(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2020169026
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍜治本 晋明
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-138572(JP,A)
【文献】特開平06-199187(JP,A)
【文献】特開2011-073572(JP,A)
【文献】特開2004-306831(JP,A)
【文献】特開2006-111055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0232527(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104554056(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、
前記表示部の駆動電流値
が許容値を超えているか否かを推定する推定部と、
前記推定部
によって前記表示部の駆動電流値
が前記許容値を超えていると推定された場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する制限部と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記表示部の画素値に基づき前記駆動電流値
が前記許容値を超えているか否かを推定する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記表示部の画素値を画素の並びに基づき順に加算した合計値が閾値を超えた場合に、前記駆動電流値が
前記許容値を超えていると推定する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記表示部の輝度設定に基づき前記駆動電流値
が前記許容値を超えているか否かを推定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は車両に搭載され、
前記制限部は、前記推定部によって前記表示部の駆動電流値が
前記許容値を超えていると推定されたとき、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧が閾値電圧より低いときの少なくとも一方を満たす場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する、請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は車両に搭載され、
前記制限部は、前記車両がアイドリングストップ状態である場合に、前記車両がアイドリングストップ状態でない場合に比べて、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を遅くする、請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
表示部と、前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、を備える表示装置の制御方法であって、
前記表示部の駆動電流値
が許容値を超える値であるか否かを推定する推定工程と、
前記推定工程
によって前記表示部の駆動電流値
が前記許容値を超えていると推定された場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する制限工程と、
を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動TILT機構を備える表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後部座席に座る搭乗者に映像及び音声を提供するリアシートエンターテインメントシステム(RSE)が開発されている(例えば特許文献1参照)。リアシートエンターテインメントシステムは、車両の天井部材から垂下した状態で視聴可能な表示装置と、車両内に設けられたスピーカとを含む。
【0003】
リアシートエンターテインメントシステムの表示装置の中には、表示部の傾きを可変する駆動機構、いわゆる電動TILT機構を備えるものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-144916号公報
【文献】特開2017-136984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動TILT機構を備える表示装置では、電動TILT機構の動作中に電動TILT機構の消費電流が大きくなる。そのため、電動TILT機構を備える表示装置では、電動TILT機構の動作中に表示装置全体の消費電流が許容値を超えてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、消費電流を抑えることができる表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、表示部と、前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、前記表示部の駆動電流値が許容値を超えているか否かを推定する推定部と、前記推定部によって前記表示部の駆動電流値が前記許容値を超えていると推定された場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する制限部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成の表示装置において、前記推定部は、前記表示部の画素値に基づき前記駆動電流値が前記許容値を超えているか否かを推定する構成(第2の構成)であってもよい。
【0009】
上記第2の構成の表示装置において、前記推定部は、前記表示部の画素値を画素の並びに基づき順に加算した合計値が閾値を超えた場合に、前記駆動電流値が前記許容値を超えていると推定する構成(第3の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1~第3いずれかの構成の表示装置において、前記推定部は、前記表示部の輝度設定に基づき前記駆動電流値が前記許容値を超えているか否かを推定する構成(第4の構成)であってもよい。
【0011】
上記第1~第4いずれかの構成の表示装置において、前記表示装置は車両に搭載され、前記制限部は、前記推定部によって前記表示部の駆動電流値が前記許容値を超えていると推定されたとき、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧が閾値電圧より低いときの少なくとも一方を満たす場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する構成(第5の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第4いずれかの構成の表示装置において、前記表示装置は車両に搭載され、前記制限部は、前記車両がアイドリングストップ状態である場合に、前記車両がアイドリングストップ状態でない場合に比べて、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を遅くする構成(第6の構成)であってもよい。
【0013】
本発明に係る制御方法は、表示部と、前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、を備える表示装置の制御方法であって、前記表示部の駆動電流値が許容値を超える値であるか否かを推定する推定工程と、前記推定工程によって前記表示部の駆動電流値が前記許容値を超えていると推定された場合に、前記駆動機構による前記表示部の移動速度を制限する制限工程と、を備える構成(第7の構成)である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る表示装置及びその制御方法によると、表示装置の消費電流を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る表示装置の取り付け例を示す図
【
図4】実施形態に係る表示装置の概略構成例を示す図
【
図5】実施形態に係る表示装置の第1動作例を示すフローチャート
【
図9】実施形態に係る表示装置の第2動作例を示すフローチャート
【
図10】実施形態に係る表示装置の第3動作例を示すフローチャート
【
図12】他の表示装置の動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
実施形態に係る表示装置1は、車両に搭載される。
図1は、表示装置1の取り付け例を示す図である。
図1に示す例では、表示装置1は、車両の天井に取り付けられ、車両の後部座席に座る搭乗者に映像を提供する。
【0018】
表示装置1は、車両の天井に固定されるベース部2と、ベース部2に対して開閉可能な筐体3と、ベース部2と筐体3との間に設けられるヒンジ4(
図2参照)と、を備える。筐体3には、表示部が組み込まれている。本実施形態では、
図2のように、表示部の表示画面5が筐体3の内側面に設けられており、ベース部2に対して筐体3を閉じた場合(開閉角度θを0°にした場合)に表示部の表示画面5が隠れる。一方、本実施形態とは異なり、
図3に示す変形例に係る表示装置1’のように、表示部の表示画面5を筐体3の外側面に設け、ベース部2に対して筐体3を閉じた場合(開閉角度θを0°にした場合)に表示部の表示画面5が露出するようにしてもよい。
【0019】
<表示装置の構成>
図4は、表示装置1の概略構成例を示す図である。表示装置1は、マイコン11と、映像IC12と、表示部13と、駆動機構14と、を備える。
【0020】
マイコン11は、表示装置1全体に対する制御を行う。詳細には、マイコン11は、演算処理を行うことで各種の制御機能を実現するCPU(Central Processing Unit)と、演算処理の作業領域となるRAM(Random Access Memory)と、各種のデータを記憶する不揮発性メモリと、を備える。
【0021】
マイコン11は、表示装置1の各部を制御する機能として、制限部11A、駆動信号生成部11B等を備える。すなわち、表示装置1は、制限部11Aと、駆動信号生成部11Bと、をさらに備える。マイコン11が備える上記の機能は、不揮発性メモリに予め記憶されるプログラムに従ってCPUが演算処理を実行することによって実現される。
【0022】
制限部11Aは、後述する推定部13Cの推定結果に基づき、駆動機構14による表示部13の移動速度を制限する。
【0023】
駆動信号生成部11Bは、第1PWM(Pulse Width Modulation)駆動信号S1を生成する。具体的には、駆動信号生成部11Bは、リモコン送信機等の操作装置から送信される電動TILTの指示を受信すると、第1PWM駆動信号S1を生成する。第1PWM駆動信号S1は、駆動機構14に供給される。また、駆動信号生成部11Bは、第2PWM駆動信号S2を生成する。具体的には、駆動信号生成部11Bは、映像IC12から表示部13が映像信号S3を受け取っていることをSPI(Serial Peripheral Interface)通信により表示部13から通知されると、表示装置1の周辺照度を検知する照度センサの出力信号に基づくオンデューティの第2PWM駆動信号S2を生成する。第2PWM駆動信号S2は表示部13に供給される。
【0024】
映像IC12は、表示装置1の外部から提供される映像信号を受け取ると、受け取った映像信号に対して各種の映像処理を施して得られる映像信号S3を表示部13に供給する。映像IC12は、表示装置1の外部から提供される映像信号に、マイコン11から提供されるOSD(On Screen Display)信号を重畳する映像処理を施すことができる。また、映像IC12は、マイコン11から提供されるOSD信号のみを映像信号S3として表示部13に供給することもできる。映像IC12から表示部13に供給される映像信号S3の形式は特に限定されないが、本実施形態ではLVDS(Low Voltage Differential Signaling)形式の映像信号とする。
【0025】
表示部13は、映像信号S3に基づく映像を表示する。表示部13は、表示駆動IC13Aと、表示パネル13Bと、を備える。表示パネル13Bの前面が、表示部13の表示画面5となる。
【0026】
表示駆動IC13Aは、映像信号S3のRGBデータに基づき表示部13の各画素値を設定し、第2PWM駆動信号S2のオンデューティに基づき表示部13の輝度を設定し、これらの設定に基づき表示パネル13Bを駆動する。また、表示駆動IC13Aは、映像信号S3を受け取っている間、映像IC12が映像信号を受け取っていることをSPI通信によりマイコン11に通知する。
【0027】
表示パネル13Bは、OLED(Organic Light Emitting Diode)等の自発光タイプの表示パネルである。なお、本実施形態とは異なり、表示パネル13Bを非自発光タイプの表示パネルとする場合、表示パネルに光を照射するバックライトを設け、表示駆動IC13Aが表示部13の各画素値の設定に基づき表示パネルを駆動し、表示部13の輝度設定に基づきバックライトを駆動すればよい。
【0028】
推定部13Cは、表示駆動IC13A内に設けられる。すなわち、表示装置1は、推定部13Cを備える。推定部13Cは、表示部13の駆動電流値を推定し、推定結果S4をマイコン11に送る。推定部13Cによる推定の具体的な手法については後述する。
【0029】
駆動機構14は、表示部13の傾きを可変する。具体的には、駆動機構14は、ベース部2に対して筐体3を回転させて、ベース部2に対する表示部13の傾きを可変する。駆動機構14は、モータ駆動IC14Aと、回転アクチュエータ14Bと、を備える。回転アクチュエータ14Bは、モータ14Cを含む。モータ駆動IC14Aは、第1PWM駆動信号S1のオンデューティに基づく回転速度でモータ14Cを駆動させる。回転アクチュエータ14Bは、モータ14Cの回転速度に応じた表示部13の移動速度でベース部2に対して筐体3を回転させる。
【0030】
<表示装置の第1動作例>
図5は、表示装置1の第1動作例を示すフローチャートである。
【0031】
表示装置1に電源が投入されると、
図5に示すフロー動作が開始される。まず、映像IC12は、表示装置1の外部から提供される映像信号を入力している否かを判定する(ステップS10)。
【0032】
映像IC12が表示装置1の外部から提供される映像信号を入力している場合(ステップS10のYES)、映像IC12は映像信号S3を表示部13に送り、表示部13は映像信号S3に基づく映像を表示し(ステップS20)、その後ステップS30に進む。
【0033】
一方、映像IC12が表示装置1の外部から提供される映像信号を入力していない場合(ステップS10のNO)、ステップS20をスキップしてステップS30に進む。
【0034】
ステップS30では、マイコン11は、電動TILTの開始指示があるか否かを判定する。電動TILTの開始指示がなければステップS10に戻り、電動TILTの開始指示があればステップS40に進む。
【0035】
ステップS40では、推定部13Cは、表示部13の駆動電流値を推定する。
【0036】
ステップS40に続くステップS50では、マイコン11は、制限部11Aによる制限が必要か否かを推定部13Cの推定結果に基づき判定する。
【0037】
制限部11Aによる制限が必要である場合(ステップS50のYES)、制限部11Aは、駆動機構14による表示部13の移動速度を制限し(ステップS60)、その後ステップS70に進む。具体的には、制限部11Aは、駆動信号生成部11Bを制御して、制限部11Aによる制限が必要でない場合に比べて第1PWM駆動信号S1のオンデューティを小さくし、その後ステップS70に進む。
【0038】
一方、制限部11Aによる制限が必要でない場合(ステップS50のNO)、ステップS60をスキップしてステップS70に進む。
【0039】
ステップS70では、マイコン11は、電動TILTの終了指示があるか否かを判定する。電動TILTの終了指示がなければステップS40に戻り、電動TILTの終了指示があればステップS10に戻る。
【0040】
上述した
図5に示すフロー動作によると、表示部13の消費電流が大きいときに駆動機構14の消費電流を抑えることができる。したがって、表示部13の消費電流及び駆動機構14の消費電流を含む表示装置1の消費電流のピーク値を抑えることができる。
【0041】
<推定処理の第1例>
図6は、ステップS40の推定処理の第1例を示すフローチャートである。
図6に示すフロー動作では、まず表示駆動IC13Aは、表示部13の画素値を画素の並びに基づき順に加算した合計値を算出する(ステップS400)。当該合計値は、まず始めに1行1列の画素のR値、G値、及びB値の合計値となり、次に1行1列の画素のR値、G値、及びB値と1行2列の画素のR値、G値、及びB値との合計値に更新され、その後同様に順次更新される。
【0042】
ステップS400に続くステップS402において、推定部13Cは、ステップS400で算出した合計値が閾値を超えているか否かを判定する。なお、ステップS402における判定処理において、ステップS400で算出した合計値を画素数で割った平均値と、上記閾値を画素数で割った値との比較によって判定を行ってもよい。
【0043】
ステップS400で算出した合計値が閾値を超えている場合(ステップS402のYES)、推定部13Cは、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値であると推定し、推定結果S4をハイレベルの信号とし(ステップS404)、推定処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS400で算出した合計値が閾値を超えていない場合(ステップS402のNO)、推定部13Cは、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値でないと推定し、推定結果S4をローレベルの信号とし(ステップS406)、推定処理を終了する。
【0045】
上述した
図6に示す推定処理によると、推定部13Cは、表示部13の画素値に基づき表示部13の駆動電流値を推定するので、自発光タイプの表示部13の駆動電流値を簡単な処理で推定することができる。
【0046】
また、上述した
図6に示す推定処理によると、推定部13Cは、表示部13の画素値を画素の並びに基づき順に加算した合計値が閾値を超えた場合に、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値であると推定する。これにより、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値であることを少ない処理量で推定することができる。
【0047】
<推定処理の第2例>
図7は、ステップS40の推定処理の第2例を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートにステップS401を追加したものである。ステップS401は、ステップS400とステップS402との間に設けられる。
【0048】
ステップS401では、推定部13Cは、表示部13の輝度設定に基づき閾値を可変する。具体的には、推定部13Cは、表示部13の輝度設定が明るいほど、すなわち第2PWM駆動信号S2のオンデューティが大きいほど、閾値を小さくする。表示部13の画素値が同じでも表示部13の輝度設定が明るいほど、表示部13の駆動電流値は大きくなるからである。
【0049】
上述した
図7に示す推定処理によると、推定部13Cは、表示部13の画素値及び輝度設定に基づき表示部13の駆動電流値を推定するので、表示部13の駆動電流値の推定精度を向上させることができる。
【0050】
<推定処理の第3例>
図8は、ステップS40の推定処理の第3例を示すフローチャートである。
図8に示すフロー動作では、まず表示駆動IC13Aは、表示部13の輝度設定が閾値レベルを超えているか否か、すなわち第2PWM駆動信号S2のオンデューティが上記閾値レベルに対応する値より大きいか否かを判定する(ステップS403)。
【0051】
表示部13の輝度設定が閾値レベルを超えている場合(ステップS403のYES)、推定部13Cは、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値であると推定し、推定結果S4をハイレベルの信号とし(ステップS404)、推定処理を終了する。
【0052】
一方、表示部13の輝度設定が閾値レベルを超えていない場合(ステップS403のNO)、推定部13Cは、表示部13の駆動電流値が制限部11Aによる制限が必要な値でないと推定し、推定結果S4をローレベルの信号とし(ステップS406)、推定処理を終了する。
【0053】
上述した
図8に示す推定処理によると、推定部13Cは、表示部13の輝度設定に基づき表示部13の駆動電流値を推定するので、表示部13が本実施形態とは異なり非自発光タイプの表示部であっても、表示部13の駆動電流値を推定することができる。
【0054】
<表示装置の第2動作例>
図9は、表示装置1の第2動作例を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートにステップS41を追加したものである。ステップS41は、ステップS40とステップS50との間に設けられる。
【0055】
ステップS41では、マイコン11は、車両に搭載されているバッテリの出力電圧のモニタリング結果を取得する。
【0056】
ステップS50では、マイコン11は、制限部11Aによる制限が必要か否かを推定部13Cの推定結果のみならず車両に搭載されているバッテリの出力電圧にも基づき判定する。具体的には、マイコン11は、推定部13Cの推定結果に基づき制限部11Aによる制限が必要でないと判定し、バッテリの出力電圧に基づき制限部11Aによる制限が必要でないと判定した場合にのみ、制限部11Aによる制限が必要でないと判定する。
【0057】
マイコン11は、バッテリの出力電圧が閾値電圧より低いときに制限部11Aによる制限が必要であると判定する。
【0058】
上述した
図9に示すフロー動作によると、バッテリの出力電圧が閾値電圧より低いときも表示装置1の消費電流のピーク値を抑えることができる。これにより、バッテリと表示装置1との間に設けられるDC/DCコンバータの出力電圧すなわち表示装置1の電源電圧の電圧降下を抑えることができる。
【0059】
<表示装置の第3動作例>
図10は、表示装置1の第3動作例を示すフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートにステップS42を追加したものである。ステップS42は、ステップS40とステップS50との間に設けられる。
【0060】
ステップS42では、マイコン11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)から出力される制御状態を示す信号等に基づき、車両がアイドリングストップ状態であるか否かを把握する。これにより、マイコン1は、バッテリの出力電圧が閾値電圧より低いか否かを判定することなく、バッテリの出力電圧が閾値電圧より低い蓋然性が高い状態、すなわちアイドリングストップ状態を把握するので、上述した第2動作例よりもマイコン11の処理負担を軽減することができる。
【0061】
ステップS50では、マイコン11は、制限部11Aによる制限が必要か否かを推定部13Cの推定結果のみならず車両がアイドリングストップ状態であるか否かにも基づき判定する。具体的には、マイコン11は、推定部13Cの推定結果に基づき制限部11Aによる制限が必要でないと判定し、車両がアイドリングストップ状態でないことに基づき制限部11Aによる制限が必要でないと判定した場合にのみ、制限部11Aによる制限が必要でないと判定する。
【0062】
マイコン11は、車両がアイドリングストップ状態であるときに制限部11Aによる制限が必要であると判定する。
【0063】
上述した
図10に示すフロー動作によると、車両がアイドリングストップ状態であるときも表示装置1の消費電流のピーク値を抑えることができる。これにより、バッテリと表示装置1との間に設けられるDC/DCコンバータの出力電圧すなわち表示装置1の電源電圧の電圧降下を抑えることができる。
【0064】
<変形例>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0065】
ここで、表示装置1と同様に消費電流を抑えることができる他の表示装置について説明する。なお、以下の説明では主として表示装置1と異なる部分について説明し、表示装置1と同様の部分について説明は適宜省略する。
【0066】
図11は、表示装置1と同様に消費電流を抑えることができる他の表示装置である表示装置1”の概略構成を示す図である。
図11において、
図4と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0067】
表示装置1”は、「表示部と、前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、第1PWM駆動信号及び第2PWM駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記第1PWM駆動信号のオン期間と第2PWM駆動信号のオン期間とが重複する重複期間において前記第1PWM駆動信号のオン期間をオフ期間に補正する補正部と、を備え、前記駆動機構は、前記補正部による補正後の前記第1PWM駆動信号に応じて前記表示部の傾きを可変し、前記表示部は、前記第2PWM駆動信号に応じて輝度を可変する、表示装置」の一例である。
【0068】
表示装置1”は、表示装置1とは異なり、制限部11A及び推定部13Cを備えておらず、補正部15を備える。
【0069】
補正部15は、第1PWM駆動信号S1のオン期間と第2PWM駆動信号S2のオン期間とが重複する重複期間において第1PWM駆動信号S1のオン期間をオフ期間に補正する。
【0070】
補正部15は、NOTゲート15Aと、ANDゲート15Bと、を備える。第1PWM駆動信号S1はANDゲート15Bの第1入力端に供給され、第2PWM駆動信号S2はNOTゲート15Aの入力端に供給される。NOTゲート15Aの出力信号はANDゲート15Bの第2入力端に供給される。モータ駆動IC14Aは、ANDゲート15Bの出力端から出力される信号のオンデューティに基づく回転速度でモータ14Cを駆動させる。
【0071】
図12は、他の表示装置の動作例を示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートからステップS40~S60を取り除き、ステップS40とステップS70との間にステップS43及びステップS44を設けたものである。
【0072】
ステップS43では、駆動信号生成部11Bは、第1PWM駆動信号S1を生成する。
【0073】
ステップS44では、補正部15は、第1PWM駆動信号S1を補正する。具体的には、補正部15は、第1PWM駆動信号S1のオン期間と第2PWM駆動信号S2のオン期間とが重複する重複期間において第1PWM駆動信号S1のオン期間をオフ期間に補正する。
【0074】
ANDゲート15Bの出力信号のオン期間にモータ14Cに駆動電流が流れ、ANDゲート15Bの出力信号のオフ期間にモータ14Cに駆動電流が流れず、第2PWM駆動信号S2のオン期間に表示部13の表示画面5は点灯し、第2PWM駆動信号S2のオフ期間に表示部13の表示画面5は消灯する。したがって、ステップS44の補正処理により、表示部13の表示画面5が点灯しているときにはモータ14Cに駆動電流が流れないようにすることができる。したがって、表示部13の消費電流及び駆動機構14の消費電流を含む表示装置1”の消費電流のピーク値を抑えることができる。
【0075】
また、表示装置1”から補正部15を取り除き、駆動信号生成部11Bが、互いにオン期間が重複しない第1PWM駆動信号S1及び第2PWM駆動信号S2を生成するようにしてもよい。例えば、第1PWM駆動信号S1及び第2PWM駆動信号S2の最大オンデューティを50%未満とし、第1PWM駆動信号S1及び第2PWM駆動信号S2のPWM周期を同一とし、第1PWM駆動信号S1の立ち上がりエッジと第2PWM駆動信号S2の立ち上がりエッジとをPWM周期の半分だけずらすとよい。
【0076】
つまり、表示装置1”から補正部15を取り除き、「表示部と、前記表示部の傾きを可変する駆動機構と、互いにオン期間が重複しない第1PWM駆動信号及び第2PWM駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、前記駆動機構は、前記第1PWM駆動信号に応じて前記表示部の傾きを可変し、前記表示部は、前記第2PWM駆動信号に応じて輝度を可変する」構成にしてもよい。このような構成でも、表示装置1”と同様に、表示部13の表示画面5が点灯しているときにはモータ14Cに駆動電流が流れないようにすることができる。したがって、表示部13の消費電流及び駆動機構14の消費電流を含む表示装置の消費電流のピーク値を抑えることができる。
【符号の説明】
【0077】
1、1’、1” 表示装置
11A 制限部
11B 駆動信号生成部
13 表示部
13C 推定部
14 駆動機構
15 補正部