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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20240620BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240620BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 E
F24C3/12 K
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020134173
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030285
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安瀬 海渡
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-029710(JP,A)
【文献】特開2019-022127(JP,A)
【文献】米国特許第04775913(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0140370(KR,A)
【文献】韓国登録特許第1534514(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3219602(JP,U)
【文献】特開2018-040515(JP,A)
【文献】特開2007-227991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内に設置されている加熱装置であって、
加熱対象を加熱するための加熱部と、
前記加熱部が加熱している状況において、所定の加熱停止条件が満たされる場合に、前記加熱部の加熱を停止する停止制御部と、
前記所定領域内に前記加熱装置のユーザが存在するのか否かを判断する第1の判断部と、
前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を第1の条件から第2の条件に変更する第1の変更部であって、前記第2の条件は、前記第1の条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在すると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記第1の条件から前記第2の条件に変更されない、前記第1の変更部と、
を備え、
前記停止制御部は、前記加熱部が加熱している状況において、前記第2の条件が満たされ、かつ、前記加熱装置と同じローカルエリアネットワークに接続されている他の装置の利用が所定の時間に亘って検知されない場合に、前記加熱部の加熱を停止する、加熱装置。
【請求項2】
前記第1の判断部は、前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離に関する情報に基づいて、前記所定領域内に前記ユーザが存在するのか否かを判断する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱装置は、さらに、
前記ユーザが携帯する携帯端末との無線通信を実行するための通信インターフェースを備え、
前記第1の判断部は、前記通信インターフェースを介した前記無線通信の状態に基づいて、前記所定領域内に前記ユーザが存在するのか否かを判断する、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記第1の判断部は、前記携帯端末との前記無線通信を実行するための接続が切断される場合に、前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断する、請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱装置は、さらに、
前記通信インターフェースを介した前記無線通信の電波強度が所定の強度を下回るのか否かを判断する第2の判断部と、
前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回ると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を、デフォルトの条件から前記第1の条件に変更する第2の変更部であって、前記第1の条件は、前記デフォルトの条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回らないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更されない、前記第2の変更部と、
を備え、
前記第1の変更部は、前記所定の加熱停止条件が前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更された後に、前記接続が切断される場合に、前記所定の加熱停止条件を前記第1の条件から前記第2の条件に変更する、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記第1の条件は、前記加熱部の加熱が第1の時間に亘って継続している条件であり、
前記第2の条件は、前記加熱部の加熱が前記第1の時間よりも短い第2の時間に亘って継続している条件である、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記停止制御部は、前記加熱部が加熱している状況において、前記第2の条件が満たされ、かつ、前記加熱装置の利用が所定の時間に亘って検知されない場合に、前記加熱部の加熱を停止する、請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項8】
所定領域内に設置されている加熱装置であって、
加熱対象を加熱するための加熱部と、
ユーザが携帯する携帯端末との無線通信を実行するための通信インターフェースと、
前記加熱部が加熱している状況において、所定の加熱停止条件が満たされる場合に、前記加熱部の加熱を停止する停止制御部と、
前記通信インターフェースを介した前記無線通信の電波強度が所定の強度を下回るのか否かを判断する第2の判断部と、
前記通信インターフェースを介した前記無線通信の状態に基づいて、前記所定領域内に前記加熱装置の前記ユーザが存在するのか否かを判断する第1の判断部であって、前記携帯端末との前記無線通信を実行するための接続が切断される場合に、前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断する、前記第1の判断部と、
前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回ると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を、デフォルトの条件から第1の条件に変更する第2の変更部であって、前記第1の条件は、前記デフォルトの条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回らないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更されない、前記第2の変更部と、
前記所定の加熱停止条件が前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更された後に前記接続が切断されることに起因して、前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を前記第1の条件から第2の条件に変更する第1の変更部であって、前記第2の条件は、前記第1の条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在すると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記第1の条件から前記第2の条件に変更されない、前記第1の変更部と、
を備える、加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱対象を加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スマートフォンと通信可能な加熱調理コンロが開示されている。加熱調理コンロは、スマートフォンと加熱調理コンロとの間の通信距離が所定の閾値を超える場合に、加熱調理コンロを自動で消火する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-223401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、スマートフォンを携帯するユーザが加熱調理コンロから少しでも離れると、加熱調理コンロが自動で消火される。長時間加熱する調理(例えば煮込み調理等)において、ユーザは、加熱調理コンロから離れる場合がある。このような場合に、通信距離が所定の閾値を超えたと判断されると、ユーザの意図に反して、加熱調理コンロが自動で消火される可能性がある。
【0005】
また、自動消火の機能を停止することも想定されるが、自動消火の機能を停止すると、ユーザが加熱調理コンロから離れ続ける状況でも、加熱対象が加熱され続け、加熱調理コンロの安全性が損なわれる可能性がある。
【0006】
本明細書は、加熱装置の安全性が損なわれることを抑制しつつ、ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止されることを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、所定領域内に設置されている加熱装置を開示する。当該加熱装置は、加熱対象を加熱するための加熱部と、前記加熱部が加熱している状況において、所定の加熱停止条件が満たされる場合に、前記加熱部の加熱を停止する停止制御部と、前記所定領域内に前記加熱装置のユーザが存在するのか否かを判断する第1の判断部と、前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を第1の条件から第2の条件に変更する第1の変更部であって、前記第2の条件は、前記第1の条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第1の判断部が前記所定領域内に前記ユーザが存在すると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記第1の条件から前記第2の条件に変更されない、前記第1の変更部と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、所定領域内にユーザが存在する場合には、所定の加熱停止条件が第1の条件に維持され、加熱装置の安全性が損なわれることが抑制される。また、所定領域内にユーザが存在しない場合には、所定の加熱停止条件が、第1の条件から安全な第2の条件に変更される。所定領域内にユーザが存在しない場合でも、より安全な第2の条件である所定の加熱停止条件が満たされる場合に、加熱部の加熱が停止されるので、加熱装置の安全性が損なわれることを抑制することができる。さらに、所定領域内にユーザが存在しない場合でも、第2の条件である所定の加熱停止条件が満たされるまでは、加熱部の加熱が停止されずに継続しているため、ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止されることを抑制することができる。
【0009】
例えば、上記の「加熱装置」は、調理対象を加熱する加熱調理器、暖房機等である。加熱料理器は、例えば、ガス燃焼式のコンロ、IH式のコンロ、電気オーブン等である。暖房器は、例えば、ガスファンヒータ等である。例えば、「加熱装置」が、ガス燃焼式のコンロである場合には、「加熱部が加熱している」こと、「加熱部の加熱を停止する」ことは、それぞれ、コンロバーナが燃焼していること、コンロバーナを消火することである。また、例えば、「加熱装置」が、IH式のコンロである場合には、「加熱部が加熱している」こと、「加熱部の加熱を停止する」ことは、それぞれ、加熱コイルに電流を供給していること、加熱コイルへの電流の供給を停止することである。また、例えば、上記の「第1の判断部」は、前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離に関する情報に基づいて、前記所定領域内に前記加熱装置のユーザが存在するのか否かを判断してもよい。また、他の変形例では、「第1の判断部」は、前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離とは異なる情報(例えば、前記所定領域を含む宅内に供給される資源(例えば、電気、水、ガス等)の量を計測するスマートメータの計測値)を利用して、前記所定領域内に前記加熱装置のユーザが存在するのか否かを判断してもよい。
【0010】
前記加熱装置は、さらに、前記ユーザが携帯する携帯端末との無線通信を実行するための通信インターフェースを備え、前記第1の判断部は、前記通信インターフェースを介した前記無線通信の状態に基づいて、前記所定領域内に前記ユーザが存在するのか否かを判断してもよい。
【0011】
例えば、所定領域内に人感センサ(例えば、赤外線センサ、カメラ)を設置して、当該人感センサからの情報を利用して、所定領域内にユーザが存在するのか否かを判断する比較例が想定される。この比較例では、人感センサを所定領域内に設置する必要がある。また、近年では、ユーザが携帯する携帯端末との無線通信を実行するための通信インターフェースを備える加熱装置が登場している。上記の構成によれば、人感センサを所定領域内に設置することなく、既存の通信インターフェースを介した無線通信の状態に基づいて、所定領域内にユーザが存在するのか否かを判断することができる。
【0012】
前記第1の判断部は、前記携帯端末との前記無線通信を実行するための接続が切断される場合に、前記所定領域内に前記ユーザが存在しないと判断してもよい。
【0013】
携帯端末との無線通信を実行するための接続が切断されたことは、ユーザが加熱装置から遠くに離れたことを意味する。この場合、ユーザは、所定領域内に存在しない可能性が高い。上記の構成によれば、接続が切断されたことを利用して、ユーザが所定領域内に存在しないことを適切に判断することができる。
【0014】
一態様では、前記加熱装置は、さらに、前記通信インターフェースを介した前記無線通信の電波強度が所定の強度を下回るのか否かを判断する第2の判断部と、前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回ると判断する場合に、前記所定の加熱停止条件を、デフォルトの条件から前記第1の条件に変更する第2の変更部であって、前記第1の条件は、前記デフォルトの条件よりも安全に前記加熱部の加熱を停止するための条件であり、前記第2の判断部が、前記電波強度が前記所定の強度を下回らないと判断する場合に、前記所定の加熱停止条件は前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更されない、前記第2の変更部と、を備え、前記第1の変更部は、前記所定の加熱停止条件が前記デフォルトの条件から前記第1の条件に変更された後に、前記接続が切断される場合に、前記所定の加熱停止条件を前記第1の条件から前記第2の条件に変更する
【0015】
携帯端末との無線通信を実行するための接続が維持されているものの、電波強度が所定の強度を下回る場合には、ユーザは、所定領域内に存在するものの、加熱装置の近くに存在しない可能性があることを意味する。上記の構成によれば、デフォルトの条件よりも安全な第1の条件に変更することによって、ユーザが所定領域内に存在するものの、加熱装置の近くに存在しない可能性がある場合において、加熱装置の安全性が損なわれることを抑制することができる。
【0016】
前記第1の条件は、前記加熱部の加熱が第1の時間に亘って継続している条件であり、前記第2の条件は、前記加熱部の加熱が前記第1の時間よりも短い第2の時間に亘って継続している条件である。
【0017】
このような構成によれば、停止制御部は、所定領域内にユーザが存在する場合において、第1の時間に亘って、加熱部の加熱が継続しているときに、加熱部の加熱を停止する。そして、第1の変更部は、所定領域内にユーザが存在しない場合に、加熱部の加熱を停止するための時間を第1の時間より短い第2の時間に変更する。加熱部の加熱を停止するための時間を短くすることによって、所定領域内にユーザが存在しない場合でも、安全に加熱部の加熱を停止することができる。
【0018】
前記停止制御部は、前記加熱部が加熱している状況において、前記第2の条件が満たされ、かつ、前記加熱装置の利用が所定の時間に亘って検知されない場合に、前記加熱部の加熱を停止してもよい。
【0019】
例えば、第2の条件が満たされる場合において、所定時間内に加熱装置の利用が検知される場合でも、加熱部の加熱を停止する比較例が想定される。この比較例では、加熱装置のユーザが所定領域内に存在しない場合において、当該ユーザとは異なる第三者によって加熱装置が利用されるときでも、第2の条件が満たされる場合に加熱部の加熱が停止される。例えば、加熱装置のユーザが、加熱装置の監視を第三者に依頼している状況では、第三者は、加熱装置を利用する可能性がある。当該第三者が存在するにも関わらず、ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止される可能性がある。上記の構成によれば、第2の条件が満たされ、かつ、所定時間に亘って、加熱装置の利用が検知されない場合、即ち、加熱装置のユーザが所定領域内に存在しない場合において、第三者の存在が推認されないときに、加熱部の加熱が停止される。ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止されることを抑制することができる。
【0020】
他の態様では、前記停止制御部は、前記加熱部が加熱している状況において、前記第2の条件が満たされ、かつ、前記加熱装置と同じローカルエリアネットワークに接続されている他の装置の利用が所定の時間に亘って検知されない場合に、前記加熱部の加熱を停止する
【0021】
例えば、第2の条件が満たされる場合において、所定時間内に他の装置の利用が検知される場合でも、加熱部の加熱を停止する比較例が想定される。この比較例では、加熱装置のユーザが所定領域内に存在しない場合において、当該ユーザとは異なる第三者によって他の装置が利用されるときでも、第2の条件が満たされる場合に加熱部の加熱が停止される。例えば、加熱装置のユーザが、加熱装置の監視を第三者に依頼している状況では、第三者は、他の装置を利用する可能性がある。当該第三者が存在するにも関わらず、ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止される可能性がある。上記の構成によれば、第2の条件が満たされ、かつ、所定時間に亘って、他の装置の利用が検知されない場合、即ち、加熱装置のユーザが所定領域内に存在しない場合において、第三者の存在が推認されないときに、加熱部の加熱が停止される。ユーザの意図に反して加熱部の加熱が停止されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1及び第2実施例に係る通信システムのブロック図である。
図2】第1実施例に係る加熱調理器の処理を示すフローチャートである。
図3図2の処理によって実現される具体的なケースを示すシーケンス図である。
図4】第2実施例に係る加熱調理器の処理を示すフローチャートである。
図5図4の処理によって実現される具体的なケースを示すシーケンス図である。
図6】第3実施例に係る通信システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;図1
図面を参照して、第1実施例に係る通信システム2について説明する。通信システム2は、加熱調理器10及び携帯端末100を備える。加熱調理器10は、宅内の所定領域(例えば台所)に設置されている。携帯端末100は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末である。携帯端末100は、加熱調理器10のユーザが携帯する端末である。
【0024】
(加熱調理器10の構成;図1
加熱調理器10は、ガス燃焼式のコンロである。加熱調理器10は、コンロバーナ12と、コンロ操作部14と、Bluetooth(登録商標)インターフェース20と、制御部30と、を備える。なお、以下では、Bluetoothのことを「BT」と記載し、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0025】
コンロバーナ12は、調理対象(例えば、調理容器)を加熱するためのバーナである。コンロバーナ12には、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ12へのガスの供給量を調整するためのコンロ調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ12は、コンロバーナ12にガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることで、点火する(即ち調理対象の加熱を開始する)。例えば、加熱調理器10は3個のコンロバーナ12を有する。
【0026】
コンロ操作部14は、ユーザがコンロバーナ12の点火、消火及び加熱量の調整を行うための操作部である。BTI/F20は、BT方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。
【0027】
制御部30は、CPU32と、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、加熱調理器10の各部(例えば12~20)の動作を制御する。
【0028】
メモリ34は、さらに、自動消火時間50を記憶する。自動消火時間50は、コンロバーナ12を自動消火するための時間である。自動消火時間50は、例えば、デフォルトで「2時間」である。制御部30は、コンロ操作部14においてコンロバーナ12を点火するための点火操作を受けると、自動消火時間50のカウントダウンを開始する。そして、制御部30は、コンロバーナ12の燃焼(即ち加熱)が自動消火時間50に亘って継続している(即ち、コンロバーナ12が消火されることなく自動消火時間50のカウントダウンが終了する)場合に、コンロ調整弁を閉じて、コンロバーナ12を消火する(即ちコンロバーナ12の加熱を停止する)。これにより、コンロバーナ12の消し忘れが発生する場合でも、コンロバーナ12を自動消火して、加熱調理器10の安全性を確保することができる。なお、制御部30は、自動消火時間50のカウントダウンを開始した後に、コンロ操作部14において加熱量を調整するための調整操作を受ける場合に、自動消火時間50のカウントダウンを途中で停止し、自動消火時間50のカウントダウンを最初から開始する(即ち、自動消火時間50のカウントダウンをリセットする)。
【0029】
また、制御部30は、BTI/F20を介した無線通信(以下では「BT通信」と記載)を実行するための無線接続を携帯端末100と確立して、携帯端末100との無線通信を実行する。例えば、制御部30は、BT通信を利用して、加熱調理器10に関する情報(例えば、火力、調理時間)を携帯端末100に送信する。これにより、加熱調理器10に関する情報が携帯端末100に表示される。また、制御部30は、BT通信を利用して、携帯端末100から加熱調理器10を遠隔制御するための命令(例えば、加熱量の調整、タイマ設定)を受信する。そして、制御部30は、当該命令に従った処理を実行する。また、制御部30は、携帯端末100から自動調理のための情報(例えば、火力、調理時間)を受信する。そして、制御部30は、当該情報に従った自動調理を実行する。また、携帯端末100は、プログラム40に従って、後述する図2の処理を実行する。
【0030】
(加熱調理器10の処理;図2
図2を参照して、加熱調理器10の制御部30がプログラム40に従って実行する処理について説明する。図2の処理は、BT通信を実行するための無線接続が携帯端末100と確立されることをトリガとして開始される。
【0031】
S10では、制御部30は、携帯端末100から無線接続を切断する切断命令を受信することなく、無線接続が切断されることを監視する。切断命令の受信無しに無線接続が切断されることは、携帯端末100がBTI/F20の通信可能範囲外に移動したことに起因して無線接続が切断されたことを意味する。制御部30は、切断命令の受信無しに無線接続が切断されたと判断する場合(S10でYES)に、S12に進む。なお、図示は省略するが、制御部30は、携帯端末100から切断命令を受信する場合に、無線接続を切断して、図2の処理を終了する。
【0032】
S12では、制御部30は、コンロバーナ12が点火中である(即ちコンロバーナ12の燃焼が継続している)のか否かを判断する。制御部30は、コンロバーナ12が点火中でないと判断する場合(S12でNO)に、図2の処理を終了し、コンロバーナ12が点火中であると判断する場合(S12でYES)に、S14に進む。
【0033】
S14では、制御部30は、自動消火時間50をデフォルトの時間(例えば2時間)から、デフォルトの時間よりも短い短縮時間(例えば30分)に変更する。なお、自動消火時間50が短縮時間に変更されたタイミングにおいて、自動消火時間50のカウントダウンが短縮時間を既に過ぎている場合には、制御部30は、自動消火時間50のカウントダウンを終了して、コンロバーナ12を直ぐに消火する。
【0034】
S16では、制御部30は、自動消火時間50のカウントダウンの終了に従って自動消火が実行されること、又は、コンロ操作部14においてコンロバーナ12を消火する消火操作が実行されること(即ち手動消火)に起因して、コンロバーナ12が消火されるのか否かを判断する。制御部30は、コンロバーナ12が消火されたと判断する場合(S16でYES)に、S18に進む。
【0035】
S18では、制御部30は、自動消火時間50を短縮時間からデフォルトの時間に戻す。S18が終了すると、図2の処理が終了する。
【0036】
また、制御部30は、コンロバーナ12が消火されていないと判断する場合(S16でNO)に、S20において、携帯端末100との無線接続が再び確立されるのか否かを判断する。制御部30は、携帯端末100との無線接続が再び確立されていないと判断する場合(S20でNO)に、S16の判断に戻る。一方、制御部30は、携帯端末100との無線接続が再び確立されたと判断する場合(S20でYES)に、S22に進む。S22は、S18と同様である。制御部30は、S22が終了すると、S10の監視に戻る。
【0037】
(具体的なケース;図3
図3を参照して、図2の処理によって実現される具体的なケースについて説明する。なお、以下では、特に言及しない限り、制御部30が実行する処理について、理解の容易さの観点から、制御部30を主体として記載せずに、加熱調理器10を主体として記載する。
【0038】
携帯端末100は、T10において、ユーザから無線接続の接続指示を受けると、T12において、加熱調理器10との無線接続を確立する。なお、変形例では、携帯端末100は、携帯端末100が加熱調理器10のBTI/F20の通信可能範囲外から通信可能範囲内に移動する場合に、加熱調理器10との無線接続を自動的に確立してもよい。
【0039】
加熱調理器10は、T12において、携帯端末100との無線接続を確立すると、図2の処理を開始する。
【0040】
T14では、加熱調理器10は、コンロ操作部14において点火操作を受ける。これにより、コンロバーナ12が点火される。また、加熱調理器10は、デフォルトの時間「2時間」である自動消火時間50のカウントダウンを開始する。
【0041】
(ケースA1)
ケースA1は、携帯端末100との無線接続が継続しているケースである。このケースでは、図2のS10以降の処理が実行されず、自動消火時間50は、デフォルトの時間「2時間」である。本ケースでは、加熱調理器10は、T20において、コンロバーナ12が燃焼している状況において、デフォルトの時間「2時間」のカウントダウンが終了し、かつ、コンロ操作部14の調整操作がデフォルトの時間「2時間」に亘って検知されないと判断する。このため、加熱調理器10は、T26において、自動消火時間50のカウントダウンの終了に従って自動消火を実行する。無線接続が継続していることは、携帯端末100がBTI/F20の通信可能範囲内に位置すること、即ち、携帯端末100のユーザ(即ち加熱調理器10のユーザ)が、所定領域3内に存在する可能性が高いことを意味する。本ケースによれば、ユーザが所定領域3内に存在する場合であっても、コンロバーナ12の燃焼が長時間継続している場合に、自動消火を実行して、加熱調理器10の安全性を確保することができる。
【0042】
(ケースA2)
ケースA2は、携帯端末100との無線接続が、切断命令の受信無しに切断されるケースである。T30では、加熱調理器10は、切断命令の受信無しに無線接続が切断されたと判断する(図2のS10でYES)。T32では、加熱調理器10は、コンロバーナ12が点火中であると判断する(S12でYES)。T34では、加熱調理器10は、自動消火時間50をデフォルトの時間「2時間」から短縮時間「30分」に変更する(S14)。
【0043】
T36では、加熱調理器10は、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了し、かつ、コンロ操作部14の調整操作が短縮時間「30分」に亘って検知されないと判断する。T38では、加熱調理器10は、自動消火時間50のカウントダウンの終了に従って自動消火を実行する(S16でYES)。T40では、加熱調理器10は、自動消火時間50を短縮時間「30分」からデフォルトの時間「2時間」に戻す(S18)。
【0044】
切断命令の受信無しに無線接続が切断されることは、携帯端末100がBTI/F20の通信可能範囲外に存在すること、即ち、携帯端末100のユーザ(即ち加熱調理器10のユーザ)が、加熱調理器10から遠くに離れたことを意味する。この場合、ユーザは、所定領域3内に存在しない可能性が高い。本ケースによれば、加熱調理器10は、ユーザが所定領域3内に存在しない場合に、自動消火時間50をデフォルトの時間「2時間」から短縮時間「30分」に変更する(図3のT34)。コンロバーナ12を自動消火する時間を短くすることによって、所定領域3内にユーザが存在しない場合でも、安全にコンロバーナ12を消火することができる。
【0045】
また、例えば、切断命令の受信無しに無線接続が切断される場合に、コンロバーナ12を直ぐに自動消火する比較例が想定される。この比較例では、ユーザが所定領域3外へ少しでも移動すると、コンロバーナ12が自動で消火される。長時間加熱する調理(例えば煮込み調理等)において、ユーザは、加熱調理器10から離れる場合がある。このような場合に、直ぐに自動消火されると、ユーザの意図に反して、加熱調理器10が自動で消火される可能性がある。
【0046】
また、自動消火の機能を停止することも想定されるが、自動消火の機能を停止すると、ユーザが加熱調理器10から離れ続ける状況でも、加熱対象が加熱され続け、加熱調理器10の安全性が損なわれる可能性がある。
【0047】
ケースA2によれば、所定領域3内にユーザが存在しない場合でも、より安全な短縮時間「30分」のカウントダウンが終了する場合に、コンロバーナ12が消火されるので、加熱調理器10の安全性が損なわれることを抑制することができる。さらに、所定領域3内にユーザが存在しない場合でも、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了するまでは、コンロバーナ12が消火されずに燃焼しているため、ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火されることを抑制することができる。
【0048】
また、例えば、短縮時間「30分」のカウントダウンの途中においてコンロ操作部14が操作される場合でも、カウントダウンをリセットせずにコンロバーナ12を自動消火する比較例が想定される。この比較例では、ユーザが所定領域3内に存在しない場合において、当該ユーザとは異なる第三者によってコンロ操作部14が操作されるときでも、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了する場合にコンロバーナ12が消火される。例えば、ユーザが、加熱調理器10の監視を第三者に依頼している状況では、第三者がコンロ操作部14を操作する可能性がある。当該第三者が存在するにも関わらず、ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火される可能性がある。上記の構成によれば、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了し、かつ、コンロ操作部14の操作が短縮時間「30分」に亘って検知されない場合、即ち、ユーザが所定領域3内に存在しない場合において、第三者の存在が推認されないときに、コンロバーナ12が消火される。ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火されることを抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0049】
(対応関係)
所定領域3、加熱調理器10、携帯端末100が、それぞれ、「所定領域」、「加熱装置」、「携帯端末」の一例である。コンロバーナ12、BTI/F20が、それぞれ、「加熱部」、「通信インターフェース」の一例である。自動消火時間50に従った自動消火を実行する制御部30、図3のS10の判断を実行する制御部30が、それぞれ、「停止制御部」、「第1の判断部」の一例である。切断命令の受信無しに無線接続が切断されることに関する情報が、「前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離に関する情報」の一例である。自動消火時間50のカウントダウンが終了することが、「所定の加熱停止条件」が満たされることの一例である。デフォルトの時間、自動消火時間50がデフォルトの時間である条件が、それぞれ、「第1の時間」、「第1の条件」の一例である。短縮時間、自動消火時間50が短縮時間である条件が、それぞれ、「第2の時間」、「第2の条件」の一例である。コンロ操作部14において調整操作を受けることが、「加熱装置の利用」の一例である。
【0050】
(第2実施例)
第2実施例は、加熱調理器10の処理の内容が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
【0051】
(加熱調理器10の処理;図4
図4を参照して、本実施例の加熱調理器10の処理について説明する。図4の処理も、第1実施例の図2の処理と同様に、BT通信を実行するための無線接続が携帯端末100と確立されることをトリガとして開始される。
【0052】
S100では、制御部30は、携帯端末100とのBT通信の電波強度が強度「弱」であるのか否かを監視する。例えば、電波強度は、RSSI(Received Signal Strength Indicatorの略)を利用して計測される。本実施例では、電波強度は、強度「弱」、「中」、「強」の3段階に分類される。制御部30は、電波強度が強度「弱」に対応する数値範囲の上限値を下回ると、制御部30は、電波強度が強度「弱」であると判断し(S100でYES)、S102に進む。なお、電波強度は、3段階に限らず、例えば、2段階でもよいし、5段階でもよい。また、他の変形例では、制御部30は、BT通信の電波強度が所定の値を下回るのか否かを判断してもよい。
【0053】
S102は、図2のS12と同様である。制御部30は、コンロバーナ12が点火中であると判断する場合(S102でYES)に、S104に進む。
【0054】
S104では、制御部30は、自動消火時間50をデフォルトの時間(例えば2時間)から、デフォルトの時間よりも短い第1の短縮時間(例えば1時間)に変更する。
【0055】
続くS106では、制御部30は、携帯端末100とのBT通信の電波強度が強度「強」であるのか否かを判断する。制御部30は、電波強度が強度「強」に対応する数値範囲の下限値を上回ると、制御部30は、電波強度が強度「強」であると判断し(S106でYES)、S108に進む。
【0056】
S108では、制御部30は、自動消火時間50を第1の短縮時間からデフォルトの時間に戻す。制御部30は、S108が終了すると、S100の監視に戻る。
【0057】
また、制御部30は、電波強度が強度「中」又は「弱」であると判断すると(S106でNO)、S110において、切断命令の受信無しに無線接続が切断されるのか否かを判断する。制御部30は、切断命令の受信無しに無線接続が切断されたと判断する場合(S110でYES)に、S114に進む。
【0058】
S114では、制御部30は、自動消火時間50を第1の短縮時間(例えば1時間)から、第1の短縮時間よりも短い第2の短縮時間(例えば30分)に変更する。続くS116では、制御部30は、コンロバーナ12の自動消火又は手動消火を監視する。制御部30は、コンロバーナ12が消火されたと判断する場合(S116でYES)に、S118に進む。S118は、図2のS18と同様である。S118が終了すると、図4の処理が終了する。なお、変形例では、制御部30は、コンロバーナ12が消火されていないと判断する場合(S116でNO)に、図2のS20、S22と同様の処理を実行してもよい。
【0059】
また、制御部30は、無線接続が継続している場合(S110でNO)に、S126に進む。S126では、制御部30は、コンロバーナ12の自動消火又は手動消火を判断する。制御部30は、コンロバーナ12が消火されたと判断する場合(S126でYES)に、S128に進む。S128では、制御部30は、自動消火時間50を第2の短縮時間からデフォルトの時間に戻す。S128が終了すると、図4の処理が終了する。
【0060】
また、制御部30は、コンロバーナ12が消火されていないと判断する場合(S126でNO)に、S106の判断に戻る。
【0061】
(具体的なケース;図5
図5を参照して、図4の処理によって実現される具体的なケースについて説明する。T110~T114は、図3のT10~T14と同様である。
【0062】
(ケースB1)
ケースB1は、携帯端末100とのBT通信の電波強度が強度「弱」であると判断されるケースである。T130では、加熱調理器10は、携帯端末100とのBT通信の電波強度が強度「弱」であると判断する(図4のS100でYES)。T132では、加熱調理器10は、コンロバーナ12が点火中であると判断する(S102でYES)。T134では、加熱調理器10は、自動消火時間50をデフォルトの時間「2時間」から第1の短縮時間「1時間」に変更する(S104)。
【0063】
本ケースでは、携帯端末100とのBT通信の電波強度は「弱」に維持され、携帯端末100との無線接続は切断されない(図4のS106でNO、S110でNO)。このため、T136では、加熱調理器10は、第1の短縮時間「1時間」のカウントダウンが終了し、かつ、コンロ操作部14の操作が第1の短縮時間「1時間」に亘って検知されないと判断する。T138では、加熱調理器10は、自動消火時間50のカウントダウンの終了に従って自動消火を実行する(S126でYES)。T140では、加熱調理器10は、自動消火時間50を第1の短縮時間「1時間」からデフォルトの時間「2時間」に戻す(S128)。
【0064】
携帯端末100との無線接続が維持されているものの、電波強度が強度「弱」である場合には、ユーザは、所定領域3内に存在するものの、加熱調理器10の近くに存在しない可能性があることを意味する。ケースB1によれば、デフォルトの時間「2時間」よりも安全な第1の短縮時間「1時間」に変更することによって、ユーザが所定領域3内に存在するものの、加熱調理器10の近くに存在しない可能性がある場合において、加熱調理器10の安全性が損なわれることを抑制することができる。
【0065】
(ケースB2)
ケースB2は、携帯端末100との無線接続が、切断命令の受信無しに切断されるケースである。T150~T154は、T130~T134と同様である。T230では、加熱調理器10は、切断命令の受信無しに無線接続が切断されたと判断する(図4のS110でYES)。T234では、加熱調理器10は、自動消火時間50を第1の短縮時間「1時間」から第2の短縮時間「30分」に変更する(S114)。
【0066】
T236では、加熱調理器10は、第2の短縮時間「30分」のカウントダウンが終了し、かつ、コンロ操作部14の操作が第2の短縮時間「30分」に亘って検知されないと判断する。T238では、加熱調理器10は、自動消火時間50のカウントダウンの終了に従って自動消火を実行する(S116でYES)。T240では、加熱調理器10は、自動消火時間50を第2の短縮時間「30分」からデフォルトの時間「2時間」に戻す(S118)。
【0067】
本ケースでも、第1実施例のケースA2と同様に、所定領域3内にユーザが存在しない場合でも、第2の短縮時間「30分」に従って安全にコンロバーナ12を消火することができ、かつ、第2の短縮時間「30分」のカウントダウンの終了までコンロバーナ12が消火されないため、ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火されることを抑制することができる。
【0068】
(対応関係)
第1の短縮時間、自動消火時間50が第1の短縮時間である条件が、それぞれ、「第1の時間」、「第1の条件」の一例である。第2の短縮時間、自動消火時間50が第2の短縮時間である条件が、それぞれ、「第2の時間」、「第2の条件」の一例である。
【0069】
(第3実施例)
第3実施例は、通信システムの内容が異なる点と、自動消火の条件が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
【0070】
(通信システム6の構成;図6
図面を参照して、第3実施例に係る通信システム6について説明する。通信システム6は、加熱調理器10及び携帯端末100に加えて、台所リモコン200を備える。台所リモコン200は、宅内に設置されている給湯器(図示省略)を制御するための装置である。
【0071】
加熱調理器10及び台所リモコン200は、宅内の所定領域3内に形成されているローカルエリアネットワーク4(以下では、「LAN4」と記載)に接続されている。LAN4は、無線LANである。なお、変形例では、LAN4は、有線LANでもよい。
【0072】
また、LAN4には、携帯端末100が接続される場合がある。例えば、LAN4の通信可能範囲外に存在していた携帯端末100が、LAN4の通信可能範囲内(例えば所定領域3内)に移動すると、携帯端末100がLAN4に自動的に接続される。
【0073】
(加熱調理器10の構成;図6
本実施例の加熱調理器10は、BTI/F20に代えて、LANI/F22を備える。LANI/F22は、LAN4を介した無線通信(例えばWi-Fi方式に従った無線通信)を実行するためのI/Fである。制御部30は、LANI/F22を介した無線通信(以下では「LAN通信」と記載)を実行するための無線接続を携帯端末100と確立して、携帯端末100との無線通信を実行する。
【0074】
また、本実施例では、制御部30は、コンロ操作部14において調整操作を受ける場合だけでなく、加熱調理器10と同じLAN4に接続されている台所リモコン200が操作される場合に、自動消火時間50のカウントダウンをリセットする。例えば、制御部30は、LANI/F22を介して、台所リモコン200の操作の有無を要求するための命令を台所リモコン200に定期的に送信し、台所リモコン200から操作の有無を示す情報を受信する。制御部30は、台所リモコン200からの情報が、台所リモコン200が操作されたことを示す場合に、自動消火時間50のカウントダウンをリセットする。
【0075】
(加熱調理器10の処理;図2
本実施例における加熱調理器10の処理は、BT通信を実行するための無線接続に代えて、LAN通信を実行するための無線通信の確立及び切断(トリガ、S10、S20)が判断される点を除いて、第1実施例と同様である。
【0076】
(具体的なケース;図3
本実施例における具体的なケースでは、T12、T20、T36の内容が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
【0077】
本実施例に係るT12では、LAN通信に係る無線接続が確立される。本実施例に係るT20では、コンロ操作部14の調整操作がデフォルトの時間「2時間」に亘って検知されず、かつ、台所リモコン200の操作もデフォルトの時間「2時間」に亘って検知されずに、デフォルトの時間「2時間」のカウントダウンが終了する。本実施例に係るT36でも、コンロ操作部14の調整操作が短縮時間「30分」に亘って検知されず、かつ、台所リモコン200の操作も短縮時間「30分」に亘って検知されずに、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了する。
【0078】
例えば、短縮時間「30分」のカウントダウンの途中において台所リモコン200が操作される場合でも、カウントダウンをリセットせずにコンロバーナ12を自動消火する比較例が想定される。この比較例では、ユーザが所定領域3内に存在しない場合において、当該ユーザとは異なる第三者によって台所リモコン200が操作されるときでも、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了する場合にコンロバーナ12が消火される。例えば、ユーザが、加熱調理器10の監視を第三者に依頼している状況において、第三者は、台所リモコン200を操作する可能性がある。当該第三者が存在するにも関わらず、ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火される可能性がある。上記の構成によれば、短縮時間「30分」のカウントダウンが終了し、かつ、台所リモコン200の操作が検知されない場合、即ち、ユーザが所定領域3内に存在しない場合において、第三者の存在が推認されないときに、コンロバーナ12が消火される。ユーザの意図に反してコンロバーナ12が消火されることを抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0079】
(対応関係)
LAN4が、「ローカルエリアネットワーク」の一例である。台所リモコン200、台所リモコン200の操作が、「他の装置」、「他の装置の利用」の一例である。
【0080】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
【0081】
(変形例1)各実施例において、図2及び図4の処理の少なくとも一部は、加熱調理器10に接続されている外部機器(例えば端末装置)の制御部によって実行されてもよい。また、自動消火時間50に従った自動消火も当該外部機器の制御部によって実行されてもよい。本変形例では、加熱調理器10と外部機器を含むシステムが、「加熱装置」の一例である。また、当該外部機器の制御部が、「停止制御部」、「第1の判断部」、「第1の変更部」の一例である。
【0082】
(変形例2)「所定の加熱停止条件」は、自動消火時間50のカウントダウンが終了することに限らず、例えば、加熱対象の温度が所定の温度を上回ることであってもよい。この場合、「第1の条件」は、加熱対象の温度が第1の温度を上回ることであり、「第2の条件」は、加熱対象の温度が第1の温度よりも低い第2の温度を上回ることであってもよい。
【0083】
(変形例3)上記の各実施例では、加熱調理器10は、切断命令の受信無しに無線接続が切断されたことを判断することによって、所定領域3内にユーザが存在しないことを判断する。これに代えて、加熱調理器10は、所定領域内に設置されている人感センサ(例えば、赤外線センサ、カメラ)からの情報を利用して、所定領域内にユーザが存在するのか否かを判断してもよい。本変形例では、人感センサからの情報が、「前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離に関する情報」の一例である。
【0084】
(変形例4)第1実施例において、加熱調理器10は、図2のS10の監視に代えて、BT通信の電波強度が強度「弱」であるのか否かを監視してもよい。本変形例では、電波強度が、「前記加熱装置と前記ユーザとの間の距離に関する情報」の一例である。
【0085】
(変形例5)上記の各実施例では、加熱調理器10は、コンロ操作部14において調整操作を受ける場合に、自動消火時間50のカウントダウンをリセットする。これに代えて、加熱調理器10は、加熱調理器10の利用を検知するセンサ(例えば、コンロバーナ12の五徳上の容器の上げ下げを検知するセンサ、加熱調理器10の振動を検知するセンサ)が所定の信号を出力する場合に、自動消火時間50のカウントダウンをリセットしてもよい。本変形例では、当該センサが所定の信号を出力することが、「加熱装置の利用」を検知することの一例である。また、「他の装置の利用」を検知することも、台所リモコン200が操作されることに限らず、例えば、他の装置の振動を検知するセンサが所定の信号を出力することでもよい。
【0086】
(変形例6)「他の装置」は、台所リモコン200に限らず、例えば、浴室暖房器、衣類乾燥機、給湯器、ガスファンヒータ等であってもよい。
【0087】
(変形例7)上記の各実施例では、加熱調理器10は、自動消火時間50がデフォルトの時間である場合及び自動消火時間50が短縮時間である場合の双方において、自動消火時間50のカウントダウンが終了する迄にコンロ操作部14の調整操作(又は台所リモコン200の操作)が検知される場合に、自動消火時間50のカウントダウンをリセットする。これに代えて、加熱調理器10は、自動消火時間50がデフォルトの時間である場合には、自動消火時間50のカウントダウンが終了する迄にコンロ操作部14の調整操作(又は台所リモコン200の操作)が検知されても、自動消火時間50のカウントダウンをリセットしなくてもよい。一般的に言えば、「第1の条件」において、「加熱装置の利用(又は他の装置の利用)」を検知しなくてもよい。
【0088】
(変形例8)例えば、図2のS14において、加熱調理器10は、自動消火時間50の短縮に加えて、コンロバーナ12の火力を小さくしてもよい。また、他の例では、図2のS14において、加熱調理器10は、自動消火時間50の短縮に加えて、ハイカット温度を低くしてもよい。ここで、ハイカット温度は、加熱対象の過熱防止のための温度であり、加熱調理器10は、加熱対象の温度がハイカット温度を超える場合に、コンロバーナ12を自動で消火する。コンロバーナ12の火力を小さく、又は、ハイカット温度を低くすることにより、所定領域3内にユーザが存在しない場合における加熱調理器10の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0089】
2、6 :通信システム
3 :所定領域
4 :ローカルエリアネットワーク
10 :加熱調理器
12 :コンロバーナ
14 :コンロ操作部
20 :BTI/F
22 :LANI/F
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
50 :自動消火時間
100 :携帯端末
200 :台所リモコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6