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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】抽気装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 31/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
F04D31/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023043130
(22)【出願日】2023-03-17
(65)【公開番号】P2023171247
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】202210553496.X
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】鮮 東廷
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-161887(JP,A)
【文献】中国実用新案第213574644(CN,U)
【文献】中国実用新案第214884053(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0032851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽気装置であって、
液体チャンバと、抽気チャンバと、接続通路と、排液通路と、抽気通路と、を含み、前
記液体チャンバ内に回転液体を有し、前記抽気チャンバ内に液体が収容されており、前記
抽気チャンバ内の液体は接続通路を介して液体チャンバに連通し、前記液体チャンバは
排液通路を介して液体を排出し、前記接続通路と前記液体チャンバとの連通位置が、
排液通路と前記液体チャンバとの連通位置よりも前記液体チャンバ内の回転液体の中心
に近く、前記抽気通路は前記抽気チャンバと抽気対象物とを連通させ、前記抽気対象物の
気体が前記抽気通路を流れて前記抽気チャンバに入り、
前記液体チャンバには気泡通路と気泡収集チャンバが設けられ、前記気泡収集チャンバ
は前記気泡通路を介して前記液体チャンバ内の液体に連通し、前記液体チャンバ内の気泡
が浮力の作用で前記気泡通路を介して前記気泡収集チャンバに入ることを特徴とする抽気装置。
【請求項2】
前記抽気チャンバは2つ以上のサブ抽気チャンバを含み、各サブ抽気チャンバに対応し
て、排液通路は2つ以上のサブ排液通路を含み、抽気通路は2つ以上のサブ抽気通路を含
み、接続通路は2つ以上のサブ接続通路を含み、サブ排液通路はサブ抽気チャンバと液体
チャンバとを連通させ、サブ接続通路はサブ抽気チャンバと液体チャンバとを連通させ、
サブ抽気通路はサブ抽気チャンバと抽気対象物とを連通させ、
さらに、サブ抽気チャンバには環境通路がさらに設けられ、環境通路は2つ以上のサブ
環境通路を含み、サブ環境通路はサブ抽気チャンバと外部環境とを連通させ、
通路の導通/遮断を制御するためのスイッチ機構をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の抽気装置。
【請求項3】
前記サブ接続通路にはスイッチ機構1が設けられ、サブ排液通路にはスイッチ機構2が
設けられ、サブ抽気通路にはスイッチ機構3が設けられ、サブ環境通路にはスイッチ機構
4が設けられることを特徴とする請求項2に記載の抽気装置。
【請求項4】
1)サブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数をサブ抽気チャンバAとし、これに対応す
るスイッチ機構1とスイッチ機構3を開くとともに、これに対応するスイッチ機構2とス
イッチ機構4を閉じ、残りのサブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数について操作を行い
、これらをサブ抽気チャンバBとし、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を
開くとともに、これに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3を閉じ、
2)装置を起動させて、液体チャンバ内に液体を回転させながら流動させ、サブ抽気チ
ャンバAに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽
気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに
入れ、
3)サブ抽気チャンバAの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバAとの連通位
置まで下がる前に、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3及び
サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャン
バAに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバBに対応するスイ
ッチ機構1とスイッチ機構3を開き、サブ抽気チャンバBに対応するサブ抽気通路を介し
て抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバB内に抽気し、サブ抽気チャンバAに対応するサ
ブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバAに入れ、
1)~3)を繰り返してサブ抽気チャンバA及びサブ抽気チャンバBのスイッチ機構の
開閉を制御することで、抽気対象物内の気体を連続的に抽気するような開閉動作により連
続抽気を行うことを特徴とする請求項3に記載の抽気装置。
【請求項5】
1)サブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数をサブ抽気チャンバAとし、これに対応す
るスイッチ機構1とスイッチ機構3を開くとともに、これに対応するスイッチ機構2とス
イッチ機構4を閉じ、残りのサブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数について操作を行い
、これらをサブ抽気チャンバBとし、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を
開くとともに、スイッチ機構1とスイッチ機構3を閉じ、
2)装置を起動させて、液体チャンバ内に液体を回転させながら流動させ、サブ抽気チ
ャンバAに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽
気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに
入れ、
3)サブ抽気チャンバAの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバAとの連通位
置まで下がる前に、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構1、及びサブ抽気チャン
バBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャンバBに対応する
スイッチ機構3を開き、サブ抽気チャンバAとサブ抽気チャンバBとを連通させた後、サ
ブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構3を閉じるとともに、サブ抽気チャンバAに対
応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構
1を開くことによって、サブ抽気チャンバBに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物
の気体をサブ抽気チャンバB内に抽気し、サブ抽気チャンバAに対応するサブ排液通路を
介して液体をサブ抽気チャンバAに入れ、
4)サブ抽気チャンバBの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバBとの連通位
置まで下がる前に、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構1及びサブ抽気チャンバ
Aに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャンバAに対応するス
イッチ機構3を開くことによって、サブ抽気チャンバAとサブ抽気チャンバBとを連通さ
せた後、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構3を閉じるとともに、サブ抽気チャ
ンバBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバAに対応するス
イッチ機構1を開くことによって、サブ抽気チャンバAに対応するサブ抽気通路を介して
抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ
排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに入れ、
3)と4)を繰り返すことによって、抽気対象物内の気体を連続的に抽気するような開
閉動作により連続抽気を行うことを特徴とする請求項3に記載の抽気装置。
【請求項6】
気体放出通路と気体放出機構を含み、気体放出機構は気体放出通路を介して気泡収集チ
ャンバに連通し、気体収集チャンバ内の気体を排出することを特徴とする請求項に記載
の抽気装置。
【請求項7】
前記抽気チャンバ内には、気体と液体との間の接触を減少させ、前記液体液面に追従し
て上下移動可能である気液遮断体が設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか
1項に記載の抽気装置。
【請求項8】
前記液体チャンバは互いに直列接続されるように複数設けられ、すなわち、前の液体チ
ャンバの排液通路と次の液体チャンバの接続通路が互いに連通することを特徴とする請求
項1~5のいずれか1項に記載の抽気装置。
【請求項9】
前記液体チャンバは互いに並列接続されるように複数設けられ、すなわち、すべての液
体チャンバの接続通路が互いに連通し、かつ抽気チャンバに連通し、すべての液体チャン
バの排液通路に連通し、排液に用いられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項
に記載の抽気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧発生の技術分野に属し、抽気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心抽気ポンプは、負圧を発生させ、その負圧を利用して気体を抽気することができる。遠心抽気ポンプの動作原理を図1に示す。遠心抽気ポンプは回転気体チャンバ(18)を有し、チャンバ内の気体は高速で回転する。通常、技術者は、チャンバ内に回転羽根(4)を取り付けることによって、チャンバ内の気体を駆動して回転させる。回転気体チャンバには、抽気通路(5)と排気通路(17)とが設けられている。抽気通路は、排気通路よりも回転気体の回転中心に近い。チャンバ内を回転する気体は遠心慣性力を発生させる。遠心慣性力の駆動により、回転流動の中心付近の気体が外周側に移動することにより、径方向において中心圧力が低く外周圧力が高い圧力分布が形成される。排気通路を外部環境に接続すれば、チャンバ内の外周圧力は外周環境の圧力とほぼ同等であると考えられる。このように、チャンバ内の圧力は負圧になり、回転気体の中心に近づくほど負圧が強くなる。抽気通路は、回転気体チャンバと抽気対象物(例えば、ガスタンク)とを接続する。チャンバ内の負圧は、抽気通路を介して抽気対象物内の気体を抽気する。明らかに、チャンバ内の負圧が強いほど抽気能力が高くなる。チャンバ内の回転気流の遠心慣性力はチャンバ内の負圧の高さを決定する。通常、遠心慣性力を高める方法は、回転気流の半径寸法を大きくすること(例えば、チャンバの半径と羽根の半径を大きくすること)、回転気流の速度を大きくすること(例えば、羽根の回転数を大きくすること)である。しかし、これらの方法には次のような欠陥がある。(1)回転気流の径方向寸法を大きくすることは、遠心抽気ポンプの体積が大きくなり、携帯性に劣ることにもつながる。また、大寸法の羽根の製作は難しい。羽根が回転する際に受ける抵抗が増え、羽根が折れやすくなる。また、抵抗力のアームが大きく、抵抗モーメントが大きいため、モータを非効率な状態で動作させることになる。(2)羽根の回転数を大きくすることで遠心慣性力を高めることができるが、モータの定格速度は無限に上げることができず、通常3000rpmから5000rpmでしかない。これにより、モータの定格回転数によって遠心慣性力の上昇幅が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の欠点に対して、回転液体が流れることによる負圧を利用して気体を抽気するものであり、抽気圧力が高く、振動や騒音が少なく、しかも、加工や製造が容易であり、装置の小型化が図られる抽気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下の態様により上記の目的を達成させる。
【0005】
抽気装置であって、
液体チャンバと、抽気チャンバと、接続通路と、排液通路と、抽気通路と、を含み、前記液体チャンバ内に回転液体を有し、前記抽気チャンバ内に液体が収容されており、前記抽気チャンバ内の液体は接続通路を介して液体チャンバに連通し、前記液体チャンバは排液通路を介して液体を排出し、前記接続通路と液体チャンバとの連通位置が、排液通路と液体チャンバとの連通位置よりも前記液体チャンバ内の回転液体の中心に近く、前記抽気通路は抽気チャンバと抽気対象物とを連通させ、抽気対象物の気体が抽気通路を流れて抽気チャンバに入る。
【0006】
上記の技術的解決手段において、さらに、前記抽気チャンバは2つ以上のサブ抽気チャンバを含み、各サブ抽気チャンバに対応して、排液通路は2つ以上のサブ排液通路を含み、抽気通路は2つ以上のサブ抽気通路を含み、接続通路は2つ以上のサブ接続通路を含み、サブ排液通路はサブ抽気チャンバと液体チャンバとを連通させ、サブ接続通路はサブ抽気チャンバと液体チャンバとを連通させ、サブ抽気通路はサブ抽気チャンバと抽気対象とを連通させ、
さらに、サブ抽気チャンバには環境通路がさらに設けられ、環境通路は2つ以上のサブ環境通路を含み、サブ環境通路はサブ抽気チャンバと外部環境とを連通させ、
前記装置は、通路の導通/遮断を制御するためのスイッチ機構をさらに含む。
【0007】
また、さらに、前記サブ接続通路にはスイッチ機構1が設けられ、サブ排液通路にはスイッチ機構2が設けられ、サブ抽気通路にはスイッチ機構3が設けられ、サブ環境通路にはスイッチ機構4が設けられる。
【0008】
上記の装置は、
1)サブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数をサブ抽気チャンバAとし、これに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3を開くとともに、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、残りのサブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数について操作を行い、これらをサブ抽気チャンバBとし、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を開くとともに、これに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3を閉じ、
2)装置を起動させて、液体チャンバ内に液体を回転させながら流動させ、サブ抽気チャンバAに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに入れ、
3)サブ抽気チャンバAの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバAとの連通位置まで下がる前に、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3及びサブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3を開き、サブ抽気チャンバBに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバB内に抽気し、サブ抽気チャンバAに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバAに入れ、
1)~3)を繰り返してサブ抽気チャンバA及びサブ抽気チャンバBのスイッチ機構の開閉を制御することで、抽気対象物内の気体を連続的に抽気するような開閉動作により連続抽気を行う。
【0009】
或いは、装置は、
1)サブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数をサブ抽気チャンバAとし、これに対応するスイッチ機構1とスイッチ機構3を開くとともに、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、残りのサブ抽気チャンバのうちの1つ又は複数について操作を行い、これらをサブ抽気チャンバBとし、これに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を開くとともに、スイッチ機構1とスイッチ機構3を閉じ、
2)装置を起動させて、液体チャンバ内に液体を回転させながら流動させ、サブ抽気チャンバAに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに入れ、
3)サブ抽気チャンバAの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバAとの連通位置まで下がる前に、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構1、及びサブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構3を開き、サブ抽気チャンバAとサブ抽気チャンバBとを連通させた後、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構3を閉じるとともに、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構1を開くことによって、サブ抽気チャンバBに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバB内に抽気し、サブ抽気チャンバAに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバAに入れ、
4)サブ抽気チャンバBの液体の液面がサブ接続通路とサブ抽気チャンバBとの連通位置まで下がる前に、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構1及びサブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4を閉じ、サブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構3を開くことによって、サブ抽気チャンバAとサブ抽気チャンバBとを連通させた後、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構3を閉じるとともに、サブ抽気チャンバBに対応するスイッチ機構2とスイッチ機構4及びサブ抽気チャンバAに対応するスイッチ機構1を開くことによって、サブ抽気チャンバAに対応するサブ抽気通路を介して抽気対象物の気体をサブ抽気チャンバA内に抽気し、サブ抽気チャンバBに対応するサブ排液通路を介して液体をサブ抽気チャンバBに入れ、
3)と4)を繰り返すことによって、抽気対象物内の気体を連続的に抽気するような開閉動作により連続抽気を行う。
【0010】
さらに、前記液体チャンバには気泡通路と気泡収集チャンバが設けられ、気泡収集チャンバは気泡通路を介して液体チャンバ内の液体に連通し、液体チャンバ内の気泡が浮力の作用で気泡通路を介して気泡収集チャンバに入る。
【0011】
また、さらに、前記装置は気体放出通路と気体放出機構を含み、気体放出機構は気体放出通路を介して気泡収集チャンバに連通し、気体収集チャンバ内の気体を排出する。
【0012】
さらに、前記抽気チャンバ内には、気体と液体との間の接触を減少させ、前記液体液面に追従して上下移動可能である気液遮断体が設けられる。
【0013】
さらに、前記液体チャンバは互いに直列接続されるように複数設けられ、すなわち、前の液体チャンバの排液通路と次の液体チャンバの接続通路が互いに連通する。
【0014】
さらに、前記液体チャンバは互いに並列接続されるように複数設けられ、すなわち、すべての液体チャンバの接続通路が互いに連通し、かつ抽気チャンバに連通し、すべての液体チャンバの排液通路に連通し、排液に用いられる。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べ、本発明の抽気装置は以下の利点を有している。
【0016】
本発明の抽気装置は、回転液体が流れることによる負圧を利用して気体を抽気し、このような方式は、高密度の回転流体を用いることで負圧を容易に高め、抽気効率が高く、そして、本発明の装置による負圧によって、エアポンプにおいて振動により負圧が波動するなどの問題を回避することができ、安定的な負圧を発生させることができ、さらに、本発明は、モータなどの設備への要件や加工精度への要求を大幅に低下させ、コストを大幅に削減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術における遠心抽気ポンプの作動原理の概略図であり、(a)は構造断面図、(b)は羽根上面図である。
図2】本発明に係る抽気装置の具体的な構造の概略図であり、(a)は構造断面図、(b)は羽根上面図である。
図3図2の装置による抽気過程の概略図であり、(a)は初期状態、(b)は安定状態である。
図4】本発明に係る抽気装置の別の具体的な構造の概略図である。
図5】本発明に係る抽気装置の気泡収集チャンバの構造概略図である。
図6】本発明に係る抽気装置の気泡収集チャンバに気体放出通路及び気体放出機構が設けられたときの概略図である。
図7】本発明に係る抽気装置の気液遮断体の一例の構造概略図である。
図8】本発明に係る抽気装置の別の気液遮断体の構造概略図である。
図9】本発明に係る抽気装置の液体チャンバの直列接続の構造概略図である。
図10】本発明に係る抽気装置の液体チャンバの並列接続の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しつつ、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
図4にはAとBの2つの抽気チャンバが示されており、上記の対応する各部材はすべて部材の番号及びこれに対応する文字で構成され、例えば抽気チャンバAの抽気通路はサブ抽気通路5Aとして表され、
図8図9にはaとbの2つの液体チャンバが示されており、対応する上記の各部材はすべて部材の番号及びこれに対応する文字で構成され、例えば液体チャンバaに開けられる排液通路は排液通路6aとして表される。
【実施例1】
【0019】
図2は本発明の抽気装置の構造概略図である。該装置は液体チャンバ1と、抽気チャンバ2と、羽根4と、モータ3と、を含み、液体チャンバ内に液体が収容されており、羽根4は液体チャンバ1内に取り付けられ、モータ3は羽根4を回転駆動する。回転する羽根は液体チャンバ内の液体を回転駆動する。抽気チャンバ2内には液体が収容されている。液体チャンバ内の液体と抽気チャンバ内の液体は接続通路7を介して互いに連通する。液体チャンバには排液通路6がさらに設けられ、排液通路6は液体チャンバと外部環境とを連通させる。液体チャンバ1内では、接続通路7の位置が排液通路6の位置よりも回転液体の中心に近い。抽気チャンバ2には抽気通路5が設けられ、抽気通路5は抽気チャンバと抽気対象物8(例えばガスタンク、例えば図3(a))とを連通させる。抽気対象物の気体は抽気されて抽気通路5を介して抽気チャンバ2に流れる。本実施例では、排液通路6は液体チャンバの最外側に設けられ、接続通路7は液体チャンバの中心に設けられ、排液通路6及び接続通路7の位置も具体的な状況に応じて設定されてもよく、接続通路7と液体チャンバとの連通位置が排液通路6と液体チャンバとの連通位置よりも回転液体の中心に近ければよい。
【0020】
液体チャンバ1内の回転液体は遠心慣性力を発生させる。液体の密度が気体の密度よりもはるかに高いため、本発明では、回転液体の遠心慣性力は図1の回転気体の遠心慣性力よりもはるかに大きい。これにより、液体チャンバ内において中心圧力が低く外周圧力が高い圧力分布が形成される。排液通路6を外部環境に連通することにより、回転液体の縁部の圧力は外部環境の圧力と同等になる。液体チャンバ内では、接続通路7の位置は排液通路6の位置よりも回転液体の中心に近いため、接続通路7での圧力は排液通路6での圧力(すなわち外部環境圧力)よりも小さい。つまり、接続通路7での圧力は負圧となる。負圧は接続通路7によって抽気チャンバ2の液体を吸引して排液通路6を介して排出する。抽気チャンバ2内の液位が下がり、抽気チャンバ内の気体の圧力が低下し、負圧が発生する。負圧は抽気通路5によって抽気対象物8の気体を抽気する。
【0021】
抽気対象物がガスタンクである場合を例にして説明する。図3に示すように、ガスタンクは抽気通路5を介して抽気チャンバ2に連通する。初期状態(図3(a))では、抽気チャンバに液体が満たされており、液面19が抽気チャンバのトップにある。次に、羽根4は回転して、液体チャンバ1内に液体が回転しながら流れる。回転液体の遠心慣性力は液体チャンバ内で負圧(負圧Aと記する)を発生させる。負圧Aは接続通路7によって抽気チャンバ内の液体を吸引し、液面を低下させ、これにより、抽気チャンバ内で負圧(負圧B)が発生する。抽気チャンバの負圧Bは抽気通路によってガスタンクの気体を抽気し、ガスタンク内の圧力を低下させ、負圧(負圧Cと記する)を発生させる。抽気チャンバ内において、液体の高さによる圧力を無視すれば、抽気チャンバ内の圧力が均一なものであって、すべて負圧Bである。抽気中において、負圧Aは負圧Bよりも高く、負圧Bは負圧Cよりも高い。最後に、抽気プロセスが終了したときに、負圧A、負圧B及び負圧Cはバランスを取り、すなわち、負圧Aは負圧Bと負圧Cに等しくなる。このとき、液面は所定の高さに安定的に維持される(図3(b))。
【0022】
本発明の抽気装置と図1に示すような遠心抽気ポンプとを比較して分析すると、両方は羽根寸法及び回転数が同じである。回転流体の遠心慣性力が流体の密度に比例することが知られていることから、遠心慣性力による負圧も流体の密度に比例する。もちろん、図1の遠心抽気ポンプによってガスタンク内に発生させる最終的な負圧は本発明よりもはるかに小さい。遠心抽気ポンプ内の回転流体が気体である一方、本発明の回転流体が液体であり、後者の密度が前者の数百倍、さらに千倍(例えば、前者は空気、後者は水であり、密度の差は830倍である)であるためである。遠心抽気ポンプで本発明の負圧を実現するには、その羽根の回転数を約30倍上昇させなければならない。もちろん、これは極めて難しい。モータの回転数はモータの電気性能や機械的性能(例えば、モータロータコイル、ころがり軸受、回転摩擦など)による制限から、その向上に限りがある。一方、本発明では、高密度の回転流体を用いることにより負圧を高める。また、本発明では、抽気チャンバ内に液体が収容されており、かつ、液体チャンバは必ず接続通路を介して抽気チャンバ内の液体と互いに連通しなければならない。このようにして、抽気中に液体チャンバ内において液体が回転しながら流れる。抽気チャンバ内に液体が収容されていないか、又は接続通路が抽気チャンバ内の気体に直接連通すれば、気体は液体チャンバに抽気される。気体の密度が液体よりも低いため、気体は回転流動の中心に集まり、中心気団が形成され、液体チャンバ内の液体の一部又は全部を押し出す。回転液体の流動が減少すると、遠心慣性力が小さくなり、液体チャンバ内の負圧が小さくなり、さらに抽気チャンバ内の負圧も小さくなる。
【0023】
さらに、遠心抽気ポンプに加えて、ピストン式抽気ポンプやスクリュー抽気ポンプがある。ピストン抽気ポンプはピストンの往復運動によって非常に高い負圧を発生させる。ただし、ピストン抽気ポンプはモータとクランクスライダ機構とを利用してピストンを駆動して往復運動させ、この機構は非対称の機械構造であるので、振動が酷いという欠点が存在し、負圧も振動により波動する。スクリュー抽気ポンプは2本のスクリューが噛み合うことにより空気を抽気して負圧を形成するものである。スクリューが噛み合うことは機械加工精度に対して高い要件があり、このため、そのコストが非常に高く、重量が大きい。本発明の羽根運動は軸対称運動であるため、振動の問題がなく、負圧が安定的になり、また、羽根により液体を回転駆動するときには加工精度があまり高くなくてもよく、そのコストが低い。
【0024】
実施例1では、抽気対象物8からの抽気が持続的に行われると、抽気チャンバ内の液体がなくなるまで抽気チャンバ2の液面19が持続的に低下する。抽気が続くと、気体は液体チャンバ1に入り、液体チャンバ内の液体を押し出し、その結果、液体チャンバ内の回転液体がなくなり、負圧が大幅に低下する。
【実施例2】
【0025】
上記の問題を解決するために、本発明では、前記抽気チャンバは2つ以上のサブ抽気チャンバを含み、各サブ抽気チャンバに対応して、排液通路は2つ以上のサブ排液通路を含み、抽気通路は2つ以上のサブ抽気通路を含み、接続通路は2つ以上のサブ接続通路を含み、サブ排液通路はサブ抽気チャンバと液体チャンバとを連通させ、サブ接続通路はサブ抽気チャンバと液体チャンバとを連通させ、サブ抽気通路はサブ抽気チャンバと抽気対象物とを連通させ、さらに、サブ抽気チャンバにはサブ環境通路がさらに設けられ、サブ環境通路はサブ抽気チャンバと外部環境とを連通させ、前記抽気装置は装置の通路の導通/遮断を制御するためのスイッチ機構をさらに含むようにしてもよい。
【0026】
図4に示すように、本実施例では、AとBの2つの抽気チャンバがあり、サブ抽気チャンバ2Aとサブ抽気チャンバ2Bとする。このような場合、サブ抽気チャンバ2Aはサブ接続通路7A、サブ排液通路6A、サブ抽気通路5A、サブ環境通路9Aに対応し、サブ抽気チャンバ2Bはサブ接続通路7B、サブ排液通路6B、サブ抽気通路5B、サブ環境通路9Bに対応する。本例のサブ排液通路、サブ抽気通路、サブ接続通路、サブ環境通路のすべてにスイッチ機構が設けられ、図4に示すように、サブ接続通路7A及び7Bにはスイッチ機構110A及び10Bが設けられ、サブ排液通路6A及び6Bにはスイッチ機構二11A及び11Bが設けられ、サブ抽気通路5A及び5Bにはスイッチ機構三12A及び12Bが設けられ、サブ環境通路9A及び9Bにはスイッチ機構四13A及び13Bが設けられる。下記動作の工程により連続抽気を行う。
【0027】
(1)スイッチ機構110A、スイッチ機構312A、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを開く。
【0028】
(2)モータを起動させると、羽根は回転して、液体チャンバ内に液体を回転させながら流動させる。サブ接続通路7Aを介してサブ抽気チャンバ2Aの液体を液体チャンバ1内に吸引し、サブ排液通路6Bを介してサブ抽気チャンバ2Bに流入させる。また、サブ抽気チャンバ2Bの気体をサブ環境通路9Bから外部環境に流入させ、サブ抽気チャンバ2Bの圧力は外部環境の圧力とほぼ同等に維持される。サブ抽気通路5Aを介して抽気対象物8の気体をサブ抽気チャンバ2A内に抽気する。
【0029】
(3)サブ抽気チャンバ2Aの液面が底部のサブ接続通路7Aの連通位置まで下がる前に、スイッチ機構110A、スイッチ機構312A、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを閉じ、スイッチ機構211A、スイッチ機構413A、スイッチ機構110B、スイッチ機構312Bを開く。サブ抽気チャンバ2Bの液体をサブ接続通路7Bを介して液体チャンバ1内に吸引し、サブ排液通路6Bを介してサブ抽気チャンバ2Aに流入させる。また、サブ抽気チャンバ2Aの気体をサブ環境通路9Aから外部環境に流入させ、サブ抽気チャンバ2Aは外部環境の圧力とほぼ同等に維持される。サブ抽気通路5Bを介して抽気対象物8の気体をサブ抽気チャンバ2B内に抽気する。
【0030】
(4)サブ抽気チャンバ2Bの液面が底部のサブ接続通路7Bの連通位置まで下がる前に、スイッチ機構110A、スイッチ機構312A、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを開き、スイッチ機構211A、スイッチ機構413A、スイッチ機構110B、スイッチ機構312Bを閉じる。サブ接続通路7Aを介してサブ抽気チャンバ2Aの液体を液体チャンバ1内に吸引し、サブ排液通路6Bを介してサブ抽気チャンバ2Bに流入させる。また、サブ抽気チャンバ2Bの気体をサブ環境通路9Bから外部環境に流入させ、サブ抽気チャンバ2Bの圧力は外部環境の圧力とほぼ同等に維持される。サブ抽気通路5Aを介して抽気対象物8の気体をサブ抽気チャンバ2A内に吸引する。上記の(3)を繰り返して、抽気対象物の気体を連続的に抽気する。
【実施例3】
【0031】
実施例2のプロセスにおいて、すべてのスイッチ機構の切り替えが同時に行われることにより、抽気対象物に連通する圧力が急激に変化する。例えば、実施例2のステップ(3)では、スイッチ機構312Aを開き、スイッチ機構12Bを閉じると、抽気対象物8に連通する圧力は負圧から環境圧力に瞬時に変化する。圧力の急激な変化は不安定さを反映するものである。圧力の急激な変化を抑制するために、本実施例では、スイッチ機構の動作の順番を以下のように最適化する。
【0032】
(1)スイッチ機構110A、スイッチ機構312A、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを開く。
【0033】
(2)モータを起動させると、羽根は回転して、液体チャンバ1内に液体を回転させながら流動させる。サブ接続通路7Aを介してサブ抽気チャンバ2Aの液体を液体チャンバ内に吸引し、サブ排液通路6Bを介してサブ抽気チャンバ2Bに流入させる。また、サブ抽気チャンバ2Bの気体をサブ環境通路9Bから外部環境に流入させ、サブ抽気チャンバ2Bの圧力はほぼ外部環境圧力と同等に維持される。サブ抽気通路5Aを介して抽気対象物8の気体をサブ抽気チャンバ2A内に抽気する。
【0034】
(3)サブ抽気チャンバ2Aの液面が底部に近いサブ接続通路7Aの連通位置まで下がる前に、まず、スイッチ機構110A、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを閉じる。次に、スイッチ機構312Bを開き、サブ抽気チャンバ2Aとサブ抽気チャンバ2Bとを互いに連通させ、サブ抽気チャンバ2B内で負圧を発生させる。次に、スイッチ機構312Aを閉じる。その後、スイッチ機構211A、スイッチ機構413Aを開き、サブ抽気チャンバ2Aを外部環境に連通させる。最後に、スイッチ機構110Bを開く。
【0035】
(4)サブ抽気チャンバ2Bの液面が底部のサブ接続通路7Bの連通位置まで下がる前に、まず、スイッチ機構110B、スイッチ機構211A、スイッチ機構413Aを閉じる。その後、スイッチ機構312Aを開き、サブ抽気チャンバ2Aとサブ抽気チャンバ2Bとを互いに連通させ、サブ抽気チャンバ2A内で負圧を発生させる。次に、スイッチ機構312Bを閉じる。その後、スイッチ機構211B、スイッチ機構413Bを開き、サブ抽気チャンバ2Bを外部環境に連通させる。最後に、スイッチ機構110Aを開く。上記の(3)を繰り返して、抽気対象物の気体を連続的に抽気する。
【0036】
上述したプロセスにおいて、2つのサブ抽気チャンバを切り替えるとき、抽気対象物に連通する圧力には所定の変化が生じるが、負圧が環境圧力に急激に変化することはなく、これにより、本発明の抽気装置の安定性を改善する。また、本発明の装置では、負圧の急激な変化を改善するために、他のスイッチ機構がさらに設けられてもよく、例えば、実施例3では、前記サブ抽気チャンバ2Aに対応するサブ抽気通路5Aは、サブ抽気チャンバ2Bに対応するサブ抽気通路5Bに連通してから、主抽気通路を介して抽気対象物に連通してもよく、主抽気通路には主スイッチ機構が設けられ、サブ抽気チャンバの切り替わりが必要である場合、主スイッチ機構を閉じ、サブ抽気チャンバ2Aが2Bに連通して圧力がバランスを取った後、主スイッチ機構を開く。
【実施例4】
【0037】
通常、液体に気体が溶解しており、負圧の状態では、液体に溶解した気体が析出され、小さな気泡となる。本発明では、液体チャンバ内で負圧を発生させるため、液体チャンバ内の液体から気泡が析出される。また、気泡の密度が液体の密度よりも小さいため、気泡は回転液体の流動中心に集まり、気団が形成される。気団は液体の空間を占め、液体チャンバの中心領域に液体が回転して流動できなくなり、この結果、負圧が低下し、さらに本発明の抽気効果が低下する。中心の気団を解消するために、本実施例では、図5に示すような気泡収集チャンバ14が設計される。気泡収集チャンバ14は液体チャンバ1の上方に設けられ、気泡収集チャンバ14は気泡通路15を介して液体チャンバ1に連通する。気泡通路15は液体チャンバ1の回転流動の中心に設けられる。
【0038】
気泡収集チャンバ14内に液体が収容されている。気泡は回転流動の中心に集まると、浮力の作用で上へ移動し、気泡通路15を介して気泡収集チャンバに入り、最後に、気泡収集チャンバ14の上部空間に集まる。このため、液体チャンバ内には気団が形成されない。
【0039】
本実施例では、気泡の浮力を利用して、析出された気体を回転して流動する液体から分離することにより、回転液体の流動中心に気団が形成されることを回避する。さらに、本実施例では、図5に示すように、接続通路7と液体チャンバ1との連通位置は液体チャンバ1の下部に設定される。抽気チャンバ2から吸引された液体は液体チャンバに流れるときに上向きの流速を有し、これは気泡収集チャンバへの気泡の搬送にも有利である。
【0040】
図6の気泡収集チャンバ14には気体放出通路21と気体放出機構22がさらに設けられる。気体放出通路21は気泡収集チャンバ14と気体放出機構22とを連通させる。気体放出機構22は気泡収集チャンバ内の気体を排出することができる。気体放出機構22はスイッチ機構としてもよい。抽気装置の使用が終わるたびに、気体放出機構22のスイッチ機構を開いて、気泡収集チャンバ14と外部環境とを連通させる。気泡収集チャンバ14内の液面を抽気チャンバ2内の液面よりも低くすれば、液体は重力の作用で抽気チャンバ2から気泡収集チャンバ14に流れ、気泡収集チャンバ内の気体を押し出し、気泡収集チャンバに液体が再び満たされる。気体放出機構22は小型真空ポンプとしてもよい。抽気装置の作動状態で、真空ポンプを開いて、気泡収集チャンバ内の気体を抽気する。
【実施例5】
【0041】
抽気チャンバ2内の液体が常に気体と接触するので、気体は液体に耐えずに溶解し、新しく溶解した気体は液体チャンバ1の負圧の条件で絶えずに析出される。その結果、液体チャンバ1内の気体が持続的に増える。実施例1~3では、液体チャンバ1の中心位置に集まる気団が大きくなり、実施例4では、気泡収集チャンバ14内の気体の容積が持続的に増大し、最後に、気体は気泡収集チャンバ14を満たして液体チャンバ1内に零れ、これは負圧の更なる向上に不利である。このため、本発明では、気体が持続的に析出されるという問題をさらに解決する必要がある。
【0042】
本発明の上記の問題を解決する手段は、液体と気体との接触を減らして、液体への気体溶解量を減少させることである。実施例3の1つの抽気チャンバを例にすると、具体的な方法を図7に示す。抽気チャンバの液面の上に気液遮断体16が設けられる。気液遮断体16は抽気チャンバ2内の液体と気体との接触を遮断することで、液体への気液の溶解を減少又は解消するという目的を達成させる役割を果たす。気液遮断体16は、抽気チャンバ2内の液体よりも低密度で、かつ空気に溶解しにくい別の液体であってもよい。例えば、抽気チャンバ2内の液体は水であり、気液遮断体16は油である。油は水面の上に浮き、気体と水との接触を遮断し、つまり、水への気体溶解を回避する。気液遮断体16は液体の上に浮く固体板であってもよく、液体の上に浮くボール(図8参照)であってもよく、これらは前記液体の液面に追従して上下移動可能である。
【実施例6】
【0043】
本実施例では、2つの液体チャンバが直列接続されることにより抽気負圧を増強する。図9に示すように、液体チャンバaと液体チャンバbが使用される。液体チャンバaは接続通路7aを介して抽気チャンバ2に連通する。液体チャンバaの排液通路6aと液体チャンバbの接続通路7bは連通する。液体チャンバbの排液通路6bは液体を外へ排出する。排液通路6bの圧力が環境圧力である場合、接続通路7aの圧力は2つの液体チャンバによる負圧の合計である。
【0044】
上記は本発明の一実施例に過ぎず、このような構想に基づいて、本発明の他の特定実施例において、直列接続される液体チャンバの数が増えることにより抽気負圧をさらに向上させることができる。
【実施例7】
【0045】
本実施例では、2つの液体チャンバが並列接続されることにより抽気負圧を増強する。図10に示すように、液体チャンバaと液体チャンバbが使用される。液体チャンバaの接続通路7aと液体チャンバbの接続通路7bとは互いに連通し、かつ抽気チャンバ2に連通する。液体チャンバaの排液通路6aと液体チャンバbの排液通路6bは互いに連通し、液体を外へ排出する。抽気チャンバ2から流れた液体の流量は2つの液体チャンバの流量の合計であり、このように、液体の流入量が増え、抽気チャンバの抽気量が増える。
【0046】
上記は本発明の一実施例に過ぎず、このような構想に基づいて、本発明の他の特定実施例において、並列接続される液体チャンバの数を増えることにより抽気負圧をさらに向上させることができる。
【0047】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨及び原則を逸脱することなく行われるいかなる修正や均等な置換も本発明の特許範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 液体チャンバ
2 抽気チャンバ
3 モータ
4 羽根
5 抽気通路
6 排液通路
7 接続通路
8 抽気対象物
9 環境通路
10 スイッチ機構1
11 スイッチ機構2
12 スイッチ機構3
13 スイッチ機構4
14 気泡収集チャンバ
15 気泡通路
16 気液遮断体
17 排气通路
18 回転気体腔
19 液面
20 気泡
21 気体放出通路
22 気体放出機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10