(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】衣服用液体散布装置及び空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A41D13/005 106
(21)【出願番号】P 2020060081
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039120(JP,A)
【文献】特開2019-208798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0170309(US,A1)
【文献】特開2017-020140(JP,A)
【文献】特開2019-060052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0031428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/002-13/005
A61F7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留される容器と、
前記容器に一端側が接続されているチューブと、
前記チューブの他端側に向けて前記容器内の液体を送出する送液部と、
前記チューブに取り付けられており、前記チューブを通じて送液された液体を噴出する
複数の液体噴出部と、
前記液体噴出部
の各々に設けられ、衣服の内側に装着するための装着手段と、
を備えたことを特徴とする衣服用液体散布装置。
【請求項2】
前記チューブは、複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の衣服用液体散布装置。
【請求項3】
前記液体噴出部には、液体を噴霧可能なスプレーノズルが取り付けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の衣服用液体散布装置。
【請求項4】
前記装着手段は、前記衣服の内側に着用されるベストであることを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置。
【請求項5】
前記送液部は、手動操作によって前記容器内の圧力を上げるための操作部を備えており、前記操作部の操作に応じて前記容器内の液体を送出するように構成されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置。
【請求項6】
前記衣服内の温度と湿度の少なくとも一方を測定するセンサーと、前記センサーが測定した測定値が所定の値を超えたか否か判断する制御部と、を備え、
前記送液部は、前記制御部によって前記測定値が所定の値を超えたと判断された場合に、前記容器内の液体を所定量送出するポンプを備えていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置。
【請求項7】
前記衣服は、その衣服内に空気を流通させるためのファンが配設されている空調衣服であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置。
【請求項8】
衣服内に空気を流通させるためのファンが配設されている空調衣服であって、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置が装着されていることを特徴とする空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の内側に水などの液体を散布し、その液体の気化熱により衣服内を冷却する衣服用液体散布装置と、衣服用液体散布装置を備えた空調衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両端部が貯水タンクに接続されている樹脂製のパイプが衣服本体に蛇行させるように取り付けられ、ポンプによってパイプ内に水を流通させるようにした冷却衣服が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この冷却衣服のパイプには複数の小孔が形成されており、小孔から少量ずつ滲み出した水が衣服本体に浸み込み、その浸み込んだ水が蒸発する際の気化熱によって、冷却衣服の着用者の体が冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の冷却衣服の場合、パイプの一端から他端に水を流通させるようにポンプを作動させて、適量の水をパイプの小孔から滲出させるようにする調整が困難であった。
例えば、ポンプの圧力が弱すぎると、パイプの他端側の小孔から水が滲出しなかったり、ポンプの圧力が強すぎると、パイプの一端側の小孔からより多くの水が滲出してしまったりするので、パイプを通じて衣服全体にバランスよく水を浸み込ませることができず、着用者の体を好適に冷却できないことがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、気化熱によって好適に衣服内を冷却することができる衣服用液体散布装置と、その衣服用液体散布装置を備えた空調衣服を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、衣服用液体散布装置であって、
液体が貯留される容器と、
前記容器に一端側が接続されているチューブと、
前記チューブの他端側に向けて前記容器内の液体を送出する送液部と、
前記チューブに取り付けられており、前記チューブを通じて送液された液体を噴出する複数の液体噴出部と、
前記液体噴出部の各々に設けられ、衣服の内側に装着するための装着手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衣服用液体散布装置において、
前記チューブは、複数設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衣服用液体散布装置において、
前記液体噴出部には、液体を噴霧可能なスプレーノズルが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置において、
前記装着手段は、前記衣服の内側に着用されるベストであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置において、
前記送液部は、手動操作によって前記容器内の圧力を上げるための操作部を備えており、前記操作部の操作に応じて前記容器内の液体を送出するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置において、
前記衣服内の温度と湿度の少なくとも一方を測定するセンサーと、前記センサーが測定した測定値が所定の値を超えたか否か判断する制御部と、を備え、
前記送液部は、前記制御部によって前記測定値が所定の値を超えたと判断された場合に、前記容器内の液体を所定量送出するポンプを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置において、
前記衣服は、その衣服内に空気を流通させるためのファンが配設されている空調衣服であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、
衣服内に空気を流通させるためのファンが配設されている空調衣服であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の衣服用液体散布装置が装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、気化熱によって好適に衣服内を冷却することができる衣服用液体散布装置と空調衣服が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1の衣服用液体散布装置を示す概略図である。
【
図2】衣服用液体散布装置の液体噴出部を示す拡大斜視図である。
【
図3】実施形態1の衣服用液体散布装置を使用する態様を示す説明図(a)(b)である。
【
図4】実施形態1の衣服用液体散布装置を使用する態様の変形例を示す説明図である。
【
図5】実施形態2の衣服用液体散布装置を示す概略図である。
【
図6】実施形態2の衣服用液体散布装置を使用する態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る衣服用液体散布装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の衣服用液体散布装置100は、例えば、
図1~
図3に示すように、液体が貯留される容器10と、容器10に一端側が接続されているチューブ20と、チューブ20の他端側に向けて容器10内の液体を送出する送液部30と、チューブ20に取り付けられており、チューブ20を通じて送液された液体を噴出する噴出孔41を有する液体噴出部40と、液体噴出部40を衣服1の内側に装着するための装着手段50等を備えている。
【0017】
容器10は、例えば、樹脂製のボトルであり、水などの液体を貯留している。
【0018】
チューブ20は、例えば、樹脂製の管状部材(チューブ部材、ホース部材、パイプ部材など)であり、液体を容器10から液体噴出部40に送液するために設けられている。
実施形態1の衣服用液体散布装置100には、略T字形状を呈する4本のチューブ20が設けられている。
このチューブ20の一端側が送液部30を介して容器10に接続されている。
また、二股に分岐された態様のチューブ20の他端側の端部に液体噴出部40が取り付けられている。
【0019】
送液部30は、例えば、容器10の開口部に螺着されており、その容器10内の液体がこぼれないように開口部を塞ぐ蓋体としての機能も有している。
この送液部30は、手動操作によって容器10内の圧力を上げるため、操作部としてのハンドル31を備えている。
このハンドル31を握ると容器10内の圧力が上がり、容器10内の液体がチューブ20に送出されて、液体噴出部40に送液される。
例えば、ハンドル31を1回握ったことで、液体噴出部40の噴出孔41から所定量の液体が噴出されるようになっている。
つまり、送液部30のハンドル31の操作に応じて容器10内の液体を送出し、液体噴出部40の噴出孔41から液体を噴出させることができる。
なお、手動操作によって容器10内の圧力を上げるための操作部はハンドル31であることに限らず、例えば、レバーやボタンなどであってもよい。
【0020】
液体噴出部40は、例えば、
図2に示すように、中空の箱体である噴出部本体40aと、噴出部本体40aに配設されており、液体を噴霧可能な噴出孔41を有するスプレーノズルと、液体噴出部40をチューブ20に繋ぐための連結口40bと、を備えている。
液体を噴霧可能な噴出孔41を有するスプレーノズルが液体噴出部40に取り付けられていれば、液体噴出部40から衣服1の内側に散布した液体が気化(蒸発)し易いので好ましい。
実施形態1の液体噴出部40には、スプレーノズルが4つ取り付けられており、液体噴出部40の表面側に4つの噴出孔41が設けられている。
また、実施形態1の衣服用液体散布装置100の場合、T字形状を呈するチューブ20に2つずつ液体噴出部40が取り付けられており、8つの液体噴出部40を備えている。
【0021】
また、液体噴出部40の裏面側には、装着手段として機能する面ファスナー50が設けられている。
ここでの面ファスナー50には、衣服1の裏地(例えば、パイル)に係着可能なオス型面ファスナー(面ファスナーのA面)を用いている。
なお、衣服1の裏地に面ファスナー50(オス型面ファスナー)を係着させることができない(あるいは係着させても外れ易い)場合には、予め衣服1の裏地にメス型面ファスナー(面ファスナーのB面)を縫着しておくようにする。
【0022】
次に、実施形態1の衣服用液体散布装置100の使用方法について説明する。
まず、
図3(a)(b)に示すように、衣服1に衣服用液体散布装置100を装着する。
具体的には、装着手段である面ファスナー50(オス型面ファスナー)を衣服1の裏地(あるいは裏地に縫着したメス型面ファスナー)に係着させるようにして、液体噴出部40を衣服1の内側に装着する。
この衣服用液体散布装置100の場合、例えば、衣服1の前身頃側に液体噴出部40を4つ装着し、衣服1の後身頃側に液体噴出部40を4つ装着するようにする。
面ファスナー50(装着手段)によって液体噴出部40が装着されている衣服1を着用した場合、液体噴出部40の噴出孔41が着用者の身体側に向けられており、噴出孔41から着用者の身体側に向けて液体を噴出可能になっている。
なお、衣服用液体散布装置100が装着された衣服1を着用した際、その装置100の容器10は衣服やズボンのポケットに収納しておくようにする。また、容器10を所定のホルダーに収め、そのホルダーをズボンのベルト(或いはベルトループ)に留めて吊るすようにしてもよい。
【0023】
そして、衣服用液体散布装置100が装着された衣服1を着用しているユーザー(着用者)が暑さや蒸れを感じた場合、装置100の送液部30のハンドル31を握って、液体噴出部40の噴出孔41から液体を噴出させ、衣服1の内側に液体を散布する。
こうして衣服1の内側に散布された液体の気化熱によって、衣服1内を冷却することができる。
特に、この衣服用液体散布装置100の場合、送液部30のハンドル31の操作に応じて、液体噴出部40の噴出孔41から液体を噴出させることができるので、衣服1の内側に散布する液体の量を調整し易く、気化熱による冷却を容易に調整することができる。
例えば、ハンドル31を1回握る操作で散布する液体量が少ないと感じるユーザーであれば、ハンドル31を複数回握る操作によってより多くの液体を散布し、その液体の気化熱による冷却を行うことができる。
【0024】
なお、衣服用液体散布装置100が装着された衣服1を着用する場合、着用者は予め吸水性のよい肌着や下着を着用し、その上から衣服用液体散布装置100が装着された衣服1を着用することが好ましい。なお、その肌着や下着は身体に密着するものが好ましい。
液体噴出部40の噴出孔41から噴霧された液体が身体に直接かかるよりも、噴霧された液体が吸水性のよい生地(肌着や下着の生地)にかかって浸み込み、浸み込んだ液体が生地に拡散される方が気化し易いので、その気化熱による冷却効率が向上する。
例えば、水を噴霧した場合、100ccの水の気化熱によって580kcalもの熱を身体から奪って冷却することができる。
なお、容器10に貯留して噴霧する液体は水に限らない。
例えば、アルコール(例えば、エタノール)を水で希釈した液を容器10に貯留しておき、その液を衣服1の内側に噴霧するようにしてもよい。この場合、アルコールの気化熱によって冷却効率が向上したり、アルコールによる衣服1内の抗菌防臭効果が得られたりする。
また、ミントなどの香料を添加した水溶液を衣服1の内側に噴霧するようにしてもよい。
【0025】
このように、実施形態1の衣服用液体散布装置100を使用し、衣服用液体散布装置100が装着されている衣服1を着用するようにすれば、ユーザー(着用者)が所望するタイミングに衣服1の内側に水などの液体を散布し、その液体の気化熱によって好適に衣服1内を冷却することができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図4に示すように、衣服用液体散布装置100が装着されている衣服1が、その衣服1内に空気を流通させるためのファン2が配設されている空調衣服であることが好ましい。
空調衣服は、衣服1に配設されているファン2によって、身体又は下着の表面と略平行に大量の外気を流通させることにより身体から出た汗を蒸発させて、身体を冷却する機能を有している。
つまり、空調衣服である衣服1に衣服用液体散布装置100を装着すれば、身体から出る汗の気化熱に加え、液体噴出部40の噴出孔41から噴霧される液体の気化熱によって衣服1内をより好適に冷却することができる。
勿論、空調衣服である衣服1から衣服用液体散布装置100が取り外せないタイプの空調衣服1であってもよい。
【0027】
(実施形態2)
次に、本発明に係る衣服用液体散布装置の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0028】
実施形態2の衣服用液体散布装置100は、例えば、
図5~
図6に示すように、液体が貯留される容器10と、容器10に一端側が接続されているチューブ20と、チューブ20の他端側に向けて容器10内の液体を送出する送液部30と、チューブ20に取り付けられており、チューブ20を通じて送液された液体を噴出する噴出孔41を有する液体噴出部40と、衣服1内の温度を測定する温度センサー61と、衣服1内の湿度を測定する湿度センサー62と、各センサー61,62が測定した測定値が所定の値を超えたか否か判断する制御部70と、液体噴出部40を衣服1の内側に装着するための装着手段51等を備えている。
【0029】
チューブ20は、例えば、樹脂製の管状部材であり、液体を容器10から液体噴出部40に送液するために設けられている。
実施形態2の衣服用液体散布装置100には、複数の分割チューブ20aが連結されてなる2本のチューブ20が設けられている。
【0030】
送液部30は、例えば、容器10の開口部に螺着されており、その容器10内の液体がこぼれないように開口部を塞ぐ蓋体としての機能も有している。
実施形態2の送液部30には、電池式のポンプ(図示省略)が内蔵されており、後述する制御部70による制御の下で作動するポンプによって容器10内の液体をチューブ20の他端側に向けて所定量送出する。
【0031】
実施形態2の液体噴出部40には、その表面側に1つの噴出孔41(スプレーノズル)が設けられている。
また、この液体噴出部40には、液体噴出部40を分割チューブ20aに繋ぐための連結口(図示省略)が噴出部本体の両側に設けられており、液体噴出部40と分割チューブ20aが交互に繋がれるようになっている。
この液体噴出部40を介して複数の分割チューブ20aが連結されて長尺なチューブ20が形成されている。
なお、チューブ20の他端側の最端部に繋がれている液体噴出部40には連結口(図示省略)が1つ設けられているものとする。また、チューブ20の他端側の最端部に繋がれている液体噴出部40に一対の連結口(図示省略)が設けられている場合、一方の連結口の穴は塞がれているものとする。
実施形態2の衣服用液体散布装置100の場合、複数の分割チューブ20aが連結されてなるチューブ20に8個ずつ液体噴出部40が取り付けられており、16個の液体噴出部40を備えている。
【0032】
また、各液体噴出部40は、
図6に示すように、装着手段として機能するベスト51に取り付けられている。
ベスト51は、ユーザーが着る作業着などの衣服よりも先にユーザーが着用する衣料(換言すれば、ベスト51は作業着などの衣服をユーザーが着る前に着用する衣料)であって、作業着などの衣服の内側に着用される衣料である。
ベスト51は、例えば、メッシュ生地など、通気性のよい生地からなる衣料である。
このベスト51に取り付けられている液体噴出部40は、ベスト51をユーザーが着用した場合に噴出孔41を着用者(ユーザー)の身体側に向ける向きに取り付けられている。
本実施形態のベスト51の場合、チューブ20を蛇行させるように各液体噴出部40がベスト51に取り付けられており、ベスト51の前身頃側に液体噴出部40が8つ取り付けられ、ベスト51の後身頃側に液体噴出部40が8つ取り付けられている。
なお、このベスト51に、温度センサー61と湿度センサー62も取り付けられている。
【0033】
制御部70は、例えば、各種の演算処理等を行うCPUと、CPUにより実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納されるROM等を備えて構成されている。
この制御部70は、温度センサー61や湿度センサー62と協働し、各センサーの測定値が所定の値を超えたと判断した場合に、送液部30のポンプを作動させて、容器10内の液体をチューブ20の他端側に向けて所定量送出する処理を実行する。
例えば、制御部70は、温度センサー61の測定値が32℃を超えた場合に、送液部30のポンプを作動させる処理を実行する。
また例えば、制御部70は、湿度センサー62の測定値が50%RHを超えた場合に、送液部30のポンプを作動させる処理を実行する。
【0034】
この制御部70は、温度センサー61と湿度センサー62の測定値がともに所定の値(閾値)を超えた場合に、送液部30のポンプを作動させる処理を実行しても、温度センサー61と湿度センサー62の測定値のいずれか一方が所定の値(閾値)を超えた場合に、送液部30のポンプを作動させる処理を実行してもよい。
なお、制御部70や各センサー(温度センサー61、湿度センサー62)の電源とする電池は、送液部30のポンプと共通のものでも、それぞれの専用電池であってもよい。
【0035】
次に、実施形態2の衣服用液体散布装置100の使用方法について説明する。
まず、
図6に示すように、装着手段として機能するベスト51に液体噴出部40が取り付けられている衣服用液体散布装置100をユーザーが着用する。
なお、ベスト51を装着手段とした衣服用液体散布装置100は、吸水性のよい肌着や下着の上から着用することが好ましい。その肌着や下着は身体に密着するものが好ましい。
そして、ユーザーはベスト51として着用した衣服用液体散布装置100の上から作業着などの衣服を着用する。(
図6中、衣服の図示は省略している。)この衣服はファンを備えた空調衣服であってもよい。
こうして、ユーザーがそのベスト51(衣服用液体散布装置100)の上から衣服を着用することで、その衣服の内側に液体噴出部40を装着した態様となる。
そして、温度センサー61や湿度センサー62の測定値が所定の値を超えた場合に、送液部30のポンプが所定時間作動し、液体噴出部40の噴出孔41から液体を噴出させ、衣服の内側に液体を散布する。
なお、予め制御部70に設定する送液部30のポンプの作動時間に応じて、衣服の内側に散布する液体の量を調整することができる。
こうして衣服の内側に散布された液体の気化熱によって、衣服内を冷却することができる。
特に、実施形態2の衣服用液体散布装置100の場合、各センサー(温度センサー61、湿度センサー62)と制御部70との協働によって、自動的に液体噴出部40の噴出孔41から液体を噴出させて衣服内を冷却することができるので、ユーザー(着用者)は送液部30の操作が不要であり、所定の作業に集中することができる。
【0036】
このように、実施形態2の衣服用液体散布装置100を使用し、ベスト51を着用するように衣服用液体散布装置100を身体に装着した後、作業着などの衣服を着用するようにすれば、衣服内の温度や湿度に応じて自動的に衣服の内側に水などの液体が散布されるので、その液体の気化熱によって好適に衣服内を冷却することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態の衣服用液体散布装置100であれば、気化熱によって好適に衣服内を冷却することができる。
【0038】
なお、以上の実施の形態では、実施形態1の衣服用液体散布装置100において、手動式の送液部30を備えた構成を例に説明したが、実施形態1の衣服用液体散布装置100が、温度センサー61、湿度センサー62、制御部70、電池式のポンプを有する送液部30等を備える構成にしてもよい。
また、以上の実施の形態では、実施形態2の衣服用液体散布装置100において、自動式の送液部30を備えた構成を例に説明したが、実施形態2の衣服用液体散布装置100にハンドル31を有する手動式の送液部30を備える構成にしてもよい。
【0039】
また、実施形態1の衣服用液体散布装置100は、衣服1の内側に液体噴出部40を着脱するように、衣服用液体散布装置100が衣服1に着脱可能であるように説明したが、本発明はこれに限定されることなく、衣服(空調衣服)から衣服用液体散布装置100が取り外せないタイプの、衣服(空調衣服)一体型の衣服用液体散布装置100であってもよい。
【0040】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 衣服
2 ファン
10 容器
20 チューブ
20a 分割チューブ
30 送液部
31 ハンドル(操作部)
40 液体噴出部
40a 噴出部本体
40b 連結口
41 噴出孔
50 面ファスナー(装着手段)
51 ベスト(装着手段)
61 温度センサー
62 湿度センサー
70 制御部
100 衣服用液体散布装置