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  • 特許-居住車両用駐車場 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】居住車両用駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/02 20060101AFI20240620BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20240620BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E04H6/02 A
E04H1/12 A
E04H1/12 307
E04H1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024024135
(22)【出願日】2024-02-20
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594126377
【氏名又は名称】土橋 義英
(72)【発明者】
【氏名】土橋 義英
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-203177(JP,A)
【文献】特開平06-299719(JP,A)
【文献】特開2016-044515(JP,A)
【文献】特開2005-061112(JP,A)
【文献】実開平05-017098(JP,U)
【文献】特開2013-165632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
E04H 1/02-1/04,1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居室を伴わない車庫を備え、且つ前記車庫は車両内の空間を居住空間とする居住車両を入庫させる車庫であり、且つ前記各車庫用の郵便受けを備え、且つ前記各車庫に隣接して設置するための前記各車庫用の物置が設置可能であり、且つ前記車庫と接続され、水回りの施設が設置された共同棟を備えることを特徴とする居住車両用駐車場。
【請求項2】
前記車庫から前記車庫用の物置に直接移動できるように出入り口を設けた請求項1の居住車両用駐車場。
【請求項3】
請求項1の居住車両用駐車場を多数運営し、前記各車庫用の物置を利用者が引っ越しの時に、前記運営する他の居住車両用駐車場の車庫に移設可能とした居住車両用駐車場システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数以上の車庫を備え、各前記車庫用の郵便受け、および水回りの設備、および物置を備えることを特徴とした車両内の空間を居住空間とする車両用の駐車場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
完全自動運転車が実用化された時、人は運転という作業から解放される。また、運転席がなくなり車内のスペースを広くとることが可能となる。長距離を走る車両であれば移動時間を快適に過ごすため内部空間が部屋のようなモデルが開発されても不思議ではなく、ほぼ車内のみで生活できるようになる。しかし、現在日本の法律において車両を住所として登録することはできない。そこで、内部空間が部屋のような車両に住所として登録できる駐車場を設けて提供する。現在、内部空間が部屋のような車両としてキャンピングカーがあり、キャンピングカーで生活しているひとも少なからず存在している。キャンピングカーで生活している人は住所を親類か知人の家で登録している。現在キャンピングカーで生活する人は主に旅をする人であり、月極料金を払って定位置の駐車場を契約するメリットは少ない。しかし、内部空間が部屋のような完全自動運転車を求める人の多くは、仕事を持ち、尚且つある程度一か所に定住する人であると予想される。本発明は完全自動運転車が実用化した後を想定したものであるが、人が運転する乗用車でも利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-162591号
【文献】韓国公開特許第10-2021-0047580号
【文献】特開2010-203177号
【文献】実願平03-067605号
【文献】特開2006-118218号
【文献】特開平06-299719号
【文献】特開平06-047519号
【文献】特開平05-094468号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所得が少ない者にとって住居と自動車を両方所有することは難しい。現在日本の法律において車両を住所として登録することはできないので、住居と自動車の二択ならば住居が選択される。そうなると交通の便の良い都会に人が集中して田舎から人が流出する傾向に歯止めがかからなくなる。本発明は内部空間が部屋のような完全自動運転車に住所とプライバシーを提供する。本発明の施設を全国の各地に設けることで、所得の少ない者にも住居と自動車を所有することができ、人流を起こすことで経済を活性化しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、居住車両用駐車場において請求項1に係るものは、複数の居室を伴わない車庫を備え、且つ前記車庫は車両内の空間を居住空間とする居住車両を入庫させる車庫であり、且つ前記各車庫用の郵便受けを備え、且つ前記各車庫に隣接して設置するための前記各車庫用の物置が設置可能であり、且つ前記車庫と接続され、水回りの施設が設置された共同棟を備えることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に係るものは、請求項1に係るものにおいて、前記車庫から前記車庫用の物置に直接移動できるように出入り口を設けたものである。
【0007】
請求項3に係るものは、請求項1に係るものにおいて、請求項1の居住車両用駐車場を多数運営し、前記各車庫用の物置を利用者が引っ越しの時に、前記運営する他の居住車両用駐車場の車庫に移設可能とした居住車両用駐車場システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されており、以下に記載されるような効果を有する。 請求項1に係る仕組みを用いた場合、車両内で生活するための設備を提供することができる。既存の駐車場と異なる点は、利用者が車庫内に駐車した車両内で生活することを前提としている点である。車庫があることで無断駐車されることがなるなる。また、プライバシーの確保や環境音を遮断や断熱のためにも車庫は必要である。
【0009】
各利用者の住所をトイレなどが設置されている共同棟の住所で登録ができる。郵便受けは各車庫に設置してもよいし共同棟に設置してもよい。本発明は不特定多数の人が利用する駐車場やモーテルと異なる。郵便受けは利用者が長期定住するために必要な設備である。
【0010】
生活する上で、水回りの設備が不可欠であるが、各車庫に水回りの設備を備えるとコストがかさんでしまう。賃貸料が高くなると居住車両用駐車場にメリットを感じなくなってしまう。なので、水回りの設備は共同棟に設置することでコストを下げる。トレイは必須であるがキッチンや風呂は必須ではない。また、風雨などでも安全に移動できるように各車庫と共同棟を連結する廊下はあった方がよい。また、共同棟に管理者を置いて各設備のメンテナンスをさせてもよい。利用者の中から管理者を選んでその者の賃貸料を値引きしてもよい。
【0011】
車庫内には収納棚などを設置してもよい。ただし部屋は不要である。寝室などの部屋があれば便利であるが床面積として課税対象となり料金が高くなってしまう。
【0012】
人が生活していると消費活動などで、所有する物品が増える。そのため物品を保管しておく物置が必要になる。車を停めておくためだけの駐車場に物置は必要ないが、居住車両用駐車場に物置はあった方が便利である。そのため各車庫用の物置を設置可能にするのがよい。
【0013】
本発明は主に完全自動運転車が実用化された後を想定している。完全自動運転車であれば、通勤時間に2~3時間かかるような場所であっても、寝ている間に会社に移動して会社の駐車場についてから朝食を摂り着替えて出勤したり、退勤後、即自室で過ごすことが可能となり、遠距離通勤というデメリットを無くすことができる。
【0014】
現在すでにある車両も利用可能である。ただし、ガソリン車であれば車庫に換気扇などを備えないと酸欠の危険性がある。また、生活空間である車内が狭いとエコノミー症候群を発症する危険性があるので、キャンピングカーのような車両が望ましい。

【0015】
特許文献6、特許文献7、特許文献8のように駐車場に物置を備えた発明は存在しているが、人が生活す拠点として必要な水回りの設備や郵便受けがないように本発明とは異なるものである。
【0016】
請求項2に係る仕組みを用いた場合、車庫から車庫用の物置に直接移動できるように出入り口を設けることにより、外に出ることなく物置への物品移動が可能になる。この場合、車庫に物置への専用出入り口を設け、物置の出入り口と位置を合わせる必要がある。
【0017】
請求項3に係る仕組みを用いた場合、各車庫用の物置を利用者が引っ越しの時に同じ運営母体が運営する他の居住車両用駐車場の車庫に移設可能となり、引っ越しの時にわざわざ物置の中身を移動させる必要がなくなり、引っ越しの利便性が上がる。
【0018】
車両を居住空間とすることのメリットとして引っ越しの容易さがある。しかし、荷物が多いと荷造りが手間になり引っ越しの容易さが低くなる。そこで、物置ごと引っ越しすれば、その手間を省くことができる。そのためには、容易に移動設置可能な物置の規格を定め、その物置を設置可能な居住車両用駐車場を多数運営する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】発明を実施するための形態を示す見取り図である。
図2】発明を実施するための形態を示す見取り図の一部である。
図3】発明を実施するための形態を示す上面図である。
図4】発明を実施するための形態を示す見取り図の一部である。
図5】発明を実施するための形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を図1図5に基づいて説明する。図1は居住車両用駐車場の見取り図である。車庫(2)が5つあり、各車庫(2)には車両(1)を駐車することができる。各車庫(2)には物置(3)が併設されている。各車庫(2)は廊下(6a)で共同棟に接続される。共同棟(18)にはトイレ(4)、洗面台(7)、ランドリースペース(5)、管理室(9)、廊下(6b)、玄関(8)が備わっている。共同棟の床は土間であってもよい。バスルームがあってもよいが、付近に銭湯などがあるなら不要と思われる。また近所にコインランドリーがあるならば、ランドリースペース(5)は不要と思われる。トイレ(4)の数が車庫(2)の数より少なくする場合はトイレ(4)の空き状況をスマートフォンなどで確認できるような仕組みを備えるとよい。
【0021】
図2図1における車庫(2)の部分の拡大図である。車庫(2)内には車両(1)が駐車されている。車庫(2)の脇には物置(3)が設置されている。車庫(2)内には車両(1)を出し入れするためのシャッター(16)が備えられ、利用者が廊下(6a)に出入りするための引き戸(13)が備えられている。車庫(2)の左右には一方に窓(11)、もう一方には高窓(12)を備えることで、隣人からの視線が直接合わないようにしている。収納棚(14)が設置できるように車庫(2)内のスペースは車両(1)の幅よりもかなり大きくとられている。シャッター(16)の脇に郵便受け(17)が備えられているが、共同棟に備えても良い。本発明は主に電動自動車での利用を想定しているので車庫(2)内に車両用充電装置(15)が備えられている。もし、ガソリン車などを駐車させる場合は換気設備が必要である。
【0022】
図3図1の上面図である。物置を車庫とは別契約でレンタルする場合の一例であり、物置(3a)が設置されている車庫(2a)と、物置(3a)が設置されていない車庫(2b)がある。利用されていない物置(3b)は敷地(10)の物置置き場(20)に置かれている。利用していない物置を物置置き場(20)に保管することにより、他の居住車両用駐車からの物置を設置するのが容易になる。物置は車庫に併設せずに物置置き場(20)に置いて利用してもよい。使用していない物置(3b)は同じ運営母体が運営する他の居住車両用駐車の物置が無い場合に移転してもよい。この運用方法により同じ運営母体の居住車両用駐車の間で物置が融通できるので、居住車両用駐車を多数運営する場合、利用されていない物置の在庫数を減らすことができる。
【0023】
図4図1における車庫(2)の部分の拡大図であり、車庫(2)から直接物置(3)に出入り可能にするための例である。車庫(2)の脇には物置(3)が設置されている。車庫(2)には、物置(3)へ出入りするための引き戸(13b)があり、物置(3)には車庫(2)へ出入りするための引き戸(13c)がある。引き戸(13b)と引き戸(13c)は隣接している。
【0024】
図5図1を立体にした斜視図である。共同棟(18)に接続された廊下(6b)に車庫(2)が接続され、車庫(2)の脇には物置(3)が設けられている。車両(1)は居住性の高いキャンピングカーのような車両が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の車庫に駐車する車両が完全自動運転車であれば、通勤時間に2~3時間かかるような場所であっても、寝ている間に会社に移動して会社の駐車場についてから朝食を摂り着替えて出勤したり、退勤後、即自室で過ごすことが可能となり、遠距離通勤というデメリットを無くすことができるので、駅から遠い場所であっても居住地としての需要が生まれる。
【0026】
本発明の施設が日本全国に広まれば、リモート勤務などで出勤の必要がない人にとっても引っ越しが極めて容易というメリットが生まれる。例えば季節によって定住地を変えるということが可能となり、暑さが苦手な人は夏は北に移動し、寒さが苦手な人は冬は南に移動することでエアコンに掛かるエネルギーを減らすことができる。
【0027】
通常、引っ越しするともなれば今住んでいる住居を処分しなければならないので、おいそれと引っ越しはできない。過疎化に苦しむ地方自治体が様々な特典を設けて移住を呼び掛けても応じる人は多くない。しかし、本発明の施設であれば、試しに住んでもらうということが容易に出来る。また、移住でなくとも別荘感覚で週末だけでも滞在してもらうということも出来、都会から地方へと人の流れを促すことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 車両
2 車庫
2a 車庫
2b 車庫
3 物置
4 トイレ
5 ランドリースペース
6a 廊下
6b 廊下
7 洗面台
8 玄関
9 管理室
10 敷地
11 窓
12 高窓
13 引き戸
13a 引き戸
13b 引き戸
13c 引き戸
14 収納棚
15 車両用充電装置
16 シャッター
17 郵便受け
18 共同棟
19 道路
20 物置置き場
【要約】
本発明は車両内部を生活空間として利用する者に住所とプライバシーを提供する居住車両用駐車場である。
【課題】 複数の居室を伴わない車庫を備え、且つ前記車庫は車両内の空間を居住空間とする居住車両を入庫させる車庫であり、且つ前記各車庫用の郵便受けを備え、且つ前記各車庫に隣接して設置するための前記各車庫用の物置が設置可能であり、且つ前記車庫と接続され、水回りの施設が設置された共同棟を備えることを特徴とする
【解決手段】
【選択図】 図
図1
図2
図3
図4
図5