(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240620BHJP
B23K 26/035 20140101ALI20240620BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/035
(21)【出願番号】P 2020211401
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小田 晃司
(72)【発明者】
【氏名】岡 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-242003(JP,A)
【文献】特開平10-263860(JP,A)
【文献】特開2011-224653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0338669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージの上面に光を照射するための少なくとも1つの光照射部とを備え、
前記ステージの少なくとも一部には、前記光を散乱させるための少なくとも1つの散乱部が設けられ、
前記散乱部において散乱された前記光を検出するための検出部をさらに備え、
前記散乱部は、透明性材料で構成され
、
前記検出部は、
前記散乱部を透過した前記光を集光するための集光レンズと、
前記集光レンズよりも前記散乱部から遠ざかる位置で、かつ、前記集光レンズの集光位置に配置される遮光板とを備える、
光照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射装置であり、
前記光照射部から照射される前記光がレーザー光である、
光照射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光照射装置であり、
前記散乱部は、フロスト加工によって形成される、
光照射装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の光照射装置であり、
前記散乱部は、前記光照射部によって前記光が照射される光照射領域の端部に配置される、
光照射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光照射装置であり、
前記光照射部が複数設けられ、
前記散乱部は、それぞれの前記光照射部の前記光照射領域同士の連結部分に配置される、
光照射装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の光照射装置であり、
前記ステージが内包されるチャンバをさらに備え、
前記チャンバ内が、真空または減圧雰囲気下であり、
前記検出部は、
前記集光レンズによって集光された前記光を前記チャンバの外部へ伝搬させるファイバーと、
前記チャンバの外部に配置され、かつ、前記ファイバーによって伝搬された前記光を検出する光検出器とをさらに備える、
光照射装置。
【請求項7】
請求項1から
6のうちのいずれか1つに記載の光照射装置であり、
前記散乱部は、前記ステージの前記上面に形成される、
光照射装置。
【請求項8】
請求項1から
7のうちのいずれか1つに記載の光照射装置であり、
前記散乱部は、前記ステージの前記上面に沿う方向である第1の方向、および、前記ステージの前記上面に沿い、かつ、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に広がって設けられ、
前記散乱部の前記第1の方向における幅は、前記第2の方向において前記散乱部の中央部に近づくにつれて大きくなるまたは小さくなる、
光照射装置。
【請求項9】
請求項1から
8のうちのいずれか1つに記載の光照射装置であり、
前記散乱部は、前記ステージの平面視で、2つの三角形の1つの頂点同士が連結されたバタフライ形状である、
光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、照射された光を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザー光照射などの光照射によって対象物を加工する光加工技術が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の光加工技術において加工精度を高めるためには、光が照射される位置が高い精度で制御されることが重要である。
【0005】
光が照射される位置の検出方法として、たとえば、エリアカメラで光を撮像することによって光が照射される位置を検出する方法があった。しかしながら、光が照射される箇所に配置される部材または光学素子に損傷が蓄積することによって、特に、レーザー光などの高強度の光を検出する場合には、検出精度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、光が照射されることに起因する検出精度の低下を抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である光照射装置は、ステージと、前記ステージの上面に光を照射するための少なくとも1つの光照射部とを備え、前記ステージの少なくとも一部には、前記光を散乱させるための少なくとも1つの散乱部が設けられ、前記散乱部において散乱された前記光を検出するための検出部をさらに備え、前記散乱部は、透明性材料で構成され、前記検出部は、前記散乱部を透過した前記光を集光するための集光レンズと、前記集光レンズよりも前記散乱部から遠ざかる位置で、かつ、前記集光レンズの集光位置に配置される遮光板とを備える。
【0008】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である光照射装置は、第1の態様である光照射装置に関連し、前記光照射部から照射される前記光がレーザー光である。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である光照射装置は、第1または2の態様である光照射装置に関連し、前記散乱部は、フロスト加工によって形成される。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である光照射装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である光照射装置に関連し、前記散乱部は、前記光照射部によって前記光が照射される光照射領域の端部に配置される。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である光照射装置は、第4の態様である光照射装置に関連し、前記光照射部が複数設けられ、前記散乱部は、それぞれの前記光照射部の前記光照射領域同士の連結部分に配置される。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である光照射装置は、第1の態様である光照射装置に関連し、前記ステージが内包されるチャンバをさらに備え、前記チャンバ内が、真空または減圧雰囲気下であり、前記検出部は、前記集光レンズによって集光された前記光を前記チャンバの外部へ伝搬させるファイバーと、前記チャンバの外部に配置され、かつ、前記ファイバーによって伝搬された前記光を検出する光検出器とをさらに備える。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である光照射装置は、第1から6のうちのいずれか1つの態様である光照射装置に関連し、前記散乱部は、前記ステージの前記上面に形成される。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第8の態様である光照射装置は、第1から7のうちのいずれか1つの態様である光照射装置に関連し、前記散乱部は、前記ステージの前記上面に沿う方向である第1の方向、および、前記ステージの前記上面に沿い、かつ、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向に広がって設けられ、前記散乱部の前記第1の方向における幅は、前記第2の方向において前記散乱部の中央部に近づくにつれて大きくなるまたは小さくなる。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第9の態様である光照射装置は、第1から8のうちのいずれか1つの態様である光照射装置に関連し、前記散乱部は、前記ステージの平面視で、2つの三角形の1つの頂点同士が連結されたバタフライ形状である。
【発明の効果】
【0017】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、光が照射される散乱部が透明性材料で構成されるため、レーザー光などの高強度の光が照射される場合であっても、光が照射される箇所の損傷を軽減することができる。そのため、検出部によって検出される光の位置精度が低下しにくい。
【0018】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に関する、光照射装置の構成の例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に関する光照射装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
【
図3】
図2に例が示された構成のうち、主に光照射部およびステージを示す斜視図である。
【
図4】
図2に例が示された構成のうち、主に光照射部およびステージの構成の例を示す断面図である。
【
図5】集光ユニットの構成および作用について示す概略図である。
【
図6】集光ユニットの構成および作用について示す概略図である。
【
図8】
図7に例が示された形状である散乱部をX軸方向に走査した場合に得られる光検出器での検出信号の例を示す図である。
【
図9】複数の光照射部を備える場合の構成の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0021】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0022】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0023】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0026】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0027】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0028】
また、以下に記載される説明において、形状を示す表現、たとえば、「四角形状」または「円筒形状」などは、特に断らない限りは、厳密にその形状であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において凹凸または面取りなどが形成されている場合を含むものとする。
【0029】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する光照射装置について説明する。なお、以下の実施の形態においては、一例としてチャンバ内が真空または減圧雰囲気下とされる光照射装置が記載されるが、チャンバ内が真空でない場合にも、同様に適用可能である。
【0030】
<光照射装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する光照射装置1の構成の例を概略的に示す斜視図である。
図1においては、真空チャンバ12を支持するチャンバフレーム、または、実際に接続される配線などは、便宜のため図示が省略されている。なお、本実施の形態における「真空」とは、基板Wの特性劣化を防止するために高真空(たとえば、0.00001Pa)であることが望ましいが、当該高真空に達しない真空度である場合も含むものとする。
【0031】
図1に例が示されるように、光照射装置1は、真空チャンバ12と、石定盤などの外部固定部14と、真空チャンバ12と外部固定部14とを接続する、たとえばステンレスなどで形成された伸縮性部材であるベローズ16Aと、真空チャンバ12内に光を照射する光照射部18と、真空チャンバ12内を減圧して真空状態にする真空ポンプ21と、光照射装置1のそれぞれの駆動部を制御する制御部22とを備える。上記では、伸縮性部材の例として、ステンレスなどで形成されたベローズが示されているが、求められる仕様に応じて、ステンレス以外の金属で形成された伸縮性部材が採用されてもよいし、樹脂などで形成された伸縮性部材が採用されてもよい。また、伸縮性部材の形状は、上記のベローズ16Aのような蛇腹形状でなくてもよい。
【0032】
真空チャンバ12は、内部に基板Wが収容される空間を有する。処理対象となる基板Wには、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。なお、当該基板Wは、たとえば、上面に薄膜が形成された状態の基板である。
【0033】
また、真空チャンバ12の側面には、基板Wを搬入および搬出する際に基板Wが通過するための開口部12Aが形成されている。開口部12Aは、真空チャンバ12が真空状態となる際に適宜閉じられる。真空チャンバ12の内部に収容される他の構成については、後述する。
【0034】
光照射部18は、真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に向けて光を照射する。この際、基板Wは後述の検出部62などによって、あらかじめ位置合わせがなされている。光照射部18は、たとえばレーザー光を照射することによって基板Wのアブレーション加工を行う。なお、光照射部18は、加工などの目的に応じて、たとえば電子線などの光を照射するものであってもよい。光照射部18は、図示しない照射窓(石英などで形成される透明板)を介して、真空チャンバ12の外部から真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に光を照射する。そして、真空チャンバ12内の基板Wが光照射部18に対して相対的に移動することによって、または、光照射部18における光学系の制御によって、光が基板Wの上面を走査する。また、光照射部18は、外部固定部14に固定された架台24の上面に配置される。
【0035】
制御部22は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)などの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0036】
制御部22は、光照射部18における光源の出力および光が照射される方向の制御、または、真空ポンプ21の出力制御、さらには、後述するそれぞれの駆動部(たとえば、リニアモータ機構の駆動部またはリフトピン機構の駆動部)の駆動制御などを行う。
【0037】
図2は、本実施の形態に関する光照射装置1の、真空チャンバ12の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図2に例が示されるように、真空チャンバ12の内部には、基板Wが上面に配置されるステージ42と、Y軸方向に移動可能であり、かつ、ステージ42を下方から支持するスライダー44と、真空チャンバ12とは独立して外部固定部14に固定されたベース46と、ベース46に固定され、かつ、Y軸方向に延びるリニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構50と、ステージ42に形成された貫通孔(ここでは図示せず)を貫通して基板Wを支持するリフトピン52Aを有するリフトピン機構52と、ステージ42の下方(
図2におけるZ軸負方向側)に配置される検出部62とを備える。
【0038】
ステージ42は、基板Wの加工面を上方に向けつつ、基板Wを略水平に保持する。ステージ42の詳細な構成については後述する。ステージ42を支持するスライダー44がリニアモータ機構50によってY軸方向に移動し、また、光照射部18から照射される光がX軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。または、光照射部18から照射される光が、X軸方向およびY軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。なお、リフトピン機構52は、ベース46に固定される。
【0039】
リニアモータ機構50は、真空チャンバ12の側面に形成された開口部12Bを介して、真空チャンバ12の側方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、リニアモータ機構50は、開口部12Bに溶接されるベローズ16Aの中を通る中空の柱状部材14Aの端部に固定される。この際、リニアモータ機構50に接続される配線などは、柱状部材14Aの内部を通って真空チャンバ12の外部に導出される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Aは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Aは、真空チャンバ12の側面に接続されたベローズ16Aとは接触しない。
【0040】
ベース46は、真空チャンバ12の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ12の下方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ12の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0041】
図2では、外部固定部14は、真空チャンバ12の側方および下方に渡って配置されるが、これらの位置における外部固定部14が連続していることは必須ではなく、これらの位置に分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ12は、ベローズ16Bとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部14とは独立して設けられる。
【0042】
検出部62は、ステージ42の下方において、光照射部18から照射された光を検出可能である。検出部62の詳細な構成については後述する。
【0043】
図3は、
図2に例が示された構成のうち、主に光照射部18およびステージ42を示す斜視図である。
図3においては、ステージ42の上面に基板Wが配置された状態が示されている。光照射部18は、
図3におけるX軸方向に光の照射方向を走査可能であり、ステージ42がリニアモータ機構50(
図2を参照)によってY軸方向に移動可能である。よって、光照射部18からステージ42の上面に照射される光は、基板Wの上面において矩形型の照射領域(光照射領域)を形成することができる。
【0044】
図3に示されるように、ステージ42は、光照射部18によって光が照射される対象である基板Wが配置される対象配置領域42Aと、光照射部18によって照射される光の位置を校正するための領域である位置校正領域42Bとを備える。
【0045】
対象配置領域42Aは、対象配置領域42A内の特定の位置に基板Wを配置する。これによって、ステージ42と基板Wとの位置関係はあらかじめ特定される。位置校正領域42Bでは、光照射部18から位置校正領域42B内に照射される光の位置が検出部62(
図2を参照)によって検出される。そして、位置校正領域42Bでは、対象配置領域42Aにおける基板Wに対する光加工処理に先立って、光照射部18から照射される光の方向の設定値と、検出された光の照射位置との対応関係が校正される。
【0046】
位置校正領域42Bの少なくとも一部には、光を透過させる透光部142が設けられる。透光部142は、ガラス材料(SiO2)または透明性樹脂(たとえば、シリコン樹脂)などの透明性材料で構成される。透光部142は、位置校正領域42Bに対応するステージ42の上面から下面に至って設けられる。光照射部18から透光部142に照射された光は、ステージ42の上面から下面へ透過する。
【0047】
透光部142には、少なくとも一部に少なくとも1つ(
図3においては2つ)の散乱部142Aが設けられる。散乱部142Aは透明性材料で構成され、照射された光を散乱させつつ、反射または透過させる。散乱部142Aが設けられる位置は、ステージ42における特定の位置である。すなわち、ステージ42全体における散乱部142Aの位置は、あらかじめ特定されている。
図3においては、それぞれの散乱部142Aは、光照射部18の光照射領域のX軸方向における端部に配置されているが、散乱部142Aが配置される位置は、ステージ42における特定の位置であればよく、光照射部18の光照射領域の端部に限られない。散乱部142Aは、入射する光を散乱させる性質を有し、たとえば、ガラス材料にブラスト加工を施す、または、フッ酸などを用いてフロスト加工を施すことによって得られる。
図3においては、それぞれの散乱部142Aは、透光部142の上面に形成されているが、少なくとも1つの散乱部142Aが透光部142の下面に形成されていてもよい。
【0048】
なお、
図3に示される場合では、対象配置領域42Aと位置校正領域42Bとが別々の領域とされているが、これらの領域は少なくとも一部が重なっていてもよい。すなわち、基板Wが配置される少なくとも一部の領域に透光部142が設けられていてもよい。そのような場合、たとえば、基板Wが配置されていない状態で、基板Wが配置される位置において、光照射部18から照射される光の位置の校正が行われてもよい。
【0049】
また、透光部142は、その全範囲において散乱部142Aが形成されていてもよい。すなわち、光が透過するのみである部分は存在せず、透光部142の全範囲において光の散乱が生じる場合であってもよい。
【0050】
また、
図3において透光部142はX軸方向に延びて設けられており、X軸方向のそれぞれの端部に散乱部142Aが設けられているが、透光部142はX軸方向において複数箇所に分割されていてもよい。ただし、一体的に形成された透光部142において複数の散乱部142Aが設けられている場合(すなわち、
図3に示される場合)には、透明性材料で透光部142が製造された際の複数の散乱部142A間の位置精度が維持された状態で、ステージ42に透光部142を取り付ける(
図3の場合には、嵌め込む)ことができる。そのため、ステージ42に取り付ける際に散乱部142A間の位置ずれが生じないため、複数の散乱部142Aを用いて行われる校正の精度を高く維持することができる。
【0051】
図4は、
図2に例が示された構成のうち、主に光照射部18およびステージ42の構成の例を示す断面図である。
図4に例が示されるように、光照射部18は、照射する光の方向をX軸方向およびY軸方向に制御するガルバノミラーまたはポリゴンミラーなどであるスキャナ18Aと、図示しない光源からの光を集光する集光レンズ18Bとを備える。
図4において、集光レンズ18B、さらには、石英などで形成される照射窓20を介して照射される光は、たとえばレーザー光18Cである。レーザー光18Cは、スキャナ18Aの制御によってステージ42の上面に配置される基板WをX軸方向に走査可能である。ここで、光照射部18は、X軸方向およびY軸方向に光を制御可能であることが望ましいが、光照射部18は、X軸方向またはY軸方向のいずれかに光を制御可能であってもよい。
【0052】
ステージ42は、位置校正領域42Bにおいて形成される透光部142と、透光部142の上面に形成される散乱部142Aとを備える。光照射部18から照射されるレーザー光18Cは、X軸方向において少なくとも散乱部142Aに到達する範囲で走査可能である。
【0053】
ステージ42の下方には、光を検出するための検出部62が配置される。検出部62は、真空チャンバ12内で光を集光する集光ユニット62Aと、集光ユニット62Aに集光された光を真空チャンバ12外へ伝搬させるファイバー62Bと、ファイバー62Bによって真空チャンバ12外へ伝搬された光を検出する光検出器62Cとを備える。光検出器62Cは真空チャンバ12外に配置されるため、光検出器62Cから放出され得る気体が真空チャンバ12内に侵入することを抑制することができる。
【0054】
図5および
図6は、集光ユニット62Aの構成および作用について示す概略図である。
図5および
図6に例が示されるように、集光ユニット62Aは、光照射部18から入射される光の光軸上で、当該光を集光する集光レンズ162と、光照射部18から入射される光の光軸上で、集光レンズ162よりも光の経路の下流(すなわち、
図5および
図6におけるZ軸負方向側)に配置される遮光板164とを備える。遮光板164は、入射する光を遮る板状の部材であり、集光レンズ162よりも透光部142から遠ざかる位置の、集光レンズ162の集光位置に配置される。
【0055】
図5に示される場合では、光照射部18(
図4を参照)から入射されたレーザー光18C(平行光)は、ステージ42における透光部142のみを通過して集光ユニット62Aに到達している。一方で、
図6に示される場合では、光照射部18(
図4を参照)から入射されたレーザー光18Cは、ステージ42における散乱部142Aおよび透光部142を通過して集光ユニット62Aに到達している。なお、
図6においては、レーザー光18Cは散乱部142Aおよび透光部142を通過しているが、レーザー光18Cは、散乱部142Aのみを通過してもよい。
【0056】
図5に示される場合では、散乱部142A以外の透光部142を通過するレーザー光18Cは、光の照射範囲および方向が大きく変化せずに集光ユニット62Aに到達する。そして、レーザー光18Cは、集光ユニット62Aにおける集光レンズ162によって集光され、集光レンズ162の集光位置に配置された遮光板164に入射する。遮光板164では光が遮られるため、レーザー光18Cの光軸に沿う光の経路の、遮光板164よりもさらに下流に位置するファイバー62Bには、レーザー光18Cは到達しない。
【0057】
一方で、
図6に示される場合では、透光部142における散乱部142Aを通過するレーザー光18Cは、散乱部142Aを通過する際に光の散乱が生じる。そうすると、レーザー光18Cによる照射範囲が散乱光(
図6における砂地部分)によって拡げられた状態で、レーザー光18Cが集光ユニット62Aに到達する。そして、レーザー光18Cは、集光ユニット62Aにおける集光レンズ162によって集光される。
【0058】
この際、散乱部142Aにおける光の散乱によって照射範囲が拡がっているレーザー光18Cには平行光ではない成分が多く含まれており、少なくとも一部の成分が集光レンズ162の集光位置には集光されない。よって、集光レンズ162の集光位置に配置された遮光板164ではレーザー光18Cの一部のみが遮られる。換言すると、レーザー光18Cの光軸に沿う光の経路の、遮光板164よりもさらに下流に位置するファイバー62Bに、遮光板164に遮られなかった一部のレーザー光18C、すなわち、レーザー光18Cの散乱光が到達する。
【0059】
上記のように、ステージ42の上面に照射されたレーザー光18Cは、透光部142のうちの散乱部142Aが形成された箇所に入射した場合に、集光ユニット62Aで集光された後ファイバー62Bに到達する。そして、ファイバー62Bに到達した光が光検出器62Cにおいて検出される。よって、レーザー光18Cが散乱部142Aに照射された場合に検出部62がレーザー光18Cの散乱光を検出することができるため、その際のスキャナ18Aの設定値と散乱部142Aの位置とを対応させるように、照射される光の位置を校正することができる。これによって、後の工程で、ステージ42の上面に配置された基板Wを光加工する際に、光照射部18から照射される光の位置を高い精度で位置合わせすることができる。
【0060】
また、光照射部18によって光が照射される透光部142は透明性材料で構成されているため、光照射部18によって照射される光の位置を校正するために繰り返し透光部142に比較的高い強度の光が照射される場合であっても、校正のために光が照射されるターゲット(すなわち、透光部142)の損傷を抑制することができる。
【0061】
また、検出部62において検出される光は散乱光であり、散乱せずに透光部142を透過した透過光ではないため、散乱していない透過光を直接検出する場合に比べて、検出部62における当該光に起因する損傷を抑制することができる。
【0062】
<散乱部の形状について>
図7は、散乱部142Aの形状の例を示す平面図である。
図7に例が示されるように、散乱部142Aは、ステージ42の上面においてX軸方向およびY軸方向に広がって設けられ、たとえば、平面視で2つの三角形が向かい合わせに並べられ、それらの1つの頂点同士が連結された形状(バタフライ形状)とすることができる。このような形状であれば、散乱部142AのX軸方向の幅(形成される領域の合計の幅)が、Y軸方向における中央部に向かうにつれて大きくなる。または、散乱部142AのY軸方向の幅が、X軸方向における中央部に向かうにつれて小さくなる。
【0063】
図8は、
図7に例が示された形状である散乱部142AをX軸方向に走査した場合に得られる光検出器62Cでの検出信号の例を示す図である。
図8に示される例では、一定のサンプリングタイミング(T1、T2、T3、T4およびT5)で光検出器62Cによって光が検出されて検出信号Sが出力されており、走査ごとにステージ42のY軸方向における位置が変更されている。
【0064】
バタフライ形状である散乱部142Aに照射された光を光検出器62Cによって検出すると、
図8に例が示されるように、Y軸正方向側の端部およびY軸負方向側の端部においては、光を散乱する領域がX軸方向において2箇所に分かれて配置されることとなるため、検出信号Sが少なくともサンプリングタイミングT3で途切れることとなる。一方で、Y軸方向における中央部では、光を散乱する領域がX軸方向において連続して配置されることとなるため、検出信号SがサンプリングタイミングT1からサンプリングタイミングT5の間で途切れない。
【0065】
そうすると、検出信号Sが途切れずに検出された走査の際のY軸方向の位置が、散乱部142AのY軸方向における中心位置であることがわかる。すなわち、複数回の走査において検出信号Sの途切れを比較することによって、散乱部142Aの中心位置を高い精度で特定することができる。
【0066】
また、検出信号Sが出力される期間の中間点(サンプリングタイミングT1とサンプリングタイミングT5とで検出信号Sが出力される場合には、サンプリングタイミングT3)に対応するX軸方向の位置が、散乱部142AのX軸方向における中心位置であることがわかる。
【0067】
一方で、
図7に例が示された形状を90度回転させた形状である散乱部(バタフライ形状)をX軸方向に走査した場合(これは、
図7に例が示された形状である散乱部を、Y軸方向に走査した場合に対応)には、Y軸正方向側の端部およびY軸負方向側の端部においては、光を散乱する領域がX軸方向において長く連続して配置され、かつ、Y軸方向における中央部では、光を散乱する領域がX軸方向において最も短く配置されることとなる。
【0068】
そうすると、検出信号Sが最も短く検出された走査の際のY軸方向の位置が、散乱部のY軸方向における中心位置であることがわかる。すなわち、複数回の走査において検出信号Sが検出される時間長さを比較することによって、散乱部の中心位置を高い精度で特定することができる。
【0069】
また、検出信号Sが出力される期間の中間点(サンプリングタイミングT1からサンプリングタイミングT5までで検出信号Sが出力される場合には、サンプリングタイミングT3)に対応するX軸方向の位置が、散乱部のX軸方向における中心位置であることがわかる。
【0070】
このように、散乱部の形状がバタフライ形状であることによって、散乱部のX軸方向またはY軸方向の中心位置を高い精度で特定することができる。よって、光照射部18から照射される光の位置を高い精度で校正して位置合わせすることができる。
【0071】
ここで、散乱部の形状は、
図7および
図8に示されたような、X軸方向における中央部に向かって形成される領域がだんだん小さくなるものに限られるものではなく、たとえば、X軸方向における中央部に向かって形成される領域が不連続に小さくなるものであってもよいし、X軸方向およびY軸方向において、ともに中央部に向かって形成される領域が大きくなるものであってもよい。また、散乱部の外縁の形状は、
図7および
図8に示されたような直線であるものに限られず、少なくとも一部に曲線が含まれていてもよい。
【0072】
<複数の光照射部を備える場合について>
図9は、複数の光照射部を備える場合の構成の例を示す断面図である。
図9に例が示されるように、光照射装置に複数の光照射部118および光照射部218が備えられている。
【0073】
光照射部118は、照射する光の方向をX軸方向に制御するガルバノミラーなどであるスキャナ118Aと、図示しない光源からの光を集光する集光レンズ118Bとを備える。
図9において、集光レンズ118B、さらには、石英などで形成される照射窓20Aを介して照射される光は、たとえばレーザー光118Cであり、レーザー光118Cは、スキャナ118Aの制御によってステージ42の上面に配置される基板WをX軸方向に走査可能である。
【0074】
同様に、光照射部218は、照射する光の方向をX軸方向に制御するガルバノミラーなどであるスキャナ218Aと、図示しない光源からの光を集光する集光レンズ218Bとを備える。
図9において、集光レンズ218B、さらには、石英などで形成される照射窓20Bを介して照射される光は、たとえばレーザー光218Cであり、レーザー光218Cは、スキャナ218Aの制御によってステージ42の上面に配置される基板WをX軸方向に走査可能である。
【0075】
ここで、光照射部118のX軸方向における光照射領域は、透光部142に形成された散乱部142Bに対応する位置から、透光部142に形成された散乱部142Cに対応する位置までである。一方で、光照射部118のX軸方向における光照射領域は、透光部142に形成された散乱部142Cに対応する位置から、透光部142に形成された散乱部142Dに対応する位置までである。すなわち、散乱部142Cは、光照射部118の光照射領域と光照射部218の光照射領域との連結部分に配置されている。
【0076】
検出部62は、散乱部142B、散乱部142Cおよび散乱部142Dそれぞれに対応する位置のステージ42の下方に配置されている。それぞれの検出部62における集光ユニット62Aは、対応する光照射部から入射される光の光軸上に配置される。
【0077】
このように散乱部142B、散乱部142Cおよび散乱部142Dが配置されることによって、光照射部118の光照射領域と光照射部218の光照射領域との連結部分が共通の散乱部142Cによって位置決めされるため、2つの光照射領域間の位置ずれを抑制することができる。
【0078】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0079】
以上に記載された実施の形態によれば、光照射装置は、ステージ42と、少なくとも1つの光照射部18(または、光照射部118、光照射部218)と、検出部62とを備える。光照射部18は、ステージ42の上面に光を照射する。ステージ42の少なくとも一部には、光を散乱させるための少なくとも1つの散乱部142A(または、散乱部142B、散乱部142C、散乱部142D)が設けられる。検出部62は、散乱部142Aにおいて散乱された光を検出する。そして、散乱部142Aは、透明性材料で構成される。
【0080】
このような構成によれば、光が照射される散乱部142Aが透明性材料で構成されるため、レーザー光などの高強度の光が照射される場合であっても、光が照射される箇所(散乱部142A)の損傷を軽減することができる。そのため、検出部62によって検出される光の位置精度が低下しにくい。また、散乱部142Aで散乱した散乱光を検出することによって、レーザー光などの高強度の光を検出する場合であっても、光が直接照射されることに起因する検出部62の損傷を軽減することができる。
【0081】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0082】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光照射部18から照射される光がレーザー光18C(または、レーザー光118C、レーザー光218C)である。このような構成によれば、レーザー光のような高強度の光が照射される場合であっても、散乱部142Aの損傷が軽減される。
【0083】
また、以上に記載された実施の形態によれば、散乱部142Aは、フロスト加工によって形成される。このような構成によれば、透光部142に照射された光を散乱部142Aにおいて散乱させることができる。
【0084】
また、以上に記載された実施の形態によれば、散乱部142Aは、光照射部18によって光が照射される光照射領域の端部に配置される。このような構成によれば、散乱部142Aに照射された光を検出部62によって検出することによって、光照射部18によって光が照射される光照射領域の外縁を直接的に検出することができる。
【0085】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光照射部118、光照射部218が設けられる。そして、散乱部142Cは、それぞれの光照射部の光照射領域同士の連結部分に配置される。このような構成によれば、複数の光照射部を用いて広い領域で光加工を行う場合であっても、光照射部118の光照射領域と光照射部218の光照射領域との連結部分が共通の散乱部142Cによって位置決めされるため、2つの光照射領域間の位置ずれを抑制することができる。
【0086】
また、以上に記載された実施の形態によれば、検出部62は、集光レンズ162と、遮光板164とを備える。集光レンズ162は、散乱部142Aを透過した光を集光する。遮光板164は、集光レンズ162よりも散乱部142Aから遠ざかる位置に配置される。また、遮光板164は、集光レンズ162の集光位置に配置される。このような構成によれば、散乱部142Aで散乱しつつ散乱部142Aを透過した光が集光される位置は、遮光板164が配置される集光レンズ162の集光位置からずれる。そのため検出部62は、透光部142に照射される光のうち、散乱部142Aを通過せずに透光部142を透過する直接光(直進光)の検出を避けつつ、透光部142における散乱部142Aで散乱した散乱光のみを検出することができる。よって、レーザー光などの高強度の光を検出する場合であっても、光が直接照射されることに起因する検出部62の損傷を軽減することができる。
【0087】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光照射装置は、ステージ42が内包されるチャンバを備える。ここで、チャンバは、たとえば、真空チャンバ12などに対応するものである。真空チャンバ12内は、真空または減圧雰囲気下である。また、検出部62は、ファイバー62Bと、光検出器62Cとを備える。ファイバー62Bは、集光レンズ162によって集光された光を真空チャンバ12の外部へ伝搬させる。光検出器62Cは、真空チャンバ12の外部に配置される。また、光検出器62Cは、ファイバー62Bによって伝搬された光を検出する。このような構成によれば、検出部62のうちの光検出器62Cが真空チャンバ12の外部に設けられるため、光検出器62Cから放出されるアウトガスが真空チャンバ12内に侵入することを抑制することができる。
【0088】
また、以上に記載された実施の形態によれば、散乱部142Aは、ステージ42の上面に形成される。このような構成によれば、光照射部18から照射される光の焦点がステージ42の上面に合わせられている場合、散乱部142Aにも光の焦点(または、その近似)が合わせられることになる。そのため、散乱部142Aに照射される光の照射範囲が十分に絞られ、検出部62による位置検出精度が向上する。
【0089】
また、以上に記載された実施の形態によれば、散乱部142Aは、ステージ42の上面に沿う方向である第1の方向(XまたはY軸方向)、および、ステージ42の上面に沿い、かつ、第1の方向と交差する方向である第2の方向(YまたはX軸方向)に広がって設けられる。そして、散乱部142Aの第1の方向における幅は、第2の方向において散乱部142Aの中央部に近づくにつれて大きくなるまたは小さくなる。このような構成によれば、検出信号Sが最も短くまたは最も長く検出された走査の際の位置が、散乱部の中心位置であることがわかる。すなわち、複数回の走査において検出信号Sが検出される時間長さを比較することによって、散乱部の中心位置を高い精度で特定することができる。
【0090】
また、以上に記載された実施の形態によれば、散乱部142Aは、ステージ42の平面視で、2つの三角形の1つの頂点同士が連結されたバタフライ形状である。このような構成によれば、散乱部のX軸方向またはY軸方向の中心位置を高い精度で特定することができる。よって、光照射部18から照射される光の位置を高い精度で校正して位置合わせすることができる。
【0091】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0092】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0093】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0094】
1 光照射装置
12 真空チャンバ
12A,12B,12C 開口部
14 外部固定部
14B 外部部材
14A,14C 柱状部材
16A,16B ベローズ
18,118,218 光照射部
18A,118A,218A スキャナ
18B,118B,162,218B 集光レンズ
18C,118C,218C レーザー光
20,20A,20B 照射窓
21 真空ポンプ
22 制御部
24 架台
42 ステージ
42A 対象配置領域
42B 位置校正領域
44 スライダー
46 ベース
48 リニアガイド
50 リニアモータ機構
52 リフトピン機構
52A リフトピン
62 検出部
62A 集光ユニット
62B ファイバー
62C 光検出器
142 透光部
142A,142B,142C,142D 散乱部
164 遮光板