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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】収量マップ作成装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/50 20060101AFI20240620BHJP
   A01D 41/127 20060101ALI20240620BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240620BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A01F12/50 Z
A01D41/127
G06Q50/02
G09B29/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019112752
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020202791
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(72)【発明者】
【氏名】西田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭志
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】加藤 範久
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-78820号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0116330号明細書
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/50
A01D 41/127
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一圃場に対して、複数の収穫機によって、収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように、収穫作業が行われる場合に、前記複数の収穫機各々における時刻毎の測位情報および収量を含む作業情報を取得して前記収穫機毎に記憶する作業情報取得部と、
圃場別に各収穫機の作業情報を共通の時刻毎に統合して、圃場別統合作業情報を生成する情報統合部と、
ある圃場に対する前記圃場別統合作業情報に基づいて、前記時刻毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する特定部と、
前記作業領域内に、当該収穫作業よりも前に、当該収穫作業を行った他の収穫機によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する判定部と、
前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しない判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける収量割付部と、
前記収量割付部による収量割付結果に基づいて、前記圃場内の複数の分割領域毎の収量を算出する算出部とを含み、
任意の圃場に対する前記圃場別統合作業情報を時刻の早いものから順番に注目情報として読み出し、読み出した注目情報毎に、前記収穫機、作業領域および収量を特定するように構成されており、
前記特定部は、
前記注目情報に基づいて、前記収穫機および収量を特定し、
前記注目情報と、特定された収穫機に関する作業情報のうちの当該注目情報に対して所定時間だけ前の作業情報とに基いて、前記作業領域を特定するように構成されており、
前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される、収量マップ作成装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記作業済領域が存在するか否かを、前記圃場に予め設定された基準小領域単位で判定するように構成されており、
前記収量割付部は、前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域内に含まれる前記基準小領域のうち、作業済領域として判定された基準小領域を除外した領域に、前記収量を割り付けるように構成されている、請求項1に記載の収量マップ作成装置。
【請求項3】
前記作業情報取得部は、管理サーバに設けられており、
前記複数の収穫機から、前記作業情報が前記管理サーバに送信される、請求項1または2に記載の収量マップ作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収量マップ作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンバインが一度刈り取った領域を再び通過した場合に、収量が上書きされるのを防止して、正確な収量分布を算出できる収量分布算出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-78820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、同一圃場に対して複数のコンバインが収穫作業を行った場合の収量分布算出方法については、記載されていない。
この発明の目的は、同一圃場に対して複数の収穫機が収穫作業を行った場合に、正確な収量マップを作成することが可能となる収量マップ作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、同一圃場に対して複数の収穫機によって収穫作業が行われる場合に、前記複数の収穫機各々における所定時間毎の測位情報および収量を含む作業情報を取得して記憶する作業情報取得部と、各収穫機の作業情報を圃場毎に統合して、圃場別統合作業情報を生成する情報統合部と、ある圃場に対する前記圃場別統合作業情報に基づいて、前記所定時間単位毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する特定部と、前記作業領域内に、当該収穫作業よりも前に、当該収穫作業を行った収穫機または他の収穫機によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する判定部と、前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しない判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける収量割付部と、前記収量割付部による収量割付結果に基づいて、前記圃場内の複数の分割領域毎の収量を算出する算出部とを含む、収量マップ作成装置を提供する。
【0006】
収量マップは、分割領域毎の収量を表すマップである。この構成では、同一圃場に対して複数の収穫機が収穫作業を行った場合に、正確な収量マップを作成することが可能となる。
この発明の一実施形態は、前記特定部は、前記圃場に対する前記圃場別統合作業情報を時刻の早いものから順番に注目情報として読み出し、読み出した注目情報毎に、前記収穫機、作業領域および収量を特定するように構成されており、前記特定部は、前記注目情報に基づいて、前記収穫機および収量を特定し、前記注目情報と、特定された収穫機に関する作業情報のうちの当該注目情報に対して前記所定時間だけ前の作業情報とに基いて、前記作業領域を特定するように構成されている。
【0007】
この発明の一実施形態は、前記判別部は、前記作業済領域が存在するか否かを、前記圃場に予め設定された基準小領域単位で判定するように構成されており、前記収量割付部は、前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域内に含まれる前記基準小領域のうち、作業済領域として判定された基準小領域を除外した領域に、前記収量を割り付けるように構成されている。
【0008】
この発明の一実施形態は、前記作業情報取得部は、前記管理サーバに設けられており、前記複数の収穫機から、前記作業情報が前記管理サーバに送信される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る収量マップ作成装置が適用された収量マップ作成システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、収穫機の概略構成を示す側面図である。
図3図3は、収穫機の概略構成を示す平面図である。
図4図4は、収穫機の動力伝達図である。
図5図5は、グレンタンク内に設けられた収量センサの構成を示す縦断面図である。
図6図6は、収量マップ作成システムの電気的構成を示すブロック図である。
図7A図7Aは、圃場テーブルの内容例を示す模式図である。
図7B図7Bは、基準メッシュテーブルの内容例を示す模式図である。
図7C図7Cは、収穫機テーブルの内容例を示す模式図である。
図7D図7Dは、収穫機別作業情報テーブルの内容例を示す模式図である。
図8図8は、1つの圃場に対して3台の収穫機によって収穫作業が行われる場合の、各収穫機の走行経路の一例を示す模式図である。
図9図9は、処理対象データの一例を示す模式図である。
図10図10は、特定部、判定部、収量割付部および算出部によって行われる収量マップ作成処理の手順を示すフローチャートである。
図11図11は、割付フラグテーブルの構成例を示す模式図である。
図12図12は、収量テーブルの構成例を示す模式図である。
図13図13は、作業領域の特定方法を説明するための模式図である。
図14図14は、1つの圃場に対して2台の収穫機2によって収穫作業が行われる場合の、各収穫機の走行経路の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る収量マップ作成装置が適用された収量マップ作成システム1の構成を示す模式図である。収量マップ作成システム1は、収穫作業が行われた圃場に対する収量マップを作成するためのシステムである。
収量マップとは、圃場を分割することによって設定された複数の表示用メッシュ毎の収量を表す画像である。メッシュとは、圃場を分割することによって設定された複数の小領域をいう。表示用メッシュとは、収量マップとして収量を表示するために使用されるメッシュである。この実施形態では、表示用メッシュは、5m×5mの大きさの正方形である。表示用メッシュは、本発明の「分割領域」の一例である。
【0011】
収量マップ作成システム1は、作物を収穫する複数の収穫機2と、ユーザ端末3と、収量マップ作成装置としての管理サーバ4とを含む。この実施形態では、収穫機2は、コンバインである。
各収穫機2は、通信網6を介して、管理サーバ4と通信可能である。各収穫機2は、測位衛星7を利用して、自己位置を所定時間毎に測位する測位機能を備えている。各収穫機2は、図6に示すように、作物の収量を測定する収量センサ21、方位を検出する方位センサ22を備えている。各収穫機2は、時刻毎の位置情報、収量および方位を含む作業情報を、自己の識別情報である収穫機IDとともに管理サーバ4に送信する。
【0012】
管理サーバ4は、管理センター5内に設けられている。管理サーバ4は、各収穫機2の作業情報を当該収穫機の収穫機IDとともに取得する。
図2は、収穫機2の概略構成を示す側面図である。図3は、収穫機2の概略構成を示す平面図である。
以下の説明において「前」とは、収穫機2が刈取時に進行する方向を意味し、「後」とは、その反対の方向を意味する。また、「左」および「右」とは、後述の運転座席112に前向きに座るオペレータから見た左および右を意味する。
【0013】
収穫機2は、左右1対の走行クローラ102によって支持された機体101を備えている。
機体101の前部には、穀稈を刈り取る6条刈用の刈取装置(刈取装置)103が配置されている。図2に示すように、刈取装置103は刈取入力パイプ152を備えている。刈取装置103は、刈取入力パイプ152の軸線まわりで昇降可能に、機体101に取り付けられている。収穫機2は、刈取装置103と機体101とを連結する油圧シリンダ104を備えており、この油圧シリンダ104が伸縮することで、刈取装置103を昇降させることができる。
【0014】
機体101は、フィードチェーン106を有する脱穀装置(脱穀部)105と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク107と、グレンタンク107内の穀粒を機体の外部に排出する穀粒排出オーガ(排出部)108とを備える。脱穀装置105およびグレンタンク107は左右に並べて設けられ、脱穀装置105が左側、グレンタンク107が右側に配置される。
【0015】
機体101の右側前部であってグレンタンク107の前方には、運転部110が設けられている。運転部110は、オペレータの居住空間を構成するキャビン111と、オペレータが座る運転座席112と、オペレータに操作される操作部113とを備える。運転座席112および操作部113は、キャビン111の内部に配置されている。
機体101は、運転座席112の下方に配置された動力源としてのエンジン120を備える。本実施形態において、このエンジン120はディーゼルエンジンとして構成されている。
【0016】
図2に示すように、機体101の底部には左右のトラックフレーム121が配置されている。トラックフレーム121には、駆動スプロケット122と、テンションローラ123と、複数のトラックローラ124とが設けられている。駆動スプロケット122は、走行クローラ102にエンジン120の動力を伝達して駆動する。テンションローラ123は、走行クローラ102のテンションを保持する。トラックローラ124は、走行クローラ102の接地側を接地状態に保持する。
【0017】
刈取装置103は、刈取入力パイプ152および図示しないパイプ部材等からなる刈取フレームを備える。この刈取フレームは、刈取入力パイプ152の軸線を中心として回動可能となるように機体101に取り付けられている。
刈取装置103は、刈刃装置147と、穀稈引起し装置148と、穀稈搬送装置(搬送装置)149と、分草体150とを備える。図3に示すように、左端の分草体150から右端の分草体150までの間隔を刈幅Wということにする。刈刃装置147は、バリカン式の刈刃を有しており、圃場の未刈穀稈の株元を切断することができる。穀稈引起し装置148は、圃場の未刈穀稈を引き起こす。穀稈搬送装置149は、刈刃装置147によって刈り取られた穀稈を搬送する。分草体150は、図3に丸印で示す未刈穀稈201の6条分を1条ずつ分草する。
【0018】
刈取フレームの下方に刈刃装置147が配置され、刈取フレームの前方に穀稈引起し装置148が配置されている。穀稈引起し装置148とフィードチェーン106の前端部(送り始端側)との間に穀稈搬送装置149が配置されている。分草体150は、穀稈引起し装置148の下部前方に突状に設けられている。
この構成で、収穫機2は、エンジン120によって走行クローラ102を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置103を駆動して圃場の未刈穀稈を連続的に刈り取ることができる。
【0019】
図2に示すように、脱穀装置105は、穀稈脱穀用の扱胴126と、揺動選別盤127と、唐箕ファン128と、処理胴129と、排塵ファン130とを備える。扱胴126は図示しない多数の扱歯を備えており、扱胴126が回転することによって、扱歯により穀稈から穀粒を分離することができる。揺動選別盤127は、扱胴126の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構として構成される。唐箕ファン128は、揺動選別盤127に選別風を供給する。処理胴129は、扱胴126の後部から取り出される脱穀排出物を再処理する。排塵ファン130は、揺動選別盤127の後部の排塵を機外に排出する。
【0020】
以上の構成で、刈取装置103から穀稈搬送装置149によって送られてきた刈取穀稈の株元側は、フィードチェーン106の前端側(送り始端側)に受け継がれる。そして、フィードチェーン106の搬送により、穀稈の穂先側が脱穀装置105内に導入され、扱胴126によって脱穀される。
フィードチェーン106の後端側(送り終端側)には、排藁チェーン134が配置されている。フィードチェーン106の後端側から排藁チェーン134に受け継がれた排藁は、長い状態で機体101の後方に排出されるかまたは脱穀装置105の後方側に設けた排藁切断装置135にて適宜の長さに短く切断された後、機体101の後下方に排出される。なお、ここでいう排藁とは穀粒が分離された後の穀稈のことである。
【0021】
揺動選別盤127の下方には、当該揺動選別盤127にて選別された穀粒(一番選別物)を取り出す一番コンベア131と、枝梗付き穀粒等の二番選別物を取り出す二番コンベア132と、が設けられている。本実施形態では、機体101の進行方向前側から一番コンベア131、二番コンベア132の順で、それぞれ機体左右方向に向けて配置されている。
【0022】
揺動選別盤127は、扱胴126の下方に落下した脱穀物を揺動選別(比重選別)するように構成されている。揺動選別盤127から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン128からの選別風によって除去され、一番コンベア131に落下する。一番コンベア131のうち脱穀装置105におけるグレンタンク107寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒133が接続されている。
【0023】
一番コンベア131から取り出された穀粒は、一番揚穀筒133内の図略の一番揚穀コンベアによってグレンタンク107に搬入されて貯留される。グレンタンク107には、収穫機2で収穫された穀粒量(収量)を検出するための収量センサ(穀粒センサ)21が設けられている。収量センサ21の詳細については、後述する。
揺動選別盤127は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベア132に落下させるように構成されている。二番コンベア132によって取り出された二番選別物は、二番還元コンベア136および二番処理部137を介して揺動選別盤127の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴126からの脱粒物中の藁屑および粉塵等は、唐箕ファン128からの選別風によって、機体101の後部から圃場に向けて排出される。
【0024】
図4は、収穫機2の動力伝達図である。
収穫機2が備えるエンジン120の動力は、当該エンジン120の出力軸120aから、走行クローラ102を駆動させる無段変速装置115と、脱穀装置105の各部と、穀粒排出オーガ108と、刈取装置103とにそれぞれ分岐して伝達される。
無段変速装置115は、静圧油圧式無段変速(HST)式の変速装置として構成されている。この無段変速装置115は図略の油圧ポンプと油圧モータの対を備えた公知の構造であるので、詳細な説明は省略する。
【0025】
エンジン120の駆動力の一部は、刈取装置103への駆動力の伝達の有無を切換可能な刈取クラッチ146を介して、当該刈取装置103に伝達される。なお、刈取装置103の各構成への駆動力伝達機構については説明を省略する。
エンジン120の駆動力の一部は、脱穀装置105への駆動力の伝達の有無を切換可能な脱穀クラッチ125を介して、脱穀装置105の各構成に伝達される。具体的には、エンジン120の駆動力は、唐箕ファン128および一番コンベア131に伝達された後、更に二番コンベア132、揺動選別盤127、排藁切断装置135およびフィードチェーン106へ伝達される。
【0026】
一番コンベア131は、揺動選別盤127で選別された精粒を外部に送り出すためのものである。この一番コンベア131の端部にはベベルギアを介して揚穀コンベア141が連結されており、一番コンベア131に伝達された駆動力によって揚穀コンベア141が駆動される。揚穀コンベア141は、一番揚穀筒133の内部に配置されており、穀粒をグレンタンク107へ運ぶことができる。以上の構成で、揺動選別盤127等で選別された精粒は、一番コンベア131および揚穀コンベア141を介してグレンタンク107に運搬され、グレンタンク107内で貯留される。
【0027】
二番コンベア132の端部には還元コンベア142がベベルギアを介して連結されている。また、還元コンベア142の端部には二番処理部137がベベルギアを介して連結されている。これにより、二番コンベア132に伝達された駆動力は、更に還元コンベア142および二番処理部137へ伝達される。二番コンベア132および還元コンベア142は、精粒から分離された二番物(枝梗付き穀粒や穂切れ粒等)を二番処理部137に搬送するためのものである。二番物は、二番処理部137により枝梗等が除去された後、揺動選別盤127に戻されて再び選別される。
【0028】
また、エンジン120の駆動力の一部は、扱胴126および処理胴129に伝達される。扱胴126に伝達された駆動力は、更に、扱胴126で処理された排藁を排藁切断装置135まで搬送するための排藁チェーン134に伝達される。排藁切断装置135は、排藁チェーン134によって搬送された排藁を図略の回転刃によって切断して排出する。
グレンタンク107に貯留された穀粒は、複数のコンベアにより穀粒排出オーガ108へ送られる。穀粒排出オーガ108は、穀粒排出オーガ108の内部に設けられたコンベアを駆動することで、穀粒を排出することができる。
【0029】
図5は、グレンタンク107内に設けられた収量センサ21の構成を示す縦断面図である。
収量センサ21は、グレンタンク107の上面に取り付けられている。脱穀装置105等によって得られた穀粒202は、一番揚穀筒133の内部に設けられた揚穀コンベア141によってグレンタンク107へ向けて搬送される。この揚穀コンベア141の軸の下流側の端部には、放出羽根143が接続されている。放出羽根143は、揚穀コンベア141により搬送された穀粒202をグレンタンク107に向けて跳ね飛ばす。また、収量センサ21は、歪みゲージまたは圧電素子等の衝撃検出部が設けられている。この構成により、収量センサ21は、放出羽根143が跳ね飛ばした穀粒202が衝突した際の衝撃力を検出する。収量センサ21は、この衝撃力に基づいて、穀粒量(収量検出値)を検出する。
【0030】
なお、収量センサ21は、衝撃力以外の方法を用いることで、穀粒量を検出する構成であっても良い。例えば、収穫した穀粒量の重さを用いることで穀粒量を検出可能である。
図6は、収量マップ作成システム1の電気的構成を示すブロック図である。
説明の便宜上、図6には、1台の収穫機2のみが示されている。
収穫機2は、収穫機制御部10を含む。収穫機制御部10は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)11を備えたマイクロコンピュータを含む。
【0031】
収穫機制御部10は、走行装置(走行クローラ102)、刈取装置103、搬送装置(穀稈搬送装置149)、脱穀装置105等の収穫機10の各部の電気機器を制御する。
収穫機制御部10には、センサ類として、収量センサ21、方位センサ22等が接続されている。収穫機制御部10は、収量センサ21の出力信号に基づいて、所定時間当たり(この実施形態では1秒当たり)の収量を算出するための収量算出部12を備えている。
【0032】
収穫機制御部10には、さらに、位置情報算出部23、通信端末24等が接続されている。位置情報算出部23には、衛星信号受信用アンテナ25が電気的に接続されている。衛星信号受信用アンテナ25は、衛星測位システムを構成する測位衛星7(図1参照)からの信号を受信するものである。衛星測位システムは、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。
【0033】
位置情報算出部23は、衛星信号受信用アンテナ25で受信された測位信号に基づいて、収穫機2(厳密には、衛星信号受信用アンテナ25)の位置を算出する。具体的には、位置情報算出部23は、時刻情報と位置情報とを含む測位情報を所定時間毎(この実施形態では1秒毎)に生成する。位置情報は、例えば、緯度情報と経度情報とからなる。
通信端末24は、収穫機制御部10が、通信網6を介して管理サーバ4と通信するための通信インターフェースである。
【0034】
収穫機制御部10は、位置情報算出部23によって生成される測位情報および所定の稼働情報を所定時間間隔(この実施形態では1秒毎)でメモリ11に記憶する。この実施形態では、稼働情報は、収量算出部12によって算出される収量および方位センサ13によって検出される方位を含む。以下において、所定時間毎にメモリ11に記憶される測位情報および稼働情報を総称して、作業情報という場合がある。
【0035】
収獲機制御部10は、メモリ11に記憶された作業情報を、所定のタイミング(例えば、電源オフ操作が行われたタイミング)で、収穫機IDとともに管理サーバ4に送信する。この作業情報の送信は、通信端末24を介して行われる。この実施形態では、収穫機IDとしては、通信端末24の電話番号が用いられる。
管理サーバ4は、管理サーバ4を制御するサーバ制御部40を含む。サーバ制御部40は、後述するように、各収獲機2から送信される作業情報等に基づいて、収穫作業が行われた圃場に対する収量マップを作成する機能を備えている。サーバ制御部40には、通信部51、操作表示部52、操作部53および記憶部54が電気的に接続されている。
【0036】
通信部51は、サーバ制御部40が通信網6を介して収穫機制御部10やユーザ端末3と通信するための通信インターフェースである。操作表示部52は、例えば、タッチパネル式ディスプレイからなる。操作部53は、例えば、キーボード、マウス等を含む。
記憶部54は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部54には、圃場テーブル54A、基準メッシュテーブル54B、収穫機テーブル54C、収穫機別作業情報テーブル54D、圃場別作業情報テーブル54E、圃場別第1収量テーブル54F、圃場別第2収量テーブル54G等が設けられている。
【0037】
圃場テーブル54Aには、図7Aに示すように、圃場ID毎に当該圃場の位置を特定するための位置情報(以下、「圃場位置情報」という場合がある。)が記憶されている。圃場位置情報は、例えば、当該圃場の輪郭線上の複数の点の位置情報からなる。圃場位置情報は、例えば、圃場が略四角形状であれば、当該圃場の4頂点の位置情報の当該4頂点のうちの一組の対頂点の位置情報からなる。圃場位置情報は、当該圃場の中心の位置情報を含んでいてもよい。
【0038】
基準メッシュテーブル54Bについて説明する。この実施形態では、基準メッシュとは、収量を演算するための最小単位のメッシュを意味する。この実施形態では、基準用メッシュは、一辺の大きさは刈幅Wよりも小さい正方形である。基準メッシュは、例えば、5cm×5cmの大きさである。基準メッシュは、本発明の「基準小領域」の一例である。
基準メッシュテーブル54Bには、圃場ID毎に、当該圃場に対する基準メッシュ位置情報が記憶される。ある圃場に対する基準メッシュ位置情報は、図7Bに示すように、基準メッシュID毎に当該基準メッシュの位置を特定するための位置情報(以下、「基準メッシュ位置情報」という場合がある。)からなる。基準メッシュ位置情報は、例えば、当該基準メッシュの4頂点の位置情報の当該4頂点のうちの一組の対頂点の位置情報からなる。基準メッシュ位置情報は、当該基準メッシュの中心の位置情報を含んでいてもよい。
【0039】
収穫機テーブル54Cには、図7Cに示すように、収穫機2毎に、収穫機ID、型式、機番、刈幅W、衛星信号受信用アンテナと刈刃装置147との位置関係を表す情報(相対位置情報P)等が記憶される。
収穫機別作業情報テーブル54Dには、収穫機2毎に作業情報が記憶される。ある収獲機2に対する作業情報は、図7Dに示すように、収穫機ID、時刻、緯度、経度、方位および収量を1レコードとする時系列情報からなる。
【0040】
圃場別作業情報テーブル54Eには、圃場毎に作業情報が記憶される。圃場別第1収量テーブル54Fには、圃場毎に、基準メッシュ毎の収量が記憶される。圃場別第2収量テーブル54Gには、圃場毎に、表示用メッシュ毎の収量が記憶される。
サーバ制御部40は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)41を備えたマイクロコンピュータを含む。サーバ制御部40は、情報取得部42と、情報統合部43と、特定部44と、判定部45と、収量割付部46と、算出部47と、情報提供部48を含む。
【0041】
情報取得部42は、収穫機2から収穫機IDが付加された作業情報を受信したときに、受信した作業情報を、受信した収穫機IDに対応する収穫機別作業情報テーブル54Dに記憶する。
情報統合部43は、各収穫機2の所定期間分(この実施形態では1日分)の作業情報を圃場毎に統合し、圃場別統合作業情報を生成する。圃場別統合作業情報に含まれる各作業情報には、対応する作業車両IDが付加される。そして、作業情報統合部43は、圃場別統合作業情報を、対応する圃場別作業情報テーブル54Eに記憶する。
【0042】
特定部44は、ある圃場に対する圃場別統合作業情報に基づいて、所定時間単位(この実施形態では1秒単位)毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する。
判定部45は、特定部44によって特定された作業領域内に、当該収穫作業よりも前に、当該収穫作業を行った収穫機2または他の収穫機2によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する。
【0043】
収量割付部46は、作業領域内に作業済領域が存在すると判定された場合には、作業領域から作業済領域を除外した領域に、特定部44によって特定された収量を割り付ける。一方、作業領域内に作業済領域が存在しない判定された場合には、収量割付部46は、特定部44によって特定された収量を作業領域全体に割り付ける。
算出部47は、収量割付部46による収量割付結果に基づいて、圃場内に設定された複数の表示用メッシュ毎の収量を算出する。
【0044】
図8は、1つの圃場に対して3台の収穫機2によって収穫作業が行われる場合の、各収穫機2の走行経路の一例を示す模式図である。ここでは、3台の収穫機2を、収穫機A、収穫機Bおよび収穫機Cということにする。
収穫機2は、手動走行されてもよいし、自動走行されてもよい。手動走行とは、収穫機2が手動操作に基づいて制御されることにより、走行が行われることをいう。これに対し、自動走行とは、収穫機2が自動的に制御されることにより、予め定められた自動走行経路に沿って収穫機2が走行することをいう。
【0045】
収穫機Aの走行経路R1は、圃場F1の縦方向に平行でかつ圃場Fの横方向に間隔をおいて配された複数の主経路と、隣り合う主経路を連結する旋回経路とからなる。最も左側の主経路の前端(図8の紙面の下側)が、走行始点である。左から奇数番目にある主経路とその右隣の主経路とは、それらの後端どうしが旋回経路に連結され、左から偶数番目にある主経路とその右隣の主経路とは、それらの前端どうしが旋回経路に連結されている。
【0046】
収穫機Bの走行経路R2は、収穫機Aの走行経路R1を右方向に所定距離だけ平行移動させた経路とほぼ一致する。収穫機Cの走行経路R3は、収穫機Bの走行経路R2を右方向に所定距離だけ平行移動させた経路とほぼ一致する。
ここでは、収穫機Aが最も早く収穫作業を開始し、その後に収穫機Bが収穫作業を開始し、その後に収穫機Cが収穫作業を開始するものとする。また、異なる2つの収穫機2の走行経路が隣接する領域においては、作業対象領域の一部が重なるようにして収穫作業が行われるものとする。また、各収穫機A、B、Cの走行速度はほぼ等しいものとする。
【0047】
以下、図8に示される態様で、収穫作業が行われる場合を例にとって、管理サーバ制御部30の動作について説明する。
この場合、情報統合部43は、圃場F1に対する3台の収穫機A、B、Cの作業情報を統合して、統合作業情報を生成する。情報統合部43は、圃場F1に対する圃場別作業情報テーブル54E(図6参照)に、当該統合作業情報を記憶する。以下、このようして作成された圃場F1に対する統合作業情報を、処理対象データということにする。
【0048】
図9は、処理対象データの一例を示す模式図である。
処理対象データは、圃場F1に対する3台の収穫機A、B、Cの作業情報が時刻の早いものから順に並べられることによって生成されている。ただし、図9では、収穫機Aの収穫機IDをA、収穫機Bの収穫機IDをB、収穫機Cの収穫機IDをCとして示している。
【0049】
また、図9においては、説明の便宜上、方位情報は省略されているとともに、収穫機A,B,Cの作業情報が横に並んで配置されている。具体的には、収穫機Aに対する作業情報は、最も左の第1列目に配置され、収穫機Bに対する作業情報は、左から2番目の2列目に配置され、収穫機Cに対する作業情報は、左から3番目の3列目に配置されている。また、図9においては、緯度および経度の具体的な数値は省略されている。
【0050】
図10は、特定部44、判定部45、収量割付部46および算出部47によって行われる収量マップ作成処理の手順を示すフローチャートである。
特定部44は、処理対象データをメモリ41に読み込むとともに、割付フラグテーブル61および収量テーブル62をメモリ41に設定する(ステップS1)。
割付フラグテーブル61は、図11に示すように、処理対象データに対応する圃場の基準メッシュID毎に、収量が割れ付けられているか否かを表す収量割付フラグを記憶するテーブルである。初期状態では、全ての基準メッシュに対して収量が割り付けられていないことを示す「0」が記憶されている。ある基準メッシュに対して、収量が割り付けられると、収量が割り付けられたことを示す「1」が記憶される。
【0051】
収量テーブル62は、図12に示すように、処理対象データに対応する圃場の基準メッシュID毎に、その基準メッシュに割り付けられた収量が記憶されるテーブルである。初期状態では、全ての基準メッシュに対して「0」が記憶されている。
次に、特定部44は、時刻の最も早い作業情報を注目情報として設定する(ステップS2)。次に、特定部44は、注目情報に対応する収穫機2に関する作業情報であって、注目情報よりも時間的に1つ前の作業情報(以下、「参照情報」という。)が、処理対象データ内に存在するか否かを判別する(ステップS3)。
【0052】
参照情報が存在しない場合には(ステップS3:NO)、特定部44は、注目情報として選択されてない作業情報(未選択情報)が存在するか否かを判定する(ステップS4)。
未選択情報が存在する場合には(ステップS4:YES)、特定部44は、注目情報を更新する(ステップS5)。具体的には、特定部44は、予め定められた注目情報選択規則に基づいて、次に注目情報として設定すべき作業情報を選択し、選択した作業情報を注目情報に設定する。そして、ステップS3に戻る。
【0053】
注目情報選択規則について説明する。未選択作業情報中に、注目情報と同じ時刻であって他の収穫機2の作業情報が1以上存在する場合には、他の収穫機2の作業情報のうち、収穫機2の優先順位の高いものを優先して選択する。収穫機2の優先順位は、この例では、Aが最も高く、Bが次に高く、Cが最も低く設定される。未選択情報中に、注目情報と同じ時刻であって他の収穫機2の作業情報が存在しない場合には、注目情報よりも時間的に1つだけ先の作業情報を選択する。なお、注目情報よりも時間的に1つだけ先の作業情報が複数存在する場合には、収穫機2の優先順位の高いものを優先して選択する。
【0054】
ステップS3において、参照情報が存在すると判別された場合には(ステップS3:YES)、特定部44は、参照情報の時刻から注目情報の時刻までの所定時間(この例では1秒間)に収穫作業が行われた作業領域、収穫作業を行った収穫機および当該作業領域での収量を特定する(ステップS6)。収穫機および収量は、それぞれ、注目情報に含まれている収穫機IDおよび収量に基づいて特定される。
【0055】
作業領域は、次のようにして特定される。図13には、参照情報の時刻での収穫機2が鎖線Mn-1で示され、注目情報の時刻での収穫機2が実線Mで示されている。参照情報の時刻での収穫機2の刈刃装置147の左前端位置および右前端位置をLn-1およびRn-1とする。また、注目情報の時刻での収穫機2の刈刃装置147の左前端位置および右前端位置をLおよびRとする。
【0056】
特定部44は、参照情報内の位置情報と方位情報と、参照情報に対応する収穫機2の刈幅Wおよび相対位置情報Pとに基づいて、Ln-1およびRn-1を算出する。また、特定部44は、注目位置情報内の位置情報と方位情報と、注目情報に対応する収穫機2の刈幅Wおよび相対位置情報Pとに基づいて、Ln1およびRを算出する。特定部44は、Ln-1、Rn-1、Ln-1およびRn-1に囲まれた領域を作業領域として特定する。そして、特定部44は、作業領域に含まれる全ての基準メッシュを特定する。この際、少なくとも一部が作業領域に含まれている基準メッシュは、作業領域内に含まれる基準メッシュとして特定される。なお、図13において、作業領域内に示されている小領域eは、基準メッシュを示している。
【0057】
次に、判定部45は、作業領域内に、当該収穫作業よりも前に、当該収穫作業を行った収穫機2または他の収穫機2によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する(ステップS7)。この判定は、メモリ41内の割付フラグテーブル61(図11参照)を参照して行なわれる。具体的には、判定部45は、作業領域に含まれる全ての基準メッシュの中に、割付フラグが「1」である基準メッシュが存在する場合には、作業済領域が存在すると判定し、割付フラグが「1」である基準メッシュが存在しない場合には、作業済領域が存在しないと判定する。
【0058】
作業領域内に作業済領域が存在すると判定された場合には(ステップS7:YES)、収量割付部46は、作業領域から作業済領域を除外した領域に収量を割り付ける(ステップS8)。具体的には、収量割付部46は、作業領域に含まれる全ての基準メッシュのうち、割付フラグが「0」である基準メッシュ(未割付基準メッシュ)の数をNとすると、収量QをNで除算した収量Q/Nを、各未割付基準メッシュに割り付ける。つまり、収量割付部46は、メモリ41内の収量テーブル62(図12参照)内の対応する基準メッシュに収量Q/Nを記憶する。また、収量割付部46は、メモリ41内の割付フラグテーブル61内の対応する基準メッシュに「1」を記憶する。
【0059】
ステップS7において、作業領域内に作業済領域が存在しないと判定された場合には(ステップS7:NO)、収量割付部46は、作業領域全体に収量を割り付ける(ステップS9)。具体的には、収量割付部46は、作業領域に含まれる全ての基準メッシュの数をNとすると、収量QをNで除算した収量Q/Nを、これらの基準メッシュに割り付ける。つまり、収量割付部46は、収量テーブル62内の対応する基準メッシュに収量Q/Nを記憶する。また、収量割付部46は、割付フラグテーブル61内の対応する基準メッシュに「1」を記憶する。
【0060】
ステップS8またはステップS9の処理が終了すると、収量割付部46は、ステップS4に戻る。このようにして、処理対象データ内の全ての作業情報に対しての処理が終了すると、圃場内の基準メッシュ毎の収量がメモリ41内の収量テーブル62に記憶される。収量テーブル62に記憶された圃場内の基準メッシュ毎の収量は、当該圃場に対応する圃場別第1収量テーブル54F(図6参照)に記憶される。
【0061】
処理対象データ内の全ての作業情報に対しての処理が終了した後に、ステップS4に移行した場合には、ステップS4で否定判定となる(ステップS4:NO)。この場合には、特定部44は、ステップS10に移行する。
ステップS10では、算出部47は、収量テーブル62に記憶された基準メッシュ毎の収量に基づいて、圃場内の表示用メッシュ毎の収量を算出する。このようして算出された圃場内の表示用メッシュ毎の収量を表すデータ(以下、「マップ作成用データ」という。)は、当該圃場に対応する圃場別第2収量テーブル54G(図6参照)に記憶される。
【0062】
ある圃場に対するマップ作成用データが圃場別第2収量テーブル54Gに記憶されている場合において、当該圃場を所有するユーザのユーザ端末3からアクセスがあった場合には、情報提供部48は、当該マップ作成用データに基づいて収量マップを作成して、ユーザ端末3に提供する。これにより、当該圃場を所有するユーザは、当該圃場の収量マップをユーザ端末3上で見ることが可能となる。
【0063】
収量マップは、表示用メッシュ毎に収量を数値で表した画像であってもよいし、表示用メッシュ毎に収量を色分けして表示した画像であってもよい。
前述の実施形態では、同じ圃場に対して複数の収穫機2によって収穫が行われ、異なる収獲機によって少なくとも一部が重なる領域に対して収穫作業が行われた場合でも、正確な収量マップを作成することが可能となる。
【0064】
前述の実施形態では、図8に示す形態で収穫作業が行われた場合について、収量マップ作成処理について説明した。しかし、この発明は、図8の形態に限らず、同じ圃場に対して2台以上の収穫機によって収穫作業が行われた場合に、適用することができる。例えば、図14に示すような形態で、収穫作業が行われた場合にもこの発明を適用することができる。この場合においても、収穫機2は、手動走行されてもよいし、自動走行されてもよい。
【0065】
図14の形態では、収穫機Aは、圃場F1の左下端から上側に向かって走行を開始し、収穫機Bは、圃場F1の右上端から下側に向かって走行を開始する。収穫機Aは、平面視で矩形螺旋状の走行経路R1に沿って収穫作業を行う。収穫機Bは、平面視で矩形螺旋状の走行経路R2に沿って収穫作業を行う。収穫機Aは、圃場F1の中央領域に到達すると圃場F1の左下端に向かって走行して、収穫作業を終了する。一方、収穫機Bは、圃場F1の中央領域に到達すると、圃場F1の中央領域内を平面視螺旋状に走行しながら収穫作業を行った後、圃場F1の右上端に向かって走行して、収穫作業を終了する。
【0066】
前述の実施形態では、収穫機2の方位は、方位センサ22によって検出されているが、収穫機2の方位は、時間的に隣接する2つの位置情報から特定してもよい。この場合には、方位センサ22は設けなくてもよい。
前述の実施形態では、収穫機2は稲や麦を収穫するためのコンバインであったが、収穫機2は、稲や麦以外の作物を収穫する収穫機であってもよい。
【0067】
この発明は、前述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 収量マップ作成システム
2 収穫機
3 ユーザ端末
4 管理サーバ
5 管理センター
6 通信網
7 測位衛星(GNSS衛星)
10 収穫機制御部
11 メモリ
12 収量算出部
21 収量センサ
22 方位センサ
23 位置情報算出部
24 通信端末
25 衛星信号受信用アンテナ
40 制御部
41 メモリ
42 情報取得部
43 情報統合部
44 特定部
45 判定部
46 収量割付部
47 算出部
48 情報提供部
51 通信部
52 操作表示部
53 操作部
54 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14