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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240620BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240620BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240620BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
G01C21/36
G09B29/10 A
G09B29/00 C
G09B29/00 A
G08G1/0969
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020170156
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061902
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舛屋 勇希
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205254(JP,A)
【文献】特開2007-094045(JP,A)
【文献】特開2003-262530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示器と、車両の走行ルートを案内する案内画像を前記表示器に表示させる制御手段と、を備えた車両用表示装置であって、
前記制御手段は、車両が左折または右折する交差点に近付いたとき、前記案内画像の縮尺変更開始から縮尺変更終了までの間と、前記縮尺変更開始の前の第一所定区間と、前記縮尺変更終了の後の第二所定区間とは、前記交差点の周囲の建造物画像を前記表示器に表示させ
前記第二所定区間の通過後に前記車両が左折または右折する交差点にさらに近づいた際、前記建造物画像を消去することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記案内画像は、道路画像と、走行ルートを指示するルート指示画像と、を少なくとも含み、
前記制御手段は、
前記第二所定区間を通過し、前記建造物画像を消去した後、前記車両が左折または右折する交差点にさらに近づいた際、前記道路画像を消去することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
画像を表示する表示器と、車両の走行ルートを案内する案内画像を前記表示器に表示させる制御手段と、を備えた車両用表示装置であって、
前記制御手段は、車両が左折または右折する交差点に近付いたとき、前記案内画像の縮尺変更開始から縮尺変更終了までの間と、前記縮尺変更開始の前の第一所定時間と、前記縮尺変更終了の後の第二所定時間とは、前記交差点の周囲の建造物画像を前記表示器に表示させ、
前記第二所定時間の通過後に前記車両が左折または右折する交差点の手前で、前記建造物画像を消去することを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地への走行ルートを案内表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地への走行ルートを画像表示によって案内する車両用ナビゲーション装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かる車両用ナビゲーション装置は、出発前に目的地を入力し、その目的地までの走行ルートを表示するものであり、左折または右折すべき交差点が近付いたときは、通常地図画像を表示する共に、交差点の近傍を拡大した拡大交差点画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-54936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、拡大交差点画像が表示されたとしても、左折または右折すべき交差点の目印になるものがないために、左折または右折すべき交差点を判別し難いという問題を有していた。特に、交差点が密集している場所では、左折または右折すべき交差点を通り過ぎてしまったり、手前の交差点で曲がってしまったりすることがある。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、左折または右折すべき交差点を判別し易い案内画像を表示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像を表示する表示器11と、車両の走行ルートを案内する案内画像を前記表示器11に表示させる制御手段30と、を備えた車両用表示装置であって、前記制御手段30は、車両が左折または右折する交差点に近付いたとき、前記案内画像の縮尺変更開始から縮尺変更終了までの間は、前記交差点の周囲の建造物画像G3を前記表示器11に表示させることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記制御手段30は、前記縮尺変更開始の前の第一所定時間T1と、前記縮尺変更終了の後の第二所定時間T2とは、前記建造物画像G3を前記表示器11に表示させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段30は、前記第二所定時間T2の経過後は、前記建造物画像G3を表示させないことを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段30は、前記縮尺変更開始の前の第一所定区間D1と、前記縮尺変更終了の後の第二所定区間D2とは、前記建造物画像G3を前記表示器11に表示させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記制御手段30は、前記第二所定区間D2の通過後は、前記建造物画像G3を表示させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
縮尺変更開始から縮尺変更終了までの間を含む所定時間または所定区間に建造物画像を表示することにより、右左折すべき交差点を判別し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態を示す概観図。
図2】同上実施形態の電気的構成を示すブロック図。
図3】同上実施形態を示す案内表示の説明図。
図4】同上実施形態を示す案内表示の説明図。
図5】同上実施形態を示す時刻と縮尺の線図。
図6】本発明の第二実施形態を示す時刻と縮尺の線図。
図7】本発明の他の実施形態を示す時刻と縮尺の線図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車両用ヘッドアップディスプレイ装置に適用した一実施形態を説明する。図1乃至図5は、第一実施形態を示すものであるが、図3は後述する第二実施形態と共通である。車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、表示ユニット10が投射した表示光Lをウインドシールド20に投影して、虚像Vを表示するものである。
【0013】
表示ユニット10は、表示光Lを発する発光型表示器11と、この発光型表示器11が発した表示光Lをウインドシールド20に向けて反射させるミラー12とを備えている。発光型表示器11は、バックライト手段を備えた液晶表示器である。発光型表示器11に表示される画像は、虚像Vにて表示される。車両運転者は、車両の走行ルートを案内する案内画像である虚像Vを、風景に重畳して視認できる。
【0014】
図2は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置の電気的構成を示すブロック部である。制御手段30は、車両の走行ルートを案内する案内画像を生成するための画像データを記憶している画像メモリ31と、ナビゲーションシステム40,車両情報取得部50から得られた情報に基づいて発光型表示器11に表示する画像を生成する画像生成部32と、画像生成部32にて生成された画像を発光型表示器11に表示する信号に変換する制御部33とを有している。
【0015】
ナビゲーションシステム40は、GPSコントローラからの自車位置情報と、地図データベースからの地図情報とに基づいて、車両運転者の操作で設定された目的地までの走行ルートを算出する。車両情報取得部50は、CANトランシーバICからなるものであり、種々の車両情報をCAN(Controller Area Network)から入力し、その車両情報に関するデータを制御手段30に出力する。
【0016】
図3及び図4は、制御手段30にて生成される案内画像を示す。本実施形態においては、案内画像は、自車マーク画像G1と道路画像G2と建造物画像G3とルート指示画像G4とターンバイターン画像G5とからなるものであるが、これに限定されない。自車マーク画像G1は、自車を表す図形画像であるが、車両を忠実に模した画像であっても良い。
【0017】
図5は、時間経過と道路画像の縮尺との関係を示す説明図である。左折する交差点までの距離が所定値になる時刻t1までは、小縮尺表示にて、自車マーク画像G1,道路画像G2及びルート指示画像G4の表示のみとなっており、建造物画像G3は表示されない(図3(a)参照)。
【0018】
時刻t1から時刻t2までの時間T1では、小縮尺表示のままで、自車マーク画像G1,道路画像G2及びルート指示画像G4だけでなく、交差点近傍の建造物を模した建造物画像G3も表示される(図3(b)参照)。建造物画像G3は、時間T1で徐々に表示されるようにフェードインする。
【0019】
時刻t2から時刻t3までの時間は、案内画像が徐々にズームアップして、大縮尺表示になる(図3(c)参照)。このとき、建造物画像G3も表示されたままである。案内画像がズームアップされるとき、道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4は拡大されるが、自車マーク画像G1は一定の大きさで表示される。
【0020】
時刻t3でズームアップは完了するが、時刻t3から時刻t4までの時間T2は、大縮尺表示のままである。このときも、建造物画像G3は表示されたままである。建造物画像G3は、時間T2で徐々に消えるようにフェードアウトする。
【0021】
時刻t4から時刻t5までの時間は、建造物画像G3が消去され、自車マーク画像G1,道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4だけが表示される(図4(d)参照)。
【0022】
時刻t5が過ぎた後は、自車マーク画像G1,道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4が消えて、ターンバイターン画像G5が表示される(図3(e)参照)。
【0023】
時刻t1までは、建造物画像G3を表示させないことにより、建造物画像G3が道路画像2の妨げになることがない。時刻t1から時刻t4までの時間T0は建造物画像G3を表示させることにより、建造物画像G3が表す建物を目印として、左折すべき交差点を判別し易くなる。時間T2の経過後は建造物画像G3を表示させないことにより、左折すべき交差点の直前で、建造物画像G3が道路画像2の妨げになることがない。
【0024】
図6は、第二実施形態を示すものであり、左折する交差点までの距離と道路画像の縮尺との関係を示す説明図である。左折する交差点までの距離が第一所定値d1よりも大きいときは、小縮尺表示にて、自車マーク画像G1,道路画像G2及びルート指示画像G4の表示のみとなっている(図3(a)参照)。
【0025】
左折する交差点までの距離が第一所定値d1よりも小さく、第二所定値d2よりも大きい区間D1では、小縮尺表示のままで、自車マーク画像G1,道路画像G2及びルート指示画像G4だけでなく、交差点近傍の建造物を模した建造物画像G3も表示される(図3(b)参照)。建造物画像G3は、徐々に表示されるようにフェードインする。
【0026】
左折する交差点までの距離が第二所定値d2よりも小さく、第三所定値d3よりも大きくなるときは、徐々にズームアップして、大縮尺表示になる(図3(c)参照)。このとき、建造物画像G3も表示されたままである。案内画像がズームアップされるとき、道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4は拡大されるが、自車マーク画像G1は一定の大きさで表示される。
【0027】
左折する交差点までの距離が第三所定値d3よりも小さく、第四所定値d4よりも大きい区間D2は、大縮尺表示のままである。このときも、建造物画像G3は表示されたままである。建造物画像G3は、徐々に消えるようにフェードアウトする。
【0028】
左折する交差点までの距離が第三所定値d3よりも小さく、第四所定値d4よりも大きくなったときは、建造物画像3が消去され、自車マーク画像G1,道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4だけが表示される(図4(d)参照)。
【0029】
左折する交差点までの距離が第四所定値d5よりも小さくなったときは、自車マーク画像G1,道路画像G2,建造物画像G3,ルート指示画像G4が消えて、ターンバイターン画像G5が表示される(図4(d)参照)。
【0030】
所定値d1までは、建造物画像G3を表示させないことにより、建造物画像G3が道路画像2の妨げになることがない。所定値d1から所定値d4までの区間D0は建造物画像G3を表示させることにより、建造物画像G3が表す建物を目印として、左折すべき交差点を判別し易くなる。且つ、区間D2の通過後は建造物画像G3を表示させないことにより、左折すべき交差点の直前で、建造物画像G3が道路画像2の妨げになることがない。
【0031】
第一,第二実施形態は、左折の場合について、説明したが、右折の場合も同様である。第一,第二実施形態によれば、左折または右折すべき交差点が近付いたとき、ズームアップ表示されるため、左折または右折すべき交差点を判別し易い。
【0032】
なお、本発明は、第一,第二実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、図7に示す他の実施形態のように、ズームアップを2段階で行うようにして、ズームアップしている時間を含む時間T3及び時間T4に建造物画像G3を表示しても良い。
【0033】
また、第一,第二実施形態は、表示ユニット10が投射した表示光Lをウインドシールド20に投影して、虚像Vを表示する車両用ヘッドアップディスプレイ装置であったが、表示器の画面を直接視認するものであっても良い。
【符号の説明】
【0034】
11 発光型表示器(表示器)
30 制御手段
G3 建造物画像
T1 第一所定時間
T2 第二所定時間
D1 第一所定区間
D2 第二所定区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7