IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TBMの特許一覧

<>
  • 特許-チューブ状炭酸カルシウムの製造方法 図1
  • 特許-チューブ状炭酸カルシウムの製造方法 図2
  • 特許-チューブ状炭酸カルシウムの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】チューブ状炭酸カルシウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
C01F11/18 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023115054
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2024-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 憲史
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 敦義
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206417875(CN,U)
【文献】特開2015-200057(JP,A)
【文献】特開2019-206793(JP,A)
【文献】特開2015-199659(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102502749(CN,A)
【文献】特開2007-176776(JP,A)
【文献】特開2005-200282(JP,A)
【文献】BANG, Jun-Hwan et al.,Effects of CO2 Bubble Size, CO2 Flow Rate and Calcium Source on the Size and Specific Surface Area of CaCO3 Particles,Energies,2015年,8,12304-12313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸方向に沿って貫通孔を有するチューブ状炭酸カルシウムの製造方法であり、
カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、平均粒子径が100μm以下である二酸化炭素のファインバブルを導入し、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程を含み、
前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程において、前記カルシウム含有溶液の温度を20℃超60℃以下に制御する、
チューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項2】
前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程において、前記カルシウム含有溶液の温度を、25℃以上40℃以下に制御する、
請求項1に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項3】
前記カルシウム含有溶液に導入する前記二酸化炭素のファインバブルの平均粒子径は、1μm以上100μm以下である、
請求項1に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】
前記二酸化炭素のファインバブルの導入を、前記カルシウム含有溶液を一方向に流動させながら行う、
請求項1に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項5】
前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程における前記カルシウム含有溶液のpHは、7.0以上である、
請求項1に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状炭酸カルシウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムは、プラスチック、紙および塗料等への充填材、農薬および肥料等の土壌改良剤、接着剤、シーラント、研磨作用を利用した消しゴムや歯磨剤、ならびに、食品添加物および化粧品原料等の幅広い分野で使用される。また、最近では、炭酸カルシウム粒子を主原料としたシート状・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品が開発され、広く使用されている。紙代替製品としては、クリアファイル、名刺、冊子(パンフレット・写真集等)、販促POP、メニュー表、パッケージ、ポスター、電飾シート、シール・ラベル、マップ、マスクケース、タグ等が挙げられる。プラスチック代替製品としては、従来、プラスチックが用いられていた用途(各種成形品、例えばレジ袋・買い物袋、食品容器、飲料カップ、ハンガー、文房具、うちわ、化粧品容器、ボトル、建築資材等)が挙げられる。
【0003】
炭酸カルシウムは一般的に、水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素を吹き込んだり、塩化カルシウム等のカルシウムイオンを含む水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とを混合したりすることで合成される。また近年、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減するため、二酸化炭素をカルシウムと反応させて、二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化することが検討されている。例えば特許文献1には、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、二酸化炭素をファインバブルとして導入し、炭酸カルシウムを合成することが記載されている。
【0004】
合成炭酸カルシウムは、様々な形状を取り得ることが知られており、例えば略球形状、角柱状、針状、紡錘状の炭酸カルシウムが知られている。また、中空状等の特異な形状の合成炭酸カルシウムも知られている。例えば特許文献2には、有機酸カルシウム塩溶液を噴霧熱分解処理することで、円形度および圧縮強度が高い微小炭酸カルシウム中空粒子を得る方法が記載されている。また、特許文献3には、水溶性カルシウム塩溶液に予め界面活性剤を存在させ、当該水溶性炭酸塩溶液を水に滴下することで、チューブ状の炭酸カルシウムを合成することが記載されている。さらに、特許文献4には、界面活性剤を使用して、チューブ状の炭酸カルシウムを合成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-028788号公報
【文献】特許第6386949号公報
【文献】特許第5321937号公報
【文献】特開2009-073686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
炭酸カルシウムは、その用途に応じて適宜その形状が選択されるが、上記の中でも特に、チューブ状の炭酸カルシウムは安定して製造することが難しかった。また、特許文献2~4のように、有機酸や界面活性剤等の薬剤を用いると、工程が複雑化したり、排水処理に困難を伴ったりしやすく、これらは工業的な量産における大きな障壁となっていた。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものである。具体的には、有機酸や界面活性剤等の薬剤を用いることなく、効率よくチューブ状炭酸カルシウムを製造可能な方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、カルシウム含有溶液中に二酸化炭素を導入することで炭酸カルシウムを晶出させる炭酸カルシウムの製造方法において、二酸化炭素を平均粒子径100μm以下のファインバブルとして供給し、さらに晶出の際のカルシウム含有溶液の温度を制御することで、極めて高効率に長軸方向に沿って貫通孔を有するチューブ状(マカロニ形状)の炭酸カルシウムを製造できることが明らかとなった。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、下記[1]~[6]のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法を提供する。
[1]長軸方向に沿って貫通孔を有するチューブ状炭酸カルシウムの製造方法であり、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、平均粒子径が100μm以下である二酸化炭素のファインバブルを導入し、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程を含み、前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程において、前記カルシウム含有溶液の温度を制御する、チューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
[2]前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程において、前記カルシウム含有溶液の温度を、20℃超60℃以下に制御する、[1]に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
[3]前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程において、前記カルシウム含有溶液の温度を、25℃以上40℃以下に制御する、[1]に記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
[4]前記カルシウム含有溶液に導入する前記二酸化炭素のファインバブルの平均粒子径は、1μm以上100μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
[5]前記二酸化炭素のファインバブルの導入を、前記カルシウム含有溶液を一方向に流動させながら行う、[1]~[4]のいずれかに記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
[6]前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程における前記カルシウム含有溶液のpHは、7.0以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、有機酸や界面活性剤等の薬剤を用いることなく、効率よくチューブ状炭酸カルシウムを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るチューブ状炭酸カルシウムの製造方法のフローチャートである。
図2図2は、図1に示すチューブ状炭酸カルシウムの製造方法を実施可能な製造装置の概略構成図である。
図3図3Aは、実施例1で製造したチューブ状炭酸カルシウムのSEM画像であり、図3Bは、比較例1で製造した角柱状炭酸カルシウムのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は当該実施形態に限定されない。また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に関するチューブ状炭酸カルシウムの製造方法のフローチャートである。図1に示すように、本実施形態ではカルシウムを含有するカルシウム含有溶液を準備する(準備工程S110)。そして、当該カルシウム含有溶液に、平均粒子径が100μm以下である二酸化炭素のファインバブル(以下、単に「ファインバブル」とも称する)を導入し、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる(晶出工程S120)。その後、チューブ状炭酸カルシウム晶出後のカルシウム含有溶液をろ過して、チューブ状炭酸カルシウムを回収する(回収工程S130)。
【0014】
本実施形態では、上記晶出工程S120において、ファインバブルを導入する際のカルシウム含有溶液や、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる際のカルシウム含有溶液の温度を制御する。具体的には、カルシウム含有溶液の温度を測定し(温度測定工程S122)、温度が所定の範囲であるかを判定し(温度判定工程S124)、温度が所定の範囲でなければ、温度調整を行う(温度調整工程S126)。なお、図1のフローチャートでは、晶出工程S120の前に、温度測定工程S122、温度判定工程S124、および温度調整工程S126を行うことが記載されている。ただし、本実施形態では、晶出工程S120の前だけでなく、晶出工程S120を行っている間、連続的または断続的にこれらの工程を行ってもよい。一方で、常時、製造装置等の温度を一定に維持する等、上記晶出工程S120中のカルシウム含有溶液の温度が所定の範囲内に制御されている場合には、温度測定工程S122や温度判定工程S124を省略してもよい。
【0015】
従来、炭酸カルシウムを製造する際の温度管理は重要視されておらず、特にチューブ状の炭酸カルシウムについては、有機酸や界面活性剤を用いた方法しか知られていなかった。これに対し、本実施形態のように、温度制御をしながら、平均粒子径100μm以下の二酸化炭素のファインバブルをカルシウム含有溶液に供給すると、有機酸や界面活性剤を用いなくても、晶出する炭酸カルシウムの形状をチューブ状(マカロニ状)に制御することができ、さらに効率よくチューブ状炭酸カルシウムを製造することができる。
【0016】
ここで、本実施形態のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法を行うことが可能な製造装置200の一例を図2に示す。ただし、本実施形態のチューブ状炭酸カルシウムの製造方法は、当該製造装置200を用いる方法に限定されない。
【0017】
当該製造装置200は、上記晶出工程S120や、温度測定工程S122、温度判定工程S124、温度調整工程S126を行うための循環部230と、上記回収工程S130を行うための分離部250と、これらを制御するための制御部(図示せず)と、を有する。
【0018】
循環部230は、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させるための晶出槽210と、カルシウム含有溶液310にファインバブルを導入するためのファインバブル導入部220と、を有する。循環部230は、晶出槽210およびファインバブル導入部220をつなぐ流路や、当該流路の開閉を制御する弁、流路内でのカルシウム含有溶液310の流速や、その流動を制御するためのポンプ(不図示)等もさらに有する。また、循環部230は、その内部を循環するカルシウム含有溶液310の温度を測定するための温度測定部242、244や、カルシウム含有溶液310の温度を調整するための温度調整部246、248、ファインバブル導入部220に接続された、二酸化炭素を供給するためのガスタンク222も有する。一方、分離部250は、循環部230で晶出したチューブ状炭酸カルシウムを分取するためのろ過部252や、当該ろ過部252と循環部230とを接続する流路等を有する。
【0019】
また、制御部は、上記循環部230および分離部250とデータの送受信が可能に構成されていればよい。制御部は通常、CPU等の計算機と、ROMおよびRAM等の記憶部と、を有する。そして、制御部が循環部230や分離部250各構成の動作や弁の開閉、ポンプの動作を制御することで、製造装置200が作動する。なお、制御部は必ずしも製造装置200の内部に備えられている必要はなく、製造装置200の外部に配置されていてもよい。
【0020】
なお、図2に示す製造装置200は、上記準備工程S110を行うための構成を含んでいないが、必要に応じて、カルシウム含有液を調製するための構成を含んでいてもよい。
以下、当該製造装置200を利用して、チューブ状炭酸カルシウムを製造する方法を詳しく説明する。
【0021】
(準備工程S110)
準備工程S110では、カルシウム化合物を含むカルシウム含有溶液310を準備する。カルシウム含有溶液310は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、カルシウム化合物および溶媒以外の成分(例えば夾雑物等)を含んでいてもよい。
【0022】
カルシウム含有溶液310が含むカルシウム化合物は、溶媒に溶解して、カルシウムイオンを生成可能な化合物であれば特に制限されず、その例には、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等が含まれる。
【0023】
一方、カルシウム含有溶液310が含む溶媒は、カルシウム化合物を溶解させることが可能であれば特に制限されず、一例として水が挙げられる。水は、イオン交換水、水道水、工業用水等、いずれであってもよい。なお、カルシウム化合物が良好に溶解する限りにおいて、水以外の他の溶媒を使用してもよいし、水と他の溶媒との混合液を用いてもよい。
【0024】
カルシウム含有溶液310中のカルシウムイオンの濃度は、800mg/L以上1900mg/L以下が好ましく、1000mg/L以上1700mg/L以下がより好ましい。カルシウム含有溶液310中のカルシウムイオン濃度が当該範囲であると、後述の晶出工程によって、さらに効率よくチューブ状炭酸カルシウムが晶出する。当該カルシウムイオンの濃度の測定方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。例えば誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により濃度を測定することができる。
【0025】
ここで、カルシウム含有溶液310の準備方法は特に制限されず、カルシウム化合物を含む原料(以下、「カルシウム原料」とも称する)と溶媒とを混合して調製してもよい。また、カルシウム原料が、カルシウム化合物とともに溶媒を含む場合には、これをそのままカルシウム含有溶液として使用してもよい。
【0026】
カルシウム原料は、固体状であってもよいし、液体状(溶液状)であってもよいし、スラリー状であってもよい。カルシウム原料の種類は特に限定されず、石灰石や大理石等の精製品であってもよいし、廃棄物等の回収品であってもよい。上記回収品の例には、コンクリートスラッジ、鉄鋼スラグ、廃コンクリート、石炭灰、バイオマス灰、焼却灰、廃石膏、アルカリ排水等が含まれる。これらのカルシウム原料は、中和処理や破砕処理または磨砕処理等の前処理を施されていてもよいし、前処理を施されていなくてもよい。
【0027】
また、カルシウム含有溶液310を準備する際には、固液分離操作を行ってもよい。固液分離操作を行うと、夾雑物(微粒子等)の少ないカルシウム含有溶液とすることができ、後述の晶出工程において、より効率よく形状のチューブ状炭酸カルシウムを晶出させやすい。固液分離方法は特に限定されず、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、および遠心脱水機等の公知の固液分離装置を用いた分離とすることができる。また、固液分離後、さらにナトリウム、カリウムおよびマグネシウム等を含む凝集剤を添加し、コロイド粒子等の微粒子を凝集し、さらに取り除いてもよい。
【0028】
(晶出工程S120)
晶出工程S120では、上記準備工程S110で準備したカルシウム含有溶液310に平均粒子径が100μm以下の二酸化炭素のファインバブルを導入し、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる。より具体的には、図2に示す製造装置200の循環部230(晶出槽210)にカルシウム含有液310を投入し、カルシウム含有液310を循環部230内で循環させる。当該循環部230内では、ファインバブル導入部220により、平均粒子径100μm以下の二酸化炭素のファインバブルがカルシウム含有液310内に導入される。そして、当該ファインバブルが導入されたカルシウム含有液310が晶出槽210に戻る。晶出槽210内では、ファインバブルのカルシウム含有溶液310への溶解や、カルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO 2-)との反応による炭酸カルシウムの生成反応、さらにはチューブ状炭酸カルシウムの晶出が行われる。
【0029】
一般的に、カルシウム含有溶液310へのファインバブルの溶解速度は、カルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO 2-)との反応による炭酸カルシウムの生成反応や、炭酸カルシウムの析出速度と比較して遅い。そのため、カルシウム含有溶液310を循環部230内で循環させるとともに、晶出槽210内でファインバブルがカルシウム含有溶液310に溶解する時間を十分に確保することで、チューブ状炭酸カルシウムが晶出しやすくなる。また、後述の温度調整工程S126等によって温度調整を行うだけでなく、ファインバブル導入部220において、カルシウム含有溶液310を一方向に流動させながらファインバブルの導入を行うことで、さらに晶出する炭酸カルシウムの形状を、チューブ状にしやすくなる。
【0030】
ここで、上記晶出槽210は、所望の量のカルシウム含有溶液310を収容可能であれば、その大きさ等は適宜選択される。また、本実施形態では、晶出槽210内にモーター212により駆動される撹拌器214が配置されているが、当該構成に限定されない。
【0031】
一方、ファインバブル導入部220には、二酸化炭素を含むガスを貯留するガスタンク222が接続されている。当該ファインバブル導入部220の構造は、ガスタンク222から供給される二酸化炭素を含むガスを、平均粒子径が100μm以下のファインバブルとして、カルシウム含有溶液310内に導入することが可能であれば特に制限されない。本実施形態のファインバブル導入部220は、内部にカルシウム含有液310を流動させるための管状の多孔質セラミックス(図示せず)と、当該多孔質セラミックスの外側に配置されたガス圧入部(図示せず)と、を有する。ガス圧入部は、ガスタンク222から供給された二酸化炭素を含むガスを一時的に貯留するためのガス溜まりを有する。ガス圧入部のガス溜まりにガスを圧入すると、当該ガスが多孔質セラミックス内に侵入し、これを通過する。その結果、ガスがファインバブルとなり、多孔質セラミクス内を流動するカルシウム含有溶液310に導入される。当該ファインバブル導入部220によれば、インラインでファインバブルを生成できるため処理遅延が生じにくい。また、当該ファインバブル導入部220によれば、異物の混入も生じにくく、高粘度のカルシウム含有溶液310にもファインバブルを導入できるという利点がある。
【0032】
ただし、ファインバブルの導入方法やファインバブル導入部220の構成は当該方法や構成に制限されない。例えば、ファインバブル導入部220が、気液混合せん断式、スタティックミキサー式、ベンチュリ式、キャビテーション式、蒸気凝縮式、超音波式、旋回噴流式、加圧溶解式等を利用した構成を有していてもよい。
【0033】
本実施形態では、平均粒子径が100μm以下のファインバブルを使用するため、炭酸イオンとカルシウムイオンとの反応効率が高い。つまり、チューブ状炭酸カルシウムを効率よく晶出させることができる。なお、ファインバブルの導入制御の観点からは、晶出工程S120で導入するファインバブルの平均粒子径は1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。なお、本明細書において、ファインバブルの平均粒子径は、ファインバブル導入部220の構成によって決定されるが、レーザ回折・散乱式の粒子径分布測定装置によって測定された値であってもよい。
【0034】
また、ファインバブル導入部220において導入するファインバブル中の二酸化炭素の濃度は特に限定されず、例えば導入するファインバブルのうち10体積%以上100体積%以下とすることができる。二酸化炭素濃度を10体積%以上とすることで、より短時間でチューブ状炭酸カルシウムを晶出させることができる。
【0035】
なお、ファインバブルの材料となる二酸化炭素を含むガスは、工場排ガスや、石油および天然ガスの燃焼排ガス、および廃棄物の焼却排ガス等であってもよい。これらの排ガスを使用することで、大気中への二酸化炭素の排出量を低減して、環境負荷の低減に寄与することができる。
【0036】
ファインバブルの導入条件は特に限定されない。たとえば、ファインバブルの導入速度は、0.01L/min以上10L/min以下とすることができる。また、ファインバブルの導入時間(循環部230におけるカルシウム含有溶液310の循環時間)は、20分以上240分以下とすることができる。
【0037】
ファインバブルを導入するときのカルシウム含有溶液310のpHは、7.0以上であることが好ましい。pHを7.0以上とすることで、炭酸カルシウムとして晶出したカルシウムの再溶解を抑止することができる。カルシウム含有溶液310のpHは、7.0以上13.0以下であることが好ましく、8.0以上13.0以下であることがより好ましい。
【0038】
なお、本工程では、上記カルシウム含有溶液310に種結晶を投入し、チューブ状炭酸カルシウムの晶出を促進させてもよい。ただし、種結晶の表面で結晶が成長することや、新たな結晶核の生成を促進することによる、形状のばらつきを抑制する観点からは、種結晶を投入しないことが好ましい。
【0039】
(温度測定工程S122)
温度測定工程S122では、上記循環部230内のカルシウム含有液310の温度を測定する。本実施形態の製造装置200では、ファインバブル導入部220に導入する前のカルシウム含有液310の温度を測定する第1の温度測定部242、晶出槽210内のカルシウム含有液310の温度を測定する第2の温度測定部244によって温度を測定する。これらの温度測定部242、244による温度の測定は、連続的に行ってもよく、例えば1分おき、5分おき、10分おきのように間隔をあけて定期的に、もしくは断続的に温度を測定してもよい。なお、温度測定部242、244で測定された温度は、制御部に送信される。
【0040】
なお、温度測定部242、244の種類は、カルシウム含有溶液310の温度を特定可能であれば特に制限されず、例えば接触式温度計であってもよく、非接触式温度計であってもよい。また、直接カルシウム含有溶液310の液温を測定してもよく、カルシウム含有溶液310を流動させる流動管や晶出槽210の温度を測定し、間接的にカルシウム含有溶液310の温度を特定してもよい。
【0041】
また、温度測定部242、244を配置する箇所は、上述の位置に限定されず、上記以外の位置に配置してもよい。また、循環部230に配置する温度測定部の数も2つに限定されず、1つのみであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0042】
(温度判定工程S124)
温度判定工程S124では、温度測定工程S122で測定された温度が、所定の温度範囲であるかを判定する工程である。本実施形態の製造装置200では、制御部が、温度測定部242、244で取得された温度を受信し、その温度が所定の温度範囲であるかを判定する。そして、カルシウム含有溶液310の温度が所定の範囲内であれば、晶出工程S120をそのまま続行する。一方、温度が所定の範囲外である場合には、温度調整部246、248を駆動させ、後述の温度調整工程S126を行う。
【0043】
ここで、温度判定工程S124における温度の閾値は、カルシウム含有溶液310の流量やカルシウム化合物の濃度、所望のチューブ状炭酸カルシウムの形状等によって適宜選択される。本実施形態では20℃超60℃以下が好ましく、25℃以上40℃以下が好ましい。カルシウム含有溶液310の温度が20℃超であると、晶出する炭酸カルシウムがチューブ状になりやすい。また、カルシウム含有溶液310を60℃以下とすることで、カルシウム含有溶液310の温度維持に必要なエネルギー量を低減できる。
【0044】
(温度調整工程S126)
温度調整工程S126では、温度判定工程S124でカルシウム含有溶液310の温度が所定の温度範囲外であると判定された場合に、カルシウム含有溶液310の温度を調整する。本実施形態では、制御部が、循環部230の流路に配置された第1の温度調整部246や、晶出槽210近傍に配置された第2の温度調整部248を駆動させ、カルシウム含有溶液310の温度を制御する。ただし、温度調整部246、248を配置する箇所はこれらの位置に限定されず、これら以外の箇所に配置してもよい。さらに、温度調整部の数も2つに限定されず、1つのみであってもよく、3つ以上であってもよい。また、本実施形態のように、循環部230内に複数の温度調整部246、248が配置されている場合、その一部のみを駆動させて温度調整を行ってもよく、全てを駆動させて温度調整を行ってもよい。
【0045】
温度調整部246、248の構成は、カルシウム含有溶液310の温度を調整可能であればよく、公知の加熱手段や冷却手段とすることができる。
【0046】
(回収工程S130)
回収工程S130では、上述の晶出工程S120後のカルシウム含有溶液310を回収し、チューブ状炭酸カルシウムと、それ以外の成分とを分離する。本実施形態では、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させたカルシウム含有溶液310を、分離部250が有するろ過部252によってろ過し、チューブ状炭酸カルシウムを回収する。ろ過部252では、吸引ろ過等、公知の方法でろ過を行う。回収したチューブ状炭酸カルシウムは、必要に応じて乾燥や粉砕してもよい。また、用途に応じて、脂肪酸等による表面処理を施してもよい。
【0047】
一方、ろ過によりろ別された液体成分(処理液)は、廃液処理後、廃棄してもよい。また、他の用途に使用してもよく、カルシウム含有溶液として再利用してもよい。
【0048】
[チューブ状炭酸カルシウム、およびその用途]
上述の方法で得られるチューブ状炭酸カルシウムは、長軸方向に沿って貫通孔を有するチューブ状であればよく、その大きさ等は特に制限されない。なお、本明細書において、長軸は直線状であってもよく、曲線状であってもよい。当該チューブ状炭酸カルシウムの平均長径は0.1~3μm程度でありうる。また、平均短径は、0.05~0.2μmでありうる。さらに、チューブ状炭酸カルシウムの平均膜厚(管壁の厚み)も特に制限されないが、0.05~0.2μmであることが好ましく、0.1~0.2μmであることがより好ましい。チューブ状炭酸カルシウムの平均膜厚が0.05μm以上であると、チューブ状炭酸カルシウムの強度が高く、様々な用途に使用したときに、チューブ状を維持しやすい。また、晶出時間を長くすれば、上記平均膜厚を厚くできるが、製造効率の観点では、0.2μm以下が好ましい。チューブ状炭酸カルシウムの各寸法は、走査型電子顕微鏡(SEM)の画像解析等によって特定され、各値は、100個のチューブ状炭酸カルシウムの画像を解析したときの、それぞれの値の平均値である。
【0049】
上記チューブ状炭酸カルシウムの結晶相は特に制限されないが、主にカルサイトであることが好ましい。ただし、チューブ状炭酸カルシウムの一部に異なる結晶相が含まれていてもよい。なお、カルサイトは炭酸カルシウムの安定相として知られており、他の結晶相(アラゴナイトやバテライト等)と比較して結晶形態が安定している。したがって、チューブ状炭酸カルシウムが主にカルサイトであると、チューブ状炭酸カルシウムを様々な用途に使用しやくなる。チューブ状炭酸カルシウムの結晶相はX線回折法(XRD)により特定される。
【0050】
また、チューブ状炭酸カルシウムのBET比表面積は特に制限されないが、5~30m/gであることが好ましい。BET比表面積が上記範囲であると、チューブ状炭酸カルシウムを後述のように、樹脂等と混合したときに、良好な物性が得られやすい。なお、本明細書において、「BET比表面積」とは、BET吸着法(窒素ガス吸着法)によって特定された比表面積を意味する。BET比表面積の測定機器としては、「BELSORP-mini」(マイクロトラック・ベル社製)を好ましく用いることができる。
【0051】
上述のチューブ状炭酸カルシウムの使用方法は特に制限されず、そのまま使用してもよく、他の成分と混合して使用してもよい。用途の例には、プラスチック、紙および塗料等への充填材、農薬および肥料等の土壌改良剤、接着剤、シーラント、研磨作用を利用した消しゴムや歯磨剤、炭酸カルシウムを主原料としたシート・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品ならびに、食品添加物および化粧品原料等が含まれる。
【0052】
また、チューブ状炭酸カルシウムと、熱可塑性樹脂とを混合し、各種成形品を製造するための樹脂組成物としてもよい。チューブ状炭酸カルシウムは、上記貫通孔を有することから、当該貫通孔内に熱可塑性樹脂が入り込みやい。したがって、各種熱可塑性樹脂と混合することで、当該熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の弾性率を高めることができる。チューブ状炭酸カルシウムと混合する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、汎用性等の観点で、ポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)が好ましく用いられる。
【0053】
当該樹脂組成物におけるチューブ状炭酸カルシウムの含有量は、90.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。一方で、樹脂組成物におけるチューブ状炭酸カルシウムの含有量は50.0質量%以上が好ましく、60.0質量%以上がより好ましい。当該樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、50.0質量%以下が好ましく、40.0質量%以下がより好ましい。一方、当該樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。
【0054】
当該樹脂組成物におけるチューブ状炭酸カルシウムと、熱可塑性樹脂との質量比(炭酸カルシウム:熱可塑性樹脂)が、好ましくは50:50~90:10であり、より好ましくは60:40~80:20であり、さらに好ましくは60:40~70:30である。チューブ状炭酸カルシウムの量が当該範囲であると、樹脂組成物の弾性率が高くなりやすい。
【0055】
なお、上記樹脂組成物は、チューブ状炭酸カルシウムおよび熱可塑性樹脂以外の成分を含んでいてもよい。樹脂組成物は、例えば可塑剤、熱可塑性樹脂以外の樹脂、充填剤、色剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0056】
上記樹脂組成物の調製方法は特に制限されず、チューブ状炭酸カルシウムと、熱可塑性樹脂と、必要に応じて他の成分とを混合し、公知の方法で混錬すること(例えば二軸混錬機による混錬)で得られる。
【0057】
また、樹脂組成物は、任意の大きさ及び形状のペレットとしてもよい。ペレットの形状は、例えば、円柱、球形、楕円球状等であり得る。ペレットのサイズは特に限定されないが、例えば、球形ペレットの場合、直径1~10mmであり得る。楕円球状のペレットの場合、縦横比0.1~1.0、縦横の長さ1~10mmであり得る。円柱ペレットの場合、直径1~10mm、長さ1~10mmであり得る。
【0058】
樹脂組成物の成形方法も特に制限されず、インフレーション成形法、押出成形法、射出成形法、発泡射出成形法、射出圧縮成形法、ブロー成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、真空成形法等が挙げられる。このような樹脂組成物から得られる成形品としては、フィルム、シート、容器体(食品容器等)、日用品、自動車用部品、電気電子部品、各種消耗品等が挙げられる。
【実施例
【0059】
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0060】
[実施例1]
市販のポルトランドセメントを用意し、カルシウム原料とした。800gのカルシウム原料と、3200mLのイオン交換水とを混合し、攪拌させてカルシウム原料を懸濁させた懸濁液を得た。その後、固液分離装置により上記懸濁液をろ過し、カルシウム含有溶液を得た。当該カルシウム含有溶液中のカルシウム量を、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)により測定した。
【0061】
上記カルシウム含有溶液のpHを7.0以上に調整した。そして、当該カルシウム含有溶液を図2に示す循環部230の晶出槽210に投入し、循環部230内を循環させた。このとき、ファインバブル導入部220には、二酸化炭素(CO)と窒素(N)との混合ガスを導入し、ファインバブルを発生させた。混合ガス中のCO濃度は、10体積%とした。なお、ファインバブル導入部220としては、管状の多孔質セラミックスと、その外部に配置されたガス圧入部とを有する、株式会社ノリタケカンパニーリミテド社製のインライン型FB試験装置を使用した。導入するファインバブルの平均粒子径は、50μmに調整した。導入時の混合ガスの流量は、50mL/minとした。当該実施例1では、上記ファインバブルの導入開始から終了まで、循環部230を循環するカルシウム含有溶液310の温度が20℃超60℃以下に収まるように制御した。
【0062】
ファインバブルを導入開始から30分経過した時点でファインバブルの導入を停止して、カルシウム含有溶液に対して吸引ろ過を行って、チューブ状炭酸カルシウムを得た。得られたチューブ状炭酸カルシウムの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)によって特定した。また、100個のチューブ状炭酸カルシウムの形状を画像解析し、体積分布における50%粒子径(d50)および90%粒子径(d90)を求めた。さらに、得られたチューブ状炭酸カルシウムをX線回折法により解析し、結晶相を求めた。
【0063】
[実施例2および3]
上記カルシウム含有溶液を得る際の撹拌条件を変更してカルシウム含有溶液中のカルシウム量が異なるカルシウム含有溶液をそれぞれ準備し、ファインバブルの導入時間を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にチューブ状炭酸カルシウムを得た。なお、実施例2および実施例3においても、上記ファインバブルの導入開始から終了まで、カルシウム含有溶液の温度が20℃超60℃以下に収まるように制御した。
【0064】
[比較例1および2]
上記カルシウム含有溶液を得る際の撹拌条件を変更してカルシウム含有溶液中のカルシウム量が異なるカルシウム含有溶液をそれぞれ準備し、ファインバブルの導入時間を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様に炭酸カルシウムを得た。なお、比較例1および比較例2においては、カルシウム含有溶液の温度制御を行わなかった。
【0065】
[比較例3]
上記カルシウム含有溶液を得る際の撹拌条件を変更してカルシウム含有溶液中のカルシウム量が異なるカルシウム含有溶液をそれぞれ準備し、二酸化炭素をミリバブルとして導入した以外は、実施例1と同様に炭酸カルシウムを得た。なお、比較例3においては、カルシウム含有溶液の温度制御を行わなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
[考察]
上記表1に示すように、カルシウム含有溶液に100μm以下の二酸化炭素のファインバブルを導入し、かつ温度制御を行って炭酸カルシウムを製造した場合、その形状がチューブ状となった(実施例1~3)。図3Aに、実施例1で得られたチューブ状炭酸カルシウムのSEM画像を示す。なお、当該実施例1のチューブ状炭酸カルシウムのBET比表面積を「BELSORP-mini」(マイクロトラック・ベル社製)で測定したところ、13.7m/gであった。
【0068】
一方、カルシウム含有溶液に100μm以下の二酸化炭素のファインバブルを導入したとしても、温度制御を行わなかった場合には、その形状が角柱状となった(比較例1および2)。図3Bに比較例1で得られた角柱状炭酸カルシウムのSEM画像を示す。また、当該角柱状炭酸カルシウムのBET比表面積は1.49m/gであった。
【0069】
また、カルシウム含有溶液に二酸化炭素を導入したとしても、ミリバブルであった場合には、その形状が角柱状となった(比較例3)。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の製造方法によれば、有機酸や界面活性剤等の薬剤を用いることなく、効率よくチューブ状の炭酸カルシウムを得ることが可能である。したがって、各種用途への炭酸カルシウムの普及をさらに促進すると期待される。
【符号の説明】
【0071】
200 製造装置
210 晶出槽
212 モーター
214 攪拌器
220 ファインバブル導入部
222 ガスタンク
230 循環部
242、244 温度測定部
246、248 温度調整部
250 分離部
252 ろ過部
【要約】
【課題】有機酸や界面活性剤等の薬剤を用いることなく、効率よくチューブ状炭酸カルシウムを製造する方法を提供すること。
【解決手段】上記チューブ状炭酸カルシウムの製造方法は、長軸方向に沿って貫通孔を有するチューブ状炭酸カルシウムの製造方法であり、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、平均粒子径が100μm以下である二酸化炭素のファインバブルを導入し、チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程を含み、前記チューブ状炭酸カルシウムを晶出させる工程では、前記カルシウム含有溶液の温度を制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3