(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法
(51)【国際特許分類】
G06N 99/00 20190101AFI20240620BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20240620BHJP
G06F 18/2321 20230101ALI20240620BHJP
G06F 18/2415 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
G06N99/00 180
A61H1/02 R
G06F18/2321
G06F18/2415
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023079939
(22)【出願日】2023-05-15
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】202310439757.X
(32)【優先日】2023-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】高 一聡
(72)【発明者】
【氏名】王 悦瑾
(72)【発明者】
【氏名】鄭 浩
(72)【発明者】
【氏名】王 彦坤
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115294653(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114366552(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112859868(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110917577(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0004167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 99/00
A61H 1/02
G06F 18/00 - 18/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法であって、
下肢リハビリテーション外骨格の初期歩行を設定し、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得するステップ1)と、
現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、混合ガウスモデルによって歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、歩行クラスタを取得するステップ2)と、
歩行クラスタの効用度を算出し、歩行データベースにおいて対応する歩行の効用度を更新するステップ3)と、
歩行の現在の効用度に基づき、歩行データベースにおける歩行をサンプリングして、サンプリング歩行セットを取得し、さらに、歩行セットから効用度が最も高い歩行を選択するステップ4)と、
現在の効用度が最も高い歩行に基づき、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得し、予定回数まで2)~4)を繰り返し、最終的な歩行に対応する歩行パラメータを最適歩行パラメータとするステップ5)と、を備える、
ことを特徴とする下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項2】
前記ステップ2)は、具体的には、
ベイズ情報量基準により、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にする前及び2倍にした後に対応するベイズ情報量基準演算子を算出し、両者に対して引き算を行って、演算子の差を取得し、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得するステップ2.1)と、
現在の混合ガウスモデルのクラスタの数、及び現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、歩行混合ガウスモデルにより歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、初期歩行クラスタを取得するステップ2.2)と、
最小被覆エリアに基づき、現在の歩行クラスタの被覆エリアを調整することにより、更新された歩行クラスタを最終的な歩行クラスタとして取得するステップ2.3)と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項3】
前記ステップ2.1)において、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得するのは、具体的には、
2倍にする前のベイズ情報量基準演算子から2倍にした後のベイズ情報量基準演算子を減算することにより前記演算子の差を取得し、演算子の差が0よりも小さい場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にしたものを最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数とし、それ以外の場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を変更しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項4】
前記歩行混合ガウスモデルの式は、以下の通りであり、
ただし、Gが歩行混合ガウスモデルを表し、(α
K,θ
K)
(L,H,W,T,f)が歩行混合ガウスモデルにおける第K番目のガウス分布クラスタを表し、Lが歩長であり、Hが歩高であり、Wが歩隔であり、Tが歩行周期であり、fが外骨格-歩行適合度であり、α
Kが第K番目の歩行ガウス分布の確率であり、θ
Kが第K番目の歩行ガウス分布の確率密度関数を表し、Kが混合ガウスモデルのクラスタの数である、
ことを特徴とする請求項2に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項5】
前記ステップ2.3)において、各初期歩行クラスタについて、以下の式により各初期歩行クラスタの被覆エリアを算出し、式は、以下の通りであり、
ただし、Covは、各初期歩行クラスタの被覆エリアを表し、σ
iは、歩行クラスタの第i次元の標準偏差を表し、Nは、歩行パラメータの次元を表し、
現在の歩行クラスタの被覆エリアが最小被覆エリアよりも小さい場合、現在の最小被覆エリアを現在の歩行クラスタの被覆エリアとして、現在の歩行クラスタを更新し、それ以外の場合、現在の歩行クラスタの被覆エリアを変更しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項6】
前記最小被覆エリアの計算式は、以下の通りであり、
ただし、minThは、最小被覆エリアであり、Thは、現在の最小被覆エリアであり、dは、収束率であり、tは、反復回数である、
ことを特徴とする請求項5に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項7】
前記歩行パラメータは、歩長、歩隔、歩高、及び、歩行周期を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項8】
前記ステップ3)において、歩行クラスタを多腕バンディッドアルゴリズムの各腕とし、多腕バンディッドアルゴリズムにより歩行クラスタに対応する効用度を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【請求項9】
前記ステップ3)の多腕バンディッドアルゴリズムにおいて、歩行クラスタの効用度の計算式は、以下の通りであり、
ことを特徴とする請求項8に記載の下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーションロボットの技術分野における骨格の歩行歩行パラメータの最適化方法に関し、具体的に、下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脊髄損傷や脳卒中の患者が中枢神経系の損傷により3年間の病後でも50mを自力で歩けるように回復できるのは、わずか3~10%に過ぎない。長期間的・標準的・科学的なリハビリテーション運動訓練によって、関連の神経系機能領域が再構築でき、患者が自己運動能力を再取得できる。中国は、急速に超高齢化社会に突入しており、障害者および準障害者の高齢者のためリハビリテーション設備及び基本的なリハビリテーションサービスが必要である。下肢リハビリテーション外骨格は、理学療法士に頼ることなく患者に対して体系的なリハビリテーション訓練を行うことができ、歩行の設計が下肢リハビリテーション外骨格の肝心的な技術の一つである。歩行は、下肢リハビリテーション外骨格が装着者を歩行させる軌跡であり、患者に対する個別的な歩行の設計は、リハビリテーション訓練の効率を向上させて下肢の回復を早めることに対して重要な役割を果たす。
【0003】
しかし、従来の技術では、個別的な歩行パラメータに対する考慮が欠如している。患者ごとに脚部・手足構造のパラメータが異なり、運動機能障害の程度にも個別的な差があるため、理想的なリハビリテーション効果が達成できるのは、患者ごとに対して効果的な歩行の最適化方法を採用した場合だけである。患者の身体特徴パラメータのみに基づいて歩行を生成すると、歩行パラメータに対する利用者の好み程度を十分に反映することができないため、歩行に対する利用者の好みのフィードバック情報により利用者の歩行パラメータの最適化を完了する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、背景技術に記載の課題を解決するために、下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法を提案する。外骨格の歩行を定量化し、歩行及び外骨格-歩行の適合度に基づき混合ガウスモデルによって歩行をクラスタリングし、多腕バンディッドアルゴリズムによって歩行の有用度を算出することにより、利用者のニーズが歩行で満たされる事後確率を予測し、歩行パラメータを最適化する。本発明は、利用者のニーズが満たされる下肢外骨格の歩行パラメータを予測でき、計算コストが低く、収束速度が速く、ロバスト性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る技術案は、上記目的を達成するために、
【0006】
下肢リハビリテーション外骨格の初期歩行を設定し、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得するステップ1)と、
【0007】
現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、混合ガウスモデルによって歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、歩行クラスタを取得するステップ2)と、
歩行クラスタの効用度を算出し、歩行データベースにおける対応の歩行の効用度を更新するステップ3)と、
【0008】
歩行の現在の効用度に基づき歩行データベースにおける歩行をサンプリングして、サンプリング歩行セットを取得し、さらに、歩行セットから効用度が最も高い歩行を選択するステップ4)と、
【0009】
現在の効用度が最も高い歩行に基づき、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得し、予定回数までステップ2)~4)を繰り返し、最終的な歩行に対応する歩行パラメータを最適歩行パラメータとするステップ5)と、を備える。
前記ステップ2)は、具体的には、
【0010】
ベイズ情報量基準を用いて、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にする前後で、対応するベイズ情報量基準演算子を算出し、両者の差を算出した後、演算子の差を取得し、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得するステップ2.1)と、
【0011】
現在の混合ガウスモデルのクラスタの数、及び、現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、歩行混合ガウスモデルを用いて、歩行データベース内の歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、初期歩行クラスタを取得するステップ2.2)と、
【0012】
最小被覆エリアに基づき、現在の歩行クラスタの被覆エリアを調整することにより、更新された歩行クラスタを、最終的な歩行クラスタとして取得するステップ2.3)と、を備える。
前記ステップ2.1)において、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得するステップは、具体的には、
【0013】
2倍にする前のベイズ情報量基準演算子から、2倍にした後のベイズ情報量基準演算子を減算することにより、前記演算子の差を取得し、演算子の差が0よりも小さい場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にしたものを最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数とし、それ以外の場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を変更しないことである。
【0014】
前記歩行混合ガウスモデルの式は、以下の通りであり、
【0015】
ただし、Gが歩行混合ガウスモデルを表し、(αK,θK )(L,H,W,T,f)が歩行混合ガウスモデルにおける第K番目のガウス分布クラスタを表し、Lが、歩長であり、Hが、歩高であり、Wが歩隔であり、Tが歩行周期であり、fが外骨格-歩行適合度であり、αKが第K番目の歩行ガウス分布の確率であり、θKが第K番目の歩行ガウス分布の確率密度関数を表し、Kが混合ガウスモデルのクラスタの数である。
【0016】
前記ステップ2.3)において、各初期歩行クラスタについて、以下の式により各初期歩行クラスタの被覆エリアを算出する。式は、以下の通りである。
ただし、Covが各初期歩行クラスタの被覆エリアを表し、σ
iが歩行クラスタの第i次元の標準偏差を表し、Nが歩行パラメータの次元を表する。
【0017】
現在の歩行クラスタの被覆エリアが、最小被覆エリアよりも小さい場合、現在の最小被覆エリアを現在の歩行クラスタの被覆エリアとして、現在の歩行クラスタを更新する。それ以外の場合、現在の歩行クラスタの被覆エリアを変更しない。
【0018】
前記最小被覆エリアの計算式は、以下の通りである。
ただし、minThが最小被覆エリアであり、Thが現在の最小被覆エリアであり、dが収束率であり、tが反復回数である。
前記歩行パラメータは、歩長、歩隔、歩高、及び歩行周期を含む。
【0019】
前記ステップ3)において、歩行クラスタを多腕バンディッドアルゴリズムの各腕とし、多腕バンディッドアルゴリズムにより歩行クラスタに対応する効用度を算出する。
【0020】
前記ステップ3)の多腕バンディッドアルゴリズムにおいて、歩行クラスタの効用度の計算式は、以下の通りであり、
【0021】
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下のような有益効果を有する。
本発明は、利用者の需要が満たされる下肢外骨格の歩行パラメータを予測でき、計算コストが低く、収束速度が速く、ロバスト性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法の詳細的なフローチャートである。
【
図2】
図2は、歩行の歩長及び歩隔パラメータの模式図である。
【
図3】
図3は、歩行の歩高及び歩行周期パラメータの模式図である。
【
図4】
図4は、下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法の全体的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の目的、技術案および利点をより明確にするために、添付の図面および実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例が本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことは、理解すべきである。また、以下に説明される本発明に係る各実施形態に関する技術特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
本発明は、
図1及び
図4に示すように、以下のステップを備える。
【0025】
1)下肢リハビリテーション外骨格の初期歩行を設定し、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得する。具体的な実施では、現在の歩行での外骨格に対する利用者の主観評価を外骨格-歩行の適合度とする。ただし、外骨格-歩行の適合度は、数値型である。
【0026】
本実施例では、初期実験の歩行に合計8つの群があり、その結果が表1に示される。
【0027】
【0028】
2)現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、混合ガウスモデルによって歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、歩行クラスタを取得する。ただし、各群の歩行に対応する歩行パラメータは、
図2及び
図3に示すように、歩長、歩隔、歩高、及び、歩行周期を含む。
2)は、具体的に、以下の通りである。
【0029】
2.1)ベイズ情報量基準を用いて、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数の2倍にする前後で、対応するベイズ情報量基準演算子を算出し、両者差を算出した後、演算子の差を取得し、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得する。
2.1)において、演算子の差に基づき調整して最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数を取得するのは、具体的には、
【0030】
2倍にする前のベイズ情報量基準演算子から、2倍にした後のベイズ情報量基準演算子を減算することにより、演算子の差を取得する。即ち、ΔBIC=BICK-BIC2K、ただし、BICKが2倍にする前のベイズ情報量基準演算子を表し、BIC2Kが2倍にした後のベイズ情報量基準演算子を表す。演算子の差ΔBICが0よりも小さい場合は、既存のクラスタの数が足りずモデルを正確に適合させることができないことを示す。その場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にしたものを、最終的な混合ガウスモデルのクラスタの数とする。それ以外の場合、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を変更せず、即ち、Kに維持する。
【0031】
本実施例では、現在の混合ガウスモデルのクラスタの数を2倍にする前及び2倍にした後に対応するベイズ情報量基準演算子の計算式は、以下の通りであり、
ΔBIC>0とは、既存のクラスタの数が足りてモデルを正確に適合できることを意味し、クラスタの数を増加する必要がない。
【0032】
2.2)現在の混合ガウスモデルのクラスタの数、及び、現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、歩行混合ガウスモデルを用いて、歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、初期歩行クラスタを取得する。
【0033】
【0034】
【0035】
期待値最大化アルゴリズムにより歩行混合ガウスモデルのパラメーターを解く。
【0036】
2.3)最小被覆エリアに基づき現在の歩行クラスタの被覆エリアを調整することにより、更新された歩行クラスタを最終的な歩行クラスタとして取得する。
【0037】
各初期歩行クラスタについて、以下の式により各初期歩行クラスタの被覆エリアを算出する。式は、以下の通りである。
ただし、Covが各初期歩行クラスタの被覆エリアを表し、σ
iが歩行クラスタの第i次元の標準偏差を表し、Nが歩行パラメータの次元を表す。
【0038】
歩行パラメータの最適化過程の初期では、サンプリング点の数が少ないため、モデルの適合が正確ではない。現在の歩行クラスタの被覆エリアが最小被覆エリアよりも小さい場合、未知の領域を探索できない可能性がある。この時、ガウスモデルの被覆エリア最小値を制限すべきであり、即ち、現在の最小被覆エリアを現在の歩行クラスタの被覆エリアとして、現在の歩行クラスタを更新する。それ以外の場合、現在の歩行クラスタの被覆エリアを変更しない。
【0039】
ただし、minThが最小被覆エリアであり、Thが現在の最小被覆エリアであり、dが収束率であり、tが反復回数である。
【0040】
本実施例では、歩行クラスタの被覆エリア及び最小被覆エリアの計算式は、以下の通りであり、
初期最小被覆エリアThが1.25e-5であり、収束率が0.8である。
【0041】
Cov<minThのため、モデルの分散を修正し、最小分散がlog51e-5=0.1であり、修正後分散が[0.1,0.1,0.1,0.1,46.4]である。
3)歩行クラスタの効用度を算出し、歩行データベースにおける対応の歩行の効用度を更新する。
【0042】
歩行クラスタを多腕バンディッドアルゴリズムの各腕とし、多腕バンディッドアルゴリズムにより歩行クラスタに対応する効用度を算出する。歩行クラスタの効用度の計算式は、以下の通りであり、
【0043】
【0044】
4)歩行データベースにおける歩行をサンプリングし続け、明らかに利用者の満足・期待に達さない歩行をプルーニングアルゴリズムによって除外することで、探索範囲を徐々に縮小し、収束の進行を加速する。歩行の現在の効用度に基づき歩行データベースにおける歩行をサンプリングして、サンプリング歩行セットを取得し、さらに、歩行セットから効用度が最も高い歩行を選択する。具体的な式は、以下の通りであり、
【0045】
5)現在の効用度が最も高い歩行に基づき、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得し、予定回数までに2)~4)を繰り返し、最終的な歩行に対応する歩行パラメータを最適歩行パラメータとする。
本実施例では、サンプリング歩行セットが表2に示される。
【0046】
【0047】
計算結果によって、第2群の歩行が現在の利用者により適しているため、1.37mの歩長、0.12mの歩高、0.20mの歩隔、1.08sの歩行周期を次回の歩行パラメータとする。
上記具体的な実施例は、本発明の原理及びその効果を説明するための例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者にとっては、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく上述の実施例を修正・変更することができる。したがって、本発明に開示の精神及び技術思想から逸脱することなくなされた全ての同等的な修正・変更は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれるものである。
【要約】 (修正有)
【課題】下肢リハビリテーション訓練用の外骨格の歩行パラメータの最適化方法を提供する。
【解決手段】方法は、まず、下肢リハビリテーション外骨格の初期歩行を設定し、利用者が下肢リハビリテーション外骨格を装着して歩行実験を行った後、現在の歩行での外骨格-歩行の適合度を取得し、また、現在の歩行実験が行われた歩行に対応する外骨格-歩行の適合度に基づき、混合ガウスモデルによって歩行データベースにおいて歩行実験が行われた歩行をクラスタリングし、歩行クラスタを取得し、歩行データベースにおける対応の歩行の効用度を更新し、そして、歩行データベースにおける歩行をサンプリングして、サンプリング歩行セットを取得し、さらに、歩行セットから効用度が最も高い歩行を選択し、歩行を最適化し続けた後、最後に、最終的な歩行に対応する歩行パラメータを最適歩行パラメータとする。
【選択図】
図1