(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】袋入り容器スタックの集積装置、および袋入り容器スタックの集積方法
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65B5/08
(21)【出願番号】P 2020077854
(22)【出願日】2020-04-25
【審査請求日】2022-11-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 英嗣
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-109080(JP,A)
【文献】米国特許第06397567(US,B1)
【文献】特開2017-088193(JP,A)
【文献】特開平05-124601(JP,A)
【文献】特開2003-136458(JP,A)
【文献】特開2006-187861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を積み重ねた容器スタックが包装材で内包された袋入り容器スタックを収容ボックス内に集積する袋入り容器スタック集積装置であって、
前記容器の外形に対応した
曲面を備えて前記袋入り容器スタックの側面が載置される載置面、を有する主載置板と、
前記載置面と対向するように配置されて、前記袋入り容器スタックのうち隣り合う容器のフランジ間に少なくとも一部が挿入されて前記主載置板と協働して前記袋入り容器スタックを挟持する把持押さえ部材と、
前記把持押さえ部材の先端部を、前記フランジ間に挿入された把持位置と、前記フランジ間から離間した解放位置との間で移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする袋入り容器スタック集積装置。
【請求項2】
前記把持押さえ部材は、前記主載置板に対して少なくとも一部が揺動する揺動片と、前記揺動片の先端部に設けられた引っ掛け凸部と、を含み、
前記移動機構は、前記揺動片の一部と回転可能に接続されて当該揺動片を揺動させる駆動シリンダと、を含み、
前記揺動片は、前記揺動片のうち前記先端部とは反対側の基端を支点に前記駆動シリンダに押圧されて揺動する、請求項1に記載の袋入り容器スタック集積装置。
【請求項3】
前記袋入り容器スタックが前記主載置板に載置された状態で前記隣り合うフランジの間に前記引っ掛け凸部が挿入されて、前記袋入り容器スタックが前記主載置板と前記把持押さえ部材により挟持される、請求項2に記載の袋入り容器スタック集積装置。
【請求項4】
前記主載置板の載置面のうち少なくとも前記把持押さえ部材と対向する領域には、前記袋入り容器スタックが載置されたとき前記フランジ間に位置付けられる1又は複数の滑り止めリブが形成されてなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の袋入り容器スタック集積装置。
【請求項5】
複数の容器を積み重ねた容器スタックが包装材で内包された袋入り容器スタックの側面を載置する主載置板と、前記主載置板と協働して前記袋入り容器スタックを押さえて挟持する把持押さえ部材と、を有する袋入り容器スタックの集積装置を用いて収容ボックス内に複数の袋入り容器スタックを集積する容器スタック集積方法であって、
未集積の袋入り容器スタックを、前記主載置板のうち前記容器の外形に対応した
曲面を備えた載置面に載置する載置工程と、
前記載置面に前記袋入り容器スタックが載置された状態で前記袋入り容器スタックの隣り合うフランジ間に前記把持押さえ部材の少なくとも一部を挿入し、前記袋入り容器スタックを前記主載置板と前記把持押さえ部材とで挟持する挟持工程と、
前記収容ボックスの内に前記袋入り容器スタックの少なくとも一部が挿入された状態で前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間して前記袋入り容器スタックを解放する解放工程と、
を有することを特徴とする袋入り容器スタック集積方法。
【請求項6】
前記解放工程では、前記載置面を前記袋入り容器スタックが滑落するように前記主載置板を鉛直方向に対して斜めに傾斜させた状態で、前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間する、請求項5に記載の袋入り容器スタック集積方法。
【請求項7】
前記載置工程の前に、前記容器スタックを包装材で内包する内包工程をさらに有し、
前記内包工程と前記載置工程の間に、前記袋入り容器スタックのうち端部に位置する容器の内側に前記包装材の一部を押し込むことで前記包装材のだぶつきを解消する、請求項5又は6に記載の袋入り容器スタック集積方法。
【請求項8】
前記解放工程では、
(a)前記主載置板と前記把持押さえ部材とで前記袋入り容器スタックを挟持した状態で、前記収容ボックスに既集積の袋入り容器スタックの間に上方から捩じり込んで仮挿入し、
(b)前記仮挿入の後で、前記把持押さえ部材が解放位置に移動する際に前記収容ボックスに干渉しないように前記主載置板と前記把持押さえ部材とで前記袋入り容器スタックを挟持した状態で所定量だけ引き上げ、
(c)前記所定量の引き上げの後で、前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間して前記袋入り容器スタックを解放する、
請求項5~7のいずれか一項に記載の袋入り容器スタックの集積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紙コップなどの容器を積み重ねて包装材で内包した袋入り容器スタックを集積する集積装置および集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば食品を収容するカップ容器や飲料を注出するコップ容器が知られている。これらの容器は、例えば紙や樹脂などで形成されており、上下に積み重ねた状態(これを「容器スタック」と称する)で搬送されることがある。
【0003】
例えば特許文献1や特許文献2においては、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-136458号公報
【文献】特開2006-187861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した容器スタックを目的の場所へ集積したり搬送したりする際には落下防止に留意する必要がある。従って例えば上記した特許文献では、位置規制部材73を設けて容器スタック収容空間における両端部を適時封鎖することで、容器スタックの搬送時などに容器スタックの落下を抑制している。
【0006】
一方で、例えば衛生管理上の制約や搬送効率を向上させる観点などから、容器スタックの集積/搬送時にビニールなどの包装材で容器スタックを包み込むことが行われている。かような袋入り容器スタックは包装材で覆われていることから従来の搬送装置をそのまま適用できず、人手による段ボールなどへの集積が行われており更なる効率化が希求されている。
【0007】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、容器を上下積み重ねて包装材で包み込んだ袋入り容器スタックを効率的に集積可能な袋入り容器スタックの集積装置および集積方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における袋入り容器スタック集積装置は、(1)複数の容器を積み重ねた容器スタックが包装材で内包された袋入り容器スタックを収容ボックス内に集積する袋入り容器スタック集積装置であって、前記容器の外形に対応した曲面を備えて前記袋入り容器スタックの側面が載置される載置面、を有する主載置板と、前記載置面と対向するように配置されて、前記袋入り容器スタックのうち隣り合う容器のフランジ間に少なくとも一部が挿入されて前記主載置板と協働して前記袋入り容器スタックを挟持する把持押さえ部材と、前記把持押さえ部材の先端部を、前記フランジ間に挿入された把持位置と、前記フランジ間から離間した解放位置との間で移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記(1)に記載の袋入り容器スタック集積装置においては、(2)前記把持押さえ部材は、前記主載置板に対して少なくとも一部が揺動する揺動片と、前記揺動片の先端部に設けられた引っ掛け凸部と、を含み、前記移動機構は、前記揺動片の一部と回転可能に接続されて当該揺動片を揺動させる駆動シリンダと、を含み、前記揺動片は、前記揺動片のうち前記先端部とは反対側の基端を支点に前記駆動シリンダに押圧されて揺動することが好ましい。
【0010】
また、上記(2)に記載の袋入り容器スタック集積装置においては、(3)前記袋入り容器スタックが前記主載置板に載置された状態で前記隣り合うフランジの間に前記引っ掛け凸部が挿入されて、前記袋入り容器スタックが前記主載置板と前記把持押さえ部材により挟持されることが好ましい。
【0011】
また、上記(1)~(3)のいずれかに記載の袋入り容器スタック集積装置においては、(4)前記主載置板の載置面のうち少なくとも前記把持押さえ部材と対向する領域には、前記袋入り容器スタックが載置されたとき前記フランジ間に位置付けられる1又は複数の滑り止めリブが形成されてなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一実施形態における容器スタック集積方法は、(5)複数の容器を積み重ねた容器スタックが包装材で内包された袋入り容器スタックの側面を載置する主載置板と、前記主載置板と協働して前記袋入り容器スタックを押さえて挟持する把持押さえ部材と、を有する袋入り容器スタックの集積装置を用いて収容ボックス内に複数の袋入り容器スタックを集積する容器スタック集積方法であって、未集積の袋入り容器スタックを、前記主載置板のうち前記容器の外形に対応した曲面を備えた載置面に載置する載置工程と、前記載置面に前記袋入り容器スタックが載置された状態で前記袋入り容器スタックの隣り合うフランジ間に前記把持押さえ部材の少なくとも一部を挿入し、前記袋入り容器スタックを前記主載置板と前記把持押さえ部材とで挟持する挟持工程と、前記収容ボックスの内に前記袋入り容器スタックの少なくとも一部が挿入された状態で前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間して前記袋入り容器スタックを解放する解放工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、上記(5)に記載の袋入り容器スタック集積方法においては、(6)前記解放工程では、前記載置面を前記袋入り容器スタックが滑落するように前記主載置板を鉛直方向に対して斜めに傾斜させた状態で、前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間することが好ましい。
【0014】
また、上記(5)又は(6)に記載の袋入り容器スタック集積方法においては、(7)前記載置工程の前に、前記容器スタックを包装材で内包する内包工程をさらに有し、前記内包工程と前記載置工程の間に、前記袋入り容器スタックのうち端部に位置する容器の内側に前記包装材の一部を押し込むことで前記包装材のだぶつきを解消することが好ましい。
【0015】
また、上記(5)~(7)のいずれかに記載の袋入り容器スタック集積方法においては、(8)前記解放工程では、(a)前記主載置板と前記把持押さえ部材とで前記袋入り容器スタックを挟持した状態で、前記収容ボックスに既集積の袋入り容器スタックの間に上方から捩じり込んで仮挿入し、(b)前記仮挿入の後で、前記把持押さえ部材が解放位置に移動する際に前記収容ボックスに干渉しないように前記主載置板と前記把持押さえ部材とで前記袋入り容器スタックを挟持した状態で所定量だけ引き上げ、(c)前記所定量の引き上げの後で、前記把持押さえ部材の先端部を前記フランジ間から離間して前記袋入り容器スタックを解放することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器を上下積み重ねて包装材で包み込んだ袋入り容器スタックを効率的に集積することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】袋入り容器スタック集積システムの模式図である。
【
図2】袋入り容器スタックを側面から見た側面図である。
【
図3】袋入り容器スタック集積装置における主載置板と把持押さえ部材の構成を上面から見た上面模式図である。
【
図4】
図3のうちα方向から主載置板と把持押さえ部材を見たα方向矢視図である。
【
図5】
図3のうちβ方向から主載置板と把持押さえ部材を見たβ方向矢視図である。
【
図6】袋入り容器スタック集積装置における主載置板と把持押さえ部材の構成を側面から見た側面模式図である。
【
図7】袋入り容器スタック集積装置で袋入り容器スタックを把持している把持状態と、当該把持を解放した解放状態と、を示す状態遷移図である。
【
図8】袋入り容器スタックを収容ボックスへ集積する実施形態の集積方法を示すフローチャートである。
【
図9】最後の袋入り容器スタックを収容ボックスへ集積するときの状態とその遷移を示す模式図である。
【
図10】変形例における主載置板と把持押さえ部材の構成を上面から見た上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の袋入り容器スタック集積装置100について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、他の公知の構成を適宜補完してもよい。また以下では説明の便宜上、鉛直方向をZ方向、収容ボックスSBxが袋入り容器スタック集積装置100の側方に搬送されてくる方向をX方向、およびこれらX方向とZ方向に直交する方向(袋入り容器スタック集積装置100と収容ボックスSBxが並ぶ方向)をY方向として便宜的に設定する。
【0019】
<集積システム>
図1に、本実施形態における袋入り容器スタックPCSの搬送システムを示す。同図に示すとおり本実施形態の集積システムは、袋入り容器スタックPCSを前工程(例えば容器スタックを包装材で包装する工程)から受領して収容ボックスSBx内に集積する袋入り容器スタック集積装置100と、容器スタックCSを包装材に包装する前工程装置200と、袋入り容器スタックPCSを収容するための収容ボックスSBxを供給するボックス供給装置300と、を含んで構成されている。
【0020】
ここで、「容器スタック」とは、例えば
図2などに示すとおり、複数の容器Cを上下方向に順次積み重ねて構成されたものを言う。より具体的には、本実施形態の容器スタックCSは、積み重ねる上側の容器Cの上端部(フランジCf)以外の胴部と底部のほぼ容器全体を下側の容器C内に順次収納する形で例えば数個~数十個だけ柱状に積み重ねた形態を有する。また、「袋入り容器スタック」とは、同図に示すように、上記した容器スタックの最下段の容器C
BMから最上段の容器C
TPまですべてが包装材PMで包装されたものを言う。なお包装材PMとしては、例えばポリ塩化ビニルなど公知の種々の軟包材を適用してもよい。
【0021】
なお容器Cの材質としては、特に制限はなく公知の材料が適用でき、例えば紙や樹脂あるいは紙に樹脂のコーティングを施したものなどが例示できる。容器Cの形状としても、同様に公知の形状を適用でき、食品用途に適した浅底のカップ形状や飲料用途に適したコップ形状など種々適用でき、開口の形状も円形や四角形などの任意の公知の形状を採用してもよい。またかような容器Cに収容する被収容物としては、例えば納豆やヨーグルトなどの食品や薬などの固形物の他に、例えば飲料などの液状物など公知の種々の物質が例示できる。
【0022】
<前工程装置200>
前工程装置200は、例えば上記した容器スタックCSを包装材PMで包装する機能を備えた公知の包装装置である。なお前工程装置200は、後述する袋入り容器スタック集積装置100へ袋入り容器スタックPCSを受け渡す前に、袋入り容器スタックPCSのうち端部に位置する容器C
Tp(
図2参照)の内側に包装材PMの一部を押し込む押込み機構を備えていることが好ましい。
【0023】
かような押込み機構は、例えば包装材PMで包装後の袋入り容器スタックPCSが載置台201(
図1参照)に載置された状態で、一方の端部に位置する容器C
Tpの内側へ挿入可能な挿入用棒体と、他方の端部に位置する容器C
BMの底面を押さえる底面支持体と、で構成してもよい。
【0024】
そして袋入り容器スタック集積装置100へ袋入り容器スタックPCSを受け渡す前に、上記した底面支持体で容器CBMの底面を押さえつつ、上記した挿入用棒体を容器CTpの内側へ向けて挿入することで包装材PMのだぶつきを解消することができる。
また、前工程装置200は、袋入り容器スタック集積装置100へ袋入り容器スタックPCSを受け渡す際に当該袋入り容器スタックPCSを固定する固定板202を有していてもよい。
【0025】
かような固定板202は載置台201から突出する固定位置と、載置台201の下へ収容される収容位置との間で移動可能に構成してもよい。そして上記した押込み機構の稼働中には固定板202が固定位置に配置されることで意図しない袋入り容器スタックPCSの落下や位置ズレが抑制できる。
【0026】
<ボックス供給装置300>
ボックス供給装置300は、袋入り容器スタックPCSを収容するための収容ボックスSBxを供給する機能を有している。収容ボックスSBxは、例えば容器スタックCSが搬入または搬出可能な開口面を有する直方体形状の箱である。一例として、本実施形態の収容ボックスSBxは、底面から直立した状態で袋入り容器スタックPCSを複数収容できる程度の公知の段ボール箱が例示できる。
【0027】
本実施形態におけるボックス供給装置300は、上記した収容ボックスSBxを搬送するコンベア機構301と、このコンベア機構301の搬送面を傾斜させる傾斜機構302と、を含んで構成してもよい。このうち、コンベア機構301は、搬送面が搬送方向(
図1ではX方向)に移動することで当該搬送面上の収容ボックスSBxを移送させる公知のベルトコンベアが例示できる。
【0028】
傾斜機構302は、上記したコンベア機構301の搬送面を所定の角度傾斜させる機能を有する。かような傾斜機構302としては、特に制限されず、例えばシリンダ機構や歯車機構など公知の駆動機構が例示できる。なお本実施形態の傾斜機構302は、袋入り容器スタック集積装置100側に開口面が向くように、収容ボックスSBxの開口面をX軸に対してk1°およびY軸に対してk2°だけそれぞれ傾斜させている。
【0029】
これにより、収容ボックスSBxの開口面は斜め上方を向いて傾斜することとなって、収容ボックスSBx内の下方に四隅の一つが位置することになる。したがって袋入り容器スタックPCSを収容ボックスSBx内の隅から順次集積することが可能となり、収容ボックスSBx内への集積を開始した早々にボックス内で意図せず傾倒してしまうことを抑制することが可能となっている。
【0030】
<袋入り容器スタック集積装置100>
次に
図3~
図7も参照しつつ、本実施形態における袋入り容器スタック集積装置100の詳細な構成について説明する。
【0031】
これらの図から理解されるとおり、本実施形態の袋入り容器スタック集積装置100は、複数の容器を積み重ねた容器スタックCSが包装材で内包された袋入り容器スタックPCSを集積する機能を有している。より具体的に袋入り容器スタック集積装置100は、主載置板10、把持押さえ部材20、連結部材30、ロボットアーム機構40、および制御装置50を含んで構成されている。
【0032】
主載置板10は、前記した袋入り容器スタックPCSの側面が載置される載置面11を有して構成されている。本実施形態における主載置板10の材質は、袋入り容器スタックPCSを安定して載置できるものであれば特に制限はなく、例えばアルミニウムや鋼材など公知の金属材料やPC(ポリカーボネート)など公知の樹脂材料が例示できる。
【0033】
載置面11は、
図4および
図5などからも明らかなとおり、袋入り容器スタックPCSにおける容器Cの外形に対応した曲面となるように半円状の形態を呈している。これにより袋入り容器スタックPCSが載置面11に載置した際に載置面11から転がり落ちることなどが抑制されている。
【0034】
把持押さえ部材20は、
図3~6などから理解されるとおり、前記した載置面11と対向するように配置されて、袋入り容器スタックPCSのうち隣り合う容器CのフランジCf間に少なくとも一部(本例では後述する引っ掛け凸部22)が挿入されて主載置板10と協働して袋入り容器スタックPCを挟持する機能を有している。より具体的に本実施形態の把持押さえ部材20は、主載置板10から立設された連結部材30を介して当該主載置板10と対向するように設けられている。
【0035】
より具体的に
図6を参照すると、本実施形態の把持押さえ部材20は、基端24が軸受け等を介して連結部材30に対して回転可能に取り付けられた揺動片21と、この揺動片21の先端部に設けられた引っ掛け凸部22と、この揺動片21の一部(接続部23a)と軸受け等を介して回転可能に接続されて当該揺動片21を揺動させる移動機構としての駆動シリンダ23と、を含んで構成されている。
【0036】
揺動片21は、前記した主載置板10に対して少なくとも一部(引っ掛け凸部22を含む先端側)が揺動する部材であって、例えば上記した金属材料や樹脂材料で構成された板状体である。なお本実施形態の揺動片21における基端24は、上述のとおり連結部材30に対して回転可能に取り付けられているが、この形態に限られず主載置板10に対して回転可能に取り付けられる構成であってもよい。換言すれば、本実施形態における揺動片21は、主載置板10又はこの主載置板10に連なる部材(例えば連結部材30など)に基端24が回転可能に取り付けられてなる。
引っ掛け凸部22は、この揺動片21のうち主載置板10と対向する面側で突出するように設けられた突片であり、本実施形態では揺動片21に一対だけ設けられている(
図4、
図5参照)。これにより、容器スタックCSが包装材PMに内包されている場合でも上記したフランジCf間に引っ掛け凸部22が容易に挿入されやすくなっている。
【0037】
駆動シリンダ23としては、例えばエア式あるいは油圧式など公知のシリンダ機構が適用可能である。この駆動シリンダ23は、
図6に示すように、作用点である先端部が上記した接続部23a(揺動片21のうち基端24と引っ掛け凸部22との間に配置)と接続されるとともに、設置端23bが主載置板10と回転可能に接続されている。
【0038】
図6に示すとおり、主載置板10は、袋入り容器スタックPCSの全長に対応するよう長手方向に延びるブレード状を呈しており、載置された袋入り容器スタックPCSの長さL1よりも長く且つ駆動シリンダ23が配置可能なように全長L0が設定されている。一方で揺動片21は、基端24を支点として回転したときに引っ掛け凸部22がフランジCf間に挿入可能な程度の長さが設定されている。
【0039】
上述した構成により、本実施形態の揺動片21は、基端24を回転支点として駆動シリンダ23に押圧されて揺動する。したがって
図7から理解されるとおり、本実施形態における上記した移動機構によって、把持押さえ部材20の先端部(引っ掛け凸部22)は、袋入り容器スタックPCS内における容器のフランジCf間に挿入された把持位置P1と、このフランジCf間から離間した解放位置P2との間で移動可能に構成されている。
【0040】
これにより、引っ掛け凸部22が把持位置P1となるとき、前記した袋入り容器スタックPCSが主載置板10に載置された状態で隣り合うフランジCfの間に引っ掛け凸部が挿入されて、袋入り容器スタックPCSが主載置板10と把持押さえ部材20により挟持される。一方で引っ掛け凸部22が解放位置P2となるとき、主載置板10に載置された袋入り容器スタックPCSは主載置板10と把持押さえ部材20による拘束から解放されて、例えば主載置板10が傾斜していれば容易に主載置板10上を滑落できる。
【0041】
図1に戻り、ロボットアーム機構40は、上記した連結部材30を介して主載置板10と把持押さえ部材20とを移動可能に構成されており、例えば六軸駆動制御が可能なハンドラーなど公知のロボットハンドが例示できる。かようなロボットアーム機構40は、後述する制御装置50の統括制御の下で、袋入り容器スタックPCSを把持あるいは解放したり、袋入り容器スタックPCSを収容ボックスSBx内に集積することが可能となっている。
【0042】
制御装置50は、それぞれ不図示の揮発/不揮発メモリや各種の演算機能を備えたCPUなどを具備した公知のコンピューターが例示できる。これにより、制御装置50は、例えば後述する袋入り容器スタック集積方法のプログラムを実行することで、例えば把持押さえ部材20を駆動制御して把持位置P1と解放位置P2との間で揺動させることが可能となっている。
【0043】
<袋入り容器スタック集積方法>
次に
図8及び
図9も参照しつつ本実施形態における袋入り容器スタックPCSの集積方法について説明する。
以下で説明する袋入り容器スタック集積方法は、例えば上記したメモリにプログラムとして保存されて制御装置50によって実行可能な、主載置板10と把持押さえ部材20とを有する袋入り容器スタック集積装置100を用いて収容ボックスSBxに複数の袋入り容器スタックPCSを集積する集積方法である。
なおこの袋入り容器スタック集積方法のプログラムは、上記メモリに格納される他、クラウドなどのネットワークを介してダウンロードされる形態であってもよい。
【0044】
すなわち
図8に示すステップ1では、まず上記した前工程装置200において、容器スタックCSを包装材PMで内包する処理が実行される(内包工程)。その後、ステップ2では、固定板202によって載置台201上で位置決めされた状態で、上記した押込み機構によって上記した底面支持体で容器C
BMの底面を押さえつつ、上記した挿入用棒体を容器C
Tの内側へ向けて押し込む処理が行われる(だぶつき解消工程)。すなわち前記した内包工程と後述する載置工程の間に、だぶつき解消工程が入ることで、包装後の包装材PMのだぶつきが解消される。
なおステップ2のだぶつき解消工程は、必須ではなく適宜これを省略してもよい。
【0045】
次いでステップ3では、まず袋入り容器スタック集積装置100のロボットアーム機構40を介して主載置板10が前工程装置200の載置面201側方まで位置付けられた後で、前工程装置200によって未集積の袋入り容器スタックPCSを主載置板10の載置面11に載置する(載置工程)。このとき光学センサなど公知の検出センサ(不図示)によって載置面11への袋入り容器スタックPCSの載置有無を検出し、載置が完了したらステップ4へ移行してもよい。なお、載置面11への袋入り容器スタックPCSの載置態様については特に制限はなく、例えば不図示の押し出し棒材などで載置面11から主載置板10側へ袋入り容器スタックPCSを押し出してもよい。
【0046】
続くステップ4では、上記した把持押さえ部材20を把持位置P1へ駆動させる(挟持工程)。より具体的には、本工程においては、前記した載置面11に袋入り容器スタックPCSが載置された状態で袋入り容器スタックPCSの隣り合うフランジCf間に把持押さえ部材20の少なくとも一部(引っ掛け凸部22)を挿入し、袋入り容器スタックPCSを主載置板10と把持押さえ部材20とで挟持する(
図7もあわせて参照されたい)。
【0047】
そしてその後、ステップ5では、袋入り容器スタックPCSを主載置板10と把持押さえ部材20とで挟持した状態で収容ボックスSBxに向けて搬送する。このとき、集積システムのレイアウト構成上で必要に応じ、ロボットアーム機構40を介して袋入り容器スタックPCSを上昇させたり、主載置板10を鉛直方向に対して斜めに傾斜させてもよい。
【0048】
続くステップ6では、搬送先に袋入り容器スタックPCSが到達したか否かが判定される。より具体的に、本実施形態では袋入り容器スタックPCSの搬送先として収容ボックスSBx内が設定されていることから、ロボットアーム機構40を介して収容ボックスSBx内の所定位置に位置付けられて袋入り容器スタックPCSを収容可能な状態となったかが判定される。
【0049】
このとき、上述したとおり本実施形態におけるボックス供給装置300のコンベア機構301における搬送面は傾斜機構302によって斜め上方を向いていることから、コンベア機構301の搬送面上にある収容ボックスSBxの開口面も斜め上方を向いている。したがって、制御装置50は、ロボットアーム機構40を介してこの開口面に倣って主載置板10を鉛直方向に対して斜めに傾斜させる制御を実行する。これにより、開口面が斜め上方を向いた収容ボックスSBx内の隅から袋入り容器スタックPCSを順次集積することが可能となっている。
【0050】
そしてステップ6において袋入り容器スタックPCSを主載置板10から滑落させて収容ボックスSBx内の隅から順次集積可能な状態となったとき、続くステップ7では袋入り容器スタックPCSを解放して収容ボックスSBx内に集積する(解放工程)。より具体的に本工程では、収容ボックスSBxの内に袋入り容器スタックPCSの少なくとも一部(挿入する側の端部の少なくとも一部)が挿入された状態で把持押さえ部材20の先端部(引っ掛け凸部22)をフランジCf間から離間して袋入り容器スタックPCSを解放する。
【0051】
このとき、前記した解放工程では、載置面11を袋入り容器スタックPCSが滑落するように主載置板10を鉛直方向に対して斜めに傾斜させた状態で、前記した把持押さえ部材20の先端部をフランジCf間から離間することが好ましい。これにより上記解放した後で袋入り容器スタックPCSが主載置板10から意図しない方向へ転落してしまうことが抑制できる。
【0052】
なお、上記した内包工程から解放工程を繰り返し経ることで、収容ボックスSBx内には複数の袋入り容器スタックPCSが徐々に集積されてくる。そして
図9(a)に示すように収容ボックスSBx内がほぼ満載となって残り1つの最終収容位置ASを残すのみとなったことを想定する。
なお以下では、収容ボックスSBx内における残り1つの最終収容位置ASに対して最終の袋入り容器スタックPCSを集積する例について説明するが、この形態に限られず収容ボックスSBx内における最後の1列全てにおいて適用が可能である。
同図からも理解されるとおり、収容ボックスSBx内に多数の袋入り容器スタックPCSが既に集積された状態では、袋入り容器スタックPCSが密集しており新たな袋入り容器スタックPCSが収容ボックスSBx内に入り難くなってくる。
【0053】
また本実施形態では容器スタックCSが包装材PMで内包されているため、隣接した包装材PM同士による干渉によって袋入り容器スタックPCSが収容ボックスSBx内に挿入されるときなどに抵抗が発生し得る。なお、本例では残り1つの最終収容位置ASに最後の袋入り容器スタックPCSを集積する場合を例にして説明するが、残り1つに限られず最終列を残す状態など残り数個の場合でも同様の状況であるといえる。
【0054】
そこで本実施形態の集積方法では、収容ボックスSBx内の空きスペースが少なくなった状況(典型的には最後や残り数個の場合)において袋入り容器スタックPCSを集積する際は次に示す手順を実行することが好ましい。
すなわち、前記した状況で袋入り容器スタックPCSを集積するときの解放工程においては、
図9(b)に示すように、まず(a)主載置板10と把持押さえ部材20とで袋入り容器スタックPCSを挟持した状態で、収容ボックスSBxにおいて既集積の袋入り容器スタックPCSの間に上方から捩じり込んで仮挿入する(仮挿入工程)。具体的に制御装置50は、ロボットアーム機構40を介して主載置板10と把持押さえ部材20を軸周りに回転させながら下降する制御を行うことで上記した仮挿入を実現できる。
【0055】
そして(b)上記した仮挿入の後で、把持押さえ部材20が解放位置に移動する際に収容ボックスSBx(例えばフラップ部位など)に干渉しないように主載置板10と把持押さえ部材20とで袋入り容器スタックを挟持した状態で所定量だけ引き上げる(引き上げ工程)。これにより、後述する解放時に把持押さえ部材20が干渉を受けずに解放位置P2へ移動することが可能となる。
【0056】
そして(c)前記した所定量の引き上げの後で、把持押さえ部材20の先端部(引っ掛け凸部22)を上記したフランジCf間から離間して袋入り容器スタックを解放する。これにより仮挿入工程で新たな袋入り容器スタックPCSの集積位置が確保された状態で、把持押さえ部材20が干渉を受けずに解放位置P2へ移動して袋入り容器スタックPCSが解放されることになる。その後は、解放された袋入り容器スタックPCSが主載置板10の載置面11上を滑落して残り1つの最終収容位置ASにスムーズに集積されることになる。
【0057】
以上説明した本実施形態の袋入り容器スタック集積装置および集積方法によれば、容器Cを上下積み重ねて包装材PMで包み込んだ袋入り容器スタックPCSを収容ボックスSBx内へ効率的に集積することが可能となっている。
なお、上記した実施形態は本発明の趣旨を具現化した一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えてもよい。さらには本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で公知の構造や手法を適宜追加して変形してもよい。
【0058】
以下、本実施形態に好適な変形例について
図10を用いて説明する。
上記した実施形態では主載置板10における載置面11は、袋入り容器スタックPCSが解放時にスムーズに滑落するため実質的に凸部の形成が抑制されて袋入り容器スタックPCSの側面に倣う形の曲面となっていた。
【0059】
これに対して本変形例では、袋入り容器スタックPCSが主載置板10と把持押さえ部材20とにより挟持されたときに意図せず袋入り容器スタックPCSが滑落しない滑り止め手段が載置面11に形成されていることを特徴とする。
【0060】
すなわち本変形例における主載置板10は、
図10に示すように、載置面11のうち少なくとも把持押さえ部材20と対向する領域に、袋入り容器スタックPCSが載置されたときフランジCf間に位置付けられる1又は複数の滑り止めリブ12が形成されている。
【0061】
なお図示では、把持押さえ部材20の引っ掛け凸部22と対向する領域に第1滑り止めリブ12aが形成されている。また、この第1滑り止めリブ12aの下側には、他のフランジCf間に対応する形で2つの第2滑り止めリブ12bと第3滑り止めリブ12cが形成されている。しかしながら本変形例では、滑り止めリブ12が複数形成される形態に限られず、単一の滑り止めリブ12が載置面11に形成される形態であってもよい。
【0062】
また、本変形例では第1滑り止めリブ12a~第3滑り止めリブ12cまで同じ形状のリブ構造となっているが、この形態に限られず、例えば第1滑り止めリブ12aが他の滑り止めリブに比して幅広状となっていたり載置面11からの高さが高くなっているなど、少なくとも一部が他と異なる形状となっていてもよい。
【0063】
また、第1滑り止めリブ12a~第3滑り止めリブ12cは同じピッチで載置面11に設けられている。しかしながら本発明は、この形態に限られず、例えばいずれか1つの滑り止めリブが他の滑り止めリブと離れて形成されるなど、複数の滑り止めリブが異なるピッチで載置面11上に設けられていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では袋入り容器スタックPCSのうちいずれか1つのフランジCf間に引っ掛け凸部22が形成されていた。しかしながら本発明は、この形態に限られず、例えば袋入り容器スタックPCSの軸方向に並ぶように複数の引っ掛け凸部22が揺動片21に形成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、直線的なブレード状の主載置板10の載置面11に袋入り容器スタックPCSが載置される形態であったが、この形状に限られず載置面11は把持押さえ部材20との挟持が阻害されない範囲において軸方向に沿って緩やかな曲面状を呈する形状となっていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、主載置板10の載置面11は、袋入り容器スタックPCSの側面に倣う形の曲面(
図4や5参照)となっていたが、この形態に限られず、載置される袋入り容器スタックPCSの周方向に関して平面状の載置面11となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、袋入り容器スタックを意図しない方向に滑落させずに効率的に収容ボックス内に集積可能な袋入り容器スタックの集積装置やシステムを実現するのに適している。
【符号の説明】
【0068】
100 袋入り容器スタック集積装置
10 主載置板
20 把持押さえ部材
30 連結部材
40 ロボットアーム機構
50 制御装置
200 前処理装置
201 載置面
202 固定板
300 ボックス供給装置
301 コンベア機構
302 傾斜機構