(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】真贋判定支援方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240620BHJP
【FI】
G06T7/00 300M
G06T7/00 300E
(21)【出願番号】P 2020202092
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2020122998
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 常治
(72)【発明者】
【氏名】小泉 修
(72)【発明者】
【氏名】伴野 裕
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046667(JP,A)
【文献】特開昭60-142474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0009609(US,A1)
【文献】矢部 洋一,PUF機能搭載RFIDを使った真贋判定サービスの導入,月刊自動認識,日本工業出版株式会社,2016年01月10日,第29巻 第1号,pp.1~5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G09G 5/00 - 5/42
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記表示デバイスに、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に対応する正解画像を表示すること、
を含む、真贋判定支援方法。
【請求項2】
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記端末を介して、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に関する情報の入力を受け付けることと、
受け付けた前記情報と前記模様の内容に対応する正解情報との照合結果を前記表示デバイスに表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
【請求項3】
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記パターンに関する情報に基づいて、前記パターンと重畳することにより所定の模様を生じさせる下地画像に関する情報を取得することと、
前記下地画像に関する情報に基づいて、前記表示デバイスに前記下地画像を表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
【請求項4】
前記下地画像を表示することは、
前記表示デバイスのハードウェア構成に関する情報に応じて、前記所定の模様が生じるように、前記下地画像を表示制御することを含む、
請求項3に記載の真贋判定支援方法。
【請求項5】
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する第1の端末と、撮像装置と、を用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記撮像装置により、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様を撮像して撮像画像を取得することと、
前記模様についての一又は複数の前記撮像画像と、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に対応する正解画像との照合結果を、前記第1の端末または表示デバイスを有する第2の端末の表示デバイスに表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
【請求項6】
前記表示デバイスは、タッチパネルを含み、前記模様は、前記所定のパターンと、前記タッチパネルを構成するメッシュ部との重畳により発生する模様を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項7】
前記模様は、前記所定のパターンと、前記表示デバイスが有する複数の画素との重畳によって生じる模様を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項8】
前記模様が、近接する少なくとも2種以上の異なる前記所定のパターンにより生じる模様を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項9】
前記模様が、前記表示デバイスの表示面の面内方向の角度に応じて変化する模様を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項10】
前記模様は、所定の文字列を含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項11】
前記表示デバイスに、前記対象物と前記表示デバイスとを重畳する重畳方法に関する情報を表示制御すること、をさらに含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項12】
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記対象物を載置すべき領域、又は、前記対象物を載置すべき方向を表示すること、を含む
請求項11に記載の真贋判定支援方法。
【請求項13】
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記表示デバイスに載置した前記対象物を、前記表示デバイス上で移動させる旨の情報を表示すること、を含む、
請求項11に記載の真贋判定支援方法。
【請求項14】
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記表示デバイスに、前記対象物を載置する位置を規定するアライメントマークを表示すること、を含む、
請求項11に記載の真贋判定支援方法。
【請求項15】
前記重畳方法に関する情報の表示制御において、
前記表示デバイスのハードウェア構成に関する情報に基づいて前記重畳方法に関する情報を表示する、
請求項11から14のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項16】
前記表示デバイスがタッチパネルである場合に、
前記表示デバイスのうち、前記対象物と前記表示デバイスとを重畳する領域を、タッチ操作に対する非反応領域とするように、又は、タッチ操作に対する反応領域としないように反応制御すること、をさらに含む、
請求項1から15のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
【請求項17】
表示デバイスと、所定の演算処理を実行するプロセッサおよびメモリと、を備え、請求項1から16のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法を実行するように構成された端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基材に設けられたパターンと、表示デバイスとの組み合わせにより真贋判定像が得られる真贋判定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小売り店の商品管理において、ICチップとアンテナとを備えるRFID(Radio Frequency IDentification)タグが利用されている。これらRFIDタグは、タグを商品に取り付け、専用のデータ読み書き装置によって商品のデータを読み書きし、商品の入出庫管理、在庫管理、貸し出し管理等を行うものであり、RFIDタグはICチップを備えているので、商品コードだけでなく、入荷日、担当者などの豊富な情報を商品といっしょに管理することができる。
【0003】
これら商品のデータは、供給元から顧客に、及び顧客のサプライチェーンを通じて、配送を追跡するために有用であり、RFIDタグが貼付された商品の真贋判定に活用でき、偽造防止手段として有効である。
【0004】
さらに、これらRFIDタグのICチップ情報を利用した偽造防止手段として、RFIDタグに光学変化デバイス(OVD:Optical Variable Device)を取り付け、商品の偽造を防止するために偽造防止体として利用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、一方で、このRFIDタグを、アンテナ部を微細化させた導電性パターンで形成することで、導電性パターンの不可視性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、RFIDタグの面積の大部分を占めるアンテナ部を透過体とすることができ、RFIDタグの貼付による商品のパッケージ情報の遮蔽を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-54751号公報
【文献】特開2016-105624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したRFIDタグのICチップ情報を読み取り、偽造防止手段とするためには、RFIDタグのICチップ情報を読み取る専用のデータ読み書き装置が必要であり、特に最終顧客である一般消費者が、高価な専用データ読み書き装置を整備することは現実的ではなかった。
【0008】
また、RFIDタグに、OVDを形成すると、容易に真贋判定を行えるメリットがあるが、OVDを設けると、RFIDタグによる商品パッケージ情報の遮蔽と、意匠性を阻害する大きな課題が新たに生じる問題があった。なぜなら、OVDは、元来反射光の干渉を利用したデバイスであるため、外光によって反射しやすく、本来の商品パッケージの意匠性を阻害しやすくなるためである。さらに、OVDを形成できるRFIDタグは、透過性がほぼないため、商品パッケージ情報を遮蔽することになる。特に、医薬品パッケージは、外箱パッケージの表面積に対し、掲示する情報量が比較的多いため、情報掲示面積を減らしてRFIDタグの貼付面積を確保することは、困難であった。
【0009】
一方で、アンテナ部を透過体とすると、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することを抑制可能だが、RFIDタグのICチップ情報を読み取る専用データ読み書き装置以外に、真贋判定を実施することが困難となる課題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することなく、さらに、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を可能とする真贋判定支援方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記表示デバイスに、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に対応する正解画像を表示すること、
を含む、真贋判定支援方法。
〔2〕
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記端末を介して、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に関する情報の入力を受け付けることと、
受け付けた前記情報と前記模様の内容に対応する正解情報との照合結果を前記表示デバイスに表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
〔3〕
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する端末とを用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記パターンに関する情報に基づいて、前記パターンと重畳することにより所定の模様を生じさせる下地画像に関する情報を取得することと、
前記下地画像に関する情報に基づいて、前記表示デバイスに前記下地画像を表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
〔4〕
前記下地画像を表示することは、
前記表示デバイスのハードウェア構成に関する情報に応じて、前記所定の模様が生じるように、前記下地画像を表示制御することを含む、
〔3〕に記載の真贋判定支援方法。
〔5〕
透明基材上に所定のパターンが設けられた対象物と、表示デバイスを有する第1の端末と、撮像装置と、を用いて真贋判定を支援する方法であって、
前記撮像装置により、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様を撮像して撮像画像を取得することと、
前記模様についての一又は複数の前記撮像画像と、前記表示デバイスと前記対象物とを重畳することによって生じる模様に対応する正解画像との照合結果を、前記第1の端末または表示デバイスを有する第2の端末の表示デバイスに表示することと、
を含む、真贋判定支援方法。
〔6〕
前記表示デバイスは、タッチパネルを含み、前記模様は、前記所定のパターンと、前記タッチパネルを構成するメッシュ部との重畳により発生する模様を含む、
〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔7〕
前記模様は、前記所定のパターンと、前記表示デバイスが有する複数の画素との重畳によって生じる模様を含む、
〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔8〕
前記模様が、近接する少なくとも2種以上の異なる前記所定のパターンにより生じる模様を含む、
〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔9〕
前記模様が、前記表示デバイスの表示面の面内方向の角度に応じて変化する模様を含む、
〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔10〕
前記模様は、所定の文字列を含む、
〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔11〕
前記表示デバイスに、前記対象物と前記表示デバイスとを重畳する重畳方法に関する情報を表示制御すること、をさらに含む、
〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔12〕
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記対象物を載置すべき領域、又は、前記対象物を載置すべき方向を表示すること、を含み、
〔11〕に記載の真贋判定支援方法。
〔13〕
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記表示デバイスに載置した前記対象物を、前記表示デバイス上で移動させる旨の情報を表示すること、を含む、
〔11〕に記載の真贋判定支援方法。
〔14〕
前記重畳方法に関する情報の表示制御は、前記表示デバイスに、前記対象物を載置する位置を規定するアライメントマークを表示すること、を含む、
〔11〕に記載の真贋判定支援方法。
〔15〕
前記重畳方法に関する情報の表示制御において、
前記表示デバイスのハードウェア構成に関する情報に基づいて前記重畳方法に関する情報を表示する、
〔11〕から〔14〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔16〕
前記表示デバイスがタッチパネルである場合に、
前記表示デバイスのうち、前記対象物と前記表示デバイスとを重畳する領域を、タッチ操作に対する非反応領域とするように、又は、タッチ操作に対する反応領域としないように反応制御すること、をさらに含む、
〔1〕から〔15〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法。
〔17〕
表示デバイスと、所定の演算処理を実行するプロセッサおよびメモリと、を備え、〔1〕から〔16〕のいずれか一項に記載の真贋判定支援方法を実行するように構成された端末。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することなく、さらに、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を可能とする真贋判定支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の真贋判定支援方法の一態様を表すフローチャートである。
【
図2】本実施形態のRFIDタグの一態様を示す平面図である。
【
図5】アンテナパターンのグリッドの別形態を示す概略図である。
【
図7】本実施形態の端末300のハードウェア構成と機能構成の一態様を示す図である。
【
図8】表示デバイス310の拡大図に、パターン130をオーバーレイした状態を表す概略図である。
【
図9】表示デバイス310の拡大図に、パターン130をオーバーレイした他の状態を表す概略図である。
【
図10】第1実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスである。
【
図11】表示デバイス310の長手方向とRFIDタグ100の長手方向を平行にして重畳する場合と、表示デバイス310の長手方向とRFIDタグ100の長手方向が45℃の角度をなすようにして重畳する場合の概略図である。
【
図12】表示デバイス310にアライメントマーク316aを表示制御した状態を表す概略図である。
【
図13】表示デバイス310に移動指示オブジェクト317を表示制御した状態を表す概略図である。
【
図14】出現する模様313が文字等を含む場合の態様を示す概略図である。
【
図15】第2実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスである。
【
図16】タッチパネルディスプレイに表示される入力インターフェース320を表示制御する場合の概略図である。
【
図17】第3実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【
図18】第3実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【
図19】第3実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【
図20】第3実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【
図21】第3実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【
図22】本実施形態の撮像装置500のハードウェア構成と機能構成の一態様を示す図である。
【
図23】第3実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスである。
【
図24】サーバ400を用いる際の真贋判定支援方法の処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0015】
<真贋判定支援方法>
本実施形態にかかる真贋判定支援方法は、透明基材110上に所定のパターン130が設けられた対象物100の真贋判定を支援する方法であって、パターン130と重ね合わせることで所定の模様313を構成する画像311を端末300の表示デバイス310に表示することを含む。
【0016】
なお、画像311とは、表示デバイス310が発光して表示される画像であれば制限されるものではなく、白画面のような単色画像であってもよいし、複数色が任意に組み合わされた色彩パターン画像であってもよい。なお、画像311は、パターン130を重ねる下地となる画像となることから、下地画像311ともいう。
【0017】
図1に、本実施形態の真贋判定支援方法の一態様を表すフローチャートを示す。
図1に示す方法では、端末300の表示デバイス310に下地画像311を表示し、下地画像311と対象物100のパターン130とを重ねる。そして、下地画像311とパターン130とを重ねることで所定の模様313が確認できる場合には、そのパターン130を有する対象物100が真物であると判定することができ、パターン130と画像311を重ねても所定の模様313が確認できず他の模様313’が確認できる場合には、そのパターン130を有する対象物100は偽物であると判定することができる。そのため、対象物100がパッケージに付与された商品についても、その真贋を判定することができる。
【0018】
さらに、本実施形態においては、対象物100として透明基材110上に所定のパターン130が設けられたものを用いるため、対象物100を付与する商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することなく、さらに、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を可能とすることができる。
【0019】
なお、商品の流通過程において、対象物100は商品パッケージに貼り付けて用いることができ、真贋判定の際には、商品パッケージから対象物100を取り外して用いることができる。
【0020】
模様313,313’の真贋判定方法としては、特に制限されないが、例えば、
図1のように、正しいパターン130と画像311を重ねた場合に出現する模様に相当する正解画像314を、画像311と同時に表示デバイス310に表示することにより、真贋判定を可能とする第1実施形態の他、模様313に関する情報を、端末300の入力インターフェース320を用いて入力させて、入力された情報と正解画像314に関する情報とを照合する処理により真贋判定をする第2実施形態や、模様313を撮影した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合する処理により真贋判定をする第3実施形態が考えられる。以下、各態様について詳説する。
【0021】
<<第1実施形態>>
第1実施形態にかかる真贋判定支援方法は、透明基材110上に所定のパターン130が設けられた対象物100と、表示デバイス310を有する端末300とを用いて真贋判定を支援する方法であって、表示デバイス310に、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313に対応する正解画像314を表示することとを含む。
【0022】
ここで、「重畳する」とは、表示デバイス310の下地画像311に、対象物100のパターン130とを重ねた状態とすることをいう。
【0023】
第1実施形態においては、予め用意した正解画像314を、端末300の表示デバイス310に表示させる。この方法によれば、表示デバイス310上で、正解画像314と模様313,313’とを目視にて容易に比較できるよう、支援することができる。ユーザは、正解画像314と模様313,313’との一致不一致を確認することで、対象物100の真贋を確認することができ、真物である対象物100が貼り付けられている商品パッケージは真物であると判定することができる。また、対象物100が偽物である場合には、偽物である対象物100が貼り付けられている商品パッケージは偽物であると判定することができる。
【0024】
(対象物)
本実施形態における真贋判定支援方法において、対象物100とは、透明基材110上に所定のパターン130が設けられたものであれば特に制限されないが、後述するように、パターン130は視認性の低い細線で形成されたパターンが好ましい。
【0025】
このような対象物100は、透明基材110上に非導電性の細線パターンが形成されたもの、透明基材110上に導電性の細線パターンが形成されたもの、あるいは、透明基材110上に導電性の細線パターンと非導電性の細線パターンが形成されたものが挙げられる。
【0026】
また、対象物100は、パターン130以外の構成を有していてもよい。例えば、透明基材110上に目視視認が困難な導電性細線により形成されたアンテナパターン131と半導体素子140とを有するRFIDタグを、対象物100として用いることもできる。この場合、RFIDタグを形成するアンテナパターン131が所定のパターン130に相当する。このようなRFIDタグを対象物100として用いることにより、商品のデータの書き込み読み出し機能を有する対象物100に対して、真贋判定を行うことが可能となる。
【0027】
以下、対象物100がRFIDタグである場合を例として、本実施形態について説明するが、本実施形態の方法はこれに限定されるものではない。以下において、対象物100とRFIDタグ100とは同じものを指し、パターン130とアンテナ部130を構成するアンテナパターン131とは同じものを指す。
【0028】
本実施形態における「RFIDタグ」とは、「Radio Frequencyタグ」の略称であって、RFIDタグは、電子タグ、ICタグ、無線タグ、RFタグ等、他の名称で呼称されることもある。本実施形態における「RFIDタグ」は、対応するリーダとともに用いられ、リーダとの間で非接触にてデータを送信または送受信できるものをいう。かかる非接触の送信または送受信は、好ましくは電波によって行われる。なお、リーダは、ライタ(書き込み)を兼ねていてもよい。本実施形態では、電池を内蔵しておらず、リーダ・ライタから受信した電波をエネルギー源として動作するパッシブタグであるRFIDタグ100を示すが、本実施形態のRFIDタグ100は、さらに電池(不図示)を内蔵し、その電力を送受信や内部回路用電源として使用するアクティブタグや、その他センサやセンサの電源としての電池を内蔵するセミパッシブタグであってもよい。なお、本実施形態においてRFIDタグとは、アンテナを有することにより特定の周波数の送受信が可能であるものをいう。したがって、ICタグと呼ばれるものであっても上記構成を満たすものであれば、本実施形態におけるRFIDタグに含まれる。
【0029】
図2に、本実施形態のRFIDタグ100の一態様を平面図で示す。RFIDタグ100は、透明基材110と、透明基材110上に形成されたアンテナ部130と、アンテナ部130に電気的に接続された半導体素子140を有する。アンテナ部130と半導体素子140とは、集電部120(接合部121)を介して電気的に接続されている。集電部120は、アンテナ部130と電気的に接続されるものであり、アンテナ部130が所定の周波数に応答して発生した電気を、半導体素子140に向かって集電する部分をいう。また、接合部121は、集電部120のうち、半導体素子140と接合する部分をいう。以下、集電部120とその接合部121を区別する必要がなく、両方に関するものに関しては、「集電部120(接合部121)」と表記することがある。また、単に「集電部120」と記載する場合であっても、集電部120における接合部121以外の部分を意味するものではない。
【0030】
図3に、
図2のS1aの拡大図を示す。
図3において、集電部120は2以上の先端が対向した接合部121を有する。この接合部121には、図示しない異方性導電性ペースト(ACP)又は異方性導電性フィルム(ACF)などの異方性導電性接着剤などにより、半導体素子140を電気的に接合することができる。また、アンテナ部130は、その接合部121と電気的に接続され、所定の周波数の電波を受信して半導体素子140に電気信号を伝えたり、半導体素子140の出力に応じて所定の周波数の電波を送信したりすることができる。なお、
図3では、台形状の集電部120を示すが、集電部120の形状はこれに制限されない。一例として、
図3における集電部120は、平面視において半導体素子の投影面積と同等~数倍の面積を有し、接合部121に半導体素子140が接合された際に、集電部120がほぼ覆われるものが好ましい。この場合、集電部120は実質的に接合部121のみで構成されているともいえる。
【0031】
(半導体素子)
半導体素子140としては、特に限定されないが、記憶素子等の集積回路が挙げられる。半導体素子140は、RFIDタグ100の用途に応じて公知のものを用いることができる。半導体素子140の構成は、特に制限されないが、例えば、記憶部、電源整流部、受信部、制御部、及び送信部などの機能部を有する。
【0032】
(アンテナ部)
図4は、アンテナ部130を構成するアンテナパターン131を示す、
図3のS3部分の拡大図である。アンテナ部130は、アンテナパターン131と、開口部132とを有する。アンテナパターン131は、0.25μm以上5.0μm以下の線幅を有する導電性細線を有することが好ましい。当該線幅の導電性細線を有することで、アンテナパターン131における導電性細線の視認性が低下する。
【0033】
アンテナパターン131は、アンテナ部130が所定の周波数に応答するよう、その外縁形状が設計される。アンテナパターン131を構成する導電性細線は、アンテナ部130の領域内で互いに電気的に導通する。但し、対象物100のパターン130をアンテナパターン131や導電性細線で構成しない場合には、パターン130の構成はこれに限定されるものではない。
【0034】
また、アンテナパターン131は、例えば、導電性細線により構成されるグリッドである。グリッドの単位形状は、特に限定されないが、例えば、三角形、四角形、六角形等が挙げられる。
図4には、単位形状が四角形であるグリッドが示されている。
図5は、アンテナパターン131の別形態を示す概略図である。当該別形態においては、単位形状が六角形であるグリッドを有する。
【0035】
導電性細線は、金属細線であることが好ましい。金属としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウムが挙げられる。これらの中でも、銀又は銅が好ましく、銅がより好ましい。
【0036】
(アンテナパターンの線幅W1)
アンテナパターン131を構成する導電性細線の線幅W1は、好ましくは0.25μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上4.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上3.0μm以下である。導電性細線の線幅W1を当該範囲とすることでアンテナパターン131を構成する導電性細線の視認性が低下し、アンテナ部130の視認性を低下させることができる。さらに、後述するように、本実施形態における表示デバイス310を有する端末300とアンテナパターン131とを重畳させることで模様313,313’を発生させることができる。本実施形態の線幅W1とは、透明基材110のアンテナパターン131が配された面側から、導電性細線を透明基材110の表面上に投影したときの導電性細線の線幅をいう。
【0037】
(厚さH1)
アンテナパターン131を構成する導電性細線の厚さH1は、好ましくは10nm以上1,000nm以下であり、より好ましくは50nm以上あり、さらに好ましくは75nm以上である。導電性細線の厚さH1が10nm以上であることにより、導電性がより向上する傾向にある。他方、導電性細線の厚さH1が1,000nm以下であることにより、広い視野角において視認性が低下する。
【0038】
(アスペクト比)
導電性細線の線幅W1に対する導電性細線の厚さH1で表されるアスペクト比(H1/W1)は、好ましくは0.05以上1.00以下である。アスペクト比の下限は、より好ましくは0.08以上、さらに好ましく0.10以上である。アスペクト比が0.05以上であることにより、透過率を低下させることなく、導電性をより向上できる傾向にある。
【0039】
(ピッチP1)
アンテナパターン131のピッチP1は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上である。アンテナパターン131のピッチP1が5μm以上であることで、良好な透過率を得ることができる。また、アンテナパターン131のピッチP1は、好ましくは1,000μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは250μm以下である。アンテナパターン131のピッチP1が1,000μm以下であることにより、導電性をより向上できる傾向にある。なお、アンテナパターン131の正方形のグリッドパターンである場合には、線幅1μmの導電性パターン122のピッチP1を200μmとすることにより、開口率99%とすることができる。なお、ピッチP1は、線幅W1と導電性細線間の距離の和を意味する。
【0040】
さらに、アンテナパターン131のピッチP1は、後述する表示デバイス310にアンテナパターン131を重畳したときの真贋判定を支援する正解画像314を生じさせる観点から、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μ以上である。一方で、アンテナパターン131のピッチP1が500μm以下であると、重畳したときの真贋判定支援用の正解画像の明度が高くなり好ましく、好ましくは250μm以下であり、より好ましくは100μm以下である。
【0041】
(占有面積率A1)
占有面積率A1は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1.0%以上であり、さらに好ましくは2%以上である。占有面積率A1を当該値以上とすることで、アンテナ部130の導電性がより向上する傾向にある。また、占有面積率A1は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。占有面積率A1を当該値以下とすることにより、アンテナ部130の可視光透過率がより向上する傾向にある。
【0042】
なお、パターンにおける「占有面積率」とは、透明基材110上のアンテナパターンが形成されている領域について以下の式で算出することができる。
占有面積率(%)=(アンテナパターンの占める面積/透明基材のアンテナパターンが形成されている領域の面積)×100
【0043】
開口部132の開口幅W2は、好ましくは40μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。当該範囲とすることで、アンテナ部130の視認性をより低下させることができ、さらに、表示デバイス310に重畳した際に、真贋判定を支援する正解画像を得られやすくなり好ましい。開口部132の開口幅W2は、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは300μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。アンテナ部130の電気抵抗を減らし、アンテナの機能をより良好にすることができる。
【0044】
「開口幅」とは、開口部の短手方向の幅を意味する。なお、開口が正方形である場合には、いずれか一辺の幅である。
【0045】
(アンテナ部の可視光透過率T1)
アンテナ部130の可視光透過率T1は、好ましくは75%以上99.0%以下であり、より好ましくは80%以上99.0%以下である。可視光透過率は、JIS K 7361-1:1997の全光線透過率に準拠して、その可視光(360~830nm)の範囲の透過率を算出することで測定することができる。
【0046】
アンテナ部130の可視光透過率T1は、アンテナパターンの線幅を小さくしたり、開口率を向上させたりすることにより、より向上する傾向にある。
【0047】
(アンテナ部の面抵抗率)
アンテナ部130の面抵抗率は、好ましくは0.1Ω/sq以上1,000Ω/sq以下であり、より好ましくは0.1Ω/sq以上500Ω/sq以下であり、さらに好ましくは0.1Ω/sq以上300Ω/sq以下であり、よりさらに好ましくは0.1Ω/sq以上200Ω/sq以下であり、さらにより好ましくは0.1Ω/sq以上100Ω/sq以下であり、さらにより好ましくは0.1Ω/sq以上20Ω/sq以下であり、さらにより好ましくは0.1Ω/sq以上10Ω/sq以下である。面抵抗率が低いほど電力損失が抑制される傾向にあり、アンテナとしての感度を高めることができる。
【0048】
面抵抗率の測定方法に関して、先ず、アンテナ部130からアンテナパターン131が全面に配された部分を矩形状に切り出して、測定サンプルを得る。得られた測定サンプルからJIS K 7194:1994に準拠した四端子法により面抵抗率Rs(Ω/sq)を測定することができる。面抵抗率の測定に用いられる抵抗率計としては、例えば、「ロレスターGP」(製品名、三菱化学株式会社製)が挙げられる。
【0049】
面抵抗率は、導電性細線の同一の占有面積率でも、アスペクト比(厚さ)の増加にともない、低下する傾向にある。また、導電性細線を構成する金属材料種の選択によっても調整することが可能である。
【0050】
(アンテナ部のヘイズ)
アンテナ部130のヘイズは、好ましくは0.01%以上5.00%以下である。ヘイズの上限は、より好ましくは4.00%以下であり、さらに好ましくは3.00%以下である。ヘイズの上限が5.00%以下であれば、可視光に対する導電性フィルムの曇りを十分に低減でき、アンテナ部130と表示デバイス310とが重畳した際に生じる真贋判定用正解画像が鮮明に得られやすくなり好ましい。本明細書におけるヘイズは、JIS K 7136:2000のヘイズに準拠して測定することができる。
【0051】
(集電部)
図6に、
図3のS2の拡大図を示す。集電部120は、好ましくは0.25μm以上5.0μm以下の線幅を有する導電性パターン122により構成される。
【0052】
(接合部の可視光透過率T2)
接合部121の可視光透過率T2は、好ましくは30~80%である。当該範囲とすることで、半導体素子との電気的接合を良好にし、裏面からの半導体素子との接合部の不可視性に優れるRFIDタグを提供することができる。接合部121の可視光透過率T2は、好ましくは75%以下であり、より好ましくは70%以下である。接合部121の可視光透過率T2は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上である。可視光透過率は、JIS K 7361-1:1997の全光線透過率に準拠して、その可視光(360~830nm)の範囲の透過率を算出することで測定することができる。
【0053】
接合部121の可視光透過率T2は、導電性パターン122の配線密度を調整することで、上記の範囲とすることができる。
【0054】
可視光透過率T1と可視光透過率T2との差(T1-T2)は、好ましくは45%以上60%以下であり、より好ましくは50%以上57%以下であり、さらに好ましくは53%以上55%以下である。差(T1-T2)を当該範囲とすることで、アンテナ部130と半導体素子140との電気的接合をより向上させることができる。
【0055】
図6は、集電部(接合部121)を構成する導電性パターン122を示す、
図3のS2部分の拡大図である。集電部(接合部121)は、導電性パターン122と、開口部123とを有する。導電性パターン122を構成する導電性細線は、アンテナ部130の領域内で互いに電気的に導通することが好ましい。また、導電性パターン122は、例えば、導電性細線により構成されるグリッドである。グリッドの単位形状は、特に限定されないが、例えば、三角形、四角形、六角形等が挙げられる。
【0056】
導電性細線は、金属細線であることが好ましい。金属としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウムが挙げられる。これらの中でも、銀又は銅が好ましく、銅がより好ましい。
【0057】
(導電性パターンの線幅W3)
導電性パターンを構成する導電性細線の線幅W3は、好ましくは0.25μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上4.0μm以下であり、さらに好ましくは、1.0μm以上3.0μm以下である。導電性細線の線幅W3を当該範囲とすることで導電性パターンを構成する導電性細線の視認性が低下し、接合部121の視認性を低下させることができる。本実施形態の線幅W3とは、透明基材110の導電性パターン122が配された面側から、導電性細線を透明基材110の表面上に投影したときの導電性細線の線幅をいう。
【0058】
(厚さH2)
導電性パターン122を構成する導電性細線の厚さH2は、好ましくは10nm以上1,000nm以下であり、より好ましくは50nm以上あり、さらに好ましくは75nm以上である。導電性細線の厚さH2が10nm以上であることにより、導電性がより向上する傾向にある。他方、導電性細線の厚さH2が1,000nm以下であることにより、広い視野角において視認性が低下する。
【0059】
(アスペクト比)
導電性細線の線幅W3に対する導電性細線の厚さH2で表されるアスペクト比(H3/W2)は、好ましくは0.05以上1.00以下である。アスペクト比の下限は、より好ましくは0.08以上、さらに好ましく0.10以上である。アスペクト比が0.05以上であることにより、透過率を低下させることなく、導電性をより向上できる傾向にある。
【0060】
(ピッチP2)
導電性パターン122のピッチP2は、好ましくは1.0μm以上でありより好ましくは1.2μm以上である。導電性パターン122のピッチP2が1.0μm以上であることで、ACPやACFなどの異方性導電性接着剤との導電性を維持しつつ、良好な透過率を得ることができる。また、導電性パターン122のピッチP2は、好ましくは7.0μm以下であり、より好ましくは4.0μm以下である。導電性パターン122のピッチP2が7.0μm以下であることにより、導電性をより向上できる傾向にある。なお、ピッチP2は、線幅W3と導電性細線間の距離の和を意味する。
【0061】
(占有面積率A2)
集電部120(接合部121)に形成される導電性パターン122の単位面積当たりの占有面積率A2は、アンテナ部130に形成されるアンテナパターン131の単位面積当たりの占有面積率A1よりも大きいことが好ましい。このような関係にあることで、アンテナ部130の可視光透過率を高くしながら、半導体素子との電気的接合を良好にすることができる。
【0062】
占有面積率A2は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。占有面積率A2を当該値以上とすることで、半導体素子140との電気的接合をより良好にさせられる傾向にある。また、占有面積率A2は、好ましくは80%以下であり、より好ましくは75%以下である。占有面積率A2を当該値以下とすることにより、裏面からの半導体素子140との接合部121の視認性がより低下する傾向にある。
【0063】
接合部121と、半導体素子140とが、導電性粒子により電気的に接合される場合、開口部123は、導電性粒子の平均粒子径よりも狭い開口幅W4を有することが好ましい。「開口幅」とは、開口部の短手方向の幅を意味する。なお、開口が正方形である場合には、いずれか一辺の幅である。開口部123が少なくとも短手方向の幅が導電性粒子の平均粒子径よりも狭いと、導電性粒子が、導電性パターン122を構成する導電性細線と接触するため、接合部121と半導体素子140との電気的接合が良好になる。
【0064】
接合部121における導電性パターン122の形成されていない開口部123の開口幅W4は、アンテナ部130におけるアンテナパターン131の形成されていない開口部132の開口幅W2よりも小さいことが好ましい。これにより、接合部121と半導体素子140との電気的接合がより良好になる。
【0065】
開口部123の開口幅W4は、好ましくは0.75μm以上であり、より好ましくは0.90μm以上である。当該範囲とすることで、接合部の視認性をより低下させることができる。開口部123の開口幅W4は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは6.0μm以下である。接合部121と半導体素子140との電気的接合をより良好にすることができる。
【0066】
(透明基材)
本実施形態の真贋判定方法における透明基材110の「透明」とは、可視光透過率が、好ましくは80%以上であることをいい、より好ましくは90%以上であることをいい、さらに好ましくは95%以上であることをいう。ここで、可視光透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠して測定することができる。
【0067】
透明基材110の材料としては、特に限定されないが、例えば、ガラス等の透明無機基材;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の透明有機基材が挙げられる。このなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、又はポリエチレンナフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートを用いることにより、導電性フィルムを製造するための生産性(コスト削減効果)がより優れ、また、透明基材と金属細線との密着性がより向上する傾向にある。また、ポリイミドを用いることにより、導電性フィルムの耐熱性がより向上する傾向にある。さらに、ポリエチレンナフタレートを用いることにより、透明基材と金属細線との密着性がより優れる傾向にある。
【0068】
透明基材110は、1種の材料からなるものであっても、2種以上の材料が積層されたものであってもよい。また、透明基材110が2種以上の材料が積層された多層体である場合には、該透明基材110は有機基材又は無機基材同士が積層されたものであっても、有機基材及び無機基材が積層されたものであってもよい。
【0069】
透明基材110の厚さは、好ましくは5μm以上500μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下である。
【0070】
また、RFIDタグ100は、透明基材110と、アンテナ部130、あるいは、集電部120との間に中間層を有してもよい。該中間層は、透明基材110と導電部の金属細線との密着性の向上に寄与するため好ましい。
【0071】
つぎに上記した透明基材上に設けられた導電性細線により形成されたアンテナパターンを有するRFIDタグを、表示デバイスに重畳し生じる模様による真贋判定支援方法について、詳細に説明する。
【0072】
(端末)
次いで、本実施形態の真贋判定方法における端末300について説明する。
図7は、本実施形態に係る端末300のハードウェア構成と機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように端末300は、典型的には、表示デバイス310、入力インターフェース320、1つ又は複数のプロセッサ330、有線又は無線の通信を制御する通信インターフェース340、ストレージ350、メモリ360及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス370を含み、これらの協働により、本実施形態に記載される処理、機能、または、方法を実現する。
【0073】
このような端末としては、例えば、表示デバイスを有していれば特に制限されるものではなく、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、タッチパネル、タブレットなどが挙げられる。中でも、表示デバイスにタッチパネルを含み、表示ディスプレイからのユーザ入力を受け付けることができるスマートフォン、携帯電話、タッチパネル、タブレットなどが好ましい。
【0074】
表示デバイス310としては、特に制限されないが、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、タッチパネル、タブレットなどの自発光型の画像出力装置が挙げられる。このような表示デバイス310としては、例えば、CCFL、LED、有機ELからの発光を、TFT液晶とカラーフィルターでRGBなどの色調制御をし、表示するデバイスが挙げられる。また、カラーフィルターやTFT液晶を利用せず、直接自発光で色調制御する、RGB独立発光型有機ELや、マイクロLEDなども挙げられる。
【0075】
入力インターフェース320は、端末300に対する各種操作を入力する入力装置を含む。例えば、入力インターフェース320は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置を含む。
【0076】
プロセッサ330は、メモリ360に記憶されるプログラムに含まれるコード、または、命令によって実現する処理、機能、または、方法を実行する。プロセッサ330は、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)を含む。
【0077】
通信インターフェース340は、ネットワークを介してサーバ400等の他の情報処理装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インターフェース340は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0078】
ストレージ350は、プログラム、各種機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ350は、限定でなく例として、磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ350の他の例としては、プロセッサ330から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
【0079】
メモリ360は、ストレージ350からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ330に対して作業領域を提供する。メモリ360には、プロセッサ330がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ360は、限定でなく例として、ROM、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。
【0080】
端末300は、ストレージ350に記憶されているプログラムに含まれる命令をプロセッサ330が実行することによって、
図7に示すように、表示制御部354として機能するように構成されている。
【0081】
オペレーティングシステム351は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
【0082】
ネットワーク通信部352は、例えば、端末300をサーバ400等の他のコンピュータに、通信インターフェース340、及びネットワークを介して接続するために使用され、各種情報の送受信部として機能する。
【0083】
画像データ353は、下地画像311、及び、表示デバイス310と対象物100とを重ね合わせることで生じる模様313の内容に対応する正解情報としての正解画像314に関する情報を含む。ここで、下地画像311及び正解画像314は、対象物100が付される商品に関する情報と関連付けて記憶されていてもよい。これにより、表示制御部354は、商品に関する情報が入力された際に、それに対応する下地画像311及び正解画像314を取得し、表示デバイス310に表示制御する処理を実行することができる。
【0084】
なお、正解情報は、模様313の真偽を判断するために用いられる情報であれば特に制限されず、正解画像314に限られるものではない。正解画像314以外の正解情報としては、特に制限されないが、例えば、表示デバイス310とパターン130とが重畳されて生じる模様313が認知可能な所定の模様としての文字である場合、この文字に関する情報を正解情報とすることができる。
【0085】
表示制御部354は、ユーザの操作に応じて、各情報を表示デバイス310に表示制御する処理を実行する。例えば、表示制御部354は、表示デバイス310の下地画像表示エリアに下地画像311を表示し、正解画像表示エリアに正解画像314を表示することができる。
【0086】
また、表示制御部354は、対象物100と表示デバイス310とを重畳する重畳方法に関する情報を表示デバイス310に表示制御してもよい。重畳方法に関する情報は、対象物100と表示デバイス310とを重ね合わせたときの状態を示す情報であってよい。重畳方法に関する情報としては、特に制限されないが、例えば、模様313が出現しやすいように表示デバイス310上における対象物100を載置する位置を示す情報や、模様313の視認性を向上するために表示デバイス310上で対象物100を移動させる情報が挙げられる。
【0087】
例えば、表示制御部354は、表示デバイス310上における対象物100を載置する位置を示す情報として、表示デバイス310に、対象物100を載置すべき領域312及び/又は対象物100を載置すべき方向オブジェクト315を表示してもよい(
図11参照)。
【0088】
また、表示制御部354は、表示デバイス310上における対象物100を載置する位置を示す情報として、表示デバイス310に、対象物100を載置する位置を規定する一又は複数のアライメントマーク316aを表示してもよい(
図12参照)。この場合、対象物100は、アライメントマーク316aに位置合わせするための対となるアライメントマーク316bを有していてもよい。この場合、半導体素子140をアライメントマーク316bのうちの一つとして使用してもよい。
【0089】
これら領域312、方向オブジェクト315、又はアライメントマーク316aは、表示デバイス310上にパターン130を重ねる際のガイドとして機能し得る。これにより、パターン130が下地画像311とずれて重畳されることを回避でき、模様313を正しく出現しやすくなる。なお、この場合、正解画像314は領域312以外の部分に表示される。
【0090】
また、表示制御部354は、模様313の視認性を向上するために、表示デバイス310に、表示デバイス310に載置した対象物100を、表示デバイス310上で移動させる旨の情報(移動指示オブジェクト317)を表示してもよい(
図13参照)。ここで、「移動」には、例えば、表示デバイス310上で対象物100を回転移動又は平行移動、またはこれらを組み合わせた移動をさせることを含む。
【0091】
このように対象物100を移動することにより、模様313の特徴部分313aが生じる部分と生じない部分とが切り替わり、模様313の特徴部分313aの視認性がより向上する。なお、ここで「特徴部分」とは、模様313のうち、正解画像を判別するために特徴となるような部分をいう。これにより、模様313の特徴部分313aが見出しにくい場合に、ユーザが模様313の特徴部分313aを認識できるように補助することができる。
【0092】
さらに、表示制御部354は、表示デバイス310に、対象物100を密着して載置するよう指示する旨を表示してもよい。これにより、表示デバイス310と対象物100の間に空間が空くことによって、模様313が出現しない場合に、ユーザに注意を喚起することができる。
【0093】
なお、表示制御部354による重畳方法に関する情報の上記表示制御においては、表示制御部354は、表示デバイス310のハードウェア構成に関する情報に基づいて重畳方法に関する情報を表示することができる。具体的には、表示制御部354は表示デバイス310の製品番号などから表示デバイスの構成に関する情報を取得し、その表示デバイス310毎に適した、領域312、方向オブジェクト315、又はアライメントマーク316aを表示したり、移動指示オブジェクト317を表示したりしてもよい。
【0094】
表示デバイス310の種類によってはピクセルの配置等が異なり、模様313が出現しやすい重畳方法も異なる。そのため、上記のように、表示デバイス310のハードウェア構成に関する情報に基づいて重畳方法に関する情報を表示することにより、表示制御部354は表示デバイス310の構成の違いを考慮して、載置する位置の表示や、移動方法の表示を適切に行うことができる。
【0095】
さらに、表示制御部354は、表示デバイス310がタッチパネルである場合に、表示デバイス310のうち、対象物100と表示デバイス310とを重畳する領域を、タッチ操作に対する非反応領域とするように、又は、タッチ操作に対する反応領域としないように反応制御してもよい。
【0096】
これにより、表示デバイス310と対象物100とを重畳した領域において、表示デバイス310にタッチ操作がされていないにもかかわらず、タッチ操作を誤検出することを回避することができる。そのため、例えば、上記のように、対象物100を表示デバイス310上で移動させた場合に、その移動に伴い画面がスワイプされること等を回避することができる。
【0097】
<動作処理>
次に、このように構成された本実施形態の真贋判定支援方法の動作処理について説明する。
図10に、第1実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスを示す。
【0098】
(下地画像及び正解画像の表示)
ステップS101,S102において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、下地画像311を取得し、表示デバイス310に表示制御する。この際、表示制御部354は、商品毎に、すなわち対象物100毎に対応する下地画像311を表示制御してもよいし、対象物100に関わらず、同様の下地画像311を表示制御してもよい。
【0099】
また、ステップS101,S102において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、正解画像314を表示デバイス310に表示制御する。なお、対象物100に関わらず同様の下地画像311を用いる場合であっても、パターン130や重畳する角度などの違いにより、正解画像314は異なるものとすることができる。
【0100】
(模様の出現)
次いで、ステップS103において、商品に貼り付けられた対象物100を剥がして、下地画像311にパターン130を重畳させることにより、表示デバイス310は模様313を出現させることができる。
【0101】
本実施形態の真贋判定方法において、表示デバイス310にRFIDタグ100が重畳された場合に、模様313が出現するメカニズムは、特に制限されないが、例えば、パターン130と表示デバイス310が有する複数の画素との重畳により生じる模様、パターン130と表示デバイス310が有するメッシュ部との重畳により生じる模様、その他、パターン130と表示デバイス310との重畳により生じる模様、並びにこれらの組み合わせにより生じる模様があると推定される。
【0102】
まず、パターン130と表示デバイス310が有する複数の画素との重畳により生じる模様について説明する。上記したようにRFIDタグ100には、通常は目視で視認しづらいアンテナパターン131でアンテナ部130が形成されている。アンテナ部130の全面積に対するアンテナパターン131の占有率A1は低いため、アンテナ部130全体の透過率は低くはないが、光学的には、アンテナパターン131により、アンテナ部主面における裏面から表面への透過光線が遮蔽されている状態である。
【0103】
一方、表示デバイス310は、微視的には、RGB各々の輝点の集合体であり、RGBによる色調制御により、種々の表示を行っている。そして、これら輝点も、目視ではほぼ視認できない微細ピッチP
3で形成されている。
図8に、表示デバイス310の拡大図に、パターン130をオーバーレイした状態を表す概略図を示す。
【0104】
また、
図9に、表示デバイス310の拡大図に、パターン130をオーバーレイした他の状態を表す概略図を示す。
図9においては、ピッチP
1よりも短い周期のピッチP
1'を含めてアンテナパターン131を構成することにより、ピクセルのRGBに対するアンテナパターン131の周期の位相をずらしている。このため、位相がずれた領域は、近接する領域とはことなるRGBの重なりによる模様が生じることになる。
【0105】
例えば、市販スマートフォンの一例を挙げると、458ppiであり、1ピクセルのピッチは、約55.5μmである。ここで、アンテナ部13のアンテナパターン131のピッチを、表示デバイス310のピクセルのピッチ近傍とすると、画素の一部が遮蔽されるようになり、RGBのバランスが周期的に崩れるようになる。つまり、表示デバイス310の画素の周期と、アンテナ部130のアンテナパターン131による周期的な遮蔽の周期のずれにより生じる二次元空間周波数のうなりといえ、モアレの一種と推定される。
【0106】
例えば、表示デバイス310に白色を表示させたときに、表示デバイス310のピクセルピッチ近傍の微細ピッチP1を有するアンテナ部130があるRFIDタグを重畳すると、RGBのいずれか一色が周期的に遮蔽され、白色から、表示バランスが崩れ、周期的な色調変化を含む模様313が観察される。
【0107】
本発明者は、鋭意検討の結果、表示デバイス310のピクセルのピッチP3と、アンテナ部130のアンテナパターン131のピッチP1の差|P3-P1|が、20μm以下であると、より視認しやすい模様313が生じ、真贋判定支援に好適であることを見出した。さらに、差|P3-P1|は、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。差|P3-P1|が上記範囲内であることにより、本発明の真贋判定支援方法における正解画像314との照会が容易になり特に好ましい。
【0108】
さらに、本発明者による鋭意検討の結果、上記した表示デバイス310のピクセルを遮蔽するアンテナパターン131のピッチは、必ずしも、
図4に示したP
1のみでなく、開口部132の対角線距離P
1dにも依存することを見出している。つまり、表示デバイスのピクセルのピッチP
3と、アンテナ部130の開口部132の対角線距離P
1dとの差|P
3-P
1d|が、20μm以下であると、より視認しやすい模様313が生じ、真贋判定支援に好適であることを見出した。さらに、差|P
3-P
1d|は、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。差|P
3-P
1d|が上記範囲内であることにより、本実施形態の真贋判定支援方法における正解画像314との照会が容易になり特に好ましい。
【0109】
図11に、表示デバイス310の長手方向とRFIDタグ100の長手方向を平行にして重畳する場合と、表示デバイス310の長手方向とRFIDタグ100の長手方向が45度の角度をなすようにして重畳する場合の概略図を示す。
【0110】
例えば、表示デバイス310に、RFIDタグ100を重畳する際に、
図11に示したような平行方向と、斜め45度にずらした時とで、出現する模様313が異なる。そのため、正解画像314は重ねる角度に応じて、複数種類存在する(正解画像314a,314b)。例えば、このような複数の模様313とそれに対応する複数の正解情報としての正解画像314a,314bとを対比することによって、真贋判定を行うことができる。これにより、一種類の模様313のみを用いて真贋判定を行う場合と比較して、より精度の高い真贋判定を行うことができる。また、このように複数の模様313とそれに対応する複数の正解画像314a,314bとが一致するようなRFIDタグ100の偽造や複製は困難であるため、このような方法は、真贋判定の信頼性が高いことの証左となる。
【0111】
また、表示デバイス310と所定のパターン130が設けられた対象物100とを重畳する方法として、表示デバイス310の表示面における面内方向の角度を連続的に変更することも好ましく、連続的に回転させても良い。前記したように、表示デバイス310のピクセルピッチP3とアンテナパターン131のピッチP1や対角線距離P1dとの差により様々な態様の模様313が得られ、模様313は表示デバイス310の表示面の面内方向の角度に応じて変化する。
【0112】
そのため、表示デバイス310上で、連続的に対象物100の載置角度を変えると、模様313も連続的に変わることになる。ユーザに連続的に対象物100の載置角度を変更させる際には、
図13に示すように、表示制御部354は、表示デバイス310に移動指示オブジェクト317を表示してもよい。ここで、移動指示オブジェクト317は、対象物100の移動方向を指示するものであれば特に制限されない。なお、載置角度による模様313の連続的変化を正解画像としてもよい。このとき、正解画像は、載置角度が異なる複数の画像を含む正解画像のセットであってよい。これにより、本実施形態の真贋判定支援方法による、真贋保証性が高まり、特に好ましい。
【0113】
なお、本実施形態における模様313の態様は、表示デバイス310のピクセルピッチP3とアンテナパターン131の微細ピッチP1とが近い場合や、表示デバイス310のピクセルピッチP3とアンテナパターン131の対角線距離P1dとが近い場合に制限されるものではなく、これら距離の違いの程度によって様々な態様をとり得る。さらに、表示デバイス310の画素数によっても、模様313の見え方は変化し得る。
【0114】
また、アンテナパターン131のグリッドが三角形や六角形などの場合、あるいは、アンテナパターン131のピッチが途中で変化するようにパターン130を形成した場合などにおいても、任意の模様313を構成することができる。アンテナ部130の導電性細線のグリッドの単位形状は、正三角形、正四角形、正六角形などの点対称の形状が特に好ましい。一般に、表示デバイス310のピクセルピッチは、特定の方法のX方向とそれに直交するY方向とで、一致しないことが多く、1ピクセルの形状も長方形であることが多い。そのため、グリッドの単位形状が上記した点対称の形状であると、おのずと表示デバイス310のピクセル周期とのずれが生じ、かつ、直交する2方向で、周期的な色調変化がことなるため、複雑な模様313を得られやすくなる。そのため、RFIDタグの複製が困難となり、より真贋判定の証左とすることができる。
【0115】
次に、パターン130と表示デバイス310が有するメッシュ部(不図示)との重畳により生じる模様について説明する。本実施形態の真贋判定方法においては、表示デバイス310は、タッチパネルを含み、所定のパターンが設けられた対象物100と、タッチパネルを構成するメッシュ部との重畳により発生する模様を含むことも好ましい。特に、大画面タッチパネルに利用されるメタルメッシュ検知モジュールを含むタッチパネルであると、複雑な模様313が得られ特に好ましい。
【0116】
この場合、タッチパネルを構成するメッシュ部の繰り返しピッチと、上記した表示デバイス310のピクセルピッチ、さらに、タッチパネルを構成するメッシュ部の繰り返しピッチの組み合わせにより、複雑な模様313が得られるため、RFIDタグ100自体の偽造が困難となり、結果として、RFIDタグ100が貼付された商品パッケージの真贋判定の信頼性を高めることができ好ましい。
【0117】
また、本実施形態の真贋判定方法において、表示デバイス310と所定のパターン130が設けられた対象物100とを重畳する方法は特に限定されるものではなく、通常の方法で表示デバイス310上に対象物100を載せる方法が挙げられる。この際、上記ステップS102において、表示制御部354は、予め表示デバイス310に、対象物100を載置すべき領域312を表示することが好ましい。上記したように、表示デバイス310のピクセルの向き、ピッチの方向により、パターン130を重畳することで発生する模様313や正解画像314は異なる。そのため、このように領域312を表示することで、重畳する方向と、それにより発生する模様313や正解画像314を適切に誘導することができる。さらに、正解画像314は、領域312以外の表示領域に表示されると、真贋判定が容易となり特に好ましい。
【0118】
さらに、領域312は、表示デバイス310のハードウェア構成に関する情報に基づいて、表示面の面内方向の角度を変え表示されることも好ましい。前記したように、模様313は、表示デバイス310のピクセルピッチP3とアンテナパターン131のピッチP1や対角線距離P1dとの差により様々な態様が得られるため、事前に取得したハードウェア構成に関する情報から、領域312の面内方向の角度が決定される。ここで、表示デバイスのハードウェア構成とは、ピクセルピッチや、ピクセル配置、各ピクセルの大きさなどを含む。
【0119】
下地画像311とパターン130を重ねる角度を変える場合には、
図11に示すように領域312a,312bと、下地画像311a,311bと、正解画像314a,314bと、を順次表示してもよいし、同時に一つの画面上に表示するようにしてもよい。
【0120】
表示デバイス310に対象物100を載せる方法として、表示デバイス310の画面上に表示する下地画像311に、対象物100を置く位置を規定するアライメントマーク316aを表示することも好ましい。下地画像に表示されたアライメントマーク316aと、対象物100のアライメントマーク316b等の特定位置を重ねることで、対象物100を重ねる角度や、位置をより特定でき好ましい。前記したアライメントマーク316aを重ねる対象物100の特定位置は、例えば、
図2における矩形アンテナパターン131の角部や、半導体素子140などが挙げられ、アンテナパターン131内に、アライメントマーク316bを設けることもまた好ましい。
【0121】
また、表示デバイス310に対象物100を載置すべき領域312を表示し、かつ、正解画像314を特定領域に表示させるために、本実施形態においては、表示デバイス310と所定の演算処理を実行するプロセッサ330およびメモリ360と、を備えることが好ましく、上記したような一連の真贋判定支援方法を実行できるように構成された端末300が好ましい。特に、上記した一連の真贋判定支援方法のプログラムやアプリケーションを実行できるように構成された端末300が特に好ましい。その場合、領域312の位置や向きに応じて正解画像314が種々表示されると、本実施形態の真贋判定支援方法による、真贋保証性が高まり、特に好ましい。
【0122】
本実施形態の真贋判定支援方法において、対象物100に設けられた所定のパターン130は、近接する少なくとも2種以上の異なるパターンを有していてもよく、表示デバイス310に載置したときに発生する模様313は、近接する少なくとも2種以上の異なるパターンにより生じる模様も含んでいてもよい。
【0123】
前記したように、対象物100を表示デバイス310に載置したときに生じる模様は、アンテナパターン131のピッチP
1や、表示デバイス310のピクセルに対する角度、あるいは、表示デバイス310のピクセルRGBに対する位相のずれにより生じる。そのため、例えば
図13(b)のようにパターン130が2種以上の異なるパターンを近接して有することで、模様313はその近接した複数のパターンに対応した複数の模様を近接して含むことになる。これにより、模様313の特徴部分313aとそれ以外の部分のように、模様313内における複数の領域の配置についても模様313を構成する要素の一つとしてとらえることができる。なおここで、
図13(b)は
図13(a)で示すパターン130の部分拡大図である。
【0124】
本発明における2種以上の異なるパターンが近接するとは、必ずしも各々パターンが互いに接する必要はなく、所定の空間を開けて、隣り合うことも含む。例えば、視認できない程度の、例えば10μm程度の領域を開け、隣り合うことも近接している状態に含まれる。
【0125】
ここで上記した、本実施形態における位相のずれにより生じる模様とは、
図9に示すような表示デバイス310のピクセルに対するアンテナ部130のパターン周期をずらすことで生じる模様である。
図9は、
図8と同様、ピッチP
3のピクセルと、ピッチP
1のアンテナパターン131の重なりを示しているが、ピクセルのRGBに対するアンテナパターン131の周期の位相をずらしている。このため、位相がずれた領域は、近接する領域とはことなるRGBの重なりによる模様が生じることになる。
【0126】
さらに、対象物100に設けられた所定のパターン130が、近接する少なくとも2種以上の異なるパターンを有していると、表示デバイス310の表面面における面内方向の角度を連続的に変更することによって、近接する2種以上の異なるパターン領域の境界が明瞭となる。そのため、回転移動などにより、模様の特徴部分313aの視認性がより向上するため好ましい。なお、回転は連続的に行ってもよい。特に、表示デバイス310上で、連続的に対象物100の載置角度を変えると、前記した隣接する2種以上のパターン130の各領域において、模様313が各々異なる模様として観察される。このような複雑な挙動を示す対象物100を複製することが困難であり、本実施形態の真贋判定支援方法による、真贋保証性が高まり、特に好ましい。
【0127】
また、本実施形態の真贋判定方法において、対象物100に設けられた所定のパターン130は、少なくとも2種以上の異なるパターンを有していてもよい。表示デバイス310のピクセルRGBの配置は、メーカー、機種により異なるために、2種以上の異なるパターンを有していると、各々の機種に対応した真贋判定をやりやすくなり好ましい。
【0128】
さらに、本実施形態の真贋判定支援方法における模様313は、文字、数字、記号、その他任意のマークや図形、図柄等の、人間が認知可能な模様を、模様313の一部として、含んでいてもよい。
図14に、出現する模様313が文字等を含む場合の態様を示す。
図14の例では、パターン130及び下地画像311を重畳することにより、「KYZ」の文字が出現する。このように、模様313に文字等が出現するようにパターン130及び下地画像311を構成することにより、任意の模様を単純比較する場合に比べて、ユーザによる真贋判断がより容易となる。なお、模様313が文字等を含む場合には、出現する模様に相当する正解画像314も同様に文字等を含むものとなる。
【0129】
模様313に、文字、数字、記号、その他任意のマークや図形、図柄などの、人間が認知可能な模様としては、前記した近接する少なくとも2種以上の異なるパターンにより生じる模様も含んでいてもよい。
【0130】
ここで、2種以上の異なるパターンは、各々、アンテナパターン131のピッチP1や、表示デバイス310のピクセルに対する角度、あるいは、表示デバイス310のピクセルRGBに対する位相のずれにより生じるパターンが好ましい。特に、表示デバイス310のピクセルに対する角度、あるいは、表示デバイス310のピクセルRGBに対する位相のずれにより生じるパターンであると、アンテナパターンの透過率は、近接する領域で同一であり、表示デバイス310上に載置したときに、初めて出現する模様となる。そのため、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することなく、真贋判定が可能となり好ましい。
【0131】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態にかかる真贋判定支援方法について説明する。第2実施形態にかかる真贋判定支援方法は、透明基材110上に所定のパターン130が設けられた対象物100と、表示デバイス310を有する端末300とを用いて真贋判定を支援する方法であって、表示デバイス310に、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313に関する情報の入力を受け付けることと、受け付けた情報と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を表示デバイス310に表示することとを含む。
【0132】
第2実施形態に係る対象物100及び端末300の構成や機能等は、基本的に第1実施形態と同様である。第2実施形態と第1実施形態とで異なる点は、第2実施形態においては、端末300の入力インターフェース320が模様313に関する情報の入力を受け付け、端末300の表示制御部354が、入力された模様313に関する情報と正解情報としての正解画像314に関する情報とを照合する処理により真贋判定をする点である。
【0133】
これにより、目視による真贋判定の支援に代えて、端末300の表示制御部354が真贋判定を行い、表示デバイス310にその結果を表示することができる。そのため、対象物100の偽造の有無をより明確に判断することができ、真贋判定をより容易に実行することができる。
【0134】
<動作処理>
次に、このように構成された本実施形態の真贋判定支援方法の動作処理について説明する。
図15に、第2実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスを示す。
【0135】
ステップS201,S202において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、下地画像311を取得し、表示デバイス310に表示制御する。この際、表示制御部354は、商品毎に、すなわち対象物100毎に対応する下地画像311を表示制御してもよいし、対象物100に関わらず、同様の下地画像311を表示制御してもよい。
【0136】
また、ステップS201において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、正解画像314に関する情報を取得する。なお、対象物100に関わらず同様の下地画像311を用いる場合であっても、パターン130や重畳する角度などの違いにより、正解画像314は異なるものとすることができる。
【0137】
次いで、ステップS203において、商品に貼り付けられた対象物100を剥がして、下地画像311にパターン130を重畳させることにより、表示デバイス310は、模様313を出現させることができる。
【0138】
また、ステップS203において、端末300の入力インターフェース320は、ユーザの操作に応じて、模様313に関する情報を受け付けることができる。
図16に、タッチパネルディスプレイに表示される入力インターフェース320を表示制御する場合の概略図を示す。
図16に示すように、表示制御部354が入力に適した入力インターフェースを表示デバイス310に表示するよう表示制御することができる。
【0139】
さらに、ステップS203においては、表示制御部354は、対象物100を重畳させる領域において、端末300の入力インターフェース320を停止させることが好ましい。これにより、対象物100を重畳させる際の誤入力を抑制し、誤動作を防止することができ好ましい。具体的には、前記入力インターフェース320がタッチパネルであるならば、タッチパネル機能を停止することが挙げられる。
【0140】
また、ステップ203においては、対象物100を表示デバイス310に重畳させる際は、表示デバイス310上に密着させることが好ましく、例えば、透明なガラスや樹脂板で抑えることが好ましい。この操作により、模様313を正確に出現させやすくなり好ましい。
【0141】
ステップS204において、端末300の表示制御部354は、入力された模様313に関する情報と正解画像314に関する情報とを照合する処理により真贋判定をする。
【0142】
そして、ステップS205において、端末300の表示制御部354は、真贋判定の結果を表示デバイス310に表示する。
【0143】
第2実施形態においては、模様313に関する情報を入力に適したものとするため、模様313には、文字、数字、記号、その他任意のマークや図形、図柄等の、人間が認知可能な模様が出現するように、パターン130や表示デバイス310、あるいは重畳方法を制御することが好ましい。
【0144】
また、
図16においては、数字を入力する入力インターフェース321を示すが、表示制御部354が表示制御するインターフェースはこれに限定されず、特定の記号や図形、模様パターンを選択させるような形式であってもよい。
【0145】
以上説明した本実施形態に係る真贋判定支援方法では、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を行うことができる。また、それと同時に、光学変化デバイスのように商品の意匠性等を損なうことのない対象物と、それを用いた真贋判定支援方法、並びに、当該方法に用いる端末を提供することも可能となる。
【0146】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態にかかる真贋判定支援方法について説明する。第3実施形態にかかる真贋判定支援方法は、透明基材110上に所定のパターン130が設けられた対象物100と、表示デバイス310を有する一又は複数の端末300a、300b・・・、表示デバイス310上に対象物100を載置した結果生じる模様を撮像する撮像装置500とを用いて真贋判定を支援する方法であって、撮像画像と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を、一又は複数の端末300a、300b・・・にのうちのいずれか一つの端末の表示デバイス310に表示することとを含む。なお、以下において端末300bは、端末600ということもある。
【0147】
第3実施形態に係る対象物100及び端末300の構成や機能等は、基本的に第1実施形態と同様である。第3実施形態と第1実施形態とで異なる点は、第3実施形態においては、端末300の表示デバイス310上に対象物100を載置されて生じる模様、すなわち、表示デバイス310と対象物100とが重畳された状態で、対象物100の上方から撮像装置500を用いて撮像を行い、端末300の表示制御部354が、撮像画像と正解情報としての正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を、一又は複数の端末のうちのいずれかひとつの表示デバイス310に表示する処理により真贋判定をする点である。なお、撮像画像と正解情報としての正解画像314に関する情報とを照合する情報処理は、端末300で行われなくてもよく、端末300と通信可能に接続された別の情報処理装置で行われてもよい。
【0148】
これにより、目視による真贋判定の支援に代えて、端末300の表示制御部354が真贋判定を行い、表示デバイス310にその結果を表示することができる。そのため、対象物100の偽造の有無をより明確に判断することができ、真贋判定をより容易に実行することができる。
【0149】
<システム構成>
図17~21に第3実施形態のシステムの構成図を示す。
【0150】
第3実施形態の一例として、表示デバイス310を有する端末300と撮像装置500とを用い、表示デバイス310に、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313を撮像装置500により撮影することで、画像情報を取得するようにしてもよい。
【0151】
例えば
図17に示すように、撮像装置500の撮像制御部555が模様313を撮影して、撮影した画像情報を端末300に送信する。そして、端末300の表示制御部354が、撮像装置500から画像情報を取得し、取得した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合し、照合結果を表示デバイス310に表示してもよい。
【0152】
また、
図18に示すように、撮像装置500の撮像制御部555が模様313を撮影して、撮像装置500の表示制御部554が、取得した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合し、照合結果を端末300に送信し、端末300の表示制御部354がその照合結果を表示デバイス310に表示してもよい。
【0153】
さらに、
図19に示すように、撮像装置500が表示デバイス510を有する場合には、撮像装置500の撮像制御部555が模様313を撮影して、撮像装置500の表示制御部554が、取得した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合し、かつ撮像装置500の表示制御部554がその照合結果を表示デバイス510に表示してもよい。
【0154】
また、この第3実施形態の他の例として、表示デバイス310を有する端末300と、撮像装置500と、照合結果を表示するための端末600とを用い、表示デバイス310に、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313を撮像装置500により撮影することで、画像情報を取得し、取得した画像情報と正解画像314に関する照合結果を、端末600の表示デバイス610に表示するようにしてもよい。
【0155】
例えば
図20に示すように、撮像装置500の撮像制御部555が模様313を撮影して、撮影した画像情報を端末600に送信する。そして、端末600の表示制御部654が、撮像装置500から取得した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合し、照合結果を表示デバイス610に表示してもよい。
【0156】
また、
図21に示すように、撮像装置500の撮像制御部555が模様313を撮影して、撮像装置500の表示制御部515が、取得した画像情報と正解画像314に関する情報とを照合し、照合結果を端末600に送信し、端末600の表示制御部654がその照合結果を表示デバイス610に表示してもよい。
【0157】
なお、撮像装置500は、優先または無線でネットワークNWに接続された、一般的な動画像記録装置としての構成を有する。具体的には、
図22に示すように、撮像装置500は、画像を撮影するための撮像部580を有し、必要に応じて、表示デバイス510、入力インターフェース520、プロセッサ530、通信インターフェース540、ストレージ550、メモリ560及び通信バス570とを備えていてもよい。また、撮像装置500は、撮像部580を制御するための撮像制御部555を有し、必要に応じて、オペレーティングシステム551、ネットワーク通信部552、画像データ553、及び表示制御部554を有していてもよい。
【0158】
このような撮像装置500としては、デジタルカメラ、スマートフォンやコンピュータ等に付属するカメラ等が挙げられる。
【0159】
また、上記端末600は、
図7に例示した端末300と同様のハードウェア構成と機能構成を有してもよい。
図7における、表示デバイス310、入力インターフェース320、プロセッサ330、通信インターフェース340、ストレージ350、メモリ360及び通信バス370は、端末600に関しては、表示デバイス610、入力インターフェース620、プロセッサ630、通信インターフェース640、ストレージ650、メモリ660及び通信バス670とそれぞれ読み替えるものとする。また、
図7に例示した、オペレーティングシステム351、ネットワーク通信部352、画像データ353、及び表示制御部354は、端末600に関しては、オペレーティングシステム651、ネットワーク通信部652、画像データ653、及び表示制御部654と読み替えるものとする。
【0160】
<動作処理>
次に、このように構成された本実施形態の真贋判定支援方法の動作処理について説明する。
図23に第3実施形態の真贋判定支援方法の処理シーケンスを示す。
【0161】
ステップS301,S302において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、下地画像311を取得し、表示デバイス310に表示制御する。この際、表示制御部354は、商品毎に、すなわち対象物100毎に対応する下地画像311を表示制御してもよいし、対象物100に関わらず、同様の下地画像311を表示制御してもよい。
【0162】
また、ステップS301において、端末300の表示制御部354は、画像データ353を参照して、正解画像314に関する情報を取得する。なお、対象物100に関わらず同様の下地画像311を用いる場合であっても、パターン130や重畳する角度などの違いにより、正解画像314は異なるものとすることができる。
【0163】
次いで、ステップS303において、商品に貼り付けられた対象物100を剥がして、下地画像311にパターン130を重畳させることにより、表示デバイス310は、模様313を出現させることができる。
【0164】
また、ステップS304において、下地画像311にパターン130を重畳した結果生じる模様を、撮像装置500を用いて撮像する。撮像はユーザによって行われてよく、端末300と撮像装置500との相対的位置および角度が異なる複数の画像が取得されてよい。
【0165】
ステップS305において、撮像画像は、有線および/または無線通信を介して、端末300または、端末300と通信可能に接続された所定のサーバ(図示せず)に送信される。送信処理は、撮像装置500が通信モジュールを備えている場合には、撮像装置500により自動で行われてよく、また、ユーザが撮像装置500を操作することにより行われてよい。また、撮像装置500が通信モジュールを備えていない場合には、ユーザが撮像装置500の記憶媒体から、公知の手法により撮像画像のデータを取得し、そのデータを、汎用PCなどの別の端末を介して、送信してもよい。
【0166】
ステップS306において、端末300の表示制御部354は、撮像画像と正解画像314に関する情報とを照合する処理により真贋判定をする。なお、真贋判定処理は、端末300とは別の情報処理装置、例えば、端末300と電気通信可能に接続されたサーバで実行され、端末300に送信されてもよい。
【0167】
そして、ステップS307において、端末300の表示制御部354は、真贋判定の結果を表示デバイス310に表示する。
【0168】
以上説明した本実施形態に係る真贋判定支援方法では、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を行うことができる。また、それと同時に、光学変化デバイスのように商品の意匠性等を損なうことのない対象物と、それを用いた真贋判定支援方法、並びに、当該方法に用いる端末を提供することも可能となる。
【0169】
なお、第1、第2、第3の実施形態において、画像311を表示デバイス310に表示する場合、事前に、端末300の表示デバイス310のハードウェア構成に関する情報を取得し、取得されたハードウェア構成情報に応じて、所定の模様が生じるように画像311の態様を異ならせるようにしてもよい。
【0170】
端末300は、製造者、型式等により、表示デバイス310が有する画素のピッチ、タッチパネルを構成するメッシュ部のピッチが異なる場合がある。したがって、パターン130と表示デバイス310とを重畳させることによって表示させる模様の種別によっては、端末300の表示デバイス310に関するハードウェア構成情報に基づき、下地画像311の態様を異ならせることが好ましい。このとき取得され得るハードウェア構成情報は、表示デバイス310が有する画素のピッチ、および、タッチパネルを構成するメッシュ部のピッチの少なくともいずれかの情報、または、これら情報を判別可能な識別情報であることが好ましい。
【0171】
また、表示デバイス310のハードウェア構成に関する情報に応じて、生じる模様の内容に対応する正解情報を取得してもよい。上記のとおり、パターン130が同じであったとしても、表示デバイス310の画素やメッシュなどのハードウェア構成が異なれば、重畳して出現する正解画像も異なる。そのため、表示制御部354は、ハードウェア構成に関する情報に応じて正解画像を生成し、取得するようにしてもよい。
【0172】
なお、第1実施形態においては、情報処理装置である上記端末300に、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311と正解画像314を表示制御することと、を実行させるプログラムを提供することもできる。
【0173】
また、第1実施形態においては、情報処理装置である上記端末300が、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311と正解画像314を表示制御することと、を実行する情報処理方法を提供することもできる。
【0174】
さらに、第2実施形態においては、情報処理装置である上記端末300に、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314に関する情報を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311を表示制御することと、端末の入力インターフェースにより、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313に関する情報の入力を受け付けることと、受け付けた情報と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を表示デバイス310に表示することと、を実行させるプログラムを提供することもできる。
【0175】
また、第2実施形態においては、情報処理装置である上記端末300が、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314に関する情報を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311を表示制御することと、端末の入力インターフェースにより、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313に関する情報の入力を受け付けることと、受け付けた情報と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を表示デバイス310に表示することと、を実行する情報処理方法を提供することもできる。
【0176】
また、第3実施形態においては、情報処理装置である上記端末300に、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314に関する情報を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311を表示制御することと、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313を撮影した画像情報を受け付けることと、受け付けた画像情報と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を表示デバイス310に表示することと、を実行させるプログラムを提供することもできる。
【0177】
さらに、第3実施形態においては、情報処理装置である上記端末300が、対象物100に対応した下地画像311と正解画像314に関する情報を取得することと、端末300の表示デバイス310に、下地画像311を表示制御することと、表示デバイス310と対象物100とを重畳することによって生じる模様313を撮影した画像情報の入力を受け付けることと、受け付けた画像情報と正解画像314に関する情報とを照合した照合結果を表示デバイス310に表示することと、を実行する情報処理方法を提供することもできる。
【0178】
なお、上述したとおり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変形が可能である。すなわち、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0179】
例えば、端末300はネットワークを介してサーバ400等の他の情報処理装置と各種データの送受信を行うように構成されていてもよく、また、端末300は、画像データ353を有しなくてもよい。この場合、下地画像311及び正解画像314は、端末300とネットワークを介して通信可能なサーバ400に記憶することができる。なお、端末300が各種データの送受信を行う情報処理装置の個数も特に制限されない。例えば、端末300に表示させる画像データ353を含む画像データ群を、複数のサーバ400に分けて記憶させてよい。
【0180】
これにより、サーバ400によって、下地画像311及び正解画像314や、それに対応付けられる商品に関する情報を管理することができる。そのため、例えば、商品の増減に伴って端末300のストレージのデータを逐一更新することなく、下地画像311及び正解画像314を表示制御することができる。
【0181】
なお、端末300が画像データ353を有しない場合には、表示制御部354は、ネットワーク通信部352を介して、サーバ400の有する下地画像311及び正解画像314や、それに対応付けられる商品に関する情報にアクセスして、下地画像311及び正解画像314を取得してもよい。
【0182】
なお、サーバ400は、典型的には、1つ又は複数のプロセッサ、有線又は無線の通信を制御する通信インターフェース、入出力インターフェース、メモリ、ストレージ及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バスを含み、これらの協働により、本開示に記載される処理、機能、または、方法を実現する。
【0183】
サーバ400のプロセッサ、通信インターフェース、入出力インターフェース、メモリ、ストレージ、及び通信バスは、端末300で説明したものと同様とすることができる。サーバ400は、ストレージに記憶されているプログラムに含まれる命令をプロセッサが実行することによって、画像情報管理部として機能するように構成されている。
【0184】
サーバ400の画像情報管理部は、端末300からの要求に従い、所望の画像に関する情報、例えば、下地画像311及び正解画像314を、サーバのストレージに記憶した画像データから特定し、端末300へ送信する機能を有する。
【0185】
図24に、サーバ400を利用する場合の真贋判定支援方法の処理シーケンスを示す。
【0186】
ステップS401において、端末300の表示制御部354は、ユーザの操作に応じて、商品あるいは対象物100に関する情報を、通信インターフェース340を介して、サーバに送信する。
【0187】
ステップS402、S403において、サーバ400の画像情報管理部は、サーバのストレージに記憶した画像データから、下地画像311及び正解画像314を特定し、端末300へ送信する。
【0188】
次いで、ステップS404において、端末300の表示制御部354は、下地画像311及び正解画像314を、表示デバイス310に表示制御する。
【0189】
最後に、ステップS405において、商品に貼り付けられた対象物100を剥がして、下地画像311にパターン130を重畳させることにより、表示デバイス310は、模様313を出現させることができる。
【実施例】
【0190】
以下、本発明を、実施例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0191】
〔実施例1〕
一方の面上に酸化ケイ素ナノ粒子と導電性の有機シラン化合物を含む組成物を塗布し、乾燥して、酸化ケイ素を含有した厚さ50nmの中間層を形成し、基材Aとして用いた。
【0192】
次いで、粒子径21nmの酸化第一銅ナノ粒子20質量部と、分散剤(ビッグケミー社製、製品名:Disperbyk-145)4質量部と、界面活性剤(セイミケミカル社製、製品名:S-611)1質量部と、エタノール75質量部とを混合・分散し、酸化第一銅ナノ粒子の含有割合が20質量%のインクを調製した。
【0193】
そして、転写媒体表面にインクを塗布し、インクが塗布された転写媒体表面と導電性パターンの溝を有する版を対向させて、押圧、接触して、版の凸部表面に転写媒体表面上の一部のインクを転移させた。その後、残ったインクがコーティングされた転写媒体表面と基材Aとを対向させて、押圧、接触させ、基材Aの上に所望のアンテナ部及び接合部の形状を有する導電性パターンのインクを転写させた。次いで、NovaCentrix社製Pulseforge1300を用いて室温環境下で導電性パターン状のインク(分散体塗布膜)をフラッシュランプアニールにより焼成した。なお、アンテナ部における導電性パターンは、正方形グリッド状とし、線幅W1:3.0μm、開口幅W2:60μmとし、可視光透過率T1が84%であり、接合部における導電性パターンは、正方形グリッド状とし、線幅W3:1.0μm、開口幅W4:3.0μmとし、可視光透過率T2が52%であった。
【0194】
また、アンテナパターンは、
図1に示すような幅49mm、幅10mmの長方形状2枚を2mm間隔で設け、接合部間のギャップを150μmとしたダイポールアンテナである。
【0195】
上記のようにして得られた透明アンテナの接合部に、異方性導電性ペーストを用いて半導体素子を接合して、RFIDタグを得た。
【0196】
得られたRFIDタグの放射特性を測定した結果、920MHzにおいて、通信距離1.3mが得られ、同一の外形寸法の銅箔からなる金属ダイポールアンテナと同等のアンテナ特性が得られた。
【0197】
また、得られたRFIDタグを、商品パッケージを模した箱に貼付した。貼付した状態で、RFIDタグの透明性が高いため、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することはなかった。
【0198】
次に、予め
図6に示す真贋判定フローを処理可能なプログラムを作成し、スマートフォン(表示ディスプレイ:6.1インチ、458ppi)にインストールしておき、真贋判定フローを実施した。
【0199】
上記で得られたRFIDタグを、予め白色表示したスマートフォンの表示ディスプレイ上に載置すると、表示ディスプレイの画素ピッチと、RFIDタグのアンテナパターンのピッチに由来する模様が得られ、プログラムにより表示された正解画像と一致した。それにより、RFIDタグの真贋判定が容易となり、RFIDタグの読み書き装置を使用することなく、RFIDタグの真贋判定が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明は、商品パッケージの意匠性や掲示情報を阻害することなく、さらに、専用データ読み書き装置を使用せずに、容易に商品の真贋判定を可能とする真贋判定支援方法を提供することができ、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0201】
100…対象物、RFIDタグ、110…透明基材、120…集電部、121…接合部、122…導電性パターン、123…開口部、130…パターン、アンテナ部、131…アンテナパターン、導電性パターン、132…開口部、140…半導体素子、300…端末、310…表示デバイス、311、311a、311b…下地画像、312、312a、312b…領域、313、313’…模様、313a…特徴部分、314、314a、314b…正解画像、315…方向オブジェクト、316…アライメントマーク、317…移動指示オブジェクト、320、321…入力インターフェース、330…プロセッサ、340…通信インターフェース、350…ストレージ、351…オペレーティングシステム、352…ネットワーク通信部、353…画像データ、354…表示制御部、360…メモリ、370…通信バス、400…サーバ