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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】送達署名を伴う注入監視デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61M5/315 510
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020536276
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 US2018067580
(87)【国際公開番号】W WO2019133648
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】62/612,147
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ロー,スティーブン,エヌ.
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】近藤 利充
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0007765(US,A1)
【文献】特表2017-536177(JP,A)
【文献】国際公開第2016/180873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器ストッパロッドであって、
無線トランスミッタモジュールを備えたセンサと、
前記注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向構成要素とを備え、前記偏向構成要素が、
前記送達ストロークが完了するまでの間に、注射器胴体によって圧縮されることにより内側方向に順に偏向するように構成された複数のトリガスイッチであって、前記注射器胴体は、注射器の一部であり、液体を収容し、且つ前記注射器ストッパロッドが挿入される部分である、複数のトリガスイッチと、
前記ストッパロッド上に配置されて、各トリガスイッチの内側方向への偏向を個別に検出するように構成された回路基板構成要素と、を備え、
前記送達署名は、成功した送達ストロークを表すデータであって、前記複数のトリガスイッチから入力されたデータの任意の組み合わせを指し、
前記無線トランスミッタモジュールは、前記センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている、
注射器ストッパロッド。
【請求項2】
少なくとも2つのトリガスイッチを備え、1つのトリガスイッチは前記ストッパロッドの第1の側部に配置され、1つのトリガスイッチは、前記ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項3】
前記注射器ストッパロッドは少なくとも4つのトリガスイッチを備え、少なくとも2つのトリガスイッチは前記注射器ストッパロッドの第1の側部に配置され、少なくとも2つのトリガスイッチは、前記注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項4】
前記トリガスイッチは、前記注射器ストッパロッドの外部に設けられ、且つ前記注射器ストッパロッドから分離可能な外部トリガスイッチ接触アセンブリと一体形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項5】
1つ以上のトリガスイッチの偏向範囲を制限するように構成された1つ以上の偏向制限構成要素を更に備えた請求項4に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項6】
前記送達署名は、前記トリガスイッチの偏向序列、各トリガスイッチの偏向持続時間、第1のトリガスイッチの偏向と第2のトリガスイッチの偏向との間の時間に対応する1つ以上の時間間隔、又はそれらの任意の組み合わせを含む請求項1乃至5の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項7】
使用中、前記トリガスイッチは、所定のパターンに従って偏向して、前記送達ストロークの成功した完了を示唆し、
前記所定のパターンに従って偏向することは、前記複数のトリガスイッチが中心ノードの周りに均一に配置されている場合に、前記複数のトリガスイッチの各々を前記中心ノードの周りの内側方向且つ半径方向に偏向させることを含む、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項8】
前記偏向構成要素は、前記中心ノードの周りで均一に配置され、且つ前記注射器ストッパロッドの近位端付近で親指パッドの直下に配置された3つのトリガスイッチを備える、請求項7に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項9】
前記送達ストロークが完了すると、前記注射器ストッパロッドが前記注射器胴体に完全に挿入されて、前記3つのトリガスイッチ夫々を前記中心ノードの周りの内側方向且つ半径方向に偏向させ、前記トリガスイッチの前記偏向は、前記親指パッド内のプリント回路基板にあるスイッチアセンブリによって検出されて、送達署名又はパターンを生成する、請求項8に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項10】
前記3つのトリガスイッチ全てが3秒以上内向きに偏向した場合、データ管理構成要素は、送達署名が基準署名に合致したと判断する、請求項9に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項11】
温度の増加を検出し、それによって、前記注射器ストッパロッドが低温保管から取り出され、患者への薬剤の投与に適した温度に達したことを示唆するように構成された温度センサをさらに備える、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項12】
何時コールドチェーンが断たれたことを判断し、当該判断した旨を示す情報を記録するように構成された温度センサをさらに備える、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項13】
発光構成要素を有する視覚的インジケータをさらに備える、請求項1に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項14】
前記視覚的インジケータは、前記ストッパロッドの親指パッドに位置する、請求項13に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項15】
前記視覚的インジケータは、薬剤容器が適切な使用温度に達したことをユーザに示唆するように構成されている、請求項13に記載の注射器ストッパロッド。
【請求項16】
前記視覚的インジケータは、前記デバイスが準備完了状態であることをユーザに示すように構成されている、請求項13に記載の注射器ストッパロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/612,147号の出願日の優先権利益を主張する。本願は、2016年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/439,838号の出願日の優先権利益を主張する、2017年12月27日に出願されたPCT特許出願PCT/US2017/068477号に関連する。
【0002】
(引用による援用)
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許出願は、同内容を参照することによって個々の刊行物又は特許出願が、恰も特定的且つ個々に参照により援用されたかの如く本明細書に援用される。
【0003】
本開示は、薬剤送達システム及び、患者に対する薬剤ドーズの投与を記録する為のその使用方法に関する。本開示の態様は、偏向構成要素又は他の構成要素によって生成された送達署名を検出し、送達署名が検出された場合にデータ管理構成要素、例えばモバイルコンピューティングデバイスに薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されたセンサを備えた注射器ストッパロッドを含む。
【背景技術】
【0004】
所与の病気又は障害の治療の為の投薬の有効性は、規定された投与レジメンへの患者アドヒアランスに大きく依存する。典型的な投与レジメンは、例えば、数日、数週間又は数ヶ月の期間に亘り一日につき2ドーズ等の特定のスケジュールに従った投薬を受けることを患者に要求することがある。従って、指定された投与レジメンにきちんと従う患者の能力は、病気又は障害の治療における投薬の最終有効性に関して最高に重要である。
【0005】
その重要さにも係らず、投与レジメンへの患者コンプライアンスは、自己投与式の投薬には特に困難であり続ける。投与レジメンへの患者の非コンプライアンスは、例えば、投薬の適正ドーズを正しく投与し損なう、指定された時間での薬の投与を忘れる、以前の投与の日付と時間を記録し損なった及び/又は忘れた為、次の投与があるべき日付と時間を正しく決定し損なうことを含む任意の数の要因から派生し得る。更に、患者は、所与のロットの薬が期限切れになっているかどうか、投薬が、低温保管から取り出した後で正しい投与温度に達しているかどうか、又は、指定時間にどの程度の量の投薬を投与すべきかに関して不確実である可能性がある。更に、患者に送達された各投薬ドーズ並びに投薬自体に関する追加情報(例えば、投与時の薬剤の温度)の適切な記録は、例えば、医療提供者、薬局及び薬剤製造業者を含む種々の他の当事者にとって重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で提示される、本開示の態様は、既存の薬剤送達デバイス及び方法に対する或る種の有利な代替案を実現し、上記のニーズのうち1つ以上に対処する薬剤送達システム及び使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
薬剤ドーズ完了信号をデータ管理システムに記録する為の薬剤送達システム及び使用方法が提供される。本開示の態様は、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された無線トランスミッタモジュールと偏向構成要素を含むセンサ構成要素を備えた注射器ストッパロッドを備えている薬剤送達システムを含み、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システムは、ハウジングと、薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、アクチュエーション構成要素と、センサ構成要素から送信される報告を受信し記録するように構成されたデータ管理構成要素を備えている。本開示の態様は更に、主題薬剤送達システム及び患者への薬剤ドーズの投与を記録する為のデバイスの使用方法を含む。
【0008】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは無線トランスミッタモジュールと、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向構成要素とを備えたセンサを備え、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、注射器胴体によって圧縮された場合に内側方向に偏向するように構成された複数のトリガスイッチと、ストッパロッド内に配置されて、各トリガスイッチの内側への偏向を個々に検出するように構成された回路基板構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、少なくとも1つの内部トリガスイッチ接触アセンブリを備えている。幾つかの実施形態では、内部トリガスイッチ接触アセンブリは、トリガスイッチと内部回路基板構成要素の間に配置されている。幾つかの実施形態では, 回路基板構成要素は導電性ゴムスイッチパッドを備えている。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのトリガスイッチがストッパロッドの第1の側部に配置されている。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンタリング構成要素が少なくとも2つのトリガスイッチの反対側のストッパロッドの第2の側部に配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは少なくとも2つのトリガスイッチを備え、1つのトリガスイッチはストッパロッドの第1の側部に配置され、1つのトリガスイッチは、ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置されている。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドに沿った異なる長手位置に配置されている。
【0009】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは少なくとも4つのトリガスイッチを備え、少なくとも2つのトリガスイッチは注射器ストッパロッドの第1の側部に配置され、少なくとも2つのトリガスイッチは、注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの第1の側部上の少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部上の少なくとも2つのトリガスイッチ夫々と、注射器ストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの第1の側部上の少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部上の少なくとも2つのトリガスイッチ夫々と、注射器ストッパロッドに沿った異なる長手位置に配置されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは第1の物質を含み、トリガスイッチは注射器ストッパロッドに一体化され、該第1の物質を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のトリガスイッチは、第1の物質とは異なる第2の物質を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのトリガスイッチはアライメント構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、アライメント構成要素は半円タブを備えている。幾つかの実施形態では、トリガスイッチは、注射器ストッパロッドから分離可能な外部トリガスイッチアセンブリに一体化されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは第1の物質を含み、外部トリガスイッチアセンブリは、第1の物質とは異なる第2の物質を含む。
【0011】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、1つ以上のトリガスイッチの偏向範囲を制限するように構成された1つ以上の偏向制限構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの偏向制限構成要素は、各トリガスイッチに隣接して注射器ストッパロッド上に配置されている。幾つかの実施形態では、偏向制限構成要素は半円タブを備えている。
【0012】
幾つかの実施形態では、送達署名は、トリガスイッチの偏向序列、各トリガスイッチの偏向持続時間、第1のトリガスイッチの偏向と第2のトリガスイッチの偏向との間の時間に対応する1つ以上の時間間隔、又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、偏向構成要素は力センサを備えている。幾つかの実施形態では、力センサは絶対力センサ又は相対力センサである。
【0013】
幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、ユーザによって注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第1の検出ターゲットの方に移動するように構成された第1の誘導型センサコイルを備えた回路基板センサ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、第1の検出ターゲットは注射器ストッパロッドの内面に配置されている。幾つかの実施形態では、第1の検出ターゲットは注射器ストッパロッドの外面に配置されている。幾つかの実施形態では、第1の検出ターゲットは親指パッド上に配置されている。幾つかの実施形態では、第1の検出ターゲットは導電物質を含む。幾つかの実施形態では、送達署名は、ユーザによって注射器ストッパロッドに印加された注入力プロファイルを含む。幾つかの実施形態では、注入力プロファイルは、降伏応力、衡応力、投与終了力、又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態では, 注入力プロファイルは更に、降伏応力に関連する第1の時間間隔及び/又は力の大きさと、衡応力に関連する第2の時間間隔及び/又は力の大きさと、投与終了力に関連する第3の時間間隔及び/又は力の大きさを含む。幾つかの実施形態では、注入力プロファイルは、送達ストロークを示す特徴的形状を含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、無線トランスミッタモジュールと、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された伸張構成要素を備えたセンサを備え、伸張構成要素は注射器ストッパロッドの中心腔内で伸張し、(i)ユーザによって注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第1の検出ターゲットの方に移動するように構成された第1の誘導型センサコイルと、(ii)注射器胴体内に配置された第2の検出ターゲットを検出するように構成された第2の誘導型センサコイルと、を備え、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、送達署名は、第1及び第2の誘導型センサコイルによる第1及び第2の検出ターゲットの検出を含む。幾つかの実施形態では、第2の検出ターゲットは一様な幾何形状を備え、送達署名は、第2の誘導型センサコイルによって一様な幾何形状の1つ以上の態様を検出して送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む。幾つかの実施形態では、第2の検出ターゲットは反復幾何形状を含み、送達署名は、第2の誘導型センサコイルによって反復幾何形状の1つ以上の態様を検出して送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2の検出ターゲットは導電性物質を含む。幾つかの実施形態では、送達署名は、送達ストロークを示す特徴的形状を含む。
【0015】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、無線トランスミッタモジュールと、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された伸張構成要素を備えたセンサを備え、伸張構成要素は注射器ストッパロッドの中心腔内で伸張し、可変幾何形状を備え注射器胴体上に配置された第1の検出ターゲットを検出するように構成された第1の誘導型センサコイルを備え、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、送達署名は、第1の誘導型センサコイルによって第1の検出ターゲットの可変幾何形状の1つ以上の態様を検出して、送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、ユーザによって注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第2の検出ターゲットの方に移動するように構成された第2の誘導型センサコイルを備えている。幾つかの実施形態では、送達署名は、第1及び第2の誘導型センサコイルによる第1及び第2の検出ターゲットの検出を含む。幾つかの実施形態では、送達署名は、送達ストロークを示す特徴的形状を含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2の検出ターゲットは導電性物質を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、インジケータ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、ユーザに準備完了状態を示唆するように構成されている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、ユーザに準備未完了状態を示唆するように構成されている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、ユーザに投与進行中状態を示唆するように構成されている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、ユーザに投与完了状態を示唆するように構成されている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素はユーザにスリープモードを示唆するように構成されている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素はユーザに低電池状態を示唆するように構成されている。
【0017】
幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は視覚的インジケータ構成要素である。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータ構成要素は発光構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、発光構成要素は発光ダイオード(LED)を備えている。幾つかの実施形態では、発光構成要素は有機発光ダイオード(OLED)を備えている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更にライトパイプを備えている。
【0018】
幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は触覚インジケータ構成要素である。幾つかの実施形態では、触覚インジケータ構成要素は振動構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は聴覚インジケータ構成要素である。幾つかの実施形態では、聴覚インジケータ構成要素は複数の独自の音響を生成するように構成されている。
【0019】
幾つかの実施形態では, センサ構成要素は更に、光センサを備えている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、センサ構成要素を収容するように構成されたセンサハウジングを備え、センサハウジングは、周囲光が光センサに接触することを可能にするように構成された窓を備えている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は更に、モーションセンサを備えている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は更に、タッチセンサを備えている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は更に、ユーザからの皮膚接触を検出するように構成された静電容量センサ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、静電容量センサ構成要素は、注射器ストッパロッドの外面に配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは親指パッドを備え、静電容量センサ構成要素は親指パッドの内面に配置されている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は更に温度センサを備えている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は不揮発性メモリ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、不揮発性メモリ構成要素は、少なくとも1つの薬剤識別特徴を備えている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤識別特徴はセンサの不揮発性メモリ構成要素に符号化される。幾つかの実施形態では、不揮発性メモリ構成要素は、無線伝送を用いてユニバーサルユニーク識別子(UUID)でプログラムされるように構成される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤識別特徴は薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素に符号化され、センサ構成要素は、薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素からの少なくとも1つの薬剤識別特徴を、センサ上の不揮発性メモリ構成要素に転送するように構成される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素からの少なくとも1つの薬剤識別特徴を、センサ上の不揮発性メモリ構成要素に無線転送するように構成される。
【0020】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、デバイス名、タイプ、モデル番号、シリアル番号、ロット番号、製造日、製造地、ユニバーサルユニーク識別子(UUID)又はそれらの任意の組み合わせから選択された1つ以上のデバイス識別特徴を含む。
【0021】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの遠位端は、注射器ストッパロッドを注射器ストッパに機械的に結合するように構成されたカプラ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、カプラ構成要素は、ネジ式カプラ構成要素、粘着結合構成要素、スナップフィットカプラ構成要素、磁気カプラ又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは、ハウジングと、薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向又は伸張構成要素を備えたアクチュエーション構成要素を備え、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成され、又、センサ構成要素から報告を受信し記録するように構成されたデータ管理構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、センサは、少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴が符号化された不揮発性メモリ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、薬剤容器は、少なくとも1つの薬剤識別特徴で符号化された不揮発性メモリ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、センサは、薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素から少なくとも1つの薬剤識別特徴を取得するように構成されている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0023】
幾つかの実施形態では、薬剤容器は注射器を備えている。幾つかの実施形態では、注射器はプレフィルド注射器である。幾つかの実施形態では、薬剤容器はバイアルを備えている。幾つかの実施形態では、薬剤容器はカートリッジを備えている。幾つかの実施形態では、薬剤容器はハウジングに着脱自在に結合されている。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは針を備えている。幾つかの実施形態では、針はハウジングに着脱自在に結合されている。
【0024】
幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは更に針シールドを備えている。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレはカテーテルを備えている。幾つかの実施形態では、カテーテルは留置可能なカテーテルである。幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は薬剤容器に着脱自在に結合されている。幾つかの実施形態では、薬剤容器は注射器を備え、アクチュエーション構成要素は、本明細書に記載のような注射器ストッパロッドを備えている。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは針を備え、薬剤送達システムは更に、針安全デバイス(NSD)を備えている。幾つかの実施形態では、NSDは、アクチュエーション構成要素による送達ストロークが完了すると針を隔離するように構成されている。
【0025】
幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは更に、指掛け用フランジ構成要素を備えている。幾つかの実施形態では, データ管理システムはモバイルコンピューティングデバイスを備えている. 幾つかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイスはスマートフォンである。幾つかの実施形態では、スマートフォンは、患者への薬剤ドーズの投与を記録するように構成されたコンピュータアプリケーションを備えている。幾つかの実施形態では、報告は薬剤温度値を含む。幾つかの実施形態では、報告はドーズ量を含む。幾つかの実施形態では、報告はドーズ投与タイムスタンプを含む。幾つかの実施形態では、報告は地理的位置を含む。幾つかの実施形態では、報告は、解剖学的部位を含む。幾つかの実施形態では、報告は薬剤確認信号を含む。幾つかの実施形態では、薬剤確認信号は、少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は薬剤確認信号を検証するように構成されている。
【0026】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、薬剤確認信号を利用して1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を取得するように構成されている。幾つかの実施形態では、1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、薬剤確認信号をリモートデータベースに送信して、それに応答して1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を受信するように構成される。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素はインターネットによって可能となるデータ管理構成要素であり、インターネットを介してリモートデータベースに薬剤確認信号を無線送信し、それに応答してインターネットを介して1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を無線受信するように構成されている。
【0027】
本開示の態様は患者への薬剤ドーズの投与を記録する方法を含み、方法は、本明細書に記載の薬剤送達システムの薬剤送達カニューレを患者に挿入し、アクチュエーション構成要素の送達ストロークを完了し、それによって、偏向又は伸張構成要素に、センサによって検出される送達署名を生成させ、無線トランスミッタモジュールに、薬剤ドーズ完了信号を含む報告をデータ管理構成要素に送信させ、データ管理構成要素内に報告を受信及び記録させ、それによって、患者への薬剤ドーズの投与を記録させることを含む。幾つかの実施形態では、データ管理システムはモバイルコンピューティングデバイスを備えている。幾つかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイスはスマートフォンである。幾つかの実施形態では、スマートフォンは、患者への薬剤ドーズの投与を記録するように構成されたコンピュータアプリケーションを備えている。幾つかの実施形態では、報告は薬剤温度値を含む。幾つかの実施形態では、報告はドーズ量を含む。幾つかの実施形態では、報告はドーズ投与タイムスタンプを含む。幾つかの実施形態では、報告は、地理的位置を含む。幾つかの実施形態では、報告は解剖学的部位を含む。幾つかの実施形態では、報告は薬剤確認信号を含む。幾つかの実施形態では、薬剤確認信号は少なくとも1つの薬剤識別特徴を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0028】
幾つかの実施形態では、方法は更に、薬剤確認信号を検証することを含む。幾つかの実施形態では、方法は更に、固有の薬剤確認信号を利用して1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を取得することを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の付加的な薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態では、方法は更に、薬剤確認信号をリモートデータベースに送信し、それに応答して1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を受信することを含む。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素はインターネットによって可能となるデータ管理構成要素であり、方法は、薬剤確認信号をインターネットを介してリモートデータベースに無線送信し、それに応答してインターネットを介して1つ以上の付加的な薬剤確認特徴を無線受信することを含む。
【0029】
本開示の態様は、ハウジングと、ハウジング内の薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、アクチュエーション構成要素と、トランスミッタモジュールとエネルギーハーベスティングシステムを備えた薬剤送達システムを含む。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは薬剤容器と流体連通している。これらの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成されている。トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。エネルギーハーベスティングシステムは、アクチュエーション構成要素、センサ及びトランスミッタモジュールに電気エネルギーを供給するように構成されている。
【0030】
幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは電池を含まない。エネルギーハーベスティングシステムは、環境中の放射線、流体流、光起電性電源、圧電式電源、焦電性電源、熱電性電源、静電電源、化学的電源、磁気誘導の使用、又はそれらの組み合わせからエネルギーを回収してもよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、磁気誘導の使用は、インパルスエネルギーハーベスタ構成、浮揚磁気ハーベスタ構成、カンチレバービームハーベスタ構成、軸方向磁束発生器構成、クローポールマイクロジェネレータ構成又はそれらの組み合わせで行われる。
【0032】
幾つかの実施形態では、エネルギーハーベスティングシステムは、リーフスプリング、トーションスプリング及び/又はクロックスプリングを含み得る。幾つかの実施形態では、スプリングはアクチュエーション構成要素の近位ヘッド部分に配置され得る。トーションスプリングはアクチュエーション構成要素の遠位ロッド部分に配置され得る。幾つかの実施形態では、トーションスプリングがジェネレータのロータに回転可能に固定して結合され、それにより、スプリングからロータにエネルギーが伝えられた後でロータとスプリングが振動することを可能にする。幾つかの実施形態では、トーションスプリングはジェネレータのロータに回転可能に、解除可能な方式で結合され、それにより、スプリングからのエネルギーがロータに伝わった後で、ロータが自由に回転できる。
【0033】
幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは、少なくとも1つのプリント回路基板上に形成された複数のコイルを含み得る。少なくとも1つのプリント回路基板は、2層を超える導電層を含み得る。幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは、ステータ内に配置されたロータを有するジェネレータを含む。幾つかの実施形態では、薬剤送達システムは、ロータ内に配置されたステータを有するジェネレータを含む。
【0034】
本開示の態様は、ハウジングと、ハウジング内の薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、アクチュエーション構成要素と、トランスミッタモジュールと電池を備えた薬剤送達システムを含む。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは薬剤容器と流体連通している。これらの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成されている。トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。電池は、アクチュエーション構成要素、センサ及びトランスミッタモジュールに電気エネルギーを供給するように構成されている。電池は更に、アクチュエーション構成要素の近位ヘッド部分に着脱自在に配置されている。
【0035】
幾つかの実施形態では、ヘッド部分は、トップがスライドして開いて電池を露出し電池を取り外すことを可能にするスライドトップ構成を含む。幾つかの実施形態では、ヘッド部分は、トップが回転して開いて電池を露出し、電池を取り外すことを可能にするフリップトップ構成を含む。幾つかの実施形態では、ヘッド部分は、トップ部分を解放する為にヘッド部分の両側部が互いに引き寄せられるポップトップ構成を含む。幾つかの実施形態では、ヘッド部分は、ユーザの指先を用いてイジェクトレバーを弾いて電池を排出するサイドフリップアウトイジェクト構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの三次元分解立体図である。
図2】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの三次元断面レンダリングである。
図3】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの三次元レンダリングである。
図4】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの三次元断面レンダリングである。
図5】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッド、内部トリガスイッチアセンブリ及び電池アセンブリを示す三次元レンダリングである。
図6】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの三次元レンダリングである。
図7】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッド、3つのトリガスイッチを備えたトリガスイッチアセンブリ及び電池アセンブリを示す三次元レンダリングである。
図8】本開示の一実施形態に係る偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図9】本開示の一実施形態に係る偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図10】本開示の一実施形態に係る偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図11】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドと偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図12】本開示の一実施形態に係る、注射器ストッパロッドと、位置コイル、任意選択的力コイル、フレキシブル回路アセンブリ、センサ及び電池アセンブリを備えた偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図13】注射器ストッパロッドと、フレキシブル回路アセンブリ、位置コイル及び電池アセンブリを備えた偏向構成要素の三次元レンダリングである。
図14】標準型1mL注射器プランジャロッドと、本開示の一実施形態に係るスマート1mLプランジャロッドの三次元レンダリングである。
図15】本開示の一実施形態に係るセンサ構成要素及び電池アセンブリの三次元分解立体図及三次元組立図である。
図16】本開示の一実施形態に係るシステムの種々の個々の構成要素を示す三次元レンダリングである。
図17図16に描写された構成要素の組立図を示す三次元レンダリングである。
図18】本開示の一実施形態に係る偏向構成要素及びフレキシブル回路アセンブリの図である。
図19】本開示の一実施形態に係る注射器ストッパロッドの種々の構成要素の分解三次元図である。
図20】本開示の一実施形態に係るフレキシブル回路アセンブリと偏向構成要素の折り曲げと組み立てを示す三次元レンダリングである。
図21図18乃至20に描写された構成要素の組み立ての詳細図を示す三次元レンダリングである。
図22図18乃至21に描写された、組み立てられた構成要素の詳細図を示す三次元レンダリングである。
図23】本開示の一実施形態に係る薬剤送達システムの三次元レンダリングである。
図24】本開示の一実施形態に係る薬剤送達システムの三次元レンダリングである。
図25】本開示の一実施形態に係る薬剤送達システムの三次元レンダリングである。
図26A】パネルAは、本開示の一実施形態に係る薬剤カートリッジの三次元レンダリングである。パネルBは、本開示の一実施形態に係るバイアルの三次元レンダリングである。
図26B】パネルAは、本開示の一実施形態に係る薬剤カートリッジの三次元レンダリングである。パネルBは、本開示の一実施形態に係るバイアルの三次元レンダリングである。
図27】本開示の一実施形態に係る薬剤送達システムに実行される力測定実験から得られた位置の関数としての力を示すグラフである。
図28】検出ターゲットがガラス管上に取り付けられた状態で静置型ガラス管内に挿入されつつある誘導型センサコイルを含む偏向構成要素の図である。
図29】本開示の一実施形態に係る誘導型センサコイルによる検出ターゲットの感覚を示すグラフである。
図30】本開示の一実施形態に係る誘導型センサコイルによる検出ターゲットの感覚を示すグラフである。
図31】開示の一実施形態に係るインパルスエネルギーハーベスタの、そのレバーが上昇位置にある状態の三次元レンダリングである。
図32図31のインパルスエネルギーハーベスタの、そのレバーが下降位置にある状態の三次元レンダリングである。
図33】本開示の一実施形態に係る浮揚磁気ハーベスタの三次元レンダリングである。
図34】本開示の一実施形態に係るカンチレバービームハーベスタの三次元レンダリングである。
図35】本開示の一実施形態に係る軸方向磁束発生器の三次元レンダリングである。
図36図35に示された軸方向磁束発生器で利用され得るプリント回路基板上の複数の層に製造されたコイルの写真である。
図37図35に示された軸方向磁束発生器で利用され得るロータの写真である。
図38】本開示の一実施形態に係るクローポールマイクロジェネレータの三次元分解立体図レンダリングである。
図39】本開示の一実施形態に係るリーフスプリングを利用するエネルギーハーベスティング構成を描写する断面側面図である。
図40】本開示の一実施形態に係るトーションスプリングを利用するエネルギーハーベスティング構成を描写する三次元分解立体図レンダリングである。
図41】本開示の一実施形態に係るクロックスプリングを利用するエネルギーハーベスティング構成を描写する三次元分解立体図レンダリングである。
図42】本開示の一実施形態に係る軸方向磁束発生器の三次元分解立体図レンダリングである。
図43図42に示した軸方向磁束発生器のPCB上に配設された螺旋巻きコイルの三次元レンダリングである。
図44】本開示の一実施形態に係る別の軸方向磁束発生器の三次元分解立体図レンダリングである。
図45図44に示した軸方向磁束発生器のPCB上に配設された螺旋巻きコイルの三次元レンダリングである。
図46】本開示の一実施形態に係るクローポールマイクロジェネレータの三次元レンダリングである。左側は破断図であり、右側は分解立体図である。
図47】本開示の一実施形態に係る別のクローポールマイクロジェネレータの三次元レンダリングである。
図48A図48の一部であり、本開示の一実施形態に係る注射器プランジャロッド内で展開されるクローポールマイクロジェネレータの三次元レンダリングである。左側はプランジャロッドの斜視図であり、右側はプランジャロッドの近位ヘッド部分の拡大図である。
図48B図48の一部であり、図48Aに続く図である。
図49図48に示したクローポールマイクロジェネレータの三次元分解立体図レンダリングである。
図50図48に示したクローポールマイクロジェネレータの近位ヘッド部分の拡大三次レンダリングである。
図51】本開示の一実施形態に係るクローポールマイクロジェネレータの電圧対時間未加工出力を示すオシロスコープスクリーンの写真である。
図52】本開示の一実施形態に係るクローポールマイクロジェネレータの電圧対時間信号を示すオシロスコープスクリーンの写真である。
図53】本開示の一実施形態に係るスライドトップ電池隔離構成を有するスマート注射器の三次元レンダリングである。
図54】本開示の一実施形態に係るフリップトップ電池隔離構成を有するスマート注射器の三次元レンダリングである。
図55】本開示の一実施形態に係る楕円形ポップトップ電池隔離構成を有するスマート注射器の三次元レンダリングである。
図56】本開示の一実施形態に係る円形ポップトップ電池隔離構成を有するスマート注射器の三次元レンダリングである。
図57】本開示の一実施形態に係るサイドフリップアウトイジェクト電池隔離構成を有するスマート注射器の三次元レンダリングである。
図58A】パネルAは、本開示の一実施形態に係るデバイスを描写する図である。例示的検出ターゲットパターンが示されている。
図58B】パネルBは、夫々200mm/分の速度で注入された5つの異なるサンプルの変位の関数としてのインダクタンスカウントを示すグラフである。
図58C】パネルCは、異なる分与速度で注入された3つのサンプルに関する変位の関数としてのインダクタンスカウントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(定義)
本明細書を解釈する為に、以下の定義が適用され、該当する場合は何時でも、単数形で使用される用語は複数形も含み、又、その逆も成立する。
【0038】
本明細書で互換的に使用される用語「薬剤」、「薬」及び「投薬」は、患者の身体に導入された場合に生理学的影響を有する物質を指す。
【0039】
本明細書で使用される用語「患者」は、病状又は障害に関して治療及び/又は監視されるヒト又は非ヒト動物を指す。
【0040】
本明細書で使用される用語「送達ストローク」は、指定ドーズの薬剤の分与をもたらす主題薬剤送達システム又はデバイスのアクチュエーション構成要素の物理的運動を指す。
【0041】
本明細書で使用される用語「送達署名」は、成功した送達ストロークを表すデータ入力の任意の組み合わせを指す。
【0042】
本明細書で互換的に使用される用語「ドーズ」と「薬剤ドーズ」は、任意の一回に患者に投与されることになっている薬剤の量を指す。「ドーズ」は、体積ベースのドーズ(例えば、一回に投与される薬剤の比体積)又は重量ベースのドーズ(例えば、一回に投与される薬剤の比重量)であり得る。
【0043】
本明細書で互換的に使用される用語「ドーセージ」及び「薬剤ドーセージ」は、薬剤ドーズが患者に投与されることになっている頻度を指す。
【0044】
本明細書で使用される用語「触覚インジケータ」は、患者又はユーザの触覚を介して検出可能な信号を生成する構成要素を指す。
【0045】
本明細書で使用される用語「薬剤識別特徴」は、薬剤の識別及び/又はその生化学的特性(薬剤名、濃度、ドーズ、ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造日、製造所又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない)に関係する任意の情報を指す。
【0046】
本明細書で使用される用語「カニューレ」は、患者の身体に挿入されるように構成された薄型の管状要素を指す(例えば、動脈又は静脈に挿入される、又は皮下に挿入される)。本明細書で使用される「カニューレ」は、剛性、半剛性又は可撓性であり得る。
【0047】
本明細書で使用される用語「カテーテル」は、患者の身体に挿入される(例えば、動脈又は静脈に挿入される、又は皮下に挿入される)ように構成された薄型で可撓性の管状要素を指す。
【0048】
本明細書で互換的に使用される用語「スマート・フォン」と「スマートフォン」は、パーソナルコンピュータオペレーティングシステム(例えば、アプリケーションプログラムをインストールして実行する能力、データを送受信する能力)の特徴を備えたオペレーティングシステムを備えたモバイルフォンを指す。
【0049】
本明細書で互換的に使用される用語「グラフィカルユーザインターフェース」又は「GUI」は、ユーザが、1つ以上のグラフィカルアイコン及び/又はテキストベースのコマンドを介して電子デバイス(例えば、データ管理構成要素)と相互作用することを可能にするように構成されたユーザインターフェースを指す。
【0050】
本明細書で使用される用語「タイムスタンプ」は、イベントと関連し、そのイベントが発生した特定の日付と時間を示す特定の日付と時間を指す。
【0051】
本明細書で使用される用語 「インターネットによって可能となる」は、言及するデバイス及びシステムが、インターネットを介して情報を送信及び/又は受信する能力を指す。
【0052】
薬剤ドーズ完了信号をデータ管理システムに記録する為の薬剤送達システム及び使用方法が提示される。本開示の態様は、無線トランスミッタモジュールと、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向構成要素とを含むセンサ構成要素を備える注射器ストッパロッドを備えている薬剤送達システムを含み、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システムは、ハウジングと、薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、アクチュエーション構成要素と、センサ構成要素から送信される報告を受信し記録するように構成されたデータ管理構成要素を備えている。本開示の態様は更に、主題薬剤送達システムと、患者への薬剤ドーズの投与を記録するデバイスとの使用方法を含む。
【0053】
本発明を詳述する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されない為、当然ながら多様であり得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される為、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであって、限定の意図はないことも理解されたい。
【0054】
値の範囲が提供されている場合、文脈において明確に別段の示唆がない限り下限値の単位の10分の1まで、その範囲の上限値と下限値の間の各中間の値、及びその示された範囲の何れかの他の示された又は中間の値が、本発明の範囲内に包含されると理解されたい。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、より狭い範囲に独立して含まれてよく、これらも本発明の範囲内に包含され、示された範囲内で何れかの明確に除外された境界値(limit)に従う。示された範囲が境界値の一方又は両方を含む場合、含まれる境界値の何れか又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0055】
特に定義しない限り、本明細書で用いられている全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書で記載されているものと類似又は均等な何れかの方法及び物質もまた本発明の実施又は試験に用いられてよいが、好ましい方法及び物質は以下で記載される。本明細書で引用している全ての刊行物は、該刊行物が関連するものとして引用されている方法及び/又は物質を開示及び記載する為に参照することによって本明細書に援用される。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において明確に別段の示唆が無い限り、複数の示唆対象を含むことに留意されたい。従って、例えば、「構成要素(the component)」に関する言及は、1つ以上の構成要素への言及を含む等である。更に、特許請求の範囲は何れかの任意の要素を除外するように起案されてよいことにも更に留意されたい。よって、この記載は特許請求の範囲の要素の記述(recitation)に関連した「専ら(solely)」及び「のみ(only)」等の排他的な用語の使用、又は「否定的な」限定の使用の為の先の記載としての役割を果たすことを意図する。
【0057】
本明細書で論じている刊行物は専ら、本出願の出願日前のそれら刊行物の開示故に提供されている。本明細書の如何なる記載も、本開示が先行発明を理由としてそのような刊行物に先行しないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供された刊行物の日付は実際の刊行日と異なっている可能性があり、それに関しては独立して確認を要し得る。
【0058】
システム及びデバイス
上記で検討したように、本開示の態様は、無線トランスミッタモジュールを備えたセンサ構成要素と、注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向構成要素とを備えた注射器ストッパロッドを備えた薬剤送達システムを含み、無線トランスミッタモジュールは、センサが送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、主題システムは、ハウジングと、薬剤容器と、薬剤送達カニューレと、無線トランスミッタモジュールを備えたセンサ構成要素と、アクチュエーション構成要素が送達ストロークを完了した場合に送達署名を生成するように構成された偏向構成要素を備えたアクチュエーション構成要素を備え、無線トランスミッタモジュールは、送達署名が検出された場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成され、更に、センサ構成要素から報告を受信し記録するように構成されたデータ管理構成要素を備えている。以下、これらの構成要素夫々について詳述する。
【0059】
センサ構成要素
上記で検討したように、本開示の態様はセンサ構成要素を備えたシステム及びデバイスを含む。本開示の実施形態に係るセンサ構成要素は、主題システム及びデバイスから、又は主題システム及びデバイスの直近部分から1つ以上のデータ入力を取得し、送達署名が検出された場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、センサ構成要素から送信される報告は、追加情報、例えば、1つ以上の薬剤識別特徴(本明細書で詳述する)を含む。
【0060】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、主題センサの1つ以上の電子的構成要素を機械的に支持し電気的に接続するように構成又は適合された回路基板構成要素を備えている。本開示の実施形態に係る回路基板構成要素は、限定はしないが、プリント回路基板、エッチングされた回路基板、フレキシブル回路基板、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、回路基板構成要素はプリント回路基板(PCB)を含む。
【0061】
本開示の実施形態に係る回路基板構成要素は、非導電性基板に装着された導電シート(例えば、銅シート)からエッチングされる導電トラック、パッド、又は他の特徴を備え得る。幾つかの実施形態では、例えば、コンデンサ、抵抗器、メモリ構成要素等の標準回路構成要素が回路基板構成要素に電気的に接続される(例えば、PCBに半田付けされる)。PCBへの、1つ以上の電子回路構成要素の接続が、プリント回路アセンブリ(PCA)又はプリント回路基板アセンブリ(PCBA)をもたらし、これらの用語は本明細書では互換的に使用される。
【0062】
本開示の態様は、外部刺激(例えば、外部機械的刺激)に応答して主題回路基板構成要素における電気接触を成立又は断絶するように構成されたスイッチを含む。幾つかの実施形態では、回路基板構成要素はモーメンタリー接触スイッチを備え、モーメンタリー接触スイッチは、作動状態である間のみ電気接触を確立又は断絶するように構成されている。幾つかの実施形態では、回路基板構成要素は、非モーメンタリー接触スイッチを備え、非モーメンタリー接触スイッチは、非モーメンタリー接触スイッチが再び作動するまで電気接触を成立させる又は断絶するように構成されている。
【0063】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、主題薬剤送達システム及びデバイスの1つ以上の構成要素の位置測定を可能にするように構成又は適合された位置センサを備えている。例えば、幾つかの実施形態では、位置センサは、アクチュエーション構成要素及び/又は偏向構成要素の位置を検出及び/又は測定するように構成されている。幾つかの実施形態では、位置センサは、主題デバイスの1つ以上の構成要素の配向(例えば、薬剤送達カニューレの配向)を検出するように構成されている。本開示の実施形態に係る位置センサは、絶対位置センサ又は相対位置センサであり得、又、リニアセンサ、角度センサ又は多軸位置センサであり得る。幾つかの実施形態では、位置センサは、主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素の位置を、時間の関数として、又は薬剤送達手順を通した進捗の関数としての何れかで測定する為に、定義した時間間隔に亘り、又は薬剤送達手順の実行中に複数の測定値を取得するように構成されている。
【0064】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素及び/又は偏向構成要素は、主題薬剤送達システム及びデバイスの1つ以上の構成要素における1つ以上の力を検出及び/又は測定するように構成又は適合された力センサを備えている。例えば、幾つかの実施形態では、力センサは、アクチュエーション構成要素によって薬剤容器に印加された力の量を測定するように構成されている (例えば、注射器ストッパロッドによって注射器ストッパに印加された力の量、又は、ユーザによって親指パッドに印加された力の量)。本開示の実施形態に係る力センサは、絶対力センサ又は相対力センサであり得る。力センサの非限定的な例は、電気抵抗ストレインゲージ、弾性ストレインゲージ、箔ストレインゲージ、半導体ストレインゲージ、薄膜ストレインゲージ、ワイヤストレインゲージ、圧電力トランスデューサ、トレインゲージロードセル、誘導性センサ等を含む。
【0065】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、周囲光を検出及び/又は測定するように構成又は適合された光センサを備えている。例えば、幾つかの実施形態では、光センサは、主題薬剤送達システム又はデバイス近傍の周囲光の量が所定の閾値を超えているかどうかを判断するように構成されている。本開示の実施形態に係る光センサは、絶対光センサ又は相対光センサであり得る。幾つかの実施形態では、光センサは、周囲光の増加を検出し、それによって、主題デバイスがそのパッケージングから取り出された、保存容器から取り出された、及び/又は暗所から取り出されたことを示唆する為に使用される。
【0066】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、主題薬剤送達システム又はデバイスの運動を検出及び/又は測定するように構成又は適合されたモーションセンサを備えている。例えば、幾つかの実施形態では、モーションセンサは、デバイス又はその構成要素が所定の閾値を超えて移動するかどうかを判断するように構成される。本開示の実施形態に係るモーションセンサは、絶対モーションセンサであっても相対モーションセンサであってもよい。幾つかの実施形態では、モーションセンサは、主題デバイスの運動を検出して、それによってユーザがデバイスとの相互作用を開始したことを示唆する為に使用される。
【0067】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素の温度を検出及び/又は測定するように構成又は適合された温度センサを備えている。例えば、幾つかの実施形態では、温度センサは、薬剤容器内の薬剤の温度が所定の閾値より上であるか、又は所定の温度範囲内にあるかどうかを決定するように構成されている。本開示の実施形態に係る温度センサは絶対温度センサ又は相対温度センサであり得る。幾つかの実施形態では、温度センサは、温度の増加を検出し、それによって、主題デバイスが低温保管から取り出され、患者への薬剤の投与に適した温度に達したことを示唆する為に使用される。幾つかの実施形態では、温度センサは、何時コールドチェーンが断たれたか(即ち、デバイス又はその一部(例えば、薬剤容器)の温度が何時所定の閾値より上に上昇するか)を判断してこの情報を記録する為に使用される。幾つかの実施形態では、温度センサは、デバイス又はその一部(例えば、薬剤容器)が何時所定の閾値より上に上昇するかを追跡して、温度が所定の閾値に達した場合にデバイスをウェイクアップして注入手順を記録する為に使用される。デバイスのコールドチェーンに関する如何なる情報も、情報追跡の為、及び/又はデバイスを使用向けに準備する為に記録され使用され得る。幾つかの実施形態では、デバイスはディープスリープ状態からウェイクアップして、センサからの温度を読み取り、スリープ状態に戻るように構成されている。このプロセスは、デバイスの長期保存を可能にする為に、一分に一度又は他の頻度で低電力レベルで実行され得る。幾つかの実施形態では、このプロセスは、マイクロプロセッサの高速動作により、及び、温度を読み取るのに必要な回路構成要素のみの選択的なパワーアップにより、単一の電池で5年まで実行され得る。
【0068】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、導電性の物体、又は空気とは異なる誘電値を有する物体による接触を検出及び/又は測定するように構成又は適合されたタッチセンサを備えている。幾つかの実施形態では、タッチセンサは、主題薬剤送達システム又はデバイスの外面の内部に接近して、又はその上(例えば、主題注射器ストッパロッドの親指パッド上)に配置され、タッチセンサに電気的に接続されている1つ以上の検出構成要素(例えば、静電容量センシング構成要素)を備えている。ユーザが検出構成要素にタッチすると、電気信号がタッチセンサに送信され、ユーザがデバイスにタッチしたことを示唆する。幾つかの実施形態では、ユーザが主題デバイスと物理的に接触した(例えば、ユーザの皮膚の一部が主題デバイスと物理的に接触した)ことを判断して、それによって、ユーザがデバイスとの相互作用を開始したことを示唆する為にタッチセンサが使用される。
【0069】
主題センサ構成要素の態様は、センサ構成要素に電力を提供するように構成又は適合されたパワー構成要素を含む。幾つかの実施形態では、パワー構成要素は電池を備えている。幾つかの実施形態では、パワー構成要素は充電式電池を備えている。幾つかの実施形態では、例えば、1つ以上の構成要素が使い捨て式である等の場合、パワー構成要素は充電式電池を含まない。幾つかの実施形態では、パワー構成要素は、外部電源(例えば、標準的コンセント)との電気接触を確立することによってセンサ構成要素に電力を供給するように構成された1つ以上の標準型電気コードを備えている。幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、システム又はデバイスへの電力を随意にオン又はオフにする為に使用され得るオン/オフスイッチ又はボタンを備えている。
【0070】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、1つ以上の薬剤識別特徴を内部に格納するように構成又は適合されたメモリ構成要素を備えている。本開示の実施形態に係るメモリ構成要素は、揮発性メモリ構成要素又は不揮発性メモリ構成要素であり得る。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は、センサ構成要素に接続される前に1つ以上の薬剤識別特徴で符号化される(例えば、メモリ構成要素は、メモリ構成要素が製造された時点で1つ以上の薬剤識別特徴で符号化される)。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は、メモリ構成要素がセンサ構成要素に接続された後で1つ以上の薬剤識別特徴で符号化される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、外部ソースから(例えば、外部エンコーダから、又は薬剤容器上のメモリ構成要素から)メモリ構成要素に格納された1つ以上の薬剤識別特徴を取得するように構成されたデータ取得構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は、符号化情報を無線で受信するように構成されている(例えば、データ取得構成要素は、1つ以上の薬剤識別特徴を無線で取得するように構成される)。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、データ交換向けに構成された近距離無線通信(NFC)構成要素及び/又は無線周波数ID(RFID)構成要素を備えている。
【0071】
本開示の実施形態に係る薬剤識別特徴は、薬剤の識別及び/又はその生化学的特性(薬剤名、濃度、ドーズ、ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、ユニバーサルユニーク識別子 (UUID)、有効期限、製造日、製造所、又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない)に関する任意の情報を広範に含む。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は更に、1つ以上の患者識別特徴(患者名、患者識別番号、処方箋番号、デモグラフィック情報、患者グループ若しくはサブグループ、又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない)を含み得る。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は更に、1つ以上の薬剤送達デバイス識別特徴(システム若しくはデバイス名、タイプ、モデル番号、シリアル番号、ロット番号、製造日、製造地、UUID、又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない)を含み得る。幾つかの実施形態では、メモリ構成要素は、無線伝送を用いて、ユニバーサルユニーク識別子(UUID)で(例えば、デバイスの製造中に)プログラムされるように構成されている。
【0072】
主題センサ構成要素の態様は、データをネットワークデバイス(例えば、データ管理構成要素)に無線送信するように構成された無線トランスミッタモジュールを含む。幾つかの実施形態では、ネットワークデバイスはセキュリティ保護されたネットワークデバイスである。幾つかの実施形態では、送信されたデータは暗号化され得る。幾つかの実施形態では、無線トランスミッタモジュールは、無線伝送構成要素(例えば、赤外光、無線周波数、光波若しくは超音波、又はそれらの任意の組み合わせを利用する通信リンク)を使用して1つ以上のネットワークデバイスと通信するように構成されている。本開示の実施形態に係るネットワークデバイスは、通信リンクを介して少なくとも1つの他のデバイスと通信する任意のデバイス又は構成要素を広範に含む。ネットワークデバイスの非限定的な例は、例えば、Bluetooth、Bluetooth low energy(BLE)、又はWi-Fi接続を用いるモバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップコンピュータ)を含む。幾つかの実施形態では、無線トランスミッタ モジュールは、ネットワークと直接無線通信又はリモートコンピューティングデバイスと直接無線通信する(即ち、モバイルコンピューティングデバイスと最初に通信せずに)ように構成されている。幾つかの実施形態では、無線トランスミッタモジュールはアンテナを備えている。本開示の態様は、任意の無線波スペクトル通信システムを広範に含み、それは、中心ハブと通信して、次にクラウドベースのコンピューティング/データ伝送環境へと通信するものを含むが、それらに限定されない。
【0073】
本開示の実施形態に係るセンサ構成要素は、センサ構成要素が送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、薬剤ドーズ完了信号は、アクチュエーション構成要素が送達ストロークを完了したことの示唆を含む。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、薬剤送達システム又はデバイスを識別し、識別されたシステム又はデバイスの単一の送達ストロークで投与された薬剤の量を判定することによって、患者に送達された薬剤の量を判定するように構成されている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、例えば、指定されたシステム又はデバイスの単一の送達ストロークで投与された薬剤の量、投与の開始、指定されたシステム又はデバイスに関する投与速度又は注入量、或いはそれらの任意の組み合わせに関する情報で符号化されている。
【0074】
幾つかの実施形態では、主題センサ構成要素は、薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上の動作状態を決定するように構成又は適合されている。例えば、幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、システム又はデバイスが患者に薬剤ドーズを投与する準備が整った準備完了状態を判断するように構成される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、システム又はデバイスが患者に薬剤ドーズを投与する準備が整っていない準備未完了状態を判断するように構成される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、システム又はデバイスが患者に有効に薬剤ドーズを投与している投与進行中状態を判断するように構成される。幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、約1秒~約30分の範囲、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60秒、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10分又はそれ以上、例えば、約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29分又はそれ以上の時間フレームに亘り患者に薬剤ドーズを投与するように構成される。幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、患者に薬剤を投与する時間フレームに等しい期間に亘り投与進行中動作状態を保持するように構成される。
【0075】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、システム又はデバイスが低減されたパワーモードで動作しており、患者に薬剤ドーズを投与する準備が整っていないスリープモード 状態(例えば、低パワー状態)を判断するように構成される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、電池充電量が所定レベルを下回っている低電池状態を判断するように構成される。
【0076】
本明細書に記載のいずれの状態の判定も、主題センサ構成要素のうち1つ以上からの1つ以上の入力を分析することによって達成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、準備完了状態は、温度センサからの温度値が所定範囲内になり(即ち、薬剤が投与に望ましい温度範囲であるということを示唆している)、システム又はデバイスが投与に望ましい位置又は配向(例えば、アクチュエーション構成要素の位置は、患者への薬剤の投与に適正となるように確定される)になったことを位置センサが示唆している場合に判断され得る。この構成は、ユーザを、正しい「注入姿勢」配向に訓練する為にも使用され得る。幾つかの実施形態では、これは、ユーザのモバイルデバイスのグラフィカルユーザインターフェースに示された正しい注入姿勢配向と共に行われ得る。
【0077】
幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、上述のように決定された動作状態をシステム又はデバイスの別の構成要素(例えばデータ管理構成要素)に通信することができる。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は次にユーザにその動作状態を(例えば、GUIで)示唆し、それによって動作状態をユーザに通信することができる。幾つかの実施形態では、本明細書で詳述するように、主題システム及びデバイスは、システム又はデバイスの動作状態(例えば、「注入準備完了」状態)をユーザに伝えるように構成された1つ以上のインジケータ構成要素を含み得る。
【0078】
本開示の実施形態に係るセンサ構成要素は、主題システム又はデバイス上の任意の適切な位置に取り付けられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、センサ構成要素はシステム又はデバイスの随処に配置されたハウジング内に取り付けられ得る。一実施形態では、センサ構成要素は、アクチュエーション構成要素(例えば、本明細書で詳述する注射器ストッパロッド)に装着された親指パッドに取り付けられる。或る実施形態では、センサ構成要素は主題薬剤送達システム又はデバイスに着脱自在に結合されるように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、センサ構成要素は親指パッド内に取り付けられ、親指パッドは注射器ストッパロッドの近位端に着脱自在に結合されるように構成される。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は指掛け用フランジ構成要素内に取り付けられる。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は単一ユニットに形成されている。或る実施形態では、センサ構成要素は、互いに電気接続され、夫々が主題薬剤送達システム又はデバイス上の適切な位置に取り付けられた2つ以上の個別のユニット(例えば、2つ以上の異なるPCBA)を備えている。
【0079】
次に図15を参照すると、PCBAと電池を備えたセンサ構成要素が描写されている。描写されているセンサ構成要素は、描写されている注射器ストッパロッドの近位端に配置されたセンサハウジング内に嵌るように構成されている。図1は、PCBAと電池とを備えると共に、描写されている注射器ストッパロッドの近位端に配置されたセンサハウジング内に嵌るように構成されたセンサ構成要素の別の図を提供している。図2~13、17及び19は、センサ構成要素が注射器ストッパロッドの近位端のセンサハウジング内に配置されている主題デバイスの種々の実施形態の組立図を示す。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、針安全デバイス(NSD)に係合したときに駆動されるドームスイッチを形成するが、係合は、ストッパロッドがドーズ送達位置に達した場合にのみ発生し得る。
【0080】
偏向構成要素
本開示の態様は、送達ストロークが完了した場合に送達署名を生成するように構成された1つ以上の偏向構成要素を備えている。主題薬剤送達システム及びデバイスは、送達署名が生成され検出された場合にのみ薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている。
【0081】
本開示の実施形態に係る偏向構成要素は、主題システム又はデバイス上の任意の適切な位置に配置されてよく、その結果それらが、送達ストロークの実行中に主題システム及びデバイスの1つ以上の構成要素と相互作用できる。幾つかの実施形態では、偏向構成要素はアクチュエーション構成要素(例えば、注射器ストッパロッド)の長さに沿って配置され、送達ストローク中にシステム又はデバイスの少なくとも一部によって(例えば、注射器の胴体によって)機械的に偏向されるように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、偏向構成要素は注射器胴体によって圧縮された場合に内側方向に偏向するように構成された複数のトリガスイッチを備えている。幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、ユーザによって主題システム又はデバイスの一部分に印加された1つ以上の力を測定する(例えば、送達ストローク中に親指パッドに加えられた力を検出する為に)ように構成された力センサを含む。幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素に印加された力に応答して1つ以上の検出ターゲットの方に移動するように構成された1つ以上の誘導型センサコイルを備えている。
【0082】
上記で検討したように、幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、注射器胴体によって圧縮された場合に内側方向に偏向するように構成された複数のトリガスイッチを備えている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは更に、ストッパロッド内に配置されて、各トリガスイッチの内側への偏向を個々に検出するように構成された回路基板構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、トリガスイッチと内部回路基板構成要素との間に配置された少なくとも1つの内部トリガスイッチ接触アセンブリを備えている。或る実施形態では、内部回路基板構成要素は導電性ゴムスイッチパッドを備え得る。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、複数の横方向に向いたトリガスイッチを備えた内部トリガスイッチアセンブリを備えている。使用時、横方向に向いたトリガスイッチは、注射器ストッパロッドが注射器胴体に挿入された場合に内側方向に偏向する。そのような実施形態では、回路基板構成要素は注射器ストッパロッドの親指パッド内に配置されてよく、内部トリガスイッチアセンブリは、各トリガスイッチが内側に偏向した場合に回路基板構成要素と接触するように構成されている。
【0083】
本開示の実施形態に係るトリガスイッチは、偏向を助長する為の任意の適切な寸法を有し得る。トリガスイッチは一般に、第1の端部で注射器ストッパロッドに装着される長形本体と、第1の端部と反対側の長形本体の第2の端部に配置されたヘッドを含む。使用時、送達ストローク中にトリガスイッチが注射器の胴体に進入すると、ヘッドは内側方向に偏向して、長形本体も内側方向に偏向させる。偏向位置で、トリガスイッチのヘッドは接触アセンブリの1つ以上の構成要素と接触し、それで電気信号が回路基板構成要素に送信される。或る実施形態では、トリガスイッチは内部トリガスイッチアセンブリの部材であり、内部トリガスイッチアセンブリに夫々接続された2つの可撓部材を備え、可撓部材は、その完全伸張位置において注射器ストッパロッドの側から突出して、注射器ストッパロッドが注射器胴体内に挿入された場合に内側に偏向する。トリガスイッチの偏向は、内部トリガスイッチアセンブリの一部分を回路基板構成要素と接触させる。
【0084】
幾つかの実施形態では、2、3又は4個のトリガスイッチ等の複数のトリガスイッチが1つのトリガスイッチアセンブリに組み付けられ、個々のトリガスイッチは中心ノードの周りに離間配置されている。幾つかの実施形態では、トリガスイッチは中心ノードの周りに均一に離間配置されている一方で、別の実施形態では、トリガスイッチは中心ノードの周りで非均一に離間配置されている。使用中、アセンブリ内のトリガスイッチは、所定のパターンに従って偏向して、送達ストロークの成功した完了を示唆する。例えば、1つの非限定的実施形態では、トリガスイッチアセンブリは中心ノードの周りに均一に配置された3つのトリガスイッチを備え、アセンブリは、親指パッド(図7)の直ぐ下に、注射器ストッパロッドの近位端付近に配置されている。送達ストロークが完了すると、注射器ストッパロッドは注射器胴体内に完全に挿入されて、アセンブリ内の3つのトリガスイッチ夫々を内側方向に半径方向に偏向させる。トリガスイッチの偏向は、親指パッド内のPCB内に配置されたスイッチアセンブリによって検出され、本明細書で詳述する送達署名又はパターンを生成する。
【0085】
幾つかの実施形態では、トリガスイッチは、約3mm~約30mmの範囲の長さ、例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は約29mmの長さを有する。幾つかの実施形態では、トリガスイッチは、注射器の胴体内に進入するにつれトリガスイッチのアライメントを維持するように機能する、トリガスイッチ上に配置されたアライメント構成要素を備えている。幾つかの実施形態では、アライメント構成要素は半円タブを備えている。
【0086】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの第1の側に配置された2つのトリガスイッチを備えている。幾つかの実施形態では、偏向構成要素は、1つ以上のトリガスイッチから反対側の注射器ストッパロッドの側に配置された1つ以上のセンタリング構成要素を備えている。センタリング構成要素は、トリガスイッチへの反作用力を提供されて、注射器ストッパロッドを注射器胴体内にセンタリングして保持するように機能する。従って、本開示の実施形態に係るセンタリング構成要素は、トリガスイッチの幾何形状に酷似した幾何形状を有する。
【0087】
幾つかの実施形態では、偏向構成要素は2つのトリガスイッチを備え、1つのトリガスイッチがストッパロッドの第1の側部に配置され、別のトリガスイッチはストッパロッドの反対の側に配置されている。幾つかの実施形態では、2つのトリガスイッチ夫々はストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置される一方で、別の実施形態では、2つのトリガスイッチ夫々は注射器ストッパロッドに沿った異なる長手位置に配置されている。
【0088】
幾つかの実施形態では、偏向構成要素は4つのトリガスイッチを備え、2つのトリガスイッチはストッパロッドの第1の側部に配置され、2つのトリガスイッチは、第2の、ストッパロッドの反対側部に配置されている。幾つかの実施形態では、ストッパロッドの第1の側部上の2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドの第2の、反対の側部上の2つのトリガスイッチ夫々と、ストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置されている。別の実施形態では、ストッパロッドの第1の側部上の2つのトリガスイッチ夫々は、注射器ストッパロッドの第2の、反対の側部上の2つのトリガスイッチ夫々とは、ストッパロッドに沿って異なる長手位置に配置されている。
【0089】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは第1の物質を含み、トリガスイッチは注射器ストッパロッドに一体化され、注射器ストッパロッドと同じ物質で製造されている。別の実施形態では、トリガスイッチのうち1つ以上は、注射器ストッパロッドの物質とは異なる物質を含み得る。或る実施形態では、1つ以上のトリガスイッチは、注射器ストッパロッドから分離可能な外部トリガスイッチアセンブリに一体化されている。幾つかの実施形態では、外部トリガスイッチアセンブリは注射器ストッパロッドと同じ物質を含む一方で、別の実施形態では、外部トリガスイッチ接触アセンブリは注射器ストッパロッドとは異なる物質を含む。
【0090】
幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドは、1つ以上のトリガスイッチの偏向範囲を制限するように構成された偏向制限構成要素を備えている。トリガスイッチの偏向範囲の制限は、トリガスイッチが壊れないことを確実にすることができる、及び/又は、トリガスイッチとトリガスイッチ接触アセンブリ間の電気接続の適切な方式での成立を促進することができる。或る実施形態では、偏向制限構成要素はトリガスイッチに隣接して注射器ストッパロッド上に配置されている。幾つかの実施形態では、偏向制限構成要素は半円タブを備えている。
【0091】
次に図1を参照すると、注射器ストッパロッドの三次元分解立体図が描写されている。描写された実施形態では、複数のトリガスイッチが注射器ストッパロッドに沿って配置され、注射器ストッパロッドの中心腔内に回路基板構成要素が配置されている。送達ストローク中に注射器ストッパロッドが注射器胴体内に移動すると、トリガスイッチは内側方向に偏向して回路基板構成要素上の接触アセンブリに接触する。
【0092】
次に図2及び3を参照すると、注射器ストッパロッドの三次元図が描写されている。描写された実施形態では、複数のトリガスイッチが注射器ストッパロッドに沿って配置され、注射器ストッパロッドの中心腔内に回路基板構成要素が配置されている。描写されているトリガスイッチは、注射器ストッパロッドの物質とは異なる物質を含む外部トリガスイッチアセンブリの形態である。注射器ストッパロッドに配置された半円タブの形態の偏向制限構成要素も描写されている。送達ストローク中に注射器ストッパロッドが注射器胴体内に移動すると、トリガスイッチは内側方向に偏向して回路基板構成要素上の接触アセンブリに接触する。トリガスイッチの偏向範囲は偏向制限構成要素によって制限される。
【0093】
次に図4及び6を参照すると、注射器ストッパロッドの三次元図が描写されている。描写された実施形態では、複数のトリガスイッチが注射器ストッパロッドに沿って配置され、注射器ストッパロッドの中心腔内に回路基板構成要素が配置されている。描写されているトリガスイッチは注射器ストッパロッドに一体化され、注射器ストッパロッドと同じ物質を含む。描写された実施形態は内部トリガスイッチ接触アセンブリも含む。送達ストローク中に注射器ストッパロッドが注射器胴体内に移動すると、トリガスイッチは内側方向に偏向して内部トリガスイッチ接触アセンブリに接触し、内部トリガスイッチ接触アセンブリは次に回路基板構成要素と接触する。
【0094】
次に図5を参照すると、内部トリガスイッチアセンブリを備えた注射器ストッパロッドの三次元図が描写されている。内部トリガスイッチアセンブリは3つの個別のトリガスイッチを備え、そのうち2つは注射器ストッパロッドの第1の側部に位置し、1つは注射器ストッパロッドの反対側部に位置している。内部トリガスイッチアセンブリはセンサ構成要素と電気接触している。使用時、注射器ストッパロッドは注射器胴体内に挿入され、個々のトリガスイッチが内側に偏向するにつれ、各トリガスイッチからの信号がセンサによって検出される。
【0095】
幾つかの実施形態では(図示せず)、注射器胴体上の構成要素の位置とストッパロッドの位置は逆転しているか、又は他の場所に配置されてもよい。例えば、トリガスイッチ又はスイッチは、他の電気的構成要素に沿って胴体上に配置されてもよい。これらの実施形態では、スイッチ(複数可)は、胴体を通して並進移動するにつれてストッパロッドの形状構成によって外側に偏向され得る。代替的に、ストッパロッドは、胴体上に配置されたスイッチ(複数可)が作動しているときに内側に偏向することを可能にする、1つ以上の凹部を含み得る。更に別の実施形態では、ストッパロッド上に配置されたスイッチ(複数可)が作動しているときに外側に偏向することを可能にする1つ以上の凹部が、胴体に配設されてよい。本明細書で使用される用語「内側方向に偏向する」は、半径方向、軸方向又は他の方向への運動を指し得る。例えば、幾つかの実施形態では、トリガスイッチは、ドーズ送達の終了を合図する場合にストッパロッド親指パッドの下側へと近位方向に移動してよい。
【0096】
上記で検討したように、幾つかの実施形態では、偏向構成要素は力センサを備えている。本開示の実施形態に係る力センサは、絶対力センサ又は相対力センサであり得、そのようなセンサの詳細は当技術分野で一般に知られている。
【0097】
或る実施形態では、偏向構成要素は、送達ストローク中に主題システム又はデバイスの一部分に印加された力に応答して検出ターゲットの方に移動するように構成された1つ以上の誘導型センサコイルを備えている。本開示の実施形態に係る誘導型センサコイルは一般に、誘導型センサコイルに対して特定の近さにある導電性物質を検出できる交番電界を生成することによって動作する。その為、本開示の実施形態に係る誘導型センサコイルは一般に、導電性物質(例えば導電性金属物質)を含む1つ以上の検出ターゲットと連携して動作する。誘導型センサコイル及びその検出ターゲットの構成は、任意の適切な配置構成を取り得る。例えば、幾つかの実施形態では、第1の誘導型センサコイルは偏向構成要素の基部に配置され、基部は、送達ストローク中にユーザによって基部に力が印加された場合に検出ターゲットの方に偏向するように構成されている。幾つかの実施形態では、誘導型センサコイルは、送達ストローク中に主題デバイスの一部分を通して移動するように構成されると共に、送達ストローク中に検出ターゲットの1つ以上の部分を通過するように構成された伸張構成要素上に配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの内面に検出ターゲットが配置されている。幾つかの実施形態では、注射器ストッパロッドの外面に検出ターゲットが配置されている。幾つかの実施形態では、検出ターゲットは注射器ストッパロッドの親指パッド上に配置されている。幾つかの実施形態では、検出ターゲットは、電池又はその一部を備えている。幾つかの実施形態では、検出ターゲットは、注射器胴体の外面に、又は薬剤容器の外面に配置され得るラベルに配置されている。
【0098】
本開示の実施形態に係る検出ターゲットは、任意の数の異なる幾何形状を有し得る。例えば、幾つかの実施形態では、検出ターゲットは、所与の方向における位置に応じて大きく変化することがない一様な幾何形状を有する。一様な幾何形状の検出ターゲットの非限定的な例は、幾何学的形状(例えば、環、バンド、長方形及び正方形)を含む。幾つかの実施形態では、一様な幾何形状検出ターゲットは、主題デバイスの内面又は外面に配置され得、誘導型センサコイルが検出ターゲットを通過する、及び/又は誘導型センサコイルが検出ターゲットの方に移動した場合に検出され得る。或る実施形態では、一様な幾何形状を備えた検出ターゲットは主題システム又はデバイスの表面の少なくとも半分に亘って配置されている。例えば、薬剤容器が注射器胴体を備えている場合、幾つかの実施形態では、検出ターゲットは、注射器胴体内での注射器ストッパロッドの配向とは無関係な方式で検出可能となるように、注射器胴体の少なくとも半分の周りに配置された(即ち、少なくとも180度を覆う)バンドを含む。幾つかの実施形態では、検出ターゲットは、約180~360度の角度範囲、例えば、約190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、又は約350度をカバーする。
【0099】
幾つかの実施形態では、検出ターゲットは反復幾何形状を有し、2つ以上の一様な幾何形状検出ターゲットが、主題デバイスの表面に沿って所与の方向に連続的に配置されている。例えば、幾つかの実施形態では、2つ以上の円形又は正方形の検出ターゲットが、注射器胴体の長さに沿って連続して配置されてよく、又は、注射器胴体を取り囲む2つ以上の環状バンドが注射器胴体の長さに沿って連続して配置され得る。誘導型センサコイルが各一様なターゲットを通過するにつれ、送達ストロークの進捗が判断され得る。
【0100】
幾つかの実施形態では、検出ターゲットは可変幾何形状を有し、検出ターゲットの1つ以上の寸法は、所与の方向における位置に応じて変化する。例えば、幾つかの実施形態では、可変検出ターゲットは、注射器胴体の第1の端部で最小幅で開始する導電性物質を備え、幅は、注射器胴体の長さに沿って注射器胴体の他方の端部の最終最大幅まで漸次増加する。可変幾何形状における任意の数の変形例を導入して、誘導型センサコイルが可変幾何形状検出ターゲットを通過するにつれて取得される固有の読取値又は署名を生成してもよい。
【0101】
次に図8及び9を参照すると、偏向構成要素の三次元図が描写されている。描写された実施形態において、第1の誘導型センサコイルは偏向構成要素の基部に配置され、第2の誘導型センサコイルは偏向構成要素の伸張構成要素に配置されている。回路基板構成要素と電池も描写されている。
【0102】
次に図10を参照すると、偏向構成要素の三次元図が描写されている。描写された実施形態において、第1の誘導型センサコイルは偏向構成要素の基部に配置され、第2の誘導型センサコイルは偏向構成要素の伸張構成要素に配置されている。回路基板構成要素と親指パッドも描写されている。親指パッドに力が印加されると、親指パッドは第1の誘導型センサコイルの方に偏向し、親指パッド(図示せず)の内面に配置された検出ターゲットは第1の誘導型センサコイルの方に移動する。図11は、図10に説明された偏向構成要素と、伸張構成要素を受容する為の中心腔を備えた注射器ストッパロッドを描写している。
【0103】
次に図12を参照すると、偏向構成要素の三次元図が描写されている。描写された実施形態は、伸張構成要素の第1の端部に配置された位置コイルと、伸張構成要素の第2の端部に配置された任意選択的力コイルを備えている。伸張構成要素はフレキシブル回路基板物質で構成され、センサ構成要素を含む。使用時、伸張構成要素は折り曲げられ組み立てられ、注射器ストッパロッドの内部に配置される。
【0104】
次に図13を参照すると、別の偏向構成要素の三次元図が描写されている。描写された実施形態は、伸張構成要素の第1の端部に配置された位置コイルを備えている。この実施形態では、センサ構成要素は伸張構成要素の一部分上に配置され、剛性回路基板材で構成されている。もう1つの伸張構成要素の一部分は、注射器ストッパロッドの親指パッド内部に配置された電池を包囲するフレキシブル回路基板材で構成される。使用時、伸張構成要素とセンサが組み立てられて、描写のように、位置コイルが内腔から突出しているが依然として注射器ストッパロッドのハウジング内に位置している状態で、注射器ストッパロッドの内部に配置される。
【0105】
次に図14を参照すると、注射器ストッパロッドの2つの三次元レンダリングが描写されている。第1の注射器ストッパロッドは標準型1mL注射器ストッパロッド、又は「プランジャ」ロッドである。第2のストッパロッドは本開示の実施形態に係るスマート注射器ストッパロッドである。スマート注射器ストッパロッドは例えば、図12~13に描写された内部構成要素を含むが、描写されている「標準型」1mL注射器ストッパロッドと概ね同じ寸法を有する。
【0106】
次に図16~22を参照すると、スマート注射器ストッパロッドの構成要素が、組み立ての種々の段階で描写されている。図16は、注射器ストッパロッドハウジングと、フレキシブル回路アセンブリと、電池と、親指パッドの構成要素を示す。図17は、組み立てられ、注射器ストッパロッドハウジング内に挿入されたこれらの要素を示す。図18は、位置コイル、力コイル及びアンテナを含むフレキシブル回路アセンブリの要素を示す図である。図19~22は、フレキシブル回路アセンブリが、どのようにシステムの他の構成要素の周りに折り曲げられて注射器ストッパロッドハウジングに挿入されるように構成されるかを示す。
【0107】
送達署名:
上記で検討したように、本開示の態様は主題センサ及び/又はデータ管理構成要素による送達署名の検出を含む。実施形態による送達署名は、種々のデータ構成要素のうち何れをも含み得る。例えば、偏向構成要素が複数のトリガスイッチを備えている実施形態では、送達署名は、トリガスイッチの偏向序列、各トリガスイッチの偏向持続時間、第1のトリガスイッチの偏向と第2のトリガスイッチの偏向との間の時間に対応する1つ以上の時間間隔、又はそれらの任意の組み合わせに関するデータを含み得る。
【0108】
偏向構成要素及び/又はセンサ構成要素が力センサを備えている実施形態では、送達署名は、ユーザによって主題デバイスの一部分に印加された注入力に対応する注入力プロファイルを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、注入力プロファイルは、降伏応力、衡応力、投与終了力、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。或る実施形態では、注入力プロファイルは、降伏応力に関連する時間間隔、衡応力に対応する時間間隔、投与終了力に関連する時間間隔、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0109】
偏向構成要素が第1誘導型センサコイルと第2の誘導型センサコイル及び第1の検出ターゲットと第2の検出ターゲットを備えている実施形態では、送達署名は、第1の検出ターゲット及び第2の検出ターゲットの検出に対応する第1の誘導型センサコイル及び第2の誘導型センサコイルからの検出信号を含み得る。第2の検出ターゲットが一様な幾何形状を備えているそのような実施形態では、送達署名は、偏向構成要素の伸張構成要素上に配置され得る第2の誘導型センサコイルによる、第2の検出ターゲットの一様な幾何形状の検出を含み得る。更に、第2の検出ターゲットが反復幾何形状を含むそのような実施形態では、送達署名は、偏向構成要素の伸張構成要素上に配置され得る第2の誘導型センサコイルによる、反復幾何形状の検出を含み得る。付加的に、検出ターゲットが可変幾何形状を備えている実施形態では、送達署名は、比例信号等の、可変幾何形状の1つ以上の属性からの検出信号を含み得る。
【0110】
本開示の実施形態に係る送達署名は、送達ストロークを示唆する特徴的形状を有し得る。本開示の態様は、送達ストロークの進捗又は送達ストロークの完了を測定する為に、送達署名の全部又は一部を検出することを包含する。幾つかの実施形態では、送達署名は、センサ構成要素によって検出及び/又は分析される。幾つかの実施形態では、送達署名は、データ管理構成要素によって検出及び/又は分析される。幾つかの実施形態では、送達 署名は基準署名と比較され、送達署名が許容公差レベル内で基準署名に適合した場合、成功した送達ストロークが記録される。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、送達署名が所定の基準署名と十分に合致するかどうかを判断する為にルールのセットを適用するように適合された1つ以上のアルゴリズムでプログラムされる。
【0111】
一実施形態では、送達署名は複数のトリガスイッチが特定期間に亘り所与の方向に偏向した場合に生成される。例えば、図7に描写されたトリガスイッチアセンブリで3つのトリガスイッチ全てが、特定期間に亘り(例えば、3秒又はそれ以上、例として4、5、6、7、8、9又は10秒又それ以上)内側方向に偏向した場合、データ管理構成要素は、送達署名が基準署名に合致したと判断する。
【0112】
次に図27を参照すると、注入力プロファイルのグラフが描写されている。グラフにおいて、力(ニュートン単位)が位置の関数として(ミリメートル単位)プロットされている。グラフは、降伏応力 (約5ニュートンの最大力値で、153mm~155mmにスパイクがある)と、衡応力(約2ニュートンの最大力値で、155mmと173mmの間にプラトーがある)と、投与終了力(約38ニュートンの最大力値で、173mm~176mmに位置する)を示す。
【0113】
次に図28を参照すると、注射器胴体と伸張構成要素が描写されている。注射器胴体は、伸張構成要素上に配置された誘導型センサコイルの検出ターゲットとして働く、外面に配置された2つのアニュラ・リングを備えている。描写されている検出ターゲットは反復幾何形状の一例を表す。1つのアニュラ・リングのみが存在する場合、それは、一様な幾何形状検出ターゲットの一例であり得る。使用時、送達ストローク中に、伸張構成要素は注射器胴体の内部に沿って通され、誘導型センサコイルは各アニュラ・リングを逐次通過する。幾つかの実施形態では、アニュラ・リングは注射器胴体の外面に配置されているのに対し、幾つかの実施形態では、アニュラ・リングは、注射器胴体の周りに巻かれたラベルに一体化され得る。
【0114】
次に図29を参照すると、図28に描写された実施形態から生成されたデータを描写するグラフが示されている。このグラフにおいて、誘導型センサコイルが注射器胴体と各アニュラ・リングに沿って通される検出スパイクのペアが示されている。各ペアの検出スパイクは、第1のアニュラ・リングからの第1の信号と、第2のアニュラ・リングからの第2の信号を表す。図30は、図28に描写されたものと同じ実施形態から生成されたデータを描写しているが、誘導型センサコイルで、第1及び第2のアニュラ・リング検出ターゲットをより低速で通過したものである。このグラフでは、各検出スパイクはより広いベースを有し、より低速で検出ターゲットを通過することで得られた、より大きくより明確な信号分布を示している。
【0115】
アクチュエーション構成要素:
本開示の態様は、移動して、それによって薬剤が薬剤容器から分与されて患者に注入されるように構成されたアクチュエーション構成要素を含む。本開示の実施形態に係るアクチュエーション構成要素は一般に、任意の適切な機構で駆動され得る。幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、ユーザによって手動で移動されるように構成される。幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、1つ以上のドライバ構成要素(例えば、1つ以上の機械的、電気的又は電子機械的コントローラ)によって自動的に移動するように構成される。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム又はデバイスは患者に薬剤投与を自動的に注入するように構成され、自動注入器として特徴付けられる。
【0116】
幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、主題システム又はデバイスの1つ以上のアセンブリ又はサブアセンブリに結合されたコントローラを含み得る。コントローラは、ユーザ入力又は起動信号に応答してアクチュエーション構成要素を移動させるように構成又は適合され得る(例えば、コントローラが電気的又は電子機械的構成要素を備えていれば、プログラムされ得る)。
【0117】
幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は、アクチュエーション構成要素を、主題システム又はデバイスの1つ以上の追加構成要素に機械式に接続するように構成又は適合された1つ以上のカップリング構成要素を備え得る。本開示の実施形態に係るカップリング構成要素は、ネジ式カプラ、接着剤カプラ、スナップフィットカプラ、磁気カプラ、又はそれらの任意の組み合わせを広範に含む。例えば、一実施形態では、アクチュエーション構成要素は、遠位端に配置されたネジ式カプラを備えた注射器ストッパロッドを備えている。ネジ式カプラは、注射器ストッパロッドを注射器ストッパに物理的に結合する為に、注射器ストッパの近位端に捩じ込まれるように構成されている。
【0118】
図23~25は、注射器ストッパロッドの形態のアクチュエーション構成要素と、指掛け用フランジ構成要素と、薬剤容器と、ハウジングと、薬剤送達カニューレと、薬剤送達カニューレシールドと、針安全デバイスとを備えた本開示の実施形態に係る薬剤送達デバイスを描写している。
【0119】
インジケータ構成要素:
本開示の態様は、主題薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上の動作状態をユーザに通信するように構成又は適合されたインジケータ構成要素を含む。使用時、主題薬剤送達システム又はデバイスの所与の動作状態が特定のインジケータ信号に割り当てられることができ、主題インジケータ構成要素は、その特定のインジケータ信号をユーザに通信し、それによってユーザに、システム又はデバイスが、示唆された動作状態にあることを示唆する為に使用され得る。本開示の実施形態に係るインジケータ構成要素は、視覚、触覚及び聴覚インジケータを広範に含み、それら各々については本明細書で詳述する。
【0120】
本開示の態様は、主題システム又はデバイスの動作状態に関する視覚的信号をユーザに表示するように構成又は適合された視覚的インジケータ構成要素を含む。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータは発光構成要素を備えている。本開示の実施形態に係る発光構成要素は、限定はしないが、発光ダイオード(LED)及び有機発光ダイオード(OLED)を含む。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータは、ライトパイプ(ライトチューブとも呼ばれる)を含む。幾つかの実施形態では、ライトパイプは、反射型ライニングを用いることで構造内に光を内包するように構成された中空構造を備えている。幾つかの実施形態では、ライトパイプは、内部全反射を用いることで物質に光を内包するように構成された透過性固体物質を備えている。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータは、特定の領域に亘り視覚的信号(例えば、LEDからの光)を均一に拡散するように構成されたディフューザ構成要素(例えば、ライトパイプディフューザ)を備えている。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータ構成要素はライトパイプとライトパイプディフューザを備えている。本開示の実施形態に係る視覚的インジケータ構成要素は、任意の色(例えば、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫)又はその任意の組み合わせを有する視覚的信号を生成するように構成又は適合され得る。幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスの動作状態は特定の色に割り当てられ得る。例えば、一実施形態では、準備未完了動作状態は赤色に割り当てられ、システム又はデバイスが準備未完了状態である場合、視覚的インジケータ構成要素を用いて赤色がユーザに表示される。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータ構成要素は、特定のシーケンスで視覚的インジケータをオンとオフに点滅させる(例えば、連続した3回の短い点滅)又は、コンスタントにオンの状態を保って、動作状態の示唆を提供するように構成され得る。本開示の実施形態に係る他のインジケータ設定は以下を含む:データ管理構成要素への接続を試行する(例えば、黄色又は青色のインジケータ光を点滅させる)、及びデータ管理構成要素への接続を試行する(例えば、緑色又は青色のインジケータ光の点滅又は点灯)。種々の「準備完了」又は「準備未完了」状態のいずれがユーザに示されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、薬剤容器が適切な使用温度に達したことを示唆するように構成される。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、デバイスが、無線ネットワーク又はデータ管理構成要素への接続試行中であることをユーザに示唆するように構成される。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、デバイスが無線ネットワーク又はデータ管理構成要素に接続されたことをユーザに示唆するように構成される。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素(複数可)は、モバイルデバイスのGUI上に配置され得る。
【0121】
本開示の態様は、主題システム又はデバイスの動作状態に固有である1つ以上の振動信号を生成するように構成又は適合された触覚インジケータ構成要素を含む。幾つかの実施形態では、触覚インジケータは、振動ジェネレータ構成要素を備えている。本開示の実施形態に係る振動ジェネレータ構成要素は、複数の固有の振動信号を生成する為に、振幅、周波数及び持続時間の任意の所望の組み合わせを有する振動を生成するように構成又は適合されている。例えば、一実施形態では、準備未完了動作状態は、1秒の持続時間を有する単一の高周波数振動から成る振動信号を割り当てられ得る。
【0122】
本開示の態様は、主題システム又はデバイスの動作状態に固有である1つ以上の聴覚信号を生成するように構成又は適合された聴覚インジケータ構成要素を含む。幾つかの実施形態では、聴覚インジケータは音響ジェネレータ構成要素を備えている。本開示の実施形態に係る音響ジェネレータ構成要素は、複数の異なるトーン及び/又は音量を有する複数の固有の音響を生成するように構成又は適合されている。例えば、一実施形態では、準備未完了動作状態には、単一の高音量ブザー音から成る音響が割り当てられ得る。
【0123】
本開示の実施形態に係るインジケータ構成要素は、主題システム又はデバイス上の任意の適切な位置に取り付けられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、システム又はデバイス上の何れかの位置に配置されたハウジング内に取り付けられ得る。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は、連携して動作して所望のインジケータ信号を生成する複数の個別の構成要素を備え得る。例えば、一実施形態では、 視覚的インジケータ構成要素は可視光信号を生成するLEDを備え、又、LEDからの可視光を主題システム又はデバイス上の1つ以上の位置に伝えるライトパイプも備えている。幾つかの実施形態では、視覚的インジケータは更に、可視光信号を所望の位置に亘って(例えば親指パッドの全領域に亘って、又は、インジケータ窓全体に亘って)均一に拡散するライトパイプディフューザを備えている。
【0124】
一実施形態では、インジケータ構成要素は、アクチュエーション構成要素(例えば、本明細書で詳述する注射器ストッパロッド)に装着された親指パッドに取り付けられる。幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は主題薬剤送達システム又はデバイスに着脱自在に結合されるように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、インジケータ構成要素は親指パッドに取り付けられ、親指パッドは注射器ストッパロッドの遠位端に着脱自在に結合されるように構成される。
【0125】
ハウジング構成要素:
本開示の態様は、適切な物質、例えば、ガラス、プラスチック、金属又はそれらの任意の組み合わせから形成された1つ以上のハウジング構成要素を含む。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上の個々の構成要素は、単一のハウジング内に配置されて単一ユニットに形成され得る。幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素は第1のハウジング構成要素内に配置され、主題システム又はデバイスの1つ以上の追加構成要素は第2のハウジング構成要素内に配置されることができ、第1及び第2のハウジング構成要素は互いに作動的に結合されて単一ユニットを形成することができる。
【0126】
幾つかの実施形態では、ハウジングは、少なくとも部分的に透光性の物質で製造され、周囲光がハウジングを透過してその中に配置された光センサに達することを可能にするように構成された1つ以上の透明又は半透明窓を備えている。幾つかの実施形態では、ハウジングは、システム又はデバイスの1つ以上の構成要素が内部を物理的に通過することを可能にする1つ以上の窓又は開口を備えている。
【0127】
薬剤容器:
本開示の態様は、或る量の薬剤を収容するように構成又は適合された薬剤容器を含む。幾つかの実施形態では、薬剤容器は主題システム又はデバイスの1つ以上の追加構成要素(例えば、アクチュエーション構成要素及び/又は薬剤送達カニューレ)に作動的に結合されている。幾つかの実施形態では、薬剤は、大分子組成物又は小分子組成物を含み得る。幾つかの実施形態では、薬剤は生物学的組成物を含み得る。生物学的組成物の非限定的な例は、蛋白質(例えば、抗体)を含む。幾つかの実施形態では、薬剤は流体又は液体の形態であり得るが、主題薬剤送達システム及びデバイスは特定の薬剤状態に限定されない。例えば、幾つかの実施形態では、薬剤容器は、水溶液、ゲル又は固体(例えば、凍結乾燥)薬剤原料を収容し得る。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム又はデバイスは複数の薬剤容器を備え得る。幾つかの実施形態では、第1の薬剤容器が例えば凍結乾燥薬剤を収容し、第2の薬剤容器が、凍結乾燥薬剤を元に戻す為に使用され得る液体を収容し得る。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム又はデバイスは、混合手順を実行するように構成され、凍結乾燥薬剤は、薬剤が患者に投与される前に再溶解液と混合される。
【0128】
本開示の実施形態に係る薬剤容器は、例えば、ガラス、プラスチック、金属又はそれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な物質から構築され得る。或る実施形態では、薬剤容器は、容器内に保管されるようになっている薬剤と非反応性となるように構成又は適合されている。或る実施形態では、薬剤容器は、約10μL~約1,000mLの範囲、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900又は950μL又はそれ以上、例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900又は約950mL等の薬剤の量を保持するように構成される。
【0129】
幾つかの実施形態では、薬剤容器は、種々の異なる温度で保管されるように構成又は適合される。幾つかの実施形態では、薬剤容器は、約-100℃~約40℃の範囲の温度、例えば、約-90、-80、-70、-60、-50、-40、-30、-20、-10、0、2~8、10、15、20、25、30又は35℃の温度で保管されるように構成される。
【0130】
本開示の実施形態に係る薬剤容器は、その内容物を無菌状態で維持するように構成されている。幾つかの実施形態では、薬剤容器は主題システム又はデバイスでの使用前に容器の内容物の無菌性を維持するように構成され、又、薬剤容器が主題システム又はデバイスに作動的に結合された場合に除去されるように構成された少なくとも1つの無菌バリアを備えてよい。幾つかの実施形態では、薬剤容器は主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素に着脱自在に結合されるように構成される(例えば、主題薬剤送達デバイスのアクチュエーション構成要素に着脱自在に結合されるように構成される)。
【0131】
幾つかの実施形態では、薬剤容器は、注射器胴体内部に緊密に嵌合するストッパから成る注射器を備えている。注射器胴体内部に沿ってストッパが移動すると、注射器胴体内に存在する液体が移動する。幾つかの実施形態では、ストッパは、ストッパを移動させるように構成されたアクチュエーション構成要素(例えば、注射器ストッパロッド)に作動的に結合されるように構成又は適合されている。幾つかの実施形態では、ストッパの反対側の注射器の端部には開口があり、それを介して液体が、ストッパの移動の方向に依存して導入又は排出され得る。幾つかの実施形態では、注射器は薬剤送達カニューレ(例えば、針又はカテーテル)に作動的に結合され得る。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは注射器に着脱自在に結合され得る。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは注射器(例えば、スタック針注射器)に着脱不能に結合され得る。幾つかの実施形態では、注射器は、所定量の液体を収容したプレフィルド注射器である。
【0132】
幾つかの実施形態では、薬剤容器はバイアルを備えている。本開示の実施形態に係るバイアルは、例えばガラス、プラスチック、金属又はそれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な物質から構成され、1つの開放端を有する。幾つかの実施形態では、バイアルは、開放端を閉じるように構成された着脱自在なキャップを備えている。幾つかの実施形態では、キャップは、薬剤送達カニューレによって、又は、主題システム又はデバイス内で1つの位置から別の位置にバイアルの内容物を移送するように構成された1つ以上の流体カプラ構成要素によって穿孔されるように構成されたストッパを備えている。幾つかの実施形態では、ストッパは、使用前のストッパの偶発的穿孔を防止する為に金属保護層で覆われたゴムストッパである。図26のパネルBは、バイアルの一実施形態を描写している。
【0133】
幾つかの実施形態では、薬剤容器はカートリッジを備えている。本開示の実施形態に係るカートリッジは、例えばガラス、プラスチック、金属又はそれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な物質で構成され、主題薬剤送達システム又はデバイスに作動的に結合されるように構成された1つ以上の開口を備えている。幾つかの実施形態では、カートリッジは、使用前に1つ以上の開口を覆うように構成された着脱式バリアを備えている。図26のパネルAは、カートリッジの一実施形態を描写している。
【0134】
本開示の態様は、1つ以上の薬剤識別特徴を格納するように構成又は適合されたメモリ構成要素(本明細書に記載の)を備えた薬剤容器を含む。本開示の実施形態に係るメモリ構成要素は揮発性メモリ構成要素又は不揮発性メモリ構成要素であり得る。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は、薬剤容器上のメモリ構成要素に格納された1つ以上の薬剤特徴を取得するように構成される。或る実施形態では、薬剤容器は、データ交換向けに構成された近距離無線通信(NFC)構成要素及び/又は無線周波数ID(RFID)構成要素を備えている。
【0135】
薬剤送達カニューレ:
本開示の態様は、患者の身体に挿入されて投薬を送達するように構成された薬剤送達カニューレを含む。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは剛性又は半剛性針を備え得る。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレはカテーテルを備え得る。本開示の実施形態に係る薬剤送達カニューレは、主題システム及びデバイスの1つ以上の構成要素に一体化されてもよく、又は、患者に投薬を送達する為に主題システム又はデバイスに作動可能に接続されるように構成された別個の構成要素であり得る。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレは、患者内への留置向けに構成されてよく、その場合薬剤送達カニューレの少なくとも一部分は、長期に亘り患者に留置された状態を保つように構成又は適合される(例えば、患者の動脈又は静脈上に配置された状態、又は、患者の皮下に配置された状態を保つ)。
【0136】
或る実施形態では、薬剤送達カニューレは、投薬の送達を実行する為に、薬剤送達カニューレを所望の位置に(例えば、患者の動脈又は静脈に、又は、皮下送達の為に患者の皮下に)導入するように構成された1つ以上の挿入構成要素を備え得る。幾つかの実施形態では、挿入構成要素は、投薬が患者に送達される前に除去されるように構成されるのに対し、幾つかの実施形態では、挿入構成要素は、投薬が患者に送達されている間その位置に留まるように構成されている。挿入構成要素の非限定的例はカテーテル針であり、それは、カテーテルを患者の静脈に導入し、カテーテルの配置後に除去されて、カテーテルを、静脈に位置決めして、又は皮下位置にして保つように構成されている。
【0137】
幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム又はデバイスは、ユーザが薬剤送達カニューレと偶発的に接触することを防止するように構成された薬剤送達カニューレシールド (例えば、針シールド)を備えている。本開示の実施形態に係る薬剤送達カニューレシールドは、開放近位端と、閉鎖遠位端と、展開前は薬剤送達カニューレよりも少なくとも若干長い長さを有する筒体を備えている。使用時、薬剤送達カニューレシールドは、開放遠位端が薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上の構成要素(例えば、注射器胴体の遠位端)と機械的に相互作用して、ユーザによって取り外されるまでは薬剤送達カニューレシールドを定位置に保持するように、薬剤送達カニューレの上に配置されるように構成される。或る実施形態では、薬剤送達カニューレシールドは退縮可能であり、シールドがユーザの皮膚に押し付けられて圧力が印加されると退縮するように構成されている。幾つかの実施形態では、薬剤が患者に送達され、システム又はデバイスから圧力が除去された後で、薬剤送達カニューレシールドは、ユーザを薬剤送達カニューレとの偶発的接触から保護する位置に戻るように構成されている。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレシールドは、圧力が印加された場合にシールドが退縮し、圧力が除去された場合に保護位置に戻ることを可能にするスプリング機構を備え得る。
【0138】
針安全デバイス(NSD):
本開示の態様は、薬剤送達カニューレを、患者から退縮された後で隔離するように構成又は適合された針安全デバイス(NSD)を含む。本開示の実施形態に係るNSDは、薬剤送達カニューレを隔離する為の適切なサイズであるハウジング構成要素を含む。幾つかの実施形態では、NSDは、アクチュエータ構成要素が送達ストロークを完了した場合に機械的に作動するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、NSDは、アクチュエーション構成要素が送達ストロークを完了した場合に作動する1つ以上のトリガ要素を備えている。幾つかの実施形態では、NSDは、アクチュエーション構成要素の1つ以上の要素がトリガ要素と接触し、それによってNSDを、アクチュエーション構成要素がトリガ要素に接触した場合に作動するように構成するトリガ要素を備えている。幾つかの実施形態では、アクチュエーション構成要素は接触スイッチを備え、接触スイッチは、接触スイッチを起動するのに必要な所定の力値を有し、又、NSDは、接触スイッチを起動する為に必要な所定の力より高い作動力要求を有するトリガ要素を備えている。よって、NSDを起動する機械的力は必然的に接触スイッチを起動する。幾つかの実施形態では、NSDは、センサ構成要素による送達署名の検出と同時に作動する。幾つかの実施形態では、NSDは、センサ構成要素からデータ管理構成要素への薬剤ドーズ完了信号を含む報告の送信と同時に作動する。
【0139】
幾つかの実施形態では、NSDは、センサ構成要素によって電気的に作動するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、送達ストロークの完了時にセンサ構成要素が送達署名を検出した場合、センサ構成要素は電子起動信号をNSDに送信して、NSDを起動させて薬剤送達カニューレを隔離させる。
【0140】
幾つかの実施形態では、NSDが作動している場合、NSDは、薬剤送達カニューレがNSD構成要素によって完全に包囲される(又は内部に隔離される)ように位置を変える。幾つかの実施形態では、NSDは薬剤送達カニューレの上で移動するように構成されている。幾つかの実施形態では、薬剤送達カニューレはNSD内部で移動するように構成されている。幾つかの実施形態では、NSDは、NSDが作動している場合に薬剤送達カニューレをNSD内部に隔離する位置にロックするように構成されている。幾つかの実施形態では、NSDは、薬剤送達カニューレを隔離する為に、外部ハウジングなしで薬剤送達 カニューレを注射器内に引き込むように構成されている。そのような手法は、薬剤送達カニューレの使用後に、ユーザが薬剤送達カニューレに偶発的に接触することを防止する。
【0141】
次に図24を参照すると、NSDを備えた薬剤送達システムが描写されている。描写された実施形態において、NSDは作動状態であり、薬剤送達カニューレ上に伸張されて薬剤送達カニューレを隔離する。図25では、NSDの起動前の同じ薬剤送達システムが描写されている。描写されるように、図25の薬剤送達システムは、NSD内で未だ隔離されていない薬剤送達カニューレを備えている。図25には更に、NSDトリガ要素も描写されており、NSDトリガ要素は、注射器ストッパロッドがNSDトリガ要素と機械的に相互作用した場合にNSDをトリガするように構成される。
【0142】
指掛け用フランジ構成要素:
本開示の態様は、主題システム又はデバイスに結合するように構成又は適合された(例えば、主題デバイスのハウジングに結合されるように構成された、又は、主題デバイスの注射器胴体に結合するように構成された)指掛け用フランジ構成要素を含む。本開示の実施形態に係る指掛け用フランジ構成要素は、ユーザの指が主題デバイスを把持する為に利用できる表面積を増加させる側面を備えている。付加的な表面積は、薬剤の投与中にユーザがデバイスを把持し制御することをより容易にする。
【0143】
幾つかの実施形態では、指掛け用フランジ構成要素は、主題システム又はデバイスに着脱自在に結合されるように構成される。例えば、幾つかの実施形態では、指掛け用フランジ構成要素は、ハウジング上に、又は薬剤容器(例えば、プレフィルド注射器)上に圧入されるように構成され、緊密な接続を確実にする為に、例えばハウジング又は薬剤容器等の1つ以上の相補型構成要素と嵌合できる1つ以上の機械的構成要素(例えば、スナップ構成要素)を備え得る。幾つかの実施形態では、指掛け用フランジ構成要素は、上述のように針安全デバイス(NSD)に一体化され得る。幾つかの実施形態では、センサ構成要素は指掛け用フランジ構成要素内に嵌るように構成される。或る実施形態では、 センサ構成要素は2つ以上の個々のユニットを備え、各ユニットは、指掛け用フランジ構成要素の一方の側部に嵌るように構成され、その結果、センサ構成要素の第1のユニットは指掛け用フランジ構成要素の第1の側部に配置され、センサ構成要素の第2のユニットは指掛け用フランジ構成要素の第2の側部に配置される。図23は、指掛け用フランジ構成要素を備えた薬剤送達システムを描写している。
【0144】
データ管理構成要素:
本開示の態様は、主題システム又はデバイス及び/又はユーザと通信するように構成又は適合された、例えば、主題システム又はデバイスから薬剤ドーズ完了信号を含む報告を受信するように、主題システム又はデバイスに1つ以上のコマンドを送信するように、又は、薬剤投与が特定の時間に投与されることになっている旨のリマインダーをユーザに送信するように構成又は適合されたデータ管理構成要素を含む。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークコンピュータ又はネットワークサーバ)を備えている。幾つかの実施形態では、データ管理デバイスは、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン又はラップトップコンピュータ)を備えている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、インターネットを介して情報を送受信できるインターネットによって可能となるデバイスである。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、ユーザに対する薬剤の投与に関する1つ以上の態様(例えば、患者への個々の薬剤ドーズの投与を記録する、患者に、今後の薬剤ドーズの投与に関して注意喚起する、リモートデータベースと相互作用することによって1つ以上の薬剤識別特徴を検証する等)を管理するように構成されたアプリケーションを備えている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、1つ以上の通信構成要素が有効である、及び/又は主題薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上の追加構成要素と接続されていることをユーザに示唆するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、データ管理構成要素が(例えば、Bluetooth又はWiFi接続を介して)主題薬剤送達システム又はデバイスに接続されていることをユーザに示唆するように構成される。幾つかの実施形態では、上述のような主題薬剤送達システム又はデバイスの1つ以上のインジケータ構成要素は更に、データ管理構成要素がシステム又はデバイスに接続されていることをユーザに示唆する為に使用され得る。データ管理構成要素上のインジケータ構成要素及び/又はシステム又はデバイスの他の構成要素の任意の適切な組み合わせを用いて、ユーザにデータ管理構成要素の接続状態を示唆してもよい(例えば、接続済み、接続試行中、非接続、断絶等)
【0145】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、主題薬剤送達システム又はデバイスから報告を受信し、報告の1つ以上の態様を、患者の医療記録/履歴を維持する為に記録するように構成又は適合されている。例えば、幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、薬剤ドーズが患者に投与されたことを示唆する報告をシステム又はデバイスから受信するように構成され、データ管理構成要素は、薬剤ドーズが送達された日付と時間を含めて薬剤ドーズの投与を記録する。幾つかの実施形態では、報告は、例えば、投与された薬剤又はその薬剤を受け取った患者に関する追加情報を含み得る。幾つかの実施形態では、報告は、主題システム又はデバイスの1つ以上の動作状態に関する情報を含み得る。幾つかの実施形態では、報告は、例えば、システム又はデバイスの温度又は温度履歴に関する情報を含む。幾つかの実施形態では、報告は、投与時の薬剤送達システムの地理的位置に関する情報を含む。幾つかの実施形態では、報告は、ドーズが送達された患者の身体上の解剖学的部位(例えば、患者の右腕又は患者の左脚)に関する情報を含む。幾つかの実施形態では、報告は、患者に薬剤ドーズを投与する為に使用された力プロファイルに関する情報を含む。
【0146】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、主題システム又はデバイスから1つ以上のデータ入力を受け取り、患者への薬剤の投与を進める前に1つ以上のデータ入力を検証するように構成又は適合されている。例えば、幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、主題システム又はデバイスから(例えば、システム又はデバイスに結合されていた薬剤容器から)薬剤識別特徴を受け取り、患者への薬剤の投与を進める前に、薬剤識別特徴が有効であることを検証するように構成されている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、インターネットを介して1つ以上の薬剤識別特徴をリモートデータベースに送信し、それに応答して、患者に薬剤を投与する前に確認信号を受信するように構成されている。
【0147】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、デバイスの主題システムから1つ以上のデータ入力を受け取り、受け取ったデータを分析して、送達ストロークが完了したかどうかを判断するように構成又は適合されている。例えば、幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、偏向構成要素及び/又はセンサからのデータをデータ管理構成要素に送信し、受け取ったデータを分析し、受け取ったデータを、1つ以上の格納された送達署名パラメータ(例えば、基準送達署名)と比較して、受け取ったデータがデバイスの送達署名に対応するかどうかを判断するように構成又は適合されている。
【0148】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、特定の薬剤送達システム又はデバイス、又はその構成要素(例えば、薬剤容器)が、特定の地理的位置(例えば、特定の国の)での、製造者からの公認販売の結果であるか、及び/又は、処方医療提供者から(例えば、処方医師から)の薬剤の公認処方の結果であるかどうかを判断するように構成又は適合されている。例えば、幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、主題薬剤送達システム又はデバイス(又はその構成要素、例えば薬剤容器)からの1つ以上の薬剤識別特徴を受け取って、その1つ以上の薬剤識別特徴をリモートデータベースに送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は更に、薬剤送達システム又はデバイスの地理的位置をリモートデータベースに送信するようにも構成又は適合されている。幾つかの実施形態では、リモートデータベースは、1つ以上の薬剤識別特徴を、データ管理構成要素から受け取った地理的位置と比較して、特定の薬剤送達システム又はデバイス、又はその構成要素(例えば、薬剤容器)が、販売された地理的位置(例えば、特定の国)で使用されているかを判断するように構成又は適合されている。
【0149】
幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、患者への薬剤の投与の前に主題システム又はデバイスの1つ以上の動作状態を検証するように構成される。例えば、一実施形態では、データ管理構成要素は、患者に薬剤を投与する前に、薬剤容器が、所定の許容可能な温度範囲内に収まる温度であるかどうかを判断するように構成される。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、患者に薬剤を投与する前に、主題システム又はデバイスが「準備完了」動作状態にあることを検証するように構成されている。
【0150】
本開示の実施形態に係るデータ管理構成要素は、患者に投与されることになっている薬剤の日付と時間(例えば、薬剤ドーズ投与に関するタイムスタンプ)を決定するように構成されている。幾つかの実施形態では、データ管理構成要素は、主題システム又はデバイスから薬剤ドーズ完了信号を受け取るように構成され、システム又はデバイスから送信された追加情報に基づいて薬剤投与の厳密な時間を判断するように構成されている。例えば、或る状況では、薬剤の投与が実行された特定の日付と時間に主題システム又はデバイスがデータ管理構成要素に作動的に接続されないことがある。そのような事例では、主題システム又はデバイスは、薬剤投与手順の完了時からの経過時間を決定するように構成されている。システム又はデバイスがデータ管理構成要素に接続されると、薬剤ドーズ送達信号並びに投与後の経過時間がデータ管理構成要素に送信される。するとデータ管理構成要素は、送信された情報を利用して、薬剤投与手順が完了した特定の日付と時間を逆算し、この情報を患者の記録に記録する。
【0151】
コントローラ、プロセッサ、及びコンピュータ可読媒体:
幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、主題システム又はデバイスの1つ以上の構成要素を制御又は動作させるように構成又は適合されたコントローラ、プロセッサ及びコンピュータ可読媒体を備え得る。幾つかの実施形態では、システム又はデバイスは、デバイスの主題システムの1つ以上の構成要素と通信し、システム又はデバイスの態様を制御するように、及び/又は主題システム又はデバイスの1つ以上の動作又は機能を実行するように構成されたコントローラを含む。幾つかの実施形態では、システム又はデバイスは、プロセッサと、メモリ媒体及び/又は記憶媒体を含み得るコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読メモリ上のコンピュータ可読命令として具体化されたアプリケーション及び/又はオペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されて、本明細書に記載の機能性のうち一部又は全部を提供し得る。
【0152】
幾つかの実施形態では、主題システム又はデバイスは、ユーザからの入力を受け取り、本明細書で詳述する方法のうち1つ以上を実行するように構成又は適合された、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)等のユーザインターフェースを含む。幾つかの実施形態では、GUIは、データ又は情報をユーザに表示するように構成されている。
【0153】
エネルギーハーベスティング:
本開示の態様はエネルギーハーベスティングシステムを含む。そのようなシステムは、本明細書で開示の「スマート」プレフィルド注射器デバイス等の薬剤送達デバイスに結合され得る。エネルギーハーベスティングシステムの使用は、薬剤送達デバイスがその環境からエネルギーを回収して、搭載通信エレクトロニクスに給電することを可能にする。これで、デバイス上に配置される電池の必要が減少又は排除される。次に、これは、多くの場合に単回使用で使い捨て型デバイスであるデバイスの環境に配慮した排気に関連する課題を低減する。幾つかの実施形態では、機械エネルギーがスプリング又は類似した手段に保存され、このエネルギーは、エンドオブドーズ(EOD)等の使用時に再現される。幾つかの実施形態では、スプリング又は他の保存機構は、ジェネレータに機械エネルギーを供給し、それは、電気エネルギーに変換され、整流され調整されて、プレフィルド注射器から、モバイルデバイス又はホームベースの受信機若しくはハブへの無線伝送を付勢する。前述のように、この無線伝送は、スマートデバイス技術によって、薬剤送達ドーズ完了の確認を提供できる。
【0154】
電源内蔵式薬剤送達デバイスをユーザのスマートフォンに無線接続する為に種々の接続方法が用いられ得る。これらは、直接方法と間接方法にセグメント化され得る。
【0155】
直接方法-外部周辺機器が不要な通信
□BLE-マスタ/スレーブ
□BLE-非接続性接続(広告)
□BLE-スキャン応答
□WiFi
□NFC(近距離無線通信)
□セルラー(既存ロジスティクス)
□音響(超音波識別子を利用)
間接方法-外部周辺機器/インフラストラクチャを要する通信
□インターネット(ウェブホスト式)
□「ホームハブ」-RF(ローカル)
□「ホームハブ」-バックスキャッター
□「リモートハブ」-LORAWAN、SIGFOX、狭帯域型モノのインターネット(IoT)
【0156】
エネルギーハーベスティングの幾つかの実施形態では、BLE(Bluetooth Low Energy)「非接続性」が、その広範且つ成熟した技術故に選択され得る。この手法では、デバイスと電話の間に接続が開始される必要はなく、それによって、電力消費を低減する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のタイプの通信を実行する為には、BLEモジュールに少なくとも1.04mJが供給される必要がある。発電デバイスとBLEモジュール間のエネルギー損失故に、幾つかの実施形態では、約10mJの発電機出力を有することが望ましい。
【0157】
本開示の態様によれば、エネルギーハーベスティング源は以下を含む:
□環境中の放射線
□流体流
□光起電性
□圧電
□焦電性
□熱電
□静電
□磁気誘導
□化学
【0158】
磁気誘導カテゴリでは、エネルギーハーベスティング源は、以下の設計構成のうち1つであり得る:
□インパルスエネルギーハーベスタ
□浮揚磁気ハーベスタ
□カンチレバービームハーベスタ
□軸方向磁束発生器
□クローポールマイクロジェネレータ
【0159】
次に図31及び32を参照すると、インパルスエネルギーハーベスタの例示的実施形態が提示されている。この実施形態は、インパルスエネルギーハーベスティング技術の原理を示しているが、注射器胴体及び/又はストッパロッドで使用する為にさらに最適化され得ることを理解されたい。この例示的デバイスにおいて、永久磁石の磁束は、銅コイルが巻かれた鉄心を介してルーティングされる。レバーを押下すると磁場の極性を弾き、電磁誘導によって電流を生成する。図31は、レバーが上昇位置にあるデバイスを示し、図32はレバーが下降位置にあるデバイスを示す。
【0160】
次に図33を参照すると、浮揚磁気ハーベスタの例示的実施形態が提示されている。この実施形態は、浮揚磁気ハーベスタ技術の原理を示しているが、注射器胴体及び/又はストッパロッドでの使用向けに更に最適化され得ることを理解されたい。この例示的デバイスにおいて、永久磁石は定置型コイル内でスライドし、磁場が動くにつれて電流を誘導する。薬剤送達で変位位置から解放されると、磁石は往復振動して交番電流を生成する。圧縮スプリング又は反発する磁石(図示)の何れかが磁石を極端位置に戻す。
【0161】
次に図34を参照すると、カンチレバービームハーベスタの例示的実施形態が提示されている。この実施形態は、カンチレバービームハーベスタ技術の原理を示しているが、注射器胴体及び/又はストッパロッドでの使用向けに更に最適化され得ることを理解されたい。この例示的デバイスでは、2つの磁石が、カンチレバービームの端部に、定置型底部取り付け銅コイルの何れかの側に取り付けられている。ビームが振動すると磁石が往復振動し、中央コイル内に電流を誘導する。
【0162】
図35~37を参照すると、軸方向磁束発生器の例示的実施形態が提示されている。この実施形態は、軸方向磁束発生器技術の原理を示しているが、注射器胴体及び/又はストッパロッドでの使用向けに更に最適化され得ることを理解されたい。この例示的デバイスでは、回転ロータ周囲の一連の磁石がステータコイル内に電流を誘導する。磁束とコイル軸の主方向は軸方向である。この配置構成は、プランジャロッドヘッド内への配置に適したコンパクトな「パンケーキ」形状フォームファクタを可能にする。軸方向磁束デバイスの更なる詳細は、参照により本明細書に援用される、ホームズA(Holmes, A.)、グードンH(Guodong, H.)及びプーレンK(Pullen, K.)著、「マイクロ発電用軸方向磁束永久磁石機械(Axial-Flux Permanent Magnet Machines for Micropower Generation)」、ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカルシステム(Journal of Microelectromechanical Systems),2005年,14(1),p.54~62に記載されている。ホームズ等によって行われた研究では、ステータコイルは、図36に示すようにプリント回路基板上に多層に製造されて、低製造コストを可能にしている。ロータは図37に示すように永久ディスク磁石を特徴とし、デバイスは、30,000rpmでステータ毎に1.1mWを生成した。
【0163】
次に図38を参照すると、クローポールマイクロジェネレータの例示的実施形態が提示されている。この実施形態は、クローポールマイクロジェネレータ技術の原理を示しているが、本明細書において後述する実施形態のように、注射器胴体及び/又はストッパロッドでの使用向けに更に最適化され得ることを理解されたい。幾つかの実施形態では、ロータは交番磁束方向を備えたセグメントに分割されている。鉄極片は磁束を銅コイルの周りに放射ループ状に指向させる。ロータが回転するにつれ、磁束は、1つのセグメントが1つの「爪(claw)」から次の爪に移動する度に方向を転換する。
【0164】
前述のエネルギーハーベスティング機構を駆動する為に運動及び/又は位置エネルギーの種々の源を用いてよい。幾つかの実施形態では、ユーザが注射器プランジャロッドを押下したときにエネルギーが提供され得る。図27は、エネルギーハーベスティングなしで1.0ml注射器の22mmストロークによってプランジャロッドを駆動するのに必要な典型的な力を描写している。患者による仕事量(使用されたエネルギー)は、力と距離の積から計算され得る。ストロークを通した一定の2Nの加えた力を簡略化すると以下の計算となる:
仕事量,E=F×d=2N×22mm=44mJ
幾つかの実施形態では、プランジャロッド押圧力からオンボードエレクトロニクスを駆動する為の上述の10mJの目標エネルギーを得る為に、23%の最小限の増加が必要である。
【0165】
図39を参照すると、注射器が使用された時に得られたエネルギーを保存する為にリーフスプリングが使用され得る。幾つかの実施形態では、リーフスプリングは図示のようにプランジャロッドのヘッド部分に配置されている。リーフスプリング上の磁石は、投与終了時にラッチ位置から解放され得る。次にリーフスプリングは、周囲のコイルを通じて弾性に往復動し、電流の流れを誘導する。
【0166】
次に図40を参照すると、注射器が使用されている時に得られたエネルギーを保存する為にトーションスプリングが使用され得る。幾つかの実施形態では、トーションスプリングは図示のようにプランジャロッドのヘッド部分に配置されている。トーションスプリングはデバイスアセンブリ上にプレロードされ定位置にラッチされていてよい。投与終了時に、スプリングがラッチ解除され、自由回転できる磁気ロータを回転させる。ロータが回転するにつれ、ロータリージェネレータ内に電流が誘導される。この特定の実施形態では軸方向磁束発生器タイプが利用される。
【0167】
図41を参照すると、注射器が使用されているときに得られたエネルギーを保存する為にクロックスプリングが使用され得る。幾つかの実施形態では、クロックスプリングは図示のようにプランジャロッドのヘッド部分に配置されている。この配置構成は、複数巻のプリロードがロータに配置されることを可能にする。弾性エネルギーが解放されると、ロータは、そのスプリング接続を介して一方向に自由回転するか、又は往復振動し得る。この特定の実施形態ではクローポールジェネレータタイプが利用される。
【0168】
当然ながら、注射器の使用中に電気エネルギーに変換される位置エネルギーを保存する為に、他のスプリング構成(図示せず)も使用され得る。トーションスプリング及びクロックスプリングでは、保存弾性エネルギーは、偏向角度の二乗に比例し得る。従って、動作範囲が小さい剛性のスプリングよりも、偏向角度が大きいスプリングが優先的に選択され得る。幾つかの実施形態では、保存エネルギーは、14mJ~280mJの幅がある。幾つかの実施形態では、ピークロータ速度は1,000~30,000rpmの範囲である。別の実施形態では、ピークロータ速度は7,500~16,750rpmの範囲である。
【0169】
次に図42~43を参照すると、軸方向磁束発生器の別の例示的実施形態が提示されている。この実施形態では、図42に示すように、2つのコイル装荷プリント回路基板(PCB)間で8個の磁石が回転する。各PCBに取り付けられた鉄リング片が磁束帰還路を提供する。図43に示すように、PCBには4個1組で動作して、対応する電圧ブーストを提供する螺旋巻きコイルが配設され得る。図43の破線は、ロータが回転している場合の誘導電流の瞬時の方向を示している。図示のコイル配置構成は、ステータの1つの四分円に亘る。これらの同一の組が4つでPCBが完成する。各コイルセットは、他のコイルセットと直列で組み合わされて電圧ブーストを提供するか、又は並列で組み合わされて電流をブーストする。数十個のコイルを互いの上に積み重ねることを可能にする為に多層PCBが使用され得る。幾つかの実施形態では、PCBはコイルにつき6巻で96巻を有し、0.125mmのトラック幅と、0.125mmのギャップ幅を有している。磁石は交番するN-S構成でロータに接合され得る。磁石は、N42ネオジウムで形成されて、夫々3mmの直径、1mmの厚さ及び0.19kgの引力を有してよい。磁極片は1mm厚さの鉄鋼シートから切り出され得る。初期試験で、磁石の厚さを2mmに倍増すると、出力電圧に85%の利得をもたらし、2000rpmで1.89Vp-pの出力であった。
【0170】
次に図44~45を参照すると、軸方向磁束発生器の別の例示的実施形態が提示されている。この実施形態では、2層基板を利用する先行実施形態と比べて、8層PCBの使用により4倍のコイル数と対応する電圧増加を提供する。代替的に、図44に示すように、0.4mmシート厚さの4層基板が互いに挟設されて8層0.8mmフォーマットを提供してもよい。極片は、磁束帰還路における損失を低減するArnon7電磁鋼板から製造され得る。先行実施形態の8個の磁石配置構成の代わりに、本実施形態のロータフォーマットは、夫々が直径2mmと厚さ1mmを有する16個の磁石を利用する。
【0171】
図45は、4層の基板上のPCBの1つの四分円におけるコイルのレイアウトを示す。上方の2層は下方の2層から隔離されている。先行実施形態の電流経路は先ず層1と層2に亘って複製され、次に層3と層4に関して再び複製される。1つの貫通ビアが、層1を層2にのみ接続する。第2の貫通ビアが、層3を層4にのみ接続する。実際、この配置構成は、PCBにつき8個の独立したコイルセットを提供する。これらは次に、電圧出力を最大化する為に直列に接続され得る。2つの貫通ビアを収容し、トラックエリアの有効(半径方向)領域を増加させる為に、トラック幅とギャップ幅は0.004”、又は0.1mmに減少され得る。幾つかの実施形態では、銅の重量は35μm厚さ相当で1オンスである。
【0172】
初期試験で、軸方向磁束発生器のこの例示的実施形態に関して測定されたパワーは1.80mJ/s@2000rpmであった(理論上)。開回路電圧は1.89Vp-p@2000rpmであった。10mJ@2000rpmを生成する為の時間は5.56秒であった。15,000rpmの速度が観察されているスプリング駆動システムにおける出力を概算する為に開回路電圧をスケーリングすると、15Vp-pが達成可能であると示唆される。このAC電圧は有効にDCに整流する為に十分な高さである。
【0173】
次に図46を参照すると、クローポールマイクロジェネレータの別の例示的実施形態が提示されている。図46の左側はアセンブリの破断図を示すのに対し、右側は分解立体図を示している。この実施形態では、10個の永久磁石がロータの周囲に配置され、ロータを包囲するステータ上にワイヤコイルが配置されている。2つのクローポールステータ片がコイルの両側に挟設されている。ロータが環状アセンブリ内部で回転すると、コイル内に交番電流が誘導される。各ステータ上の5個のプロングが磁束通路として働く。アセンブリの外径は16.2mmであり、ステータ深さは5.5mmであり、ステータ壁厚さは0.6mmであり、磁石PCDは9mmである。10個のロータ磁石は夫々直径2.0mm、厚さ1.0mmであり、ロータの周りでN-S交番する。
【0174】
次に図47を参照すると、クローポールマイクロジェネレータのもう1つの例示的実施形態が提示されている。この実施形態では、ワイヤコイルステータは、磁石を保持しステータの外周の周りで回転する環状ロータから半径方向内側に配置されている。φ2mmの磁石をより大きい半径で配置することで、14個の磁石の為の空間を可能にし、各磁石はステータを通過してより高速で並進移動し、それによって電圧を増加させる。外側極片は磁束帰還路を提供する為のArnon7電磁鋼板の磁気リングであってよい。より微細なゲージの0.05mmワイヤは、先行実施形態と比べて、約1500巻で4倍の電圧利得を可能にする。コイル直径を縮小すると、ワイヤの長さと抵抗を減少させる。クローポールステータは最適性能の0.178mmArnon7電磁鋼板からレーザカットされて折り曲げられ得る。この例示的実施形態では、アセンブリの外径は16mmであり、ステータ深さは4.35mmであり、ステータ壁厚さは0.178mmであり、磁石PCDは13.2mmである。2000rpmで、この配置構成は16.6Vを生成する。
【0175】
次に図48A~50を参照すると、図46に示したものと類似したクローポールマイクロジェネレータの別の例示的実施形態が提示されている。この設計は、図示のように注射器 プランジャロッドの展開に関して最適化されている。この実施形態では、トーションスプリングはプランジャのシャフト部分の内部に配置されている。その遠位端はプランジャに回転可能に固定され、その近位端は、プランジャのヘッド部分に配置されたマイクロジェネレータの内部ロータに結合されている。トーションスプリングはデバイスの製造中に巻かれて、図示のようにその近位端に配置されたクラッチレリーズカラーによってそのチャージ状態に保持される。クラッチレリーズカラーは、そのエネルギーが解放されるまでスプリングの近位端が回転することを防止する。クラッチレリーズカラーは、プランジャがその送達完了(EOD)位置に達したときにプランジャヘッドの方に長手方向にスライドして、それによって、スプリングの近位端を自動的に離脱して、その保存されていたエネルギーをマイクロジェネレータを駆動する為に放出させるように構成され得る。図48A~48Bは、この例示的実施形態で使用され得るスプリングの詳細を提示する。
【0176】
マイクロジェネレータによって生成されるエネルギーを最大化する為に、ロータの慣性が減少され、スプリング/カプラの慣性が増加され得る。この構成と併せて、スプリングとロータとの間に脱結合機構を設けて、スプリングがロータにそのエネルギーを伝えたときにロータが自由回転することを可能にしてもよい。別の実施形態では、トーションスプリングの近位端はマイクロジェネレータロータに回転自在に固定される。このスプリング-質量制動構成は、ロータが意図的に振動して、振動間で回転方向を変えることを可能にする。
【0177】
次に図51及び52を参照すると、図48A~50で提供された例示的実施形態に関する電気的性能特性が提示されている。この実施形態では、スプリングとロータは振動するように設計されている。生成されたAC電圧をDCに変換する為に、電圧調整回路に全波ブリッジ整流器が追加され得る。生成されたエネルギーを獲得する為に、回路に静電容量が加えられ得る。幾つかの実施形態では、トーションスプリングから得られたエネルギーから3~5秒で3ボルトが生成される。図52に示された試験結果に関して、40オームコイルと正方形の磁石が用いられ、10オームの抵抗と、4.6ボルトの負荷試験未加工出力と、0.46アンペアの電流と、0.21ワットの電力が得られた。スプリング内部の3/32インチ直径のロッドと、図48A~48Bに示したものより軟性であり11巻のスプリングも使用された。別の実施形態では(図示せず)、スプリングへの負荷を増加させロータの速度を増加させる為に遊星ギアシステムが使用され得る。
【0178】
電池隔離:
電池を利用する本開示の実施形態において、本開示の態様は、電池をデバイスの他の構成要素から隔離する為の種々の構成要素を含む。図53~57を参照すると、種々の例示的実施形態が提示されている。これらの実施形態夫々において、電池は、ユーザがデバイスを捨てる前に電池を取り外せるように、注射器プランジャのヘッド部分に容易にアクセスできるように配置されている。図53は、トップ部分がスライドして開いて電池を露出させて取り出すスライドトップ構成を示す。図54は、トップが回転して開いて電池を露出させて取り外すフリップトップ構成を示す。図55は、トップ部分を解放する為にサイド部分が互いに引き寄せられる楕円形ポップトップ構成を示す。図56は、トップ部分を解放する為にサイド部分が互いに引き寄せられる円形ポップトップ構成を示す。図57は、指先を用いてイジェクトレバーを弾いて、図示のように電池を排出するサイドフリップアウトイジェクト構成を示す。
【0179】
使用方法:
本開示の態様は、主題薬剤送達システム及びデバイスを作動させて患者に薬剤ドーズを送達し、薬剤ドーズ投与に関する情報をデータ管理構成要素に記録する方法を含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、患者に薬剤ドーズを投与する前に主題システム又はデバイスの1つ以上の動作状態を検証することを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、患者に薬剤を投与する前に、主題システム又はデバイス内で薬剤を認証することを含む。
【0180】
一実施形態では、主題方法は、主題薬剤送達システムの薬剤送達カニューレを患者に挿入し、アクチュエーション構成要素の送達ストロークを完了し、それによって偏向構成要素に、センサによって検出される送達署名を生成させることを含む。送達署名の検出に応答して、センサ構成要素内の無線トランスミッタモジュールは薬剤ドーズ完了信号を含む報告をデータ管理システムに送信する。報告を受信すると、データ管理システムは患者への薬剤ドーズの投与を記録する。このステップを自動化することによって、ユーザは、薬剤の投与に関するより正確な記録維持が確実となる。更に、主治医又はヘルスケアネットワーク等の他当事者が、患者の医療記録、例えば、薬剤投与の履歴等に関するより正確な情報にアクセスし易くなる。
【0181】
幾つかの実施形態では、主題方法は、主題薬剤送達システム又はデバイスから1つ以上のデータ値が受信され、妥当性確認又は検証されて、その薬剤が患者への投与に適しているかどうかを決定する妥当性確認又は検証ステップを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、薬剤の真正性を確認する為の、1つ以上の薬剤識別特徴、例えば薬剤識別番号等の検証を含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、主題薬剤送達システム又はデバイスのセンサ構成要素から収集された複数のデータを分析して、1つ以上の環境パラメータを評価することを含む。例えば、一実施形態では、主題方法は、薬剤容器の温度履歴を分析して、患者への薬剤の投与の前に、薬剤容器が要求温度条件下で維持されていたことを検証することを含む。センサ構成要素を主題システム及びデバイスに含めることによって、真正性と、所与の薬剤の状態を検証することに係る多くのステップが、データ管理構成要素を用いて自動的に行われることができ、エンドユーザにより大きな利便性を提供し、より正確な安全及び投与情報を提供できる。
【0182】
幾つかの実施形態では、主題方法は、患者への薬剤の各投与の日付と時間を記録することによって薬剤投与レジメンへの改善された患者アドヒアランスを促進するように構成又は適合された、主題データ管理構成要素上のコンピュータアプリケーション(例えば、モバイルアプリケーション)を利用することを含む。幾つかの実施形態では、方法は、処方された薬剤投与レジメンに従って次回の薬剤ドーズの投与が何時発生すべきかを患者が正確に注意喚起され得るように、患者への各薬剤ドーズの投与の日付と時間を記録することを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、薬剤ドーズが指定された時間に投与されることになっているというリマインダーを患者に送信することを含む。例えば、幾つかの実施形態では、主題方法は、患者に薬剤ドーズを投与する1つ以上の定期リマインダーを送信することを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、所定時間、例えば、毎日特定の時間に患者にリマインダーを送信することを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、患者への次の薬剤ドーズの投与が何時行われるべきかを、患者の以前の薬剤投与に基づいて決定し、薬剤ドーズが投与予定時前の所定の時間(例えば、約1時間前、約30分前、又は約10分前)患者にリマインダーを送信することを包含する。幾つかの実施形態では、主題方法は、薬剤投与レジメンへの患者のアドヒアランスを監視して、患者が投与レジメンを適切に遵守していなかった場合に1人以上の第三者に通知を送信することを含む。例えば、幾つかの実施形態では、主題方法は、患者が投与レジメンを遵守していなかった場合に患者の家族の1人以上のメンバーに通知を送信することを含む。幾つかの実施形態では、主題方法は、患者が投与レジメンを遵守していなかった場合に1人以上の医療提供者(例えば、処方医師)に通知を送信することを含む。
【0183】
本開示の態様は、インターネットを介して、1つ以上の共有コンピュータ処理リソース及び/又はデータ保存部との間で、そのようなリソースがユーザによって必要とされるか又は使用される時に、情報を送信及び/又は受信することを含むインターネットベースのコンピューティング技術(「クラウドコンピューティング」技術としても知られる)を含む。そのような技術は、ユーザが、機器を個人的に購入して維持する必要なく、高機能のコンピューティング機器を利用することを可能にする。更に、インターネットベースのコンピューティング技術は、患者が公認する第三者、例えば、医療提供者、又は薬剤製造者によるユーザ情報へのアクセスを促進する。
【0184】
幾つかの実施形態では、主題方法は、1つ以上の薬剤識別特徴をリモートデータベースに送信し、それに応答して、データ管理システムによって記録され得る1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を受信することを含む。例えば、一実施形態では、主題方法は、第1の薬剤識別特徴(例えば、薬剤ロット番号)を主題システム又はデバイスから受信し、データ管理構成要素を用いて第1の薬剤識別特徴をリモートデータベースに送信することを含む。リモートデータベースは、第1の薬剤識別特徴を用いて1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を回収し、それは次にデータ管理構成要素に返送される。
【0185】
本開示の態様は、臨床試験の進捗を監視する方法に関する。幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム及びデバイスは、臨床試験における1人以上の個々の患者を電子的に追跡し、薬剤の各投与に関連する1つ以上の情報項目を記録する為に使用され得る。例えば、幾つかの実施形態では、主題薬剤送達システム及びデバイスは、臨床試験に関与する任意の人間の患者の権利の適切な保護を、臨床試験を投与している任意の人員に対してデータを匿名でレンダリングすることによって提供しながら、臨床試験の進捗を監視する為に用いられ得る。主題システム及びデバイスは、患者への成功した薬剤ドーズの投与に関する情報を送信及び/又は格納する為に用いられ得るものであり、情報は、臨床試験を投与している人員によって、臨床試験の進捗を監視する為にレビューされ得る。幾つかの実施形態では、主題システム及びデバイスは、例えば、臨床試験中の各患者に関する薬剤ロット番号等の1つ以上の薬剤識別特徴を記録する為に使用され得る。臨床試験進捗中の任意の時点で、及び/又は臨床試験の完了時に、薬剤識別情報は、試験の結果を分析する為に、例えば、1つ以上の薬剤識別特徴に応じた患者の反応を判断する為に使用され得る。
【0186】
幾つかの実施形態では、主題方法は、薬剤投与レジメンへの患者アドヒアランスの改善をもたらす。例えば、幾つかの実施形態では、上述のような主題方法の実施は、約1%~約75%又はそれ以上の範囲の量、例えば、約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は約70%又はそれ以上の量での、薬剤投与レジメンへの患者アドヒアランスの増加をもたらす。
【0187】
幾つかの実施形態では、主題方法は、患者への薬剤の投与後に主題システム及びデバイスの1つ以上の構成要素を分離し、個々の構成要素を個別に廃棄することを含む。例えば、一実施形態では、電子構成要素(例えば、回路基板構成要素、パワー構成要素等)を備えている主題システム又はデバイスの部分は、デバイスの残りの部分から分離されて、電子廃棄物取り扱い手順に従って廃棄され得る。非電子構成要素(例えば、ハウジング、薬剤容器等)は別個に廃棄され得る為、電子構成要素をデバイスの残りの部分から分離することは、電子廃棄物の量を低減する。
【0188】
同様に、幾つかの実施形態では、有害物質廃棄物(例えば、薬剤送達カニューレ、薬剤容器等)を備えた主題システム又はデバイスの部分は、デバイスの残りの部分から分離されて、有害物質廃棄物取り扱い手順に従って廃棄され得る。非有害物質構成要素(例えば、電子構成要素)は別個に廃棄され得る為、デバイスの残りの部分からの有害物質廃棄物の分離は、有害物質廃棄物の量を低減する。
【0189】
以下の例は、例示の為のみに提示されるものであり、如何なる意味でも本発明の範囲を限定することを意図していない。本開示では幾つかの実施形態が提示されているが、開示のシステム及び方法は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに多くの他の特定の形式で実現され得ることを理解されたい。本発明の実施例は例示的であって限定的ではないと見做されるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定する意図はない。種々の変更、置き換え及び代替例が、当業者によって確認され得るものであり、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに成され得る。
【0190】
本明細書を通じて引用された全ての文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0191】
実施例1:検出ターゲットからのインダクタンスプロファイルの測定
伸張構成要素上に配置された誘導型センサコイルを備えた偏向構成要素を備えたシステム(図8~13に描写されるように)を用いて、ガラス注射器の胴体を通した変位の関数としてのインダクタンスカウントを分析した。図58のパネルAに示された2つの検出ターゲットが試験された。検出ターゲットは、描写されている寸法を有する注射器胴体の表面上に配置された5つの箔バンドの連続パターンから成る。検出ターゲットから読み取られ得るインダクタンスプロファイルを試験する為に、誘導型センサコイルは先ず、200mm/分の一定速度で注射器胴体を通され、インダクタンスカウントが測定された。このプロセスは5個の異なるサンプルに関して繰り返され、結果は図58のパネルBに示されている。グラフに示すように、インダクタンスカウントは、誘導型センサコイルが検出ターゲットの各バンドを通過することに応答して幾何学的に変動し、非常に再現性が高かった。
【0192】
次に、異なる注入速度を用いてインダクタンスプロファイルが試験された。試験された注入持続時間は、同じ注入距離に関して3、5及び10秒で、それによって3つの異なる注入速度をもたらした。結果は図58のパネルCに提示されている。グラフに示すように、変位位置の関数としてのインダクタンスカウントは、全3種の注入速度に関して非常に再現性が高く、試験された検出ターゲットから得られたインダクタンスカウントが、注入側の範囲に亘り送達署名として信頼性高く使用され得ることを示している。これらの結果は、注射器ストッパロッド内に配置された誘導型センサコイルと、注射器胴体上に配置された検出ターゲットの組み合わせが、正確且つ再現性の高い方式で使用されて、送達ストロークの成功した完了を検証する為の送達署名として使用され得るインダクタンスプロファイルを生成するということを示している。
〔付記1〕
注射器ストッパロッドであって、
無線トランスミッタモジュールを備えたセンサと、
前記注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向構成要素とを備え、
前記無線トランスミッタモジュールは、前記センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている、
注射器ストッパロッド。
〔付記2〕
前記偏向構成要素が、
注射器胴体によって圧縮された場合に内側方向に偏向するように構成された複数のトリガスイッチと、
前記ストッパロッド上に配置されて、各トリガスイッチの内側方向への偏向を個別に検出するように構成された回路基板構成要素と、
を備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記3〕
少なくとも1つの内部トリガスイッチ接触アセンブリを更に備えている、付記2に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記4〕
前記内部トリガスイッチ接触アセンブリは、トリガスイッチと内部回路基板構成要素の間に配置されている、付記3に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記5〕
前記回路基板構成要素は、導電性ゴムスイッチパッドを備えている、付記2に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記6〕
前記ストッパロッドの第1の側部に配置された少なくとも2つのトリガスイッチを備えた付記2に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記7〕
前記少なくとも2つのトリガスイッチの反対側の前記ストッパロッドの第2の側部に配置された1つ以上のセンタリング構成要素を更に備えた付記6に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記8〕
少なくとも2つのトリガスイッチを備え、1つのトリガスイッチは前記ストッパロッドの第1の側部に配置され、1つのトリガスイッチは、前記ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている、付記2に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記9〕
前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、前記注射器ストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置されている、付記8に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記10〕
前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、前記注射器ストッパロッドに沿った異なる長手位置に配置されている、付記8に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記11〕
前記注射器ストッパロッドは少なくとも4つのトリガスイッチを備え、少なくとも2つのトリガスイッチは前記注射器ストッパロッドの第1の側部に配置され、少なくとも2つのトリガスイッチは、前記注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部に配置されている、付記6に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記12〕
前記注射器ストッパロッドの第1の側部上の前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、前記注射器ストッパロッドの反対側の第2の側部上の前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々と、前記注射器ストッパロッドに沿った同じ長手位置に配置されている、付記11に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記13〕
前記注射器ストッパロッドの第1の側上の前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々は、前記注射器ストッパロッドの第2の、反対側上の前記少なくとも2つのトリガスイッチ夫々とは、前記注射器ストッパロッドに沿った異なる長手位置に配置されている、付記11に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記14〕
前記注射器ストッパロッドは第1の物質を含み、前記トリガスイッチは前記注射器ストッパロッドに一体化され、前記第1の物質を含む、付記2乃至13の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記15〕
前記1つ以上のトリガスイッチは、前記第1の物質とは異なる第2の物質を含む付記14に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記16〕
前記少なくとも1つのトリガスイッチはアライメント構成要素を備えている、付記14に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記17〕
前記アライメント構成要素は半円タブを備えている、付記16に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記18〕
前記トリガスイッチは、前記注射器ストッパロッドから分離可能な外部トリガスイッチアセンブリに一体化されている付記2乃至17の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記19〕
前記注射器ストッパロッドは第1の物質を含み、前記外部トリガスイッチアセンブリは、前記第1の物質とは異なる第2の物質を含む付記18に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記20〕
1つ以上のトリガスイッチの偏向範囲を制限するように構成された1つ以上の偏向制限構成要素を更に備えた付記18又は19の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記21〕
前記少なくとも1つの偏向制限構成要素は、各トリガスイッチに隣接して前記注射器ストッパロッド上に配置されている付記20に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記22〕
前記偏向制限構成要素は半円タブを備えている、付記21に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記23〕
前記送達署名は、前記トリガスイッチの偏向序列、各トリガスイッチの偏向持続時間、第1のトリガスイッチの偏向と第2のトリガスイッチの偏向との間の時間に対応する1つ以上の時間間隔、又はそれらの任意の組み合わせを含む付記2乃至22の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記24〕
前記偏向構成要素は力センサを含む付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記25〕
前記力センサは絶対力センサ又は相対力センサである付記24に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記26〕
前記偏向構成要素は、ユーザによって前記注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第1の検出ターゲットの方に移動するように構成された第1の誘導型センサコイルを備えた回路基板センサ構成要素を備えている、付記24に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記27〕
前記第1の検出ターゲットは前記注射器ストッパロッドの内面に配置されている、付記26に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記28〕
前記第1の検出ターゲットは前記注射器ストッパロッドの外面に配置されている、付記26に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記29〕
前記第1の検出ターゲットは親指パッド上に配置されている付記26に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記30〕
前記第1の検出ターゲットは導電物質を含む付記26乃至29の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記31〕
前記送達署名はユーザによって前記注射器ストッパロッドに印加された注入力プロファイルを含む付記26に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記32〕
前記注入力プロファイルは、降伏応力、衡応力、投与終了力、又はそれらの任意の組み合わせを含む、付記31に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記33〕
前記注入力プロファイルは更に、降伏応力に関連する第1の時間間隔及び/又は力の大きさと、衡応力に関連する第2の時間間隔及び/又は力の大きさと、投与終了力に関連する第3の時間間隔及び/又は力の大きさを含む、付記32に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記34〕
前記注入力プロファイルは、送達ストロークを示す特徴的形状を含む、付記33に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記35〕
注射器ストッパロッドであって、
無線トランスミッタモジュールを備えたセンサと、
前記注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された伸張構成要素とを備え、
前記伸張構成要素は前記注射器ストッパロッドの中心腔内で伸張し、
(i)ユーザによって前記注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第1の検出ターゲットの方に移動するように構成された第1の誘導型センサコイル、及び、
(ii)注射器胴体内に配置された第2の検出ターゲットを検出するように構成された第2の誘導型センサコイル、 を備え、
前記無線トランスミッタモジュールは、前記センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている、注射器ストッパロッド。
〔付記36〕
前記送達署名は、前記第1及び第2の誘導型センサコイルによる前記第1及び第2の検出ターゲットの検出を含む、付記35に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記37〕
前記第2の検出ターゲットは一様な幾何形状を備え、前記送達署名は、前記第2の誘導型センサコイルによって一様な幾何形状の1つ以上の態様を検出して前記送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む付記35又は36の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記38〕
前記第2の検出ターゲットは反復幾何形状を含み、前記送達署名は、前記第2の誘導型センサコイルによって反復幾何形状の1つ以上の態様を検出して前記送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む付記35又は36の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記39〕
前記第1及び第2の検出ターゲットは導電性物質を含む付記35乃至38の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記40〕
前記送達署名は、前記送達ストロークを示す特徴的形状を含む付記35乃至39の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記41〕
注射器ストッパロッドであって、
無線トランスミッタモジュールを備えたセンサと、
前記注射器ストッパロッドの送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された伸張構成要素とを備え、
前記伸張構成要素は前記注射器ストッパロッドの中心腔内で伸張し、可変幾何形状を備え注射器胴体上に配置された第1の検出ターゲットを検出するように構成された第1の誘導型センサコイルを備え、
前記無線トランスミッタモジュールは、前記センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されている、注射器ストッパロッド。
〔付記42〕
前記送達署名は、前記第1の誘導型センサコイルによって前記第1の検出ターゲットの前記可変幾何形状の1つ以上の態様を検出して、前記送達ストロークの進捗又は完了を測定することを含む付記41に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記43〕
ユーザによって前記注射器ストッパロッドに印加された力に応答して第2の検出ターゲットの方に移動するように構成された第2の誘導型センサコイルを更に備えた付記41乃至42の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記44〕
前記送達署名は、前記第1及び第2の誘導型センサコイルによる前記第1及び第2の検出ターゲットの検出を含む付記43に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記45〕
前記送達署名は、前記送達ストロークを示す特徴的形状を含む付記41乃至44の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記46〕
前記第1及び第2の検出ターゲットは導電性物質を含む付記41乃至45の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記47〕
インジケータ構成要素を更に備えた付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記48〕
前記インジケータ構成要素はユーザに準備完了状態を示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記49〕
前記インジケータ構成要素は、ユーザに準備未完了状態を示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記50〕
前記インジケータ構成要素は、ユーザに投与進行中状態を示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記51〕
前記インジケータ構成要素は、ユーザに投与完了状態を示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記52〕
前記インジケータ構成要素はユーザにスリープモードを示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記53〕
前記インジケータ構成要素はユーザに低電池状態を示唆するように構成されている、付記47に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記54〕
前記インジケータ構成要素は視覚的インジケータ構成要素である付記48乃至53の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記55〕
前記視覚的インジケータ構成要素は発光構成要素を備えている、付記54に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記56〕
前記発光構成要素は発光ダイオード(LED)を備えている、付記55に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記57〕
前記発光構成要素は有機発光ダイオード(OLED)を備えている、付記55に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記58〕
ライトパイプを更に備えた付記54に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記59〕
前記インジケータ構成要素は触覚インジケータ構成要素である付記48乃至53の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記60〕
前記触覚インジケータ構成要素は振動構成要素を備えている、付記59に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記61〕
前記インジケータ構成要素は聴覚インジケータ構成要素である付記48乃至53の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記62〕
前記聴覚インジケータ構成要素は複数の独自の音響を生成するように構成されている、付記61に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記63〕
前記センサ構成要素は光センサを更に備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記64〕
前記センサ構成要素を収容するように構成されたセンサハウジングを更に備え、前記センサハウジングは、周囲光が光センサに接触することを可能にするように構成された窓を備えている、付記63に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記65〕
前記センサ構成要素はモーションセンサを更に備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記66〕
前記センサ構成要素はタッチセンサを更に備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記67〕
ユーザからの皮膚接触を検出するように構成された静電容量センサ構成要素を更に備えている、付記66に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記68〕
前記静電容量センサ構成要素は注射器ストッパロッドの外面に配置されている、付記67に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記69〕
前記注射器ストッパロッドは親指パッドを備え、前記静電容量センサ構成要素は前記親指パッドの内面に配置されている、付記67に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記70〕
前記センサ構成要素は更に温度センサを備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記71〕
前記センサ構成要素は不揮発性メモリ構成要素を備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記72〕
前記不揮発性メモリ構成要素は少なくとも1つの薬剤識別特徴を備えている、付記71に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記73〕
前記少なくとも1つの薬剤識別特徴は、センサの不揮発性メモリ構成要素に符号化されている、付記72に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記74〕
前記不揮発性メモリ構成要素は、ユニバーサルユニーク識別子(UUID)で無線伝送を用いてプログラムされるように構成されている、付記71乃至73の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記75〕
前記少なくとも1つの薬剤識別特徴は前記薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素に符号化され、前記センサ構成要素は、前記薬剤容器上の前記不揮発性メモリ構成要素からの少なくとも1つの薬剤識別特徴を、前記センサ上の前記不揮発性メモリ構成要素に転送するように構成されている、付記71に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記76〕
前記センサ構成要素は、前記薬剤容器上の前記不揮発性メモリ構成要素からの前記少なくとも1つの薬剤識別特徴を、前記センサ上の前記不揮発性メモリ構成要素に無線転送するように構成されている、付記75に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記77〕
前記少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、付記72乃至76の何れか一項に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記78〕
デバイス名、タイプ、モデル番号、シリアル番号、ロット番号、製造日、製造地、ユニバーサルユニーク識別子(UUID)又はそれらの任意の組み合わせから選択された1つ以上のデバイス識別特徴を更に含む付記77に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記79〕
前記注射器ストッパロッドの遠位端は、前記注射器ストッパロッドを前記注射器ストッパに機械的に結合するように構成されたカプラ構成要素を備えている、付記1に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記80〕
前記カプラ構成要素は、ネジ式カプラ構成要素、粘着結合構成要素、スナップフィットカプラ構成要素、磁気カプラ又はそれらの任意の組み合わせを含む付記79に記載の注射器ストッパロッド。
〔付記81〕
薬剤送達システムであって、
ハウジングと、
薬剤容器と、
薬剤送達カニューレと、
アクチュエーション構成要素を備え、前記アクチュエーション構成要素が、
アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成された偏向又は伸張構成要素を備え、
無線トランスミッタモジュールは、センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成され、更に、
センサ構成要素から報告を受信し記録するように構成されたデータ管理構成要素を備えている、薬剤送達システム。
〔付記82〕
前記センサは、少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴で符号化された不揮発性メモリ構成要素を備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記83〕
前記薬剤容器は、少なくとも1つの薬剤識別特徴が符号化された不揮発性メモリ構成要素を備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記84〕
前記センサは、前記薬剤容器上の不揮発性メモリ構成要素から前記少なくとも1つの薬剤識別特徴を取得するように構成されている付記83に記載の薬剤送達デバイス。
〔付記85〕
前記少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される付記83乃至84の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記86〕
前記薬剤容器は注射器を含む付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記87〕
前記注射器はプレフィルド注射器である付記86に記載の薬剤送達システム。
〔付記88〕
前記薬剤容器はバイアルを含む付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記89〕
薬剤容器はカートリッジを含む付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記90〕
前記薬剤容器は前記ハウジングに着脱自在に結合されている付記81乃至89の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記91〕
前記薬剤送達カニューレは針を備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記92〕
前記針はハウジングに着脱自在に結合されている、付記91に記載の薬剤送達システム。
〔付記93〕
針シールドを更に備えた付記91乃至92の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記94〕
前記薬剤送達カニューレはカテーテルを備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記95〕
前記カテーテルは留置可能なカテーテルである付記94に記載の薬剤送達システム。
〔付記96〕
前記アクチュエーション構成要素は前記薬剤容器に着脱自在に結合されている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記97〕
前記薬剤容器は注射器を備えており、前記アクチュエーション構成要素は、付記1乃至65の何れか一項に記載の注射器ストッパロッドを備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記98〕
前記薬剤送達カニューレは針を備え、前記薬剤送達システムは更に針安全デバイスを備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記99〕
前記針安全デバイスは、前記アクチュエーション構成要素による送達ストロークが完了すると前記針を隔離するように構成されている付記98に記載の薬剤送達システム。
〔付記100〕
指掛け用フランジ構成要素を更に備えた付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記101〕
前記データ管理システムはモバイルコンピューティングデバイスを備えている、付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記102〕
前記モバイルコンピューティングデバイスはスマートフォンである付記101に記載の薬剤送達システム。
〔付記103〕
前記スマートフォンは、患者への薬剤ドーズの投与を記録するように構成されたコンピュータアプリケーションを備えている、付記102に記載の薬剤送達システム。
〔付記104〕
前記報告は薬剤温度値を含む付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記105〕
前記報告はドーズ量を含む付記81に記載の薬剤送達デバイス。
〔付記106〕
前記報告はドーズ投与タイムスタンプを含む付記81に記載の薬剤送達デバイス。
〔付記107〕
前記報告は地理的位置を含む付記81に記載の薬剤送達デバイス。
〔付記108〕
前記報告は解剖学的部位を含む付記81に記載の薬剤送達デバイス。
〔付記109〕
前記報告は薬剤確認信号を含む付記81に記載の薬剤送達システム。
〔付記110〕
前記薬剤確認信号は少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴を含む付記109に記載の薬剤送達システム。
〔付記111〕
前記少なくとも1つの固有の薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される付記110に記載の薬剤送達システム。
〔付記112〕
前記データ管理構成要素は薬剤確認信号を検証するように構成されている付記109乃至111の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記113〕
前記データ管理構成要素は、薬剤確認信号を利用して1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を取得するように構成されている、付記109乃至111の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記114〕
前記1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される付記113に記載の薬剤送達システム。
〔付記115〕
前記データ管理構成要素は、前記薬剤確認信号をリモートデータベースに送信して、それに応答して前記1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を受信するように構成される付記113乃至114の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記116〕
前記データ管理構成要素はインターネットによって可能となるデータ管理構成要素であり、インターネットを介してリモートデータベースに前記薬剤確認信号を無線送信し、それに応答してインターネットを介して前記1つ以上の付加的な固有の薬剤識別特徴を無線受信するように構成されている、付記115に記載の薬剤送達システム。
〔付記117〕
患者への薬剤ドーズの投与を記録する為の方法であって、
前記患者に付記81乃至116の何れか一項に記載の薬剤送達システムの薬剤送達カニューレを挿入し、
アクチュエーション構成要素の送達ストロークを完了し、それによって、偏向又は伸張構成要素に、センサによって検出される送達署名を生成させて、無線トランスミッタモジュールに、薬剤ドーズ完了信号を含む報告をデータ管理構成要素に送信させ、
前記報告を受信して前記データ管理構成要素内に記録し、それによって前記患者への薬剤ドーズの投与を記録する、ことを含む方法。
〔付記118〕
前記データ管理システムはモバイルコンピューティングデバイスを備えている、付記117に記載の方法。
〔付記119〕
前記モバイルコンピューティングデバイスはスマートフォンである付記118に記載の方法。
〔付記120〕
前記スマートフォンは、患者への薬剤ドーズの投与を記録するように構成されたコンピュータアプリケーションを備えている、付記119に記載の方法。
〔付記121〕
前記報告は薬剤温度値を含む付記117に記載の方法。
〔付記122〕
前記報告はドーズ量を含む付記117に記載の方法。
〔付記123〕
前記報告はドーズ投与タイムスタンプを含む付記117に記載の方法。
〔付記124〕
前記報告は、地理的位置を含む付記117に記載の方法。
〔付記125〕
前記報告は解剖学的部位を含む付記117に記載の方法。
〔付記126〕
前記報告は薬剤確認信号を含む付記117に記載の方法。
〔付記127〕
前記薬剤確認信号は少なくとも1つの薬剤識別特徴を含む付記126に記載の方法。
〔付記128〕
前記少なくとも1つの薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される付記127に記載の方法。
〔付記129〕
更に、前記薬剤確認信号を検証することを含む付記126乃至128の何れか一項に記載の方法。
〔付記130〕
更に、固有の薬剤確認信号を利用して1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を取得することを含む付記126乃至128の何れか一項に記載の方法。
〔付記131〕
前記1つ以上の付加的な薬剤識別特徴は、薬剤名、薬剤濃度、薬剤ドーズ、薬剤ドーセージ、シリアル番号、ロット番号、有効期限、製造所又はそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、付記130に記載の方法。
〔付記132〕
更に、前記薬剤確認信号をリモートデータベースに送信し、それに応答して前記1つ以上の付加的な薬剤識別特徴を受信することを含む付記130乃至131の何れか一項に記載の方法。
〔付記133〕
前記データ管理構成要素はインターネットによって可能となるデータ管理構成要素であり、前記方法は、前記薬剤確認信号をインターネットを介してリモートデータベースに無線送信し、それに応答してインターネットを介して前記1つ以上の付加的な薬剤確認特徴を無線受信することを含む付記132に記載の方法。
〔付記134〕
薬剤送達システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内の薬剤容器と、
前記薬剤容器と流体連通している薬剤送達カニューレと、
アクチュエーション構成要素であって、前記アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成されたアクチュエーション構成要素と、
センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されたトランスミッタモジュールと、
前記アクチュエーション構成要素と前記センサと前記トランスミッタモジュールに電気エネルギーを供給するように構成されたエネルギーハーベスティングシステムと、
を備えた薬剤送達システム。
〔付記135〕
前記薬剤送達システムは電池を含まない付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記136〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは環境中の放射線からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記137〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは流体流からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム
〔付記138〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは光起電性電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記139〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは圧電式電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記140〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは焦電性電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記141〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは熱電性電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記142〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは静電電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記143〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは化学的電源からエネルギーを回収する付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記144〕
前記エネルギーハーベスティングシステムは磁気誘導を用いてエネルギーを得る付記134に記載の薬剤送達システム。
〔付記145〕
前記磁気誘導はインパルスエネルギーハーベスタ構成にある付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記146〕
前記磁気誘導は浮揚磁気ハーベスタ構成にある付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記147〕
前記磁気誘導はカンチレバービームハーベスタ構成にある付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記148〕
前記磁気誘導は軸方向磁束発生器構成にある付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記149〕
前記磁気誘導はクローポールマイクロジェネレータ構成にある付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記150〕
前記エネルギーハーベスティングシステムはリーフスプリングを備えている、付記134又は144に記載の薬剤送達システム。
〔付記151〕
前記エネルギーハーベスティングシステムはトーションスプリングを備えている、付記134又は144に記載の薬剤送達システム。
〔付記152〕
前記エネルギーハーベスティングシステムはクロックスプリングを備えている、付記134又は144に記載の薬剤送達システム。
〔付記153〕
前記スプリングはアクチュエーション構成要素の近位ヘッド部分に配置されている、付記150乃至152の何れか一項に記載の薬剤送達システム。
〔付記154〕
前記トーションスプリングは前記アクチュエーション構成要素の遠位ロッド部分に配置されている、付記151に記載の薬剤送達システム。
〔付記155〕
前記トーションスプリングはジェネレータのロータに回転可能に固定して結合され、それで、前記スプリングから前記ロータにエネルギーが伝えられた後で、前記ロータと前記スプリングが振動することが可能になる、付記151に記載の薬剤送達システム。
〔付記156〕
前記トーションスプリングはジェネレータのロータに回転可能に、解除可能に結合され、それにより、前記スプリングから前記ロータにエネルギーが伝えられた後で、前記ロータは自由に回転できる、付記151に記載の薬剤送達システム。
〔付記157〕
少なくとも1つのプリント回路基板上に形成された複数のコイルを更に備えた付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記158〕
前記少なくとも1つのプリント回路基板は、2層を超える導電層を備えている、付記157に記載の薬剤送達システム。
〔付記159〕
ステータ内に配置されたロータを有するジェネレータを更に備えた付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記160〕
ロータ内に配置されたステータを有するジェネレータを更に備えた付記144に記載の薬剤送達システム。
〔付記161〕
薬剤送達システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内の薬剤容器と、
前記薬剤容器と流体連通している薬剤送達カニューレと、
アクチュエーション構成要素であって、前記アクチュエーション構成要素の送達ストロークに応答して送達署名を生成するように構成されたアクチュエーション構成要素と、
センサが前記送達署名を検出した場合に薬剤ドーズ完了信号を含む報告を送信するように構成されたトランスミッタモジュールと、
前記アクチュエーション構成要素と前記センサと前記トランスミッタモジュールに電気エネルギーを供給するように構成された電池と、を備え、前記電池は前記アクチュエーション構成要素の近位ヘッド部分に着脱自在に配置されている、薬剤送達システム。
〔付記162〕
前記ヘッド部分は、トップ部分がスライドして開いて前記電池を露出させて前記電池の取り外しを可能にするスライドトップ構成を備えている、付記161に記載の薬剤送達システム。
〔付記163〕
前記ヘッド部分は、トップ部分が回転して開いて前記電池を露出させて前記電池の取り外しを可能にするフリップトップ構成を備えている、付記161に記載の薬剤送達システム。
〔付記164〕
前記ヘッド部分は、トップ部分を解放する為に前記ヘッド部分の側部が互いに引き寄せられるポップトップ構成を備えている、付記161に記載の薬剤送達システム。
〔付記165〕
前記ヘッド部分は、ユーザの指を用いてイジェクトレバーを弾いて前記電池を排出するサイドフリップアウトイジェクト構成を備えている、付記161に記載の薬剤送達システム。
図1
図2
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