IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特許-ミスト分離装置 図1
  • 特許-ミスト分離装置 図2
  • 特許-ミスト分離装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ミスト分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20240620BHJP
   B01D 45/04 20060101ALI20240620BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20240620BHJP
【FI】
B01D46/00 E
B01D45/04
B01D50/00 501A
B01D50/00 501F
B01D50/00 502A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020090366
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021184982
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹中 俊喜
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-020919(JP,U)
【文献】特開2010-016215(JP,A)
【文献】特開2020-076533(JP,A)
【文献】実開昭61-143621(JP,U)
【文献】実開平01-032719(JP,U)
【文献】特開2005-169348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00 - 46/90
B01D 49/00 - 51/10
B01D 45/00 - 45/18
B01D 47/00 - 47/18
F25B 43/00 - 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の通過時に前記気体中のミストを捕捉するミストフィルタが設けられたフィルタ部と、
前記フィルタ部に接続され、前記ミストフィルタを通過した前記気体が流入する下流側配管とを備え、
前記下流側配管は、前記ミストフィルタに捕捉されているミストを、前記気体が前記ミストフィルタを通過して前記下流側配管に流入する流れによって、前記下流側配管の内壁面に衝突させて付着させる付着部を有しており、
前記下流側配管は、前記フィルタ部に間接的に接続される曲がり管を有しており、
前記付着部は、前記曲がり管の内壁面であり、
前記下流側配管は、前記フィルタ部から上方へ延びて前記曲がり管に接続される入口側外管と、前記入口側外管の内側に挿入され、前記入口側外管との間で二重管を構成する入口側内管とを有し、
前記入口側外管と前記入口側内管との間には、前記付着部に付着しているミストが前記入口側外管の内壁面を伝って流下し貯留される入口側貯留部が形成されている
ことを特徴とするミスト分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト分離装置において、
前記下流側配管は、前記曲がり管の前記フィルタ部側とは反対側に接続される出口側外管と、前記出口側外管の内側に挿入され、前記出口側外管との間で二重管を構成する出口側内管とを有し、
前記出口側外管と前記出口側内管との間には、前記付着部に付着しているミストが前記出口側外管の内壁面を伝って流入し貯留される出口側貯留部が形成されている
ことを特徴とするミスト分離装置。
【請求項3】
請求項に記載のミスト分離装置において、
前記入口側外管には、前記入口側貯留部に貯留されているミストが排出される排出ポートが設けられている
ことを特徴とするミスト分離装置。
【請求項4】
請求項に記載のミスト分離装置において、
前記出口側外管には、前記出口側貯留部に貯留されているミストが排出される排出ポートが設けられている
ことを特徴とするミスト分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、ミスト分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミストを分離除去するミストフィルタがケーシングに収容されたミスト分離装置が知られており、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のミスト分離装置では、気体(圧縮空気)がミストフィルタを通過する際、気体に含まれるミスト(液体の微粒子)がミストフィルタに捕捉されて分離される。ミストが分離除去された気体は、出口から排出される一方、ミストフィルタに捕捉されたミストは、成長して適当な大きさの液滴となって流下し、ケーシング底部に貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-180024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなミスト分離装置では、ミストが分離除去された気体が出口へと流れる際、ケーシング底部に貯留されている液体を再び連行していく虞がある。そうなると、ミストの分離除去性能が著しく低下してしまう。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ミストフィルタによって気体から分離除去されたミストが再び気体に含有されることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、フィルタ部と、下流側配管とを備えている。前記フィルタ部は、気体の通過時に前記気体中のミストを捕捉するミストフィルタが設けられている。前記下流側配管は、前記フィルタ部に接続され、前記ミストフィルタを通過した前記気体が流入する。そして、前記下流側配管は、前記ミストフィルタに捕捉されているミストを、前記気体が前記ミストフィルタを通過して前記下流側配管に流入する流れによって、前記下流側配管の内壁面に衝突させて付着させる付着部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示のミスト分離装置によれば、ミストフィルタによって気体から分離除去されたミストが再び気体に含有されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るミスト分離装置の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、ミスト分離装置の要部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、ミスト分離装置の要部を拡大して示す断面図である。
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
本実施形態のミスト分離装置1は、蒸気中のミスト(液体の微粒子)を捕捉して分離除去するものである。蒸気は、気体の一例である。図1に示すように、ミスト分離装置1は、上流側配管10と、フィルタ部20と、下流側配管30とを備えている。
【0011】
上流側配管10は、上下方向に延びる直管である。
【0012】
フィルタ部20は、蒸気(気体)の通過時に蒸気中のミストを捕捉するミストフィルタ25が設けられている。具体的に、フィルタ部20は、ケーシング21と、ミストフィルタ25とを有している。
【0013】
ケーシング21は、軸心が上下方向に延びる扁平な略円柱状に形成されている。ケーシング21は、上板22と、底板23と、側板24とを有している。上板22および底板23は何れも、円板部材である。上板22および底板23は、互いに上下に配置されている。上板22と底板23との間には、側板24が設けられている。側板24は、軸心が上下方向に延びる円筒状に形成されており、上端および下端がそれぞれ上板22および底板23に接合されている。
【0014】
底板23の中央には、貫通孔23aが形成されており、その貫通孔41aに上流側配管10が接続されている。つまり、上流側配管10とケーシング21の内部空間とは貫通孔23aを介して連通している。また、上板22の中央には、貫通孔22aが形成されている。この貫通孔22aの部分には、下流側配管30が接続されている。つまり、下流側配管30とケーシング21の内部空間とは貫通孔22aを介して連通している。
【0015】
ケーシング21の内部空間は、フィルタ室26として形成されている。ミストフィルタ25は、ケーシング21内(即ち、フィルタ室26)に設けられている。ミストフィルタ25は、例えば、メッシュデミスタである。ミストフィルタ25は、略円板状に形成されている。ミストフィルタ25は、軸心が上下方向に延びる状態で配置されている。なお、ミストフィルタ25の直径は、上板22および底板23のそれぞれの貫通孔22a,23aの直径よりも十分に大きい。
【0016】
下流側配管30は、フィルタ部20に接続され、ミストフィルタ25を通過した蒸気が流入する。そして、下流側配管30は、ミストフィルタ25に捕捉されているミストを、蒸気がミストフィルタ25を通過して下流側配管30に流入する流れによって、下流側配管30の内壁面に衝突させて付着させる付着部32a,32bを有している。
【0017】
より詳しくは、図2および図3にも示すように、下流側配管30は、一端である入口端30aがフィルタ部20に接続され、他端である出口端30bが外気に開放されている。下流側配管30は、入口側外管31と、曲がり管32と、出口側外管33と、入口側内管41と、出口側内管43とを有している。
【0018】
入口側外管31は、フィルタ部20(ケーシング21)と曲がり管32との間に接続されている。入口側外管31は、上下方向に延びる直管である。入口側外管31は、内径がケーシング21の貫通孔22aの孔径よりも大きい。つまり、入口側外管31は、ケーシング21における貫通孔22aの外縁部に接続されている。
【0019】
曲がり管32は、入口側外管31に接続されており、入口側外管31を介してフィルタ部20に間接的に接続されている。曲がり管32は、エルボ管とも呼ばれ、本実施形態では曲がり角が90°である。曲がり管32は、両端が同径のものである。そして、図1に示すように、曲がり管32の内壁面が、上述した付着部32a,32bとなっている。
【0020】
出口側外管33は、曲がり管32のフィルタ部20側とは反対側に接続されている。出口側外管33は、水平方向に延びる直管である。
【0021】
入口側内管41は、入口側外管31の内側に挿入され、入口側外管31との間で二重管を構成している。入口側内管41は、上下方向に延びる直管であり、入口側外管31と同軸に設けられている。入口側内管41の内径は、入口側外管31の内径よりも小さく、ケーシング21の貫通孔22aの孔径と略同じである。つまり、入口側内管41は、入口側外管31よりも内側において貫通孔22aの外縁部に接続されている。入口側外管31と入口側内管41とは、所定の間隔を置いて設けられている。
【0022】
出口側内管43は、出口側外管33の内側に挿入され、出口側外管33との間で二重管を構成している。具体的に、出口側内管43は、軸心が水平方向に延びる円筒部43aと、鍔部43bとを有している。鍔部43bは、円筒部43aの一端(図3における右側の端部)に一体形成されている。出口側内管43の円筒部43aは、水平方向に延びる直管であり、出口側外管33と同軸に設けられている。出口側内管43(円筒部43a)の内径は、出口側外管33の内径よりも小さい。鍔部43bの外径は、出口側外管33の外径よりも大きい。出口側外管33と出口側内管43(円筒部43a)とは、所定の間隔を置いて設けられている。
【0023】
なお、出口側外管33の一端と出口側内管43の鍔部43bとの間には、フランジ45が接合されている。
【0024】
そして、入口側外管31と入口側内管41との間には、曲がり管32の付着部32a,32bに付着しているミストが入口側外管31の内壁面を伝って流入し貯留される入口側貯留部42が形成されている。入口側貯留部42は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。つまり、入口側貯留部42は、下端がケーシング21の上板22によって閉塞される一方、上端が入口側外管31の内部に開放されている。
【0025】
また、出口側外管33と出口側内管43との間には、曲がり管32の付着部32a,32bに付着しているミストが出口側外管33の内壁面を伝って流入し貯留される出口側貯留部44が形成されている。出口側貯留部44は、水平方向に延びる円筒状に形成されている。つまり、出口側貯留部44は、右側端部が鍔部43bおよびフランジ45によって閉塞される一方、左側端部が出口側外管33の内部に開放されている。
【0026】
また、入口側外管31には、入口側貯留部42に貯留されているミストが排出される排出ポート47が設けられている。出口側外管33には、出口側貯留部44に貯留されているミストが排出される排出ポート48が設けられている。
【0027】
上記のように構成されたミスト分離装置1では、図1に矢印(ドット付き)で示すように、上流側配管10から蒸気が流入し、フィルタ部20のフィルタ室26に流れる。フィルタ室26に流れた蒸気は、ミストフィルタ25を上方へ向かって通過する。その際、蒸気中のミストがミストフィルタ25に捕捉されて分離除去される。ミストフィルタ25に捕捉されたミストは、線の濡れ性や毛細管現象によって成長し、比較的大きな液滴となる。
【0028】
フィルタ室26でミストが分離除去された蒸気(乾いた蒸気)は、フィルタ室26から下流側配管30に流入し、下流側配管30の出口端30bから外部へ流出する(図1に示す白抜きの矢印を参照)。つまり、ミストフィルタ25でミストが分離除去された蒸気は、入口側外管31、曲がり管32および出口側外管33を介して外部へ流出する。
【0029】
ミストから成長した液滴は、蒸気の流れによって、ミストフィルタ25から下流側配管30へ向かって飛ばされる。下流側配管30内へ飛ばされた液滴(成長したミスト)は、曲がり管32の付着部32a,32b(内壁面)に衝突して付着する。こうして、曲がり管32の内壁面に付着した液滴は、表面張力が作用するため、なかなか内壁面から離れない。そのため、付着部32a,32bに付着した液滴(ミスト)が再び蒸気に含有されることはない。
【0030】
付着部32a,32bでは、ミストフィルタ25から次々と液滴が飛ばされてくるため、ここでも液滴が成長する。付着部32a,32bに付着している液滴のうち、比較的大きな液滴は、自身の重力によって流下して入口側貯留部42に流入し貯留される。一方、付着部32a,32bに付着している比較的小さい液滴は、即ち、自身の重力では流下し得ない液滴は、下流側配管30における入口端30aから出口端30bへと向かう蒸気の流れによって、出口側外管33の内壁面を伝って出口側貯留部44に流入し貯留される。入口側貯留部42および出口側貯留部44に貯留された液体(ドレン)は、排出ポート47,48から外部に排出される。
【0031】
以上のように、上記実施形態のミスト分離装置1は、蒸気の通過時に蒸気中のミストを捕捉するミストフィルタ25が設けられたフィルタ部20と、フィルタ部20に接続され、ミストフィルタ25を通過した蒸気が流入する下流側配管30とを備えている。そして、下流側配管30は、ミストフィルタ25に捕捉されているミストを、蒸気がミストフィルタ25を通過して下流側配管30に流入する流れによって、下流側配管30の内壁面に衝突させて付着させる付着部32a,32bを有している。
【0032】
上記の構成によれば、ミストフィルタに捕捉されたミスト(液滴)を、下流側配管30の内壁面に付着させることができる。下流側配管30の内壁面に付着した液滴は、表面張力が作用するため、なかなか内壁面から離れない。そのため、ミストフィルタ25によって気体から分離除去されたミストが再び気体に含有されることを抑制することができる。
【0033】
また、上記実施形態のミスト分離装置1において、下流側配管30は、フィルタ部20に間接的に接続される曲がり管32を有している。付着部32a,32bは、曲がり管32の内壁面である。
【0034】
上記の構成によれば、効果的にミストを曲がり管32の内壁面に衝突させることができる。そのため、簡易に曲がり管32の内壁面にミストを付着させることができる。
【0035】
また、上記実施形態のミスト分離装置1において、下流側配管30は、フィルタ部20と曲がり管32との間に接続される入口側外管31と、入口側外管31の内側に挿入され、入口側外管31との間で二重管を構成する入口側内管41とを有している。入口側外管31と入口側内管41との間には、付着部32a,32bに付着しているミストが入口側外管31の内壁面を伝って流入し貯留される入口側貯留部42が形成されている。
【0036】
上記の構成によれば、比較的大きなミスト(液滴)について入口側貯留部42に貯留させることができる。入口側貯留部42は、下流側配管30の入口端30aに設けられた二重管構造により形成されているので、貯留されているミスト(液滴)と蒸気との接触を抑制することができる。そのため、ミストフィルタ25によって気体から分離除去されたミストが再び気体に含有されることを一層抑制することができる。
【0037】
また、上記実施形態のミスト分離装置1において、下流側配管30は、曲がり管32のフィルタ部20側とは反対側に接続される出口側外管33と、出口側外管33の内側に挿入され、出口側外管33との間で二重管を構成する出口側内管43とを有している。出口側外管33と出口側内管43との間には、付着部32a,32bに付着しているミストが出口側外管33の内壁面を伝って流入し貯留される出口側貯留部44が形成されている。
【0038】
上記の構成によれば、比較的小さいミスト(液滴)については出口側貯留部44に貯留させることができる。出口側貯留部44も、入口側貯留部42と同様、下流側配管30の出口端30bに設けられた二重管構造により形成されているので、貯留されているミスト(液滴)と蒸気との接触を抑制することができる。そのため、ミストフィルタ25によって気体から分離除去されたミストが再び気体に含有されることを一層抑制することができる。
【0039】
また、上記実施形態のミスト分離装置1において、入口側外管31および出口側外管33には、入口側貯留部42貯留部42,44に貯留されているミストが排出される排出ポート47,48が設けられている。
【0040】
上記の構成によれば、ミストフィルタ25によって分離除去されたミストを確実に外部に排出することができる。分離除去されたミストが再び気体に含有されることを確実に抑制することができる。
【0041】
なお、本願に開示の技術は、上記実施形態において、入口側貯留部42および出口側貯留部44の一方を省略するようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、排出ポート47,48を省略するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、曲がり管32の曲がり角を90°としたが、これに限らず、例えば30°や45°であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願に開示の技術は、ミスト分離装置について有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 ミスト分離装置
20 フィルタ部
25 ミストフィルタ
30 下流側配管
31 入口側外管
32 曲がり管
32a,32b 付着部
33 出口側外管
41 入口側内管
42 入口側貯留部
43 出口側内管
44 出口側貯留部
47,48 排出ポート
図1
図2
図3