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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20240620BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240620BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20240620BHJP
   F21V 21/03 20060101ALI20240620BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240620BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240620BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240620BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S2/00 230
F21S8/04 130
F21V21/00 130
F21V21/03
F21V19/00 510
F21V21/00 140
F21V23/00 160
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020117315
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022022814
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 直輝
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087657(JP,A)
【文献】特開2020-024807(JP,A)
【文献】特開2020-053200(JP,A)
【文献】特開2013-134956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21S 2/00
F21V 21/00
F21V 19/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面の被取付具に着脱可能に取り付けられる取付部を有する取付器具と、
前記取付器具に着脱可能に取り付けられる光源ユニットと
を備え、
前記光源ユニットは、前記設置面の開口から導出される配線を介して受電し、
前記取付部は、前記取付器具を前記被取付具に対して第1方向の係合側に移動させることで前記被取付具の係合部に係合する一対の被係合部分を有し、
前記被取付具は、前記第1方向と直交する断面において、前記設置面から前記光源ユニットに向かって延伸する第1延伸部の延伸先端から前記設置面に沿って延伸する部分を前記係合部として有し、
前記取付部は、前記第1方向と直交する断面において、前記係合部に対して前記第1延伸部と反対側を前記設置面に向かって延伸する延伸部分の延伸先端から前記設置面に沿って前記被取付具の前記第1延伸部に向かって延伸する部分を前記一対の被係合部分として有し、
前記一対の被係合部分の延伸先端は、前記被取付具における前記係合部よりも前記第1方向の係合側と反対側の解除側に設けられ且つ前記設置面と直交する方向に沿う方向を前記光源ユニットに向かって延伸する第2延伸部と当接又は近接する
照明装置。
【請求項2】
前記一対の被係合部分は、前記第1方向の前記係合側の端部であって延伸先端部に、前記第1方向の前記係合側の端縁に近づくにしたがって前記第2延伸部から離れる傾斜領域を有する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記係合部における前記第1方向の前記解除側の端部は、前記解除側の端縁に近づくにしたがって前記設置面から離れるように傾斜している
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記係合部における前記第1方向の前記係合側の端部は、前記第1延伸部と反対側に延伸して、前記取付部の延伸部分における前記第1方向の前記係合側の端面に当接する拡張部分を有する
請求項1~3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記被取付具は、前記光源ユニットに向かって張り出す張出部を有し、
前記取付部は、前記被係合部分が前記係合部に係合する状態で、さらに前記取付器具が前記第1方向の係合側に移動した際に、前記張出部と干渉し且つ前記設置面に遠近する方向に弾性変形可能な板ばねを有し、
前記板ばねは、屈曲部が前記設置面側に位置する「V」字状に形成されたV字状部を有し、
前記V字状部において、前記屈曲部よりも前記第1方向の係合側部分の傾斜角度は、前記屈曲部よりも前記第1方向の解除側部分の傾斜角度よりも小さい
請求項1~4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記板ばねは、前記取付器具が前記係合側に移動して前記屈曲部が前記張出部を通過した後に、前記被取付具と接触する接触部を有する
請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記取付部は、前記被取付具から前記光源ユニット側に筒状に突出し且つその内部を配線が通過する筒状体用の開口を前記第1方向に沿って有する
請求項1~6の何れか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置面に設置される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井等の設置面に設置される照明装置として、設置面から垂下するボルト(所謂、「吊りボルト」である)にナットにより取り付けられる取付器具と、当該取付器具に取り付けられる光源ユニットとを備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-126863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の照明装置では、1つの取付器具を設置面に取り付けるためには、最低2本の吊りボルトに対してナット締めを行う必要があり、取付器具の取り付けが面倒であった。
本発明が解決しようとする課題は、取付器具を簡単に設置面に取り付けることができる構造の照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る照明装置は、設置面の被取付具に着脱可能に取り付けられる取付部を有する取付器具と、前記取付器具に着脱可能に取り付けられる光源ユニットとを備え、前記光源ユニットは、前記設置面の開口から導出される配線を介して受電し、前記取付部は、前記取付器具を前記被取付具に対して第1方向の係合側に移動させることで前記被取付具の係合部に係合する被係合部分を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吊りボルトを用いないため、ナット締めが不要となり、取付器具を簡単に設置面に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る照明装置の取付状態を示す斜視図であり、取付部分が分かるように天井の一部を切欠き、取付部分を拡大している。
図2】照明装置を表側から見た分解斜視図である。
図3】照明装置を裏側から見た分解斜視図である。
図4】設置面側の構造を説明するための分解図であり、(a)は表側からみた斜視図であり、(b)は裏側から見た斜視図である。
図5】取付器具側の構造を説明するための分解図であり、(a)は表側からみた斜視図であり、(b)は裏側から見た斜視図である。
図6】取付器具の被取付具への取り付けを説明する図である。
図7】第2実施形態に係る照明装置の取付構造を説明するための斜視図である。
図8】取付器具の被取付具への取り付けを説明する図である。
図9】変形例に係る取付器具と被取付具とを表側から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様に係る照明装置は、設置面の被取付具に着脱可能に取り付けられる取付部を有する取付器具と、前記取付器具に着脱可能に取り付けられる光源ユニットとを備え、前記光源ユニットは、前記設置面の開口から導出される配線を介して受電し、前記取付部は、前記取付器具を前記被取付具に対して第1方向の係合側に移動させることで前記被取付具の係合部に係合する被係合部分を有する。
別態様に係る照明装置において、前記被取付具は、前記第1方向と直交する断面において、前記設置面から前記光源ユニットに向かって延伸する第1延伸部の延伸先端から前記設置面に沿って延伸する部分を前記係合部として有し、前記取付部は、前記第1方向と直交する断面において、前記係合部に対して前記第1延伸部と反対側を前記設置面に向かって延伸する延伸部分の延伸先端から前記設置面に沿って前記被取付具の前記第1延伸部に向かって延伸する部分を前記被係合部分として有し、前記被係合部分の延伸先端は、前記被取付具における前記係合部よりも前記第1方向の係合側と反対側の解除側に設けられ且つ前記設置面と直交する方向に沿う方向を前記光源ユニットに向かって延伸する第2延伸部と当接又は近接し、前記被係合部分は、前記第1方向の前記係合側の端部であって延伸先端部に、前記第1方向の前記係合側の端縁に近づくにしたがって前記第2延伸部から離れる傾斜領域を有する。これにより、傾斜部分が被取付具の第2延伸部を案内することとなり、引っかかることなく、スムーズに係合できる。ここでの「設置面に沿って」は、設置面と平行な方向及び設置面と平行な方向との角度が45度以内で交差する方向を含む。また、「直交する方向に沿う方向」は、直交する方向と平行な方向及ぶ直交する方向との角度が45度以内で交差する方向を含む。
【0009】
別態様に係る照明装置において、前記係合部における前記第1方向の前記解除側の端部は、前記解除側の端縁に近づくにしたがって前記設置面から離れるように傾斜している。これにより、取付器具を第1方向に移動させた際に、取付部が係合部の先端と干渉することを少なくできる。
別態様に係る照明装置において、前記係合部における前記第1方向の前記係合側の端部は、前記第1延伸部と反対側に延伸して、前記取付部の延伸部分における前記第1方向の前記係合側の端面に当接する拡張部分を有する。これにより、取付器具が被取付具に対して第1方向の係合側に位置決めされる。
別態様に係る照明装置において、前記被取付具は、前記光源ユニットに向かって張り出す張出部を有し、前記取付部は、前記被係合部分が前記係合部に係合する状態で、さらに前記取付器具が前記第1方向の係合側に移動した際に、前記張出部と干渉し且つ前記設置面に遠近する方向に弾性変形可能な板ばねを有し、前記板ばねは、屈曲部が前記設置面側に位置する「V」字状に形成されたV字状部を有し、前記V字状部において、前記屈曲部よりも前記第1方向の係合側部分の傾斜角度は、前記屈曲部よりも前記第1方向の解除側部分の傾斜角度よりも小さい。これにより、被取付具に取付器具を取り付ける際は、傾きが緩いスロープに逆らう方向となり、小さな力で移動できる。逆に、被取付具から取付具を取り外す際は、傾きが急なスロープに逆らう方向の移動となり、大きな力が必要となる。このように、取付器具を取り付けやすく、被取付具から外れ難くできる。
【0010】
別態様に係る照明装置において、前記板ばねは、前記取付器具が前記係合側に移動して前記屈曲部が前記張出部を通過した後に、前記被取付具と接触する接触部を有する。これにより、被取付具に取り付ける際に、所定位置まで移動させると板ばねが被取付具に衝突してクリック音が生じる。作業者のクリック音により、取付器具を所定位置まで移動できたことを認識できる。
別態様に係る照明装置において、前記取付部は、前記被取付具から前記光源ユニット側に筒状に突出し且つその内部を配線が通過する筒状体用の開口を前記第1方向に沿って有する。これにより、筒状体の先端が開口に挿入されるため、取付器具の第1方向と設置面とに直交する方向への移動が規制される。したがって、第1方向に取付器具を移動させて取り付ける際に、取付器具が直交する方向にぶれることが少なく、その取り付けが容易となる。
【0011】
<第1実施形態>
1.全体構成
照明装置1は、図1の拡大図に示すように、設置面80の被取付具7に着脱可能に取り付けられる取付器具2と、取付器具2に交換可能に取り付けられる光源ユニット5とを備える。照明装置1(取付器具2と光源ユニット5)は、例えば、長尺状をしている。
取付器具2は、図2及び図3に示すように、取付具3と器具本体4とを備え、取付具3が被取付具7に取り付けられることで、器具本体4が設置面80に取り付けられる。なお、器具本体4に取付具3が取り付けられて取付部が構成される。
第1実施形態では、取付器具2を被取付具7に対して直線方向に移動(スライド)させることで、取付器具2が被取付具7に取り付けられる。なお、取り付けの説明において、被取付具7に対して、「取付器具2を移動させる」と「取付具3を移動させる」とは同じ意味で使用する場合もある。
ここで、設置面80に対して直交する方向を上下方向又は表裏方向とし、光源ユニット5が位置する側を下側又は表側とする。
照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の長手方向は、一致し、単に「長手方向」とする。同様に、照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の短手方向は一致し、単に「短手方向」とする。また、照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の長手方向の中央から長手方向に離れる方向を長手方向の外方側とし、照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の長手方向を中央に近づく方向を内方側とする。照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の短手方向の中央から短手方向に離れる方向を短手方向の外方側とし、照明装置1、取付器具2及び光源ユニット5の短手方向を中央に近づく方向を内方側とする。
以下、各部について詳細に説明する。
【0012】
2.各部
(1)設置面
主に図4を用いて説明する。
ここでの設置面80である天井は鉄筋コンクリート製であり、予め、コンクリート内に配線等を配置するためのコンクリートボックス82が配置され、コンクリートボックス82の下端部には金属製のプレート84が複数本のねじ86により取り付けられている。
プレート84は、ここでは、設置面80の裏側に位置する裏側部842と、設置面80の開口80aに嵌合する嵌合部844と、嵌合部844の下端に設けられた表側部846とを有している。
裏側部842は円環状をし、嵌合部844が裏側部842の内周縁から表側に円筒状(筒軸方向の寸法が小さい)に延伸し、表側部846が嵌合部844における筒軸を挟んだ2部位から筒軸に向かって張り出している。表側部846には、ねじ孔848が形成され、当該ねじ孔848に被取付具7を固定するためのねじ86が螺合する。
【0013】
(2)被取付具
主に、図4を用いて説明する。
被取付具7は、取付器具2を当該被取付具7に対して長手方向の係合側に移動させると、取付器具2の取付具3と係合する係合機能を少なくとも有している。なお、長手方向は、本発明の「第1方向」の一例に相当する。
被取付具7は、取付具3の係合を案内する案内機能を有してもよい。被取付具7は、取付具3との係合状態を維持する係合維持機能を有してもよい。被取付具7は、長手方向の移動により取付具3との係合が完了すると、係合完了を報知する報知機能を有してもよい。ここでの被取付具7は、取付具3とで、案内機能、係合維持機能、報知機能を構成する。
【0014】
被取付具7は、例えば、所定形状にプレスされた金属板により構成されている。
被取付具7は平板状部70を有している。平板状部70の裏面(主面)は設置面80と平行に延伸する。平板状部70は、取付器具2の長手方向に長い矩形状をする矩形状部分70aを有する。
平板状部70の長手方向の両端部は、被取付具7をプレート84に取り付けた際に、嵌合部844の表側端面と当接する。これにより、被取付具7を安定した状態でプレート84に取り付けることができる。
平板状部70は、矩形状部分70aの中央領域に開口70bを有する。開口70bは、例えば、円形状をしているが、矩形状、楕円形状等であってもよい。開口70bには、照明装置1に電力を供給するための配線(図示省略)を保護するブッシュ79の筒状部791が嵌合する。なお、ブッシュ79は本発明の「筒状体」の一例に相当する。
平板状部70は、長手方向の一端、ここでは、係合側の端から短手方向に広がる拡張部分70cを有している。拡張部分70cにおける長手方向の他端(解除側)は短手方向に延伸し、長手方向の一端(係合側)は円弧状をしている。円弧の中心は開口70b側に存在し、円弧の半径はプレート84の嵌合部844の半径に一致する。
【0015】
被取付具7は、被取付具7を設置面側のプレート84に取り付ける(固定する)ための取付領域を有している。取り付けにはねじ86を利用し、取付領域はねじ86が挿通する貫通孔70d,70eにより構成される。貫通孔70d,70eは、開口70bを挟んで対向する位置にある。貫通孔70d,70eを結ぶ仮想線は、平板状部70の矩形状部分70aの長手方向と平行であって、矩形状部分70aの短手方向の中央を通る。これにより、被取付具7を安定した状態でプレート84に取り付けることができる。なお、貫通孔70d,70eは、プレート84のねじ孔848に対応し、プレート84のねじ孔848の位置に合わせて設けられる。
貫通孔70d,70eは、短手方向に長い長円状又は円弧状をしている、円弧は、プレート84側の2個のねじ孔848が位置する円周の円弧と一致する。これにより、被取付具7の取り付けの自由度を高めることができる。
平板状部70の短手方向の中央を通り且つ長手方向に延伸する仮想線上には、直線状の目印70fが設けられている。目印70fは、平板状部70の表面にケガキ線のような細い溝を形成することにより構成される。目印70fは、照明装置1の設置方向を設定する際の目安として用いられる。例えば、照明装置1を設置する部屋の長手方向と目印70fとを一致させることにより、被取付具7に取り付けられる取付器具2の長手方向と部屋の長手方向とが一致することになる。貫通孔70d,70eは、長円状又は円弧状なので、被取付具7を設置面80のプレート84に取り付ける際に、所望の方向と目印70fとが一致するように、被取付具7の角度調整をしやすい。なお、目印70fは、2個の貫通孔70d,70eの中心を結ぶ仮想線と一致する。
【0016】
被取付具7は、取付具3に係合する係合部を有している。係合部の係合面は設置面80と平行となるように又は設置面80に対して傾斜するように設けられている。
被取付具7は、長手方向に沿って設置面80と反対側に延伸する第1延伸部71と、第1延伸部71の延伸先端から設置面80に平行に延伸する延伸部分により構成される係合部72とを有する。
第1延伸部71は、平板状部70の矩形状部分70aの短手方向の端から取付器具2に向かって延伸する。ここでは、第1延伸部71は矩形状部分70aの両端から延伸する。つまり、第1延伸部71及び係合部72は、矩形状部分70aの短手方向の両端にあり、短手方向に間隔を置いて一対ある。これにより、短手方向に安定して取付具3を被取付具7に取り付けることができる。
係合部72は、第1延伸部71の先端から短手方向の外方へ延伸する。なお、係合部72における設置面80側の面(裏面)は、取付具3の被係合部34における設置面80と反対側の面(表面)に接する。係合部72の短手方向の長さは、長手方向に変化せず、ほぼ一定である。
【0017】
係合部72は、長手方向の解除側の端部に、解除側の端縁に近づくにしたがって設置面80から離れるように傾斜する傾斜部分72aを有している。換言すると、傾斜部分72aは、取付器具2側の被係合部34の受け入れ側の端(受入口)に向かうにしたがって設置面80と係合部72との間隔が広くなるように傾斜している。なお、傾斜は、直線状でもよいし、曲線状でもよい。これにより、取付器具2の被取付具7への取り付け(係合)の際に、取付具3と被取付具7の端面同士が衝突して取り付けられなくなることを防止でき、取り付けを容易に行うことができる。
係合部72は、長手方向の係合側の端部に、短手方向を第1延伸部71と反対側にさらに延伸して、取付具3の被係合部34における延伸部分341における長手方向の係合側の端面に当接する拡張部分72bを有している。換言すると、拡張部分72bは、第1延伸部71の延伸先端から短手方向へ、取付具3の延伸部分341を超えるまで延伸している。これにより、取付器具2を被取付具7に取り付けるために取付器具2を係合側へ移動させた際に、係合側への移動が規制される。このように、取付器具2は、拡張部分72bにより、長手方向の係合側が位置決めされる。
【0018】
被取付具7は、取付器具2に向かって延伸する第2延伸部73を有する。第2延伸部73は、平板状部70の矩形状部分70aの短手方向の端から長手方向に沿って取付器具2に向かって延伸する。第2延伸部73は、第1延伸部71(係合部72)に対して長手方向の解除側に位置する。
第2延伸部73は、矩形状部分70aの両端にあり、短手方向に間隔を置いて一対ある。一対の第2延伸部73の短手方向の外寸法は、取付器具2の取付具3の一対の被係合部34の被係合部分342の間隔(対向する端面間の距離)に対応している。これにより、取付器具2の被係合部34を被取付具7の係合部72に係合させる際に、一対の第2延伸部73に被係合部34の被係合部分342の短手方向の端面が当接し、係合側へと被係合部34が案内される。この観点から、一対の第2延伸部73と被係合部分342の端面とで案内機能が構成される。
第2延伸部73は、第1延伸部71と長手方向に連続して設けられている。これにより、被係合部34は、係合部72に係合する前の位置合わせの段階から係合するまで案内されることとなる。
【0019】
被取付具7は、取付器具2に向かって張り出す張出部74を有する。張出部74は矩形状部分70aの長手方向の端から短手方向に沿って張り出す。張出部74は、矩形状部分70aにおける解除側端であって短手方向の中央に設けられている。張出部74は、取付具3の板ばね37と干渉するように設けられている。なお、張出部74は、取付器具2を長手方向の係合側に移動させた際、又は係合状態の取付器具2を長手方向の解除側に移動させた際に、板ばね37を取付具3に固定するねじ38と干渉しないように、取付器具2側が欠いた欠け部74aを有している。
【0020】
被取付具7の開口70bに嵌合するブッシュ79は、筒状部791と、筒状部791における取付具3と反対側の端部から径方向の外方へ張り出す外鍔部793と、筒状部791に設けられ且つブッシュ79を被取付具7に固定するための固定部795とを有している。
筒状部791は、円形状の開口70bと嵌合するため円筒状をしている。外鍔部793は、開口70bを通過できない大きさに構成されている。固定部795は、筒状部791から径方向の外方へ突出する突出部分により構成される。突出部分は、外鍔部793と間隔を置いて設けられている。被取付具7の開口70bを筒状部791が通過する際に突出部分が弾性変形し、通過後の開口70bの周辺部が外鍔部793と突出部分との間に位置する。
【0021】
(3)取付器具
(3-1)取付具
主に、図5を用いて説明する。
取付具3は、被取付具7に対して長手方向の係合側に移動させると、被取付具7の係合部72と係合する係合機能を少なくとも有している。取付具3は、被取付具7に係合する被係合部を有している。被係合部の被係合面は設置面80と平行となるように又は設置面80に対して傾斜するように設けられている。
取付具3は、被取付具7への係合を案内する案内機能を有してもよい。取付具3は、被取付具7との係合状態を維持する係合維持機能を有してもよい。取付具3は、第1方向の移動により係合が完了すると、係合完了を報知する報知機能を有してもよい。ここでの取付具3は、被取付具7とで、案内機能、係合維持機能、報知機能を構成する。
【0022】
取付具3は、例えば、所定形状にプレスされた金属板により構成されている。
取付具3は平板状部30を有している。平板状部30の裏面(主面)は設置面80や被取付具7の平板状部70と平行に延伸する。平板状部30は、取付器具2の長手方向に長い矩形状をしている。
平板状部30は中央領域に開口30aを有する。開口30aには、被取付具7側のブッシュ79の筒状部791が挿入される。開口30aは、取付器具2を被取付具7に取り付ける際に長手方向に移動させてもブッシュ79と取付具3とが干渉しないように、長手方向に長い長尺状をしている。開口30aは、例えば、平板状部30の長手方向に長い矩形状をしているが、長円形状、楕円形状等であってもよい。
開口30aの短手方向の大きさは、ブッシュ79の短手方向の寸法に対応している。これにより、取付具3を被取付具7に取り付ける際に取付具3の被係合部34を被取付具7の第2延伸部73に当接するように位置合わせすると、ブッシュ79の先端部が開口30aに嵌る。これにより、取付具3が被取付具7に対して短手方向に移動するのが規制される。したがって、取付具3を被取付具7に位置合わせした後に、取付具3を被取付具7に対して係合側に移動させる際に、取付具3が短手方向にぶれることなく、スムーズに長手方向の係合側に移動させることができる。
平板状部30は、被係合部34に対して係合側であって開口30aの短手方向の外側部分は、取付具3を被取付具7に位置合わせさせる際に、被取付具7の係合部72の表面と当接するように構成されている。
【0023】
取付具3は、取付具3を器具本体4に取り付けるための取付部31を有している。取り付けにはねじ29を利用し、器具本体4の天壁部400の貫通孔を挿通するねじ29が螺合するねじ孔により構成される。取付部31は、矩形状の平板状部30の4個の角の近くに設けられている。これにより、器具本体4や光源ユニット5の重力による負荷であって取付具3に作用する負荷をバランスよく分散させることができる。
取付具3は、板ばね37を取り付ける取付部32を有している。取り付けにはねじ38を利用し、当該ねじ38用のねじ孔により構成される。取付具3は、板ばね37が表裏方向に弾性変形したときに、板ばね37と平板状部30とが干渉するのを防止するための開口30bを有している。開口30bは、板ばね37用の取付部32に対して解除側にある。
【0024】
取付具3は、平板状部30の短手方向の端部から表側に屈曲する屈曲部33を有する。屈曲部33は、器具本体4の器具側ベース40における側壁部401の天壁部400側に当接する。これにより、取付具3に対して器具本体4の短手方向に位置決め、取付具3を容易に器具本体4に取り付けることができる。
取付具3は、被取付具7の係合部72と係合する被係合部34を有している。被係合部34は開口30aの周辺部分を切断加工、折り曲げ加工することにより形成される。被係合部34は開口30aに対して短手方向の両側に一対ある。被係合部34は、屈曲部33の長手方向の中央部分の裏側端からさらに裏側に延伸した後、設置面面と平行な方向へと延伸している。被係合部34は、屈曲部33から裏側に延伸する延伸部分341と、延伸部分341の延伸端から設置面80と平行に延伸する被係合部分342とを有する。ここでの被係合部分342は、短手方向の内方に向かって延伸している。つまり、被取付具7の係合部72が第1延伸部71から延伸する向きと、取付具3の被係合部分342が延伸部分341から延伸する向きとは短手方向において逆である。なお、被係合部分342は、設置面80と被取付具7の係合部72との間に長手方向の解除側から挿入される。
一対の被係合部分342は、その短手方向と直交する端面が被取付具7の一対の第2延伸部73の外面に近接又は当接するように、構成されている。これにより、被係合部34が係合部72に係合する前に、被係合部分342の端面が被取付具7の第2延伸部73の外面に近接又は当接することとなり、被係合部34の係合側の移動が案内される。このように、被係合部分342の端面と第2延伸部73の外面とで案内機能が構成される。
被係合部分342は、長手方向の係合側の端部であって延伸先端部に、長手方向の係合側の端縁に近づくにしたがって被取付具7の第2延伸部73から離れる傾斜領域342aを有する。傾斜領域342aの縁は、ここでは円弧状をしている。これにより、被係合部34を係合部72に係合させるために取付具3を移動させた際に、被係合部分342の係合側の端部が被取付具7に引っかかるのを防止でき、スムーズに係合させることができる。
【0025】
板ばね37は、被係合部分342が係合部72に係合する状態(被係合部分342の移動が完了していない状態)で、さらに取付器具2が長手方向の係合側に移動した際に、被取付具7の張出部74と干渉し且つ表裏方向に弾性変形可能に設けられている。
板ばね37は、取付具3に取り付けられる取付部371と、屈曲部372が設置面80側に位置する「V」字状に形成されたV字状部373とを有している。
取付部371は、取付具3の平板状部30に当接する平坦部分371aと、平坦部分371aにおけるV字状部373と反対側の端から器具本体4側に屈曲する屈曲部分371bとを有する。平坦部分371aには、取付用のねじ38が挿通する貫通孔が設けられている。屈曲部分371bは開口30a内の凹入部分30cに係合する。凹入部分30cは、長手方向であってV字状部373側に凹入している。これにより、板ばね37がねじ38の中心軸周りに回転するのが規制される。
【0026】
V字状部373は、弾性変形していない状態において、張出部74の延伸先端部よりも設置面80側に屈曲部372を有する。V字状部373は、屈曲部372に対して、長手方向の係合側に位置する係合側部分373aと、長手方向の解除側に位置する解除側部分373bとを有する。係合側部分373aの傾斜角度は、解除側部分373bの傾斜角度よりも小さい。ここで、傾斜角度とは、平坦部分371a又は平坦部分371aを延長した平面と、係合側部分373a又は解除側部分373bとのなす角である。取付具3を被取付具7に係合させる(取り付ける)際には、被取付具7の張出部74が傾斜角度の緩い係合側部分373aと当接し、小さな力で取付具3を移動させることができる。逆に、取付具3を被取付具7から取り外す際には、被取付具7の張出部74が傾斜角度の急な解除側部分373bと当接し、大きな力が必要となり、取付具3が取り外し難くできる。
板ばね37は、V字状部373の解除側部分373bが取付具3の開口30b上に位置するように、取付具3に取り付けられる。これにより、V字状部373が張出部74により器具本体4側に変形しても、取付具3と干渉することはない。
【0027】
板ばね37は、V字状部373の取付部371と反対側端から設置面80と反対側であって長手方向の解除側に延伸する延伸部374を有する。延伸部374は、取付具3の開口30b及び器具本体4の開口400bを介して器具本体4の表側に延出する。これにより、取付具3を被取付具7から取り外す際に、器具本体4の表側で延伸部374を表側に下げることが可能となる。延伸部374を下げることで、板ばね37のV字状部373が被取付具7の平板状部70から離れ、係合側部分373aが取付具3の裏面に近づき、取付具3を被取付具7に対して解除側へと容易に移動させることできる。
板ばね37は、取付具3を被取付具7に取り付ける際に屈曲部372が張出部74を通過した後に、被取付具7と接触する接触部を有する。ここでの接触部は屈曲部372により構成されている。これにより、取付具3を被取付具7に対して所定位置まで移動させると、板ばね37の接触部(372)が被取付具7に衝突してクリック音が生じ、取付具3を所定位置まで移動できたことを作業者に報知できる。このように、板ばね37の接触部と被取付具7とで報知機能が構成される。
V字状部373の係合側部分373aと解除側部分373bとの間の角度は、屈曲部372が被取付具7の平板状部70の表面に当接する状態において、解除側部分373bが被取付具7の張出部74と対向し且つ平行に延伸するように、構成されている。
【0028】
(3-2)器具本体
器具本体4は、図2及び図3に示すように、表側と長手方向の両側が開放する器具側ベース40と、器具側ベース40の長手方向の両端を塞ぐ器具側端部カバー41と、設置面80のブッシュ79の内部を通って導出される配線が接続される端子台42と、光源ユニット5を着脱可能に取り付けるための器具側取付具43と、器具側ベース40の裏側に設けられたクッション部材44とを備える。なお、取付具3は器具本体4の長手方向の中央に設けられている。
器具側ベース40は矩形状の天壁部400と一対の側壁部401とを有する。一対の側壁部401は、表側に移るにしたがって短手方向の間隔が広がるように傾斜している。天壁部400には、図5に示すように、取付具3の開口30a,30bに対応して開口400a,400bが設けられている。開口400aは、さらに、取付具3に板ばね37を取り付けるねじ38用の拡張部400cを有する。天壁部400は、取付具3を器具本体4に取り付けるためのねじ29用の貫通孔や、端子台42や器具側取付具43を取り付ける貫通孔やねじ孔が設けられている。
端子台42は、光源ユニット5(電源ユニット51)に接続された配線と接続される。これにより、光源ユニット5は端子台42を介して設置面80側の配線から受電する。クッション部材44は、例えば、スポンジ等により構成され器具側ベース40の長手方向の両端側に配置されている。クッション部材44により、取付器具2をガタツキなしで設置面80に取り付けることができ、取付器具2を設置面80と平行な姿勢を維持できる。
【0029】
(4)光源ユニット
光源ユニット5は、図2及び図3に示すように、長尺状の光源側ベース50と、光源側ベース50の表面に配置されたLED素子(図示省略)と、光源側ベース50の裏面に配置された電源ユニット51と、光源側ベース50に取り付けられ且つLED素子を表側から覆う透光性カバー52と、光源側ベース50と透光性カバー52との長手方向の両端を塞ぐ光源側端部カバー53と、光源ユニット5を取付器具2の器具側取付具43に着脱可能に取り付けるための光源側取付具54とを備える。光源側取付具54は、長手方向の両端側にあり、これにより、光源ユニット5を安定した姿勢で取付器具2に取り付けることができる。
【0030】
3.取り付け・取り外し
設置面80に設けられた被取付具7への取付器具2の取り付けの説明として、取付箇所である被取付具7(ブッシュ79を含む)と取付具3(板ばね37を含む)を用いて行う。
【0031】
(1)取り付け
図6を用いて説明する。
(1-1)位置合わせ
図6の(a)に示すように、被取付具7の表側に取付具3を位置合わせする。具体的には、長手方向は、被取付具7の第2延伸部73の表側(下方)に取付具3の被係合部34の位置するようにする。短手方向は、被取付具7の一対の第2延伸部73が、取付具3の一対の被係合部34の間に位置するようにする。この際、器具本体4の400a及び取付具3の開口30aを介して、被取付具7の位置が確認できるため、容易に位置合わせできる。
【0032】
(1-2)当接
被取付具7に対して位置合わせした取付具3を被取付具7に近づける。つまり、取付具3を裏側へと移動させる。この際、器具本体4の400a及び取付具3の開口30aを介して、被取付具7の位置が確認できるため、取付具3を簡単に移動できる。
取付具3を裏側に移動させると、被取付具7の一対の係合部72の表面が、取付具3の平板状部30に当接する。この状態が、図6の(b)である。この際、被取付具7に取り付けられているブッシュ79の先端は、取付具3の開口30a及び器具本体4の開口400aに挿入され、取付具3や器具本体4と干渉することはない。つまり、配線が被取付具7と取付具3の間に挟んで傷つけることはない。
【0033】
(1-3)係合
位置合わせした状態であって当接する状態の取付具3を、被取付具7に対して係合側に移動させる。つまり、取付具3を被取付具7の係合部72が存在する側へと移動させる。この際、取付具3の一対の被係合部分342の延伸先端部が被取付具7の第2延伸部73に長手方向に沿って近接しているため、位置決め状態を維持して取付具3を簡単に移動できる。
取付具3を係合側に移動させると、被取付具7の一対の係合部72と設置面80との間に被係合部分342が進入していく。この際、被取付具7の係合部72の受け入れ側の端部が、設置面80から離れる傾斜部分72aとなっているため、被係合部分342の係合側の端部が、係合部72と干渉することが少ない。また、被取付具7の第2延伸部73の延伸先端は当接状態にある取付具3まで達していないため、干渉するおそれはない。なお、第2延伸部73の延伸先端は、取付具3の平板状部30まで達していないが近接しているため、取付具3の係合側への移動にしたがって、平板状部30の裏面に当接し、係合側の移動を補助する。
取付具3を係合側に移動させると、被取付具7の張出部74が取付具3の板ばね37の係合側部分373a(図5参照)に当接し始める。この際、板ばね37が表側に弾性変形すると共に係合側部分373aの傾斜角度が緩いため、小さい力でそのまま取付具3を移動させることができる。
さらに、取付具3を移動させると、被取付具7の張出部74が板ばね37の屈曲部372(図5参照)を超えると共に被係合部分342の係合側の端部が被取付具7の係合部72の拡張部分72b(図5参照)に当接し、係合側の移動が規制される。被取付具7の張出部74が板ばね37の屈曲部372を超える際には、板ばね37が表側に弾性変形し、解除側部分373bが設置面80と直交する方向と平行又は直交する方向に対して係合側に位置することとなる。これにより、被取付具7の張出部74が板ばね37の屈曲部372を超えると、板ばね37が復元して、屈曲部372が被取付具7の平板状部70に衝突してクリック音が発生する。この音により、作業者は、取付具3の被取付具7への取付が完了したことを認識できる。
なお、取付が完了した状態、つまり、図6の(c)の状態では、板ばね37の屈曲部372が被取付具7の平板状部70に当接するため、解除側部分373bの張出部74とほぼ平行となり、取付具3が解除側に移動するのが規制される。
【0034】
(2)取り外し
図6の(c)に示すように、取付具3の平板状部30の開口30b及び器具本体4の開口400aから表側に延出する板ばね37の延伸部374を表側に押し下げる。これにより、板ばね37が弾性変形し、屈曲部372が表側に移動して、解除側部分373bが開口30b内に没する。
この状態で、取付具3を解除側に移動させることで、被係合部34の係合部72への係合が解除され、取付具3を被取付具7から取り外しできる。
【0035】
<第2実施形態>
第1実施形態では、取付具3(取付器具2)を直線方向にスライドさせていたが、例えば、周方向にスライドさせて取付具を被取付具に取り付けるようにしてもよい。
以下、周方向に移動(回転)させる形態を第2実施形態として、図7を用いて説明する。
第2実施形態の照明装置1Aは、設置面80の被取付具7Aに着脱可能に取り付けられる取付器具2Aと、取付器具2Aに交換可能に取り付けられる光源ユニット5Aとを備える。取付器具2Aは、取付具3Aと器具本体4Aとを備え、取付具3Aが被取付具7に取り付けられることで、器具本体4Aが設置面80に取り付けられる。なお、器具本体4Aに取付具3Aが取り付けられて取付部が構成される。
第2実施形態では、取付器具2Aを被取付具7Aに対して設置面80と直交する軸を回転軸としてその周方向に移動させることで、取付器具2Aが被取付具7Aに取り付けられる。なお、回転軸周りの周方向が、本発明の「第1方向」の一例に相当し、単に「周方向」ともする。また、表側から見たときに、被取付具7Aに対して取付器具2Aが時計回りに回転させる側が係合側であり、反時計回りに回転させる側が解除側である。
【0036】
器具本体4A及び光源ユニット5Aは、その基本構成が第1実施形態の器具本体4及び光源ユニット5と同じである。このため、以下に、被取付具7Aと取付具3Aとについて説明する。
被取付具7Aが取り付けられるプレート84Aは円盤状をし、その中央に配線用の開口841Aを有している。
被取付具7Aは、例えば、所定形状にプレスされた金属板により構成されている。
被取付具7Aは、プレート84Aに対応した円形状の平板状部70Aを有し、その中央側に開口70aAを有する。当該開口70aAを利用して配線が導出される。
被取付具7Aは、周方向と直交する断面において、設置面80から光源ユニット5Aに向かって延伸する第1延伸部71Aと、第1延伸部71Aの延伸先端から設置面80と平行に延伸する部分により構成された係合部72Aとを有している。
第1延伸部71A及び係合部72Aは、平板状部80Aに設けられ、回転軸を通り且つ当該回転軸を挟んだ2部位にある。ここでの2部位は、被取付具7Aを設置面80側のプレート84Aに固定する2個のねじ86Aの中心を通る仮想線上に存在する。
第1延伸部71Aは板状をし、その主面は周方向に沿って延伸する。係合部72Aは、板状をし、その主面は設置面80と平行に延伸する。係合部72Aは、第1延伸部71Aから中心軸に向かって延伸する。
【0037】
被取付具7Aは、一対の係合部72Aを結ぶ仮想線と直交する方向に開口74Aを有する。開口74Aは、回転軸を挟んで2個あり、一方の対角線が径方向と一致する方形状をしている。開口74Aには、取付具3Aの板ばね37Aの屈曲部372Aが嵌ると共に係合側部分373aAが開口74Aを形成している端面に対向する。なお、係合側部分373aAが対向する端面は、係合側部分373aに対して係合側に位置する端面である。
【0038】
取付具3Aは、器具本体4Aの器具側ベース40Aの天壁部400Aから設置面80に向かって延伸する延伸部31Aと、延伸部31Aの延伸先端から設置面80と平行に配された平板状部32Aとを有している。ここでの取付具3Aは、取付具3Aを器具側ベース40Aに取り付けるための取付部33Aを有している。
延伸部31Aは、板状をし、その主面が短手方向に延伸する。延伸部31Aは、器具側ベース40Aの長手方向に沿って2個ある。なお、延伸部31Aの延伸量は、平板状部32Aと器具本体4Aとの間の空間内で、被取付具7Aの係合部72Aは周方向に移動できる量である。
取付部33Aは、延伸部31Aにおける平板状部32Aと反対側の端部から器具側ベース40Aの天壁部400Aと平行であって長手方向の外方へ向かって延伸する。これにより、被取付具7Aの係合部72Aと干渉をするのを防止できる。取り付けには、ねじ29Aが利用され、取付部33Aにねじ孔が設けられている。なお、ねじによる取り付けが長手方向に離れた2か所で行われるため、取付具3Aがねじの中心軸周りに回転するのを規制できる。
【0039】
平板状部32Aは、ここでは方形状をし、その中央部分に配線用の貫通孔320Aを有している。貫通孔320Aは円形状をしている。
平板状部32Aは、器具側ベース40Aの天壁部400Aとの間に被取付具7Aの係合部72A用の空間を延伸部31Aとで形成している。平板状部32Aは、取付具3Aを被取付具7Aに取り付ける際の回転軸を中心とし、係合部72Aと回転軸との距離を半径とする円周に沿って形成された円弧状の貫通溝34Aを有している。貫通溝34Aは、周方向の係合側に被取付具7Aの係合部72Aの通過を許容する幅広部341Aと、周方向の解除側に被取付具7Aの係合部72Aの通過を許容せずに第1延伸部71Aの通過を許容する幅狭部342Aとを有する。取り付けの際には、幅広部341Aの設置面80側(裏側)から被取付具7Aの係合部72Aを表側(器具本体4A側)に受け入れ、取付具3Aを周方向の係合側に移動(回転)させると、第1延伸部71Aが幅狭部342Aを移動すると共に係合部72Aが平板状部32Aと器具本体4Aとの間の空間を移動する。これにより、平板状部32Aにおける貫通溝34Aの幅狭部342Aに対して径方向の内側に位置する部分に係合部72Aが係合する。なお、貫通溝34Aの幅狭部342Aに対して径方向の内側に位置する部分により、取付具3Aの被係合部35Aが構成される。このように、取付器具2Aの被係合部35Aを被取付具7Aの係合部72Aに係合させることで、吊りボルトを使用することなく、取付器具2Aを設置面80側に取り付けることができる。
【0040】
取付具3Aには板ばね37Aが設けられている。板ばね37Aは平板状部32Aの設置面80側に設けられている。ここでは、一対の貫通溝34Aが設けられている円周上であって貫通溝34A間に設けられ、合計で2個ある。
板ばね37Aは、被取付具7Aの係合部72Aが貫通溝34Aの幅広部341Aに挿入した際に、弾性変形した状態で被取付具7Aの平板状部70Aに表側から当接し、被係合部35Aが係合部72Aに係合すると、板ばね37Aの復元力により被取付具7Aの開口74A内に嵌る。
板ばね37Aは、取付具3Aに取り付けられる取付部371Aと、屈曲部372Aが設置面80側に位置する「V」字状に形成されたV字状部373Aとを有している。
取付部371Aは、取付具3Aの平板状部32Aに当接し、取付用のねじ38Aが挿通する貫通孔と、平板状部32Aの凸部分321Aが嵌合する貫通孔とを有している。凸部分321Aより、ねじ38Aの中心軸周りに板ばね37Aが回転するのを規制できる。
V字状部373Aは、屈曲部372Aに対して、周方向の係合側に位置する係合側部分373aAと、周方向の解除側に位置する解除側部分373bAとを有する。係合側部分373aAの傾斜角度は、解除側部分373bAの傾斜角度よりも小さい。
【0041】
取付具3Aを被取付具7Aに係合させる(取り付ける)際に、被取付具7Aの係合部72Aが取付具3Aの貫通溝34Aの幅広部341A内に位置するように、位置合わせした後に、取付具3Aを被取付具7Aに近づける。この状態では、図8の(a)に示すように、板ばね37Aは弾性変形して、屈曲部372Aは被取付具7Aの平板状部70Aに当接している。
この近づけた状態で、取付具3Aを周方向の係合側(図中の矢印A側である)に移動させると、係合部72Aが貫通溝34Aの幅狭部342A側に移動すると共に板ばね37Aの屈曲部372が被取付具7Aの開口74Aに近づく。
さらに、取付具3Aを係合側に移動させると、図8の(b)に示すように、屈曲部372Aが復元力により被取付具7Aの開口74A内に嵌ると共に、係合部72Aが貫通溝34Aの幅狭部342Aにおける解除側の端面に当接し、取付具3Aの係合側への移動が規制される。
この状態では、被取付具7Aの開口74Aの解除側の端面741AにV字状部373Aの解除側部分373bAが対向し、取付具3Aの解除側のへの移動が規制される。つまり、平板状部70Aの設置面80側の面を基準して、端面741Aは設置面80と反対側に張り出していることから、端面741Aは張出部ともいえる。
【0042】
取付具3Aを被取付具7Aから取り外す際には、被取付具7Aの開口74Aの解除側の端面741Aが解除側部分373bAと対向しているが、解除側部分373bAは、裏側に移るにしたがって端面741Aから離れるように傾斜しているため、大きな力で取付具3Aを解除側に移動させると、取付具3Aを被取付具7Aから取り外すことができる。
【0043】
以上、各実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0044】
<変形例>
1.照明装置等
(1)照明装置1,1Aは長尺状をしているが、例えば、方形状、円形状、楕円形状等をしてもよい。
(2)取付器具2,2Aは、取付具3,3Aと器具本体4,4Aとを少なくとも備えていればよく、例えば、光源ユニット5,5Aを位置決め状態で取り付けるための位置決具等を有してもよい。
取付器具2,2Aは、取付具3,3Aと器具本体4,4Aとを別体で構成し、両者を結合していたが、例えば、取付具3,3Aの被係合部34,35Aとを器具本体4,4Aに一体に設けてもよい。なお、この場合、取付具に対応する部位は取付部となる。
(3)被取付具7,7Aは、プレート84,84Aと別体で構成され、プレート84,84Aに取り付けていたが、例えば、被取付具7,7Aの平板状部70,70Aをプレート84,84Aに一体に設けてもよい。
(4)取付具3,3Aと被取付具7,7Aとの取付構造に着目した発明においては、器具本体と光源ユニットとは、光源ユニットを着脱可能又は交換可能に器具本体に取り付ける構成があればよく、他の構成は特に限定するものではない。
例えば、器具本体側に電源ユニットを設け、設置面からの配線を電源ユニットに接続し、電源ユニットからハーネス等を利用して光源ユニットに点灯電力を供給してもよい。
【0045】
2.被取付具
(1)被取付具7,7Aは、取付具3,3Aを取り外し可能に取り付ける構成を有していればよく、被取付具を設置面に取り付ける構成については特に限定するものではない。例えば、プレート84の表側部846(ねじ孔848)は嵌合部844における筒軸を挟んだ2部位に設けられ、被取付具7は2個の貫通孔70d,70eを有していたが、周方向に間隔をおいた3個以上の表側部に対応して3個以上の貫通孔を有してもよい。
(2)平板状部70の貫通孔70d,70eは、被取付具7の長手方向と平行であって短手方向の中央を通る仮想線上に位置しているが、短手方向の中央を通らない仮想線上に位置してもよいし、長手方向と交差する方向の仮想線上に位置してもよい。
(3)平板状部70は、矩形状部分70aの長手方向の一端側に拡張部分70cを有していたが、他方側にも拡張部分70cを有してもよいし、拡張部分70cを有しなくてもよい。
(4)第2延伸部73は第1延伸部71と長手方向に連続しているが、第2延伸部73は、第1延伸部71と不連続(独立して)に設けられてもよい。この場合、取付具3の係合側の移動を考慮すると、第2延伸部73の方が係合部72の延伸方向側に位置することが好ましい。
(5)第2延伸部73は、設置面80と直交する方向に延伸しているが、例えば、延伸先端が短手方向の内方へ傾斜するように延伸してもよい。この場合、取付具3の被係合部分342を被取付具7の第2延伸部73に位置合わせして、取付具3を被取付具7に近づける際に、被係合部分342の延伸先端部分が第2延伸部73と干渉するのを防止できる。
(6)係合部72,72Aの係合面は、設置面80と平行に延伸しているが、設置面80に対して交差する方向に延伸してもよい。この場合、取付具3,3Aの被係合部34,35Aの被係合面も、係合部の係合面と平行に延伸するのが好ましい。
(7)被取付具7は、張出部74を平板状部70における第1方向の解除側端に有しているが、他の場所、例えば、第1方向の係合側端に有してもよい。なお、この場合、取付具3側の板ばね37も第1方向の係合側端部に設ける必要がある。
(8)平板状部70は、図9に示すように、被取付具7への取付器具2の取付位置を確認する目印70gを有してもよい。ここでの目印70gは短手方向に延伸し、取付器具2が被取付具7に対して正しい位置で取り付けられた状態において、目印70gと一致する目印400fを器具本体4に設けている。これにより、2つの目印70g,400fが一致するように取付器具2を移動させればよく、取付器具2を被取付具7に対して正しい位置まで移動させたことを一目で確認できる。なお、目印70g,400fは、線状でなくてもよく、矢印でもよいし、三角形状でもよい。
【0046】
3.取付具
(1)被係合部分342は、第1方向の係合側端に傾斜領域342aを有していたが、傾斜部分は、直線状に傾斜してもよいし、円弧状に傾斜してもよい。
(2)被係合部34は、屈曲部33に連続して設けられているが、屈曲部33と連続しないように設けられてもよい。
(3)屈曲部33は、長手方向に沿って設けられているが、長手方向の間隔を置いて複数個設けられてもよい。また、取付具3と器具本体4とが4か所でねじ29により取り付けられるため、取付強度の観点からは屈曲部33はなくてもよい。
(4)板ばね37は、取付具3及び器具本体4の表側に延伸する延伸部374を有しているが、延伸部274を備えなくてもよい。但し、係合状態を解除する際には、延伸部374があった方がよい。
【0047】
4.係合関係
被取付具と取付具との係合関係に着目すると、以下のような構成としてもよい。なお、ここでは、被取付具と取付具との係合に着目するための、他の構成については、実施形態と同じであってもよいし、異なってもよい。
(1)第1実施形態では、係合部72は第1方向と直交する方向(短手方向)の外方へ延伸し、被係合部分342は直交する方向の内方へ延伸しているが、例えば、係合部は第1方向と直交する方向(短手方向)の内方へ延伸し、被係合部分が直交する方向の外方へ延伸してもよい。
また、一対の係合部72は、第1方向と直交する方向の外方へ延伸しているが、一対の係合部の内、一方の係合部は外方へ延伸し、他方の係合部は内方へ延伸してもよい。
(2)第2実施形態では、係合部72Aは第1方向と直交する方向(径方向)の内方(中心軸に近づく方向)へ延伸し、被係合部35Aは直交する方向の外方へ延伸しているが、例えば、係合部は第1方向と直交する方向(径方向)の外方へ延伸し、被係合部分が直交する方向の内方へ延伸してもよい。
一対の係合部72Aは、第1方向と直交する方向の内方へ延伸しているが、一対の係合部の内、一方の係合部は外方へ延伸し、他方の係合部は内方へ延伸してもよい。
(3)取付具3,3A及び被取付具7,7Aは、互いに係合関係を構成できればよく、例えば、実施形態での被取付具(又はそれに相当する構成)を器具本体に取り付けて取付具を構成し、実施形態の取付具(又はそれに相当する構成)をプレートに取り付けて被取付具を構成してもよい。つまり、係合関係を逆にしてもよい。
換言すると、取付具(又は取付器具)は、互いに係合する係合部及び被係合部の一方を有し、被取付具は互いに係合する係合部及び被係合部の他方を有している。
(4)第1実施形態では、係合部72は第1延伸部71から延伸し、被係合部分342は延伸部分341から延伸しているが、例えば、第2実施形態のように、貫通溝を利用してもよい。
例えば、取付具の平板状部に第1方向に延伸する貫通溝を設け、当該貫通溝に被取付具の係合部が係合するようにしてもよい。また、被取付具の平板状部に第1方向に延伸する貫通溝を設け、当該貫通溝に取付具の被係合部(被係合部分)が係合するようにしてもよい。これらの場合、平板状部における貫通溝に面する部分が被係合部となる。
このように、係合部及び被係合部は、互いに係合する係合面又は被係合面を設置面80と平行となるように又は設置面80に対して傾斜するように設けられればよく、延伸部の延伸先端から屈曲状態で延伸して構成されてもよいし、平板状部の開口を設けて平板状部における開口に面する部分で構成されてもよく、その形態は特に限定するものではない。
【0048】
5.張出部と板ばね
張出部と板ばねは、係合完了状態(取付具の移動が完了した状態)において、取付具が解除方向に移動するのを規制する機能、つまり、係合維持機能を有している。
張出部と板ばねとによる係合維持機能に着目すると、以下のような構成としてもよい。なお、ここでは、係合維持機能に着目するため、他の構成については、実施形態と同じであってもよいし、異なってもよい。
(1)張出部は、係合完了状態において、板ばね37,37Aの解除側部分373b、373bAと当接(係合)すればよく、第1実施形態のような被取付具7の平板状部70から屈曲するような張出部74により構成されてもよいし、第2実施形態のような被取付具7Aの開口74Aの係合側の端面741Aにより構成されてもよいし、取付具側に同一厚みで突出する突出部でもよいし、設置面側に凹入する凹み部であってもよい。
(2)張出部74,741Aは被取付具7,7Aに設けられ、板ばね37,37Aは取付具3,3Aに設けられているが、例えば、張出部が取付具側に、板ばねが被取付具側に設けてもよい。
換言すると、取付具(又は取付器具)は、取付具(又は取付器具)が第1方向に移動した際に設置面と直交する方向に弾性変形可能な板ばねと当該板ばねを設置面と直交する方向に変形させる張出部との一方を有し、被取付具は前記板ばねと張出部の他方を有している。
(3)張出部は、係合完了状態において、板ばね37,37Aの解除側部分373b、373bAと当接してもよく、近接してもよい。当接している場合は、第1方向のガタツキをなくすることができる。
【0049】
6.その他
実施形態に係る発明では、主に被取付具に取り付ける取付器具に着目しているが、設置面に照明装置を取り付ける被取付具に着目してもよい。
つまり、被取付具は、設置面から導出される配線から受電する照明装置を着脱可能に取り付ける被取付具であって、取付具は、照明装置を当該被取付具に対して第1方向の係合側に移動させることで、照明装置の被係合部と係合する係合部を有する。
この場合、1個の被取付具を設置面に設けるだけでよく、従来の被取付具である吊りボルトを少なくともの2個を設置面に設けるより、簡単に行える。
【符号の説明】
【0050】
1 照明装置
2 取付器具
3 取付具
4 器具本体
5 光源ユニット
7 被取付具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9