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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ベルト付シート及び腰ベルト保持具
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/26 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B60N2/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023510461
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2022027495
(87)【国際公開番号】W WO2024013862
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】黒巣 広子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐子
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-328471(JP,A)
【文献】特開2003-040005(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者が着座するシート本体と、該シート本体に着座する着座者の腰部を前記シート本体に固定する腰ベルトと、該腰ベルトを保持する腰ベルト保持部と、を備え、
前記シート本体は、該シート本体における幅方向の中央部よりも一方側に配置される第一腰ベルト連結部と、前記シート本体における幅方向の中央部よりも他方側に配置される第二腰ベルト連結部と、を備え、
前記腰ベルトは、長さ方向の一方側に第一基端部を有するように帯状に形成される第一腰ベルト本体と、前記第一基端部に対して長さ方向に離間するように前記第一腰ベルト本体に取り付けられる第一係止具と、長さ方向の一方側に第二基端部を有するように帯状に形成される第二腰ベルト本体と、前記第二基端部に対して長さ方向に離間するように前記第二腰ベルト本体に取り付けられる第二係止具と、を備え、
前記第一腰ベルト本体は、前記第一基端部が前記第一腰ベルト連結部に連結され、
前記第二腰ベルト本体は、前記第二基端部が前記第二腰ベルト連結部に連結され、
前記腰ベルト保持部は、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第一基端部と前記第一係止具との間で前記第一腰ベルト本体を保持する第一腰ベルト保持部と、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第二基端部と前記第二係止具との間で前記第二腰ベルト本体を保持する第二腰ベルト保持部と、前記第一腰ベルト保持部及び前記第二腰ベルト保持部を連結する連結部と、を備え、
前記シート本体は、前記第一腰ベルト保持部における前記第一基端部側に配置される根元部を前記シート本体における幅方向一方側へ付勢する第一付勢部を備え
前記第一腰ベルト保持部は、前記連結部との連結部分を軸に前記連結部に対して相対回動可能に構成されるベルト付シート。
【請求項2】
前記腰ベルト保持部は、前記シート本体及び前記腰ベルトに対して着脱可能である請求項1に記載のベルト付シート。
【請求項3】
前記シート本体は、前記シート本体の外殻を構成する座席部と、該座席部の内部に配置される敷部と、を備え、
前記座席部は、前記第一腰ベルト連結部を備え、
前記第一腰ベルト本体の前記第一基端部は、前記第一腰ベルト連結部に連結され、
前記敷部は、前記第一付勢部を備え、
前記第一付勢部は、前記根元部に対して前記シート本体における幅方向の他方側から当接するよう構成される請求項1に記載のベルト付シート。
【請求項4】
前記シート本体は、前記第二腰ベルト保持部における前記第二基端部側に配置される根元部を前記シート本体における幅方向他方側へ付勢する第二付勢部を備え
前記第二腰ベルト保持部は、前記連結部との連結部分を軸に前記連結部に対して相対回動可能に構成される請求項1に記載のベルト付シート。
【請求項5】
着座者が着座するシート本体と、該シート本体に着座する着座者の腰部を前記シート本体に固定する腰ベルトと、を備え、
前記シート本体は、該シート本体における幅方向で離間して配置される第一腰ベルト連結部及び第二腰ベルト連結部を備え、
前記腰ベルトは、長さ方向の一方側に第一基端部を有するように帯状に形成される第一腰ベルト本体と、前記第一基端部に対して長さ方向に離間するように前記第一腰ベルト本体に取り付けられる第一係止具と、長さ方向の一方側に第二基端部を有するように帯状に形成される第二腰ベルト本体と、前記第二基端部に対して長さ方向に離間するように前記第二腰ベルト本体に取り付けられる第二係止具と、を備え、
前記第一腰ベルト本体は、前記第一基端部が前記第一腰ベルト連結部に連結され、
前記第二腰ベルト本体は、前記第二基端部が前記第二腰ベルト連結部に連結されるベルト付シートに装着可能な腰ベルト保持具であって、
前記腰ベルトの長さ方向において、前記第一基端部と前記第一係止具との間で前記第一腰ベルト本体を保持する第一腰ベルト保持部と、
前記腰ベルトの長さ方向において、前記第二基端部と前記第二係止具との間で前記第二腰ベルト本体を保持する第二腰ベルト保持部と、
前記第一腰ベルト保持部及び前記第二腰ベルト保持部を連結する連結部と、を備え
前記第一腰ベルト保持部は、前記連結部との連結部分を軸に前記連結部に対して相対回動可能に構成される腰ベルト保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席に身体を固定するための腰ベルトを有するベルト付シート及び前記腰ベルトを保持する腰ベルト保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腰ベルトを有するベルト付シートとして、特許文献1に記載のような、車両の座席に配置して使用されるチャイルドシートが知られている。チャイルドシートは、子供が着座する座席部を含むチャイルドシート本体と、チャイルドシート本体に取り付けられた子供用ベルトと、チャイルドシート本体の座席部に取り外し可能に装着されたカバー材と、を備える。子供用ベルトは、股ベルトとして機能するとともに、バックルが取付けられる第1ベルト部材と、肩ベルト及び腰ベルトとして機能するとともに、タングが設けられる、幅方向で離間した一対の第2ベルト部材と、を備える。
【0003】
以上のような構成のチャイルドシートによれば、一対の第2ベルト部材が子供の肩部及び腰部を抑えるように配置し、タングをバックルに挿し込むことで、子供用ベルトによって子供の身体を座席部に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2015-189298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなチャイルドシートでは、チャイルドシート本体に子供を着座させない状態において、第2ベルト部材の腰ベルトとして機能する部分が幅方向の内方側へ倒れて座席部に載った状態となることがあった。このような状態で子供を着座させる際には、子供用ベルト(腰ベルト)を幅方向の外方側へ広げて座席部から避ける必要があり、子供を着座させる際に手間がかかっていた。
【0006】
なお、上記の課題は、車両の座席に配置されるチャイルドシートに限定されるものではなく、例えば、乳母車(ベビーカ)の座席部に子供を着座させる際など、チャイルドシート以外のベルト付シートでも起こり得る課題である。
【0007】
そこで、本発明は、着座する際に腰ベルトを避ける手間を抑制できるベルト付シート及び腰ベルト保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のベルト付シートは、着座者が着座するシート本体と、該シート本体に着座する着座者の腰部を前記シート本体に固定する腰ベルトと、該腰ベルトを保持する腰ベルト保持部と、を備え、前記シート本体は、該シート本体における幅方向の中央部よりも一方側に配置される第一腰ベルト連結部を備え、前記腰ベルトは、長さ方向の一方側に第一基端部を有するように帯状に形成される第一腰ベルト本体と、前記第一基端部に対して長さ方向に離間するように前記第一腰ベルト本体に取り付けられる第一係止具と、を備え、前記第一腰ベルト本体は、前記第一基端部が前記第一腰ベルト連結部に連結され、前記腰ベルト保持部は、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第一基端部と前記第一係止具との間で前記第一腰ベルト本体を保持する第一腰ベルト保持部を備え、前記シート本体は、前記第一腰ベルト保持部における前記第一基端部側に配置される根元部を前記シート本体における幅方向一方側へ付勢する第一付勢部を備えるよう構成される。
【0009】
また、前記腰ベルト保持部は、前記シート本体及び前記腰ベルトに対して着脱可能である構成とすることもできる。
【0010】
また、前記シート本体は、前記シート本体の外殻を構成する座席部と、該座席部の内部に配置される敷部と、を備え、前記座席部は、前記ベルト連結部を備え、前記第一腰ベルト本体の前記第一基端部は、前記第一腰ベルト連結部に連結され、前記敷部は、前記第一付勢部を備え、前記第一付勢部は、前記根元部に対して前記シート本体における幅方向の他方側から当接するよう構成することもできる。
【0011】
また、前記腰ベルトは、長さ方向の一方側に第二基端部を有するように帯状に形成される第二腰ベルト本体と、前記第二基端部に対して長さ方向に離間するように前記第二腰ベルト本体に取り付けられる第二係止具と、を備え、前記シート本体は、該シート本体における幅方向の中央部よりも他方側に配置される第二腰ベルト連結部を備え、前記第二腰ベルト本体は、前記第二基端部が前記第二腰ベルト連結部に連結され、前記腰ベルト保持部は、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第二基端部と前記第二係止具との間で前記第二腰ベルト本体を保持する第二腰ベルト保持部を備え、前記シート本体は、前記第二腰ベルト保持部における前記第二基端部側に配置される根元部を前記シート本体における幅方向他方側へ付勢する第二付勢部を備えるよう構成することもできる。
【0012】
本発明の腰ベルト保持具は、着座者が着座するシート本体と、該シート本体に着座する着座者の腰部を前記シート本体に固定する腰ベルトと、を備え、前記シート本体は、該シート本体における幅方向で離間して配置される第一腰ベルト連結部及び第二腰ベルト連結部を備え、前記腰ベルトは、長さ方向の一方側に第一基端部を有するように帯状に形成される第一腰ベルト本体と、前記第一基端部に対して長さ方向に離間するように前記第一腰ベルト本体に取り付けられる第一係止具と、長さ方向の一方側に第二基端部を有するように帯状に形成される第二腰ベルト本体と、前記第二基端部に対して長さ方向に離間するように前記第二腰ベルト本体に取り付けられる第二係止具と、を備え、前記第一腰ベルト本体は、前記第一基端部が前記第一腰ベルト連結部に連結され、前記第二腰ベルト本体は、前記第二基端部が前記第二腰ベルト連結部に連結されるベルト付シートに装着可能な腰ベルト保持具であって、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第一基端部と前記第一係止具との間で前記第一腰ベルト本体を保持する第一腰ベルト保持部と、前記腰ベルトの長さ方向において、前記第二基端部と前記第二係止具との間で前記第二腰ベルト本体を保持する第二腰ベルト保持部と、前記第一腰ベルト保持部及び前記第二腰ベルト保持部を連結する連結部と、を備えるよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るベルト付シートを示す図である。
図2】同ベルト付シートの座部を示す図である。
図3】同ベルト付シートの腰ベルト保持具の平面図である。
図4】同腰ベルト保持具の底面図である。
図5】同ベルト付シートの使用状態を示す図である。
図6】同ベルト付シートに着座者が着座した状態を示す図である。
図7図5における腰ベルト及び腰ベルト保持具の状態を示す断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るベルト付シートを示す図である。
図9図8における腰ベルト及び腰ベルト保持具の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るベルト付シート1及びベルト付シート1に装着される腰ベルト保持具6について図1乃至図7を参照して説明する。説明の便宜上、上下方向、前後方向、及び幅方向は、図に示す方向を基準に説明するが、これらは使用状態におけるベルト付シート1又は腰ベルト保持具6の方向を限定するものではない。
【0015】
図1に示すように、ベルト付シート1は、着座者C(例えば子供)が着座する(図6参照)シート本体2と、シート本体2に連結され、着座者Cをシート本体2に固定するベルト5と、シート本体2及びベルト5に対して着脱可能な腰ベルト保持具6と、を備える。本実施形態のベルト付シート1は、車両、例えば、自動車の座席上に配置されて使用されるチャイルドシートである。チャイルドシートは、大人を対象として設計された座席(例えば自動車の座席)やシートベルトを含む車両に子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を適切且つ安全に乗車させるための装置である。
【0016】
シート本体2は、シート本体2の外殻を構成する座席部3と、座席部3に敷かれる敷部4と、を備える。本実施形態で、座席部3は、硬質の材料で構成された部位であり、敷部4は、軟質で、厚み方向に弾性のあるクッション性の部位である。このようなシート本体2は、内部に着座者Cを収容する(図6参照)。
【0017】
図1に示すように、座席部3は複数パーツで構成されており、具体的には、着座者Cの背部に対して後方から対面するシート背部31と、着座者Cの臀部に対して下方から対面するシート座部32と、シート背部31の両側方(幅方向の両端部)に位置するシート側部33と、シート座部32の両側方に位置し、シート座部32から上方に延びるアームレスト34と、を備える。本実施形態の座席部3は、シート背部31とシート側部33が一体として構成され、シート座部32とアームレスト34が一体として構成されている。また、座席部3は、シート背部31の下端部及びシート座部32の後端部にシート連結部(図示しない)を有し、シート連結部によってシート背部31及びシート座部32が一体化される。
【0018】
また、図1及び図2に示すように、座席部3には、ベルト5の長さ方向における基端部分が連結されるように構成されている。即ち、座席部3は、後述する肩ベルト53の長さ方向における基端部分が連結される第一肩ベルト連結部35L及び第二肩ベルト連結部35Rと、後述する腰ベルト52の長さ方向における基端部分(第一基端部523L及び第二基端部523R)が連結される第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rと、後述する股ベルト51の長さ方向における基端部分が連結される股ベルト連結部37と、を備える。図1に示すように、第一肩ベルト連結部35L及び第二肩ベルト連結部35Rは、シート背部31に設けられ、図2に示すように、第一腰ベルト連結部36L、第二腰ベルト連結部36R、及び、股ベルト連結部37はシート座部32に設けられている。
【0019】
図1に示すように、第一肩ベルト連結部35Lと第二肩ベルト連結部35Rは、シート背部31の幅方向に離間して設けられる。具体的に、第一肩ベルト連結部35Lは、シート背部31の幅方向の中央部よりも一方側に設けられ、第二肩ベルト連結部35Rは、シート背部31の幅方向の中央部よりも他方側に設けられている。
【0020】
図2に示すように、第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rは、シート座部32の幅方向に離間して設けられる。具体的に、第一腰ベルト連結部36Lは、シート座部32の幅方向の中央部よりも一方側に設けられ、第二腰ベルト連結部36Rは、シート座部32の幅方向の中央部よりも他方側に設けられる。
【0021】
図2に示すように、股ベルト連結部37は、シート座部32の幅方向で第一腰ベルト連結部36Lと第二腰ベルト連結部36Rの間の位置に設けられる。具体的に、股ベルト連結部37は、シート座部32の幅方向中央部分かつ第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rよりも前方の位置に設けられる。
【0022】
図1に示すように、敷部4は、座席部3の内部(前後方向における前方及び幅方向における内方)を覆うように設けられ、着座者Cと座席部3の間に敷かれる部位である。また、敷部4は、座席部3に対して着脱可能に設けられている。このような敷部4は、クッション性を有し、厚み方向における力を吸収可能である。具体的に、敷部4は、座席部3の内側のほぼ全域を覆うカバー部41と、カバー部41及び座席部3の間に設けられる内側クッション部42(図7参照)と、を備える。
【0023】
図1に示すように、カバー部41は、複数のパーツを組み合わせて構成されており、複数のパーツで座席部3の略全域を覆うように構成されている。このようなカバー部41は、クッション性を有し、厚み方向にかかる力を吸収可能である。また、本実施形態のカバー部41は、複数のパーツ同士の継ぎ目41a(図7参照)又はカバー部41の厚み方向に貫通するように形成された孔41bにベルト5を厚み方向に通すことができるように構成されている。
【0024】
図7に示すように、内側クッション部42は、シート座部32の内側(上方)に設けられるクッション性のある部位であり、厚み方向にかかる力(着座者Cの臀部とシート座部32の間にかかる力)を吸収可能である。本実施形態の内側クッション部42は、発泡樹脂で構成されており、具体的には、ウレタンフォームである。また、本実施形態の内側クッション部42は、幅方向の両端部に設けられる切欠き部分42a及び厚み方向に貫通する孔部分(図示しない)にベルト5を厚み方向に通すことができるように構成されている。また、内側クッション部42に設けられる切欠き部分42a及び孔部分は、カバー部41の継ぎ目41a部分又は孔41bと厚み方向で連続するように設けられている。
【0025】
図1に示すように、敷部4は、ベルト5を厚み方向に通すことができるベルト通し部43を複数備える。ベルト通し部43は、切欠き又は孔を有する部分であり、切欠き又は孔にベルト5を通すことができるように構成されている。即ち、ベルト通し部43は、内側クッション部42の切欠き部分42a又は孔部分、及び、カバー部41の継ぎ目41a(図7参照)又は孔によって形成された、厚み方向にベルト5を通すことができる部分である。本実施形態のベルト通し部43は、後述する股ベルト51を通す股ベルト通し部431と、後述する肩ベルト53を通す一対の肩ベルト通し部433と、後述する腰ベルト52を通す一対の腰ベルト通し部434と、を含む。また、ベルト通し部43は、座席部3におけるベルト5が連結される部分(第一肩ベルト連結部35L、第二肩ベルト連結部35R、第一腰ベルト連結部36L、第二腰ベルト連結部36R、又は、股ベルト連結部37)と厚み方向で連続するように設けられている。股ベルト通し部431には、後述する股ベルト51の被係止具512を収容可能な股クッション部432が設けられる。さらに、後述するように、一対の腰ベルト通し部434における幅方向内方の部分は第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rを付勢する付勢部44(第一付勢部及び第二付勢部)として構成されている(図7参照)。
【0026】
図1に示すように、ベルト5は、着座者Cをシート本体2に固定する(図6参照)、シート本体2に連結された帯状の部分である。具体的に、ベルト5は、シート本体2に着座する着座者Cの股部分をシート本体2に固定する股ベルト51と、着座者Cの腰部分をシート本体2に固定する腰ベルト52と、着座者Cの肩部分をシート本体2に固定する肩ベルト53と、を備える。本実施形態のベルト5は、腰ベルト52と肩ベルト53が一体となった肩腰ベルト54を有するように構成されている。また、本実施形態のベルト5は、一対の肩腰ベルト54と、1つの股ベルト51と、を備え、両肩腰ベルト54に股ベルト51を係止可能ないわゆる5点式シートベルトである。
【0027】
図2に示すように、股ベルト51は、長さ方向における基端部分が股ベルト連結部37に連結される帯状の股ベルト部511と、股ベルト部511の先端部に設けられる被係止具512と、を備える。被係止具512は、肩腰ベルト54が係止可能な部位であり、本実施形態ではバックルである。このような股ベルト51は、被係止具512が股クッション部432(図1参照)に収容された状態で使用される。
【0028】
図1及び図2に示すように、肩腰ベルト54は、幅方向で離間して一対設けられている帯状の部位であり、具体的には、座席部3の幅方向の中央部よりも一方側に設けられる第一肩腰ベルト54Lと、座席部3の幅方向の中央部よりも他方側に設けられる第二肩腰ベルト54Rと、を備える。第一肩腰ベルト54Lは、第一肩ベルト連結部35Lから第一腰ベルト連結部36Lに亘って延び、第二肩腰ベルト54Rは、第二肩ベルト連結部35Rから第二腰ベルト連結部36Rに亘って延びる。また、一対の肩腰ベルト54は、被係止具512に対して係止可能な第一係止具541L又は第二係止具541R(具体的には、バックルに係止可能なタング)と、第一係止具541L又は第二係止具541Rを通過して延びる帯状の肩腰ベルト本体部542と、を備える。本実施形態における一対の肩腰ベルト54は、第一係止具541L又は第二係止具541Rで折り返されることによって肩ベルト53及び腰ベルト52が画定される。具体的に、第一肩腰ベルト54Lの長さ方向における第一係止具541Lよりも第一肩ベルト連結部35L側は第一肩ベルト部53Lとなり、第一係止具541Lよりも第一腰ベルト連結部36L側は第一腰ベルト本体521Lとなる。また、第二肩腰ベルト54Rの長さ方向における第二係止具541Rよりも第二肩ベルト連結部35R側は第二肩ベルト部53Rとなり、第二係止具541Rよりも第二腰ベルト連結部36R側は第二腰ベルト本体521Rとなる。
【0029】
また、本実施形態で一対の肩腰ベルト本体部542は、長さを調節可能に構成されている。図2に示すように、ベルト5は、一対の肩腰ベルト本体部542に接続された調節ベルト551を有するベルト長調節機構55を備える。ベルト長調節機構55は、一対の肩腰ベルト本体部542に接続された調節ベルト551と、シート座部32の前方部分に設けられ、調節ベルト551の長さ方向の中途部分を留める調節ベルトチャック552と、を備える。このようなベルト長調節機構55では、調節ベルトチャック552が調節ベルト551を留める位置を変更されることによって、一対の肩腰ベルト本体部542の長さが調節可能である。
【0030】
図1及び図2に示すように、腰ベルト52は、第一腰ベルト52Lと、第一腰ベルト52Lよりも幅方向他方側に設けられる第二腰ベルト52Rと、を備える。第一腰ベルト52Lは、長さ方向の端部に第一基端部523Lを有するように帯状に形成される第一腰ベルト本体521Lと、第一基端部523Lに対して長さ方向に離間するように第一腰ベルト本体521Lに取り付けられる第一係止具541Lと、を備える。第二腰ベルト52Rは、長さ方向の端部に第二基端部523Rを有するように帯状に形成される第二腰ベルト本体521Rと、第二基端部523Rに対して長さ方向に離間するように第二腰ベルト本体521Rに取り付けられる第二係止具541Rと、を備える。本実施形態で第一腰ベルト52Lと第二腰ベルト52Rは座席部3の幅方向の中央基準で略対称に設けられている。
【0031】
図2に示すように、第一腰ベルト本体521Lの第一基端部523Lは、第一腰ベルト連結部36Lに連結される。第一基端部523Lは、シート座部32に形成された第一腰ベルト連結部36Lとしての孔に挿通され、シート座部32の内部で折り返されて連結金具361で固定されることで、第一腰ベルト連結部36Lに連結されている(図7参照)。また、第一腰ベルト本体521Lは、第一係止具541Lが基端側(第一基端部523L側)に移動することを規制する第一係止具止め部522L(図6参照)を備える。第一係止具止め部522Lは、第一腰ベルト本体521Lから突出可能に設けられる部分であり、第一基端部523L側に移動しようとする第一係止具541Lに当接して、第一係止具541Lの第一基端部523L側への移動を規制する。即ち、第一腰ベルト本体521Lの長さ方向における第一係止具541Lの最も第一基端部523L側の位置は、第一係止具止め部522Lが設けられる位置となる。
【0032】
第二腰ベルト本体521Rは第一腰ベルト本体521Lと座席部3の幅方向の中央基準で略対称に構成されている。具体的には、第二腰ベルト本体521Rの第二基端部523Rが第二腰ベルト連結部36Rに連結されており、また、第二腰ベルト本体521Rのから突出可能に設けられる第二係止具止め部522R(図6参照)を備える。第二係止具止め部522Rは、第二基端部523R側に移動しようとする第二腰ベルト本体521Rに当接して第二係止具541Rの第二基端部523R側への移動を規制する。即ち、第二腰ベルト本体521Rの長さ方向における第二係止具541Rの最も第二基端部523R側の位置は、第二係止具止め部522Rが設けられる位置となる。
【0033】
図3及び図4に示すように、腰ベルト保持具6は、腰ベルト52を保持する腰ベルト保持部61と、連結部62と、を備える。腰ベルト保持具6は、幅方向に延びる帯状の部材であり、幅方向の中央を基準に対称な形状となっている。腰ベルト保持部61は、幅方向の一端側に設けられ、第一腰ベルト52Lを保持する第一腰ベルト保持部61Lと、幅方向の他端側に設けられ、第二腰ベルト52Rを保持する第二腰ベルト保持部61Rと、を備え、連結部62は、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rに亘って延び、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rを連結するように構成されている。
【0034】
第一腰ベルト保持部61Lは、厚み方向にかかる力を吸収可能なクッション性のある第一基部611Lと、第一基部611Lに設けられ、第一腰ベルト52Lを保持する第一保持本体部612Lと、を備える。このような第一腰ベルト保持部61Lは、外力を受けて変形可能な程度の弾性を有し、且つ、第一腰ベルト52Lを保持した状態において自立可能な程度の剛性を有する。
【0035】
第一基部611Lは、厚み方向における一面(図4に示す面)が、着座者Cに接する接触面611aとして構成され、厚み方向における他面が保持する第一腰ベルト52Lに接するベルト保持面611bとして構成されている。接触面611aは、例えばメッシュ地のような通気性の良い材料で構成される面である。また、第一基部611Lは、2枚の布を厚み方向で重ねて外縁部分を縫合して形成された袋状の部位であり、内部に板状の補強部613を備える。補強部613は、板状の弾性体であり、第一基部611Lの剛性を補強する。このような補強部613は、第一基部611Lの幅方向他端部(後述する根元部616)かた一端部まで延びるように設けられている。さらに、第一基部611Lは、後述する第一保持本体部612Lの固定部615が係脱可能な被固定部614を備える。本実施形態の被固定部614は、スナップのオス側である。
【0036】
第一保持本体部612Lは、第一腰ベルト52Lの第一腰ベルト本体521Lに係合して、第一腰ベルト本体521Lを保持する部位である。本実施形態の第一保持本体部612Lは、第一基部611Lに連結された帯状の部位であり、延伸方向の一端部が第一基部611Lに固定されるとともに、延伸方向の他端部に第一基部611Lに対して係脱可能な固定部615が設けられている。固定部615は、第一保持本体部612Lが第一基部611Lのベルト保持面611b側に重なった状態で第一基部611Lに設けられる被固定部614に対して係脱可能であり、本実施形態ではスナップのメス側である。固定部615が被固定部614に係止した状態において、第一基部611L及び第一保持本体部612Lは閉じた環を形成する。
【0037】
このような第一腰ベルト保持部61Lは、第一腰ベルト本体521Lの外周面に沿って巻かれることで、第一腰ベルト本体521Lを保持する。具体的には、第一腰ベルト本体521Lが第一基部611Lのベルト保持面611bに重ねられた状態で、第一保持本体部612Lの固定部615を第一基部611Lの被固定部614に係止することで、第一基部611L及び第一保持本体部612Lによって形成される閉じた環の内部に第一腰ベルト本体521Lの第一基端部523Lと第一係止具541Lの間の部分を収容して、第一腰ベルト52Lを保持する。また、第一腰ベルト保持部61Lは、固定部615と被固定部614の係止を解除することで、第一腰ベルト52Lから取外すことができる。さらに、第一腰ベルト保持部61Lは、幅方向の他端部が根元部616として構成され、根元部616は後述するように付勢部44(第一付勢部)によって幅方向一方側へ付勢される。
【0038】
第二腰ベルト保持部61Rは、第二腰ベルト52Rを保持するように構成されている点を除いて第一腰ベルト保持部61Lと同様に構成されている。即ち、第二腰ベルト保持部61Rは、厚み方向の一面に接触面611aを有し、他面にベルト保持面611bを有する袋状の第二基部611Rと、第二基部611Rに設けられ、第二腰ベルト52Rを保持する第二保持本体部612Rと、を備える。また、第二基部611Rは、内部に設けられ、第二基部611Rの幅方向一端部(根元部616)から他端部まで延びる補強部613と、第二保持本体部612Rの固定部615と係脱可能な被固定部614を備える。第二保持本体部612Rは、第二基部611Rに連結された帯状の部位であり、延伸方向の一端部が第二基部611Rに固定されるとともに、延伸方向の他端部に固定部615が設けられている。また、第二腰ベルト保持部61Rは、幅方向の一端部が根元部616として構成され、根元部616は後述するように付勢部44(第二付勢部)によって幅方向他方側へ付勢される。
【0039】
このような第二腰ベルト保持部61Rは、第二腰ベルト本体521Rの外周面に沿って巻かれることで、第二腰ベルト本体521Rを保持する。具体的には、第二腰ベルト本体521Rの第二基部611Rのベルト保持面611bに重ねられた状態で、第二保持本体部612Rの固定部615を第二基部611Rの被固定部614に係止することで、第二基部611R及び第二保持本体部612Rによって形成される閉じた環の内部に第二腰ベルト本体521Rの第二基端部523Rと第二係止具541Rの間の部分を収容して、第二腰ベルト52Rを保持する。また、第二腰ベルト保持部61Rは、固定部615と被固定部614の係止を解除することで、第二腰ベルト52Rから取外すことができる。さらに、第二腰ベルト保持部61Rは、幅方向の一端部が根元部616として構成され、根元部616は後述するように付勢部44(第二付勢部)によって幅方向他方側へ付勢される。
【0040】
本実施形態で、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向長さL1は、シート座部32の第一腰ベルト連結部36Lから幅方向一方側に設けられるアームレスト34の上下方向の中央部までの距離よりも長く、第二腰ベルト保持部61Rの幅方向長さL3は、シート座部32の第二腰ベルト連結部36Rから幅方向他方側に設けられるアームレスト34の中央部までの距離よりも長い。また、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向長さL1は、第一腰ベルト本体521Lにおける第一基端部523Lから第一係止具止め部522Lまでの長さよりも短く、第二腰ベルト保持部61Rの幅方向長さL3は、第二腰ベルト本体521Rにおける第二基端部523Rから第二係止具止め部522Rまでの長さよりも短い。
【0041】
連結部62は、第一腰ベルト保持部61Lと第二腰ベルト保持部61Rにわたって延びる帯状の部位であり、第一腰ベルト保持部61Lと第二腰ベルト保持部61Rを連結している。具体的に、連結部62は、幅方向の一端部が第一基部611Lの幅方向他端部と連結され、幅方向の他端部が第二基部611Rの幅方向一端部と連結されている。また、本実施形態の連結部62は、第一基部611Lは連結部62との連結部分を軸に連結部62に対して相対回動可能であり、かつ、第二基部611Rは連結部62との連結部分を軸に連結部62に対して相対回動可能であるように、第一基部611L及び第二基部611Rに連結されている。
【0042】
また、本実施形態の連結部62は、幅方向の長さL2が第一腰ベルト連結部36Lと第二腰ベルト連結部36Rの幅方向における距離よりも短く構成されている。さらに、連結部62は、幅方向の長さL2が一対の腰ベルト通し部434の幅方向における距離よりも短く構成されている。
【0043】
図5乃至図7に示すように、腰ベルト保持具6は、連結部62が敷部4の上面とシート座部32の上面の間に設けられ、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rが敷部4から上方に延びた状態でシート本体2に設置される。本実施形態の腰ベルト保持具6は、連結部62が敷部4(内側クッション部42)の下面とシート座部32の上面の間に位置するように配置される。ここで、腰ベルト保持具6は、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rが敷部4から上方に伸びた状態で、接触面611aが幅方向の内側に位置し、ベルト保持面611bが幅方向の外方に位置するように設置される。また、腰ベルト保持具6は、シート本体2に設置された状態で第一腰ベルト保持部61Lが第一腰ベルト本体521Lを保持し、第二腰ベルト保持部61Rが第二腰ベルト本体521Rを保持することで、腰ベルト52を保持する状態となる。
【0044】
図7に示すように、シート本体2に配置された第一腰ベルト保持部61Lは、根元部616が敷部4の上面とシート座部32の上面の間に位置した状態となり、本実施形態では、根元部616が敷部4(内側クッション部42)の下面とシート座部32の上面の間(腰ベルト通し部434の位置)に位置するように配置される。また、第一腰ベルト保持部61Lは、根元部616が第一腰ベルト52Lの長さ方向における第一基端部523L側に配置された状態となり、第一腰ベルト52Lの幅方向において根元部616よりも一方側の部分が敷部4から上方に延びた状態となっている。本実施形態では、連結部62の幅方向の長さL2が第一腰ベルト連結部36Lと第二腰ベルト連結部36Rの幅方向における距離よりも短く構成されているので、第一腰ベルト連結部36Lの上方に位置する敷部4(具体的には内側クッション部)の下方に根元部616の一部が位置した状態となる。このような状態で、付勢部44(第一付勢部)は、シート本体2の幅方向において根元部616の他方側から当接して、根元部616に力を加えることで、根元部616を一方側へ付勢している。具体的に、付勢部44(第一付勢部)は、幅方向一方側から下方の間のいずれかの方向への力を根元部616に対して加え、該力によって根元部616は、幅方向一方側に付勢される。本実施形態では、付勢部44(第一付勢部)がいくつかの点で根元部616に接して、合力として幅方向一方側から下方の間のいずれかの方向への力を根元部616に対して加え、前記合力によって、根元部616は、連結部62との連結部分を軸として、幅方向で一方側に向かって回動するように付勢される。そして、第一腰ベルト保持部61Lは、付勢部44(第一付勢部)の付勢によって、幅方向一方側に倒れ、図5に示すように、幅方向一端部がアームレスト34にもたれかかった状態となる。また、第一腰ベルト保持部61Lは、自身の剛性によって、根元部616よりも一方側の部分(敷部4から上方に延びた部分)が敷部4の上面から上方に離間した状態を維持する。
【0045】
第一腰ベルト保持部61Lが付勢部44(第一付勢部)により付勢され、アームレスト34にもたれかかった状態となることで、第一腰ベルト保持部61Lに保持された第一腰ベルト52Lは、第一腰ベルト保持部61Lに沿って延びるようにガイドされる。そのため、第一腰ベルト52Lは、第一腰ベルト本体521Lがシート座部32及び敷部4から上方に立ち上がり、かつ、第一腰ベルト連結部36Lから幅方向一方側に向かうように延びる状態となる。よって第一腰ベルト52Lが幅方向の内方に倒れて、シート本体2(本実施形態では敷部4)に載った状態となることを抑制できる。さらに、第一係止具541Lは、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向一端部に係止し、第一腰ベルト本体521Lの長さ方向において、第一基端部523L側に移動することが規制される。よって、第一腰ベルト保持部61Lが第一係止具541Lをシート本体2から離間した位置で保持できるので、第一係止具541Lがシート本体2に載った状態となることを抑制できる。
【0046】
シート本体2に配置された第二腰ベルト保持部61Rは、第一腰ベルト保持部61Lと幅方向中央基準で対称な状態となる。即ち、第二腰ベルト保持部61Rは、根元部616が敷部4の上面とシート座部32の上面の間(具体的には敷部4(内側クッション部42)の下面とシート座部32の上面の間)に位置した状態となる。また、第二腰ベルト保持部61Rは、根元部616が第二腰ベルト52Rの長さ方向における第二基端部523R側に配置された状態となり、第二腰ベルト52Rの幅方向において根元部616よりも他方側の部分が敷部4から上方に延びた状態となっている。本実施形態では、連結部62の幅方向の長さL2が第一腰ベルト連結部36Lと第二腰ベルト連結部36Rの幅方向における距離よりも短く構成されているので、第二腰ベルト連結部36Rの上方に位置する敷部4(具体的には内側クッション部)の下方に根元部616の一部が位置した状態となる。このような状態で、付勢部44(第二付勢部)は、シート本体2の幅方向において根元部616の一方側から当接して、根元部616を他方側へ付勢している。具体的に、付勢部44(第二付勢部)は、幅方向他方側から下方の間のいずれかの方向への力を根元部616に対して加え、該力によって根元部616は、幅方向他方側に付勢される。本実施形態では、付勢部44(第二付勢部)がいくつかの点で根元部616に接して、合力として幅方向他方側から下方の間のいずれかの方向への力を根元部616に対して加え、前記合力によって、根元部616は、連結部62との連結部分を軸として、幅方向で他方側に向かって回動するように付勢される。そして、第二腰ベルト保持部61Rは、付勢部44(第二付勢部)の付勢によって、幅方向他方側に倒れ、図5に示すように、幅方向他端部がアームレスト34にもたれかかった状態となる。また、第二腰ベルト保持部61Rは、自身の剛性によって、根元部616よりも他方側の部分(敷部4から上方に延びた部分)が敷部4の上面から上方に離間した状態を維持する。
【0047】
第二腰ベルト保持部61Rが付勢により付勢され、アームレスト34にもたれかかった状態となることで、第二腰ベルト保持部61Rに保持された第二腰ベルト52Rは、第二腰ベルト保持部61Rに沿って延びるようにガイドされる。そのため、第二腰ベルト52Rは、第二腰ベルト本体521Rがシート座部32及び敷部4から上方に立ち上がり、かつ、第二腰ベルト連結部36Rから幅方向他方側に向かうように延びる状態となる。よって第二腰ベルト52Rが幅方向の内方に倒れて、シート本体2(本実施形態では敷部4)に載った状態となることを抑制できる。さらに、第二係止具541Rは、第二腰ベルト保持部61Rの幅方向他端部に係止し、第二腰ベルト本体521Rの長さ方向において、第二基端部523R側に移動することが規制される。よって、第二腰ベルト保持部61Rが第二係止具541Rをシート本体2から離間した位置で保持できるので、第二係止具541Rがシート本体2に載った状態となることを抑制できる。
【0048】
本実施形態で、連結部62は幅方向長さが一対の腰ベルト通し部434の幅方向における距離よりも短いので、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616及び第二腰ベルト保持部61Rの根元部616が一対の腰ベルト通し部434よりも幅方向で内方に位置する。よって、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616及び第二腰ベルト保持部61Rの根元部616が確実に付勢部44(第一付勢部及び第二付勢部)に当接することができる。
【0049】
以上のような構成のベルト付シート1及び腰ベルト保持具6によれば、図5に示すように、着座者Cが着座していない状態において、第一腰ベルト保持部61Lが第一腰ベルト52Lを保持し、かつ、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616が付勢部44(第一付勢部)によって幅方向一方側に付勢されるので、第一腰ベルト52Lがシート本体2に載った状態となることを抑制できる。よって、着座する際に腰ベルト52を避ける手間を抑制できる。
【0050】
また、腰ベルト保持部61が腰ベルト52及びシート本体2に対して着脱可能であるので、必要に応じて腰ベルト保持部61を着脱できる。よって、利便性が高まる。
【0051】
さらに、敷部4が付勢部44(第一付勢部)を備え、付勢部44(第一付勢部)が第一腰ベルト保持部61Lの根元部616に当接して幅方向一方側へ付勢するので、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616が付勢部44(第一付勢部)によって確実に幅方向一方側に付勢される。
【0052】
また、着座者Cが着座していない状態において、第二腰ベルト保持部61Rが第二腰ベルト52Rを保持し、かつ、第二腰ベルト保持部61Rの根元部616が付勢部44(第二付勢部)によって幅方向他方側に付勢されるので、第二腰ベルト52Rがシート本体2に載った状態となることを抑制できる。よって、着座する際に腰ベルト52を避ける手間を抑制できる。
【0053】
さらに、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向における長さL1は、第一腰ベルト連結部36Lからアームレスト34の上下方向における中央部までの距離よりも長いので、第一腰ベルト52Lを確実に幅方向におけるアームレスト34が設けられる部分まで案内できる。よって、腰ベルト52がシート本体2に載った状態となることを確実に抑制できる。
【0054】
また、第一腰ベルト保持部61Lは、外力を受けて変形可能な程度の弾性を有するので、図6に示すように、第一腰ベルト52Lは、第一腰ベルト本体521Lに第一腰ベルト保持部61Lが取付けられた状態のまま第一係止具541Lを被係止具512に係止し、着座者Cをシート本体2に固定することができる。さらに、第一腰ベルト保持部61Lの第一基部611Lには、ベルト保持面611bと接触面611aが厚み方向の一方側と他方側に設けられるとともに、厚み方向にかかる力を吸収可能に構成されるので、第一腰ベルト52Lから着座者Cが受ける衝撃を吸収できる。よって、着座時の手間を抑制しつつ、着座中の快適性を向上できる。
【0055】
さらに、図6に示すように、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向における一端部から他端部(根元部616)までの長さL1は、第一腰ベルト本体521Lの長さ方向における第一基端部523Lから第一係止具止め部522Lまでの距離よりも短いので、第一腰ベルト保持部61Lの幅方向における一端部が第一係止具541Lよりも第一基端部523L側に位置することとなるため、第一係止具541Lを被係止具512に係止する際に第一腰ベルト保持部61Lが干渉することを抑制できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0057】
例えば、ベルト付シート1は自動車の座席に配置されるチャイルドシートである場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、自転車のような自動車以外の車両に設けられるチャイルドシートとして構成することもできる。
【0058】
また、図8及び図9に示すように、例えば、ベルト付シート1を乳母車の一部として構成することもできる。具体的に、乳母車は、シート本体2と、シート本体2の下部に連結される車輪(図示しない)と、シート本体2に連結された腰ベルト52と、腰ベルト保持具6と、を備える。シート本体2は、シート本体2の外殻を構成する座席部3と座席部3に敷かれる敷部4と、を備え、座席部3には腰ベルト52をシート本体2に対して連結する第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rが設けられている。なお、本実施形態の敷部4は、カバー部41のみを備え、内側クッション部42を備えない。第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rは、帯状の腰ベルト52を挿通可能な環状の部位である。腰ベルト52は、1本の帯状体の長さ方向の一端部が第一腰ベルト52Lとして、他端部が第二腰ベルト52Rとして構成されており、第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rに挿通されてシート本体2に固定されている。腰ベルト保持具6は、上述の実施形態のおける腰ベルト保持具6と同様の構成である。このような構成であっても図9に示すように、着座者Cが着座していない状態において、第一腰ベルト保持部61Lが第一腰ベルト52Lを保持し、かつ、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616が付勢部44(第一付勢部)によって幅方向一方側に付勢されるので、第一腰ベルト52Lがシート本体2に載った状態となることを抑制できる。よって、着座する際に腰ベルト52を避ける手間を抑制できる。
【0059】
さらに、腰ベルト52がシート座部32に連結される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、敷部4に連結される構成とすることもできる。
【0060】
また、腰ベルト保持部61が着脱可能な場合について説明したが、このような構成に限らず、シート本体2及び腰ベルト52に対して着脱不能に設けられる構成とすることもできる。このような構成を採用する場合には、このような構成を採用する場合には、例えば、第一腰ベルト保持部61Lの根元部616を腰ベルト通し部434の外縁部に固定することができる。
【0061】
さらに、内側クッション部42が付勢部44(第一付勢部及び第二付勢部)として構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、カバー部41が付勢部44として構成されることもできるし、内側クッション部42やカバー部41とは別の構成として付勢部44(第一付勢部及び第二付勢部)が設けられることもできる。
【0062】
また、腰ベルト保持部61は、腰ベルト52の外周面に巻かれることで腰ベルト52を保持する場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、腰ベルト52を挟持する構成など、腰ベルト52を保持可能な種々の構成を採用できる。
【0063】
さらに、第一係止具541L及び第二係止具541Rはいずれもタングであり、股ベルト51に設けられた被係止具512としてのバックルに係止する場合について説明したが、このような構成に限らず、第一係止具541L及び第二係止具541Rの一方をタングとして、他方をバックルとして構成し、第一係止具541Lが第二係止具541Rに対して係止する構成とすることもできる。
【0064】
また、腰ベルト保持部61は、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rを備える場合について説明したが、このような構成に限らず、第一腰ベルト保持部61Lのみを備える構成とすることもできる。
【0065】
さらに、一対の肩腰ベルト54と股ベルト51を備えるいわゆる5点式シートベルトを有するベルト付シート1を例に説明したが、このような構成に限らず、例えば、腰ベルト52のみを備える2点式シートベルトを備える構成とすることもできる。
【0066】
また、第一腰ベルト連結部36L及び第二腰ベルト連結部36Rは、幅方向でアームレスト34から離間してシート座部32に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、シート座部32のアームレスト34と離間していない位置に設けられる構成とすることもできる。
【0067】
さらに、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rには、補強部613が設けられ、第一基部611L及び第二基部611Rの剛性が高められる場合について説明したが、このような構成に限らず、第一腰ベルト保持部61L及び第二腰ベルト保持部61Rが補強部を備えない構成とすることもできる。このような構成を採用する場合には、例えば、第一基部611L及び第二基部611R自体を自立可能な程度の剛性のある材料で構成することができる。
【0068】
また、連結部62は、シート座部32の上面と敷部4の下面の間に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、カバー部41と内側クッション部42の間に設けられる構成とすることや、カバー部41や内側クッション部42の間を通るように設けられる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0069】
1…ベルト付シート、2…シート本体、3…座席部、31…シート背部、32…シート座部、33…シート側部、34…アームレスト、35L…第一肩ベルト連結部、35R…第二肩ベルト連結部、36L…第一腰ベルト連結部、36R…第二腰ベルト連結部、37…股ベルト連結部、4…敷部、41…カバー部、41a…継ぎ目、41b…孔、42…内側クッション部、42a…切欠き部分、43…ベルト通し部、431…股ベルト通し部、432…股クッション部、433…肩ベルト通し部、434…腰ベルト通し部、44…付勢部、5…ベルト、51…股ベルト、511…股ベルト部、512…被係止具、52…腰ベルト、52L…第一腰ベルト、52R…第二腰ベルト、521L…第一腰ベルト本体、521R…第二腰ベルト本体、522L…第一係止具止め部、522R…第二係止具止め部、523L…第一基端部、523R…第二基端部、53…肩ベルト、53L…第一肩ベルト部、53R…第二肩ベルト部、54…肩腰ベルト、54L…第一肩腰ベルト、54R…第二肩腰ベルト、541L…第一係止具、541R…第二係止具、542…肩腰ベルト本体部、55…ベルト長調節機構、551…調節ベルト、552…調節ベルトチャック、6…腰ベルト保持具、61…腰ベルト保持部、61L…第一腰ベルト保持部、61R…第二腰ベルト保持部、611L…第一基部、611R…第二基部、611a…接触面、611b…ベルト保持面、612L…第一保持本体部、612R…第二保持本体部、613…補強部、614…被固定部、615…固定部、616…根元部、62…連結部、C…着座者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9