一時停止信号を前記ロボット上の洗浄モジュールに送信して前記洗浄を一時停止するステップを含み、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出した時点で、前記方法は、検証のために前記洗浄再開信号をユーザに出力してから、前記洗浄再開信号を前記ロボット上の前記洗浄モジュールに送信して前記洗浄を再開するステップを含む、態様25に記載の方法。
<態様28>
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに態様1~27のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
<態様29>
船舶の船体を、前記船体全体にわたって移動している間に、洗浄するように構成されたロボットであって、前記ロボットは、プロセッサを具備し、前記プロセッサは、
前記船舶の速度を示す少なくとも1つの信号を受信し、
前記ロボットが実施している洗浄の間に、(i)前記少なくとも1つの信号から、前記船舶の速度が所定の速度閾値を超えていると判定するステップ又は(ii)前記少なくとも1つの信号を使用して、前記船舶の速度が所定の期間内に前記所定の速度閾値を超えることになることを予測するステップに基づいて、前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることを検出し、
前記ロボットが実施している洗浄が一時停止される必要があることの前記検出に応答して、前記洗浄が一時停止される必要があることを示す洗浄一時停止信号を出力し、
前記洗浄が一時停止されている間に、前記船舶の速度が前記所定の閾値を下回ったとの判定に基づいて、前記ロボットが実施した洗浄が再開される必要があることを検出し、それに応答して、前記ロボットによる洗浄が再開される必要があることを示す洗浄再開信号を出力する、ように構成される、ロボット。
<態様30>
前記プロセッサは、前記ロボット上の前記洗浄モジュールに前記洗浄一時停止信号を出力して、前記洗浄を一時停止し、前記ロボットの前記洗浄モジュールに前記洗浄再開信号を出力して、前記洗浄を再開するように構成される、態様29に記載のロボット。
<態様31>
前記プロセッサは、ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の遠隔計算装置に前記洗浄一時停止信号を出力し、前記ユーザによる検証のために、前記ロボットの外部の前記遠隔計算装置に前記洗浄再開信号を出力するように構成される、態様29に記載のロボット。