(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】多孔性勾配を有する椎間ケージ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61F2/44
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018047029
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2021-02-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280675
【氏名又は名称】アルファテック スパイン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】スリ ヴィシュナブホタラ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン レオン
(72)【発明者】
【氏名】フランク チャン
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】佐々木 正章
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0161927(US,A1)
【文献】特表2004-537370(JP,A)
【文献】特開2017-12908(JP,A)
【文献】特開2016-163706JP,A)
【文献】特表2010-515528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放内部コア領域を有する外側フレームと、
前記外側フレーム内の多孔性勾配と
を備えており、
前記外側フレームは、後壁、前壁、及び前記後壁と前記前壁との間に延びている一対の側壁を有しており、
前記側壁の少なくとも1つは、骨材料を前記開放内部コア領域に注入するための開口部を有しており、
前記外側フレームは
、所定の
範囲内の多孔性の材料で夫々形成されて一方向に延びる複数の層を有しており、前記複数の層は、前記複数の層の各々におけ
る所定の
範囲内の多孔性の材料が前記外側フレーム内に前記多孔性勾配を
流体の流れを向上させる方向に沿って形成するように互いに結合されていることを特徴とする椎間ケージ。
【請求項2】
前記多孔性勾配は、前記外側フレームの一対の側壁の少なくとも1つに亘って存在することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項3】
前記多孔性勾配は、前記一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に減少す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項4】
前記多孔性勾配は、前記一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に増加す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項5】
前記多孔性勾配は、前記一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に減少す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項6】
前記多孔性勾配は、前記一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に増加す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項7】
前記多孔性勾配は、前記外側フレームの後壁から前壁の方向に減少す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項8】
前記多孔性勾配は、前記外側フレームの後壁から前壁の方向に増加す
る孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項9】
前記多孔性勾配は、
前記後壁から前記一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向及び前記前壁から前記一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向に増加す
る孔径、並びに、
前記後壁から前記一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向及び前記前壁から前記一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向に減少す
る孔径
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項10】
前記多孔性勾配は、5体積%~30体積%の範囲内の多孔性を有する第1の部分と、30体積%~90体積%の範囲内の多孔性を有する第2の部分とを有していることを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項11】
前記多孔性勾配は、5μm~100 μmの平均直径の多孔性を有する第1の部分と、100 μm~1000μmの平均直径の多孔性を有する第2の部分とを有していることを特徴とする請求項1に記載の椎間ケージ。
【請求項12】
後壁、前壁、及び前記後壁と前記前壁との間に延びている一対の側壁を有している外側フレームと、
前記後壁、前記前壁及び前記一対の側壁の間の開放内部コア領域と、
前記後壁、前記前壁及び前記一対の側壁の少なくとも1つの内部に設けられて、隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する多孔性勾配と
を備えており、
前記側壁の少なくとも1つは、骨材料を前記開放内部コア領域に注入するための開口部を有しており、
前記外側フレームは
、所定の
範囲内の多孔性の材料で夫々形成されて一方向に延びる複数の層を有しており、前記複数の層は、前記複数の層の各々におけ
る所定の
範囲内の多孔性の材料が前記外側フレーム内に前記多孔性勾配を
流体の流れを向上させる方向に沿って形成するように互いに結合されていることを特徴とする椎間ケージ。
【請求項13】
前記多孔性勾配は、5体積%~30体積%の範囲内の多孔性を有する第1の部分と、30体積%~90体積%の範囲内の多孔性を有する第2の部分とを有していることを特徴とする請求項12に記載の椎間ケージ。
【請求項14】
前記多孔性勾配は、5μm~100 μmの平均直径の多孔性を有する第1の部分と、100 μm~1000μmの平均直径の多孔性を有する第2の部分とを有していることを特徴とする請求項12に記載の椎間ケージ。
【請求項15】
前記多孔性勾配は、
前記一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に減少す
る孔径、
前記一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に増加す
る孔径、
前記一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に減少す
る孔径、及び
前記一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に増加す
る孔径
の少なくとも1つから選択されていることを特徴とする請求項12に記載の椎間ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に椎体間インプラントに関し、特には椎間ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎固定装置のような埋め込み可能な椎体間骨移植が知られており、外科医によって使用されて、隣り合う脊椎骨を所望の空間関係に保持して維持し、隣り合う椎体間で体重を支える支援を行い、患者の術後の椎体間骨成長・固定を促進する。椎間ケージと称されることもあるこのような脊椎固定装置は、変性椎間板疾患、椎間板起因の腰痛、脊椎すべり症などを治療するために脊柱の外科的処置に使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
椎間ケージは、開放内部を画定するように一対の側壁、後壁及び前壁から形成されており、この開放内部に同種移植片(ドナー)又は自家移植片(患者)の骨材料を置いて椎体間骨成長・固定を促進することができる。椎間ケージには、椎間ケージの壁部分での椎体間骨成長・固定を妨げる非多孔質材料から形成されているものもある。他の椎間ケージは多孔質材料から形成された固体の内部を有しているが、椎間ケージの内部の多孔質材料は、同種移植片又は自家移植片の骨材料をこの内部に置くことにより骨成長・固定を促進するために使用することを妨げる。従って、隣り合う脊椎骨間で体重を支える支援を行い骨成長・固定を高める、開放内部及び多孔質構造を有する椎間ケージの改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、椎間ケージが、開放内部コア領域を有する外側フレームと外側フレーム内の多孔性勾配とを備えている。外側フレームは、後壁、前壁、及び後壁と前壁との間に延びている一対の側壁を有しており、多孔性勾配は、外側フレームの一対の側壁の少なくとも1つに亘って存在してもよい。多孔性勾配は、一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に減少する平均孔径、又は一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に増加する平均孔径を有してもよい。代替例では又は加えて、多孔性勾配は、側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に減少する平均孔径、又は側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に増加する平均孔径を有してもよい。更に多孔性勾配は、外側フレームの後壁から前壁の方向に減少する平均孔径、又は外側フレームの後壁から前壁の方向に増加する平均孔径を有してもよい。
【0005】
ある実施形態では、椎間ケージは、後壁から一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向及び前壁から一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向に増加する平均孔径の多孔性勾配を有してもよい。他の実施形態では、多孔性勾配は、後壁から一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向及び前壁から一対の側壁の少なくとも1つの中央部分の方向に減少する平均孔径を有してもよい。
【0006】
椎間ケージ内の多孔性勾配は、約5体積%~約30体積%の範囲内の多孔性を有する第1の部分と、約30体積%~約90体積%の範囲内の多孔性を有する第2の部分とを有してもよい。更に多孔性勾配は、約5μm~約100 μmの平均直径の多孔性を有する第1の部分と、約100 μm~約1000μmの平均直径の多孔性を有する第2の部分とを有してもよい。
【0007】
別の実施形態では、椎間ケージが、後壁、前壁、及び後壁と前壁との間に延びている一対の側壁を有する外側フレームを備えている。開放内部コア領域が、後壁、前壁及び一対の側壁の間に設けられており、多孔性勾配が、後壁、前壁及び一対の側壁の少なくとも1つの内部に設けられている。椎間ケージが外科的処置中に一対の脊椎骨の間に挿入されるとき、多孔性勾配が隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する。多孔性勾配は、約5体積%~約30体積%の範囲内の多孔性を有する第1の部分と、約30体積%~約90体積%の範囲内の多孔性を有する第2の部分とを有してもよい。代替例では又は加えて、多孔性勾配は、約5μm~約100 μmの平均直径の多孔性を有する第1の部分と、約100 μm~約1000μmの平均直径の多孔性を有する第2の部分とを有してもよい。更に多孔性勾配は、一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に減少する平均孔径、一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に増加する平均孔径、一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に減少する平均孔径、及び一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に増加する平均孔径の少なくとも1つを有してもよい。
【0008】
更に別の実施形態では、隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する方法にあっては、脊柱の外科的処置中に椎間ケージを一対の隣り合う脊椎骨間に挿入する。椎間ケージは、後壁、前壁、及び後壁と前壁との間に延びている一対の側壁を有する外側フレームを備えている。開放内部コア領域が後壁、前壁及び一対の側壁の間に設けられており、多孔性勾配が、後壁、前壁及び一対の側壁の少なくとも1つの内部に設けられている。多孔性勾配は、椎間ケージ内への体液及び骨材料の流れを向上させて、隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する。多孔性勾配は、一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に減少する平均孔径、一対の側壁の少なくとも1つの外面から内面の方向に増加する平均孔径、一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に減少する平均孔径、及び一対の側壁の少なくとも1つの上面から下面の方向に増加する平均孔径の少なくとも1つを有してもよい。ある実施形態では、本方法にあっては、開放内部コア領域内に同種移植片又は自家移植片の骨材料を置く。
【0009】
本明細書に記載されている本実施形態により提供されるこれらの特徴及び更なる特徴は図面と組み合わせた以下の詳細な説明からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面で説明される本実施形態は本来例示的且つ典型的なものであり、特許請求の範囲によって定義されている主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は以下の図面と合わせて読まれたときに理解されることができ、同様の構造には同様の参照符号が付されている。
【0011】
【
図1】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る椎間ケージを示す斜視図である。
【
図2A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図2B】
図2Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【
図3A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図3B】
図3Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【
図4A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図4B】
図4Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【
図5A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図5B】
図5Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【
図6A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図6B】
図6Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図7A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図8A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図8B】
図8Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図9A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面I-I を概略的に示す断面図である。
【
図9B】
図9Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図10A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図10B】
図10Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【
図11A】本明細書に記載されている一又は複数の実施形態に係る多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面III-III を概略的に示す断面図である。
【
図11B】
図11Aに示されている多孔性勾配を有する
図1の椎間ケージの断面II-II を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されている一又は複数の実施形態によれば、椎間ケージが一般に、一対の側壁、後壁、前壁、開放内部コア領域並びに一対の側壁、後壁及び前壁の少なくとも1つの内部の多孔性勾配を備えてもよい。多孔性勾配は、側壁、後壁及び/又は前壁の1つの内部の第1の場所又は位置における第1の平均孔径の多孔性と、側壁、後壁及び/又は前壁の1つの内部の第2の場所又は位置における、第1の平均孔径とは異なる第2の平均孔径の多孔性とを有してもよい。代替例では、多孔性勾配は、側壁、後壁及び/又は前壁の1つの内部の第1の場所又は位置における第1の平均孔径の多孔性と、側壁、後壁及び/又は前壁の1つの内部の第2の場所又は位置における、第1の平均孔径と同一の平均孔径の多孔性とを有してもよいが、第2の場所又は位置における孔の数又は密度は、第1の場所における孔の数又は密度とは異なる。椎間ケージの様々な実施形態が、特に添付図面を参照して本明細書に更に詳細に記載されている。
【0013】
図1は、一対の側壁100 、後壁110 及び前壁120 を有する外側フレーム12を備えた椎間ケージ10の一実施形態を一般的に示している。開放内部コア領域140 が外側フレーム12内に設けられている。椎間ケージ10は、上面102 (+Y方向)、下面104 (-Y方向)、後端部112 及び前端部122 を備えている。更に側壁100 の各々は、開放内部コア領域140 から遠い外面106 、及び開放内部コア領域140 に近い内面108 を有している。
【0014】
側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つが、外科的処置中に椎間ケージ10を使用して患者の隣り合う脊椎骨間に置くときに骨成長・固定を高める(
図1に示されていない)多孔性勾配を有する。本明細書で使用される場合、「多孔性」という文言は、椎間ケージ10を形成するために使用される材料のマトリクス内の体積百分率の空隙を指しており、「多孔性勾配」という表現は、椎間ケージ10内の距離(例えば、厚さ、幅及び/又は長さ)の関数としての多孔性の変化を指している。更に、同種移植片又は自家移植片の骨材料が、骨成長・固定を促進すべく開放内部コア領域140 内に置かれてもよい。ある実施形態では、側壁100 の少なくとも1つは一又は複数の開口部101 を有しており、開口部101 を通して、同種移植片又は自家移植片の骨材料が骨成長・固定を促進すべく開放内部コア領域140 内に置かれ得る。従って、脊柱の外科的処置中、同種移植片又は自家移植片の骨材料が開放内部コア領域140 内に含まれない椎間ケージ10が一対の隣り合う脊椎骨間に置かれてもよく、その後、開放内部コア領域140 が、一又は複数の開口部101 を使用して同種移植片又は自家移植片の骨材料で充填されてもよい。代替例では、脊柱の外科的処置中、同種移植片又は自家移植片の骨材料が開放内部コア領域140 内に含まれる椎間ケージ10が一対の隣り合う脊椎骨間に置かれてもよく、追加の同種移植片又は自家移植片の骨材料が任意に開放内部コア領域140 内に注入されてもよい。
【0015】
本実施形態では、椎間ケージ10の側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つは、約10体積%~約80体積%の範囲内の多孔率を有して開放孔が全体に分布している一又は複数の部分を有している。例えば、椎間ケージ10の側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つは、約10体積%~約80体積%の範囲内の多孔率を有して開放孔が全体に分布している一又は複数の部分を有してもよい。ある実施形態では、椎間ケージ10の側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つは、約5体積%~約30体積%の範囲内の多孔率、例えば約5体積%~約10体積%の範囲内の多孔率を有する第1の部分と、約30体積%~約90体積%の範囲内の多孔率、例えば約75体積%~約90体積%の範囲内の多孔率を有する第2の部分とを有している。多孔性材料の平均孔径は約1ミクロン~約1500ミクロンであってもよい。例えば、多孔性材料の平均孔径は約1ミクロン~約500 ミクロンであってもよい。別の例では、多孔性材料の平均孔径は約5ミクロン~約500 ミクロンであってもよい。本明細書で使用される場合、「平均孔径」という表現は、椎間ケージ10の厚さ、幅又は長さに沿って選択された面の少なくとも10の孔の直径の平均を指しており、「直径」という文言は、孔の少なくとも2つの直径測定値の平均によって得られた孔の平均直径を指している。
【0016】
ある実施形態では、椎間ケージ10は、第1の平均孔径を有する第1の部分と第1の平均孔径とは異なる第2の平均孔径を有する第2の部分とを有し、第1の部分の多孔性が第2の部分の多孔性とは異なるようになっている。他の実施形態では、椎間ケージ10は、第1の平均孔径を有する第1の部分と、第1の平均孔径と同一の第2の平均孔径を有する第2の部分とを有しているが、第1の部分の多孔性が第2の部分の多孔性とは異なるように、第2の部分の孔の数は第1の部分の孔の数とは異なる。
【0017】
図2A~2Bを参照すると、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図2Aに概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図2Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d1)を有する多孔性の第2の部分105 とを有している。
図2A~2Bに示されているように、第1の部分103 は上面102 から下面104 に向かって延びてもよく、第2の部分105 は第1の部分103 の下方(-Y方向)に配置されている。本実施形態では、側壁100 の各々は、上面102 から下面104 に向かって延びている上側(+Y方向)第1の部分103 と、下面104 から上面102 に向かって延びている下側(-Y方向)第1の部分103 と、上側第1の部分103 と下側第1の部分103 との間に設けられた第2の部分105 とを有している。従って、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第2の平均孔径d2を有する多孔性の第2の部分105 が、第2の平均孔径d2より小さい第1の平均孔径d1を有する多孔性の上側第1の部分103 及び下側第1の部分103 の間に配置されている。ある実施形態では、第1の部分103 及び本明細書に記載されている他の第1の部分は、約5体積%~約30体積%の範囲内の多孔率、例えば約5体積%~約10体積%の範囲内の多孔率を有してもよく、第2の部分105 及び本明細書に記載されている他の第2の部分は、約30体積%~約90体積%の範囲内の多孔率、例えば約75体積%~約90体積%の範囲内の多孔率を有してもよい。更に、
図2A~2Bは3つの別個の多孔性部分、つまり2つの第1の部分103 及び1つの第2の部分105 を概略的に示しているが、側壁100 の厚さに沿った多孔性勾配は、2つの別個の多孔性部分のみ、つまり1つの第1の部分103 及び1つの第2の部分105 のみ、4以上の別個の多孔性部分、又は孔の孔径が側壁100 の厚さの関数として段階的又は連続的に変化する1つの多孔性部分から形成されてもよいことを理解すべきである。
【0018】
図3A~3Bを参照すると、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配の別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図3Aに概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図3Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)を有する多孔性の第2の部分105 とを有している。
図3A~3Bに示されているように、第2の部分105 は上面102 から下面104 に向かって延びてもよい。更に、第1の部分103 は第2の部分105 の下方(-Y方向)に配置されている。本実施形態では、側壁100 の各々は、上面102 から下面104 に向かって延びている上側(+Y方向)第2の部分105 と、下面104 から上面102 に向かって延びている下側(-Y方向)第2の部分105 と、上側第2の部分105 と下側第2の部分105 との間に設けられた第1の部分103 とを有している。従って、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第1の平均孔径d1を有する多孔性の第1の部分103 が、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2を有する多孔性の上側第2の部分105 及び下側第2の部分105 の間に配置されている。
【0019】
図4A~4Bを参照すると、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配の更に別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図4Aに概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図4Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)を有する多孔性の第2の部分105 と、第1の平均孔径d1より大きく第2の平均孔径d2より小さい第3の平均孔径d3(つまり、d1<d3<d2)を有する多孔性の第3の部分107 とを有している。ある実施形態では、第3の部分107 及び本明細書に記載されている他の第3の部分は、第1の部分103 の多孔性の範囲と第2の部分105 の多孔性の範囲との間の多孔性を有してもよい。例えば、第3の部分は、約5体積%~約90体積%の範囲内の多孔率、例えば約10体積%~約75体積%の範囲内の多孔率を有してもよい。第1の部分103 が約5体積%~約10体積%の範囲内の多孔率を有して、第2の部分105 が約75体積%~約90体積%の範囲内の多孔率を有する実施形態では、第3の部分107 は、約10体積%~約75体積%の範囲内の多孔率を有してもよい。
【0020】
図4A~4Bを再度参照すると、第1の部分103 は上面102 から下面104 に向かって延びてもよく、第2の部分105 は下面104 から上面102 に向かって延びてもよく、第3の部分107 は第1の部分103 と第2の部分105 との間に配置されている。従って、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第3の平均孔径d3を有する多孔性の第3の部分107 が、第3の平均孔径d3より小さい第1の平均孔径d1(つまり、d1<d3)を有する多孔性の第1の部分と、第3の平均孔径d3より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d3)を有する多孔性の第2の部分との間に配置されている。
【0021】
図5A~5Bを参照すると、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配の更に別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図5Aに概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図5Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)を有する多孔性の第2の部分105 と、第1の平均孔径d1より大きく第2の平均孔径d2より小さい第3の平均孔径d3(
図4A)(つまり、d1<d3<d2)を有する多孔性の第3の部分107 とを有している。
図5A~5Bに示されているように、第2の部分105 は上面102 から下面104 に向かって延びてもよく、第1の部分103 は下面104 から上面102 に向かって延びてもよく、第3の部分107 は第2の部分105 と第1の部分103 との間に配置されている。従って、側壁100 の厚さ(Y方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第3の平均孔径d3を有する多孔性の第3の部分107 が、第3の平均孔径d3より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d3)を有する多孔性の第2の部分105 と、第3の平均孔径d3より小さい第1の平均孔径d1(つまり、d1<d3)を有する多孔性の第1の部分103 との間に配置されている。
【0022】
図6A~6Bを参照すると、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図6Aに概略的に示されており、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図6Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)(つまり、d2>d1)を有する多孔性の第2の部分105 とを有している。
図6A~6Bに示されているように、第1の部分103 は外面106 から内面108 に向かって延びてもよく、第2の部分105 は、第1の部分103 から開放内部コア領域140 に向かって内側に配置されてもよい。本実施形態では、側壁100 の各々は、外面106 から内面108 に向かって延びている外側第1の部分103 と、内面108 から外面106 に向かって延びている内側第1の部分103 と、外側第1の部分103 と内側第1の部分103 との間に設けられた第2の部分105 とを有している。従って、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第2の平均孔径d2を有する多孔性の第2の部分105 が、第2の平均孔径d2より小さい第1の平均孔径d1を有する多孔性の外側第1の部分103 及び内側第1の部分103 の間に配置されている。
【0023】
図7A~7Bを参照すると、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配の別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図7Aに概略的に示されており、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図7Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)(つまり、d2>d1)を有する多孔性の第2の部分105 とを有している。
図7A~7Bに示されているように、第2の部分105 は外面106 から内面108 に向かって延びてもよく、第1の部分103 は、第2の部分105 から開放内部コア領域140 に向かって内側に配置されてもよい。本実施形態では、側壁100 の各々は、外面106 から内面108 に向かって延びている外側第2の部分105 と、内面108 から外面106 に向かって延びている内側第2の部分105 と、外側第2の部分105 と内側第2の部分105 との間に設けられた第1の部分103 とを有している。従って、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第1の平均孔径d1を有する多孔性の第1の部分103 が、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2を有する多孔性の外側第2の部分105 及び内側第2の部分105 の間に配置されている。
【0024】
図8A~8Bを参照すると、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配の更に別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図8Aに概略的に示されており、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図8Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)を有する多孔性の第2の部分105 と、第1の平均孔径d1より大きく第2の平均孔径d2より小さい第3の平均孔径d3(
図4A)(つまり、d1<d3<d2)を有する多孔性の第3の部分107 とを有している。
図8A~8Bに示されているように、第1の部分103 は外面106 から内面108 に向かって延びてもよく、第2の部分105 は内面108 から外面106 に向かって延びてもよく、第3の部分107 は第1の部分103 と第2の部分105 との間に配置されてもよい。従って、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第3の平均孔径d3を有する多孔性の第3の部分107 が、第3の平均孔径d3より小さい第1の平均孔径d1(つまり、d1<d3)を有する多孔性の第1の部分103 と、第3の平均孔径d3より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d3)を有する多孔性の第2の部分105 との間に配置されている。
【0025】
図9A~9Bを参照すると、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配の更に別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面I-I で示されている端断面図が
図9Aに概略的に示されており、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図9Bに概略的に示されている。側壁100 の各々は、第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)を有する多孔性の第2の部分105 と、第1の平均孔径d1より大きく第2の平均孔径d2より小さい第3の平均孔径d3(
図4A)(つまり、d1<d3<d2)を有する多孔性の第3の部分107 とを有している。
図9A~9Bに示されているように、第2の部分105 は外面106 から内面108 に向かって延びてもよく、第1の部分103 は内面108 から外面106 に向かって延びてもよく、第3の部分107 は第2の部分105 と第1の部分103 との間に配置されてもよい。従って、側壁100 の幅(Z方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第3の平均孔径d3を有する多孔性の第3の部分107 が、第3の平均孔径d3より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d3)を有する多孔性の第2の部分105 と、第3の平均孔径d3より小さい第1の平均孔径d1(つまり、d1<d3)を有する多孔性の第1の部分103 との間に配置されている。
【0026】
図10A ~10B を参照すると、椎間ケージ10の長さ(X方向)に沿った多孔性勾配の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図10A に概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図10B に概略的に示されている。第1の平均孔径d1(
図2A)を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(
図2A)(つまり、d2>d1)を有する多孔性の第2の部分105 とが椎間ケージの長さに沿って延びている。
図10A ~10B に示されているように、第1の部分103 は後端部112 から前端部122 に向かって延びてもよい。更に、第2の部分105 は第1の部分103 と前端部122 との間に配置されている。本実施形態では、椎間ケージ10の長さ部分が、後端部112 から前端部122 に向かって延びている後側第1の部分103 と、前端部122 から後端部112 に向かって延びている前側第1の部分103 と、後側第1の部分103 と前側第1の部分103 との間に設けられた第2の部分105 とを有している。従って、椎間ケージ10の長さ(X方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第2の平均孔径d2を有する多孔性の第2の部分105 が、第2の平均孔径d2より小さい第1の平均孔径d1を有する多孔性の後側第1の部分103 及び前側第1の部分103 の間に配置されている。
【0027】
図11A ~11B を参照すると、椎間ケージ10の長さ(X方向)に沿った多孔性勾配の別の実施形態が概略的に示されている。特に、
図1の断面III-III で示されている上断面図が
図11A に概略的に示されており、
図1の断面II-II で示されている側断面図が
図11B に概略的に示されている。第1の平均孔径d1を有する多孔性の第1の部分103 と、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2(つまり、d2>d1)を有する多孔性の第2の部分105 とが椎間ケージの長さに沿って延びている。
図11A ~11B に示されているように、第2の部分105 は後端部112 から前端部122 に向かって延びてもよい。更に、第1の部分103 は第2の部分105 と前端部122 との間に配置されている。本実施形態では、椎間ケージ10の長さ部分が、後端部112 から前端部122 に向かって延びている後側第2の部分105 と、前端部122 から後端部112 に向かって延びている前側第2の部分105 と、後側第2の部分105 と前側第2の部分105 との間に設けられた第1の部分103 とを有している。従って、椎間ケージ10の長さ(X方向)に沿った多孔性勾配が存在し、第1の平均孔径d1を有する多孔性の第1の部分103 が、第1の平均孔径d1より大きい第2の平均孔径d2を有する多孔性の後側第2の部分105 及び前側第2の部分105 の間に配置されている。
【0028】
図2A~11B は、椎間ケージ10の単一の方向に沿った多孔性勾配のみを示しているが、椎間ケージ10は椎間ケージ10の複数の方向に沿った多孔性勾配を含んでもよいと理解される。例えば、限定することなく、椎間ケージ10は、側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つの厚さに沿った多孔性勾配と、椎間ケージ10の長さに沿った多孔性勾配とを有してもよい。代替例では、椎間ケージ10は、側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つの厚さに沿った多孔性勾配と、椎間ケージ10の幅に沿った多孔性勾配とを有してもよい。別の代替例では、椎間ケージ10は、椎間ケージ10の長さ及び椎間ケージ10の幅に沿った多孔性勾配を有してもよい。更に別の代替例では、椎間ケージ10は、側壁100 、後壁110 及び/又は前壁120 の少なくとも1つの厚さに沿った多孔性勾配と、椎間ケージ10の長さに沿った多孔性勾配と、椎間ケージ10の幅に沿った多孔性勾配とを有してもよい。
【0029】
椎間ケージ10は、使用されるとき、脊柱の外科手術中に一対の隣り合う脊椎骨間に埋め込まれる。椎間ケージ10が一対の隣り合う脊椎骨間に埋め込まれる前に、開放内部コア領域140 が同種移植片又は自家移植片の骨材料を含んでもよい。代替例では、又は加えて、椎間ケージ10が一対の隣り合う脊椎骨間に埋め込まれた後、例えば同種移植片又は自家移植片の骨材料を側壁100 の開口部101 の少なくとも1つを通して注入することにより、同種移植片又は自家移植片の骨材料が開放内部コア領域140 に置かれてもよい。椎間ケージ10内の多孔性勾配は、椎間ケージ内への体液及び骨材料の流れを向上させて、隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する。ある実施形態では、多孔性勾配は、椎間ケージ10と接する骨材料の多孔性(つまり、体積百分率及び/又は平均孔径の多孔性)と略一致又は類似し得る多孔性を与える。特に、椎間ケージ10は、第1の部分103 と接する骨単位(緻密)骨材料の多孔性と略一致する多孔性の第1の部分103 と、第2の部分105 と接する海綿状(スポンジ状)骨材料の多孔性と略一致する多孔性の第2の部分105 とを有してもよい。このように、椎間ケージ10は様々なタイプの骨材料と一致する多孔性の部分を有することにより、隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進する。
【0030】
椎間ケージ10は、限定することなく3D印刷、放電加工(EDM )、機械加工、化学エッチング、層ごとの処理などを含む、多孔体を形成するために使用されるあらゆる技術、処理などを用いて形成又は製造されてもよい。椎間ケージ10は、医療用のインプラントに適したあらゆる材料から形成されてもよい。適した材料の非制限例として、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、ステンレス鋼合金及びコバルト・クロム合金などの金属材料、ポリエチレン(PE)及びポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)などのポリマー材料、並びにヒドロキシアパタイト(HAP) Ca10(PO4)6(OH)2、リン酸三カルシウムCa3(PO4)2及びヒドロキシアパタイト及びリン酸三カルシウムの混合物などのセラミック材料が含まれる。
【0031】
脊柱の外科的処置中及び外科的処置後の隣り合う脊椎骨間の骨成長・固定を促進するために、本明細書に記載されている椎間ケージを使用してもよい。ある実施形態では、多孔性勾配は、側壁100 の厚さ方向(Y方向)への流体、栄養素、添加物などの流れを向上させる。例えば、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、上面102 及び下面104 から上側第1の部分103 及び下側第1の部分103 を夫々通って上側第1の部分103 及び下側第1の部分103 の間に設けられた第2の部分105 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図2A~2B)。代替例では、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、上面102 及び下面104 から上側第2の部分105 及び下側第2の部分105 を夫々通って上側第2の部分105 及び下側第2の部分105 の間に設けられた第1の部分103 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図3A~3B)。更に、第1の平均孔径d1、第2の平均孔径d2及び第3の平均孔径d3は、下面104 から第2の部分105 、第3の部分107 及び第1の部分103 を通って上面102 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよく(
図4A~4B)、又は上面102 から第2の部分105 、第3の部分107 及び第1の部分103 を通って下面104 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図5A~5B)。
【0032】
他の実施形態では、多孔性勾配は、側壁100 の幅方向(Z方向)への流体、栄養素、添加物等の流れを向上させる。例えば、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、外面106 及び内面108 から外側第1の部分103 及び内側第1の部分103 を夫々通って外側第1の部分103 及び内側第1の部分103 の間に設けられた第2の部分105 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図6A~6B)。代替例では、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、外面106 及び内面108 から外側第2の部分105 及び内側第2の部分105 を夫々通って外側第2の部分105 及び内側第2の部分105 の間に設けられた第1の部分103 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図7A~7B)。更に、第1の平均孔径d1、第2の平均孔径d2及び第3の平均孔径d3は、内面108 から第2の部分105 、第3の部分107 及び第1の部分103 を通って外面106 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよく(
図8A~8B)、又は外面106 から第2の部分105 、第3の部分107 及び第1の部分103 を通って内面108 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図9A~9B)。
【0033】
更に他の実施形態では、多孔性勾配は、外側フレーム12の長さ方向(X方向)への流体、栄養素、添加物等の流れを向上させる。例えば、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、後端部112 及び前端部122 から後側第1の部分103 及び前側第1の部分103 を夫々通って後側第1の部分103 及び前側第1の部分103 の間に設けられた第2の部分105 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図10A ~10B )。代替例では、第1の平均孔径d1及び/又は第2の平均孔径d2は、後端部112 及び前端部122 から後側第2の部分105 及び前側第2の部分105 を夫々通って後側第2の部分105 及び前側第2の部分105 の間に設けられた第1の部分103 に向かって流体、栄養素、添加物等を運ぶように設定されてもよい(
図11A ~11B )。
【0034】
「上側」及び「下側」という文言は、図面に示された向きを指しており、本明細書に記載されている椎間ケージの正確な向きを定めることを意図していない。更に、「略」及び「約」という文言は、あらゆる定量比較、値、測定又は他の表示に起因し得る不確定性の固有の程度を表すために本明細書に使用されてもよい。これらの文言は、対象の主題の基本的な機能を変えることなく、定量的表現が述べられている基準から変わり得る程度を表すために本明細書に更に使用されている。
【0035】
特定の実施形態を本明細書に示して説明しているが、請求する主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び調整がなされ得ることを理解されたい。更に、請求する主題の種々の態様が本明細書に説明されているが、このような態様は組み合わせて利用される必要はない。よって、添付の特許請求の範囲は請求する主題の範囲内のあらゆる変更及び調整を含むことを意図している。
【0036】
本出願は、2017年3月14日に出願された米国仮出願第62/471128号の優先権を主張しており、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている。