(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240620BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2023119122
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】202210875005.3
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523277714
【氏名又は名称】雲南電網有限責任公司楚雄供電局
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】李金富
(72)【発明者】
【氏名】莫仕▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】王科
(72)【発明者】
【氏名】吉雲海
(72)【発明者】
【氏名】範順輝
(72)【発明者】
【氏名】李発春
(72)【発明者】
【氏名】李暁清
(72)【発明者】
【氏名】姚雪梅
(72)【発明者】
【氏名】徐松
(72)【発明者】
【氏名】馬文交
(72)【発明者】
【氏名】何興華
(72)【発明者】
【氏名】王斌
(72)【発明者】
【氏名】張宏
(72)【発明者】
【氏名】張延華
(72)【発明者】
【氏名】竇正鵬
(72)【発明者】
【氏名】段軍鵬
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-168127(JP,A)
【文献】特開2019-54715(JP,A)
【文献】特開2014-79138(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112308437(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113128024(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・
方法であって、
この
ビッグデータ・スクリーニング・方法のスクリーニング・プロセスは、
ステップS1:マーケティング電気エネルギー・データと使用者が消費した電力収集デ
ータを整理した後、データ洗浄技術を用いて電力消費データベースを再構築するステップ
、
ステップS2:容量標準が低い変圧器の特徴を分析し、電力消費データベースと特徴マ
ッチングするステップ、
ステップS3:特徴データベースにおいて、線損失率の変動が発生する根本原因を分析
することによって、異常負荷自動診断モジュールを構築するステップ、
ステップS4:異常負荷自動診断モジュールを利用して
、データ分析方法によって、不
審な変圧器使用者をスクリーニングするステップを含
み、
前記ステップS2において、容量標準が低い変圧器の特徴を分析し、電力消費データベ
ースと特徴マッチングする具体的な方法では、
電圧、電流、負荷条件及び無負荷/負荷損失の電力消費特徴を含む容量標準が低い変圧
器の配電変圧器に対して、従来の配電変圧器スマート端末を利用して、電圧、電流サンプ
リング及び負荷条件に基づいて、停電しない情況下で配電変圧器の無負荷損失及び負荷損
失を近似的に取得し、重要な特徴パラメータを抽出し、電力消費データベースと特徴マッ
チングし、特徴マッチング・データベースを構築し、
前記ステップS2において、特徴マッチングする具体的なアルゴリズム・プロセスには
、
容量標準が低い変圧器の電力消費特徴は、電圧、電流及び負荷曲線、無負荷損失と負荷
損失であることが知られており、
電圧、電流及び負荷曲線に対して、曲線の特徴値を(
、
、…、
)と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、曲線の特徴値
の取り範囲(
、
、…、
)に対応し、ここで、
=[
、
]、
=[
、
]、…、
=[
、
]であり、
無負荷/負荷損失に対して、無負荷損失及び負荷損失をそれぞれ
、
と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、無負荷/負荷損
失の取り範囲
=[
、
]、
=[
、
]に対応し、
すなわち、特徴マッチングを完了するステップが含まれ、
前記ステップS3において、線損失率の変動が発生する根本原因を分析する具体的な方
法は、
ステップS3.1:まず、線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか必要
的な要因であるかを定義するステップと、
ステップS3.2:線損失率の変動が発生する要因が必要的な要因である場合、必要な
データ調査を介して線損失率の変動が発生する根本原因を確定するステップとを含み、
前記ステップS3.2において、線損失率の変動が発生する根本原因を、必要なデータ
調査によって確定し、ここで、必要なデータには、
フィーダについては、収集すべきデータとして、駅線を変更する世帯の全体情況、遮断
計の操作状況、負制/配電変圧器の操作状況、電力供給転移情況及び2票の操作情況が含
まれ、
ステーションについては、収集すべきデータとして、ステーション遮断計の操作状況、
検針フィードバック情況、変圧器倍率異常の有無及び使用者の業務処理情況が含まれ、
前記ステップS4において、異常負荷自動診断モジュールを利用して、データ分析方法
により、不審な変圧器使用者をスクリーニングし、ここで、データ分析方法は、具体的に
、
ステップS4.1:フィーダについては、線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量
の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線損失の電力量と疑わしい
対象の電力量の変化を正確に比較することによって異常対象を確定し、現場での検出デー
タとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較することによって異
常対象をロックするステップと、
ステップS4.2:ステーションについては、ステーションの線損失率が変化した変曲
点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線
損失の電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化を正確に比較することによって異常対
象を確定し、現場での偵察データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを
正確に比較することによって異常対象をロックするステップとを含み、
前記ステップS4.1において、フィーダに対する具体的なデータ分析方法は、
線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量の変化を正確に比較することによって疑わ
しい対象を選別する具体的な方法は、線損失率が変化した変曲点の時間ノードを確定し、
同期間の使用者の電力量データを取得し、使用者の電力量データに基づいて、使用者の電
力量データの特徴値を計算し、電力消費データベースとの比較を通じて、疑わしい対象を
選別するステップ、
線損失の電力量と疑わしい対象の電力量の変化を正確に比較することによって異常対象
を確定する具体的な方法は、疑わしい対象をロックした後、疑わしい対象の一定期間にお
ける電力消費データを取出し、線損失の電力量と疑わしい対象の電力量とが前年同期比/
リンク相対比曲線の正相関または曲線反相関に表示される場合、異常対象と確定できるス
テップ、
現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法は、異常対象を確定した後、現場で
その異常対象によって設計された変圧器容量に対してさらに行われた校正と、バックグラ
ウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流と負荷のデータとを、変圧器の異常容量の証
拠とするステップを含み、
前記ステップS4.2において、ステーションに対する具体的なデータ分析方法は、
ステーションの線損失率が変化した変曲点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較す
ることによって疑わしい対象を選別する具体的な方法は、ステーションの線損失率が変化
した変曲点の時間ノードを確定し、同期間の全三相計器の電力量データを取得し、使用者
の電力量データに基づいて、三相計器の電力量データの特徴値を計算し、電力消費データ
ベースと比較することによって、疑わしい対象を選別するステップ、
線損失電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化を正確に比較することによって異常
対象を確定する具体的な方法は、疑わしい対象をロックした後、疑わしい対象の三相計器
の一定期間にわたる電力消費データを取り出し、線損失電力量と疑わしい対象の三相計器
の電力量が前年同期比/リンク相対比曲線の正の相関または曲線反相関に表示される場合
、異常対象と確定できるステップ、
現場での偵察データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法は、異常対象を確定した後、現場に
行って異常対象によって設計された変圧器の容量に対してさらに行われた校正と、バック
グラウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流及び負荷のデータとを、変圧器の異常容
量の証拠とするステップを含むことを特徴とする配電変圧器の異常容量に対するビッグデ
ータ・スクリーニング・
方法。
【請求項2】
前記ステップS1において、マーケティング電気エネルギー・データと使用者が消費し
た電力収集データを整理することは、具体的に、
まず、計画手配を整理し、資料を収集し、トレーニングを組織し、資源の準備を整理し
た後、マーケティング・システムと電力消費収集システム及び使用者ファイルの比較結果
によって、不審な使用者について、現場で使用者情報を修正し、顧客の電子ファイルを完
成し、電力消費契約を共用する内容を含
み、
同時に、データ洗浄技術を利用して電力消費データベースを再構築することは、具体的
に、
マーケティング・システム、電力消費収集システ
ムの従来のデータセットに基づいて、
データセットの中で実際のビジネス・ロジックに一致しないエラー、及び重複、複数ソー
スデータの論理が不整合である情況を洗浄し、異なる情報システムを使用するために高品
質のデータベースを構築し、データ資源の高度な共有を実現する内容を含
むことを特徴と
する請求項1に記載の配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・
方
法。
【請求項3】
前記ステップS3.1において、線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因である
か、必要的な要因であるかを定義する具体的な方法では、
分岐線の線損失率の変動については、線損失率が3日連続で制御線を超えたフィーダ、
制御線内で線損失率が3ヶ月連続で同じ方向にずれるフィーダ、線損失率が長期にわたっ
て不適格になったフィーダは、いずれも必要的な要因による変動と定義し、
分岐ステーションの線損失率の変動については、線損失率が適格から不適格に変化した
ステーション、線損失率が不適格から適格に変化したステーション、制御線内で線損失率
が3周期連続して同じ方向にずれたステーション、線損失率が長期にわたって不適格とな
ったステーションは、いずれも必要的な要因による変動と定義することを特徴とする請求
項1に記載の配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電変圧器の容量評価の技術分野に関し、特に、配電変圧器の異常容量に対
するビッグデータ・スクリーニング・方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の電力使用者は、基本料金を減らすために、「大きいものを取り付けて小さく報告
し、容量標準を低くする」方法を用い、つまり、「表札を替えて、容量を少なく報告する
」等の手段で電力網企業を「ごまかす」ことで、電力網企業に深刻な経済損失を与えてい
る。同時に、個別の変圧器メーカーでは、自社の利益を最大化するために、「小さいもの
を大きいものと表示し、容量標準を高くする」方法を用い、つまり、変圧器の入札におい
て、低損失、大容量の配電変圧器の代わりに、高損失、小容量の変圧器を用いて、使用者
の利益に損害を与えている。
【0003】
電力網のデジタル化実施に伴い、工場・ステーションの電気エネルギー収集端末、配電
変圧器の監視・計測端末、負荷管理端末などスマート端末の普及率が飛躍的に高まり、電
力システムは「全面的に客観的で、正確に計測可能、高度に制御可能」という目標に向か
って発展しており、ビッグデータ技術を利用して配電変圧器の異常容量検知とスクリーニ
ングを実施することが可能となっている。
【0004】
公開番号がCN108663651Aである発明特許には、複数ソース・データ収集モ
ジュール、データ洗浄モジュール、分析評価モデルの記憶モジュール及び分析・評価モジ
ュールを含む複数ソース・データ融合に基づくスマート・電気エネルギー計操作状態評価
システムが開示されている。前記複数ソース・データ収集モジュールは、スマート電気エ
ネルギー計の操作状態に関連する複数ソース・データを取得するために用いられ、複数ソ
ース・データには、マーケティング・ビジネス・アプリケーション・システム・データ、
電力消費情報収集データ、及び計測・生産スケジューリング・プラットフォーム・データ
が含まれる。前記データ洗浄モジュールは、収集された複数ソース・データを洗浄処理し
、洗浄データベースを形成する。前記分析評価モデルの記憶モジュールは、スマート電気
エネルギー計の操作状態に関連する状態の評価指標、対応する重み及び電気エネルギー計
状態の採点戦略を記憶するために用いられる。前記分析・評価モジュールは、分析評価モ
デル記憶モジュールの状態の評価指標、対応する重み及び電気エネルギー計状態の採点戦
略を呼び出し、洗浄処理した複数ソース・データに基づいて、スマート電気エネルギー計
の操作状態を評価し、評価結果を得るために用いられる。公開番号がCN1143291
00Aである発明特許には、順次に接続された無線電流センサー、データ収集モジュール
及びバックグラウンド・ホストモジュールを備えるループ電流監視に基づく領域電力管理
システムが開示されれている。前記無線電流センサーは、三相電流データを収集し、収集
された三相電流データを無線伝送することによって、データ収集モジュールに送信するた
めに用いられる。前記データ収集モジュールは三相電流データを前処理し、前処理された
有効な三相電流データをバックグラウンド・ホストジュールに送信するために用いられる
。前記バックグラウンド・ホストモジュールは、前記有効三相電流データを受信し、線損
失及び線損失率を計算するアルゴリズムを起動し、計算結果に基づいて比較・分析を行い
、比較・分析結果に基づいてデータ表示及び早期警告を行うために用いられる。
【0005】
上記の技術的解決策は、いずれもスマート電気エネルギー計の操作状態の評価と電気エ
ネルギー管理をある程度実現することができるが、両者は操作過程において、精密な比較
を通じて疑しい対象を選別していない限界があるため、異常対象の選別と識別の精度が低
い。そこで、配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法を提案
する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上記背景技術で提出された課題を解決するために配電変圧器の異常容
量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法を提供することである。
【0007】
上記技術課題を解決するために、本発明の目的のうち1つは、配電変圧器の異常容量に
対するビッグデータ・スクリーニング・方法を提供し、この方法のスクリーニング・プロ
セスは、
S1:マーケティング電気エネルギー・データと使用者が消費した電力収集データを整
理した後、データ洗浄技術を用いて電力消費データベースを再構築するステップ、
S2:容量標準が低い変圧器の特徴を分析し、電力消費データベースと特徴マッチング
するステップ、
S3:特徴データベースにおいて、線損失率の変動が発生する根本原因を分析すること
によって、異常負荷自動診断モジュールを構築するステップ、
S4:異常負荷自動診断モジュールを利用して、データ分析方法によって、不審な変圧
器使用者をスクリーニングするステップを含む。
【0008】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS1において、マーケティン
グ電気エネルギー・データと使用者が消費した電力収集データを整理することは、具体的
に、
まず、計画手配を整理し、資料を収集し、トレーニングを組織し、資源の準備を整理し
た後、マーケティング・システムと電力消費収集システム及び使用者ファイルの比較結果
によって、不審な使用者について、現場で使用者情報を修正し、顧客の電子ファイルを完
成し、電力消費契約を共用する内容を含む。
【0009】
ここで、不審な使用者を識別する方法は、電圧レベル、業種分類、給電線路、契約容量
と変圧器の特性などのマーケティング・システムを使用する使用者の情報に基づいて、電
力消費収集システムの計量点の番号、変圧器の番号、変圧器作業における電圧・電流曲線
と負荷曲線等の情報を、使用者のフィール情報と比較した結果を組み合わせて、情報の違
いがある不審な使用者を確定する。
【0010】
ここで、変圧器の特徴としては、体積、放熱面積、無負荷損失、短絡インピーダンス及
び直流抵抗が含まれる。
【0011】
同時に、データ洗浄技術を利用して電力消費データベースを再構築することは、具体的
に、
マーケティング・システム、電力消費収集システム等の従来のデータセットに基づいて
、データセットの中で実際のビジネス・ロジックに一致しないエラー、及び重複、複数ソ
ースデータの論理が不整合である等の情況を洗浄し、異なる情報システムを使用するため
に高品質のデータベースを構築し、データ資源の高度な共有を実現する内容を含む。
【0012】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS2において、容量標準が低
い変圧器の特徴を分析し、電力消費データベースと特徴マッチングする具体的な方法では
、
電圧、電流、負荷条件及び無負荷/負荷損失の電力消費特徴を含む容量標準が低い変圧
器の配電変圧器に対して、従来の配電変圧器スマート端末を利用して、電圧、電流サンプ
リング及び負荷条件に基づいて、停電しない情況下で配電変圧器の無負荷損失及び負荷損
失を近似的に取得し、重要な特徴パラメータを抽出し、電力消費データベースと特徴マッ
チングし、特徴マッチング・データベースを構築する。
【0013】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS2において、特徴マッチン
グする具体的なアルゴリズム・プロセスには、
容量標準が低い変圧器の電力消費特徴は、電圧、電流及び負荷曲線、無負荷損失と負荷
損失であることが知られており。
電圧、電流及び負荷曲線に対して、曲線の特徴値を(
、
、…、
)と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、曲線の特徴値
の取り範囲(
、
、…、
)に対応し、ここで、
=[
、
]、
=[
、
]、…、
=[
、
]であり、
無負荷/負荷損失に対して、無負荷損失及び負荷損失をそれぞれ
、
と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、無負荷/負荷損
失の取り範囲
=[
、
]、
=[
、
]に対応し、
すなわち、特徴マッチングを完了するステップが含まれる。
【0014】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS3において、線損失率の変
動が発生する根本原因を分析する具体的な方法は、
S3.1:まず、線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか必要的な要因
であるかを定義するステップと、
S3.2:線損失率の変動が発生する要因が必要的な要因である場合、必要なデータ調
査を介して線損失率の変動が発生する根本原因を確定するステップとを含む。
【0015】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS3.1において、線損失率
の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか、必要的な要因であるかを定義する具体的
な方法では、
分岐線の線損失率の変動については、線損失率が3日連続で制御線を超えたフィーダ、
制御線内で線損失率が3ヶ月連続で同じ方向にずれたフィーダ、線損失率が長期にわたっ
て不適格になったフィーダは、いずれも必要的な要因による変動と定義し、
分岐ステーションの線損失率の変動については、線損失率が適格から不適格に変化した
ステーション、線損失率が不適格から適格に変化しステーション、制御線内で線損失率が
3周期連続して同じ方向にずれたステーション、線損失率が長期にわたって不適格となっ
たステーションは、いずれも必要的な要因による変動と定義する。
【0016】
ここで、前記線損失率は、供給電力量のうち、線損失電力が占める割合を線路損失率と
称し、供給電力量と販売電力量の差を用いて計算することができる。
【0017】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS3.2において、線損失率
の変動が発生する根本原因を、必要なデータ調査によって確定し、必要なデータには、
フィーダについては、収集すべきデータとして、駅線を変更する世帯の全体情況、遮断
計の操作状況、負制/配電変圧器の操作状況、電力供給転移情況及び2票の操作情況が含
まれ、
ステーションについては、収集すべきデータとして、ステーション遮断計の操作状況、
検針フィードバック情況、変圧器倍率異常の有無及び使用者の業務処理情況が含まれる。
【0018】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS4において、異常負荷自動
診断モジュールを利用して、データ分析方法により、不審な変圧器使用者をスクリーニン
グし、ここで、データ分析方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0019】
ステップS4.1:フィーダについては、線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量
の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線損失の電力量と疑わしい
対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確に比較することによって異常対
象を確定し、現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを
正確に比較することによって異常対象をロックする。
【0020】
ステップS4.2:ステーションについては、ステーションの線損失率が変化した変曲
点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線
損失の電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確
に比較することによって異常対象を確定し、現場での偵察データとバックグラウンドでリ
アルタイムで監視したデータを正確に比較することによって異常対象をロックする。
【0021】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS4.1において、フィーダ
に対する具体的なデータ分析方法は以下の内容を含む。
【0022】
線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量の変化を正確に比較することによって疑わ
しい対象を選別する具体的な方法では、線損失率が変化した変曲点の時間ノードを確定し
、同期間の使用者の電気エネルギー・データを取得し、使用者の電力量データに基づいて
、使用者の電力量データの特徴値を計算し、電力消費データベースとの比較を通じて、疑
わしい対象を選別する。
【0023】
線損失の電力量と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確に
比較することによって異常対象を確定する具体的な方法では、疑わしい対象をロックした
後、疑わしい対象の一定期間における電力消費データを取出し、線損失の電力量と疑わし
い対象の電力量とが前年同期比/リンク相対比曲線の正相関または曲線反相関に表示され
る場合、異常対象と確定できる。
【0024】
現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法では、異常対象を確定した後、現場
でその異常対象によって設計された変圧器容量に対してさらに行われた校正と、バックグ
ラウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流及び負荷のデータとを、変圧器の異常容量
の証拠とする。
【0025】
本技術的解決手段のさらなる改善点として、前記ステップS4.2において、ステーシ
ョンに対する具体的なデータ分析方法は以下の内容を含む。
【0026】
ステーションの線損失率が変化した変曲点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較す
ることによって疑わしい対象を選別する具体的な方法では、ステーションの線損失率が変
化した変曲点の時間ノードを確定し、同期間の全三相計器の電力量データを取得し、使用
者の電力量データに基づいて、三相計器の電力量データの特徴値を計算し、電力消費デー
タベースと比較することによって、疑わしい対象を選別する。
【0027】
線損失電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正
確に比較することによって異常対象を確定する具体的な方法では、疑わしい対象をロック
した後、疑わしい対象の三相計器の一定期間にわたる電力消費データを取り出し、線損失
電力量と疑わしい対象の三相計器電力量が前年同期比/リンク相対比曲線の正の相関また
は曲線反相関に表示される場合、異常対象と確定できる。
【0028】
現場での偵察データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法では、異常対象を確定した後、現場
に行って異常対象によって設計された変圧器の容量に対してさらに行われた校正と、バッ
クグラウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流及び負荷のデータとを、変圧器の異常
容量の証拠とする。
【0029】
本発明の2番目の目的は、プロセッサ、メモリ及びメモリに記憶され、プロセッサ上で
実行されるコンピュータ・プログラムとを備え、プロセッサは、コンピュータ・プログラ
ムを実行する際に、上記の配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング
・システムにおけるスクリーニング・プロセスのステップを実現するために使用される、
配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法の操作プラットフォ
ーム装置を提供することである。
【0030】
本発明の3番目の目的は、コンピュータ・プログラムが記憶され、前記コンピュータ・
プログラムが、プロセッサによって実行される際に、上述の配電変圧器の異常容量に対す
るビッグデータ・スクリーニング・方法におけるスクリーニング・プロセスのステップを
実現する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することである。
【効果】
【0031】
本発明は、従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
1、この配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法では、ス
マート電気エネルギー計の操作状態に対する評価と電気エネルギー管理が実現でき、正確
な比較により疑しい対象をスクリーニングできるため、異常対象のスクリーニングと識別
精度を高めることができる。
2、この配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・方法は、企業
による変圧器の効果的な制御と監督を実現し、手動スクリーニングを減らし、変圧器の容
量検出の非効率的な作業負荷を減らすことができる。同時に、受動的なものを能動的なも
のに変え、大口工業使用者の電力消費負荷の特徴をリアルタイムで監視し、変圧器の容量
を照会し、異常を分析することによって、電力網企業の基本料金の損失を回避することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明における例示的な配電変圧器の異常容量に対するビッグデータ・スクリーニング・
方法におけるプロセスのブロック図である。
【
図2】本発明における例示的なユーザ資料を整理するプロセスのブロック図である。
【
図3】本発明における例示的な電力消費データベースを再構成するプロセスのブロック図である。
【
図4】本発明における例示的な電子コンピュータ・プラットフォーム装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態における技術的解決策を添付図面と併せて明確かつ完全に説明
するが、説明した実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎず、実施形態の全てではない
ことは明らかである。本発明における実施形態に基いて、当業者であれば、創意的な労働
を行うことなく得られた他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
実施例1
【0034】
図1~
図4に示すように、本実施形態では、配電変圧器の容量異常に対するビッグデー
タ・スクリーニング・
方法を提供する。
【0035】
図1に示すように、この
方法のスクリーニング・プロセスは、以下のステップを含む。
【0036】
ステップS1:マーケティング電気エネルギー・データと使用者が消費した電力収集デ
ータを整理した後、専用変電使用者のファイルを比較し、専用変電所台帳の情報を比較し
、その後、データウェアハウス技術とデータ洗浄技術を用いて電力消費データベースを再
構築する。
【0037】
ステップS2:容量標準が低い変圧器の特徴を分析し、重要な特性パラメータを抽出し
、特性マッチング・データベースを構築し、電力消費データベースと特徴マッチングする
。
【0038】
ステップS3:特徴データベースにおいて、線損失率の変動が発生する根本原因を分析
し、線損失率をスクリーニングし、使用者の一日の電力消費量を比較分析することにより
、異常負荷自動診断モジュールを構築する。
【0039】
ステップS4:異常負荷自動診断モジュールを利用して、情報収集、データ選別、処理
分析、迅速判断などの過程を経過するような、データ分析方法によって、不審な変圧器使
用者をスクリーニングし、迅速に容量変圧器を誤表示する使用者を選別する。
【0040】
図2に示すように、本実施形態において、ステップS1で、マーケティング電気エネル
ギー・データと使用者が消費した電力収集データを整理することは、具体的に以下の内容
を含む。
【0041】
まず、計画手配を整理し、資料を収集し、トレーニングを組織し、資源の準備を整理し
た後、マーケティング・システムと電力消費収集システム及び使用者ファイルの比較結果
によって、不審な使用者について、現場で使用者情報を修正し、顧客の電子ファイルを完
成し、電力消費契約を共用する。
【0042】
ここで、不審な使用者を識別する方法は、電圧レベル、業種分類、給電線路、契約容量
及び変圧器の特性等のマーケティング・システムを使用する使用者の情報に基づいて、電
力消費収集システムの計量点の番号、変圧器の番号、変圧器作業における電圧・電流曲線
と負荷曲線等の情報を、使用者のファイル情報と比較した結果を組み合わせて、情報の違
いがある不審な使用者を確定する。
【0043】
ここで、変圧器の特性としては、体積、放熱面積、無負荷損失、短絡インピーダンス及
び直流抵抗が含まれる。
【0044】
同時に、
図3に示すように、データ洗浄技術を用いた電力消費量データベースを再構築
することは、具体的に以下の内容が含まれる。
【0045】
マーケティング・システム、電力消費収集システム等の従来のデータセットに基づいて
、データセットの中で実際のビジネス・ロジックに一致しないエラー、及び重複、複数ソ
ースデータの論理が不整合である等の情況を洗浄し、異なる情報システムを使用するため
に、高品質のデータベースを構築し、データ資源の高度な共有を実現する。
【0046】
本実施形態では、ステップS2において、容量標準が低い変圧器の特性を分析し、電力
消費データベースと特徴マッチングする具体的な方法では、
電圧、電流、負荷条件及び無負荷/負荷損失の電力消費特徴を含む容量標準が低い変圧
器の配電変圧器に対して、従来の配電変圧器スマート端末を利用して、電圧、電流サンプ
リング及び負荷条件に基づいて、停電しない情況下で配電変圧器の無負荷損失及び負荷損
失を近似的に取得し、重要な特徴パラメータを抽出し、電力消費データベースと特徴マッ
チングし、特徴マッチング・データベースを構築する。
【0047】
また、ステップS2において、特徴マッチングする具体的なアルゴリズム・プロセスに
は、
容量標準が低い変圧器の電力消費特徴は、電圧、電流及び負荷曲線、無負荷損失と負荷
損失であることが知られており、
電圧、電流及び負荷曲線に対して、曲線の特徴値を(
、
、…、
)と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、曲線の特徴値
の取り範囲(
、
、…、
)に対応し、ここで、
=[
、
]、
=[
、
]、…、
=[
、
]であり、
無負荷/負荷損失に対して、無負荷損失及び負荷損失をそれぞれ
、
と設定すると、分析した容量標準が低い変圧器のライブラリについては、無負荷/負荷損
失の取り範囲
=[
、
]、
=[
、
]に対応し、
すなわち、特徴マッチングを完了する。
【0048】
本実施形態では、ステップS3において、線損失率の変動が発生する根本原因を分析す
る具体的な方法は以下のステップを含む。
【0049】
ステップS3.1:まず、線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか必要
的な要因であるかを定義する。
【0050】
ステップS3.2:線損失率の変動が発生する要因が必要的な要因である場合、必要な
データ調査を介して線損失率の変動が発生する根本原因を確定する。
【0051】
また、ステップS3.1では、線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか
、必要的な要因であるかを定義する具体的な方法では、
分岐線の線損失率の変動については、線損失率が3日連続で制御線を超えたフィーダ、
制御線内で線損失率が3ヶ月連続で同じ方向にずれたフィーダ、線損失率が長期にわたっ
て不適格になったフィーダは、いずれも必要的な要因による変動と定義し、
分岐ステーションの線損失率の変動については、線損失率が適格から不適格に変化した
ステーション、線損失率が不適格から適格に変化しステーション、制御線内で線損失率が
3周期連続して同じ方向にずれたステーション、線損失率が長期にわたって不適格となっ
たステーションは、いずれも必要的な要因による変動と定義する。
【0052】
ここで、線損失率は、供給電力量のうち、線損失電力が占める割合を線路損失率と称し
、供給電力量と販売電力量の差を用いて計算することができる。
【0053】
また、ステップS3.2において、線損失率の変動が発生する根本原因を、必要なデー
タ調査によって確定し、必要なデータには、
フィーダについては、収集すべきデータとして、駅線を変更する世帯の全体情況、遮断
計の操作状況、負制/配電変圧器の操作状況、電力供給転移情況及び2票の操作情況が含
まれ、
ステーションについては、収集すべきデータとして、ステーション遮断計の操作状況、
検針フィードバック情況、変圧器倍率異常の有無及び使用者の業務処理情況が含まれる。
【0054】
本実施形態では、ステップS4において、異常負荷自動診断モジュールを利用して、デ
ータ分析方法により、不審な変圧器使用者をスクリーニングし、ここで、データ分析方法
は、具体的に以下のステップを含む。
【0055】
ステップS4.1:フィーダについては、線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量
の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線損失の電力量と疑わしい
対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確に比較することによって異常対
象を確定し、現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを
正確に比較することによって異常対象をロックする。
【0056】
ステップS4.2:ステーションについては、ステーションの線損失率が変化した変曲
点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線
損失の電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確
に比較することによって異常対象を確定し、現場での偵察データとバックグラウンドでリ
アルタイムで監視したデータを正確に比較することによって異常対象をロックする。
【0057】
また、ステップS4.1において、フィーダに対する具体的なデータ分析方法は以下の
内容を含む。
【0058】
線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量の変化を正確に比較することによって疑わ
しい対象を選別する具体的な方法では、線損失率が変化した変曲点の時間ノードを確定し
、同期間の使用者の電力量データを取得し、使用者の電力量データに基づいて、使用者の
電力量データの特徴値を計算し、電力消費データベースとの比較を通じて、疑わしい対象
を選別する。
【0059】
線損失の電力量と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確に
比較することによって異常対象を確定する具体的な方法では、疑わしい対象をロックした
後、疑わしい対象の一定期間における電力消費データを取出し、線損失の電力量と疑わし
い対象の電力量とが前年同期比/リンク相対比曲線の正相関または曲線反相関に表示され
る場合、異常対象と確定できる。
【0060】
現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法では、異常対象を確定した後、現場
に行ってその異常対象によって設計された変圧器容量に対してさらに行われた校正と、バ
ックグラウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流と負荷のデータとを、変圧器の異常
容量の証拠とする。
【0061】
また、ステップS4.2において、ステーションに対する具体的なデータ分析方法は、
以下の内容を含む。
【0062】
ステーションの線損失率が変化した変曲点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較す
ることによって疑わしい対象を選別する具体的な方法では、ステーションの線損失率が変
化した変曲点の時間ノードを確定し、同期間の全三相計器の電力量データを取得し、使用
者の電力量データに基づいて、三相計器の電力量データの特徴値を計算し、電力消費デー
タベースと比較することによって疑わしい対象を選別する。
【0063】
線損失電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正
確に比較することによって異常対象を確定する具体的な方法では、疑わしい対象をロック
した後、疑わしい対象の三相計器の一定期間にわたる電力消費データを取り出し、線損失
電力量と疑わしい対象の三相計器の電力量とが前年同期比/リンク相対比曲線の正の相関
または曲線反相関に表示される場合、異常対象と確定できる。
【0064】
現場での偵察データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較
することによって異常対象をロックする具体的な方法では、異常対象を確定した後、現場
に行って異常対象によって設計された変圧器の容量に対してさらに行われた校正と、バッ
クグラウンドでリアルタイムで監視した電圧、電流及び負荷のデータとを、変圧器の異常
容量の証拠とする。
【0065】
本技術的解決策の実現可能性と有効性を検証するために、上述の公開番号が第CN10
8663651Aである引用文献1(複数ソースデータ融合に基づくスマート電気エネル
ギー計の操作状態の評価システム)及び公開番号が第CN114329100Aである引
用文献2(ループ電流監視に基づく領域電力量の管理システム)と比較分析すると、具体
的に以下の内容を含む。
【0066】
引用文献1には、複数ソースデータを取得し、収集した複数ソースデータを洗浄・処理
する洗浄データベースを形成するプロセスが開示されている。ここで、複数ソースデータ
には、マーケティング・ビジネス・アプリケーション・システムデータ、電力消費情報収
集データ及び計測・生産スケジューリング・プラットフォーム・データ(本技術的解決策
のステップS1において、マーケティング電気エネルギー・データ及び使用者の電力消費
収集データを整理した後、データ洗浄技術を利用して電力消費データベースを再構築する
ことに相当)が含まれている。したがって、引用文献1と本技術的解決策との間には、以
下のような区別技術特徴がある。
【0067】
1)ステップS2における容量標準が低い変圧器の特性解析を、電力消費データベース
との特徴マッチングする。
【0068】
(2)ステップS3における特性データベースにおて、線損失率の変動が発生する根本
原因を分析することにより、異常負荷自動診断モジュールを構築する。具体的には、線損
率の変動が発生する根本原因を分析する方法では、まず、線損失率の変動が発生する要因
が偶発的な要因であるか必然的な要因であるかを定義し、線損失率の変動が発生する要因
が必然的な要因であれば、必要なデータ調査を通じて線損失率の変動が発生する根本原因
を確定する。上記の線損失率の変動が発生する要因が偶然的な要因であるか、必要的な要
因であるかを定義する具体的な方法では、分岐線の線損失率の変動については、線損失率
が3日連続で制御線を超えたフィーダ、制御線内で線損失率が3ヶ月連続で同じ方向にず
れたフィーダ、線損失率が長期にわたって不適格になったフィーダは、いずれも必要的な
要因による変動と定義し、分岐ステーションの線損失率の変動については、線損失率が適
格から不適格に変化したステーション、線損失率が不適格から適格に変化しステーション
、制御線内で線損失率が3周期連続して同じ方向にずれたステーション、線損失率が長期
にわたって不適格となったステーションは、いずれも必要的な要因による変動と定義する
。ここで、前記線損失率は、供給電力量のうち、線損失電力が占める割合を線路損失率と
称し、供給電力量と販売電力量の差を用いて計算することができる。具多的な分析は、フ
ィーダについては、線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量の変化を正確に比較する
ことによって疑わしい対象を選別し、線損失の電力量と疑わしい対象の電力量の変化(前
年同期比/リンク相対比)を正確に比較することによって異常対象を確定し、現場での検
出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較することによ
って異常対象をロックする。ステーションについては、ステーション分表の全データを正
確に比較することによって疑わしい対象を選別し、ステーションの線損失率が変化した変
曲点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、
線損失の電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正
確に比較することによって異常対象を確定し、ステーション分表の歴史電力量の傾向を分
析する。
【0069】
3)ステップS4では、異常負荷自動診断モジュールを利用し、データ分析方法により
、不審な変圧器使用者をスクリーニングする。
【0070】
引用文献2には、線損失と線損失率を計算して比較・分析を行い、比較・分析結果に基
づいてデータ表示と早期警告を行うことが開示されている。しかし、引用文献2では、線
損失率が変化した変曲点と使用者が消費した電力の変化との正確な比較には触れていない
ため、本技術的解決策におけるフィーダについて、線損失率が変化した変曲点と使用者の
電力消費変化との正確な比較により疑わしい対象を選別すること、線損失の電力量と疑わ
しい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)との正確な比較により異常対象を
判定すること、現場での検出データとバックグラウンドでリアルタイムで監視したデータ
との正確な比較により異常対象をロックすること、ステーションについては、ステーショ
ン分表の全データを正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、ステーションの
線損失率が変化した変曲点と全三相計器の電力量の変化を正確に比較することによって疑
わしい対象を選別し、線損失の電力量の変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比
/リンク相対比)を正確に比較することによって異常対象を確定し、ステーション分表の
歴史電力量の傾向を分析することが開示されていない。
【0071】
本技術的解決策において、異常負荷自動診断モジュールを構築した後、異常負荷自動診
断モジュールを利用して、データ分析方法により、疑しい変圧器使用者を選別することは
容易に考えられる。
【0072】
上記をまとめると、本技術的解決策は、引用文献1に引用文献2及び常用手段を組合せ
、引用文献1及び引用文献2とは以下のような技術的特徴を有することが分かる。
【0073】
線損失率が変化した変曲点と使用者の電力量の変化を正確に比較することによって疑わ
しい対象を選別し、線損失の電力量と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク
相対比)を正確に比較することによって異常対象を確定し、現場での検出データとバック
グラウンドでリアルタイムで監視したデータを正確に比較することによって異常対象をロ
ックする。ステーションについては、ステーション分表の全データを正確に比較すること
によって疑わしい対象を選別し、ステーションの線損失率が変化した変曲点と全三相計器
の電力量の変化を正確に比較することによって疑わしい対象を選別し、線損失の電力量の
変化と疑わしい対象の電力量の変化(前年同期比/リンク相対比)を正確に比較すること
によって異常対象を確定し、ステーション分表の歴史電力量の傾向を分析する。
【0074】
図4に示すように、本実施形態は、プロセッサ、メモリ及びメモリに記憶され且つプロ
セッサ上で実行されるコンピュータ・プログラムとを備える配電変圧器の容量異常に対す
るビッグデータ・スクリーニング・
方法の操作プラットフォーム装置を提供する。
【0075】
プロセッサは、1つ以上の処理コアを含み、バスを介してメモリに接続される。メモリ
は、プログラム命令を記憶するために使用され、プロセッサは、メモリ内のプログラム命
令を実行する際に、上記の配電変圧器の容量異常に対するビッグデータ・スクリーニング
・方法におけるスクリーニング・グプロセスのステップを実行する。
【0076】
選択的に、メモリは、静的随時アクセスメモリ(SRAM)、電力的に消去可能なプロ
グラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専
用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、読み取り専
用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスクなど、
任意タイプの揮発性または不揮発性記憶装置またはそれらの組み合わせによって実装する
ことができる。
【0077】
また、本発明は、コンピュータ・プログラムを記憶し、コンピュータ・プログラムがプ
ロセッサによって実行される際、上述の配電変圧器の容量異常に対するビッグデータ・ス
クリーニング・方法におけるスクリーニング・プロセスのステップを実行するコンピュー
タ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0078】
選択的に、本発明は、コンピュータ上で操作される際、コンピュータに上述の各態様に
おける配電変圧器の容量異常に対するビッグデータ・スクリーニング・方法におけるスク
リーニング・プロセスのステップを実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品
も提供する。
【0079】
当業者であれば、上記実施形態におけるステップの全てまたは一部を実現するプロセス
は、ハードウェアによって完成されてもよいし、またはプログラムによって関連するハー
ドウェアを完成するように指示することができ、そのプログラムは、コンピュータ読み取
り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、上記に提言された記憶媒体は、読み取り専用メモ
リ、磁気ディスク、または光ディスク等であってもよいことを理解できるであろう。
【0080】
以上、本発明の基本原理、主な特徴及び利点を示し、説明した。当業者であれば、本発
明は上記実施形態によって限定されるものではなく、上記実施形態及び明細書に記載され
ている内容は本発明の好ましい例に過ぎず、本発明を限定するために使用されるものでは
ないこと、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び
改善がなされることができ、これらの変更及び改善はいずれも保護請求される本発明の範
囲に含まれることを理解すべきである。本発明の保護請求の範囲は、添付された特許請求
の範囲及びその均等物によって定義される。