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特許7506765電極コンポーネント、電池セル、電池及び電力消費機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電極コンポーネント、電池セル、電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/586 20210101AFI20240619BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240619BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20240619BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20240619BHJP
   H01M 50/59 20210101ALI20240619BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240619BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20240619BHJP
【FI】
H01M50/586
H01M50/531
H01M50/536
H01M50/538
H01M50/59
H01M10/04 W
H01M10/04 Z
H01M10/058
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022567037
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021139225
(87)【国際公開番号】W WO2022199152
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】202120592570.X
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲錢▼
(72)【発明者】
【氏名】杜国▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼▲啓▼凡
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013733(JP,A)
【文献】特表2013-505553(JP,A)
【文献】特開2014-110160(JP,A)
【文献】特開2005-339939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 10/04
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極コンポーネントであって、極性が逆である第一の極板と第二の極板とを含み、前記第一の極板と前記第二の極板は、重畳して設置され、
前記第一の極板は、第一の活物質部と、前記第一の活物質部から突出する複数の第一の非活物質部とを含み、複数の前記第一の非活物質部は、積層して設置されており、
少なくとも隣接する二つの前記第一の非活物質部の間には、接続層が設けられ、前記接続層と前記第一の活物質部は、第一の方向に沿って間隔をおいて設置され、隣接する二つの前記第一の非活物質部を接続するために用いられ、前記第一の方向は、前記第一の非活物質部が前記第一の活物質部から突出する方向であり、
前記第二の極板は、第二の活物質部と、前記第二の活物質部から突出する複数の第二の非活物質部とを含み、複数の前記第二の非活物質部は、積層して設置されており、
前記電極コンポーネントは、隔離部と前記隔離部から突出する突出部とを含むセパレータをさらに含み、前記隔離部は、前記第一の活物質部と前記第二の活物質部とを隔離するために用いられ、
前記突出部の前記隔離部から乖離する端部は、隣接する二つの前記第一の非活物質部の間に位置しており、且つ前記接続層は、前記端部を前記第一の非活物質部に固定する、電極コンポーネント。
【請求項2】
前記第一の非活物質部は、前記第一の方向に沿って連続して設置される第一の領域と、第二の領域と、第三の領域とを含み、前記第二の領域は、少なくとも一部が前記接続層により覆われ、前記第一の領域と前記第三の領域は、いずれも前記接続層により覆われておらず、前記第二の領域は、前記第一の領域の前記第一の活物質部から乖離する側に位置する、請求項1に記載の電極コンポーネント。
【請求項3】
前記接続層と前記第一の非活物質部は、第二の方向の周縁に沿って間隔をおいて設置され、前記第二の方向は、前記第一の方向に垂直である、請求項1に記載の電極コンポーネント。
【請求項4】
前記接続層は、ホットメルト接着剤であり、前記第一の非活物質部の表面に接着される、請求項1に記載の電極コンポーネント。
【請求項5】
任意の二つの隣接する前記第一の非活物質部の間には、いずれも前記接続層が設置されている、請求項1に記載の電極コンポーネント。
【請求項6】
隣接する二つの前記第一の非活物質部の間には、複数の前記接続層が設置されており、複数の前記接続層は、第二の方向に沿って間隔をおいて設置され、前記第二の方向は、前記第一の方向に垂直である、請求項1に記載の電極コンポーネント。
【請求項7】
電池セルであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに設置される電極端子と、
少なくとも一つの、請求項1からのいずれか1項に記載の電極コンポーネントとを含み、前記電極コンポーネントは、前記ハウジングに収容され、前記第一の非活物質部は、前記電極端子に電気的に接続される、電池セル。
【請求項8】
前記電池セルは、前記電極端子と前記第一の非活物質部とを接続するための集電部材をさらに含み、
前記第一の非活物質部は、前記接続層により覆われておらず且つ前記接続層の前記第一の活物質部から乖離する側に位置する領域が、前記集電部材に溶接するために用いられる、請求項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第一の非活物質部は、前記接続層により覆われた領域で折り曲げられる、請求項に記載の電池セル。
【請求項10】
電池であって、
筐体と、
少なくとも一つの、請求項からのいずれか1項に記載の電池セルとを含み、前記電池セルは、前記筐体内に収容される、電池。
【請求項11】
電力消費機器であって、請求項10に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギを提供するために用いられる、電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年03月23日に提出された名称が「電極コンポーネント、電池セル、電池及び電力消費機器」である中国特許出願202120592570.xの優先権を主張しており、この出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、電池分野に関し、特に電極コンポーネント、電池セル、電池及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0003】
再充電可能な電池セルは、二次電池セルとも称され、電池セル放電後に充電の方式により活物質を活性化させて使用し続けることができるものである。再充電可能な電池セルは、電子機器、例えば携帯電話、ノートパソコン、電気バイク、電気自動車、電気飛行機、電気汽船、電気玩具自動車、電気玩具汽船、電気玩具飛行機と電気工具などに広く用いられている。再充電可能な電池セルは、ニッケルカドミウム電池セル、水素ニッケル電池セル、リチウムイオン電池セルとアルカリ亜鉛マンガン二次電池セルなどを含んでもよい。
【0004】
電池技術の発展において、電池の性能向上に加え、安全問題も無視できない問題の一つである。電池の安全問題を確保できない場合、この電池は使用できない。そのため、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術において早急に解決すべき技術課題である。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、短絡リスクを低減し、安全性能を向上させることができる電極コンポーネント、電池セル、電池及び電力消費機器を提供する。
【0006】
第一の方面によれば、本出願の実施例は、電極コンポーネントを提供した。前記電極コンポーネントは、極性が逆である第一の極板と第二の極板とを含み、第一の極板と第二の極板は、重畳して設置される。第一の極板は、第一の活物質部と、第一の活物質部から突出する複数の第一の非活物質部とを含み、複数の第一の非活物質部は、積層して設置される。少なくとも隣接する二つの第一の非活物質部の間には、接続層が設けられ、接続層と第一の活物質部は、第一の方向に沿って間隔をおいて設置され、隣接する二つの第一の非活物質部を接続するために用いられ、第一の方向は、第一の非活物質部が第一の活物質部から突出する方向である。
【0007】
上記方案では、接続層は、二つの第一の非活物質部の間に拘束を形成するために、隣接する二つの第一の非活物質部を接続する。折り曲げられる過程において、接続層は、この二つの第一の非活物質部のズレ、分岐を減らし、短絡リスクを低減し、安全性を向上させることができる。接続層と第一の活物質部は、第一の方向に沿って間隔をおいて設置することによって、接続層の変形によって活物質の脱落を起こすリスクを低減する。
【0008】
いくつかの実施例では、第一の非活物質部は、第一の方向に沿って連続して設置される第一の領域と、第二の領域と、第三の領域とを含み、第二の領域は、少なくとも一部が接続層により覆われ、第一の領域と第三の領域は、いずれも接続層により覆われておらず、第二の領域は、第一の領域の第一の活物質部から乖離する側に位置する。選択的に、第三の領域は、集電部材に溶接するために用いられてもよい。
【0009】
いくつかの実施例では、接続層と第一の非活物質部は、第二の方向の周縁に沿って間隔をおいて設置され、第二の方向は、第一の方向に垂直である。
【0010】
いくつかの実施例では、接続層は、コロイドであり、第一の非活物質部の表面に接着される。選択的に、このコロイドは、ホットメルト接着剤である。
【0011】
いくつかの実施例では、任意の二つの隣接する第一の非活物質部の間には、いずれも接続層が設置されている。接続層は、複数の第一の非活物質部の間に拘束を形成するために、全ての第一の非活物質部を接続し、複数の第一の非活物質部の分岐、ズレを減らし、短絡リスクを低減し、安全性を向上させる。
【0012】
いくつかの実施例では、隣接する二つの第一の非活物質部の間には、複数の接続層が設置されており、複数の接続層は、第二の方向に沿って間隔をおいて設置され、第二の方向は、第一の方向に垂直である。複数の接続層は、それぞれ第一の非活物質部の複数の領域に接続されて、二つの第一の非活物質部をより均一に接続する。
【0013】
いくつかの実施例では、第二の極板は、第二の活物質部と、第二の活物質部から突出する複数の第二の非活物質部とを含み、複数の第二の非活物質部は、積層して設置される。電極コンポーネントは、隔離部と隔離部から突出する突出部とを含むセパレータをさらに含み、隔離部は、第一の活物質部と第二の活物質部とを隔離するために用いられる。突出部の隔離部から乖離する端部は、隣接する二つの第一の非活物質部の間に位置しており、且つ接続層は、端部を第一の非活物質部に固定する。
【0014】
上記方案では、突出部は、第一の非活物質部の根元部と第二の極板とを隔離し、第一の非活物質部が折り曲げられる過程で第二の極板と導通するリスクを低減させることができる。接続層は、突出部の端部を第一の非活物質部に固定する。そのため、本出願の実施例は、突出部が第一の活物質部と第二の活物質部との間に折返すことを回避し、突出部の絶縁効果を確保することができる。
【0015】
第二の方面によれば、本出願の実施例は、電池セルをさらに提供した。前記電池セルは、ハウジングと、ハウジングに設置される電極端子と、少なくとも一つの第一の方面による電極コンポーネントとを含み、前記電極コンポーネントは、ハウジングに収容され、第一の非活物質部は、電極端子に電気的に接続される。
【0016】
いくつかの実施例では、電池セルは、電極端子と第一の非活物質部とを接続するための集電部材をさらに含む。第一の非活物質部は、接続層により覆われておらず且つ接続層の第一の活物質部から乖離する側に位置する領域が、集電部材に溶接するために用いられる。
【0017】
いくつかの実施例では、第一の非活物質部は、接続層により覆われた領域で折り曲げられる。
【0018】
第三の方面によれば、本出願の実施例は、電池をさらに提供した。前記電池は、筐体と、少なくとも一つの第二の方面による電池セルとを含み、前記電池セルは、筐体内に収容される。
【0019】
第四の方面によれば、本出願の実施例は、電力消費機器をさらに提供した。前記電力消費機器は、第三の方面による電池を含み、電池は、電気エネルギを提供するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下は、図面を参照しながら本出願の例示的な実施例の特徴、利点と技術的効果を記述する。図面において、図面は、実際の割合で描かれているとは限らない。
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の分解概略図である。
図3図2に示す電池モジュールの構造概略図である。
図4図3に示す電池セルの分解概略図である。
図5】本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネントの構造概略図である。
図6】本出願の具体的な実施例による電極コンポーネントの正面図である。
図7図6に示す電極コンポーネントが線A-Aに沿って作られた断面概略図である。
図8図6に示す電極コンポーネントが線B-Bに沿って作られた断面概略図である。
図9図8に示す電極コンポーネントの円枠Cにおける拡大概略図である。
図10】本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネントの第一の極板の展開状態における局所構造概略図である。
図11】本出願のいくつかの実施例による電池セルの局所断面概略図である。
図12図11に示す電池セルのブロックDにおける拡大概略図である。
図13】本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネントと集電部材の溶接過程における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明瞭にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述する。明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0022】
特に定義がない限り、本出願で使用される全ての技術と科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じであり、本出願において、出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。
【0023】
本出願で「実施例」に言及することは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例でもない。
【0024】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定又は限定しない限り、用語である「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「装着」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体に接続されてもよく、直接に繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0025】
本出願における用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを含むことを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0026】
本出願の実施例では、同じ図面マークは、同じ部品を示し、且つ簡潔のために、異なる実施例において、同じ部品に対する詳細な説明を省略している。理解すべきこととして、図面に示される本出願の実施例における様々な部品の厚さ、縦横などのサイズ、及び集積装置の厚さ全体、縦横などのサイズは、例示的な説明に過ぎず、本出願に対して任意の限定を構成すべきではない。
【0027】
本出願に現れる「複数」とは、二つ以上(二つを含む)である。
【0028】
出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セルなどを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈することができ、本出願の実施例は、これについても限定されない。電池セルは、一般的に、パッケージングングによって柱形電池セル、角型電池セルと軟質バッグ電池セルという三種類に分けられ、本出願の実施例は、これについても限定されない。
【0029】
本出願の実施例でいう電池とは、より高い電圧と容量を提供するための一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本出願でいう電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0030】
電池セルは、正極極板、負極極板とセパレータから構成される電極コンポーネントと、電解液とを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極極板と負極極板との間で移動することによって作動する。正極極板は、正極集電体と、正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布される。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極極板は、負極集電体と、負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布される。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。セパレータは、貫通する大量の微細孔を有し、電解質イオンの自由通過を保証することができ、リチウムイオンに対して比較的良好な透過性を有する。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。なお、電極コンポーネントは、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例は、これに限定されるものではない。
【0031】
正極極板の外形から見ると、正極極板は、正極活物質部と、正極活物質部から突出する複数の正極非活物質部とを含み、複数の正極非活物質部は、積層して設置される。正極活物質部は、少なくとも一部に正極活物質層が設置されており、正極非活物質部は、少なくとも一部に正極活物質層が設置されていない。正極非活物質部は、正極タブと呼ばれてもよい。
【0032】
同様に、負極極板の外形から見ると、負極極板は、負極活物質部と、負極活物質部から突出する複数の負極非活物質部とを含み、複数の負極非活物質部は、積層して設置される。負極活物質部は、少なくとも一部に負極活物質層が設置されており、負極非活物質部は、少なくとも一部に負極活物質層が設置されていない。負極非活物質部は、負極タブと呼ばれてもよい。
【0033】
電池セルでは、正極非活物質部と負極非活物質部とが占める空間を節約するために、本出願では、正極非活物質部と負極非活物質部とを折り曲げてもよい。しかしながら、発明者は、積層された複数の正極非活物質部を折り曲げた場合、複数の正極非活物質部にズレ、分岐が生じる可能性があり、正極非活物質部が負極極板と接触するリスクを起こし、短絡が発生してしまうこと、積層された複数の負極非活物質部を折り曲げた場合、複数の負極非活物質部にズレ、分岐が生じる可能性があり、負極非活物質部が正極極板と接触するリスクを起こし、短絡が発生してしまうことを見出した。
【0034】
これに鑑みて、本出願の実施例は、技術案を提供する。具体的には、電極コンポーネントは、極性が逆である第一の極板と第二の極板とを含み、第一の極板と第二の極板は、積層されて設置される。第一の極板は、第一の活物質部と、第一の活物質部から突出する複数の第一の非活物質部とを含み、複数の第一の非活物質部は、重畳して設置される。少なくとも隣接する二つの第一の非活物質部の間には、接続層が設けられ、接続層と第一の活物質部は、第一の方向に沿って間隔をおいて設置され、隣接する二つの第一の非活物質部を接続するために用いられ、第一の方向は、第一の非活物質部が第一の活物質部から突出する方向である。このような構造は、第一の非活物質部が局所に定型化され、ズレ、分岐が生じにくく、比較的良好な安全性を有する。
【0035】
本出願の実施例に記述された技術案は、電池及び電池を用いた電力消費機器に適用できる。
【0036】
電力消費機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙船、電気玩具と電気工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギ自動車であってもよく、新エネルギ自動車は、純電気自動車、ハイブリッド動力自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙飛行船などを含み、電気玩具は、据置式又は移動式の電気玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具と電気飛行機玩具などを含み、電気工具は、金属切削電気工具、研削電気工具、組立用電気工具と鉄道用電気工具、例えば、電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ、電気フライスなどを含む。本出願の実施例は、上記電力消費機器について特に制限されない。
【0037】
以下の実施例を容易に説明するために、電力消費機器が車両であることを例にして説明する。
【0038】
図1を参照すると、図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1の構造概略図であり、車両1の内部には、電池2が設置されており、電池2は、車両1の底部又は先端又は後端に設置されてもよい。電池2は、車両1への給電に使用でき、例えば、電池2は、車両1の操作電源とすることができる。
【0039】
車両1は、コントローラ3と、モータ4とをさらに含んでもよく、コントローラ3は、モータ4に給電するように電池2を制御するためのものであり、例えば、車両1の始動、ナビゲーションと走行時の作動電力消費需要に用いられる。
【0040】
本出願のいくつかの実施例では、電池2は、車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することができる。
【0041】
図2を参照すると、図2は、本出願のいくつかの実施例による電池2の分解概略図であり、電池2は、筐体5と、電池セル(図2には図示せず)とを含み、電池セルは、筐体5内に収容される。
【0042】
筐体5は、電池セルを収容するために用いられ、筐体5は、様々な構造であってもよい。いくつかの実施例では、筐体5は、第一の筐体部51と、第二の筐体部52とを含んでもよく、第一の筐体部51と第二の筐体部52は、互いにカバーし合い、第一の筐体部51と第二の筐体部52は、共同で電池セルを収容するための収容空間53を画定する。第二の筐体部52は、一端が開口した中空構造であってもよく、第一の筐体部51は、板状構造であり、第一の筐体部51は、第二の筐体部52の開口側をカバーして、収容空間53を有する筐体5を形成する。第一の筐体部51と第二の筐体部52は、いずれも一側が開口した中空構造であってもよく、第一の筐体部51の開口側は、第二の筐体部52の開口側をカバーして、収容空間53を有する筐体5を形成する。無論、第一の筐体部51と第二の筐体部52は、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。
【0043】
第一の筐体部51が第二の筐体部52に接続された後のシール性を向上させるために、第一の筐体部51と第二の筐体部52との間には、シール材、例えば、シーラント、シールリングなどを設置してもよい。
【0044】
第一の筐体部51が第二の筐体部52の最上部をカバーすると、第一の筐体部51は、上ケース蓋とも呼ばれてもよく、第二の筐体部52は、下筐体とも呼ばれてもよい。
【0045】
電池2では、電池セルは、一つであってもよく、複数であってもよい。電池セルが複数であれば、複数の電池セル同士は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続されるとは、複数の電池セルに直列接続も並列接続も含まれることを意味する。複数の電池セル同士は、直接に直列接続又は並列接続又は直並列接続され、複数の電池セルからなる全体を筐体5内に収容してもよい。無論、複数の電池セルは、先に直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュール6を構成し、複数の電池モジュール6がさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一つの全体を構成し、筐体5内に収容されてもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、図3を参照すると、図3は、図2に示す電池モジュール6の構造概略図である。電池セル7は、複数であり、複数の電池セル7は、先に直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュール6を構成する。複数の電池モジュール6は、さらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一つの全体を構成し、筐体内に収容される。
【0047】
電池モジュール6における複数の電池セル7同士は、電池モジュール6における複数の電池セル7の並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するために、バスバー部品を介して電気的に接続されてもよい。
【0048】
図4を参照すると、図4は、図3に示す電池セル7の分解概略図である。本出願の実施例による電池セル7は、電極コンポーネント10と、ハウジング20とを含み、電極コンポーネント10は、ハウジング20内に収容される。
【0049】
いくつかの実施例では、ハウジング20は、電解質、例えば電解液を収容するためにも用いられる。ハウジング20は、様々な構造形式であってもよい。
【0050】
いくつかの実施例では、ハウジング20は、ケース21と、エンドキャップ22とを含んでもよく、ケース21は、一側が開口した中空構造であり、エンドキャップ22は、ケース21の開口にカバーしてシール接続を形成して、電極コンポーネント10と電解質とを収容するためのシール空間を形成する。
【0051】
ケース21は、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。ケース21の形状は、電極コンポーネント10の具体的な形状に応じて決定してもよい。例えば、電極コンポーネント10が円柱体構造であれば、円柱体ケースを選択することができ、電極コンポーネント10が直方体構造であれば、直方体ケースを選択することができる。無論、エンドキャップ22は、様々な構造であってもよく、例えば、エンドキャップ22は、板状構造や、一端が開口した中空構造などであってもよい。例示的に、図4において、ケース21は、直方体構造であり、エンドキャップ22は、板状構造であり、エンドキャップ22は、ケース21最上部の開口にカバーする。
【0052】
いくつかの実施例では、電池セル7は、二つの電極端子30をさらに含み、二つの電極端子30は、いずれもエンドキャップ22上に取り付けられる。二つの電極端子30は、それぞれ正極電極端子及び負極電極端子であり、正極電極端子と負極電極端子は、いずれも電極コンポーネント10に電気的に接続され、電極コンポーネント10が発生する電気エネルギを出力するために用いられる。
【0053】
いくつかの実施例では、電池セル7は、電極端子30と電極コンポーネント10とを接続するための集電部材40をさらに含む。例示的に、集電部材40は、二つであり、一方の集電部材40は、正極電極端子と電極コンポーネント10の正極極板とを接続するために用いられ、もう一方の集電部材40は、負極電極端子と電極コンポーネント10の負極極板とを接続するために用いられる。
【0054】
いくつかの実施例では、電池セル7は、エンドキャップ22上に取り付けられた放圧機構50をさらに含み、放圧機構50は、電池セル7の内圧又は温度が所定値に達したときに、電池セル7内部の圧力を逃がすために用いられる。例示的に、放圧機構50は、正極電極端子と負極電極端子との間に位置されており、放圧機構50は、例えば防爆弁、防爆片、ガス弁、放圧弁又は安全弁などの部品であってもよい。
【0055】
無論、いくつかの実施例では、ハウジング20は、他の構造であってもよく、例えば、ハウジング20は、ケース21と二つのエンドキャップ22とを含み、ケース21は、対向する両側が開口した中空構造であり、一つのエンドキャップ22は、ケース21の一つの開口にカバーし、シール接続を形成して、電極コンポーネント10と電解質とを収容するためのシール空間を形成するためのものに対応する。このような構造では、正極電極端子と負極電極端子は、同一のエンドキャップ22上に取り付けられてもよく、異なるエンドキャップ22上に取り付けられてもよい。一つのエンドキャップ22上に放圧機構50が取り付けられてもよく、二つのエンドキャップ22上に、いずれも放圧機構50が取り付けられてもよい。
【0056】
説明すべきこととして、電池セル7では、ハウジング20内に収容される電極コンポーネント10は、一つであってもよく、複数であってもよい。例示的に、図4において、電極コンポーネント10は、二つである。
【0057】
次に、図面を結び付けながら電極コンポーネント10の具体的な構造を詳細に記述する。
【0058】
図5は、本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネントの構造概略図である。図6は、本出願の具体的な実施例による電極コンポーネントの正面図である。図7は、図6に示す電極コンポーネントが線A-Aに沿って作られた断面概略図である。図8は、図6に示す電極コンポーネントが線B-Bに沿って作られた断面概略図である。図5に示す電極コンポーネントは、部分が展開される。
【0059】
図5から図8に示すように、本出願の実施例の電極コンポーネント10は、極性が逆である第一の極板11と、第二の極板12とを含み、第一の極板11と第二の極板12は、重畳して設置される。いくつかの実施例において、第一の極板11は、正極極板であり、第二の極板12は、負極極板である。別のいくつかの実施例において、第一の極板11は、負極極板であり、第二の極板12は、正極極板である。
【0060】
いくつかの実施例では、電極コンポーネント10は、第一の極板11と第二の極板12とを隔離するためのセパレータ13をさらに含む。例示的に、セパレータ13は、第一の極板11と第二の極板12との間に設置される。
【0061】
いくつかの実施例では、電極コンポーネント10は、巻回型構造である。そのうち、第一の極板11、セパレータ13及び第二の極板12は、いずれも帯状構造である。第一の極板11、セパレータ13及び第二の極板12を順に積層して2回以上巻回して電極コンポーネント10を形成するとともに、電極コンポーネント10が偏平形状をなしている。電極コンポーネント10を作製するときに、電極コンポーネント10を直接に偏平形状に巻回してもよいし、先に中空の円柱形構造に巻回して、巻回後に偏平形状に押してもよい。
【0062】
別のいくつかの実施例では、電極コンポーネント10は、積層型構造である。電極コンポーネント10は、複数の第一の極板11と、複数の第二の極板12とを含み、第一の極板11と第二の極板12は、交互に積層され、積層の方向は、第一の極板11の厚さ方向と第二の極板12の厚さ方向とに平行である。
【0063】
第一の極板11は、第一の集電体111と、第一の集電体111の表面に塗布される第一の活物質層112とを含む。第一の集電体111は、第一の集電部と、第一の集電部の端部から延びる第一の導電部とを含み、第一の導電部は、第一の集電部から突出し、第一の集電部の少なくとも一部の領域には、第一の活物質層112が塗布されており、第一の導電部の少なくとも一部の領域には、第一の活物質層112が塗布されておらず、第一の導電部の第一の活物質層112が塗布されていない領域は、電極端子と電気的に接続されるために用いられる。
【0064】
第一の極板11の外形から見ると、第一の極板11は、第一の活物質部113と、第一の活物質部113から突出する複数の第一の非活物質部114とを含み、複数の第一の非活物質部114は、積層して設置される。そのうち、第一の活物質部113は、第一の集電部と、第一の活物質層112の第一の集電部上に塗布される部分とを含み、第一の非活物質部114は、第一の導電部を含む。第一の非活物質部114は、第一のタブと呼ばれてもよい。
【0065】
第二の極板12は、第二の集電体121と、第二の集電体121表面に塗布される第二の活物質層122とを含む。第二の集電体121は、第二の集電部と、第二の集電部の端部から延びる第二の導電部とを含み、第二の導電部は、第二の集電部から突出し、第二の集電部の少なくとも一部の領域には、第二の活物質層122が塗布されており、第二の導電部の少なくとも一部の領域には、第二の活物質層122が塗布されておらず、第二の導電部の第二の活物質層122が塗布されていない領域は、電極端子と電気的に接続されるために用いられる。
【0066】
第二の極板12の外形から見ると、第二の極板12は、第二の活物質部123と、第二の活物質部123から突出する複数の第二の非活物質部124とを含み、複数の第二の非活物質部124は、積層して設置される。そのうち、第二の活物質部123は、第二の集電部と、第二の活物質層122の第二の集電部上に塗布される部分とを含み、第二の非活物質部124は、第二の導電部を含む。第二の非活物質部124は、第二のタブと呼ばれてもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、複数の第一の非活物質部114は、積層されるとともに集電部材40に接続される。例示的に、複数の第一の非活物質部114は、集電部材40に溶接される。
【0068】
第一の非活物質部114が占める空間を節約するために、発明者は、積層された複数の第一の非活物質部114を折り曲げる。発明者は、複数の第一の非活物質部114の間の拘束が比較的に小さく、折り曲げられる過程において、積層された複数の第一の非活物質部114が分岐、ズレを発生しやすく、第一の非活物質部114の根元部(即ち、第一の活物質部113に近い部分)が変形し第一の活物質部113と第二の活物質部123との間に挿入しやすく、第一の非活物質部114と第二の活物質部123とが接触するリスクを起こし、短絡が発生してしまい、安全事故を招くことを見出した。
【0069】
発明者が見出した上記問題に基づき、発明者は、電池セルの構造に対して改良を行い、以下では、異なる実施例を結び付けて詳細に記述する。
【0070】
図9は、図8に示す電極コンポーネント10の円枠Cにおける拡大概略図である。
【0071】
図9に示すように、いくつかの実施例では、少なくとも隣接する二つの第一の非活物質部114間には、接続層14が設けられ、接続層14は、隣接する二つの第一の非活物質部114を接続するために用いられる。
【0072】
本出願の実施例では、接続層14は、二つの第一の非活物質部114の間に拘束を形成するために、隣接する二つの第一の非活物質部114を接続する。折り曲げられる過程において、接続層14は、この二つの第一の非活物質部114のズレを減らし、積層された複数の第一の非活物質部114がこの二つの第一の非活物質部114の間において分岐されるリスクを低減させることができる。言い換えれば、本出願では、接続層14を設置することにより、二つの第一の非活物質部114の間に拘束を形成し、複数の第一の非活物質部114を定型化し、第一の非活物質部114の分岐、ズレを減らし、短絡リスクを低減し、安全性を向上させることができる。
【0073】
いくつかの実施例では、接続層14と第一の活物質部113は、第一の方向Xに沿って間隔をおいて設置され、そのうち、第一の方向Xは、第一の非活物質部114が第一の活物質部113から突出する方向である。例示的に、第一の非活物質部114は、第一の活物質部113の第一の方向Xに沿った端部に接続される。例示的に、接続層14と第一の活物質層112は、第一の方向Xに沿って間隔をおいて設置される。
【0074】
第一の非活物質部114を折り曲げる過程において、第一の非活物質部114の折り曲げに伴って接続層14が変形する可能性があり、接続層14が第一の活物質部113に接続される場合、接続層14は、変形時に第一の活物質部113に(電池セルが振動するとき、接続層14も第一の活物質部113に作用力を印加する)作用力を印加し、第一の活物質部113の活物質が脱落するリスクを起こす。
【0075】
本出願の実施例では、接続層14と第一の活物質部113は、第一の方向Xに沿って間隔をおいて設置され、それによって接続層14の変形によって活物質の脱落を起こすリスクを低減させる。
【0076】
接続層14が第一の活物質部113の第二の活物質部123に面する表面まで延びると、接続層14は、第一の活物質部113と第二の活物質部123との間のリチウムイオンの輸送を遮断し、電極コンポーネント10の充放電性能に影響を与える。本出願の実施例では、接続層14がリチウムイオンの輸送に影響を与えないように接続層14と第一の活物質部113とが間隔をおいて設置される。
【0077】
いくつかの実施例では、接続層14は、コロイドであり、第一の非活物質部114の表面に接着される。例示的に、このコロイドは、ホットメルト接着剤である。ホットメルト接着剤は、主に熱可塑性エラストマーを主とし、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤及びフィラーを添加成分として溶融混合したものである。選択的に、熱可塑性エラストマーは、PE-ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ゴムなどのうちの一つ又は複数を含む。
【0078】
いくつかの実施例では、任意の二つの隣接する第一の非活物質部114の間には、いずれも接続層14が設置されている。接続層14は、複数の第一の非活物質部114の間に拘束を形成するために、全ての第一の非活物質部114を接続し、複数の第一の非活物質部114の分岐、ズレを減らし、短絡リスクを低減し、安全性を向上させる。
【0079】
電極コンポーネント10の巻回成型過程において、設定された第一の非活物質部114の表面にホットメルト接着剤を塗布し、巻回成型後、複数の第一の非活物質部114を上下に積層し、そして複数の第一の非活物質部114を圧着し、複数の第一の非活物質部114をホットメルト接着剤で接着する。ホットメルト接着剤が硬化した後に接続層14を形成する。
【0080】
いくつかの実施例では、セパレータ13は、隔離部131と、隔離部131から突出する突出部132とを含み、隔離部131は、第一の活物質部113と、第二の活物質部123とを隔離するために用いられる。隔離部131から乖離する突出部132の端部は、隣接する二つの第一の非活物質部114の間に位置しており、そして接続層14は、端部を第一の非活物質部114に固定する。
【0081】
突出部132は、第一の非活物質部114の根元部と第二の極板12とを隔離し、第一の非活物質部114が折り曲げられる過程で第二の極板12と導通するリスクを低減させることができる。接続層14は、突出部132の端部を第一の非活物質部114に固定する。そのため、本出願の実施例は、突出部132が第一の活物質部113と第二の活物質部123との間に折返すことを回避し、突出部132の絶縁効果を確保することができる。
【0082】
いくつかの実施例では、接続層14の厚さは、第一の活物質層112の厚さよりも小さい。例示的に、接続層14の厚さと第一の活物質層112の厚さとの比は、0.1~0.5である。
【0083】
いくつかの実施例では、少なくとも隣接する二つの第二の非活物質部124の間にも、接続層14(図示せず)が設けられ、この接続層14は、隣接する二つの第二の非活物質部124を接続するために用いられる。いくつかの実施例では、任意の二つの隣接する第二の非活物質部124の間には、いずれも接続層14が設置されている。
【0084】
図10は、本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネント10の第一の極板11の展開状態における局所構造概略図である。
【0085】
図10に示すように、いくつかの実施例では、第一の非活物質部114は、第一の方向Xに沿って連続して設置される第一の領域114aと、第二の領域114bと、第三の領域114cとを含み、第二の領域114bは、少なくとも一部が接続層14により覆われ、第一の領域114aと第三の領域114cは、いずれも接続層14により覆われておらず、第二の領域114bは、第一の領域114aの第一の活物質部113から乖離する側に位置する。例示的に、第三の領域114cは、集電部材40に溶接するために用いられてもよい。
【0086】
第二の領域114bの表面は、接続層14により完全に覆われてもよく、一部の領域のみが接続層14により覆われてもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、第一の領域114aの局所には、第一の活物質層112が設置されており、接続層14と第一の活物質層112とが間隔をおいて設置される。別のいくつかの実施例において、第一の領域114aには、第一の活物質層112が設置されていなくてもよい。
【0088】
いくつかの実施例では、接続層14と第一の非活物質部114は、第二の方向Yの周縁に沿って間隔をおいて設置され、第二の方向Yは、第一の方向Xに垂直である。巻回成型において、工程誤差により、複数の第一の非活物質部114は、第二の方向Y上にズレが生じる可能性があり、接続層14と第一の非活物質部114は、第二の方向Yの周縁に沿って面一であれば、接続層14は、第二の方向Yにおけるズレにより、隣接する二つの第一の非活物質部114を接続できなくなる可能性がある。そのため、本実施例では、接続層14と第一の非活物質部114は、隣接する二つの第一の非活物質部114を効果的に接続するために、第二の方向Yの周縁に沿って間隔をおいて設置される。例示的に、接続層14と第一の非活物質部114の第二の方向Yの周縁に沿う間隔は、5mm~20mmである。
【0089】
いくつかの実施例では、隣接する二つの第一の非活物質部114の間には、複数の接続層14が設置されており、複数の接続層14は、第二の方向Yに沿って間隔をおいて設置される。複数の接続層14は、それぞれ第一の非活物質部114の複数の領域に接続されて、二つの第一の非活物質部114をより均一に接続する。例示的に、隣接する二つの第一の非活物質部114の間には、二つの接続層14が設置されている。
【0090】
いくつかの実施例では、接続層14は、ストライプ構造であり、接続層14の第一の方向Xに沿ったサイズは、接続層14の第二の方向Yに沿ったサイズよりも大きい。
【0091】
図11は、本出願のいくつかの実施例による電池セルの局所断面概略図である。図12は、図11に示す電池セルのブロックDにおける拡大概略図である。
【0092】
図11図12に示すように、いくつかの実施例では、第一の非活物質部114は、電極端子30に電気的に接続される。
【0093】
いくつかの実施例では、集電部材40は、電極端子30と第一の非活物質部114とを接続するために用いられる。具体的には、第一の非活物質部114は、接続層14により覆われておらず且つ接続層14の第一の活物質部113から乖離する側に位置する領域が、集電部材40に溶接するために用いられ、即ち第一の非活物質部114の第三の領域114cは、集電部材40に溶接するために用いられる。
【0094】
いくつかの実施例では、第三の領域114cは、集電部材40の下側に位置され、集電部材40の下面に貼り合わされている。
【0095】
いくつかの実施例では、第一の非活物質部114は、接続層14により覆われた領域で折り曲げられている。具体的には、第一の非活物質部114は、第二の領域114bで折り曲げられている。第一の非活物質部114を折り曲げることにより、第一の非活物質部114が占める空間を減らし、電池セルのエネルギ密度を向上させることができる。
【0096】
複数の第一の非活物質部114の第二の領域114bは、接続層14を介して接続されているため、第二の領域114bを折り曲げる過程において、複数の第一の非活物質部114の第二の領域114bはズレ、分岐が生じにくく、さらに第一の領域114aの変形を拘束し、第一の領域114aが第一の活物質部113と第二の活物質部123に挿入されるリスクを低減する。
【0097】
図13は、本出願のいくつかの実施例による電極コンポーネントと集電部材の溶接過程における概略図である。
【0098】
図13に示すように、溶接時に、まず、第一の非活物質部114の第三の領域114cを一つの集電部材40上に貼り合わせて、第一の非活物質部114の第三の領域114cをこの集電部材40に溶接する。溶接完了後、第一の非活物質部114は、電極コンポーネント10の本体部分を集電部材40の厚さ方向に沿った側に反転させるために、第二の領域114bで折り曲げられる。
【0099】
好ましい実施例を参照しながら本出願を記述したが、本出願の範囲から逸脱しない場合、それを様々な改良し、且つそのうちの部品を同等物で置き換えることができ、特に、構造的矛盾がない限り、各実施例に言及された各技術特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせられてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13