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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】セラミックサセプター
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/458 20060101AFI20240619BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C23C16/458
C23C16/505
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023123672
(22)【出願日】2023-07-28
(65)【公開番号】P2024020174
(43)【公開日】2024-02-14
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0095402
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペ、ハヌム
(72)【発明者】
【氏名】リ、チュソン
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0238316(US,A1)
【文献】特開2006-352114(JP,A)
【文献】特開2010-232532(JP,A)
【文献】特開2017-216287(JP,A)
【文献】特開2007-035886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/458,
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電極が配置された絶縁プレートと、
一端が前記絶縁プレートに接続され、他端に隔離板を備えるシャフトと、
上部が前記シャフトの他端に接続される連結マウントと、
前記高周波電極に連結され、前記隔離板を貫通して前記連結マウントの内部に延長される、第1ロッド及び第2ロッドと、
前記連結マウント内に配置されて前記連結マウントの内部に延長された前記第1ロッド及び前記第2ロッドを引込ロッドに接続する連結部材と、を含み、
前記連結部材は、
前記第1ロッドの結合のための第1結合部材と、
前記第2ロッドの結合のための第2結合部材と、
前記引込ロッドの結合のための第3結合部材、及び
弾性部材を含み、
前記弾性部材は、前記第1ロッドの結合のための第1結合部材と結合し、
前記第2ロッドは、前記第2結合部材の一方側と結合し、
前記弾性部材、前記第3結合部材、及び前記引込ロッドは、前記第2結合部材の他方側で結合する、
セラミックサセプター。
【請求項2】
前記弾性部材は、
前記第1ロッドを締結するための第1締結部と、
前記第2ロッド及び前記引込ロッドを締結するための第2締結部と、
前記第1締結部と前記第2締結部との間に備えられた屈曲プレートと、
を含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項3】
前記高周波電極は、第1高周波電極及び第2高周波電極を含み、
前記第1ロッド及び前記第1高周波電極、前記第2ロッド及び前記第2高周波電極がそれぞれ電気的に連結された、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項4】
前記連結マウントの内部の温度を測定するための温度センサー
をさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項5】
前記連結マウントを冷却させるための冷却構造物
をさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項6】
前記連結マウントは、密閉した形態であり、冷却媒体の循環のための引込口と排出口を含み、前記引込ロッドが密閉した前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項7】
前記引込ロッドを固定する固定板をさらに含み、
前記引込ロッドが、前記固定板を貫通し、前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックサセプターに関し、特に、高周波電極部における発熱を低減させる構造を有するセラミックサセプターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む複数の薄膜層をガラス基板、フレキシブル基板又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後にパターニングする方式で製造される。これらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程としては低圧力化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持し、所定の熱を発生したりプラズマ発生のための高周波信号を発生したりするためのセラミックサセプターが配置される。前記セラミックサセプターは、半導体素子の配線微細化などの精度の工程のために、プラズマ蒸着工程などにおいて正確な温度制御及び熱処理要求などに応じて広く用いられており、また、半導体ウエハー基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)、又はフォトレジスト(photoresist)の焼成工程などにおいてプラズマ形成や基板加熱のために用いられる。
【0003】
図1に示すように、従来のセラミックサセプターは、シャフト20に結合している絶縁プレート10を含み、絶縁プレート10は、セラミック材質中に配置された高周波(RF)電極12を含み、高周波(RF)電極12は、負荷を減少させるために、並列高周波(RF)ロッド21,23及び連結部材41を介して一つのロッド29に連結されて外側電源部に連結される。半導体工程微細化と生産性向上のためにRFパワーは増加の一途にあるところ、シャフト20内の高周波電極ロッド21,23を2個に分離設置して負荷を減少させるためのものであり、このような従来技術は、韓国特許登録番号第10-2369346号(2022.02.24.)に開示されている。
【0004】
しかしながら、このような従来の構造では、2個の高周波(RF)ロッド21,23にそれぞれかかる熱膨脹の程度が異なることがあるため、2個の高周波(RF)ロッド21,23のいずれか一方でクラック又は短絡が発生し、電源が正常に供給されない故障が発生する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、シャフト内の2個以上の高周波電極ロッドを連結マウント内で連結させるとき、高周波電極ロッド同士間に熱膨張差があっても、それを吸収可能な連結部材を適用することにより、高周波電極ロッドにおけるクラック又は短絡発生無しで電気的特性を維持させることができる、セラミックサセプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本発明の特徴を要約すると、上記の目的を達成するための本発明の一面に係るセラミックサセプターは、高周波電極が配置された絶縁プレート;一端が前記絶縁プレートに接続され、他端に隔離板を備えるシャフト;上部が前記シャフトの他端に接続される連結マウント;前記高周波電極に連結され、前記隔離板を貫通して前記連結マウントの内部に延長される、第1ロッド及び第2ロッド;及び、前記連結マウント内に配置されて前記連結マウントの内部に延長された前記第1ロッド及び前記第2ロッドを引込ロッドに接続する連結部材を含み、前記連結部材は、前記第1ロッド、前記第2ロッド及び前記引込ロッド間の熱による変形の差を吸収するための弾性部材を含む。
【0007】
前記弾性部材は、前記第1ロッドを締結するための第1締結部;前記第2ロッド及び前記引込ロッドを締結するための第2締結部;前記第1締結部と前記第2締結部との間に備えられた屈曲プレートを含む。
【0008】
前記連結部材は、前記第1ロッドの結合のための第1結合部材;前記第2ロッドの結合のための第2結合部材;前記引込ロッドの結合のための第3結合部材;及び、前記第1結合部材、前記第2結合部材及び前記第3結合部材を一つに結合させるための弾性がある前記弾性部材を含む。
【0009】
前記高周波電極は、第1高周波電極及び第2高周波電極を含み、前記第1ロッド及び前記第1高周波電極、前記第2ロッド及び前記第2高周波電極がそれぞれ電気的に連結されてよい。
【0010】
前記セラミックサセプターは、前記連結マウントの内部の温度を測定するための温度センサーをさらに含んでよい。
【0011】
前記セラミックサセプターは、前記連結マウントを冷却させるための冷却構造物をさらに含んでよい。
【0012】
前記連結マウントは、密閉した形態であり、冷却媒体の循環のための引込口と排出口を含み、前記引込ロッドが密閉した前記連結マウントを貫通して外に露出されてよい。
【0013】
前記セラミックサセプターは、前記引込ロッドを固定する固定板をさらに含み、前記引込ロッドが、前記固定板を貫通し、前記連結マウントを貫通して外に露出されてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るセラミックサセプターによれば、シャフト内の2個以上の高周波電極ロッドを連結マウント内で連結させるとき、高周波電極ロッド同士間の熱膨張差があっても、連結部材において中間媒介部材としての弾性に優れた弾性部材がその変形を吸収できるようにすることにより、高周波電力が増加しても、高周波電極ロッドでのクラックを防止し、酸化による短絡の発生を防止し、また、高周波電極部におけるアーキングや局部的な発熱を防止することにより、一定の電気的特性を維持させ、よって、基板工程上の薄膜異常無しで安定した半導体工程で収率向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明の実施例を提供し、詳細な説明と一緒に本発明の技術的思想を説明する。
図1】従来のセラミックサセプターを示す概略断面図である。
図2】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターを示す概略断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る連結部材を右側から見た概略斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る連結部材を左側から見た概略斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る連結部材を右下方から見た概略斜視図である。
図6】本発明の一実施例に係る弾性部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。ここで、各図において同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付する。また、既に公知の機能及び/又は構成に関する詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を曖昧にし得る要素に関する説明は省略する。また、図面の一部の構成要素は、誇張して、省略して、又は概略して図示可能である。各構成要素の大きさは実の大きさを全的に反映するものではなく、したがって、各図に描かれている構成要素の相対的な大きさや間隔によってここに記載の内容が限定されることはない。
【0017】
本発明の実施例を説明するとき、本発明と関連している公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変更可能である。したがって、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明で使われる用語は、単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的であってはならない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを示すためのものであり、記述された以外の一つ又はそれ以上の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0018】
なお、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの用語によって前記様々な構成要素が限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われるだけである。
【0019】
図2は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100を示す概略断面図である。
【0020】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、絶縁プレート110、シャフト(shaft)120及び連結マウント(mount)140を含む。絶縁プレート110、シャフト120及び連結マウント140は順に接続されており、シャフト120と連結マウント140との間には、相互の内部空間を隔離させるために、シャフト120の長さ方向の端部に形成された隔離板130が含まれる。
【0021】
本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の加工対象基板を支持し、当該加工対象基板を所定の温度で加熱する半導体装置であってよい。また、セラミックサセプター100は、静電チャック機能を支援するためのチャック電極を含んでよく、また、ヒーター機能を支援するための発熱体、又はプラズマ強化化学気相蒸着などの工程を支援するための高周波電極などを含んでよい。
【0022】
絶縁プレート110は、セラミック材質中に高周波電極112が配置(埋設)されるように構成され、場合によって、発熱体114が高周波電極112と所定の間隔で離隔して配置(埋設)されるようにさらに構成されてよい。絶縁プレート110は、加工対象基板を安定に支持しながら、発熱体114を用いた加熱及び(又は)高周波電極112を用いたプラズマ強化化学気相蒸着工程などの様々な半導体工程がなされ得るように構成される。また、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、所定のチャック電極を用いた加工対象基板のチャッキング及びデチャッキングのための静電チャックとして用いられてもよい。絶縁プレート110は、所定の形状を有する板状構造物で形成されてよい。一例として、絶縁プレート110は、円形の板状構造物で形成されてよいが、必ずしもこれに限定されない。ここで、セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が上記の電極と共に成形、焼結されて絶縁プレート110を構成することができ、そのための各セラミック粉末は選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0023】
高周波電極112は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)又はこれらの合金からなってよく、好ましくはモリブデン(Mo)からなってよい。高周波電極112は、連結ロッド121,122を連結(短絡)させる連結部材149に連結された引込ロッド129を介して電源(例えば、接地(ground))に連結されてよい。連結ロッド121,122はシャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置される。以下、連結ロッド121,122は2個であるとして説明するが、場合によって3個以上であってもよい。
【0024】
シャフト120の長さ方向の端部に連結マウント140が接続され、シャフト120の長さ方向の端部に形成された隔離板130を貫通した連結ロッド121,122は、密閉した形態の連結マウント140の内部に配置された連結部材149によって連結され、連結部材149に連結された引込ロッド129は、連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長される。高周波電極112は、ワイヤータイプ(wire type)又はシートタイプ(sheet typ)のメッシュ(mesh)構造を有する。ここで、メッシュ構造は、第1方向に配列された複数の金属と第2方向に配列された複数の金属が互いにずれるように交差して形成された網形態の構造である。
【0025】
発熱体114は、発熱線(又は、抵抗線)による板状コイル形態又は平坦なプレート形態で形成されてよい。また、発熱体114は、精密な温度制御のために多層構造で形成されてもよい。このような発熱体114は、発熱体用連結ロッド(図示せず)を介して発熱体用電源に連結され、半導体工程において基板の加熱や蒸着工程及びエッチング工程などを行うために、絶縁プレート110上の加工対象基板を所定の一定の温度で加熱する機能を担うこともできる。図2には示していないが、発熱体用連結ロッドは、シャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置されてよい。隔離板130を貫通した発熱体用連結ロッドは、密閉した形態の連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長されてよい。
【0026】
シャフト120は、貫通孔を有する管(pipe)形であり、絶縁プレート110の下面に結合する。シャフト120は、絶縁プレート110と同じセラミック材質で形成されて結合してよい。ここで、セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が成形、焼結されてシャフト120を構成することができ、そのための各セラミック粉末は選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0027】
シャフト120は、後述するように、セラミックペーストなどの接合物質によって絶縁プレート110と結合してよい。場合によって、シャフト120はボルト、ナットなどを用いて絶縁プレート110と機構的に結合してもよい。シャフト120の貫通孔から高周波電極112及び(又は)発熱体114に電力を供給する各ロッド(121、122など)が収容され、これらは、密閉した形態の連結マウント140を通過して外に出るように延長される。
【0028】
本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、特に高周波電極112と連結されるシャフト120内の2つ以上の複数の連結ロッド121,122を、冷却構造(冷却媒体の循環のための引込口191と排出口192を含む。)を有する密閉した形態の連結マウント140内で連結させることにより、高周波(RF)電力の増加があっても、複数の連結ロッド121,122における電流の分岐により、高周波電極112と該高周波電極112に連結されるロッド121,122の周辺でクラック発生がなく、アーキング(arching)発生がなく、また、発熱による基板上の成膜特性の均一化を可能にし、高周波電極112に連結されるロッド121,122の酸化による短絡の発生無しで電気的特性を維持できるようにした。特に、高周波電極ロッド同士間に熱膨張差があっても、連結部材149において弾性に優れた中間媒介部材としての弾性部材144でその変形を吸収可能にすることにより、高周波電力が増加しても高周波電極ロッド121,122におけるクラックを防止し、酸化による短絡発生を防止し、また、高周波電極112、電極ロッド121,122などを含む高周波電極部におけるアーキングや局部的な発熱を防止することで一定の電気的特性を維持させ、よって、基板工程上の薄膜異常無しで安定した半導体工程で収率向上に寄与できるようにした。
【0029】
また、本発明において、連結マウント140は冷却を維持するので、既存のシャフト内部のように高温に露出されず、連結マウント140内に連結ロッド121,122及び連結部材149が位置するためこれらは酸化し難く、また、連結マウント140の内部の冷却により、酸化及び短絡の発生無しで電気的特性を維持可能にした。また、既存では、シャフトの小さな直径を有する孔の中で高周波電極ロッドを連結させる作業が容易でなかったが、本発明では、連結部材149がシャフト120内に位置するのではなく連結マウント140に備えられているので、連結部材149を介して連結ロッド121,122を連結させる作業が既存の構造に比べてより容易になる。
【0030】
本発明において、図2に示すように、1つの高周波電極112に連結される複数の連結ロッド121,122が、連結マウント140内で連結部材149によって連結される構成を説明するが、これに限定されず、場合によって、高周波電極112は2つ以上の複数の分離電極(例えば、第1高周波電極及び第2高周波電極を含む2個の分離電極)で構成されてもよい。このとき、前記複数の連結ロッドのそれぞれが前記複数の分離電極にそれぞれ電気的に連結される構成が可能である。ここで、1つの高周波電極112に複数の連結ロッドを連結する前者の場合は、連結ロッド121,122を高周波電極112の端子と連結するために絶縁プレート110に形成する貫通孔の大きさを最小化することにより、連結ロッド121,122と絶縁プレート110の熱膨張係数差によるクラック発生を防止することに有利な構造になり得る。
【0031】
図2に示すように、シャフト120の長さ方向の端部に連結マウント140が接続される。連結マウント140は、シャフト120の長さ方向の端部に形成された隔離板130を挟んでシャフト120と機構的に結合してよい。シャフト120と隔離板130との接続は、ボルト、ナットなどを用いた機構的な結合によってなされてよい。また、シャフト120に結合した隔離板130と連結マウント140の上部との接続は、ボルト、ナットなどを用いた機構的な結合によってなされてよい。隔離板130を貫通する連結ロッド(121、122など)のための隔離板130の貫通孔(holes)の周囲は、上記のようなセラミック材質のペーストなどによって隙間がないように密封され、連結マウント140の上部は隔離板130の周囲を覆うように締結される。連結マウント140の上部と隔離板130との間も隙間がないように上記のようなセラミック材質のペーストなどによって密封されてよい。
【0032】
連結マウント140の下面も同様、引込ロッド129と温度センサー180が貫通するための貫通孔(holes)の周囲は隙間がないように上記のようなセラミック材質のペーストなどによって密封される。連結マウント140の下面は、図2に示すように、連結マウント140のボディー壁面と一体型に製作されてもよいが、これに限定されず、別個の下面プレート(plate)が連結マウント140のボディー壁面とボルト、ナットなどによって機構的に結合し、連結マウント140を密閉した形態にすることも可能である。
【0033】
図2に示すように、高周波電極112と連結される連結ロッド121,122は、シャフト120の内部でシャフト120の長さ方向の端部を通過して連結マウント140に延長される。すなわち、連結ロッド121,122は、シャフト120の長さ方向の端部に形成された隔離板130を貫通するように配置される。隔離板130を貫通した連結ロッド121,122は、2つに分離されており、密閉した形態の連結マウント140の内部に配置された弾性部材143を有する連結部材149によって連結(短絡)され、連結部材149に連結された引込ロッド129は、連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長される。引込ロッド129は電源(例えば、接地(ground))に連結され、高周波電極112が高周波電源の一方の電極をなすようにしてよい。
【0034】
図3は、本発明の一実施例に係る連結部材149を右側から見た概略斜視図である。
図4は、本発明の一実施例に係る連結部材149を左側から見た概略斜視図である。
図5は、本発明の一実施例に係る連結部材149を右下方から見た概略斜視図である。
図6は、本発明の一実施例に係る弾性部材143の概略斜視図である。
図3図6を参照すると、連結部材149は、第1連結ロッド121の結合のための第1結合部材141、第2連結ロッド122の結合のための第2結合部材142、引込ロッド129の結合のための第3結合部材143を含み、第1結合部材141、第2結合部材142及び第3結合部材143を一つ(一体)に結合させるための弾性がある弾性部材144を含む。
【0035】
図6に示すよう、弾性部材144は、第1連結ロッド121を締結するための第1締結部145、第2連結ロッド122及び引込ロッド129を締結するための第2締結部146、及び第1締結部145と第2締結部146との間に設けられた屈曲プレート147を含む。
【0036】
弾性部材144は、第1連結ロッド121、第2連結ロッド122及び引込ロッド129間の熱による変形の差を吸収するためのものである。すなわち、第1結合部材141、第2結合部材142及び第3結合部材143と一緒に第1連結ロッド121、第2連結ロッド122、及び引込ロッド129が一つ(一体)に結合すると、上述したようなプラズマ強化化学気相蒸着工程などの様々な半導体工程中に第1連結ロッド121、第2連結ロッド122、及び引込ロッド129間に温度差が発生してそれぞれの変形にバラツキがあっても、柔軟な屈曲プレート147が柔軟にこのような変形のバラツキを吸収することができる。
【0037】
そのために、連結部材149の上記のような各構成要素は、Cu、BeCu又はこれにAuコートされた金属、Au、Agなどの電気伝導度に優れた金属材質からなってよい。弾性部材144は、第1締結部145、第2締結部146、及び屈曲プレート147が一体型に構成されてよく、屈曲プレート147は、柔軟性のために第1締結部145及び第2締結部146に比べて小さい厚さで形成されてよい。
【0038】
弾性部材144の第1締結部145と第2締結部146には、1個以上のスクリュー孔が設けられてよい。第1締結部145のスクリュー孔とこれに対応する第1結合部材141のスクリュー孔に締結されるスクリューにより、スクリュー孔のねじ山や反対側のナットを用いて第1結合部材141の開いている相対向するプレートを引き締めることによって、第1結合部材141の一側の挿入孔にその端部が挿入される第1連結ロッド121の固定が可能になる。
【0039】
また、第2結合部材142は、「L」状のボディーの一側に、第2連結ロッド122の結合のための挿入孔と1つ以上のスクリュー孔が設けられ、他側に、第3結合部材143と引込ロッド129及び第2締結部146が結合するための1つ以上のスクリュー孔が設けられる。すなわち、第2結合部材142の一側の挿入孔に、第2連結ロッド122の端部を挿入し、当該スクリュー孔に締結されるスクリューにより、スクリュー孔のねじ山や反対側のナットを用いて第2結合部材142の開いている相対向するプレートを引き締めることによって、第2連結ロッド122の固定が可能になる。
【0040】
また、第2結合部材142の「L」状のボディーの他側において第3結合部材143と引込ロッド129及び第2締結部146が結合するべく、第2結合部材142のスクリュー孔に対応するように、一側の当該第2締結部146のスクリュー孔と他側の第3結合部材143のスクリュー孔が形成されており、これらの3つの部材の当該スクリュー孔に締結されるスクリューによってスクリュー孔のねじ山や反対側のナットを用いて第2結合部材142のボディーを挟んで第3結合部材143と第2締結部146とが密着結合しながら、第2結合部材142の端部側に形成された溝181と第3結合部材143の端部側に形成された溝182との間に挿入された引込ロッド129の固定が可能になる。
【0041】
一方、このように隔離板130を貫通して高周波電極112に連結される連結ロッド121,122は2つに分離されており、連結マウント140の内部に配置された連結部材149によって連結(短絡)され、連結部材149に連結された引込ロッド129は、密閉した形態の連結マウント140の下面を貫通して外に出るように延長される。
【0042】
また、図2で、本発明に係るセラミックサセプター100は、連結マウント140の内部の温度を測定するための温度センサー180(例えば、サーモーカップル(thermocouple))をさらに含み、連結マウント140には連結マウント140を冷却させるための冷却構造物190が含まれてよい。
【0043】
冷却構造物190は、空気、水、ガス、冷却油などの冷却媒体の循環のための引込口191と排出口192を含む。冷却構造物190は、引込口191を通じて連結マウント140に冷却媒体を注入し、排出口192を通じて連結マウント140から冷却媒体を排出させるために、所定のモーターポンプ(図示せず)を含んでよい。
【0044】
また、温度センサー180は、コンピュータなどの制御装置(図示せず)と連結されてよく、制御装置(図示せず)のディスプレイ画面から連結マウント140の内部の温度がモニターできる。
【0045】
なお、制御装置(図示せず)は、温度センサー180が測定する温度値によって、前記ポンプ(図示せず)の作動を制御することができる。例えば、制御装置(図示せず)は、温度センサー180で測定される温度値が臨界値(例えば、80℃)以上である場合に、引込口191と排出口192に連結された前記ポンプ(図示せず)を作動させて連結マウント140を冷却させ、温度センサー180で測定される温度値が臨界値(例えば、80℃)よりも小さい場合に、前記ポンプ(図示せず)の作動を中止させるように制御することもできる。
【0046】
また、図2に示すように、本発明に係るセラミックサセプター100の連結マウント140内には、引込ロッド129や他の連結ロッドを固定するための固定板150をさらに含んでよい。
【0047】
すなわち、引込ロッド129、及び発熱体114に連結されてシャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置された1個以上のロッドが固定板150によってさらに固定されることにより、揺れなどによる短絡の防止などの安全維持が可能である。引込ロッド129、及び発熱体114に連結されてシャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置された1個以上のロッドは、固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通して外に露出される。
【0048】
上述した連結マウント140、隔離板130、固定板150などは、アルミニウム(Al)のような金属材質てあってもよく、上述したようなセラミック材質からなってもよい。すなわち、前記セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が成形、焼結されてシャフト120を構成することができ、そのための各セラミック粉末は選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0049】
また、上述した連結ロッド(121、122など)及び引込ロッド129の内部コアの伝導体はいずれも、上のようなセラミック材質のチューブによって被覆された形態であってよい。すなわち、シャフト120の内部の連結ロッド(121、122など)は、上記のようなセラミック材質のチューブによって被覆されていることが好ましい。また、隔離板130を貫通した後に固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通した露出部分までの連結ロッド、及び隔離板130を貫通してから連結部材149までの連結ロッド121,122は、上記のようなセラミック材質のチューブによって被覆された形態であってよい。さらに、連結部材149から延長されて固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通した露出部分までの引込ロッド129が、上記のようなセラミック材質のチューブによって被覆された形態であってよい。
【0050】
上述したように、本発明に係るセラミックサセプター100によれば、シャフト内の2個以上の高周波電極ロッド121,122を連結マウント140内で連結させるとき、高周波電極ロッド121,122間の熱膨張差があっても、連結部材149において中間媒介部材としての弾性に優れた弾性部材143がその変形を吸収できるようにすることにより、高周波電力が増加しても高周波電極ロッド121,122におけるクラックを防止し、酸化による短絡発生を防止し、また、高周波電極部におけるアーキングや局部的な発熱を防止することにより、一定の電気的特性を維持させ、よって、基板工程上の薄膜異常無しで安定した半導体工程で収率向上に寄与できる。
【0051】
以上、本発明を具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例及び図面によって説明してきたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されただけで、本発明はこれらの実施例に限定されず、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲の他、この特許請求の範囲と均等又は等価の変形があるいかなる技術思想も、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0052】
110 絶縁プレート
112 高周波電極
114 発熱体
120 シャフト
129 引込ロッド
130 隔離板
140 連結マウント
150 固定板
191 引込口
192 排出口
149 連結部材
141 第1結合部材
142 第2結合部材
143 第3結合部材
145 第1締結部
146 第2締結部
147 屈曲プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6