(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】着座位置判定システム、車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20240620BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240620BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240620BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
B60R16/02 660Z
B60R25/24
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2020196191
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133506(JP,A)
【文献】特開2017-118485(JP,A)
【文献】特開2010-196280(JP,A)
【文献】特開2016-038202(JP,A)
【文献】特開2012-081925(JP,A)
【文献】特開2010-163092(JP,A)
【文献】特開2018-040162(JP,A)
【文献】特開2020-122727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0103592(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0216517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00- 1/68
G01S 5/00- 5/14
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
E05B 49/00
B60R 16/02
B60R 25/00-25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車した前記ユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、
車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、
前記車室外通信機及び前記車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、
前記制御装置は、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数の前記ドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数の前記ドアの何れかに対して前記ユーザが前記ドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、
前記車両状態取得部によって前記オープン操作が検出された前記ドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、
前記携帯機検出部は、前記車両状態取得部によって前記オープン操作が行われたことを検出されたことに基づいて、前記車室外通信機を用いて前記対象機を検出し、
前記エントリー判定部は、前記対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記車室内通信機を用いて、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定する着座位置判定システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の着座位置判定システムであって、
前記携帯機検出部は、前記オープン操作が行われたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記対象ドアに対応する前記車室外通信機から、複数の前記携帯機のそれぞれを宛先とする応答要求信号を所定の順番で送信させることにより、前記対象ドアの付近に存在する、前記対象機としての前記携帯機を探索するように構成されており、
前記エントリー判定部は、前記対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記車室内通信機から前記対象機を宛先とする前記応答要求信号を送信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項3】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車した前記ユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、
車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、
前記車室外通信機及び前記車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、
前記制御装置は、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数の前記ドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数の前記ドアの何れかに対して前記ユーザが前記ドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、
前記車両状態取得部によって前記オープン操作が検出された前記ドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、
前記携帯機検出部は、前記オープン操作が行われたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記対象ドアに対応する前記車室外通信機から、複数の前記携帯機のそれぞれを宛先とする応答要求信号を所定の順番で送信させることにより、前記対象ドアの付近に存在する、前記対象機としての前記携帯機を探索するように構成されており、
前記エントリー判定部は、前記対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記車室内通信機から前記対象機を宛先とする前記応答要求信号を送信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定する着座位置判定システム。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記携帯機検出部は、複数の前記携帯機のうち、前記エントリー判定部によって車室内に入ったと判定されている前記携帯機は、車室外における探索対象から除外するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記制御装置は、複数の前記携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号を受信したことに基づいて前記ドアを開錠するように構成されており、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記無線信号によって前記ドアが開錠された場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項6】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車した前記ユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、
車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、
前記車室外通信機及び前記車室内通信機の動作を制御する
とともに、複数の前記携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号を受信したことに基づいて前記車両のドアを開錠する制御装置(4)と、を備え、
前記制御装置は、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前
記ドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え
、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記無線信号によって前記ドアが開錠された場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示する着座位置判定システム。
【請求項7】
請求項1から
6の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいて前記ドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、
前記制御装置は、複数の前記ドアの何れかにおいて前記開錠操作が実行されたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記ドアを開錠するように構成されており、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記開錠操作が行われた前記ドアが運転席用の前記ドアではない場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項8】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車した前記ユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、
車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、
前記車室外通信機及び前記車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、
前記制御装置は、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいて前記ドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、
前記制御装置は、複数の前記ドアの何れかにおいて前記開錠操作が実行されたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記ドアを開錠するように構成されており、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、さらに備え、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記開錠操作が行われた前記ドアが運転席用の前記ドアではない場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示する着座位置判定システム。
【請求項9】
請求項1から
8の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいて、前記ドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、
前記制御装置は、複数の前記ドアの何れかにおいて前記開錠操作が実行されたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて前記ドアを開錠するとともに、複数の前記携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号である開錠指示信号を受信した場合にも前記ドアを開錠するように構成されており、
前記制御装置は、運転席用の前記ドアに対して前記開錠操作が行われたことに基づいて開錠した場合と、前記開錠指示信号の受信に基づいて開錠した場合とで、着座位置の判定に係るシステム応答を変更するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項10】
請求項1から
9の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記着座位置判定部は、
前記ドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを前記車両状態取得部が検出した時点と、前記オープン操作が実行されたドアである対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出した時点を含む、複数の時点で前記対象ドアに対応する座席の着座者を判定するように構成されており、
同一の前記ユーザに対する最新の着座位置の判定結果が、過去の判定結果と相違する場合には、当該ユーザに対する過去の着座位置の判定結果を破棄し、最新の判定結果を採用するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項11】
請求項1から
10の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記車両に対するユーザ独自の設定を示す、ユーザ毎の車両設定データを記憶するユーザ設定記憶部(M1)と、
前記対象座席の環境設定を、前記着座位置判定部によって前記対象座席の着座者と判定されている前記ユーザの前記車両設定データに基づき自動調整する個人設定反映部(F7)と、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、を備え、
前記着座位置判定部は、前記ドアが開錠された時点で運転席の着座者がまだ不明である場合には、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記個人設定反映部は、前記開錠者の車両設定データに基づいて、前記運転席の環境設定を自動調整するように構成されている着座位置判定システム。
【請求項12】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車した前記ユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、
車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、
前記車室外通信機及び前記車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、
前記制御装置は、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、
前記車両に対するユーザ独自の設定を示す、ユーザ毎の車両設定データを記憶するユーザ設定記憶部(M1)と、
前記対象座席の環境設定を、前記着座位置判定部によって前記対象座席の着座者と判定されている前記ユーザの前記車両設定データに基づき自動調整する個人設定反映部(F7)と、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、を備え
、
前記着座位置判定部は、前記ドアが開錠された時点で運転席の着座者がまだ不明である場合には、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記個人設定反映部は、前記開錠者の車両設定データに基づいて、前記運転席の環境設定を自動調整する着座位置判定システム。
【請求項13】
請求項1から
12の何れか1項に記載の着座位置判定システムであって、
前記車両状態取得部は、座席に人間が着座しているか否かを示す着座センサ(83)の出力信号に基づいて、前記座席毎の使用状態を検出するように構成されており、
前記着座位置判定部によって、着座者としての前記ユーザを判定済みの前記座席に対して、当該座席に対応する前記ドアが閉じられた時点以降においても、前記車両状態取得部が前記対象座席は空席であると判定している場合には、当該対象座席の着座者は不明と判定する判定結果補正部(F9)を備える着座位置判定システム。
【請求項14】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて前記ユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数の前記ドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数の前記ドアの何れかに対して前記ユーザが前記ドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、
前記車両状態取得部によって前記オープン操作が検出された前記ドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、
前記携帯機検出部は、前記車両状態取得部によって前記オープン操作が行われたことを検出されたことに基づいて、前記車室外通信機を用いて前記対象機を検出し、
前記エントリー判定部は、前記対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記車室内通信機を用いて、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定する車両用制御装置。
【請求項15】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて前記ユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数の前記ドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数の前記ドアの何れかに対して前記ユーザが前記ドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、
前記車両状態取得部によって前記オープン操作が検出された前記ドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、
前記携帯機検出部は、前記オープン操作が行われたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記対象ドアに対応する前記車室外通信機から、複数の前記携帯機のそれぞれを宛先とする応答要求信号を所定の順番で送信させることにより、前記対象ドアの付近に存在する、前記対象機としての前記携帯機を探索するように構成されており、
前記エントリー判定部は、前記対象ドアが閉じられたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて、前記車室内通信機から前記対象機を宛先とする前記応答要求信号を送信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定する車両用制御装置。
【請求項16】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて前記ユーザ毎の着座位置を判定する
とともに、複数の前記携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号を受信したことに基づいて車両のドアを開錠する車両用制御装置であって、
前記車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え
、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記無線信号によって前記ドアが開錠された場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示する車両用制御装置。
【請求項17】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて前記ユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え
、
前記車両状態取得部は、複数の前記ドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいて前記ドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、
前記車両用制御装置は、複数の前記ドアの何れかにおいて前記開錠操作が実行されたことを前記車両状態取得部が検出したことに基づいて前記ドアを開錠するように構成されており、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、
前記着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、さらに備え、
前記着座位置判定部は、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記認識状態通知部は、前記開錠操作が行われた前記ドアが運転席用の前記ドアではない場合、前記運転席の着座者は前記開錠者であると判定したことを示す画像を前記ディスプレイに表示する車両用制御装置。
【請求項18】
複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて前記ユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、
車両の外面部に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、前記携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、
前記車室外通信機と前記携帯機との通信結果に基づき、車室外において前記車両のドアから所定距離以内に存在する前記携帯機を対象機として検出するとともに、前記対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、
所定の車載センサから、複数の前記ユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、
前記車両状態取得部が前記乗車信号を取得したことに基づいて、前記車室内通信機に前記対象機と通信させることにより、前記対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、
前記エントリー判定部によって前記対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、前記携帯機検出部が検出していた車室外における前記対象機の位置に対応する座席である対象座席を、前記対象機に対応する前記ユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、
前記車両に対するユーザ独自の設定を示す、ユーザ毎の車両設定データを記憶するユーザ設定記憶部(M1)と、
前記対象座席の環境設定を、前記着座位置判定部によって前記対象座席の着座者と判定されている前記ユーザの前記車両設定データに基づき自動調整する個人設定反映部(F7)と、
複数の前記携帯機のうち、前記ドアの開錠に使用された前記携帯機の識別情報に基づいて、前記ドアを開錠した前記ユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、を備え
、
前記着座位置判定部は、前記ドアが開錠された時点で運転席の着座者がまだ不明である場合には、前記開錠者の着座位置は運転席と判定し、
前記個人設定反映部は、前記開錠者の車両設定データに基づいて、前記運転席の環境設定を自動調整する車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の鍵として機能する携帯機と無線通信することにより、車両に乗車するユーザの着座位置を判定する着座位置判定システム、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された車載器と、前述の車両のユーザによって携行され、車載器と対応付けられている携帯機との無線通信による認証が成功したことに基づいて、車両のドアを開錠する車両用電子キーシステムが開示されている。
【0003】
また、特許文献1には車両用電子キーシステムの応用例として、車載器が携帯機からユーザの識別情報を取得することにより、車両をこれから利用するユーザを特定し、車室内の運転環境を当該ユーザ好みの運転環境へと自動的に変更する構成が開示されている。なお、前提として車載器にはユーザごとの運転環境の設定データが、ユーザの識別情報と対応付けて事前登録されている。特許文献1での運転環境とは、運転席の位置やステアリングの位置、空調の設定などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、複数のユーザが同時に車両に乗車する場合は想定されていない。故に、それぞれ携帯機を持った複数のユーザが乗車した場合には、複数のユーザのうち、誰が運転席に着座しているのかまでは特定することができない。
【0006】
また、車両用電子キーシステムは、携帯機及び車載器の電力消費を抑制するために、複数の携帯機のうちの1つでも車室内に存在することが確認できた場合には、それ以上、他の携帯機を探索しないように構成されていることがある。そのような構成においては、最初に乗車したユーザしか乗員としてシステムに認識されない。また、最初に乗車したユーザが、例えば助手席など、運転席以外に着座した場合にも、運転席周りの車室内環境が当該ユーザの設定環境に調整されてしまうといった課題もある。換言すれば、ドライバではないユーザをドライバとみなしてしまう。
【0007】
乗車しているユーザを全員検出するための想定構成としては、車室内に携帯機が存在することを確認できている場合においても、他の携帯機を検出するために、探索信号を送信し続ける構成も考えられる。
【0008】
しかしながら、上記想定構成では通信頻度が高まるため、車載器の消費電力が増大してしまう。当該消費電力に係る課題は、車両に対応付けられている携帯機の数が多いほど顕著となりうる。加えて、想定構成では、複数のユーザが乗車していること及びその人数を特定することはできても、誰がドライバなのか、誰が助手席乗員なのかといった、ユーザ毎の着座位置を特定することはできない。
【0009】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、消費電力を抑制しつつ、乗車しているユーザ毎の着座位置を特定可能な着座位置判定システム、及び、車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するための本開示に含まれる第1の着座位置判定システムは、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車したユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、車室外通信機及び車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、制御装置は、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数のドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数のドアの何れかに対してユーザがドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、車両状態取得部によってオープン操作が検出されたドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、携帯機検出部は、車両状態取得部によってオープン操作が行われたことを検出されたことに基づいて、車室外通信機を用いて対象機を検出し、エントリー判定部は、対象ドアが閉じられたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、車室内通信機を用いて、対象機が車室内に入ったか否かを判定する。
本開示に含まれる第2の着座位置判定システムは、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車したユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、車室外通信機及び車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、制御装置は、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数のドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数のドアの何れかに対してユーザがドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、車両状態取得部によってオープン操作が検出されたドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、携帯機検出部は、オープン操作が行われたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、対象ドアに対応する車室外通信機から、複数の携帯機のそれぞれを宛先とする応答要求信号を所定の順番で送信させることにより、対象ドアの付近に存在する、対象機としての携帯機を探索するように構成されており、エントリー判定部は、対象ドアが閉じられたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、車室内通信機から対象機を宛先とする応答要求信号を送信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定する。
本開示に含まれる第3の着座位置判定システムは、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車したユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、車室外通信機及び車室内通信機の動作を制御するとともに、複数の携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号を受信したことに基づいて車両のドアを開錠する制御装置(4)と、を備え、制御装置は、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外においてドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え、着座位置判定部は、開錠者の着座位置は運転席と判定し、認識状態通知部は、無線信号によってドアが開錠された場合、運転席の着座者は開錠者であると判定したことを示す画像をディスプレイに表示する。
本開示に含まれる第4の着座位置判定システムは、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車したユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、車室外通信機及び車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、制御装置は、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいてドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、制御装置は、複数のドアの何れかにおいて開錠操作が実行されたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、ドアを開錠するように構成されており、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、さらに備え、着座位置判定部は、開錠者の着座位置は運転席と判定し、認識状態通知部は、開錠操作が行われたドアが運転席用のドアではない場合、運転席の着座者は開錠者であると判定したことを示す画像をディスプレイに表示する。
本開示に含まれる第5の着座位置判定システムは、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいて、車両に乗車したユーザ毎の着座位置を判定する着座位置判定システムであって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)と、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と、車室外通信機及び車室内通信機の動作を制御する制御装置(4)と、を備え、制御装置は、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、車両に対するユーザ独自の設定を示す、ユーザ毎の車両設定データを記憶するユーザ設定記憶部(M1)と、対象座席の環境設定を、着座位置判定部によって対象座席の着座者と判定されているユーザの車両設定データに基づき自動調整する個人設定反映部(F7)と、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、を備え、着座位置判定部は、ドアが開錠された時点で運転席の着座者がまだ不明である場合には、開錠者の着座位置は運転席と判定し、個人設定反映部は、開錠者の車両設定データに基づいて、運転席の環境設定を自動調整する。
【0011】
以上の構成によれば、乗車直前と携帯機の位置に応じて、当該携帯機を保持するユーザの着座位置を判定する。例えば乗車前の携帯機の位置が助手席のドア付近である場合には、当該携帯機に紐付けられているユーザの着座位置は助手席と判定する。このような構成によれば、ユーザごとの着座位置、換言すれば座席毎の着座者を特定可能となる。また、上記構成では、車両状態取得部が乗車信号を取得したことをトリガとして、乗車信号を取得する前において車室外に存在することが検出されていた携帯機を対象とした車室内の探索を行う。乗車信号を取得する前において車室外に存在することが検出されていなかった携帯機は、乗車信号取得直後の車室内の探索対象から除外することができるため、車載器に相当する制御装置での消費電力を抑制可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するための本開示に含まれる第1の車両用制御装置は、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいてユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数のドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数のドアの何れかに対してユーザがドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、車両状態取得部によってオープン操作が検出されたドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、携帯機検出部は、車両状態取得部によってオープン操作が行われたことを検出されたことに基づいて、車室外通信機を用いて対象機を検出し、エントリー判定部は、対象ドアが閉じられたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、車室内通信機を用いて、対象機が車室内に入ったか否かを判定する。
本開示に含まれる第2の車両制御装置は、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいてユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサの出力信号に基づいて、複数のドアのそれぞれの開閉状態を検出するとともに、複数のドアの何れかに対してユーザがドアを開くための所定の操作であるオープン操作が実行されたことを検出し、車両状態取得部によってオープン操作が検出されたドアを対象ドアに設定する対象ドア設定部(F5)をさらに備え、携帯機検出部は、オープン操作が行われたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、対象ドアに対応する車室外通信機から、複数の携帯機のそれぞれを宛先とする応答要求信号を所定の順番で送信させることにより、対象ドアの付近に存在する、対象機としての携帯機を探索するように構成されており、エントリー判定部は、対象ドアが閉じられたことを車両状態取得部が検出したことに基づいて、車室内通信機から対象機を宛先とする応答要求信号を送信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定する。
本開示に含まれる第3の車両制御装置は、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいてユーザ毎の着座位置を判定するとともに、複数の携帯機の何れか1つから開錠を指示する無線信号を受信したことに基づいて車両のドアを開錠する車両用制御装置であって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、を備え、着座位置判定部は、開錠者の着座位置は運転席と判定し、認識状態通知部は、無線信号によってドアが開錠された場合、運転席の着座者は開錠者であると判定したことを示す画像をディスプレイに表示する
本開示に含まれる第4の車両制御装置は、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいてユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、を備え、車両状態取得部は、複数のドアのそれぞれに設けられたセンサからの出力信号に基づいてドアを開錠するための所定の開錠操作が実行されたことを検出し、車両用制御装置は、複数のドアの何れかにおいて開錠操作が実行されたことを車両状態取得部が検出したことに基づいてドアを開錠するように構成されており、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、着座位置判定部による判定結果を示す画像を、ディスプレイに表示するための処理を実行する認識状態通知部(F8)と、さらに備え、着座位置判定部は、開錠者の着座位置は運転席と判定し、認識状態通知部は、開錠操作が行われたドアが運転席用のドアではない場合、運転席の着座者は開錠者であると判定したことを示す画像をディスプレイに表示する。
本開示に含まれる第5の車両制御装置は、複数のユーザのそれぞれによって携帯される複数の携帯機からの無線信号の受信状況に基づいてユーザ毎の着座位置を判定する車両用制御装置であって、車両の外面部に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている複数の車室外通信機(5、5A~5D、13A~13C、14A~14E)、及び、車室内に配置されてあって、携帯機と無線通信可能に構成されている少なくとも1つの車室内通信機(6、6A~6B、13D~13F、13X、14F~14G)と通信するための車両内通信部(44)と、車室外通信機と携帯機との通信結果に基づき、車室外において車両のドアから所定距離以内に存在する携帯機を対象機として検出するとともに、対象機の位置を特定する携帯機検出部(F4)と、所定の車載センサから、複数のユーザの何れかが乗車した可能性があることを示す乗車信号を取得する車両状態取得部(F1)と、車両状態取得部が乗車信号を取得したことに基づいて、車室内通信機に対象機と通信させることにより、対象機が車室内に入ったか否かを判定するエントリー判定部(F43)と、エントリー判定部によって対象機が車室内に存在すると判定したことに基づいて、携帯機検出部が検出していた車室外における対象機の位置に対応する座席である対象座席を、対象機に対応するユーザの着座位置と判定する着座位置判定部(F6)と、車両に対するユーザ独自の設定を示す、ユーザ毎の車両設定データを記憶するユーザ設定記憶部(M1)と、対象座席の環境設定を、着座位置判定部によって対象座席の着座者と判定されているユーザの車両設定データに基づき自動調整する個人設定反映部(F7)と、複数の携帯機のうち、ドアの開錠に使用された携帯機の識別情報に基づいて、ドアを開錠したユーザである開錠者を特定する開錠者特定部(F11)と、を備え、着座位置判定部は、ドアが開錠された時点で運転席の着座者がまだ不明である場合には、開錠者の着座位置は運転席と判定し、個人設定反映部は、開錠者の車両設定データに基づいて、運転席の環境設定を自動調整する。
【0013】
上記の車両用制御装置は、前述の着座位置判定システムにおける制御装置と同様の技術的特徴を備えている。そのため、前述の着座位置判定システムと同様の作用により、同様の効果を奏する。
【0014】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】車両用電子キーシステム1の全体構成を概略的に示した図である。
【
図2】スマートキー3の構成を示すブロック図である。
【
図3】車載システム2の構成を示すブロック図である。
【
図4】LF送信機の設置位置及び各LF送信機の通信エリアの一例を示す概念図である。
【
図5】スマートECU4の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】接近時判定処理についてのフローチャートである。
【
図7】オープン時判定処理についてのフローチャートである。
【
図8】クローズ時判定処理についてのフローチャートである。
【
図9】ユーザが車両Hvに接近してから乗車するまでの一連の行動に対する着座位置判定部F6の作動を説明するための図である。
【
図10】ユーザが車両Hvに接近してから乗車するまでの一連の行動に対する着座位置判定部F6の作動結果を示した図である。
【
図11】スマートECU4の変形例を示すブロック図である。
【
図12】開錠者補正処理についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。
図1は、本開示に係る着座位置判定システムが適用された車両用電子キーシステム1の概要を説明するための概念図である。
図1に示すように車両用電子キーシステム1は、複数のユーザによって利用される車両Hvに搭載された車載システム2と、複数のユーザA~Dのそれぞれによって携帯されるスマートキー3A~3Dと、を備える。
【0017】
ここでのユーザとは、車両Hvのユーザとして予め車載システム2に登録されている人物である。ここでは一例として、4人のユーザA~Dが登録されているものとする。スマートキー3A~3Dは何れも、車載システム2と対応付けられてあって、車両Hvの鍵(実体的には電子キー)として機能する携帯機である。スマートキー3A~3DはユーザA~Dに順に対応する。例えばスマートキー3DはユーザDが保有する携帯機である。スマートキー3A~3Dのそれぞれを区別しない場合には単にスマートキー3とも記載する。なお、車載システム2と対応付けられているスマートキー3の数は4つに限定されない。スマートキー3の数は2や3、5以上であってもよい。
【0018】
車載システム2と複数のスマートキー3はそれぞれ、互いに所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施するための構成を有している。具体的には、車載システム2は、LF(Low Frequency)帯に属する所定の周波数の信号を送信する機能と、スマートキー3から送信されるUHF(Ultra High Frequency)帯の信号を受信する機能を有する。なお、車両Hvにおいて、LF帯の信号の送信範囲は、車室内及び車両周辺の所定範囲に限定されている。スマートキー3は、車載システム2から送信されるLF帯の信号を受信する機能と、車載システム2に対してUHF帯に属する所定の周波数の信号を返送する機能を有する。なお、ここでのLF帯とは300kHz以下の周波数帯を指し、20kHz~30kHzなどの周波数も含むものとする。UHF帯は300MHz~3GHzを指す。
【0019】
車両用電子キーシステム1において車載システム2からスマートキー3への信号送信に使用されるLF帯の周波数とは、例えば125kHzや134kHzである。また、スマートキー3から車載システム2への信号送信に使用されるUHF帯の周波数とは、例えば、315MHzや、920MHzなどである。ここでは一例として、車載システム2からスマートキー3への信号送信に使用される周波数としては125kHzが採用されているものとする。また、スマートキー3から車載システム2への信号送信に使用される周波数としては315MHzが採用されているものとする。なお、ここでは一例として車載システム2とスマートキー3とはLF帯及びUHF帯の電波を用いて双方向に無線通信を実施する態様を開示するが、車載システム2とスマートキー3とが無線通信を実施するための周波数は適宜変更可能である。
【0020】
車載システム2は、スマートキー3と相互に無線通信することによってスマートキー3を認証する。また、車載システム2は、スマートキー3の認証が成功したことに基づいて、ユーザが車両Hvを使用するための所定の車両制御を実施する。ユーザが車両Hvを使用するための車両制御とは、ドアの施錠や開錠、エンジンの始動などである。車載システム2によるスマートキー3の認証は、例えばチャレンジ-レスポンス方式によって実施されればよい。認証処理は、スマートキー3で生成されたコードと、車両Hvが保持または生成したコードとを照合する処理を伴うため、照合処理と言い換えることもできる。認証処理の詳細は別途後述する。スマートキー3の認証が成功したということは、正規のスマートキー3であると判定することに相当する。
【0021】
なお、認証処理の準備として、スマートキー3と車載システム2のそれぞれには、認証処理に用いられる暗号鍵が保存されている。暗号鍵は、スマートキー3毎に異なりうる。また、スマートキー3には固有の識別番号(以降、キーID)が割り当てられており、車載システム2には、当該キーIDが登録されている。キーIDは、スマートキー3毎に異なる。なお、前述の暗号鍵は、キーIDであってもよいし、キーIDとは別に用意されていても良い。例えば、キーIDは、1番~4番などの数ビットで表現される一方、暗号鍵は5ビット以上の長さを有するビット列であってもよい。キーID及び暗号鍵がスマートキー3の識別情報に相当する。また、暗号鍵を用いて生成される後述のレスポンスコードも識別情報に含めることができる。
【0022】
また、車載システム2は、スマートキー3と無線通信を実施することにより、ユーザごとの着座位置を特定する。そして、ユーザの着座位置を特定すると、そのユーザに対応する車両設定データを参照し、例えば座席位置等の車室内環境を、ユーザの好みに応じた車室内環境へと自動的に設定変更する。例えばユーザBの着座位置が運転席であると判定した場合には、運転席の座席位置やハンドル高さなどの運転席周り環境を、ユーザBの設定環境を適用する。また、例えばユーザAの着座位置が助手席であると判定した場合には、助手席の座席位置や助手席向けの吹出口から吹き出させる空調空気の温度や風向など、助手席周りの環境を構築する車両設備にユーザAの設定を適用する。
【0023】
なお、或るユーザの着座位置は運転席であると判定するということは、当該ユーザが、今回のトリップにおいてドライバとしての役割を担うユーザであると判定することに相当する。ここでのトリップとは、車両Hvが走行を開始してから駐車されるまでの一連の走行を指す。また、ユーザ毎の着座位置を判定することは、乗員としての属性(以降、乗員属性)を判定することに相当する。乗員属性とは、具体的には、運転席乗員として乗車するのか、助手席乗員として乗車するのか、後部座席乗員に乗車するのかといった着座位置に対応するものである。加えて、ユーザ毎の着座位置を判定することは、座席毎の着座者を判定することに相当する。ここでの或る座席の着座者とは、当該座席を利用するユーザ、換言すれば、当該座席に着座している/着座予定のユーザに相当する。
【0024】
以下、各要素の具体的な構成及び作動について述べる。なお、本実施形態では一例として車両Hvはエンジン車とするが、車両Hvは、ハイブリッド車や、電気自動車であってもよい。ここでのエンジン車は動力源としてエンジンのみを備える車両を指し、ハイブリッド車は動力源としてエンジンとモータを備える車両を指す。エンジン車にはディーゼル車も含まれる。電気自動車は、モータのみを駆動源として備える車両を指す。また一例として車両Hvは右側に運転席が設けられた車両とするが、車両Hvは左側に運転席が設けられた車両でも良い。車両Hvは、個人によって所有される、いわゆるオーナーカーであってもよいし、カーシェアリングサービスで使用される車両であってもよい。また、レンタカーや、会社組織が保有する社用車であってもよい。
【0025】
<スマートキー3の構成>
まずは、スマートキー3の構成について説明する。スマートキー3は
図2に示すように、操作部31、キー側受信部32、キー側制御部33、及びキー側送信部34を備える。キー側制御部33は、キー側受信部32及びキー側送信部34のそれぞれと通信可能に接続されている。
【0026】
操作部31はスマートキー3に対するユーザ操作を受け付けるための構成である。操作部31は、例えばプッシュスイッチとする。例えば、ユーザは操作部31としてのスイッチを押下することで、車両Hvのドアの開錠/施錠を実施させるリモートキーレスエントリー機能を利用することができる。操作部31は複数のスイッチを備えていてもよい。例えば操作部31は、車両Hvのドアを施錠するためのスイッチである施錠スイッチと、車両Hvのドアを開錠するためのスイッチである開錠スイッチとを含みうる。なお、操作部31はディスプレイとタッチパネルとの組み合わせによって実現されていてもよい。スマートキー3は、ユーザによって操作されたスイッチに応じた遠隔制御信号をスマートECU4に向けて無線送信することで、車両ドアの施錠/開錠等の制御を実行する、いわゆるリモートキーレスエントリーシステムを提供する。
【0027】
キー側受信部32は、車載システム2から送信されるLF帯に属する所定の周波数(ここでは125kHz)の無線信号(以降、LF信号)を受信するための構成である。キー側受信部32は、LF信号を受信するためのアンテナや、受信信号を復調する回路(いわゆる復調回路)を用いて実現されている。キー側受信部32は、アンテナで受信した信号に対して、アナログデジタル変換や、復調、復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、その抽出したデータをキー側制御部33に提供する。
【0028】
キー側制御部33は、キー側受信部32から受信信号が入力されると、この信号に対応する応答信号に相当するベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号をキー側送信部34に出力する。例えばキー側制御部33は、キー側受信部32が車載システム2から送信される応答要求信号を受信した場合には、受信した応答要求信号の内容に応じた応答信号としてのベースバンド信号を生成し、キー側送信部34に出力する。当該応答信号としてのベースバンド信号は、キー側送信部34で所定の変調処理が施され、無線信号として送信される。
【0029】
また、キー側制御部33は、車載システム2から送信される後述のチャレンジコードを含む応答要求信号を受信した場合には、スマートキー3に予め登録されている暗号鍵を用いて生成したレスポンスコードを含むベースバンド信号を生成する。キー側制御部33が生成したレスポンスコードを含むベースバンド信号(いわゆるレスポンス信号)は、キー側送信部34に出力されて、無線信号として送信される。
【0030】
当該キー側制御部33は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備えた、コンピュータを用いて実現されればよい。なお、キー側制御部33は、1つ又は複数のIC、FPGAなどを用いて実現されていても良い。
【0031】
キー側送信部34は、スマートキー3が車載システム2に向けてUHF帯に属する所定の周波数(ここでは315MHz)の無線信号を送信するための構成である。キー側送信部34は、キー側制御部33から入力されるベースバンド信号に対して変調や周波数変換などを施した信号を、電波に変換して空間へ放射する。キー側送信部34は、アンテナや変調回路を用いて実現されている。キー側送信部34が送信する無線信号は、RF信号とも称される。RFは、Radio Frequencyの略である。
【0032】
スマートキー3の外観形状としては、扁平な直方体型や、扁平な楕円体型(いわゆるフォブタイプ)、カード型など、多様な形状を採用可能である。スマートキー3は、ユーザに携帯され、かつ、車両Hvの電子キーとしての機能を備えるデバイスであればよい。車両Hvの電子キーとしての機能とは、具体的には、車載システム2からの要求に基づいて車両Hvの鍵であることを証明する情報(例えばレスポンスコード)を返送する機能である。レスポンス信号はレスポンスコードとは別に送信元情報としてキーIDを含んでいても良い。ただし、レスポンスコードの生成にキーIDが使用されている場合には、レスポンスコード自体が、送信元であるスマートキー3の識別情報として機能しうる。そのため、レスポンスコードを生成するための暗号鍵としてキーIDが使用されている場合には、レスポンス信号は、レスポンスコードとは別にキーIDを含んでいる必要はない。スマートキー3は、キーIDやレスポンスコードなどといった、スマートECU4が送信元を特定可能な識別情報を含む信号を送信可能に構成されていればよい。
【0033】
なお、スマートキー3はスマートフォンやタブレット端末などといった情報処理端末であってもよい。また、スマートキー3は、ユーザの指や腕等に装着されるウェアラブルデバイスとして構成されていてもよい。スマートキー3が携帯機に相当する。
【0034】
<車載システム2の構成>
次に車載システム2の構成について述べる。車載システム2は、
図3に示すようにスマートECU4、車室外送信機5、車室内送信機6、受信機7、車載センサ8、HMIシステム9、空調ECU10、ボディECU11、及びボディ系モータ12を備える。車載センサ8は車両Hvの状態を検出するセンサであって、例えば、タッチセンサ81、ドアボタン82、着座センサ83、カーテシスイッチ84などが含まれる。HMIシステム9は、ユーザへ向けて情報を提示するシステムであって、ディスプレイ91とHCU92とを含む。部材名称中のECUはElectronic Control Unitの略であり、電子制御装置を指す。HMIは、Human Machine Interfaceの略であり、HCUは、HMI Control Unitの略である。
【0035】
スマートECU4は、車室外送信機5、車室内送信機6、及び受信機7のそれぞれと専用の信号線で接続されている。また、スマートECU4は、HMIシステム9や空調ECU10、ボディECU11などと、車両Hv内に構築されている通信ネットワークである車両内ネットワークNwを介して、相互通信可能に接続されている。なお、車室外送信機5や、車室内送信機6、受信機7の一部又は全部も車両内ネットワークNwを介してスマートECU4と通信するように構成されていてもよい。また、ボディECU11なども、車両内ネットワークNwを介さずにスマートECU4と専用線で接続されていてもよい。装置同士の接続形態は適宜変更可能である。受信機7はスマートECU4に内蔵されていても良い。
【0036】
スマートECU4は、スマートキー3と無線通信することで車両Hvの施錠状態等を制御する処理や、車両Hvに乗車するユーザごとの着座位置を判定するECUである。スマートECU4が車両用制御装置に相当する。スマートECU4は、プロセッサ41、RAM42、ストレージ43、通信インターフェース44(図中のI/O)、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えた、コンピュータとして構成されている。プロセッサ41は、例えばCPU等の演算コアである。プロセッサ41は、RAM42へのアクセスにより、種々の処理を実行する。RAM42は揮発性のメモリである。
【0037】
ストレージ43は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ43には、コンピュータをスマートECU4として機能させるためのプログラムである車両制御プログラムが格納されている。プロセッサ41が車両制御プログラムを実行することは、車両制御プログラムに対応する車両制御方法が実行されることに相当する。通信インターフェース44は、スマートECU4が他の装置と通信するための回路である。通信インターフェース44は、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されればよい。プロセッサ41が車両制御プログラムを実行することによって発現される、スマートECU4が提供する機能の詳細については後述する。通信インターフェース44が車両内通信部に相当する。
【0038】
また、ストレージ43には、車両Hvのユーザ毎の車両設定データと、各ユーザが保有するスマートキー3のキーIDとが対応付けられて保存されている。車両設定データは、例えば座席位置や空調温度等、車室内環境を構成する種々の項目に対するユーザの設定値を示すデータセットに相当する。
【0039】
ユーザが設定可能な項目である個人設定項目としては、例えば座席位置や、ハンドル位置、ルームミラーの角度、サイドミラーの角度、空調装置の動作設定などがある。ここでの座席位置には前後位置だけでなく、高さ方向の位置や、リクライニング角度などを含めることができる。座席位置の設定はシート設定と呼ぶこともできる。ハンドル位置は、ステアリングホイールの角度と前後位置を含む。空調の動作設定には、温度、風量、風向などが含まれる。また車両Hvがユーザの開錠操作をトリガとして車室内外に設けられた照明を点灯させるウェルカム照明機能を備えている場合には、その照明の色などもユーザによって設定可能な項目としてもよい。
【0040】
さらに、HMIシステム9のユーザインターフェース(以降、UI:User Interface)に対する設定値もまたユーザ設定データに含めることができる。なお、HMIシステム9に含まれる画面としては、メータ画面や、ナビゲーション画面などがある。例えば、ナビゲーション画面のアイコン形状や、表示項目、言語などが個人設定項目に含まれうる。また、走行用電源がオンとなった際にメータディスプレイ等に表示するウェルカム画面の表示内容も個人設定項目に含めることができる。走行用電源は、車両Hvが走行するための電源であって、車両Hvがガソリン車である場合にはイグニッション電源を指す。車両Hvが電気自動車やハイブリッド車である場合、走行用電源とはシステムメインリレーを指す。
【0041】
さらに、車両HvがACC(Adaptive Cruise Control)機能を備える場合には、目標速度や、目標車間距離(長め/短め)などを個人設定項目に含めることができる。なお、ACC機能は、ユーザによって指定された目標速度で車両Hvを定速走行させるか、または先行車との車間距離を維持しつつ自車両としての車両Hvを追従走行させる機能を指す。また、車両Hvが前方カメラで認識した交通標識の画像をメータディスプレイやHUDに表示するRSA(Road Sign Assist)機能を備える場合には、交通標識画像の表示態様を個人設定項目に含めることができる。画像の表示態様の構成要素としては、表示位置や表示サイズ、色合い、表示時間の長さ、明滅、フェードイン/フェードアウトの速さ、表示先とするディスプレイなどを採用可能である。その他、例えばTTC(Time To Collision)などに基づいて外部物体との衝突を警告するためのタイミングに係る閾値なども個人設定項目に含めることができる。
【0042】
車室外送信機5及び車室内送信機6は、何れも、スマートECU4から入力された搬送波信号を、LF帯に属する所定の周波数の電波に変換して空間へ放射するデバイスである。便宜上、車室外送信機5と車室内送信機6を区別しない場合にはLF送信機とも記載する。
【0043】
車室外送信機5は、車室外の所定のエリアを応答エリアとするためのLF送信機である。ここでの応答エリアとは、LF送信機から送信されたLF信号に対して、スマートキー3が応答信号を返送する範囲に相当する。例えば応答エリアは、車載システム2が送信するLF信号が、所定の信号強度(以降、応答閾値)を保って伝搬する範囲とすることができる。応答閾値は、応答エリアの大きさを定義するLF信号の信号強度に相当する。応答閾値は、例えばスマートキー3が復調可能な信号レベルの下限値(つまり復調限界値)でもよいし、復調限界値よりも大きい所定の値でもよい。応答閾値は、所望の応答エリアが形成されるように設計者によって適宜調整されれば良い。スマートキー3は、車載システム2からの信号を受信した場合であっても、その受信強度が応答閾値以下である場合には応答エリア外に存在すると判定し、応答を返さないように構成することができる。個々のLF送信機が形成する応答エリアの大きさや形状は適宜設計されればよい。各LF送信機が形成する応答エリアの大きさは、応答閾値や、LF送信機での送信電力、スマートキー3での受信感度などによって調整可能である。応答エリアは、車両Hvとスマートキー3とが双方向通信可能なエリア(以降、通信エリア)と解することができる。
【0044】
本実施形態の車載システム2は、車室外送信機5として、
図4に示すように、DF用送信機5A、PF用送信機5B、DR用送信機5C、及びPR用送信機5D、及びトランク用送信機5Eを備える。なお、車室外送信機5の部材名称中の1文字目の「D」は運転席側であることを指し、「P」は助手席側であることを指す。車室外送信機5の部材名称中の2文字目の「F」は前部座席であることを指し、「R」は後部座席であることを指す。故に、例えば「DF」は運転席側の前部座席(つまり運転席)向けであることを意味する。なお、本実施形態において車両Hvの運転席側とは車両右側に相当する。
【0045】
DF用送信機5Aは、運転席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機である。ここでの外側ドアハンドルとは、ドアの外面部に設けられた、ドアを開閉するための把持部材を指す。DF用送信機5Aは、運転席用の外側ドアハンドルから例えば1m以内が応答エリアとなるように設計されている。図中のZAは、DF用送信機5Aが提供する応答エリアを概念的に表している。PF用送信機5Bは、助手席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機である。PF用送信機5Bは、車室外のうち、助手席用の外側ドアハンドルから1m以内となるエリアが応答エリアとなるように設計されている。図中のZBは、PF用送信機5Bが提供する応答エリアを概念的に表している。
【0046】
DR用送信機5Cは、運転席側の後部座席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機である。DR用送信機5Cは、運転席側の後部座席用の外側ドアハンドルから例えば1m以内が応答エリアとなるように設計されている。図中のZCは、DR用送信機5Cが提供する応答エリアを概念的に表している。PR用送信機5Dは、助手席側の後部座席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機である。PR用送信機5Dは、車室外のうち、助手席側の後部座席用の外側ドアハンドルから1m以内となるエリアが応答エリアとなるように設計されている。図中のZDは、PR用送信機5Dが提供する応答エリアを概念的に表している。
【0047】
トランク用送信機5Eは、トランクのドアハンドルに設けられたLF送信機である。トランク用送信機5Eは、車室外においてトランクドアから1m以内が応答エリアとなるように設計されている。図中のZEは、トランク用送信機5Eが提供する応答エリアを概念的に表している。
【0048】
なお、種々の車室外送信機5はドアハンドルに内蔵されていてもよいし、ドアハンドル付近のパネル部分に配置されていても良い。何れの態様も、ドアハンドルに設けられている構成に相当する。LF送信機の設置位置の説明における或る部材の付近が指す範囲は、例えば、当該部材から0.3m以内とすることができる。例えばドアハンドル付近とは、ドアハンドルから0.3m以内を指す。
【0049】
また、種々の車室外送信機5は、Bピラーなどのピラーや、サイドシル、ルーフ端部、窓枠部など、ドアハンドル以外の部分に配置されていても良い。車室外送信機5の搭載箇所としては車両Hvの外面部の任意の箇所とすることができる。ここでの外面部とは、車両Hvの左右の側面部や、背面部を指す。なお、車室外送信機5の応答エリアの半径は1mに限らず、0.75mなどであってもよい。車室外送信機5は、車両Hvから6m以内が応答エリアとなるように構成されていても良い。車室外送信機5の応答エリアは、車両Hvの状態や用途に応じて動的に変更されても良い。前述の通り、応答エリアの大きさはLF信号の送信電力で調整可能である。なお、車両Hvの状態としては、駐車された状態や、リモート駐車あるいは自動駐車を実行している状態、走行中などが挙げられる。
【0050】
車室内送信機6は、車室内を応答エリアとするように車室内に配置されたLF送信機である。車載システム2は、一例として、車室内送信機6として、
図4に示すように、前部座席用送信機6A、及び後部座席用送信機6Bを備える。前部座席用送信機6Aは、車室内の前部座席全域を応答エリアとするためのLF送信機である。前部座席全域にはダッシュボードの上側も含まれる。前部座席用送信機6Aの設置位置としては、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部や、センターコンソールボックス付近、オーバヘッドコンソール付近、ルームミラー付近などを採用可能である。
【0051】
後部座席用送信機6Bは、車室内の後部座席全域を応答エリアとするためのLF送信機である。なお、後部座席用送信機6Bは、例えば荷室など、後部座席の後ろ側の空間も応答エリアに含むように構成されていることが好ましい。後部座席用送信機6Bの設置位置としては、後部座席の車幅方向中央部に位置するシート内部や、背もたれ部、後部座席の上方に位置する天井部などを採用可能である。
図4では、車室内送信機6の応答エリアの図示は省略している。
【0052】
もちろん、車載システム2が備えるLF送信機の数や配置態様もまた適宜変更可能である。車載システム2は、トランク内部を応答エリアとするLF送信機を備えていても良い。また、左右の側面部に設けられたLF送信機は1つずつであってもよい。例えば、DF用送信機5AとDR用送信機5Cは統合されて、Bピラー等に設けられていてもよい。
【0053】
なお、車室外と車室内との間にはドアパネルなどの金属板が存在し、当該金属板が電波の伝搬を阻害するように作用するため、車室外と車室外との応答エリアは区切りやすい。一方、車室内の前部座席と後部座席の間には、ドアパネルのような金属板は通常存在しないため、前部座席用送信機6Aと後部座席用送信機6Bの応答エリアはその境界付近において部分的に重なりうる。同様の理由により、DF用送信機5AとDR用送信機5Cの応答エリアは部分的に重なりうる。PF用送信機5BとPR用送信機5Dの応答エリアも部分的に重なりうる。
【0054】
受信機7は、スマートキー3から送信される応答信号を受信するための通信モジュールである。受信機7は、UHF帯に属する所定の周波数の電波を受信するように構成されている。受信機7は車両用電子キーシステムの技術分野においてはチューナーと呼ばれることがある。受信機7は、スマートキー3から送信されるUHF帯の無線信号を受信するためのアンテナや、復調回路などを用いて実現されている。なお、受信機7の受信対象とする周波数は、スマートキー3との無線通信に使用する周波数として予め設計された周波数に設定されていればよい。スマートキー3との無線通信に使用する周波数は、その他、920MHzや、2.4GHzなどであってもよい。受信機7は、UHFアンテナで受信した信号に対して、アナログデジタル変換や、復調、復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、その抽出したデータをスマートECU4に提供する。例えば、受信機7は、受信信号に含まれるキーIDやレスポンスコードをスマートECU4に提供する。
【0055】
タッチセンサ81は、車両Hvの各外側ドアハンドルに装備されており、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する。各タッチセンサ81の検出結果は、スマートECU4に出力される。各ドアのタッチセンサ81からの検出信号に基づいて、スマートECU4は、ユーザが触れているドアハンドルを特定することができる。
【0056】
ドアボタン82は、各ドアに設けられたボタンであって、例えば各外側ドアハンドルに設けられている。ドアボタン82は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号を、スマートECU4に出力する。ドアボタン82が押下されたことを検出することにより、スマートECU4はドアを施錠したり、開錠したりする。また、ドアがパワースライドドアである場合には、ドアの開閉状態を切り替えるためのボタンとしても機能しうる。
【0057】
なお、ドアを開錠するためのユーザ操作を受け付けるための構成としては、タッチセンサ81とドアボタン82の何れか一方だけであってもよい。タッチセンサ81は開錠用、ドアボタン82は施錠用と役割分担されていても良い。その他、ユーザによるドアの施錠状態を切り替えるための操作を検出するためのセンサとしては、ドア下にユーザが足をかざしたことを検出するソナーや赤外線センサなども採用可能である。
【0058】
着座センサ83は、人間が着座していることを検知するセンサであって、例えば座席毎に設けられている。着座センサ83は、例えば、各座席の着座面に埋設された圧力センサとすることができる。なお、着座センサ83は、車室内を撮像するカメラであってもよいし、ミリ波レーダであってもよい。
【0059】
カーテシスイッチ84は、ドアの開閉を検出するセンサであって、ドア毎に設けられている。カーテシスイッチ84はドアの開閉状態を示すドア信号を出力する。その他、車載センサ8としては、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサや、シートベルトの装着状態を検出するシートベルトセンサ、ハンドルの把持状態を検出するハンドル把持センサなどを含めることができる。
【0060】
ディスプレイ91は、画像を表示するデバイスである。ディスプレイ91は、例えば、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部の最上部に設けられた、いわゆるセンターディスプレイである。ディスプレイ91は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて実現できる。なお、ディスプレイ91は、フロントガラスの運転席前方の一部分に虚像を映し出すヘッドアップディスプレイであってもよい。また、ディスプレイ91は、メータディスプレイであってもよい。なお、報知装置としては、ディスプレイ91の他、スピーカや、バイブレータ、照明装置(例えばLED)等を採用可能である。
【0061】
HCU92は、ディスプレイ91等を用いたユーザへの情報提示を統合的に制御するコンピュータである。HCU92は、例えばCPUやGPUなどのプロセッサと、RAMと、フラッシュメモリ等を用いて実現されている。HCU92は、スマートECU4から入力された制御信号や、例えばタッチパネル等の図示しない入力装置からの信号に基づき、ディスプレイ91の表示画面を制御する。例えばHCU92は、スマートECU4からの要求に基づき、各ユーザの着座位置の認識状態を示す座席割当画像をディスプレイ91に表示する。また、HCU92は入力装置を介して、座席毎の着座者に関するシステムの認識誤りを訂正するためのユーザ操作を受け付けてスマートECU4に出力する。なお、ユーザへの情報提示の媒体はディスプレイ91に限定されない。スピーカやバイブレータなどを用いて情報が提示されても良い。また、ここでの入力装置には音声入力装置も含まれる。マイク等を介して入力された音声を認識する処理は、車両Hvの内部で実行されても良いし、外部サーバで実行されても良い。
【0062】
空調ECU10は、車両Hvに搭載されている空調装置の動作状態を制御するECUである。空調ECU10は、スマートECU4からの指示に基づき、吹き出し口から吹き出させる空調空気の温度や、風量、風向を、吹出口毎に制御する。なお、空調装置の動作状態は入力装置を介してユーザによっても変更されうる。
【0063】
ボディECU11は、車両Hvに搭載された種々のボディ系モータ12を制御するECUである。ここでのボディ系モータ12には、例えば、ドアロックモータや、シートモータ、ステアリング位置調整モータなどが含まれる。ドアロックモータは、ドアの施錠するための機構であるロック機構の状態を制御するためのモータであって、例えばドア毎に設けられている。シートモータは、座席の前後位置や高さ、リクライニング角度を変更するモータである。シートモータは、例えば運転席と助手席のそれぞれに設けられている。ステアリング位置調整モータは、ステアリングのチルト角または前後位置を調整するモータである。
【0064】
ボディECU11はスマートECU4から入力された制御信号に基づき、各種ボディ系モータ12を制御する。例えばボディECU11は、スマートECU4からの要求に基づき、各ドアに設けられたドアロックモータに対して所定の制御信号を出力し、各ドアの施錠及び開錠を行う。また、例えば運転席のシートモータに、所定の駆動信号を出力することで、運転席の前後位置等を変更する。なお、ボディECU11の機能はスマートECU4が備えていても良い。換言すれば、ボディECU11はスマートECU4と統合されていても良い。
【0065】
<スマートECU4の機能について>
スマートECU4は、プロセッサ41がストレージ43に保存されている車両制御プログラムを実行することで実現される機能ブロックとして、
図5に示す各機能部を備える。すなわちスマートECU4は、車両状態取得部F1、送信処理部F2、受信処理部F3、位置特定部F4、対象ドア設定部F5、着座位置判定部F6、ユーザ設定反映部F7、認識状態通知部F8、及び判定結果補正部F9を備える。また、スマートECU4は、ユーザデータ記憶部M1と着座位置記憶部M2を備える。
【0066】
ユーザデータ記憶部M1は、車両Hvに対するユーザ毎の車両設定データと、各ユーザが保有するスマートキー3のキーIDとを対応付けて記憶している記憶装置である。また、各ユーザにIDが割り当てられている場合には、ユーザIDもキーIDや車両設定データと対応付けて保存されている。ユーザIDには、年齢や身長、性別などのデータが紐付けられていても良い。ユーザデータ記憶部M1は、例えばストレージ43の記憶領域の一部を用いて実現されている。なお、ユーザデータ記憶部M1は、外部サーバなど、クラウド上にあってもよい。ユーザデータ記憶部M1がユーザ設定記憶部に相当する。
【0067】
着座位置記憶部M2は、後述する着座位置判定処理で特定される、ユーザと着座位置との対応関係を示すデータを記憶する構成である。着座位置記憶部M2は、例えばRAM42等の記憶媒体を用いて実現されている。なお、ユーザごとの着座位置はトリップ毎に変化しうるため、着座位置記憶部M2は一時的な記憶媒体を用いて実現可能である。もちろん、着座位置記憶部M2はストレージ43などの不揮発性メモリを用いて実現されていても良い。
【0068】
車両状態取得部F1は、車載センサや他のECUから、車両Hvの状態を示す種々の情報(つまり車両情報)を取得する。車両情報としては、例えば、ドアの開閉状態や、各ドアの施錠状態、ドアボタン82の押下の有無等が該当する。もちろん、車両情報に含まれる情報の種類は、上述したものに限らない。シフトポジションセンサが検出するシフトポジションや、ブレーキペダルが踏み込まれているか否か、パーキングブレーキの作動状態なども車両情報に含めることができる。
【0069】
車両状態取得部F1は、サブ機能としてオープン操作検出部F1Aを備える。オープン操作検出部F1Aは、タッチセンサ81やドアボタン82の出力信号に基づき、車両ドアを開くためのユーザの操作であるオープン操作が行われたことを検出する構成である。オープン操作は、実際にドアを開く操作に加えて、開錠するための操作を含めることができる。オープン操作には、ドアボタン82の押下や、ドアハンドルに手をかける操作などが含まれる。また、オープン操作検出部F1Aは、カーテシスイッチ84からドアが開かれたことを示す信号が入力されたことに基づいて、オープン操作が行われたと判定しても良い。或る操作が行われたと判定することは当該操作が行われたことを検出することに相当する。
【0070】
なお、車両Hvは所定の音声コマンドによってドアのオープン指示を受け付けるように構成されていても良い。その場合、上記の音声コマンドの発話もまた、オープン操作に含まれうる。例えばオープン操作検出部F1Aは、車室外の音を集音するためのマイクで取得したユーザの音声信号に対して音声認識処理を実施することによってオープン操作を検出してもよい。また、オープン操作検出部F1Aは、ドア下に検知エリアを形成する赤外線センサの出力信号に基づいて、オープン操作を検出するように構成されていても良い。具体的にはオープン操作検出部F1Aは、上記赤外線センサから、ユーザが検知エリアに足をかざしたことを示す信号が入力された場合に、ユーザがドアのオープンを指示したと判定しても良い。タッチセンサ81や、ドアボタン82、車両Hvの外面部に配されているマイク、ドア下に検知エリアを形成する赤外線センサなどが、オープン操作を行われたか否かの判断材料となる信号を出力する車載センサに相当する。
【0071】
その他、車両状態取得部F1は、上述した種々の情報に基づいて、車両Hvの現在の状態を特定する。例えば車両状態取得部F1は、走行用電源がオフであり、かつ、全てのドアが施錠されている場合に、車両Hvは駐車されていると判定する。もちろん、車両Hvが駐車されていると判定する条件は適宜設計されればよく、多様な判定条件を適用することができる。
【0072】
送信処理部F2は、位置特定部F4からの要求に基づき、LF送信機から送信するためのベースバンド信号を生成し、当該LF送信機に出力する構成である。生成したベースバンド信号の出力先は、位置特定部F4によって指定されうる。当該送信処理部F2から出力されたベースバンド信号は、LF送信機にてLF信号として変換されて無線送信される。LF送信機から送信する信号の種別としては、ポーリング信号や、チャレンジ信号などがある。チャレンジ信号もポーリング信号も、スマートキー3に対して、その信号の内容に応じた応答信号を返送するように要求する信号である応答要求信号に相当する。
【0073】
ここでのチャレンジ信号とは、チャレンジコードを含む応答要求信号である。チャレンジコードは、スマートキー3を認証するためのコードである。チャレンジコードは、乱数表など用いて生成された乱数とすることができる。また、チャレンジ信号は、宛先とするキーIDを含み、特定のスマートキー3にのみ応答させる信号とすることができる。チャレンジ信号は、指定したスマートキー3に対して、チャレンジコードをスマートキー3毎に固有の暗号鍵で暗号化したレスポンスコードを返送するように要求する信号と解することができる。なお、認証処理は、セキュリティレベルが異なる複数種類のチャレンジ信号を順次送信していくことで段階的に認証を進めていく態様としてもよい。
【0074】
ポーリング信号は、スマートキー3に対して応答を要求する信号であればよい。ポーリング信号は、車両IDなど、発信元を示す情報を含む信号とすることができる。ポーリング信号は、例えばスマートキー3をスリープモードから復帰させるとともに、スマートキー3に一定のビット列を示す信号を返送させるLF信号とすることができる。ポーリング信号は、チャレンジコードを含まない信号とすることができる。ここでは一例としてポーリング信号は、全てのスマートキー3に対して応答させる信号とする。もちろん、ポーリング信号もチャレンジ信号と同様に、キーID等を用いて指定したスマートキー3にのみ応答させるように構成されていても良い。なお、スマートECU4は、上述したチャレンジ信号をポーリング信号として各車室外送信機5から順次発信するように構成されていても良い。
【0075】
受信処理部F3は、UHFアンテナ121が受信し、かつ、UHF受信部120が復調したデータを取得する構成である。受信処理部F3が受信したデータは位置特定部F4に提供される。
【0076】
位置特定部F4は、任意のLF送信機から送信させたチャレンジ信号に対する受信機7での応答信号の受信結果に基づいて、車両Hvに対するスマートキー3の位置を判定する構成である。つまり、位置特定部F4は、車載通信機とスマートキー3との通信状況に基づいてキー位置を判定する構成に相当する。スマートキー3との通信状況/通信結果に基づく位置判定は、送信処理部F2及び受信処理部F3と協働して実行される。なお、スマートキー3とユーザは一対一の関係を有するため、スマートキー3の位置を特定することはユーザの位置を特定することに相当する。位置特定部F4が携帯機検出部に相当する。
【0077】
位置特定部F4はより細かい機能ブロックとして照合処理部F41、候補機検出部F42、及びエントリー判定部F43を備える。照合処理部F41は、チャレンジコードを用いて、スマートキー3との無線通信による照合処理を実施する構成である。照合処理部F41は、例えばポーリング信号に対する応答信号を受信した場合や車両状態取得部F1が所定の照合イベントを検出した場合に、チャレンジ信号を送信させる。便宜上、車室外送信機5からチャレンジ信号を送信することによって実施される照合処理、すなわち車室外送信機5を用いた照合処理のことを以降では車室外照合とも称する。同様に、車室内送信機6からチャレンジ信号を送信することによって実施される照合処理、すなわち車室内送信機6を用いた照合処理のことを車室内照合とも称する。
【0078】
また、照合処理部F41は、或るスマートキー3を判定対象とするチャレンジコードを生成した場合には、当該スマートキー3の暗号鍵を用いて照合用コードを生成する。そして、照合処理部F41はスマートキー3から返送されてきたレスポンスコードが照合用コードと一致する場合に、通信相手が正規のスマートキー3である(つまり認証成功)と判定する。なお、或るスマートキー3の照合は失敗したとみなす場合とは、例えば、照合処理部F41が生成した照合用コードと一致しなかった場合や、チャレンジ信号を送信してから所定の応答待機時間が経過してもレスポンスコードを受信できなかった場合などである。
【0079】
候補機検出部F42は、車両Hvのドアから所定距離以内に存在するスマートキー3をエントリー候補キーとして検出する構成である。エントリー候補キーは、車室外の応答エリア内に存在することが確認済みのスマートキー3に相当する。エントリー候補キーは、1つの側面において、複数のスマートキー3のうち、ポーリング信号に対する応答信号を返送してきたスマートキー3と解することができる。また、エントリー候補キーは、他の側面において、複数のスマートキー3のうち、車室外照合で認証済みのスマートキー3と解することができる。エントリー候補キーが対象機に相当する。
【0080】
エントリー判定部F43は、エントリー候補キーを対象とする車室内送信機6を用いた車室内照合の結果に基づいて、エントリー候補キーが車室内に入ったか否かを判定する構成である。エントリー判定部F43は、例えば後述する対象ドア設定部F5によって設定される対象ドアが閉じられたことをトリガとして、対象ドアに応じて定まる車室内送信機6から、エントリー候補キーを対象とするチャレンジ信号を送信する。そして当該車室内照合が成功した場合に、エントリー候補キーは車室内に入ったと判定する。
【0081】
対象ドア設定部F5は、位置特定部F4によって特定されているエントリー候補キーの車室外位置あるいはオープン操作検出部F1Aの検出結果に基づいて、対象ドアを設定する構成である。対象ドア設定部F5の詳細は別途後述する。
【0082】
着座位置判定部F6は、エントリー候補キーのキーIDと、当該エントリー候補キーの車室外位置に基づいて、ユーザ毎の着座位置を特定する。具体的には、着座位置判定部F6は、位置特定部F4によって特定されているエントリー候補キーの車室外位置に対応する座席を、エントリー候補キーに対応するユーザの着座位置とみなす。例えば、エントリー候補キーの車室外位置がPF用送信機5Bの応答エリアである場合、当該エントリー候補キーに対応するユーザの着座位置は助手席であると判定する。
【0083】
ユーザ設定反映部F7は、着座位置判定部F6が取得したユーザの着座位置に基づいて、車室内環境を当該ユーザの好みに応じた環境へと設定変更する。例えばユーザ設定反映部F7は、ユーザが着座する座席の位置を、当該ユーザによって予め設定されている位置まで移動させる。なお、座席位置の調整は、ボディECU11と協働して実現されればよい。例えばボディECU11は、ユーザ設定反映部F7からの指示に基づいて、所定の座席に設けられているシートモータを駆動し、座席位置を目標位置まで移動させる。ユーザ設定反映部F7が個人設定反映部に相当する。
【0084】
認識状態通知部F8は、ユーザ毎の着座位置の判定結果をディスプレイ91などの報知装置を介して乗員に通知する構成である。例えば認識状態通知部F8は、ユーザ毎の着座位置の判定結果を示すデータをHCU92に出力することにより、当該判定結果を示す画像であるシート割当画像をディスプレイ91に表示させる。これにより、乗員としてのユーザは、自分の着座位置が正しく認識されているか否かを確認することができる。その他、認識状態通知部F8は、ドアが開かれた瞬間などに、当該ドア付近に存在すると判定しているユーザの名称などをスピーカから出力してもよい。当該構成によっても、システムがユーザごとの着座位置をどのように認識(換言すれば判定)しているかをユーザは知ることができる。
【0085】
判定結果補正部F9は、入力装置からの信号に基づいて、ユーザ毎の着座位置の判定結果に対する訂正操作を受け付ける。そして当該訂正操作に基づいて、ユーザ毎の着座位置の判定状態を修正する。また、判定結果補正部F9は、着座センサ83の検出結果に基づいて、着座位置判定部F6の判定結果を補正しても良い。例えばクローズ時判定処理によって助手席にユーザAが着座したと判定されている状態において、助手席ドアが閉じられた後も助手席は空席であることを示す信号が着座センサ83から入力されている場合には、助手席の着座者は不明へと修正しても良い。後部座席や運転席などにおいても同様である。
【0086】
<着座位置判定処理>
ここではスマートECU4が実施する着座位置判定処理について説明する。着座位置判処理は各座席を利用するユーザを特定する処理である。本開示の着座位置判定処理には、
図6に示す接近時判定処理と、
図7に示すオープン時判定処理と、
図8に示すクローズ時判定処理と、が含まれる。
【0087】
まずは接近時判定処理について
図6に示すフローチャートを用いて説明する。接近時判定処理は、例えば車両Hvが駐車されている間、車室内に少なくとも1つのスマートキー3が存在することが検出されるまで、所定のポーリング周期で定期的に実行されうる。ポーリング周期は例えば200ミリ秒などとすることができる。本開示の接近時判定処理は一例としてステップS101~S108を備える。なお、接近時判定処理が備えるステップ数や処理手順、実行条件は適宜変更可能である。
【0088】
ステップS101では位置特定部F4が送信処理部F2と協働して各車室外送信機5から順にポーリング信号を送信させてステップS102に移る。各LF送信機からLF信号の送信させるタイミングをずらすことで、或るLF送信機から送信された信号が、他のLF送信機から送信された信号と混信することを防ぐことができる。ステップS102では位置特定部F4が受信処理部F3と協働して、複数のスマートキー3の少なくとも何れか1つから応答信号が返送されてきたか否かを判定する。少なくとも1つのスマートキー3から応答信号が返送されてきた場合にはステップS102を肯定判定してステップS103に移る。一方、何れのスマートキー3からも応答信号を受信できなかった場合にはステップS102を否定判定して本フローを終了する。
【0089】
なお、複数のユーザが同時に車両Hvに接近している場合など、車両周辺に複数のスマートキー3が存在するケースもありうる。例えばスマートキー3Aが運転席ドア付近に存在し、かつ、スマートキー3Bが助手席ドア付近に存在する場合にはスマートキー3A、3Bのそれぞれから応答信号を受信しうる。ステップS101~S102で複数のスマートキー3からの応答信号を受信した場合には、予め定められた優先順位に従って、応答信号を複数のスマートキー3のうち、最も優先順位が高いものを処理対象に設定して以下の処理を実行すればよい。もちろん、検出されている複数のスマートキー3のそれぞれについてステップS103以降の処理が実行されてもよい。また、何れかのスマートキー3から応答信号が返送されてきた時点で他の車室外送信機5からのポーリング信号の送信は中止し、ステップS103に移っても良い。応答信号を返送してきたスマートキー3が上述の通りエントリー候補キーに相当する。
【0090】
ステップS103では位置特定部F4がポーリング信号に対する応答信号を受信したタイミングに基づいて、応答取得送信機を特定する。ここでの応答取得送信機は、応答信号を受信できたポーリング信号の発信元に相当する車室外送信機である。例えば位置特定部F4は、例えば、DF用送信機5Aからポーリング信号を送信した時点から所定の応答待機時間以内に応答信号を受信した場合には、応答取得送信機はDF用送信機5Aと判定する。
【0091】
そして、位置特定部F4は、応答取得送信機の設置位置に基づいて、応答信号を返送してきたスマートキー3が存在する位置を判定する。例えば、応答取得送信機がDF用送信機5Aである場合には運転席用のドア付近にスマートキー3が存在すると判定する。また、応答取得送信機がPF用送信機5Bである場合にはスマートキー3は助手席ドア付近に存在すると判定する。このように、位置特定部F4は、車室外送信機5を用いてスマートキー3の車室外における位置を判定する。
【0092】
その他、ステップS103では、対象ドア設定部F5が、位置特定部F4によって特定されたエントリー候補キーの位置に対応するドアを対象ドアに設定する。例えばエントリー候補キーから最も近い位置に存在するドアを対象ドアに設定する。より具体的には、応答取得送信機がDF用送信機5Aである場合には、運転席用ドアを対象ドアに設定する。また、応答取得送信機がPF用送信機5Bである場合には、助手席用ドアを対象ドアに設定する。応答取得送信機がDR用送信機5CやPR用送信機5Dである場合も同様に、該当する送信機の設置位置から最も近いドアを対象ドアに設定する。対象ドアは、ユーザが開ける可能性が高いドアを指す。対象ドアの設定は任意の要素であって省略されても良い。
【0093】
また、ステップS103では着座位置判定部F6が、位置特定部F4によって特定されたエントリー候補キーの位置に対応する座席を対象座席に設定する。例えば着座位置判定部F6は、エントリー候補キーの推定位置から最も近い位置に存在する座席を対象座席に設定する。応答取得送信機がDF用送信機5Aである場合には、運転席を対象座席に設定する。また、応答取得送信機がPF用送信機5Bである場合には、助手席を対象座席に設定する。応答取得送信機がDR用送信機5CやPR用送信機5Dなどである場合も同様に、該当する送信機の設置位置から最も近い座席を対象座席に設定する。対象ドアから最寄りの座席が対象座席に相当する。対象座席は、エントリー候補キーに対応するユーザが着座する可能性が高い座席に相当する。ステップS103での処理が完了するとステップS104に移る。
【0094】
ステップS104では照合処理部F41が送信処理部F2と協働して、ステップS103で特定された応答取得送信機から、各スマートキー3を宛先とするチャレンジ信号を所定の間隔をおいて順に送信することにより、車室外照合を試みる。車両Hvに紐付けられている複数のスマートキー3のうち、何れかのスマートキー3においてコード照合が成功した場合にはステップS105を肯定判定してステップS106に移る。一方、何れのスマートキー3の照合も成功しなかった場合には、ステップS105を否定判定して本フローを終了する。ステップS104を実行することにより、レスポンスコード等により、応答取得送信機の応答エリア内に存在するスマートキー3のキーIDが特定される。なお、ポーリング信号に対する応答信号に送信元であるスマートキー3のキーIDが含まれている場合には、ステップS104では当該スマートキー3を宛先とするチャレンジ信号だけを送信すればよい。そのような構成によれば、より一層通信回数を低減可能となる。
【0095】
ステップS106では、ステップS105の車室外照合によって認証されたエントリー候補キーのキーIDに基づいて、当該スマートキー3の保持者であるユーザを特定してステップS107に移る。ステップS107では着座位置判定部F6が、ステップS103で特定されたエントリー候補キーの位置に対応する座席(つまり対象座席)を、エントリー候補キーの保持者として登録されているユーザの着座位置と判定する。そして、その判定結果を示すデータを着座位置記憶部M2に保存する。例えばエントリー候補キーがスマートキー3Bであって、対象座席が運転席と判定されている場合には、スマートキー3Bの保持者であるユーザBの着座位置を運転席に設定したデータを着座位置記憶部M2に保存する。ステップS107での処理が完了するとステップS108に移る。
【0096】
ステップS108ではユーザ設定反映部F7がボディECU11などと協働して、ステップS107で着座者が特定された座席に対応する環境を、当該着座者の車両設定データに基づいて自動的に変更する。例えば運転席の着座者がユーザBであると判定されている場合には、ユーザBの車両設定データに基づき、運転席の座席位置やハンドル位置などを自動調整する。また、ユーザBが事前設定している色合いでウェルカム照明を点灯させても良い。ウェルカム照明は、ドア毎に設けられていても良い。例えば運転席の着座者がユーザBであって、助手席の着座者がユーザAと判定されている場合には、運転席用ドア周りのウェルカム照明はユーザBに対応する色合いとする一方、運転席用ドア周りのウェルカム照明はユーザAに対応する色合いとしてもよい。当該構成によれば、ウェルカム照明の色合いに基づいて、ユーザは、座席毎の着座者をシステムがどのように認識しているかを知ることが可能となる。例えばユーザは、着座位置に関するシステムの認識状態が正しいか否かを視覚的に把握可能となる。
【0097】
次にオープン時判定処理について
図7に示すフローチャートを用いて説明する。オープン時判定処理は、例えばオープン操作検出部F1Aが、ユーザによるオープン操作が行われたことを検出した場合に実行されればよい。ここでのオープン操作とは、開錠(アンロク)操作と言い換えることができる。具体的には前述の通り、ドアボタン82の押下や、タッチセンサ81へのタッチなどがオープン操作に該当しうる。また、オープン操作には、実際にドアを開く操作を含めることができる。オープン時判定処理は、例えば、既に車両Hvのドアが開錠されている状態や、既に車室内に別のスマートキー3が存在していることが確認されている場合にも実行される。本実施形態のオープン時判定処理は一例としてステップS201~S206を備える。なお、オープン時判定処理が備えるステップ数や処理手順、実行条件は適宜変更可能である。
【0098】
まずステップS201では対象ドア設定部F5が、オープン操作が行われたドアのことを対象ドアに設定してステップS202に移る。対象ドアに対応する座席が対象座席に相当する。ステップS202では照合処理部F41が送信処理部F2と協働して、対象ドアに対応する車室外送信機5から、各スマートキー3を宛先とするチャレンジ信号を所定の間隔をおいて順に送信させる。これにより、対象ドア付近に存在するスマートキー3を探索する。なお、対象ドアに対応する車室外送信機5とは、対象ドアから最も近い、又は、対象ドアに設けられている車室外送信機5である。例えば運転席用ドアに対応する車室外送信機5とは、DF用送信機5Aである。また、助手席用ドアに対応する車室外送信機5とは、PF用送信機5Bである。なお、接近時判定処理によって対象ドア付近に存在するスマートキー3が特定されている場合には、複数のスマートキー3のうち当該スマートキー3を対象とする照合処理を最初に実行すればよい。
【0099】
車両Hvに紐付けられている複数のスマートキー3のうち、何れかのスマートキー3において照合処理が成功した場合にはステップS203を肯定判定してステップS204に移る。一方、何れのスマートキー3の照合も成功しなかった場合には、ステップS203を否定判定して本フローを終了する。なお、照合処理が成功したスマートキー3がエントリー候補キーに相当する。ステップS204では、ステップS203で特定されたエントリー候補キーのキーIDに基づいて、当該スマートキー3の保持者であるユーザを特定してステップS205に移る。
【0100】
ステップS205では着座位置判定部F6が、対象座席の着座者をエントリー候補キーに対応するユーザに設定したデータを着座位置記憶部M2に保存する。例えばエントリー候補キーがスマートキー3Cであって、対象ドアが助手席側後部座席用ドアと判定されている場合には、助手席側後部座席の着座者をユーザCに設定する。ステップS205での処理が完了するとステップS206に移る。
【0101】
ステップS206では、ステップS108と同様に、ユーザ設定反映部F7がボディECU11などと協働して、ステップS205で着座者が特定された座席に対応する環境を、当該着座者の車両設定データに基づいて自動的に変更する。例えば、ユーザ設定反映部F7は、空調ECU10と協働して空調装置を起動させるとともに、空調の目標温度や風量などといった対象座席周りの車室内環境を、着座者の好みに応じた環境となるように設定する。なお、接近時判定処理の結果に対して、対象ドアに対応する座席の着座者に変更がない場合であって、既に、対象座席周りの車室内環境を調整済みである場合にはステップS206は省略可能である。
【0102】
次に、クローズ時判定処理について
図8に示すフローチャートを用いて説明する。クローズ時判定処理は、例えば開かれていたドアが閉じられたことを車両状態取得部F1が検出したことをトリガとして実行される。クローズ時判定処理も、オープン時判定処理と同様に、既に車室内に複数のスマートキー3の何れかが存在していることが確認されている場合にも実行される。本実施形態のクローズ時判定処理は一例としてステップS301~S307を備える。なお、クローズ時判定処理が備えるステップ数や処理手順、実行条件は適宜変更可能である。
【0103】
まずステップS301では対象ドア設定部F5が、閉じられたドアを対象ドアに設定してステップS302に移る。例えば運転席側後部座席用のドアが閉じられたことをトリガとして本フローが開始された場合には、運転席側後部座席が本フローにおける対象座席となる。
【0104】
ステップS302では着座位置判定部F6が、着座位置記憶部M2を参照し、前述の接近時判定処理やオープン時判定処理の結果である車室外判定結果を取得してステップS303に移る。ステップS303では着座位置判定部F6が、ステップS302で読み出したデータに基づいて、対象座席の着座者が登録されているか否かを判定する。対象座席の着座者がまだ特定されていない場合にはステップS303を否定判定して本フローを終了する。一方、対象座席の着座者が特定済みである場合には、ステップS303を肯定判定してステップS304に移る。
【0105】
ステップS304ではエントリー判定部F43が送信処理部F2と協働して、対象座席の着座者として設定されているユーザに対応するスマートキー3(以降、対象キー)を宛先とするチャレンジ信号を、対象座席に対応する車室内送信機6から送信させる。これにより、対象キーについての車室内照合を実行する。なお、対象キーは接近時判定処理やオープン時判定処理におけるエントリー候補キーに相当する。当該処理は、エントリー候補キーとしての対象キーが車室内に入ったかどうかを判定する処理に相当する。対象キーもまた対象機に相当する。
【0106】
なお、対象座席に対応する車室内送信機6とは、対象座席を応答エリアに含む車室内送信機6である。例えば本実施形態においては前部座席用送信機6Aが運転席や助手席に対応する車室内送信機6に相当する。また、後部座席用送信機6Bが後部座席に対応する車室内送信機6に相当する。つまり、本開示のように車室内送信機6を複数備える場合、いずれの車室内送信機6を用いて車室内照合を実施するか、換言すれば、何れの車室内送信機6からチャレンジ信号を送信させるかは、当該対象キーの車室外位置に由来する。例えば、対象キーが車室内に入る前の位置(つまり車室が位置)が運転席用ドアの外側と判定されていた場合には、前部座席用送信機6Aからチャレンジ信号を送信させる。これにより、効率的に運転席用ドアの外側に検出されていたスマートキー3が車室内に入ったか否かを判定可能となる。
【0107】
ステップS304での照合処理として、対象キーの照合が成功した場合、つまり対象キーが発見された場合にはステップS305を肯定判定してステップS306に移る。一方、ステップS304での照合処理が失敗した場合にはステップS305を否定判定して本フローを終了する。なお、対象座席に対応する車室内送信機6を用いた車室内照合が失敗した場合には、他の車室内送信機6を用いて車室内照合を実施してもよい。運転席のドアを開けたユーザが運転席と助手席の隙間から後部座席の足元に鞄を置いたのちにドアを閉めるケースも考えられるためである。
【0108】
ステップS306では着座位置判定部F6が、対象座席の着座者を対象キーのユーザと判定し、着座位置記憶部M2に保存する。例えば対象座席が運転席であって、対象キーがスマートキー3Bである場合には、運転席の着座者をユーザBに設定したデータを着座位置記憶部M2に保存する。ステップS306での処理が完了するとステップS307に移る。
【0109】
ステップS307ではユーザ設定反映部F7がボディECU11などと協働して、ステップS306で着座者が特定された座席に対応する環境を、当該着座者の車両設定データに基づいて自動的に変更する。ステップS307の内容は、ステップS108と同様とする事ができる。なお、対象座席の着座者に変更がない場合であって、既に、対象座席周りの車室内環境を調整済みである場合にはステップS307は省略可能である。
【0110】
なお、着座位置判定部F6は、同一のユーザの着座位置として、前時刻までの判定結果とは異なる新たな着座位置が得られた場合には、最新の判定結果を採用し、古い判定結果は破棄するように構成されていることが好ましい。例えば接近時判定処理でユーザAの着座位置は助手席側の後部座席と判定されている状態において、オープン時判定処理でユーザAの着座位置は助手席と判定された場合には、ユーザAの着座位置は助手席側後部座席との判定結果は破棄する。このように同一ユーザの判定結果に矛盾が生じた場合には、より新しい判定結果を残し、古い方の判定結果を破棄する。上記のような構成によれば、例えば、ユーザAが後部座席用のドアの前を通って助手席用のドアを開錠した場合などにおいて、ユーザAの着座位置を誤る恐れを低減できる。また、助手席側の後部座席を開けて荷物をおいた後に、助手席に乗り込んだ場合においても、クローズ時判定処理によってユーザAの着座位置は助手席側後部座席から助手席へと更新される。つまり、ユーザが複雑な動きをした場合であっても、当該ユーザの着座位置を適正に認識可能となる。
【0111】
なお、接近時判定処理やオープン時判定処理は、各座席に対応するドアの外側に存在するユーザである車外ユーザを特定する処理に相当する。また、クローズ時判定処理は、各座席に対応するドアの内側に存在するユーザである車内ユーザを判定する処理に相当する。或る座席に対する車外ユーザの判定結果と車内ユーザの判定結果が相違する場合には、車内ユーザの判定結果を優先的に適用してもよい。また、他の態様として、或る座席に対する車外ユーザの判定結果と車内ユーザの判定結果が相違する場合には、ディスプレイ91などを介して当該座席の着座者が不明であることを示す画像を表示してもよい。あるいは、当該座席の着座者を選択するように促す案内画面を表示しても良い。
【0112】
図9及び
図10はユーザの乗車に伴う一連の動きに対するスマートECU4の作動を説明するための図である。ここでは一例として、ユーザBが運転席に乗り込んだ後にユーザAが助手席に乗車する場合を例にとって説明する。通常、或る座席を利用するユーザは、対象とするドアに接近し、ドアを開け、座席に着座して、ドアを閉めるといった流れで行動する。故に、ユーザBが運転席を利用する場合、運転席用のドアに接近し(Ev1)、運転席用ドアのドアボタン82を押下するか、タッチセンサ81に触れるなどして、ドアを開錠する(Ev2)。Ev1のタイミングにおいて接近時判定処理が行わるため、スマートECU4は運転席の着座者はユーザBであると特定することができる。また、続くEv2のタイミングでは、ドアを開錠するための操作がトリガとなってオープン時判定処理が実行され、再度、スマートECU4は運転席の着座者はユーザBであると特定できる。
【0113】
このように車室外において2つのタイミングでユーザBの着座位置を判定することにより、何れか一方でユーザBの着座位置を特定できなかった場合においても、他方の判定結果からユーザBの着座位置は運転席であると特定できる。また、ユーザBが乗車する前に着座位置を特定することによって、ユーザBが座っていない状態で運転席の位置やハンドル位置を調整可能となる。その結果、各種モータの負荷を軽減できるとともに、ユーザの快適性を高めることができる。
【0114】
また、ユーザBが運転席に着座し(Ev3)、運転席用のドアを閉めると(Ev4)、スマートECU4は、上述のクローズ時判定処理を実行する。当該クローズ時判定処理において、探索対象とするスマートキー3は、接近時判定処理またはオープン時判定処理で運転席の着座者と判定されているユーザBに対応するスマートキー3Bだけである。全てのスマートキー3を探索対象とはしないため、車載システム2の消費電力を抑制することができる。また、探索対象とするスマートキー3を絞ることにより、応答性を高めることができる。このようにオープン時判定処理の結果を踏まえてクローズ時判定処理を実行することにより、消費電力を抑制しつつ、応答性を高めることができる。
【0115】
さらにその後、ユーザAが車両Hvに接近し(Ev5)、ユーザAが助手席用の外側ドアハンドルに手をかけたタイミングで(Ev6)、オープン時判定処理が実行される。なお、ユーザAが車両Hvに接近したタイミングでは既に車両Hvは開錠されてあって、かつ、車室内にスマートキー3Bが存在することが確認されている。そのようなことを踏まえると、1つの態様として、車両Hvの開錠を速やかに行うための車室外ポーリングを伴う接近時判定処理は省略可能である。車室内にスマートキー3が存在することが確認されている場合には、接近時判定処理を省略することにより、車載システム2の消費電力をより一層低減可能となる。
【0116】
また、車室内にスマートキー3が存在することが確認されている場合であっても、オープン時判定処理を実行することにより、ドアを開けようとしているユーザ及びそのスマートキー3を特定することができる。それに伴い、ユーザBが乗車済みである場合にも、ユーザAが乗車しようとしていることを検出することができる。また、ユーザAがまだ助手席に乗り込む前に、助手席の位置や高さをユーザAの好みに応じた状態に設定することができる。
【0117】
なお、クローズ時判定処理にて車室内にスマートキー3Bが存在することが確認できている場合、その後のオープン時判定処理における探索対象からは、スマートキー3Bは除外することが好ましい。車室内に存在することが確認済みのスマートキー3を、オープン時判定処理での探索対象から除外することにより、消費電力を抑制しつつ、応答性を高めることができる。加えて、ユーザAが助手席に座って(Ev7)助手席用ドアを閉めた場合(Ev8)、クローズ時判定処理を実行することにより、助手席の着座者が真にユーザAであることを確認することができる。
【0118】
なお、或る座席についてのクローズ時判定処理において、当該座席についての車外ユーザに対応するスマートキー3を発見できなかった場合には、他のスマートキー3を探索しても良い。ユーザBがドアを開けて、別の人物が着座するケースも想定されるためである。例えば、助手席に着座しようとしているユーザCの両手が荷物でふさがっている場合や、ユーザCの乗車をユーザBが介助する場合などにおいては、ドアを開ける人物と当該ドアに対応する座席に着座する人物が同一とは限らない。また、後部座席にゲストを乗車させる際、ユーザBなどが後部座席用のドアを開けて出迎えることもありうる。ドアオープン時で着座者の判定を終了するのではなく、確認の意味を込めて着座時に再度着座者を判定する処理を実行することにより、ユーザごとの着座位置をシステムが誤認識する恐れをより一層低減できる。
【0119】
或る座席についてのクローズ時判定処理において、当該座席についての車外ユーザに対応するスマートキー3を発見できなかった場合には、当該座席の着座者を不明と判定し、ディスプレイ91等に表示しても良い。なお、着座者が不明である場合、ディスプレイ91には着座者が不明であることを直接的に表現した画像ではなく、着座者がゲストであると判定している画像を表示してもよい。そのような構成によれば、着座者が真にゲストである場合に、ディスプレイ91に着座者が不明と表示されることでゲストに不快感を与える恐れを低減することができる。
【0120】
また、特許文献1等に開示の一般的な車両用電子キーシステムでは、定期的に又は所定のイベント発生時に、車室内にスマートキーが存在するか確認するために、スマートキーの探索(換言すれば照合)を実施する。そして、車室内にスマートキーが一本でも見つかれば、その他のスマートキーを探索することはしない。すべてのスマートキーと探索しようとすると、応答性が悪くなり、消費電力も大きくなるためである。
【0121】
そのような比較構成では、最初に車両Hvに乗車したユーザしか認識されない。また、或るユーザ(例えばユーザA)が運転席以外に着座した場合にも、運転席周りの車室内環境がユーザAの設定環境に調整されてしまう。換言すれば、ドライバではないユーザをドライバとみなしてしまう恐れがある。
【0122】
そのような比較構成に対し、本開示の構成によれば、例えばユーザAが助手主席に座った後に、ユーザBが運転席に座った場合であっても、運転席の着座者はユーザBであると正しく判定することができる。また、着座者を判定するための通信を行うタイミングとしては、ドアの開閉状態が変化した場合など、特定のシーンを追加しただけなので、スマートキー3の電池寿命や車両バッテリへの影響を抑制することができる。加えて、車室内におけるスマートキー3の探索時には、オープン操作時に検出されていないスマートキー3は探索対象から除外されるので、消費電力をより一層低減できる。
【0123】
また、本実施形態の構成によれば、既存のスマートエントリーシステム用の設備を用いて実現することができる。そのため、乗員情報取得システムの導入コストをより一層低減することができる。また、乗員情報取得システムの導入に伴う既存システムの設計変更を抑制することもできる。
【0124】
なお、車両Hvに乗車しているユーザ毎の乗員属性を特定するための他の構成である想定構成としては、座席毎にLFアンテナを配置し、各LFアンテナでの携帯機からの信号の受信状況に基づき、各座席に着座しているユーザを特定する構成も考えられる。しかしながら、車室内の通信エリアを座席毎に明確に区切ることは難しく、各ユーザの着座位置を誤判定する恐れがある。上記課題に対して、本実施形態の構成では、ユーザによって開閉されたドアの情報と、その前後の照合結果とを組み合わせるにより、各LF送信機の応答エリアが重なっている場合であっても、精度良く座席毎の着座者を特定することが可能となる。
【0125】
また、想定構成では、座席毎にアンテナを配置するとその分だけコストが増大しうる。これに対し、本開示の方法によれば、車室内におけるLFアンテナの設定数を抑制できる。つまり、本開示の方法によれば、想定構成に対して、車室内に設置する通信機の数を抑制しつつ、ユーザの着座位置を誤判定する恐れを低減できるといった利点を有する。
【0126】
上述した本開示の構成は、1つの側面において、ドアが開けられる直前での車室外照合処理によって特定されたスマートキー3を優先的に、ドアが閉じられた直後に実施する車室内照合の処理対象に設定する構成に相当する。なお、或るイベントの直前とは、例えば、当該イベントの発生時点から過去3秒以内を指す。また、有るイベントの直後とは、例えば、当該イベントの発生時点から5秒以内を指す。
【0127】
その他、上記構成によれば、車載システム2-スマートキー3との不要な通信を抑制できるため、スマートキー3における電力消費も抑制できる。仮にスマートキー3が電池交換型のデバイスである場合には、スマートキー3を不要動作させることは電池寿命の短縮につながり、電池交換等の手間を生じさせてしまう。本開示の構成によれば、車載システム2の消費電力だけでなく、携帯機での消費電力も抑制可能となり、スマートキーエントリ機能の商品性及びユーザの利便性を高めることができる。
【0128】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。また、下記の種々の変形例も適宜組み合わせて実施することができる。なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
【0129】
[着座位置判定処理の実行シーンの補足]
以上では、ユーザが車両Hvに接近した時、何れかのドアにオープン操作が行われた時、及び、開かれていたドアが閉じられたときに着座位置判定処理を実行する態様を例示したが、着座位置判定処理を実行するタイミングはこれに限らない。例えば、着座センサ83がユーザの着座を検出したことをトリガとして、クローズ判定処理と同様の処理フローを実行しても良い。また、シートベルトの装着を検出したことをトリガとして、クローズ判定処理と同様の処理フローを実行しても良い。さらに、走行用電源をオンにするためのボタンであるスタートボタンが押下されたことをトリガとして、クローズ判定処理と同様の処理フローを実行しても良い。
【0130】
シートベルトの装着や、スタートボタンの押下をトリガとして実行される着座位置判定処理は、
図8のステップS302を前回の判定結果と置き換えて実施されれば良い。カーテシスイッチ84から出力される、ドアが閉じられたことを示す信号が乗車信号の一例に相当する。また、着座センサ83から出力される、人間が着座していることを示す信号も乗車信号の一例に相当する。加えて、シートベルトの装着状態を示す信号や、スタートボタンが押下された場合の出力信号も乗車信号に含めることができる。
【0131】
なお、認識状態通知部F8は、同一のユーザに対する最新の着座位置の判定結果が、過去の判定結果と相違する場合には、該当ユーザの着座位置を確認する画面をディスプレイ91に表示させても良い。また、複数の座席の中にはユーザの着座位置の候補から除外する座席が、ユーザ操作に基づいて予め登録されていてもよい。例えばチャイルドシートを装着している座席は、着座位置判定処理におけるユーザの着座位置の候補から除外されるように設定されていても良い。当該構成によれば、例えばユーザAが子供を後部座席に設置されたチャイルドシートに乗せるために、ユーザAが後部座席のドアを開けた場合に、後部座席の着座者はユーザAであると誤判定される恐れを低減できる。つまり、着座位置判定部F6は、チャイルドシートが装着されている座席など、所定の座席については着座者を判定しないように構成されていてもよい。着座位置判定部F6は、運転席及び助手席といった特定の座席の着座者だけを特定するように構成されていても良い。
【0132】
[個人設定反映処理の補足]
接近時、ドアオープン時、及びドアクローズ時の各フェーズで実行される車両制御は、異なっていても良い。例えば、接近時判定処理では、ウェルカム照明の点灯を実行する一方、シート位置の調整や空調装置の起動などは保留とされてもよい。車両Hvにユーザが接近しただけでは真にユーザが車両Hvを利用するかは不確かであるためである。故に、空調装置の起動等は、車両Hvが開錠されるまでは保留とすることが好ましい。また、シート位置の調整も同様である。なお、接近時、ドアオープン時、及びドアクローズ時の各フェーズで実行される車両制御は、ユーザによって設定可能に構成されていても良い。
【0133】
[運転席乗員の判定方法の補足]
上記実施形態では、ドライバとしてのユーザが、助手席用ドアで開錠したのちに、スマートキーを入れたカバンを助手席やトランクに置いてしまうと、ドライバを特定ができなくなってしまう事が起こりうる。一方、車両の一般的なユースケースとしては、車両Hvを開錠するユーザが、運転席に着座する人物(いわゆるドライバ)であることが多い。
【0134】
スマートECU4は、上記事情に基づき、スマートキー3から発信された遠隔開錠信号によって車両Hvが開錠された場合には、開錠に使用されたスマートキー3に対応するユーザである開錠者をドライバと判定しても良い。助手席用のドアなど、運転席用のドア以外のドアに設けられたスイッチ/センサで開錠された場合も同様である。なお、スマートキー3から発信された遠隔開錠信号による開錠はワイヤレスアンロックあるいはリモートアンロックとも呼ばれることがある。
【0135】
上記の技術思想に対応する構成として、例えばスマートECU4は
図11に示すように、上述した車両状態取得部F1等に加えて、アンロックキー特定部F10及び開錠者特定部F11を備える。アンロックキー特定部F10は、開錠に使用されたスマートキー3であるアンロックキーを、開錠指示信号に含まれるキーIDまたは照合処理で取得したキーIDに基づいて特定する構成である。開錠者特定部F11は、アンロックキー特定部F10で特定されたアンロックキーのキーIDに基づいて、複数のユーザの中から開錠者を特定する。具体的には開錠者特定部F11は、開錠に使用されたスマートキー3に対応するユーザを開錠者とみなす。なお、スマートキー3はユーザと紐付けられているため、アンロックキーを特定することは開錠者を特定することに相当する。開錠者特定部F11には、アンロックキー特定部F10の機能も含めることができる。
【0136】
このように開錠者特定部F11等を備えるスマートECU4は、例えば、開錠時判定処理として、
図12に示すフローチャートを実行する。なお、本開示の開錠時判定処理は一例として、ステップS401~S405を備える。もちろん開錠時判定処理が備えるステップ数や処理手順、実行条件は適宜変更可能である。開錠時判定処理は、車両Hvのドアが開錠された場合に実行される。
【0137】
まずステップS401では位置特定部F4が、開錠に使用されたスマートキー3であるアンロックキーの位置を判定してステップS402に移る。アンロックキーの位置は、何れのドア付近であるかといった、ドア単位あるいは座席単位で判定されればよい。つまりステップS401は対象ドアを特定する処理またはアンロックキーの位置に対応する座席を特定する処理に相当する。なお、ワイヤレスアンロックされた場合には、アンロックキーの位置は不明としてもよいし、別途実施されうる接近時判定処理の結果を援用しても良い。
【0138】
ステップS402では、アンロックキーに対応付けられているユーザを、対象ドアに対応する座席の着座者に設定してステップS403に移る。例えば開錠操作が助手席用のドアで行われた場合には、アンロックキーに対応付けられているユーザを助手席の着座者に設定する。なお、運転席用のドアで開錠操作が行われた場合には、アンロックキーに対応付けられているユーザを運転席の着座者に設定すればよい。その場合は前述のオープン時判定処理そのものとなる。
【0139】
ステップS403では、ステップS402の結果として運転席の着座者が登録済みであるか否かを判定する。別のユーザが着座しているなどして、運転席の着座者が登録済みである場合には、ステップS403を肯定判定してステップS404に移る。ステップS404では、ステップS402での判定結果に基づき、対象座席周りの車室内環境を開錠者の車両設定データに従って調整して本フローを終了する。一方、運転席の着座者が未登録である場合には、ステップS403を否定判定してステップS405に移る。
【0140】
ステップS405では、開錠者補正処理として、着座位置判定部F6が、アンロックキーのユーザを運転席の着座者に設定してステップS406に移る。なお、この場合、同一のユーザが複数の座席の着座者として登録されうる。ステップS406では、例えばユーザ設定反映部F7が、運転席の位置やハンドル位置などを当該ユーザの好みに応じた状態に変更する。また、ステップS402での判定結果に基づき、対象座席周りの車室内環境を開錠者の車両設定データに従って調整する。
【0141】
上記の構成によれば、例えば、ユーザAが車両Hvの助手席用ドアを開錠してスマートキー3Aを含むカバン等を助手席に置いたのちに運転席に着座した場合には、ステップS402やオープン時判定処理等により、ユーザAの着座位置は助手席と判定される。また、ステップS405の処理により、ユーザAは運転席の着座者としても登録される。
【0142】
上記の作動例において、真にユーザAが運転席の着座者である場合には、運転席の着座者はユーザAであるというシステムの認識結果と、実際の着座者が一致しているため、ユーザの利便性が低下することはない。また、ユーザAがそのまま助手席に着座し、かつ、別のユーザ(例えばユーザB)が運転席に着座する場合には、別途実施されるオープン時判定処理やクローズ時判定処理によって、運転席の着座者はユーザAからユーザBに更新される。それにより、運転席まわりの車室内環境は実際のドライバであるユーザBの好みに応じた環境へと再調整される。このように、上記の方法によればドライバとしてのユーザが助手席等の運転席以外にスマートキー3を置いた場合であっても、ユーザの利便性が低下する恐れを低減できる。
【0143】
なお、上記の作動例において、例えば助手席用のドアが閉じられた後においても、助手席の着座センサ83が人間の着座を検出しなかった場合には、判定結果補正部F9は、助手席の着座者をユーザAから不明へと補正しても良い。当該構成によれば、助手席の位置等を不必要にユーザA向けに調整することを抑制することができる。クローズ時判定処理の判定結果は、着座センサ83によって乗員が着座したことが検出されていることを条件として有効化されても良い。
【0144】
なお、開錠者補正処理によって開錠者としてのユーザが運転席の着座者に設定された場合、認識状態通知部F8は、運転席の着座者は開錠者としてのユーザであると判定したことを示す画像をディスプレイ91に表示しても良い。開錠者補正処理で開錠者を運転席の着座者と判定した際のディスプレイ91の表示画面は、オープン/クローズ時判定処理でドライバが特定されたときの表示画面とは異なる内容となっていても良い。オープン/クローズ時判定処理でドライバが特定された場合に比べて、開錠者補正処理で設定されたドライバは誤りである可能性が相対的に高いためである。換言すれば、後で別のユーザが運転席に着座する可能性が残っているためである。
【0145】
つまり、開錠者補正処理で設定されたドライバを示す表示画像は、ユーザへの確認を促す意味合いを込めて、オープン時判定処理やクローズ時判定処理でドライバが特定された場合に表示される画像とは異なる画像とすることが好ましい。また、認識状態通知部F8は、オープン時判定処理やクローズ時判定処理でドライバが特定された場合には判定結果の確認画像を表示しない一方、開錠者補正処理でドライバが設定された場合には、判定結果の確認画像を表示するように構成されていても良い。
【0146】
また、ユーザ設定反映部F7は、運転席ドアに対するオープン時判定処理等でドライバとしてのユーザが特定された場合には、該当ユーザの車両設定データに応じて定まる目標位置まで運転席の位置を自動調整する。一方、開錠者補正処理でドライバが判定された場合には、完全には目標位置までは調整せずに、目標位置の途中まで運転席を移動させた時点で自動調整を終了させても良い。例えば、開錠者補正処理でドライバが判定された場合には、座席位置は、調整開始前の位置と目標位置の中間の位置まで調整した時点で中止しても良い。上述の通り、運転席には別のユーザが乗車する可能性が残っているためである。また、開錠者補正処理で設定されたユーザが真にドライバである場合であっても、途中まで運転席の位置が調整されているため、運転席の位置を調整するための手間を低減することができる。このようにスマートECU4は、運転席用のドアに設けられた設備を用いて開錠された場合と、その他の方法で開錠された場合とで、実行する車両制御(換言すればシステム応答)を異ならせるように構成されていても良い。
【0147】
[ユーザ毎の個人設定の適用例の補足]
ユーザ設定反映部F7は、着座位置判定部F6によって運転席の乗員はユーザAであると判定されている場合には、ユーザAのスマートフォンを探索してBluetooth(登録商標)等で無線接続するように構成されていても良い。つまり、ユーザ設定反映部F7は、ドライバとしての役割を担うユーザのスマートフォンを、無線接続対象に設定するように構成されていても良い。加えて、スマートECU4は、ドライバとしてのユーザAのスマートフォンから、当該スマートフォンに事前登録されている目的地を読み出して、ナビゲーション装置に入力するように構成されていても良い。
【0148】
また、着座位置判定部F6によって例えば助手席側の後部座席の着座者はユーザBであると判定されている場合には、後部座席用の車両設備の状態を、ユーザB向けに変更に切り替えてもよい。後部座席用の車室内環境を構成する要素のうち、個人設定が適用可能な要素としては、空調温度や、風量、風向、座席位置などがある。また、車載システム2が後部座席用のディスプレイを備える場合には、当該後部座席用のディスプレイに、ユーザBのスマートフォンの画面を表示してもよい。ユーザごとの車両設定データは、運転席に座った場合、助手席に座った場合、後部座席に座った場合など、着座位置毎に区分して登録されていても良い。
【0149】
以上ではスマートECU4がユーザ毎の車両設定データをまとめて保持している態様を例示したが、これに限らない。ユーザ毎の車両設定データは、各ユーザのスマートキー3に保存されていてもよい。
【0150】
また、制御対象となりうる設備に対応する各ECUが、そのECUに関連する範囲におけるユーザ毎の車両設定を記憶しておいてもよい。例えば、座席位置に対するユーザ毎の設定はボディECU11が備え、ナビゲーション装置に対するユーザ毎の設定はナビゲーションECUが備え、車室内温度等の空調設定は空調ECUが備えていてもよい。各ECUが分散してユーザ設定データを保持する構成においては、スマートECU4は、座席毎のユーザIDを各ECUに通知する。また各ECUは、スマートECU4から通知された座席毎のユーザIDに基づき、各座席の着座者に応じた車両設定を読み出して設定変更を実施する。当該構成によっても上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0151】
[スマートECU4が備える機能の補足]
以上のスマートECU4によれば、少なくとも何人乗車しているか、及び、誰がどの席に乗車したかを特定することができる。また、乗員構成も特定することができる。ここでの乗員構成には、乗員数や、乗員毎の年齢、性別などを含めることができる。これにより、例えば事故が発生した場合の緊急通報を行う際に、乗員構成をセンタ等に通知可能となり、乗員数に応じた救急車を速やかに手配可能となる。
【0152】
なお、着座センサ83で或る座席に人物が着座していることが検出されている一方、当該人物がユーザA~Dの何れに該当するかを特定できなかった場合には、当該座席の着座者は不明と判定し、着座位置記憶部M2に登録してもよい。当該構成によればユーザ以外の人物であるゲストが乗車している場合であっても、実際の乗車人数を特定可能となる。
【0153】
また、スマートECU4は、各ユーザの乗車位置及びユーザ毎の体重から車両重心を算出し、車体のバランスを制御するECUに通知しても良い。これにより、車体バランスを適正な状態に自動調整可能となる。また、算出した車両重心をボディECU11に通知することで、ヘッドライトの光軸を自動調整させてもよい。
【0154】
[スマートキー3の位置の特定方法の補足]
各LF送信機の電波到達距離は、数メートルから10メートル程度に設定されていても良い。その場合、スマートECU4は各LF送信機とスマートキー3との通信状況に基づいて各LF送信機からスマートキー3までの距離を推定し、当該推定結果を組み合わせることでスマートキー3の位置を推定すればよい。例えば、スマートキー3は、受信信号強度を検出する回路が実装されてあって、各LF送信機から送信された応答要求信号の受信信号強度を示す受信強度情報を含む応答信号を返送する。位置特定部F4は、応答信号に含まれる受信強度情報から、送信元となるLF送信機からスマートキー3までの距離を推定する。そして、位置特定部F4は、設置位置がそれぞれ異なる3つのLF送信機からの距離と、それら3つのLF送信機の車両Hvにおける設置位置から、スマートキー3の位置を特定してもよい。
【0155】
なお、一般的に無線信号は空間を伝播する過程において減衰していく。そのため、スマートキー3とLF送信機との距離が大きい程、その受信信号強度は小さい値となる。特に、LF帯にとって、LF送信機から数十m以内は、距離に対する減衰量が顕著な近傍界に相当する。したがって、位置特定部F4は、応答要求信号に対して返送されてくる応答信号に含まれる受信強度情報から、その応答要求信号を送信したLF送信機とスマートキー3との距離を求めることができる。
【0156】
上記の態様によれば、位置特定部F4は、少なくとも3つのLF送信機から送信した応答要求信号に対する応答信号を受信できた場合、車両Hvに対するスマートキー3の位置を特定することができる。また、上記構成によれば車両Hvに対するスマートキー3の具体的な位置座標を特定することができ、対象ドアをより精度良く特定可能となる。
【0157】
なお、車両HvにおけるLF送信機の設置位置は、例えば、車両Hvの任意の位置を中心とし、車両Hvの幅方向及び前後方向の両方に平行な2次元座標(以降、車両座標系)上の点として表されていれば良い。車両座標系を形成するX軸は車両Hvの車幅方向に平行とし、Y軸は前後方向に平行な軸とすればよい。車両座標系の中心は、例えば、後輪車軸の中心などとすればよい。なお、このような車両HvにおけるLF送信機などの設置位置情報は、各座席が設けられている位置と対応づけられて、ストレージ43などに格納されていれば良い。車両座標系は車両高さ方向に平行なZ軸を備えた3次元座標系であってもよい。
【0158】
[システム構成の変形例]
以上では、車載システム2とスマートキー3とがLF帯の信号とUHF帯の信号を併用して無線通信するように構成されている場合について例示したが、車載システム2とスマートキー3の通信方式はこれに限らない。
【0159】
例えば車載システム2とスマートキー3はそれぞれ、通信可能距離が例えば10メートル程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信(以降、近距離通信とする)を実施可能に構成されていてもよい。ここでの近距離通信の規格としては、例えばBluetooth Low Energyや、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を採用することができる。近距離通信の方式としては、UWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)も採用可能である。
【0160】
例えば車載システム2は
図13に示すように、複数のBLE通信機13を用いてスマートキー3と無線通信を実施するように構成されていても良い。各BLE通信機13は、Bluetooth Low Energy規格に準拠した無線通信(以降、BLE通信)を実施する無線通信機である。そして、位置特定部F4は、各BLE通信機13でのスマートキー3との通信状況に基づいて、スマートキー3の位置を判定するように構成されていても良い。なお、本変形例の前提として、スマートキー3もまた、BLE規格に準拠した無線通信を実施可能に構成されているものとする。例えばスマートキー3としてはスマートフォンやウェアラブルデバイスを援用可能である。
【0161】
なお、
図13に示すBLE通信機13Aは、右側の前部座席用のドア(以降、前部右側ドア)に設けられたBLE通信機13である。例えばBLE通信機13Aは前部右側ドアの外側ドアハンドル付近に配置されている。BLE通信機13の搭載位置の説明において、或る部材の「付近」とは、当該部材から例えば30cm以内となる範囲を指す。例えば外側ドアハンドル付近とは当該外側ドアハンドルから30cm以内となる範囲を指す。ドアハンドル付近には、ドアハンドルの内部も含まれる。
【0162】
BLE通信機13Aは前部右側ドア下のロッカー部分や、右側のピラー(例えばBピラー)、車両Hvの屋根部において前部右側ドアの上端部が接する部分などに配置されていてもよい。ロッカー部分にはサイドシルカバーの内側部分も含まれる。さらに、BLE通信機13Aは右側の後部座席用の外側ドアハンドルや、フェンダーに配置されていても良い。BLE通信機13Bは、左側面部において、BLE通信機13Aと同様の(換言すれば左右対称な)位置に配置されたBLE通信機13である。例えばBLE通信機13Bは左側の前部座席用のドア(以降、前部左側ドア)に設けられている。BLE通信機13Cは、リアバンパの左右方向の中央部に配置されている。なお、BLE通信機13Cの搭載位置は、リアナンバープレート付近や、リアウインドウ付近、トランク用のドアハンドル付近などであってもよい。BLE通信機13A~12Cが車室外通信機に相当する。
【0163】
BLE通信機13Dは、例えばセンターコンソールに配置されているBLE通信機13である。なお、BLE通信機13Dの設置位置は、例えば運転席の足元や、運転席用のドアの車室内側の側面に配置されていても良い。BLE通信機13Dは、窓部を介して車室外を見通せる位置に配置されていても良い。例えば、BLE通信機13Dは、ルームミラーやオーバヘッドコンソール付近など、フロントガラスの上端あるいは天井部の前端付近に配置されていても良い。BLE通信機13Eは、リアガラスの上端部など、天井部の車両後方端に配置されているBLE通信機13である。BLE通信機13Fは、荷室の床部の中央部に配置されているBLE通信機13である。BLE通信機13D~13Fが車室内通信機に相当する。
【0164】
BLE通信機13Xは、スマートECU4に内蔵されているBLE通信機13である。なお、スマートECU4は例えばインストゥルメントパネル内部に収容されている。スマートECU4の収容箇所としては、インストゥルメントパネルの上面部の内側や、センターガーニッシュの内側などを採用可能である。スマートECU4は、BLE通信機13Xが車室外の車両付近及び車室内に存在するスマートキー3と通信可能なように配置されていればよい。BLE通信機13Xもまた車室内通信機に含めることができる。
【0165】
BLE通信機13Xは、例えばスマートキー3と鍵交換プロトコルが実行されているBLE通信機13とすることができる。スマートキー3と鍵交換プロトコルが実行されているBLE通信機13は、ユーザ等の操作に基づくペアリング処理がなされたBLE通信機13に相当する。ペアリングによって取得したスマートキー3についての情報である端末情報は、BLE通信機13Xが備える不揮発性のメモリに保存されている。端末情報とは、例えば、ペアリングによって交換した鍵や、端末IDなどである。なお、車両Hvが複数のユーザによって共用される場合には、各ユーザが保有するスマートキー3の端末情報が保存される。また、車両Hvがシェアカーやレンタカーである場合には端末情報は、外部サーバから配信されて一時的に保存されても良い。なお、BLE通信機13Xに限らず、他のBLE通信機13も同様とすることができる。
【0166】
各BLE通信機13の設置位置は、適宜変更可能である。また、車載システム2が備えるBLE通信機13の数は、3個や5個など、9個以下であっても良いし、12個など10個以上であっても良い。車載システム2は、例えばフロントエンブレムの裏側など、フロントグリルの内側に配置されたBLE通信機13を備えていても良い。BLE通信機13はルーフトップなどに配置されていても良い。
【0167】
各BLE通信機13は、例えばスマートキー3から送信された信号の強度を逐次検出する受信強度検出部を備え、検出した受信強度を、受信データに含まれるキーIDと対応付けられてスマートECU4に逐次報告するように構成されている。
【0168】
スマートECU4のストレージ43には、各BLE通信機13の車両Hvにおける搭載位置及び姿勢を示すデータ(以降、搭載位置データ)が格納されている。各BLE通信機13の搭載位置は、車両座標系の点として表現可能である。なお、本実施形態ではより好ましい態様として、各BLE通信機13には固有の通信機番号が設定されている。通信機番号は、複数のBLE通信機13を識別するための情報として機能する。
【0169】
以上のように、複数のBLE通信機13を備える場合、位置特定部F4は、各BLE通信機13でのスマートキー3からの信号の受信強度と、各BLE通信機13の搭載位置を元に、スマートキー3の位置を推定することができる。例えば、位置特定部F4は、各BLE通信機13で観測されたスマートキー3からの信号の受信強度情報を距離情報に変換し、各BLE通信機13からスマートキー3までの距離情報を生成する。そして、各BLE通信機13からスマートキー3までの距離情報を統合することでスマートキー3の位置を算出する。例えば位置特定部F4は、3つ以上のBLE通信機13で観測された受信強度の夫々から算出した距離、及び、それらBLE通信機13の搭載位置に基づいて、三点測量又は三角測量の原理によって車両Hvの基準点に対するスマートキー3の位置を特定する。受信強度から距離情報への変換は、受信強度は距離の3乗又は2乗に反比例して減衰するといったモデル式を用いて実現可能である。車両Hvに対するスマートキー3の位置は、車両座標系の点として表現することができる。
【0170】
なお、上記のRSSI方式による位置推定を実施する上では、すべてのBLE通信機13がスマートキー3と双方向通信を実施しなくともよい。例えばBLE通信機13X以外のBLE通信機13は、受信強度の観測のみを実行するように構成されていても良い。便宜上、複数のBLE通信機13のうち、スマートキー3との双方向通信を実施する通信機を1台に限定するシステム構成において、スマートキー3と双方向通信を実施する役割を担うBLE通信機13のことをゲートウェイ通信機と称する。本実施形態ではBLE通信機13Xがゲートウェイ通信機に相当する。なお、ゲートウェイ通信機はスマートECU4の外側に配置されたBLE通信機13であってもよい。ゲートウェイ通信機とするBLE通信機13は固定でも良いし、スマートECU4によって動的に変更されても良い。
【0171】
もちろん、位置特定部F4はRSSI方式以外の方法でスマートキー3の位置を推定しても良い。例えば位置特定部F4は、電波の到来角度を用いるAoA(Angle of Arrival)方式を利用して車両Hvに対するスマートキー3の位置を特定してもよい。また、電波の飛行時間を用いて定位を行うToF(Time of Flight)方式を利用して車両Hvに対するスマートキー3の位置を特定してもよい。他にも、電波の到達時間差を用いて定位を行うTDOA(Time Difference of Arrival)方式を利用して車両Hvに対するスマートキー3の位置を特定してもよい。応答要求信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間である信号往復時間(いわゆるTOA:Time of ArrivalあるいはRTT:Round-Trip Time)方式を利用しても良い。加えて、車載システム2とスマートキー3とは、例えば複数種類の方式でスマートキー3の位置を算出するように構成されていても良い。
【0172】
位置特定部F4によるスマートキー3の位置推定は、例えばオープン操作が実行されたとき、実際にドアが開かれたとき、着座センサ83が人間の着席を検知したとき、ドアが閉じられたときなど、所定のイベント発生時に実行されればよい。また、位置特定部F4によるスマートキー3の位置推定は、BLE通信機13Xとスマートキー3との通信接続が確立されている間において、例えば200ミリ秒毎など、逐次実行されても良い。その場合は、上記のイベントの発生時点から所定の有効時間以内において算出された位置情報を用いて対象機の検出や、対象座席/対象ドアの特定を実行することができる。有効時間は例えば300ミリ秒や1秒などとすることができる。なお、スマートキー3の車室外位置を特定するシーンにおいては、車室外通信機での通信結果を主として使用すればよく、車室内通信機での通信結果は必須ではない。また、スマートキー3の車室内位置を特定するシーンにおいては、車室内通信機での通信結果を主として使用すればよく、車室外通信機での通信結果は必須ではない。ただし、位置判定精度を高めるために、より多くのBLE通信機13でのスマートキー3との通信状況を用いることが好ましい。アンカーノードとしてのBLE通信機13の数が多いほど、位置判定精度は高まるためである。
【0173】
また、車載システム2は、通信距離が1m程度となるClass3のBLE通信機を用いて、BLE通信機毎の通信エリアを形成するように構成されていても良い。その場合は、位置特定部F4は、スマートキー3と通信できているBLE通信機13の通信エリア内にスマートキー3が存在すると判定すればよい。
【0174】
また、車載システム2は、スマートキー3とのデータ通信は、BLEで行う一方、スマートキーの位置は、UWB-IR方式の通信(以下、UWB通信)で特定するように構成されていてもよい。UWB-IRは、Ultra Wide Band - Impulse Radioの略である。以下ではスマートキー3の位置推定にUWB通信を用いるシステム構成をUWB併用構成と称する。
【0175】
UWB併用構成においては、スマートキー3は、UWB通信で使用されるインパルス状の電波(以下、インパルス信号)も送受信するための回路モジュールを備える。また、車載システム2は、
図14に示すように、UWB通信で用いられるインパルス信号を受信するための通信モジュール(以下、UWB通信機14)を複数備える。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が例えば2ナノ秒といった極短時間の信号である。UWB通信は超広帯域通信と呼ばれることもある。UWB通信に利用できる周波数帯は、例えば、3.1GHz~10.6GHz,3.4GHz~4.8GHz,7.25GHz~10.6GHz,22GHz~29GHz等である。
【0176】
UWB併用構成のスマートECU4は、UWB通信機14が受信したスマートキー3からのデータを取得する。加えて、スマートECU4は、スマートキー3宛のデータを生成し、UWB通信機14に出力する。これにより、所望のデータに対応するパルス系列信号を各UWB通信機14から順に無線送信させる。ここでのパルス系列信号とは、送信用データをオンオフ変調方式で変調することによって生成される、複数のインパルス信号を所定の時間間隔で配置した信号系列を意味する。さらにスマートECU4は、位置特定部F4からの指示に基づいて、任意のUWB通信機14からインパルス信号を送信させる。インパルス信号を送信させるUWB通信機14は、位置特定部F4によって選択される。
【0177】
位置特定部F4は、所定の順番で複数のUWB通信機14のそれぞれからスマートキー3とインパルス信号を送受信させることにより、各UWB通信機14からスマートキー3までの距離を推定する。距離の推定はToF方式などを採用可能である。そして、各UWB通信機14からスマートキー3までの距離情報と、各UWB通信機14の搭載位置データに基づいてスマートキー3の位置を推定する。このようにBLE通信機13の代わりにUWB通信機14を用いても、端末位置の推定は可能である。すなわち、本開示におけるBLE通信機13などの通信設備は、UWB通信機14に置き換えて実施することができる。
【0178】
なお、
図14はUWB通信機14の設置位置の一例を示したものである。
図14に示すUWB通信機14Aはフロントバンパの右コーナー部に配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Bはフロントバンパの左コーナー部に配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Cは右側のBピラーに配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Dは左側のBピラーに配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Eは車両後端部の例えばトランク用のドアハンドル付近に配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Fはフロントガラスの上端部付近に配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14Gはリアガラスの下端部付近に配置されているUWB通信機14である。UWB通信機14A~14Eが車室外通信機に相当し、UWB通信機14F~14Gが車室内通信機に相当する。
【0179】
<付言>
本開示に記載のスマートECU4を含む制御装置、並びにそれの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。スマートECU4等が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。例えばスマートECU4が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。スマートECU4は、CPUの代わりに、MPUやGPU、DFP(Data Flow Processor)を用いて実現されていてもよい。スマートECU4は、CPUや、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。スマートECU4が備える一部又は全部の機能は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)を用いて実現されていても良い。さらに、各種処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いて実現されていても良い。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、SD(Secure Digital)カード等、多様な記憶媒体を採用可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 車両用電子キーシステム、2 車載システム、3 スマートキー、4 スマートECU(制御装置)、5 車室外送信機(車室外通信機)、6 車室内送信機(車室内通信機)、7 受信機、8 車載センサ、12 BLE通信機、13 UWB通信機、41 プロセッサ、44 通信インターフェース(車両内通信部)、83 着座センサ、F1 車両状態取得部、F4 位置特定部(携帯機検出部)、F42 候補機検出部、F43 エントリー判定部、F5 対象ドア設定部、F6 着座位置判定部、F7 ユーザ設定反映部(個人設定反映部)、F8 認識状態通知部、F9 判定結果補正部、F10 アンロックキー特定部、F11 開錠者特定部、M1 ユーザデータ記憶部(ユーザ設定記憶部)、M2 着座位置記憶部