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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】光起電力アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240619BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20240619BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 560
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022196548
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2021137416の分割
【原出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2023017020
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】202110807252.5
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121625350.9
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】グオ ジーチウ
(72)【発明者】
【氏名】ハオ グオフイ
(72)【発明者】
【氏名】タオ ウーソン
(72)【発明者】
【氏名】フーアン シーリエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ルーチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ポン インイン
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212625609(CN,U)
【文献】特開2016-086154(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112133782(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111384192(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112216754(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力アセンブルであって、
電池ストリングを含み、
前記電池ストリングは、複数のセルと、溶接ストリップとを含み、
前記セルは、電池基板が第1方向に沿って分割されたN個片であり、N≧2であり、複数の前記セルは、第1方向に沿って順に配列され、前記セルは、単層領域及び積層領域を含み、隣接する前記セルは、前記積層領域に積層配置され、前記セルの厚さは、0.1mm~0.3mmであり、
前記溶接ストリップは、隣接する前記セルのうちの1つの前記セルの正面及び他の1つの前記セルの背面に溶接されることによって、隣接する2つの前記セルを接続し、前記溶接ストリップは、接続された光反射部及び扁平部を含み、前記光反射部は、前記セルの正面に位置し且つ前記単層領域に溶接され、前記扁平部は少なくとも部分的に、積層された2つの前記セルの間の前記積層領域に設置され、前記光反射部の厚さは0.18mm~0.27mmであり、前記扁平部の厚さは0.08mm~0.15mmであり、
前記光起電力アセンブルは、防護接着層と、透光板と、背板とをさらに含み、
前記防護接着層は、前記電池ストリングの正背両側の表面に被覆され、
前記透光板は、前記電池ストリングの正面における前記防護接着層の表面に被覆され、
前記背板は、前記電池ストリングの背面における前記防護接着層の表面に被覆され、
前記防護接着層の厚さと前記溶接ストリップの厚さ寸法との差を第1厚さとして定義し、前記第1厚さ/前記防護接着層の厚さは、5%以上15%以下であることを特徴とする光起電力アセンブリ。
【請求項2】
前記扁平部の幅/前記光反射部の幅は、150%~250%である、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力アセンブリ。
【請求項3】
前記電池基板の第1方向に沿った長さは、156mm~220mmであり、前記セルには9~20本の溶接ストリップが並設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力アセンブリ。
【請求項4】
前記電池基板の第1方向に沿った長さは、156mm~170mmであり、前記セルにおける溶接ストリップの数は、10~16本である、ことを特徴とする請求項3に記載の光起電力アセンブル。
【請求項5】
前記光反射部の厚さは、0.20mm~0.27mmである、ことを特徴とする請求項4に記載の光起電力アセンブル。
【請求項6】
前記電池基板の第1方向に沿った長さは、170mm~180mmであり、前記セルにおける溶接ストリップの数は、12~18本である、ことを特徴とする請求項3に記載の光起電力アセンブル。
【請求項7】
前記光反射部の厚さは、0.18mm~0.27mmである、ことを特徴とする請求項6に記載の光起電力アセンブル。
【請求項8】
前記電池基板の第1方向に沿った長さは、180mm~220mmであり、前記セルにおける溶接ストリップの数は、13~20本である、ことを特徴とする請求項3に記載の光起電力アセンブル。
【請求項9】
前記光反射部の厚さは、0.18mm~0.27mmである、ことを特徴とする請求項8に記載の光起電力アセンブル。
【請求項10】
前記扁平部の厚さは、前記セルの厚さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力アセンブル。
【請求項11】
前記扁平部は、本体と、前記本体と前記光反射部を接続する遷移部とを含み、前記遷移部の厚さは、前記本体の前記光反射部に向かう方向に沿って徐々に増加し、前記遷移部の幅方向の側辺は、前記遷移部から離れる方向に突出する滑らかに遷移する円弧状であり、前記遷移部の長さは、1mm~3mmであり、前記本体の長さは、3mm~6mmである、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光起電力アセンブル。
【請求項12】
前記扁平部は、本体と、前記本体と前記光反射部を接続する遷移部とを含み、前記遷移部の厚さは、前記本体の前記光反射部に向かう方向に沿って徐々に増加し、前記本体の前記光反射部に向かう方向に沿って、前記遷移部の厚さ増加率は徐々に増加する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光起電力アセンブル。
【請求項13】
前記扁平部はさらに、前記セルの背面に設置され、且つ前記単層領域に溶接されている、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光起電力アセンブル。
【請求項14】
前記扁平部の横断面は、トラック状をなす腰形面であり、前記腰形面は、前記溶接ストリップの厚さ方向の両側に設けられた平面領域と前記溶接ストリップの幅方向の両側に設けられた円弧状領域とによって囲まれてなる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光起電力アセンブル。
【請求項15】
前記扁平部の平面領域の錫層の厚さは、前記円弧状領域の錫層の厚さよりも大きく、かつ厚さ値が0.009mm~0.010mmである、ことを特徴とする請求項14に記載の光起電力アセンブル。
【請求項16】
前記光反射部の錫層の厚さは、0.013mm~0.018mmである、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の光起電力アセンブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光起電力製造の技術分野に関し、特に光起電力アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力セルは、溶接ストリップにより接続されて太陽電池ストリングを形成し、発電効果を実現することができ、現在、業界において円形溶接ストリップを採用し、マルチメイングリッド技術を結合して高効率出力アセンブリを実現し、セル同士は、セルの表面に敷設された溶接ストリップにより接続されることにより、電池ストリングを形成、セル間には、一般的に一定の間隔が設けられ、アセンブリ内部の非電池領域(すなわち隣接する2つのセルの間の隙間内)は発電することができず、発電所のスペースの浪費を引き起こす。
【0003】
電池ストリングの正面に透光板が設けられ、電池ストリングの背面に背板が設けられており、電池ストリングと透光板との間及び電池ストリングと背板との間にはそれぞれ防護接着層が設けられ、外部からラミネート圧力を電池ストリングの表面に垂直な方向に印加すれば、各層を圧着して光起電力アセンブリを形成することができる。防護接着層は、セルを保護することができ、溶接ストリップと透光板や背板とが硬く接触することによって、ラミネート圧力が直接溶接ストリップにより、セルの表面に伝達して隠れクラックの欠陥を引き起こすことを防止することができる。確実な防護効果を達成するために、防護接着層の厚さは、溶接ストリップの構造寸法とマッチングする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、セルの隠れクラックのリスクを低減することができる光起電力アセンブリを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様は、電池ストリングと、二層の防護接着層と、透光板と、背板とを含む光起電力アセンブリを提供し、
前記電池ストリングは、順に配列された複数のセルを含み、隣接する前記セル同士は、溶接ストリップによって接続され、前記溶接ストリップは、隣接する前記セルのうち1つの前記セルの正面と他の1つの前記セルの背面を接続し、前記セルの長辺寸法は、150mm~220mmであり、
前記二層の防護接着層は、それぞれ前記電池ストリングの正背両側の表面に被覆され、一層の前記防護接着層の厚さと前記溶接ストリップの厚さ寸法との差が第1厚さとして定義されると、前記第1厚さと一層の前記防護接着層の厚さとの割合が0以上20%以下であり、或いは、前記光起電力アセンブリは、ラミネートプロセスにより製造され、前記防護接着層は、前記電池ストリングの正背両側の表面に予め被覆された接着膜が受圧して形成され、一層の前記接着膜の厚さと前記溶接ストリップの厚さとの差が第2厚さとして定義されると、前記第2厚さと一層の前記接着膜の厚さとの割合が25%以上40%以下であり、
前記透光板は、前記電池ストリングの正面における前記防護接着層の表面に被覆され、
前記背板は、前記電池ストリングの背面における前記防護接着層の表面に被覆されている。
【0006】
本願の第2態様は、電池ストリングを含む光起電力アセンブリを提供し、前記電池ストリングは、複数のセルと、溶接ストリップとを含み、
前記セルは、電池基板がメイングリッドの延在方向である第1方向に沿って分割されたN個片であり、N≧2であり、複数の前記セルは、第1方向に沿って順に配列され、前記セルは、単層領域及び積層領域を含み、隣接する前記セルは、前記積層領域に積層配置され、
前記溶接ストリップは、隣接する2つの前記セルのうち1つの前記セルの正面及び他の1つの前記セルの背面に接続されることによって、隣接する2つの前記セルを接続し、前記溶接ストリップは、接続された光反射部及び扁平部を含み、前記光反射部は、前記セルの正面に位置し且つ前記単層領域に溶接され、前記扁平部は少なくとも部分的に、積層された2つの前記セルの間の前記積層領域に設置され、前記光反射部の厚さは0.18mm~0.27mmであり、前記扁平部の厚さは0.08mm~0.15mmである。
【発明の効果】
【0007】
本願に係る技術的解決手段は、以下の有益な効果を奏することができる。
本願による光起電力アセンブリは、接着層厚さの割合範囲を限定することによって、接着層厚さと溶接ストリップ寸法との合理的なマッチングを図ることができ、それにより隠れクラックのリスクを低減し、光起電力アセンブリの電力減衰を低減することができる。
また、セルは、N個片を用いて細い溶接ストリップと組み合わせて使用することによって、溶接ストリップのセル表面に対する遮蔽を減少させ、発電電力を向上させることができ、より細い溶接ストリップを用いることによって、防護接着層の厚さをさらに低減し、コスト削減の需要を図ることができる。用いられた細い溶接ストリップが押し潰された後、溶接ストリップにおいて積層領域に対応する部位が扁平であるため、セルの溶接ストリップに接触した後に受けた圧力による変形を低減させ、隣接する2つのセルの重畳領域の厚さ方向に沿った隙間を小さくすることもでき、セルの重畳領域に存在する隠れクラックの発生リストを低減することができる。
【0008】
上記した記載及び後文の詳細記載は、あくまでも例示的なものであり、本願を限定するためのものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の実施形態による光起電力アセンブリの構成概略図である。
図2】本願の実施形態による光起電力アセンブリの断面構成概略図である。
図3】本願の実施形態1による光起電力アセンブリの局所構成概略図である。
図4図3の爆発構成概略図である。
図5】本願の実施形態1による光起電力アセンブリの縦断面概略図である。
図6】本願の実施形態1による光起電力アセンブリのセル積層領域での横断面概略図である。
図7】本願の実施形態1による溶接ストリップの光反射部の横断面概略図である。
図8】本願の実施形態1による溶接ストリップの扁平部の横断面概略図である。
図9】本願の実施形態1による溶接ストリップの局所構成概略図である。
図10】本願の実施形態2による光起電力アセンブリの局所構成概略図である。
図11】表2中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
図12】表3中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
図13】表4中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
図14】表6中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
図15】表7中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
図16】表8中のデータに基づいて描画された折れ線グラフである。
【0010】
ここでの図面は明細書に組み込まれて明細書の一部を構成し、本願に適した実施形態を示し、明細書とともに本願の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施形態を参照して、本願をさらに詳細に説明する。ここで説明された具体的な実施形態は、単に本願を解釈するために用いられ、本願を限定するものではないと理解されるべきである。
【0012】
本願の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「第1」、「第2」は、説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示することを理解することができない。特に断らない限り、用語「複数」とは、2つ又は2つ以上を指す。用語「接続」、「固定」等は、いずれも広義的に理解されるべきであり、例えば、「接続」とは、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0013】
本明細書の説明において、本願の実施形態に記載された「上」、「下」等の方位用語は、図面に示された角度で記載されるものであり、本願の実施形態を限定するものではないと理解されるべきである。また、コンテキストにおいて、一つの素子が他の素子の「上」又は「下」に接続されると言及する場合、それが他の素子の「上」又は「下」に直接接続できるだけでなく、中間素子を介して他の素子の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0014】
図1及び図2に示されるように、本願の実施形態は、電池ストリング7と、防護接着層2と、透光板3と、背板4とを含む光起電力アセンブリを提供している。電池ストリング7は複数あり、それぞれの電池ストリング7は複数のセル1を含み、複数のセル1は第1方向に沿って順に配列され、隣接するセル1同士は溶接ストリップ5によって接続され、溶接ストリップ5はそのうちの1つのセル1の正面とそれに隣接するセルの背面を接続する。セル1は、表面にメイングリッドがない電池を選択して用いてもよく、又は、セル1には、第1方向に沿って延在する少なくとも1つのメイングリッドが設置されてもよい。セル1にメイングリッドが設置されている場合、溶接ストリップ5は、1つのセル1の正面のメイングリッドとそれに隣接するセル1の背面のメイングリッドに溶接されることによって、隣接するセル1を接続する。複数の電池ストリング7は、第1方向に対して垂直な第2方向に沿って順に配列される。透光板3は、電池ストリング7の正面に設置され、太陽光線は、透光板3を通過して電池ストリングの表面に照射することができる。背板4は、電池ストリングの背面に設置されている。背板4は、光起電力アセンブリを二重ガラスアセンブリにするように、透光性材料で製造されてもよく、或いは、背板4は、光起電力アセンブリを単一ガラスアセンブリにするように、不透光性材料で製造されてもよい。防護接着層2は電池ストリング7の2つの表面に被覆され、すなわち、セル1と透光板3との間、及びセル1と背板4との間にはそれぞれ防護接着層が設置され、防護接着層2の材料はEVA又はPOEなどのホットメルト接着剤であってもよく、ラミネートによって上から下へ順に透光板3、防護接着層2、セル1、防護接着層2及び背板4からなる積層構造を有する光起電力アセンブリが形成される。そして、防護接着層2はセル1に対して防護作用を果たすこともでき、セル1と透光板3又は背板4との接触による隠れクラックの発生を回避することができる。
【0015】
なお、本願の実施形態においてメイングリッドを有する電池を例として説明するが、他の実施形態において、セル1は表面にメイングリッドを有しない電池を選択して用いてもよく、そのときに溶接ストリップは、セルとの接続を図るために、セルの表面に予め設置された溶接点に直接溶接可能である。
【0016】
ここで、セル1の厚さは0.1mm~0.3mmであり、例えば、セル1の厚さは0.1mm、0.2mm又は0.3mm等であってもよい。好ましくは厚さが0.17mm~0.19mmの薄い電池であるとよい。例えば、セル1の厚さは0.17mm、0.18mm又は0.19mm等であってもよく、このようにすると、全体の重量を軽減してコストを低減することに有利である。セル1の長辺寸法は150mm~220mmであり、すなわち図1における各セルの配列方向に垂直な寸法は150mm~220mmである。好ましくは、長辺寸法が182mm~220mmの大きな寸法のセルであるとよく、発電電力を十分に向上させつつ、アセンブリ全体のコストを低減することができる。例えば、セル1の長辺寸法は182mm、185mm、190mm、195mm、200mm、205mm、210mm、215mm、220mm等であってもよい。
【0017】
光起電力アセンブリは、ラミネートプロセスにより製造され、製造する際に、あらかじめ接着膜を前記電池ストリング7の正背両側の表面に被覆し、この時に順に透光板3、接着膜、電池ストリング7、接着膜及び背板4からなる積層構造となる。積層方向に沿ってラミネート圧力を印加して、接着膜が受圧して防護接着層2を形成する。積層に沿った方向において、一層の接着膜の厚さと溶接ストリップ5の厚さとの差が第2厚さとして定義されると、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合は25%以上であり、これによってラミネート後に形成された防護接着層2が溶接ストリップ5に対向する位置に十分な厚さを持つようにして、溶接ストリップ5が防護接着層2を貫通して光起電力アセンブリの表面の透光板3(又は背板4)に接触することなく、ラミネート圧力が直接溶接ストリップ5により、セルの表面に伝達して隠れクラックの欠陥を引き起こすことを回避し、セルの隠れクラックの発生リスクを低減することができる。
【0018】
具体的には、接着膜はラミネート過程において自体の厚さが薄くなり、かつラミネート過程において溶融して再分布することによって、最終製品において防護接着層2の溶接ストリップ5に対向する位置での厚さが極めて小さくなるため、溶接ストリップ5が透光板3に接触してセルに隠れクラックが発生しやすくなり、かつ、セルが順に配置される場合、溶接ストリップが隣接するセルの正面及び背面を接続するために用いられるため、セルとセルとの間を通過する時にセルの縁部と接触して圧力を引き起こすことになり、選択された接着膜の厚さが薄いとセルの縁部を効果的に保護することができない。しかしながら、ラミネート過程において接着膜の厚さの変化が正確に限定しにくいため、従来技術において主に複数回の実験及び経験の蓄積により、接着膜の厚さと溶接ストリップ5の寸法との間のマッチング関係を特定し、操作性が低く正確性を保証することが困難である。本願の実施形態では、接着膜と溶接ストリップ5との割合関係を正確に限定しており、これによってラミネート後に溶接ストリップ5が透光板3(又は背板4)と接触しないことを保証することができ、高い操作性を有しながら、高い信頼性を有する。量産試作検証及び荷重試験により、製品の隠れクラック発生率が極めて低く、ゼロ隠れクラック発生率が90%以上に達することができたことが確認された。
【0019】
なお、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合は、40%以下であり、すなわち、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合は、25%~40%である。例えば、この割合は、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%又は40%等であってもよく、割合範囲を限定することによって、接着膜厚さと溶接ストリップ寸法との合理的なマッチングを図ることができ、それにより隠れクラックの発生リスクを低減し、光起電力アセンブリの電力減衰を低減することができる。以下の表7及び表8に合わせてわかるように、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合範囲が25%~40%である場合、隠れクラック縞数が8以下かつ電力減衰が1.0%以下になることを図ることができ、この時に隠れクラック縞数が極めて少なく、当該範囲は高標準の製造要求を十分に満たし、かつ製造された光起電力アセンブリの電力が非常に高い。割合が25%より小さくなると、隠れクラック縞数及び電力減衰はいずれも顕著に増加してしまい、割合が40%より大きくなると、耐隠れクラック効果及び電力減衰値の低下が顕著ではなく、そして厚さが大きすぎる場合、接着膜がラミネート時に十分に熱を受けて溶融しにくくて接着に影響を与え、耐隠れクラック効果を低下させ、そして接着膜の厚さが大きいほど、ラミネート時に必要な圧力も大きくなり、かえって隠れクラックの発生リスクを増加させてしまい、そして厚さが増加するとコストも増加することになる。
【0020】
具体的には、明確に示すために、本願の実施形態において、異なる溶接ストリップ寸法を選択し、対応する第2厚さと接着膜厚さとの割合関係は、表1を参照することができる。
【0021】
表1は、第2厚さと接着膜厚さとの割合を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
製造加工において実測から究明されたように、接着膜は、ラミネート圧力の作用で厚さが25%~30%薄くなることによって、最終製品における防護接着層2を形成する。したがって、受圧によって形成された一層の防護接着層2の厚さと溶接ストリップ5の厚さ寸法との差を第1厚さとして定義し、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合(25%~40%)を換算し、製造実測結果に合わせて、最終的に製造された光起電力アセンブリ製品の第1厚さと一層の防護接着層2の厚さとの割合は、0以上20%以下となる。第1厚さと防護接着層の厚さとの割合が0より小さく、すなわちラミネート後に形成された防護接着層2の厚さが溶接ストリップ5の厚さよりも小さい場合、溶接ストリップ5は、防護接着層2を貫通して透光板3又は背板4と直接接触しやすくなり、ラミネート圧力は、直接溶接ストリップ5により、セル1の表面に伝達し、これは、セルの隠れクラック縞数及び電力減衰の増加につながってしまい、防護効果の確保が困難になる。
【0024】
実施形態1
【0025】
図3図9を参照すると、本願の実施形態による光起電力アセンブリは、重ね溶接技術(すなわちTR技術)により接続することができ、すなわち、複数のセル1aは第1方向に沿って順に配列され、セル1aは単層領域及び積層領域を含み、隣接するセル1aは積層領域に積層して配置され、すなわち、各セル1aはセル1aの間の隙間を減少させるために覆瓦状に配列されることによって、複数のセル1aの占用する総面積を各セルの面積の和以下にして、アセンブリの出力効率を向上させつつ、発電所のスペース利用率を向上させる。該設計態様を採用する場合、電池アセンブリは重ね溶接アセンブリであり、重ね溶接アセンブリにおいて隣接するセル同士は重畳領域があり、溶接ストリップ5aは隣接するセルの重畳領域の間に介設され、ラミネートのときにセルの重畳領域を変形させて隠れクラックを発生しやすくなり、接着層の厚さに対する要求が高く、セルの重畳領域を保護するためにより大きい厚さの防護接着層が必要となる。したがって、重ね溶接アセンブリにおいて、前記第1厚さと一層の前記防護接着層2の厚さとの割合は、5%以上20%以下に設定可能であり、又は、前記防護接着層2の坪量は245g/m~610g/mである。例えば、第1厚さと防護接着層の厚さとの割合は5%、7%、9%、11%、13%、15%、17%、19%、20%等であってもよい。なお、坪量とは、1平方メートル当たりの防護接着層の質量を指し、ラミネート前の接着膜とラミネート後の防護接着層2の坪量の数値が一致する。ここで、坪量とラミネートされない接着膜の厚さとの対応関係は、表1に示す通りである。
【0026】
しかしながら、重ね溶接技術において、隣接する2つのセル1aは重畳領域に厚さ方向の隙間が存在するため、ラミネートの過程において、該隙間における溶接ストリップ5aはセル1aに大きな圧力を生成しやすく、セルに隠れクラックが発生するリスクが高くなる。
【0027】
図6図8を参照すると、上記重ね溶接アセンブリにおいて、溶接ストリップ5aは、さらに極細溶接ストリップを用いることができ、光反射部50及び扁平部52を含むように設計され、光反射部50はセル1の正面に位置し且つ単層領域に溶接され、電流を伝送すると同時にその表面に入射した光線をセル1の正面に効率的に反射して十分に利用することができる。例えば、光反射部50は、その表面に入射した光線を透光板3に反射してさらにセル1の表面に二次反射して二次利用することができる。扁平部52は少なくとも部分的に、積層された2つのセル1の間の積層領域に対応して設置され、すなわち、溶接ストリップ5aの積層領域に対応する部位は扁平であり、それによりセル1aが溶接ストリップ5aに接触する面積を増加させ、セル1aが溶接ストリップ5aに接触した後に受けた、単位面積当たり受ける圧力を減少させる。また、溶接ストリップ5aの扁平部52は、厚さが小さく、扁平部52を隣接する2つのセル1aの重畳領域の間に配置する場合、隣接する2つのセル1aの重畳領域の厚さ方向に沿った隙間を低減し、ラミネートの際、セル1aの曲げ変形程度が小さく、それにより、セル1aの重畳領域に存在する隠れクラックの発生リスクを低減することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記扁平部52はさらに、セル1aの背面に設置され、且つ前記単層領域に溶接される。本実施形態において、溶接ストリップ5aは、光反射部50及び扁平部52を含む二段式設計であり、構造が簡単で加工製造しやすく、セル1aの背面に設置された溶接ストリップを押し潰して成形すればよい。当然ながら、セル1aの背面にも光反射部50を溶接可能であり、背面における光反射部50を利用して光線を反射して二次利用することになり、このような形態の溶接ストリップは、特に両面光起電力アセンブリに適用されることが可能である。
【0029】
ここで、扁平部52の長さは、重畳領域が完全に扁平部52により接触することができるように、重畳領域の幅以上であるが好ましく、それによって光反射部50が重畳領域内に延在することによって、扁平部52とセル1aが架空を形成することでラミネート時に隠れクラックが発生することが回避される。
【0030】
具体的には、光反射部50の厚さは、0.18mm~0.27mmであり、例えば、光反射部50の厚さは、0.18mm、0.19mm、0.20mm、0.21mm、0.22mm、0.23mm、0.24mm、0.25mm、0.26mm又は0.27mm等であってもよい。それに応じて、扁平部52の厚さは、0.08mm~0.15mmであり、例えば、扁平部52の厚さは、0.08mm、0.09mm、0.10mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.14mm又は0.15mm等であってもよい。上記厚さ寸法が小さて細い構造の溶接ストリップ5aを用いることによって、電流負荷の要件を満たし、電流収集過程の安全を保証することができ、また、厚さの小さい溶接ストリップ5aのセル1aの表面に対する圧力がより小さくなり、防護接着層2を貫通しにくく、それにより、また光起電力アセンブリのラミネート時に引き起こされるセル1aの隠れクラックを効果的に低減することができる。ところで、光反射部50の厚さが0.18mmよりも小さい場合、溶接ストリップ5aが薄すぎ、断面の寸法がより小さくなることによって、溶接ストリップ5aの電流負荷能力が小さすぎ、使用中に焼損しやすく、電流の正常な収集に影響を与える。光反射部50の厚さが0.27mmよりも大きい場合、セル1aの表面に対する圧力が大きくなり、光起電力アセンブリのラミネート時にセル1aに隠れクラックが発生するリスクを増大させる。
【0031】
表2~表4のデータを参照し、光反射部50と扁平部52の組み合わせは、以下のとおりである。すなわち、光反射部50の厚さは0.18mmであり、扁平部52の厚さは0.08mm、0.1mm、0.12mm又は0.15mmであり、隠れクラック縞数が2以下かつ電力減衰が0.90%以下であることを図ることができる。光反射部50の厚さは0.2mmであり、扁平部52の厚さは0.08mm、0.1mm、0.12mm又は0.15mmであり、隠れクラック縞数が4以下かつ電力減衰が0.98%以下であることを図ることができる。光反射部50の厚さは0.27mmであり、扁平部52の厚さは0.08mm、0.1mm、0.12mm又は0.15mmである。したがって、扁平部52の厚さは0.08mm~0.15mmの範囲内にある場合、隠れクラック縞数が4以下かつ電力減衰が1.00%以下であることを図ることができ、製造された製品の発電能力及び品質レベルが高く、高標準の出荷要求を満たすことができる。扁平部52の厚さが0.08mmよりも小さい場合、一方ではプロセス難度が大きく、他方では扁平部52が薄すぎ、内部応力が大きすぎ、破断損傷が非常に発生しやすい。
【0032】
上記分析に合わせて、重ね溶接アセンブリが上記複数の部位に分ける設計態様を用いる場合、溶接ストリップ2は、薄い溶接ストリップであり、光反射部50の厚さが小さく、扁平部52が十分に押し潰された後に積層された2つのセル1aの間の積層領域に介設され、それにより2つのセル1aの積層領域における総厚を低減することに有利となり、ラミネートの際に、セル1aの変形程度及び隠れクラックが発生するリスクが小さく、防護接着層2の厚さに対する要求が低下する。したがって、該設計を用いる場合、第1厚さと防護接着層2の厚さとの割合は5%以上15%以下であることが好ましく、又は、前記防護接着層2の坪量は245g/m~430g/mであってもよい。例えば、接着層の最小厚さと防護接着層の厚さとの割合は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%等であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、光反射部50は、その表面に入射した光線をセル1の正面に効率的に反射して十分に利用することができ、その横断面は、様々な形状を呈することができ、例えば、三角形、台形、円形又は様々な形式の多角形である。本願の実施形態は、円形の溶接ストリップのみを例として詳細に説明し、円形の溶接ストリップ5aを用いて隣接する2つのセル1aを接続し、この時、溶接ストリップ5aの直径寸法は、溶接ストリップ5aの厚さ、幅値に等しい。
【0034】
図9を参照し、さらに、扁平部は、本体520と、本体520と光反射部を接続する遷移部522とを含み、遷移部522の厚さは、本体520の光反射部に向かう方向に沿って徐々に増加し、遷移部522の幅方向の側辺は、遷移部522から離れる方向へ突出する滑らかに遷移する円弧状であり、かつ遷移部522の長さは、1mm~3mmであり、本体520の長さは、3mm~6mmである。光反射部と扁平部の厚さの変化が急激になると、ラミネート時に厚さ方向の圧力を受けることで折り曲げて破断して破壊されやすく、かつ光反射部が積層領域内に延在しやすく、セルの隠れクラックを引き起こす。本実施形態において、適切な長さの遷移部522を設置することによって本体520と光反射部が適切な自然の遷移距離及び遷移厚さを有し、かつ外側に突出する遷移部522によって本体520と光反射部との間の接続面積を増加させ、この2点が共同して作用することによって、アセンブリのラミネート過程において光反射部と扁平部との間の破断によるアセンブリの破壊を回避することができる。そして、遷移部522の長さは1mm~3mmであり、本体520の長さはより長くなり(3mm~6mm)、特定の長さの寸法設計を採用した後、遷移部522を積層領域以外に位置させて、積層領域の応力への影響を回避するので、プロセスの原因で積層領域内に延在しても、遷移部522の厚さが前記本体520の前記光反射部に向かう方向に沿って徐々に増加するため、積層領域のセルに対する応力への影響も小さく、隠れクラックを十分に回避することができる。
【0035】
さらに、本体520と、本体520と光反射部50を接続する遷移部522とを備える構造を採用する場合、本体520の光反射部50に向かう方向に沿って、遷移部522の厚さ増加率は、徐々に増加する。厚さ増加率とは、本体520の光反射部50に向かう方向に沿って、単位長さ移動するごとの遷移部522の厚さの増加量を意味する。この構成を採用すると、遷移部522における本体520に近接する部位の厚さの溶接ストリップの長さ方向に沿った変化速度がより遅く、プロセス制御等の原因で積層領域内に延在しても、積層領域のセルの応力にほとんど影響を与えないため、隠れクラックを十分に回避することができる。
【0036】
さらに、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は、150%~250%であり、例えば、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%又は250%等であってもよく、支持面積を効果的に増加させることができるとともに、溶接ストリップ5aの押し潰し程度が大きすぎて過大な内部応力による破断が発生することもない。扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合が150%よりも小さくなると、扁平部52の幅が小さすぎて、アセンブリのラミネートの過程において溶接ストリップ5aとセル1aとの間の単位面積当たり受ける圧力が依然として大きいため、隠れクラックが発生しやすい。扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合が250%よりも大きくなると、扁平部52の押し潰し程度が大きすぎるため、扁平部52の内部応力が大きすぎて損傷が発生しやすくなる。
【0037】
いくつかの実施形態において、光反射部50の直径は0.18mmであり、扁平部52の幅は0.34mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は186.25%である。光反射部50の直径は0.2mmであり、扁平部52の幅は0.41mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は204.93%である。光反射部50の直径は0.22mmであり、扁平部52の幅は0.40mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は182.54%である。光反射部50の直径は0.25mmであり、扁平部52の幅は0.51mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は204.93%である。光反射部50の直径は0.26mmであり、扁平部52の幅は0.55mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は212.46%である。光反射部50の直径は0.28mmであり、扁平部52の幅は0.64mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は227.58%である。光反射部50の直径は0.3mmであり、扁平部52の幅は0.61mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は204.93%である。光反射部50の直径は0.32mmであり、扁平部52の幅は0.70mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は217.49%である。光反射部50の直径は0.35mmであり、扁平部52の幅は0.77mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は219.42%である。光反射部50の直径は0.38mmであり、扁平部52の幅は0.84mmであってもよく、扁平部52の幅と光反射部50の直径との割合は221.09%である。
【0038】
さらに、扁平部52の厚さは、セル1a同士の間の隙間がセル1a自体の厚さに対して小さくなるように、セル1aの厚さよりも小さく設計され、それによってセル1aが重畳領域において隠れクラックが発生するリスクを低減させる。
【0039】
さらに、扁平部52の横断面は腰形面であり、腰形面は溶接ストリップの厚さ方向の両側に設置された平面領域と幅方向の両側に設置された円弧状領域で囲まれてなり、腰形面の中央の平面領域がセル1aに接触して、大きな接触面積を形成することによって、溶接ストリップ5aがセル1a全体に対して生成した、単位面積当たり受ける圧力を減少させ、腰形面の両端が円弧状領域であることによって、溶接ストリップ5aに鋭い折れ角を形成することを回避し、例えば製造加工においていくつかの溶接ストリップは、整形溝に予め設置され、迅速に押し潰された後に横断面が矩形を呈し、両側領域が平面領域に接続された箇所は、尖角を形成し、かつ遷移が滑らかではなく、応力集中を引き起こしやすい。本実施形態において、腰形面の両側は円弧状領域であり、円弧状面が荷重を受ける時により変形しやすく、応力を緩衝する作用を有し、円弧状領域と平面領域との間の遷移角が鈍角でかつ滑らかに接続され、それによってラミネート時にセルが溶接ストリップの遷移箇所と接触する時の単位面積当たり受ける圧力が小さくなり、溶接ストリップ5aがセル1aの局所領域に過大な単位面積当たり受ける圧力を生成することを防止し、セル1aの縁部又は重畳領域に存在する隠れクラックの発生リストを効果的に低減することができる。
【0040】
実際の試験により、同じ溶接ストリップ5aが同じ厚さに押し潰される時に、押し潰された横断面が異なると、対応する電力減衰及び隠れクラック縞数が異なり、すなわち、光起電力アセンブリにおいて溶接ストリップが腰形面である場合の電力減衰及び隠れクラック縞数はいずれも、光起電力アセンブリにおいて溶接ストリップが矩形面である場合の電力減衰及び隠れクラック縞数よりも明らかに小さいことが分かった。よって、本願では、溶接ストリップの横断面を腰形面に押し潰し整形することによって、光起電力アセンブリの電力減衰及び隠れクラック縞数を減少させることができる。
【0041】
具体的には、円形の溶接ストリップ5aを押し潰す時に、溶接ストリップ5aの上下の2つの表面に圧力を徐々に加えるだけで、溶接ストリップ5aの上下の2つの表面に平面領域を形成させる。溶接ストリップ5aの左右両側に圧力を加える必要がなく、低い加圧速度に制御することで溶接ストリップ5aの左右の2つの表面が円弧状領域を形成しかつ平面領域と滑らかに接続するようにすることによって、溶接ストリップ5aを腰形面に押し潰す。或いは、金型を予め製造して、金型のキャビティは光反射部と扁平部の外輪郭と一致し、軟化した溶接ストリップ素体又は溶融した溶接ストリップ材料を金型にインサートして冷却した後に所望の形状の溶接ストリップを離型成形することができる。
【0042】
さらに、溶接ストリップ5aが押し潰された後、溶接ストリップ5aの長さ方向に沿って、溶接ストリップ5aは折れ線状を呈することができ(図5を参照)、すなわち、扁平部52の2つの平面領域はそれぞれ隣接する2つの光反射部50のセル1に向かう側に相接することによって、光反射部50と扁平部52はセル1aに近い側に表面が揃えられる。溶接ストリップ5aによって隣接する2つのセル1aを接続する場合、扁平部52の1つの平面領域は一端の光反射部50と共にセル1aの正面に貼り合わせることができ、扁平部52の他の1つの平面領域は他端の光反射部50と共に他の1つのセル1aの背面に貼り合わせることができ、それによって扁平部52とセル1aとの間に隙間を残さず、隣接する2つのセル1aの重畳領域での隙間をできるだけ小さくし、隠れクラックの発生リスクを低減させる。また、扁平部52の2つの平面領域はいずれもセル1aの表面と貼り合わせることができるため、ラミネートの過程において溶接ストリップ5aが変形しにくく、さらに溶接ストリップ5aに接触するセル1aの隠れクラックの発生リスクを低減させる。
【0043】
さらに、光反射部50の錫層の厚さは0.013mm~0.018mmであり、例えば、光反射部50の錫層の厚さは0.013mm、0.014mm、0.015mm、0.016mm、0.017mm又は0.018mm等であってもよく、溶接ストリップ5aとセル1との溶接要求を満たすことができるとともに、溶接時に溶接ストリップの表面の錫層の厚さの変化が大きすぎて溶接ストリップ5aの表面品質に影響を与えることにも至らない。光反射部50の錫層の厚さが0.013mmよりも小さい場合、溶接ストリップ5aの表面の錫層の厚さが薄すぎて、溶接ストリップ5aとセル1との確実な接続に影響を与えてしまう。光反射部50の錫層の厚さが0.018mmよりも大きい場合、溶接ストリップ5aの表面の錫層の厚さが厚すぎて、溶接時に、溶接ストリップ5aの表面の錫層が溶融して流れることによって、錫層が溶接ストリップ5aの表面に再分布し、溶接ストリップ5aの表面構造の変化を引き起こし、平らでない凹凸構造が現れてしまい、セル1が平らでない凹凸構造と接触して隠れクラックが発生しやすくなる。
【0044】
さらに、扁平部52の平面領域の錫層の厚さは、円弧状領域の錫層の厚さより大きく、かつ厚さ値は0.009mm~0.010mmである。平面領域の錫層の厚さが少なくとも円弧状領域の錫層の厚さよりも大きくなることによって、平面領域の表面が十分なスズ量を有することを保証することができ、溶接時に高温溶融を受けた後にメイングリッドと堅固に接続でき、半田付けの要求を満たせる。例えば、扁平部52の錫層の厚さは、0.009mm、0.0091mm、0.0092mm、0.0093mm、0.0094mm、0.0095mm、0.0096mm、0.0097mm、0.0098mm、0.0099mm、0.010mm等であってもよく、扁平部52の平面領域の錫層の厚さをできるだけ小さくすることによって、溶接加熱時に該領域の錫層が溶融した後の流動性を減少させ、錫層の流れによる溶接ストリップ5aの表面の構造変化、不平坦性及び溶接ストリップ全体の厚さの変化を低減し、セル1が平らでない扁平部52の表面と接触することをできるだけ回避し、それによってセル1に隠れクラックが発生するリスクを低減させる。扁平部52の錫層の厚さが0.010mmよりも大きい場合、溶接時に該領域に依然として錫層の明らかな流れが発生し、溶接ストリップ5aの平面領域に凹凸構造が発生することを招き、凹凸構造がセルと接触することによってセル1の隠れクラックの発生をもたらす。
【0045】
いくつかの実施形態において、光反射部50の錫層の厚さが0.015mmであることを例にすると、異なる直径の溶接ストリップに対応する扁平部52の錫層の厚さは、以下の通りである。光反射部50の直径が0.18mmであるとき、扁平部52の錫層の厚さが0.0102mmである。光反射部50の直径が0.2mmであるとき、扁平部52の錫層の厚さが0.0096mmである。光反射部50の直径が0.22mmであるとき、扁平部52の錫層の厚さが0.0105mmである。光反射部50の直径が0.25mmであるとき、扁平部52の錫層の厚さが0.0097mmである。光反射部50の直径が0.27mmであるとき、扁平部52の錫層の厚さが0.0095mmである。
【0046】
具体的には、円形の横断面が腰形面に押し潰されるときに、溶接ストリップ5aの横断面積が変化しないが、腰形面の周長が円形よりも大きくなるため、溶接ストリップ5aを押し潰すことによって表面の錫層の厚さを減少することができ、そして、押し潰す過程において、溶接ストリップ5aの表面の錫層が再分布し、平面領域に集中することになる。
【0047】
本発明の実施形態において、錫層の厚さは、溶接ストリップが切断された後に電子顕微鏡又は光学顕微鏡で観測して取得されるものである。
【0048】
別の実施形態において、光反射部50の直径は0.3mm~0.4mmであり、例えば、光反射部50の直径は0.3mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm又は0.4mm等であってもよい。扁平部52の厚さは0.12mm~0.15mmであり、例えば、扁平部52の厚さは0.12mm、0.13mm、0.14mm又は0.15mm等であってもよい。例えば、光反射部50の直径は0.32mmであり、扁平部52の厚さは0.12mmである。光反射部50の直径は0.35mmであり、扁平部52の厚さは0.13mmである。光反射部50の直径は0.38mmであり、扁平部52の厚さは0.14mmである。該設計態様を採用する場合、溶接ストリップ2が太く、ラミネートの際に、防護接着層2を貫通しやすく、防護接着層2の厚さに対する要求が高いため、該設計を採用する場合、第1厚さと防護接着層2の厚さとの割合は、10%以上20%以下であることが好ましく、或いは、前記防護接着層2の坪量が、430g/m~610g/mであってもよい。例えば、接着層の最小厚さと防護接着層の厚さとの割合は、10%、12%、14%、16%、18%、20%等であってもよい。
【0049】
本願の実施形態による電池ストリングは、複数のセル1a及び溶接ストリップ5aを含む。セル1aにはメイングリッド6a(図4を参照)が設けられ、複数本の平行な溶接ストリップ5aは、セル1aの複数本の平行なメイングリッド6aに対応して敷設され、溶接ストリップ5aは、そのうちの1つのセル1aの正面メイングリッドと他の1つのセル1aの背面メイングリッドに接続されることによって、隣接する2つのセル1aを接続する。
【0050】
さらに、製造設計時に、まず接着膜を選定し、次に適切な溶接ストリップ5aをマッチングすることができる。例えば、接着膜の坪量は230g/m~610g/mであり、典型的で非限定的には、坪量は、防護接着層2が適切な厚さ範囲を満たすように、230g/m、250g/m、260g/m、275g/m、300g/m、320g/m、355g/m、370g/m、390g/m、415g/m、440g/m、450g/m、480g/m、500g/m、515g/m、530g/m、560g/m又は610g/m等であってもよい。防護接着層2の坪量が230g/mよりも小さくなる場合、防護接着層2の厚さが薄すぎることによって、溶接ストリップ5aの寸法が小さすぎて電流負荷の要件を満たすことが困難である。防護接着層2の坪量が610g/mよりも大きくなる場合、防護接着層2の厚さが厚すぎることによって、防護接着層2が十分に溶融しにくくて接着効果に影響を与えてしまい、さらにラミネート時に必要な圧力を増加させて、隠れクラックの発生リストを増加させてしまう。
【0051】
上記坪量に対応して、接着膜の厚さは0.24mm~0.63mmであり、例えば、厚さは0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.29mm、0.31mm、0.33mm、0.37mm、0.39mm、0.41mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.5mm、0.51mm、0.52mm、0.53mm、0.54mm、0.55mm、0.56mm、0.57mm、0.58mm、0.59mm、0.6mm、0.61mm、0.62mm又は0.63mm等であってもよい。
【0052】
本願の実施形態に係る上記電池ストリングは隠れクラックの発生リスクを低減する効果を有することを説明するために、円形の溶接ストリップ及び異なる程度に押し潰された溶接ストリップを光起電力アセンブリに適用して比較実験を行い、比較実験の結果は、表2~表6に示される。各実験表において、各組の実施形態の光起電力アセンブリは、溶接ストリップの押し潰し程度が異なることを除いて、他のパラメータ(例えばセルの厚さ、接着膜の種類及び厚さなど)が完全に同じであり、例えば正面板が厚さ3.2mmのガラスであり、接着膜が500g/mのEVAを採用し、電池の厚さが0.18mmであり、背板の厚さが0.3mmであり、かつ、他の実験条件も完全に同じである。ここで、各サンプル番号に代表されるのは、一組のサンプル光起電力アセンブリであり、その実験結果は、該組のサンプル光起電力アセンブリの実験結果の平均値である。具体的な実験方法は、以下の通りである。
【0053】
IEC 61215の要求に基づいて、機械荷重試験は、静的機械荷重試験及び動的機械荷重試験を含む。
【0054】
静的機械荷重は一般的に、まず、アセンブリの正面に5400Paで一時間加圧した後、アセンブリを反転して2400Paで一時間加圧し、このように3回繰り返す。試験が完了した後、アセンブリの外観、IV及びウェットリーク性能を測定する。
【0055】
動的機械荷重試験は、アセンブリを1000Paの圧力下で1000回の交互ロードサイクルを行う。次に、アセンブリを環境シミュレーション室に配置し、50回の熱サイクル(-40°C~85°C)を完成してマイクロクラックの拡張を発生させ、その後、10回の湿度凍結サイクル(85°C温度及び85%相対湿度が20時間、その後に-40°Cまで急速に降下する)を行い、それによって潜在的な腐食を刺激する。
【0056】
各ステップを行った後に、アセンブリを表し、かつ、アセンブリに故障予兆があるか否かを目視で検査する。試験が完了した後に、アセンブリの外観、IV(すなわち電力テスト)及びウェットリーク性能を測定する。
【0057】
表2は、0.18mm溶接ストリップ荷重試験を示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表3は、0.2mm溶接ストリップ荷重試験を示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表4は、0.27mm溶接ストリップ荷重試験を示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表5は、0.3mm溶接ストリップ荷重試験を示す。
【0064】
【表5】
【0065】
表6は、0.38mm溶接ストリップ荷重試験を示す。
【0066】
【表6】
【0067】
表2、表3、表4及び表6のデータに基づいて折れ線グラフをそれぞれ描画して図11図14に示すように、表2、表3、表4及び表6のデータに基づいて、図11図14に合わせて分かるように、溶接ストリップを押し潰すことによって、光起電力アセンブリの電力減衰を低減し、セルに生成された隠れクラック縞数を減少させることができ、かつ、溶接ストリップの押し潰し程度の増加に伴い、光起電力アセンブリの電力減衰が徐々に減少し、セルの隠れクラック縞数も徐々に減少する。しかしながら、溶接ストリップの押し潰し程度が過度に大きくなる場合、さらに溶接ストリップを押し潰して、折れ線グラフが緩やかになり、すなわち、電力減衰と隠れクラック縞数が明らかに変化しない。したがって、本実施形態において溶接ストリップが押し潰された後の厚さ範囲は、溶接ストリップの直径の29.6%~83.3%である。
【0068】
実施形態2
【0069】
実施形態2において、電池ストリングに含まれるセル1b同士は、間隔をあけて設置され、すなわち、隣接する2つのセル1bの間に間隔が設けられており、かつ、隣接する2つのセル1bは並設された複数本の溶接ストリップ5bによって接続される。
【0070】
光起電力アセンブリの溶接ストリップ5bの数は、11本~18本にすることができ、具体的には、光起電力アセンブリの溶接ストリップの数は、11本、12本、13本、14本、15本、16本又は18本であってもよく、すなわち、本実施形態による太陽電池ストリングにおいて隣接するセルは、数が11以上の複数本の並設された溶接ストリップ5bを用いて接続することができる。マルチメイングリッドのセルを例として、各溶接ストリップ5bがそれぞれ各メイングリッドに対応して敷設され、溶接ストリップの数の増加に伴い、各溶接ストリップ5bの両側の電池面積がより小さくなり、単一の溶接ストリップ5bの収集電流がより少なくなるため、厚さがより小さくてより細い溶接ストリップを採用する場合であっても、電流の安全な収集を保証することもできる。
【0071】
ここで、溶接ストリップの数と溶接ストリップの厚さ寸法とは、合理的にマッチングすべきである。例えば、溶接ストリップの数は11本であり、溶接ストリップの寸法は0.27mmである。溶接ストリップの数は12本であり、溶接ストリップの寸法は0.26mmである。溶接ストリップの数は13本であり、溶接ストリップの寸法は0.25mmである。溶接ストリップの数は14本であり、溶接ストリップの寸法は0.24mmである。溶接ストリップの数は15本であり、溶接ストリップの寸法は0.22mmである。溶接ストリップの数は16本であり、溶接ストリップの寸法は0.2mmである。溶接ストリップの数は18本であり、溶接ストリップの寸法は0.18mmである。
【0072】
製造中において選定された溶接ストリップ5bによって、適切な厚さの接着膜をあらかじめマッチングすることができる。例えば、溶接ストリップ5bの厚さは、0.18mm~0.27mmであることが好ましく、厚さの小さい溶接ストリップでは、電流負荷の要件を満たすことができるとともに、光起電力アセンブリのラミネート時に引き起こされるセル1aの隠れクラックを低減することができる。具体的にマッチングする際に、溶接ストリップ5bの厚さを0.18mm~0.27mmにする場合、第2厚さ(接着膜の厚さと溶接ストリップの厚さとの差)と一層の接着膜の厚さとの割合は25%~35%であり、例えば、接着層の最小厚さと防護接着層の厚さとの割合は、25%、26%、27%、28%、29%又は30%、31%、32%、33%、34%又は35%等であってもよい。該範囲内において、より良好な厚さ範囲を限定することができ、表7及び表8を参照してわかるように、該範囲は、高標準の製造要件を十分に満たし、かつ製造された光起電力アセンブリの電力減衰が1%以下であり、隠れクラック縞数が極めて少なく、35%を超える範囲においてさらに接着膜の厚さを増加させる必要がなくなるため、厚さが薄い接着膜を選択して薄い防護接着層を形成すれば、セルを効果的に保護することができる。それに応じて、接着膜をラミネートした後に厚さが25%~30%低下し、製造実測結果に合わせて、最終的に光起電力アセンブリ製品においてプレス成形された防護接着層2の第1厚さと防護接着層2の厚さとの割合が0~13%である。
【0073】
表7及び表8を引き続き参照すると、上記の割合に対応して、前記接着膜の坪量は、230g/m~400g/mであり、例えば、接着膜の坪量は、230g/m、250g/m、255g/m、275g/m、300g/m、335g/m、355g/m、370g/m、380g/m、400g/m等であってもよい。この範囲内では、接着膜と溶接ストリップ5bの厚さを適切にマッチングさせることができる。接着膜の坪量が230g/mよりも小さくなる場合、防護接着層2の厚さが薄すぎることによって、溶接ストリップ5bの寸法が小さすぎて電流負荷の要件を満たすことが困難である。
【0074】
さらに、溶接ストリップ5bは、複数の部位に分ける構造に設計することが可能である。具体的には、溶接ストリップ5bは、接続された光反射部及び扁平部を含み、光反射部が前記セルの表面に設置され、扁平部が少なくとも部分的に、隣接する2つの前記セル1bの間に設置される(例えば、2つのセル1bが間隔をあけて配置されかつ溶接ストリップが2つのセルに接続される時、2つの光反射部がそれぞれ1つのセルの正面と隣接するセルの背面に設置され、この時に扁平部が2つのセルの間を通過しかつセルの縁部に接触し、扁平構造がセルの縁部に接触する時に、セルに印加する圧力が低下する)。すなわち、溶接ストリップ2における隣接する2つのセル1bの間の部位が扁平構造である場合、セル1bの縁部との間の接触圧力を低下させることができ、セル1bの縁部の隠れクラックの発生リスクを低下させる。これに加え、光反射部の厚さが0.18mm~0.27mmであることと組み合わせて、光起電力アセンブリのラミネート時に引き起こされるセル1bの表面及び縁部の隠れクラックを効果的に低減することができる。
【0075】
したがって、光起電力アセンブリが上記複数の部位に分ける設計を採用する場合、溶接ストリップが薄い溶接ストリップであり、光反射部の厚さが小さく、溶接ストリップ2の隣接する2つのセル1bの間の部位が扁平構造であり、かつ扁平部の厚さが0.08mm~0.15mmであり、全体としてセル1bの表面及び縁部との間の接触による単位面積当たり受ける圧力を低減することができ、形成される防護接着層の厚さに対する要求が低下し、薄い防護接着層であればセルの縁部を効果的に保護することができ、第1厚さと防護接着層の厚さとの割合は0%以上10%以下にすることができ、又は、防護接着層の坪量は230g/m~380g/mにすることができる。
【0076】
他のいくつかの実施形態において、溶接ストリップ5bの直径が0.18mmよりも小さい場合、溶接ストリップ5bが細すぎることによって、使用中に非常に焼損しやすく、電流の正常な収集に影響を与える。溶接ストリップ5bの直径が0.27mmよりも大きい場合、溶接ストリップ5bの寸法が大きすぎることによって、より厚い接着膜を選択する必要があり、これは光起電力アセンブリの製造コストの増加につながってしまう。
【0077】
いくつかの実施形態において、提供される電池ストリングは、複数のセル1b及び溶接ストリップ5bを含み、セル1bにはメイングリッドが設けられ、セル1bは、方形電池基板であってもよく、電池基板がメイングリッドの延在方向に沿って複数回分割して形成されたN個片であってもよく、N≧2である。大きなサイズの電池基板に比べて、分割されたセル1bの面積が小さく、単一の小さい面積のセル1bの収集電流が小さいため、セル1bの短絡電流Iscを低減するとともに、光起電力アセンブリにおける接続箱の定格電流要求を低減し、バイパスダイオードに対する性能要求も低減することができ、それによって光起電力アセンブリ全体の回路設計の難度及びリスクを低減し、光起電力アセンブリの設計の柔軟性を大幅に向上させることができる。そして、小さい面積のセル1bの出力電流が小さく、溶接ストリップ5bに流れる電流も対応的に低減することによって、光起電力アセンブリの溶接ストリップ5bでの電力損失を低減させ、光起電力アセンブリが高い電力出力を維持することを確保することができる。
【0078】
本実施形態の複数本の溶接ストリップ5bは、セル1bの複数本の平行なメイングリッドに対応して敷設され、溶接ストリップ5bは、そのうちの1つのセル1bの正面メイングリッドと他の1つのセル1bの背面メイングリッドに接続されることによって、隣接する2つのセル1bを接続する。これに加え、N個片を採用すると、各溶接ストリップ5bの両側の電池面積が小さくなることによって、単一の溶接ストリップ5bに流れる電流が低減し、すなわち、溶接ストリップの電流負荷が小さくなり、それによって光起電力アセンブリは、断面がより小さい溶接ストリップ5bを配置しても、電流を安全に収集する要求に合致することができる。したがって、本実施形態は、厚さの小さくて断面の小さい溶接ストリップと組み合わせて使用される。断面がより小さい溶接ストリップ5b(厚さが0.27mm以下)と組み合わせて採用することによって、溶接ストリップ5bのセル1b表面に対する遮蔽を減少させ、発電電力を向上させることができ、隠れクラックの発生リスクを低減することもできる。また、厚さの小さい溶接ストリップ5bを採用することによって、セル1bに対する圧力が小さく、且つ防護接着層を貫通しにくく、それにより、薄い防護接着層としても、良好な保護効果を奏することができ、コストダウンの目的に達成することができる。
【0079】
なお、他のいくつかの実施形態では、一体電池を採用することと比較して、光起電力アセンブリがN個片を採用する場合、同じサイズの光起電力アセンブリに含まれるセルの数がより多く、セルが順に配置される前提で、セルとセルとの接続部位の数もより多く、それに伴い、溶接ストリップがセルとセルの間を通過するときにセルの縁部との接触部位も多くなり、隠れクラックが発生する可能性が大きくなるため、セルの縁部を十分に保護するためにより厚い接着膜が必要となり、特にセルが重なって配置される場合に重畳領域もより多く、セルの重畳領域を保護するためにより厚い接着膜が必要となる。したがって、N個片の設計を採用する場合、前記第1厚さと前記防護接着層の厚さとの割合は5%以上20%以下であり、又は、前記防護接着層の坪量は245g/m~610g/mである。
【0080】
セルが重なって配置される場合、複数のセル1は、第1方向に沿って順に配列され、セル1は、単層領域及び積層領域を含み、隣接するセル1は、積層領域に積層して配置され、すなわち、各セル1が覆瓦状に配列されることによって、セル1の間の隙間を減少させ、N個のセル1の占用する総面積を分割前の電池基板の面積以下にして、アセンブリの出力効率を確保しつつ、発電所のスペース利用率を向上させる。
【0081】
さらに、電池基板の第1方向に沿った長さは、156mm~220mmであり、例えば、電池基板の第1方向に沿った長さは、156mm、160mm、165mm、170mm、175mm、180mm、185mm、190mm、195mm、200mm、205mm、210mm、215mm、220mm等であってもよい。上記仕様の電池基板に対応して、電池基板において9~20本の溶接ストリップ5が並設され、第1方向に沿って分割して得られたセル上の溶接ストリップも9~20本である。例えば、太陽電池ストリング上の溶接ストリップ5の数は、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であってもよく、すなわち、本実施形態による太陽電池ストリングは、数が9より大きい溶接ストリップを採用しており、溶接ストリップの数の増加に伴い、各溶接ストリップ5の両側の電池面積がより小さくなり、単一の溶接ストリップ5の収集電流がより少なくなり、電気負荷が小さいため、本実施形態における極細溶接ストリップを採用することによって、電流を安全に収集することを確保することができ、かつ電流収集の効果が変わらない。
【0082】
そのうちのいくつかの実施形態において、電池基板の第1方向に沿った長さは、156mm~170mmとすることができ、かつ、セル上の溶接ストリップの数は、10~16本である。この場合に、セルに設置された溶接ストリップの数は、対応的に少ない。該条件で溶接ストリップ5の光反射部の選択可能な厚さは、0.20mm~0.27mmである。
【0083】
他のいくつかの実施形態において、電池基板の第1方向に沿った長さは、170mm~180mmにすることができ、かつ、電池基板上の溶接ストリップの数は、12~18本である。この場合に、電池基板の長さが大きくなり、設置された溶接ストリップの数がより多くなる。溶接ストリップの数が多くなる場合、各溶接ストリップ5の両側の電池面積がより小さくなり、単一の溶接ストリップ5の収集電流がより少なくなり、電気負荷が小さいため、厚さのより小さい溶接ストリップを選択することができ、この場合に光反射部の厚さは0.18mm~0.27mmにすることができる。
【0084】
さらにいくつかの実施形態において、電池基板の第1方向に沿った長さは、180mm~220mmにすることができる。この場合に、電池基板の長さがより大きくなり、設置された溶接ストリップの数がさらに増加し、溶接ストリップの数が13~20本に達することができる。溶接ストリップの数がより多くなる場合、各溶接ストリップ5の両側の電池面積が相対的により小さくなり、単一の溶接ストリップ5の電気負荷がより小さくなるため、光反射部の厚さが0.18mm~0.27mmにすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、並設された溶接ストリップ5bの数が1~11本である場合、各溶接ストリップ5bの両側の電池面積が増大し、溶接ストリップ5bが受ける電流負荷が対応して増大し、厚さがより大きい溶接ストリップが必要となり、これは、隠れクラックが発生する可能性が増大することにつながってしまい、それに応じてセルを保護するためにより厚い防護接着層2を形成する必要がある。したがって、該設計を採用する場合、前記第1厚さと前記防護接着層の厚さとの割合が10%以上20%以下であり、又は、前記防護接着層の坪量が255g/m~610g/mである。
【0086】
本願の実施形態に係る上記光起電力アセンブリは隠れクラックの発生リスクを低減する効果を有することを説明するために、異なる寸法の溶接ストリップと異なる厚さを有する接着膜のマッチング実験を行い、実験結果は、表7及び表8に示される。各実験表において、各組の実施形態の光起電力アセンブリは、表に示された相違点を除いて、他のパラメータ(例えばセルの厚さ、溶接ストリップの太さ、接着膜の種類等)が完全に同じであり、かつ、他の実験条件も完全に同じであり、例えば正面板が厚さ3.2mmのガラスであり、電池の厚さが0.18mmであり、背板の厚さが0.3mmであり、ラミネートの温度が一般的に135~145℃であり、ラミネートの時間が360sであり、ラミネート圧力が-60Mpaである。ここで、表7は0.18mmの溶接ストリップを採用する光起電力アセンブリであり、表8は0.27mmの溶接ストリップを採用する光起電力アセンブリであり、各サンプル番号に代表されるものは一組のサンプル光起電力アセンブリであり、その実験結果は、該組のサンプル光起電力アセンブリの実験結果の平均値である。
【0087】
表7は、光起電力アセンブリにおいて0.18mmの溶接ストリップが異なる厚さの接着膜とマッチングする荷重試験を示す。
【0088】
【表7】
【0089】
表8は、光起電力アセンブリにおいて0.27mmの溶接ストリップが異なる厚さの接着膜とマッチングする荷重試験を示す。
【0090】
【表8】
【0091】
表7及び表8のデータに基づいてそれぞれ図15及び図16が描画される。表7及び表8のデータから分かるように、第2厚さと一層の接着膜の厚さとの割合範囲(すなわち溶接ストリップを超える接着層の占める割合の範囲)を限定することによって、接着膜の厚さと溶接ストリップの寸法との合理的なマッチングを図ることができ、隠れクラックの発生リスクを低減し、光起電力アセンブリの電力減衰を低減させることができる。表7のデータ及び図15から分かるように、割合範囲が25%~40%である場合、隠れクラック縞数が6以下でありかつ電力減衰が0.9%以下であることを図ることができる。割合が25%よりも小さい場合、隠れクラック縞数及び電力減衰がいずれも明らかに増加する。割合が40%よりも大きい場合、耐隠れクラック効果及び電力減衰値の低下が明らかではないが、膜厚の増加がコストの上昇につながってしまう。表8のデータ及び図16から分かるように、割合範囲が25%~40%である場合、隠れクラック縞数が8以下でありかつ電力減衰が1.0%以下であることを図ることができる。割合が25%よりも小さい場合、隠れクラック縞数及び電力減衰がいずれも明らかに増加する。割合が40%よりも大きい場合、耐隠れクラック効果及び電力減衰がかえって悪化し、これは、接着膜の厚さが大きすぎることによって、ラミネート時に接着膜が十分に加熱されて溶融することが困難であり、さらに接着に影響を与え、耐隠れクラック効果を低下させてしまい、そして、選択された接着膜の厚さが大きいほど、ラミネート時に必要な圧力も大きくなり、かえって隠れクラックの発生リスクを増加させ、かつ厚さが増加すると、コストも増加してしまうためである。
【0092】
以上は、本願の好ましい実施形態に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な修正及び変更を行うことができる。本願の主旨を逸脱しない範囲で行われた如何なる修正、同等置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0093】
1……セル
2……防護接着層
3……透光板
4……背板
5……溶接ストリップ
50……光反射部
52……扁平部
520……本体
522……遷移部
6……メイングリッド
7……電池ストリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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