(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】高出力ウェハー冷却
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20240619BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01J37/317 Z
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2021563083
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 US2020030749
(87)【国際公開番号】W WO2020223499
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フェラーラ,ジョゼフ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025258(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0320491(US,A1)
【文献】特開昭56-048132(JP,A)
【文献】米国特許第08101488(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269033(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01L 21/683
B01J 7/00-7/02
C01B 3/00-3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入システムのためのガス生成システムであって、
前記ガス生成システムは、
エンドステーションと、
前記イオン注入システムの前記エンドステーション内において、ワークピースを支持するチャックと、
水素ガスを水から選択的に生成する1つ以上の電解セルを含んでいるとともに、前記エンドステーション内に配置されている水素生成器と、
前記水素生成器および前記チャックに流体的に接続されている導管を含んでいるとともに、前記チャックへ前記水素ガスを選択的に供給するデリバリシステムと、
を含む、ガス生成システム。
【請求項2】
前記チャックは、前記ワークピースの背面へ前記水素ガスを供給する静電チャックを含む、請求項1に記載のガス生成システム。
【請求項3】
前記水素生成器をほぼ囲うエンクロージャをさらに含む、請求項1に記載のガス生成システム。
【請求項4】
前記エンクロージャと関連している1つ以上のセンサをさらに含む、請求項3に記載のガス生成システム。
【請求項5】
前記1つ以上のセンサは、前記エンクロージャ内の前記水素ガスの存在を検出する水素センサを含む、請求項4に記載のガス生成システム。
【請求項6】
前記水素センサは、所定の閾値を超過する、前記水素ガスの存在の上昇を検出する、請求項5に記載のガス生成システム。
【請求項7】
前記水素生成器を選択的に制御するコントローラをさらに含む、請求項4に記載のガス生成システム。
【請求項8】
前記エンクロージャと流体的に接続する排出システムをさらに含む、請求項3に記載のガス生成システム。
【請求項9】
前記排出システムは、前記エンクロージャに選択的または継続的に空気を通し、前記エンクロージャ内の前記水素ガスの蓄積をほぼ防ぐ、請求項8に記載のガス生成システム。
【請求項10】
前記エンクロージャと流体的に接続するパージガスシステムをさらに含む、請求項8に記載のガス生成システム。
【請求項11】
前記パージガスシステムは、前記エンクロージャへ希釈ガスを供給する、請求項10に記載のガス生成システム。
【請求項12】
前記希釈ガスは、1つ以上の窒素、空気、不燃性ガス、および低可燃性ガスを含む、請求項11に記載のガス生成システム。
【請求項13】
前記パージガスシステムは、前記水素ガスの濃度を爆発レベル未満まで希釈する、請求項10に記載のガス生成システム。
【請求項14】
前記水素生成器、前記デリバリシステム、前記パージガスシステム、および前記排出システムのうち1つ以上の制御を行い、水素放出を緩和するインターロックシステムをさらに含む、請求項10に記載のガス生成システム。
【請求項15】
1つ以上のセンサをさらに含み、
前記インターロックシステムによる前記制御は、前記1つ以上のセンサからの信号に少なくとも部分的に基づく、
請求項14に記載のガス生成システム。
【請求項16】
前記インターロックシステムは、1つ以上の自動化バルブ、スイッチ、または他のインターロックを含む、請求項14に記載のガス生成システム。
【請求項17】
1つ以上のセンサをさらに含み、
前記インターロックシステムは、前記1つ以上のセンサからの信号から、前記水素ガスの濃度を監視する、ハードウェアシステムおよびソフトウェア制御システムのうち1つ以上を含む、
請求項14に記載のガス生成システム。
【請求項18】
前記水素ガスの濃度が所定の閾値を超過したときに、前記インターロックシステムは、
前記水素生成器による水素の生成の停止、前記排出システムの開放、前記パージガスシステムの開放、および水素放出を示す信号のコントローラへの供給のうち1つ以上を行う、請求項17に記載のガス生成システム。
【請求項19】
イオン注入システムであって、
イオンビームを形成するイオン源と、
前記イオンビームを選択的に輸送するビームラインアセンブリと、
ワークピースへのイオンの注入のために前記イオンビームを受け入れるエンドステーションと、
前記エンドステーション内において前記ワークピースを支持するチャックと、
水素ガス生成システムと、
を含み、
前記水素ガス生成システムは、
前記エンドステーション内に配置されているエンクロージャと、
水素ガスを水から選択的に生成する1つ以上の電解セルを含んでいるとともに、前記エンクロージャ内に配置されている水素ガス生成器と、
前記水素ガス生成器および前記チャックに流体的に接続されている導管を含んでいるとともに、前記チャックへ前記水素ガスを選択的に供給するデリバリシステムと、
を含む、イオン注入システム。
【請求項20】
前記チャックは、静電チャックを含み、
前記水素ガス生成システムは
、
前記エンクロージャへパージガスを供給するパージガスシステムと、
前記エンクロージャから前記パージガスを選択的に除去する排気ガスシステムと、
をさらに含む、請求項19に記載のイオン注入システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願へのリファレンス〕
本出願は、「HIGH POWER WAFER COOLING」というタイトルが付された、2019年5月1日に出願された米国仮出願第62/841,272号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、より具体的には当該イオン注入システムのワークピース支持のための水素生成器を有するイオン注入システムに関する。
【0003】
〔背景〕
半導体処理において、イオン注入などの多くの動作がワークピースまたは半導体ウェハーに対して実行されることがある。イオン注入処理技術が進歩することにつれて、ワークピースにおける様々なイオン注入温度を実施して、ワークピースにおける様々な注入特性を実現することができる。例えば、従来のイオン注入処理において、典型的には3つの温度レジームが検討される:冷温注入、ここでは、ワークピースの処理温度が室温未満の温度に維持される;高温注入、ここでは、ワークピースの処理温度が通常100~600℃の範囲の高温に維持される;および、いわゆる準室温注入、ここでは、ワークピースの処理温度が室温よりわずかに高いが、高温注入において使用される温度よりも低い温度に維持される。準室温注入では、温度は、通常50~100℃の範囲である。
【0004】
高温注入は、例えば、より一般的になりつつあり、それによって、処理温度は、典型的には加熱チャックとも呼ばれる専用の高温静電チャック(ESC)によって、達成される。加熱チャックは、注入の間、その表面にワークピースを保持またはクランプする。従来の高温ESCは、例えば、ESCおよびワークピースを処理温度(例えば、100℃~600℃)まで加熱するために、クランプ面の下に埋め込まれた一組のヒータを含み、それによって、ガスインターフェースが従来通りワークピースのクランプ面から背面への熱インターフェースを提供する。典型的には、高温ESCは、バックグラウンド内のチャンバ面へのエネルギー放射を通して、冷却される。
【0005】
冷イオン注入処理も一般的であり、ここでは従来、室温のワークピースを冷チャック上に置き、冷チャックを冷温(例えば、室温未満の温度)まで冷却し、それによってワークピースを冷却する。冷チャックを冷却することにより、イオン注入からワークピースに付与された熱エネルギーの除去する一方、さらに、注入の間、冷チャックを通した熱の除去を介して、チャックおよびワークピースを冷温で維持する。
【0006】
イオン注入処理はまた、いわゆる「準室温」(例えば、50~60℃などの室温よりわずかに高いが、高温イオン注入処理ほど高くはない温度)で実行され、それによって、注入の間、低熱チャック(例えば、100℃未満の温度まで加熱するチャック)がワークピースの温度を制御するために使用されてきた。
【0007】
〔発明の概要〕
以下では、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概要ではない。この概要は、本発明の重要な要素を特定するものでも、本発明の範囲に描写するものでもない。その目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの構想を簡略化された形式で提示することである。
【0008】
別の例示的な態様によれば、イオン注入システムのためのガス生成システムが提供される。ガス生成システムは、一実施例によれば、イオン注入システムのエンドステーションにおいて、ワークピースを支持するためのチャックと、水素ガスを生成する水素生成器と、チャックへ水素ガスを供給するデリバリシステムと、水素生成器をほぼ囲うエンクロージャと、を含む。チャックは、例えば、ワークピースの背面へ水素ガスを供給する静電チャックを含む。
【0009】
別の実施例によれば、1つ以上のセンサが設けられ、エンクロージャに関連している。1つ以上のセンサは、例えば、エンクロージャ内の水素ガスの存在を検出する水素センサを含む。水素センサは、例えば、所定の閾値をのぼる、水素の存在の上昇を検出する。
【0010】
別の実施例によれば、排出システムは、エンクロージャと流体的に接続する。排出システムは、例えば、エンクロージャに選択的または継続的に空気または別の気体を通し、エンクロージャ内の水素ガスの蓄積をほぼ防ぐ。パージガスシステムは、エンクロージャと流体的に接続するようにさらに構成されてもよい。パージガスシステムは、例えば、エンクロージャへ希釈ガスを供給する。希釈ガスは、例えば、1つ以上の窒素、空気、不燃性ガス、および低可燃性ガスを含む。別の実施例において、パージガスシステムは、水素ガスの濃度を爆発レベル未満まで希釈する。
【0011】
別の実施例によれば、インターロックシステムが設けられ、水素生成器、デリバリシステム、パージガスシステム、および排出システムのうち1つ以上の制御を行い、水素放出を緩和する。インターロックシステムによる制御は、例えば、1つ以上のセンサからの信号に少なくとも部分的に基づく。インターロックシステムは、例えば、1つ以上の自動化バルブ、スイッチ、または他のインターロックを含む。例えば、インターロックシステムは、1つ以上のセンサからの信号から、水素ガスの濃度を監視する、ハードウェアシステムおよびソフトウェア制御システムのうち1つ以上を含む。水素ガスの濃度が所定の閾値を超過したときに、インターロックシステムは、例えば、水素生成器による水素の生成の停止、排出システムの開放、パージガスシステムの開放、および水素放出を示す信号のコントローラへの供給のうち1つ以上を行うように構成されていてもよい。
【0012】
上述した概要は、単に本開示のいくつかの実施形態のいくつかの構成の簡単な概要を与えることを意図したものである。他の実施形態は、上述したものに追加の構成、および/または上述したものとは異なる構成を含んでもよい。特に、この概要は、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきものではない。したがって、前述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に記載され、特に特許請求の範囲において挙示されている構成を含む。以下の説明および添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は、本開示の原理が採用され得る様々な方法のうちの数例を示すにすぎない。本開示の他の目的、利点、および新規な構成は、以下の本開示の詳細な説明を、図面と併せて考慮することによって明らかになるであろう。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示のいくつかの態様による、水素生成器を利用する例示的な真空システムのブロック図である。
【0014】
図2は、本開示の一態様による、熱チャックのクランプ面の頂部の斜視図である。
【0015】
図3は、本開示の一態様による、熱チャックの部分断面図である。
【0016】
図4は、本開示の別の態様による、例示的なガス生成システムの模式図である。
【0017】
〔詳細な説明〕
本開示は、概してイオン注入システムおよびそれと関連している水素ガスを生成するためのソースを対象とする。より詳細には、本開示は、イオン注入システムのエンドステーションにおけるウェハー冷却または伝熱機構のための背面ガスとして使用するための水素を生成するための水素生成構成要素を対象とする。本開示は、エンドステーションと関連しているエンクロージャ内に水素ガス生成器を配置し、それによって、エンクロージャの封じ込めおよび安全面は、従来のガスボトルおよびガス供給配管に関連している爆発の懸念を好都合に改善する。
【0018】
したがって、本発明はここで、図面を参照して説明され、全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指すために使用され得る。これらの態様の説明は、単に例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の説明において、説明の目的のために、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細なしに実施することができる。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に記載される実施形態または実施例によって限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図するものである。
【0019】
また、図面は、本開示の実施形態のいくつかの態様の例示を与えるために提供され、したがって、概略的なものに過ぎないと見なされるべきであることにも留意されたい。特に、図面に示される要素は、必ずしも互いに縮尺通りではなく、図面における様々な要素の配置は、それぞれの実施形態の明確な理解を提供するように選択され、本発明の実施形態による実装形態における様々な構成要素の実際の相対位置の表現であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される様々な実施形態および実施例の構成は、特に断りがない限り、互いに組み合わせることができる。
【0020】
また、以下の説明では、図面に示される、または本明細書で説明される機能ブロック、装置、構成要素、回路要素、または他の物理的または機能的ユニット間における任意の直接接続または直接結合はまた、間接接続または間接結合によって実施されてもよいことを理解されたい。さらに、図面に示される機能ブロックまたは機能ユニットは、一実施形態では別個の構成または回路として実装されてもよく、または、代替として、別の実施形態では共通の構成または回路において、完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの機能ブロックは、信号プロセッサなどの一般的なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。さらに、以下の明細書において有線ベースとして説明される任意の接続は、それに反する言及がない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0021】
半導体ウェハー処理において、温度の精度および制御は、ますます重要性を増してきている。ワークピースが存在する支持体の温度(例えば、静電チャックの温度)を測定および制御するシステムが提供されている。ここでは、支持体の温度の特性評価および分析は、ワークピースの温度を間接的に推定するために利用される。しかしながら、本開示は、ワークピース支持体の温度へのこのような依存は、ワークピースの処理中の温度エラーに繋がり得ることを、現在理解している。
【0022】
加熱イオン注入処理は、ワークピースを加熱して、100C~600Cまたはそれ以上の範囲の温度を処理することができる。処理温度は、例えば、部分的には注入中にワークピースを支持する静電チャックで達成および維持される。本開示の種々の態様によれば、
図1は、例示的なイオン注入システム100を示す。本実施例におけるイオン注入システム100は、例示的なイオン注入装置101を含むが、プラズマ処理システム、または他の半導体処理システムなどの種々の他のタイプの真空ベースの半導体処理システムも企図される。イオン注入装置101は、例えば、ターミナル102と、ビームラインアセンブリ104と、エンドステーション106とを含む。
【0023】
一般的に言えば、ターミナル102内のイオン源108は、電源110に接続されており、ドーパントガスを複数のイオンへとイオン化し、イオンビーム112を形成する。これにより、ビームラインアセンブリ104は、イオンビーム112を選択的に輸送するように構成されている。本実施例のイオンビーム112は、質量分析装置114を通って、開口部116から出て、エンドステーション106に向けられる。エンドステーション106において、イオンビーム112は、ワークピース118(例えば、シリコンウェハー、ディスプレイパネルなどの基板)に衝突する。ワークピース118は、チャック120に選択的にクランプされているか、または取り付けられている。チャック120は、例えば、静電チャック(ESC)または機械クランプチャックを含んでもよい。ここで、チャックは、ワークピース118の温度を選択的に制御するように構成されている。ワークピース118の格子に埋め込まれると、注入されたイオンは、ワークピースの物理的および/または化学的特性を変更させる。このため、イオン注入は、半導体デバイスの製造および金属の仕上げ加工、ならびに材料科学研究における様々な応用において、用いられている。
【0024】
本開示のイオンビーム112は、ペンシルもしくはスポットビーム、リボンビーム、走査ビーム、または、イオンがエンドステーション106に向けられる任意の他の形態など、任意の形態をとることができる。このような形態はすべて、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【0025】
例示的な一態様によれば、エンドステーション106は、真空チャンバ124などの処理チャンバ122を含む。処理環境126は、処理チャンバに関連している。処理環境126は一般に、処理チャンバ122内に存在し、一実施例において、真空を含む。この真空は、処理チャンバに結合され処理チャンバを実質的に排気するように構成されている真空源128(例えば、真空ポンプ)によって生成される。
【0026】
一実施例において、イオン注入装置101は、高温イオン注入を提供するように構成されている。ここで、ワークピース118は、処理温度(例えば、約100~600℃またはそれ以上)まで加熱される。したがって、本実施例において、チャック120は、熱チャック130を含む。当該熱チャックは、ワークピース118を支持および保持する一方で、さらに、イオンビーム112へのワークピースの曝露の前、その間および/またはその後に、処理チャンバ122内でワークピース118を加熱するように構成されている。
【0027】
熱チャック130は、例えば、静電チャック(ESC)を含んでもよい。静電チャックは、周囲または外部環境132(例えば、「大気環境」とも呼ばれる)の周囲温度または大気温度よりも高い、低いまたは等しくてもよい処理温度まで、ワークピース118を加熱または冷却するように構成されている。熱システム134がさらに設けられていてもよい。ここで、熱システムは、熱チャック130を加熱または冷却し、今度は、その上に存在するワークピース118を所望の処理温度まで加熱または冷却するように構成されている。熱システム134は、一実施例において、熱チャック130内に配置された1つ以上の熱構成136を介して、ワークピース118を選択的に加熱または冷却するように構成されている。1つ以上の熱構成136は、例えば、ワークピース118を加熱するための1つ以上の加熱要素、および/または、ワークピースを冷却するための1つ以上の冷却要素を含んでもよい。一実施例において、熱システム134は冷却材源を含み、それによって、1つ以上の熱構成136は、ワークピース118の冷却のために冷却材(例えば、水)を1つ以上の熱構成を通して流すための、熱チャック内に画定された1つ以上の冷却チャネルを含む。
【0028】
いくつかの高温注入では、所望の温度に達するまで、処理環境126の真空内の熱チャック130上にワークピース118を「浸漬」させてもよい。代替的には、イオン注入システム100を通るサイクルタイムを増大させるために、ワークピースは、予熱装置140を介して、処理チャンバ122に動作可能に結合している1つ以上のチャンバ138A、138B(例えば、1つ以上のロードロックチャンバ)内で予熱されてもよい。予熱装置140は、例えば、熱チャック130と同様に構成された予熱支持体142を含んでいてもよい。
【0029】
ツールアーキテクチャ、処理および所望のスループットに応じて、ワークピース118は、予熱装置140を介して第1温度まで予熱されてもよい。ここで、第1温度は、処理温度と等しいか、またはそれよりも低いので、真空チャンバ124内部の熱チャック130上で最終的な熱の均一化が可能になる。このようなシナリオによれば、ワークピース118は、処理チャンバ122への移送中にいくらかの熱を逃がすことになる。ここでは、処理温度への最終加熱は、熱チャック130上で行われる。代替的には、ワークピース118は、予熱装置140を介して、処理温度よりも高い第1の温度まで予熱されてもよい。それに応じて、処理チャンバ122への移送中にワークピース118の冷却がちょうど十分であり、ワークピースが熱チャック130にクランプされるときに所望の処理温度になるように、第1温度が最適化されるのであろう。
【0030】
熱応答を正確に制御および/または加速し、追加の機構が伝熱できるようにするために、ワークピース118の背面は、熱チャック130と伝導接続状態にされている。この伝導接続は、例えば、熱チャック130とワークピース118との間の圧力制御されたガスインターフェース(「背面ガス」とも呼ばれる)を介して達成される。背面ガスの圧力は、例えば、熱チャック130の静電力によって一般に制限され、一般に、5~20Torrの範囲に保つことができる。一実施例において、背面ガスインターフェースの厚さ(例えば、ワークピース118と熱チャック130との間の距離)は、ミクロンのオーダー(典型的には5~20μm)に制御されている。したがって、この圧力レジームにおける分子平均自由行程は、インターフェースの厚さが遷移および分子ガスレジームへとシステムを押し込むために十分なほどに大きくなる。
【0031】
本開示の別の態様によれば、チャンバ138Bは、冷却装置144を含む。冷却装置144は、イオン注入中にイオンが注入された後、ワークピース118がチャンバ138B内に配置されたときに、ワークピースを冷却するように構成されている。冷却装置144は、例えば、冷ワークピース支持体146を含んでもよい。ここで、冷ワークピース支持体は、熱伝導を介して、その上に存在するワークピース118を能動的に冷却するように構成されている。冷ワークピース支持体146は、例えば、当該冷却板を通過する1つ以上の冷却チャネルを有する冷却板を含む。冷却チャネルを通過する冷却流体は、冷却板の表面上に存在するワークピース118を実質的に冷却する。冷ワークピース支持体146は、ペルチェ冷却器、または当業者に公知の他の冷却機構などの他の冷却機構を含んでもよい。
【0032】
別の例示的な態様によれば、コントローラ148がさらに設けられている。コントローラ148は、熱システム134、予熱装置140、および冷却装置のうち1つ以上を選択的に作動させ、その上に存在するワークピース118それぞれを選択的に加熱または冷却するように構成されている。コントローラ148は、例えば:予熱装置140を介してチャンバ138A内のワークピース118を加熱し;熱チャック130および熱システム134を介してワークピースを処理チャンバ122内の所定の温度まで加熱し;イオン注入装置101を介してワークピースにイオンを注入し;冷却装置144を介してチャンバ138B内のワークピースを冷却し;1つ以上のワークピース移送装置150A、150Bを介して外部環境132と処理環境126との間でワークピースを選択的に移送する;ように構成されていてもよい。
【0033】
一実施例において、ワークピース118は、処理チャンバ122へ、および処理チャンバ122から、さらに供給されてもよい。これにより、ワークピースは、ワークピース移送装置150Bを介して、選択された前面開口統一ポッド(FOUP)152A、152Bとチャンバ138A、138Bとの間で移送され、ワークピース移送装置150Aを介して、チャンバ138A、138Bと熱チャック130との間でさらに移送される。コントローラ148は、例えば、ワークピース移送装置150A、150Bの制御を介して、FOUP152A、152B、チャンバ138A、138B、および熱チャック130の間でワークピースを選択的に移送するようにさらに構成されている。
【0034】
本開示の
図1のシステム100は、例えば、同一の熱チャック130を使用しながら、高温注入(例えば、100~600℃の範囲)および準室温注入(例えば、20~100℃の範囲)の両方を実施するように、有利に構成されていてもよい。このような構成は、単純性および生産性の両方において従来のシステムよりも有利である。これは、
図1のシステム100が、従来のイオン注入システムの従来の始動動作において一般に見られる種々の欠陥を軽減しつつ、構成についての最小限の変更で種々の注入スキームにおいて利用することができるためである。
【0035】
例示的な熱チャック130が
図2に示されており、それによって、熱チャックは、例えば、主に2つの機能、すなわち、当該熱チャックに
図1のワークピース118を選択的にクランプする機能、ならびに、ワークピースを加熱および/または冷却する機能を果たす。
図2に示される1つ以上のグラウンドピン154は、例えば、ワークピースの電気的接地のために設けられている。複数のメサ156は、
図1のワークピース118との接触を最小化し、粒子汚染を緩和するために、熱チャック130のクランプ面158上に設けられている。
【0036】
本開示の別の例示的な態様によれば、
図3は、熱チャック130の一部200を示す。例えば、キャリアプレート202が図示されており、それによって、ワークピース118は、熱チャック130のクランプ面158に選択的にクランプされる。一実施例において、キャリアプレート202は、当該セラミックス材に埋め込まれた、または、そうでなければ当該セラミックス材に関連している1つ以上の高電圧電極204を有するセラミックス材から構成されている。それによって、1つ以上の高電圧電極204は、ワークピース118を熱チャック130に静電的に引き付けるように構成されており、一般に静電チャック(ESC)を画定する。代替的には、または追加で、熱チャック130は、1つ以上の機械クランプ部材205を含んでもよい。1つ以上の機械クランプ部材205は、ワークピース118をキャリアプレート202に選択的に機械的にクランプするように構成されている。それによって、熱チャックは一般に、機械チャックを画定する。
【0037】
本実施例において、
図3の1つ以上の熱構成136は、1つ以上の冷却チャネルを含む。1つ以上の冷却チャネルは、熱チャック130内に画定され、熱チャック130を選択的に冷却するように構成されている1つ以上の熱構成136は代替的に、熱チャックを選択的に加熱するために、熱チャック130内に埋め込まれた1つ以上のヒータ(図示せず)を含んでもよいことを理解されたい。コントローラ148は、例えば、1つ以上の熱構成136を選択的に制御し、1つ以上の熱構成の熱状態を選択的に制御するように構成されている。
【0038】
図3のキャリアプレート202は、例えば、当該熱プレート206と関連している1つ以上の熱構成136(例えば、1つ以上の冷却チャネルまたは抵抗発熱体など)を有する熱プレート206に接合されていてもよいし、またはそれと一体化されていてもよい。例えば、熱プレート206はセラミックスから構成されていてもよく、それによって、1つ以上の熱構成136は熱プレート内に画定されるか、または熱プレート内に埋め込まれている。なお、熱プレート206およびキャリアプレート202は、別々のプレートであってもよいし、または1つのプレートに一体化されていてもよい。1つ以上の熱構成136は、例えば、注入処理中に
図1のワークピース118の温度を能動的に冷却、加熱または維持するように構成することができる。
図3の1つ以上の熱構成136は、例えば、必要に応じて、種々の温度でワークピース温度を加熱したり、またはそうでなければ維持したりすることができる。
【0039】
別の実施例によれば、ワークピースへ、またはワークピースから有利に伝熱するために、キャリアプレート202のクランプ面158と、その上に存在するワークピース118との間の背面ギャップ210に背面ガス(BSG)208が供給される。背面ガス208は、例えば、ガス源214に動作可能に結合している管路212を介して、背面ギャップ210に供給される。例えば、背面ギャップ210(例えば、約10ミクロン)内に背面ガス層215が画定され、温度を有利に提供または維持するために、背面ガス208を介して、1つ以上の熱構成136とワークピース118との間で伝熱する。例えば、背面ガス208は、冷却モードにおいては、ワークピース118から熱チャック130へ伝熱することができる。
【0040】
一実施例において、
図1のイオン注入システム100は、25mA+の範囲のイオンビーム112のビーム電流を生成することができる。このようなビーム電流は、例えば、より高いエネルギー(例えば、約120keV以上)と、いわゆる高ドーズエネルギー(例えば、60keVの範囲)との両方で利用される。このようなビーム電流をもたらすことができる生成力を十分に利用するために、熱チャック130は、ワークピース118に吸収されるイオンビーム112の電力を消散させるように構成することができる。これにより、ワークピース上に存在し得る任意のフォトレジストが、イオンビームのこのような電力に関係する熱によって損傷されることをほぼ防ぐ。例えば、フォトレジストの温度を約90C未満に維持することが望ましいことがある。イオンビーム112からの電力が1200~1500W(例えば、ビームエネルギーX ROIビーム電流)のオーダーである状態で、いくつかのチャックはウェハーを90C未満まで冷却することができる一方で、イオン注入システム100の生産性を高めるために、チャック130の冷却能力を約2500W以上まで高めることが望ましい。
【0041】
図3の背面ガス208は、例えば、ワークピースと熱チャック130のクランプ面158との間にガス(例えば、窒素または水素)の層を設けることによって、ワークピース118を冷却するための静電チャックシステムにおいて利用することができる。例えば、窒素は一般に低価格であり、イオン注入装置における使用のための高い利用性を有し、加えて不燃性を有する。背面ガス208は、例えば、ワークピース118内で生成された熱をイオンビーム112の電力から熱チャック130の冷却プラテン216(例えば、キャリアプレート202および熱プレート206)へ伝導するために使用される。ワークピース118から、熱チャック130の冷却プラテン216への伝熱速度は、例えば、ワークピース、背面ガス、ESC材料、接合材料、冷却プラテンおよび冷却流体の熱抵抗などの、熱回路内の材料特性および厚さ(例えば、抵抗)の関数である。熱回路における最も大きな抵抗は一般に、例えば、背面ガス(BSG)208と関連している。
【0042】
本開示は、BSG208に関連している抵抗を低減することができれば、より高いレベルの熱伝達が達成され得ることを理解する。したがって、本開示は、水素の熱伝導率が窒素の熱伝導率よりも約3倍高いため、BSG208として窒素の代わりに水素を利用する。しかしながら、水素ガスは典型的には高圧ガスボトルから供給されるので、製造設備(例えば、いわゆる「製造所(fab)」)における水素の使用は、安全上の問題となり得る。このような安全上の問題を緩和するために、本開示は、熱チャック130(例えば、静電チャックシステム)が存在する、
図1のエンドステーション106内またはその近傍に、使用時点ガス生成システム218を提供する。使用時点ガス生成システム218の位置は、例えば、ビームライン領域内に、ビームライン領域の外部に、または遠隔に、配置されてもよい。したがって、種々の実施例において、本開示は、使用時点ガス生成システム218の位置によって限定されない。
【0043】
例えば、ガス生成システム218は、直列に接続された1つ以上の電解セルを用いて水を解離するように構成されていてもよい。それぞれの電解セルは、例えば、アノード電極(例えば、酸素製造のためのもの)、カソード電極(例えば、水素製造のためのもの)、およびダイアフラム(例えば、酸素および水素の分離のためのもの)を含む。リザーバは、例えば、処理のために必要とされる十分なガス(例えば、水素)のみを貯蔵するように構成されていてもよく、それによって、ガス生成システム218は高圧ガスボトルの存在が問題となる用途のための安全な代替物となる。
【0044】
本開示のガス生成システム218は、例えば、約10sccmの流量でガスを流すように構成されていてもよい。一実施例において、ガス生成システム218は、約5psiまたはそれ以下の比較的小さな貯蔵能力を有する。したがって、ガスは、上述の高圧ガスボトルに典型的に関連している高圧(例えば、2000psi)では貯蔵されない。
【0045】
本開示は、イオンビーム112からの電力が、関連するエネルギーの特定量のイオン流をワークピース118に提供し、それによって、ワークピースに印加される電力またはエネルギーの量がイオンビームの流速に基づいていることを理解する。さらに、結果的な温度が所定の閾値(例えば、ワークピース上のフォトレジストなどのしかるべき材料)を下回るように、ワークピース118に印加される電力量を維持し、ワークピースまたはその上に配置される任意の層の損傷を防ぐことが望ましい。
【0046】
ワークピース118へのイオン(および電力)の注入と同時にワークピース118の冷却を改善するために、本開示は、通常使用されるものとは異なる種類の背面ガスを使用することを企図する。ワークピース118、ワークピースと熱チャック130との間の背面ガス208(例えば、ESCの場合)、および、熱チャックを構成する構成要素(例えば、キャリアプレート202、熱プレート206など)の積層体の熱モデルは、例えば、背面ガス層が最も高い熱抵抗を有することを示す。したがって、背面ガス層215の熱伝導率を改善することによって、ワークピース118と熱構成136(例えば、冷却チャネル)との間でのより多くの電力消散を達成することができる。それによって、熱構成が冷却チャネルである場合には、電力および熱は、熱チャック130を通って流れる冷却流体(例えば、水)へ消散され得る。
【0047】
本開示は、窒素とは対照的に水素が著しく高い熱伝導率を有するので、BSG208のために水素ガスを利用する。したがって、
図1のイオンビーム112を介してワークピース118に導入されるより高い電力に対して、より低い温度を達成することができる。さらに、本開示は、加圧ボトルとは対照的に、ガス生成システム218をガス源214として利用する。したがって、加圧水素ボトルの使用および貯蔵に関連している種々の安全上の問題(例えば、大量の漏電電位、および火災または爆発などに繋がり得る大量の位置エネルギー)は、水素ガスを供給するガス生成システム218によって緩和される。
【0048】
例えば、従来の水素の加圧ボトルに関連しているレギュレーターまたはバルブが誤作動した場合には、水素ガスが周囲に溢れ、可燃性水素ガスの供給を遮断することが困難になる可能性がある。他方、本開示のガス生成システム218は、制限された容積および流量を有し、それに対する電力の選択的な除去は、水素ガスの生成を停止するために有効であろう。したがって、本開示は、有利には、加圧ボトルとは対照的な、水素源の選択的な制御を提供する。本開示はさらに、エンドステーション106の領域にガス生成システム218を提供する。本実施例において、ガス生成システム218は大気環境132内に配置されていてもよい。
【0049】
別の実施例によれば、ガス生成システム218は、さらに
図4に示されるように、水素生成システム300を含んでもよい。それによって、水素生成システムの種々の部分は、
図1のガス生成システムで使用することができる。
図4の水素生成システム300は、例えば、1つ以上のサブシステムまたは構成要素を含んでもよい。例えば、
図4に示される例示的な水素生成システム300は、水素生成器302と、静電チャック306へ水素ガスを供給するデリバリシステム304と、水素生成器302をほぼ囲うエンクロージャ308と、を含む。1つ以上のセンサ310が、エンクロージャ308内の水素ガスの存在を検出するようにさらに設けてもよい。それによって、水素センサは、所定の閾値を超過する、水素の存在の上昇を検出するように構成されている。
【0050】
さらに、水素生成システム300は、エンクロージャ308と接続する排出システム312を含んでもよい。それによって、排出システム312は、エンクロージャに選択的または継続的に空気を通し、エンクロージャ内の水素ガスの蓄積をほぼ防ぐように構成されていてもよい。パージガスシステム314が、エンクロージャ308との接続としてさらに設けられていてもよい。それによって、パージガスシステムは、エンクロージャへ希釈ガス(例えば、窒素、空気、または低可燃性ガス)を供給してもよい。パージガスシステム314は、例えば、エンクロージャ308内の蓄積した水素を希釈するために、設備空気(例えば、空調)、室内空気、窒素などの不燃性ガス、または他のガス源を供給するように構成されていてもよい。したがって、本開示は、限られた量の水素(例えば、BSGのために必要な量のみ)を供給するように構成されており、濃度を爆発レベル未満まで希釈することができる。
【0051】
さらに、インターロックシステム316(例えば、1つ以上の自動化バルブ、スイッチ、または他のインターロック)が、
図1のコントローラ148と接続するように設けられていてもよい。それによって、制御システムは、例えば、水素生成器302による水素ガスの生成、エンクロージャ308内に配置された1つ以上のセンサ310の監視、およびインターロックシステムの管理のうち1つ以上の制御を行い、不要な水素放出を緩和するように構成することができる。インターロックシステム316は、例えば、1つ以上のセンサ310からの信号から、水素の濃度を監視するように構成されたハードウェアシステムおよび/またはソフトウェア制御システムを含むことができる。例えば、所定の値を超える水素レベルが検出されると、インターロックシステム316は、水素生成器302による水素の生成を停止する、排出システム312を開放する、パージガスシステム314を開放してエンクロージャ308の内部に含まれる水素レベルを迅速に希釈する、および/または、水素放出を示す信号を
図1のコントローラ148へ提供するように構成することができる。
【0052】
本発明は、別の実施例によれば、さらに、安全上の問題を低減するように設けることができる工学的制御を提供する。その結果、水素ガスの予期せぬ放出が起きた場合に、
図4のエンクロージャ308に囲まれた体積内の水素ガスの濃度をエンクロージャ内で迅速に低減することができる。1つ以上のセンサ310は、水素生成器302からの水素流の源を閉鎖する(例えば、バルブを自動的に閉じる)、水素生成器への電力を遮断する、または、エンクロージャへのもしくはエンクロージャからの排出流を選択的に許容してエンクロージャを通るガス(例えば、空気)の流量を増大させてエンクロージャ内の水素ガスの蓄積を希釈またはそうでなければ制限する、などの動作を行うための信号を提供するように設けられていてもよい。さらに、ガス生成システム218の状態の表示として、
図1のイオン注入システム100へ信号を供給してもよい。
【0053】
一実施例において、エンクロージャ308が水素生成器302の周囲に設けられていてもよい。それによって、排出システム312は、
図1のイオン注入システム100が配置されている設備に関連している空調と選択的に流体的に結合する排出ダクトを含む。それによって、空調の空気の流れが水素生成器の周囲に設けられていてもよい。水素生成器302から漏れる可能性のある任意の水素ガスは、例えば、エンクロージャ308内に閉じ込められるか、および/または排出されてもよい。排出システム312は、例えば、ベントまたは他の手段を介して、エンクロージャ308から、またはエンクロージャ308を通して空気を連続的に引き出すように構成することができる。その結果、エンクロージャ内に陰圧がほぼ誘発されず、継続的な流れを提供することができる。1つ以上のセンサ310は、水素検出のためだけでなく、排気(例えば、空調の空気)が流れていることを確実にするように、さらに設けられていてもよい。したがって、
図1のコントローラ148は、エンドステーション106の領域が水素ガスで満たされていないことを保証するために、
図4の1つ以上のセンサ310からのフィードバックを提供または受信してもよい。コントローラ148は、例えば、水素ガスが安全なレベルを超えている場合に、イオン注入システム100を停止させることができる。
【0054】
本発明は、1つまたは複数の特定の実施形態に関して図示され、説明されてきたが、上述の実施形態は、本発明の一部の実施形態の実施のための例としてのみ機能するものであり、本発明の適用は、これらの実施形態に限定されるわけではないことに留意されたい。特に、上述の構成要素(アセンブリ、装置、回路など)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に断りがない限り、本明細書で図示され例示された本発明の実施形態において機能を実行する開示された構造とは構造的に同等ではなくとも、説明された構成要素の指定された機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素に対応することが意図される。さらに、本発明の特定の構成は、複数の実施形態のうちただ一つに対して開示されてきたが、そのような構成は、いずれかの所定のまたは特定の用途のために望ましくかつ有利な他の実施形態における1つ以上の構成と組み合わされ得るものである。したがって、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本開示のいくつかの態様による、水素生成器を利用する例示的な真空システムのブロック図である。
【
図2】本開示の一態様による、熱チャックのクランプ面の頂部の斜視図である。
【
図3】本開示の一態様による、熱チャックの部分断面図である。
【
図4】本開示の別の態様による、例示的なガス生成システムの模式図である。