(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】子宮摘出術用モデル
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20240619BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G09B23/30
G09B9/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023037841
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2021117580の分割
【原出願日】2016-10-03
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2015-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ブラック ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッター グレゴリー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】フェルシンガー ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】ブレスリン トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ワチリ セレヌ
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ ショーン
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544373(JP,A)
【文献】特開2013-235040(JP,A)
【文献】特開2013-190604(JP,A)
【文献】特開2009-236963(JP,A)
【文献】実開平5-30870(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0342334(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0248596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0091855(US,A1)
【文献】産婦人科,医学教育用シミュレーター 医療技術トレーニングシミュレーター 総合カタログ2006,日本ライトサービス株式会社,2007年02月20日,p. 100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的訓練のための外科用シミュレータであって、
長手方向軸線に沿って延びる中央ルーメンと、近位開口部と、遠位開口部と、複数の孔を有しているフレームと、
前記フレームの中央ルーメン内に複数のチューブ状構造物を介して吊り下げられた少なくとも1つの人工組織構造物と、を備え、前記チューブ状構造物の各々は前記フレームの複数の孔の一を貫通する第1の自由端と、前記少なくとも1つの人工組織構造物に連結された第2の自由端とを有している、
ことを特徴とする外科用シミュレータ。
【請求項2】
前記複数のチューブ状構造物が、前記少なくとも1つの人工組織構造物を吊り下げたとき異なった張力を提供するように調整可能な長さで前記フレームに固定されるように構成されている、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項3】
前記異なった張力は、外科訓練中の外科器具のユーザーの操作に応じた前記少なくとも1つの人工組織構造物の揺れの大きさを制御するように構成されている、
請求項2に記載の外科用シミュレータ。
【請求項4】
前記第1の自由端は、前記第1の自由端が貫通している前記複数の孔の寸法より大きく構成された結び目を介して前記フレームに固定されている、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項5】
前記第1の自由端が、前記複数のチューブ状構造物の一のチューブ状構造物を前記フレームに連結するように構成されている締結具を備えている、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項6】
前記締結具が、平坦面に連結された、二又状でフック状で偏向可能な端部を備え、
前記二又状でフック状で偏向可能な端部は、前記複数の孔の一に当てられ該孔を貫通して外方に跳ね戻ると、内方に撓むように構成されている、
請求項5に記載の外科用シミュレータ。
【請求項7】
前記フレームが、フレーム頂部分と、フレーム底部分と、前記フレーム頂部分とフレーム底部分とを連結する直立側壁部分とを有している、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項8】
前記フレームが、骨盤腔を模し、
前記フレーム底部分が、湾曲した端を有している、
請求項7に記載の外科用シミュレータ。
【請求項9】
前記複数のチューブ状構造物は、血管構造、管、ファローピウス水管、尿管、または他の人体構造物を模している、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項10】
前記フレームは、外科用訓練装置の受入れ領域内に収容されるように構成され、
前記外科用訓練装置は、胴を模倣するように構成され、基部に連結され該基部から離れて本体キャビティを形成する頂部カバーを備え、
外科器具が前記本体キャビティに挿入され前記フレームおよび前記少なくとも1つの人工組織構造
物と相互作用する、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【請求項11】
前記外科器具が組織模擬領域または前記外科用訓練装置の頂部カバーに関連する孔を通して前記外科用訓練装置の本体キャビティに挿入可能である、
請求項
10に記載の外科用シミュレータ。
【請求項12】
前記中央ルーメンの断面積が前記フレームの近位開口部から前記フレームの遠位開口部まで徐々に増大している、
請求項1に記載の外科用シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科的訓練ツールに関し、特に、腹腔鏡下手術、内視鏡下手術および低侵襲手術に関連した(しかしながら、これらには限定されない)種々の外科的技術および手技を教示するとともに練習させる模擬組織構造体およびモデルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年10月2日に出願された米国特許仮出願第62/236,756号(発明の名称:Hysterectomy model)および2015年11月12日に出願された米国特許仮出願第62/254,477号(発明の名称:Hysterectomy model)の優先権および権益主張出願であり、これら米国特許仮出願を参照により引用し、これら記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
新たな外科的技術(術式)を学習する医学生ならびに熟練医は、自分達が患者としての人間に対して手術を行う資格を得る前に大がかりな訓練を受けなければならない。この訓練は、種々の形式の組織を切断し、穿通し、クランプし、把持し、ステープル留めし、焼灼し、縫合するための種々の医療器具を用いる適正な技術を教示しなければならない。訓練を受ける人(訓練生)が遭遇する場合のある場面の範囲は、広い。例えば、種々の器官ならびに患者の解剖学的構造および疾患が提示される。種々の組織層の厚さおよびコンシステンシーもまた、身体の一部分と隣りの部分とでは様々であり、しかも患者ごとに様々な場合があろう。互いに異なる手技には互いに異なる技能が要求される。さらに、訓練生は、例えば患者の体格や病態、標的組織の隣接の解剖学的景観および景観や標的組織が容易にアクセス可能であるか比較的アクセス不能であるかという要因によって影響を受ける種々の解剖学的環境中において技術を練習しなければならない。
【0004】
外科的訓練の1つまたは2つ以上の観点について多くの教示補助具、訓練器具、模擬訓練装置(シミュレータ)およびモデル臓器が利用可能である。しかしながら、遭遇する可能性がありかつ内視鏡下の手技、腹腔鏡下の手技、低侵襲手術手技(外科的処置)を練習するために使用できるモデルまたは模擬組織要素が要望されている。腹腔鏡下手術では、トロカールまたはカニューレを挿入して体内腔にアクセスしたりカメラ、例えば腹腔鏡の挿入のためのチャネルを作ったりする。カメラは、ライブビデオフィードキャプチャリング画像を提供し、次にこれら画像を1つまたは2つ以上のモニタで外科医に表示する。少なくとも1つの追加の小さな切開創が作られ、かかる切開創を通って別のトロカール/カニューレを挿入してモニタ上で観察される手技を実施するために外科用器具を挿通させることができる経路を作る。標的組織場所、例えば腹部は、典型的には、二酸化炭素ガスを送り出して体内腔に通気しまたは注入して外科医により用いられるスコープおよび器具を受け入れるのに足るほど広い作業空間を作ることによって拡張される。組織腔内のガス注入圧力は、専用トロカールを用いることによって維持される。腹腔鏡下手術は、開放手技と比較した場合、多くの利点を提供する。これら利点としては、切開創が小さいということに起因して、疼痛が軽いこと、出血が少ないこと、回復期間が短いことが挙げられる。
【0005】
腹腔鏡下または内視鏡下低侵襲手術では、開放手術と比較して技能レベルの高いことが要求される。というのは、標的組織は、医師によって直接観察されることがないからである。標的組織は、小さな開口部を通ってアクセスされる手術部位の一部分を表示するモニタにより観察される。したがって、医師は、組織平面を視覚的に見定め、二次元観察スクリーン上における三次元奥行き覚、器具の手渡し、縫合、高精度切断ならびに組織および器具の操作を練習する必要がある。典型的には、特定の解剖学的構造または手技を模倣するモデルが模擬骨盤または腰部訓練器具内に配置され、この訓練器具では、解剖学的モデルは、医師による直接可視化(直視化)から隠されている。訓練器具に設けられたポートは、器具を通して直視化から隠された解剖学的モデルに対して行われる技術を練習するために用いられる。模擬骨盤訓練器具は、腹腔鏡下手術で用いられる基本的な技能および典型的な技術、例えば把持、操作、切断、結び目を作ること、縫合、ステープル留め、焼灼ならびにこれら基本的な技能を利用した特定の外科的処置をどのように実施するかについて外科医および研修医を訓練する機能的かつ安価であり、しかも実用的な手段となる。模擬骨盤訓練器具はまた、これら腹腔鏡下手技を実施するのに必要な医療器具を実演するための効果的な販売用ツールでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手技の一つは、子宮を取り出す子宮摘出術である。子宮摘出術は、膣管を通って子宮を経膣的に摘出しまたは腹部に設けられた小さな切開創を通って腹部的に摘出する子宮摘出術が実施される場合がある。膣式子宮摘出術は、視界が制限されるので訓練を行うことが歴史的に見て困難である。腹腔鏡下手技とは異なり、手術をスクリーン上に投写するカメラが存在せず、開放手技とは異なり、多数の人が観察することができる広い切開創が存在しない。したがって、膣式子宮摘出術を教授する最善のやり方は、模擬モデルを介してである。したがって、子宮摘出術を訓練するためのモデルが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、外科的訓練のための外科用シミュレータが提供される。外科用シミュレータは、内面および外面を備えたフレームを有し、内面と外面との間にはフレームの壁が形成されている。内面は、フレームの長手方向軸線に沿って延びるルーメンを画定している。ルーメンは、近位開口部および遠位開口部のうちの少なくとも一方を有する。フレームは、ルーメン内に少なくとも1つの人工組織構造体を取り出し可能に受け入れるよう構成され、少なくとも1つの人工組織構造体は、ルーメン内に少なくとも部分的に浮かされるとともにルーメンに沿ってフレーム壁によって少なくとも部分的に包囲されている。少なくとも1つの人工組織構造体は、少なくとも1つの人工組織構造体をフレーム壁に連結するよう構成された連結具によって浮かされまたは浮動状態に設けられている。ルーメンは、長手方向軸線に垂直に取られた断面領域を有し、断面領域は、近位端部から遠位端部まで順次増大している。
【0008】
本発明の別の観点によれば、外科的訓練のための外科用シミュレータが提供される。フレームが内面および外面を備え、内面と外面との間にはフレーム壁が形成されている。内面は、長手方向軸線に沿って延びるルーメンを画定している。ルーメンは、近位開口部および遠位開口部のうちの少なくとも一方ならびに頂部および底部を有する。外科用シミュレータは、人工子宮および近位端部のところに開口部を備えるとともに遠位端部のところで人工子宮に連結された人工膣管を更に有する。外科用シミュレータは、近位開口部を画定するルーメンを備えた人工直腸を更に有する。外科用シミュレータは、人工膀胱を更に有する。外科用シミュレータは、第1の表面と第2の表面を有するシリコーンの第1の扁平なシートを更に有し、第1の表面と第2の表面との間には厚さが定められている。外科用シミュレータは、第1の表面および第2の表面を備えたシリコーンの第2の扁平なシートを更に有する。人工子宮、人工膣管、および人工膀胱は、第1の扁平シートの第1の表面に連結され、第1の扁平シートは、ルーメンの頂部に連結されている。人工子宮および人工膣管は、第2の扁平シートによって人工直腸に連結されている。人工直腸は、フレームの底部に連結されている。
【0009】
本発明の別の観点によれば、外科的訓練のための人工子宮が提供される。人工子宮は、遠位端部のところに位置する球状本体および近位端部のところに位置する模擬子宮頸を有する。模擬子宮頸は、シリコーンで作られるとともに近位端部のところに開口部を備えている。模擬子宮頸は、メッシュ材料で作られた補強材を有する。メッシュ材料は、第1の端部および第2の端部を備えた管状構造体を形成する複数の織編フィラメントを有する。管状構造体は、近位端部のところに折り目を作るよう折り曲げられたメッシュ材料の第1の層を形成している。折り目は、第1の端部および第2の端部が折り目に対して遠位側に位置するよう近位端部のところに形成されている。メッシュ材料の第2の層は、管状の第1のメッシュ材料層と実質的に同軸である。折り曲げ管状構造体は、近位端部のところで模擬子宮頸のシリコーン内に埋め込まれている。
【0010】
外科的訓練のための外科用シミュレータが提供される。シミュレータは、エンクロージャを画定するフレームおよびエンクロージャ内に配置された模擬組織モデルを有する。模擬組織モデルは、多くの外科的処置を練習させるようになっており、かかる外科的処置としては、経肛門子宮摘出術および経膣子宮摘出術が挙げられるが、これらには限定されない。模擬組織モデルは、1つまたは2つ以上のコンポーネントを有し、模擬組織モデルは、模擬組織モデルがフレーム内にぶら下げられるようフレームに設けられた孔を通る締結具によりフレームに互換性のある状態で連結されている。フレームのエンクロージャは、模擬組織モデルのコンポーネントの閉じ込め具合を順次増大させるよう長手方向軸線に沿ってますます側方に細められている。
【0011】
本発明の別の観点によれば、外科的訓練のための外科用シミュレータが提供される。外科用シミュレータは、内面および外面を備えた剛性フレームを有し、内面と外面との間にはフレーム壁が形成されている。内面は、長手方向軸線に沿って延びる通路を画定している。通路は、近位開口部および遠位開口部のうちの少なくとも一方を有する。シリコーンで作られた人工組織構造体が提供され、少なくとも1つの締結具が人工組織構造体に連結されている。少なくとも1つの締結具は、人工組織構造体をフレームに取り外し可能に連結するよう構成されている。フレームは、1つまたは2つ以上の孔を有し、締結具は、人工組織構造体をフレームに連結するよう1つまたは2つ以上の孔を貫通するよう構成されている。
【0012】
本発明の別の観点によれば、外科的訓練のための外科用シミュレータが提供される。外科用シミュレータは、エンクロージャを画定するフレームおよびエンクロージャ内に配置された模擬組織モデルを有する。模擬組織モデルは、多くの外科的処置を練習させるようになっており、かかる外科的処置としては、経肛門子宮摘出術、経膣子宮摘出術および他の腹腔鏡下低侵襲かつ開放手技が挙げられるが、これらには限定されない。模擬組織モデルは、1つまたは2つ以上のコンポーネントを有する。模擬組織モデルは、模擬組織モデルをフレーム内にぶら下げるようフレームに設けられた孔を通るよう構成された締結具でフレームに互換性のある状態で連結されている。フレームのエンクロージャは、模擬組織モデルのコンポーネントの閉じ込め具合を順次増大させるよう長手方向軸線に沿ってますます側方に細められている。閉じ込め具合の増大により、モデルコンポーネントの揺れが減少する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の外科用訓練器具の上から見た斜視図である。
【
図2】本発明のモデルの前頭側の上から見た斜視図である。
【
図3A】本発明の骨盤フレームの上から見た斜視図である。
【
図3B】本発明の骨盤フレームの上から見た斜視図である。
【
図3C】本発明の骨盤フレームの上から見た斜視図である。
【
図3D】本発明に従って平らな向きにある骨盤フレームの平面図である。
【
図4A】本発明の外科用訓練器具内のモデルの尾側端面図である。
【
図4B】本発明の外科用訓練器具内のモデルの側面図である。
【
図4C】本発明の外科用訓練器具内のモデルの側面図である。
【
図4D】本発明の外科用訓練器具内のモデルの前頭側の上から見た斜視図である。
【
図4E】本発明の外科用訓練器具内の尾側端面図である。
【
図5B】本発明の経膣アダプタの上から見た斜視図である。
【
図6B】本発明の経膣アダプタの上から見た斜視図である。
【
図7】本発明の子宮摘出術モデルの上から見た斜視図である。
【
図8】本発明の子宮摘出術モデルの上から見た部分透視斜視図である。
【
図9】本発明の子宮摘出術モデルのフレームの上から見た斜視図である。
【
図10】本発明の子宮摘出術モデルのフレーム頂部分の平面図である。
【
図11】本発明に従って折り曲げ形態にあるフレーム底部分の上から見た斜視図である。
【
図12】本発明に従って折り曲げ形態にあるフレーム底部分の平面図である。
【
図13】本発明に従って折り曲げ形態にあるフレーム底部分の上から見た斜視図である。
【
図14】本発明の子宮摘出術モデルの部分断面側面図である。
【
図15】本発明の子宮摘出術モデルの分解組立側面図である。
【
図17】本発明のオーバーモールド軟質模擬膣組織インターフェースを備えた経膣アダプタの前から見た斜視図である。
【
図18】本発明のオーバーモールド軟質模擬膣組織インターフェースを備えた経膣アダプタの後ろから見た斜視図である。
【
図19】本発明のモールドの上から見た斜視図である。
【
図20】本発明のモールドおよびこのモールドの中央ポストに嵌められたシリコーン管の上から見た斜視図である。
【
図21】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管およびモールドに形成されたシリコーン外側インターフェースの上から見た斜視図である。
【
図22】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管およびモールドに形成されたシリコーン外側インターフェースの断面図である。
【
図23】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェースおよび扁平なプレートの上から見た斜視図である。
【
図24】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェースおよび扁平なプレートの断面図である。
【
図25】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェース、扁平なプレートおよびバッキングモールドの上から見た斜視図である。
【
図26】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェース、扁平なプレートおよびバッキングモールドの断面図である。
【
図27】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェース、扁平なプレート、バッキングモールドおよびシリコーン内側フェースの上から見た斜視図である。
【
図28】本発明のモールド、中央ポストに嵌められたシリコーン管、モールドに形成されたシリコーン外側インターフェース、扁平なプレート、バッキングモールドおよびシリコーン内側フェースの断面図である。
【
図29】本発明の子宮摘出術モデルの部分断面側面図である。
【
図30】本発明の子宮摘出術モデルの分解組立側面図である。
【
図31】本発明のフレームの上から見た斜視図である。
【
図32】本発明の開放子宮モールド内のメッシュおよびマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図33】本発明の開放子宮モールド内のメッシュおよびシリコーンの上から見た斜視図である。
【
図34】本発明の開放子宮モールド内のメッシュおよびシリコーンの上から見た斜視図である。
【
図35】本発明の開放子宮モールド内のメッシュ、シリコーンおよびマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図36A】本発明の閉鎖子宮モールド内のメッシュ、シリコーンおよびマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図36B】本発明の複数の閉鎖かつクランプ状態の子宮モールドの上から見た斜視図である。
【
図37】本発明の子宮頸モールドの上から見た斜視図である。
【
図38A】本発明の折り曲げファブリックまたは織物スリーブの上から見た斜視図である。
【
図38B】本発明のファブリックの2つの層を有する折り曲げスリーブを形成するようそれ自体折り曲げられた管状スリーブの上から見た斜視図である。
【
図39】本発明のファブリックスリーブ内のポストの上から見た斜視図である。
【
図40】本発明の子宮頸モールドのウェル内のファブリックスリーブの内側のポストの上から見た斜視図である。
【
図41A】本発明の子宮頸モールド内に注ぎ込まれている未硬化シリコーンの上から見た斜視図である。
【
図41B】本発明に従ってポストが子宮頸モールド内のウェル内に位置した折り曲げ状態のスリーブの断面図である。
【
図42】未硬化シリコーンで部分的に満たされた子宮頸モールドのウェル内のファブリックスリーブ内のポストおよび本発明に従って押し潰されている子宮型の上から見た斜視図である。
【
図43】本発明に従って押し潰されながら子宮頸モールドのウェル中に挿入されている子宮型の上から見た斜視図である。
【
図44】本発明に従って子宮頸モールドのウェル内の子宮型の上から見た斜視図である。
【
図45】本発明によるポストを備えた模擬子宮の上から見た斜視図である。
【
図46A】本発明の模擬子宮の近位端から見た図である。
【
図46B】本発明の模擬子宮の近位端部の上から見た断面斜視図である。
【
図47】本発明に従って1対のマンドレルに取り付けられた1対のメッシュソックスの上から見た斜視図である。
【
図48】本発明の埋め込みメッシュ層を備えた模擬膣管の上から見た斜視図である。
【
図49】本発明の模擬膣管の遠位端部の上から見た斜視図である。
【
図50】本発明の模擬膣管の遠位端部の上から見た斜視図である。
【
図51】本発明の逆さまにされた状態の模擬膣管の上から見た斜視図である。
【
図52】本発明の模擬膣管の近位端から見た図である。
【
図53】本発明の卵巣を横切って配置されたシリコーン血管の平面図である。
【
図54】本発明の卵巣を横切って配置されたシリコーン血管の平面図である。
【
図55】本発明の経膣アダプタの上から見た斜視図である。
【
図56】本発明の経膣アダプタの上から見た断面斜視図である。
【
図59】外科的訓練装置のトップカバーとベースとの間に連結された経膣アダプタに連結されている模擬子宮の端面図および本発明の経膣アダプタの上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られた外科用訓練器具10が
図1に示されている。外科用訓練器具10は、ユーザから実質的に隠されていて、本明細書に記載する模倣されもしくは生きている組織またはモデル器官もしくは訓練モデル等を受け入れる本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12にはユーザが器具を用いて本体キャビティ12内に見えるように設けられた組織または練習用モデルに対して手術法を実施することにより穿通される組織模擬領域14を介してアクセスされる。本体キャビティ12は、組織模擬領域を通ってアクセス可能であるものとして示されているが、変形例として、手を使ったアクセス器具または単一部位ポート器具を用いて本体キャビティ12にアクセスしても良い。例示の外科用訓練器具が2011年9月29日に出願された米国特許出願第13/248,449号明細書(発明の名称:Portable Laparoscopic Trainer)に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。外科用訓練器具10は、腹腔鏡下または他の低侵襲手術手技を練習するのに特に好適である。
【0015】
依然として
図1を参照すると、外科用訓練器具10は、少なくとも1本のレッグまたは脚20によって基部18に連結されるとともにこの基部から間隔を置いて設けられた頂部カバー16を有している。
図1は、複数のレッグ20を示している。外科用訓練器具10は、患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られている。頂部カバー16は、患者の前方表面を表しており、頂部カバー16と基部18との間の空間12は、器官が存在する患者の内部または体内腔を表している。外科用訓練装置10は、患者が手術手技を受ける場合の模擬(シミュレーション)において種々の手術手技およびこれらと関連した器械を教示し、練習し、そして実証するための有用なツールである。外科用器械は、組織模擬領域14を通るとともに頂部カバー16にあらかじめ設けられた孔22を通ってキャビティ12中に挿入される。種々のツールおよび技術を用いて頂部カバー16を穿通し、それにより頂部カバー16と基部18との間に配置された模擬器官または練習用モデルに対して模擬手技を実施することができる。基部18は、模擬組織モデルまたは生きている組織をステージングしまたは保持するためのモデル受け入れ領域24またはトレーを有する。基部18のモデル受け入れ領域24は、モデル(図示せず)を定位置に保持するフレーム状要素を有している。模擬組織モデルまたは生きている器官を基部18上に保持するのを助けるため、引っ込み可能なワイヤに取り付けられたクリップが場所26のところに設けられている。引っ込み可能なワイヤは、伸長され、次にクリップ留めされて組織モデルを組織模擬領域14の実質的に下の定位置に保持する。組織モデルを保持する他の手段としては、モデル受け入れ領域24内で基部18に取り付けられたフック・アンド・ループ式(所謂マジックテープ(登録商標)式)締結材料のパッチ(VELCRO(登録商標))が挙げられ、このフック・アンド・ループ式締結材料のパッチは、モデルに取り付けられたフック・アンド・ループ式締結材料の補足し合う小片(VELCRO(登録商標))に取り外し可能に連結可能である。
【0016】
頂部カバー16にヒンジ留めされたビデオディスプレイモニタ28が
図1に閉じられた向きで示されている。ビデオモニタ28は、画像をモニタに送る種々の視覚的システムに接続可能である。例えば、あらかじめ設けられた孔22またはキャビティ内に設けられたウェブカム(ウェブカメラ)のうちの一方を通って挿入され、そして模擬手技を観察するために用いられる腹腔鏡をビデオモニタ28および/またはモバイルコンピューティング装置に接続して画像をユーザに提供するのが良い。また、音声記録または送り出し手段もまた提供されて訓練装置10と一体化され、それにより音声および視覚的機能を提供するのが良い。携帯式記憶装置、例えばフラッシュドライブ、スマートフォン、ディジタルオーディオもしくはビデオプレーヤまたは他のディジタルモバイル装置もまた実証目的で訓練手技を記録するとともに/あるいはあらかじめ記録された映像をモニタ上にプレイバックするために設けられる。当然のことながら、音声視覚的出力をモニタよりも大きなスクリーンに提供する接続手段が設けられる。別の変形例では、頂部カバー16は、ビデオディスプレイを備えておらず、ラップトップ型コンピュータ、モバイルディジタル装置またはタブレットと接続し、これをワイヤまたはワイヤレスで訓練装置に接続する手段を含む。
【0017】
組立て時、頂部カバー16は、レッグ20が実質的に周囲に沿って配置されるとともに頂部カバー16と基部18との間に相互に連結された状態で基部18の真上に位置決めされる。頂部カバー16と基部18は、実質的に同一の形状および寸法のものでありかつ実質的に同一の周囲外形を有している。内部キャビティは、視界から部分的にまたは完全に隠されている。
図1に示されている変形例では、レッグ部は、周囲光が内部キャビティをできるだけ多く照明することができ、しかも有利には、携帯性に都合がいいようにできるだけ軽量化をもたらすために開口部を有している。頂部カバー16は、レッグ部20から取り外し可能であり、レッグ部20は、基部18に対して取り外し可能でありまたは基部18に対してヒンジ等により折り畳み可能である。したがって、非組立て状態の訓練装置10は、携帯を容易にする減少高さを有している。本質的には、外科用訓練装置10は、ユーザからは隠されている模擬本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12は、少なくとも1つの組織模擬領域14および/または頂部カバー16に設けられた孔22を介してアクセス可能である少なくとも1つの手術モデルを受け入れるよう構成されており、ユーザは、孔22を通ってモデルにアクセスして腹腔鏡下または内視鏡下低侵襲手術法を練習することができる。
【0018】
本発明に従って、子宮摘出術を練習させ、特に膣式子宮摘出術を練習させるためのモデル30が
図2に示されている。モデル30は、上述した外科用訓練器具10または他の類似の外科用トレーナ内に配置されるよう構成されている。モデル30は、第1のシート36および第2のシート38によりフレーム34に連結された模擬子宮32を含む。模擬子宮32は、中空の模擬子宮腔42を構成する球状部分40を有する。球状部分40は、開口部48を有する膣管46を構成する管状部分44に連結されている。模擬子宮32は、実質的には子宮腔42と膣管46との間に位置する場所で模擬子宮32内に配置された模擬子宮頸50(
図4Aに示されている)を更に有する。模擬子宮頸50は、細隙52を有する。模擬子宮頸50は、中実の高ジュロメータシリコーンで作られている。
【0019】
模擬子宮32は、卵巣56に連結された模擬ファロピウス管54を更に有する。模擬子宮32、ファロピウス管54および卵巣56は、シリコーンまたは他のエラストマー材料で作られていて、これらは、シリコーンと組み合わされる他の材料、例えばフォーム材料を含む場合がある。模擬子宮32は、シリコーンまたは軽量のフォーム、例えばウレタンもしくはシリコーンフォームまたはこれら2つの組み合わせで作られている。取り付け状態の模擬子宮頸50が引かれて操作されているとき、シリコーンによる構成により、模擬子宮32にはより本物に近い重さが与えられる。模擬子宮32がフォームで作られていることにより、模擬子宮32を模擬骨盤腔内に浮いた状態で設けやすくなる。また、模擬子宮32を取り出している際、軽量フォームは、高ジュロメータシリコーンで作られた模擬子宮32よりも容易に撓み、それにより、大きな模擬子宮32をモデル30内に配置することができ、そして依然として取り出すことができる。フォーム子宮32は、これが実際の手術と同様に膣開口部48を通って取り出されているときに縮んだり撓んだりする。模擬子宮32は、ほぼ300~500グラムであり、模擬子宮32は、大がかりな細切を行わないで経膣的に通常取り出し可能な本物の子宮のサイズおよび重さを正確に表わすよう選択されたジュロメータのフォームで構成されている。別の形態では、模擬子宮32は、模擬子宮32により本物に近い見た目を与える一方で依然としてフォームの柔軟性を有するようにシリコーンとフォームの組み合わせである。フォームを成型するのが良く、次にシリコーンを例えば回転モールド上のフォームを覆って被着させるのが良い。模擬子宮32は、色が一般的に桃色であり、ファロピウス管54および卵巣は、透き通ったまたは白色である。さらに、模擬子宮32は、埋め込み状態の腫瘍、嚢胞および/またはファロピウス管54内の子宮外妊娠部を含む場合がある。モデル30は、模擬脈管系または血管系58、例えば血管を更に含む場合がある。模擬血管系58は、中実または中空の管状シリコーンまたは他の適当なエラストマーで作られている。液体が模擬血管系58の中空管内に入れられている場合がある。血管を模倣した模擬血管系58は、色が赤色であるのが良い。モデル30は、
図2および
図4Eで理解できるようにシリコーン材料で作られた模擬索59、例えば子宮仙骨索59を更に含む場合がある。モデル30は、
図2に示されたフレーム34に取り付けられている卵管卵巣円索61を更に含む場合がある。
【0020】
さらに、
図3A~
図3Dを参照すると、フレーム34は、内部/ルーメン60を画定する筒状の形を有する。フレーム34は、第2の表面64に相互連結された第1の表面62を有し、第1の表面62と第2の表面64との間には厚さが定められている。第1の表面62は、フレーム34の筒状の形の内面を構成し、第2の表面64は、フレーム34の筒状の形の外面を構成している。フレーム34は、これまた僅かに圧縮性である柔軟性フォーム材料で作られている。フレーム34は、外周および孔を構成するよう第1の表面62と第2の表面64との間に延びる1つまたは2つ以上の切欠き66を有する。一形態では、フレーム34は、
図3Dに示されているパターンに従って切断されたフォーム材料シートで作られている。
図3Dは、第1の側部および第2の側部72,74によって相互に連結された頂部68と底部70を有する外周を示している。頂部68は、垂直軸線に沿って第1の突出部78のところで相互連結された2つの湾曲部分76a,76bを有する。2つの湾曲部76a,76bは、左および右腸骨(ilium/iliac)稜を表わしている。底部70は、垂直軸線に沿って位置する第2の突出部80を有する。第1の突出部78は、人間の骨盤の仙骨を表わし、第2の突出部80は、尾骨を表わしている。第1の側部72は、第1の孔86を備えた第1の下ローブ82を有し、第2の側部74は、第2の孔88を備えた第2の下ローブ84を有する。第1および第2の下ローブ82,84は、左および右座骨を表わし、第1の孔86および第2の孔88は、人間の骨盤の閉鎖孔を表わしている。厚さを有する一片のフォームは、
図3Dに示されている平たいパターン形状を有するよう切断されている。次に、フォーム片は、第1の下ローブ82と第2の下ローブ84が筒状の形態に互いに繋がるよう湾曲している。2つのローブ82,84を繋いだ場合、これらは、恥骨/恥骨-恥骨結合を表わす。2つのローブ82,84は、接着剤によって接合されても良くまたは別の適当な仕方で連結されても良い。別の形態では、2つのローブ82,84は互いに接合されず、半筒状または割れ型筒形態をなして互いに離隔した状態のままである。フレーム34は、曲げ可能であり、このフレームは、曲げ後にその形状を保つ材料、例えばアルミニウムで作られるのが良い。また、トレーナ10に連結されるクリップ26およびワイヤを用いると、2つのローブ82,84をトレーナ10内に位置したままの状態で上向きの状態にかつ筒状の形態に保持することができる。骨盤の解剖学的構造が
図7に示されている。
【0021】
フレーム34は、ダイカットすることができ、次に接着剤で正確な形状に形成することができる軟質で圧縮性の半剛性フォームで作られている。フレーム34が硬質のプラスチックで作られている場合、フレーム34は、当初正確な形状に形成される薄いサーモフォームであっても良く、あるいは、骨盤形状の状態に切断され、次に熱で筒の形状に形成される厚手のプラスチックであっても良い。フレーム34は、その形状を保持する変形可能な金属で作られても良い。フレーム34は、解剖学的構造の完全なレプリカではなく、医師にとっての解剖学的基準箇所または視覚的ランドマークまたは景観として特定の特徴部を必要とするある特定の手技を練習させるために選択されるある特定の特徴部を含むことだけが必要である。例えば、膣式子宮摘出術を練習させるため、骨盤の重要な特徴部は、骨盤入口の絞りおよび骨盤側壁への取り付け部である。経肛門全直腸間膜切除術(ta TME)の練習のため、仙骨のL字形は重要なランドマークである。ヘルニア手技に関し、恥骨結節が重要なランドマークである。フレーム34は、全ての解剖学的に正確な特徴部または特定の手技に必要な特徴部だけを有するよう作られても良い。したがって、フレーム34およびモデル30は、膣式子宮摘出術、経腹子宮摘出術、結腸切除術、ヘルニア、ta TME、および他の骨盤手技の模倣のために使用できる。別の形態では、フレーム34は、開口近位端部および開口遠位端部を備えた円錐形状または切頭円錐形状をなす。
【0022】
図2に戻ってこれを参照すると、モデル30は、模擬膀胱90をさらに含むのが良い。模擬膀胱90は、代表的にはシリコーンまたは他のエラストマー材料で作られた中空の空気の入ったコンポーネントである。別の形態では、模擬膀胱は、液体を収容する。模擬膀胱90は、接着剤または他の手段によってフレーム34に連結される。模擬膀胱は、フレーム34の第1の表面62または内面に連結される。模擬膀胱90は、2つのローブ82,84が恥骨を表わす場所で並置状態にある場所において垂直軸線と整列した状態で取り付けられる。模擬膀胱90は、連結されると、フレーム34のルーメン60中に延びる。模擬膀胱90は、模擬尿管94を更に有するのが良い。一形態では、模擬尿管94は、模擬膀胱90に連結される。模擬尿管は、中実または中空の管状シリコーンで作られる。
【0023】
依然として
図2を参照すると、モデル30は、模擬結腸92または腸の一部分を更に含むのが良い。模擬結腸92は、ルーメンを有する管状構造体である。模擬結腸92は、フレーム34の内部90内においてかつ実質的に垂直軸線に沿って、しかもフレーム34の第2の突出部80に当てた状態で第1の表面62上に置かれる。接着剤を用いて模擬結腸92をフレーム34に取り付けるのが良い。模擬結腸92は、シリコーンまたは他の適当なエラストマー材料で作られ、この模擬結腸は、桃色または他の適当な色に着色され、かかる模擬結腸は、模擬腫瘍を含んでいても良くまたは含まなくても良い。
【0024】
第1のシート36は、頂面96、底面98、第1の端部100および第2の端部102を備えた透き通ったシリコーン材料の薄い層である。一形態では、第1のシート36は、透明であり、頂面96および底面98のうちの少なくとも一方は、模様付きである。第1のシート36は、模擬子宮32に取り付けられている。特に、第1のシート36の第1の端部100の近くの底面98は、模擬子宮32の長さの少なくとも一部分に沿って、
図2に示されているように球状部分40および管状部分44のうちの1つまたは2つ以上に取り付けられている。次に、第1のシート36は、モデル30の頂部に向かって折り返され、そして第1のシート36の第1の端部100に向かって折り返され、それにより模擬子宮32の管状部分44の近くに折り目が作られている。第1のシート36のその第2の端部102の近くに位置する少なくとも一部分は、第1のシート36の底面98が、2つのローブ82,84がフレーム34のための筒状の形態を作るよう並置状態にある一般的な存在場所でフレーム34にくっつけられるようフレーム34に取り付けられている。第1のシート36の取り付けは、フレーム34を筒状の形態に保持するのにも役立ちうる。接着剤が第1のシート36の底面98をフレーム34に取り付けるために用いられている。第1のシート36の底面98は、フレーム34の第1の表面62または内面に取り付けられ、次にフレーム34の第1の側部72および第2の側部74の一部分の周りに折り曲げられる。模擬膀胱90がモデル30に採用される場合、第1のシート36の第2の端部102もまた、接着剤によって模擬膀胱90の外面に取り付けられ、それにより模擬膀胱90がフレーム34と第1のシート36との間に捕捉される。第1のシート36の第2の端部102の一部分は、フレーム34の縁部の周りに折り曲げられ、そしてフレーム34の第2の表面64に取り付けられ、その結果、第1のシート36の第2の端部102の少なくとも一部が
図4Dに見えるようにフレーム34の第2の表面または外面64の上方に位置するようになる。第1のシート36は、模擬子宮32をフレーム34の内部60内に浮いた状態で設けられるよう寸法決めされるとともに形作られている。模擬血管系58は、第1のシート36の頂面96または底面98に取り付けられるのが良い。第1のシート36の形態は、ポケットのような構造を形成し、この場合、第1のシート36の頂面96は、少なくとも部分的にそれ自体に向いた状態で折り返される。第1のシート36は、腹膜層を模倣する浮遊ウェッビングを作っている。
【0025】
第2のシート38は、頂面104、底面106、第1の端部108および第2の端部110を備えた透き通ったシリコーン材料の薄い層である。一形態では、第2のシート38は、透明であり、頂面104および底面106のうちの少なくとも一方は、模様付きである。第2のシート38は、模擬子宮32に取り付けられている。特に、第3のシート38の第1の端部108の近くの底面106は、模擬子宮32の長さの少なくとも一部分に沿って、第1のシート36が取り付けられている側から見て反対側に位置する球状部分40および管状部分44のうちの1つまたは2つ以上に取り付けられている。第1のシート36は、モデル30の前側に取り付けられ、この前側は、模擬子宮32の前側でもある。第2のシート38は、モデル30の後側に取り付けられ、この後側は、模擬子宮32の後側でもある。第2のシート38は、模擬子宮32の後側に取り付けられた後、モデル30の頂部に向かって折り返され、そして第2のシート38の第1の端部108に向かって折り返され、それにより模擬子宮32の管状部分44の近くに折り目が作られる。第2のシート38のその第2の端部110の近くに位置する少なくとも一部分は、第2のシート38の底面106が、第2の突出部80の一般的な存在場所でフレーム34にくっつけられるようフレーム34に取り付けられている。接着剤が第2のシート38の底面106をフレーム34に取り付けるために用いられている。第2のシート38の底面106は、フレーム34の第1の表面62または内面に取り付けられ、この底面は、フレーム34の縁部の周りに折り曲げられるのが良く、その結果、第2のシート38の第2の端部110の少なくとも一部は、フレーム34の第2の表面または外面64に連結されるようになっている。模擬結腸92がモデル30に採用される場合、第2のシート38の第2の端部110もまた、接着剤によって模擬結腸92の外面に取り付けられ、あるいは少なくとも重なり合った状態で接着剤によっては取り付けられず、その結果、模擬結腸92の少なくとも一部分は、フレーム34と第2のシート38との間に捕捉されまたは配置されるようになっている。第2のシート38は、模擬子宮32をモデル30がひっくり返された場合でもフレーム34の内部60内に浮いた状態に設けるよう寸法決めされるとともに形作られている。模擬血管系58が第2のシート38の頂面104または底面106に取り付けられるのが良い。第2のシート38の形態は、ポケットのような構造を形成し、この場合、第2のシート38の頂面104は、少なくとも一部がそれ自体に向いた状態で折り曲げられる。第2のシート38は、腹膜層を模倣する浮遊ウェッビングを作っている。
【0026】
次に
図4A~
図4Eを参照すると、モデル30が
図1を参照して説明した外科用訓練器具と同じ外科用訓練器具10内に配置された状態で示されている。モデル30は、体腔12内に位置した状態で示されるとともにフレーム34の頂部68が模擬訓練器具10の頭側方向に向くとともに模擬子宮32の膣開口部48が模擬訓練器具10の尾側方向に向くよう差し向けられている。モデル30は、外科用訓練器具10にこのトレーナ10に取り付けられたクリップ26により連結されるのが良い。引っ込み可能なクリップ26を引き出すことができ、そしてクリップ26をモデル30の任意の部分、例えばモデル30のフレーム34に取り付けることができる。また、モデル30の第2の表面または外面64は、トレーナ10の基部18に連結されたフック・アンド・ループ型ファスナ(面ファスナ)の相補部分に取り付けられるよう構成された面ファスナを有するのが良い。1つまたは2つ以上のファスナ、例えばクリップ26および/または面ファスナと一緒になって、モデル30は、トレーナ10にしっかりと取り付けられ、その結果、トレーナ10のモデル30が体腔12から外れることなく模擬手術において操作することができるようになっている。モデル30は更に、経膣アダプタ112によりトレーナ10に連結され、この経膣アダプタは、外科用訓練器具10の尾側方向に位置決めされた追加のレッグ20として頂部カバー16と基部18との間を互いに連結するよう寸法決めされるとともに形作られている。
【0027】
次に
図5Aおよび
図5Bならびに
図6Aおよび
図6Bを参照すると、経膣アダプタ112が示されている。
図1に戻ってこれもまた参照すると、5本のレッグ20によって基部の上方に浮いた状態で上部カバーが示されている。一形態では、6本のレッグ20が
図4A~
図4Dに示されているように、経膣アダプタ112の形態で提供されている。トレーナ10は、オプションとしての6番目の支持構造体またはレッグで組立てられるのが良く、このレッグは、経膣子宮摘出術を含む経膣手術を模倣するために形作られている。
【0028】
経膣アダプタ112は、トレーナの内部の方へ向くための内面116およびユーザの方へ外方に向くための外面118を備えた扁平なプレート114を有する。プレート114は、長方形の形をしており、孔120がこのプレート108内面116から外面118まで貫通している。一形態では、孔120は、形状が円形である。別の形態では、孔120は、形状が細長い楕円卵形のような形をしており、この孔は、アダプタ112の長手方向軸線に沿って垂直に差し向けられている。別の形態では、孔120は、形状が細長い楕円卵形であり、この孔は、アダプタの長手方向軸線に垂直に差し向けられている。
図5A~
図6Bに示されているように、プレート114は、経膣アダプタ112を頂部カバー16および基部18に連結して頂部カバー16を支持するとともにこれを離隔させるのを助けるよう挿入可能な手段、例えばタブ122またはU字形チャネルを更に有する。経膣アダプタ112は、頂部カバー16と基部18との間に配置され、この経膣アダプタは、トレーナ10に対して外側にまたは頂部カバー16および基部18に実質的に垂直に位置する側部接近孔16を備えている。プレート114は、主孔120を包囲しまたはこの周りに位置していてシリコーンなどで作られた軟質模擬膣組織インターフェースをオーバーモールドするよう構成された複数の成形孔124を更に有する。別の形態では、インターフェースは、経膣アダプタは、112の孔120中に挿入可能である。組織インターフェース(図示せず)は、プレート孔120と実質的に同軸の孔を有する。経膣アダプタ112の内面のところに、管状延長部126が一体的に設けられており、この管状延長部は、トレーナ10の模擬体腔12中に延びている。管状延長部126は、
図5Aおよび
図5Bの管状延長部126と比較して、
図6Aおよび
図6Bでは長い。管状延長部126は、模擬子宮32の管状部分44を延長部126の周りに引き伸ばすことができ、そして経膣アダプタ112に固定することができ、その結果膣管46が
図4A~
図4Dに示されているようにアダプタ112の孔120と一致しかつこれを通って接近可能な開放形態で支持されるよう寸法決めされるとともに形作られている。管状延長部126は、現実の手術の場合のように子宮の内部に接近できるような仕方でモデル30をトレーナ10に連結するコネクタとしての役目を果たす。一形態では、管状延長部126は、モデル30をトレーナ10に取り付けた状態に固定するとともに保持するのを助けるよう延長部128の少なくとも一部分の周りに延びる半径方向に延びる遠位フランジ128を備えた筒形の延長部である。モデル30の管状部分44は、管状部分44を遠位フランジ128が設けられている場合には遠位フランジ上にそして管状延長部126上にかつこの周りに引くことによって管状延長部126に取り付けられ、管状延長部126の外径は、管状部分44の弛緩状態の内径と同じまたは僅かに大きく、それにより管状部分44は、経膣アダプタ112に固定された状態に保たれる。経膣アダプタ112を可撓性の材料または剛性の材料で作ることができる。アダプタ112が剛性材料で作られている場合、このアダプタは、すでにレトラクトされた状態の膣管46を模倣する傾向がある。アダプタ112が可撓性材料または軟質材料で作られている場合、アダプタ112は、レトラクションを練習するのに適している。別の形態では、経膣アダプタ112は、軟質柔軟性材料で作られた管状延長部126および剛性材料で作られまたは剛性材料によって包囲されたプレート114を有し、それにより、トレーナ10の頂部カバー16が支持状態に保たれ、それにより医師は、アダプタ112のところの膣管46の開放時にレトラクションを依然として練習することができる。
【0029】
使用にあたり、モデル30を外科用訓練器具10内に配置し、そして面ファスナおよび/またはレトラクティングクリップ26により定位置に保持する。膣開口部48をアダプタ112の管状延長部126上で引き伸ばすことによって管状部分44を経膣アダプタ112に取り付ける。モデル30を更に隠すためにトレーナ10の側部の周りに配置されるカーテンを採用するのが良く、その結果、模擬膣管46を介してのみ視覚化が得られるようになっている。次に、外科用レトラクタを用いて膣管46をレトラクトする。膣管46は、柔軟性熱可塑性エラストマー(TPE)で作られている。TPEは、これがレトラクトされてユーザが真に迫ったレトラクションを練習することができるその元の形状にスプリングバックしようとするときに抵抗をもたらす。長い管状延長部126を備えた
図6Aおよび
図6Bの経膣アダプタ112を用いてすでにレトラクトされた状態の膣管を模倣する。それ故、経膣アダプタ112により、医師は、レトラクションを実行する上で余分の手および援助を必要することなく、子宮摘出術を練習することができる。短い管状延長部126を備えた
図5Aおよび
図5Bの経膣アダプタ112を用いる場合、医師は、手技中、レトラクタを用いるとともに余分の手の助けを借りて膣管46のレトラクトを練習することになる。経膣アダプタ112を上述したように剛性もしくは可撓性材料または剛性かつ可撓性の材料で作ることができるとともに、膣管46のレトラクションを練習させる目的で選択することができまたはそうでなくても良い。次に、模擬子宮頸50をつかんで膣管46の開口部48に向かって引き寄せる。模擬子宮頸50は、周りの管状部分44と比較して高ジュロメータシリコーンで作られている。模擬子宮頸50もまた、これを本物の外科用ツールで把持してシリコーンのリッピングまたは裂けの恐れなしに引くことができる中実コンポーネントとして作られている。模擬子宮頸50に周方向を切開し、そして、医師は、模擬子宮頸50からの膣粘膜を注意深く剥離するのを練習することができる。綿または他のウェッビング状物質のシートを膣管46と模擬膀胱90との間でモデル30内に設けるのが良い。上述したように、模擬膀胱90は、中空の空気入りのコンポーネントである。医師が模擬膣粘膜を剥離しながら大きく切り込んで模擬膀胱90を偶発的に切開した場合、模擬膀胱90は、特に模擬膀胱90が流体を収容している場合、ぽんという音がして医師に即時フィードバックを与える場合がある。
【0030】
モデル30は、有利には、模擬子宮32とフレーム34との間に折り目を形成する第2のシート38を有する。また、模擬子宮32をフレーム34内で浮いた状態で設けることにより、有利には、模擬子宮32を切開して操作しているときに本物に近い応答が作られる。また、模擬子宮が軽量のフォーム材料で作られている形態では、模擬子宮は、つり下げ状態のままであり、ぶら下がり、そして外科用器具による操作に応答して揺れることになる。模擬子宮および模擬膣は、少なくとも部分的に、骨盤フレームによって画定されたエンクロージャ内で浮いた状態に保たれるとともにこのエンクロージャに連結されまたはトレーナによって画定されたエンクロージャに直接連結される。浮いた状態で設けることにより、有利には、第2のシートの折り目に接近することができ、それにより直腸子宮折り目を形成する腹膜を切開することによって後方盲嚢切開部への後方膣切開術を練習することができる。浮いた状態の模擬子宮32は、直腸子宮腹膜折り目を存在させることができる。上述したように、模擬子宮32は、人間の骨盤を真似たフォーム材料で作られているフレーム34内にぶら下がっている。模擬子宮32を模擬子宮32の前側に設けられたシリコーン材料の折り曲げ状態の第1のシートおよび模擬子宮32の後側に設けられたシリコーン材料の折り曲げられた第2のシートによって浮かせる。フレーム34は、任意の材料、例えばプラスチック材料または硬質のフォーム材料で構成できる。フレーム34は、広間膜、卵巣56およびファロピウス管54を含む解剖学的構造の種々の模擬部分のための取り付け領域として役立つ。これら解剖学的コンポーネントのシリコーンの弾性により、模擬子宮32を引いて操作することができ、そしてこの模擬子宮は、依然としてフレーム34に取り付けられたままでいることができる。半硬質フォームで作られたフレーム34はまた、模擬子宮が操作されているときに動くことができる。より硬質のフレーム34は、動きが小さい。次に、医師は、子宮仙骨索59を分割する。次に、医師は、直腸子宮折り目を形成する腹膜を模倣した第1のシート38を切開することによって前方盲嚢切開部への前方膣切開術を練習することができる。医師は、模擬子宮32の各側で卵管卵巣円索59を分割する。フォームフレーム34に起因して、卵管卵巣円索59は、これらを模擬子宮32から分割した後であってもフレーム34に本物のような状態で取り付けられたままである。次に、模擬子宮32を自由にして取り出す。次に、医師は、縫合糸付きの針をモデル30の管状部分44に通して膣管46の開口部を閉じることによって膣カフを縫合して閉じる練習を行う。現実の手術で膣カフを縫合することは、スペース上の制約に起因して膣式子宮摘出術の別の困難な部分である。TPEで作られている管状部分44は、裂けなしで縫合糸を保持し、縫合プロセスの際に器具にとって利用できるスペースを制限する。モデル30により、医師は、1つのモデルについて多くの困難な手技を練習することができる。
【0031】
次に
図7および
図8を参照して、今、子宮摘出術モデル200について説明する。モデル200は、フレーム204に連結されるとともにこの中に配置された複数の模擬臓器構造体202を有している。
【0032】
次に
図9を参照すると、本発明のフレーム204が示されている。フレーム204は、骨盤をシミュレートして複数の模擬臓器構造体202を収容するボックス状収納体としての役立つよう構成されている。フレーム204は、締結具210によりフレーム底部分208に連結されたフレーム頂部分206を有している。組立状態のフレーム204は、2つの直立した側壁によって相互連結されたベースとトップを形成し、かかる組立状態のフレームは、開口近位端および開口遠位端を備えた中央ルーメンを備えている。フレーム204は、これを平坦な表面上に配置してこの上に立つことができるようにする平坦なベースを有する。
【0033】
次に
図10および
図11を参照すると、フレーム頂部分206が示されている。
図10は、フレーム頂部分206を扁平な形態で示している。底側は、ヒトの骨盤の骨構造を表すとともにフレーム204の側壁および頂部を形成する曲率を有する。扁平な配置状態から、フレーム頂部分206は、
図11に示された折り曲げ配置状態を形成するよう折り曲げられている。フレーム頂部分206は、複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に連結するための締結具を受け入れるよう構成された複数の孔212を有している。他の孔212が設けられており、これら孔212は、種々の模擬臓器構造体、例えば模擬血管系をフレーム204に対して支持するために模擬臓器構造体を孔212に通してフレーム204内に入れるよう構成されており、これについては以下に詳細に説明する。
【0034】
次に
図12および
図13を参照すると、フレーム底部分208が示されている。
図12は、フレーム底部分208を扁平な配置状態で示し、
図13は、このフレーム底部分を折り曲げ配置状態で示している。フレーム底部分208は、フレーム204のベースを構成し、このフレーム底部分は、ヒトの骨盤の骨解剖学的構造をシミュレートする湾曲した端部を有する。フレーム底部分208は、複数の孔212を更に有し、これら複数の孔212は、これら孔に通された締結具によりかつ/あるいは模擬臓器構造体を孔212中に直接通すことによって複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に連結するよう構成されており、これについては以下に詳細に説明する。
【0035】
次に
図14および
図15を参照して、今、複数の模擬臓器構造体202およびフレーム204へのその連結の仕方について説明する。複数の模擬臓器構造体202は、模擬膀胱214、模擬子宮216、模擬膣管218、模擬直腸220、第1のシート222、第2のシート224、切開層226および複数の締結具210を有する。複数の臓器構造体202は、
図14に示されているように相互連結されており、更にフレーム204に連結されている。本明細書において言及していない他の模擬臓器構造体に加えて、管状血管系、ダクト、動脈などが人体の同一または異なる解剖学的場所について解剖学的に正確なまたは解剖学的に類似した配置状態でこのモデル内に含まれるのが良い。次に、各模擬臓器構造体について説明する。
【0036】
模擬膀胱214は、桃色シリコーンで作られた外側メンブレン付きの閉鎖入れ物を形成している。模擬膀胱214の内部には、その形状を維持するためにポリフィルまたは他の材料で詰め込まれているのが良い。模擬膀胱214は、近位端部240および遠位端部242を有する。模擬子宮216もまた、シリコーンで作られている。模擬子宮216は、近位端部260および遠位端部262を有する。模擬膣管218は、シリコーンで作られた管状構造体であり、この模擬膣管は、オプションとして、埋め込み状態のメッシュ層230を収容している場合がある。模擬膣管218は、近位端部256および遠位端部258を有する。模擬直腸220は、成形横方向折り目を備えたシリコーンで作られている管状構造体である。模擬直腸220は、近位端部244および遠位端部246を有する。第1のシート222および第2のシート224は各々、シリコーン材料の広い扁平な平板状の層から成る。両方のシート222,224は、腹膜を表している。第1のシート222は、第1の表面232および第2の表面234ならびに近位端部248および遠位端部250を有する。第2のシート224は、第1の表面236および第2の表面238ならびに近位端部252および遠位端部254を有している。
【0037】
引き続き
図14および
図15を参照して、次に、複数の模擬臓器構造体202の組み立て、構成および連結の仕方について説明する。膀胱の遠位端部242を接着剤により第1のシート222の近位端部248と遠位端部250とのほぼ中間のところで第1のシート222の第1の表面232に取り付け、その結果、第1のシート222が模擬膀胱214の遠位端部242に模擬膀胱の頂部から模擬膀胱214の底部まで巻き付くようにする。第1の表面232を第1のシート222の遠位端部248の近くで締結具210に取り付ける。第1のシート222をほぼU字形の形に折り曲げて第1のシート222の遠位端部250および特に第1のシート222の第1の表面232を模擬子宮216に取り付けるとともに接着剤の使用により切開層226を介して模擬膣管218に取り付ける。
【0038】
切開層226は、繊維層229で相互連結されたシリコーン層228を有する構成体である。シリコーン層228が未硬化状態にある間、繊維層229を埋め込んで切開層226を形成する。切開層226を小片の状態でまたはストリップの状態で模擬膣管218に取り付け、その間、模擬膣管218のシリコーンは、マンドレル上で依然として湿潤状態であって未硬化状態にある。切開層226を未硬化模擬膣管218に被着させると、未硬化模擬膣管218の未硬化シリコーンは、硬化して切開層226、特に切開層226の繊維層229を模擬膣管218に取り付け、それによりシリコーンの2つの層相互間で繊維層229をサンドイッチする。切開層226は、模擬膣管218周りで区分的であっても良くあるいは模擬膣管218の周囲を包囲するよう形状が完全に管状であっても良い。切開層226は、同一の参照符号で示されているが、2つの切開層226が図示のように模擬膣管218の各側に設けられるのが良い。また、
図14および
図15に示されているように、切開層226は、模擬膣管218の遠位端部258に取り付けられている。切開層226は、2016年7月12日に出願された同時係属国際出願PCT/US2016/041852(発明の名称:Simulated dissectible tissue)に詳細に記載されており、この国際出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0039】
第2のシート224を模擬子宮216と模擬直腸220との間に取り付ける。特に、第2のシート224の遠位端部252の近くの第1の表面236を模擬子宮216の遠位端部226の近くに取り付ける。第2のシート224を接着剤の使用により模擬子宮216の長さに沿って近位端部260寄りに取り付ける。第2のシート224を切開層226に取り付ける。特に、第2のシート224の第1の表面236を接着剤の使用により切開層226のシリコーン層228に取り付ける。次に第2のシート224を折り曲げて模擬直腸220の遠位端部に向かって戻るように延びるようにし、そしてこの第2のシートを模擬直腸220の頂側部および外面に沿って取り付け、その結果、第2のシート224の遠位端部254が模擬直腸220の遠位端部246の近くに位置するようにする。模擬膀胱214の頂側部を締結具210に連結し、この締結具210をフレーム204の頂部フレーム206に設けられた孔212中に通す。第1のシート222の近位端部248もまた、締結具210に取り付け、この締結具もまた、フレーム204の頂部フレーム206に設けられた孔212中に通して複数の模擬臓器構造体202を浮かした状態または吊り下げた状態でフレーム204に取り付ける。頂部フレーム204から吊り下げられた状態で、相互に連結された複数の模擬臓器構造体202は、有利には、揺れて本物に近い状態で一緒に動き、この場合、器械などとの接触点は、最も動くとともに器械との接触点の遠位側に位置する模擬臓器の動きの程度が小さい。模擬直腸220の底側部を
図14および
図15に示されている少なくとも2つの締結具210に取り付ける。2つの締結具210を底部フレーム208に設けられている孔212中に通して複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に固定する。それゆえ、複数の模擬構造体を第1のシート222および第2のシート224が相互連結ウェッビングを形成した状態でフレーム204の中央開口部を横切って橋渡しする。模擬子宮216の近位端部260を模擬膣管218の遠位端部258中に挿入して接着剤で互いに結合する。模擬子宮頸は、シリコーンで作られた状態で設けられ、模擬子宮頸は、近位端部260のところで模擬子宮216内に配置されている。
【0040】
次に
図16を参照して、今、締結具210について詳細に説明する。締結具210は、平坦面端部266に連結された二又状の(2つの枝部付きの)フック状の偏向可能な端部264を有する。リベット状締結具210の2つの枝部は、平坦面266から延びている。2つの枝部は、弾性的に偏向して互いに近づいたり互いに遠ざかったりすることができ、その結果、小さな孔に通されると、枝部は、孔に当たってすぼみながら上方に上げられているときに内方にたわみ、そして次に、枝部の最も幅の広い部分が孔を通過すると、外方にスプリングバックし、それにより孔壁にスナップ動作で嵌まって引っかかる。締結具210は、2つの枝部を備えた構造には限定されない。その代わりに、例えば孔を通ってスナップ動作するよう構成された球状部分を有する単一の枝部を採用することができる。フック状ループ付き面を備えたVELCRO面ファスナ型締結具のループ付き層268をシアノアクリレートグルー270により平板状端部266に取り付ける。ループ付き面を備えたVELCRO面ファスナ型締結具のこの層を取り付けた後、シリコーン層272を未硬化状態にある間にループ付き層268に被着させて湿潤状態のシリコーンがループ付き層268のループ中に広げられるようにする。次に、シリコーン層272は、乾燥状態に放置される。シリコーン層272に代えて、シリコーン接着剤の層を用いることができる。締結具210を接着剤によりまたは湿潤シリコーンの層を締結具210が配置されるのが望ましい場所で臓器構造体上に載せることによってシリコーン臓器構造体に取り付けるのが容易になる。次に、締結具210を湿潤未硬化シリコーンのパッチ上に配置し、パッチを乾燥状態に放置し、それによりループ付き層268内に埋め込まれたシリコーンをシリコーン臓器構造体にくっつける。別の形態では、シリコーン層272は、湿潤シリコーンのパッチとしてシリコーン臓器構造体の一部または臓器構造体の硬化済みシリコーンコンポーネントの一部であり、シリコーングルーで取り付けられる。締結具210は、枝部を互いに押し付けるとともに/あるいは締結具210を孔212から押し出すことによってフレーム204に対して取り外し可能であり、それにより、複数の模擬臓器構造体202は、取り外し可能であって練習の続行のためにおよび外科的処置の訓練のために新たな複数の模擬臓器構造体202に交換可能である。孔212および締結具210は、フレーム204への複数の模擬臓器構造体202の取り付けを迅速かつ容易にするよう色分けされるのが良い。
【0041】
取り付け時、管状/円筒形の形をしていてかつ代表的にはシリコーンで作られた模擬血管系274、ダクト、ファロピウス管、尿管または他の解剖学的もしくは非解剖学的構造体を
図7および
図8に示されているように適当なサイズの孔212中に引き通して連結状態の模擬組織構造体を更に支持する。これら管状構造体は、自由端部および他の模擬組織構造体に取り付けられた別の端部を有する。自由端部をフレームに設けられた孔中に通し、そしてこれが連結される模擬組織構造体に加わる張力を調節するのに適した長さについて自由端部を固定するのが良い。例えば、フレームと他の模擬組織構造体との間にゆるみを持たせた状態で管状構造体を固定することによってゆるい張力を作るのが良い。変形例として、管状構造体をフレームに対してぴんと張った状態に引くことによって模擬組織に加わる張力を増大させてフレーム内において模擬組織構成体の生じる揺れを比較的小さくしても良い。ロープ状の管状構造体をその長さに沿う結び目を作って張力を調節することができる。結び目直径は、大きな組織構造体をフレームに固定するためにフレームの孔よりも大きく作られる。結び目をほどくと、模擬組織構造体を取り外すことができまたは結びなおすと、異なる張力レベルを提供することができる。別の形態では、管状/円筒形の形をした管状シリコーン模擬血管系274、ダクト、ファロピウス管、尿管または他の解剖学的もしくは非解剖学的構造体は、これらの遠位端部のところにリベットを備えている。リベットは、フレームに連結可能な遠位端部および機械的連結具を作るためにシリコーン管状構造体の端部中に埋め込まれまたはかしめられる近位部分を有する。リベット状締結具210は、模擬組織構造体の軟質柔軟性シリコーンと硬質プラスチックフレームとの間のインターフェース連結具としての役目を果たす。模擬組織構造体は、多くの場合、室温加硫(RTV)シリコーンエラストマーで作られる。その結果、模擬組織構造体は、デリケートであり、もし強化されなければ容易に裂ける場合がある。これにより、かかる人工組織構造体をフレームに連結するのが困難になる。締結具は、硬質フレームに連結可能な剛性部分および締結具の剛性部分と取り付け模擬組織構造体との間に位置するインターフェースとして働く層を有する。一形態では、インターフェースとして働く層は、湿潤状態の未硬化シリコーンがしみて入り込むことができる繊維層であり、かかる湿潤未硬化シリコーンは、硬化時、インターフェースとして働く層の領域に沿ってこの繊維層にしっかりとくっつけられる。未硬化シリコーン層は、人工組織構造体上に被着されるパッチであるのが良く、その結果、硬化時、パッチは、人工組織構造体およびインターフェースとして働く層に一体的に連結状態になる。この種の締結具は、有利には、応力集中を最小限に抑え、その結果、連結具は、模擬組織構造体から裂けて取れ、それにより模擬組織構造体を大胆に操作することができる。締結具はまた、締結具をフレームに設けた複数の孔中に単にスナップ動作で通すことによってフレーム内の模擬組織構造体の迅速な組み立てを可能にする。分解もまた容易であり、フレームは、模擬組織構造体が練習で消費されて同一でありまたは破棄されたモデルとは異なる別の模擬組織モデルで置き換えた後に再使用可能である。有利には、組み立てのための追加のツールまたは接着剤は不要である。
図16に示されている締結具の代替手段として、第1、第2および/または第3のシート222,224,225を接着剤で直接フレームに取り付けても良い。リベットについて説明したが、模擬組織構造体をフレームに固定するようになった任意適当な締結具は、本発明の範囲に含まれる。
【0042】
次に
図17および
図18を参照して、今、経膣アダプタ280について説明する。上述したように、経膣アダプタ280は、訓練装置10のトップカバーを支持するよう構成されたレッグ20として形成されている。この経膣アダプタは、経膣子宮摘出術を含む経膣手術をシミュレートするよう構成されている。経膣アダプタ280は、訓練装置の内部の方へ向く内面284およびユーザに向かって外方に向く外面286を備えた扁平なプレート282を有する。プレート282は、長方形の形をしており、このプレート282を内面284から外面286まで貫通して孔288が設けられている。一形態では、孔288は、形状が円形である。別の形態では、孔288は、形状が細長い楕円形、長円形であり、しかもアダプタ280の長手方向軸線に沿って垂直に差し向けられている。別の形態では、孔288は、形状が細長い楕円形、長円形であり、しかもアダプタ長手方向軸線に垂直に差し向けられている。プレート282は、経膣アダプタ280をトップカバー16およびベース18に連結してトップカバー16を支持するとともに間隔を置いて配置するのを助けるよう挿入可能な手段、例えばタブ290またはU字形溝形材を更に有する。経膣アダプタ280は、トップカバー16とベース18との間に配置され、この経膣アダプタは、訓練装置10に対して横方向のまたはトップカバー16およびベース18に対して実質的に垂直の側部接近孔288を提供している。プレート282は、シリコーンなどで作られた軟質の模擬膣組織インターフェース294を被覆成形するために構成された主孔288を包囲しまたは取り囲んだ
図23~
図28に示されている複数の成形孔292を更に有する。次に、被覆成形された軟質模擬膣組織インターフェース294を成形する方法について説明する。
【0043】
次に
図19を参照すると、モールド298が提供されている。モールド298は、細長い中央ポスト300を取り囲んだウェル298を有する。別の形態では、中央ポスト300は、形状が長円形または円形である。円形または長円形の形の結果として、同一形状を有するとともにTATME用途に適した開口部が得られ、この用途では、アダプタは、模擬直腸に連結可能であり、それにより経膣アダプタに代えて経肛門アダプタとして働く。あらかじめ作られたシリコーン管302を
図20に示されている中央ポスト300を覆って配置する。次に
図21および
図22を参照すると、未硬化シリコーンが外側インターフェース304を形成するようウェル298中に注ぎ込まれている。次に、
図23および
図24を参照すると、経膣アダプタ280は、ウェル298内に配置された未硬化シリコーンの頂部上に配置されている。外側インターフェース304の未硬化シリコーンは、硬化するよう放置されている。次に、
図25および
図26を参照すると、バッキングモールド306をシリコーン管302周りでかつ孔288内に配置する。次に、未硬化シリコーンをバッキングモールド306と孔288の内側との間にそして成形孔292中に、更に内面284上に注ぎ、そして硬化して
図27および
図28に示されているように内側インターフェース308を形成するようにする。モールド296およびバッキングモールド306を取り外す。結果として得られた経膣アダプタ280が
図17および
図18に示されている。経膣アダプタ280の扁平なプレート282の少なくとも一部は、内側インターフェース308の湿潤状態のシリコーンが孔288および成形孔292を通って外側インターフェース304の硬化済みシリコーンにくっつくので、内側インターフェース308と外側インターフェース304との間にサンドイッチされる。内側インターフェース308および外側インターフェース304は、軟質でかつ本物に近い組織の見栄えおよび感触を提供する。経膣アダプタ280は、訓練装置10のトップカバー16とベース18との間に連結されている。モデル200を訓練装置10の本体キャビティ12内に配置して経膣アダプタ280に連結し、シリコーン管302がキャビティ12の内部に向いてこのシリコーン管を模擬膣管218の近位端部256中に挿入するようにする。モールド296の細長い中央ポスト300は、モデル200中に通じる細長い入口路を作る。
【0044】
使用にあたり、練習中の外科医は、経膣アダプタ280を通って外科用器械およびレトラクタで模擬子宮216に接近して経膣子宮摘出術を実施するのが良い。変形例として、模擬子宮216に訓練装置10のトップカバー16の模擬腹壁を通って接近しても良い。ユーザは、トロカールおよびスコープを用いて腹腔鏡下外科的技能を練習して解剖学的構造を吟味して模擬外科的子宮摘出術を行う。この手技では、重要な切開層を作って子宮を剥離し、次にこれを取り出す。特に、モデル200は、有利には、シリコーン内に埋め込まれた繊維を含む1つまたは2つ以上の切開層226を提供し、かかる繊維は、模擬子宮216の切開および分離を真に迫った状態にする。ユーザは、模擬子宮216の取り出し後の模擬膣管218の縫合を更に練習することができる。この目的のため、模擬膣管218は、シリコーンが容易に裂けることなく縫合糸を保護することができる埋め込み状態のメッシュを備えている。使用後、締結具212をフレーム204から解除することによってモデル200を訓練装置10から取り外すとともに複数の模擬臓器構造体202をモデル200から取り外す。次に、新たな複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に連結して練習の続行のために訓練装置10内に挿入する
【0045】
次に
図29および
図30を参照して、今、別の形態としての子宮摘出術モデル200について説明する。モデル200は、
図7~
図28を参照して説明したモデル200と類似しており、同一の参照符号を用いて同一の部分を示す。モデル200は、フレーム204に連結された状態でこの中に配置された複数の模擬臓器構造体202を有する。
【0046】
次に
図31を参照すると、本発明のフレーム204が示されている。フレーム204は、骨盤をシミュレートするよう構成されていて複数の模擬臓器構造体202を収容するボックス状収納体としての役目を果たしている。フレーム204は、締結具210によってフレーム底部分208に連結されたフレーム頂部分206を有し、それにより2つの直立した側壁によって平坦な頂面および平坦な底面が形成されている。平坦な頂面と平坦な底面は、互いに平行であり、これらの表面は、約90°である側壁を備えたコーナー部を形成している。側壁は、互いに向かって傾けられており、その結果、近位端部のところでは、側壁相互間の間隔が近接しているが、遠位端部に向かって距離が増大するにつれて次第に大きくなっており、近位端では、側壁は、互いに遠く離れている。2つの直立した側壁によって相互連結されたベースと頂部を備えた組立状態のフレーム204は、開口近位端および開口遠位端を備えた中央ルーメンを画定している。長手方向軸線に垂直に取った中央ルーメンの断面領域は、近位端から遠位端に向かって距離の増大につれてますます大きくなっている。フレーム204の外形は、中央ルーメンの形とは異なっているのが良い。漸増する面積を備えた中央ルーメンを有するがコーナー部を備えていないテーパ付きフレームの別の例は、切頭円錐形の形を形成するフレームである。かかる一形態の中央ルーメンは、切頭円錐形の形をしている。フレームの外形は、中央ルーメンのテーパ付き形状にも一致するのが良い。フレーム204は、これを平坦な表面上に配置してこの上に立つことができるようにする平坦なベースを有する。フレーム底部分208は、第1の高さ位置を有するとともに経膣アダプタ280と一線をなすようフレーム204の内部のモデルの高さ位置を持ち上げる隆起状態の第2のフロア209を有する。フレーム204は、孔212を有するのが良く、これら孔212は、締結具210を通すとともに/あるいは組織構造体、例えば血管系を孔212に通してこれらをフレーム204内に浮かせることによって組織構造体、例えば血管系を連結するようになっている。
図31のフレーム204は、フレーム204が透明でありかつ/あるいは半透明である折り曲げプラスチックで構成されている
図7~
図13に示されているフレーム204とほぼ同じである。フレーム204のプラスチックコンポーネントの折り曲げの結果として、コーナー部が解剖学的に正確ではないが、解剖学的に正確な骨盤の現実性と引き替えに腹腔鏡下手技をシミュレートする際に必要な利点を提供する。これらの利点としては、テーパ付き近位端部内に配置された臓器の機械的くびれが最も小さなルーメン断面領域を有するということが挙げられる。近位端部のところの臓器の物理的絞りは、遠位端部内に入っている臓器の絞り度が小さくしかもより自由に揺れることができ、しかも外科用器械による操作に対してより流動的に応動する遠位端部に対して、外科用器械による操作時に臓器内においてより堅い応答を生じさせる。本発明のフレーム204は、中央ルーメンの長手方向軸線の長さによって臓器中の不定の抵抗を組み合わせる骨盤の意図した単純化の産物である。フレームの近位端部のところの中央ルーメンに通じる小さな開口部は、膣管に通じる開口部が臓器をフレーム内に配置したときに位置決めされる場所である。フレームの近位端部はまた、経膣または経肛門アダプタに向かってこれとの連結のために差し向けられる。フレーム204の遠位端部は、人工子宮216の存在場所である。フレームの中央ルーメンは、遠位端部に向かって外方に拡張し、広がり、そして山形に広がる。ボックス状フレームのこのテーパが広がってこの中に入っている臓器を弛緩させ、狭い近位端部は、臓器を締めつけまたは絞り、それにより臓器をより近接した境界部内に支持した結果として臓器の運動範囲を比較的更に制限する。
【0047】
図29および
図30に戻ってこれらを参照して、今、複数の模擬臓器構造体202およびフレーム204へのその連結の仕方について説明する。複数の模擬臓器構造体202は、模擬膀胱214、模擬子宮216、模擬膣管218、模擬直腸220、第1のシート222、第2のシート224、第3のシート225および複数の締結具210を有する。複数の臓器構造体202は、
図29に示されているように相互に連結されており、更にフレーム204に連結されている。変形例として、第1のシート222と第2のシート224と第3のシート225は、
図29に点線で示されているように互いに連結されている。この形態では、第1のシート222は、模擬膀胱214の頂部周りに近位側にかつ模擬膀胱214の近位端部周りに下方にしかも模擬膀胱214の遠位端部に向かって延びている。この形態では、模擬膀胱214は、
図29に示されているように締結具210によっては吊り下げられていない。第3のシート225は、模擬膀胱214の近位端部のところで始まって下方に延び、そしてこの形態では第1のシート222と第3のシート225を連結する接着剤の存在場所を含む場所360で第1のシート222に連結されている。第2のシート224は、この別の形態では、ほぼ同一の経路を辿るが、模擬子宮216を挿通するスリットを有し、その結果、第2のシート224は、点線で示されているように上方に延びている。管の形をした血管系、ダクト、動脈などは、本明細書において言及していない他の模擬臓器構造体に加えて、人体の同じまたは異なる解剖学的存在場所に関して、このモデル内に解剖学的に正確なまたは解剖学的に類似した配置状態で含まれるのが良い。次に、各模擬臓器構造体について説明する。
【0048】
模擬膀胱214は、桃色シリコーンで作られた外側メンブレンを有する閉鎖入れ物を形成する。模擬膀胱214の内部には、ポリフィルまたは他の材料が詰め込まれるのが良く、それによりその形状を維持することができる。模擬膀胱214は、近位端部240および遠位端部242を有する。
【0049】
模擬子宮216もまた、シリコーンで作られている。模擬子宮216は、近位端部260および遠位端部262を有する。模擬子宮216は、
図32に示されているように2つの半部310a,310bから成る子宮モールド310を提供することによって作られる。メッシュファブリック層312がモールドの両方の端部310a,310b内に配置されている。モールドの一方の半部310a内には、メッシュファブリック層312が外科術式の練習中に最も大きな力を受けることになる部分を補強するようモールド310の近位端部内にのみ配置される。メッシュファブリック層312は、一形態では、モールド全体を覆うのが良い。メッシュファブリック層312は、ファブリックがモールド内でできるだけスムーズに敷かれるよう槍状部または切欠きを有する。未硬化シリコーンフォーム314をメッシュファブリック層312上に注ぎかけて
図33および
図34に示されているモールド310の半部310a,310b内に注ぎ込む。湿潤状態のシリコーンフォーム314を均等に塗り広げて表面の全てに接触するようにし、それによりシリコーンフォーム314が均一に発泡するようにする。
図35に示されているように、マンドレル316がモールド310の半部310b上に配置されている。2つの半部310a,310bを一緒に配置してモールド310を
図36Aおよび
図36Bに示すようにクランプし、そしてシリコーンフォーム314が発泡して硬化するようにする。硬化時、モールド310を硬化状態のシリコーンフォーム314から取り出し、マンドレル316をモータに取り付け、そして硬化シリコーンフォームを回転させ、そして未硬化シリコーンゲルをシリコーンフォーム314上に均等に塗布してシリコーンフォーム314を包囲するシリコーンの外側層を形成する。シリコーンの外側層を硬化させ、マンドレル316を取り出し、後には、
図29および
図30ならびに
図43~
図45に示されている子宮のような型332が残される。次に、模擬子宮頸318を形成し、そして硬化フォームおよび硬化シリコーン外側層の近位端部260に挿入する。模擬子宮頸318を形成するには、先ず最初に
図37に示されているようなウェル322を備えた子宮頸モールド320を用意する。子宮頸モールド320は、一般に、2つの部品で作られ、これら部品を互いにクランプしてウェル322を形成する。ファブリック、例えばケブラー(KEVLAR(登録商標))合成繊維ファブリックのスリーブ324を用意して裏返しにし、それによりスリーブ324の一端部の厚さが
図38A、
図38Bおよび
図39に示されているように二重になった折り目326を形成する。模擬子宮頸のケブラー(KEVLAR(登録商標))合成繊維補強材は、外科医によって引かれた子宮頸の部分を強固にするとともに外科医がモデルの裂けなしで実際の手術の場合のように模擬子宮頸を穿通して引く能力を備えた子宮弛緩法を支持鉤を用いることができるようにする。また、それ同時に、ファブリックスリーブは、これが人工子宮頸、人工子宮および人工膣管の残部を形成する室温加硫(RTV)シリコーンエラストマーの硬化を阻止するという点でシリコーンと適合性がある。ケブラー(KEVLAR(登録商標))合成繊維は、多孔質なので、これは、追加の接着剤なしで強固な機械的連結を可能にし、そしてかかる合成繊維をシリコーン以外の材料と併用することができる。高い引っ張り強度と重量の比を有する任意適当な繊維を採用することができる。ポスト328をファブリックスリーブ324のルーメン中に挿入してこのポストが
図39に示されているような折り目326を有する近位端部から外方に突き出るようにする。ポスト328の断面は、細長くかつ幅が狭く、その結果、木製のポプシクルスティックがポスト328としての役目を果たすことができる。ポスト328を備えたスリーブ324は、ファブリック326および突き出たポスト328が
図40および
図41Bに示されているようにウェル322の底部内に配置された状態で子宮頸モールド320のウェル322中に配置される。湿潤シリコーン330をモールド320のウェル322中に注ぎ込んでウェル322のほぼ3/4が
図41Aおよび
図42に示されているように未硬化シリコーン330で一杯に満たされるようにする。シリコーンの被膜が被着された硬化シリコーンフォームから成る型332の近位端部は、マンドレル316によって延ばされた穴を実質的に閉じるよう押し潰される。型332を押し潰してできるだけ多くの空気を
図42に示されているように型332の内側から除去し、そして型332を依然として押し潰しながら、型332の近位端部を
図43に示されているような子宮頸モールド320のウェル322内の湿潤シリコーン330中に挿入し、そして放す。型332を放すと、負圧が均等化され、それにより湿潤シリコーン330が取り出されたマンドレル316によって延ばされた開口部中に動かして湿潤シリコーンをマンドレル穴中に引き上げてファブリックスリーブ324中にかつこの周りに引き込む。子宮頸モールド320内の湿潤シリコーン330を硬化させて
図44に示されているように型332にくっつける。子宮頸モールド320を取り外し、後には、模擬子宮216が残され、この模擬子宮は、シリコーンフォーム314およびシリコーンのオーバーコートを有する型332および
図45に示されているような近位端部のところに位置する取り付け状態の模擬子宮頸334を有する。ポスト328を取り外して
図46Aおよび
図46Bで明確に分かるファブリックスリーブ324で補強された模擬子宮216の近位端部260のところに細い開口部338を形成する。ファブリックスリーブ324は、有利には、子宮摘出術を練習する際に外科医によって強く掴まれる模擬子宮216の部分を補強する。ファブリックスリーブ324は、模擬子宮頸334内に位置したままである。スリーブ324の折り目326は、滑らかな遠位端部を作り、その結果、ファブリックスリーブ324の個々の糸は、外科的練習中に引かれたときにスリーブ324が裂ける恐れを増大させる近位端部260のところの硬化シリコーンから突き出ることがないようになっている。バリを模擬子宮頸334から切り落とす。一形態では、子宮頸モールド320のウェル322は、結果として得られる模擬子宮頸334に生じる隆起部336を形成する円周方向棚部を備える。隆起部336は、
図45に見え、この隆起部は、次に説明する膣管218への連結に有用である。
【0050】
次に
図47~
図52を参照して模擬膣管218について説明する。模擬膣管218は、シリコーンで作られた管状構造体であり、この模擬膣管は、オプションとして、埋め込み状態のメッシュ層230を有するのが良い。模擬膣管218は、近位端部256および遠位端部258を有する。メッシュ層230は、開口近位端を備えた管の形に形成されている。ソックスの形態をしたメッシュ層230をマンドレル340に嵌めて
図47に示されているように弾性力で取り付ける。マンドレル240を回転させているときに未硬化シリコーンをソックス状メッシュ層230に塗布してメッシュ層230を埋め込むシリコーンの薄い層を形成する。メッシュ層230の補強材は、有利には、シリコーンおよび/またはフォームの裂けの伝搬を阻止するとともに人工子宮を応従性にかつ強固にするとともに耐切断性にする。一形態では、メッシュ層230は、ケブラー(KEVLAR(登録商標))パラアラミド合成繊維もしくはポリパラフェニレンテレフタルアミドまたは当業者に知られている他の実質的な均等物で作られるのが良い。未硬化シリコーンを硬化させ、模擬膣管218を
図48に示されているマンドレル340から取り外す。模擬膣管218のドーム状遠位端部258を貫通して穴342を開け、この穴342が模擬膣管218の長手方向軸線と実質的に同軸であるようにする。穴342は、
図49で見える。模擬膣管218を模擬子宮216に取り付ける。具体的には、模擬子宮頸334を
図50に示されているように模擬膣管218の遠位端部258の穴342中に押し込む。具体的に言えば、幾分かの接着剤を隆起部336の配置場所で模擬子宮頸334に沿ってぐるりと円周方向に塗布し、模擬子宮頸334を隆起部336が穴342をちょうど通過するまで穴342中に押し込む。隆起部336は、模擬子宮頸334を取り付け状態に保持するのを助けるとともにこの子宮頸が穴342から容易に交替して出るのを阻止するのを容易にする。模擬膣管218を裏返しにし、
図51に示されているように模擬膣管218と模擬子宮頸334のインターフェースのところに接着剤を多く塗布する。
図52は、結果的に得られた取り付け状態の模擬膣管218および開口部338を備えた模擬子宮頸334の近位端部を示している。模擬膣管218は、あらかじめレトラクトされた膣管をシミュレートするよう拡大されており、それにより、ユーザは、別の手でレトラクションを維持するのを助けるよう練習することができる。さらに、穴342を有する模擬膣管218のドーム状遠位端部は、模擬子宮頸334がドーム硬化および接着剤に起因して模擬膣管218のルーメン中に近位側に引き込まれているときに裏返しになる。この特徴は、有利には、本物の組織で解剖学的に実際に起こっている状態を厳密に表す。
【0051】
模擬子宮216の遠位端部262は、模擬卵巣344を備えるのが良い。模擬卵巣344を製作する方法は、代表的には
図53および
図54に示されているように2つの半部から成る2部品構成モールドである卵巣モールド346を用意するステップを含む。モールド346は、卵巣のように形作られたウェル348を有する。ウェル348の内側でかつ円筒形シリコーン血管350をモールド346を横切ってまたいだチャネルの内側で円筒形シリコーン血管350を設ける。シリコーン血管350に結び目を作るのが良く、そしてこの結び目を卵巣ウェル348の存在場所に入れて結果として得られる模擬卵巣に対して構造体を提供する。モールド346を閉じ、次に、未硬化シリコーンをモールド346中に注入する。シリコーンをモールド内でかつシリコーン血管350周りで硬化させ、このシリコーン血管がこのシリコーンに取り付け状態になるようにする。モールド346を開き、模擬卵巣344を取り出し、シリコーン血管350の一端部を接着剤で模擬子宮216に取り付け、シリコーン血管をフレーム204に設けられた孔212のうちの1つに引き込むことによって、模擬血管の他端部を模擬フレームに取り付ける。
【0052】
図29および
図30に戻ってこれらを参照すると、模擬直腸220は、成形された横方向折り目を備えたシリコーンで作られている管状構造体である。模擬直腸220は、近位端部244および遠位端部246を有する。第1のシート222、第2のシート224、および第3のシート225の各々は、シリコーン材料の平べったい平板状の層から成る。両方のシート222,224は、腹膜を表し、第3のシート225は、膀胱フラップまたは腹膜反転部を表している。第1のシート222は、第1の表面232および第2の表面234ならびに近位端部248および遠位端部250を有する。第1のシート222が模擬子宮216の一部分とオーバーラップしないよう遠位端部250から切欠き(図示せず)が設けられるのが良い。第2のシート224は、第1の表面236および第2の表面238ならびに近位端部252および遠位端部254を有する。模擬子宮216の一部分とオーバーラップしないよう第2のシート224の近位端部252のところに切欠き(図示せず)が設けられるのが良い。第3のシート225は、近位端部352および遠位端部354ならびに第1の表面356および第2の表面358を有している。
【0053】
引き続き
図29および
図30を参照して、今、複数の模擬臓器構造体202の組み立て、構成および連結の仕方について説明する。膀胱242の遠位端部を接着剤により第1のシート222の近位端部248と遠位端部250とのほぼ中間で第1のシート222の第1の表面232に取り付けて第1のシート222が模擬膀胱214の頂部から模擬膀胱の底部まで模擬膀胱214の遠位端部242に巻き付くようにする。模擬膀胱の近位端部240を接着剤で第3のシート225の第1の表面356に取り付けて第3のシート225が模擬膀胱214の頂部から模擬膀胱の底部まで模擬膀胱214の近位端部240に巻き付くようにする。第1のシート222と第3のシート225は、模擬膀胱214の底部のところで互いに一体になってシリコーンウェッビング360に接触する。シリコーンウェッビング360の代わりに、シリコーングルーを用いて2枚のシート222,225を互いに連結する。第1のシート222の第1の表面232を第1のシート222の遠位端部248の近くで締結具210に取り付ける。第1のシート222をほぼU字形に折り曲げて第1のシート222の遠位端部250および特に第1のシート222の第1の表面232を接着剤を用いて模擬子宮216に取り付けるとともに模擬膣管218に取り付ける。第3のシート225は、箇所360のところで向きを変えて戻って近位端部に向かってそれ自体を折り返し、それによりオーバーラップが形成される。第3のシートがそれ自体オーバーラップするその場所では、第3のシート225の粘着性のあるシリコーンは、それ自体容易にくっつき合う。有利には、このオーバーラップ部分は、外科医が近位端部から箇所360に接近するときに外科医が分離を練習する部分である。使用の際、腹腔鏡下で、外科医は、シリコーンメンブレンが接着剤または他の手段によって形成される箇所360に接近するまで慎重にオーバーラップを分離するのを練習することになる。箇所360に達すると、外科医は、シリコーンメンブレン360を切開して子宮を剥離する。使用の際、経膣的に、外科医は、膣管218のルーメンを経て接近して膣管218に円周方向切開創を作り、次にメンブレン360を剥離する。そのようにする際、外科医は、本質的には解剖学的に正確ではない第3のシート225には気づかないので有利であり、というのは、第3のシート225は、極めて薄く、しかも膣管および膀胱に十分にくっつけられているからである。一形態では、第3のシート225は、膣管および膀胱へのより徹底したくっつき状態を作るために表面模様を備えていない。別の形態では、第3のシート225は省かれる。かかる形態では、膀胱240は、直接的にまたは
図14および
図15に示されているように繊維層を介して間接的に膣管218にくっつけられる。
【0054】
第2のシート224を模擬子宮216と模擬直腸220との間に取り付ける。特に、第2のシート224の遠位端部252のところの第1の表面236を模擬子宮216の遠位端部262の近くに取り付ける。第2のシート224を接着剤を用いて近位端部260寄りで模擬子宮216の長さに沿って取り付ける。第2のシート224を折り曲げて模擬直腸220の遠位端部に向かって戻るように延び、そして模擬直腸220の頂側部および外面に沿って取り付け、その結果、第2のシート224の遠位端部254が模擬直腸220の遠位端部246の近くに位置するようにする。模擬膀胱214の頂側部を締結具210に連結し、この締結具210をフレーム204の頂部フレーム206に設けられた孔212中に通す。第1のシート222の近位端部248もまた、締結具210に取り付け、この締結具もまた、フレーム204の頂部フレーム206に設けられた孔212中に通して複数の模擬臓器構造体202を浮かした状態でフレーム204に取り付ける。頂部フレーム204からぶら下げられた状態で、相互に連結された複数の模擬臓器構造体202は、有利には、本物に近い状態で揺れて一緒に動き、この場合、器械などとの接触箇所は、最大に動くとともに器械との接触箇所の遠位側の模擬臓器の動きの程度は小さい。模擬直腸220の底側部を
図29および
図30に示されているように少なくとも2つの締結具210に取り付ける。2つの締結具210を底部フレーム208に設けられた孔212中に通して複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に固定する。それゆえ、複数の模擬臓器構造体は、第1のシート222および第2のシート224が相互連結ウェッビングを形成した状態でフレーム204の中央開口部を横切って橋渡しされる。模擬子宮216の近位端部260を模擬膣管218の遠位端部258中に挿入し、そして接着剤で互いに接合する。模擬子宮頸334は、シリコーンで作られるとともに上述したように近位端部260のところで模擬子宮216内に配置された状態で設けられる。
【0055】
締結具210は、
図16を参照して上述したのと同一の締結具210である。次に
図55~
図59を参照して、今、経膣アダプタ280について説明する。上述したように、経膣アダプタ280は、訓練装置10のトップカバー16を支持するよう構成されたレッグ20として形成されている。経膣アダプタは、経膣子宮摘出術を含む経膣手術をシミュレートするために構成されている。経膣アダプタ280は、訓練装置の内部の方へ向く内面284およびユーザの方へ外方に向く外面286を備えた扁平なプレート282を有する。プレート282は、長方形の形をしており、このプレート282を内面284から外面286まで貫通して孔288が設けられている。一形態では、孔288は、形状が円形である。別の形態では、孔288は、形状が細長い楕円形、長円形であり、しかもアダプタ280の長手方向軸線に沿って垂直に差し向けられている。別の形態では、孔288は、形状が細長い楕円形、長円形であり、しかもアダプタ長手方向軸線に垂直に差し向けられている。プレート282は、経膣アダプタ280をトップカバー16およびベース18に連結してトップカバー16を支持するとともに間隔を置いて配置するのを助けるよう挿入可能な手段、例えばタブ290またはU字形溝形材を更に有する。経膣アダプタ280は、トップカバー16とベース18との間に配置され、この経膣アダプタは、訓練装置10に対して横方向のまたはトップカバー16およびベース18に対して実質的に垂直の側部接近孔288を提供している。接近開口部288は、上述したようにあらかじめレトラクトされた膣管をシミュレートするよう大きめである。模擬膣管218の近位端部256を内面284のところで接近孔288上に引き延ばして模擬膣管280に連結する。アダプタは、有利には、このモデルをあらゆる軸方向に固定して外科医のためのインターフェースとしての役目を果たす。アダプタは、また、解剖学的には正確ではないが、有利には、本物の器具の使用を可能にする。
【0056】
使用にあたり、練習中の外科医は、外科用器械およびレトラクタを用いて経膣アダプタ280を介して模擬子宮216に接近して経膣子宮摘出術を行うのが良い。変形例として、訓練装置10のトップカバー16の模擬腹壁を通って模擬子宮216に接近しても良い。ユーザは、トロカールおよびスコープを用いて解剖学的構造を吟味して模擬外科的子宮摘出術を行って腹腔鏡下外科的技能を習得する。手技では、重要な切開創を作って子宮を剥離し、次にこれを取り出す。特に、モデル200は、有利には、模擬子宮216の切開および分離を真に迫った状態にする第1のシート222および第3のシート225ならびにシリコーンウェッビング360を提供する。また、ケブラー(KEVLAR(登録商標))合成繊維メッシュ強化模擬子宮頸334は、引っ張られているときにシリコーンの裂けを阻止する。ユーザは、更に、模擬子宮216の取り出し後における模擬膣管218の縫合を練習することができる。この目的のため、模擬膣管218は、シリコーンが容易に裂けることなく縫合糸を保持することができるようにする埋め込み状態のメッシュを備えている。使用後、モデル200を訓練装置10から取り外し、締結具212をフレーム204から解除することによって複数の模擬臓器構造体202をモデル200から取り外す。次に、新たな複数の模擬臓器構造体202をフレーム204に連結して訓練装置10中に挿入し、練習を続行する。
【0057】
モデルの任意の部分を1種類または2種類以上の有機塩基ポリマーで作ることができ、かかる有機塩基ポリマーとしては、ヒドロゲル、単独重合体ヒドロゲル、多重合体ヒドロゲル、ゴム、ラテックス、ニトリル、タンパク、ゼラチン、コラーゲン、ソイ、非有機塩基ポリマー、例えば熱可塑性エラストマー、クラトン、シリコーン、フォーム、シリコーンを主成分とするフォーム、ウレタンを主成分とするフォーム、およびエチレンビニルアセテートフォームなどが挙げられるがこれらには限定されない。任意の塩基ポリマー中には、1種類または2種類以上の充填剤、例えば布、織り繊維または不織繊維、ポリエステル、ナイロン、コットンおよびシルクを採用することができ、導電性充填剤材料、例えば黒鉛、白金、銀、金、銅、その他の添加剤、ゲル、油、コーンスターチ、ガラス、ドロマイト、炭酸塩鉱物、アルコール、デドナ(deadner)、シリコーン油、顔料、フォーム、ポロキサマー(poloxamer)、コラーゲン、ゼラチンなどを採用することができる。用いられる接着剤としては、シアノアクリレート系、シリコーン系、エポキシ系、スプレー型接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられるがこれらには限定されない。
【0058】
本明細書において開示した実施形態および変形例に対して種々の改造を行うことができることは言うまでもない。したがって、上述の説明は、本発明を限定するものと解されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解されるべきである。当業者であれば、本発明の範囲および精神の範囲内で他の改造例を想到するであろう。