(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】二液型白金含有液状シリコーン樹脂及び保存容器用蓋の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20240619BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240619BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240619BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240619BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20240619BHJP
B65D 45/22 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/36
C08K3/013
B29C39/24
B65D45/22
(21)【出願番号】P 2023011919
(22)【出願日】2023-01-30
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】32022047549.7
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(73)【特許権者】
【識別番号】523033268
【氏名又は名称】韓 金元
【氏名又は名称原語表記】Hon Kam Yuen Dennis
【住所又は居所原語表記】Flat 2, 15/F, Block D, Garden Vista, Shatin, Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 金元
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-240845(JP,A)
【文献】実開平02-135463(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0100370(US,A1)
【文献】特開2012-158127(JP,A)
【文献】特開2002-173661(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110897(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0118431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 3/36
C08K 3/013
B29C 39/24
B65D 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存容器用蓋を製造するための二液型白金含有液状シリコーン樹脂であって、
成分Aと成分Bとを含み、
前記成分Aは、重量含有量100%に対して
ビニル末端ポリジメチルシロキサン 60-80%
シリカ 18-38%
白金(0)-1,3-ジビニル1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン 2-4%
を含み、
前記成分Bは、重量含有量100%に対して
ビニル末端ポリジメチルシロキサン 60-78%
シリカ 18-38%
ジメチルヒドロシロキサン 2-4%
を含むことを特徴とする、保存容器用蓋を製造するための二液型白金含有液状シリコーン樹脂。
【請求項2】
前記成分Aと成分Bとの質量比は1:1~1.08:1であることを特徴とする、請求項1に記載の保存容器用蓋を製造するための二液型白金含有液状シリコーン樹脂。
【請求項3】
可撓性膜と、プラスチック製硬質枠とを含む保存容器用蓋の製造方法であって、
前記可撓性膜は、請求項1に記載の二液型白金含有液状シリコーン樹脂製で製造され、
前記保存容器用蓋の製造方法は、以下のステップ:
S1:クリーンルームにおいて室温下でプライマーをプラスチック製硬質枠に移し、
S2:温度が120℃-150℃の条件下でプライマーを15分間-20分間硬化させ、
S3:金型を125℃-145℃まで加熱し、
S4:プライマー付きのプラスチック製硬質枠を金型キャビティ内に入れて位置決めし、金型を閉め、
S5:金型キャビティ内に二液型白金含有液状シリコーン樹脂を注入し、150s-200s硬化させ、プラスチック製硬質枠内に可撓性膜を形成し、前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、成分Aと成分Bを特定の比率で混合してなるものであり、
S6:金型を開き、保存容器用蓋を得る
を含むことを特徴とする、保存容器用蓋の製造方法。
【請求項4】
ステップS1において、前記クリーンルームは、標準FDAのISO7若しくはそれ以上、又は標準UBグレード若しくはそれ以上に準じることを特徴とする、請求項3に記載の保存容器用蓋の製造方法。
【請求項5】
ステップS1において、前記プライマーは、プライマーAとプライマーBとを含み、
プライマーAは、重量含有量100%に対して
酢酸ブチル 97%
トリエトキシビニルシラン 3%
を含み、
プライマーBは、重量含有量100%に対して
酢酸ブチル 95%
テトラエトキシシラン 5%
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の保存容器用蓋の製造方法。
【請求項6】
前記プライマーAとプライマーBとの混合質量比は1.0:1-1.03:1であることを特徴とする、請求項5に記載の保存容器用蓋の製造方法。
【請求項7】
前記プライマーAとプライマーBとの混合質量比は1.0:1-1.02:1であることを特徴とする、請求項6に記載の保存容器用蓋の製造方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の二液型白金含有液状シリコーン樹脂を硬化した可撓性膜と、プラスチック製硬質枠とを含み、前記可撓性膜の外周と、プラスチック製硬質枠の内周とは接着剤により接続され、
前記保存容器用蓋は、掛止部をさらに含み、
前記掛止部は、プラスチック製硬質枠の外周に可動に接続され、掛止部の数は2つ以上であり、前記掛止部は、保存容器用蓋と、それに適合する容器本体とを固定接続するためのものであり、
前記プラスチック製硬質枠の下方には凹溝が設けられ、前記凹溝は、プラスチック製硬質枠の周方向に沿って設けられ、前記凹溝には、保存容器用蓋と、それに適合する容器本体との間の密封を実現するためのシールリングが配置されることを特徴とする、保存容器用蓋。
【請求項9】
前記掛止部と、プラスチック製硬質枠とは、可動軸を介して接続され、前記掛止部は、可動軸の回転方向に沿って回転可能であることを特徴とする、請求項8に記載の保存容器用蓋。
【請求項10】
請求項8に記載の保存容器用蓋と、容器本体とを含む保存容器であって、
前記保存容器用蓋は、容器本体の上方に設けられ、容器本体には、外へ水平に延在する突起が設けられ、掛止部と、前記突起との係合接続により、容器本体と保存容器用蓋との固定接続が実現されることを特徴とする、保存容器。
【請求項11】
前記容器本体は、ガラス製容器本体、プラスチック製容器本体、及びセラミックス製容器本体のうちのいずれか1種であることを特徴とする、請求項10に記載の保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存容器の技術分野に関し、特に二液型白金含有液状シリコーン樹脂、保存容器用蓋、保存容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実際の社会では、一般の家庭は、硬質プラスチックまたはガラス材料で製造された高密度の容器を用いて食品を保存したり、ラップで食品を保存したりすることにより、鮮度保持効果を達成する。生活のニーズを満たすために、一般的な家族は、様々なサイズと量の食品を保存するために、様々なサイズの収容容器を用意しておく。しかしながら、従来の収容容器では、一般的に硬質材料で容器本体と蓋を製造することから、サイズが一定で、食品を収容する際の実際の収容容量が少ないという問題がある。また、食品をもう少し多めに入れると、柔らかい食品(例えば、ドリアンやレーズンなどの果物)や、壊れやすい食品(例えば、ビスケットなど)がつぶしやすくなる。使い捨てのラップで包装、保存する場合、洗浄や再利用ができない使い捨て用品であるため、環境保護に問題がある。
【0003】
そのため、環境にやさしく、収容物を圧迫することなく収容量を最大化できる保存容器は市場で急務となっている。
【発明の概要】
【0004】
上記の技術問題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、保存容器用蓋、その製造方法及び当該方法により製造された保存容器に関する。
【0005】
本発明は、以下の技術的手段により実現される。
第1態様では、本発明は、保存容器用蓋を製造するための二液型白金含有液状シリコーン樹脂を提供する。当該樹脂は、成分Aと成分Bとを含み、前記成分Aは重量含有量100%に対して
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Vinyl Terminated Polydimethylsiloxane) 60-80%
シリカ(Silicone Dioxide) 18-38%
白金(0)-1,3-ジビニル1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(Platinum(0)-1,3-divinyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane) 2-4%
を含み、
前記成分Bは、重量含有量100%に対して
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Vinyl Terminated Polydimethylsiloxane) 60-78%
シリカ(Silicone Dioxide) 18-38%
ジメチルヒドロシロキサン(Dimethyhydrogensiloxane) 2-4%
を含む。
好ましくは、前記成分Aと成分Bとの質量比は1:1~1.08:1であり、より好ましくは1:1~1.05:1である。
【0006】
第2態様では、本発明は、保存容器用蓋の製造方法を提供する。前記保存容器用蓋は、可撓性膜と、プラスチック製硬質枠とを含み、前記可撓性膜は、上記の二液型白金含有液状シリコーン樹脂で製造されたものである。
前記保存容器用蓋の製造方法は、以下のステップを含む。
S1:クリーンルームにおいて室温下でプライマーをプラスチック製硬質枠に移す。
S2:温度が120℃-150℃の条件下でプライマーを15分間-20分間硬化させる。
S3:金型を125℃-145℃まで加熱する。
S4:プライマー付きのプラスチック製硬質枠を金型キャビティ内に入れて位置決めし、金型を閉める。
S5:金型キャビティ内に二液型白金含有液状シリコーン樹脂を注入し、150s-200s硬化させ、プラスチック製硬質枠内に可撓性膜を形成する。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、成分Aと成分Bを特定の比率で混合してなるものである。
S6:金型を開き、保存容器用蓋を得る。
【0007】
好ましくは、ステップS1において、前記クリーンルームは、標準FDAのISO7若しくはそれ以上、又は標準UBグレード若しくはそれ以上に準じる。
【0008】
好ましくは、ステップS1において、前記プライマーは、プライマーAとプライマーBとを含み、プライマーAは、重量含有量100%に対して
酢酸ブチル(Butyl acetate) 97%
トリエトキシビニルシラン(Triethoxyvinylsilane) 3%
を含み、
プライマーBは、重量含有量100%に対して
酢酸ブチル(Butyl acetate) 95%
テトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane)5%
を含む。
【0009】
好ましくは、前記プライマーAとプライマーBとの混合質量比は1.0:1~1.03:1、より好ましくは1.0:1~1.02:1である。プライマーAの使用比率が高いほど、硬化リードタイム周期が速くなる(即ち、ステップS2で使用される時間が短くなる)。
【0010】
可撓性膜の製造に必要な厚さは1mm未満であるため、本製品のシリコーン生産にとって必要である。そうしないと、金型への注射が不足であるとの問題、又はシリコーンの硬化が早すぎることで、シリコーン膜は金型内で完全に製造できないとの問題がある。
【0011】
本発明では、特定の比率の成分で作製される二液型白金含有液状シリコーン樹脂により可撓性膜を製造することにより、加硫効果は向上し、最終的に製品内のVOM(Volatile Organic Matter)は減少し、食品グレード器具に対するFDAおよび国際の要求をさらに満たすことができる。
【0012】
一般的なシリコーン原料では、成形した後に、シリコーンを加硫し、揮発性物質を放出し、FDA及び国際のVOM要求を満たすために、二次加硫の高温プロセス(例えば、200℃高温のオーブンで4の時間焙焼)を行う必要がある。これに対して、本発明で特定の原料及び比率で調製された二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、低VOMのシリコーンであるため、ナイロン外輪とラギングした後に、二次加硫の高温プロセスを必要としない。
【0013】
また、本発明者らは、前の研究により、既存の一般的なシリコーンを用いて本発明の可撓性膜を製造すると、ラギング後のナイロンの物理的特性が高温焙焼により影響され、形状変化、変色、破壊、及び有害物質の放出などのリスクがあることを見出した。これに対し、本発明で使用される特定の原料を特定の比率で配合した二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、二次加硫の高温条件を必要としないため、ナイロンが高温下で引き起こす化学品のリスクの問題を根本的に解決することができる。
【0014】
好ましくは、ステップS5に記載の可撓性膜の製造方法では、オーバーモールディング(overmold)又は二色射出成形(Double Injection)を使用することができる。
【0015】
好ましくは、前記可撓性膜は、厚さが1mm以下、硬さが30D、引張限界が5cmである。可撓性膜の厚さは1mm以下であることにより、光透過率が向上するため、使用者は内部の食品をはっきり見える。光透過率は80%以上である。
【0016】
好ましくは、前記プラスチック製硬質枠は、ポリウレタン樹脂で製造される。より好ましくは、PA66(ポリアミド66))、PA6(ポリアミド6)又はPP(ポリプロピレン)で製造されるプラスチック製硬質枠である。前記プラスチック製硬質枠もオーバーモールディング(overmold)又は二色射出成形(Double Injection)の方法により製造される。
【0017】
第3態様では、本発明は、保存容器用蓋をさらに提供する。前記保存容器用蓋は、可撓性膜と、プラスチック製硬質枠とを含み、前記可撓性膜の外周と、プラスチック製硬質枠の内周とは接着剤により接続される。
前記保存容器用蓋は、掛止部をさらに含む。前記掛止部は、プラスチック製硬質枠の外周に可動に接続され、掛止部の数量は2つ以上であり、前記掛止部は、保存容器用蓋と、それに適合する容器本体とを固定接続するためのものである。
前記プラスチック製硬質枠の下方には凹溝が設けられ、前記凹溝は、プラスチック製硬質枠の周方向に沿って設けられ、凹溝には、保存容器用蓋と、それに適合する容器本体との間の密封を実現するためのシールリングが配置される。
【0018】
好ましくは、前記掛止部は、プラスチック製硬質枠に可動軸を介して接続され、掛止部は、可動軸の回転方向に沿って回転可能である。
【0019】
第4態様では、本発明は、保存容器をさらに提供する。前記保存容器は、前記保存容器用蓋と、容器本体とを含み、前記保存容器用蓋は、容器本体の上方に設けられ、容器本体には、外へ水平に延在する突起が設けられ、掛止部と前記突起との係合接続により、容器本体と保存容器用蓋とが固定接続される。
【0020】
好ましくは、前記容器本体は、ガラス製容器本体、プラスチック製容器本体、及びセラミックス容器本体のうちの1種である。
【0021】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
1.本発明では、特定の原料で調製された二液型白金含有液状シリコーン樹脂を用いて保存容器用蓋上の可撓性膜を製造することにより、従来のシリコーンと比較して非常に優れた物理的特性を有する。製造された可撓性膜は、引張強さが10.0-13.0Mpa、破断伸びが900-1100%、引裂強さが20-25KN/Mに達し、圧縮永久歪みがわずか20-25%である。
【0022】
2.本発明で製造された保存容器用蓋は、弾性で柔らかい可撓性膜表面を有するとともに、プラスチック製硬質枠がこの可撓性膜の形状を支持し、プライマーにより接続することにより、可撓性膜とプラスチック製硬質枠とは、一体構造に恒久的に接着され、接着堅牢度が高い。
【0023】
3.本発明では、可撓性膜を有する保存容器用蓋と、それに適合する容器本体とを組み合わせて形成した保存容器より、食品を保存するための収容容量が顕著に大きくなり、容器本体の容積よりも大きい食品を効果的に保存することができる。また、本発明の保存容器は、保存される食品を著しく圧迫することがなく、従来の保存容器と比較して効果は非常に顕著である。
【0024】
4.本発明の保存容器は、食物を効果的に密閉できるのみならず、可撓性膜により食品を収容する際に伸びることで、容器内の空気比率(%)は相対的に減少し、保存容器の容器本体内部の空気による食品の酸化と劣化が効果的に軽減され、保存食品に対する保鮮効果が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態を明確に説明するために、以下、関連する図面を簡単に説明する。理解できるように、以下に示される図面は、本発明のいくつかの実施形態を説明するものに過ぎず、当業者は、これらの図面に基づいて本明細書に記載されていない他の多い技術的特徴及び接続関係などを得ることができる。
【
図1】本発明の一実施例により提供される保存容器の構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施例により提供される保存容器の正面図である。シリコーン樹脂膜は、内部の内容物によって伸びている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明を詳しく説明する。以下の実施例により、当業者が本発明をさらに良く理解することができるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。本発明の思想から逸脱しない限り、当業者がいくつかの変形及び改良を行うことができる。これらの変形及び改良は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0027】
実施例1
本実施例は、保存容器用蓋を提供する。
図1に示すように、前記保存容器用蓋は、可撓性膜1と、プラスチック製硬質枠3とを含み、可撓性膜1の外周とプラスチック製硬質枠3の内周とは、プライマー6により接続される。
前記プラスチック製硬質枠3の外周には、可動軸を介して掛止部2が接続される。掛止部2は、可動軸の回転方向に沿って回転可能である。本実施例に記載のプラスチック製硬質枠3は四角形であり、使用される4つの掛止部2はそれぞれプラスチック製硬質枠3の4縁に対称的に設けられる。掛止部2は、保存容器用蓋とそれに適合する容器本体5とを固定接続するためのものである。掛止部2と容器本体5との掛止めにより、容器本体内の食品を効果的に密封保存することができる。
【0028】
前記プラスチック製硬質枠3の下方には凹溝が設けられる。凹溝は、プラスチック製硬質枠3の周方向に沿って設けられる。凹溝には、保存容器用蓋とそれに適合する容器本体5との間をさらに密封する耐高温(220℃の高温)のシリコーンシールリング4が配置される。
【0029】
本実施例に記載のプラスチック製硬質枠3、掛止部2は、いずれもポリウレタン樹脂で作製される。
【0030】
本実施例における保存容器用蓋の製造方法は、以下のステップを含む。
S1:クリーンルームにおいて室温下でプライマーをプラスチック製硬質枠に移す。前記プライマーは、プライマーAとプライマーBとを含む。プライマーAは、重量含有量100%に対して表1に示される重量含有量の各成分を含む。プライマーBは、重量含有量100%に対して表1に示される重量含有量の各成分を含む。
【0031】
【0032】
S2:温度120℃の条件下でプライマーを20分間硬化させる。
S3:金型を125℃に加熱する。
S4:プライマー付きのプラスチック製硬質枠を金型キャビティ内に入れて位置決め、その後、金型を閉める。
S5:金型キャビティ内に二液型白金含有液状シリコーン樹脂を注入し、150s硬化させてプラスチック製硬質枠内に可撓性膜を形成する。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、成分Aと成分Bを特定比率で混合してなるものである(表2)。
S6:金型を開き、保存容器用蓋を得る。
【0033】
本実施例は、保存容器をさらに提供する。
図1及び
図2に示すように、前記保存容器は、前記蓋と容器本体とを含み、前記蓋は、容器本体の上方に設けられ、容器本体には、外へ水平に延在する突起が設けられ、前記突起は、容器本体の底部方向に向かって延在し、掛止部を介して当該突起に係合して接続され、これによって容器本体と蓋との固定接続が達成される。本実施例に記載の容器本体は、プラスチック製容器本体であるが、これに限定されず、ガラス製容器本体、セラミックス製容器本体などに変更しても、同じ効果を得ることができる。
【0034】
本実施例で製造された保存容器は、不規則な形状の食品を収容して保存することができ、二液型白金含有液状シリコーン樹脂で製造された可撓性膜は、厚さが1mm未満、硬さが30D、引張限界が5cmである。当該可撓性膜の引張強さ(Tensile Strength)は11MPaであるため、不規則な食品を保存容器に入れる際に圧力を受けて伸びるのを耐える能力を大幅に向上させ、2倍まで効果的に伸びることができる。当該可撓性膜の破断伸び率(Elongation)は1050%であるため、力を受けて引っ張られる場合、断裂することがなく大幅に伸びることができることにより、保存容器の可塑性が向上する。この可撓性膜の引裂強さ(Tear crescent)は23KN/Mに達するため、骨、手羽などのシャープな形状を有する食品を保存する場合であっても、通常の膜のように破れやすいことがなく、高引裂強さを有することにより、シャープな形状を有する食品を保存しても刺し通されて破れる場合がない。当該可撓性膜の圧縮永久歪み(Compression Set)は低いレベルであり、JIS K6249の試験では、175℃で22時間圧縮した場合、その歪みは21%に維持される。
【0035】
実施例2-3
実施例2-3は、保存容器用蓋の製造方法を提供する。実施例2-3で前記可撓性膜を製造する二液型白金含有液状シリコーン樹脂の原料の組成は表2に示される点以外、実施例1の方法と同様である。
【0036】
【0037】
実施例4
本実施例は、保存容器用蓋の製造方法を提供する。
本実施例の保存容器用蓋の製造方法は、以下のステップを含む。
S1:クリーンルームにおいて室温でプライマーをプラスチック製硬質枠に移す。前記プライマーは実施例1と同じである。
S2:温度が140℃の条件下でプライマーを18分間硬化させる。
S3:金型を至135℃まで加熱する。
S4:プライマー付きのプラスチック製硬質枠を金型キャビティ内に入れて位置決めし、金型を閉める。
S5:金型キャビティ内に二液型白金含有液状シリコーン樹脂を注入し、180s硬化させ、プラスチック製硬質枠内に可撓性膜を形成する。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、1:1の比率で成分Aと成分Bとを混合してなるものである。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、表1に示される実施例1の各成分を含む。
S6:金型を開き、保存容器用蓋を得る。
【0038】
実施例5
本実施例は、保存容器用蓋の製造方法を提供する。
本実施例の保存容器用蓋の製造方法は、以下のステップを含む。
S1:クリーンルームにおいて室温下でプライマーをプラスチック製硬質枠に移す。前記プライマーは実施例1と同じである。
S2:温度が150℃の条件下でプライマーを15分間硬化させる。
S3:金型を145℃に加熱する。
S4:プライマー付きのプラスチック製硬質枠を金型キャビティ内に入れて位置決めし、その後、金型を閉める。
S5:金型キャビティ内に二液型白金含有液状シリコーン樹脂を注入し、200s硬化させ、プラスチック製硬質枠内に可撓性膜を形成する。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、1:1.08の比率で成分Aと成分Bとを混合してなるものである。前記二液型白金含有液状シリコーン樹脂は、表1に示される実施例1の各成分を含む。
S6:金型を開き、保存容器用蓋を得る。
【0039】
本発明では、さらに本発明の実施例に記載の二液型シリコーンで製造された可撓性膜と、既存の他の市販シリコーンで製造された可撓性膜との性能を比較した。結果を表3に示す。
【0040】
【0041】
当業者に理解できるように、本発明は上述した例示的な実施例の詳細に限定されず、本発明の思想又は基本的特徴から逸脱しない限り、他の具体的な形態で本発明を実現することができる。したがって、どの観点から見ても、実施例は例示的なものであり、制限的なものではなく、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲に決められる。特許請求の範囲の同等要件の意味及び範囲内に含まれる全ての変化を本発明に含めることを意図する。請求項に記載の符号は、係る請求項を制限するものであると解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0042】
1、可撓性膜;
2、掛止部;
3、プラスチック製硬質枠;
4、シリコーンシールリング;
5、容器本体;
6、プライマー