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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/02 20060101AFI20240620BHJP
   F24H 9/02 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
F23L17/02 602J
F24H9/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020206457
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093797
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】福元 津留美
(72)【発明者】
【氏名】霜出 泰彦
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-002852(JP,U)
【文献】特開2016-156590(JP,A)
【文献】特開2010-038506(JP,A)
【文献】特開2000-018566(JP,A)
【文献】特開平10-281450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 17/02
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置本体と、
前方に開放する前面開口部を有し、前記燃焼装置本体を収容するケーシング本体と、
前記前面開口部を前方から覆う前カバーと、
前記燃焼装置本体から外部に燃焼排気を排出する排気筒と、を備え、
前記ケーシング本体の排気筒突出面には、前方に開放する切れ込み部が形成され、前記排気筒が、前記切れ込み部に挿通される燃焼装置であって、
前記ケーシング本体の排気筒突出面側の前記前面開口部の内周縁には、前記切れ込み部の開放部を間に挟んで、前記排気筒突出面の前端部から前記前面開口部の内方側に向かって延びる第1内周フランジ部と第2内周フランジ部とが形成され、
前記第1及び第2内周フランジ部には、前記切れ込み部の前記開放部を跨ぐ架設部材が固定されている燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記架設部材は、前記切れ込み部の前記開放部から離れた前記ケーシング本体の側面近傍で前記第1及び第2内周フランジ部に固定されている燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
前記架設部材と前記前カバーとは、前記前面開口部が前記前カバーで覆われると、前記架設部材と前記前カバーとが係合するように形成されている燃焼装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃焼装置において、
前記架設部材は、前記第1及び第2内周フランジ部の前面に固定される固定片と、前記固定片における前記前面開口部の内方側の端部から第1及び第2内周フランジ部側に向かって屈曲する屈曲片とを有し、
前記屈曲片は、前記排気筒突出面が外部から押圧されると、前記第1及び第2内周フランジ部を支持するように設けられている燃焼装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼装置において、
前記排気筒突出面は、前記切れ込み部の対向する側縁にそれぞれ、前記ケーシング本体の内方側に向かって凹む第1段差部と第2段差部とを有し、
前記架設部材は、前記排気筒と前記切れ込み部の前記開放部との間の隙間を覆うように前記固定片の後面から後方に延びるカバー部を有しており、
前記第1及び第2段差部と前記カバー部とは、前記カバー部の周縁の一部が、前記第1及び第2段差部に嵌合するように形成されている燃焼装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。特に、本発明は、ケーシング本体の排気筒突出面に形成された切れ込み部に排気筒が挿通される燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、給湯器などの燃焼装置は、燃焼装置本体と、前方に開放する前面開口部を有し、燃焼装置本体を収容するケーシング本体と、ケーシング本体の前面開口部を覆う前カバーとを有している。この種の燃焼装置では、ケーシング本体の天面から上方に突出する排気筒と排気管とを接続して、外部に燃焼排気を排出させるため、ケーシング本体の天面に前方に開放するU字状の切れ込み部が設けられ、切れ込み部に排気筒を挿通させている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-38506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ケーシング本体の天面に切れ込み部を設けると、切れ込み部の周縁の天面の強度が低下する。そのため、輸送時に梱包の外方からケーシング本体に圧力が加わると、ケーシング本体が変形するという問題がある。特に、ケーシング本体の天面の前端部は切れ込み部で左右に分割されるため、変形が生じやすい。
【0005】
また、特許文献1では、排気筒と前面開口部との間の隙間を覆うため、上方から切れ込み部の周縁のケーシング本体の天面に排気筒カバーをネジ締結させているが、切れ込み部の周縁の天面は強度が低下しているため、排気筒カバーを天面に上方からネジ締結するとき、天面が下方に撓んでしまい、作業性に劣るという問題がある。さらに、特許文献1のように排気筒カバーがケーシング本体の天面から外部に突出していると、美観に劣るという問題もある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ケーシング本体の排気筒突出面に形成された切れ込み部に排気筒が挿通される燃焼装置において、ケーシング本体の外部からの圧力に対する強度を向上させること、並びに作業性及び美観を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
燃焼装置本体と、
前方に開放する前面開口部を有し、前記燃焼装置本体を収容するケーシング本体と、
前記前面開口部を前方から覆う前カバーと、
前記燃焼装置本体から外部に燃焼排気を排出する排気筒と、を備え、
前記ケーシング本体の排気筒突出面には、前方に開放する切れ込み部が形成され、前記排気筒が、前記切れ込み部に挿通される燃焼装置であって、
前記ケーシング本体の排気筒突出面側の前記前面開口部の内周縁には、前記切れ込み部の開放部を間に挟んで、前記排気筒突出面の前端部から前記前面開口部の内方側に向かって延びる第1内周フランジ部と第2内周フランジ部とが形成され、
前記第1及び第2内周フランジ部には、前記切れ込み部の前記開放部を跨ぐ架設部材が固定されている燃焼装置が提供される。
【0008】
上記燃焼装置によれば、切れ込み部の開放部を間に挟む第1及び第2内周フランジ部が切れ込み部の開放部を跨ぐ架設部材で架け渡されるから、ケーシング本体の外部からの圧力に対する強度を向上させることができる。また、上記燃焼装置によれば、架設部材は、排気筒突出面に比べて撓みの小さい第1及び第2内周フランジ部に固定されるから、作業性を向上させることができる。さらに、上記燃焼装置によれば、第1及び第2内周フランジ部に架設部材が固定されており、前面開口部を前カバーで覆うことにより、架設部材はケーシング本体と前カバーとの間に配置されて外部に露出しないから、美観を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記架設部材は、前記切れ込み部の前記開放部から離れた前記ケーシング本体の側面近傍で前記第1及び第2内周フランジ部に固定される。
【0010】
上記燃焼装置によれば、架設部材は、ケーシング本体の側面に近い位置で第1及び第2内周フランジ部に固定されるから、ケーシング本体の外部からの圧力に対する強度をさらに向上させることができる。また、ケーシング本体の側面に近い位置の第1及び第2内周フランジ部は撓みがより小さいから、さらに作業性を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記架設部材と前記前カバーとは、前記前面開口部が前記前カバーで覆われると、前記架設部材と前記前カバーとが係合するように形成される。
【0012】
上記燃焼装置によれば、第1及び第2内周フランジ部に固定される架設部材が前カバーと係合するから、外部からの圧力が排気筒突出面に加わると、架設部材並びに第1及び第2内周フランジ部が前カバーによって支持される。これにより、さらにケーシング本体の外部からの圧力に対する強度を向上させることができる。
【0013】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記架設部材は、前記第1及び第2内周フランジ部の前面に固定される固定片と、前記固定片における前記前面開口部の内方側の端部から第1及び第2内周フランジ部側に向かって屈曲する屈曲片とを有し、
前記屈曲片は、前記排気筒突出面が外部から押圧されると、前記第1及び第2内周フランジ部を支持するように設けられる。
【0014】
上記燃焼装置によれば、架設部材の強度を向上させることができる。また、上記燃焼装置によれば、外部からの圧力が排気筒突出面に加えられても、架設部材の屈曲片が第1及び第2内周フランジ部を支持するから、さらにケーシング本体の外部からの圧力に対する強度を向上させることができる。
【0015】
好ましくは、上記燃焼装置において、
前記排気筒突出面は、前記切れ込み部の対向する側縁にそれぞれ、前記ケーシング本体の内方側に向かって凹む第1段差部と第2段差部とを有し、
前記架設部材は、前記排気筒と前記切れ込み部の前記開放部との間の隙間を覆うように前記固定片の後面から後方に延びるカバー部を有しており、
前記第1及び第2段差部と前記カバー部とは、前記カバー部の周縁の一部が、前記第1及び第2段差部に嵌合するように形成される。
【0016】
上記燃焼装置によれば、切れ込み部の対向する側縁に第1及び第2段差部が設けられているから、ケーシング本体の外部からの圧力に対する強度を向上させることができる。また、上記燃焼装置によれば、架設部材の固定片の後面から後方に延びるカバー部の周縁の一部は第1及び第2段差部に嵌合するから、排気筒突出面とカバー部とを略面一に形成することができ、美観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、外部からの圧力に対して高い強度を有し、作業性及び美観に優れる燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の前カバーを取り外した状態を示す概略斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の架設部材をケーシング本体に装着する前の状態を示す概略斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の架設部材をケーシング本体に装着した後の状態を示す概略斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の要部を示す概略断面斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の架設部材を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る燃焼装置について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る燃焼装置は、給水管71から熱交換器21の伝熱管23に供給される水をバーナ11の燃焼排気により加熱し、出湯管72を通じて図示しないシャワーやカランなどの給湯端末に供給する給湯器1である。なお、図2図5では、煩雑化を避けるため、燃焼装置本体100は省略されている。
【0020】
給湯器1は、外装ケーシング200を有し、外装ケーシング200は、前方に開放する前面開口部210を有するケーシング本体2と、ケーシング本体2の前面開口部210を閉塞する前カバー3とを備える。なお、本明細書では、ケーシング本体2の前面開口部側を正面側とし、正面側からみたときにケーシング本体2の奥行方向を前後方向、前後方向と横方向に交差する方向を左右方向、前後方向と高さ方向に交差する方向を上下方向という。
【0021】
ケーシング本体2内には、燃焼装置本体100が収容されている。燃焼装置本体100は、下方から順に配設された、燃焼室10と、熱交換室20と、排気室30と、排気室30の左側方に取り付けられた送風機50とを有する。送風機50の上方には、給湯器1の外部に燃焼排気を排出する排気筒80が接続されており、排気筒80は図示しない排気管と接続される。
【0022】
燃焼室10内の下方には、バーナ11が配設されている。バーナ11には、燃料ガスを供給するガス供給管70が接続されている。バーナ11の上方には、点火電極12やフレームロッド13が配設されており、バーナ11の下方には、図示しない分布板が配設されている。送風機50を作動させると、分布板を介して外装ケーシング200内の空気が燃焼用空気としてバーナ11に供給される。そして、点火電極12を作動させて燃料ガスを点火させることにより、燃焼排気が生成される。バーナ11から噴出される燃焼排気は、熱交換室20に供給され、排気室30及び送風機50を通って排気筒80から給湯器1の外部に排出される。
【0023】
熱交換室20は、上下に開放する略矩形箱状の筐体を有する。熱交換室20の下端は、燃焼室10の上端と接続されており、熱交換室20の上端は、排気室30の下端と接続されている。熱交換室20には、バーナ11により生成された燃焼排気中の熱を回収し、給水管71から供給される水を加熱する熱交換器21が組み込まれている。熱交換器21は、複数の伝熱フィン22と、各伝熱フィン22に貫挿される伝熱管23とを有する。伝熱管23は、熱交換室20内で蛇行状または螺旋状に延設されており、伝熱管23の一端側は給水管71と接続され、伝熱管23の他端側は出湯管72と接続される。なお、水の代わりに他の熱媒を用いてもよい。
【0024】
送風機50は、羽根車51を収容するファンケーシング53と、羽根車51を回転駆動させる電動機52とを有する。ファンケーシング53には、側方に吸い込み口54が開放している。吸い込み口54は、送風機50が排気室30に取り付けられると、排気室30の左側壁に開口する導出口33と連通する。ファンケーシング53の上端には、排出口(図示せず)が上方に開放している。排出口は、ファンケーシング53の上方に排気筒80が接続されると、排気筒80と連通する。
【0025】
ケーシング本体2は、板金を成形した矩形箱体からなる。ケーシング本体2は、排気筒突出面である天面201と、天面201の後端部から下方に延在する後面202と、天面201の左右両端部から下方に延在する左右側面203,204と、後面202及び左右側面203,204の下端部を連結する下面205とを有する。
【0026】
ケーシング本体2の天面201の左右方向中央部には、前方に開放するU字状の切れ込み部220が形成されている。この切れ込み部220には、燃焼装置本体100をケーシング本体2内に収容するとき、排気筒80が前方から挿通されて、天面201から上方に排気筒80が突出する。前面開口部210の内周縁には、切れ込み部220の開放部221を除き、略全周に亘って、天面201、左右側面203,204及び下面205の前端部を前面開口部210の内方側に折り返した上下左右の内周フランジ部230が形成されている。
【0027】
図3に示すように、天面201の切れ込み部220の対向する左右の側縁にはそれぞれ、天面201の前端部から切れ込み部220の前後方向の略中央部まで下方に向かって凹む第1段差部223及び第2段差部224が形成されている。また、第1及び第2段差部223,224の前後方向の中間部にはそれぞれ、第1及び第2段差部223,224を貫通する、前後方向に細長い第1スリット孔225及び第2スリット孔226が形成されている。
【0028】
図示しないが、ケーシング本体2の下面205には、前面開口部210が前カバー3で閉塞されると、後述する前カバー3の外周側板300の下辺部305をネジ締結するためのネジ孔が開設されている。
【0029】
天面201の前端部から下方に連設される内周フランジ部230は、切れ込み部220の開放部221を間に挟んで、左側に位置する左上内周フランジ部231(以下、「第1内周フランジ部231」という)と、右側に位置する右上内周フランジ部232(以下、「第2内周フランジ部232」という)とに分割されている。第1及び第2内周フランジ部231,232における切れ込み部220の開放部221から離れたケーシング本体2の左右側面203,204近傍には、後述する架設部材400を固定するための第1ネジ孔241及び第2ネジ孔242が開設されている。また、第1及び第2ネジ孔241,242よりも左右方向の内方側には、上方に浅く切り欠かれた第1切欠部243及び第2切欠部244が形成されている。
【0030】
図2図6に示すように、第1及び第2内周フランジ部231,232の前面には、架設部材400が着脱自在に装着される。架設部材400は、板金を成形することによって形成される、左右方向に長手の固定片410と、固定片410の左右方向の両端部よりも若干内方側の下端から斜め上前方に向かって延びる左右方向に長手の保持片440と、固定片410の左右方向の中央部の上端から後方に向かって略水平に延びるカバー部470とを有する。固定片410の左右方向の両端部における第1及び第2内周フランジ部231,232の第1及び第2ネジ孔241,242に対応する位置にはそれぞれ、第1ネジ挿通孔411及び第2ネジ挿通孔412が開設されている。固定片410の左右方向の長さは、第1内周フランジ部231の左端から第2内周フランジ部232の右端までの流さと略同一に設定されている。また、固定片410の高さは、第1及び第2内周フランジ部231,232の高さと略同一に設定されている。従って、固定片410が第1及び第2内周フランジ部231,232に固定されると、切れ込み部220の開放部221を跨ぐように第1及び第2内周フランジ部231,232の前面の略全体に固定片410が添設される。
【0031】
固定片410と保持片440との連結部の左右方向の両端近傍であって、第1及び第2ネジ挿通孔411,412よりも左右方向の内方側にはそれぞれ、第1係止孔413及び第2係止孔414が開設されている。また、第1及び第2係止孔413,414よりも左右方向の内方側にはそれぞれ、保持片440の一部を固定片410の下端から後方に向かって切り起こした第1屈曲片415及び第2屈曲片416が形成されている。このため、保持片440には、第1及び第2屈曲片415,416の下端から保持片440の上下方向の中央部まで第1加工孔441及び第2加工孔442が開設されている。第1及び第2屈曲片415,416は、固定片410が第1及び第2内周フランジ部231,232に固定されると、第1及び第2屈曲片415,416の上面が切れ込み部220の前端縁近傍における第1及び第2内周フランジ部231,232の下端に下方から略当接するように形成されている。
【0032】
カバー部470は、カバー部470が切れ込み部220に差し込まれると、カバー部470の周縁の一部が第1及び第2段差部223,224に内嵌するように形成されている。カバー部470の後端は、略半円状に切り欠かれている。また、カバー部470の左右の後端にはそれぞれ、既述した第1及び第2段差部223,224の第1及び第2スリット孔225,226に差し込まれる一対の第1差込片471及び第2差込片472が形成されている。また、固定片410とカバー部470とは、第1及び第2差込片471,472がそれぞれ第1及び第2スリット孔225,226に差し込まれると、固定片410の後面が第1及び第2内周フランジ部231,232の前面に略当接するように形成されている。
【0033】
前カバー3は、板金を成形した浅皿体からなり、後方に開放している。前カバー3は、略矩形状のカバー本体300と、カバー本体300の全周から後方に向かって延びる外周側板310とを有する。前カバー3の外周側板310は、ケーシング本体2の前端外周に外嵌され、前カバー3によって前面開口部210が閉塞される。
【0034】
前カバー3の外周側板310における上辺部301は、左右方向の両端部よりも若干内方側で前方に向かって切り欠かれている。また、上辺部301の切り欠かれた部分の後端部から左右方向に長手の取付片330が下方に延びている。取付片330の左右方向の両端部近傍にはそれぞれ、取付片330の下端から斜め下後方に向かって延びる一対の第1係止片331及び第2係止片332が形成されている。第1及び第2係止片331,332はそれぞれ、前カバー3がケーシング本体2に取り付けられるとき、既述した架設部材400の左右方向の両端部近傍の第1及び第2係止孔413,414に前方から差し込まれる。前カバー3は、第1及び第2係止片331,332が第1及び第2係止孔413,414に差し込まれると、取付片330の後面が架設部材400の固定片410の前面に略当接し、第1及び第2係止片331,332が第1及び第2内周フランジ部231,232の第1及び第2切欠部243,244の下方に位置するように形成されている。
【0035】
図示しないが、前カバー3の外周側板310における下辺部305の左右方向の両端部近傍にはそれぞれ、下ネジ挿通孔が開設されている。これらの下ネジ挿通孔は、既述したケーシング本体2の下面205のネジ孔に対応する位置に形成されている。
【0036】
次に、本実施の形態の給湯器1における架設部材400及び前カバー3の装着方法について説明する。図2及び図3に示すように、燃焼装置本体100を前面開口部210からケーシング本体2内に収容して、排気筒80が天面201の切れ込み部220から上方に突出している状態で、架設部材400のカバー部470を前方から切れ込み部220に挿入させていき、カバー部470の左右の後端に設けられた第1及び第2差込片471,472を、第1及び第2段差部223,224に設けられた第1及び第2スリット孔225,226に差し込む。これにより、図4に示すように、カバー部470の周縁の一部が第1及び第2段差部223,224に内嵌する。また、第1及び第2差込片471,472が天面201の内面に当接して、架設部材400が天面201に仮固定される。また、架設部材400の固定片410の後面は、第1及び第2内周フランジ部231,232の前面に略当接する。
【0037】
次いで、固定ネジS1,S2をそれぞれ、前方から固定片410の左右方向の両端部近傍に設けられた第1及び第2ネジ挿通孔411,412に挿通させ、さらに固定ネジS1,S2をそれぞれ、第1及び第2内周フランジ部231,232の左右方向の両端部近傍に設けられた第1及び第2ネジ孔241,242に螺合させる。これにより、切れ込み部220の開放部221を跨ぐ架設部材400が第1及び第2内周フランジ部231,232に固定される。このとき、既述した固定片410の下端から第1及び第2内周フランジ部231,232側に向かって屈曲して延びる第1及び第2屈曲片415,416はそれぞれ、切れ込み部220の左右の前端縁近傍の第1及び第2内周フランジ部231,232の下端に下方から略当接する(図5参照)。
【0038】
上記のようにして、架設部材400が第1及び第2内周フランジ部231,232に固定された状態で、前カバー3の外周側板310の上辺部301から下方に延びる取付片330に形成された第1及び第2係止片331,332をそれぞれ、斜め上前方から架設部材400の第1及び第2係止孔413,414に挿通させ、第1及び第2係止孔413,414と係合させる。これにより、第1及び第2係止孔413,414を挿通して後方に延びる第1及び第2係止片331,332はそれぞれ、第1及び第2切欠部243,244の下方に配置される(図5参照)。
【0039】
次いで、前カバー3の外周側板310をケーシング本体2の前端外周に外嵌させる。そして、図示しないが、下方から固定ネジを前カバー3の外周側板310の下辺部305に開設された下ネジ挿通孔に挿通させ、さらに固定ネジをケーシング本体2の下面205に開設されたネジ孔に螺合させて、前カバー3をケーシング本体2に固定する。
【0040】
本実施の形態によれば、切れ込み部220の開放部221を間に挟む第1及び第2内周フランジ部231,232には、切れ込み部220の開放部221を跨ぐ架設部材400が架け渡されているから、切れ込み部220の前端縁近傍の天面201が架設部材400で補強され、上方からの圧力に対する強度を向上させることができる。また、架設部材400の固定片410は、切れ込み部220の開放部221から離れたケーシング本体2の左右側面203,204近傍で第1及び第2内周フランジ部231,232の前面に固定されており、これらの左右側面203,204は上方からの圧力に対して高い強度を有するから、天面201が下方に押圧されても、架設部材400の下方への移動が抑えられ、上方からの圧力に対する強度をさらに向上させることができる。また、切れ込み部220の開放部221の前方には架設部材400が配置されており、固定片410の前面には前カバー3の取付片330が配置されているため、前方からの圧力に対する強度も向上させることができる。これにより、ケーシング本体2の変形を防止することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、架設部材400は、上下方向に撓みの大きな天面201に上方から排気筒カバーを固定する場合に比べて、前後方向で撓みの小さい第1及び第2内周フランジ部231,232に前方から固定されるから、作業性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、第1及び第2内周フランジ部231,232の前面に架設部材400が固定された状態で、前面開口部210を前カバー3で覆うことにより、架設部材400はケーシング本体2と前カバー3との間に介装されて、外部に露出しないから、美観を向上させることができる。また、架設部材400のカバー部470の周縁の一部は切れ込み部220の側縁に形成された第1及び第2段差部223,224に内嵌するから、天面201及びカバー部470の外面とで略面一な表面を形成することができる。これにより、美観を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、前カバー3でケーシング本体2の前面開口部210を閉塞するにあたって、前カバー3の上端に形成された取付片330から後方に向かって延びる第1及び第2係止片331,332と、第1及び第2内周フランジ部231,232に固定されている架設部材400の第1及び第2係止孔413,414とを係合させるから、上方から天面201に圧力が加えられても、架設部材400の固定片410が前カバー3の第1及び第2係止片331,332によって下方から支持される。また、固定片410が前カバー3によって支持されるから、固定片410が固定されている第1及び第2内周フランジ部231,232も前カバー3の第1及び第2係止片331,332によって下方から支持される。これにより、上方からの圧力に対する強度をさらに向上させることができる。また、前カバー3を架設部材400に係合させると、架設部材400の保持片440は前カバー3の取付片330よりも前方に配置されるから、前方からの圧力に対する強度もさらに向上させることができる。これにより、ケーシング本体2の変形をさらに防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、架設部材400は、固定片410と、固定片410の下端から斜め上前方に延びる保持片440と、固定片410と保持片440との連結部から後方に屈曲させた第1及び第2屈曲片415,416とを有しているから高い強度を有している。そして、架設部材400の第1及び第2屈曲片415,416はそれぞれ、切れ込み部220の前端縁近傍の第1及び第2内周フランジ部231,232の下端を下方から支持するから、上方から天面201に圧力が加えられても、第1及び第2内周フランジ部231,232の下方への移動が第1及び第2屈曲片415,416によって抑制される。これにより、上方からの圧力に対する強度をさらに向上させることができ、ケーシング本体2の変形を防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、ケーシング本体2の天面201には、切れ込み部220の側縁に下方に向かって凹む第1及び第2段差部223,224が形成されているから、天面201の強度を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、架設部材400の固定片410が第1及び第2内周フランジ部231,232の前面に固定されると、カバー部470の後端の第1及び第2差込片471,472が天面201の内面に当接する。これにより、ケーシング本体2の変形をさらに防止することができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、外部からの圧力に対して高い強度を有し、作業性及び美観に優れる燃焼装置を提供することができる。
【0047】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、架設部材は第1及び第2内周フランジ部の前面に固定されている。しかしながら、本発明では、架設部材の固定片を第1及び第2内周フランジ部の後面に固定してもよい。この場合、固定片から後方に延びるカバー部は、切れ込み部の下方に配置され、固定片と保持片との連結部によって第1及び第2内周フランジ部の下端が下方から支持される。
【0048】
(2)上記実施の形態では、前カバーに係止片が設けられ、架設部材に係止孔が設けられている。しかしながら、本発明では、前カバーと架設部材とを係合させることができれば、係合構造は特に限定されない。例えば、前カバーが係止孔を有し、架設部材が係止片を有してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 給湯器
2 ケーシング本体
3 前カバー
100 燃焼装置本体
201 天面
210 前面開口部
220 切れ込み部
221 開放部
231 第1内周フランジ部
232 第2内周フランジ部
400 架設部材
410 固定片
415 第1屈曲片
416 第2屈曲片
440 保持片
470 カバー部

図1
図2
図3
図4
図5
図6