(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/04 20120101AFI20240619BHJP
【FI】
G06Q20/04
(21)【出願番号】P 2023167131
(22)【出願日】2023-09-28
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 高志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 創
(72)【発明者】
【氏名】梶岡 ゆき
(72)【発明者】
【氏名】武 恒宏
(72)【発明者】
【氏名】西分 嗣美
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-033420(JP,A)
【文献】特開2021-125249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0292471(US,A1)
【文献】特開2023-024889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付ける受付部と、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が
、前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、所定の事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のそれぞれに達しているか否かを判定する判定部と、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が
前記交換可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産を
前記交換先資産に交換するための交換指示を出力
し、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記移転可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記交換先資産を
前記事業者に移転するための移転指示を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
複数のユーザそれぞれから、当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡希望と、当該ユーザが保有する前記暗号資産の譲渡と、を受け付ける受付部と、
前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かと、前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産の総額が前記基準値に達しているか否かと、を判定する判定部と、
前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、前記交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力する出力部と、
を有し、
第1時点において、前記受付部は、前記暗号資産の譲渡希望を受け付け、
前記第1時点より後の第2時点において、前記受付部は、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の譲渡を前記複数のユーザそれぞれから受け付け、
前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産の総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記出力部は前記交換指示及び前記移転指示を出力する、
情報処理装置。
【請求項3】
複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付ける受付部と、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する判定部と、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、前記交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達していないと前記判定部が判定したことを条件として、前記複数のユーザとは異なる他ユーザが利用する情報端末に所定の通知を送信する、
情報処理装置。
【請求項4】
前記基準値は、前記交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、前記事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のうちいずれかである、
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が、前記交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、前記事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のそれぞれに達しているか否かを判定し、
前記出力部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記交換可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として前記交換指示を出力した後、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記移転可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として前記移転指示を出力する、
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記事業者から、前記交換先資産の種類の指定を受け付け、
前記出力部は、前記事業者が指定した種類の前記交換先資産に交換するための前記交換指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記受付部は、前記ユーザから、前記暗号資産を譲渡するための前記暗号資産の額の条件である額条件の指定を受け付け、
前記受付部は、前記ユーザが保有する前記暗号資産の額が前記額条件を満たすことを条件として、前記ユーザから前記暗号資産の譲渡を受け付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記受付部は、前記ユーザから、前記ユーザが保有する前記暗号資産のうち譲渡対象とする前記暗号資産の種類の指定を受け付け、
前記受付部は、前記ユーザが指定した種類の前記暗号資産の額が前記額条件を満たすことを条件として、前記ユーザから前記ユーザが指定した種類の前記暗号資産の譲渡を受け付ける、
請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記受付部は、前記ユーザから、前記ユーザが保有する前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる資産に交換した後に余った前記暗号資産の譲渡を受け付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記受付部は、第1時点において前記ユーザから前記ユーザが保有する前記暗号資産の譲渡希望を受け付け、
前記判定部は、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の総額が前記基準値に達しているか否かを判定し、
前記受付部は、前記第1時点より後の第2時点において、前記総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の譲渡を前記ユーザから受け付ける、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記第2時点において前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産に適用された前記交換先資産への交換レート、又は前記第2時点において前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産から交換された後の前記交換先資産の額を含む通知を、前記ユーザが利用する情報端末に送信する、
請求項
2又は10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記基準値に達するまでの前記暗号資産の不足額を含む前記通知を、前記他ユーザが利用する情報端末に送信する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記出力部は、前記他ユーザから前記通知に応じて前記暗号資産の譲渡を受け付けたことを条件として、前記他ユーザに対して所定の特典を付与するための付与指示を出力する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記受付部は、前記ユーザから前記暗号資産の譲渡を受け付けるとともに、移転先とする前記事業者である移転先事業者を示す情報を受け付け、
前記判定部は、前記移転先事業者ごとに、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達しているか否かを判定する、
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項15】
プロセッサが実行する、
複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付けるステップと、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が
、前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、所定の事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のそれぞれに達しているか否かを判定するステップと、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が
前記交換可能額に達していると前記判定するステップにおいて判定したことを条件として、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産を
前記交換先資産に交換するための交換指示を出力
するステップと、
前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記移転可能額に達していると前記判定するステップにおいて判定したことを条件として、前記交換先資産を
前記事業者に移転するための移転指示を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが保有する第1の暗号資産(デジタル通貨等)及び第2の暗号資産を、それぞれ所定の変換レートで第3の暗号資産に交換する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暗号資産には、他の暗号資産に交換するために最低限の数量が定められている場合がある。ユーザは、このような暗号資産を少量だけ保有していても、物品やサービスと引き換えることも他の暗号資産に交換することもできないため、少量の暗号資産が無駄になってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが保有する少量の暗号資産を活用しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付ける受付部と、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する判定部と、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、前記交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記基準値は、前記交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、前記事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のうちいずれかであってもよい。
【0008】
前記判定部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が、前記交換先資産に交換可能な前記暗号資産の最低額である交換可能額と、前記事業者に移転可能な前記交換先資産の最低額に対応する前記暗号資産の額である移転可能額と、のそれぞれに達しているか否かを判定し、前記出力部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記交換可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として前記交換指示を出力した後、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記移転可能額に達していると前記判定部が判定したことを条件として前記移転指示を出力してもよい。
【0009】
前記受付部は、前記事業者から、前記交換先資産の種類の指定を受け付け、前記出力部は、前記事業者が指定した種類の前記交換先資産に交換するための前記交換指示を出力してもよい。
【0010】
前記受付部は、前記ユーザから、前記暗号資産を譲渡するための前記暗号資産の額の条件である額条件の指定を受け付け、前記受付部は、前記ユーザが保有する前記暗号資産の額が前記額条件を満たすことを条件として、前記ユーザから前記暗号資産の譲渡を受け付けてもよい。
【0011】
前記受付部は、前記ユーザから、前記ユーザが保有する前記暗号資産のうち譲渡対象とする前記暗号資産の種類の指定を受け付け、前記受付部は、前記ユーザが指定した種類の前記暗号資産の額が前記額条件を満たすことを条件として、前記ユーザから前記ユーザが指定した種類の前記暗号資産の譲渡を受け付けてもよい。
【0012】
前記受付部は、前記ユーザから、前記ユーザが保有する前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる資産に交換した後に余った前記暗号資産の譲渡を受け付けてもよい。
【0013】
前記受付部は、第1時点において前記ユーザから前記ユーザが保有する前記暗号資産の譲渡希望を受け付け、前記判定部は、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の総額が前記基準値に達しているか否かを判定し、前記受付部は、前記第1時点より後の第2時点において、前記総額が前記基準値に達していると前記判定部が判定したことを条件として、前記受付部が譲渡希望を受け付けた前記暗号資産の譲渡を前記ユーザから受け付けてもよい。
【0014】
前記出力部は、前記第2時点において前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産に適用された前記交換先資産への交換レート、又は前記第2時点において前記受付部が譲渡を受け付けた前記暗号資産から交換された後の前記交換先資産の額を含む通知を、前記ユーザが利用する情報端末に送信してもよい。
【0015】
前記出力部は、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達していないと前記判定部が判定したことを条件として、前記複数のユーザとは異なる他ユーザが利用する情報端末に所定の通知を送信してもよい。
【0016】
前記出力部は、前記基準値に達するまでの前記暗号資産の不足額を含む前記通知を、前記他ユーザが利用する情報端末に送信してもよい。
【0017】
前記出力部は、前記他ユーザから前記通知に応じて前記暗号資産の譲渡を受け付けたことを条件として、前記他ユーザに対して所定の特典を付与するための付与指示を出力してもよい。
【0018】
前記受付部は、前記ユーザから前記暗号資産の譲渡を受け付けるとともに、移転先とする前記事業者である移転先事業者を示す情報を受け付け、前記判定部は、前記移転先事業者ごとに、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達しているか否かを判定してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付けるステップと、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定するステップと、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産の総額が前記基準値に達していると前記判定するステップにおいて判定したことを条件として、前記複数のユーザから譲渡された前記暗号資産を前記暗号資産とは異なる交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、前記交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが保有する少量の暗号資産を活用しやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】ユーザが譲渡条件を指定するための譲渡条件指定画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
【
図4】情報処理装置がユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける処理を説明するための模式図である。
【
図5】情報処理装置がユーザから譲渡された暗号資産に基づいて事業者に資産を提供する処理を説明するための模式図である。
【
図6】実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図7】変形例に係る情報処理装置がユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、ユーザ端末2と、事業者端末3と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
情報処理装置1は、ユーザが保有する暗号資産に関する処理を行うコンピュータである。情報処理装置1は、所定の管理者に関連付けられている。管理者は、例えば、ユーザと事業者との間で資産の移転を仲介する人間又は組織である。
【0024】
暗号資産は、代金の決済等に利用可能な電子的な資産である。暗号資産は、日本円、米国ドル等の法定通貨とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよい。暗号資産は、例えば、デジタル通貨又はステーブルコインである。
【0025】
暗号資産は、例えば、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築されたブロックチェーンによって管理される。暗号資産は、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID:Identifier)と関連付けて記憶される。ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックは暗号資産が移転されたこと(暗号資産の保有者が変更されたこと)を示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理されてもよい。
【0026】
ユーザ端末2は、ユーザが利用する情報端末である。ユーザは、例えば、暗号資産を保有する人間又は組織である。事業者端末3は、事業者が利用する情報端末である。事業者は、例えば、ユーザから譲渡された暗号資産に応じた交換先資産を受け取る人間又は組織である。交換先資産は、所定の種類の暗号資産又は法定通貨である。
【0027】
ユーザ端末2及び事業者端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータである。ユーザ端末2及び事業者端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネル又はキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末2及び事業者端末3は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0028】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報処理装置1は、複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付ける。
【0029】
情報処理装置1は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する。基準値は、例えば、交換先資産に交換可能な暗号資産の最低額である交換可能額と、事業者に移転可能な交換先資産の最低額に対応する暗号資産の額である移転可能額と、のうちいずれかである。
【0030】
情報処理装置1は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していると判定したことを条件として、複数のユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力する。
【0031】
このように、情報処理システムSは、複数のユーザから暗号資産の譲渡を受け付け、暗号資産の総額が基準値に達していることを条件として、暗号資産を交換先資産に交換した上で所定の事業者に移転する。これにより、情報処理システムSは、各ユーザが保有する暗号資産が交換可能額又は移転可能額に満たない場合であっても、複数のユーザから集めた暗号資産を所定の事業者への寄付等に活用することができる。
【0032】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0033】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0034】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2及び事業者端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2及び事業者端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2及び事業者端末3に送信する。
【0035】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0036】
制御部13は、受付部131と、判定部132と、出力部133と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、判定部132及び出力部133として機能する。
【0037】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、ユーザが暗号資産を譲渡するための譲渡条件について説明する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザから、暗号資産を譲渡するための譲渡条件の指定を受け付ける。受付部131は、例えば、ユーザが譲渡条件を指定するための譲渡条件指定画面を表示するための表示情報を、ユーザが利用するユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、譲渡条件指定画面を表示部上に表示する。
【0038】
図3は、ユーザが譲渡条件を指定するための譲渡条件指定画面を表示しているユーザ端末2の模式図である。譲渡条件指定画面は、例えば、譲渡対象とする暗号資産の額の条件である額条件を指定するための領域と、譲渡対象とする暗号資産の種類を指定するための領域と、交換先資産の移転先とする事業者である移転先事業者を指定するための領域と、を含む。
【0039】
額条件を指定するための領域は、例えば、暗号資産の額の範囲(
図3の例では額の上限値)を入力するための欄を含む。
図3の例では、額条件を指定するための領域は、暗号資産の額から換算された法定通貨の金額を受け付けている。この場合に、受付部131は、入力された法定通貨の金額を、所定の変換レートに従って暗号資産の額に変換して受け付ける。
【0040】
暗号資産の種類を指定するための領域は、例えば、ユーザが保有する一又は複数の暗号資産の種類を表す選択肢を含む。受付部131は、ユーザが保有する1つの種類の暗号資産の額が交換可能額未満であることを条件として、当該種類の指定を受け付けてもよい。また、受付部131は、ユーザが保有する1つの種類の暗号資産の額が移転可能額未満であることを条件として、当該種類の指定を受け付けてもよい。
【0041】
移転先事業者を指定するための領域は、例えば、交換先資産の移転を受けることが可能な一又は複数の事業者の種類を表す選択肢を含む。
図3の例では暗号資産の額、暗号資産の種類及び移転先事業者それぞれが独立して指定されているが、暗号資産の種類ごとに暗号資産の額及び移転先事業者が指定されてもよい。
【0042】
ユーザ端末2は、ユーザにより所定の操作(例えば、送信ボタンの選択)が行われたことに応じて、譲渡条件指定画面において指定された額条件、暗号資産の種類及び移転先事業者を含む譲渡条件を示す情報を、情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から受信した情報が示す譲渡条件を受け付け、受け付けた譲渡条件をユーザのユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。また、受付部131は、ユーザから譲渡条件の指定を受け付けることなく、記憶部12に予め記憶された額条件、暗号資産の種類及び移転先事業者を用いて以降の処理を行ってもよい。
【0043】
次に、情報処理装置1がユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける処理について説明する。
図4は、情報処理装置1がユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける処理を説明するための模式図である。
【0044】
判定部132は、受付部131が受け付けた譲渡条件が満たされているか否かを判定する(a1)。判定部132は、例えば、ユーザが保有する暗号資産のうち、譲渡条件が示す種類の暗号資産の額が、譲渡条件が示す額条件を満たす場合(額条件が示す上限値以下である場合等)に、譲渡条件が満たされていると判定し、そうでない場合に、譲渡条件が満たされていないと判定する。
【0045】
受付部131は、譲渡条件が満たされていると判定部132が判定したことを条件として、ユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける(a2)。受付部131は、例えば、譲渡条件が満たされていると判定部132が判定した場合に、暗号資産をユーザから管理者に移転させる移転指示をブロックチェーンに送信し、譲渡条件が満たされていないと判定部132が判定した場合に、移転指示をブロックチェーンに送信しない。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、暗号資産の保有者をユーザから管理者に変更する情報(例えば、トランザクション)を記憶する。
【0046】
ユーザが保有する暗号資産の額が交換可能額より大きい場合に、受付部131は、ユーザから、ユーザが保有する暗号資産を暗号資産とは異なる資産に交換した後に余った暗号資産の譲渡を受け付けてもよい。この場合に、受付部131は、ユーザが保有する暗号資産のうち、交換可能額分の暗号資産を所定の他の資産に交換させる交換指示をブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方に送信する。他の資産は、ユーザが保有する暗号資産とは異なる所定の種類の暗号資産、又は所定の種類の法定通貨である。
【0047】
ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方は、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、交換可能額分の暗号資産を他の資産に交換する。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、交換元の暗号資産の保有者をユーザから他の資産の保有者に変更する情報を記憶する。他の資産の保有者は、例えば、暗号資産と他の資産との交換を行う事業者である。
【0048】
他の資産が所定の種類の暗号資産である場合に、ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、交換元の暗号資産に相当する額の所定の種類の暗号資産の保有者を他の資産の保有者からユーザに変更する情報を記憶する。他の資産が法定通貨である場合に、他の装置(銀行のサーバ等)は、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、交換元の暗号資産に相当する額の法定通貨を他の資産の保有者の口座からユーザの口座に送金する。交換元の暗号資産は、交換時点の交換レートで他の資産に交換される。
【0049】
そして受付部131は、ユーザが保有する暗号資産のうち、交換後に余った額の暗号資産をユーザから管理者に移転させる移転指示をブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、余った額の暗号資産の保有者をユーザから管理者に変更する情報を記憶する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが保有する他の資産に交換できない額の暗号資産のみを移転先事業者に提供できるようにし、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0050】
判定部132は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する(a3)。判定部132は、例えば、受付部131がユーザから暗号資産の譲渡を新たに受け付けたことに応じて、又は所定の時間間隔(1日ごと、1週間ごと、1か月ごと等)で、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する。
【0051】
暗号資産の総額の基準値は、交換先資産に交換可能な暗号資産の最低額である交換可能額と、事業者に移転可能な交換先資産の最低額に対応する暗号資産の額である移転可能額と、のうちいずれかである。基準値は、予め記憶部12に記憶されている。交換先資産の最低額は、例えば、判定部132による判定時点の交換レートで暗号資産の額である移転可能額に換算される。
【0052】
交換先資産は、ユーザから譲渡された暗号資産とは異なる所定の種類の暗号資産、又は日本円、アメリカドル等の所定の種類の法定通貨である。受付部131は、例えば、事業者端末3において事業者から交換先とする交換先資産の種類の指定を予め受け付け、受け付けた交換先資産の種類を記憶部12に記憶させる。
【0053】
判定部132は、受付部131が複数のユーザから譲渡を受け付けた暗号資産の額を合計することによって総額を算出し、算出した総額が記憶部12に予め記憶された基準値に達しているか否か(基準値以上であるか否か)を判定する。
【0054】
判定部132は、交換先資産の移転先である事業者ごとに、複数のユーザから譲渡された暗号資産を集計してもよい。この場合に、判定部132は、複数のユーザそれぞれが指定した譲渡条件が示す移転先事業者ごとに当該移転先事業者を指定した複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額を算出し、当該移転先事業者の総額が基準値に達しているか否かを判定する。情報処理装置1は、移転先事業者ごとに以降の処理を実行する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが指定した事業者に対して、当該ユーザから譲渡された暗号資産に応じた資産を提供することができる。
【0055】
複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していないと判定部132が判定したことを条件として、出力部133は、当該複数のユーザとは異なる他ユーザが利用するユーザ端末2に所定の通知を送信する(a4)。通知は、例えば、基準値に達するまでの暗号資産の不足額を含む情報である。
【0056】
他ユーザのユーザ端末2は、情報処理装置1が送信した通知を表示部上に表示する。出力部133が他ユーザのユーザ端末2に通知を送信した後に、受付部131は、
図4の(a2)と同様に、他ユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける(a5)。これにより、情報処理システムSは、既に複数のユーザから譲渡された暗号資産が交換可能額又は移転可能額に達していない場合であっても、他ユーザから追加の暗号資産の譲渡を受け付けることで、移転先事業者にユーザから譲渡された暗号資産に応じた資産を提供することができる。
【0057】
出力部133は、他ユーザから通知に応じて暗号資産の譲渡を受け付けたことを条件として、当該他ユーザに対して所定の特典を付与するための付与指示を出力してもよい。特典は、例えば、他ユーザが譲渡した暗号資産とは異なる種類の暗号資産である。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が出力した付与指示に従って、特典である暗号資産の保有者を管理者から他ユーザに変更する情報を記憶する。これにより、情報処理システムSは、他ユーザが暗号資産の譲渡に応じて利益得られるようにすることで、他ユーザから追加の暗号資産の譲渡を促すことができる。
【0058】
次に、情報処理装置1がユーザから譲渡された暗号資産に基づいて事業者に資産を提供する処理について説明する。
図5は、情報処理装置1がユーザから譲渡された暗号資産に基づいて事業者に資産を提供する処理を説明するための模式図である。
【0059】
複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していると判定部132が判定したことを条件として、出力部133は、複数のユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換するための交換指示を出力する(b1)。ここで出力部133は、暗号資産に関する処理を行うブロックチェーンと、法定通貨に関する処理を行う他の装置と、の少なくとも一方に交換指示を送信する。交換指示は、例えば、複数のユーザから譲渡された暗号資産の額と、複数のユーザから譲渡された暗号資産の種類と、事業者が交換先として予め指定した交換先資産の種類と、を示す情報である。
【0060】
ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方は、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、複数のユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換する(b2)。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、複数のユーザから譲渡された暗号資産の保有者を管理者から交換先資産の保有者に変更する情報を記憶する。交換先資産の保有者は、例えば、暗号資産と交換先資産との交換を行う事業者である。
【0061】
交換先資産が所定の種類の暗号資産である場合に、ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、複数のユーザから譲渡された暗号資産に相当する額の交換先資産である暗号資産の保有者を交換先資産の保有者から管理者に変更する情報を記憶する。交換先資産が法定通貨である場合に、他の装置(銀行のサーバ等)は、例えば、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、複数のユーザから譲渡された暗号資産に相当する額の交換先資産である法定通貨を交換先資産の保有者の口座から管理者の口座に送金する。交換元の暗号資産は、交換時点の交換レートで交換先資産に交換される。
【0062】
複数のユーザから譲渡された暗号資産が交換先資産に交換された後に、出力部133は、交換先資産を管理者から移転先事業者に移転するための移転指示を出力する(b3)。ここで出力部133は、ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方に移転指示を送信する。
【0063】
ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方は、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、交換先資産を管理者から移転先事業者に移転する(b4)。交換先資産が所定の種類の暗号資産である場合に、ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、交換先資産である暗号資産を管理者から移転先事業者に変更する情報を記憶する。交換先資産が法定通貨である場合に、他の装置(銀行のサーバ等)は、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、交換先資産である法定通貨を管理者の口座から移転先事業者の口座に送金する。
【0064】
これにより、情報処理システムSは、各ユーザが保有する暗号資産が交換可能額又は移転可能額に満たない場合であっても、複数のユーザから集めた暗号資産に応じた資産を移転先事業者に提供することができる。
【0065】
出力部133は、交換先資産が移転先事業者に移転された後に、当該交換先資産の交換元である暗号資産を譲渡した複数のユーザそれぞれのユーザ端末2に所定の通知を送信してもよい。通知は、例えば、暗号資産に適用された交換先資産への交換レート又は暗号資産から交換された後の交換先資産の額を含む。これにより、情報処理システムSは、ユーザから譲渡された資産に応じて移転先事業者に資産が提供されたことをユーザに知らせることができる。
【0066】
[情報処理方法のフロー]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。ユーザ端末2は、ユーザにより所定の操作が行われたことに応じて、ユーザが指定した額条件、暗号資産の種類及び移転先事業者を含む譲渡条件を示す情報を、情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から受信した情報が示す譲渡条件を受け付け、受け付けた譲渡条件をユーザのユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる(S11)。
【0067】
判定部132は、受付部131が受け付けた譲渡条件が満たされているか否かを判定する(S12)。判定部132は、例えば、ユーザが保有する暗号資産のうち、譲渡条件が示す種類の暗号資産の額が、譲渡条件が示す額条件を満たす場合(額条件が示す上限値以下である場合等)に、譲渡条件が満たされていると判定し、そうでない場合に、譲渡条件が満たされていないと判定する。
【0068】
受付部131は、譲渡条件が満たされていないと判定部132が判定した場合に(S13のNO)、ユーザから暗号資産の譲渡を受け付けない。受付部131は、譲渡条件が満たされていると判定部132が判定した場合に(S13のYES)、ユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける(S14)。受付部131は、例えば、暗号資産をユーザから管理者に移転させる移転指示をブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、暗号資産の保有者をユーザから管理者に変更する情報を記憶する。
【0069】
本フローチャートでは情報処理装置1はステップS11~S14に引き続いてステップS15~S19を実行するが、情報処理装置1はステップS11~S14とステップS15~S19とを独立したタイミングで実行してもよい。
【0070】
判定部132は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する(S15)。暗号資産の総額の基準値は、交換先資産に交換可能な暗号資産の最低額である交換可能額と、事業者に移転可能な交換先資産の最低額に対応する暗号資産の額である移転可能額と、のうちいずれかである。
【0071】
複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していないと判定部132が判定した場合に(S16のNO)。出力部133は、当該複数のユーザとは異なる他ユーザが利用するユーザ端末2に所定の通知を送信する(S17)。通知は、例えば、基準値に達するまでの暗号資産の不足額を含む情報である。他ユーザのユーザ端末2は、情報処理装置1が送信した通知を表示部上に表示する。出力部133が他ユーザのユーザ端末2に通知を送信した後に、受付部131は、ステップS14と同様に、他ユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける。
【0072】
複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していると判定部132が判定した場合に(S16のYES)、出力部133は、複数のユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換するための交換指示を、ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方に送信する(S18)。ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方は、情報処理装置1が送信した交換指示に従って、複数のユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換する。これにより、情報処理装置1の管理者は、一時的に交換先資産の保有者となる。
【0073】
複数のユーザから譲渡された暗号資産が交換先資産に交換された後に、出力部133は、交換先資産を管理者から移転先事業者に移転するための移転指示を、ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方に送信する(S19)。ブロックチェーンと他の装置との少なくとも一方は、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、交換先資産を管理者から移転先事業者に移転する。
【0074】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、複数のユーザから暗号資産の譲渡を受け付け、暗号資産の総額が基準値に達していることを条件として、暗号資産を交換先資産に交換した上で移転先事業者に移転する。これにより、情報処理システムSは、各ユーザが保有する暗号資産が交換可能額又は移転可能額に満たない場合であっても、複数のユーザから集めた暗号資産を移転事業者への寄付等に活用することができる。
【0075】
<第1変形例>
上述の実施形態では、情報処理装置1は複数のユーザから譲渡された暗号資産の基準値として交換可能額と移転可能額とのどちらか一方のみを判定に用いているが、本変形例では、情報処理装置1は交換可能額と移転可能額との両方を判定に用いる。以下、上述の実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0076】
判定部132は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が、交換可能額と移転可能額とのそれぞれに達しているか否かを判定する。出力部133は、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が交換可能額に達していると判定部132が判定したことを条件として、交換指示を出力する。出力部133は、交換指示を出力した後に、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が移転可能額に達していると判定部132が判定したことを条件として、移転指示を出力する。
【0077】
これにより、本変形例に係る情報処理システムSは、複数のユーザから譲渡された暗号資産が交換可能額及び移転可能額の両方の条件を満たしたことを条件として、複数のユーザから譲渡された暗号資産に応じた資産を移転先事業者に提供できる。
【0078】
<第2変形例>
上述の実施形態では、情報処理装置1はユーザが譲渡を希望した時点(譲渡条件を指定した時点)ですぐにユーザから管理者に暗号資産を譲渡させるが、本変形例では、情報処理装置1は複数のユーザが譲渡を希望した暗号資産の総額が基準値に達した時点でユーザから管理者に暗号資産を譲渡させる。以下、上述の実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0079】
図7は、本変形例に係る情報処理装置1がユーザから暗号資産の譲渡を受け付ける処理を説明するための模式図である。
【0080】
受付部131は、第1時点においてユーザからユーザが保有する暗号資産の譲渡希望を受け付ける(c1)。受付部131は、例えば、ユーザ端末2において譲渡条件が指定されたことを、暗号資産の譲渡希望として受け付ける。
【0081】
判定部132は、受付部131が受け付けた譲渡条件が満たされているか否かを判定する(c2)。判定部132は、受付部131が譲渡希望を受け付けた暗号資産の総額が基準値に達しているか否かを判定する(c3)。判定部132は、例えば、受付部131が複数のユーザから譲渡希望を受け付けた暗号資産のうち、譲渡条件が満たされていると判定した暗号資産の額を合計することによって総額を算出し、算出した総額が記憶部12に予め記憶された基準値に達しているか否か(基準値以上であるか否か)を判定する。
【0082】
受付部131は、第1時点より後の第2時点において、譲渡希望を受け付けた暗号資産の総額が基準値に達していると判定部132が判定したことを条件として、譲渡希望を受け付けた暗号資産の譲渡をユーザから受け付ける(c4)。受付部131は、例えば、総額が基準値に達していると判定部132が判定した場合に、暗号資産をユーザから管理者に移転させる移転指示をブロックチェーンに送信し、総額が基準値に達していないと判定部132が判定した場合に、移転指示をブロックチェーンに送信しない。ブロックチェーンは、例えば、情報処理装置1が送信した移転指示に従って、暗号資産の保有者をユーザから管理者に変更する情報(例えば、トランザクション)を記憶する。
【0083】
その後、情報処理装置1は、上述の実施形態と同様に、複数のユーザから譲渡された暗号資産に基づいて交換先資産を移転先事業者に移転する。これにより、本変形例に係る情報処理システムSは、複数のユーザが譲渡を希望している暗号資産の総額が基準値に達したタイミングで、当該複数のユーザから当該暗号資産の譲渡を受け付け、当該暗号資産に応じた資産を移転先事業者に提供できる。
【0084】
出力部133は、交換先資産が移転先事業者に移転された後に、当該交換先資産の交換元である暗号資産を譲渡した複数のユーザそれぞれのユーザ端末2に所定の通知を送信してもよい(c5)。通知は、例えば、第2時点において受付部131が譲渡を受け付けた暗号資産に適用された交換先資産への交換レート、又は第2時点において受付部131が譲渡を受け付けた暗号資産から交換された後の交換先資産の額を含む。
【0085】
ユーザが譲渡を希望したタイミングとユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換するタイミングとがずれることがあり得る。ユーザは、例えば寄付額に応じた税金還付等のために、ユーザから譲渡された暗号資産を交換先資産に交換するタイミングにおける交換レート又は交換先資産の額を知りたい場合がある。本変形例に係る情報処理システムSは、ユーザが譲渡を希望したタイミングではなく、実際にユーザから譲渡された暗号資産を交換したタイミングにおける交換レート又は交換先資産の額を当該ユーザに通知することができる。
【0086】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0088】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 判定部
133 出力部
2 ユーザ端末
3 事業者端末
【要約】
【課題】ユーザが保有する少量の暗号資産を活用しやすくする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る情報処理装置1は、複数のユーザそれぞれから当該ユーザが保有する暗号資産の譲渡を受け付ける受付部131と、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が所定の基準値に達しているか否かを判定する判定部132と、複数のユーザから譲渡された暗号資産の総額が基準値に達していると判定部が判定したことを条件として、複数のユーザから譲渡された暗号資産を暗号資産とは異なる交換先資産に交換するための交換指示を出力するとともに、交換先資産を所定の事業者に移転するための移転指示を出力する出力部133と、を有する。
【選択図】
図2