(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 27/01 20060101AFI20240619BHJP
F16D 27/09 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F16D27/01
F16D27/09
(21)【出願番号】P 2023518208
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 CN2020141460
(87)【国際公開番号】W WO2022057158
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】202010989272.4
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユ ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チャンキ
(72)【発明者】
【氏名】リ ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ヤン
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-002588(JP,A)
【文献】特開平09-229095(JP,A)
【文献】特表2019-515223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00-13/76,
21/00-23/14
25/06-25/12,
27/09,27/10,
27/14,
48/00-48/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁クラッチであって、
前記電磁クラッチが固定部品、従動部品及び弾性部品を含み、前記固定部品が磁ヨークを含み、前記磁ヨークには、いくつかの鉄心が設けられ、各前記鉄心には、コイルが設けられており、前記従動部品がアーマチュアディスクを含み、前記アーマチュアディスクには、いくつかの磁性鋼が設けられており、
前記アーマチュアディスクが前記磁ヨークと対応して設けられ、前記鉄心が前記磁性鋼と対応して設けられており、
前記弾性部品が、前記アーマチュアディスクを前記磁ヨークとの分離位置にあるように保持するために用いられ、
前記コイルが順方向通電されると、前記鉄心が前記磁性鋼を吸着し、前記アーマチュアディスクが前記弾性部品の弾性力に抗して、前記磁ヨークとの吸着位置に移動することで、前記固定部品と前記従動部品との伝動接続が実現され、
前記コイルが逆方向通電されると、前記鉄心には、前記磁性鋼の吸引力を低減させる電磁力が発生し、前記弾性部品の弾性力が前記磁性鋼の吸引力に抗して、前記アーマチュアディスクを前記磁ヨークとの分離位置に押し退
け、
前記従動部品が第一軸に摺動可能に外装され、前記固定部品が第二軸に固定されており、
前記第一軸の頂端に軸押さえ板が固定されており、前記弾性部品が前記従動部品と前記軸押さえ板との間に設けられている
ことを特徴とする電磁クラッチ。
【請求項2】
前記鉄心と前記磁性鋼とが、個別又は組み合わせの形で存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項3】
前記磁ヨーク内には、複数の前記鉄心が均等に分布しており、前記鉄心は、その数が前記磁性鋼の数と同じであり、且つ両者の位置も1対1で対応しており、対応する各前記鉄心と前記磁性鋼とが同一軸線上にある、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項4】
前記磁性鋼が、温度係数の低い磁性鋼であり、減磁の回避、及び電磁クラッチの耐衝撃性の向上のために用いられることで、電磁クラッチが、異なる作動状況及び温度で正常に作動可能となる、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項5】
前記磁性鋼の頂端面が、矩形、正方形、三角形又は円形であり、
前記アーマチュアディスクに磁性鋼溝が設けられており、前記磁性鋼がポッティング又は射出成形の方式によって前記磁性鋼溝内に固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項6】
各前記コイルの間が、並列、直列、又は、グループ化された直列および並列の形で接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項7】
前記磁ヨークに衝撃吸収パッドが設けられており、前記衝撃吸収パッドは、前記アーマチュアディスクと前記磁ヨークとの間に隙間が保持されるように位置決めするためのものであり、前記衝撃吸収パッドは、衝撃吸収及び騒音低減のためにも用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項8】
前記従動部品が可動ギアスリーブをさらに含み、前記固定部品には、固定ギアスリーブが含まれ、前記可動ギアスリーブと前記固定ギアスリーブとが噛合伝動可能であり、
前記磁ヨークが前記固定ギアスリーブの外側に固定的に外装され、前記アーマチュアディスクが前記可動ギアスリーブの外側に回動可能に外装されており、前記可動ギアスリーブが前記アーマチュアディスクに伴って軸方向に移動可能である、ことを特徴とする請求項
1に記載の電磁クラッチ。
【請求項9】
前記磁ヨークと前記固定ギアスリーブとが、相対回動可能になるように隙間ばめされることで、吸着位置の際、前記固定ギアスリーブと前記可動ギアスリーブとが一緒に回動するが前記磁ヨークと前記アーマチュアディスクとが固定されるままである、ことを特徴とする請求項
8に記載の電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチの技術分野に属し、特に、電磁クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業の継続的な発展に伴い、新エネルギー自動車への電磁クラッチの適用がますます多くなり、電磁クラッチのエネルギー消費、発熱状況及び寿命を併せて配慮するというユーザのニーズがますます差し迫っているが、従来の電磁クラッチを採用する場合には、多くの欠点と問題がある。現在、従来の電磁クラッチは、エネルギーを消費し、発熱し、電磁力が電流変動の影響を受けるなどの欠点を有し、その結果、電磁クラッチの発熱量が多く、クラッチのエネルギー消費が大きく、電磁クラッチの性能と使用寿命には、ある程度の影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に対して、本発明は、上記問題を解消するために、又は、上記問題を少なくとも部分的に解決するために、電磁クラッチを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
【0005】
本発明には、電磁クラッチが開示されており、前記電磁クラッチが固定部品、従動部品及び弾性部品を含み、前記固定部品が磁ヨークを含み、前記磁ヨークには、いくつかの鉄心が設けられ、各前記鉄心には、コイルが設けられており、前記従動部品がアーマチュアディスクを含み、前記アーマチュアディスクには、いくつかの磁性鋼が設けられており、
前記アーマチュアディスクが前記磁ヨークと対応して設けられ、前記鉄心が前記磁性鋼と対応して設けられており、
前記弾性部品が、前記アーマチュアディスクを前記磁ヨークとの分離位置にあるように保持するために用いられ、
前記コイルが順方向通電されると、前記鉄心が前記磁性鋼を吸着し、前記アーマチュアディスクが前記弾性部品の弾性力に抗して、前記磁ヨークとの吸着位置に移動することで、前記固定部品と前記従動部品との伝動接続が実現され、
前記コイルが逆方向通電されると、前記鉄心には、前記磁性鋼の吸引力を低減させる電磁力が発生し、前記弾性部品の弾性力が前記磁性鋼の吸引力に抗して、前記アーマチュアディスクを前記磁ヨークとの分離位置に押し退ける。
【0006】
さらに、前記鉄心と前記磁性鋼とが、個別又は組み合わせの形で存在する。
【0007】
さらに、前記磁ヨーク内には、複数の前記鉄心が均等に分布しており、前記鉄心は、その数が前記磁性鋼の数と同じであり、且つ両者の位置も1対1で対応しており、対応する各前記鉄心と前記磁性鋼とが同一軸線上にある。
【0008】
さらに、前記磁性鋼が、温度係数の低い磁性鋼であり、減磁の回避、及び電磁クラッチの耐衝撃性の向上のために用いられることで、電磁クラッチが、異なる作動状況及び温度で正常に作動可能となる。
【0009】
さらに、前記磁性鋼の頂端面が、矩形、正方形、三角形又は円形であり、
前記アーマチュアディスクに磁性鋼溝が設けられており、前記磁性鋼がポッティング又は射出成形の方式によって前記磁性鋼溝内に固定されている。
【0010】
さらに、各前記コイルの間が、並列、直列、又は、グループ化された直列および並列の形で接続されている。
【0011】
さらに、前記磁ヨークに衝撃吸収パッドが設けられており、前記衝撃吸収パッドは、前記アーマチュアディスクと前記磁ヨークとの間に隙間が保持されるように位置決めするためのものであり、前記衝撃吸収パッドは、衝撃吸収及び騒音低減のためにも用いられる。
【0012】
さらに、前記従動部品が第一軸に摺動可能に外装され、前記固定部品が第二軸に固定されており、
前記第一軸の頂端に軸押さえ板が固定されており、前記弾性部品が前記従動部品と前記軸押さえ板との間に設けられている。
【0013】
さらに、前記従動部品が可動ギアスリーブをさらに含み、前記固定部品には、固定ギアスリーブが含まれ、前記可動ギアスリーブと前記固定ギアスリーブとが噛合伝動可能であり、
前記磁ヨークが前記固定ギアスリーブの外側に固定的に外装され、前記アーマチュアディスクが前記可動ギアスリーブの外側に回動可能に外装されており、前記可動ギアスリーブが前記アーマチュアディスクに伴って軸方向に移動可能である。
【0014】
さらに、前記磁ヨークと前記固定ギアスリーブとが、相対回動可能になるように隙間ばめされることで、吸着位置の際、前記固定ギアスリーブと前記可動ギアスリーブとが一緒に回動するが前記磁ヨークと前記アーマチュアディスクとが固定されるままである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点及び有益な効果は、下記の通りである。
本発明における電磁クラッチは、分離状態と吸着状態では通電される必要がなく、エネルギー消費が小さく、発熱が少なく、使用寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例における電磁クラッチの軸方向断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例における従動部品の構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例における固定部品の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、本発明の具体的な実施例及び対応する図面と併せて、本発明の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、記載された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の各実施例による技術案を詳しく説明する。
【0019】
本発明の一実施例には、電磁クラッチが開示されており、
図1及び
図3に示すように、前記電磁クラッチは、固定部品、従動部品及び弾性部品1を含み、固定部品は、電磁クラッチの軸方向で位置が固定されるように保持され、前記従動部品は、電磁クラッチがそれぞれ吸着位置又は分離位置にされるように、少なくとも電磁クラッチの軸方向に移動可能である。
【0020】
前記固定部品が、電磁クラッチの固定部品のハウジングを形成可能な磁ヨーク2を含み、前記磁ヨーク2には、いくつかの鉄心3が設けられ、各前記鉄心3には、コイル4が設けられており、前記コイル4が通電されると、磁力を発生可能となり、前記従動部品がアーマチュアディスク5を含み、前記アーマチュアディスク5には、いくつかの磁性鋼6が設けられており、そのうち、前記鉄心3及び前記磁性鋼6の数は、必要に応じて設定可能である。
【0021】
本実施例において、いくつかの鉄心3が独立して設けられていることで、磁気誘導線を磁性鋼6に対して集中及び密集させ、電気エネルギー変換率をより高くすることができ、同極同士が反発し合い、異極同士が引き寄せ合うという原理によれば、前記コイル4は、順方向通電される時と、逆方向通電される時とで、電磁力に大きな差が生じ、その結果、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2との分離が実現される。
【0022】
前記アーマチュアディスク5が前記磁ヨーク2と対応して設けられ、両者の軸心が一直線上にあり、前記鉄心3が前記磁性鋼6と対応して設けられ、前記鉄心3と前記磁性鋼6との相互吸着が容易になる。
【0023】
前記弾性部品1が従動部品内に設けられており、通常状態では弾性部品1が圧縮または伸張され、弾性部品1には、前記アーマチュアディスクを或る位置にする付勢力が付与されていることで、前記アーマチュアディスク5が前記磁ヨーク2との分離位置にあるように保持される。
【0024】
前記コイル4が順方向通電されると、前記鉄心3が前記磁性鋼6を吸着し、前記アーマチュアディスク5が前記弾性部品1の弾性力に抗して、前記磁ヨーク2との吸着位置に移動することで、前記固定部品と前記従動部品との伝動接続が実現される。
【0025】
前記コイル4が逆方向通電されると、前記鉄心3には、前記磁性鋼6の吸引力を低減させる電磁力が発生し、前記弾性部品1の弾性力が前記磁性鋼6の吸引力に抗して、前記アーマチュアディスク5を前記磁ヨーク2との分離位置に押し退ける。
【0026】
本発明における電磁クラッチの作動原理は、下記の通りになる。分離位置の際、前記鉄心3に電磁力がなく、前記弾性部品1の圧縮力又は伸張力が前記磁性鋼6の吸着力よりも大きいため、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2との間に正常な隙間が保持され、クラッチが吸着指令を受け取ると、前記コイル4に順方向通電され、前記鉄心3に発生した電磁力と、前記磁性鋼6の磁力との共同作用による合力が前記弾性部品1の圧縮力又は伸張力よりも大きくなり、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2とが吸着されることで、前記固定部品と前記従動部品との伝動接続が実現される。吸着後、前記コイル4への通電が遮断されてもよく、この場合、前記コイル4に電磁力が発生しないが、前記磁性鋼6に発生した磁力が依然として前記弾性部品1の圧縮力又は伸張力よりも大きいため、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2とが依然として吸着状態に保持され、伝動が実現され、この状態では電気エネルギーが消費されない。一方、クラッチが分離指令を受け取ると、吸着状態では、前記コイル4に逆方向の電流を流して電磁力を発生させることにより、前記磁性鋼6に発生する吸引力が小さくされ、吸引力が前記弾性部品1の圧縮力又は伸張力よりも小さくなる場合、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2とが分離される。本発明における電磁クラッチは、分離状態と吸着状態では通電される必要がなく、エネルギー消費が小さく、発熱が少なく、使用寿命が長いという利点を有する。
【0027】
一実施例において、前記鉄心3と前記磁性鋼6とは、個別又は組み合わせの形で存在する。前記鉄心3及び前記磁性鋼6が、個別の形で均一又は対称的に分布しているが、もちろん、前記鉄心3及び前記磁性鋼6が、組み合わせの形で均一又は対称的に分布していてもよく、例えば、2個を1組として分布したり、3個を1組として三角形を形成したりするなどである。
【0028】
一実施例において、
図3に示すように、前記磁ヨーク2内には、複数の前記鉄心3が均等に分布しており、前記鉄心3は、その数が前記磁性鋼6の数と同じであり、且つ両者の位置も1対1で対応しており、対応する各前記鉄心3と前記磁性鋼6とが同一軸線上にあり、前記鉄心3と前記磁性鋼6との吸着が容易になる。
【0029】
1つの好ましい実施例において、前記磁性鋼6は、例えばサマリウムコバルト磁性鋼のような温度係数の低い磁性鋼であり、温度係数の低い磁性鋼を用いることにより、前記磁性鋼6の高温時に発生する減磁現象を防止できるため、電磁クラッチの高温時に発生し得るギヤ抜け現象、及び低温時に発生し得るインギヤ不能現象が回避され、温度係数の低い磁性鋼を用いることにより、電磁クラッチの耐衝撃性を向上させることもでき、温度係数の低い磁性鋼によれば、異なる温度での磁気性能の変化が極めて小さいことを保証できるため、電磁クラッチが、異なる作動状況及び温度で正常に作動可能である。
【0030】
一実施例において、前記磁性鋼6の頂端面が矩形、正方形、三角形又は円形であるが、もちろん、他の形状であってもよく、前記磁性鋼6は、全体としてT字状に形成され、その頂端面の面積が大きく、当該頂端面が前記磁ヨーク2の表面と面一となるようにされてもよい。
【0031】
図1に示すように、前記アーマチュアディスク5の外周に磁性鋼溝が設けられており、前記磁性鋼6がポッティング又は射出成形の方式によって前記磁性鋼溝内に固定されているが、もちろん他の方式で固定されていてもよい。好ましくは、前記磁性鋼6は、磁性鋼溝内の一端にフランジが設けられており、当該フランジを設けることで、前記磁性鋼溝内への前記磁性鋼6の強固な固定が容易になる。
【0032】
一実施例において、各前記コイル4の間は、並列、直列、又は、グループ化された直列および並列の形で接続されている。各前記コイル4は、直列に接続されてもよいし、並列に接続されてもよいし、又は、例えば複数の前記コイル4を選択して1組に直列に接続してから、直列に接続されたいくつかの組のコイル4を並列に接続するように、直列および並列に接続されてもよい。
【0033】
一実施例において、
図3に示すように、前記磁ヨーク2の外周に衝撃吸収パッド7が設けられており、前記衝撃吸収パッド7は、複数個であってもよく、均一及び/又は対称的に設けられてもよく、前記衝撃吸収パッド7は、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2との間に隙間が保持されるように位置決めするためのものであり、前記衝撃吸収パッド7は、衝撃吸収及び騒音低減のためにも用いられる。前記衝撃吸収パッド7は、前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2との直接衝突を回避できる一方で、前記固定部品と前記従動部品との伝動接続時に前記アーマチュアディスク5と前記磁ヨーク2との間に一定の隙間が備えられることを保証し、伝動時に発生する振動を低減することができる。
【0034】
一実施例において、前記従動部品が第一軸に摺動可能に外装されており、前記従動部品が前記第一軸の軸方向に沿って移動可能である。好ましくは、前記従動部品と前記第一軸とがスプラインで接続され、周方向に固定されているが軸方向に相対摺動可能であり、前記固定部品が第二軸に固定され、前記固定部品と前記第二軸とが軸方向及び周方向のいずれにも相対的に固定されており、即ち、両者間に相対的な摺動も相対的な回動もない。
【0035】
図1に示すように、前記第一軸の頂端に軸押さえ板8が固定されており、前記軸押さえ板8の一側には、軸心方向に沿って突起部が設けられ、前記突起部の外周面にねじ山が設けられ、前記第一軸の端部の軸心位置にねじ溝が設けられており、前記ねじ山と前記ねじ溝とによって、前記軸押さえ板8と前記第一軸との固定接続が実現され、前記突起部の中心位置には、軸方向のネジ穴がさらに設けられており、前記ネジ穴とネジ又はボルトとによって、前記軸押さえ板8と前記第一軸との更なる固定が実現される。前記弾性部品1は、前記従動部品と前記軸押さえ板8との間に設けられている。前記軸押さえ板8は、弾性部品1を常に圧縮状態にする役割を果たすものであり、クラッチの切り離しと結合に伴い、弾性部品1の弾性力の圧縮量が変化し、弾性力の値も変化する。前記弾性部品1は、スプリングであることが好ましい。
【0036】
一実施例において、
図2~
図3に示すように、前記従動部品が可動ギアスリーブ9をさらに含み、前記固定部品には、固定ギアスリーブ10が含まれ、前記可動ギアスリーブ9と前記固定ギアスリーブ10とが噛合伝動可能になるように、前記可動ギアスリーブ9及び前記固定ギアスリーブ10の端面に端面歯が設けられており、前記可動ギアスリーブ9と前記固定ギアスリーブ10内には、スプラインがそれぞれ設けられており、前記スプラインによって、前記可動ギアスリーブ9と前記第一軸との接続、及び、前記固定ギアスリーブ10と前記第二軸との接続が実現される。
【0037】
前記磁ヨーク2が前記固定ギアスリーブ10の外側に固定的に外装され、前記アーマチュアディスク5が前記可動ギアスリーブ9の外側に回動可能に外装され、前記可動ギアスリーブ9の外周にベアリング11が固定的に外装され、前記ベアリング11がベアリングシート12内に嵌着され、前記ベアリングシート12と前記アーマチュアディスク5とが固定的に接続されることで、前記アーマチュアディスク5と前記可動ギアスリーブ9との間の相対回動を実現可能であり、前記可動ギアスリーブ9が前記アーマチュアディスク5に伴って軸方向に移動可能である。そして、前記磁性鋼6の飛び出しを防止するために、前記ベアリングシート12が前記磁性鋼溝まで延びている。
【0038】
一実施例において、前記磁ヨーク2と前記固定ギアスリーブ10とが、相対回動可能になるように隙間ばめされることで、吸着位置の際、前記磁ヨーク2と前記アーマチュアディスク5とが固定されるままであるが、前記固定ギアスリーブ10と前記可動ギアスリーブ9とが一緒に回動する。前記従動部品と前記固定部品とが伝動接続される場合、前記可動ギアスリーブ9と前記固定ギアスリーブ10とが噛合して回動し、前記磁ヨーク2と前記アーマチュアディスク5とが回転しないため、動力の損失が少なく、伝動効率が向上される。
【0039】
以上をまとめて、本発明には、電磁クラッチが開示されており、電磁クラッチが固定部品、従動部品及び弾性部品を含み、固定部品が磁ヨークを含み、磁ヨークには、いくつかの鉄心が設けられ、各鉄心には、コイルが設けられており、従動部品がアーマチュアディスクを含み、アーマチュアディスクには、いくつかの磁性鋼が設けられており、アーマチュアディスクが磁ヨークと対応して設けられ、鉄心が磁性鋼と対応して設けられており、弾性部品が、アーマチュアディスクを磁ヨークとの分離位置に保持するために用いられ、コイルが順方向通電されると、鉄心が磁性鋼を吸着し、アーマチュアディスクが弾性部品の弾性力に抗して、磁ヨークとの吸着位置に移動することで、固定部品と従動部品との伝動接続が実現され、コイルが逆方向通電されると、鉄心には、磁性鋼の吸引力を低減させる電磁力が発生し、弾性部品の弾性力が磁性鋼の吸引力に抗して、アーマチュアディスクを磁ヨークとの分離位置に押し退ける。本発明における電磁クラッチは、分離状態と吸着状態では通電される必要がなく、エネルギー消費が小さく、発熱が少なく、使用寿命が長い。
【0040】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記特定の記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 弾性部品、2 磁ヨーク、3 鉄心、4 コイル、5 アーマチュアディスク、6 磁性鋼、7 衝撃吸収パッド、8 軸押さえ板、9 可動ギアスリーブ、10 固定ギアスリーブ、11 ベアリング、12 ベアリングシート。