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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ハンドルスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20240620BHJP
   B62K 21/26 20060101ALI20240620BHJP
   B62J 6/16 20200101ALI20240620BHJP
【FI】
B62J45/00
B62K21/26
B62J6/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020137553
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033580
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】冨永 祐介
(72)【発明者】
【氏名】宮山 真吾
(72)【発明者】
【氏名】田島 友行
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-224192(JP,A)
【文献】中国実用新案第206813166(CN,U)
【文献】特開2019-172162(JP,A)
【文献】特開2019-050602(JP,A)
【文献】中国実用新案第204688325(CN,U)
【文献】中国実用新案第207389431(CN,U)
【文献】特開平08-192665(JP,A)
【文献】特開2022-030076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00-99/00
B62K 1/00-27/16
H01H 9/00- 9/28,89/00-89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が配置される主基板と、
外部機器へ電力を供給する接続端子が配置される接続端子基板と、
少なくとも1つのスイッチが設けられ且つ前記主基板及び前記接続端子基板を収容するスイッチハウジングと、を備え、
前記主基板と前記接続端子基板は互いに離間して配置され
前記スイッチハウジングは、各種スイッチが取り付けられる第1のハウジングと、前記各種スイッチが取り付けられない第2のハウジングとからなり、
前記主基板は前記第2のハウジングに取り付けられるハンドルスイッチ装置。
【請求項2】
前記主基板と前記接続端子基板は屈曲自在な配線で互いに接続される請求項1に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項3】
前記接続端子基板は前記接続端子を有する請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項4】
前記主基板は前記接続端子基板よりも上方に位置する請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチハウジングは、車両の進行方向に関して運転手側に配置される第1のハウジングと、前記車両の進行方向に関して運転手と反対側に配置される第2のハウジングとからなり、
前記主基板は前記第2のハウジングに取り付けられる請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項6】
前記主基板は、当該主基板の下部が、前記スイッチハウジングが取り付けられる車両のハンドルバーの最下部と略同一高さに位置するように、または、前記ハンドルバーの最下部よりも上方に位置するように配置される請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項7】
前記主基板は、前記スイッチハウジングの天面の下方に配置される請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項8】
前記主基板はカバー部材に覆われて配置される請求項1又は2に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項9】
前記主基板は、前記スイッチハウジングの内壁面と前記カバー部材で囲まれる請求項に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項10】
前記カバー部材は、当該カバー部材の下端部が、前記主基板の下端部と略同一高さに位置するように、または、前記主基板の下端部よりも下方に位置するように配置される請求項に記載のハンドルスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハンドルバーに取付けられるハンドルスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鞍乗り型車両、例えば、二輪車において、ナビゲーションアプリがインストールされたモバイル機器をナビゲーション装置として用いることが多いが、運転中、ナビゲーションアプリは使用し続けられるため、電力消費量が嵩んでモバイル機器のバッテリーの蓄電量が0となる可能性がある。
【0003】
そこで、ナビゲーションアプリの使用中は車両のバッテリーや発電機から常時、電力をモバイル機器へ供給する種々の方法が検討されている。例えば、変圧器を納めるパイプ状の充電アダプタを車両に取り付け、変圧器を車両電源へ接続するとともに、変圧器に接続された接続端子から電源コードを介してモバイル機器へ電力を供給する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、より簡便且つ見栄え良くモバイル機器へ供給する方法として、ハンドルバーへ取り付けられるハンドルスイッチ装置へ電力供給用のUSBポートを設けることが本出願人によって検討されている。この場合、ハンドルスイッチ装置のスイッチハウジング内に変圧器等の電子部品が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-159677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、USBポートのUSBコネクタ用の挿入口は外部に向けて開口するため、挿入口から雨水等がスイッチハウジング内へ侵入し、変圧器等の電子部品が被水して短絡が生じ、電子部品が破損するおそれがある。なお、本明細書中における「電子部品」には、USBポートを介したモバイル機器等の外部機器との電気的接続を実現するための各種部品が含まれ、例えば、基板に搭載されるスイッチ、トランジスタ、抵抗、LED、コンデンサ、コネクタや線材が該当する。
【0007】
本発明の目的は、電子部品を破損させること無く外部機器へ電力を供給することができるハンドルスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のハンドルスイッチ装置は、電子部品が配置される主基板と、外部機器へ電力を供給する接続端子が配置される接続端子基板と、少なくとも1つのスイッチが設けられ且つ前記主基板及び前記接続端子基板を収容するスイッチハウジングと、を備え、前記主基板と前記接続端子基板は互いに離間して配置され、前記スイッチハウジングは、各種スイッチが取り付けられる第1のハウジングと、前記各種スイッチが取り付けられない第2のハウジングとからなり、前記主基板は前記第2のハウジングに取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品が配置される主基板と、外部機器へ電力を供給する接続端子が配置される接続端子基板は互いに離間して配置されるため、接続端子の挿入口を介して侵入する水が主基板の電子部品へ到達しないように接続端子基板を配置することができる。これにより、電子部品を破損させること無く外部機器へ電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るハンドルスイッチ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
図2】ハンドルスイッチ装置が備えるUSB基板とメイン基板の構成を概略的に説明するための図である。
図3】ハンドルスイッチ装置におけるUSB基板とメイン基板の位置関係を説明するための図である。
図4】ハンドルスイッチ装置におけるメイン基板とハンドルバーの位置関係を説明するための図である。
図5】フロントハウジングとリアハウジングのスイッチ取り付け用の穴の配置状況について説明するための図である。
図6】カバー部材がメイン基板を覆う様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るハンドルスイッチ装置10の外観を概略的に示す斜視図である。図1において、ハンドルスイッチ装置10は、円筒状のハンドルバー11に取り付けられるケース状のスイッチハウジング12を備える。スイッチハウジング12は、車両の進行方向に関して運転手側に配置されるフロントハウジング16(第1のハウジング)と、車両の進行方向に関して運転手と反対側に配置されるリアハウジング17(第2のハウジング)とを有する。
【0013】
フロントハウジング16には、例えば、運転手の操作入力を受け付けるウィンカスイッチ13と、ホーンスイッチ14と、ディマースイッチ15とが取り付けられる。一方、リアハウジング17にはいずれのスイッチも取り付けられない。また、フロントハウジング16とリアハウジング17は2つのビス(図示しない)によって互いに締結されることにより、ハンドルバー11を挟み込んで該ハンドルバー11に取り付けられる。
【0014】
さらに、ハンドルスイッチ装置10は、USB(Universal Serial Bus)規格に従う接続端子であるUSBポート18(接続端子)を備える。USBポート18は、図2に示すように、プリント基板であるUSB基板19(接続端子基板)へ配置される。USBポート18はUSBポート18へ挿入された外部機器の電源コードのUSBコネクタを介して、当該外部機器へ電力を供給する。USBポート18が電力を供給する外部機器としては、例えば、小型のナビゲーション装置、電子料金収受システムの車載器、スマートフォン等のモバイル機器、アクションカメラ、インターコム、ドライブレコーダー、高度計やヒートウォーマーが該当する。USBポート18はUSBコネクタ用の挿入口がスイッチハウジング12の表面に開口するように、スイッチハウジング12の内部に配置される。
【0015】
また、ハンドルスイッチ装置10は、車両電源、例えば、バッテリーや発電機に接続され、USB基板19のUSBポート18へ電力を供給するメイン基板20(主基板)をスイッチハウジング12の内部に備える。メイン基板20はプリント基板であり、図2に示すように、DC/DCコンバータ21、アルミ電解コンデンサ22やパワーインダクタ23等の電子部品を備える。メイン基板20の各電子部品は、車両電源から供給される電力のノイズをカットし、車両電源から印加される電圧を外部機器で利用可能な電圧に変圧する。
【0016】
一方、USB基板19は機械的な接続端子であるUSBポート18を備えるが、他の電子部品を備えない。したがって、USB基板19が被水しても、電子部品が破損するおそれがない。USB基板19とメイン基板20は、図2に示すように、2つのコード24(配線)で接続される。これにより、メイン基板20とUSB基板19を互いに離間させて配置することができる。また、各コード24は屈曲自在であり、これにより、USB基板19とメイン基板20の相対的な位置関係を自由に設定することができる。
【0017】
図3は、ハンドルスイッチ装置10におけるUSB基板19とメイン基板20の位置関係を説明するための図であり、図4は、ハンドルスイッチ装置10におけるメイン基板20とハンドルバー11の位置関係を説明するための図である。図3及び図4では、理解を容易にするために、フロントハウジング16とスイッチハウジング12に収容される構造の一部が省略される。
【0018】
メイン基板20はリアハウジング17へ配置され、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、図4に示すように、メイン基板20の下部がハンドルバー11の最下部11aと略同一高さに位置するように配置される。または、メイン基板20の下部がハンドルバー11の最下部11aよりも上方に位置するようにメイン基板20が配置される。なお、ハンドルバー11の最下部11aとは、ハンドルバー11の断面における最下部である。
【0019】
また、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、図3に示すように、メイン基板20はUSB基板19よりも上方に位置するように配置される。なお、USB基板19の配置場所は図3に示す位置に限られない。例えば、メイン基板20より下方であって、挿入口がスイッチハウジング12の表面に開口可能な位置であれば、USB基板19を配置することができる。
【0020】
本実施の形態によれば、USB基板19とメイン基板20が互いに離間して配置されるため、USBポート18の挿入口を介して侵入した水がメイン基板20の電子部品へ到達しないようにUSB基板19を配置することができる。これにより、メイン基板20の電子部品を破損させること無く外部機器へ電力を供給することができる。
【0021】
また、本実施の形態では、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、メイン基板20はUSB基板19よりも上方に位置するように配置される。これにより、USB基板19に配置されるUSBポート18の挿入口を介して侵入した水がメイン基板20へ到達するのを確実に防ぐことができる。さらに、本実施の形態では、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、メイン基板20がハンドルバー11の最下部11aよりも上方に位置するように配置される。これにより、ハンドルバー11とスイッチハウジング12の隙間から水が侵入したとしても、当該侵入した水はスイッチハウジング12の内部においてハンドルバー11の最下部11aから落下するため、メイン基板20が被水することがない。その結果、メイン基板20の電子部品が短絡によって破損するのを確実に防止することができる。
【0022】
ところで、フロントハウジング16には、ウィンカスイッチ13、ホーンスイッチ14やディマースイッチ15が取り付けられるため、図5(A)に示すように、これらのスイッチ取り付け用の穴13a~15aが開設される。このようなスイッチ取り付け用の穴は、各スイッチの操作子の操作自由度を確保するため、穴と操作子の間に隙間が設けられるが、このような隙間からフロントハウジング16の内側へ雨水等の水が侵入するおそれがある。一方、リアハウジング17には、上述したようにいずれのスイッチも取り付けられないため、図5(B)に示すように、スイッチ取り付け用の穴が開設されず、リアハウジング17の内側に水が侵入するおそれがない。そして、本実施の形態では、メイン基板20がリアハウジング17へ配置される。したがって、メイン基板20が被水するのを抑制することができる。なお、リアハウジング17に各種スイッチ取り付け用の穴を設けてもよいが、この場合、当該穴から浸入する水によって被水しない位置にメイン基板20を配置するのが好ましい。
【0023】
また、本実施の形態では、メイン基板20をスイッチハウジング12の上方に位置する天面12aに近接させ、且つ天面12aの下方に配置させてもよい。これにより、フロントハウジング16とリアハウジング17との合わせ面から侵入する雨水によってメイン基板20が被水するのを抑制することができる。
【0024】
さらに、メイン基板20は、図6に示すように、樹脂材からなるカバー部材25に覆われてもよく、さらに、メイン基板20の全体がカバー部材25とスイッチハウジング12の内壁面で囲まれて覆われることがより好ましい。これにより、メイン基板20の耐被水性を向上させることができる。
【0025】
図6では、カバー部材25は、その下端部がメイン基板20の下端部と略同一高さに位置するように配置されるが、カバー部材25は、その下端部がメイン基板20の下端部よりも下方に位置するように配置されてもよい。この場合、カバー部材25の表面を伝って落ちる水がメイン基板20に付着することを低減できる。
【0026】
また、本実施の形態では、USB基板19がメイン基板20とは別に設けられているため、USBポート18が破損した際には、メイン基板20を交換することなくUSB基板19のみを交換すればUSBポート18の破損を修復することができる。これにより、整備性を向上させることができる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0028】
例えば、本発明が適用されるハンドルスイッチ装置10は、車両の左側のハンドルバー11へ取り付けられるが、本発明を車両の右側のハンドルバーへ取り付けられるハンドルスイッチ装置へ適用してもよい。なお、本発明は、バー型のハンドルバーに取り付けられるハンドルスイッチ装置及びセパレート型のハンドルバーに取り付けられるハンドルスイッチ装置のいずれにも適用することができる。
【0029】
また、メイン基板20をスイッチハウジング12内において車両幅方向及び車両前後方向に対して立った状態、より好ましくは略垂直に配置してもよい。これにより、万が一、メイン基板20が被水したとしても、水が下方へ排水され易くなるため、メイン基板20の各電子部品が被水する確率を低減することができる。なお、メイン基板20に搭載されている各電子部品を、スイッチハウジング12内に配置される各種スイッチのスイッチ用基板に配置して各スイッチ用基板にメイン基板の機能を付与してもよい。この場合、メイン基板20を廃止することができ、もって、スイッチハウジング12内のレイアウトに余裕を持たせることできる。
【0030】
また、本実施の形態では、USB基板19やメイン基板20をプリント基板によって構成したが、USB基板19やメイン基板20をフレキシブル基板によって構成してもよい。この場合、USB基板19やメイン基板20を屈曲させることができるため、これらの基板の配置の自由度を向上させることができ、結果として、ハンドルスイッチ装置10のさらなる小型化へ寄与することができる。
【0031】
なお、ハンドルバーを備える車両であれば、本実施の形態に係るハンドルスイッチ装置10を適用することができる。ハンドルスイッチ装置10を適用可能な車両としては、例えば、いわゆる鞍乗り型車両であり、自動二輪車、ATV(All Terrain Vehicle)に分類される三輪車両や四輪車両、さらには、スノーモービルを含む。また、ハンドルスイッチ装置10はハンドルを備える滑走型の鞍乗り小型船舶にも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 ハンドルスイッチ装置
11 ハンドルバー
12 スイッチハウジング
16 フロントハウジング
17 リアハウジング
18 USBポート
19 USB基板
20 メイン基板
21 DC/DCコンバータ
22 アルミ電解コンデンサ
23 パワーインダクタ
24 コード
25 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6