(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 27/26 20060101AFI20240620BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01F27/26 130W
H01F17/06 Z
H01F17/06 K
(21)【出願番号】P 2020004971
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-12-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 孝嘉
(72)【発明者】
【氏名】早坂 秀一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 厚
(72)【発明者】
【氏名】栗本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】菅原 一哉
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107578907(CN,A)
【文献】特開2016-082178(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103824683(CN,A)
【文献】米国特許第04975672(US,A)
【文献】実開昭63-029907(JP,U)
【文献】特開2016-152257(JP,A)
【文献】特開2010-232245(JP,A)
【文献】特開2011-066217(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105469938(CN,A)
【文献】特開2017-152549(JP,A)
【文献】中国実用新案第205248025(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106158249(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105788804(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103915237(CN,A)
【文献】実開昭62-112110(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 27/26
H01F 27/30
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、磁気コアと、
1本のコイルとを備えるインダクタであって、
前記固定部材は、上下方向に延びる中心軸と、n個の仕切板部と、m個の底板部とを有する一体物であり、
nは2以上の整数であり、
mはn/2以上n以下の整数であり、
前記仕切板部の夫々は、前記上下方向と直交する方向へ前記中心軸から延びており、
前記仕切板部の夫々は、他の前記仕切板部と前記底板部のいずれかにより接続されており、それによって仕切板部と底板部との位置関係は固定されており、
前記磁気コアは、絶縁コートされており、且つ、内部に孔部を有する環状の形状を有しており、
前記孔部に前記仕切板部を配置させるようにして、前記磁気コアが、前記底板部の上に搭載された状態で、前記コイルは、前記底板部を除き、前記磁気コア上に直接巻回されており、
前記コイルは、前記底板部ごと前記磁気コアに巻回されて
おり、
前記コイルは、端部として、第1端と第2端とを有しており、
前記固定部材は、前記インダクタの使用時に回路基板上に搭載されるベース部を更に備えており、
前記ベース部には、第1の端子孔と第2の端子孔が形成されており、
n及びmの夫々は3であり、
前記仕切板部は、第1から第3の仕切板部を有しており、
前記孔部は、前記第1から前記第3の仕切板部により第1区画、第2区画、第3区画に分割されており、
前記第1区画は、前記第1の仕切板部と前記第2の仕切板部とに面しており、
前記第2区画は、前記第2の仕切板部と前記第3の仕切板部とに面しており、
前記第3区画は、前記第3の仕切板部と前記第1の仕切板部とに面しており、
前記第2の仕切板部は、前記第1の仕切板部及び前記第3の仕切板部よりも低く、
前記ベース部は、前記第1から前記第3の仕切板部に対応して設けられており、
前記第1の端子孔は、前記第1の仕切板部に対応する前記ベース部に設けられており、
前記第2の端子孔は、前記第2の仕切板部に対応する前記ベース部に設けられており、
前記コイルの前記第1端は、第1の端子孔に挿入されており、
前記コイルは、前記第1区画、前記第2区画、前記第3区画の順に巻回されており、
前記コイルの前記第2端は、前記コイルが前記第3区画に巻回されたのち前記中心軸と前記第2の仕切板部の上を通って前記第2の端子孔に挿入されている
インダクタ。
【請求項2】
請求項1記載のインダクタであって、
前記磁気コアは、円環形状を有している
インダクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のインダクタであって、
mはnに等しく、
前記底板部は、前記上下方向と直交する水平面内において、互いに連結されて閉じた輪形状のコア台を形成している
インダクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のインダクタであって、
前記磁気コアは、内周面と外周面とを有しており、
前記底板部の夫々は前記上下方向と直交する水平面内において、前記内周面と前記外周面とに挟まれた領域内にのみ位置している
インダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタにおいては、種々の目的で、仕切りで仕切られた複数の区画に巻線を設けることがある。例えば、コモンモードチョークコイルにおいては、複数の巻線を互いに絶縁するために仕切りを用いることがある。また、例えば、ノーマルモードチョークコイルにおいては、周波数特性を制御するために仕切りを用いることがある。特許文献1は、このようなインダクタに使用可能な仕切りを有するコアケース構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ケースを用いたインダクタと比較して、安価で且つ優れた特性を有するインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1のインダクタとして、
固定部材と、磁気コアと、コイルとを備えるインダクタであって、
前記固定部材は、上下方向に延びる中心軸と、n個の仕切板部と、m個の底板部とを有しており、
nは2以上の整数であり、
mはn/2以上n以下の整数であり、
前記仕切板部の夫々は、前記上下方向と直交する方向へ前記中心軸から延びており、
前記仕切板部の夫々は、他の前記仕切板部と前記底板部のいずれかにより接続されており、
前記磁気コアは、絶縁コートされており、且つ、内部に孔部を有する環状の形状を有しており、
前記磁気コアは、前記孔部に前記仕切板部を配置させるようにして、前記底板部の上に搭載されており、
前記コイルは、前記底板部を除き、前記磁気コア上に直接巻回されている
インダクタを提供する。
【0006】
また本発明は、第2のインダクタとして、第1のインダクタであって、
前記磁気コアは、円環形状を有している
インダクタを提供する。
【0007】
また本発明は、第3のインダクタとして、第1又は第2のインダクタであって、
mはnに等しく、
前記底板部は、前記上下方向と直交する水平面内において、互いに連結されて閉じた輪形状のコア台を形成している
インダクタを提供する。
【0008】
また本発明は、第4のインダクタとして、第1から第3までのいずれかのインダクタであって、
前記磁気コアは、内周面と外周面とを有しており、
前記底板部の夫々は前記上下方向と直交する水平面内において、前記内周面と前記外周面とに挟まれた領域内にのみ位置している
インダクタを提供する。
【0009】
また本発明は、第5のインダクタとして、第1から第4までのいずれかのインダクタであって、
前記固定部材は、前記インダクタの使用時に回路基板上に搭載されるベース部を更に備えており、
前記ベース部には、少なくとも2つの端子孔が形成されており、
前記端子孔には、前記コイルの端部が夫々挿入されている
インダクタを提供する。
【0010】
また本発明は、第6のインダクタとして、第5のインダクタであって、
n及びmの夫々は3であり、
前記仕切板部は、第1から第3の仕切板部を有しており、
前記孔部は、前記第1から前記第3の仕切板部により第1区画、第2区画、第3区画に分割されており、
前記第1区画は、前記第1の仕切板部と前記第2の仕切板部とに面しており、
前記第2区画は、前記第2の仕切板部と前記第3の仕切板部とに面しており、
前記第3区画は、前記第3の仕切板部と前記第1の仕切板部とに面しており、
前記第2の仕切板部は、前記第1の仕切板部及び前記第3の仕切板部よりも低く、
前記ベース部は、前記第1から前記第3の仕切板部に対応して設けられており、
前記端子孔は、第1の端子孔と第2の端子孔とを有しており、
前記第1の端子孔は、前記第1の仕切板部に対応する前記ベース部に設けられており、
前記第2の端子孔は、前記第2の仕切板部に対応する前記ベース部に設けられており、
前記コイルは、前記端部として、第1端と第2端とを有しており、
前記コイルの前記第1端は、第1の端子孔に挿入されており、
前記コイルは、前記第1区画、前記第2区画、前記第3区画の順に巻回されており、
前記コイルの前記第2端は、前記コイルが前記第3区画に巻回されたのち前記中心軸と前記第2の仕切板部の上を通って前記第2の端子孔に挿入されている
インダクタを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固定部材は、底板部とそれにより接続された仕切板部とを有している。そのため、底板部上に磁気コアを搭載した状態で磁気コアにワイヤを巻回してコイルを形成すると、仕切板部と磁気コアとの位置関係が固定され、仕切板部により分割された区画のサイズのバラつきを抑えることができる。
【0012】
本発明のコイルは、底板部の部分を除き、絶縁コートされた磁気コア上に直接巻回されている。そのため、ケースを用いる場合と比較して、コイル用の領域を大きくとることができるため、巻数を増やすことができる。一方、巻数を一定とすると、ケースを用いた場合と比較して、ワイヤの全長を短くすることができることから、材料コストを抑えることができると共に、直流抵抗を低くして発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態によるインダクタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のインダクタに含まれる固定部材を示す斜視図である。
図1の固定部材とは斜視の方向が異なっている。
【
図4】
図1のインダクタに含まれる磁気コアを示す斜視図である。
【
図5】
図3の固定部材に磁気コアを搭載した中間体を示す上面図である。
【
図7】他の変形例による固定部材を示す上面図である。
【
図8】更に他の変形例による固定部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、本発明の実施の形態によるインダクタ1は、固定部材10と、磁気コア30と、コイル50とを備えている。本実施の形態のインダクタ1は、ノーマルモードチョークコイルである。但し、本発明はこれに限定されない。インダクタは、コモンモードチョークコイルその他のインダクタであってもよい。
【0015】
図2及び
図3に示されるように、固定部材10は、上下方向に延びる中心軸12と、n個の仕切板部14a,14b,14cと、m個の底板部18a,18b,18cとを有している。ここで、nは2以上の整数であり、mはn/2以上n以下の整数である。本実施の形態において、mはnに等しい。具体的には、本実施の形態のm及びnは、夫々、3である。即ち、本実施の形態による固定部材10は、第1の仕切板部14a、第2の仕切板部14b及び第3の仕切板部14cの3つの仕切板部と、3つの底板部18a,18b,18cとを有している。
【0016】
図3に示されるように、仕切板部14a,14b,14cの夫々は、中心軸12から上下方向と直交する方向へ延びている。即ち、仕切板部14a,14b,14cは、中心軸12から放射状に延びている。
図2に示されるように、本実施の形態において、第2の仕切板部14bは、第1の仕切板部14a及び第3の仕切板部14cよりも低い。
【0017】
図2及び
図3に示されるように、仕切板部14a,14b,14cの夫々は、底板部18a,18b,18cのいずれかにより、他の仕切板部14a,14b,14cと接続されている。具体的には、第1の仕切板部14aは、底板部18aにより、第2の仕切板部14bに接続されており、第2の仕切板部14bは、底板部18bにより、第3の仕切板部14cに接続されており、第3の仕切板部14cは、底板部18cにより、第1の仕切板部14aに接続されている。このように、仕切板部14a,14b,14c及び底板部18a,18b,18cは、互いに固定されている。
【0018】
前述したように、本実施の形態において、仕切板部14a,14b,14cの数nは、底板部18a,18b,18cの数mに等しい。そのため、
図3に示されるように、底板部18a,18b,18cは、上下方向と直交する水平面内において、互いに連結されて閉じた輪形状のコア台16を形成している。
【0019】
図1から
図3を参照すると、本実施の形態の固定部材10は、インダクタ1の使用時に回路基板上に搭載されるベース部20a,20b,20cを更に備えている。ベース部20a,20b,20cは、インダクタ1の回路基板上における姿勢を安定させるためのものである。またベース部20a,20b,20cは、後述するように、コイル50の端部を整列させて端部の位置を保証するためのものである。この目的のため、ベース部20aには第1の端子孔22aが形成されており、ベース部20bには第2の端子孔22bが形成されている。即ち、本実施の形態においては、ベース部に対して2つの端子孔が形成されている。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、ベース部には、少なくとも2つの端子孔が形成されていればよい。
【0020】
図3に示されるように、ベース部20a,20b,20cは、第1から第3の仕切板部14a,14b,14cに対応して設けられている。第1の端子孔22aは、第1の仕切板部14aに対応するベース部20aに設けられている。第2の端子孔22bは、第2の仕切板部14bに対応するベース部20bに設けられている。
【0021】
図4を参照して、磁気コア30は、絶縁コートされており、且つ、内部に孔部32を有する環状の形状を有している。特に、本実施の形態の磁気コア30は、円環形状を有している。磁気コア30は、上面34、底面36、内周面38及び外周面40を有している。
【0022】
図2、
図4及び
図5から理解されるように、磁気コア30は、孔部32に仕切板部14a,14b,14cを配置させるようにして、底板部18a,18b,18cの上に搭載されている。
図5に示されるように、本実施の形態による底板部18a,18b,18cの夫々は、上下方向と直交する水平面内において、内周面38と外周面40とに挟まれた領域内にのみ位置している。
【0023】
図5に示されるように、孔部32は、第1から第3の仕切板部14a,14b,14cにより第1区画32a、第2区画32b、第3区画32cの3つに分割されている。第1区画32aは、第1の仕切板部14aと第2の仕切板部14bとに面している。換言すると、第1区画32aは、第1の仕切板部14aと第2の仕切板部14bと内周面38により囲まれた領域である。第2区画32bは、第2の仕切板部14bと第3の仕切板部14cとに面している。換言すると、第2区画32bは、第2の仕切板部14bと第3の仕切板部14cと内周面38により囲まれた領域である。第3区画32cは、第3の仕切板部14cと第1の仕切板部14aとに面している。換言すると、第3区画32cは、第3の仕切板部14cと第1の仕切板部14aと内周面38により囲まれた領域である。
【0024】
図1から
図5より理解されるように、コイル50は、絶縁コートされた磁気コア30がコア台16(即ち、底板部18a,18b,18c)に搭載された状態で、底板部18a,18b,18cの部分を除き、その磁気コア30上に直接巻回されている。即ち、コイル50は、底板部18a,18b,18cごと磁気コア30に巻回されている。コイル50が底板部18a,18b,18c上に搭載された磁気コア30上に巻回されることにより、底板部18a,18b,18cと磁気コア30が一体化し、仕切板部14a,14b,14cと磁気コア30との位置関係が固定される。そのため、巻回途中で仕切板部14a,14b,14cが磁気コア30に対して相対的に移動してしまうことを抑制することができ、結果として、仕切板部14a,14b,14cにより分割された第1区画32a、第2区画32b及び第3区画32cのサイズのバラつきを抑えることができる。即ち、仕切板部14a,14b,14c及び底板部18a,18b,18cは、互いに固定されているため、コイル50を巻回する際の応力による固定部材の変形を防止でき、仕切板部14a,14b,14cにより分割された第1区画32a、第2区画32b及び第3区画32cのサイズのバラつきを抑えることができる。
【0025】
また、コイル50は、底板部18a,18b,18cの部分を除き、絶縁コートされた磁気コア30上に直接巻回されている。そのため、ケースを用いる場合と比較して、コイル50用の領域を大きくとることができるため、巻数を増やすことができる。一方、巻数を一定とすると、ケースを用いた場合と比較して、コイル50を形成するために要するワイヤの全長を短くすることができる。従って、材料コストを抑えることができると共に、直流抵抗を低くして発熱を抑えることができる。特に、前述したように、本実施の形態による底板部18a,18b,18cの夫々は、上下方向と直交する水平面内において、内周面38と外周面40とに挟まれた領域内にのみ位置している。従って、コイル50の巻線の長さが無駄に長くなることを避けることができる。
【0026】
図1に示されるように、コイル50は、端部として、第1端52と第2端54とを有している。コイル50の第1端52及び第2端54は、固定部材10の第1の端子孔22a及び第2の端子孔22bに夫々挿入されている。これにより、第1端52と第2端54との位置関係、即ち、端子ピッチを設計通りとすることができる。詳しくは、
図1及び
図5から理解されるように、コイル50の第1端52が第1の端子孔22aに挿入された後、コイル50は、第1区画32a、第2区画32b、第3区画32cの順に巻回されている。その後、
図1及び
図5から理解されるように、コイル50の第2端54は、コイル50が第3区画32cに巻回された後、中心軸12と第2の仕切板部14bの上を通って第2の端子孔22bに挿入されている。
【0027】
上述した実施の形態においては、仕切板部14a,14b,14cの数nは、底板部18a,18b,18cの数mに等しかったが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、
図6に示される固定部材10dは、3つの仕切板部14dと2つの底板部18dとを有している。仕切板部14dの夫々は、いずれかの底板部18dにより、他の仕切板部14dと接続されており、それによって、仕切板部14dと底板部18dとの位置関係は固定されている。従って、
図6の変形例でも、底板部18d上に
図4の磁気コア30を搭載してコイル50を磁気コア30に巻回すると、仕切板部14dにより規定された区画の大きさのバラつきを抑えることができる。
【0028】
また、上述した実施の形態においては、仕切板部14a,14b,14cの数nは3であったが、本発明はこれに限定されるわけではない。nは2であってもよいし、4以上であってもよい。例えば、
図7に示される固定部材10eは、6つの仕切板部14eと6つの底板部18eとを有している。仕切板部14eの夫々は、いずれかの底板部18eにより、他の仕切板部14eと接続されており、それによって、仕切板部14eと底板部18eとの位置関係は固定されている。特に、
図7の固定部材10eにおいては、6つの底板部18eは、上下方向と直交する水平面内において、互いに連結されて閉じた輪形状のコア台16eを形成している。この変形例の場合も、上述した
図1のインダクタ1と同様の効果を得ることができる。また、
図7の固定部材10eには、夫々の仕切板部14eに対応するベース部が設けられている。即ち、固定部材10eは、6つの仕切板部14eに対応する6つのベース部を有している。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、ベース部は、回路基板上において、インダクタの姿勢が安定できる程度で、且つ、コイルの端部位置を保証できる程度に設けられていればよい。
【0029】
更には、
図6及び
図7に示される変形例を組み合わせてもよい。例えば、
図8に示される固定部材10fは、6つの仕切板部14eと3つの底板部18eとを有している。この変形例においても、仕切板部14eの夫々は、いずれかの底板部18eにより、他の仕切板部14eと接続されており、それによって、仕切板部14eと底板部18eとの位置関係は固定されている。従って、この変形例の場合も、上述した
図1のインダクタ1と同様の効果を得ることができる。但し、
図8の固定部材10fのように、底板部の数mが仕切板部の数nよりも少なすぎると、コイルの巻回時に固定部材が変形し、仕切板部により分割された区画にバラつきが生じてしまう虞がある。このような問題を回避するため、固定部材は、すべての区画に対応するように底板部を備えているか、1つの区画を除いて他のすべての区画に対応するように底板部を備えていることが望ましい。固定部材がすべての区画に対応するように底板部を備えている場合、底板部の数mは仕切板部の数nに等しい。一方、固定部材が1つの区画を除いて他のすべての区画に対応するように底板部を備えている場合、底板部の数mは、仕切板部の数nより1だけ少ない数に等しい。以上より、区画のバラつきをできる限り抑えるためには、mはn-1以上であることが望ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 インダクタ
10,10d,10e,10f 固定部材
12 中心軸
14a,14b,14c,14d,14e 仕切板部
16,16e コア台
18a,18b,18c,18d,18e 底板部
20a,20b,20c ベース部
22a,22b 端子孔
30 磁気コア
32 孔部
32a 第1区画
32b 第2区画
32c 第3区画
34 上面
36 底面
38 内周面
40 外周面
50 コイル
52 第1端
54 第2端