(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ペンダント官能基の後重合官能化
(51)【国際特許分類】
C08F 293/00 20060101AFI20240620BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240620BHJP
C09J 153/00 20060101ALI20240620BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20240620BHJP
C09J 11/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
C08F293/00
C09J133/00
C09J153/00
C09J4/00
C09J11/00
(21)【出願番号】P 2020533686
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 US2018066510
(87)【国際公開番号】W WO2019126327
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514100751
【氏名又は名称】エイブリィ・デニソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーソロミュー,エリック・エル
(72)【発明者】
【氏名】ボットーフ,ウィリアム・エル
(72)【発明者】
【氏名】ハイムバッハ,カイル・アール
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ブランドン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターマン,マイケル・ティ
(72)【発明者】
【氏名】ザヤチコフスキー,マイケル
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-184678(JP,A)
【文献】特表2017-516873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00
C08F 290/00-290/14
C09J 4/00-4/06
C09J 11/00-11/08
C09J 133/00-133/26
C09J 153/00-153/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体及び反応剤を含む組成物であって、
前記前駆体は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を含み、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、
自己反応性官能基、反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第1の反応性セグメントと、
反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第2のセグメントとを含み、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記反応剤との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にし、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、エチレン性不飽和を含まず、
前記非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、C1~C20のアルキル、アリール、若しくは環状アクリレート、又はC1~C20のアルキル、アリール、若しくは環状メタクリレートに由来し、
前記自己反応性官能基が、シリル、シラン、無水物、エポキシ、アルコキシメチロール、環状エーテル、アセトアセチル基、イソシアネート、環状エステル、及びチオールからなる群から選択され、
前記第1の反応性セグメント内の非反応性官能基を有する前記少なくとも一つのモノマーは、前記第2のセグメントにおける非反応性官能基を有する同じタイプのモノマーであり、
前記第1の反応性セグメント及び前記第
2のセグメントは、単相ポリマーを示すバルク状態でそれらの特性が示されるように、硬化前又は架橋前に分子混和性であり、
前記前駆体は、15℃~200℃の温度範囲で均一な(単相)液体ポリマーであ
り、
前記第1の反応性セグメント及び前記第2のセグメントは、それぞれ、前記非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体が、化学放射線への露光の際に架橋性ではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応剤が、二重結合及び官能基の少なくとも一つを含み、前記官能基が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つと反応可能な、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記後重合官能化反応が、アクリル化反応である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記後重合官能化反応が、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体にエチレン性不飽和結合を生成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和結合が、二重結合である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記前駆体が、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の後重合官能化反応の後、予備接着剤組成物を形成する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記予備接着剤組成物が、化学放射線への露光の際に少なくとも部分的に架橋されて接着剤を形成する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記接着剤が、感圧接着剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記前駆体及び前記予備接着剤組成物の少なくとも一つが、110℃~180℃の範囲内の温度で1,000cps~80,000cpsの範囲内の粘度を示す、請求項7~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記予備接着剤組成物が、99%以上の固形分で7.5%未満のゲルを示す、請求項7~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記前駆体及び前記予備接着剤組成物の少なくとも一つが、15℃~200℃の温度範囲で均一な(単相)ポリマーである、請求項7~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記化学放射線が、UV放射線及び電子ビーム放射線の少なくとも一つである、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記後重合官能化反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と異なるタイプの官能基である、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記後重合官能化反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と同じタイプの官能基である、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1の反応性セグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーの40重量%~99重量%を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記反応性官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記反応剤の官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記第1の反応性セグメント及び前記第2のセグメントは、単相ポリマーを示すバルク状態でそれらの特性が表現されるように、硬化前又は架橋前に分子混和性である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、顔料、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、希釈剤、阻害剤、増感剤、架橋剤、開始剤、化学放射線開始剤、触媒、酸化防止剤、PH調節剤、薬剤、殺菌剤、成長因子、創傷治癒成分、脱臭剤、香水、抗菌剤、殺菌剤、切断剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの成分をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が溶剤を含まない、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記予備接着剤組成物のガラス転移温度(Tg)が、15℃~-115℃の範囲内である、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項23】
前記前駆体のガラス転移温度(Tg)が、15℃~-115℃の範囲内である、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
化学放射線への露光の際に硬化可能な予備接着剤組成物の形成方法であって、
請求項1~23のいずれか1項に記載の前駆体を提供するステップ、及び
少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部を変性して前記予備接着剤組成物を形成するステップを含み、
前記変性は、少なくとも一つのアクリル共重合体にエチレン性不飽和結合を生成し、化学放射線への露光の際に前記予備接着剤組成物の硬化に影響を与えることによって、接着剤組成物を生成する、予備接着剤組成物の形成方法。
【請求項25】
前記接着剤組成物が、感圧接着剤である、請求項24に記載の予備接着剤組成物の形成方法。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1項に記載の前駆体を含む予備接着剤組成物を提供し、前記予備接着剤組成物の官能基の少なくとも一部はエチレン性不飽和結合を含むステップ、及び
前記の予備接着剤組成物を化学放射線に露光させることによって、前記予備接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化して接着剤組成物を形成するステップを含む、接着剤組成物の形成方法。
【請求項27】
前記エチレン性不飽和結合が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部を変性することにより生成する、請求項26に記載の接着剤組成物の形成方法。
【請求項28】
前記接着剤組成物が、感圧接着剤である、請求項26又は27に記載の接着剤組成物の形成方法。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか1項に記載の前駆体、
反応剤、
光開始剤、及び選択的に
触媒からなる組成物であって、
少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記反応剤と後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にし、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、エチレン性不飽和を含まない、組成物。
【請求項30】
前記反応剤との後重合官能化反応を受けて架橋性となる少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の前駆体を含む、予備接着剤。
【請求項31】
請求項30に記載の少なくとも部分的に架橋された予備接着剤を含む、感圧接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/607,437号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリマー骨格及び/又はペンダント基に沿って含まれる官能基をUV活性可能な基に変性させる方法に関する。多くの実施形態において、変性は、ポリマー骨格に沿って特定の位置又は領域に官能基を有するアーキテクチャポリマーを利用して行われる。また、本発明は、変性したポリマーを含有する組成物、接着剤及び予備接着剤組成物、前記接着剤を用いる物品、並びに前記接着剤を加工するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
UV放射線への露光によって硬化される接着剤が、当技術分野で知られている。また、接着剤の製剤において制御されたアーキテクチャポリマーの使用も知られており、本出願人によって記載されている。さらに、多くの従来のポリマーに沿った官能基をUV活性可能に変性できることが、当技術分野で知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、UV放射線への露光等によって活性化する際に特定の特性及び/又は特徴を示す、制御されたアーキテクチャポリマーを用いて接着剤組成物を形成する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来のアプローチに関する困難及び欠点は、本発明において以下のように解決される。
一態様において、本発明は、前駆体及び反応剤を含む、前駆体及び反応剤から実質的になる、又は前駆体及び反応剤からなる組成物を提供する。前記前駆体は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を含み、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、(i)自己反応性官能基、反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第1の反応性セグメントと、(ii)反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第2のセグメントとを含む。第1の反応性セグメント及び第2のセグメントにおける反応性官能基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の反応性セグメント及び第2のセグメントにおける非反応性官能基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、反応剤との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にし、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、後重合官能化反応の前は化学放射線への露光の際に架橋性ではない。特に、(i)少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、ポリマー骨格及び/又はペンダント基に沿ってエチレン性不飽和を含まず、(ii)反応剤は、二重結合及び官能基の少なくとも一つを含み、前記官能基は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つと反応可能であり、(iii)後重合官能化反応は、アクリル化反応であり、また、(iv)後重合官能化反応は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体にエチレン性不飽和結合を生成し、前記エチレン性不飽和結合は、二重結合である。前駆体が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の後重合官能化反応の後、予備接着剤組成物を形成し、前記予備接着剤は、化学放射線への露光の際に少なくとも部分的に架橋されて接着剤を形成する。形成された接着剤は、感圧接着剤であり得る。化学放射線は、UV放射線及び電子ビーム放射線の少なくとも一つである。
【0006】
いくつかの実施形態において、第1の反応性セグメントは、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基は、自己反応性官能基と反応性官能基とを含む一方、第2のセグメントは、反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーとを含む。他の実施形態において、第1の反応性セグメントは、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基は、自己反応性官能基のみを含む一方、第2のセグメントは、非反応性官能基のみを有する少なくとも一つのモノマーを含む。さらに他の実施形態において、第1の反応性セグメントは、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基は、反応性官能基のみを含む一方、第2のセグメントは、非反応性官能基のみを有する少なくとも一つのモノマーを含む。
【0007】
重要なことに、本発明の上述のすべての実施形態において、(i)後重合反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基は、前記反応剤の官能基と同じであっても異なっていてもよく、(ii)第1の反応性セグメント及び第2のセグメント内に非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、互いに同じであっても異なっていてもよく、(iii)第1の反応性セグメント及び第2のセグメント内の反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、互いに同じであっても異なっていてもよく、(iv)第1の反応性セグメントは、一つ以上の非反応性モノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含み、(v)第1の反応性セグメントは、前記第2のセグメントの一つ以上のモノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、又は約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含み、(vi)第1の反応性セグメント及び第の2セグメントは、単相ポリマーを示すバルク状態でそれらの特性が示されるように、硬化前又は架橋前に分子混和性(均一性)であり、また、(vii)前駆体及び予備接着剤組成物の少なくとも一つは、15℃~200℃の温度範囲で均一な(単相)ポリマー又は液体ポリマーである。
【0008】
別の態様において、上述のアクリルブロック共重合体は、制御された分子量及び位置の2つの第1の反応性セグメントAと、制御された分子量及び位置の一つの第2のセグメントBとを含み、第1の反応性セグメントAは、ポリマー鎖上において中央の第2のセグメントBの両側に位置して、ABA構造を規定する。
【0009】
さらに別の態様において、上述のアクリルブロック共重合体は、制御された分子量及び位置の2つの第2のセグメントBと、制御された分子量及び位置の一つの第1の反応性セグメントAとを含み、前記2つの第2のセグメントBは、ポリマー鎖上において中央の第1の反応性セグメントAの両側に位置して、BAB構造を規定する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、上述の前駆体を含む予備接着剤を提供し、上述の前駆体のアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部がエチレン性不飽和結合を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、上述の前駆体とアクリル化官能基を有するモノマーとを含む組成物を提供し、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記アクリル化官能基との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にする。
【0012】
一態様において、本発明は、化学放射線への露光の際に硬化可能な予備接着剤組成物を形成する方法を提供する。前記方法は、上述の前駆体を提供するステップを含む。前記方法はまた、前駆体のアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部を変性するステップを含み、前記変性は、アクリルブロック共重合体にエチレン性不飽和結合を生成し、化学放射線への露光の際に前記予備接着剤組成物の硬化に影響を与えることによって、接着剤組成物を生成する。
【0013】
別の態様において、本発明は、前記周知の方法によって製造された予備接着剤組成物を提供する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明はまた、上述の前駆体を提供するステップを含む接着剤組成物の形成方法を提供し、前記前駆体は、上述のアクリルブロック共重合体を含む。前記アクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部は、エチレン性不飽和結合を含む。前記方法はまた、予備接着剤組成物を化学放射線に露光させることによって、前記予備接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップを含む。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、前記周知の方法によって製造された接着剤組成物を提供する。
【0016】
理解されるように、本明細書に記載の発明は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、請求される発明から逸脱することなく、すべてが様々な側面から変更可能である。したがって、図面及び説明は、例示的なものであり、限定的ではないものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】各種の反応性官能基を含む従来のポリマー及びUV放射線に露光の際の従来のランダム架橋ネットワークの形成を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る、制御されたアーキテクチャポリマー(CAP)及びUV放射線への露光の際の、向上した末端結合ネットワークの形成を示す概略図である。
【
図3】従来のランダム架橋ネットワーク、及び接着剤に含まれた際の、そのようなネットワークに関連する通常の接着剤の特性を概略的に示す図である。
【
図4】本発明に係る、向上した末端結合ネットワーク、及び接着剤に含まれた際の、そのようなネットワークに関連する通常の接着剤特性を概略的に示す図である。
【
図5】本発明に係る接着剤を製造するための代表的な工程及びシステムを示す工程概略図である。
【
図6】本発明に係る接着剤を含むテープ物品の概略図である。
【
図7】本発明に係る別のテープ物品の概略断面図である。
【
図8】本発明に係る別のテープ物品の概略断面図である。
【
図9】本発明に係る別のテープ物品の概略断面図である。
【
図10】本発明に係る別のテープ物品の概略断面図である。
【
図11】本発明に係る接着剤の領域を含む封止又は閉鎖アセンブリの概略断面図である。
【
図12】実施例1に対する溶融粘度と温度の関係のプロット図である。
【
図13】実施例4に対する溶融粘度と温度の関係のプロット図である。
【
図14】実施例17に対する溶融粘度と温度の関係のプロット図である。
【
図15】試料29~31及び市販のコントロールに対する正接(デルタ)と温度の関係のプロット図である。
【
図16】試料29~31及び市販のコントロールに対する弾性/貯蔵弾性率と温度 の関係のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用されるとき、「通常」等の用語は、請求された発明の範囲を制限すること、又は特定の特徴が請求された発明の構造若しくは機能にとって決定的、必須的、又は重要であることを暗示するものであると意図しない。むしろ、これらの用語は、単に、本発明の特定の実施形態において利用されても利用されなくてもよい代替的な特徴又は追加的な特徴を強調するためのものである。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「含む」、「挙げられる」、「有している」、「有する」、「含有する」及びその変形語は、追加的な作用や構造の可能性を排除しない、オープンエンドの移行句、用語、又は単語であることが意図される。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリマー」は、同じタイプ又は異なるタイプのモノマーを重合して製造されたポリマー化合物を意味し得る。一般的な用語「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」、「共重合体」等を含む。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「分子混和性」は、当業者によって観察及び/又は測定することができ、単相挙動又は単相ポリマーを示すバルク状態での特性を示す化合物又は化合物の混合物を意味する。用語「単相挙動」は、均一若しくは実質的に均一な挙動又は物理的特性を意味する。アクリル共重合体に対して、単一のTgの観察は、ポリマーセグメントの混和性を示す。単一のTgは、構成ポリマーセグメントのTg間の中間値であり、各セグメントの相対的な量が変化するにつれて、これらの値の間で単調的に変化する。分子混和性化合物又は化合物の混合物によって証明される単相挙動とは対照的に、所定の温度で相分離した化合物は、その中に存在する物質の相が異なるため、複数の独立した一連の特性を示す。このような一連の特性は、物質のTg、溶解パラメータ、屈折率、及び物理的状態/相を含み、これらに限定されない。したがって、「相分離した」という用語は、極性、分子量、ポリマーセグメントの相対的な量、及びTg(物質の相)に依存する一つ以上の化学的特性及び/又は物理的特性により、分子的に分離する2つ以上の物質として規定され、これに限定されない。
【0022】
ABAブロック共重合体等のブロック共重合体のブロック/セグメント間の非混和性/非相溶性の証明は、動的機械分析(DMA)又は示差走査熱量測定(DSC)等のレオロジー判定及び顕微鏡で判定された微細構造を介して確認することができる。混和性ポリマーは、その微細構造において不均一性がないこと(すなわち、単相ポリマーである)を示す。ポリマー配合物の混和性/相溶性の程度は、DMA又はDSCにおけるガラス転移温度を測定することによって簡単に決定することができる。2つのTgの存在は、非混和性を示す一方、単に一つのTgの存在は、混和性配合物を示す。相互に非相溶性のブロックを有するブロック共重合体の場合には、異なるブロックによって形成されたマイクロドメインが、別々の/異なるTgを示し、また、非相溶性のブロック共重合体の場合には、DMA及び/又はDSCプロットにおいて別々のTg値が観察される。例えば、通常のスチレン及びアクリルABAブロック共重合体の場合には、硬質Aブロック及び軟質Bブロックが十分に異なる溶解パラメータを有し、熱力学的に互いに適合しない。その結果、ブロック共重合体系接着剤は、Bブロックからなる軟質の連続相にAブロックが埋め込まれた硬質相を形成する特有のミクロ相分離形態を有する。すなわち、ABAブロック共重合体に存在する2つのタイプのブロックの頻繁な非混和性/非相溶性の結果として、ブロック共重合体は、一般的に、対応するホモポリマーの温度に非常に近い温度で2つの異なるガラス転移(DMA二峰性正接デルタ(tanδ)曲線)を示す。しかし、P(MMA/MAA)-PBA-P(MMA/MAA)のようなブロック共重合体における酸の存在は、末端ブロックのTgを上昇させ、また、軟質アクリレートドメインと硬質PMMAドメインとの間の相分離を向上させる。したがって、ブロック共重合体は、二相分離した物質から単相の均一な物質まで、様々な形態を示すことができる。
【0023】
本明細書で考えられるアクリルポリマーは、架橋前の均一な(単相)ポリマーを示す単一のTgピークの存在によって証明されるように、均一な(単相)アクリルブロック共重合体を形成するモノマーを選択するステップを含む、制御されたフリーラジカル工程を介して形成されたアーキテクチャポリマーである。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「均質なポリマー」は、同じ状態で実質的に一つの形態相を有するブロック共重合体である。例えば、一つのセグメントが別のセグメントと混和性である2つ以上のセグメントのブロック共重合体は、液体状態で均一であると言える。このような形態は、原子間力顕微鏡(AFM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定される。混和性とは、2つ以上のセグメントのブロック共重合体が、ガラス転移温度に対して単相挙動することを意味し、例えば、Tgは、温度と正接デルタ(貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比)の動的機械熱分析器(DMTA)のトレース上で、単一のはっきりとした転移温度として存在し得る。対照的に、非混和性ブロック共重合体の場合には、ブロック共重合体の個別のセグメントの各々の温度に通常的に対応する2つの別々の転移温度が観察され得る。したがって、DMTAトレース上に一つのTgが示されている場合、ブロック共重合体は混和性である。混和性ブロック共重合体は均一であるが、非混和性ブロック共重合体は不均一である。
【0025】
対照的に、用語「不均一なポリマー」は、同じ又は異なる状態で2つ以上の形態相を有するブロック共重合体を意味する。例えば、一方のセグメントが他方のセグメントのマトリックスに分散された別個のパケットを形成する2つのセグメントのブロック共重合体は、不均一であると言える。また、不均一なポリマーは、ブロック共重合体成分が個別に見える場合に、共連続セグメントを含むと規定されるが、どちらが連続相でどちらが不連続相であるかは不明である。このような形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定される。連続相とは、不均一なブロック共重合体におけるマトリックス相を意味する。不連続相とは、不均一なブロック共重合体の分散相を意味する。
【0026】
DMAは、平行板クランプが装着されたTA instruments AR2000レオメータで行われた。厚さ1.0mmの試料をクランプに配置し、70℃で10分間アニールして、良好な接着性を確保した。次いで、前記試料を-60℃に冷却して、3℃/minの昇温速度で150℃まで温度スイープを開始した。昇温時、試料は10rad/secの周波数で振動した。
【0027】
本発明の前駆体、アクリルブロック共重合体、及び/又は感圧接着剤のガラス転移温度(Tg)の範囲の代表的かつ非限定的な例は、約15℃~約-115℃、又は約0℃~約-80℃、及び/又は約-35℃~約-60℃である。
【0028】
本発明は、共有出願US2011/0118372 A1、US2013/0059971 A1、及びUS2014/0329958 A1に記載されている、制御されたアーキテクチャポリマー(CAP)を用いた作業に基づいており、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。それらの合成を含む、制御されたアーキテクチャポリマーのさらなる詳細は、周知の共有特許出願に記載されている。
【0029】
本発明は、化学放射線への露光の際に活性化又は架橋性となり得る接着剤の形成に関する。接着剤は、露光の際に架橋又は他の活性化に影響を与える、ポリマー骨格に沿って一つ以上の官能基を含む、制御されたアーキテクチャポリマー(本明細書において、「CAP」又はアクリルブロック共重合体と呼ばれる)を含む。用語「CAP」及び「アクリルブロック共重合体」は、本明細書で相互交換的に使用される。また、本発明は、周知の官能基を有するCAPを含む接着剤に関する。また、本発明は、本明細書に記載の方法によって製造される接着剤を含有する物品に関する。さらに、本発明は、接着剤及び予備接着剤を調製及び/又は加工するための装備及びシステムに関する。
【0030】
本発明の詳細及びその多数の実施形態に注目する前に、本明細書で使用されるいくつかの用語及びそれらの規定について検討することが有益である。「重合する(polymerize)」又は「重合する(polymerizing」」という用語は、ポリマーを形成するために、化学反応で共にモノマーを反応させる工程を指す。そして、「架橋」又は「架橋する」という用語は、一つのポリマー鎖を別のポリマー鎖につなぐ結合を形成する工程を指す。前記結合は、共有結合又はイオン結合であってもよい。用語「架橋」は、結合自体を指すことができる。「硬化」及び「硬化する」という用語は、「架橋」又は「架橋する」という用語を指し、相互交換的に使用される。
【0031】
本発明の方法の多くの実施形態において、ポリマーの官能基を変性するステップ、及び特定の組成物、特にCAPを含む組成物を架橋するステップで得られる接着剤は、比較的高い剥離強度及び剪断強度等の向上した接着性を示す。これらの向上した接着性は、(i)ポリマー鎖の末端又はその近くに位置するポリマーの官能基を含む架橋が大半であること、及び(ii)ポリマー鎖の内部領域内に位置する官能基を含む架橋の不存在又は少数の存在に少なくとも部分的に起因すると考えられる。本明細書に記載されているような方法に起因する架橋ネットワークは、ここでは「向上した末端結合ネットワーク」又はETLNと呼ばれる。本明細書でより詳細に記載されているように、ETLNの形成は、様々な他の利点及び利益の中でも、より少ない接着剤のコーティング重量、より低い粘度、及びより優れた接着性能を可能にする。前記方法、CAP系接着剤及びETLN、並びに関連物品のこれらの態様及び他の態様が、本明細書でより詳細に記載されている。
【0032】
多くの実施形態において、本発明の方法は、CAPを含む接着剤を利用するが、本発明は、非CAP系接着剤を変性及び架橋する方法をさらに含むことが理解されるであろう。前記方法及びこのような方法により変性及び架橋された非CAP系接着剤、並びに関連物品のこれらの態様及び他の態様が、本明細書でより詳細に記載されている。
【0033】
一般に、本発明は、前駆体及び反応剤を含む、実質的に前駆体及び反応剤からなる、又は前駆体及び反応剤からなる組成物を提供する。前記前駆体は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体(CAPとも呼ばれる)を含み、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、(i)自己反応性官能基、反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第1の反応性セグメントと、(ii)反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第2のセグメントとを含む。第1の反応性セグメント及び第2のセグメントにおける反応性官能基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の反応性セグメント及び第2のセグメントにおける非反応性官能基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、反応剤との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にする。少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、後重合官能化反応の前は化学放射線への露光の際に架橋性ではない。特に、(i)少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、ポリマー骨格及び/又はペンダント基に沿ってエチレン性不飽和を含まず、(ii)反応剤は、二重結合及び官能基の少なくとも一つを含み、前記官能基は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つと反応可能であり、(iii)後重合官能化反応は、アクリル化反応であり、また、(iv)後重合官能化反応は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体にエチレン性不飽和結合を生成し、前記エチレン性不飽和結合は、二重結合である。 前駆体が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の後重合官能化反応の後、予備接着剤組成物を形成し、前記予備接着剤は、化学放射線への露光の際に少なくとも部分的に架橋されて接着剤を形成する。形成された接着剤は、感圧接着剤であり得る。化学放射線は、UV放射線及び電子ビーム放射線の少なくとも一つである。
【0034】
第1の反応性セグメント及び第2のセグメントは、(i)特定のセグメントに存在するモノマーのタイプ(すなわち、自己反応性、反応性及び非反応性モノマー)、及び(ii)各セグメントにおける非反応性モノマーの比率によって規定される。他の特徴の中で、本明細書に記載の前駆体は、{(A)(B)(C)}-{(B)(C)}-{(C)(B)(A)}の構造又は{(A)(B)(C)}-{(C)}-{(C)(B)(A)}の構造、又は{(A)(C)}-{(C)}-{(C)(A)}の構造、又は{(B)(C)}-{(C)}-{(C)(B)}の構造を有するトリブロックアクリル共重合体を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなり、ここで、Aは自己反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表し、Bは反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表し、また、Cは非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表す。また、{(A)(B)(C)}、{(A)(C)}及び{(B)(C)}は、第1の反応性セグメントを表すのに対し、{(B)(C)}及び{(C)}は、第2のセグメントを表す。すなわち、第1の反応性セグメントは、自己反応性官能基を有するモノマー、反応性モノマーを有するモノマー、及び非反応性モノマーを有するモノマーを含むか又はそれからなり、また、第1の反応性セグメントは、自己反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか又はそれからなり、又は第1の反応性セグメントは、反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなる一方、第2反応性セグメントは、反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなり、又は第2反応性セグメントは、非反応性官能基を有するモノマーのみを含むか若しくはそれからなる。第1の反応性セグメントに反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマー及び第2のセグメントに反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、同じタイプのモノマー又は異なるタイプのモノマーであってもよい。第1の反応性セグメントに非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマー及び第2のセグメントに非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、同じタイプのモノマー又は異なるタイプのモノマーであってもよい。第1の反応性セグメントは、一つ以上の非反応性モノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、又は約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含む。第1の反応性セグメントは、第2反応性セグメントの一つ以上のモノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、又は約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含む。
【0035】
他の特徴の中で、本明細書に記載の前駆体は、{(A)(B)(C)}-{(B)(C)}の構造、又は{(A)(C)}-{(C)}の構造又は{(B)(C)}-{(C)}を有するジブロックアクリル共重合体を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなり、ここで、Aは自己反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表し、Bは反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表し、また、Cは非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを表す。また、{(A)(B)(C)}及び{(A)(C)}、及び{(B)(C)}は、第1の反応性セグメントを表す一方、{(B)(C)}及び{(C)}は、第2のセグメントを表す。すなわち、第1の反応性セグメントは、自己反応性官能基を有するモノマー、反応性官能基を有するモノマー、及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなり、又は第1の反応性セグメントは、自己反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなり、又は第1の反応性セグメントは、反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなる一方、第2のセグメントは、反応性官能基を有するモノマー及び非反応性官能基を有するモノマーを含むか若しくはそれからなり、又は第2のセグメントは、非反応性官能基を有するモノマーのみを含むか若しくはそれからなる。第1の反応性セグメントに反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマー及び第2のセグメントに反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、同じタイプのモノマー又は異なるタイプのモノマーであってもよい。第1の反応性セグメントに非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマー及び第2のセグメントに非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーは、同じタイプのモノマー又は異なるタイプのモノマーであってもよい。第1の反応性セグメントは、一つ以上の非反応性モノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、又は約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含む。第1の反応性セグメントは、第2のセグメントの一つ以上のモノマーの約40重量%~約99重量%、又は約45重量%~約99重量%、又は約50重量%~約99重量%、又は約55重量%~約99重量%、又は約60重量%~約99重量%、又は約65重量%~約99重量%、又は約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%を含む。用語「反応性官能基」は、別の官能基と反応可能な官能基を指す。用語「自己反応性官能基」は、(i)同じ第2の自己反応性官能基、(ii)異なる第2の自己反応性官能基及び/又は(iii)反応性官能基と反応可能な官能基を指す。すなわち、自己反応性官能基は、別の同じ自己反応性官能基、異なる別の自己反応性官能基及び/又は反応性官能基と反応可能である。自己反応性官能基は、自ら重合することができる。自己反応性官能基の非限定的な例は、シリル、シラン、無水物、エポキシ、アルコキシメチロール、環状エーテル、アセトアセチル基、イソシアネート、環状エステル、及びメルカプト(チオール)からなる群から選択される。反応性官能基の非限定的な例は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、メルカプト(チオール)、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0036】
制御されたアーキテクチャポリマー(CAP)
特定の実施形態において、本発明の化学放射線硬化性及び架橋性接着剤は、制御されたアーキテクチャポリマーから製造される。多くの実施形態において、ポリマーはアクリルポリマーである。
【0037】
本発明の多くの実施形態において、制御されたアーキテクチャポリマーを含む化学放射線硬化性及び架橋性接着剤は、それらの領域内にて指定された濃度でポリマーの選択されたブロック又は領域に含まれる一つ以上の反応性官能基を有する。周知のように、多くの実施形態において、ポリマーはアクリルポリマーである。
【0038】
本明細書で考慮される重合性モノマー及びコモノマーは、反応性官能基として、アクリロニトリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、ビニルアミド基、ビニルケトン基、スチレン基、ハロゲン含有基、イオン性基、酸含有基、塩基含有基、オレフィン基、シラン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、無水物基、及びそれらの2つ以上の基の混合物を含むことができる。また、シリル基、カルボキシル基、カルボニル基、炭酸エステル基、イソシアナト基、アミノ基、アミド基、イミド基、メルカプト基、及びアセトアセチル基の任意の組み合わせ及び/又は一つ以上の任意の従来公知の基と組み合わせて含むことが考慮される。
【0039】
アクリロニトリル基は、アクリロニトリル及びアルキル置換アクリロニトリルを含み得る。前記アルキル基は、通常、1個~約20個の炭素原子、及び一実施形態では1個~約10個の炭素原子、及び別の実施形態では1個~約5個の炭素原子を含有する。例としては、メタクリロニトリル及びエタクリロニトリルが挙げられる。
【0040】
アクリルアミド基は、アクリルアミド、及びN-置換アルキル及びそれらのアリール誘導体を含むその誘導体を含み得る。これらは、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、t-オクチルアクリルアミド、N-アミノエチルアクリレート、N-アミノエチルメタクリレート等を含む。
【0041】
メタクリルアミド基は、メタクリルアミド、及びN-置換アルキル及びそれらのアリール誘導体を含むその誘導体を含み得る。
【0042】
ビニルエステル基は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸{らくさん}ビニル、吉草酸ビニル、バーサチック酸ビニル、イソ酪酸ビニル等を含み得る。
【0043】
ビニルエステル基は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等を含む、1個~約8個の炭素原子を有するビニルエーテルを含み得る。
【0044】
ビニルアミド基は、ビニルピロリドン等を含む、1個~約8個の炭素原子を有するビニルアミドを含み得る。
【0045】
ポリケトン基は、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン等を含む、1個~約8個の炭素原子を有するビニルケトンを含み得る。
【0046】
スチレン基は、下記式(I)で表されるスチレン、インデン、及び置換スチレンを含み得る:
【0047】
【0048】
ここで、A、B、C、D、E、及びFは、それぞれ独立して、水素、C1~約C4のアルキル又はアルコキシ基(特に、メチル基又はメトキシ基)、ハロ基(特に、クロロ)、チオ、シアノ、カルボン酸又はエステル、又は1個~約4個の炭素原子のフッ素化アルキル基から選択される。例としては、メチルスチレン(ビニルトルエンと呼ばれる場合がある)、α -メチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
【0049】
ハロゲン含有基は、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ハロゲン置換プロピレンモノマー等を含むことができ、臭化ビニル及び塩化ビニリデンが好ましい。
【0050】
イオン性基は、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等を含むことができ、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム及びメタリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0051】
酸含有基は、3個~約20個の炭素原子を含有する不飽和カルボン酸を含み得る。好ましい基としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、イタコン酸、β-カルボキシルエチルアクリレート、モノ-2-アクロイルオキシプロピルサクシネート等が挙げられる。
【0052】
塩基含有基は、ビニルピリジン等を含み得る。
オレフィン基は、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、4-メチルペンテン-1、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のC2~約C8の直鎖状及び分岐状のα-オレフィン、イソプレン、ブタジエンを含み得る。
【0053】
シラン基は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-メタクリロキシジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-メタクリロキシメチルジメトキシシラン、g-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシγ-メタクリロキシメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン等を含み得る。
【0054】
エポキシ基は、例えば、グリシジルメタクリレート及びグリシダルアクリレートを含み得る。
【0055】
ヒドロキシル基は、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシルイソプロピルアクリレート、ヒドロキシルイソプロピルメタクリレート、ヒドロキシルブチルアクリレート、ヒドロキシルブチルメタクリレート等を含み得る。
【0056】
無水物基は、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等を含み得る。
【0057】
官能基を有するモノマーに加えて、反応性セグメントは、式(II)を有する少なくとも一つのモノマーを含み得る:
【0058】
【0059】
ここで、R3は、H又はCH3であり、R4は、4個~14個の炭素原子を有する分岐状又は非分岐状の飽和アルキル基である。反応性セグメントは、その代わりに、又はそれに加えて、式(III)を有する少なくとも一つのモノマーを含み得る:
【0060】
【0061】
ここで、RはH又はCH3であり、Xは架橋可能な官能基を表すか又は含有する。
本明細書に記載のポリマーに含まれる代表的な好ましい反応性官能基は、アクリル酸、2-メタクリロキシエチルフタル酸(PAMA)、及びそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。任意のこれらの反応性官能基の代わりに、又はこれらと共に、広範囲の他の反応性官能基を使用できることが理解されるであろう。
【0062】
上述のように、本発明の接着剤を架橋し、向上した末端結合ポリマーネットワークを形成する際に、得られた向上した接着剤は、従来のランダム架橋ポリマーネットワークを利用する接着剤の特性に少なくとも匹敵し、多くの場合においては、優れた所定の特性を示す。
図1は、各種の反応性官能基を含む従来のポリマー及びUV放射線への露光の際に従来のランダム架橋ネットワークの形成を示す概略図である。
図1において、各種の官能基は、水平線セグメントによって表されるポリマー鎖又は骨格に沿って位置する垂直線セグメントによって概略的に表される。架橋の際に、多くの官能基がそれらの内部領域内に位置するため、架橋結合はポリマーの内部領域に含まれる。
図2は、本発明に係る、制御されたアーキテクチャポリマー(CAP)及びUV放射線への露光の際に向上した末端結合ネットワークの形成を示す概略図である。CAPは、主にポリマーの末端又は末端の近くに位置した各種の官能基を含む。したがって、架橋の際に形成されるネットワークは、主にポリマーの末端で架橋結合し、ポリマーの内部領域に関して、架橋結合が存在しないか、又は比較的少量であることを特徴とする。
【0063】
得られたポリマーネットワークは、得られた接着剤に影響を与え、多くの側面において、物理的特性を決定する。
図3は、従来のランダム架橋ネットワーク、及び接着剤に含まれた際の、そのようなネットワークに関連する通常の接着性を概略的に示す図である。
図4は、向上した末端結合ネットワーク、及び接着剤に含まれた際の、本発明による接着剤におけるそのようなネットワークに関連する通常の接着剤特性を概略的に示す図である。
図3及び
図4におけるグラフは、y軸上の値を含まないが、各グラフは同じ範囲で提示される。したがって、制御されたアーキテクチャ重合によって生成され、
図4に示されるネットワーク化ポリマーは、
図3に示されるランダム架橋ネットワークと比較して、いずれも改善された剥離強度(線形インチあたりのポンド)及び剪断強度(分)を示す。
【0064】
非CAP
所定の実施形態において、本発明の化学放射線硬化性及び架橋性接着剤は、制御されたアーキテクチャポリマーではないポリマー、又は本明細書で「非CAP」と呼ばれるポリマーから製造される。このような接着剤は、制御されたアーキテクチャポリマーを含有しないか、又は実質的に含有しない。
【0065】
非CAP系接着剤に関する多くの応用において、ポリマーはアクリル又はアルキルアクリレートポリマーである。
【0066】
本発明に使用されるアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートは、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又は環状アルキル基を含み、多くの実施形態において、一個~約24個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、アルキル基は、1個~約12個の炭素原子を含有する。
【0067】
特定の実施形態において、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートモノマーは、約4個~約8個の炭素原子を有する。このようなモノマーは、一般に汎用の化学物質として市販されており、長鎖アルキルアクリレート及びメタクリレートよりも安価である。また、これらは粘着性及び剥離性について良好なバランスを有する共重合体を生成する傾向がある。
【0068】
本発明の実施において有用なアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートの非限定的な列挙は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、及びそれらの混合物だけでなく、類似メタクリレートモノマーを含むが、これに限定されない。しかし、アルキルメタクリレートは、一般に、それらのアルキルアクリレート対応物よりも高いTgを有する共重合体を生成することが理解されるであろう。したがって、アルキルメタクリレートが使用される場合、それらは少量のみ使用される。一般的に、アルキルメタクリレートは、全てのモノマーの総重量の約15%以下を含む。
【0069】
非CAPポリマーは、CAPに関して本明細書に記載のような一つ以上の反応性官能基を含む。しかし、前記一つ以上の反応性官能基は、非構造化、ランダム又は非整列方式で、ポリマー鎖又は骨格に沿って存在し得る。
【0070】
非CAPポリマーのガラス転移温度(Tg)の範囲の代表的かつ非限定的な例は、通常、約-60℃~約-35℃である。しかし、本発明のポリマーは、この範囲外のTg、例えば-60℃未満及び/又は-35℃超を示し得る。
【0071】
本発明は、CAPと非CAPとの組み合わせ又は配合物を含み得ることが考えられる。
予備接着剤及び接着剤
化学放射線活性可能な基、より具体的には、UV活性可能な基を生成するために、ポリマー内の官能基を変性させた後、前記ポリマーを接着剤及び/又は予備接着剤組成物に含ませることができる。
【0072】
上述のように、本発明は、活性化の際に特定の特性及び/又は特徴を有する接着剤を生成するために、架橋を受ける予備接着剤組成物を提供する。多くの実施形態において、予備接着剤組成物は、活性化の際に所定の特性及び/又は特徴を有する接着剤を生成するために、架橋を受けるCAPを含む。
【0073】
より具体的には、多くの実施形態において、化学放射線活性可能且つ架橋性の接着剤は、制御されたアーキテクチャポリマー又はCAPを含む。本発明の多くの実施形態において、CAPは、US2011/0118372、US2013/0059971、及びUS2014/0329958を含む、出願人が所有する一つ以上の同時係属出願に記載されているものである。特定の実施形態のポリマーの詳細は、本明細書で提供される。しかし、本発明は、これらの出願に記載された任意のポリマーの使用を含むことが理解されるであろう。
【0074】
特定の実施形態において、上述の前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つは、110℃~180℃の範囲内の温度で1,000cps~80,000cpsの範囲内の粘度を示す。特定の実施形態において、前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つは、120℃~140℃の範囲内の温度で30,000cps~40,000cpsの範囲内の粘度を示す。他の実施形態において、前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つは、120℃~140℃の範囲内の温度で40,000cps~50,000cpsの範囲内の粘度を示す。さらに他の実施形態において、前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つは、110℃~130℃の範囲内の温度で1,000cps~15,000cpsの範囲内の粘度を示す。
【0075】
本発明は、これらの特定の粘度を示す接着剤又は予備接着剤に限定されないことが理解されるであろう。また、本発明は、110℃未満の温度及び/又は180℃を超える温度でこれらの粘度を示す前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つを含み得ることが考えられる。さらに、本発明は、広範囲の温度で1,000cps未満及び/又は80,000cpsを超える粘度を示す前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つをさらに提供し得ることも考えられる。
【0076】
所定の実施形態において、本発明の接着剤及び/又は予備接着剤組成物は、一つ以上の化学放射線開始剤を含み得る。任意の特定の理論に縛られることは望まないが、本発明の多くの実施形態において、開始剤は、化学放射線、特にUV光で照射される際に、より高いエネルギー状態に励起 され、ポリマー上の官能基から水素原子を取り除くことによって、例えば、別のポリマー鎖又はポリマー上の官能基とのフリーラジカル付加架橋等のさらなる反応に利用可能なフリーラジカルを生成すると考えられる。しかし、本発明は、ほぼすべてのタイプの開始剤の使用を含み、水素原子を取り除くものに限定されないことが理解されるであろう。例えば、光、より具体的には、UV放射線への露光の際にフリーラジカルに分解又は開裂する様々な開始剤が知られている。
【0077】
ベンゾフェノン、アセトフェノン、アシルホスフィン、チオキサントン、これらの化合物の誘導体、及び類似化合物を含む、様々な開始剤が知られており、本発明の接着剤及び予備接着剤に潜在的に含み得る。各化合物は、電磁スペクトルのUV領域内でエネルギーを吸光することによって光開始剤として機能する。
【0078】
アシルホスフィンオキシド型光開始剤、赤方偏移 redshifted)ベンゾフェノン型光開始剤、及びチオキサントン型光開始剤を含むいくつかの型の光開始剤は、スペクトルの近紫外線領域で吸光することが知られている。これらの多くは、本発明組成物と共に使用するのに好適であり得る。
【0079】
市販のアシルホスフィンオキシド型光開始剤としては、BASF社から販売されている「Lucirin TPO」(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)及び「Lucirin TPO-L」(液体)、及びチバ社から販売されている「BAPO」(ビス2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド)が挙げられる。
【0080】
いわゆる、「赤方偏移ベンゾフェノン型光開始剤」は、一つ以上の水素原子が、ベンゾフェノンのUV吸光スペクトルと比較して、分子のUV吸光スペクトルにおいて赤方偏移(より長い波長に)を誘発する基又は官能基で置換されるベンゾフェノン誘導体である。例えば、「QUANTACURE BMS」(4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルスルフィド)である。
【0081】
市販のチオキサントン型光開始剤は、2-イソプロピル-及び4-イソプロピルチオキサントン異性体の混合物とされている「Quantacure ITX」を含む。
【0082】
他の適切な光開始剤が、当業者によって確認され、本発明において利用され得る。さらに、接着剤が顔料なしで配合される場合、非置換アセトフェノン、ベンジル、ベンゾフェノン、キノン、及びチオキサントン等の、より安価で 、より簡単な光開始剤を含む、より短いUV波長で吸光する光開始剤が使用され得る。
【0083】
接着剤又は予備接着剤を調製する際にポリマーに添加される開始剤の総量は、添加される顔料及び/又は他の製剤の量、基材上の接着剤のコーティング重量(厚さ)、硬化時のウェブ速度、並びに使用される開始剤のタイプ及びコストを含むいくつかの要因に依存する。多くの実施形態において、開始剤は、接着剤で最も高価な成分である。したがって、得られる組成物の所望の最終特性を達成するのに十分な開始剤が含まれている限り、一般に、ポリマーに添加される開始剤の量を最小限にすることが望ましい。
【0084】
本発明の所定の実施形態において、接着剤を不透明にするために、及び/又は接着剤に色を付与するために、通常、架橋前に顔料又は他の着色剤を組成物に添加する。例えば、二酸化チタンのような不透明顔料は、通常、高い隠蔽力のために塗装業で正確に添加される。しかし、それらの存在は、一般に接着性ポリマーのUVにより開始される架橋を干渉する。しかし、本発明において、スペクトルの近紫外線領域で吸光する開始剤は、着色(並びに非着色)製剤と共に使用され、接着剤のUVにより開始される架橋との干渉を回避する。
【0085】
開始剤の量と同様に、所定の製剤に配合されたポリマーに添加される顔料の量は、所望の不透明度、所望の硬化度、他の充填剤が存在するか否か、存在する光開始剤のタイプ及び量、並びにコストの考慮を含む多くの要因に依存する。
【0086】
着色された接着剤又は予備接着剤組成物が使用される本発明の場合、存在する二酸化チタン(又は他の顔料)の量を減少させること、及び/又は開始剤の量を増加させることによって、UVにより開始される架橋を促進し得る。しかし、実際には100部のポリマー当たり約15部を超える顔料の顔料ロード(又は、共重合体が粘着付与される場合、100部のポリマー当たり約15部の顔料+粘着付与剤)は、より少ない顔料をロードすることよりも好ましくない。本発明に係る高い凝集強度を有するUVにより開始される架橋の感圧接着剤組成物は、より高い顔料ロードで調製され得るが、より高い(及びより高価な)開始剤の濃度及び/又はより長い架橋時間を必要とする。
【0087】
いくつかの実施形態において、接着剤又は予備接着剤組成物は、着色された(白色ではない)顔料で製剤化される。
【0088】
一般に、黄色顔料及び赤色顔料は、UV領域で吸光する光開始剤を実質的に干渉しない。したがって、このような顔料と配合された接着剤は、UV活性可能な光開始剤を使用して、高い凝集強度にUV架橋され得る。青色顔料は、近紫外線領域の少なくとも一部において強く吸光される傾向がある。しかし、添加される青色顔料の量を最小限にすることによって、UV架橋された接着剤を本明細書に記載の方法で調製することができる。
【0089】
顔料及び開始剤に加えて、いくつかの実施形態において、接着剤又は予備接着剤は、粘着付与剤とさらに配合される。接着剤が感圧接着剤である場合等の所定の実施形態において、前記感圧接着剤の粘着性を改善するために粘着付与剤を添加し得る。
【0090】
当技術分野で知られている多くの様々な粘着付与剤が、本発明の実施に潜在的に使用され得る。このような粘着付与剤の代表的且つ非限定的な例には、炭化水素樹脂及びロジン樹脂が含まれる。このような粘着付与剤には、松の木のオレオレジンから自然に発生するロジン物質を含むロジン及びロジン誘導体だけではなく、ロジンエステル、分画ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、及び重合ロジン等の変性ロジン、変性ロジンエステルを含むそれらの誘導体が含まれるが、これに限定されない。一般に、ポリマー100部当たり約45部以下の粘着付与剤が添加される。しかし、本発明は、より少ない量及び/又はより多い量の粘着付与剤の使用を含むことが理解されるであろう。
【0091】
市販の広範囲の粘着付与剤は、Hercules,Inc.によって製造及び販売されているForal(登録商標)85(高度に安定化されたロジンのグリセロールエステル)、Foral(登録商標)105(水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル)、Stabilite ester 10及びPentalyn(登録商標)H;Arizona Chemical Co.によって製造されているPE Estergumなど;並びにSylvachem Corporationによって製造されているSylvatac(登録商標)40N、Sylvatac(登録商標)RX、Sylvatac(登録商標)95などを含むが、これに限定されない。
【0092】
粘着付与剤として、植物の大半のエッセンシャルオイル及びオレオレジンから生成される式C10H16の炭化水素であるテルペン樹脂、並びにα-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミレセン、ボルニレン、カンフェンなどのフェノール変性テルペン樹脂も採用することができる。Exxon Chemical Co.によって製造されるEscorezTM1304などの様々な脂肪族炭化水素樹脂、及びC9’、C5’、ジシクロペンタジエン、クマロン、インデン、スチレン、置換スチレン及びスチレン誘導体などに基づく芳香族炭化水素樹脂も使用することができる。
【0093】
本発明において、粘着付与剤としてHercules Corporationによって製造されているRegalrezTM1018、RegalrezTM1033、RegalrezTM1078、RegalrezTM1094、RegalrezTM1126、RegalrezTM3102、RegalrezTM6108などの水素化された樹脂及び一部水素化された樹脂も使用することができる。本発明において、Schenectady Chemical Inc.によって製造及び販売されているSP 560、Reichold Chemical Inc.によって製造及び販売されているNirez 1100、及びHercules Corporationによって製造及び販売されているPiccolyte(登録商標)S-100の様々なタイプのテルペンフェノール樹脂が、特に有用な粘着付与剤である。さらに、粘着付与剤として、Hercules Corporationによって製造及び販売されているHercotex AD 1100のなどの様々な混合脂肪族及び芳香族樹脂も使用することができる。
【0094】
また、化学放射線硬化性及び架橋性接着剤組成物は、一つ以上の阻害剤を含み得る。特に、ホットメルト接着剤組成物の場合において、コーティングのための貯蔵又は調製の両方において、早期ゲル化を防止するために作用可能なフリーラジカルスカベンジャーが存在し得る。フェノール化合物を含む阻害剤は、本発明に使用され得る物質の一種であり、例えば、4-メトキシフェノール(MEHQ、ヒドロキノンのメチルエーテル)、ヒドロキノン、2-メチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、t-ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びブチル化ヒドロキシアニソールなど、並びにそれらの組み合わせを含む。使用され得る他の阻害剤は、米国ルイジアナ州バトンルージュ所在のAlbemarle CorporationのNPAL型の阻害剤(トリス-(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩)などのフェノチアジン及び嫌気性阻害剤を含む。阻害剤の組み合わせが使用され得る。
【0095】
本発明の接着剤又は予備接着剤は、充填剤、可塑剤、希釈剤等の一つ以上の従来の補助剤をさらに含み得る。顔料及び/又は粘着付与剤の組み合わせを含む、これらの成分の一つ以上の組み合わせを使用することができる。所望の場合、粘着性及び凝集強度の特性を変更するために、粘着付与剤の一部の代わりに可塑剤などの希釈剤を添加してもよい。
【0096】
一般に、化学放射線硬化性及び架橋性接着剤は、少なくとも95%の固形分、多くの実施形態では少なくとも98%の固形分、特定の実施形態では少なくとも99%の固形分、及び所定の形態では少なくとも99.5%の固形分を含む。
【0097】
多くの実施形態において、接着剤は、当技術分野で知られているように、溶融加工性接着剤又はホットメルト接着剤の形態である。これらの接着剤は、溶剤を含まないか、又は実質的に含まない。
【0098】
本発明の多くの実施形態において、接着剤は、感圧接着剤の形態である。感圧接着剤及びその特性の説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、Vol.13.Wiley-Interscience Publishers(New York、1988)で確認することができる。感圧接着剤及びその特性のさらなる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.1、Interscience Publishers(New York、1964)で確認することができる。
【0099】
方法
また、本発明は、ポリマー骨格に沿って位置する官能基を化学放射線活性可能な基、より具体的には、UV活性可能な基に変性する方法を提供する。前記方法は、一般に、ポリマーの骨格に沿って位置する一つ以上の官能基を有する制御されたアーキテクチャポリマーを提供するステップを含む。前記方法は、官能基の少なくとも一部を変性してエチレン性不飽和結合を生成し、化学放射線への露光の際に予備接着剤組成物の硬化に影響を与えることによって、接着剤組成物を生成するステップをさらに含む。
【0100】
周知の変性は、官能基が一つ以上の試薬と反応してエチレン性不飽和結合を生成する一つ以上のステップ又は操作によって起こり得る。
【0101】
本発明は、接着剤組成物を形成する方法をさらに提供する。前記方法は、ポリマーの骨格に沿って位置する一つ以上の官能基を有する制御されたアーキテクチャポリマーを含む予備接着剤組成物を提供するステップを含む。前記官能基の少なくとも一部は、エチレン性不飽和結合を含む。前記方法は、予備接着剤組成物を化学放射線に露光させることによって、前記予備接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化させ、接着剤を形成するステップを含む。
【0102】
本発明の接着剤又は組成物は、化学放射線、特に紫外線(UV)又は近紫外線への露光によって硬化及び/又は架橋される。また、電子ビーム放射線を使用できる。理解されるように、このような放射線への十分な露光は、ポリマー及び所定の実施形態ではCAPに含まれた各種官能基に関して硬化及び/又は架橋を引き起こす。
【0103】
本明細書に記載の態様の利用は、化学放射線、特にUV放射線への後続の露光又はさらなる露光によってさらに処理することができる、予備接着剤又は接着剤製剤の形成を可能にする。したがって、初期のバッチ又は所望の量の予備接着剤又は接着剤を、大量に架橋するか、又は少なくとも部分的に架橋し、次いで、被処理基材へのその後の塗布又はコーティングのために保存又は保持することができる。
【0104】
前記接着剤を所望のコーティング重量で基材上にコーティングした後、前記コーティングされた基材を化学放射線、特にUV放射線で照射して架橋した接着剤及び多くの実施形態では、室温及び高温で高い凝集強度を有する感圧接着剤が得られる。広範囲の波長にわたって放出される低圧、高圧、及び中圧の水銀ランプを含む様々なUV光源が知られている。大半の着色及び非着色接着剤は、約240~約410nmの範囲の発光バンドを有する中圧水銀ランプを使用して容易に硬化させることができる。代替的に、光源の発光スペクトルが、エチレン性不飽和結合を有する変性官能基及び/又は前記接着剤内で使用された開始剤の吸光スペクトルと重複する限り、必要に応じて、より狭い範囲の波長にわたって放出されるUV光源が使用され得る。
【0105】
図5は、本発明による接着剤を製造し、前記接着剤を硬化及び架橋するための代表的な工程及びシステム10を示す工程概略図である。システム10は、一般に、供給ライン14を介して一つ以上のポリマー及び/又は他の成分を、反応器、ブレンダー又はミキサー22に導入するためのディスペンサー又はヒーター12を含む。ポリマーは、通常CAPであり、本明細書に記載されているように、ポリマー骨格に沿って1つ以上の官能基を含む。また、所望の量の試薬、開始剤、及び補助成分又は他の添加剤を反応器/ミキサー22に選択的に計量することができるさらなる供給ライン16、18、及び20が提供される。
【0106】
ポリマー骨格に沿って位置する官能基と試薬を反応させて、化学放射線活性可能な基、より具体的にはUV活性可能な基を形成した後、得られた予備接着剤はライン24を介して誘導される。
【0107】
ライン24における接着剤は、ライン34を介して移動ウェブ42(通常的には、回転ローラ40によって駆動される)上の一つ以上の基材に直接蒸着されるか、又は塗布されてもよく、又は、さらなる加工及び/又は後続の塗布のために、ライン36を介して貯蔵ユニット44に誘導されてもよい。
【0108】
図5に領域46として示される接着剤の蒸着時に、通常的には移動ウェブ42上の接着剤は、接着剤を架橋するために、領域46上にUV光線51を誘導するステージ50でUVエミッタ等の化学放射線源によって照射される。架橋接着剤52が得られる。
【0109】
特定の実施形態において、約240~約410nmのスペクトル放出、及び約5~10kワット/m2の光強度を有する一つ以上の従来の中圧水銀ランプを使用することができる。本発明の接着剤を加工するためのUV光強度の非限定的な例は、約0.1~約100kワット/m2、所定の実施形態では1~50kワット/m2、特定の実施形態では1~20kワット/m2の範囲であり得る。コーティングされた基材は、UV放射源の下又は近くで移動ウェブ上に担持され、ここで、ウェブ温度は45℃~125℃の範囲であってもよい。コーティングされた接着剤フィルムによって受けるUV放射線量は、UVランプ強度及び/又はウェブ速度を調整することによって制御される。本発明の接着剤を加工するための時間の非限定的な例は、典型的には60分未満、より典型的には10分未満、多くの実施形態では1分未満、及び特定の実施形態では10秒未満である。
【0110】
前記周知の条件で接着剤を露光する際に、接着剤がCAPを含む場合、接着剤はETLNを含む。上述のように、本発明のETLN接着剤は、特にランダム架橋ネットワークを生成する非アーキテクチャポリマーと比較して、多くの利点及び利益を示す。
【0111】
理解されるように、本発明の組成物を予備接着剤から感圧接着剤に転換する間、多くの実施形態において、組成物の弾性率は変化するが、ガラス転移温度(Tg)は変化しないか、又は実質的に同じままである。
【0112】
物品
本発明は、周知の組成物、予備接着剤及び/又は接着剤を含む広範囲な物品を提供する。このような物品の例には、両面テープ及び片面テープを含む接着テープと、ラベルストックと、ラベル構造物と、食品パッケージ、家庭用品及び工業用品のパッケージ、特に再閉鎖可能なパッケージを含むアセンブリ並びにパッケージング製品と、その他の物品とが含まれる。
【0113】
図6は、本発明の一実施形態に係るテープ物品100を示す。テープ物品100は、ロール形態で示されているが、テープは、平面、シート、又はZ折り形態であり得ることが理解されるであろう。テープ物品100は、一般に、第1の面112及び反対向きの第2の面114を規定する基材110を含む。テープ100は、片面又は両面112、114に配置された、本明細書に記載のような接着剤の層又は領域を含む。本明細書により詳細に記載されているように、一つ以上の離型ライナー及び/又は低表面エネルギーコーティングを使用することができる。
【0114】
図7は、第1の面112及び反対向きの第2の面114を規定する基材110を含むテープ100Aの概略断面図である。また、テープ100Aは、例えば、面114等の面の一つの面上に配置された接着剤120の層又は領域を含む。一つ以上の低表面エネルギーコーティングを基材110の面112上に配置することができる。
【0115】
図8は、第1の面112及び反対向きの第2の面114を規定する基材110を含むテープ100Bの概略断面図である。また、テープ100Bは、例えば、面114等の面の一つの面上に配置された接着剤120の層又は領域を含む。また、テープ100Bは、接着剤120を覆う離型ライナー130を含む。一つ以上の低表面エネルギーコーティングを基材110の面112上に配置することができる。
【0116】
図9は、第1の面112及び反対向きの第2の面114を規定する基材110を含むテープ100Cの概略断面図である。また、テープ100Cは、例えば、面114等の面の一つの面上に配置された接着剤120の第1の層又は領域を含む。また、テープ100Bは、基材110の面112上に配置された接着剤125の第2の層又は領域を含む。
【0117】
図10は、第1の面112及び反対向きの第2の面114を規定する基材110を含むテープ100Dの概略断面図である。また、テープ100Dは、例えば、面114等の面の一つの面上に配置された接着剤120の第1の層又は領域を含む。また、テープ100Dは、面112上に接着剤125の第2の層又は領域を含む。さらに、テープ100Dは、接着剤120を覆う第1の離型ライナー130を含む。また、テープ100Dは、接着剤125を覆う第2の離型ライナー135をさらに含む。
【0118】
図11は、本発明に係る封止、閉鎖、又は再封鎖アセンブリ200の概略断面図である。このアセンブリは、第1の基材面212を規定する第1の基材210と、第2の基材面214を規定する第2の基材230と、接着面222を規定する接着剤220の一つ以上の層又は領域とを含む。接着剤220は、一方又は両方の基材面212、214上に配置される。接着剤220は、接着面222と基材面212との間で接触する際に、基材210、230を共に封止及び/又は接着する役割を果たす。理解されるように、接着剤220は、本明細書に記載の任意の接着剤である。アセンブリ200は、例えば、食品パッケージ、家庭用品用パッケージ、工業用品用パッケージ、及び特に再封鎖可能なパッケージを含む、広範囲なパッケージング製品に関して利用することができ、及び/又はそれらに含まれ得る。
【0119】
接着剤層は、特定の目的又は意図する目的によって所望の厚さを有し得る。一実施形態において、接着剤層は、約10ミクロン~約125ミクロン、又は約10ミクロン~約75ミクロン、又は約10ミクロン~約50ミクロンの厚さを有し得る。一実施形態において、接着剤のコーティング重量は、約10~約50g/m2(gsm)の範囲内、及び一実施形態では約20~約35gsmであってもよい。
【0120】
本発明で使用するための離型ライナーは、当技術分野で知られているもの、又は後に発見されるものであり得る。一般には、適切な離型ライナーは市販のシリコーン離型コーティングを有するポリエチレンコート紙、市販のシリコーン離型コーティングを有するポリエチレン被覆ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はそのようなフィルムを製作する間一つ以上のパターンでエンボス加工し、その後市販のシリコーン離型コーティングで被覆されたキャストポリプロピレンフィルムを含むが、これに限定されない。例示的な離型ライナーは、表面にシリコーン離型コーティングを有する低密度ポリエチレンのコーティング、及び裏面に高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのコーティングを有するクラフト紙である。また、当技術分野で知られている他の離型ライナーは、接着剤物品に使用するために選択された感圧接着剤に対する離型特性のために選択される限り、すなわち、前記接着剤がライナーよりもフェースストックに対してより大きな親和性を有する限り、好適である。
【0121】
上述のように、本明細書に記載の接着剤を使用する物品には、一つ以上の低表面エネルギーコーティングを使用することができる。例えば、ロールテープ製品の場合、接着剤と接触する基材又はテープ構成要素の後面に沿って低表面エネルギー剤のコーティングを提供することが望ましい。前記低表面エネルギーコーティングの非限定的な例には、シリコーン剤、ポリプロピレン又は他のポリオレフィン、特定のフルオロカーボン、及び特定の脂肪酸エステルが含まれる。
【0122】
本発明の特定の接着剤の利点は、UV放射線への継続的な露光の際の要求性能の維持を含む。例えば、多くの従来のUV硬化されたランダム架橋接着剤ネットワークの欠点は、さらなるUV露光がさらなる架橋をもたらすことである。結果、これは接着剤及び/又はその性能に望ましくない変化をもたらし得る。具体的に、これは下方にUV印刷されるクリアラベル又は透明なラベルには望ましくない。対照的に、本発明の接着剤の多くの実施形態は、さらなるUV露光時に性能変化を示さない。
【0123】
実施例
以下の試験方法を用いて、本発明の様々な組成物、前駆体、予備接着剤及び接着剤の特性を評価した。
【0124】
すべての接着性データは、コロナ処理なしでポリプロピレン(PP)フェースストックから試験した。100%固形分のPt硬化シリコーン離型層を有する紙上に、1平方メートル当たり8~20gの制御された厚さで溶剤キャスティングによって試料を溶剤から分離し、60~120℃の温度の強制空気オーブンに配置した。次に、接着剤をPPに転写コーティングした。すべての試料は、試験前に24時間、空調室で保管される。
【0125】
平均分子量(Mw)及び多分散度(PDI)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって決定された。試料はWaters Acquity Advance Polymer Chromatographyシステムで評価された。使用した溶離液は、テトラヒドロフラン(THF)含有安定化剤であった。35℃で測定を行った。分離は、カラムHSP Gel RT MB-M(1000~4,000,000ダルトンの範囲)、HSP Gel HT MB-L/M(500~4,000,000ダルトンの範囲)、及びHSP Gel HR1.0(100~1,000ダルトンの範囲)を使用して行った。試料濃度は2g/lであり、流速は0.7ml/minであった。ポリスチレン標準に対して測定を行った。
【0126】
溶剤から接着剤試料をキャストし、軽く乾燥させて無溶媒コーティングとした。次に、前記コーティングを硬化させ、5μmのLS Mitexメンブレンフィルタに熱溶接する。次に、フィルタをTHFに1週間浸漬した。浸漬前後の重量を比較する。
【0127】
ゲル/不溶性(%)=浸漬後(wt)÷浸漬後(wt)×100
メルトフローは、円錐体及び板クランプが取り付けられたTA Instruments AR2000レオメータ上で測定した。実験は、100℃~130℃の温度スイープで行った。昇温速度は、1℃/min及び0.25sec-1の剪断速度に設定した。
【0128】
DMAは、平板クランプが取り付けられたTA Instruments AR2000レオメータ上で行った。1.0mm厚さの試料をクランプに配置し、70℃で10分間アニールして、良好な接着性を確保した。次に、試料を-60℃に冷却して、3℃/minの昇温速度で150℃まで温度スイープを開始した。昇温の間、試料を10rad/secの周波数で振動した。PSTC 101方法Fに従って90°剥離する。使用した化学物質及びそれらの供給業者は、以下の通りである。
【0129】
【0130】
実施例1(前駆体):アクリル化の前駆体としてSFRP剤を使用したエポキシ官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-2)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように製造される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、7.25gのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、前記反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化後、前記モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0131】
アクリル酸ブチル 71.32g
2-エチルヘキシルアクリレート 71.32g
酢酸プロピル 141.85g
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは81℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃超えに加熱されるまで不活性である。30分の保持の終わりに、前記反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケット130℃)に加熱する。100℃で、18.90gのグリシジルメタクリレートを反応器に添加し、90分間の保持を開始し、この保持の間、約112℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが8,489g/molのエポキシ官能性セグメントを生成するためである。90分間の保持の間、活性窒素パージしながら336.79gの酢酸プロピル、641.88gの2-エチルヘキシルアクリレート、及び641.88gのアクリル酸ブチルの試薬供給混合物を供給容器内に秤量し、窒素により0.5L/minで不活性化する。最初の90分間の保持の後、前記試薬供給物を60分間にわたって2g/minの速度で反応器に添加する。60分間の供給の後、速度を30分間4.00g/minに増加させる。30分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで供給速度を8.00g/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、 アクリル酸ブチル及び2-エチルヘキシルアクリレートの転化率が少なくとも約90%に到達するまで、前記反応条件を保持する。この実施例における転化率は92.0%を超える。これは、ポリマーの末端でエポキシ官能性セグメントに隣接する残りの非エポキシ官能性セグメントを生成するためである。前記非エポキシ官能性セグメントの理論上のMnの合計は67,463g/molである。このとき、ポリマーを約85℃に冷却する。ポリマーが約85℃になったら、1.45gの第3アミルパーオキシピバレート及び67.36gの酢酸プロピルを100mLの供給容器中で混合し、窒素により0.5L/minで15分間不活性化する。不活性化の後、ピバレート溶液を90分かけて反応器に添加する。前記ピバレートの供給完了時に、反応温度を85℃~90℃で1時間保持する。次に、得られた溶液ポリマーを周囲温度に冷却する。冷却の間、4.39gのナトリウムアセチルアセトネート及び24.86gの酢酸プロピルを反応器に添加して、BlocBuilder MAから酸を中和した。周囲温度になると、ポリマーを反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、75,953g/molであり、一つの鎖末端に7個のエポキシ基を有する。
【0132】
得られた溶液ポリマーは、回転蒸発を用いて溶剤から単離されて液体ポリマーを形成し、動的機械分析レオメータ上に取り付けられた円錐体及び板を用いて溶融粘度を評価した。
【0133】
実施例2(予備接着剤):アクリル酸を用いてアクリル化目標率を少なくとも約80%とするための前駆体として実施例1を使用したENE(二重結合)官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(EB15-17)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性ENE官能基を有するアクリル共重合体は、以下ののように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、実施例1(エポキシ前駆体)469.31gを装入する。前記反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは79℃に)加熱する。70℃になったら、3.41gのHycat 2000(クロム触媒)及び64.71gの酢酸プロピルを反応器に添加する。前記混合物を150rpmの攪拌下で10分間混合する。触媒を混合した後、1.80gのアクリル酸を、任意の残留アクリル酸のすすぎ剤として、5.00gの酢酸プロピルと共に反応器に添加する。混合物を約40分間攪拌下に保持する。混合後、1.70gの4-ヒドロキシTEMPO及び32.30gの酢酸プロピルを反応器に添加して、アクリル化された予備接着剤組成物の二重結合の重合を防止する。前記混合物を70~72℃で24時間保持する。その保持時間にわたって、アクリル酸の転化をガスクロマトグラフィーでモニターした。24時間後、ポリマーを周囲温度に冷却し、排出した。得られたポリマーは、3つのエポキシ基を有し、ENE官能基に転換されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成した。
【0134】
実施例3:実施例1のアクリル化後に、ENE官能基を有し、予備接着剤をUV硬化させるために製剤化されるセグメント化アクリルポリマーの調製(AK4-11)
実施例1は、BASFから購入した1%の固形分Irgacure 2959及び250ppmの4-ヒドロキシTEMPOを用いて製剤化した。また、実施例1は、実施例1のエポキシ基の少なくとも約80%をアクリル化するために1%の固形分Hycat 2000及び十分なモル当量のアクリル酸を用いて製剤化した。すべての成分をタンブラーを使用して8オンスの褐色瓶に共に混合した。混合後、瓶を70℃のオーブンに24時間配置し、アクリル化ステップを完了した。
【0135】
【0136】
【0137】
実施例4:アクリル化の前駆体としてSFRP剤を使用した酸官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-4)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、9.10gのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化の後、モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0138】
アクリル酸ブチル 89.57g
2-エチルヘキシルアクリレート 89.57g
アクリル酸 12.04g
酢酸プロピル 178.14g
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは81℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃超えに加熱されるまで不活性である。30分の保持の終わりに、反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケットは130℃)に加熱する。100℃で、90分間の保持を開始し、この保持の間、約112℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが8,004g/molの酸官能性セグメントを生成するためである。90分間の保持の間、活性窒素パージしながら422.96gの酢酸プロピル、806.11gの2-エチルヘキシルアクリレート、及び806.11gのアクリル酸ブチルの試薬供給混合物を供給容器内に秤量し、窒素により0.5L/minで不活性化する。最初の90分間の保持の後、試薬供給物を60分間にわたって2g/minの速度で反応器に添加する。60分間の供給の後、速度を30分間4.00g/minに増加させる。30分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで供給速度を8.00g/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、アクリル酸ブチル及び2-エチルヘキシルアクリレートの転化率が少なくとも約90%に到達するまで、前記反応条件を保持する。これは、ポリマーの末端でエポキシ官能性セグメントに隣接する残りの非酸性官能性セグメントを生成するためである。前記非酸性官能性セグメントの理論上のMnの合計は67,500g/molである。このとき、ポリマーを85℃に冷却する。ポリマーが85℃になったら、1.80gの第3アミルパーオキシピバレート及び84.59gの酢酸プロピルを100mLの供給容器中で混合し、窒素により0.5L/minで15分間不活性化する。不活性化の後、ピバレート溶液を90分かけて反応器に添加する。ピバレート供給の完了時に、反応温度は85℃~90℃で1時間保持する。次に、得られた溶液ポリマーを周囲温度に冷却し、反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、75,505g/molであり、一つの鎖末端に7個の酸基を有する。測定されたMnは48197g/molであり、PDIは2.45である。
【0139】
得られた溶液ポリマーを、回転蒸発を用いて溶剤から単離し、動的機械分析レオメータに取り付けられた円錐体及び板を用いて溶融粘度を評価した。
【0140】
実施例5:グリシジルメタクリレートを用いてアクリル化目標率を少なくとも約80%とするための前駆体として実施例4を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-8)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性ENE官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、実施例4(酸前駆体)257.32gを装入する。50rpmの攪拌下で、0.04gの4-ヒドロキシTEMPO及び3.96gのメチルエチルケトンを反応器に添加し、5分間混合する。次に、2.11gのグリシジルメタクリレートを反応器に添加し、5分間混合する。最後に、1.00gのHycat 200S及び18.94gの酢酸プロピルを反応器に添加し、混合させる。Hycatが反応器に添加されると、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは83℃に)加熱する。70℃になったら、T=0であり、攪拌を100rpmに増加させる。混合物を72~74℃で7時間保持した。その保持時間にわたって、グリシジルメタクリレートの転化をガスクロマトグラフィーでモニターした。7時間後、ポリマーを周囲温度に冷却し、排出した。得られたポリマーは、4.5個の酸基を有し、ENE官能基に転化されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成する。
【0141】
実施例6:グリシジルメタクリレートを用いてアクリル化目標率を少なくとも約80%とするための前駆体として実施例4を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-9)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性ENE官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、実施例4(酸前駆体)289.65gを装入する。75rpmの攪拌下で、0.04gの4-ヒドロキシTEMPO及び3.96gのメチルエチルケトンを反応器に添加し、5分間混合する。次に、2.37gのグリシジルメタクリレートを反応器に添加し、5分間混合する。最後に、1.12gのHycat 200S及び21.34gの酢酸プロピルを反応器に添加し、混合させる。Hycatが反応器に添加されると、反応器装入物を80℃に(反応器ジャケットは84℃に)加熱する。80℃になったら、T=0であり、攪拌を100rpmに増加させる。混合物を79~81℃で7時間保持する。その保持時間にわたって、グリシジルメタクリレートの転化をガスクロマトグラフィーでモニターした。7時間後、ポリマーを周囲温度に冷却し、排出した。得られたポリマーは、5個の酸基を有し、ENE官能基に転化されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成する。
【0142】
実施例7:グリシジルメタクリレートを用いてアクリル化目標率を80%とするための前駆体として実施例4を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-11)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性ENE官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、実施例4(酸前駆体)331.43gを装入する。75rpmの攪拌下で、0.24gのHycat 200S及び4.53gの酢酸プロピルを反応器に添加し、5分間混合する。次に、0.05gの4-ヒドロキシTEMPO及び0.91gの酢酸プロピルを反応器に添加し、5分間混合する。最後に、2.50gのグリシジルメタクリレートを反応器に添加し、混合させる。GMAが反応器に添加されると、反応器装入物を80℃に(反応器ジャケットは84℃に)加熱する。80℃になったら、T=0であり、攪拌を100rpmに増加させる。混合物を79~81℃で2時間保持する。その保持時間にわたって、グリシジルメタクリレートの転化をガスクロマトグラフィーでモニターした。2時間後、ポリマーを周囲温度に冷却し、排出した。得られたポリマーは、0.5個の酸基を有し、ENE官能基に転化されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成する。
【0143】
【0144】
実施例8~12:実施例4の様々なレベルのアクリル化後に、ENE官能基を有し、予備接着剤をUV硬化するために製剤化されるセグメント化アクリルポリマーの調製
実施例4は、BASFから購入した1%の固形分Irgacure 2959及びSigma Aldrichから購入した200ppmの4-ヒドロキシTEMPOを用いて製剤化した。また、実施例4は、実施例4の酸基の50%~100%をアクリル化するのに十分なモル当量のグリシジルメタクリレート(GMA)及び0.5%の固形分Hycat 2000を用いて製剤化した。すべての成分をタンブラーを使用して8オンスの褐色瓶に混合した。混合後、瓶を70℃のオーブンに24時間配置し、アクリル化ステップを完了した。
【0145】
【0146】
【0147】
実施例13~16:実施例4の様々なレベルのアクリル化後に、ENE官能基を有し、予備接着剤をUV硬化するために製剤化されるセグメント化アクリルポリマーの調製
実施例4は、BASFから購入した1%の固形分Irgacure 2959及びSigma Aldrichから購入した200ppmの4-ヒドロキシTEMPOを用いて製剤化した。DTRから購入したDertophene T115(T115)及びSigma Aldrichから購入したジペンタエリスリトールヘキシルアクリレート(DPHA)などの性能補助剤は、様々なレベルで実施例4に製剤化された。また、実施例4は、実施例4の酸基の80%をアクリル化するのに十分なモル当量のグリシジルメタクリレート(GMA)及び0.5%の固形分Hycat 2000を用いて製剤化した。すべての成分をタンブラーを使用して8オンスの褐色瓶に混合した。混合後、瓶を70℃のオーブンに24時間配置し、アクリル化ステップを完了した。
【0148】
【0149】
【0150】
実施例17:アクリル化の前駆体としてSFRP剤を使用した無水物官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH6-7)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、9.08gのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、前記反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化後、モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0151】
アクリル酸ブチル 89.41g
2-エチルヘキシルアクリレート 89.41g
無水マレイン酸 16.36g
酢酸プロピル 177.83g
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは81℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃超えに加熱されるまで不活性である。30分保持の終わりに、反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケットは130℃)に加熱する。100℃で、60分間の保持を開始し、この保持の間、約112℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが8189g/molのエポキシ官能性セグメントを生成するためである。60分間の保持の間、活性窒素パージしながら422.23gの酢酸プロピル、804.71gの2-エチルヘキシルアクリレート、及び804.71gのアクリル酸ブチルを有する試薬供給混合物を供給容器内に秤量し、窒素により0.5L/minで不活性化する。最初の60分間の保持の後、試薬供給物を60分間にわたって2g/minの速度で反応器に添加する。60分間の供給後、速度を30分間4.00g/minに増加させる。30分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで供給速度を8.00g/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、アクリル酸ブチル及び2-エチルヘキシルアクリレートの転化率が少なくとも約90%に到達するまで、前記反応条件を保持する。これは、ポリマーの末端で無水物官能性セグメントに隣接する残りの非無水物官能性セグメントを生成するためである。前記非無水物官能性セグメントの理論上のMnの合計は67,531g/molである。このとき、ポリマーを85℃に冷却する。ポリマーが85℃になったら、1.80gの第3アミルパーオキシピバレート、及び84.59gの酢酸プロピルを100mLの供給容器中で混合し、窒素により0.5L/minで15分間不活性化する。不活性化の後、ピバレート溶液を90分かけて反応器に添加する。ピバレート供給の完了時に、反応温度を85℃~90℃で1時間保持する。次に、得られた溶液ポリマーを周囲温度に冷却し、反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、75,722g/molであり、一つの鎖末端に7個の無水物基を有する。
【0152】
得られた溶液ポリマーを、回転蒸発を用いて溶剤から単離し、動的機械分析レオメータに取り付けられた円錐体及び板を用いて溶融粘度を評価した。
【0153】
実施例18:4-ヒドロキシブチルアクリレートを用いてアクリル化目標率を100%とするための前駆体として実施例17を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(JRL6-143)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置する反応性ENE官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、実施例17(無水物前駆体)545.22gを装入する。125rpmの攪拌下で、0.14gの4-ヒドロキシTEMPO及び2.59gの酢酸プロピルを反応器に添加し、5分間混合する。次に、5.42gの4-ヒドロキシブチルアクリレートを反応器に添加し、5分間混合する。この混合物を周囲温度で一晩混合する。翌日、反応器装入物を80℃に(反応器ジャケットを85℃に)加熱する。80℃になったら、T=0であり、0.41gのメタンスルホン酸及び3.70gの酢酸エチルを反応器に添加する。混合物を78~82℃で24時間保持した。その保持時間にわたって、4-ヒドロキシブチルアクリレートの転化をガスクロマトグラフィーでモニターした。24時間後、ポリマーを周囲温度に冷却し、排出した。得られたポリマーは、7個の無水マレイン酸基を有し、ENE官能基に転化されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成する。
【0154】
実施例19:SFRP剤を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーのパイロット規模の調製(PP85-65)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置するENE反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた100ガロンの反応器に、1.53lbsのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化後、モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0155】
アクリル酸ブチル 15.1lbs
2-エチルヘキシルアクリレート 15.1lbs
無水マレイン酸 3.90lbs
酢酸プロピル 27.5lbs
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは80℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃以上に加熱されるまで不活性である。30分の保持の終わりに、反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケットは130℃)に加熱する。100℃でT=0であり、保持を開始し、この保持の間、約114℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが8492g/molの無水官能性セグメントを生成するためである。保持の間、活性窒素パージしながら47.9lbsの酢酸プロピル、135.8lbsの2-エチルヘキシルアクリレート、及び135.8lbsのアクリル酸ブチルの試薬供給混合物を供給容器内に秤量する。初期のモノマーの転化率が>60%で転化された後、試薬供給物を窒素拡散器(0.5L/min)を介して0.95lbs/minの速度で60分間にわたって反応器に添加する。60分間の供給の後、速度を60分間1.18lbs/minに増加させる。60分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで(~150分)供給速度を1.28lbs/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、アクリル酸ブチル及び2-エチルヘキシルアクリレートの転化率が少なくとも約90%に到達するまで、前記反応条件を保持する。これは、ポリマーの末端で無水物官能性セグメントに隣接する残りの非無水物官能性セグメントを生成するためである。非無水物官能性セグメントの理論上のMnの合計は67,633g/molである。このとき、ポリマーを85℃に冷却する。ポリマーが85℃になったら、0.30lbsの第3アミルパーオキシピバレート及び13.4lbsの酢酸プロピルを供給容器中で混合し、30分かけて反応器に添加する。ピバレート供給の完了時に、反応温度を85℃~90℃に2時間保持する。
【0156】
2時間保持した後、窒素パージを止めて、0.0769lbsの4-ヒドロキシTEMPO、5.7lbsの4-ヒドロキシブチルアクリレートを均一になるまで混合する。混合したら、TEMPO及びHBA混合物を反応器に添加し、攪拌下で5分間混合する。混合したら、0.308lbsのメタンスルホン酸を1.7lbsの酢酸プロピルのすすぎ剤と共に反応器に添加する。HBA転化率が80%超えになるまで反応を85℃で保持する。ガスクロマトグラフィーにより転化をモニターする。HBA転化率が80%を超えると、さらに0.154lbsの4-ヒドロキシTEMPO及び19.2lbsのn,n-ジメチルテトラデシルアミン(ADMA 14)を反応器に添加する。最後に、2.50lbsのEsacure oneを25.00lbsの酢酸プロピルに溶解し、反応器に添加して混合する。次いで、得られた溶液ポリマーをポットストリッピング(pot stripping)を介して単離し、反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、76,125g/molであり、一つの鎖末端に10個の無水物基を有し、ENE官能基に転化されて、化学放射線/UV放射線で硬化可能な予備接着剤を生成する。
【0157】
実施例20:実施例19の製剤化-粘着付与剤100部当たり7.5部のSFRP剤を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリルポリマーのパイロット規模の調製(AK6-33)
使用したテルペンフェノール樹脂粘着付与剤は、DRTから購入したDertophene T115であった。
【0158】
【0159】
実施例21:アクリル化の前駆体としてSFRP剤を使用したアルコール官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH5-39)(KH7-31)
ポリマー鎖末端に隣接する一つのセグメントに位置するアルコール反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、10.55gのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化後、モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0160】
アクリル酸ブチル 99.73g
アクリル酸メチル 38.78g
4-ヒドロキシブチルアクリレート 7.98g
酢酸プロピル 150.00g
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは81℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃以上に加熱されるまで不活性である。30分保持の終わりに、反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケットは130℃)に加熱する。100℃で、60分間の保持を開始し、この保持の間、約112℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが5,290g/molのアルコール官能性セグメントを生成するためである。60分間の保持の間、活性窒素パージしながら250.00gの酢酸プロピル、349.05gのアクリル酸メチル、及び897.55gのアクリル酸ブチルを有する試薬供給混合物を供給容器内に秤量し、窒素により0.5L/minで不活性化する。最初の60分間の保持の後、試薬供給物を60分間にわたって2g/minの速度で反応器に添加する。60分間の供給の後、速度を30分間4.00g/minに増加させる。30分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで供給速度を8.00g/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、残留モノマーが1%未満になるまで、前記反応条件を保持する。これは、ポリマーの末端でアルコール官能性セグメントに隣接する残りの非アルコール官能性セグメントを生成するためである。前記非アルコール官能性セグメントの理論上のMnの合計は45,019g/molである。次に、得られた溶液ポリマーを周囲温度に冷却し、反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、50,309g/molであり、一つの鎖末端に2つのアルコール基を有する。
【0161】
実施例22~26:D-200ジイソシアノアクリレートを使用した実施例21の製剤化及びSFRP剤を使用したENE機能を有するセグメント化アクリル予備接着剤の調製(AK3-27)
実施例21は、アルコール基に対するイソシアネートの様々なモル比でAllnexによって提供されるD200及びSigma Aldrichによって提供されるジブチルスズジラウレート(DBTDL)を用いて製剤化した。
【0162】
【0163】
【0164】
実施例27~31:予備接着剤のUV硬化のためにIrgacure 4265光開始剤を使用した実施例22~26の製剤化(AK3-39)
実施例22~26は、硬化研究のためにBASFによって提供されるIrgacure 4265を乾燥樹脂に対して1%で製剤化した。
【0165】
【0166】
【0167】
実施例32:アクリル化の前駆体としてSFRP剤を使用したアルコール官能基を有するセグメント化アクリルポリマーの調製(KH7-31)
ポリマー鎖末端に隣接するセグメントに位置するアルコール反応性官能基を有するアクリル共重合体は、以下のように調製される。加熱ジャケット、攪拌機、還流凝縮器、供給タンク及び窒素ガス流入口を備えた1500mlの反応器に、4.66gのBlocBuilder MA(SFRP剤)を装入する。次に、反応器を窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。モノマー及び溶剤を供給容器に以下の量で添加し、窒素により0.5L/minで1時間不活性化する。不活性化後、モノマー及び溶剤の混合物を反応器に添加して、ポリマー鎖末端に隣接するセグメントを生成した。
【0168】
アクリル酸ブチル 61.13g
2-エチルヘキシルアクリレート 61.16g
4-ヒドロキシブチルアクリレート 3.52g
酢酸プロピル 121.58g
初期アクリレートモノマーとのBlocBuilder MA反応を開始するために、反応器装入物を70℃に(反応器ジャケットは81℃に)加熱する。70℃でT=0であり、85℃未満で30分間保持して初期反応を完了する。この時点で、BlocBuilder MAにはアクリレート基が追加され、100℃超えに加熱されるまで不活性である。30分保持の終わりに、反応物を連続的に窒素パージしながら還流条件(反応器ジャケット130℃)に加熱する。100℃で、75分間の保持を開始し、この保持の間に約112℃で反応が還流に達する。これは、理論上のMnが10,283g/molのアルコール官能性セグメントを生成するためである。75分間の保持の間、活性窒素パージしながら288.67gの酢酸プロピル、550.17gの2-エチルヘキシルアクリレート、及び550.17gのアクリル酸ブチルの試薬供給混合物を供給容器内に秤量し、窒素により0.5L/minで不活性化する。最初の75分間の保持の後、試薬供給物を60分間にわたって2g/minの速度で反応器に添加する。60分間の供給後、速度を30分間6.00g/minに増加させる。30分のリード速度2の後、試薬供給物が枯渇するまで供給速度を9.00g/minに増加させる。試薬供給の間、反応温度は115~122℃に保持される。試薬供給の完了後、アクリル酸ブチル及び2-エチルヘキシルアクリレートの転化率が少なくとも約90%に到達するまで、前記反応条件を保持する。これは、ポリマーの末端でアルコール官能性セグメントに隣接する残りの非アルコール官能性セグメントを生成するためである。前記非アルコール官能性セグメントの理論上のMnの合計は89,963g/molである。このとき、ポリマーを85℃に冷却する。ポリマーが85℃になったら、2.46gの第3アミルパーオキシピバレート及び118.54gの酢酸プロピルを100mLの供給容器中で混合し、窒素により0.5L/minで15分間不活性化する。不活性化の後、ピバレート溶液を30分かけて反応器に添加する。ピバレート供給の完了時に、反応温度を85℃~90℃で少なくとも2時間保持する。次に、得られた溶液ポリマーを周囲温度に冷却し、反応器から排出する。理論上の分子量(Mn)は、100,247g/molであり、一つの鎖末端に2個のアルコール基を有する。
【0169】
実施例33~35:D-200XPジイソシアノアクリレート及び多官能アクリレートを使用した実施例32の製剤化、及びSFRP剤を使用したENE官能基を有するセグメント化アクリル予備接着剤の調製(AK7-35)
使用した多官能アクリレートは、Sigma Aldrichから購入したペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)であった。
【0170】
D-200XPは、Allnexによって提供され、OHに対するNCO比を1:4にして、各配合物に添加した。
【0171】
ジブチルスズジラウレート(DBTDL)は、Sigma Aldrichから購入した。
【0172】
4-ヒドロキシTEMPOは、Sigma Aldrichから購入した。
Esacure oneは、IGM Resinsから購入した。
【0173】
【0174】
【0175】
本技術の今後の適用及び開発から多くの他の利点が明らかになるであろう。
本教示と一致するさらなる例は、以下の条項で説明される。
【0176】
[条項1]
前駆体及び反応剤を含む組成物であって、
前記前駆体は、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を含み、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、
自己反応性官能基、反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第1の反応性セグメントと、
反応性官能基、非反応性官能基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、制御された分子量及び位置の第2のセグメントとを含み、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記反応剤との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にし、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、エチレン性不飽和を含まない、組成物。
【0177】
[条項2]
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体が、化学放射線への露光の際に架橋性ではない、条項1に記載の組成物。
【0178】
[条項3]
前記反応剤が、二重結合及び官能基の少なくとも一つを含み、前記官能基が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つと反応可能な、条項1又は2に記載の組成物。
【0179】
[条項4]
前記後重合官能化反応が、アクリル化反応である、条項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【0180】
[条項5]
前記後重合官能化反応が、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体にエチレン性不飽和結合を生成する、条項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0181】
[条項6]
前記エチレン性不飽和結合が、二重結合である、条項5に記載の組成物。
【0182】
[条項7]
前記前駆体が、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の後重合官能化反応の後、予備接着剤組成物を形成する、条項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【0183】
[条項8]
前記予備接着剤が、化学放射線への露光の際に少なくとも部分的に架橋されて接着剤を形成する、条項7に記載の組成物。
【0184】
[条項9]
前記接着剤が感圧接着剤である、条項8に記載の組成物。
【0185】
[条項10]
前記化学放射線が、UV放射線及び電子ビーム放射線の少なくとも一つである、条項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【0186】
[条項11]
前記組成物が、溶剤を含まない、条項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【0187】
[条項12]
前記前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つが、約110℃~約180℃の範囲内の温度で約1,000cps~約80,000cpsの範囲内の粘度を示す、条項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【0188】
[条項13]
前記前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つが、約120℃~約140℃の範囲内の温度で約30,000cps~約40,000cpsの範囲内の粘度を示す、条項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【0189】
[条項14]
前記前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つが、約120℃~約140℃の範囲内の温度で約40,000cps~約50,000cpsの範囲内の粘度を示す、条項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【0190】
[条項15]
前記前駆体及び予備接着剤の少なくとも一つが、約110℃~約130℃の範囲内の温度で約1,000cps~約15,000cpsの範囲内の粘度を示す、条項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【0191】
[条項16]
活性化前の前記予備接着剤が、溶剤を含有せず、約7.5%未満のゲルを示す、条項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【0192】
[条項17]
活性化前の前記予備接着剤が、約99%以上の固形分で約7.5%未満のゲルを示す、条項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【0193】
[条項18]
活性化前の前記予備接着剤が、100%固形分で約7.5%未満のゲルを示す、条項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【0194】
[条項19]
前記第1の反応性セグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基が、自己反応性官能基と反応性官能基とを含む、条項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【0195】
[条項20]
前記第1の反応性セグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基が自己反応性官能基を含む、条項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【0196】
[条項21]
前記第1の反応性セグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、架橋性官能基を有する少なくとも一つの重合性コモノマーとを含み、前記架橋性官能基が反応性官能基を含む、条項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【0197】
[条項22]
前記第2のセグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーと、反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーとを含む、条項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【0198】
[条項23]
前記第2のセグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーを含む、条項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【0199】
[条項24]
前記第1の反応性セグメント内に非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、前記第2のセグメントに存在する非反応性官能基を有する同じタイプのモノマーである、条項1~23のいずれか1項に記載の組成物。
【0200】
[条項25]
前記第1の反応性セグメント内に反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、第2のセグメントに存在する反応性官能基を有する同じタイプのモノマーである、条項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【0201】
[条項26]
前記後重合反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と異なるタイプの官能基である、条項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【0202】
[条項27]
前記後重合反応を行う少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と同じタイプの官能基である、条項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【0203】
[条項28]
前記反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、式(I)に由来する少なくとも一つの官能化されたモノマーを含む、条項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【0204】
【0205】
(ここで、R3は、H又はCH3であり、R4は、Xであり、Xは、架橋可能な官能基を含み、前記官能基は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの官能基を含む。)
[条項29]
前記非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、式(I)に由来する少なくとも一つのモノマーを含む、条項1~28のいずれか1項に記載の組成物。
【0206】
【0207】
(ここで、R3は、H又はCH3であり、R4は、炭素原子4~14個の分岐状又は非分岐状の飽和アルキル基である。)
[条項30]
前記非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、C1~約C20のアルキル、アリール、若しくは環状アクリレート、又はC1~約C20のアルキル、アリール、若しくは環状メタクリレートに由来する、条項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【0208】
[条項31]
前記第1の反応性セグメントが、非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーの約40重量%~約99重量%を含む、条項1~30のいずれか1項に記載の組成物。
【0209】
[条項32]
前記非反応性官能基を有する少なくとも一つのモノマーが、前記自己反応性官能基及び前記反応性官能基の少なくとも一つと非反応性である、条項1~31のいずれか1項に記載の組成物。
【0210】
[条項33]
前記自己反応性官能基が、シリル、シラン、無水物、エポキシ、アルコキシメチロール、環状エーテル、アセトアセチル基、イソシアネート、環状エステル、及びチオールからなる群から選択される、条項1~32のいずれか1項に記載の組成物。
【0211】
[条項34]
前記反応性官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~33のいずれか1項に記載の組成物。
【0212】
[条項35]
前記反応剤の官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~34のいずれか1項に記載の組成物。
【0213】
[条項36]
前記前駆体が3.0より大きい多分散度を有する、条項1~35のいずれか1項に記載の組成物。
【0214】
[条項37]
前記前駆体及び予備接着剤組成物の少なくとも一つが、約5,000g/モル~約300,000g/モルの範囲内の数平均分子量(Mn)を有する、条項1~36のいずれか1項に記載の組成物。
【0215】
[条項38]
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体が、2つの第1の反応性セグメントAと、一つの第2のセグメントBとを含む、条項1~37のいずれか1項に記載の組成物。
【0216】
[条項39]
前記セグメントAは、ポリマー鎖上の中央のセグメントBの両側に位置して、ABA構造を規定する、条項38に記載の組成物。
【0217】
[条項40]
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体が、2つの第2のセグメントBと、一つの第1の反応性セグメントAとを含む、条項1~37のいずれか1項に記載の組成物。
【0218】
[条項41]
前記ブロックBは、ポリマー鎖上の中央のブロックAの両側に位置して、BAB構造を規定する、条項40に記載の組成物。
【0219】
[条項42]
前記第1の反応性セグメント及び前記第2のセグメントは、単相ポリマーを示すバルク状態でそれらの特性が表現されるように、硬化前又は架橋前に分子混和性である、条項1~41のいずれか1項に記載の組成物。
【0220】
[条項43]
前記前駆体及び予備接着剤組成物の少なくとも一つが、15℃~200℃の温度範囲で均一な(単相)ポリマーである、条項1~42のいずれか1項に記載の組成物。
【0221】
[条項44]
前記前駆体及び予備接着剤組成物の少なくとも一つが、15℃~200℃の温度範囲で均一な(単相)液体ポリマーである、条項1~42のいずれか1項に記載の組成物。
【0222】
[条項45]
前記組成物が、顔料、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、希釈剤、阻害剤、増感剤、架橋剤、開始剤、化学放射線開始剤、触媒、酸化防止剤、PH調節剤、薬剤、殺菌剤、成長因子、創傷治癒成分、脱臭剤、香水、抗菌剤、殺菌剤、切断剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの成分をさらに含む、条項1~44のいずれか1項に記載の組成物。
【0223】
[条項46]
多官能性(メタ)アクリレートをさらに含む、条項1~45のいずれか1項に記載の組成物。
【0224】
[条項47]
前記接着剤が、動的機械分析によって決定されたる、室温でダールキスト(Dahlquist)基準値3×106dynes/cm2(3×105Pa)未満の弾性/貯蔵弾性率(G')を示す、条項8又は9に記載の組成物。
【0225】
[条項48]
前記接着剤が、動的機械分析によって決定される、25℃及び1ラジアン/秒で1×105~6×106dynes/cm2あるプラトー剪断弾性率を示す、条項8又は9に記載の組成物。
【0226】
[条項49]
前記接着剤組成物のガラス転移温度(Tg)が、約15℃~約-115℃の範囲内である、条項8、9、47及び48のいずれか1項に記載の組成物。
【0227】
[条項50]
前記前駆体のガラス転移温度(Tg)が、約15℃~約-115℃の範囲内である、条項1~49のいずれか1項に記載の組成物。
【0228】
[条項51]
条項1~50のいずれか1項に記載の前駆体と、
アクリル化官能基を有するモノマーとを含む組成物であって、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記アクリル化官能基との後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にする、組成物。
【0229】
[条項52]
化学放射線への露光の際に硬化可能な予備接着剤組成物の形成方法であって、
条項1~50のいずれか1項に記載の前駆体を提供するステップ、及び
少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部を変性して、予備接着剤組成物を形成するステップを含み、
前記変性は、少なくとも一つのアクリル共重合体にエチレン性不飽和結合を生成し、化学放射線への露光の際に前記予備接着剤組成物の硬化に影響を与えることによって、接着剤組成物を生成する、予備接着剤組成物の形成方法。
【0230】
[条項53]
前記接着剤が感圧接着剤である、条項52に記載の予備接着剤組成物の形成方法。
【0231】
[条項54]
条項52に記載の予備接着剤組成物の形成方法により製造された、接着剤組成物。
【0232】
[条項55]
前記接着剤が、感圧接着剤である、条項54に記載の接着剤組成物。
【0233】
[条項56]
条項1~50のいずれか1項に記載の前駆体を含む予備接着剤組成物を提供し、前記予備接着剤組成物の官能基の少なくとも一部はエチレン性不飽和結合を含むステップ、及び
前記の予備接着剤組成物を化学放射線に露光させることによって、前記予備接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化させ、接着剤組成物を形成するステップを含む、接着剤組成物の形成方法。
【0234】
[条項57]
前記エチレン性不飽和結合が、少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一部を変性することにより生成する、条項56に記載の接着剤組成物の形成方法。
【0235】
[条項58]
前記接着剤が、感圧接着剤である、条項56又は57に記載の接着剤組成物の形成方法。
【0236】
[条項59]
条項1~50のいずれか1項に記載の前駆体、
反応剤、
光開始剤、及び選択的に
触媒からなる組成物であって、
少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つは、前記反応剤と後重合官能化反応を受けて、化学放射線への露光の際に前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を架橋性にし、
前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体は、エチレン性不飽和を含まない、組成物。
【0237】
[条項60]
前記反応剤が、二重結合及び官能基の少なくとも一つを含み、前記官能基が、前記少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基の少なくとも一つと反応可能な、条項59に記載の組成物。
【0238】
[条項61]
前記反応剤の官能基が、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、炭酸エステル、イソシアネート、エポキシ、ビニル、アミン、アミド、イミド、無水物、チオール、酸、アクリルアミド、アセトアセチル基、アルコキシメチロール、環状エーテル基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項60に記載の組成物。
【0239】
[条項62]
前記後重合反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と異なるタイプの官能基である、条項59~61のいずれか1項に記載の組成物。
【0240】
[条項63]
前記後重合反応を受ける少なくとも一つのアクリルブロック共重合体の官能基が、前記反応剤の官能基と同じタイプの官能基である、条項59~61のいずれか1項に記載の組成物。
【0241】
[条項64]
前記後重合官能化された少なくとも一つのアクリルブロック共重合体を含む、条項1~50のいずれか1項に記載の前駆体を含む、予備接着剤。
【0242】
[条項65]
条項64に記載の少なくとも部分的に架橋された予備接着剤を含む、感圧接着剤。
【0243】
本明細書に記載されているすべての特許、出願、及び基準は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0244】
本発明は、本明細書に記載の特徴及び態様のすべての操作可能な組み合わせを含む。したがって、例えば、一つの特徴が一実施形態に関して説明され、別の特徴が別の実施形態に関して説明される場合、本発明は、これらの特徴の組み合わせを有する実施形態を含むことが理解されるであろう。
【0245】
上述のように、本発明は、従来の戦略、システム、及び/又はデバイスに関する多くの問題を解決する。しかし、本明細書に記載され図示された構成要素の詳細、材料、及び配列の様々な変更が、添付の特許請求の範囲に表されるような特許請求された発明の原理及び範囲から逸脱することなく、当業者によって行なわれ得ることが理解されるであろう。