(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】室内空気の品質の検出および監視を備えたチャンバレス煙検出器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/53 20060101AFI20240619BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240619BHJP
G01N 15/02 20240101ALI20240619BHJP
【FI】
G01N21/53 B
G01N21/64 Z
G01N15/02 D
(21)【出願番号】P 2023063130
(22)【出願日】2023-04-10
(62)【分割の表示】P 2019567547の分割
【原出願日】2018-06-04
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】リンカン,デーヴィッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー,ジェニファー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ピーター アール.
(72)【発明者】
【氏名】バーンクラント,マイケル ジェイ.
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-222598(JP,A)
【文献】特開平3-15742(JP,A)
【文献】特表2017-502303(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1890554(CN,A)
【文献】特開2016-142738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/74
G01N 15/00-G01N 15/1492
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバレス検出システムを動作させる方法であって、
煙を検知する通常モードから空中浮遊粒子を感知する高感度モードに前記システムを切り替えることであって、前記高感度モードでは、前記検出システムが、直径2.5マイクロメートル未満の粒子と直径10マイクロメートル未満の粒子とを検出するように構成される、前記切り替えることと、
監視された空間に、前記検出システムの2つの光源から光を放射することであって、前記2つの光源のうちの第1の光源が、第1の波長で光を放射し、前記2つの光源のうちの第2の光源が、前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を放射することと、
前記検出システムの1つまたは複数の光感知デバイスで、前記監視された空間内の室内空気の質の状態を示す散乱光を検出することと、
を備え、
前記第1の波長は、青色可視光の波長であり、前記第2の波長は、赤外線の波長であり、
前記高感度モードに切り替えることが、
前記通常モードに対する前記2つの光源のオン時間を増やすことと、
検出回路のゲインを増やすことと、
のうち1つ以上を含
み、
前記室内空気の質の状態が、直径2.5マイクロメートル未満および直径10マイクロメートル未満のうちの1つまたは両方の直径の前記空中浮遊粒子を含んでおり、
前記第1の波長で光を放出し、前記検出システムの1つまたは複数の光検知デバイスにより、前記第1の波長の光の後方散乱の量を検出することと、
前記第2の波長で光を放出し、前記検出システムの1つまたは複数の光検知デバイスにより、前記第2の波長の光の後方散乱の量を検出することと、
前記空中浮遊粒子の粒径を、前記第1の波長での前記光の後方散乱の量の、前記第2の波長での前記光の後方散乱の量に対する比により決定することと、
をさらに備えた、方法。
【請求項2】
前記検出システムでの吸収分光を介して検出された標的ガス種を区別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的ガス種がCO、ラドン、またはH
2Sのうちの1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の光感知デバイスで、1つまたは複数のフィルタを使用することによって前記空中浮遊粒子の種類を識別することをさらに備え、
前記1つまたは複数のフィルタが、1つ以上の偏
光フィルタである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検出システムにおいて前記空中浮遊粒子の粒径を識別することをさらに備え、
前記粒径が、前記空中浮遊粒子の種類を示す、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、室内空気の品質センサ、煙感知器の技術に関し、より詳細にはチャンバレス煙感知器及びチャンバのない室内空気の品質センサに関する。
【背景技術】
【0002】
市販の煙感知器などの煙感知器は、筐体または容器の中に配置されることが多く、近赤外線または他の波長の光を使用して、これを、不要な粒子が入るのを防ぐように寸法の制御された入口を備えた容器の中に位置する小さなプラスチックチャンバ内で散乱させる。しかし、不要な空中浮遊粒子の一部は、チャンバ内に進んで、誤報を鳴らす。これらの粒子は、時間と共に、センサのチャンバの入口に集まる場合もあり、煙の粒子がチャンバ内に拡散するのをさらに難しくする。さらに、チャンバの表面に集まる粒子は、敏感さが増す場合があり、誤報や迷惑警報の頻度が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの課題を緩和するため、チャンバレス煙検出器を使用することができる。しかし、チャンバなしでは、物理的に良く保護された測定ボリュームがなく、良く定義された動作戦略が、測定の完全度を維持するための鍵であることを意味する。さらに、検出用に使用される光が、場合によっては、ほとんどいつも点灯していて、ユーザには迷惑である可能性があり、電力を多く消費する。従って、改良されたチャンバレス煙検出が必要とされている。
【0004】
さらに、PM2.5およびPM10粒子の存在を検出することにより煙感知器が配置される同じ空間の室内空気の品質を監視することの要望が多い。しかし、通常、室内空気の品質を監視することでは、バッテリまたは有線接続により、それ自体の電源を必要とするスタンドアロンのユニットが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、検出システムを動作させる方法は、煙を感知する通常モードから空中浮遊粒子を感知する高感度モードにシステムを切り替えることを含んで、それにより高感度モードでは、検出システムは、直径2.5マイクロメートル未満の粒子と直径10マイクロメートル未満の粒子とを区別するように構成される。検出システムの1つまたは複数の光源から監視された空間に光を放射し、検出システムの1つまたは複数の光感知デバイスで散乱光を検出する。散乱光の検出は、監視された空間内の1つまたは複数の室内空気の品質の状態を示す。
【0006】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の室内空気の品質の状態は、2.5マイクロメートル及び10マイクロメートルのうちの1つ以上より小さい径の空中浮遊粒子を含む。
【0007】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の室内空気の品質の状態は、2.5マイクロメートル及び/または10マイクロメートルより小さい径の空中浮遊粒子を含む。
【0008】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、高感度モードに切り替えることは、通常モードに対して1つまたは複数の光源のオン時間を増やすこと、通常モードに対して放射された光の強度を上げること、及び検出回路のゲインを増やすことのうちの1つ以上を含む。
【0009】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の蛍光空中浮遊粒子は、1つまたは複数の光源から放射された光を介して監視された空間で励起し、1つまたは複数の蛍光空中浮遊粒子によって放出された光は、検出システムの1つまたは複数の光感知デバイスで検出される。監視された空間における空中浮遊粒子の種類の存在は、1つまたは複数の光感知での1つまたは複数の蛍光空中浮遊粒子によって放出された光の検出によって決定される。
【0010】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、空中浮遊粒子の種類は、1つまたは複数の光感知デバイスでの1つまたは複数のフィルタの使用を介して区別される。
【0011】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数のフィルタは、1つまたは複数の偏光フィルタである。
【0012】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、微粒子の粒径は検出システムで区別され、そこで、粒径は空中浮遊粒子の種類を示す。
【0013】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、光は第1の波長で放出され、第1の波長での一定の量の光の後方散乱が、煙検出器で検出され、光は第2の波長で放出され、第2の波長での一定の量の光の後方散乱が煙検出器で検出される。微粒子の粒径は、第1の波長での光の後方散乱の量の第2の波長での光の後方散乱の量に対する比により決定される。
【0014】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、第1の波長は、UVスペクトルまたは可視スペクトルのうちの一方であり、第2の波長は、可視スペクトルまたはIRスペクトルのうちの一方である。
【0015】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、散乱光の第1の量は、煙検出器の第1の光感知デバイスで検出され、散乱光の第2の量は、煙検出器の第2の光感知デバイスで検出される。微粒子の粒径は、光の第1の量の光の第2の量に対する比により決定される。
【0016】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の光源は、可視光源または紫外線源を含む。
【0017】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の光源は、LED、UVLED、またはレーザダイオードを含む。
【0018】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、感知された周囲光レベルは、補正される。
【0019】
別の実施形態では、検出システムを動作させる方法は、検出システムの1つまたは複数の光源から監視された空間内に光を送ること、検出システムの1つまたは複数の光感知デバイスで散乱光信号を受信することを含み、そこで散乱光信号は、監視された空間内の障害物から受信される。標的ガス種の存在は、選択された波長で受信された散乱光の量の減少を介して決定される。
【0020】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、検出されたガス種は、煙検出器で吸収分光を介して区別される。
【0021】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の光源は、可視光源または赤外線源を含む。
【0022】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、ガス種は、CO、ラドン、またはH2Sのうちの1つである。
【0023】
さらに別の実施形態では、室内空気の品質モニタは、監視された空間内に光を放出するように構成された1つまたは複数の光源、1つまたは複数の光源から放出された散乱光を受信するように構成された1つまたは複数の光感知デバイス、および監視された空間内の1つまたは複数の室内空気の品質の状態の存在について受信した散乱光信号を評価するように構成されたプロセッサを含む。1つまたは複数の室内空気の品質の状態は、2.5マイクロメートル及び/または10マイクロメートルより小さい径の空中浮遊粒子を含む。
【0024】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、室内空気の品質モニタは、2.5マイクロメートル及び/または10マイクロメートルより小さい径の空中浮遊粒子を含む室内空気の品質の状態の監視用に高感度モードで動作するように構成されており、煙の検出用に比較的低い感度の通常モードに切り替え可能である。
【0025】
追加でまたは代替で、本実施形態または他の実施形態では、通常モードに比べた場合、高感度モードは、通常モードに対して増やされた1つまたは複数の光源のオン時間、通常モードに対して上げられた放射された光の強度、及び通常モードに対して増やされた検出回路のゲインのうちの1つ以上を含む。
【0026】
以下の説明を、決して制限するものとみなしてはならない。
【0027】
添付の図面を参照すると、同様の要素は同様の番号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の一実施形態による、煙検出器の概略図を示す。
【
図2】本開示の一実施形態による、第1の感知ボリュームを形成する煙検出器の側面図を示す。
【
図3】本開示の一実施形態による、第2の感知ボリュームを形成する煙検出器の側面図を示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、1つの波長の光を備える第3の感知ボリュームを形成する煙検出器の側面図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、別の波長の光を備える第4の感知ボリュームを形成する煙検出器の側面図を示す。
【
図7】煙検出器を作動させる別の方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の装置及び方法の1つまたは複数の実施形態の詳細の説明は、図面を参照して例証として本明細書に提示されるもので、制限として提示されるものではない。
【0030】
図1は、全体的に10で示される、煙検出器の例示的な実施形態を示す。煙検出器10は、複数の光源及び複数の光感知デバイスを含む。一実施形態では、複数の光源は、第1の光源12及び第2の光源14を含む。第1の光源12及び第2の光源14は、発光ダイオード(LED)を含み得る。第1の光源12及び第2の光源14は、後述では「監視された空間」と呼ばれ、中に光が放出される建物、部屋、または部屋の一部とすることができる空間に、1つまたは複数の波長で光を放出できる。一実施形態では、第1の光源12は、赤外線に特有の波長の光を放出でき、第2の光源14は、青色可視光に特有の波長の光を放出できる。赤外線は、煙の検出および煙を区別する誤報に使用することができ、青色可視光は、煙を区別する誤報に使用され得る。さらに、実施形態によっては、赤外線と可視光の組み合わせを使用して、検出器10のまたはその近くの粒子の大きさを決定することができる。
【0031】
一実施形態では、複数の光感知デバイスは、第1の光源12及び第2の光源14から放出される光の視野を有する煙検出器10の異なる領域に配置された第1の光感知デバイス16、第2の光感知デバイス18、及び第3の光感知デバイス20を含む。第1の光源12及び第2の光源14の放出と第1の光感知デバイス16、第2の光感知デバイス18、及び第3の光感知デバイス20の視野の重なりは、異なって重なる感知ボリュームを形成する。複数の光感知デバイスは、第1の光源12及び第2の光源14からの信号を測定するように構成される。
【0032】
一実施形態では、第1の光感知デバイス16、第2の光感知デバイス18、及び第3の光感知デバイス20は、フォトダイオードを含む。光感知デバイスは、フォトダイオードに制限されず、アバランシェフォトダイオード(APD)、マルチピクセルフォトンカウンタ(MPPC)、及び他の光検出器などの光感知デバイスを含んでもよい。例えば、第1の光感知デバイス16を使用して、一致する第1の角度を有する第1の光源12及び第2の光源14からの放出の重なりによって形成される前方散乱感知検出ボリューム38(
図2に示す)を定義できる。
図2に示す実施形態では、一致する第1の角度は、第1の光感知デバイス16と約130度をなす。その他の値または角度が実施形態によっては使用され得ることが、理解されよう。一致する角度は、第1の光源12及び第2の光源14の光錐の対称軸と光感知デバイス16、18、20の受光コーンの対称軸との間の角度として定義することができ、そこで、光源12、14を光感知デバイス16、18、20に直接向ける場合、180度が定義され得る。光の散乱角度は、180度から一致する角度を引くことで計算できることが理解されよう。
【0033】
ここで
図3を参照すると、第2の光感知デバイス18を使用して、第1の光源12及び第2の光感知デバイス18と一致する第2の角度を有する第2の光源14からの放出の重なりによって形成される第1の後方散乱感知検出ボリューム40を定義できる。
図3に示す実施形態では、一致する第2の角度は、約65度をなす。その他の値または角度が実施形態によっては使用され得ることが、理解されよう。
【0034】
第3の光感知デバイス20を使用して、第1の光源12及び第3の光感知デバイス20と一致する第3の角度を有する第2の光源14からの放出の重なりによって形成される第2の後方散乱感知検出ボリューム42(
図4及び
図5に示す)を定義できる。図示の実施形態では、一致する第3の角度は、約0度をなす。
【0035】
煙検出器10は、複数の光源及び複数のセンサと電気的に通信する処理デバイス30をさらに含む。処理デバイス30は、実行可能な命令を保存できるメモリ(図示せず)を含む。実行可能な命令は、1つまたは複数のアプリケーション、プロセスまたはルーチンと共になど任意の方法及び任意の抽象化のレベルで保存または整理されて、複数のセンサによって検出された信号を分析して本明細書に記載の方法に従って、事前設定された閾値レベルに達した後、警報判定をすることができる。
【0036】
実施形態によっては、煙検出器10は、煙の検出用に「通常」モード及び周囲空間の室内空気の品質の監視に使用され得る「高感度」モードで動作可能である。本開示における室内空気の品質(IAQ)の監視は、PM2.5粒子(これらの粒子は2.5マイクロメートル以下の直径を有する)及びPM10粒子(これらの粒子は、10マイクロメートル以下の直径を有する)と呼ばれる空中のほこりまたはその他の空中浮遊粒子の検出に関する。こうした実施形態では、煙検出器10は、追加の電子機器またはその他の構成要素を含んで、同じ感知領域及び波長から煙検出器10の動的範囲を拡大し、煙検出器10の検出感度を向上させて高感度モードでの動作を容易にする。実施形態によっては、追加の電子機器またはその他の構成要素は、二次アナログデジタル変換機(ADC)及びスイッチを含んで、通常モード一次下位ビットADCから高感度モードの二次高ビットADCに切り替えて、検出回路のゲインを変更できる。さらに、高感度モードでは、1つまたは複数の光学フィルタを使用して、光源12、14により放出された波長の外側の波長などの望まない波長を除去できる。
【0037】
しかし、感知領域及び/または波長は、通常モードと高感度モードでは異なる場合があることを同業者なら理解するであろう。さらに、高感度モードは、プロセッサ30での検出回路の増幅、通常モードの動作に対して増やされた光源12、14のオン時間、及び/または増やされた光源12、14の強度を含み得る。実施形態によっては、通常モードでは、1~2秒毎に1回の測定であるのに対して、高感度モードでの動作は、例えば、1~10分毎に1回の測定の割合で測定値を取得することを含み得る。第1の波長で第1の光源12からの散乱光の、第2の波長で第2の光源14からの散乱光に対する比の閾値は、PM2.5の範囲とPM10の範囲内である粒子を区別するように設定され得る。前方散乱感知領域と後方散乱感知領域の比はまた、粒径情報を提供するほか、使用されて、PM2.5とPM10の粒径の決定及び測定値の正確さを向上させることができる。例えば、光を第1の光源12から第1の波長で放出することができ、第1の波長での光の後方散乱の量を煙検出器10で検出する。光を第2の光源14から第2の波長で放出することができ、第2の波長での光の後方散乱の量を煙検出器で検出する。第1の波長での光の後方散乱の量の、第2の波長での光の後方散乱の量に対する比は、微粒子の粒径を示す。
【0038】
さらに、他の実施形態では、例えば、第1の光感知デバイス16、第2の光感知デバイス18、及び第3の光感知デバイス20のうちの2つ以上からの一致する複数の角度から検出された散乱光信号の比を使用して、検出された粒径を決定できる。上述の通り、実施形態によっては、光感知デバイス16、18,20は、感知検出ボリューム38、40、42によって少なくとも部分的に定義される一致する異なる角度を有する。従って、第1の感知検出ボリューム38によって定義された、一致する第1の角度を有する第1の光感知デバイス16で検出された散乱光の第1の量の、一致する第2の角度を有する第2の光感知デバイス18で検出された散乱光の第2の量に対する比を使用して、微粒子の粒径を決定できる。
【0039】
ここで、
図6を参照すると、室内空気の品質を監視し、PM2.5粒子の検出(2.5マイクロメートル以下の直径と有する)及びPM10の検出(10マイクロメートル以下の直径を有する)のため煙検出器10を作動させる方法。
【0040】
ブロック100で、煙検出器10を、煙の検出に使用される通常モードから空中浮遊粒子の検出に使用される高感度モードに切り替える。ブロック102で、例えば、LEDまたはUV LEDを介して第2の光源14からなど、光をUVまたは青色可視スペクトルで煙検出器から放射する。さらに、光ファイバエミッタまたはレーザダイオードなどの光源を使用してもよい。ブロック104で、放射光は、放射光の経路で空中浮遊粒子により散乱される。ブロック106で、散乱光を煙検出器10の光感知デバイス16、18、20の1つ以上で受信する。ブロック108で、処理デバイス30を使用して、PM2.5およびPM10の粒子の存在について光感知デバイス16、18、20で受信した散乱光を分析する。
【0041】
実施形態によっては、ブロック110で、放射光は、空中のかびまたは花粉粒子若しくはその他の汚染微生物などの蛍光粒子を励起する。ブロック112で、煙検出器10の光感知デバイス16、18、20のうちの1つ以上を使用して、蛍光粒子からの放出光を感知する。光感知デバイス16、18、20は、第2の光源14によって放出された波長より長い波長の光だけを受け入れるように構成され得る。より長い波長は、蛍光粒子によって放出された光を示し、従って、空中の花粉などの蛍光粒子の存在を示す。実施形態によっては、フィルタ(図示せず)を適切な光感知デバイス16、18、20で使用して、放出された波長より長いもののみ受け入れるように光感知デバイス16、18、20を構成してもよい。
【0042】
さらに、例えば、実施形態によっては、ブロック114で、ブロック112で検出された粒子の種類を区別(discriminate)する。これは、蛍光粒子から放出された光を偏光し、その後、蛍光粒子と光感知デバイス16、18、20との間に1つまたは複数の偏光フィルタを備える光感知デバイス16、18、20が感知することによって達成され得る。特定の粒子を検出するため、1つまたは複数の異なる偏光フィルタを、各偏光フィルタが特定の粒子または粒子の種類の検出または区別をできるように適合して、使用できる。
【0043】
ブロック116で、第1の光源12及び第2の光源14を使用して、後方散乱光感知デバイス18及び後方散乱光感知デバイス20によって感知された青色光の後方散乱の、赤外の後方散乱に対する比を評価することにより、粒径を決定することができる。
【0044】
さらに、煙検出器10を使用して、空中のガス種の存在について空間を検出または監視できる。標的ガス種には、CO、ラドン、H
2S、VOC、冷却剤、炭化水素などが含まれ得る。
図7を参照すると、ブロック202で、光が、第1の光源12及び/または第2の光源14から、例えば、壁または他の空中の障害物の方に放出されている。ブロック204で、1つまたは複数の光感知デバイス16、18、20は、散乱光を受信する。具体的には、後方散乱フォトダイオード18、20を使用して、壁または障害物から離れて散乱する放出された光を検出でき、次に、処理デバイス30で受信した散乱光の吸収分光を介して、ブロック206でガス種を検出および区別(discriminate)する。
【0045】
実施形態によっては、煙検出器10は、空中の周囲光レベルを検出して、煙の検出及びその他の室内空気の品質監視と検出の感度並びに信頼性を向上するように構成される。
【0046】
図8を参照すると、周囲光監視回路32は、煙検出器10で処理デバイス30に動作可能に接続されている。監視回路32は、定期的に、監視回路32によって評価され得る周囲光信号を受信するように構成され得る受光デバイス16、18、20のうちの1つ以上に接続される。光が、煙及び/またはその他の室内空気の品質の検出及び監視のため第1の光源12及び/または第2の光源14により放射されると、受光信号は、受信した周囲光信号の強度に基づいて、処理デバイス30で調節され得る。例えば、受光信号は、受光デバイス16、18、20に接続された1つまたは複数のアンプ34によって増幅され得る。さらに、可変増幅回路36を使用して、監視回路32によって感知された周囲光レベルに基づいて、1つまたは複数のアンプ34により印加された増幅の量を変えることができる。
【0047】
実施形態によっては、監視回路32は、第1の光源12及び第2の光源14が検出動作をトリガされる直前に周囲光レベルの測定をトリガする。次に、検出された周囲光レベルは、第1の光源12及び第2の光源14のトリガで生じる受光信号から差し引くことができる。さらに、感知された周囲光レベルが有効な検出がなされ得る閾値を超える場合、第1の光源12及び第2の光源14は、その時はトリガしなくてもよく、所定の時間の遅延後、周囲光レベルを測定するプロセスを再度始めてもよい。
【0048】
本明細書に開示された実施形態により、煙検出器10を使用して、煙に加えて、標的ガス、汚染微粒子、汚染微生物またはその他の状態など他の室内空気の品質の状態を検出及び監視できるようになる。これにより、煙検出器が配置される同じ空間で使用される、追加で別個に給電される室内空気の品質センサの必要性をなくし、実質的に消費者と会社にコスト節減をもたらす。
【0049】
用語「約」は、用途を満たすときに利用可能な機器に基づいて特定の量の測定に関連した誤りの程度を含むように意図される。例えば、「約」は、所与の値の±8%または5%、若しくは2%の範囲を含み得る。
【0050】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的を持っており、本開示を制限することを意図するものではない。単数形(「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」)は本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、複数形も同様に含むことを意図する。用語「備える(comprises)」及び/または「備えている(comprising)」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはイベントその群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0051】
本開示は、例示的な実施形態(複数可)を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、等価物がその構成要素と代用可能であることは、当業者には理解されよう。さらに、特定の状況または材料を本開示の教示に適合するため、その本質的な範囲から逸脱しない限り、多くの修正を行うことが可能である。従って、本開示は、本開示を実行するために考えられた最良の方法として開示された特定の実施形態に制限されるものではなく、本開示は、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことを意図するものである。