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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】自転車用バッテリの充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240619BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240619BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20240619BHJP
   B62J 43/23 20200101ALI20240619BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
H01M50/244 Z
B62M6/90
B62J43/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022073954
(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公開番号】P2023163208
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】板垣 貴浩
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-062814(JP,A)
【文献】特開2018-043662(JP,A)
【文献】特開2012-154852(JP,A)
【文献】特開2004-319219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 50/244
B62M 6/90
B62J 43/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用バッテリの充電器であって、
前記バッテリに電力を供給する給電回路と、
前記給電回路を内蔵する筐体と、を備え、
前記筐体は、凹部を有する上面と、前記上面の裏側の底面と、前記上面と前記底面の間にある複数の側面とを含み、
前記底面は、前記底面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する底面足部を含み、
前記複数の側面のうちの1面である第1側面は、前記第1側面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する側面足部を含み、
前記筐体は、前記底面の前記底面足部が水平面に接した状態で、重量が1kg以上の前記バッテリを、前記上面の前記凹部で受け、且つ前記給電回路により充電可能な状態で支持するように構成され、
前記筐体は、前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態で、前記バッテリを前記上面の前記凹部において充電可能な状態で支持できない形状に構成され、
前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態の前記筐体の水平面への投影面積は、前記底面の前記底面足部が水平面に接する状態の前記筐体の水平面への投影面積よりも小さい、
自転車用バッテリの充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態の前記筐体において、前記第1側面の水平面への投影面積は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面の水平面への投影面積より大きい、自転車用バッテリの充電器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記筐体の前記上面の前記凹部から突出する複数の端子を備え、
前記筐体の前記第1側面の前記側面足部が水平面に接する状態において、前記複数の端子のそれぞれは、水平方向の寸法より垂直方向の寸法の方が長い、自転車用バッテリの充電器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記給電回路を内蔵する前記筐体の重心は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面よりも前記第1側面に近い位置にある、自転車用バッテリの充電器。
【請求項5】
請求項2に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記給電回路は、ヒートシンクを含み、前記ヒートシンクは、前記第2側面よりも前記第1側面に近い位置に配置される、自転車用バッテリの充電器。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記筐体の前記側面に設けられた電源線の引き出し口をさらに備え、
前記電源線の引き出し口は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面より、前記第1側面に近い位置に設けられる、自転車用バッテリの充電器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の自転車用バッテリの充電器であって、
前記筐体の前記上面の前記凹部は、奥面と前記奥面から傾斜して延びる内側面とを含み、
前記筐体が、前記底面の前記底面足部が水平面に接し、前記上面の前記凹部で受けた前記バッテリを前記給電回路により充電可能な状態で支持している状態において、前記奥面又は前記内側面の少なくとも一方が前記バッテリに接し、前記内側面の少なくとも一部と前記バッテリとの間に隙間が生じるように、前記凹部が形成される、自転車用バッテリの充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用バッテリの充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動アシスト自転車のように、駆動力に電力を用いる自転車には、大型のバッテリが搭載される。このようなバッテリは、自転車から取り外して、専用の充電器に接続して充電可能である場合が多い。
【0003】
特開2008-62814号公報には、電動自転車のフレームのバッテリ装着部材に、着脱自在に装着されるバッテリ装置が開示されている。バッテリ装置は、バッテリ装着部材から取り外され、専用の充電器に装着されて充電される。また、特開2018-43662号公報には、電動モータに電力を供給する着脱式バッテリを備えた電動補助自転車が開示されている。電動補助自転車から着脱式バッテリを取り外し、バッテリを外部の充電器に接続することで、充電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-62814号公報
【文献】特開2018-43662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自転車用バッテリの充電器として、バッテリを充電可能な状態で載置可能に形成された充電器がある。自転車用バッテリは、例えば、スマートフォンのような携帯型電子機器のバッテリに比べて容量及びサイズが大きい。そのため、自転車用バッテリを載置する充電器も大きくなる。また、自転車用バッテリは、自転車に装着されて使用される時間が長くなる傾向がある。すなわち、充電器が使われない時間すなわち非充電時間が長くなる傾向がある。
【0006】
発明者らは、充電器は、非充電期間において長時間、一定の面積のスペースを占拠し、バッテリを装着する部分に堆積したホコリを掃除する手間をユーザにかけさせていることに気が付いた。
【0007】
そこで、本願は、自転車用バッテリの充電器の非充電期間において、占拠する面積を減らし、且つ、バッテリが装着される部分にホコリが堆積しにくく掃除の頻度を下げることができる充電器を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態における自転車用バッテリの充電器は、前記バッテリに電力を供給する給電回路と、前記給電回路を内蔵する筐体と、を備える。前記筐体は、凹部を有する上面と、前記上面の裏側の底面と、前記上面と前記底面の間にある複数の側面とを含む。前記底面は、前記底面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する底面足部を含む。前記複数の側面のうちの1面である第1側面は、前記第1側面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する側面足部を含む。前記筐体は、前記底面の前記底面足部が水平面に接した状態で、重量が1kg以上の前記バッテリを、前記上面の前記凹部で受け、且つ前記給電回路により充電可能な状態で支持するように構成される。前記筐体は、前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態で、前記バッテリを前記上面の前記凹部において充電可能な状態で支持できない形状に構成される。前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態の前記筐体の水平面への投影面積は、前記底面の前底面足部が水平面に接する状態の前記筐体の水平面への投影面積よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態における充電器及び自転車用バッテリの構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す充電器10の充電時における側面図である。
図3図3は、図1に示す充電器10の非充電時における側面図である。
図4図4は、図3に示す充電器10を第2側面から見た側面図である。
図5図5は、図1に示す充電器10を、異なる角度から見た斜視図である。
図6図6は、図1に示す充電器10の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(構成1)
本発明の実施形態における自転車用バッテリの充電器は、前記バッテリに電力を供給する給電回路と、前記給電回路を内蔵する筐体と、を備える。前記筐体は、凹部を有する上面と、前記上面の裏側の底面と、前記上面と前記底面の間にある複数の側面とを含む。前記底面は、前記底面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する底面足部を含む。前記複数の側面のうちの1面である第1側面は、前記第1側面を下に向けて前記筐体を水平面に置いた場合に、水平面に接して前記筐体を安定して支持する側面足部を含む。前記筐体は、前記底面の前記底面足部が水平面に接した状態で、重量が1kg以上の前記バッテリを、前記上面の前記凹部で受け、且つ前記給電回路により充電可能な状態で支持するように構成される。前記筐体は、前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態で、前記バッテリを前記上面の前記凹部において充電可能な状態で支持できない形状に構成される。前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態の前記筐体の水平面への投影面積は、前記底面の前底面足部が水平面に接する状態の前記筐体の水平面への投影面積よりも小さい。
【0011】
上記構成によれば、充電器の筐体の底面は底面足部を有し、第1側面は側面足部を有する。これにより、筐体を、底面が水平面に接する状態で水平面に安定して置くことができ、且つ、第1側面が水平面に接する状態で水平面に安定して置くことができる。バッテリの充電時には、充電器を、筐体の底面の底面足部が水平面に接するように配置して、筐体の上面の凹部に自転車用バッテリを挿入することで、バッテリの充電が可能になる。非充電器期間では、筐体の第1側面の側面足部が水平面に接するように充電器を配置することで、上面の凹部が横向きになり、凹部にホコリが堆積にくい状態となる。また、第1側面の側面足部が水平面に接する状態では、底面の底面足部が水平面に接する状態よりも、筐体の水平面への投影面積が小さくなる。そのため、非充電期間に、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で筐体を配置することで、充電器が占拠する面積を減らすことができる。すなわち、自転車用バッテリの充電器の非充電期間において、占拠する面積を減らし、且つ、バッテリが装着される部分にホコリが堆積しにくくなる。その結果、ユーザによる充電器の掃除の頻度が下がる。
【0012】
底面足部は、底面を下にして筐体を水平面に置いた時に少なくとも3点で水平面に接する凸部又は平面によって形成される。この3点は、垂直方向から見て筐体の重心を含む三角形の頂点となる。側面足部は、第1側面を下にして筐体を水平面に置いた時に少なくとも3点で水平面に接する凸部又は平面によって形成される。この3点は、垂直方向から見て筐体の重心を含む三角形の頂点となる。底面足部又は側面足部が水平面に接した状態では、筐体に垂直方向の荷重がかかっても筐体の姿勢が変化しない。
【0013】
筐体がバッテリを充電可能な状態で支持する時は、バッテリは給電回路と電気的に接続された状態で筐体に支持される。この接続は、バッテリの端子と、給電回路の端子が物理的に接触する形態であってもよいし、非接触で給電可能とする形態であってもよい。非接触で給電可能な状態は、例えば、給電回路の送電コイルと、バッテリの受電コイルが、互いに電気エネルギーを移動可能な位置に配置された状態であってもよい。このように、充電器におけるバッテリとの電気的接続をする電気接続部は、物理的にバッテリと接触する端子、又は、非接触で送電する回路(例えば、コイル)であってもよい。
【0014】
底面の底面足部が水平面に接する筐体の上面の凹部にバッテリを挿入した状態において、重力によりバッテリが凹部に押し付けられ、充電可能な状態が維持される。第1側面の側面足部が水平面に接した筐体に対しては、重力によりバッテリを充電可能な状態に維持できない。
【0015】
充電器によって充電される自転車用バッテリ(単に、バッテリと称することもある)は、例えば、自転車の走行エネルギーを供給するものであるため、ある程度の容量及び重量を有する。目安として、自転車用バッテリの重量は、1kg以上となる。また、目安として、自転車用バッテリの容量は、5.0Ah以上となる。自転車用バッテリは、これに限られないが、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
【0016】
自転車用バッテリは、一例として、ハンドル(取手)を有してもよい。これにより、自転車から取り外し、自転車への取り付け、持ち運び、充電器への設置、充電器からの取り外し等のバッテリの取り扱いが容易になる。例えば、筐体の上面の凹部は、バッテリのハンドルが設けられた端部とは反対側の端部が挿入可能に形成されてもよい。
【0017】
(構成2)
上記構成1において、前記第1側面の前記側面足部が水平面に接した状態の前記筐体において、前記第1側面の水平面への投影面積は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面の水平面への投影面積より大きくてもよい。これにより、非充電期間において、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で筐体が配置された場合に、充電器の筐体の安定性が向上し、且つ、筐体が占める上部の空間が小さくなる。
【0018】
例えば、筐体は、第1側面の側面足部が水平面に接した状態の側面視で、上方に行くに従って細くなるよう形成されてもよい。これにより、非充電期間において、第1側面の側面足部が水平面に接した筐体の安定性がより向上する。
【0019】
(構成3)
上記構成1又は2において、前記充電器は、前記筐体の前記上面の前記凹部から突出する複数の端子を備えてもよい。前記筐体の前記第1側面の前記側面足部が水平面に接する状態において、前記複数の端子のそれぞれは、水平方向の寸法より垂直方向の寸法の方が長い構成とすることができる。これにより、非充電期間において、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で筐体を配置した場合に、端子の部分にホコリが堆積しにくくなる。
【0020】
上記構成1又は2において、前記充電器は、前記バッテリと電気的接続する電気接続部を備えてもよい。前記筐体の前記上面の前記凹部は、奥面と前記奥面から傾斜して延びる内側面とを含んでもよい。前記電気接続部は、前記奥面と前記第1側面との間に位置する内側面から離間する位置に設けられてもよい。これにより、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で、電気接続部付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0021】
例えば、前記電気接続部は、前記凹部の前記内側面のいずれかからも離間した位置に設けられてもよい。例えば、前記凹部の前記奥面に、前記電気接続部が配置されてもよい。これにより、非充電時に電気接続部付近にホコリが溜まりにくくなるとともに、筐体とバッテリの充電可能な状態の安定性が向上する。
【0022】
例えば、電気接続部が、端子である場合、端子は、凹部の奥面から延び、凹部の内側面とは離間して形成することができる。これにより、第1側面が水平面に接した状態で端子付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0023】
また、電気接続部は、凹部の奥面における隆起したボス部に配置されてもよい。これにより、電気接続部付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0024】
電気接続部は、前記凹部において、前記凹部から突出しないように設けられてもよい。これにより、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で、電気接続部の上方に凹部の一部が位置することになる。そのため、電気接続部付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0025】
(構成4)
前記給電回路を内蔵する前記筐体の重心は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面よりも前記第1側面に近い位置にあってもよい。これにより、非充電期間において、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で筐体を配置した場合の筐体の安定性がより向上する。
【0026】
(構成5)
上記構成2において、前記給電回路は、ヒートシンクを含み、前記ヒートシンクは、前記第2側面よりも前記第1側面に近い位置に配置されてもよい。これにより、体積が比較的大きいヒートシンクが、第2側面よりも第1側面に近い位置に配置される。第1側面は第2側面より大きいため、筐体内における給電回路の収納効率を高めることができる。
【0027】
(構成6)
上記構成1~5のいずれかにおいて、前記筐体の前記側面に設けられた電源線の引き出し口をさらに備えてもよい。前記電源線の引き出し口は、前記第1側面の反対側の側面である第2側面より、前記第1側面に近い位置に設けられてもよい。これにより、第1側面の側面足部が水平面に接する状態で筐体を配置した場合に、電源線の引き出し口が低い位置になる。そのため、筐体の安定性がより向上する。
【0028】
(構成7)
上記構成1~6のいずれかにおいて、前記筐体の前記上面の凹部は、奥面と前記奥面から傾斜して延びる内側面とを含んでもよい。前記筐体が、前記底面の前記底面足部が水平面に接し、前記上面の前記凹部で受けた前記バッテリを前記給電回路により充電可能な状態で支持している状態において、前記奥面又は前記内側面の少なくとも一方が前記バッテリに接し、前記内側面の少なくとも一部と前記バッテリとの間に隙間が生じるように、前記凹部が形成されてもよい。これにより、充電をする際に、ユーザがバッテリを充電器の筐体の上面の凹部に対して、装着及び取り外しが容易になる。また、この構成では、非充電期間において、第1側面の側面足部が水平面に接する状態では、バッテリを凹部で受けて充電可能な状態で支持できない。
【0029】
上記構成1~7のいずれかにおいて、前記底面の前記底面足部が水平面に接した前記筐体の前記凹部が前記バッテリを受ける状態において、前記バッテリの水平面への投影領域は、前記筐体の水平面への投影領域に含まれるように、前記筐体が構成されてもよい。これにより、充電時の筐体とバッテリの安定性が向上する。なお、底面の底面足部が水平面に接した筐体の上面の凹部がバッテリを受ける状態は、例えば、凹部にバッテリが挿入された状態である。
【0030】
前記給電回路は、ヒートシンク、コンデンサ、及びトランスを含んでもよい。前記筐体の前記第1側面の側面足部が水平面に接した状態において、ヒートシンク、コンデンサ、又はトランスの少なくとも一部は、上面視で、前記筐体の上面の凹部と重ならない位置に配置されてもよい。これにより、背の高い部品を凹部とずれた位置に配置できる。そのため、筐体の高さ方向(底面に垂直な方向)の寸法を抑えることができる。
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0032】
図1は、本実施形態における充電器及び自転車用バッテリの構成例を示す斜視図である。充電器10は、自転車用バッテリ20を装着可能に構成される。以下、自転車用バッテリ20を単に、バッテリ20と称することもある。充電器10に装着されたバッテリ20に対して、充電器10から電力が供給される。そのため、充電器10は、バッテリ20を充電可能な状態で支持するように構成される。
【0033】
充電器10は、給電回路を内蔵する筐体1を備える。筐体1は、上面1u、側面1s1~1s4、及び底面1bを有する。側面は、第1側面1s1と、第1側面1s1の反対側の第2側面1s2と、第1側面1s1の隣の第3側面1s3と、第3側面1s3の反対側の第4側面1s4とを含む。上面1uは凹部1rを含む。充電時には、凹部1rに、バッテリ20が挿入される。凹部1rは、バッテリ20を受けて、充電可能な状態で支持するように形成される。凹部1rには、バッテリ20に接続される端子3が設けられる。端子3は、バッテリ20と電気的に接続する電気接続部の一例である。凹部1rは、充電器10の挿入方向の奥に位置する奥面1r1と、奥面1r1から凹部1rの縁まで延びる内側面1r2とを有する。内側面1r2は、奥面1r1に対して傾斜している。
【0034】
図2は、図1に示す充電器10の側面図である。図2は、充電器10にバッテリ20が装着され、充電されている状態を示す。充電時には、筐体1の底面1bが水平面Hに接する。底面1bは、底面足部1baを含む。図2に示すように、筐体1を、底面1bを下に向けて水平面Hに置いた場合に、底面足部1baが水平面に接する。この状態で、底面足部1baは、筐体1を安定して支持する。筐体1は、底面足部1baが水平面Hに接した状態で重量が1kg以上のバッテリ20を凹部1rで受けて、充電可能な状態で支持するように構成される。充電器10の筐体1に給電回路5が内蔵される。バッテリ20は、充電器10の端子3と電気的に接続される。端子3は、給電回路5に接続されている。給電回路5から端子3を介して、バッテリ20へ電力が供給される。
【0035】
図3は、図1に示す充電器10を第4側面1s4から見た側面図である。図3は、筐体1の側面の1つである第1側面1s1が水平面に接する状態を示す。第1側面1s1は、側面足部1s1aを含む。図3に示すように、筐体1を、第1側面1s1を下に向けて水平面Hに置いた場合に、側面足部1s1aが水平面に接する。非充電期間には、この状態で充電器10を水平面Hに置いておくことができる。この状態では、充電器10にバッテリ20が装着されておらず、充電していない。筐体1は、側面足部1s1aが水平面に接した状態で、バッテリ20を上面1uの凹部1rで支持できない形状に構成される。すなわち、充電器10の筐体1は、第1側面1s1の側面足部1s1aが水平面Hに接した状態では、バッテリ20を充電可能な状態で支持できない。
【0036】
図2及び図3に示すように、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態の筐体1の水平面Hへの投影面積P2は、底面足部1baが水平面Hに接する状態の筐体1の水平面Hへの投影面積P1よりも小さい(P2<P1)。これにより、非充電時に、図3のように、充電器10を、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態にすることで、充電器10が占める面積が、充電時よりも小さくなる。また、図3の状態では、凹部1rが横向きになるため、凹部1rにホコリが溜まりにくい。そのため、非充電時に端子3付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0037】
図4は、図3に示す充電器10を第2側面1s2から見た側面図である。図4において、ドッドハッチングで示す領域が、第2側面1s2の水平面への投影領域となる。図3及び図4の例では、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態の筐体1において、第1側面1s1の水平面Hへの投影面積P2は、第1側面1s1の反対側の側面である第2側面1s2の水平面Hへの投影面積P3より大きい(P2>P3)。これにより、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態において、筐体1の下部が上部より大きくなる。そのため、筐体1の安定性が向上する。なお、第2側面1s2と上面1uとの間、及び、第2側面1s2と底面1bとの間の稜線が、R(丸み)を有する場合、これらの稜線の間であって、稜線のRを含まない領域を第2側面1s2とする。
【0038】
図3の例では、第1側面1s1の面積は、第2側面1s2の面積より大きい。また、第1側面1s1の面積は、第2側面1s2、第3側面1s3、及び第4側面1s4のいずれの面積よりも大きくてもよい。4つの側面のうち面積が最大の面を第1側面1s1とすることで、第1側面1s1の側面足部1s1aが水平面に接した状態における筐体1の安定性が向上する。
【0039】
図3の例では、上面1uが、底面1bに対して傾斜する傾斜面を有している。上面1uの傾斜面は、第1側面1s1から第2側面1s2へ近い程、底面1bに近づくように傾斜している。筐体1の第3側面1s3及び第4側面1s4は、台形となっている。筐体1は、第1側面1s1から第2側面1s2へ行くに従って、底面1bと上面1uとの距離がと小さくなるように形成される。なお、図3の例では、上面1uの傾斜面は平面であるが、上面1uの傾斜面は曲面であってもよい。
【0040】
再び、図1を参照し、凹部1rの構成例について説明する。凹部1rの奥面1r1は、バッテリ20の凹部1rに対する挿入方向の奥に位置する面である。奥面1r1は、凹部1rにおいて最も底面1bに近くなる点を含む。凹部1rの内側面1r2は、奥面1r1の周縁から傾斜して延び、凹部1rの縁に達する面である。図1の例では、内側面1r2は、段差1r21を有する。段差1r21は、凹部1rの開口に向いたテラスを形成する。バッテリ20が凹部1rに挿入された状態で、内側面1r2の段差1r21に、バッテリ20の一部が乗る。段差1r21は、互いに対向する2つの内側面1r2のそれぞれに設けられてもよい。
【0041】
図1の例では、バッテリ20は、バッテリ本体21と、凹部1rに挿入される挿入部22を有する。バッテリ20の挿入部22は、バッテリ本体21から突出した部分である。挿入部22は、挿入方向に垂直に突出した突起部22aを有する。突起部22aは、凹部1rの段差1r21に対応する位置に設けられる。バッテリ20の挿入部22と反対側の端には、ハンドル20hが設けられる。なお、ハンドル20hは、省略されてもよい。
【0042】
図2に示すように、バッテリ20の突起部22aが、凹部1rの段差1r21に係った状態で、バッテリ20が充電可能に支持される。すなわち、筐体1は、内側面1r2の段差1r21でバッテリ20を受けて、バッテリ20を充電可能な状態で支持する。バッテリ20の突起部22aが、重力によって凹部1rの段差1r21に押し付けられる。図2のように、段差1r21の一部の形状を、バッテリ20の突起部22aの形状に合う形状とすることで、筐体1はバッテリ20を安定して支持できる。また、段差1r21は、バッテリ20の突起部22aよりも広い範囲に設けられる。そのため、バッテリ20と内側面1r2の一部との間に隙間がある状態で、バッテリ20が筐体1に充電可能に支持される。これにより、バッテリ20の充電器10に対する抜き挿しがし易くなる。図2の例では、凹部1rの奥面1r1とバッテリ20とが離間した状態で、バッテリ20が筐体1に支持される。これにより、バッテリ20が、凹部1rの奥面1r1に溜まった水又はホコリ等の異物との接触を避けることができる。
【0043】
図2に示す例では、凹部1rの奥面1r1と底面1bとの間を貫通する貫通孔1r3が筐体1に設けられる。これにより、凹部1rに溜まった水又はホコリ等の異物が、貫通孔1r3を通して外へ排出される。貫通孔1r3は、例えば、奥面1r1の最も底面1bに近い位置に設けられてもよい。すなわち、奥面1r1における貫通孔1r3の縁の少なくとも一部は、奥面1r1において最も底面1bに近い位置にあってもよい。これにより、底面1bの底面足部1baが水平面に接する状態で、奥面1r1の異物が貫通孔1r3を通って排出されやすくなる。
【0044】
図2に示す例では、奥面1r1と第1側面1s1との間にある内側面1r2(1r21)は、第1側面1s1に対して傾斜している。この内側面1r22は、上面1uに近づくに従って、第1側面1s1に近くなるように傾斜している。図3に示すように、内側面1r22は、第1側面1s1の側面足部1s1aが水平面に接する状態において、凹部1rの下に位置し、上方を向く面となる。内側面1r22を傾斜させることで、内側面1r22にホコリを溜まりにくくできる。なお、図3の例では、バッテリ20は、内側面1r22から離間した状態で、凹部1rに支持される。
【0045】
図2に示す例では、奥面1r1は、底面1bに対して傾斜している。奥面1r1は、第1側面1s1に近づくに従って、底面1bに近くなるよう傾斜している。これにより、底面足部1baが水平面に接する状態(図2)及び、側面足部1s1aが水平面に接する状態(図3)の両方において、奥面1r1にホコリが溜まりにくくなる。
【0046】
図5は、図1に示す充電器10を、異なる角度から見た斜視図である。図5の例では、側面足部1s1aは、第1側面1s1における凸部で形成される。底面足部1baは、底面1bにおける凸部で形成される。側面足部1s1a及び底面足部1baのそれぞれは、複数の線状に延びる稜線で形成される。図5の例では、側面足部1s1aと底面足部1baは、互いに繋がっているが、それぞれ、独立して形成されてもよい。側面足部1s1a及び底面足部1baは、稜線状に限られない。例えば、側面足部1s1a又は底面足部1baの少なくとも一方は、3つ以上の島状の凸部で形成されてもよい。或いは、側面足部1s1a又は底面足部1baの少なくとも一方は、平面で形成されてもよい。なお、側面足部1s1a又は底面足部1baの少なくとも一方は、筐体1に取り付けられたシール又はボルト等の部材によって形成されてもよい。
【0047】
再び、図1を参照し、充電器10の端子3の構成例について説明する。充電器には、複数の端子3が設けられる。図1の例では、複数の端子3のそれぞれは、凹部1rの奥面1r1から突出するボス部3aから突出する。端子3は、導電体で形成される。端子3は、バッテリ20と電気的に接続をするコンタクトである。図6は、図1に示す充電器10の上面図である。図6に示す例では、端子3は、上面視で細長い形状を有する。端子3の第1側面1s1に垂直な方向の寸法は、底面1bに垂直な方向の寸法より長い。そのため、筐体1の側面足部1s1aが水平面に接する状態において、端子3の垂直方向の寸法は、水平方向の寸法より長くなる。そのため、端子3にホコリが溜まりにくくなる。
【0048】
また、端子3は、凹部1rにおいて、内側面1r2から離間した位置に配置される。そのため、図3のように、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態において、ホコリが溜まりやすい内側面1r2に端子3は接しない。また、端子3の上方に、凹部1rの内側面1r2が位置する。そのため、上方からのホコリが端子3に到達しにくい。さらに、図1のように、底面1bが下の状態で、充電器10における端子3の位置が視認しやすくなる。
【0049】
変形例として、端子3は、奥面1r1と第2側面1s2の間にある内側面1r2に設けられてもよい。この場合でも、側面足部1s1aが水平面Hに接した状態において、端子3付近にホコリが溜まりにくくなる。
【0050】
図6において、一点鎖線で示す領域P20は、底面足部1baが水平面に接する状態で、凹部1rに挿入され充電可能に支持されたバッテリ20の水平面への投影領域である。バッテリ20の水平面への投影領域P20は、筐体1の水平面への投影領域に含まれる。これにより、充電時のバッテリ20及び充電器10の安定性が向上する。また、図2に示すように、バッテリ20の長手方向が、バッテリ20の凹部1rへの挿入方向となっている。これにより、バッテリ20の充電時における充電器10の専有面積を小さくすることができる。
【0051】
図6では、筐体1に内蔵される給電回路5の基板5a、及び基板5aに実装される部品5b~5dの配置例が示される。給電回路5が備える部品の例として、ヒートシンク5b、コンデンサ5c、及びトランス5d等が挙げられる。ヒートシンク5b、コンデンサ5c、及びトランス5dは、体積が比較的大きい。体積が大きい部品は、図6のように、上面視で、凹部1rと重ならない位置に配置することができる。これにより、筐体1内の部品の収納効率を高め、筐体1全体の容積を小さくすることができる。体積が大きい部品の一部が、上面視で凹部1rと重ならないように配置しても、この効果を得ることができる。また、例えばヒートシンク5bのように、比較的、背(基板に対する高さ)が高い部品を、凹部1rを避けて配置することで、筐体1全体の高さを抑えることができる。
【0052】
充電器10の重心は、例えば、給電回路5の部品の配置によって調整することができる。充電器10の重心、すなわち、給電回路5を含む筐体1は、第2側面1s2よりも第1側面1s1に近い位置にあることが好ましい。言い換えると、重心と第1側面1s1との距離が重心と第2側面1s2との距離より小さいことが好ましい。これにより、第1側面1s1が水平面に接する状態における筐体1の安定性が向上する。また、充電器10の重心は、上面1uよりも底面1bに近い位置にかることが好ましい。これにより、底面足部1baが水平面に接する状態における筐体1の安定性が向上する。また、側面足部1s1aが水平面に接する状態において、上面1u側へ倒れにくくなる。そのため、非充電時に、例えば、底面1bを壁等に向けて、側面足部1s1aを水平面に接触させた状態とすることで、安定性がより高まる。
【0053】
例えば、ヒートシンク5b、コンデンサ5c又はトランス5d(コイル)等の比較的重い部品を、第2側面1s2よりも第1側面1s1に近い位置に配置することで、重心を第1側面1s1に近づけることができる。同様に、比較的重い部品を、上面1uより底面1bに近い位置に配置することで、重心を底面1bに近づけることができる。
【0054】
図6に示す例では、電源線の引き出し口4は、第2側面1s2より第1側面1s1に近い位置に設けられる。図6の例では、電源線の引き出し口4は、第4側面1s4に設けられる。電源線の引き出し口4は、第3側面1s3又は上面1uに設けられてもよい。これにより、側面足部1s1aが水平面Hに接する状態で、電源線の引き出し口4が、筐体1の上下方向中央よりも低い位置になる。そのため、筐体1の安定性がより向上する。
【0055】
電源線は、引き出し口4に対して脱着可能であってもよいし、電源線が引き出し口4に固定接続されていてもよい。電源線の引き出し口4は、給電回路5に電気的に接続される。給電回路5は、電源線から供給される電力を、変換して、バッテリ20へ供給する。給電回路5は、AC/DC変換器、及び/又は電圧変換器を備えてもよい。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、充電器10の電気接続部は、端子の代わりに非接触送電回路(コイル等)であってもよい。また、電気接続部は、凹部1r以外の場所に設けられてもよい。上記実施形態では、端子は、筐体1から突出するオス型であるが、端子は、筐体1の凹んだ部分に露出するメス型でもよい。また、上記実施形態では、バッテリ20の長手方向が、バッテリ20の凹部1rへの挿入方向となっている。バッテリ20の挿入方向は、長手方向と異なっていてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:筐体、1u:上面、1b:底面、1s1~1s4:第1~第4側面、1r:凹部、3:端子、4:電源線の引き出し口、5:給電回路、10:充電器、20:バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6