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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
A63F5/04 611A
A63F5/04 603E
A63F5/04 650
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022044523
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2023138040
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】長村 友和
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小島 尚之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】深堀 早太
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-132868(JP,A)
【文献】特開2019-025000(JP,A)
【文献】特開2016-106666(JP,A)
【文献】特開2020-049305(JP,A)
【文献】特開2018-175546(JP,A)
【文献】特開2020-099510(JP,A)
【文献】特開2014-144257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段と、
音を出力可能な音出力手段と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されると、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されても、前記抑制状態を維持し、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とし、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とする
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段と、
音を出力可能な音出力手段と、
遊技価値に関する処理を実行する際に操作される操作手段と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態を維持し、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とし、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とする
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から遊技機として、外周面に複数の図柄が配列されたリールを複数備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示され、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0003】
また、遊技機として、遊技球(遊技価値)が移動する遊技領域や、遊技球を遊技領域に発射する発射装置等を備えた、パチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技領域に設けられた始動口を備え、始動口への遊技球の進入が検出されると、特別図柄抽選が行われる。特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、遊技状態が特別遊技状態に移行し、特別遊技状態において複数回の特別遊技が実行される。各特別遊技では遊技領域に設けられている大入賞口が開状態に動作し、大入賞口への遊技球の進入に基づいて遊技球が払い出される。
【0004】
スロットマシンやパチンコ遊技機は、音(演出音)が出力されるスピーカを備えており、音量の調整が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-138060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、状況に合わせた音の出力の制御を可能にすることが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、状況に合わせた音の出力の制御が可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段と、
音を出力可能な音出力手段と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されると、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されても、前記抑制状態を維持する。
【0009】
前記第1演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーが解除されると、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMが出力される。一方、前記第2演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーが解除されても、抑制状態が維持される。このように、前記所定のエラーが解除された場合に、BGMが出力されるようにするか、BGMの出力の抑制状態が維持されるようにするか、を演出に応じて設定できる。これにより、より状況に合わせたBGM(音)の出力の制御が可能となる。換言すると、BGMの出力の多様な制御を実現することができる。
【0010】
また、本発明の遊技機は、
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段と、
音を出力可能な音出力手段と、
遊技価値に関する処理を実行する際に操作される操作手段と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態を維持する。
【0011】
前記第1演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMが出力される。一方、前記第2演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行されても、抑制状態が維持される。このように、前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合に、BGMが出力されるようにするか、BGMの出力の抑制状態が維持されるようにするか、を演出に応じて設定できる。これにより、より状況に合わせたBGM(音)の出力の制御が可能となる。換言すると、BGMの出力の多様な制御を実現することができる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とし、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とする。
【0013】
第1演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、第2演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、抑制状態となっている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値が予め設定されている値となる。このため、電源投入後に、前記予め設定されている値となるように調整する必要がなく、作業の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、状況に合わせた音の出力の制御が可能な遊技機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
図2】同、前扉を開いた状態を示す斜視図である。
図3】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図4】同、メインループ処理について説明するためのフローチャートである。
図5】同、(a)は第1パワーセーブモードについて説明するための図であり、(bは第2パワーセーブモードについて説明するための図である。
図6】同、(a)は第1パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートであり、(b)は第2パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。
図7】同、リール停止警告演出の実行について説明するためのタイミングチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図9】同、遊技区間および演出状態の状態遷移図である。
図10】同、副制御手段の概略的な構成を示すブロック図である。
図11】同、BGMの出力の抑制状態について説明するための図であり、(a)は第1演出の実行に基づくBGMの出力について示すもので、(b)は第2演出の実行に基づくBGMの出力について示すものである。
図12】本発明の第3の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す正面図である。
図13】同、外観構成を示す側面図である。
図14】同、図13のC1部の拡大図である。
図15】同、図13のC2部の拡大図である。
図16】同、外観構成を示す背面斜視図である。
図17】同、筐体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、遊技機の概略構成について説明する。なお、本実施の形態では、本発明を遊技機の1つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0017】
図1はスロットマシンXを示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体10を備えており、この筐体10は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体10の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。また、筐体10の正面には、筐体10の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられている。また、前扉12は、筐体10の正面開口部の開口上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、開口下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。なお、前扉12を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。
【0018】
筐体10内の下部には、図2に示すように、各部品に電力を供給するための電源装置(電源手段)を内蔵した電源ユニット14、メダル(遊技媒体、遊技価値)を貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置(払出手段)としてのホッパーユニット16、ホッパーユニット16内のメダルの量が所定量以上となるとホッパーユニット16からメダルが送り出されるキャッシュボックス18等が設けられている。また、電源ユニット14は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット14から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット14がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0019】
また、筐体10内には、リールユニット20や主制御手段(第1制御手段、メイン制御基板)70、副制御手段(第2制御手段、サブ制御基板)72等が設けられている。リールユニット20は、周囲に複数の図柄を表示した3個の第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cと、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)とを有している。
【0020】
主制御手段70には、設定変更キーシリンダや設定変更ボタン26(図3)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや、設定変更ボタン26は、例えば、電源ユニット14等の、他の部分に設けられていてもよい。設定変更キーシリンダ(設定キースイッチ)は、OFF状態とON状態との2つの状態を有している。換言すると、OFF状態とON状態とを切り替え可能となっている。設定変更キーシリンダは、設定キーを挿入可能に形成されている。設定変更キーシリンダは、初期状態ではOFF状態となっている。挿入された設定キーが初期位置から時計回りに90度回転されると、設定変更キーシリンダの状態がOFF状態からON状態に切り替わる。設定変更キーシリンダの状態がON状態となる位置から初期位置となるように設定キーが反時計回りに90度回転されると、ON状態からOFF状態に切り替わるようになっている。設定変更ボタン26は押下操作が可能となっている。
【0021】
図1に示すように、上扉30の下部中央には、表示窓31が設けられ、この表示窓31の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。各リール20a~20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a~20cが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄(連続して配列されている3つの図柄)が表示される。表示窓31には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
【0022】
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数、規定数)が3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、各リール20a~20cの中段によって構成される有効ラインが有効化される。また、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0023】
表示窓31の下方には、遊技情報表示部32が設けられている。遊技情報表示部32は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、遊技情報表示部32は、第1メイン表示器90、第2メイン表示器92、サブ表示器93および有利区間表示器を備えている。
【0024】
上扉30の上部中央には、表示窓31の上方に表示窓33が設けられている。この表示窓33の奥には、液晶ディスプレイ(表示手段)34が設けられている。液晶ディスプレイ34には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(画像)が表示される。また、上扉30や下扉40には、スピーカ(音出力手段)36が複数設けられている。スピーカ36からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の演出音(音楽、効果音、音声等)が出力される。
また、前扉12には、報知や演出などを行うための照明装置(照明手段)38が複数設けられている。
【0025】
下扉40の上部には、スロットマシンXを操作するための操作領域50が設けられている。操作領域50には、各種の操作手段が設けられている。メダルを精算する際に操作される精算ボタン52、遊技(ゲーム)を開始させる際に操作されるスタートレバー53、リールの回転を停止させる際に操作されるストップボタン54(54a,54b,54c)、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン(図示せず)、メダルを投入(ベット)する際に操作されるベットボタン56、演出を進行させる(液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン57等が設けられている。本実施形態の遊技機は、ベットボタン56として、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン56(第1ベットボタン)と、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン56(第2ベットボタン)と、が設けられている。
【0026】
演出ボタン57は、操作領域50における幅方向(左右方向)の略中央部に配置されている。演出ボタン57は、押圧部が押下可能に形成されたプッシュボタンであり、演出等を選択するためのジョグダイヤル等を備えていてもよい。演出ボタン57は、例えば、遊技者にとって有利な状態に移行することを期待させる演出の実行中に操作が有効な状態となり、その操作を指示する画像が液晶ディスプレイ34に表示される。そして、演出ボタン57が操作されると、遊技の結果(例えば有利な状態へ移行するか否か)が報知される。
【0027】
本実施形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入され、遊技を開始可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下すると、リール20a~20cが回転を始め、リール20a~20cの回転速度が所定の速度まで上昇して定常回転状態となると、ストップボタン54a~54cの押下操作が有効な状態(有効化された状態)となる。その後、遊技者が任意のタイミングで各リール20a~20cに対応する各ストップボタン54a~54cを押下していくと、各リール20a~20cの回転が停止する。具体的には、ストップボタン54aを押下すると第1リール20aの回転が停止し、ストップボタン54bを押下すると第2リール20bの回転が停止し、ストップボタン54cを押下すると第3リール20cの回転が停止する。そして、全てのリール20a~20cの回転が停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0028】
前扉12の下端部には、スロットマシンXの内部よりメダルを排出するためのメダル払出口60と、メダル払出口60から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿62と、が設けられている。また、操作領域50とメダル受け皿62との間にはスロットマシンXの外観を装飾するための下パネル64が設けられている。また、下パネル64の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源から照射される光によって下パネル64が背後から照らされるようになっている。
【0029】
下扉40には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーシリンダ66にドアキーを挿入して下扉40(前扉12)を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、下扉40の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。なお、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態では上扉30を開くことができない構造になっている。すなわち、上扉30を開く際には、下扉40を解錠して開いてから上扉30を開くように構成されている。
【0030】
メダル投入口42から投入されたメダルは、メダルセレクタ67(図2)を通過した後に、メダルシュート69を経由してホッパーユニット16に入るようになっている。ただし、遊技を開始した後などの所定の条件下では、メダルセレクタ67に内蔵されたメダルブロッカー68(図3)が作動して、メダルシュート69(図2)へ向かう流路が閉塞され、投入されたメダルがメダル払出口60から返却されるようになっている。
【0031】
図3は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。本実施形態の遊技機(スロットマシンX)は、制御手段としての主制御手段(メイン基板)70と副制御手段(サブ基板)72とを備えている。主制御手段70は、精算ボタン52、スタートレバー53、ストップボタン54、ベットボタン56、設定変更ボタン26、ドア開閉スイッチ74、投入検知センサ78および払出センサ88等からの入力信号を受けて、遊技機の設定、エラーの管理あるいは遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリール20a~20cや、ホッパーユニット16等の出力手段の制御を行う。
【0032】
副制御手段72は、主制御手段70や演出ボタン57から送られてくる情報(信号)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ34、スピーカ36、照明装置38等の演出用の装置の制御を行う。
【0033】
主制御手段70と副制御手段72とは電気的に接続されており、主制御手段70から副制御手段72へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御手段72から主制御手段70へは情報を送信できないようになっている。また、主制御手段70や副制御手段72の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0034】
主制御手段70は、設定変更手段101、設定確認手段102、払出制御手段103、遊技制御手段104、乱数発生手段105および主記憶手段108等を備えている。
【0035】
設定変更手段101は、主記憶手段108に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更処理)を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更キーシリンダの状態に応じて、遊技モードで起動される場合と、設定変更モードで起動される場合と、が切り替えられるようになっている。設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転された状態で、電源スイッチが作動することにより電源ユニット14から電力が供給されると(すなわち電源が投入されると)、設定変更手段101が、遊技機を設定変更モードで起動する。本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっている。そして、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0036】
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて設定変更ボタン26が押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー53が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を主記憶手段108に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定キーを初期位置に戻すと、設定変更モードから遊技モードへ移行するようになっている。なお、本実施形態では、設定変更モードにおいて第1メイン表示器90に選択中の設定値が表示されるようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置にある状態で電源が投入されると、遊技機が遊技モードで起動する。本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0038】
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて、主記憶手段108における読み出しおよび書き込みが可能な記憶領域であるリードライトメモリ(RWM)に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。なお、初期化処理においては、リードライトメモリに記憶されている全ての情報を初期化するのではなく、所定の情報(メダルのクレジット情報等の一部の情報)については初期化されずに保持されるようになっている。
【0039】
設定確認手段102は、電源が投入された状態における遊技モードにおいて、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転されると、遊技機(スロットマシンX)を遊技モードから設定確認モードへ移行させ、液晶ディスプレイ34や遊技情報表示部32等を介して現在の設定値を報知する処理(設定報知処理)を行う。設定確認モードでは、液晶ディスプレイ34に設定確認モードである旨を報知する画像(例えば「設定参照中」という文字)が表示される。また、設定確認モードでは、遊技情報表示部32における第1メイン表示器90に、現在設定されている設定値が表示される。設定確認モードでは現在の設定値を参照(報知)することはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。また、設定確認モードでは設定値を参照することはできるが、設定値の変更を行うことはできないようになっている。
【0040】
遊技制御手段104は、遊技の進行を制御する手段であって、メダルの投入を受け付けて遊技が開始されると、内部抽選により役の当否を決定するとともに、第1リール20a~第3リール20cを回転させ、ストップボタン54a~54cに対する停止操作が行われると、内部抽選の結果に応じて回転中のリールを停止させて、有効ライン上に表示された図柄組合せに基づいて役が入賞したか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行うことによって遊技を進行させるメインループ処理を行う。以下、その詳細を説明する。
【0041】
遊技制御手段104は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー53に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお、本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー53の最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リール20a~第3リール20cの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0042】
本実施形態の遊技機では、メダル投入口42にメダルが投入されると、メダルセレクタ67内の投入検知センサ78が作動することに伴って、遊技制御手段104が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、本実施形態の遊技機では、主記憶手段108に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタン56が押下されると、遊技制御手段104が、規定投入数を限度して、主記憶手段108にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、第2メイン表示器92にクレジット数が表示されるようになっている。遊技制御手段104は、主記憶手段108に記憶されているメダルのクレジット数の増減に従って第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
【0043】
遊技制御手段104は、スタートレバー53に対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバー53への最初の押下操作)に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行い、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理および抽選フラグ設定処理等を行う。
【0044】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、各内部抽選テーブルにおいて、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお、本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に遊技状態に応じた内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを消費することなくスタートレバー53の操作が有効化され、スタートレバー53の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0045】
本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて複数種類の内部抽選テーブルのいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0046】
乱数判定処理では、スタートレバー53に対する遊技開始操作に基づいて、遊技毎に乱数発生手段105から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について主記憶手段108に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0047】
乱数発生手段105は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお、本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0048】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段108に記憶されるようになっている。
【0049】
抽選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナスがあり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの抽選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき遊技制御手段104は、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。このように抽選フラグ設定処理では、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0050】
また、遊技制御手段104は、主制御手段70による制御のもと有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン54a~54cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御(抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御)を行う。
【0051】
遊技制御手段104は、ストップボタン54a~54cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシンXでは、ストップボタン54aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン54bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン54cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン54a~54cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0052】
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン54a~54cの操作順序)について、ストップボタン54a~54cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0053】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順6」とする。また、「打順1」と「打順2」とをまとめて「左押し」と呼び、「打順3」と「打順4」とをまとめて「中押し」と呼び、「打順5」と「打順6」とをまとめて「右押し」と呼ぶ。また、「中押し」と「右押し」とをまとめて「変則押し」と呼ぶことがある。
【0054】
ストップボタン54a~54cが操作された際の停止制御において、遊技制御手段104は、抽選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の抽選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の抽選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、遊技制御手段104は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0055】
本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位は、それぞれ同一のものとして扱われる。また、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が同数となる停止位置の候補についての優先度は、それぞれ同一のものとして扱われる。
【0056】
遊技制御手段104は、第1リール20a~第3リール20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、第1リール20a~第3リール20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、主記憶手段180のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。遊技制御手段104は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0057】
払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理である。遊技制御手段104は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット16に払い出させる。
【0058】
ホッパーユニット16は、遊技制御手段104によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う装置である。ホッパーユニット16には、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出センサ88が備えられており、遊技制御手段104は、払出センサ88からの入力信号に基づいてホッパーユニット16から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、本実施形態の遊技機では、各遊技においてメダルの払い出しが行われる場合には、メダルの払出数が第1メイン表示器90に表示されるようになっている。遊技制御手段104は、小役の入賞によってメダルが払い出される場合には、当該小役の入賞に伴うメダルの払出数を第1メイン表示器90に表示させる。
【0059】
なお、メダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニット16によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段108に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。なお、メダルの払出数の一部または全部をクレジット数に加算する場合には、遊技制御手段104は、クレジット数の増加分に対応して第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
【0060】
リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理である。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー53に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0061】
また、遊技制御手段104は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では、遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口42にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン56に対する操作を受け付けないようにし、ベットボタン56が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0062】
また、遊技制御手段104は、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、主記憶手段108に記憶される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0063】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてボーナスが当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また、通常状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役、リプレイおよびボーナスが抽選対象として設定されている内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
【0064】
ボーナス成立状態は、内部抽選でボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、通常状態と同じ確率で小役の当否が決定され、ボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。なお、ボーナス成立状態においてもリプレイは抽選対象として設定されているが、通常状態とはリプレイの当選確率や当選態様が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0065】
ボーナス成立状態では、ボーナスが入賞するまでボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持されたまま小役およびリプレイの当否が決定され、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技制御手段104は、ボーナスの入賞に基づいて遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0066】
ボーナス状態は、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役の当選確率が通常状態およびボーナス成立状態よりも高く設定され、リプレイが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。すなわち、ボーナス状態では、通常状態やボーナス成立状態よりも小役が頻繁に当選するようになっている点で、通常状態やボーナス成立状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
【0067】
ボーナス状態では、ボーナス状態でのボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かが判断され、予め定められた終了予定払出数(例えば250枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技制御手段104は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。なお、本実施形態では、ボーナス状態における払出数についてのカウント情報は主記憶手段108に累計して記憶される。
【0068】
本実施形態では、主制御手段70から副制御手段72への情報の送信はシリアル通信によってコマンドを送信することによって実現されているが、主制御手段70から副制御手段72へ送信されるコマンドに含まれる情報としては、設定値、遊技状態、メダルの投入数や払出数、内部抽選の結果、各種スイッチ等の信号状態、リールの停止制御の内容、入賞判定の結果および発生したメインエラーに関するもの等がある。
【0069】
本実施形態では、メインエラーが発生した場合に、主制御手段70が、エラー検出フラグが設定されているエラー種別に対応するエラー発生コマンドや、設定変更ボタン26に対する解除操作が行われたことを示すエラー解除コマンドを、副制御手段72に送信する。また、主制御手段70は、ドア開閉スイッチ74の信号状態が変化した場合には、信号状態がOFF状態(前扉12が閉まっていることを示す信号状態)からON状態(前扉12が開いていることを示す信号状態)へ変化したことに基づいてドア開コマンドを副制御手段72に送信し、信号状態がON状態からOFF状態へ変化したことに基づいてドア閉コマンドを送信する。本実施形態では、前扉12が開放されていても、それ自体はメインエラーとしては取り扱わずに他のメインエラーが発生していなければメインループ処理は続行可能となっている。
【0070】
次に、副制御手段72について説明する。副制御手段72は、演出制御手段131および副記憶手段132等を備えている。
【0071】
演出制御手段131は、副記憶手段132に記憶されている演出データに基づいて、液晶ディスプレイ34を用いて行う演出や、スピーカ36を用いて行う演出や、照明装置38を用いて行う演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入、ベットボタン56、スタートレバー53およびストップボタン54a~54cに対する操作や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生に応じて照明装置38を点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイ34の表示内容を変化させたり、スピーカ36から音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0072】
遊技において実行される演出の内容は、遊技状態、演出状態および内部抽選の結果等に対応して主制御手段70から送信されるコマンドに応じて、副記憶手段132に記憶されている演出抽選テーブルを用いて決定される。本実施形態では、副記憶手段132のROMに記憶されている画像データを副記憶手段132に設けられたイメージバッファに読み込んで、イメージバッファに読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイ34に出力される。また、副記憶手段132のROMに記憶されているサウンドデータを副記憶手段132に設けられたサウンドバッファに読み込んで、サウンドバッファに読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカ36から出力される。
【0073】
本実施形態では、副制御手段72から主制御手段70へは何らの情報も送信されないようになっており、サブエラーの発生が遊技制御手段104でのメインループ処理の進行に影響を与えることはなく、メインエラーが発生していなければサブエラーが発生している状況でも遊技制御手段104がメインループ処理を続行可能となっている。
【0074】
次に、遊技の進行を制御するメインループ処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。まず、遊技を行うために必要な数(規定枚数)のメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われ(ステップS100)、遊技開始条件として設定されている規定枚数(3枚)のメダルの投入を受け付けたか否かが判定される(ステップS101)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口42にメダルを投入したことに基づき投入されたメダルが投入状態に設定される。また、1ベットボタン56やMAXベットボタン56が押下されたことに基づき遊技機内にクレジットされたメダルが投入状態に設定される。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、前回の遊技で投入された枚数と同数のメダル(前回の遊技と同じ投入数のメダル)が自動的に投入状態に設定される。
【0075】
ステップS101において、規定枚数のメダルの投入を受け付けたと判定された場合(規定投入数のメダルが投入状態に設定されたと判定された場合)(ステップS101:YES)、スタートレバー53の操作が有効化される(ステップS102)。一方、ステップS101において、規定投入数のメダルの投入を受け付けていないと判定された場合(ステップS101:NO)、ステップS100に戻る。
【0076】
次いで、スタートレバー53が操作されたか否かが判定される(ステップS103)。ステップS103において、スタートレバー53が操作されたと判定された場合(ステップS103:YES)、内部抽選が行われる(ステップS104)とともに、第1リール20a~第3リール20cの回転が開始される(ステップS105)。一方、ステップS103において、スタートレバー53が操作されていないと判定された場合(ステップS103:NO)、ステップS103の処理が繰り返される。
【0077】
次いで、各リールの回転速度が所定速度以上となっているか否かが判定される(ステップS106)。ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていると判定された場合(ステップS106:YES)、ストップボタン54a~54cに対する操作が有効化される(ステップS107)。一方、ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていないと判定された場合(ステップS106:NO)、ステップS106の処理が繰り返される。
【0078】
次いで、所定のストップボタンが操作されたか否かが判定される(ステップS108)。ステップS108において、所定のストップボタンが操作されたと判定された場合(ステップS108:YES)、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止され(ステップ109)、全てのリールが停止したか否かが判定される(ステップS110)。一方、ステップS108において、所定のストップボタンが操作されていないと判定された場合(ステップS108:NO)、ステップS108の処理が繰り返される。
【0079】
ステップS110において、全てのリールが停止していないと判定された場合(ステップS110:NO)、ステップS108に戻る。一方、ステップS110において、全てのリールが停止したと判定された場合(ステップS110:YES)、各リールの停止状態(停止態様)に基づき、内部抽選で当選した役に入賞したか否かが判定される(ステップS111)。ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞したと判定された場合(ステップS111:YES)、入賞した役に対応する処理(入賞処理)が実行され(ステップS112)、一連の処理(1遊技)が終了する。一方、ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞しなかったと判定された場合(あるいは内部抽選の結果がハズレ(不当選)であった場合)(ステップS111:NO)、各リール20a~20cが停止したことをもって一連の処理(1遊技)が終了する。
【0080】
本実施形態では、遊技が継続して行われていない(遊技機に対する所定の操作が入力されていない)時間を、副記憶手段132の監視タイマー(計時手段)が計測するようになっている。演出制御手段131は、遊技機の電源が投入されている間は監視タイマーを常に作動させており、所定の信号(主制御手段70からの信号等)が入力されると、作動中の監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。演出制御手段131は、監視タイマーが所定時間(例えば60秒)を計時した場合に、所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった(遊技機に対する所定の操作が入力されなかった)と判定する。
【0081】
(パワーセーブモード)
本実施形態では、所定の状態(後述する第1状態または第2状態)で所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった場合(遊技機に対する所定の操作が入力されない状態が所定時間にわたって継続された場合)に、パワーセーブモード(低電力モード)へ移行させる。パワーセーブモードでは、演出装置の消費電力が抑制されるようになっている。演出装置としては、液晶ディスプレイ34、照明装置38およびスピーカ36等がある。
【0082】
以下、所定時間を60秒(1分)として説明するが、所定時間は60秒よりも長い時間であってもよく、60秒よりも短い時間であってもよい。
【0083】
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態:メダル投入の受付が開始されてから(投入受付処理(図4)が開始されてから)、メダルが投入される前の状態)(メダルの投入を受け付けている状態)で、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(メダル投入口42からのメダルの投入やベットボタン56の操作等)が行われなかった場合に、パワーセーブモード(第1パワーセーブモード)に移行させる。換言すると、第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第1パワーセーブモードへ移行する。パワーセーブモードに移行すると、演出装置を介して、非遊技中(遊技休止中)であることを報知する待機演出(遊技休止演出)が実行される。なお、本実施形態では、パワーセーブモードが複数用意されていて、パワーセーブモードの種類に応じた演出態様で待機演出が実行されるようになっている。
【0084】
(第1パワーセーブモード)
第1パワーセーブモードでは、第1待機演出(第1遊技休止演出)が実行される。第1待機演出が実行されると、図5(a)に示すように、デモ演出画像(デモ画面)が液晶ディスプレイ34に表示される。また、照明装置38(ランプ、照明手段)がデモ演出パターンの点灯態様となる(点灯または点滅する)。また、デモ演出音に係る音響データが再生されるが、スピーカ36から出力される音の音量は「消音」に制御される。なお、消音とする場合、デモ演出音に係る音響データが再生されないように構成されていてもよい。
【0085】
本実施形態では、音量として、「0」(消音)、「1」(最小音量)、「2」、「3」、「4」、「5」(最大音量)の6段階の音量が設定可能となっており、「0」<「1」<「2」<「3」<「4」<「5」の順で音量が大きくなるように設定されている。初期状態では音量は「3」に設定されており、第1パワーセーブモードに移行すると、音量が「0」に設定される。
【0086】
本実施形態では、後述する特定状態(第2状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合に、第2パワーセーブモードに移行させる。換言すると、第2状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第2パワーセーブモードへ移行する。本実施形態では、パワーセーブモードとして、第1パワーセーブモードと、第2パワーセーブモードとの2種類のモードが用意されている。
【0087】
特定状態(特定の遊技状況)には、特定の遊技状態、特定の演出状態(例えばAT演出状態:所定の役に当選した場合に、所定の役の入賞を補助する打順ナビ演出が実行される演出状態)、特定のステージに滞在している状態、特定の演出が発生している状態、状態の切り替わり時(移行時)、およびメダルが投入されている状態(メダル投入状態)のうちの少なくとも1つが含まれる。メダル投入状態は、メダル投入口42を介してメダルが投入された場合、有効化されているベットボタン56が操作された場合、またはリプレイの入賞に伴う自動投入処理によりメダルが自動投入された場合、に移行する状態である。
【0088】
(第2パワーセーブモード)
第2パワーセーブモードでは、第2待機演出(第2遊技休止演出)が実行される。第2待機演出が実行されると、図5(b)に示すように、液晶ディスプレイ34では第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に実行されていた演出画像の表示が維持される。また、照明装置38では第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた点灯態様(点灯または消灯)が維持される。また、スピーカ36では、第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた演出音に係る音響データの再生が継続され、第2パワーセーブモードへの移行時に出力されていた演出音が継続して出力されるが、スピーカ36から出力される音の音量が、低下(ボリュームダウン)するように制御される。具体的には、第2パワーセーブモードに移行すると、音量が「1」(最小音量)に設定される。なお、第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に設定されていた音量よりも小さくなっていればよく、例えば、音量が「3」から「2」に変更されてもよい。
【0089】
なお、第1パワーセーブモードの方が、第2パワーセーブモードよりも音量が小さく設定されていればよく、第1パワーセーブモードにおいて音量が例えば「1」に設定されてもよい。本実施形態において、音量が小さくなる(音量が低下する)という場合、音量が小さくなる場合の他、音量が「0」に設定される場合(音が出力されなくなる場合)が含まれるものとする。
【0090】
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態)で所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合、遊技が開始されるまでの期間が比較的長いものとみなして、第1パワーセーブモードに移行させる。一方、特定状態(第2状態)において所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合には、遊技が開始されるまでの期間が比較的短いものとみなして、第1パワーセーブモードよりも消費電力の抑制度合いが相対的に低い第2パワーセーブモードに移行させる。これにより、遊技が開始されるまでの期間が長期化し得る遊技状況では、短期間で遊技が開始される可能性が高い遊技状況よりも消費電力が抑制されるようになっており、遊技状況に応じて消費電力を適切に抑制することができる。また、本実施形態では、パワーセーブモードが第1パワーセーブモードとなっているか第2パワーセーブモードとなっているか、すなわち第1待機演出が実行されているか第2待機演出が実行されているかによって、遊技の状況(上述の第1状態であるか第2状態であるか)が報知されるようになっている。
【0091】
(パワーセーブモードの解除)
本実施形態では、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)において、遊技機に対する所定の操作が行われた場合に、パワーセーブモードを解除(終了)し、通常モードに復帰させる。具体的には、演出制御手段131は、所定の信号(後述する)が入力された場合にパワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。また、演出制御手段131は、所定の信号が入力されると、パワーセーブモードを解除するとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
【0092】
所定の信号としては、主制御手段70から送信される信号の他、副制御手段72が受信する信号が含まれていてもよい。副制御手段72が受信する信号としては、演出ボタン57の操作に基づく信号がある。例えば、パワーセーブモードに移行すると演出ボタン57に対する操作が有効化され、演出ボタン57が操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、演出ボタン57の他に、副制御手段72が制御するボタン(音量調整ボタン等のサブ系の演出ボタン)が設けられていて、当該ボタンが操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。このように、パワーセーブモードにおいて、遊技を進行させるための操作(メダルの投入、ベットボタン56の操作、スタートレバー53の操作等)が行われた場合に限らず、遊技の進行に関わらないボタン(演出ボタン57等)の操作が行われた場合にも、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
【0093】
また、精算ボタン52の操作に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、前扉12(上扉30または下扉40)の開閉に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダル投入の有無に関わらず、ベットボタン56が操作された場合に、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダルが投入されていない状態でのスタートレバー53の操作に基づいて、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
【0094】
なお、演出制御手段131は、パワーセーブモードに移行させる場合に、移行時に(移行直前に)実行している演出に関する情報を副記憶手段132に記憶し、パワーセーブモードが解除されると、待機演出を終了させ、副記憶手段132に記憶されているデータに基づきパワーセーブモードへの移行時(移行直前)の状態に復帰させる復帰処理を行う。復帰処理では、例えば、スピーカ36から出力される音の音量を、パワーセーブモードへの移行時に設定されていた音量に復帰させる。なお、パワーセーブモードが解除されると、元の状態(遊技状態や演出状態)に応じた演出が実行される、とも言うことができる。
【0095】
図6(a)は、第1パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。遊技が開始されておらず、メダルの投入もされていない状態(第1状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第1パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第1パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量は消音(0)となる。第1パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばメダルが投入されると)、第1パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(メダルが投入されたことを示す信号)が入力されると、第1パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第1パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
【0096】
図6(b)は、第2パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。ここでは特定状態(第2状態)を、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)としている。メダル投入状態において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第2パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第2パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量が低下する(ボリュームダウンする)。第2パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばスタートレバー53がONとされると)、第2パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(スタートレバー53がONされたことを示す信号)が入力されると、第2パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第2パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
【0097】
ここで、遊技が開始されてない状態(遊技が開始されておらず、リールが回転していない状態)を、メダルが投入されていない状態と、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)と、を含むものとする。本実施形態では、遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)に移行するようになっている。
なお、メダル投入状態では、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されなかった場合であっても、パワーセーブモードに移行しないように構成されていてもよい。比較的短期間で遊技が開始される可能性が高いためである。
【0098】
スロットマシンでは、最後のストップボタンの操作(押下)の開放が検知されると、所定の演出(例えば遊技者にとって有利となる特典が付与されるか否かを報知する演出)が実行される場合がある。換言すると、最後のストップボタンの押下のOFFエッジが検知されると、それに基づき所定の演出が実行される場合がある。遊技者にとって有利となる特典としては、例えば、遊技者にとって有利な所定の状態(例えばAT演出状態)への移行がある。そのため、遊技者は、ドキドキ感をより長く味わうため、最後のストップボタンを押下したままの状態とし、すぐに押下を開放せず、所定時間にわたって押下を継続させる(押し続ける)場合がある。
【0099】
図6(a)において、第1状態の開始点を、メダルの受け付けが開始された時点としたが、仮に、第1状態の開始点を、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点(タイミング)、とした場合を考える。この場合、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件(第1パワーセーブモードへの移行条件)を満たしたと判定され、第1パワーセーブモードへ移行し得る。第1パワーセーブモードへ移行した場合、ストップボタンを押下し続けているにも関わらず、第1パワーセーブモードへ移行してスピーカ36から出力される音量が低下する(消音となる)ため、遊技者が違和感を抱く。
【0100】
本実施形態では、第1状態の開始点をメダルの受付が開始された時点とし、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点よりも後のタイミングとしている。このため、所定の遊技において最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。したがって、第1パワーセーブモードへ移行することはない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0101】
本実施形態では、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リールの回転が開始されて、少なくとも1つのリールが回転している状態をリール回転状態(第3状態)という。本実施形態では、有効化されているストップボタンの押下のONエッジの検知に基づき、対応するリールの回転が停止するようになっている。リール回転状態(第3状態)は、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)のONエッジが検知されると終了する(全てのリールの回転が停止すると終了する)ようになっている。
【0102】
(リール停止警告演出)
本実施形態では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(後述する)が行われなかった場合(監視タイマーが所定時間(60秒)を計時した場合)、パワーセーブモードに移行させずにリール停止警告演出を実行させる。遊技機に対する所定の操作とは、ストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)である。リール停止警告演出とは、リールの回転の停止を促す(指示する)演出である。リール停止警告演出が実行されると、例えば、所定の文字(「リールを停止してください」)を含む所定の表示(リール停止警告表示、リール回転中警告表示、指示表示)が、液晶ディスプレイ34(表示手段)に表示される。なお、リール停止警告演出が実行された場合に、リール停止警告表示に加えて、照明装置38(外周ランプ)(表示手段)が所定の点灯態様で点灯するように構成されていてもよい。表示手段は、発光(点灯)可能に形成されたランプ(照明装置)などであってもよい。液晶ディスプレイ34が設けられていない遊技機においてリール停止警告演出が実行されると、リールの回転の停止を促す演出(リール停止警告演出)が表示手段を介して実行され、表示手段が所定の点灯態様で点灯するようになっていてもよい。
【0103】
本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作を契機として所定の演出が実行され、遊技者に演出ボタン57の操作を促す表示(PUSH表示)が、液晶ディスプレイ34に表示される場合がある。このようなPUSH表示が表示された遊技であっても、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
【0104】
また、本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作の後、特定の時間の間、リール演出(リールロック演出)が実行される場合がある。リールロック演出としては、スタートレバー53の操作後、特定の時間の間、リール20a~20cが停止状態で維持されるものがある。このようなリールロック演出の実行中はリール回転状態であると判定されず(リール回転状態が開始されたと判定されず)、所定時間(60秒)にわたってストップボタンが操作されなかった場合でもリール停止警告演出が実行されることはない。この場合、リールロック演出が終了した時点からリール回転状態が開始され、そのリール回転状態において、所定時間にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
【0105】
(リール停止警告演出の終了)
本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、遊技機に対する所定の操作、すなわちストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)が行われた場合に、リール停止警告演出を終了させる。具体的には、演出制御手段131は、主制御手段70から、有効化されているストップボタンの押下のONエッジ(ON状態)が検知(検出)されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させる。また、演出制御手段131は、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させるとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
【0106】
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、有効化されているストップボタンが操作された場合にリール停止警告演出が終了するようになっているが、次のように構成されていてもよい。リール停止警告演出実行中に、有効化されているか無効化されているかに関わらず(演出態様の変化が発生するか否かに関わらず)演出ボタン57が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、リール停止警告演出実行中に、ベットボタン56(すでに操作されて無効化されている)が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、副制御手段72によって制御される、演出の設定に関するボタン(十字キー、音量調整ボタン)(サブ系の演出ボタン)が設けられていて、リール停止警告演出実行中に、当該ボタンが操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(監視タイマーの計測値がリセットされ)、演出に関する設定(例えば音量)が変更されるようになっていてもよい。
【0107】
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、すでに操作されて無効化されたストップボタン(停止したリールに対応するストップボタン)が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。また、リール停止警告演出実行中に、スタートレバー53が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。
【0108】
図7は、リール停止警告演出の実行について説明するためのタイミングチャートである。図7では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(1分)の間、有効化されているストップボタンがいずれも操作されず、リール停止警告演出が実行されている。そして、リール停止警告演出が実行されている状態において、有効化されているストップボタンが操作され(第1停止操作がされ)、リール停止警告演出が終了している。
【0109】
図示を省略するが、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前にいずれか1つのストップボタンが操作され、その後(いずれか1つのリールの回転が停止した後)(第1停止操作に基づき監視タイマーの計時がリスタートされた後)、残り2つのストップボタンがいずれも操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り2つのうちのいずれかのストップボタンが操作されると(第2停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
【0110】
また、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前に1つのストップボタンが操作され、その後、所定時間が経過する前に次の1つのストップボタンが操作され、その後、残り1つのストップボタンが操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り1つのストップボタンが操作されると(第3停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
【0111】
本実施形態では、上述のとおり、リール回転状態(第3状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合(有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されなかった場合)、リール停止警告演出が実行される。換言すると、リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過すると、リール停止警告演出が実行される。
【0112】
ここで、仮に、リール回転状態(第3状態)が、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)の開放(OFFエッジ)が検知されると終了する、となっている場合を考える。最後のストップボタンの押下を所定時間にわたり継続した場合(押しっ放しとした場合)に、その押下のONエッジの検知に基づき対応するリールの回転は停止する(監視タイマーの計測値はリセットされる)が、その押下のOFFエッジは検知されず、リール回転状態が終了していない(リール回転状態が続いている)と判定される。このため、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件(リール停止警告演出の実行条件)を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行され得る。リール停止警告演出が実行された場合、全てのリールの回転が停止しているにも関わらず、リール停止警告演出が実行されるため、遊技者が違和感を抱く。
【0113】
本実施形態によれば、最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、当該押下(第3停止操作)のONエッジの検知に基づきリール回転状態が終了したと判定されるため、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。つまり、リール停止警告演出が実行されない。したがって、全てのリールの回転が停止しているにも関わらずリール停止警告演出が開始(実行)されることがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0114】
なお、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
【0115】
また、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下・開放され、その後、所定時間が経過する前に2番目のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
【0116】
本実施形態では、パワーセーブモードへの移行可否の判定に用いられる所定時間(第1所定時間)と、リール停止警告演出の実行可否の判定に用いられる所定時間(第2所定時間)とが、同じ60秒(1分)であるものとしたが、両者は同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
【0117】
本実施形態の遊技機は、
複数種類の図柄が配列された複数のリール(20a~20c)と、
前記複数のリールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させる操作に用いられるストップボタン(54a~54c)と、
遊技を開始させる操作に用いられるスタートレバー(53)と、
音出力手段(36)と、
表示手段(34)と、
演出に関する制御を行う制御手段(72)と、を備え、
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
【0118】
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第1所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず音量が低下するという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0119】
また、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第2所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず前記リールの回転の停止を促す演出が実行されるという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
【0120】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0121】
本実施形態において、図8に示すように、遊技制御手段104は、指示機能制御手段51を備えている。指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典付与手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、有利区間において特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知して所定の役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。打順ナビ演出の実行が決定されると、演出制御手段131が、打順ナビ演出を、液晶ディスプレイ34等を介して実行する。
【0122】
遊技区間制御手段80は、図9に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典付与手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(例えば3000回)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態では打順ナビ演出を実行できず、有利区間に設定されている場合に限り打順ナビ演出を実行できる。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である3000回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
【0123】
非有利区間において、特典付与手段82は、所定契機で、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、内部抽選の結果に応じて(所定の役(当選エリア)の当選に基づき)、有利区間移行抽選を行う。有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
【0124】
遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー53に対する遊技開始操作を契機として、主記憶手段108のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ109の記憶値に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ109への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ109の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ109の記憶値がしきい値(上限値)「3000」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が3000回に設定されており、有利区間において3000回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
【0125】
遊技区間制御手段80は、有利区間において、主記憶手段108のRAMに設けられた差枚数カウンタ110の記憶値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、10枚のメダルの払い出しがあった場合には「10」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタ110の記憶値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタ110への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタ110の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタ110の記憶値がしきい値(例えば「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタ110の記憶値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタ110の記憶値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタ110の記憶値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタ110の記憶値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
【0126】
有利区間表示器は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。なお、有利区間表示器は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初の打順ナビ演出を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
【0127】
演出状態制御手段81は、図9に示すように、非有利区間演出状態、通常演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態および特定演出状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0128】
非有利区間演出状態は、複数種類の演出状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間において、演出状態制御手段81は、演出状態を非有利区間演出状態に設定している。非有利区間演出状態においては、上述のように特典付与手段82が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に移行させる。
【0129】
通常演出状態は、有利区間が開始される際に基本的に移行する演出状態であり、有利区間の開始時については、通常演出状態に移行する確率が他の演出状態に移行する確率よりも高く設定されている。通常演出状態においては、特典付与手段82は、所定の契機で、チャンス演出状態への移行の可否を決定する抽選(CZ抽選)を行う。具体的には、通常演出状態において、特典付与手段82は、内部抽選の結果に応じて(所定の役(当選エリア)の当選に基づき)、CZ抽選を行う。CZ抽選の当選に基づきチャンス演出状態への移行が決定すると、演出状態制御手段81は、演出状態をチャンス演出状態へ移行させる。なお、通常演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がチャンス演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
【0130】
チャンス演出状態では、所定回数の遊技が行われるようになっている。チャンス演出状態では、特典付与手段82は、所定の契機で、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。具体的には、チャンス演出状態において、特典付与手段82は、内部抽選の結果に応じて(所定の役(当選エリア)の当選に基づき)、AT抽選を行う。チャンス演出状態は、AT演出状態への移行確率(指示演出に関する所定の特典の付与に対する期待度)が、非有利区間演出状態や通常演出状態よりも高くなっており、非有利区間演出状態や通常演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態となっている。なお、チャンス演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がAT演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
【0131】
チャンス演出状態において、AT抽選に当選すると、特典としてのAT演出状態へ移行する権利が付与され、特典付与手段82は、主記憶手段108のRAMに設けられたATセット数カウンタ111の記憶値にAT演出状態の1セットに相当する値「1」を設定する。なお、AT抽選の当選に基づき付与されるセット数は1セットに限らず2セット以上であってもよく、複数種類のセット数からAT抽選の当選時に選択される等であってもよい。
【0132】
演出状態制御手段81は、チャンス演出状態の終了時にATセット数カウンタ111の値が「1」以上である場合、演出状態をAT演出状態に移行させる。一方、ATセット数カウンタ111の値が「0」である場合、演出状態を非有利区間演出状態へ移行させる。このとき、遊技区間制御手段80は、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、チャンス演出状態の終了時に有利区間の終了条件が成立していない場合、演出状態を通常演出状態へ移行させ、有利区間が継続される(非有利区間へ移行させない)ことがあってもよい。
【0133】
演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、ATセット数カウンタ111の記憶値から「1」を減算する処理を行う。また、演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、主記憶手段108のRAMに設けられたナビ回数カウンタ112に、AT演出状態1セット分の打順ナビの回数に相当する所定値を設定する。なお、ここで設定される打順ナビの回数は複数種類の回数から選択されるものであってもよい。
【0134】
AT演出状態において、特典付与手段82は、内部抽選の結果に応じて(所定の役(当選エリア)の当選に基づき)、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定する(AT演出状態の継続期間を増加させるか否か決定する)抽選(上乗せ抽選)を行ってもよい。上乗せ抽選の結果、所定のセット数の増加が決定された場合、当該所定のセット数に相当する値がATセット数カウンタ111に加算される。なお、AT演出状態以外の演出状態において、所定の役(当選エリア)の当選に基づき、上乗せ抽選が実行されることがあってもよい。
【0135】
指示機能制御手段51は、AT演出状態において打順ベルが当選すると、正解打順を報知する打順ナビ演出の実行を決定する。打順ナビ演出の実行が決定されると、演出制御手段131は、正解打順を報知して所定の役の入賞を補助する打順ナビ演出を液晶ディスプレイ34およびスピーカ36等の演出装置に実行させる。打順ナビ演出が実行されると、正解打順が液晶ディスプレイ34に表示される。この正解打順に沿ってストップボタン54a~54cが押下されると、必ず所定の役が入賞して所定枚数のメダルを獲得することができる。なお、打順ナビ演出が実行されると、遊技情報表示部32の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
【0136】
指示機能制御手段51は、AT演出状態において打順ナビ演出が実行されるごとに、ナビ回数カウンタ112の記憶値から「1」を減算する処理を行う。そして、ナビ回数カウンタ112の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立したとし、演出状態制御手段81は、1セットのAT演出状態を終了させる。
【0137】
演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットの終了条件が成立すると、演出状態を特定演出状態に移行させる。特定演出状態では、打順ベルに当選しても正解打順を報知する打順ナビ演出が実行されないようになっている。よって、特定演出状態は、メダルの増加数に関する期待値がAT演出状態よりも低くなっている。なお、特定演出状態において、打順ナビ演出が実行されることがあってもよいが、打順ナビ演出の発生頻度はAT演出状態よりも低く設定されていることが好ましい。
【0138】
特定演出状態では、所定回数の遊技が行われるようになっている。また、特定演出状態では、特典付与手段82は、内部抽選の結果に応じて(所定の役(当選エリア)の当選に基づき)、AT抽選を行う。特定演出状態は、チャンス演出状態よりもAT抽選の結果、AT演出状態へ移行する権利が付与される確率が高くなっていてもよい。特定演出状態の終了時に、ATセット数カウンタ111の記憶値が「1」以上である場合、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させるとともに、ATセット数カウンタ111の記憶値から「1」を減算する。一方、特定演出状態の終了時に、ATセット数カウンタ111の記憶値が「0」である場合、演出状態を非有利区間演出状態へ移行させる。このとき、遊技区間制御手段80は、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、特定演出状態の終了時に有利区間の終了条件が成立していない場合、演出状態を通常演出状態へ移行させ、有利区間が継続される(非有利区間へ移行させない)ことがあってもよい。
【0139】
なお、非有利区間演出状態や通常演出状態からチャンス演出状態やAT演出状態へ直接移行することがあってもよい。換言すると、CZ抽選を通常演出状態以外の演出状態において行ってもよく、AT抽選をチャンス演出状態以外の演出状態において行ってもよい。
【0140】
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が非有利区間に移行する際に、指示機能に係る情報として主記憶手段108のRAMに記憶されている情報を初期化する指示機能情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ109の記憶値、差枚数カウンタ110の記憶値、指示機能に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、ATセット数カウンタ111の記憶値およびナビ回数カウンタ112の記憶値等を初期化する。すなわち、指示機能に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、主制御手段70の初期化手段(図示せず)が、設定値が変更された際に行う初期化処理を行うと、ここで示した指示演出に係る情報も初期化されるようになっている。
【0141】
メインエラー検出手段106は、各種センサの信号状態を監視し、エラー検出条件を満たしているかを判断して、エラー検出条件を満たしていることに基づき発生しているメインエラーを特定することによってメインエラーを検出する。
【0142】
メインエラー検出手段106は、各種センサの信号状態に基づいて、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラーおよび投入異常エラーを検出する。メインエラー検出手段106は、所定のメインエラーを検出すると、主記憶手段108に、対応するエラー検出フラグを設定する。逆流エラーは、メダルが流路において逆流していることに起因するメインエラーである。エンプティエラーは、ホッパーユニット16に貯蔵されているメダルがなくなったことに起因するメインエラーである。払出詰まりエラーは、ホッパーユニット16において払い出されるべきメダルが詰まって排出されていないことに起因するメインエラーである。払出異常エラーは、メダルの払い出しを行うべきではない状況でメダルの払い出しがあったことに起因するメインエラーである。オーバーエラーは、キャッシュボックス18に貯蔵されている余剰メダルが所定量を超えたことに起因するメインエラーである。滞留エラーは、メダルセレクタ67内でメダルが詰まっていることに起因するメインエラーである。投入異常エラーは、メダル投入口42付近でメダルが詰まっていること等に起因するメインエラーである。
【0143】
メインエラー管理手段107は、主記憶手段108にいずれかのエラー検出フラグが設定されると、エラーウェイト処理を行って所定の解除操作が行われるのを待機し、このエラーウェイト処理において、メインエラー検出手段106によって検出されたメインエラーを、第1メイン表示器90を介して報知するとともに、所定の解除操作(設定変更ボタン26の押下)が行われたことに基づいてエラー検出フラグ等をクリアする解除処理(エラー解除処理)を行う。
【0144】
メインエラー管理手段107は、エラーウェイト処理において、設定変更ボタン26が押下されたことを解除操作として受け付けて、主記憶手段108に記憶されている検出フラグやタイマの計時情報等のエラー関連情報をクリア(消去)する解除処理(エラー解除処理)を行う。
【0145】
本実施形態では、主制御手段70から副制御手段72への情報の送信はシリアル通信によってコマンドを送信することによって実現されているが、主制御手段70から副制御手段72へ送信されるコマンドに含まれる情報としては、設定値、遊技状態、メダルの投入数や払出数、内部抽選の結果、各種スイッチ等の信号状態、リールの停止制御の内容、入賞判定の結果および発生したメインエラーに関するもの等がある。
【0146】
本実施形態では、メインエラーが発生した場合に、主制御手段70が、エラー検出フラグが設定されているエラー種別に対応するエラー発生コマンドや、設定変更ボタン26に対する解除操作が行われたことを示すエラー解除コマンドを、副制御手段72に送信する。また、主制御手段70は、ドア開閉スイッチ74の信号状態が変化した場合には、信号状態がOFF状態(前扉12が閉まっていることを示す信号状態)からON状態(前扉12が開いていることを示す信号状態)へ変化したことに基づいてドア開コマンドを副制御手段72に送信し、信号状態がON状態からOFF状態へ変化したことに基づいてドア閉コマンドを送信する。本実施形態では、前扉12が開放されていても、それ自体はメインエラーとしては取り扱わずに他のメインエラーが発生していなければメインループ処理は続行可能となっている。
【0147】
サブエラー検出手段202は、主制御手段70から送信されたドア開コマンドに基づきエラー検出条件を満たしているか否かを判断し、エラー検出条件を満たしていることに基づき発生しているサブエラーを特定することによってサブエラーを検出する。
【0148】
サブエラー検出手段202は、サブエラーとしてドア開放エラーを検出する。サブエラー検出手段202は、サブエラーを検出すると、副記憶手段132に、対応するエラー検出フラグを設定する。ドア開放エラーは、前扉12が開いていることに起因するサブエラーである。具体的には、前扉12が開くことによって作動するドア開閉スイッチ74の信号状態がオン状態で一定期間以上継続した場合に検出されるエラーである。ドア開放エラーは、前扉12が閉まると(ドア閉コマンドが送られると)解除されるようになっている。
なお、ドア開放エラーはメインエラーでもよい。換言すると、メインエラー検出手段106において検出されるエラーであってもよい。
【0149】
また、サブエラー検出手段202は、主制御手段70から送信されたエラー発生コマンドを受信すると、エラー発生コマンドによって特定されるメインエラーに対応するエラー検出フラグを副記憶手段132に設定する。
【0150】
サブエラー管理手段203は、副記憶手段132にエラー検出フラグが設定されると、報知対象のエラーを決定してエラーに対応した演出態様で演出装置の制御を行うエラー報知処理を行う。また、サブエラー管理手段203は、エラー報知処理において報知対象のエラーを報知するとともに、主制御手段70からエラー解除コマンドやドア閉コマンドが送信されるのを待機し、エラーの復帰条件が成立したことに基づき副記憶手段132に設定されているエラー検出フラグ等をクリアして演出装置の状態を元に戻すエラー復帰処理(エラー解除処理)を行う。換言すると、サブエラー管理手段203は、設定変更ボタン26の押下操作やドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを反時計回りに回転させる(捻る)操作等に基づき、エラー復帰処理を行う。
なお、本実施形態では、副制御手段72から主制御手段70へは何らの情報も送信されないようになっており、サブエラーの発生が遊技制御手段104でのメインループ処理の進行に影響を与えることはなく、メインエラーが発生していなければサブエラーが発生している状況でも遊技制御手段104がメインループ処理を続行可能となっている。
【0151】
サブエラー管理手段203は、副記憶手段132にサブエラーに対応するエラー検出フラグが設定されている場合、エラー検出フラグの種類に対応したエラーコードをサブ表示器93に表示させる。
【0152】
精算ボタン52(図1)は、遊技機に電子的に貯留されたメダルや、ベットされている(賭数に設定されている)が遊技に使用されていないメダルを精算し、メダル払出口60を介してメダル受け皿62に排出する(払い出す、戻す)ために設けられている。「精算」とは、遊技に使用するメダルを遊技者に返却することを意味する。精算ボタン52は、押下操作可能に形成されており、精算ボタン52が操作(押下)されると、精算処理が実行される。精算処理では、貯留(クレジット)またはベットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが精算される。換言すると、精算ボタン52の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合、精算ボタン52の操作に基づく精算のパターンとしては、例えば次の2つのパターンがある。第1パターンは、1回の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して精算されるパターンである。第2パターンは、1回目の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルのみが精算され、ベットに設定されているメダルの精算後における2回目の精算ボタン52の操作によってクレジットに設定されているメダルが精算されるパターンである。本実施形態では、精算ボタン52の操作に基づく精算のパターンは、第1パターンとなっている。
なお、精算処理は、遊技機に設けられている所定の操作手段の操作(押下操作)に基づいて実行される遊技価値に関する処理であればよく、例えば、遊技価値を貸し出す装置としての専用ユニット(遊技価値貸出装置)に遊技価値を転送する処理(すなわち遊技機から遊技機外の装置に電子的情報としての遊技価値を転送する処理)であってもよい。
【0153】
主制御手段70は、精算ボタン52が押下されたことを検出すると、精算開始コマンドを副制御手段72に送信するとともに、精算処理を開始(実行)する。副制御手段72(演出制御手段131)は、当該精算開始コマンドを受信すると、精算処理(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出し)の実行を報知する演出を演出装置に実行させる。
演出制御手段131は、精算処理の実行を報知する演出として、精算中である旨を報知する表示を液晶ディスプレイ34に表示させ、精算中である旨を報知する(精算中に応じた)演出音をスピーカ36から出力させ、精算中に応じた態様(演出光)で照明装置38を点灯させる。
【0154】
主制御手段70は、精算処理が終了すると、精算終了コマンドを副制御手段72に送信する。副制御手段72(演出制御手段131)は、当該精算終了コマンドを受信すると、精算処理の実行を報知する演出を停止させ、精算処理の完了(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しの完了)を報知する演出を演出装置に実行させる。演出制御手段131は、精算処理の完了を報知する演出として、精算処理の完了を報知する演出音(例えば「精算しました」)を、スピーカ36から出力させる。
【0155】
図10に示すように、副制御手段72は、演出制御手段(演出制御部)131と、副記憶手段(記憶部)132と、演出音制御手段(演出音制御部)76と、アンプ112と、を備えている。
【0156】
演出音制御部76は、アンプ112を介してスピーカ36を制御可能となっている。アンプ112は、演出音制御部76から出力された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する機能と増幅器としての機能とを有し、演出音制御部76から出力された信号に基づいてスピーカ36を駆動することが可能となっている。アンプ112と演出音制御部76とは、互いに異なる部品(広義には集積回路などの電子部品、狭義には集積回路に設けられたチップ部品)で構成されている。演出制御部131および演出音制御部76は、副制御基板72のメインIC(演出制御用IC)によって構成されている。一方、アンプ112は、メインICとは別体のアンプIC(メインICとは異なるIC)となっている。
【0157】
図10に示すように、演出音制御部76は、デコーダ部150と、音量制御部151と、を備えている。演出音制御部76は、複数(例えば、トラック1~トラック40の合計40個)のトラックを有している。トラックは、記憶部132の演出音記憶部(ROM)160に記憶された各演出音(フレーズデータ)の再生の実行単位である。演出音制御部76は、各トラックで再生される演出音(各トラックの出力)を出力するようになっている。なお、演出音記憶部160には、例えば、一連の背景音楽(BGM)や、予告音、効果音、キャラクタのセリフ音等の演出音が記憶されている。
【0158】
本実施形態では、演出音制御部76(音量制御部151)での音量の設定値を「0」~「255」の256段階とし、音量「0」が無音、音量「255」が最大音量として説明するが、各設定値や段階数は、これに限定されるものではない。
【0159】
デコーダ部150は、トラック毎に独立してデコード処理をすることが可能となっている。これにより、演出音制御部76は、最大で40個の演出音(演出音記憶部160から読み出した演出音)を同時に再生することが可能となっている。デコーダ部150でデコード処理された各トラックの演出音は、音量制御部151に入力される。
【0160】
音量制御部151は、トラック毎に音量(ボリューム)を調整することが可能となっている。すなわち、例えば、トラック1においてBGMが再生され、トラック2においてキャラクタのセリフ音が再生される場合に、トラック1で再生されるBGMの音量を「100」とし、トラック2で再生されるキャラクタのセリフ音の音量を「150」とするなど、トラック毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。
【0161】
各トラックでの再生音(演出音)は音量制御部151の設定(制御)に応じた音量で出力され、アンプ112に入力される。
【0162】
アンプ112は、演出音制御部76から送られる演出音データ(信号)に基づいて、スピーカ36を駆動し、スピーカ36から演出音を出力させる。アンプ112は、トラック毎にスピーカ36から出力させる演出音の音量(ボリューム)を調整(変更)可能となっている。本実施形態では、アンプ112での音量の設定値を「0%」~「100%」とし、音量「0%」が無音、音量「100%」が最大音量として説明するが、設定値はこれに限定されるものではない。
【0163】
本実施形態の遊技機において実行される演出には、実行に基づきBGM(背景音楽、楽曲)がスピーカ36から出力される演出(第1演出および第2演出)がある。以下、第1演出および第2演出がAT演出状態において実行される場合の制御について説明するが、第1演出および第2演出はAT演出状態に限らず、他の状態(遊技状況)において実行されるものであってもよい。他の状態としては、所定の演出状態(特定のステージ)や、所定の遊技状態などがある。
【0164】
(第1演出)
本実施形態では、AT演出状態に滞在している間に実行され得るとして、第1演出(AT中演出)がある。演出音制御部76は、第1演出の実行に基づきBGM(背景音楽、楽曲)をスピーカ36から出力させる。なお、当該BGMは複数種類用意されていて、AT演出状態の開始時などに遊技者が選択可能となっていてもよい。本実施形態では、第1演出の実行に基づくBGMの出力は、少なくとも、AT演出状態における所定の遊技(最終遊技を除く)の第3停止操作後、次遊技が開始されるまでの間(リールが停止している期間)に実行されるようになっている。
なお、AT演出状態における所定の遊技(最終遊技を除く)の第3停止操作後、次遊技が開始されるまでの間(リールが停止している期間)に実行される演出を第1演出としてもよい。
【0165】
本実施形態では、第1演出の実行に基づき少なくともBGMが出力されるが、演出制御部131は、第1演出の実行に基づきAT演出状態に滞在していることを報知する表示(AT中表示)を、液晶ディスプレイ34に表示させてもよい。
【0166】
本実施形態では、AT演出状態において、第1演出の実行に基づくBGMが出力されている状態で、所定の条件(第1所定条件)が成立すると、第1演出の実行に基づくBGMの出力が抑制状態(抑制モード)になる。抑制状態では、当該BGMが現在設定されている音量よりも小さい音量で(小さい音量が設定されて)出力される、あるいは当該BGMが出力されない(無音、消音)。「当該BGMが出力されない(無音、消音)」とは、デコード部150において当該BGMに係るサウンドデータ(音データ)が再生されているが、音量が「0」に設定されていることによりBGMが出力されないものであってもよく、デコード部150において当該BGMに係るサウンドデータが再生されていないことによりBGMが出力されないものであってもよい。
【0167】
ここで、電源投入後(電断復帰後)に(通常時に)おける、BGMの音量の設定値として、予め設定されている音量を基準音量(初期値、デフォルト値)とする。基準音量は、例えば最大音量となっている。前述の「現在設定されている音量よりも小さい音量で」とは、例えば、音量制御部151の場合、通常時(基準音量)が「255」であれば「255」よりも小さい音量が設定され、アンプ112の場合、通常時(基準音量)が「100%」であれば「100%」よりも小さい音量が設定される。なお、抑制状態とする場合に、音量を段階的に(徐々に)下げてもよい。この場合、現在の(通常時の)設定値よりも音量が下がり始めた時点(音量が「1」でも下がった時点)で、当該抑制状態が開始されているものとする。
【0168】
前述のとおり、本実施形態では、音量制御部151(メインIC)とアンプ112(アンプIC)とにおいてそれぞれ、演出音の音量の調整が可能となっている。本実施形態では、実行する演出(演出の種類)に応じて、異なるICで演出音の音量が制御され得るようになっている。換言すると、演出によって、演出音の音量の制御が音量制御部151において行われるものと、アンプ112において行われるものと、がある。
【0169】
本実施形態では、第1演出の実行に基づくBGMの音量の制御は、アンプ112において行われる。アンプ112は、第1演出の実行に基づくBGMの出力中に、後述する所定の条件(第1所定条件)が成立した場合、当該BGMの出力を抑制状態とする。
【0170】
所定の条件(第1所定条件)が成立するとは、AT演出状態において、所定の遊技(最終遊技を除く)の第3停止操作後に、遊技機に対する操作が入力されることなく一定時間(例えば1分)が経過する、というものである。「第3停止操作後」とは、最後のストップボタンの押下の開放が検知された後、と言い換えることができる。図11(a)に示すように、AT演出状態において、所定の遊技の第3停止操作後、一定時間(1分)にわたって遊技が行われなかった場合、第1所定条件が成立したと判定され、第1演出の実行に基づくBGMの出力が抑制状態(小音量)となる。当該抑制状態とすることにより、遊技機の消費電力を抑制できる。
【0171】
本実施形態では、少なくとも、第3停止操作後に遊技機に対する操作が入力されることなく一定時間が経過した場合に第1所定条件が成立したものとし、当該BGMの出力が抑制状態となるが、この他にも第1所定条件が成立したものとし、当該BGMの出力が抑制状態となる場合があってもよい。例えば、第1停止操作後あるいは第2停止操作後に遊技機に対する操作が入力されることなく一定時間が経過した場合や、スタートレバー53の押下後に遊技機に対する操作が入力されることなく一定時間が経過した場合、メダル投入後に(メダル投入状態となってから)遊技機に対する操作が入力されることなく一定時間が経過した場合などに第1所定条件が成立したものとし、当該BGMの出力が抑制状態となってもよい。
【0172】
本実施形態では、第1演出の実行に基づくBGMの出力中に第1所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に所定のエラー(例えばドア開放エラー)が検知された場合、前記所定のエラーが解除されると(エラー解除処理が実行されると)、当該BGMは、抑制状態となる前に設定されていた音量で出力される。なお、エラーとしては、ドア開放エラーの他に、前述のエラー(メインエラー)がある。
本実施形態では、当該BGMの出力を抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーを解除するための操作(例えばドアキーを回転させる操作)が行われ、エラー解除処理(エラー復帰処理)が実行されると、アンプ112は、抑制状態を終了させ、抑制状態とする前に設定されていた音量で当該BGMを出力させる(図11(a))。「抑制状態とする前に設定されていた音量」とは、抑制状態とする直前に設定されていた音量(例えば前述の基準音量)であり、第1所定条件の成立時に設定されていた音量と言うこともできる。なお、アンプ112は、第1所定条件が成立した場合、その時点における音量を記憶させるとともに、BGMの出力を抑制状態とし、前記所定のエラーが解除されると、当該記憶させた音量でBGMを出力させてもよい。
【0173】
また、本実施形態では、第1演出の実行に基づくBGMの出力中に第1所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に精算ボタン52の押下に基づく精算処理が実行された場合(精算処理が終了した場合)、当該BGMは、抑制状態となる前に設定されていた音量で出力される。本実施形態では、当該BGMの出力を抑制状態としている間に精算処理が実行された場合、アンプ112は、抑制状態を終了させ、抑制状態とする前に設定されていた音量で当該BGMを出力させる。
【0174】
なお、本実施形態において、第1演出の実行に基づくBGMの出力中(抑制状態を含む)に、所定のエラー(例えばドア開放エラー)が検知された場合、当該検知に基づきアンプ112が当該BGMの音量を「0%」とし、当該エラーの解除に基づきアンプ112が当該BGMの音量を「100%」(最大音量)としてもよい。
【0175】
(第2演出)
本実施形態では、1セットのAT演出状態の最後の遊技(最終遊技)に実行される演出として、第2演出がある。第2演出は、状態の切り替わり時に実行される演出(状態移行演出)であり、遊技者に対し、状態が切り替わる(移行する)ことを示唆(報知)する演出となっている。なお、1セットのAT演出状態の終了に基づき他の演出状態へ移行することなく次セットのAT演出状態が開始される場合であっても、セットが切り替わることから、状態が切り替わると言える。また、当該最終遊技の第3停止操作後、状態が切り替わるまで(次遊技が開始されるまで)の間に実行される演出を第2演出としてもよい。また、当該最終遊技の第3停止操作まで、前述の第1演出が実行されることがあってもよい。
【0176】
演出音制御部76は、第2演出の実行に基づきBGMをスピーカ36から出力させる。なお、第1演出の実行に基づくBGMと第2演出の実行に基づくBGMとは同じBGMであってもよく、当該最終遊技の直前に第1演出の実行に基づくBGMが出力されている場合に、当該BGMが第2演出の実行に基づくBGMとして、続けて(途切れることなく)出力されてもよい。また、第1演出の実行に基づくBGMと第2演出の実行に基づくBGMとが異なるBGMとなっていて、当該最終遊技の開始操作(スタートレバー53の押下)を契機として、第1演出の実行に基づくBGMが出力されていた場合には当該BGMの出力が停止され、第2演出の実行に基づくBGMが出力開始されるようになっていてもよい。
【0177】
また、演出制御部131は、第2演出の実行に基づき、当該最終遊技の第3停止操作を契機として、状態の切り替えを示唆する表示(状態移行表示)を、液晶ディスプレイ34に表示させる。本実施形態では、状態移行表示は「NEXT STAGE」という文字(文字列)を含む表示となっている。
【0178】
本実施形態では、1セットのAT演出状態の最終遊技において、第2演出の実行に基づくBGMが出力されている状態で、所定の条件(第2所定条件)が成立すると、第2演出の実行に基づくBGMの出力が抑制状態となる。本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの音量の制御は、音量制御部151(メインIC)において行われる。音量制御部151は、第2演出の実行に基づくBGMの出力中に、第2所定条件が成立した場合、当該BGMの出力を抑制状態とする。
【0179】
第2所定条件が成立するとは、1セットのAT演出状態の最終遊技における第3停止操作が検知される、というものである。なお、第3停止操作が検知されるとは、最後のストップボタンの押下の検知であってもよく、最後のストップボタンの押下の開放の検知であってもよい。図11(b)に示すように、当該最終遊技の第3停止操作に基づき第2所定条件が成立したと判定され、第2演出の実行に基づくBGMの出力が抑制状態となる。本実施形態では、当該抑制状態は、消音(音量「0」)すなわち当該BGMが出力されない状態となっている。当該抑制状態とすることで、遊技者に対し、状態が切り替わること(1セットのAT演出状態が終了すること)を報知できる。なお、当該最終遊技の第3停止操作後、状態が切り替わるまでの間に実行される演出を第2演出とする場合、第2演出の開始時に第2所定条件が成立し、抑制状態となる。また、第2所定条件の成立は当該最終遊技における第3停止操作の検知に限るものではなく、当該最終遊技における第3停止操作が検知された後、所定の期間が経過した場合に(所定時間の経過時に)、第2所定条件が成立するとしてもよい。
【0180】
本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力中に第2所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に、所定のエラー(例えばドア開放エラー)が検知された場合、前記所定のエラーが解除されても(エラー解除処理が実行されても)、抑制状態は終了しない(解除されない)。換言すると、当該BGMの出力が抑制状態のまま維持される。本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力を抑制状態としている間に、所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーを解除するための操作(例えばドアキーを回転させる操作)が行われ、エラー解除処理(エラー復帰処理)が実行されても、音量制御部151は、抑制状態を維持し、当該BGMの出力(音量)を変化させない(図11(b))。
【0181】
また、本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力中に第2所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に精算ボタン52の押下に基づく精算処理が実行された場合(精算処理が終了した場合)、抑制状態は終了しない(解除されない)。換言すると、当該BGMの出力が抑制状態のまま維持される。本実施形態では、当該BGMの出力を抑制状態としている間に精算処理が実行された場合、音量制御部151は、抑制状態を維持し、当該BGMの出力(音量)を変化させない。
【0182】
なお、本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力中(抑制状態を含む)に、所定のエラー(例えばドア開放エラー)が検知され、かつ当該エラーの解除処理が実行された場合であっても、音量制御部151は、抑制状態を維持し、当該BGMの出力(音量)を変化させない。また、本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力中(抑制状態を含む)に、精算ボタン52が押下され、当該押下に基づく精算処理が終了した場合であっても、音量制御部151は、抑制状態を維持し、当該BGMの出力(音量)を変化させない。
【0183】
本実施形態では、第2演出の実行に基づくBGMの出力は、第2所定条件の成立に基づき抑制状態となり、当該抑制状態は、状態が切り替わるまでの間、維持(継続)されるようになっている。
【0184】
また、第2演出の実行に基づき表示される前述の状態移行表示はムービーとなっていて、1セットのAT演出状態の最終遊技の第3停止操作を契機として当該ムービーの再生が開始され、液晶ディスプレイ34において、「NEXT STAGE」という文字を含む表示が、所定方向(例えばに左から右)に向かって移動して現れ、所定の位置(略中央部)で停止するようになっている。この状態移行表示は、状態が切り替わるまでの間、表示が継続されるようになっている。
【0185】
この状態移行表示が表示されている間(BGMは抑制状態となっている)にエラーが発生した場合、当該エラーが解除されてもBGMの出力は変化しないが、状態移行表示に係るムービーは、当該エラー解除後に、最初(頭)から再生されてもよく、続き(当該処理によって再生が中断された時点)から再生されてもよい。なお、状態移行表示が表示されている間に精算処理が実行された場合も同様である。
【0186】
本実施形態では、音量制御部151(メインIC)によって実行される第2演出に係る抑制状態は、エラーの解除処理(精算処理)が実行されても終了しないようになっている。一方、アンプ112(アンプIC)によって実行される第1演出に係る抑制状態は、エラーの解除処理(精算処理)が実行されると終了するようになっている。
【0187】
第2演出(状態移行演出)の実行に基づくBGMの出力を抑制状態とするのは、遊技者に対して状態の切り替わりを報知するという演出の仕様に依るものである。よって、当該抑制状態を音量制御部151(メインIC)が制御するようにし、エラーが解除されても(精算処理が実行されても)当該抑制状態が終了しないように構成できる(当該抑制状態を維持させることができる)。一方、第1演出の実行に基づくBGMの出力を抑制状態とするのは、一時的な消費電力の抑制等を実現するためである。よって、当該抑制状態をアンプ112(アンプIC)が制御するようにし、エラーが解除されると(精算処理が実行されると)、当該抑制状態が終了するように構成できる。
【0188】
本実施形態の遊技機は、
遊技の進行を制御する主制御手段70と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段131と、
音を出力可能な音出力手段(スピーカ36)と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されると、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、当該所定のエラーが解除されても、前記抑制状態を維持する。
【0189】
前記第1演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーが解除されると、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMが出力される。一方、前記第2演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーが解除されても、抑制状態が維持される。このように、前記所定のエラーが解除された場合に、BGMが出力されるようにするか、BGMの出力の抑制状態が維持されるようにするか、を演出に応じて設定できる。これにより、より状況に合わせたBGM(音)の出力の制御が可能となる。換言すると、BGMの出力の多様な制御を実現することができる。
【0190】
遊技の進行を制御する主制御手段70と、
前記主制御手段から取得した情報に基づき演出の実行を制御する演出制御手段131と、
音を出力可能な音出力手段(スピーカ36)と、
遊技価値に関する処理を実行する際に操作される操作手段(精算ボタン52)と、を備え、
前記演出には、BGMの出力が抑制状態となり得る第1演出と、第2演出と、が含まれ、
前記演出制御手段は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態を維持する。
前記第1演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合、前記抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMが出力される。一方、前記第2演出は、BGMの出力が抑制状態となっている間に前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行されても、抑制状態が維持される。このように、前記操作手段の操作に基づく前記処理が実行された場合に、BGMが出力されるようにするか、BGMの出力の抑制状態が維持されるようにするか、を演出に応じて設定できる。これにより、より状況に合わせたBGM(音)の出力の制御が可能となる。換言すると、BGMの出力の多様な制御を実現することができる。
【0191】
次に、BGMの出力が抑制状態となっている間に、遊技機において電断が発生し、その電断から復帰した場合について説明する。
本実施形態では、第1演出の実行に基づくBGMの出力中に第1所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると(電断復帰処理が行われると)、当該BGMに関する音量の設定値が予め設定されている値(基準音量)となる。なお、当該BGMが基準音量で出力されてもよい。
【0192】
また、第2演出の実行に基づくBGMの出力中に第2所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると(電断復帰処理が行われると)、当該BGMに関する音量の設定値が予め設定されている値(基準音量)となる。なお、当該BGMが基準音量で出力されてもよい。
【0193】
このように第1演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、第2演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、電断から復帰した場合に、音量制御部151(メインIC)およびアンプ112(アンプIC)の音量が基準音量(初期値)となる。このため、電源投入後に、基準音量となるように調整する必要がなく、作業の効率を向上させることができる。また、いずれの抑制状態であっても、電断復帰時に基準音量を設定するという共通の制御とすることで、処理を簡易なものとし、プログラム容量を削減できる。
【0194】
なお、第2演出の実行に基づくBGMの出力中に第2所定条件が成立し、当該BGMの出力が抑制状態となっている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰しても、当該抑制状態が終了せず、BGMの出力が変化しない(消音が維持される)ようになっていてもよい。
【0195】
また、第2演出の実行に基づく状態移行表示の表示が開始されてから終了するまでの間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、状態移行表示に係るムービーは、最初(頭)から再生されるようになっていてもよく、電断によって再生が中断された時点から再生されるようになっていてもよい。
【0196】
本実施形態において、
演出制御手段131は、
前記第1演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とし、
前記第2演出に係る前記抑制状態としている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値を予め設定されている値とする
【0197】
第1演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、第2演出の実行に基づくBGMの出力の抑制状態であっても、抑制状態となっている間に電断が発生した場合、当該電断から復帰すると、BGMに関する音量の設定値が予め設定されている値となる。このため、電源投入後に、前記予め設定されている値となるように調整する必要がなく、作業の効率を向上させることができる。
【0198】
(パチンコ遊技機への適用)
第2の実施の形態では、スロットマシンに本発明を適用する例について示したが、遊技球(遊技価値)が移動する遊技領域や、遊技球を遊技領域に発射する発射装置等を備えた、パチンコ遊技機に本発明を適用してもよい。パチンコ遊技機では、遊技領域に設けられた始動口を備え、始動口への遊技球の進入が検出されると、特別図柄抽選が行われる。また、特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、遊技状態が特別遊技状態に移行し、特別遊技状態において複数回の特別遊技が実行される。各特別遊技では遊技領域に設けられている大入賞口が開状態に動作し、大入賞口への遊技球の進入に基づき遊技球が払い出されるようになっている。
【0199】
第2の実施の形態に係る構成をパチンコ遊技機に適用する場合、パチンコ遊技機が、演出制御部131(演出音制御部76)、アンプ112、スピーカ36等に相当する構成を備え、所定の状態において第1演出と第2演出とが実行され、上述のBGMの出力に係る制御等が行われるようにしてもよい。演出制御部は、第1演出に係る抑制状態としている間に所定のエラー(例えば扉開放エラーや満タンエラー等)が検知された場合、前記所定のエラーが解除されると、抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、第2演出に係る抑制状態としている間に所定のエラーが検知された場合、前記所定のエラーが解除されても、抑制状態を維持する、としてもよい。
【0200】
また、演出制御部は、第1演出に係る抑制状態としている間に遊技機の備える操作手段の操作に基づく処理(遊技機から専用ユニットに遊技価値が送信される処理)が実行されると、抑制状態とする前に設定されていた音量でBGMを出力させ、第2演出に係る抑制状態としている間に当該処理が実行されても、抑制状態を維持する、としてもよい。
【0201】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。図12は、本実施形態に係る遊技機の正面図である。図13は、本実施形態に係る遊技機の側面図である。図14は、図13のC1部の拡大図である。図15は、図13のC2部の拡大図である。図16は、本実施形態に係る遊技機の背面斜視図である。
【0202】
スロットマシン1の外装の損傷防止構成について説明をする。スロットマシン1の外装は、前扉FD及び筐体BXによって構成されており、前扉FDが閉じた状態であっても、遊技機の輸送時や、ホールへの設置時などに障害物と接触し、損傷し得る。特に、作業者は筐体BXの側面に形成された把持部400(図13参照)を掴んで抱え込むようにスロットマシン1を運搬する関係上、前扉FD及び筐体BXの角部については、障害物と接触する場合、その角部が接触する可能性が最も高く、また、応力集中し易い形状のため、傷が付き易いという問題があった。
【0203】
図12に示すように、前扉FDの外形部(外周部)は、上面(天面)FDu、下面(底面)FDb、及び左右の側面FDl,FDrによって形成されており、また、筐体BXの外形部(外周部)も同様に上面(天面)BXu、下面(底面)BXb、左右の側面BXl,BXr及び背面BXh(図16参照)によって形成されている。
そして、本実施形態に係るスロットマシン1では、上記前扉FDの外形部は、筐体BXの外形部よりも小さく形成されており、筐体BXの外形部がスロットマシン1における最大外形となっている。即ち、本実施の形態では、前扉FDの上面FDu、下面FDb、及び左右の側面FDl,FDrは、それぞれ、筐体BXの上面BXu、下面BXb、及び左右の側面BXl,BXrよりも正面視で内側に位置するように形成されている。
【0204】
また、別の言い方をすれば、筐体BXの上面BXuの左右方向(遊技機の幅方向)の寸法は、前扉FDの上面FDuの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの上面FDuが筐体BXの上面BXuの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法は、前扉FDの下面FDbの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの下面FDbが筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向(遊技機の高さ方向)の寸法は、前扉FDの左右の側面FDl,FDrの上下方向の寸法よりも大きく、前扉FDの左右の側面FDl,FDrが筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。
【0205】
従って、前扉FDの四方の角部は、いずれも、筐体BXの対応する角部から外方に突出しないように構成されている。例えば、図14は、図13におけるC1部(前扉FDと筐体BXとの合わせ面S1における右上角部)の拡大図であり、(a)はC1部の側面拡大図、(b)はC1部の平面拡大図、(c)はC1部の正面拡大図である。
図14(a)及び(c)に示す通り、C1部においても前扉FDの上面FDuは、筐体BXの上面BXuよりも内側(下方)に位置している。このため、筐体BXの上面(筐体天面)BXuの前辺601は、前扉FDの上面(前扉天面)FDuの後辺701よりも上方に位置している。また、図14(b)及び(c)に示すように、前扉FDの右側面FDrは、筐体BXの右側面BXrよりも内側(左方)に位置している。このため、筐体BXの右側面(筐体右側面)BXrの前辺602は、前扉FDの右側面(前扉右側面)FDrの後辺702よりも右方に位置している。
【0206】
そして、上記前扉FDの上面FDuと前扉FDの右側面FDrとが交わる辺700は、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとが交わる辺600よりも内側に位置している。換言すると、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとで形成された筐体BXの右上辺600は、上面FDuと右側面FDrとで形成された前扉FDの右上辺700よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、上記2平面からなる辺を角部とした場合、前扉FDの角部700は、筐体BXの角部600から外方へと突出しないように構成されている。
【0207】
また、3辺の交わる頂点を角部として比べてみても、当然に、前扉FDの右上辺700の後方側の頂部(右上辺700と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)701と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)702と、が交わる頂部、以下、単に右後頂点もしくは前扉FDの右上後頂点ともいう)710は、筐体BXの右上辺600の前方側の頂部(右上辺600と、上面BXuの前辺(上面BXuの前方側の左右の辺)601と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)602と、が交わる頂部、以下、単に右前頂点もしくは筐体BXの右上前頂点ともいう)610よりも内側に位置している。換言すると、右前頂点610は、右後頂点710よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、前扉FDの角部710は、筐体BXの角部610から外方へと突出しないように構成されている。
【0208】
上述のような構成を取った場合、筐体BXの右上辺600がスロットマシン1の最大外形を構成する事となり、障害物と接触する可能性が高い部分となる。このため、本実施形態では、上記右上辺600を面取り形状としている。より具体的には、本実施の形態においては、右上辺600を形成する筐体BXの上面BXuと右側面BXrとの間の角度が鈍角となるように構成している。筐体BXの右上辺600は、このように面取りされた状態において、前扉FDの右後頂点710よりも外方(右上方)に位置している。また、筐体BXの右上前頂点610についても面取り(角落ち)されている。
【0209】
このように構成されているため、障害物に接触する場合、前扉FDの角部700(710)よりも先に筐体BXの右上辺(角部)600(610)が接触する事となり、例えば、種々の演出装置300が配置され、かつ、遊技者からも目が付きやすい前扉FDの外装に傷が付くことを防止することができる。加えて、筐体BXの角部600(610)は、面取りされているため、例え、筐体BXの角部600(610)が障害物と接触したとしても、直角の角部と比較して応力集中がし辛くなっており、傷が付きにくい。
【0210】
なお、上記筐体BXの右上辺600は、面取りされた面取り面によって形成されているため、外形形状的としては、筐体BXの右上面とも言うことができる。この右上面600は、詳しくは、図14に示すように、上方側の上辺600uと下辺600lを備えている。本実施の形態において、この上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710)よりも上方かつ左方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置している。
【0211】
また、本実施の形態では、筐体BXの上面BXuの前辺601についても面取りされており、右上辺600と同様に面取り面を形成している。この面取り面601は、図14(c)に示すように、上辺601uと下辺601lを備えており、鉛直方向において、下辺601lが、前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)よりも上方に位置するように形成されている。即ち、筐体上面BXuから前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)までの鉛直方向の寸法が、筐体上面BXuから面取り面601の下辺(前辺)601lよりも大きくなっている。そして、これにより、面取り面に起因して前扉FDと筐体BXとの間に余計な隙間が発生することが防止されている。面取り面(右上面600や面取り面601)について、図14(a)に示す寸法M1および寸法M2(面取りの寸法)は、1mm以上~3mm以下となるようにしている。寸法M1は上下方向寸法、寸法M2は前後方向寸法である。
【0212】
本実施の形態では、スロットマシン1が並ぶ幅方向(左右方向)に比べて寸法制限の緩い上下方向への突出量を大きくしている。即ち、前扉FDの上面FDuから筐体BXの上面BXuが突出する突出量を、前扉FDの右側面FDrから筐体BXの右側面BXrが突出する突出量よりも大きくしている。そして、その結果として、上述した位置関係となったが、筐体BXの右上面600が前扉FDの角部700(710)よりも外方に位置する位置関係を保持していれば、上辺600u及び下辺600lと前扉FDの角部700(710)との位置関係は、これに限られない。例えば、上辺600uは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも下方かつ右方側に位置するようにしても良い。
【0213】
なお、本実施形態では、前扉FDの角部700についても面取りされている。また、前扉FDの右上辺700(上面FDu)は、例えば、前方側から後方側に向かって下り傾斜するような抜き勾配を有していても良い。更に、右上辺700は、前扉FDの内、演出装置300等の前方側部分を構成する部分と、合わせ面S1を形成する後方側部分とによって形成されていても良く、上記傾斜は、右後頂点710を形成する後方側のみに形成されていても良い。また、本実施の形態では、前扉FDの右上辺700の全体が筐体BXの右上辺600から飛び出さないように構成されているが、少なくとも前扉FDの右後頂点710が筐体BXの右上辺600よりも内側に位置していれば良い。
【0214】
前扉FD(前面上扉UD及び前面下扉DD)は、それぞれの左方側に設けられたヒンジHNによって筐体BXに開閉自在に取り付けられており、筐体BXに対して右方側が開閉可能となっている。スロットマシン1の前扉FDは、ヒンジHNの公差や劣化等により、多少のがたつきを有している。また、筐体BXに対して前扉FDが閉じられた状態であっても筐体BXと前扉FDとの間にはクリアランスがある。このため、前扉FDが閉状態(閉鎖状態)にあっても、前扉FDは、所定方向(上下左右前後方向)にがたつきを有している。従って、ヒンジHNが設けられた側(本実施の形態では左方)よりも、ヒンジHNが設けられていない側(本実施の形態では右方)の方が、前扉FDの角部が外方へと突出し易い。しかしながら、本実施の形態では、右側上方の角部(図14参照)のみならず、図15に示すように、右側下方の角部においても、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)よりも内側に位置し、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)から突出しないようになっている。また、筐体BXの右下辺800及び右下前頂点810は、右上辺600及び右上前頂点610と同様に面取りされている。
【0215】
なお、前扉FDの辺900は、前扉FDの下面FDbと前扉FDの右側面FDrとが交わる右下辺であり、頂部910は、右下辺900と、下面FDbの後辺(下面FDbの後方側の左右の辺)と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)と、が交わる右下後頂点である。また、筐体BXの辺800は、筐体BXの下面BXbと右側面BXrとが交わる右下辺であり、頂部810は、右下辺800と、下面BXbの前辺(下面BXbの前方側の左右の辺)と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)と、が交わる右下前頂点である。
【0216】
これにより、前扉FDが上記がたつきにより閉状態にて傾いだ状態となったとしても、ヒンジHNとは反対側において前扉FDの角部710(700)/910(900)が面取りされた筐体BXの角部600/800から突出することを防止することができる。また、前扉FDに外力が加わっていない通常状態(がたついていない状態、第1状態)から、例えば、スロットマシン1を移動させる際に前扉FDが把持されることによって、クリアランスの範囲内で前扉FDががたついた状態(上記通常状態よりも外方に移動した状態、第2状態)となっても、筐体BXの角部600/800は、前扉FDの角部710(700)/910(900)よりも内側に位置するようになっている。
【0217】
更に、筐体BXは、上述した辺600,800以外にも、スロットマシン1の最外形を形成する角部として、図16に示す、辺920~970を備えており、これらの辺についても傷つきやすいため、面取りして形成されている。また、同様に頂部610,810以外にも、頂部1010~1060についても、面取り(角落ち)して形成されている。例えば、筐体左側面BXlの前辺(不図示)は、前扉左側面FDlの後辺(不図示)よりも左方に位置しており、筐体BXの左上辺920は、面取りされていると共に、前扉FDの左上辺720の後方側の頂部730よりも外方に位置している。
【0218】
なお、前扉FDの頂部730は、前扉FDの上面FDuと前扉FDの左側面FDlとによって形成されており、より詳しくは、左上辺720と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)740と、左側面FDlの後辺(左側面FDlの後方側の上下の辺、不図示)と、が交わる頂部(左後頂点、前扉FDの左上後頂点)である。筐体BXの左上辺は、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとによって形成されている。辺930は筐体BXの左下辺であり、筐体BXの底面BXbと左側面BXlとによって形成されている(図12参照)。辺940は筐体BXの上面BXuの後辺であり、筐体BXの上面BXuと背面BXhとによって形成されている。辺950は筐体BXの底面BXbの後辺であり、筐体BXの底面BXbと背面BXhとによって形成されている。辺960は筐体BXの右側面BXrの後辺であり、筐体BXの右側面BXrと背面BXhとによって形成されている。辺970は筐体BXの左側面BXlの後辺であり、筐体BXの左側面BXlと背面BXhとによって形成されている。
【0219】
また、頂部1010は、筐体BXの右上後頂点である。頂部1020は、筐体BXの右下後頂点である。頂部1030は、筐体BXの左上前頂点である。頂部1040は、筐体BXの左下前頂点である(図12参照)。頂部1050は、筐体BXの左上後頂点である。頂部1060は、筐体BXの左下後頂点である。上述したように本実施形態に係るスロットマシン1では、前扉FDの角部及び筐体DXの角部が傷つきにくいように構成されている。このため、スロットマシン1をリユースする際になど、外装の傷が少ないため、円滑にスロットマシン1のリユースを図ることができる。
【0220】
なお、上述した実施の形態では、前扉FDの四方の角部の全てが対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成されているが、いずれかの前扉FDの角部が対応する筐体BXの角部よりも内側となっていれば良い。例えば、前扉FDの右方や上方の角部のみ対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成することもできる。また、前扉FDの角部は対応する筐体BXの角部よりも内側に位置することがより望ましいが、例えば、前扉FDの角部と筐体BXの角部とが正面視で重なる(同じ位置となる)ように構成しても良い。
【0221】
また同様に、スロットマシン1の最外形を形成する全ての筐体BXの角部を面取り形状とする必要はない。例えば、筐体BXの辺600,920,940,960,970及び頂部610,1010,1050のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺940のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図14参照),602(図14参照),920,940,960,970,800,950のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図14参照),602(図14参照),920,940,960,970のみを面取りするように構成しても良い。
【0222】
なお、上述した実施形態において「面取り」とは、所謂、角が斜めに削られた状態のC面取り及び角部の角を丸めるR面取りの両方を含むものとし、角部の角度とは、C面取りの場合、斜めに削られた面の角度を、R面取りの場合、角部のRの角度をいうものとする。更に、上述した実施形態において「面取り」とは、後加工としての面取り加工のみを意味するのでは無く、角部の角度が鈍角となった状態、そのものを指すものとする。即ち、例えば、上述した筐体BXのように、樹脂の一体成形品の場合、予め設計された角部のアールもしくは面の角度が鈍角となっていれば良い。また、筐体BXは、必ずしも一体成形品として制作される必要は無く、複数の部品によって箱形状を形成する組み立て式であってもよく、素材も、例えば、木製などであっても良い。
【0223】
図17は、本実施形態に係る筐体の変形例を示す斜視図である。
具体的には、図17は、筐体を天板、底板及び左右の側板を組み付ける構成とした場合の変形例を示す図であり、変形例に係る筐体BX2の右上方部分を拡大した斜視図である。図17に示すように、当該筐体BX2は、天板BXu2と右側板BXr2とが別体の部材によって形成されている。天板BXu2は、右上辺6002及び前上辺6012が面取りして構成されており、これら右上辺6002及び前上辺6012が、それぞれ筐体BX2の右上辺及び筐体BXの上面BXuの前辺を構成している。また、同様に、右側板BXr2の右前辺6022も面取りして形成されており、この右前辺6022が筐体BXの右側面の前辺を構成している。
【0224】
ここで、本実施形態において、上記右側板BXr2は、その前面BXr21が天板BXu2の前面BXu21よりも約1mm、前方に位置している。そして、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BX2の右側面BXr22の前辺を形成する右端Lの位置が天板BXu2の前面BXu21の位置と揃うように面取りされている。即ち、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BXの右側面BXr22との境界Lにおいて、その端部位置が天板BXu2の前面BXu21と右側面BXu22とが交差する角部6102の位置と揃うように面取りされている。つまり、右側板BXr2の右前辺6022は、面取りによって、その寸法が前面BXr21の位置から後方へ1mm少なくなくなるようになっている。そして、このように、右側板BXr2の右前辺6022の面取りの寸法を天板BXu2の前面BXu21に合せることによって、天板BXu2の下面の角6102が突出することを防止している。なお、図17では、筐体BX2の右上部を例に取って説明をしたが、筐体BX2は、右上部に限らず、左上部、右下部、左下部も上述した右上部と同様の構成となっている。
【0225】
また、上述した実施の形態では、前扉FDと筐体BXの合わせ面S1は、側面視で上部よりも下部が前方となるように傾斜して構成し、前扉FDの開放時に前方側に倒れようとする力を緩和しているが、必ずしも合わせ面S1が傾斜している必要は無い。更に、上述した説明では、前扉FDは、上下に分割して構成されていたが、一体に構成されていても良い。更に、本発明は、パチンコ機のような遊技機に対して適用されても良い。加えて、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
【0226】
本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉は、閉じられた状態で前記筐体に対してがたつきを有し、
筐体天面の前辺は、前扉天面の後辺よりも上方に位置しており、
筐体右側面の前辺は、前扉右側面の後辺よりも右方に位置しており、
筐体左側面の前辺は、前扉左側面の後辺よりも左方に位置しており、
前記筐体天面と前記筐体右側面とで形成された右上辺は、面取りされており、
前記筐体天面と前記筐体左側面とで形成された左上辺は、面取りされており、
前記筐体に対して前記前扉ががたついていない状態において、
前記右上辺は、前記前扉天面と前記前扉右側面とで形成された右後頂点よりも外方に位置し、
前記左上辺は、前記前扉天面と前記前扉左側面とで形成された左後頂点よりも外方に位置し、
前記筐体に対して前記前扉ががたついた状態であっても、
前記右上辺は、前記右後頂点よりも外方に位置している。
このため、外装が損傷し辛い遊技機を提供することができる。
【0227】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した構成等は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0228】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0229】
70 主制御手段
131 演出制御手段
36 スピーカ
52 精算ボタン(操作手段)
図1
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図17