(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20240620BHJP
H01R 4/2433 20180101ALI20240620BHJP
H01R 4/2429 20180101ALI20240620BHJP
【FI】
H01R13/46 E
H01R4/2433
H01R4/2429
(21)【出願番号】P 2020186441
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 理司
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175236(JP,A)
【文献】特開2017-216220(JP,A)
【文献】特開平09-027355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0072241(US,A1)
【文献】特開2005-019377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R 4/24- 4/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに接続されるコネクタであって、
前記コネクタは、相手側コネクタと前後方向に沿って嵌合可能であり、
前記コネクタは、ハウジングと、コンタクトと、前記ケーブルを位置決めするためのロケータとを備えており、
前記ハウジングは、前記コンタクト及び前記ロケータを保持しており、
前記コンタクトは、接続部を有しており、
前記接続部は、
前記前後方向に沿って移動させた前記ケーブルと圧接接続可能であり、
前記ロケータは、前端面と、第1面と、第2面とを有しており、且つ、前記ロケータには、位置決め溝が形成されており、
前記前端面は、前記ロケータの前端に位置しており、
前記第1面及び前記第2面は、前記前後方向と直交する上下方向において、互いに反対側に位置しており、
前記位置決め溝は、前側溝と、後側溝と、連結溝とを有しており、
前記前側溝は、前記前端面から後方に凹んでおり、且つ、前記上下方向に沿って前記第1面から前記連結溝まで延びており、
前記後側溝は、前記第2面から前記上下方向において前記第1面に向かって凹んでおり、且つ、前記連結溝から後方に延びて後方に開口しており、
前記連結溝は、前方に開口しており、且つ、前記上下方向において前記第2面に向かって開口しており、
前記ロケータが前記ケーブルを位置決めするとき、前記前側溝は、前記ケーブルの一部である前側被規制部を受容し、且つ、前記後側溝は、前記ケーブルの他の一部である後側被規制部を受容し、
前記前側被規制部を受容した前記前側溝は、前記前側被規制部の後方への移動を規制し、且つ、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向における前記前側被規制部の移動を規制し、
前記後側被規制部を受容した前記後側溝は、前記後側被規制部の前記第1面に向かう移動を規制し、且つ、前記横方向における前記後側被規制部の移動を規制
し、
前記前側溝には、前側保持部が設けられており、
前記後側溝には、後側保持部が設けられており、
前記前側溝が前記ケーブルの前記前側被規制部を受容したとき、前記前側保持部は、前記前側被規制部を保持し、
前記後側溝が前記ケーブルの前記後側被規制部を受容したとき、前記後側保持部は、前記後側被規制部を保持する
コネクタ。
【請求項2】
請求項
1記載のコネクタであって、
前記連結溝は、底面を有しており、
前記底面は、前記前側溝の後方に位置しており、且つ、前記上下方向において前記後側溝に比べて前記第1面の近くに位置している
コネクタ。
【請求項3】
請求項
2記載のコネクタであって、
前記底面は、前記前後方向及び前記上下方向によって規定される垂直面において、円弧形状を有している
コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記ロケータには、前記コンタクトの前記接続部をガイドするためのガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝は、前記前側溝の前記横方向における内壁面に形成されており、前記横方向に凹んでおり、且つ、前記前後方向に沿って延びている
コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記ロケータは、突当部を有しており、
前記突当部は、前記前側溝の後方に位置しており、且つ、前記第1面から前記上下方向の外側に向かって張り出しており、
前記ハウジングは、被突当部を有しており、
前記被突当部は、前記前後方向において前記突当部に面している
コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項
5までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記ロケータには、2つの前記位置決め溝が形成されており、
2つの前記位置決め溝は、前記横方向に並んでいる
コネクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれかに記載のコネクタであって、
前記ロケータには、反転位置決め溝が形成されており、
前記反転位置決め溝は、前記位置決め溝を上下に反転した構造を有しており、
前記位置決め溝と前記反転位置決め溝とは、前記横方向に並んでいる
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを位置決めするためのロケータを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのコネクタは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
図25を参照すると、特許文献1のコネクタは、複数のケーブル98を位置決めするためのロケータ90を備えている。ロケータ90には、ケーブル98に夫々対応した複数の凹部92と、複数の櫛歯94とが設けられている。ケーブル98の夫々は、対応する凹部92に部分的に受容された後、直角に曲げられて、隣り合う2つの櫛歯94によって保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロケータによれば、ロケータの壁面に沿ってケーブルを折り曲げる必要がある。この方法によれば、ロケータのサイズが小さい場合、ケーブルを適切に曲げるために過剰な応力が必要になる。従って、ケーブルの破損を防止しつつケーブルを曲げるためには、ロケータのサイズを、ある程度大きくする必要がある。即ち、特許文献1のロケータは、小型化に適していない。
【0006】
そこで、本発明は、ケーブルを適切に曲げることができ、且つ、小型化可能な構造を有するロケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、
ケーブルに接続されるコネクタであって、
前記コネクタは、ハウジングと、コンタクトと、前記ケーブルを位置決めするためのロケータとを備えており、
前記ハウジングは、前記コンタクト及び前記ロケータを保持しており、
前記コンタクトは、接続部を有しており、
前記接続部は、前後方向に沿って移動させた前記ケーブルと圧接接続可能であり、
前記ロケータは、前端面と、第1面と、第2面とを有しており、且つ、前記ロケータには、位置決め溝が形成されており、
前記前端面は、前記ロケータの前端に位置しており、
前記第1面及び前記第2面は、前記前後方向と直交する上下方向において、互いに反対側に位置しており、
前記位置決め溝は、前側溝と、後側溝と、連結溝とを有しており、
前記前側溝は、前記前端面から後方に凹んでおり、且つ、前記上下方向に沿って前記第1面から前記連結溝まで延びており、
前記後側溝は、前記第2面から前記上下方向において前記第1面に向かって凹んでおり、且つ、前記連結溝から後方に延びて後方に開口しており、
前記連結溝は、前方に開口しており、且つ、前記上下方向において前記第2面に向かって開口しており、
前記ロケータが前記ケーブルを位置決めするとき、前記前側溝は、前記ケーブルの一部である前側被規制部を受容し、且つ、前記後側溝は、前記ケーブルの他の一部である後側被規制部を受容し、
前記前側被規制部を受容した前記前側溝は、前記前側被規制部の後方への移動を規制し、且つ、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向における前記前側被規制部の移動を規制し、
前記後側被規制部を受容した前記後側溝は、前記後側被規制部の前記第1面に向かう移動を規制し、且つ、前記横方向における前記後側被規制部の移動を規制する
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記前側溝には、前側保持部が設けられており、
前記後側溝には、後側保持部が設けられており、
前記前側溝が前記ケーブルの前記前側被規制部を受容したとき、前記前側保持部は、前記前側被規制部を保持し、
前記後側溝が前記ケーブルの前記後側被規制部を受容したとき、前記後側保持部は、前記後側被規制部を保持する
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記連結溝は、底面を有しており、
前記底面は、前記前側溝の後方に位置しており、且つ、前記上下方向において前記後側溝に比べて前記第1面の近くに位置している
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記底面は、前記前後方向及び前記上下方向によって規定される垂直面において、円弧形状を有している
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第1から第4までのいずれかのコネクタであって、
前記ロケータには、前記コンタクトの前記接続部をガイドするためのガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝は、前記前側溝の前記横方向における内壁面に形成されており、前記横方向に凹んでおり、且つ、前記前後方向に沿って延びている
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1から第5までのいずれかのコネクタであって、
前記ロケータは、突当部を有しており、
前記突当部は、前記前側溝の後方に位置しており、且つ、前記第1面から前記上下方向の外側に向かって張り出しており、
前記ハウジングは、被突当部を有しており、
前記被突当部は、前記前後方向において前記突当部に面している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第1から第6までのいずれかのコネクタであって、
前記ロケータには、2つの前記位置決め溝が形成されており、
2つの前記位置決め溝は、前記横方向に並んでいる
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1から第7までのいずれかのコネクタであって、
前記ロケータには、反転位置決め溝が形成されており、
前記反転位置決め溝は、前記位置決め溝を上下に反転した構造を有しており、
前記位置決め溝と前記反転位置決め溝とは、前記横方向に並んでいる
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロケータの位置決め溝は、上下方向に沿って延びる前側溝と、前後方向に沿って延びる後側溝と、前側溝と後側溝とを互いに連結する連結溝とを有している。ケーブルを、位置決め溝に部分的に受容させることで、ケーブルをスムーズ且つ適切に曲げることができる。特に、ロケータのサイズが小さい場合であっても、ケーブルに過剰な応力を加えることなく、ケーブルを適切に曲げることができる。即ち、本発明によれば、ケーブルを適切に曲げることができ、且つ、小型化可能な構造を有するロケータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタをケーブルと共に示す斜視図である。コネクタは、ケーブルに接続されている。コネクタのハウジングに保持されて隠れているコンタクトを、破線円の内側に描画している。
【
図2】
図1のコネクタ及びケーブルを示す分解斜視図である。コネクタの一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、ケーブルに接近した際のコンタクトの接続部の輪郭を破線で描画している。
【
図3】
図1のコネクタのハウジングを示す斜視図である。
【
図4】
図1のコネクタのロケータをケーブルと共に示す斜視図である。ロケータは、ケーブルを位置決めしている。ロケータの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図5】
図4のロケータ及びケーブルを示す側面図である。
【
図6】
図4のロケータ及びケーブルを示す前面図である。
【
図7】
図4のロケータ及びケーブルを示す下面図である。ケーブルに圧接接続されたときのコンタクトの接続部の輪郭を破線で描画している。ロケータの一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図12】
図9のロケータをXII-XII線に沿って示す断面図である。ケーブルの輪郭の一部を破線で描画している。
【
図13】
図9のロケータをXIII-XIII線に沿って示す断面図である。
【
図14】
図1のコネクタの変形例をケーブルと共に示す斜視図である。コネクタは、ケーブルに接続されている。
【
図15】
図14のコネクタ及びケーブルを示す分解斜視図である。
【
図16】
図14のコネクタのロケータをケーブルと共に示す斜視図である。ロケータは、ケーブルを位置決めしている。
【
図20】
図18のロケータを示す上面図である。ケーブルの輪郭の一部を破線で描画している。
【
図21】
図18のロケータを示す前面図である。ケーブルの輪郭の一部を破線で描画している。
【
図23】
図21のロケータをXXIII-XXIII線に沿って示す断面図である。ケーブルの輪郭の一部を破線で描画している。
【
図24】
図21のロケータをXXIV-XXIV線に沿って示す断面図である。
【
図25】特許文献1のロケータをケーブルと共に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、使用時に2本のケーブル81に接続され、ケーブル81と共にハーネス12を形成する。即ち、本実施の形態のハーネス12は、コネクタ10と、ケーブル81とを備えている。ケーブル81の夫々において、両端のうちの一方は、コネクタ10に接続されており、両端のうちの他方は、電子機器(図示せず)に接続されている。
【0018】
本実施の形態のコネクタ10は、プラグであり、レセプタクルである相手側コネクタ(図示せず)と嵌合方向(前後方向:X方向)に沿って嵌合可能である。コネクタ10が相手側コネクタと嵌合すると、ハーネス12に接続された電子機器(図示せず)は、相手側コネクタに接続された相手側電子機器(図示せず)と電気的に接続される。本実施の形態のコネクタ10は、上述した構造を有しており、上述したように機能する。但し、本発明は、これに限られず、様々なコネクタ10に適用可能である。例えば、コネクタ10は、レセプタクルであってもよい。また、嵌合方向は、X方向に限定されない。
【0019】
図2を参照すると、本実施の形態の2本のケーブル81は、絶縁体からなる外被802によって覆われており、これにより、1本のケーブル集合体80を形成している。ケーブル81の夫々は、導電体からなる芯線812と、芯線812を覆う絶縁体からなる被覆814とを有している。ケーブル81の夫々における両端のうちの一方は、外被802から露出して前方(+X方向)に延びている。本実施の形態のケーブル集合体80及びケーブル81は、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ケーブル集合体80におけるケーブル81の数は、1であってもよいし、3以上であってもよい。ケーブル集合体80の構造は、ケーブル81の夫々が被覆814によって覆われた芯線812を有している限り、特に限定されない。
【0020】
図1及び
図2を参照すると、本実施の形態のコネクタ10は、絶縁体からなるハウジング20と、導電体からなる2つのコンタクト30,40と、2本のケーブル81を位置決めするための絶縁体からなるロケータ50とを備えている。2つのコンタクト30,40は、2本のケーブル81に夫々対応して設けられている。ハウジング20は、コンタクト30,40及びロケータ50を保持している。本実施の形態のコネクタ10は、上述した部材のみを備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10は、上述した部材に加えて、ハウジング20を覆う金属製のシェルを備えていてもよい。また、コンタクトの数は、ケーブル81の数と同じであればよい。例えば、ケーブル81の数が1である場合、コンタクトの数は、1であればよい。
【0021】
以下、本実施の形態のハウジング20及びコンタクト30,40について説明する。
【0022】
図2及び
図3に示されるように、本実施の形態のハウジング20は、本体部22と、第1張出部24と、第2張出部26とを有している。本体部22は、X方向に沿って延びている。第1張出部24及び第2張出部26の夫々は、水平面(XY平面)と平行な平板形状を有している。第1張出部24及び第2張出部26は、本体部22の後端(-X側の端)から後方(-X方向)に張り出している。第1張出部24及び第2張出部26は、X方向と直交する上下方向(Z方向)において、互いに反対側に位置している。より具体的には、第1張出部24は、本体部22の上端(+Z側の端)に位置しており、第2張出部26は、本体部22の下端(-Z側の端)に位置している。
【0023】
本実施の形態のハウジング20は、一体に形成された部材である。換言すれば、本体部22、第1張出部24及び第2張出部26の夫々は、単一部材の一部である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ハウジング20は、2以上の部材を組み合わせて形成されていてもよい。また、ハウジング20は、上述した部位に加えて、更に別の部位を有していてもよい。
【0024】
本実施の形態のハウジング20には、ガイド部242が形成されている。ガイド部242は、第1張出部24に形成された凹みである。ガイド部242は、第1張出部24の後端から前方に凹んでおり、上方(+Z方向)及び下方(-Z方向)に開口している。ガイド部242のX方向におけるサイズ(長さ)は、ガイド部242のX方向及びZ方向の双方と直交する横方向(Y方向)におけるサイズ(幅)よりも大きい。即ち、ガイド部242は、X方向に長く延びている。
【0025】
本実施の形態のハウジング20は、2つの被突当部244を有している。被突当部244の夫々は、第1張出部24の後面(-Z側の面)の一部であり、後方を向いている。被突当部244の夫々は、X方向と直交する所定平面(YZ平面)に沿って延びている。2つの被突当部244は、Y方向において、ガイド部242を挟んで並んでいる。
【0026】
図1を参照すると、本実施の形態のコンタクト30は、1枚の曲げのない金属板からなり、前側部32と、接続部36とを有している。前側部32は、コンタクト30の前側(+X側)の部位である。接続部36は、前側部32の後端から後方に延びている。接続部36は、2つの接続片362を有している。2つの接続片362は、Y方向において僅かな距離を開けて並んでいる。
【0027】
本実施の形態のコンタクト40は、1枚の曲げを有する金属板からなり、前側部42と、連結部44と、接続部46とを有している。前側部42は、コンタクト40の前側の部位である。連結部44は、前側部42の後端から全体として上方に延びている。接続部46は、連結部44の上端から後方に延びている。即ち、連結部44は、前側部42と接続部46とを互いに連結している。接続部46は、2つの接続片462を有している。2つの接続片462は、Y方向において僅かな距離を開けて並んでいる。
【0028】
図3を参照すると、コンタクト30の接続部36及びコンタクト40の接続部46は、Z方向において互いに同じ位置にあり、Y方向に並んでいる。
図7を
図2と併せて参照すると、接続部36及び接続部46は、2つのケーブル81に夫々対応して設けられている。Z方向に延びるケーブル81の一部を、X方向に沿って後方から接続部36(接続部46)に向かって移動させると、2つの接続片362(接続片462)は、ケーブル81の被覆814を破り、芯線812をY方向に挟み込む。即ち、本実施の形態の接続部36,46の夫々は、X方向に沿って移動させたケーブル81と圧接接続可能である。
【0029】
本実施の形態のコンタクト30,40の夫々は、ピンコンタクト(雄コンタクト)であり、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト30,40の夫々は、ピンコンタクトであってもよいし、ソケットコンタクト(雌コンタクト)であってもよい。コンタクト30,40の夫々が対応するケーブル81と圧接接続可能である限り、接続部36,46の夫々の構造は、特に限定されない。また、ケーブル集合体80が1本のケーブル81のみを備えている場合、コネクタ10は、コンタクト30及びコンタクト40のうちの一方のみを備えていればよい。
【0030】
図1に示されるように、ハウジング20の本体部22には、2つの接続孔28が形成されている。接続孔28の夫々は、本体部22の前端(+X側の端)に形成された孔である。2つの接続孔28は、Y方向及びZ方向の夫々において互いに異なる位置にある。
【0031】
コンタクト40の前側部42は、コンタクト30の前側部32の下方に位置している。前側部32及び前側部42は、ハウジング20の内部に位置しており、ハウジング20によって保持されている。詳しくは、前側部32は、YZ平面において、上側(+Z側)の接続孔28と同じ位置にあり、前側部42は、YZ平面において、下側(+Z側)の接続孔28と同じ位置にある。コネクタ10と相手側コネクタ(図示せず)とが互いに嵌合した嵌合状態において、相手側コネクタの2つの相手側コンタクト(図示せず)は、接続孔28に夫々受容され、前側部32及び前側部42と夫々接触する。
【0032】
以下、本実施の形態のロケータ50について説明する。
【0033】
図8を参照すると、本実施の形態のロケータ50は、基部52と、後部54と、中間板56と、2つの側板58とを有している。基部52は、ブロック形状を有している。後部54は、基部52の後方に位置している。中間板56及び側板58の夫々は、X方向及びZ方向によって規定される垂直面(XZ平面)と並行な平板形状を有している。中間板56及び側板58は、Y方向において互いに距離をあけて並んでいる。中間板56は、Y方向において、2つの側板58の間の中間部に位置している。
図8及び
図9を参照すると、中間板56及び側板58の夫々は、基部52から前方及び下方に張り出している。
【0034】
図8、
図9及び
図11を参照すると、ロケータ50は、前端面62を有している。前端面62は、ロケータ50の前端に位置している。本実施の形態の前端面62は、中間板56及び側板58の前面(+X側の面)である。本実施の形態によれば、中間板56及び側板58の前面は、X方向において互いに同じ位置にある。即ち、前端面62のX方向における位置は、Y方向における位置によらず一定である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、中間板56及び側板58の前面は、X方向において互いに異なる位置にあってもよい。即ち、前端面62のX方向における位置は、Y方向における位置によって変わってもよい。また、前端面62は、中間板56及び側板58と異なる部位の前面であってもよい。
【0035】
ロケータ50は、前端面62に加えて、第1面64と、第2面66とを有している。第1面64及び第2面66は、Z方向において、互いに反対側に位置している。本実施の形態の第1面64は、ロケータ50の基部52、中間板56及び側板58の上面(+Z側の面)であり、本実施の形態の第2面66は、ロケータ50の中間板56及び側板58の下面(-Z側の面)である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、
図2を参照すると、ロケータ50は、ハウジング20に対して上下に反転した構造を有していてもよい。即ち、
図8を参照すると、第1面64は、ロケータ50の基部52、中間板56及び側板58の下面であってもよく、第2面66は、ロケータ50の中間板56及び側板58の上面であってもよい。
【0036】
図8に示されるように、本実施の形態のロケータ50の後部54は、基部52の第1面64からZ方向の外側に向かって張り出している。より具体的には、後部54は、第1面64を越えて上方に張り出している。
【0037】
本実施の形態のロケータ50は、一体に形成された部材であり、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロケータ50は、2以上の部材を組み合わせて形成されていてもよい。また、ロケータ50の構造は、必要に応じて様々に変形可能である。
【0038】
図4を参照すると、本実施の形態のロケータ50には、2本のケーブル81に夫々対応する2つの位置決め溝70が形成されている。位置決め溝70の夫々は、対応するケーブル81をコネクタ10に対して位置決めするための部位である。従って、位置決め溝70の数は、ケーブル81の数と同じであればよい。例えば、ケーブル81の数が1である場合、ロケータ50には、位置決め溝70が1つのみ形成されていればよい。
【0039】
図8から
図11までを参照すると、本実施の形態の2つの位置決め溝70は、Y方向に並んでいる。また、本実施の形態の2つの位置決め溝70は、互いに同じ構造を有している。以下、位置決め溝70のうちの1つの構造を説明する。以下の説明は、位置決め溝70の夫々に適用可能である。
【0040】
図8、
図9及び
図11を参照すると、位置決め溝70は、中間板56と、側板58のうちの一方との間に位置する溝である。位置決め溝70は、XZ平面における基部52の周囲を延びている。また、位置決め溝70は、Y方向において2つの内壁面73の間に位置している。内壁面73のうちの一方は、中間板56の側面であり、内壁面73のうちの他方は、側板58の側面である。
図6を参照すると、位置決め溝70のY方向におけるサイズは、ケーブル81のY方向におけるサイズ(線径)よりも僅かに大きい。
【0041】
図12を参照すると、位置決め溝70は、前側溝72と、後側溝76と、連結溝78とを有している。前側溝72は、位置決め溝70の前側の部位である。前側溝72は、Z方向に沿って延びており、第1面64において開口している。後側溝76は、位置決め溝70の後側の部位(-X側の部位)である。後側溝76は、X方向に沿って延びており、後方に開口している。連結溝78は、位置決め溝70の中間部であり、前側溝72と後側溝76とを互いに連結している。即ち、前側溝72は、Z方向に沿って第1面64から連結溝78まで延びており、後側溝76は、連結溝78から後方に延びて後方に開口している。
【0042】
図8及び
図12を参照すると、前側溝72は、前端面62から基部52まで、後方に凹んでいる。
図11及び
図12を参照すると、後側溝76は、第2面66から基部52まで、Z方向において第1面64に向かって凹んでいる。即ち、
図12を参照すると、前側溝72及び後側溝76の夫々は、底のある凹みである。連結溝78は、前方に開口しており、且つ、Z方向において第2面66に向かって開口している。加えて、前側溝72は、全長に亘って前方に開口しており、後側溝76は、全長に亘って第2面66に向かって開口している。
【0043】
上述した構造により、本実施の形態の位置決め溝70は、全長に亘って、ロケータ50の外部に開口している。従って、ケーブル81を位置決めしておらず且つハウジング20(
図2参照)に取り付けられていない状態のロケータ50(以下、「ロケータ50単体」という。)を前方から見ると、前側溝72を視認できるとともに、連結溝78を通して後側溝76を視認できる。また、ロケータ50単体を第2面66からZ方向に沿って見ると、後側溝76を視認できるとともに、連結溝78を通して前側溝72を視認できる。
【0044】
図2を参照すると、コネクタ10を組み立てる際、まず、ケーブル81がロケータ50の位置決め溝70に夫々受容され位置決めされる。本実施の形態の位置決め溝70は、上述した構造を有しており、ケーブル81を位置決めする際に、ケーブル81を受容し易い。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロケータ50は、前側溝72の一部を前方から覆う部位を有していてもよい。
【0045】
以下、ケーブル81を受容した位置決め溝70のうちの1つについて説明する。以下の説明は、位置決め溝70の夫々に適用可能である。
【0046】
図4、
図6及び
図7を参照すると、ケーブル81をロケータ50によって位置決めするとき、ケーブル81の一部を、位置決め溝70に挿入する。詳しくは、ロケータ50がケーブル81を位置決めするとき、前側溝72は、ケーブル81の一部である前側被規制部82を受容し、後側溝76は、ケーブル81の他の一部である後側被規制部84を受容する。後側溝76に受容された後側被規制部84は、前側溝72に受容された前側被規制部82の後方に位置している。前側被規制部82が前側溝72に受容されたとき、ケーブル81の先端部は、前側溝72から上方に突出していてもよい。この場合、ケーブル81の先端部を切り取ってもよい。
【0047】
図6を
図9と併せて参照すると、前側溝72に受容された前側被規制部82は、X方向において基部52と接触しているか、又は、基部52から僅かに離れて前方に位置している。加えて、前側溝72に受容された前側被規制部82は、Y方向において僅かな距離を開けて中間板56と側板58との間に位置している。前側被規制部82を後方に移動させると、前側被規制部82は、基部52に突き当たり、前側被規制部82をY方向に移動させると、前側被規制部82は、中間板56又は側板58に突き当たる。即ち、前側被規制部82を受容した前側溝72は、前側被規制部82の後方への移動を規制し、且つ、Y方向における前側被規制部82の移動を規制する。
【0048】
図7を
図11と併せて参照すると、後側溝76に受容された後側被規制部84は、Z方向において基部52と接触しているか、又は、基部52から僅かに離れて基部52と第2面66との間に位置している。加えて、後側溝76に受容された後側被規制部84は、Y方向において僅かな距離を開けて中間板56と側板58との間に位置している。後側被規制部84を第1面64(
図8参照)に向かって移動させると、後側被規制部84は、基部52に突き当たり、後側被規制部84をY方向に移動させると、後側被規制部84は、中間板56又は側板58に突き当たる。即ち、後側被規制部84を受容した後側溝76は、後側被規制部84の第1面64に向かう移動を規制し、且つ、Y方向における後側被規制部84の移動を規制する。
【0049】
図12を参照すると、上述したように、本実施の形態のロケータ50の位置決め溝70は、Z方向に沿って延びる前側溝72と、X方向に沿って延びる後側溝76と、前側溝72と後側溝76とを互いに連結する連結溝78とを有している。ケーブル81を、位置決め溝70に部分的に受容させることで、ケーブル81をスムーズ且つ適切に曲げることができる。特に、ロケータ50のサイズが小さい場合であっても、ケーブル81に過剰な応力を加えることなく、ケーブル81を適切に曲げることができる。即ち、本実施の形態によれば、ケーブル81を適切に曲げることができ、且つ、小型化可能な構造を有するロケータ50を提供できる。
【0050】
本実施の形態の連結溝78は、底面79を有している。底面79は、基部52のXZ平面における壁面である。底面79は、前側溝72の後方に位置しており、且つ、Z方向において後側溝76に比べて第1面64の近くに位置している。特に、本実施の形態の底面79は、XZ平面において、円弧形状を有している。底面79の円弧の半径RCは、ケーブル81の前側被規制部82のX方向におけるサイズ(ケーブル81の線径)よりも大きい。この構造によれば、ケーブル81を底面79に沿ってスムーズ且つ適切に曲げることができる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、底面79のXZ平面における形状は、円弧形状に限定されず、楕円弧形状等の丸みを帯びた形状であってもよい。また、底面79の円弧の半径RCは、必要に応じて設定すればよい。
【0051】
図8及び
図9を参照すると、本実施の形態の前側溝72には、2つの前側保持部74が設けられている。前側保持部74は、位置決め溝70の2つの内壁面73に夫々形成された凸部である。前側保持部74の夫々は、Y方向において内壁面73から前側溝72の内部に張り出しており、Z方向に沿って延びている。
図4及び
図6を参照すると、前側溝72がケーブル81の前側被規制部82を受容したとき、前側保持部74は、前側被規制部82を保持する。詳しくは、前側被規制部82は、X方向において前側保持部74と基部52との間に挟み込まれ、これにより、前側被規制部82が前側溝72に受容された状態が維持される。
【0052】
図9及び
図11を参照すると、本実施の形態の後側溝76には、2つの後側保持部77が設けられている。後側保持部77は、位置決め溝70の2つの内壁面73に夫々形成された凸部である。後側保持部77の夫々は、Y方向において内壁面73から後側溝76の内部に張り出しており、X方向に沿って延びている。
図6及び
図7を参照すると、後側溝76がケーブル81の後側被規制部84を受容したとき、後側保持部77は、後側被規制部84を保持する。詳しくは、後側被規制部84は、Z方向において後側保持部77と基部52との間に挟み込まれ、これにより、後側被規制部84が後側溝76に受容された状態が維持される。
【0053】
図4及び
図6を参照すると、本実施の形態によれば、前側保持部74及び後側保持部77が設けられているため、テープ等の仮保持部材(図示せず)を使用することなく、ケーブル81を位置決めされた状態に維持できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、前側保持部74及び後側保持部77ではなく、仮保持部材を使用して、ケーブル81を位置決めされた状態に一時的に維持してもよい。即ち、前側保持部74及び後側保持部77は、必要に応じて設ければよい。前側保持部74の数及び後側保持部77の数は、2に限られない。また、前側保持部74及び後側保持部77の夫々の構造は、ケーブル81を保持できる限り、特に限定されない。
【0054】
図2を参照すると、ケーブル81を位置決めしたロケータ50は、前方に移動することでハウジング20に挿入されハウジング20に取り付けられる。以下、ロケータ50のハウジング20への取り付けについて説明する。
【0055】
図8に示されるように、本実施の形態のロケータ50は、被ガイド部542を有している。被ガイド部542は、基部52の第1面64に形成された凸部である。被ガイド部542は、第1面64からZ方向の外側に向かって張り出しており、後部54の前端から前方に延びている。
図1を参照すると、被ガイド部542は、YZ平面において、ハウジング20のガイド部242と同じ位置にある。被ガイド部542のX方向におけるサイズ(長さ)は、ガイド部242のX方向におけるサイズ(長さ)よりも僅かに小さい。また、被ガイド部542のY方向におけるサイズ(幅)は、ガイド部242のY方向におけるサイズ(幅)よりも僅かに小さい。
【0056】
図1及び
図2を参照すると、ロケータ50をハウジング20に向かって移動させると、ロケータ50は、ハウジング20の第1張出部24及び第2張出部26によって上下に挟まれ、これにより、Z方向においてハウジング20に対して位置決めされる。ロケータ50を移動し続けると、ロケータ50は、ハウジング20の内部に部分的に受容され、これにより、YZ平面においてハウジング20に対して位置決めされる。ロケータ50を更に移動し続けると、被ガイド部542は、ガイド部242に受容され、これにより、ロケータ50は、Y方向において位置ずれすることなく、ハウジング20に挿入される。
【0057】
上述したように、本実施の形態のコネクタ10は、ロケータ50をハウジング20に対して正確に位置決めする位置決め機構を有している。特に、本実施の形態の位置決め機構は、ハウジング20のガイド部242及びロケータ50の被ガイド部542を含んでいる。但し、本発明は、これに限られず、コネクタ10の位置決め機構は、必要に応じて様々に変形可能である。
【0058】
図4及び
図6を参照すると、本実施の形態のロケータ50には、2つのガイド溝75が形成されている。2つのガイド溝75は、2つの前側溝72に夫々対応して設けられている。ガイド溝75の夫々は、対応する前側溝72のY方向における内壁面73のうちの一方に形成されている。
図13を参照すると、ガイド溝75の夫々は、Y方向に凹んでおり、且つ、X方向に沿って延びている。
【0059】
図2を参照すると、2つのガイド溝75は、2つのコンタクト30,40の接続部36,46に夫々対応して設けられている。ロケータ50のハウジング20への挿入に伴って、ガイド溝75の夫々は、対応する接続部36(接続部46)を部分的に受容し、対応するケーブル81の前側被規制部82までX方向に沿ってガイドする。即ち、ガイド溝75は、コンタクト30,40の接続部36,46を夫々ガイドするための部位である。
【0060】
図7を参照すると、ロケータ50がハウジング20(
図2参照)に取り付けられたとき、接続部36,46の夫々は、対応する前側被規制部82までガイドされており、対応する前側被規制部82と圧接接続する。
【0061】
図2を参照すると、本実施の形態によれば、X方向に沿って真っ直ぐ延びるガイド溝75が前側溝72の夫々に設けられているため、接続部36,46の夫々を対応する前側被規制部82まで正確にガイドでき、これによりケーブル81に確実に圧接接続できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ガイド溝75は、必要に応じて設ければよい。前側溝72の夫々におけるガイド溝75の数及び配置は、必要に応じて変形可能である。また、ガイド溝75の夫々の構造は、接続部36(接続部46)をガイドできる限り、特に限定されない。
【0062】
図8を参照すると、本実施の形態のロケータ50は、2つの突当部544を有している。突当部544の夫々は、ロケータ50の後部54のうち第1面64を越えて張り出した部位の前面である。突当部544の夫々は、前側溝72の後方に位置しており、且つ、第1面64からZ方向の外側に向かって張り出している。即ち、突当部544の夫々は、ロケータ50の後端の近傍に位置しており、且つ、ロケータ50の上端の近傍に位置している。突当部544の夫々は、前方を向いており、YZ平面に沿って延びている。2つの突当部544は、Y方向において、被ガイド部542を挟んで並んでいる。
【0063】
図2を参照すると、2つの突当部544は、ハウジング20の被突当部244に夫々対応して設けられている。ロケータ50をハウジング20に挿入する間、突当部544の夫々は、対応する被突当部244とX方向において対向している。
図1を参照すると、ロケータ50をハウジング20に挿入し続けると、突当部544の夫々は、対応する被突当部244と突き当たる。このとき、ロケータ50は、ハウジング20に取り付けられて保持される。このとき、被突当部244は、X方向において突当部544に夫々面している。
【0064】
本実施の形態の突当部544の夫々は、XY平面において、接続部36(接続部46)のロケータ50に対する動線の近傍に配置されている。この配置によれば、操作者がロケータ50をハウジング20に押し込むと、接続部36,46の夫々をケーブル81に確実に圧接接続できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、突当部544の数及び配置は、特に限定されない。また、突当部544の夫々の構造は、特に限定されない。
【0065】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、更に様々に変形可能である。
【0066】
例えば、
図4及び
図5を参照すると、上述した実施の形態の2本のケーブル81は、互いに同様に曲げられて、ロケータ50によって位置決めされる。一方、
図17を参照すると、2本のケーブル81を位置決めする方法は、以下に説明するように変形可能である。
【0067】
図14及び
図15を参照すると、上述した実施の形態の変形例によるコネクタ10Aは、使用時に2本のケーブル81に接続され、ケーブル81と共にハーネス12Aを形成する。即ち、ハーネス12Aは、コネクタ10Aと、ケーブル81とを備えている。コネクタ10Aは、絶縁体からなるハウジング20Aと、導電体からなる2つのコンタクト30,40Aと、2本のケーブル81を位置決めするための絶縁体からなるロケータ50Aとを備えている。2つのコンタクト30,40Aは、2本のケーブル81に夫々対応して設けられている。ハウジング20Aは、コンタクト30,40A及びロケータ50Aを保持している。
【0068】
以下、本変形例のコネクタ10Aについて、コネクタ10(
図1参照)との相違点を中心に説明する。
【0069】
図15に示されるように、ハウジング20Aは、本体部22Aと、第1張出部24Aと、第2張出部26Aとを有している。本体部22Aは、X方向に沿って延びている。第1張出部24A及び第2張出部26Aの夫々は、XY平面と平行な平板形状を有している。第1張出部24Aは、本体部22Aの上端から後方に張り出している。第2張出部26Aは、本体部22Aの下端から後方に張り出している。
【0070】
ハウジング20Aには、ガイド部242が形成されている。本変形例のガイド部242は、第1張出部24Aに形成された凹みであり、ハウジング20のガイド部242(
図2参照)と同様な構造を有している。また、ハウジング20Aは、1つの被突当部244及び1つの被突当部264Aを有している。被突当部244は、第1張出部24Aの後面であり、後方を向いている。被突当部264Aは、第2張出部26Aの後面であり、後方を向いている。ガイド部242は、Y方向において被突当部244と被突当部264Aとの間に位置している。
【0071】
本変形例のコンタクト30は、コネクタ10(
図2参照)と同じ部材である。一方、コンタクト40Aは、コネクタ10のコンタクト40(
図2参照)と異なる部材である。コンタクト40Aは、1枚の曲げのない金属板からなり、コンタクト40と同じ接続部46を有している。コンタクト30の接続部36及びコンタクト40Aの接続部46は、Z方向及びY方向の夫々において互いに異なる位置にある。接続部36及び接続部46は、2つのケーブル81に夫々対応して設けられている。接続部36,46の夫々は、X方向に沿って移動させた対応するケーブル81と圧接接続可能である。
【0072】
図18及び
図19を参照すると、ロケータ50Aは、基部52Aと、後部54Aと、中間板56Aと、2つの側板58Aとを有している。基部52Aは、ブロック形状を有している。後部54Aは、基部52Aの後方に位置している。中間板56A及び側板58Aの夫々は、XZ平面と並行な平板形状を有している。中間板56A及び側板58Aは、Y方向において互いに距離をあけて並んでいる。中間板56Aは、Y方向において、2つの側板58Aの間の中間部に位置している。中間板56Aは、基部52Aから前方に張り出している。側板58Aのうちの一方(+Y側の側板58A)は、基部52Aから前方及び下方に張り出している。側板58Aのうちの他方(-Y側の側板58A)は、基部52Aから前方及び上方に張り出している。
【0073】
ロケータ50Aは、前端面62と、第1面64と、第2面66とを有している。前端面62は、ロケータ50Aの前端に位置している。第1面64及び第2面66は、Z方向において、互いに反対側に位置している。本変形例の第1面64は、ロケータ50Aの基部52A、中間板56A及び側板58Aの上面であり、本変形例の第2面66は、ロケータ50Aの基部52A、中間板56A及び側板58Aの下面である。ロケータ50Aの後部54Aは、基部52Aの第1面64及び第2面66の夫々からZ方向の外側に向かって張り出している。より具体的には、後部54Aは、第1面64を越えて上方に張り出しており、且つ、第2面66を越えて下方に張り出している。
【0074】
図16を参照すると、ロケータ50Aには、2本のケーブル81に夫々対応する1つの位置決め溝70及び1つの反転位置決め溝70Aが形成されている。反転位置決め溝70Aは、位置決め溝70と同様に、対応するケーブル81をコネクタ10Aに対して位置決めするための部位である。位置決め溝70と反転位置決め溝70Aとは、Y方向に並んでいる。本変形例の位置決め溝70は、ロケータ50(
図4参照)の位置決め溝70(
図4参照)のうちの一方と同様な構造を有しており、同様に機能する。一方、
図21及び
図22を参照すると、反転位置決め溝70Aは、位置決め溝70を上下に反転した構造を有している。
【0075】
以下、反転位置決め溝70Aについて説明する。
【0076】
図18及び
図19を参照すると、反転位置決め溝70Aは、側板58Aのうちの一方(-Y側の側板58A)のY方向内側に位置する溝である。反転位置決め溝70Aは、XZ平面における基部52Aの周囲を延びている。また、反転位置決め溝70Aは、Y方向において2つの内壁面73の間に位置している。内壁面73のうちの一方は、中間板56Aの側面であり、
内壁面73のうちの他方は、側板58Aの側面である。
図16を参照すると、反転位置決め溝70AのY方向におけるサイズは、ケーブル81のY方向におけるサイズ(線径)よりも僅かに大きい。
【0077】
図23を参照すると、反転位置決め溝70Aは、前側溝72Aと、後側溝76Aと、連結溝78Aとを有している。前側溝72Aは、反転位置決め溝70Aの前側の部位である。前側溝72Aは、Z方向に沿って延びており、第2面66において開口している。後側溝76Aは、反転位置決め溝70Aの後側の部位である。後側溝76Aは、X方向に沿って延びており、後方に開口している。連結溝78Aは、反転位置決め溝70Aの中間部であり、前側溝72Aと後側溝76Aとを互いに連結している。即ち、前側溝72Aは、Z方向に沿って第2面66から連結溝78Aまで延びており、後側溝76Aは、連結溝78Aから後方に延びて後方に開口している。
【0078】
図18及び
図23を参照すると、前側溝72Aは、
前端面62から基部52Aまで、後方に凹んでいる。後側溝76Aは、第1面64から基部52Aまで、Z方向において第2面66に向かって凹んでいる。即ち、前側溝72A及び後側溝76Aの夫々は、底のある凹みである。連結溝78Aは、前方に開口しており、且つ、Z方向において第1面64に向かって開口している。加えて、前側溝72Aは、全長に亘って前方に開口しており、後側溝76Aは、全長に亘って第1面64に向かって開口している。
【0079】
上述した構造により、反転位置決め溝70Aは、全長に亘って、ロケータ50Aの外部に開口している。従って、ケーブル81を位置決めしておらず且つハウジング20A(
図15参照)に取り付けられていない状態のロケータ50A(以下、「ロケータ50A単体」という。)を前方から見ると、前側溝72Aを視認できるとともに、連結溝78Aを通して後側溝76Aを視認できる。また、ロケータ50A単体を第1面64からZ方向に沿って見ると、後側溝76Aを視認できるとともに、連結溝78Aを通して前側溝72Aを視認できる。
【0080】
図15を参照すると、コネクタ10Aを組み立てる際、まず、ケーブル81がロケータ50Aの位置決め溝70及び反転位置決め溝70Aに夫々受容され位置決めされる。以下、ケーブル81を受容した反転位置決め溝70Aについて説明する。
【0081】
図16、
図20及び
図21を参照すると、ケーブル81をロケータ50Aによって位置決めするとき、前側溝72Aは、ケーブル81の一部である前側被規制部82を受容し、且つ、後側溝76Aは、ケーブル81の他の一部である後側被規制部84を受容する。
【0082】
図21及び
図23を参照すると、前側溝72Aに受容された前側被規制部82は、X方向において基部52Aと接触しているか、又は、基部52Aから僅かに離れて前方に位置している。加えて、前側溝72Aに受容された前側被規制部82は、Y方向において僅かな距離を開けて中間板56Aと側板58Aとの間に位置している。即ち、前側被規制部82を受容した前側溝72Aは、前側被規制部82の後方への移動を規制し、且つ、Y方向における前側被規制部82の移動を規制する。
【0083】
図20及び
図23を参照すると、後側溝76Aに受容された後側被規制部84は、Z方向において
基部52Aと接触しているか、又は、基部52Aから僅かに離れて基部52Aと第1面64との間に位置している。加えて、後側溝76Aに受容された後側被規制部84は、Y方向において僅かな距離を開けて中間板56Aと側板58Aとの間に位置している。即ち、後側被規制部84を受容した後側溝76Aは、後側被規制部84の第2面66に向かう移動を規制し、且つ、Y方向における後側被規制部84の移動を規制する。
【0084】
図23を参照すると、上述したように、本変形例のロケータ50Aの反転位置決め溝70Aは、Z方向に沿って延びる前側溝72Aと、X方向に沿って延びる後側溝76Aと、前側溝72Aと後側溝76Aとを互いに連結する連結溝78Aとを有している。ケーブル81を、反転位置決め溝70Aに部分的に受容させることで、ケーブル81をスムーズ且つ適切に曲げることができる。特に、ロケータ50Aのサイズが小さい場合であっても、ケーブル81に過剰な応力を加えることなく、ケーブル81を適切に曲げることができる。即ち、本変形例によれば、ケーブル81を適切に曲げることができ、且つ、小型化可能な構造を有するロケータ50Aを提供できる。
【0085】
本変形例の連結溝78Aは、底面79Aを有している。底面79Aは、基部52AのXZ平面における壁面である。底面79Aは、前側溝72Aの後方に位置しており、且つ、Z方向において後側溝76Aに比べて第2面66の近くに位置している。特に、本変形例の底面79Aは、XZ平面において、円弧形状を有している。底面79Aの円弧の半径RCは、ケーブル81の前側被規制部82のX方向におけるサイズ(ケーブル81の線径)よりも大きい。この構造によれば、ケーブル81を底面79Aに沿ってスムーズ且つ適切に曲げることができる。
【0086】
図19及び
図21を参照すると、前側溝72Aには、2つの前側保持部74が設けられている。前側保持部74は、反転位置決め溝70Aの2つの内壁面73に夫々形成された凸部である。前側保持部74の夫々は、Y方向において内壁面73から前側溝72Aの内部に張り出しており、Z方向に沿って延びている。前側溝72Aがケーブル81の前側被規制部82を受容したとき、前側保持部74は、前側被規制部82を保持する。
【0087】
図18及び
図20を参照すると、後側溝76Aには、2つの後側保持部77が設けられている。後側保持部77は、反転位置決め溝70Aの2つの内壁面73に夫々形成された凸部である。後側保持部77の夫々は、Y方向において内壁面73から後側溝76Aの内部に張り出しており、X方向に沿って延びている。後側溝76Aがケーブル81の後側被規制部84を受容したとき、後側保持部77は、後側被規制部84を保持する。
【0088】
図15を参照すると、ケーブル81を位置決めしたロケータ50Aは、前方に移動することでハウジング20Aに挿入されハウジング20Aに取り付けられる。以下、ロケータ50Aのハウジング20Aへの取り付けについて説明する。
【0089】
図18に示されるように、ロケータ50Aは、被ガイド部542を有している。本変形例の被ガイド部542は、基部52Aの第1面64に形成された凸部であり、ロケータ50(
図8参照)の被ガイド部542(
図8参照)と同様な構造を有している。
図14及び
図15を参照すると、ロケータ50Aをハウジング20Aに向かって移動させると、ロケータ50Aは、ハウジング20Aに部分的に受容される。その後、被ガイド部542は、ガイド部242に受容され、これにより、ロケータ50Aは、Y方向において位置ずれすることなく、ハウジング20Aに挿入される。即ち、コネクタ10Aは、コネクタ10(
図1及び
図2参照)と同様な位置決め機構を有している。
【0090】
図18、
図19、
図21及び
図24を参照すると、ロケータ50Aには、4つのガイド溝75が形成されている。4つのガイド溝75のうちの2つは、位置決め溝70の前側溝72のY方向における内壁面73に夫々形成されている。4つのガイド溝75のうちの他の2つは、反転位置決め溝70Aの前側溝72AのY方向における内壁面73に夫々形成されている。ガイド溝75の夫々は、Y方向に凹んでおり、且つ、X方向に沿って延びている。位置決め溝70のガイド溝75は、Z方向において第2面66よりも第1面64に近い位置にあり、反転位置決め溝70Aのガイド溝75は、Z方向において
第1面64よりも
第2面66に近い位置にある。
【0091】
図21を
図15と併せて参照すると、位置決め溝70のガイド溝75は、コンタクト30の接続部36に対応して設けられており、反転位置決め溝70Aのガイド溝75は、コンタクト40Aの接続部46に対応して設けられている。ロケータ50Aのハウジング20Aへの挿入に伴って、ガイド溝75の夫々は、対応する接続部36(
接続部46)を部分的に受容し、対応するケーブル81の前側被規制部82までX方向に沿ってガイドする。即ち、ガイド溝75の夫々は、コンタクト30(コンタクト40A)の接続部36(接続部46)をガイドするための部位である。本変形例によれば、X方向に沿って真っ直ぐ延びる2つのガイド溝75が前側溝72及び前側溝72Aの夫々に設けられているため、接続部36,46の夫々を対応する前側被規制部82まで更に正確にガイドでき、これによりケーブル81に更に確実に圧接接続できる。
【0092】
図18及び
図19を参照すると、ロケータ50Aは、1つの突当部544と、1つの突当部544Aとを有している。突当部544は、ロケータ50Aの後部54Aのうち第1面64を越えて張り出した部位の前面である。即ち、突当部544は、前側溝72の後方に位置しており、且つ、第1面64からZ方向の外側に向かって張り出している。突当部544Aは、ロケータ50Aの後部54Aのうち第2面66を越えて張り出した部位の前面である。即ち、突当部544
Aは、前側溝72Aの後方に位置しており、且つ、第2面66からZ方向の外側に向かって張り出している。
【0093】
図15を
図19と併せて参照すると、突当部544,544Aは、ハウジング20Aの被突当部244,264Aに夫々対応して設けられている。ロケータ50Aをハウジング20Aに挿入する間、突当部544,544Aは、被突当部244,264AとX方向において夫々対向している。
図14を
図15及び
図19と併せて参照すると、ロケータ50Aをハウジング20Aに挿入し続けると、突当部544,544Aは、被突当部244,264Aと夫々突き当たる。このとき、ロケータ50Aは、ハウジング20Aに取り付けられて保持される。このとき、被突当部244,264Aは、X方向において突当部544,544Aに夫々面している。
【0094】
本変形例の突当部544,544Aの夫々は、XY平面において、接続部36(接続部46)のロケータ50Aに対する動線の近傍に配置されている。この配置によれば、操作者がロケータ50をハウジング20に向かって押し込むと、接続部36,46の夫々をケーブル81に圧接接続できる。
【0095】
本変形例のコネクタ10Aは、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コネクタ10Aは、コネクタ10(
図1参照)と同様に変形可能である。
【符号の説明】
【0096】
10,10A コネクタ
12,12A ハーネス
20,20A ハウジング
22,22A 本体部
24,24A 第1張出部
242 ガイド部
244 被突当部
26,26A 第2張出部
264A 被突当部
28 接続孔
30 コンタクト
32 前側部
36 接続部
362 接続片
40,40A コンタクト
42 前側部
44 連結部
46 接続部
462 接続片
50,50A ロケータ
52,52A 基部
54,54A 後部
542 被ガイド部
544,544A 突当部
56,56A 中間板
58,58A 側板
62 前端面
64 第1面
66 第2面
70 位置決め溝
70A 反転位置決め溝
72,72A 前側溝
73 内壁面
74 前側保持部
75 ガイド溝
76,76A 後側溝
77 後側保持部
78,78A 連結溝
79,79A 底面
80 ケーブル集合体
802 外被
81 ケーブル
812 芯線
814 被覆
82 前側被規制部
84 後側被規制部