(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/127 20060101AFI20240620BHJP
A01D 61/00 20060101ALI20240620BHJP
A01F 12/32 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A01D41/127 130
A01D61/00 301M
A01F12/32 Z
A01D41/127
(21)【出願番号】P 2020162315
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-081487(JP,A)
【文献】特開2020-130050(JP,A)
【文献】特開2019-010076(JP,A)
【文献】特開2013-243945(JP,A)
【文献】特開2017-136064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
A01D 61/00
A01F 12/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈り取る刈取部と、
刈り取った穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部と、
選別された穀粒を貯留する穀粒タンクと、
選別された穀粒の品質を計測する品質計測部と、
収穫した作物を検出する収穫作物検出手段と、
前記品質計測部を制御する制御部と、を備えるコンバインであって、
前記制御部は、
収穫作物検出手段による作物検出が刈り始めであるか否かと、品質計測部による連続した品質計測の連続計測終了条件が成立したか否かと、を判断し、
刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断されるまでは、連続計測終了条件が成立するまで収穫作物検出手段による連続した品質計測を行い、
刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断された以降は、収穫作物検出手段が非検出状態から検出状態に切り換わるまでは品質計測部による品質計測をしないことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断された以降の品質計測部による品質計測は、収穫作物検出手段が非検出状態から検出状態に切り換わる毎に1回単発実行されることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記収穫作物検出手段は、
刈り取った搬送穀稈を検出する搬送穀稈検出手段、前記脱穀部に設けられる揺動選別体上の処理物を検出する処理物検出手段であることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した穀粒の品質を計測するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫した穀粒の品質を計測する品質計測部を備えたコンバインが知られている。例えば、特許文献1、2に記載されるコンバインは、穀粒タンク内に水分率計測装置を備え、収穫した穀粒の水分率を計測可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-67217号公報
【文献】特開2019-10075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、品質計測部を備える従来のコンバインでは、頻繁に品質計測を行っているので、品質計測部の寿命が短くなりやすく、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、穀稈を刈り取る刈取部と、刈り取った穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部と、選別された穀粒を貯留する穀粒タンクと、選別された穀粒の品質を計測する品質計測部と、収穫した作物を検出する収穫作物検出手段と、前記品質計測部を制御する制御部と、を備えるコンバインであって、前記制御部は、収穫作物検出手段による作物検出が刈り始めであるか否かと、品質計測部による連続した品質計測の連続計測終了条件が成立したか否かと、を判断し、刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断されるまでは、連続計測終了条件が成立するまで収穫作物検出手段による連続した品質計測を行い、刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断された以降は、収穫作物検出手段が非検出状態から検出状態に切り換わるまでは品質計測部による品質計測をしないことを特徴とするコンバインである。
請求項2の発明は、刈り始めの刈り取り作業において連続計測終了条件が成立したと判断された以降の品質計測部による品質計測は、収穫作物検出手段が非検出状態から検出状態に切り換わる毎に1回単発実行されることを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
請求項3の発明は、前記収穫作物検出手段は、刈り取った搬送穀稈を検出する搬送穀稈検出手段、前記脱穀部に設けられる揺動選別体上の処理物を検出する処理物検出手段であることを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2の発明によれば、過剰な品質計測を抑制し、品質計測部の寿命を延ばすことができる。品質計測を単発実行させる所定条件には、少なくとも収穫作物検出手段が作物非検出状態から作物検出状態に切り換わるという条件が含まれるので、刈始めや刈取り再開時に品質計測を単発実行することで、圃場の全域で収穫した穀粒の品質を万遍なく計測できる。
請求項3の発明によれば、刈り取った搬送穀稈、穀粒を検出することで、品質計測を適切なタイミングで実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの左側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの脱穀部の内部を示す左側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコンバインの脱穀部の内部を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコンバインの揚穀装置の内部を示す右側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコンバインの品質計測後の穀粒還元経路を示す脱穀部の正面断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るコンバインの品質計測部を示す背面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るコンバインのモニタ画面を示す図であり、(a)は通常画面の図、(b)は計測画面の図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[コンバイン]
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び
図2において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、汎用コンバインであり、左右一対のクローラ式走行装置である走行装置2に支持された機体3を有している。機体3の前方には、圃場の穀稈を刈取る刈取部5が昇降自在に設けられており、機体3の前方一側には、オペレータが着座してコンバイン1を操縦する運転操作部6が設けられている。機体3の他側方には、刈取部5で刈取り・搬送された穀稈を脱穀処理及び選別処理する脱穀部7が設けられている。運転操作部6の後方には、脱穀部7で脱穀・選別された穀粒を貯留する穀粒タンク10が配置されており、穀粒タンク10の後方には、穀粒タンク10内に貯留された穀粒を機外に排出するための排出オーガ11が設けられている。
【0009】
刈取部5は、圃場の穀稈を分草するデバイダ12と、デバイダ12によって分草された穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃13と、刈刃13の後方側に配設されたバケット状のプラットホーム14と、これらデバイダ12及び刈刃13の上方に配設され、穀稈を後方に掻き込むリール15と、を備えており、リール15によってプラットホーム14に掻き込まれた穀稈を、刈刃13が刈取るように構成されている。刈刃13によって刈り取られた穀稈は、プラットホーム14内のプラットホームオーガ16によって横送りされ、収穫した穀物をフィーダ17によって脱穀部7の扱室19内へ穀稈ごと投入するように構成されている。
【0010】
図2~
図4に示すように、脱穀部7は、刈取部5によって刈り取られた穀稈が投入される扱室19と、扱室19の下方に配置される選別室9と、を有し、扱室19において穀稈の脱穀処理を行なうと共に、選別室9において脱穀された処理物の選別処理を行なう。扱室19内には、その外周面にらせん状に案内板20aが取付けられた扱胴20が回転自在に収納されており、案内板20aには、穀稈を引っ掛けて扱胴20と共に回転させる突起状の扱歯20bが複数設けられている。また、扱室19は、その下方側(扱胴20の下方部分)が扱胴20の外周に沿った半円筒状の受網21によって形成されており、扱室19に投入された穀稈は、扱歯20bによって扱胴20と一緒に回転させられ、案内板20aによって機体後方側に搬送されながら、受網21によって擦り付けられて脱穀される。
【0011】
選別室9は、受網21の下方側に配設された揺動選別体22と、揺動選別体22の前部下方側から後部上方側に向かって選別風を送風する唐箕ファン23及び送風ファン24と、を有している。揺動選別体22は、上下二段構造となっており、上段のフィードパン25、チャフシーブ26及びストローラック27と、下段のグレンシーブ29、チャフシーブ30及びストローラック31と、からなり、これらが上段及び下段にて連続して設けられ、前後に揺動されることで処理物が比重選別される。
【0012】
フィードパン25は、波板状の移送板であって、受網21から漏下する処理物及び後述する二番物を受け止めて後方移送する。チャフシーブ26、30は、前後方向に所定間隔を存して並設される複数のフィンによって構成され、後方移送されたこれら処理物を唐箕ファン23及び送風ファン24の選別風によって風選別すると共に篩選別し、更に所定の目合の金網部材からなるグレンシーブ29を通過した穀粒は、一番物として一番ラセン32に落下する。
【0013】
一方、揺動選別体22の終端部まで移送された処理物は、ストローラック27、チャフシーブ30及びストローラック31を介して二番ラセン33に落下する。また、ストローラック31にて落下規制された長藁は、その終端まで移送され、機外に排出される。なお、扱室19及び選別室9は、機体3に開閉自在に支持されたサイドカバー36を上方に開くことで、作業者はアクセスすることができる。
【0014】
図3~
図5に示すように、一番ラセン32には、穀粒タンク10に一番物である穀粒を揚送するための揚穀装置37が連動連結され、二番ラセン33には、二番物を扱室19の一側方に配置した還元室39に揚送還元する還元装置40が連動連結されている。還元室39内には、扱胴20と平行な還元横ラセン41が軸装されており、還元横ラセン41によって、還元装置40から還元室39の後端部に還元された二番物が扱胴20の搬送方向とは逆方向、即ち後方から前方に向けて搬送される。
【0015】
還元室39は、その前端部に扱室19の脱穀始端部に臨む扱室還元口42を有し、還元横ラセン41によって還元室39の前端部まで搬送された二番物は、還元横ラセン41の前端に固定された跳出板43によって跳ね出されて、扱室還元口42を通って扱室19に還元される。
【0016】
図3~
図5に示すように、揚穀装置37の上端部前方には、貯留横ラセン45及び品質計測部50が配置されている。貯留横ラセン45は、左右方向に沿って配置されており、揚穀装置37の上端部から前方に跳ね出される穀粒を受け止めて右側方へ搬送し、穀粒タンク10内に落下させる。また、品質計測部50は、貯留横ラセン45の前方に配置され、揚穀装置37の上端部から前方に跳ね出される穀粒を選択的に受け入れ、その品質を計測する。つまり、品質計測部50は、穀粒タンク10よりも上流側の穀粒流路で穀粒の品質計測を行う。これにより、穀粒タンク10内で品質計測を行う従来に比べ、品質計測のタイミングを早めることができる。以下、品質計測部50について、
図4~
図8を参照して説明する。
【0017】
[品質計測部]
品質計測部50は、選別された穀粒を貯留部61に貯留し、貯留した多数の穀粒を対象として品質計測を行う貯留計測式穀粒計測装置60(撮像装置)と、選別された1又は数個の穀粒を対象として品質計測を行う単粒計測式穀粒計測装置70(水分率計測装置)と、を備える。本実施形態のコンバイン1では、貯留計測式穀粒計測装置60による穀粒の品質計測と、単粒計測式穀粒計測装置70による品質計測を並行して行わせることが可能であり、同条件の穀粒を対象として異なる計測方式で品質計測を行うことができる。
【0018】
[貯留計測式穀粒計測装置]
貯留計測式穀粒計測装置60は、揚穀装置37の上端部から前方に跳ね出される穀粒を受け入れる穀粒入口62と、穀粒入口62を開閉する入口シャッタ63と、穀粒入口62から受け入れた穀粒を貯留する貯留部61と、貯留部61の下部に形成され、貯留部61内の穀粒を揺動選別体22上に還元する穀粒出口64と、穀粒出口64を開閉する底シャッタ65と、貯留部61の一側部に設けられ、透明部材66を介して貯留部61内の穀粒を視認可能な撮像室67と、撮像室67内に配置され、透明部材66を介して貯留部61内の穀粒を照らすLEDなどの発光素子68と、撮像室67内に配置され、発光素子68で照らされた貯留部61内の穀粒を撮像するカメラ69と、を備える。なお、本実施形態の貯留計測式穀粒計測装置60は、カメラ69(画像解析を含む)を用いて構成されるが、貯留した穀粒を対象として品質計測を行うものであれば、カメラ69に限らず、静電容量センサ、近赤外線センサなどであってもよい。
【0019】
貯留計測式穀粒計測装置60による品質計測を行う場合は、底シャッタ65を閉じた状態で入口シャッタ63を開き、穀粒入口62から穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を貯留部61に貯留する。貯留部61内の穀粒が所定量に達したら、透明部材66を介して貯留部61内の穀粒を発光素子68で照らしつつ、発光素子68で照らされた貯留部61内の穀粒をカメラ69で撮像する。撮像後は、底シャッタ65を開いて貯留部61内の穀粒を揺動選別体22上に還元するとともに、入口シャッタ63を閉じる。
【0020】
図8に示すように、カメラ69が撮像した穀粒画像は、運転操作部6に設けられる液晶モニタ81(タッチパネル付き液晶パネル)に表示される。液晶モニタ81は、少なくとも、エンジン回転数、走行速度、燃料残量、穀粒タンク10内の穀粒量などを表示する通常画面81a(
図8の(a)参照)と、品質計測部50の計測結果を表示する計測画面81b(
図8の(b)参照)と、を表示可能であり、通常画面81aの左端部に表示される計測ボタン81cをタップ操作すると、計測画面81bに切り換えられる。
【0021】
計測画面81bには、圃場の複数箇所で実施された品質計測結果81dが表示される。本実施形態では、1画面に4箇所の品質計測結果81dを表示可能であり、次ページボタン81eのタップ操作により、それ以外の箇所で計測した品質計測結果81dを順次表示させることができる。
【0022】
計測画面81bに表示される各品質計測結果81dには、カメラ69が撮像した穀粒画像と、穀粒画像の解析データ(例えば、穀粒の平均サイズ、サイズの均一性、汚れ具合など)と、単粒計測式穀粒計測装置70が計測した穀粒水分率と、計測した位置情報(圃場内の計測位置情報(GNSS情報))と、計測した日時情報と、が含まれる。各品質計測結果81dは、対応して表示される削除ボタン81fのタップ操作により削除することができる。また、計測画面81bの右下位置には、全計測箇所の平均水分率が表示される。
【0023】
[単粒計測式穀粒計測装置]
単粒計測式穀粒計測装置70は、貯留部61の他側部に設けられている。単粒計測式穀粒計測装置70の穀粒取込部71は、穀粒入口62から貯留部61至る穀粒貯留経路に配置されており、穀粒貯留経路を通る穀粒の一部を分岐させて単粒計測式穀粒計測装置70の計測部72に取り込み、取り込んだ穀粒の水分率計測を行う。また、計測後の穀粒は、排出口73から排出され、揺動選別体22上に還元される。このような構成によれば、貯留計測式穀粒計測装置60の穀粒貯留経路を通る穀粒の一部を分岐させて単粒計測式穀粒計測装置70に取り込むので、品質計測部50の大型化を抑制しつつ、単粒計測式穀粒計測装置70及び貯留計測式穀粒計測装置60を配置することが可能になる。
【0024】
具体的に説明すると、本実施形態の単粒計測式穀粒計測装置70は、一対のサンプリングスクリュー74で構成される穀粒取込部71と、水分計75(
図9参照)などを内装した計測部72と、を備える。穀粒取込部71は、一対のサンプリングスクリュー74に乗った穀粒を一対のサンプリングスクリュー74の所定方向の回転駆動に基づいて一粒ずつ計測部72内に送り込む。計測部72は、送り込まれた穀粒を破砕する破砕部(図示せず)と、破砕した穀粒を挟むように配置された一対の電極間(図示せず)で穀粒の水分を計測する水分計75と、を備える。水分計75は、一対の電極間の電気抵抗や静電容量の変化に基づいて穀粒の水分率を計測する。そして、水分計75の計測結果は、液晶モニタ81の計測画面81bに表示される。
【0025】
[制御部]
図9に示すように、コンバイン1には、貯留計測式穀粒計測装置60及び単粒計測式穀粒計測装置70による穀粒の品質計測を制御する制御部100が設けられている。制御部100の入力側には、前述したカメラ69及び単粒計測式穀粒計測装置70に加え、品質計測部50による品質計測をON/OFFさせる計測実行スイッチ101と、コンバイン1の走行状態を検出する走行検出手段102(車速センサ、主変速レバー位置センサなど)と、刈取・脱穀駆動検出手段103(パワークラッチスイッチ、クラッチ入切検出センサなど)と、搬送穀稈を検出する搬送穀稈検出手段104(収穫作物検出手段)と、選別室9内の処理物を検出する処理物検出手段105(収穫作物検出手段)と、穀粒タンク10内の穀粒量を検出する複数のタンクレベルセンサ106と、入口シャッタ63の開位置を調節操作するシャッタ開口面積調節手段107と、入口シャッタ63の開閉位置を検出する入口シャッタ位置検出手段108と、底シャッタ65の開閉位置を検出する底シャッタ位置検出手段109と、貯留部61内の穀粒量を検出するサンプリング穀粒量検出手段110と、コンバイン1の位置を検出する機体位置検出手段111(GNSSなど)と、が接続されている。
【0026】
また、制御部100の出力側には、前述したカメラ69、単粒計測式穀粒計測装置70及び液晶モニタ81の他に、入口シャッタ63を開閉させる入口シャッタ駆動手段112と、底シャッタ65を開閉させる底シャッタ駆動手段113と、警報音を出力するブザー114と、が接続されている。また、制御部100は、品質計測部50の計測データを記憶するデータ記憶部115と、圃場の位置情報を記憶するマップ情報116と、外部サーバー117と通信する通信部118と、を備えており、品質計測部50の計測データは、液晶モニタ81に表示したり、データ記憶部114に記憶したりするだけでなく、外部サーバー117にも送信される。
【0027】
[機能構成]
制御部100は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能的な構成として、品質計測部50を制御する計測制御手段を備える。本実施形態の計測制御手段は、貯留計測式穀粒計測装置60による穀粒の品質計測と、単粒計測式穀粒計測装置70による品質計測を並行して行わせる。また、計測制御手段は、品質計測部50による穀粒の品質計測を連続実行させる連続計測モードと、品質計測部50による穀粒の品質計測を間欠実行させる間欠計測モードと、を備える。
【0028】
連続計測モードでは、所定の連続計測条件の成立に基づいて、品質計測部50による穀粒の品質計測を連続実行させる。連続計測条件には、圃場における刈り始め検出、又は刈り始めにおける所定のオペレータ操作が含まれる。例えば、刈り始めスイッチを設け、刈り始めにオペレータが刈り始めスイッチを操作すると、連続計測モードとなり、品質計測部50による穀粒の品質計測が連続実行される。また、刈り始め検出に基づいて連続計測モードに移行させる場合は、機体位置検出手段111の検出位置とマップ情報116に基づいて刈り始め位置を検出する方法、エンジン始動後、初めて刈取クラッチなどの作業クラッチが入り操作されたことに基づいて刈り始めを検出する方法、エンジン始動後、初めて搬送穀稈や処理物を検出したことに基づいて刈り始めを検出する方法などを用いて刈り始めを検出することができる。
【0029】
このように刈り始めに連続計測モードを実行すれば、刈り始めに短時間で複数の計測結果が得られるので、その圃場の作物が収穫すべきものか否かの判断を速やかに行うことができる。また、制御部100は、連続計測モードの終了後、間欠計測モードに切換える。これにより、過剰な品質計測を抑制し、品質計測部50の寿命を延ばすことができる。
【0030】
間欠計測モードでは、所定の間欠計測条件の成立に基づいて、品質計測部50による穀粒の品質計測を単発実行させる。間欠計測条件には、収穫した作物を検出する収穫作物検出手段(本実施形態では搬送穀稈検出手段104又は処理物検出手段105)が作物非検出状態から作物検出状態に切り換わるという条件が含まれる。このような構成によれば、刈始めや刈取り再開時に品質計測を単発実行することで、圃場の全域で収穫した穀粒の品質を万遍なく計測できる。なお、本実施形態のコンバイン1は、収穫作物検出手段として搬送穀稈検出手段104及び処理物検出手段105を備えるが、収穫作物検出手段は、穀粒流量を検出するインパクトセンサなどであってもよい。また、間欠計測条件には、穀粒タンク10内の穀粒量、コンバイン1の位置情報などを含めることができる。
【0031】
[制御手順]
つぎに、上記のような機能構成を実現する制御部100の制御手順について、
図10に示すフローチャートを参照して説明する。なお、上記の連続計測モードは、ステップS108~S119により実現され、上記の間欠計測モードは、ステップS123~S135により実現される。
【0032】
図10に示すように、制御部100は、まず、計測実行スイッチ101のON/OFFを判断し(S101)、この判断結果がOFFの場合は、底シャッタ65の開き駆動処理(S102)及び入口シャッタ63の閉じ駆動処理(S103)を実行するとともに、連続計測フラグを「0」として上位ルーチンに復帰する(S104)。
【0033】
一方、制御部100は、計測実行スイッチ101がONであると判断した場合、コンバイン1が収穫中であるか否かを判断する(S105)。例えば、走行検出手段102、刈取・脱穀駆動検出手段103及び搬送穀稈検出手段104の検出結果に基づいて収穫中であるか否かを判断することができる。制御部100は、収穫中でないと判断した場合、ステップS102~S104を実行して上位ルーチンに復帰する一方、収穫中であると判断した場合は、刈り始めであるか否かを判断し(S106)、刈り始めの場合は、連続計測フラグを「1」とする(S107)。
【0034】
つぎに、制御部100は、連続計測フラグが「1」、「0」のいずれであるかを判断し(S108)、この判断結果が「1」の場合は、底シャッタ65が閉じているかを判断し(S109)、この判断結果がNOの場合は、底シャッタ65を閉じ駆動させ(S110)、また、入口シャッタ63が開いているかを判断し(S111)、この判断結果がNOの場合は、入口シャッタ63を開き駆動させる(S112)。
【0035】
続いて、制御部100は、単粒計測式穀粒計測装置70による水分計測を開始した後(S113)、貯留部61のサンプリング穀粒量が所定以上であるか否かを判断するとともに(S114)、所定個数の穀粒水分計測が終了したか否かを判断する(S115)。制御部100は、ステップS114及びS115の判断結果がいずれもYESとなったら、カメラ69による貯留穀粒の撮影を実行するとともに、所定個数の穀粒平均水分率を算出して最新データとして保存し、さらには、カメラ69の静止画像データと水分率データを紐付けして保存する(S116)。また、制御部100は、蓄積した最新データを平均化して圃場全体の穀粒平均水分率を算出して保存する(S117)。なお、データの保存先には、機体上の記憶部だけでなく、外部サーバ117の記憶部が含まれる。また、紐付けて保存するデータには、カメラ69の静止画像データや水分率データだけでなく、圃場内の計測位置情報(GNSS情報)などを含めることができる。
【0036】
その後、制御部100は、底シャッタ65を開き駆動して貯留部61内の穀粒を揺動選別体22上に還元するとともに(S118)、計測結果を液晶モニタ81に出力し、1回の計測終了をブザー114で報知する(S119)。また、制御部100は、連続計測終了条件が成立したか否かを判断し(S120)、この判断結果がYESの場合は、連続計測フラグを「0」とし(S121)、入口シャッタ63を閉じ駆動した後(S122)、上位ルーチンに復帰する。
連続計測終了条件は、例えば、連続計測の所定回数(例えば、5回)の実行完了、所定のオペレータ操作(例えば、連続計測の開始・終了を操作可能な手動スイッチの操作)、所定の走行距離、刈り終わり検出などであり、この連続計測終了条件が成立するまでは、連続計測フラグが「1」のままに維持されることになってステップS108~S119による品質計測が繰り返される。
【0037】
一方、制御部100は、ステップS106において刈り始めでなく、かつステップS108において、連続計測フラグが「0」であると判断した場合、収穫作物検出手段がOFFからONに切り換わったか、それ以外であるかを判断し(S123)、ここで、それ以外と判断した場合は、底シャッタ65の開き駆動処理(S102)及び入口シャッタ63の閉じ駆動処理(S103)を実行するとともに、連続計測フラグを「0」として上位ルーチンに復帰するが(S104)、収穫作物検出手段がOFFからONに切り換わったと判断した場合は、ステップS124~S135によって品質計測を単発実行する。
【0038】
つまり、制御部100は、底シャッタ65が閉じているかを判断し(S124)、この判断結果がNOの場合は、底シャッタ65を閉じ駆動させ(S125)、また、入口シャッタ63が開いているかを判断し(S126)、この判断結果がNOの場合は、入口シャッタ63を開き駆動させる(S127)。続いて、制御部100は、単粒計測式穀粒計測装置70による水分計測を開始した後(S128)、貯留部61のサンプリング穀粒量が所定以上であるか否かを判断するとともに(S129)、所定個数の穀粒水分計測が終了したか否かを判断する(S130)。制御部100は、ステップS129及びS130の判断結果がいずれもYESとなったら、カメラ69による貯留穀粒の撮影を実行するとともに、所定個数の穀粒平均水分率を算出して最新データとして保存し、さらには、カメラ69の静止画像データと水分率データを紐付けして保存する(S131)。また、制御部100は、蓄積した最新データを平均化して圃場全体の穀粒平均水分率を算出して保存する(S132)。
【0039】
その後、制御部100は、底シャッタ65を開き駆動して貯留部61内の穀粒を揺動選別体22上に還元するとともに(S133)、計測結果を液晶モニタ81に出力し、1回の計測終了をブザー114で報知し(S134)、さらに、入口シャッタ63を閉じ駆動した後(S135)、上位ルーチンに復帰する。
【0040】
[実施形態の効果]
叙述の如く構成された本実施形態によれば、穀稈を刈り取る刈取部5と、刈り取った穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部7と、選別された穀粒を貯留する穀粒タンク10と、選別された穀粒の品質を計測する品質計測部50と、品質計測部50を制御する制御部100と、を備えるコンバイン1であって、収穫した作物を検出する収穫作物検出手段をさらに備え、制御部100は、所定条件の成立に基づいて、品質計測部50による穀粒の品質計測を単発実行させ、所定条件には、少なくとも収穫作物検出手段が作物非検出状態から作物検出状態に切り換わるという条件が含まれるので、過剰な品質計測を抑制し、品質計測部50の寿命を延ばすことができるだけでなく、刈始めや刈取り再開時に品質計測を単発実行することで、圃場の全域で収穫した穀粒の品質を万遍なく計測できる。
【0041】
また、収穫作物検出手段は、刈り取った搬送穀稈を検出する搬送穀稈検出手段104であるため、品質計測を適切なタイミングで実行できる。
【0042】
また、収穫作物検出手段は、脱穀部7に設けられる揺動選別体22上の処理物を検出する処理物検出手段105としてもよく、この場合には、穀粒を直接検出することで、品質計測をより適切なタイミングで実行できる。
【0043】
なお、前述した実施形態は、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、単発計測は、連続計測よりも短い時間で行われる短時間計測であって、1回の計測に限定されるものではない。また、前記実施形態では、収穫作物検出手段が作物非検出状態から作物検出状態に切り換わると、直ちに計測を実行するが、切り換わりから遅延を設けて計測を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 コンバイン
5 刈取部
7 脱穀部
10 穀粒タンク
22 揺動選別体
50 品質計測部
60 貯留計測式穀粒計測装置
61 貯留部
62 穀粒入口
63 入口シャッタ
64 穀粒出口
65 底シャッタ
66 透明部材
67 撮像室
68 発光素子
69 カメラ
70 単粒計測式穀粒計測装置
71 穀粒取込部
72 計測部
73 排出口
74 サンプリングスクリュー
75 水分計
81 液晶モニタ
100 制御部
104 搬送穀稈検出手段
105 処理物検出手段