(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車載カメラ固定構造および筐体取り付け方法
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
(21)【出願番号】P 2020167622
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】川本 一博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 敬司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
(72)【発明者】
【氏名】津久井 滉生
(72)【発明者】
【氏名】聶 継来
(72)【発明者】
【氏名】加納 大輔
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165127(JP,A)
【文献】特開2019-006148(JP,A)
【文献】特表2019-507045(JP,A)
【文献】特開2017-171164(JP,A)
【文献】特表2017-523088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用のカメラを支持する筐体と、
前記筐体を下方で保持するブラケットと、を備え、
前記筐体は、
前方に突出する支点棒と、
前記筐体の上方で支持され、横方向に延びる軸と、を備え、
前記ブラケットは、
前記支点棒を揺動自在に支持する支点支持構造と、
前記筐体が前方に向かい、前記筐体が前記ブラケットに取り付けられるときに、前記軸を前方に案内すると共に、前記軸を前記ブラケットに向かう側に案内する傾斜面構造と、
前記傾斜面構造を形成し、前記傾斜面構造の前方で前記軸を固定する軸固定構造と、
を備え
、
前記傾斜面構造は、
前記ブラケットから後方斜め下へ延びた軸仮置き片によって形成され、
前記軸仮置き片の先端部は、上方に反っていることを特徴とする車載カメラ固定構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の車載カメラ固定構造であって、
前記支点支持構造は、
後方から前記支点棒を受け入れる受容穴と、
前記受容穴の内部で前後方向に延び、前記支点棒に接触する支点ばね片と、
を備えることを特徴とする車載カメラ固定構造。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載の車載カメラ固定構造であって、
前記軸固定構造は、
前記ブラケットの下方で前記軸を抱える腕部と、
前記ブラケットに取り付けられ、前記腕部との間に前記軸を挟む軸ばね片と、
を備えることを特徴とする車載カメラ固定構造。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の車載カメラ固定構造であって、
前記筐体の左右に前記軸が同軸で並べられており、
左右の前記軸の間の前方に前記支点棒が設けられており、
前記ブラケットは、
左右の前記軸に対応して設けられた一対の前記傾斜面構造と、
左右の前記軸に対応して設けられた一対の前記軸固定構造と、
を備えることを特徴とする車載カメラ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ固定構造および筐体取り付け方法に関し、特に、カメラの筐体を自動車に固定する構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、フロントガラスの車室側にカメラが搭載されたものがある。カメラは、例えば、自動走行制御を行うために用いられる。この場合、カメラは、道路上に描かれた車線等の走行経路の基準となるものを撮影し、映像データを走行制御装置に送信する。走行制御装置は、映像データに基づいて自動走行制御を行う。その他、カメラは、ドライブレコーダに用いられることがある。
【0003】
以下の特許文献1には、フロントガラスの車室側に設けられたセンサユニットが記載されている。このセンサユニットの筐体には車載カメラが収容され、車載カメラが筐体によって支持されている。また、特許文献2には、少なくとも1台のカメラを自動車のウインドウガラスに固定する支持装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-154327号公報
【文献】特表2017-523088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラを車室に固定する構造として、フロントガラスに固定されたブラケットに、カメラが収容された筐体を固定するものがある。しかし、筐体の構造によっては、筐体とブラケットとが固定される箇所が作業者から見え難くなり、筐体を固定する作業が困難となってしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、車載用カメラの取り付けを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車載用のカメラを支持する筐体と、前記筐体を下方で保持するブラケットと、を備え、前記筐体は、前方に突出する支点棒と、前記筐体の上方で支持され、横方向に延びる軸と、を備え、前記ブラケットは、前記支点棒を揺動自在に支持する支点支持構造と、前記筐体が前方に向かい、前記筐体が前記ブラケットに取り付けられるときに、前記軸を前方に案内すると共に、前記軸を前記ブラケットに向かう側に案内する傾斜面構造と、前記傾斜面構造を形成し、前記傾斜面構造の前方で前記軸を固定する軸固定構造と、を備え、前記傾斜面構造は、前記ブラケットから後方斜め下へ延びた軸仮置き片によって形成され、前記軸仮置き片の先端部は、上方に反っていることを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記支点支持構造は、後方から前記支点棒を受け入れる受容穴と、前記受容穴の内部で前後方向に延び、前記支点棒に接触する支点ばね片と、を備える。
【0011】
望ましくは、前記軸固定構造は、前記ブラケットの下方で前記軸を抱える腕部と、前記ブラケットに取り付けられ、前記腕部との間に前記軸を挟む軸ばね片と、を備える。
【0012】
望ましくは、前記筐体の左右に前記軸が同軸で並べられており、左右の前記軸の間の前方に前記支点棒が設けられており、前記ブラケットは、左右の前記軸に対応して設けられた一対の前記傾斜面構造と、左右の前記軸に対応して設けられた一対の前記軸固定構造と、を備える。
【0013】
また、本発明の関連技術に係る方法は、車載用のカメラを支持する筐体を、車室に固定されたブラケットに取り付ける筐体取り付け方法であって、前記ブラケットは、前後方向に延びた棒状部材の先端部を支持する支点支持構造と、横方向に延びた軸部材を、後方から前方に向かうに従って上方に案内する傾斜面構造と、前記傾斜面構造を形成し、前記傾斜面構造の前方で前記軸部材を固定する軸固定構造と、を備え、前記筐体取り付け方法は、前記筐体の上方に設けられた軸であって、前記軸部材としての軸を前記傾斜面構造に接触させるステップと、前記軸を前記傾斜面構造に沿って前方かつ上方に移動させるステップと、前記筐体から前方に突出した支点棒であって、前記棒状部材としての支点棒を、前記支点支持構造に支持させるステップと、前記軸を前記軸固定構造に固定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車載用カメラの取り付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】車載カメラユニットを搭載した自動車を示す図である。
【
図3】筐体が取り外された状態のブラケットを示す図である。
【
図7】
図3に示されたブラケットのAA線断面の一部を示す図である。
【
図8】後方左斜め下側から軸固定構造を眺めた斜視図である。
【
図9】
図3に示されたブラケットのBB線断面の一部を示す図である。
【
図10】
図3に示されたブラケットのCC線断面の一部を示す図である。
【
図11】前方左斜め下側から支点支持構造を眺めた斜視図である。
【
図12】後方左斜め下側から支点支持構造を眺めた斜視図である。
【
図13】ブラケットに筐体を取り付ける方法を示す図である。
【
図14】ブラケットに筐体を取り付ける方法を示す図である。
【
図15】ブラケットに筐体を取り付ける方法を示す図である。
【
図16】ブラケットに筐体を取り付ける方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。本願明細書における上下左右前後
の用語は、自動車の乗員から見た方向を示す。また、複数の図面に示されている同一の部
材については同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0017】
図1には、本発明の実施形態に係る車載カメラユニット10を搭載した自動車100が示されている。車載カメラユニット10は、フロントガラス102の車室側の面の上部に固定されている。車載カメラユニット10は、例えば、自動走行制御を行うために用いられる。この場合、車載カメラユニット10は、道路上に描かれた車線等の走行経路の基準となるものを撮影し、映像データを走行制御装置に送信する。走行制御装置は、映像データに基づいて自動走行制御を行う。その他、車載カメラユニット10は、ドライブレコーダに用いられてもよい。車載カメラユニット10は、自動車100の横方向に並べて配置された2つのカメラを備えており、2つのカメラがステレオカメラシステムを構成する。ステレオカメラシステムは、3次元画像を撮影することが可能なシステムである。3次元画像を用いることで走行制御装置の性能が向上する。
【0018】
図2には、本発明の実施形態に係る車載カメラユニット10の斜視図が示されている。車載カメラユニット10では、ブラケット16が筐体12を下方で保持している。すなわち、車載カメラユニット10は、左右2つのカメラ14Lおよび14Rを収容し支持する筐体12が、筐体12の上方のブラケット16に固定された構造を有している。カメラ14Lおよび14Rは、それぞれの後方の一部が筐体12に収容されていてもよいし、カメラ14Lおよび14Rが筐体12の前面に固定されていてもよい。筐体12は、ブラケット16に着脱自在であってもよい。左右2つのカメラ14Lおよび14Rはステレオカメラシステムを構成する。ブラケット16はフロントガラス102の車室側の面に予め固定されており、ブラケット16に筐体12が固定されることで、筐体12が車室に固定される。
【0019】
図3には、筐体12が取り外された状態のブラケット16が示されている。ブラケット16は、左右に延びる板状の基部18と、基部18の左右の端に形成されたフード構造18Lおよび18Rから構成されている。フード構造18Lおよび18Rのそれぞれは、基部18の領域のうち、左右において前方に広がった板状の突出領域28に形成されている。突出領域28には略台形状の切り欠きが形成されており、この切り欠きから下方に凹み構造が形成されている。凹み構造は、後端部が最も深く凹んでおり、前方に向かうにつれて末広がり状に広がりながら浅くなり、前方において突出領域28の高さにまで至る。すなわち、凹み構造は、前方が高くなるように傾斜した略台形状の底面20と、略台形状の底面20の左右の辺から立ち上がり、前方を頂点とする略三角形状の側壁22と、底面20後方の最奥部から立設する後方壁26を有している。後方壁26には、カメラ14Lまたは14Rを前後方向に貫通させるカメラ穴24が形成されている。ブラケット16から筐体12が取り外された状態では、左右のカメラ穴24は前後が見通される状態となっている。
【0020】
なお、フード構造18Lおよび18Rは、基部18と一体的に形成されてもよいし、基部18とは別の部材として個別に形成されてもよい。フード構造18Lおよび18Rが個別に形成される場合、フード構造18Lおよび18Rが、製造工程において基部18に取り付けられる。
【0021】
図2に示されているように、筐体12がブラケット16に固定された状態では、筐体12の左右からはカメラ14Lおよび14Rが前方に突出している。筐体12は、カメラ14Lがブラケット16の左側のカメラ穴24を貫通し、カメラ14Rがブラケット16の右側のカメラ穴24を貫通するように、ブラケット16に固定されている。左右のフード構造18Lおよび18Rは、それぞれ、カメラ14Lおよび14Rの前方にあるフロントガラス102との間にカメラ14Lおよび14Rの視界を挟み、カメラ14Lおよび14Rの視界を囲んで不要な光を遮る。
【0022】
図4および
図5には、それぞれ、筐体12の上面図および正面図が示されている。筐体12は、左筐体12L、中央筐体12Mおよび右筐体12Rを備えている。中央筐体12Mは、左筐体12Lと右筐体12Rに挟まれている。左筐体12Lの前面からはカメラ14Lが前方に突出し、右筐体12Rからはカメラ14Rが前方に突出している。中央筐体12Mの中央部の上方からは前方に支点棒34が突出している。
【0023】
左筐体12Lと中央筐体12Mとの境界付近からは軸支持片32Lが上方に立設し、軸支持片32Lから右方向に左軸30Lが突出している。右筐体12Rと中央筐体12Mとの境界付近からは軸支持片32Rが上方に立設し、軸支持片32Rから左方向に右軸30Rが突出している。このように、左軸30Lおよび右軸30Rは、それぞれ、軸支持片32Lおよび32Rによって支持されており、左右に同軸で並べられている。左軸30Lおよび右軸30Rは、筐体12の上面から離れた位置(筐体12の上方)で左右方向に延びる。また、左軸30Lおよび右軸30Rの間の前方に支点棒34が設けられている。
【0024】
図6には、筐体12がブラケット16に取り付けられた状態における車載カメラユニット10の底面図が示されている。筐体12はブラケット16の下側に固定されており、左右のカメラ14Lおよび14Rは、ブラケット16の左右にあるカメラ穴24を貫通している。
【0025】
図7には、
図3のAA線でブラケット16を切断した場合に現れる断面の一部が示されている。この断面には、左軸30Lを固定するための軸固定構造50Lが現れている。軸固定構造50Lは、腕部54および軸仮置き片52を備えている。腕部54は、筐体12が取り付けられたときに、ブラケット16の下方で左軸30Lを抱える。腕部54は、基部18から下方に延びた後、後方に折れ曲がっている。軸仮置き片52は、腕部54の先端から後方斜め下に延びている。軸仮置き片52の上側表面は、下方に膨らんだ曲面を描きながら、前方が高くなるように傾斜しており、軸仮置き片52によって傾斜面構造が形成されている。また、軸仮置き片52の先端部は上方に反っている。
【0026】
軸固定構造50Lには、さらに、筐体12が取り付けられたときに、腕部54との間に左軸30Lを挟む軸ばね片56が設けられている。軸ばね片56は、基部18の上面から後方に延び、基部18の後方の縁に沿って前方に折れ曲がり、さらに、腕部54が形成されている位置で下方に折れ曲がり、腕部54が後方に折れ曲がる位置よりも上方で後方に折れ曲がった略S字形状を有している。軸ばね片56のうち、腕部54と並んで延びる区間は、その区間の前端を中心に弾性的に揺動自在となっている。
【0027】
図8には、後方左斜め下側から軸固定構造50Lを眺めた斜視図が示されている。
図8に示されているように、基部18は、軸固定構造50Lが形成される領域が下方に凹んでおり、この凹んだ領域に腕部54が形成されている。基部18と腕部54との間に挟まれる空間は右側が固定構造壁58によって塞がれているものの、左側は開放されており左軸30Lが入り込む。
【0028】
図9には、
図3のBB線でブラケット16を切断した場合に現れる断面の一部が示されている。この断面には、右軸30Rを固定するための軸固定構造50Rが現れている。軸固定構造50Rの構造は、軸固定構造50Lに対して左右対称であるため、説明を省略する。
【0029】
図10には、
図3のCC線でブラケット16を切断した場合に現れる断面が示されている。この断面には、支点棒34の先端部を支点として揺動自在となるように、支点棒34を支持する支点支持構造60が現れている。支点支持構造60は、基部18の下方の領域を覆い、後方から支点棒34を受け入れる受容穴36を形成する半筒形状部62を有している。すなわち、半筒形状部62は、筒形状がその軸方向断面で切断され、さらに前方が塞がれた形状を有している。基部18は、下方に凹んだ領域を有しており、その領域に穴38が開けられている。支点支持構造60には、さらに、受容穴36の内部で前後方向に延び、筐体12が取り付けられたときに支点棒34に接触する支点ばね片64が設けられている。支点ばね片64は、基部18の凹んだ領域のうちの上面から後方に延び、穴38の縁に沿って前方に折れ曲がり、基部18の凹んだ領域の下面において後方に折り返して、後方に延びている。支点ばね片64のうち、後方に折り返した区間は、その区間の前端を中心に弾性的に揺動自在となっている。
【0030】
図11には、前方左斜め下側から支点支持構造60を眺めた斜視図が示されている。
図12には、後方左斜め下側から支点支持構造60を眺めた斜視図が示されている。これらの図に示されているように、支点支持構造60は、基部18の下面を覆う半筒形状部62を備えており、半筒形状部62の後方から支点ばね片64が後方に延びている。
【0031】
ブラケット16に筐体12を取り付ける方法について説明する。
図13(a)、
図14(a)、
図15(a)および
図16(a)には、
図3のBB線の位置で車載カメラユニット10を切断した場合に現れる断面が模式的に示されている。
図3のAA線で車載カメラユニット10を切断した場合に現れる断面は、これらの図面の左右を反転したものとなる。
【0032】
図13(b)、
図14(b)、
図15(b)および
図16(b)には、
図3のCC線の位置で車載カメラユニット10を切断した場合に現れる断面が模式的に示されている。
図13~
図16のそれぞれの左右には、同一の取り付けの段階における状態が示されている。
図13(a)および(b)に示されているように、右軸30Rおよび左軸30Lが、左右の軸仮置き片52に載せられることで、筐体12は支点棒34の先端が受容穴36の後方に位置した状態となる。作業者は、
図14(a)および
図14(b)に示されているように、支点棒34が上側に向けられるように右軸30Rおよび左軸30Lを中心に筐体12を回転させた後、筐体12を前方かつ上方(ブラケット16に向かう側)に押し込むことで、支点棒34を支点支持構造60の受容穴36に挿入する。これによって、
図15(a)、
図15(b)、
図16(a)および
図16(b)に示されているように、右軸30Rは、軸固定構造50Rの軸仮置き片52の上面を滑りながら前方かつ上方に移動し、軸固定構造50Rにおける腕部54と軸ばね片56との間に入り込む。同様に、左軸30Lは軸固定構造50Lの軸仮置き片52の上面を滑りながら前方に移動し、軸固定構造50Lにおける腕部54と基部18との間に入り込む。支点棒34が支点支持構造60の受容穴36に挿入されている状態であっても、支点棒34は受容穴36の内部を揺動自在となっている。したがって、支点棒34および支点支持構造60は、右軸30Rおよび左軸30Lの動きを妨げない。
【0033】
図16に示されているように、支点棒34が受容穴36の最奥部に押し込まれた状態となることで、支点棒34は支点ばね片64と半筒形状部62の内面との間に挟まれ、支点棒34は支点支持構造60に支持される。これと共に、左軸30Lおよび右軸30Rは、それぞれ、軸固定構造50Lおよび50Rに固定される。すなわち、軸固定構造50Lの軸ばね片56と腕部54との間に左軸30Lが挟まれ、左軸30Lが軸固定構造50Lに固定される。また、軸固定構造50Rの軸ばね片56と腕部54との間に右軸30Rが挟まれ、右軸30Rが軸固定構造50Rに固定される。これによって筐体12がブラケット16に固定される。
【0034】
このように、本発明の実施形態に係る車載カメラユニット10は、カメラを支持する筐体12と、筐体12を下方で保持するブラケット16とを備える車載カメラ固定構造を有している。ブラケット16は、左軸30Lおよび右軸30Rに対応して設けられた一対の傾斜面構造と、左軸30Lおよび右軸30Rに対応して設けられた一対の軸固定構造(50L,50R)とを備えている。左側の傾斜面構造は、軸固定構造50Lの軸仮置き片52によって形成され、右側の傾斜面構造は、軸固定構造50Rの軸仮置き片52によって形成されている。各傾斜面構造は、筐体12が前方に向かい、筐体12がブラケット16に取り付けられるときに、左軸30Lおよび右軸30Rを前方に案内すると共に、左軸30Lおよび30Rをブラケット16に向かう側に案内する。
【0035】
すなわち、ブラケット16は、筐体12が固定されるための構造として、支点支持構造60、左右の傾斜面構造および左右の軸固定構造(50L,50R)を備えている。支点支持構造60は、前後方向に延びた棒状部材としての支点棒34の先端部を支持する。左右の傾斜面構造は、横方向に延びた軸部材としての左軸30Lおよび右軸30Rを、後方から前方に向かうに従って上方に案内する。左右の軸固定構造(50L,50R)は左右の傾斜面構造を形成し、左右の傾斜面構造の前方で左軸30Lおよび右軸30Rを固定する。
【0036】
筐体12をブラケット16に取り付ける筐体取り付け方法は、以下のステップを含んでいる。(i)左軸30Lおよび右軸30Rを傾斜面構造に接触させるステップ、(ii)左軸30Lおよび右軸30Rを左右の傾斜面構造に沿って前方かつ上方に移動させるステップ、(iii)支点棒34を支点支持構造60に支持させるステップ、(iv)左軸30Lおよび右軸30Rを左右の軸固定構造(50L,50R)に固定するステップ。
【0037】
このような構造または方法によれば、左軸30Lを軸固定構造50Lの軸仮置き片52に載せ、右軸30Rを軸固定構造50Rの軸仮置き片52に載せた後に、支点棒34を受容穴36に挿入した後に筐体12を前方に押し込むという簡単な作業で、筐体12がブラケット16に固定される。また、左右の軸固定構造50Lおよび50Rと、支点支持構造60によって筐体12の位置が定められ、筐体12と天井との間に隙間が形成される。したがって、支点棒34の先端を作業者が目視できる場合には、作業者は支点棒34が支点支持構造60に固定されたことを目視によって確認することができ、取り付け作業が容易になる。また、作業中には、左軸30Lおよび右軸30Rが左右の軸仮置き片52に載せられるため、筐体12の落下が防止される。
【0038】
上記では、自動車100のフロントガラス102に車載カメラユニット10が固定される実施形態が示された。車載カメラユニット10は、自動車のその他のガラスに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 車載カメラユニット、12 筐体、16 ブラケット、18 基部、18L,18R フード構造、20 底面、22 側壁、24 カメラ穴、26 後方壁、28 突出領域、30R 右軸、30L 左軸、32L,32R 軸支持片、34 支点棒、36 受容穴、38 穴、50L,50R 軸固定構造、52 軸仮置き片、54 腕部、56 軸ばね片、58 固定構造壁、60 支点支持構造、62 半筒形状部、64 支点ばね片、100 自動車、102 フロントガラス。