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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20240620BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M10/44 101
H02J7/00 302A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020566347
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2020050043
(87)【国際公開番号】W WO2020148599
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2019004842
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
(72)【発明者】
【氏名】井上 広樹
(72)【発明者】
【氏名】上妻 宗広
(72)【発明者】
【氏名】福留 貴浩
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-187577(JP,A)
【文献】特開2011-61391(JP,A)
【文献】特開2013-233072(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2043224(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0116852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池モジュールと、第1の回路と、を備える半導体装置であって、
前記二次電池モジュールは、二次電池と、センサと、を有し、
前記第1の回路は、可変抵抗を有し、
前記センサは、前記二次電池の温度を検知する機能を有し、
前記第1の回路は、
前記二次電池の充電電圧を判定し第1の結果を出力する機能と、
前記センサが検出する前記二次電池の温度を判定し第2の結果を出力する機能と、
前記第1の結果および前記第2の結果に基づいて前記可変抵抗の大きさを決定する機能と、
前記可変抵抗を介して前記充電電圧を放電させる機能と、
前記充電電圧が指定された電圧に達すると放電を停止させる機能と、を有する、半導体装置。
【請求項2】
二次電池モジュールと、第1の回路と、を備える半導体装置であって、
前記二次電池モジュールは、二次電池と、センサと、を有し、
前記センサは、前記二次電池の温度を検知する機能を有し、
前記第1の回路は、第2の回路と、第3の回路と、を有し、
前記第2の回路は、ルックアップテーブルと、第1の比較回路と、第2の比較回路と、を有し、
前記第3の回路は、放電制御回路と、可変抵抗と、を有し、
前記ルックアップテーブルは、
前記二次電池の充電電圧を電圧範囲に分類するための第1の分類条件を有し、
前記二次電池の温度を温度範囲に分類するための第2の分類条件を有し、
前記第1の比較回路は、前記二次電池の充電電圧を前記第1の分類条件によって分類し第1の結果として出力する機能を有し、
前記第2の比較回路は、前記二次電池の温度を前記第2の分類条件によって分類し第2の結果として出力する機能を有し、
前記放電制御回路は、
前記第1の結果および前記第2の結果に基づいて、前記二次電池からの放電が必要かを判定する機能と、
前記可変抵抗の大きさを決定する機能と、
前記可変抵抗を介して前記充電電圧を放電させる機能と、
前記充電電圧が指定された電圧に達すると放電を停止させる機能と、を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項において、
前記温度範囲は、前記二次電池の充電時の許容温度範囲外の温度である半導体装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記温度範囲は、第1の温度範囲と、前記第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲と、を有し、
前記第1の回路は、前記第2の温度範囲にある前記二次電池からの放電量が、前記第1の温度範囲にある前記二次電池からの放電量よりも大きくなるように制御する半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の回路は、第1のメモリと、第2のメモリを有し、
前記第1のメモリは、前記二次電池の温度の判定条件を保持し、
前記第2のメモリは、前記二次電池の充電電圧の判定条件を保持する半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1のメモリと前記第2のメモリはそれぞれ、トランジスタと、キャパシタとを有し、
前記トランジスタは、半導体層に金属酸化物を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置に関する。また、半導体装置の動作方法に関する。また、本発明の一態様は、二次電池制御回路、放電制御回路、異常検知回路、セルバランス制御回路、二次電池制御システム、バッテリマネージメントシステム、および電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうるもの全般を指す。よって、トランジスタやダイオードなどの半導体素子や半導体回路は半導体装置である。また、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、および電子機器などは、半導体素子や半導体回路を含む場合がある。よって、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、撮像装置、および電子機器なども、半導体装置と呼ばれる場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末、ゲーム装置、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、または、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車、電動バイクなど、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0005】
特許文献1は、電池の使用環境および電池の状態に応じた適切な電力で充放電を行う構成について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-187577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リチウムイオン二次電池は、高温の状態で放置されると電池容量の劣化が大きくなるという性質があり、充電率が高い(電池電圧が高い)と更に劣化が大きくなる傾向がある。特許文献1に示されている構成では、温度検出手段により検出された二次電池の温度が所定の温度以上の場合、その温度に応じて充放電電力の上限値を超えないように充放電電力を制御する充放電制御装置が示されている。
【0008】
ただし、高温の状態で放置されている二次電池を管理するためには、制御用プロセッサが必要である。また、電子機器が休止状態であっても、制御用プロセッサは二次電池の温度と充電特性とを管理しているため、消費電力の低減が難しいという課題がある。
【0009】
本発明の一態様は、高温の状態で放置された二次電池の電池容量が劣化することを抑制することができる半導体装置などを提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、消費電力を低減する半導体装置などを提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、信頼性の良好な半導体装置などを提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置を用いた電子機器などを提供することを課題の一つとする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、二次電池モジュールと、第1の回路と、を備える半導体装置である。二次電池モジュールは、二次電池と、センサと、を有する。第1の回路は、可変抵抗を有する。センサは、二次電池の温度を検知する機能を有する。第1の回路は、二次電池の充電電圧を判定し第1の結果を出力する機能と、センサが検出する二次電池の温度を判定し第2の結果を出力する機能と、第1の結果および第2の結果に基づいて可変抵抗の大きさを決定する機能と、可変抵抗を介して充電電圧を放電させる機能と、充電電圧が指定された電圧に達すると放電を停止させる機能と、を有することができる。
【0012】
本発明の一態様は、二次電池モジュールと、第1の回路と、を備える半導体装置である。二次電池モジュールは、二次電池と、センサと、を有する。センサは、二次電池の温度を検知する機能を有する。第1の回路は、第2の回路と、第3の回路と、を有する。第2の回路は、ルックアップテーブルと、第1の比較回路と、第2の比較回路と、を有する。第3の回路は、放電制御回路と、可変抵抗と、を有する。ルックアップテーブルは、二次電池の充電電圧を電圧範囲に分類するための第1の分類条件を有し、二次電池の温度を温度範囲に分類するための第2の分類条件を有する。第1の比較回路は、二次電池の充電電圧を第1の分類条件によって分類し第1の結果として出力する機能を有する。第2の比較回路は、二次電池の温度を第2の分類条件によって分類し第2の結果として出力する機能を有する。放電制御回路は、第1の結果および第2の結果に基づいて、二次電池からの放電が必要かを判定する機能と、可変抵抗の大きさを決定する機能と、可変抵抗を介して充電電圧を放電させる機能と、充電電圧が指定された電圧に達すると放電を停止させる機能と、を有することができる。
【0013】
上記構成において、温度範囲は、二次電池の充電時の許容温度範囲外の温度であることが好ましい。
【0014】
上記構成において、温度範囲は、第1の温度範囲と、第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲と、を有する。第1の回路は、第2の温度範囲にある二次電池からの放電量が、第1の温度範囲にある二次電池からの放電量よりも大きくなるように制御することが好ましい。
【0015】
上記構成において、第1の回路は、第1のメモリと第2のメモリを有し、第1のメモリは二次電池の温度の判定条件を保持し、第2のメモリは二次電池の充電電圧の判定条件を保持することができる。
【0016】
上記構成において、第1のメモリと第2のメモリはそれぞれ、トランジスタと、キャパシタとを有し、トランジスタは、半導体層に金属酸化物を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様は、高温の状態で放置された二次電池の電池容量が劣化することを抑制することができる半導体装置などを提供することができる。または、本発明の一態様は、消費電力を低減する半導体装置などを提供することができる。または、本発明の一態様は、信頼性の良好な半導体装置などを提供することができる。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置を用いた電子機器などを提供することができる。
【0018】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1は、二次電池制御回路を説明する図である。
図2は、二次電池制御回路を説明する図である。
図3は、二次電池制御回路を説明する回路図である。
図4は、二次電池制御回路の動作例を説明する図である。
図5は、二次電池制御回路を説明する図である。
図6A図6Bは、メモリを説明する回路図である。
図7Aは、コイン型の二次電池の外観図を説明する図である。図7Bは、コイン型の二次電池の断面図を説明する図である。図7Cは、二次電池の電流の流れを説明する図である。
図8Aは、円筒型二次電池の外観図を説明する図である。図8Bは、円筒型二次電池の断面図を説明する図である。図8Cは、二次電池モジュールを説明する図である。図8Dは、二次電池モジュールの上面図を説明する図である。
図9A図9Bは、二次電池の外観図を説明する図である。
図10A図10B図10C図10Dは、二次電池の例を説明する図である。
図11A図11Bは、二次電池の構成を説明する図である。
図12は、二次電池の構造(捲回体)を説明する図である。
図13A図13B図13Cは、貼り合わせ型の二次電池を説明する図である。
図14A図14Bは、貼り合わせ型の二次電池を説明する図である。
図15は、二次電池の外観を示す図である。
図16は、二次電池の外観を示す図である。
図17A図17B図17Cは、二次電池の作製方法を説明するための図である。
図18Aは、曲げることのできる二次電池の上面図を説明する図である。図18B図18C図18Dは、曲げることのできる二次電池の断面図を説明する図である。図18Eは、二次電池の曲げたときの断面図を説明する図である。
図19A図19Bは、曲げることのできる二次電池を説明する図である。
図20A乃至図20Hは、電子機器の一例を説明する図である。
図21A乃至図21Cは、電子機器の一例を説明する図である。
図22は、電子機器の一例を説明する図である。
図23A乃至図23Cは、車両の一例を説明する図である。
図24は、半導体装置の構成例を説明する図である。
図25は、半導体装置の構成例を説明する図である。
図26A乃至図26Cは、トランジスタの構造例を説明する図である。
図27A図27Bは、トランジスタの構造例を説明する図である。
図28は、半導体装置の構成例を説明する図である。
図29A図29Bは、トランジスタの構造例を説明する図である。
図30は、半導体装置の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。
【0022】
また、上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、図面をわかりやすくするために、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。
【0023】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。さらに、回路を説明する場合、「配線」には、抵抗が含まれる場合なども含む。
【0024】
また、本明細書等において、「抵抗」とは、配線の長さによって抵抗値を決める場合がある。または、配線で用いる導電層と、その導電層とは異なる抵抗率を有する導電層とがコンタクトを介して接続することで抵抗が形成される場合もある。または、半導体層に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0025】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流の入力または充電電圧の入力または出力、および/または、信号の受信または送信が行われる部位をいう。よって、配線または電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0026】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0027】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0028】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続される」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。また、「直接接続」には、異なる導電層によって形成される配線がコンタクトを介して接続し一つの配線として機能する場合が含まれる。
【0029】
また、本明細書などにおいて、「平行」とは、例えば、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」および「直交」とは、例えば、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0030】
なお、本明細書などにおいて、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0031】
また、本明細書において、レジストマスクを形成した後にエッチング処理を行う場合は、特段の説明がないかぎり、レジストマスクは、エッチング処理終了後に除去するものとする。
【0032】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位は互いに言い換えることが可能な場合が多い。本明細書などでは、特段の明示がないかぎり、電圧と電位を言い換えることができるものとする。
【0033】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「絶縁体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「絶縁体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「絶縁体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0034】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「導電体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「導電体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「導電体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0035】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0036】
なお、本明細書等において、トランジスタの「オン状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡しているとみなせる状態(「導通状態」ともいう。)をいう。また、トランジスタの「オフ状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断しているとみなせる状態(「非導通状態」ともいう。)をいう。
【0037】
また、本明細書等において、「オン電流」とは、トランジスタがオン状態の時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オフ電流」とは、トランジスタがオフ状態である時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。
【0038】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」または「H電位」ともいう)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(以下、単に「VSS」または「L電位」ともいう)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0039】
また、本明細書等において、ゲートとは、ゲート電極およびゲート配線の一部または全部のことをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0040】
また、本明細書等において、ソースとは、ソース領域、ソース電極、およびソース配線の一部または全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをいう。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0041】
また、本明細書等において、ドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、およびドレイン配線の一部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0042】
(実施の形態1)
本発明の一態様の半導体装置について、図1乃至図6を用いて説明する。以降、半導体装置を二次電池制御回路と言い換えて説明する。また、二次電池と示す場合は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池、酸化銀亜鉛蓄電池、コバルトチタンリチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン電池、全固体電池などを含む。
【0043】
例えば、全固体電池には、固体電解質層に無機系固体電解質を用いることができる。無機系固体電解質には、硫化物系固体電解質や酸化物系固体電解質を用いることができる。
【0044】
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-SiS-LiPO、LiS-P、LiS-SiS-Ga、LiI-LiS-P、LiI-LiS-B、LiI-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、LiSiO-LiS-SiS等のリチウム複合硫化物材料が挙げられる。
【0045】
また、酸化物系固体電解質としては、LiPON、LiO、LiCO、LiMoO、LiPO、LiVO、LiSiO、LLT(La2/3-xLi3xTiO)、LLZ(LiLaZr12)等のリチウム複合酸化物および酸化リチウム材料が挙げられる。
【0046】
また、固体電解質として、塗布法等により形成するPEO(ポリエチレンオキシド)等の高分子系固体電解質を用いてもよい。さらに、上述した無機系固体電解質と高分子系固体電解質を含む複合的な固体電解質を用いてもよい。
【0047】
本発明の一態様である二次電池制御回路は、二次電池モジュールと、第1の回路と、を備える。第1の回路は、第2の回路と、第3の回路と、を有する。また、二次電池モジュールは、二次電池と、二次電池の温度を検知するセンサと、を有する。
【0048】
第2の回路は、二次電池の充電電圧を電圧範囲で分類することができる第1の比較回路と、二次電池の温度を温度範囲で分類することができる第2の比較回路と、ルックアップテーブルと、を有する。ルックアップテーブルは、二次電池の充電電圧を電圧範囲ごとに分類するための第1の分類条件と、二次電池の温度を温度範囲ごとに分類するための第2の分類条件と、を有する。
【0049】
第3の回路は、放電制御回路を有する。放電制御回路は、第1の分類条件および第2の分類条件に応じて、二次電池の放電期間に用いる抵抗の大きさを制御する。
【0050】
第2の回路は、二次電池の温度をセンサによって検知し、且つ検知した温度を温度範囲ごとに分類する機能と、二次電池の充電電圧を検知し、且つ電圧範囲ごとに分類することができる。また、二次電池の充電電圧は、第1の分類条件によって分類され第1の結果として第3の回路に与えることができる。また、二次電池の温度は、第2の分類条件によって分類され第2の結果として第3の回路に与えることができる。
【0051】
第3の回路は、第1の結果および第2の結果を用いて、二次電池からの放電が必要かを判定する機能と、二次電池から放電するための抵抗の大きさを決定する機能と、二次電池から放電を開始させる機能と、二次電池の充電電圧が指定された電圧に達すると放電を停止させる機能と、を有する。
【0052】
なお、上述した温度範囲は、二次電池の温度が二次電池充電時の許容温度範囲外の温度を検知することが好ましい。まず、二次電池の許容温度範囲について簡単に説明する。例えば、低温時の充電では電池反応が追い付かず、電極表面にリチウムが析出し、劣化、故障、事故などの要因となることが知られている。また、高温時の充電では、電解液の粘性低下に伴ってリチウムイオンのブラウン運動が活性化することが知られている。その結果リチウムイオンの反応速度が上昇し、二次電池の副反応が増加することが知られている。二次電池が満充電状態の場合、正極活物質からリチウムが多く脱離した状態であるため熱安定性が許容温度範囲にある二次電池に対して相対的に低くなっており、副反応による正極活物質の劣化が懸念される。また、満充電状態では正極電圧は高い状態であるため電解液の酸化反応が促進され、負極電圧は低い状態であるため電解液の還元反応が促進される。よって、二次電池は、満充電状態の場合、且つ二次電池が保証するよりも高い温度環境下に放置された場合、二次電池の電圧が上昇し、二次電池が過充電状態になるため劣化が大きくなる。例えば、満充電状態の二次電池が、車中のダッシュボード上に放置される場合などが相当する。
【0053】
本発明の一態様の二次電池制御回路は、二次電池が満充電状態の場合、且つ二次電池が保証する高温上限よりも高い温度環境下に放置された場合、放電制御回路は、検知する温度によって二次電池から放電するための抵抗の大きさを変えることができる。よって、二次電池の温度が緩やかに上昇する場合、または急峻に温度が上昇する場合の、いずれの場合においても放電することができる。なお、急峻に二次電池の温度が上昇する場合は、急激に過充電状態になるため、放電する電流を大きくするために抵抗値を小さくすることが好ましい。なお、上述した条件には、二次電池の充電電圧が満充電状態に満たない状態でも、当該二次電池が高温環境に放置されることで当該二次電池の充電電圧が満充電状態の電圧を超えて上昇した場合も含まれる。
【0054】
また、二次電池制御回路が制御する二次電池モジュールを備える電子機器が車中のダッシュボード上に放置されているような場合、電子機器は、休止状態であることが多い。例えば、休止状態の電子機器は、消費電力を低減させるために制御用プロセッサが休止している。しかし、高温の状態で放置されている二次電池を管理するためには、制御用プロセッサが必要である。本発明の一態様の二次電池制御回路は、二次電池の温度と、二次電池の充電電圧と、を、制御用プロセッサを必要とせずに管理することができる。したがって、休止状態の電子機器においても、二次電池制御回路は、二次電池の温度と充電特性とを管理することができる。よって、二次電池制御回路は、二次電池の劣化を抑えることができる。なお、二次電池制御回路は、二次電池制御システム、もしくはバッテリマネージメントシステムと言い換えてもよい。
【0055】
続いて、図面を用いて二次電池制御回路を説明する。図1は、二次電池制御回路の構成例を説明する図である。二次電池制御回路は、二次電池モジュール40と、回路10を備える。回路10は、回路20と、回路30とを有する。回路20は、回路21と、回路22とを有する。回路30は、回路31と、回路32と、スイッチ33と、を有する。二次電池モジュール40は、二次電池41、二次電池41の温度を検知するためのセンサ42、および抵抗43を有する。なお、抵抗43は、シャント抵抗として機能する。
【0056】
回路21は、二次電池41の充電電圧を電圧範囲で分類する第1の比較回路を有する。回路22は、二次電池41の温度を温度範囲で分類する第2の比較回路を有する。また、回路10は、ルックアップテーブルを有する。ルックアップテーブルは、二次電池41の充電電圧を電圧範囲で分類するための第1の分類条件と、二次電池41の温度を温度範囲で分類するための第2の分類条件と、を有する。ルックアップテーブルは、複数の分類条件をデータとして保持するメモリであることが好ましい。もしくは、ルックアップテーブルは、回路21、および回路22に分散して配置されてもよい。なお、ルックアップテーブルは、制御用プロセッサなどによって当該データを更新することができる。
【0057】
なお、ルックアップテーブルは、メモリを用いて当該データを保持することが好ましい。メモリに用いるトランジスタには、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)を用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流を極めて少なくすることができる。具体的には、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を室温下において1×10-20A未満、好ましくは1×10-22A未満、さらに好ましくは1×10-24A未満とすることができる。
【0058】
また、OSトランジスタは、高温環境下でもオフ電流がほとんど増加しない。具体的には室温以上200℃以下の環境温度下でもオフ電流がほとんど増加しない。半導体装置を構成するトランジスタにOSトランジスタを用いることで、高温環境下においても動作が安定し、信頼性の良好な半導体装置を実現できる。
【0059】
メモリ素子にOSトランジスタを用いたOSメモリについては、図6で詳細に説明する。ただし、メモリはOSメモリに限定されない。例えば、メモリには、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、不揮発性メモリ(Non-Volatile Memory)を用いることができる。なお、不揮発性メモリは、マスクROM(Read on Memory、PROM(Programable ROM)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistive random access memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などを用いることができる。
【0060】
回路21は、二次電池41の充電電圧を検知することができる。また回路21は、検知した当該充電電圧を設定された電圧範囲のいずれかに含まれるか判断することができる。つまり、回路21は、二次電池41の充電電圧を第1の分類条件によって分類し、分類した結果を第1の結果として回路31に与えることができる。高温環境下に置かれる電子機器は、温度に起因するノイズの影響を受ける場合がある。よって、回路21は、ヒステリシス効果を有することが好ましい。
【0061】
回路22は、二次電池モジュール40が有するセンサ42からの情報を用いて二次電池41の温度を検知することができる。また回路22は、検知した当該温度を設定された温度範囲のいずれかに含まれるか判断することができる。つまり、回路22は、二次電池41の温度を第2の分類条件によって分類し、分類した結果を第2の結果として回路31に与えることができる。高温環境下に置かれる電子機器は、温度に起因するノイズの影響を受ける場合がある。よって、回路22は、ヒステリシス効果を有することが好ましい。
【0062】
回路31は、上述した第1の結果および第2の結果を用いて、二次電池41からの放電が必要かを判定することができる。また、回路31は、第1の分類条件および第2の分類条件に応じて、二次電池41の放電期間に用いる抵抗の大きさを決定することができる。なお、二次電池41の温度が設定された温度範囲のいずれにも分類されない場合、回路31は、二次電池41からの放電を停止させる設定を回路32およびスイッチ33に与える。また、二次電池41の充電電圧が設定された充電電圧の電圧範囲のいずれにも分類されない場合、回路31は、二次電池41からの放電を停止させる設定を回路32およびスイッチ33に与える。
【0063】
回路32は、放電制御回路を有し、放電制御回路は、可変抵抗を有する。放電制御回路は、可変抵抗を回路31によって決定された抵抗の大きさにすることで二次電池からの放電量を制御することができる。つまり、放電制御回路は、二次電池が放電する期間に用いる可変抵抗の大きさを制御する。回路30は、放電制御回路の可変抵抗の大きさが決定され、且つスイッチ33がオン状態になることで二次電池41から放電を開始させる。二次電池41からの放電によって二次電池41の充電電圧が指定された電圧まで下がった場合、スイッチ33は、回路31から放電を停止させる設定が与えられることによりオフ状態になる。スイッチ33がオフ状態になることで、二次電池41からの放電は停止される。なお、スイッチ33は、OSトランジスタを用いることが好ましい。スイッチ33にOSトランジスタを用いることで、二次電池制御回路が非動作の場合の消費電力が低減する。
【0064】
図2では、一例として、回路10の構成を詳細に説明する。図2では、図1と異なる点について説明し、発明の構成(または実施例の構成)において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0065】
まず、二次電池41の充電電圧を検知することができる回路21を詳細に説明する。回路21は、比較回路50a、メモリ50b、抵抗RS1、および抵抗RS2を有する。比較回路50aは、第1の入力端子、第2の入力端子、出力端子を有する。メモリ50bは、ルックアップテーブルの一部であることが好ましい。
【0066】
二次電池41の充電電圧は、当該充電電圧を抵抗RS1および抵抗RS2によって分圧することで二次電池の第1の検知電圧として検出することができる。比較回路50aの第1の入力端子には、当該第1の検知電圧が与えられ、比較回路50aの第2の入力端子には、メモリ50bに保持される第1の分類条件が与えられる。比較回路50aは、当該第1の検知電圧が、第1の分類条件よりも大きい場合、比較回路50aの出力端子から、判定結果として“H”の信号を回路31に与えることができる。また、比較回路50aは、当該第1の検知電圧が、第1の分類条件よりも小さい場合、比較回路50aの出力端子から、判定結果として“L”の信号を回路31に与えることができる。なお、比較回路50aの出力端子に与える信号は、第1の結果に相当する。
【0067】
次に、二次電池41の温度を検知することができる回路22を詳細に説明する。回路22は、比較回路60a、メモリ60bを有する。比較回路60aは、第1の入力端子、第2の入力端子、出力端子を有する。メモリ60bは、ルックアップテーブルの一部であることが好ましい。
【0068】
二次電池モジュール40が有するセンサ42は、センサ42によって検知された二次電池41の温度を第2の検知電圧に変換することができる。比較回路60aの第1の入力端子には、当該第2の検知電圧が与えられ、比較回路60aの第2の入力端子には、メモリ60bに保持される第2の分類条件が与えられる。比較回路60aは、当該第2の検知電圧が、第2の分類条件よりも大きい場合、比較回路60aの出力端子から、判定結果として“H”の信号を回路31に与えることができる。また、比較回路60aは、当該第2の検知電圧が、第1の分類条件よりも小さい場合、比較回路60aの出力端子から、判定結果として“L”の信号を回路31に与えることができる。なお、比較回路60aの出力端子に与える信号は、第2の結果に相当する。
【0069】
次に回路31について詳細に説明する。回路31は、上述した第1の結果および第2の結果を用いて、二次電池41からの放電が必要かを判定することができる。回路31は、当該判定結果を、判定信号として与えることができる。一例として、回路31は、論理積の機能を有することが好ましい。回路31は、第1の結果が“H”の信号、かつ第2の結果が“H”の信号の場合、スイッチ33に判定信号として“H”の信号を与えることができる。当該判定信号は、スイッチ33をオン状態にすることができる。二次電池41は、スイッチ33がオン状態になることで放電を開始させる。さらに、回路31は、回路32に判定信号を与えることができる。
【0070】
回路32は、放電制御回路を有し、放電制御回路は、可変抵抗VRとして機能する。二次電池41が放電する期間、二次電池41からの放電量は可変抵抗VRにより制御される。なお、二次電池41の温度が設定された温度範囲のいずれにも分類されない場合、回路31は、二次電池41からの放電を停止させる判定信号を回路32およびスイッチ33に与える。また、二次電池41の充電電圧が設定された充電電圧の電圧範囲のいずれにも分類されない場合、回路31は、二次電池からの放電を停止させる判定信号を回路32およびスイッチ33に与える。
【0071】
二次電池41からの放電によって二次電池41の充電電圧が指定された電圧まで下がった場合、スイッチ33は、回路31から放電を停止させる判定信号が与えられることによりオフ状態になる。スイッチ33が、オフ状態になることで二次電池41からの放電は停止する。なお、スイッチ33は、OSトランジスタを用いることが好ましい。
【0072】
図3は、一例として、図2を詳細に説明する回路図である。図3では、図2と異なる点について説明し、発明の構成(または実施例の構成)において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0073】
図3では、回路10Aが回路21A、回路22A、回路31A、回路32A、スイッチ33を有している。一例として、回路10Aが有するルックアップテーブルは、異なる3つの分類条件を有している。
【0074】
まず、二次電池41の充電電圧を検知することができる回路21Aを詳細に説明する。回路21Aは、比較回路51a、比較回路52a、比較回路53a、メモリ51b、メモリ52b、メモリ53b、抵抗RS1、および抵抗RS2を有する。比較回路51a乃至53aは、それぞれ第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を有する。メモリ51b乃至53bは、ルックアップテーブルの一部であることが好ましい。
【0075】
次に、二次電池41の温度を検知することができる回路22Aを詳細に説明する。回路22Aは、比較回路61a、比較回路62a、比較回路63a、メモリ61b、メモリ62b、およびメモリ63bを有する。比較回路61a乃至63aは、それぞれ第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を有する。メモリ61b乃至63bは、ルックアップテーブルの一部であることが好ましい。
【0076】
次に回路31Aについて詳細に説明する。回路31Aは、回路31a、回路31b、および回路31cを有する。回路31aおよび回路31bは、それぞれ第1の入力端子、第2の入力端子、第3の入力端子、および出力端子を有する。回路31cは、第1の入力端子、第2の入力端子、および出力端子を有する。なお、以降において回路31a、回路31b、回路31cのそれぞれの出力端子を、出力端子B、出力端子C、出力端子Dと言い換えて説明する場合がある。
【0077】
回路32Aは、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、スイッチ32a、およびスイッチ32bを有する。なお、スイッチ33、スイッチ32a、およびスイッチ32bが、トランジスタであることが好ましい。もしくは、スイッチ33、スイッチ32a、およびスイッチ32bが、OSトランジスタであることがより好ましい。
【0078】
二次電池41の電極の一方は、抵抗RS1の電極の一方と、抵抗R1の電極の一方と電気的に接続される。抵抗RS1の電極の他方は、抵抗RS2の電極の一方と、比較回路51aの第1の入力端子、比較回路52aの第1の入力端子、および比較回路53aの第1の入力端子と電気的に接続される。抵抗RS2の電極の他方は、抵抗43の電極の一方と電気的に接続される。抵抗43の電極の他方は、二次電池41の電極の他方と電気的に接続されることが好ましい。ただし、抵抗RS2の電極の他方は、二次電池41の電極の他方と電気的に接続されてもよい。メモリ51bは、比較回路51aの第2の入力端子と電気的に接続される。メモリ52bは、比較回路52aの第2の入力端子と電気的に接続される。メモリ53bは、比較回路53aの第2の入力端子と電気的に接続される。
【0079】
センサ42は、比較回路61aの第1の入力端子、比較回路62aの第1の入力端子、および比較回路63aの第1の入力端子と電気的に接続される。メモリ61bは、比較回路61aの第2の入力端子と電気的に接続される。メモリ62bは、比較回路62aの第2の入力端子と電気的に接続される。メモリ63bは、比較回路63aの第2の入力端子と電気的に接続される。
【0080】
比較回路53aの出力端子は、回路31cの第1の入力端子と電気的に接続される。比較回路63aの出力端子は、回路31cの第2の入力端子と電気的に接続される。回路31cの出力端子は、回路31bの第3の入力端子と、スイッチ33のゲートと電気的に接続される。
【0081】
比較回路52aの出力端子は、回路31bの第1の入力端子と電気的に接続される。比較回路62aの出力端子は、回路31bの第2の入力端子と電気的に接続される。回路31bの出力端子は、回路31aの第3の入力端子と、スイッチ32bのゲートに電気的に接続される。
【0082】
比較回路51aの出力端子は、回路31aの第1の入力端子と電気的に接続される。比較回路61aの出力端子は、回路31aの第2の入力端子と電気的に接続される。回路31aの出力端子は、スイッチ32aのゲートと電気的に接続される。
【0083】
抵抗R1の電極の他方は、抵抗R2の電極の一方と、スイッチ32aのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。抵抗R2の電極の他方は、抵抗R3の電極の一方と、スイッチ32bのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。スイッチ32aのソースまたはドレインの他方は、スイッチ32aのソースまたはドレイン他方、抵抗R3の電極の他方、およびスイッチ33のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。スイッチ33のソースまたはドレインの他方は、抵抗43の電極の一方と電気的に接続される。
【0084】
続いて、回路21Aの動作について説明する。回路21Aは、二次電池41の充電電圧を抵抗RS1および抵抗RS2によって分圧することで二次電池41の第1の検知電圧として検出することができる。第1の検知電圧は、比較回路51aの第1の入力端子、比較回路52aの第1の入力端子、比較回路53aの第1の入力端子に与えられる。比較回路51aの第2の端子には、メモリ51bに保持される第1の分類条件が与えられる。比較回路52aの第2の端子には、メモリ52bに保持される第3の分類条件が与えられる。比較回路53aの第2の端子には、メモリ53bに保持される第5の分類条件が与えられる。
【0085】
つまり、回路21Aは、二次電池41の検知電圧を、第1の分類条件、第3の分類条件、または第5の分類条件によって第1の分類範囲、第3の分類範囲、または第5の分類範囲に分類することができる。一例として、第1の分類範囲は、メモリ51bに保持される電圧よりも大きい場合に分類される。第3の分類範囲は、メモリ52bに保持される電圧よりも大きく、メモリ51bに保持される電圧よりも小さい場合に分類される。第5の分類範囲は、メモリ53bに保持される電圧よりも大きく、メモリ52bに保持される電圧よりも小さい場合に分類される。なお、メモリ53bに保持される電圧よりも小さい場合は、第1の分類範囲、第3の分類範囲、または第5の分類範囲のいずれにも分類されない。
【0086】
一例として、第1の分類範囲に分類された場合、比較回路51aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第1の分類範囲に分類されない場合、比較回路51aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路51aの出力端子に与えられる信号は、第1の結果に相当する。
【0087】
一例として、第3の分類範囲に分類された場合、比較回路52aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第3の分類範囲に分類されない場合、比較回路52aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路52aの出力端子に与えられる信号は、第3の結果に相当する。
【0088】
一例として、第5の分類範囲に分類された場合、比較回路53aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第5の分類範囲に分類されない場合、比較回路53aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路53aの出力端子に与えられる信号は、第5の結果に相当する。
【0089】
第1の分類範囲、第3の分類範囲、または第5の分類範囲に分類されない場合、比較回路51a乃至比較回路53aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。
【0090】
続いて、回路22Aの動作について説明する。二次電池モジュール40が有するセンサ42は、センサ42によって検知された二次電池41の温度を第2の検知電圧に変換することができる。第2の検知電圧は、比較回路61aの第1の入力端子、比較回路62aの第1の入力端子、比較回路63aの第1の端子に与えられる。比較回路61aの第2の端子には、メモリ61bに保持される第2の分類条件が与えられる。比較回路62aの第2の端子には、メモリ62bに保持される第4の分類条件が与えられる。比較回路63aの第2の端子には、メモリ63bに保持される第6の分類条件が与えられる。
【0091】
つまり、回路22Aは、二次電池41の検知電圧を、第2の分類条件、第4の分類条件、または第6の分類条件によって第2の分類範囲、第4の分類範囲、または第6の分類範囲に分類することができる。一例として、第2の分類範囲は、メモリ61bに保持される電圧よりも大きい場合に分類される。第4の分類範囲は、メモリ62bに保持される電圧よりも大きく、メモリ61bに保持される電圧よりも小さい場合に分類される。第6の分類範囲は、メモリ63bに保持される電圧よりも大きく、メモリ62bに保持される電圧よりも小さい場合に分類される。なお、メモリ63bに保持される電圧よりも小さい場合は、第2の分類範囲、第4の分類範囲、または第6の分類範囲のいずれにも分類されない。
【0092】
一例として、第2の分類範囲に分類された場合、比較回路61aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第2の分類範囲に分類されない場合、比較回路61aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路61aの出力端子に与えられる信号は、第2の結果に相当する。
【0093】
一例として、第4の分類範囲に分類された場合、比較回路62aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第4の分類範囲に分類されない場合、比較回路62aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路62aの出力端子に与えられる信号は、第4の結果に相当する。
【0094】
一例として、第6の分類範囲に分類された場合、比較回路63aの出力端子には、判定結果として“H”の信号が与えられる。第6の分類範囲に分類されない場合、比較回路63aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。なお、比較回路63aの出力端子に与えられる号は、第6の結果に相当する。
【0095】
第2の分類範囲、第4の分類範囲、または第6の分類範囲に分類されない場合、比較回路61a乃至比較回路63aの出力端子には、判定結果として“L”の信号が与えられる。
【0096】
次に回路31Aについて詳細に説明する。回路31Aは、回路31a、回路31b、回路31cを有する。回路31Aは、上述した第1乃至第6の結果を用いて二次電池41からの放電が必要かを判定することができる。回路31Aは、当該判定結果を、回路32Aに判定信号として与えることができる。一例として、回路31a、回路31b、回路31cは、それぞれ論理積の機能を有することが好ましい。
【0097】
一例として、第5の結果が“H”の信号、かつ第6の結果が“H”の信号の場合、出力端子Dは、第1の判定信号として回路31cから“H”の信号が与えられる。第1の判定信号は、スイッチ33のゲートに与えられスイッチ33をオン状態にする。スイッチ33がオン状態になることで、二次電池41は、放電を開始する。
【0098】
なお、詳しくは後述するが、出力端子B、および出力端子Cに“L”の信号が与えられることでスイッチ32aのゲートおよびスイッチ32bのゲートには、“L”の信号が与えられる。したがって、スイッチ32aおよびスイッチ32bはオフ状態になり、放電制御回路の可変抵抗は抵抗R1、抵抗R2、および抵抗R3の第1の合成抵抗値となる。したがって可変抵抗は、最大値となる。可変抵抗が第1の合成抵抗値の期間、二次電池41が放電する放電量は最も少なくなる。
【0099】
第3の結果が“H”の信号、かつ第4の結果が“H”の信号の場合、出力端子Cは、第2の判定信号として回路31bから“H”の信号が与えられる。第2の判定信号は、スイッチ32bのゲートに与えられスイッチ32bをオン状態にする。なお、第1の判定信号は、“H”を維持しているため、スイッチ33はオン状態が維持される。スイッチ33、およびスイッチ32bがオン状態になることで、二次電池41は、放電を開始する。
【0100】
出力端子Bに“L”の信号が与えられることでスイッチ32aのゲートには、“L”の信号が与えられる。したがって、スイッチ32aはオフ状態になり、放電制御回路の可変抵抗は抵抗R1、および抵抗R2の第2の合成抵抗値となる。したがって可変抵抗は、第1の合成抵抗値よりも小さくなる。可変抵抗が第2の合成抵抗値の期間、二次電池41が放電する放電量は可変抵抗が第1の合成抵抗値の期間よりも大きくなる。
【0101】
第1の結果が“H”の信号、かつ第2の結果が“H”の信号の場合、出力端子Bは、第3の判定信号として回路31aから“H”の信号が与えられる。第3の判定信号は、スイッチ32aのゲートに与えられスイッチ32aをオン状態にする。なお、第1の判定信号および第2の判定信号は、“H”を維持しているため、スイッチ33およびスイッチ32bはオン状態が維持される。スイッチ33、スイッチ32b、およびスイッチ32aがオン状態になることで、二次電池41は、放電を開始する。
【0102】
放電制御回路の可変抵抗は抵抗R1の抵抗値となる。したがって可変抵抗は、第2の合成抵抗値よりも小さくなる。可変抵抗が当該抵抗値の期間、二次電池41が放電する放電量は可変抵抗が第2の合成抵抗値の期間よりも大きくなる。
【0103】
図4は、図3で説明した二次電池制御回路の動作を説明する図である。特性L1のグラフは、縦軸に温度(Temp)(℃)、横軸に時間(T)(sec)を表している。特性L1のグラフは、時間が経過するに従い、二次電池制御回路が置かれる環境温度が上昇していく状況を示している。特性L2のグラフは、縦軸に二次電池41の検知電圧(Volt)、横軸に時間(sec)を表している。特性L1のグラフは、二次電池41が安全に放電するための判定温度T1乃至T3を示している。特性L2のグラフは、判定温度T1、判定温度T2、判定温度T3に対する二次電池41の充電電圧を管理するための上限電圧V1、上限電圧V2、上限電圧V3を示している。
【0104】
例えば、判定温度T1は40℃、判定温度T2は50℃、判定温度T3は60℃とする。二次電池41の充電に適した環境温度は、0℃以上40℃以下であることが知られている。つまり、上述した判定温度T1乃至判定温度T3の設定温度は、二次電池41の充電時の許容温度範囲外の温度を示している。しかし、二次電池41は、充電時と、保存時の許容温度範囲が異なることも知られている。例えば、二次電池41の保存に適した温度は、-20℃以上60℃以下であることが知られている。本発明の一態様では、二次電池41が保存される温度が40℃以上の場合に着目して説明する。ただし、本発明の一態様の二次電池制御回路は、高温時のみに動作が限定されるものではなく、-20℃以上0℃以下の範囲においてもルックアップテーブルの第1の分類条件と第2の分類条件を更新、もしくは判定条件を増やすことで対応することができる。
【0105】
判定温度T1、判定温度T2、または判定温度T3を検出するための判定条件は、図3で説明したメモリ63b、メモリ62b、またはメモリ61bに保持される。また、判定温度T1、判定温度T2、または判定温度T3に対応する、二次電池41の充電電圧の分類条件として、上限電圧V1、上限電圧V2、上限電圧V3を用いる。上限電圧V1、上限電圧V2、または上限電圧V3を検出するための判定条件は、図3で説明したメモリ53b、メモリ52b、またはメモリ51bに保持される。
【0106】
つまり、温度T1以上になった場合、二次電池41の充電電圧は上限が電圧V0から電圧V1に変更になり、二次電池41の充電電圧が電圧V1になるように放電を開始させる。また、温度T2以上になった場合、二次電池41の充電電圧は上限が電圧V1から電圧V2に変更になり、二次電池41の充電電圧が電圧V2になるように放電を開始させる。また、温度T3以上になった場合、二次電池の充電電圧は上限が電圧V2から電圧V3に変更になり、二次電池41の充電電圧が電圧V3になるように放電を開始させる。二次電池41は、高温になるほど劣化が加速するため、二次電池41が高い温度になるほど、二次電池41から早く放電することが好ましい。
【0107】
図4で説明したように、検出する温度が高いほど、二次電池41の充電電圧から放電する量を増やす必要がある。放電制御回路は、検出する温度に応じて可変抵抗の抵抗値を変更することで放電量を調節する。なお、図4で示す期間RT1は、二次電池41の上限電圧V0から上限電圧V1まで放電するのに必要な時間を表している。期間RT2は、二次電池41の上限電圧V1から上限電圧V2まで放電するのに必要な時間を表している。期間RT3は、二次電池41の上限電圧V2から上限電圧V3まで放電するのに必要な時間を表している。期間RT2は、期間RT1よりも短期間で放電を終了する。期間RT3は、期間RT2よりも短期間で放電を終了する。したがって、二次電池41が劣化しやすい高温環境に保存される場合、二次電池41からの放電制御は温度に対するフィードバック制御に相当し、放電制御回路は、温度に対して二次電池41からの放電量を増幅させる負帰還増幅回路として機能することができる。なお、上述した二次電池からの放電制御において、制御用プロセッサを必要とせずに二次電池から放電することができる。したがって、制御用プロセッサの消費電力を低減することができる。
【0108】
図5は、二次電池制御回路10Bを説明する図である。二次電池制御回路10Bは、複数の回路10Aが直列に接続されている。なお、図5では、図2と異なる点について説明し、発明の構成(または実施例の構成)において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0109】
二次電池制御回路10Bは、複数の二次電池モジュール40Aを直列に接続することで高電圧を取得することができる構成例である。ただし、複数の二次電池モジュール40Aには、二次電池の容量ばらつき、二次電池の劣化ばらつき、二次電池の充電電圧ばらつき等がある。
【0110】
よって、複数の二次電池モジュール40Aを直列に接続するには、複数の二次電池モジュール40Aに対しセルバランス制御回路を設けることが好ましい。セルバランス制御回路は、二次電池の充電残量が少ない二次電池モジュール40Aが満充電状態になるように、先に満充電状態になった二次電池モジュール40Aから過剰分を放電する機能を有する。また本発明の一態様の二次電池制御回路を用いて、二次電池が高温環境に放置された場合、複数の二次電池モジュール40Aの放電管理を行うことができる。
【0111】
なお、複数の二次電池モジュール40Aを直列に接続する場合、シャント抵抗として機能する抵抗43は、一つ設ければよい。シャント抵抗は、過電流検出などに用いることができる。
【0112】
図6A図6Bは、上述したルックアップテーブルを構成するメモリについて説明する回路図である。
【0113】
図6Aは、トランジスタM1、容量C1、および配線71乃至配線73を有する。容量C1の電極の一方は、トランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。容量C1の電極の他方は、配線73と電気的に接続される。トランジスタM1のソースまたはドレインの他方は、配線71と電気的に接続される。トランジスタM1のゲートは、配線72と電気的に接続される。
【0114】
図6Aに示すメモリは、OSトランジスタをメモリに用いたDOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶことができる。一つのトランジスタ、及び一つの容量で構成することができるため、メモリの高密度化を実現できる。また、OSトランジスタを用いることで、データの保持期間を大きくすることができる。
【0115】
図6Bは、トランジスタM2、トランジスタM3、容量C2、および配線74乃至78を有する。容量C2の電極の一方は、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、およびトランジスタM3のゲートと電気的に接続される。容量C2の電極の他方は、配線78と電気的に接続される。トランジスタM2のソースまたはドレインの他方は、配線74と電気的に接続される。トランジスタM2のゲートは、配線75と電気的に接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの一方は、配線76と電気的に接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの他方は、配線77と電気的に接続される。なお、トランジスタM2は、OSトランジスタであることが好ましい。
【0116】
図6Bに示すメモリは、OSトランジスタをメモリに用いたNOSRAM(Non-volatile Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶことができる。OSトランジスタをSiトランジスタの上方に積層して形成できるため、メモリの高密度化を実現できる。また、OSトランジスタを用いることで、データの保持期間を大きくすることができる。また、NOSRAMでは、データを読み出してもデータが破壊されない。したがって、データの書き戻しに必要な電力を低減することができる。
【0117】
図6A図6Bに示したメモリは、いずれも長い時間データを保持することができ、本発明の一態様であるこのようなメモリを有する二次電池制御回路を備えた電子機器は、ルックアップテーブルの更新頻度を低減することができる。したがって、二次電池制御回路は、消費電力の低減に有効である。
【0118】
本発明の一態様である二次電池制御回路は、実施の形態3、または実施の形態4で示すように様々な電子機器を動作させるために二次電池を効率的に用いることができる。なお、電子機器が備えるプロセッサの機能を利用する場合は、二次電池制御回路をバッテリマネージメントシステムと言い換えることができる。
【0119】
本発明の一態様である半導体装置は、二次電池の充電特性の変化が急峻な場合、または緩やかな場合においても対応することができる。二次電池の充電特性を監視することで、二次電池の劣化を抑制し、信頼性を向上させることができる。またOSトランジスタを用いることで二次電池制御回路の消費電力を低減することができる。
【0120】
OSトランジスタを用いた二次電池制御回路、放電制御回路、または異常検知回路などを、BTOS(Battery operating system、またはBattery oxide semiconductor)と呼称する場合がある。
【0121】
なお、本発明の一態様にかかる半導体装置は、本実施の形態に示した回路図に限定して解釈されるものではない。本発明の一態様にかかる半導体装置には、本実施の形態に示した回路構成と同等の回路構成を有する場合も含まれる。
【0122】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0123】
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態で用いる二次電池の形状の例について説明する。なお、二次電池は、温度に対する放電制御を二次電池制御回路によって行うことが好ましい。
【0124】
[コイン型二次電池]
まずコイン型の二次電池の一例について説明する。図7Aはコイン型(単層偏平型)の二次電池の外観図であり、図7Bは、その断面図である。
【0125】
コイン型の二次電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。
【0126】
なお、コイン型の二次電池300に用いる正極304および負極307は、それぞれ活物質層は片面のみに形成すればよい。
【0127】
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、またはこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えばステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
【0128】
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図7Bに示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の二次電池300を製造する。
【0129】
ここで図7Cを用いて二次電池の充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いた二次電池を一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いた二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電圧が高い電極を正極と呼び、反応電圧が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「-極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
【0130】
図7Cに示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池300が充電される。二次電池300の充電が進めば、電極間の電圧差は大きくなる。
【0131】
[円筒型二次電池]
次に円筒型の二次電池の例について図8A乃至図8Dを参照して説明する。円筒型の二次電池800の外観図を図8Aに示す。図8Bは、円筒型の二次電池800の断面を模式的に示した図である。図8Bに示すように、円筒型の二次電池800は、上面に正極キャップ(電池蓋)801を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)802を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)802とは、ガスケット(絶縁パッキン)810によって絶縁されている。
【0132】
中空円柱状の電池缶802の内側には、帯状の正極804と負極806とがセパレータ805を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶802は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶802には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、またはこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を電池缶802に被覆することが好ましい。電池缶802の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板808、809により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶802の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
【0133】
円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極804には正極端子(正極集電リード)803が接続され、負極806には負極端子(負極集電リード)807が接続される。正極端子803および負極端子807は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子803は安全弁機構812に、負極端子807は電池缶802の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構812は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ801と電気的に接続されている。安全弁機構812は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ801と正極804との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子811は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0134】
また、図8Cのように複数の二次電池800を、導電板813および導電板814の間に挟んでモジュール815を構成してもよい。複数の二次電池800は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池800を有するモジュール815を構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
【0135】
図8Dはモジュール815の上面図である。図を明瞭にするために導電板813を点線で示した。図8Dに示すようにモジュール815は、複数の二次電池800を電気的に接続する導線816を有していてもよい。導線816上に導電板を重畳して設けることができる。また複数の二次電池800の間に温度制御装置817を有していてもよい。二次電池800が過熱されたときは、温度制御装置817により冷却し、二次電池800が冷えすぎているときは温度制御装置817により加熱することができる。そのためモジュール815の性能が外気温に影響されにくくなる。温度制御装置817が有する熱媒体は絶縁性と不燃性を有することが好ましい。
【0136】
[二次電池の構造例]
二次電池の別の構造例について、図9乃至図13を用いて説明する。
【0137】
図9Aおよび図9Bは、二次電池の外観図を示す図である。二次電池913は、回路基板900を介して、アンテナ914、およびアンテナ915に接続されている。また、二次電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図9Bに示すように、二次電池913は、端子951と、端子952と、に接続されている。
【0138】
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、および回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
【0139】
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914およびアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。または、アンテナ914もしくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914もしくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやりとりを行うこともできる。
【0140】
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
【0141】
二次電池は、アンテナ914およびアンテナ915と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0142】
なお、二次電池の構造は、図9に限定されない。
【0143】
例えば、図10Aおよび図10Bに示すように、図9Aおよび図9Bに示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図10Aは、上記一対の面の一方を示した外観図であり、図10Bは、上記一対の面の他方を示した外観図である。なお、図9Aおよび図9Bに示す二次電池と同じ部分については、図9Aおよび図9Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
【0144】
図10Aに示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図10Bに示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0145】
上記構造にすることにより、アンテナ914およびアンテナ918の両方のサイズを大きくすることができる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した二次電池と他の機器との通信方式としては、NFC(近距離無線通信)など、二次電池と他の機器との間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
【0146】
または、図10Cに示すように、図9Aおよび図9Bに示す二次電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図9Aおよび図9Bに示す二次電池と同じ部分については、図9Aおよび図9Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
【0147】
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
【0148】
または、図10Dに示すように、図9Aおよび図9Bに示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、図9Aおよび図9Bに示す二次電池と同じ部分については、図9Aおよび図9Bに示す二次電池の説明を適宜援用できる。
【0149】
センサ921としては、例えば、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、または赤外線を測定することができる機能を有すればよい。センサ921を設けることにより、例えば、二次電池が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
【0150】
さらに、二次電池913の構造例について図11および図12を用いて説明する。
【0151】
図11Aに示す二次電池913は、筐体930の内部に端子951と端子952が設けられた捲回体950を有する。捲回体950は、筐体930の内部で電解液に含浸される。端子952は、筐体930に接し、端子951は、絶縁材などを用いることにより筐体930に接していない。なお、図11Aでは、便宜のため、筐体930を分離して図示しているが、実際は、捲回体950が筐体930に覆われ、端子951および端子952が筐体930の外に延在している。筐体930としては、金属材料(例えばアルミニウムなど)または樹脂材料を用いることができる。
【0152】
なお、図11Bに示すように、図11Aに示す筐体930を複数の材料によって形成してもよい。例えば、図11Bに示す二次電池913は、筐体930aと筐体930bが貼り合わされており、筐体930aおよび筐体930bで囲まれた領域に捲回体950が設けられている。
【0153】
筐体930aとしては、有機樹脂など、絶縁材料を用いることができる。特に、アンテナが形成される面に有機樹脂などの材料を用いることにより、二次電池913による電界の遮蔽を抑制できる。なお、筐体930aによる電界の遮蔽が小さければ、筐体930aの内部にアンテナ914やアンテナ915などのアンテナを設けてもよい。筐体930bとしては、例えば金属材料を用いることができる。
【0154】
さらに、捲回体950の構造について図12に示す。捲回体950は、負極931と、正極932と、セパレータ933と、を有する。捲回体950は、セパレータ933を挟んで負極931と、正極932が重なり合って積層され、該積層シートを捲回させた捲回体である。なお、負極931と、正極932と、セパレータ933と、の積層を、さらに複数重ねてもよい。
【0155】
負極931は、端子951および端子952の一方を介して図9に示す端子911に接続される。正極932は、端子951および端子952の他方を介して図9に示す端子911に接続される。
【0156】
[貼り合わせ型二次電池]
次に、貼り合わせ型の二次電池の例について、図13乃至図19を参照して説明する。貼り合わせ型の二次電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて二次電池も曲げることもできる。
【0157】
図13を用いて、貼り合わせ型の二次電池980について説明する。貼り合わせ型の二次電池980は、図13Aに示す捲回体993を有する。捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。捲回体993は、図12で説明した捲回体950と同様に、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。
【0158】
なお、負極994、正極995およびセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997およびリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997およびリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
【0159】
図13Bに示すように、外装体となるフィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した捲回体993を収納することで、図13Cに示すように二次電池980を作製することができる。捲回体993は、リード電極997およびリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解液に含浸される。
【0160】
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981および凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
【0161】
また、図13Bおよび図13Cでは2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
【0162】
また図13では外装体となるフィルムにより形成された空間に捲回体を有する二次電池980の例について説明したが、例えば図14のように、外装体となるフィルムにより形成された空間に、短冊状の複数の正極、セパレータおよび負極を有する二次電池としてもよい。
【0163】
図14Aに示す、貼り合わせ型の二次電池700は、正極集電体701および正極活物質層702を有する正極703と、負極集電体704および負極活物質層705を有する負極706と、セパレータ707と、電解液708と、外装体709と、を有する。外装体709内に設けられた正極703と負極706との間にセパレータ707が設置されている。また、外装体709内は、電解液708で満たされている。電解液708には、実施の形態2で示した電解液を用いることができる。
【0164】
図14Aに示す、貼り合わせ型の二次電池700において、正極集電体701および負極集電体704は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体701および負極集電体704の一部は、外装体709から外側に露出するように配置してもよい。また、正極集電体701および負極集電体704を、外装体709から外側に露出させず、リード電極を用いてそのリード電極と正極集電体701、或いは負極集電体704と超音波接合させてリード電極を外側に露出するようにしてもよい。
【0165】
貼り合わせ型の二次電池700において、外装体709には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造を有する貼り合わせフィルムを用いることができる。
【0166】
また、貼り合わせ型の二次電池700の断面構造の一例を図14Bに示す。図14Aでは簡略のため、2つの集電体で構成する例を示しているが、実際は、図14Bに示すように、複数の電極層で構成する。
【0167】
図14Bでは、一例として、電極層数を16としている。なお、電極層数を16としても二次電池700は、可撓性を有する。図14Bでは負極集電体704が8層と、正極集電体701が8層の合計16層の構造を示している。なお、図14Bは負極の取り出し部の断面を示しており、8層の負極集電体704を超音波接合させている。勿論、電極層数は16に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する二次電池とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた二次電池とすることができる。
【0168】
ここで、貼り合わせ型の二次電池700の外観図の一例を図15および図16に示す。図15および図16は、正極703、負極706、セパレータ707、外装体709、正極リード電極710および負極リード電極711を有する。
【0169】
図17Aは正極703および負極706の外観図を示す。正極703は正極集電体701を有し、正極活物質層702は正極集電体701の表面に形成されている。また、正極703は正極集電体701が一部露出する領域(以下、タブ領域という)を有する。負極706は負極集電体704を有し、負極活物質層705は負極集電体704の表面に形成されている。また、負極706は負極集電体704が一部露出する領域、すなわちタブ領域を有する。正極および負極が有するタブ領域の面積や形状は、図17Aに示す例に限られない。
【0170】
[貼り合わせ型二次電池の作製方法]
ここで、図15に外観図を示す、貼り合わせ型二次電池の作製方法の一例について、図17Bおよび図17Cを用いて説明する。
【0171】
まず、負極706、セパレータ707および正極703を積層する。図17Bに積層された負極706、セパレータ707および正極703を示す。ここでは負極を5組、正極を4組使用する例を示す。次に、正極703のタブ領域同士の接合と、最表面の正極のタブ領域への正極リード電極710の接合を行う。接合には、例えば超音波溶接等を用いればよい。同様に、負極706のタブ領域同士の接合と、最表面の負極のタブ領域への負極リード電極711の接合を行う。
【0172】
次に外装体709上に、負極706、セパレータ707および正極703を配置する。
【0173】
次に、図17Cに示すように、外装体709を破線で示した部分で折り曲げる。その後、外装体709の外周部を接合する。接合には例えば熱圧着等を用いればよい。この時、後に電解液708を入れることができるように、外装体709の一部(または一辺)に接合されない領域(以下、導入口という)を設ける。
【0174】
次に、外装体709に設けられた導入口から、電解液708(図示しない。)を外装体709の内側へ導入する。電解液708の導入は、減圧雰囲気下、或いは不活性雰囲気下で行うことが好ましい。そして最後に、導入口を接合する。このようにして、貼り合わせ型の二次電池700を作製することができる。
【0175】
[曲げることのできる二次電池]
次に、曲げることのできる二次電池の例について図18A乃至図18Eおよび図19A図19Bを参照して説明する。
【0176】
図18Aに、曲げることのできる二次電池250の上面概略図を示す。図18B図18Cおよび図18Dにはそれぞれ、図18A中の切断線C1-C2、切断線C3-C4、切断線A1-A2における断面概略図である。二次電池250は、外装体251と、外装体251の内部に収容された正極211aおよび負極211bを有する。正極211aと電気的に接続されたリード212a、および負極211bと電気的に接続されたリード212bは、外装体251の外側に延在している。また外装体251で囲まれた領域には、正極211aおよび負極211bに加えて電解液(図示しない)が封入されている。
【0177】
二次電池250が有する正極211aおよび負極211bについて、図19を用いて説明する。図19Aは、正極211a、負極211bおよびセパレータ214の積層順を説明する斜視図である。図19Bは正極211aおよび負極211bに加えて、リード212aおよびリード212bを示す斜視図である。
【0178】
図19Aに示すように、二次電池250は、複数の短冊状の正極211a、複数の短冊状の負極211bおよび複数のセパレータ214を有する。正極211aおよび負極211bはそれぞれ突出したタブ部分と、タブ以外の部分を有する。正極211aの一方の面のタブ以外の部分に正極活物質層が形成され、負極211bの一方の面のタブ以外の部分に負極活物質層が形成される。
【0179】
正極211aの正極活物質層の形成されていない面同士、および負極211bの負極活物質の形成されていない面同士が接するように、正極211aおよび負極211bは積層される。
【0180】
また、正極211aの正極活物質が形成された面と、負極211bの負極活物質が形成された面の間にはセパレータ214が設けられる。図19では見やすくするためセパレータ214を点線で示す。
【0181】
また図19Bに示すように、複数の正極211aとリード212aは、接合部215aにおいて電気的に接続される。また複数の負極211bとリード212bは、接合部215bにおいて電気的に接続される。
【0182】
次に、外装体251について図18B図18C図18Dおよび図18Eを用いて説明する。
【0183】
外装体251は、フィルム状の形状を有し、正極211aおよび負極211bを挟むように2つに折り曲げられている。外装体251は、折り曲げ部261と、一対のシール部262と、シール部263と、を有する。一対のシール部262は、正極211aおよび負極211bを挟んで設けられ、サイドシールとも呼ぶことができる。また、シール部263は、リード212aおよびリード212bと重なる部分を有し、トップシールとも呼ぶことができる。
【0184】
外装体251は、正極211aおよび負極211bと重なる部分に、稜線271と谷線272が交互に並んだ波形状を有することが好ましい。また、外装体251のシール部262およびシール部263は、平坦であることが好ましい。
【0185】
図18Bは、稜線271と重なる部分で切断した断面であり、図18Cは、谷線272と重なる部分で切断した断面である。図18Bおよび図18Cは共に、二次電池250および正極211aおよび負極211bの幅方向の断面に対応する。
【0186】
ここで、正極211aおよび負極211bの幅方向の端部、すなわち正極211aおよび負極211bの端部と、シール部262との間の距離を距離Laとする。二次電池250に曲げるなどの変形を加えたとき、後述するように正極211aおよび負極211bが長さ方向に互いにずれるように変形する。その際、距離Laが短すぎると、外装体251と正極211aおよび負極211bとが強く擦れ、外装体251が破損してしまう場合がある。特に外装体251の金属フィルムが露出すると、当該金属フィルムが電解液により腐食されてしまう恐れがある。したがって、距離Laを出来るだけ長く設定することが好ましい。一方で、距離Laを大きくしすぎると、二次電池250の体積が増大してしまう。
【0187】
また、積層された正極211aおよび負極211bの合計の厚さが厚いほど、正極211aおよび負極211bと、シール部262との間の距離Laを大きくすることが好ましい。
【0188】
より具体的には、積層された正極211aおよび負極211bおよび図示しないがセパレータ214の合計の厚さをtとしたとき、距離Laは、厚さtの0.8倍以上3.0倍以下、好ましくは0.9倍以上2.5倍以下、より好ましくは1.0倍以上2.0倍以下であることが好ましい。距離Laをこの範囲とすることで、コンパクトで、且つ曲げに対する信頼性の高い電池を実現できる。
【0189】
また、一対のシール部262の間の距離を距離Lbとしたとき、距離Lbを正極211aおよび負極211bの幅(ここでは、負極211bの幅Wb)よりも十分大きくすることが好ましい。これにより、二次電池250に繰り返し曲げるなどの変形を加えたときに、正極211aおよび負極211bと外装体251とが接触しても、正極211aおよび負極211bの一部が幅方向にずれることができるため、正極211aおよび負極211bと外装体251とが擦れてしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0190】
例えば、一対のシール部262の間の距離Lbと、負極211bの幅Wbとの差が、正極211aおよび負極211bの厚さtの1.6倍以上6.0倍以下、好ましくは1.8倍以上5.0倍以下、より好ましくは、2.0倍以上4.0倍以下を満たすことが好ましい。
【0191】
言い換えると、距離Lb、幅Wb、および厚さtが、下記数式1の関係を満たすことが好ましい。
【0192】
【数1】
【0193】
ここで、aは、0.8以上3.0以下、好ましくは0.9以上2.5以下、より好ましくは1.0以上2.0以下を満たす。
【0194】
また、図18Dはリード212aを含む断面であり、二次電池250、正極211aおよび負極211bの長さ方向の断面に対応する。図18Dに示すように、折り曲げ部261において、正極211aおよび負極211bの長さ方向の端部と、外装体251との間に空間273を有することが好ましい。
【0195】
図18Eに、二次電池250を曲げたときの断面概略図を示している。図18Eは、図18A中の切断線B1-B2における断面に相当する。
【0196】
二次電池250を曲げると、曲げの外側に位置する外装体251の一部は伸び、内側に位置する他の一部は縮むように変形する。より具体的には、外装体251の外側に位置する部分は、波の振幅が小さく、且つ波の周期が大きくなるように変形する。一方、外装体251の内側に位置する部分は、波の振幅が大きく、且つ波の周期が小さくなるように変形する。このように、外装体251が変形することにより、曲げに伴って外装体251にかかる応力が緩和されるため、外装体251を構成する材料自体が伸縮する必要がない。その結果、外装体251は破損することなく、小さな力で二次電池250を曲げることができる。
【0197】
また、図18Eに示すように、二次電池250を曲げると、正極211aおよび負極211bとがそれぞれ相対的にずれる。このとき、複数の積層された正極211aおよび負極211bは、シール部263側の一端が固定部材217で固定されているため、折り曲げ部261に近いほどずれ量が大きくなるように、それぞれずれる。これにより、正極211aおよび負極211bにかかる応力が緩和され、正極211aおよび負極211b自体が伸縮する必要がない。その結果、正極211aおよび負極211bが破損することなく二次電池250を曲げることができる。
【0198】
また、正極211aおよび負極211bと外装体251との間に空間273を有していることにより、曲げた時内側に位置する正極211aおよび負極211bが、外装体251に接触することなく、相対的にずれることができる。
【0199】
図18および図19で例示した二次電池250は、繰り返し曲げ伸ばしを行っても、外装体の破損、正極211aおよび負極211bの破損などが生じにくく、電池特性も劣化しにくい電池である。
【0200】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である二次電池を電子機器に実装する例について説明する。なお、二次電池は、温度に対する放電制御を二次電池制御回路によって行うことが好ましい。
【0201】
まず実施の形態3の一部で説明した、曲げることのできる二次電池を電子機器に実装する例を図20A乃至図20Gに示す。曲げることのできる二次電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0202】
また、フレキシブルな形状を備える二次電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0203】
図20Aは、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407を有している。上記の二次電池7407に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯電話機を提供できる。
【0204】
図20Bは、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている二次電池7407も湾曲される。また、その時、曲げられた二次電池7407の状態を図20Cに示す。二次電池7407は薄型の蓄電池である。二次電池7407は曲げられた状態で固定されている。なお、二次電池7407は集電体と電気的に接続されたリード電極を有している。例えば、集電体は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体と接する活物質層との密着性を向上し、二次電池7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
【0205】
図20Dは、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、および二次電池7104を備える。また、図20Eに曲げられた二次電池7104の状態を示す。二次電池7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して二次電池7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径と呼び、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または二次電池7104の主表面の一部または全部が変化する。二次電池7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。上記の二次電池7104に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯表示装置を提供できる。
【0206】
図20Fは、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
【0207】
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0208】
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0209】
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行および解除、省電力モードの実行および解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
【0210】
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
【0211】
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0212】
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の二次電池を有している。本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯情報端末を提供できる。例えば、図20Eに示した二次電池7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
【0213】
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
【0214】
図20Gは、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の二次電池を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
【0215】
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
【0216】
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0217】
表示装置7300が有する二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な表示装置を提供できる。
【0218】
また、二次電池を電子機器に実装する例を図20H図21および図22を用いて説明する。
【0219】
日用電子機器に二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な製品を提供できる。例えば、日用電子機器として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の二次電池としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、大容量の二次電池が望まれている。
【0220】
図20Hはタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図20Hにおいて電子タバコ7500は、加熱素子を含むアトマイザ7501と、アトマイザに電力を供給する二次電池7504と、液体供給ボトルやセンサなどを含むカートリッジ7502で構成されている。安全性を高めるため、二次電池7504の過充電や過放電を防ぐ保護回路を二次電池7504に電気的に接続してもよい。図20Hに示した二次電池7504は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池7504は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。本発明の一態様の二次電池は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができる小型であり、且つ、軽量の電子タバコ7500を提供できる。
【0221】
次に、図21Aおよび図21Bに、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図21Aおよび図21Bに示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、スイッチ9625乃至スイッチ9627、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。表示部9631には、可撓性を有するパネルを用いることで、より広い表示部を有するタブレット端末とすることができる。図21Aは、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図21Bは、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
【0222】
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
【0223】
表示部9631は、全てまたは一部の領域をタッチパネルの領域とすることができ、また当該領域に表示されたアイコンを含む画像、文字、入力フォームなどに触れることでデータ入力をすることができる。例えば、筐体9630a側の表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させて、筐体9630b側の表示部9631bに文字、画像などの情報を表示させて用いてもよい。
【0224】
また、筐体9630b側の表示部9631bにキーボードを表示させて、筐体9630a側の表示部9631aに文字、画像などの情報を表示させて用いてもよい。また、表示部9631にタッチパネルのキーボード表示切り替えボタンを表示するようにして、当該ボタンに指やスタイラスなどで触れることで表示部9631にキーボードを表示するようにしてもよい。
【0225】
また、筐体9630a側の表示部9631aのタッチパネルの領域と筐体9630b側の表示部9631bのタッチパネルの領域に対して同時にタッチ入力することもできる。
【0226】
また、スイッチ9625乃至スイッチ9627には、タブレット型端末9600を操作するためのインターフェースだけでなく、様々な機能の切り替えを行うことができるインターフェースとしてもよい。例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、タブレット型端末9600の電源のオン・オフを切り替えるスイッチとして機能してもよい。また、例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替える機能、または白黒表示やカラー表示の切り替える機能を有してもよい。また、例えば、スイッチ9625乃至スイッチ9627の少なくとも一は、表示部9631の輝度を調整する機能を有してもよい。また、表示部9631の輝度は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて最適なものとすることができる。なお、タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0227】
また、図21Aでは筐体9630a側の表示部9631aと筐体9630b側の表示部9631bの表示面積とがほぼ同じ例を示しているが、表示部9631aおよび表示部9631bのそれぞれの表示面積は特に限定されず、一方のサイズと他方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0228】
図21Bは、タブレット型端末9600を2つ折りに閉じた状態であり、タブレット型端末9600は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様に係る蓄電体を用いる。
【0229】
なお、上述の通り、タブレット型端末9600は2つ折りが可能であるため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631を保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた蓄電体9635は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができるタブレット型端末9600を提供できる。
【0230】
また、この他にも図21Aおよび図21Bに示したタブレット型端末9600は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作または編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0231】
タブレット型端末9600の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面または両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお蓄電体9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0232】
また、図21Bに示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図21Cにブロック図を示し説明する。図21Cには、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図21Bに示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0233】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
【0234】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0235】
図22に、他の電子機器の例を示す。図22において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る二次電池8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る二次電池8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
【0236】
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0237】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0238】
図22において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。図22では、二次電池8103が、筐体8101および光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
【0239】
なお、図22では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0240】
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0241】
図22において、室内機8200および室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。図22では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に二次電池8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
【0242】
なお、図22では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
【0243】
図22において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。図22では、二次電池8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
【0244】
なお、上述した電子機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0245】
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、二次電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、二次電池8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、二次電池8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【0246】
本発明の一態様により、二次電池のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、高容量の二次電池とすることができ、よって、二次電池の特性を向上することができ、よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。そのため本発明の一態様である二次電池を、本実施の形態で説明した電子機器に搭載することで、より長寿命で、より軽量な電子機器とすることができる。本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0247】
(実施の形態4)
本実施の形態では、車両に本発明の一態様である二次電池を搭載する例を示す。なお、二次電池は、温度に対する放電制御を二次電池制御回路によって行うことが好ましい。
【0248】
二次電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、またはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
【0249】
図23において、本発明の一態様である二次電池を用いた車両を例示する。図23Aに示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は、車内の床部分に対して、図8Cおよび図8Dに示した二次電池のモジュールを並べて使用すればよい。また、図11に示す二次電池を複数組み合わせた電池パックを車内の床部分に対して設置してもよい。二次電池は電気モーター8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
【0250】
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
【0251】
図23Bに示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図23Bに、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された二次電池8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
【0252】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0253】
また、図23Cは、本発明の一態様の二次電池を用いた二輪車の一例である。図23Cに示すスクータ8600は、二次電池8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。二次電池8602は、方向指示灯8603に電気を供給することができる。
【0254】
また、図23Cに示すスクータ8600は、座席下収納8604に、二次電池8602を収納することができる。二次電池8602は、座席下収納8604が小型であっても、座席下収納8604に収納することができる。二次電池8602は、取り外し可能となっており、充電時には二次電池8602を屋内に持って運び、充電し、走行する前に収納すればよい。
【0255】
本発明の一態様によれば、二次電池のサイクル特性が良好となり、二次電池の容量を大きくすることができる。よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。二次電池自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、例えば電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避できれば、省エネルギー、および二酸化炭素の排出の削減に寄与することができる。また、サイクル特性が良好であれば二次電池を長期に渡って使用できるため、コバルトをはじめとする希少金属の使用量を減らすことができる。
【0256】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0257】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に適用可能なトランジスタの構成ついて説明する。具体的には、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設ける構成について説明する。当該構成とすることで、半導体装置の設計自由度を高めることができる。また、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設けることで、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0258】
図24に示す半導体装置は、トランジスタ390と、トランジスタ500と、容量600と、を有している。図26Aはトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、図26Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、図26Cはトランジスタ390のチャネル幅方向の断面図である。
【0259】
トランジスタ500は、OSトランジスタである。トランジスタ500は、オフ電流が小さい。このため、例えば上記実施の形態で説明したOSトランジスタの構成をトランジスタ500と同様の構成とすることで、長期間電圧を保持することができる。
【0260】
本実施の形態で説明する半導体装置は、図24に示すようにトランジスタ390、トランジスタ500、および容量600を有する。トランジスタ500はトランジスタ390の上方に設けられ、容量600はトランジスタ390、およびトランジスタ500の上方に設けられている。例えば上記実施の形態で説明したトランジスタの構成をトランジスタ390と同様の構成とすることができ、容量の構成を容量600と同様の構成とすることができる。
【0261】
トランジスタ390は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0262】
トランジスタ390は、図26Cに示すように、半導体領域313の上面、およびチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ390をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大する。これにより、トランジスタ390のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ390のオフ特性を向上させることができる。
【0263】
なお、トランジスタ390は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0264】
半導体領域313のチャネルが形成される領域およびその近傍の領域、並びにソース領域またはドレイン領域となる低抵抗領域314aおよび低抵抗領域314b等において、シリコン系半導体等の半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)等を有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ390をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0265】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リン等のn型の導電性を付与する元素、またはホウ素等のp型の導電性を付与する元素を含む。
【0266】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リン等のn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素等のp型の導電性を付与する元素を含むシリコン等の半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料等の導電性材料を用いることができる。
【0267】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタル等の材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウム等の金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0268】
なお、図24に示すトランジスタ390は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみの単極性回路とする場合、図25に示すとおり、トランジスタ390の構成を、OSトランジスタであるトランジスタ500と同様の構成にすればよい。なお、トランジスタ500の詳細については後述する。図25に示すトランジスタ390は、例えば図25に示すようなnチャネル型のトランジスタに適用することができる。
【0269】
本明細書等において、単極性回路とは、例えば全てのトランジスタが同極性のトランジスタである回路を示す。例えば、全てのトランジスタがnチャネル型トランジスタである回路は、単極性回路であるということができる。
【0270】
トランジスタ390を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0271】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等を用いればよい。
【0272】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書等において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0273】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ390等によって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0274】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ390等から、トランジスタ500が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0275】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ390との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0276】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)等を用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm以下、好ましくは5×1015atoms/cm以下であればよい。
【0277】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0278】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量600、またはトランジスタ500と接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330は、プラグまたは配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0279】
各プラグ、および配線(導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料等の導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデン等の高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅等の低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0280】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図24において、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ390と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0281】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350に設けられる開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ390とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ390からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0282】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ390からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0283】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図24において、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0284】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360に設けられる開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ390とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ390からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0285】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図24において、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0286】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370に設けられる開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ390とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ390からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0287】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図24において、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0288】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380に設けられる開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ390とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ390からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0289】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0290】
絶縁体384上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0291】
例えば、絶縁体510および絶縁体514には、基板311等から、またはトランジスタ390を設ける領域等からトランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることが好ましい。
【0292】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ390との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜である。
【0293】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル等の金属酸化物を用いることが好ましい。
【0294】
特に、酸化アルミニウムは、酸素と、トランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分等の不純物と、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分等の不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する金属酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0295】
また、例えば、絶縁体512、および絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、および絶縁体516として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0296】
また、絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516には、導電体518、およびトランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれている。なお、導電体518は、容量600、またはトランジスタ390と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0297】
特に、絶縁体510、および絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ390とトランジスタ500とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で分離することができ、トランジスタ390からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0298】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0299】
図26A図26Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514および絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516および導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542aおよび導電体542bと、導電体542aおよび導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面および側面に配置された酸化物530cと、酸化物530cの形成面に配置された絶縁体550と、絶縁体550の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0300】
また、図26A図26Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、および導電体542bと、絶縁体580との間に絶縁体544を配置することが好ましい。また、図26A図26Bに示すように、導電体560は、絶縁体550の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、図26A図26Bに示すように、絶縁体580、導電体560、および絶縁体550の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0301】
なお、以下において、酸化物530a、酸化物530b、および酸化物530cをまとめて酸化物530という場合がある。
【0302】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、酸化物530b、および酸化物530cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、酸化物530bと酸化物530aの2層構造、酸化物530bと酸化物530cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、図24図25図26A図26Bに示すトランジスタ500は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0303】
ここで、導電体560は、トランジスタ500のゲート電極として機能し、導電体542aおよび導電体542bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542a、および導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0304】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542aまたは導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と、導電体542aおよび導電体542bと、の間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度が向上し、高い周波数特性を有することができる。
【0305】
導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電圧を、導電体560に印加する電圧と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電圧を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電圧を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電圧が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0306】
導電体503は、酸化物530、および導電体560と重なる領域を有するように配置する。これにより、導電体560、および導電体503に電圧を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。本明細書等において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によってチャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s-channel)構造という。
【0307】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514および絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503aおよび導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0308】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書等において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一、または全ての拡散を抑制する機能とする。
【0309】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を有することにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0310】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。その場合、導電体503aは、必ずしも設けなくともよい。なお、導電体503bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0311】
絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0312】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体524には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。
【0313】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm以上、または3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0314】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一又は複数の処理を行ってもよい。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VH→V+H」という反応が起きることにより、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してHOとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542(導電体542a、及び導電体542b)に拡散または捕獲(ゲッタリングともいう)される場合がある。
【0315】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができる。また、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば酸素およびアルゴンを用い、酸素流量比(O/(O+Ar))は50%以下、好ましくは10%以上30%以下とするとよい。
【0316】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(V)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0317】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「V+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素と、酸化物530に供給された酸素と、が反応することで、当該水素をHOとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVHが形成されるのを抑制することができる。
【0318】
また、絶縁体524が過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0319】
絶縁体522が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素が絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524や酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0320】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、または(Ba,Sr)TiO(BST)等のいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電圧の低減が可能となる。
【0321】
特に、不純物、および酸素等の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0322】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0323】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁体520を得ることができる。
【0324】
なお、図26A図26Bのトランジスタ500では、3層の積層構造からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、または4層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0325】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウム等から選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、酸化物530として適用できるIn-M-Zn酸化物は、CAAC-OS(C-Axls Aligned Crystal Oxide Semiconductor)、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite Oxide Semiconductor)であることが好ましい。また、酸化物530として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。CAAC-OSおよびCAC-OSについては後述する。
【0326】
また、トランジスタ500には、キャリア濃度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物のキャリア濃度を低くする場合においては、金属酸化物中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。なお、金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0327】
特に、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、金属酸化物中に酸素欠損を形成する場合がある。また、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、酸素欠損と水素とが結合しVHを形成する場合がある。VHはドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中の水素は、熱、電界等のストレスによって動きやすいため、金属酸化物に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VHが十分低減された金属酸化物を得るには、金属酸化物中の水分、水素等の不純物を除去すること(脱水、脱水素化処理と記載する場合がある。)と、金属酸化物に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(加酸素化処理と記載する場合がある。)が重要である。VH等の不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0328】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、金属酸化物のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、金属酸化物においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、金属酸化物のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0329】
よって、金属酸化物を酸化物530に用いる場合、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。水素等の不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0330】
また、酸化物530に金属酸化物を用いる場合、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
【0331】
また、酸化物530に金属酸化物を用いる場合、導電体542(導電体542a、及び導電体542b)と酸化物530とが接することで、酸化物530中の酸素が導電体542へ拡散し、導電体542が酸化する場合がある。導電体542が酸化することで、導電体542の導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物530中の酸素が導電体542へ拡散することを、導電体542が酸化物530中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
【0332】
また、酸化物530中の酸素が導電体542(導電体542a、及び導電体542b)へ拡散することで、導電体542aと酸化物530bとの間、および導電体542bと酸化物530bとの間に異層が形成される場合がある。当該異層は、導電体542よりも酸素を多く含むため、当該異層は絶縁性を有すると推定される。このとき、導電体542と、当該異層と、酸化物530bとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造という、またはMIS構造を主としたダイオード接合構造という場合がある。
【0333】
なお、上記異層は、導電体542と酸化物530bとの間に形成されることに限られない。例えば、異層が、導電体542と酸化物530cとの間に形成される場合がある。または、導電体542と酸化物530bとの間、および導電体542と酸化物530cとの間に形成される場合がある。
【0334】
また、酸化物530においてチャネル形成領域にとして機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0335】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物から、酸化物530bへ不純物が拡散することを抑制することができる。また、酸化物530b上に酸化物530cを有することで、酸化物530cよりも上方に形成された構造物から、酸化物530bへ不純物が拡散することを抑制することができる。
【0336】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530cは、酸化物530aまたは酸化物530bに用いることができる金属酸化物を用いることができる。
【0337】
具体的には、酸化物530aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、または1:1:0.5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、または1:1:1[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530cを積層構造とする場合の具体例としては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]との積層構造、Ga:Zn=2:1[原子数比]と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]との積層構造、Ga:Zn=2:5[原子数比]と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]との積層構造、酸化ガリウムと、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]との積層構造などが挙げられる。
【0338】
また、酸化物530aおよび酸化物530cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530aおよび酸化物530cの電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0339】
ここで、酸化物530a、酸化物530b、および酸化物530cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530a、酸化物530b、および酸化物530cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面、および酸化物530bと酸化物530cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0340】
具体的には、酸化物530aと酸化物530b、および酸化物530bと酸化物530cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aおよび酸化物530cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウム等を用いるとよい。
【0341】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530a、および酸化物530cを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面、および酸化物530bと酸化物530cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0342】
なお、酸化物530に用いることができる半導体材料は、上述の金属酸化物に限られない。酸化物530として、バンドギャップを有する半導体材料(ゼロギャップ半導体ではない半導体材料)を用いてもよい。例えば、シリコンなどの単体元素の半導体、ヒ化ガリウムなどの化合物半導体、半導体として機能する層状物質(原子層物質、2次元材料などともいう。)などを半導体材料に用いることが好ましい。特に、半導体として機能する層状物質を半導体材料に用いると好適である。
【0343】
ここで、本明細書等において、層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合やイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合やイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0344】
層状物質として、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などがある。カルコゲン化物は、カルコゲンを含む化合物である。また、カルコゲンは、第16族に属する元素の総称であり、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、リバモリウムが含まれる。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。
【0345】
酸化物530として、例えば、半導体として機能する遷移金属カルコゲナイドを用いることが好ましい。酸化物530として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe)、硫化タングステン(代表的にはWS)、セレン化タングステン(代表的にはWSe)、タングステンテルル(代表的にはWTe)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe)などが挙げられる。
【0346】
酸化物530b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体542a、および導電体542bが設けられる。導電体542a、および導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため好ましい。更に、窒化タンタル等の金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0347】
また、図26では、導電体542a、および導電体542bを単層構造として示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造としてもよい。
【0348】
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0349】
また、図26Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として領域543a、および領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域またはドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0350】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア濃度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0351】
絶縁体544は、導電体542a、および導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、および導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0352】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン、マグネシウム等から選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコン等も用いることができる。
【0353】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、および導電体542bが耐酸化性を有する材料、または酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体544は必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により適宜設計すればよい。
【0354】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、および水素等の不純物が、酸化物530cおよび絶縁体550を介して酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体560が酸化することを抑制することができる。
【0355】
絶縁体550は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体550は、酸化物530cの内側(上面、及び側面)と接するように配置することが好ましい。絶縁体550は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0356】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0357】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体550として酸化物530cの上面に接して設けることにより、酸化物530cを通じて、絶縁体550から酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体550中の水または水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体550の膜厚は、1nm以上20nm以下とすることが好ましい。
【0358】
また、絶縁体550が有する過剰酸素を効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体550と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体550から導電体560への酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。酸素の拡散を抑制する機能を有する金属酸化物を設けることで、絶縁体550から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0359】
なお、絶縁体550は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構造としてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。このため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構造とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電圧を低減することが可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0360】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、図26A図26Bでは2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0361】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NO等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を有することで、絶縁体550に含まれる酸素により導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極ということができる。
【0362】
また、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0363】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、および導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂等を有することが好ましい。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、および空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0364】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を、酸化物530cと接する領域を有するように設けることで、絶縁体580中の酸素を、酸化物530cを通じて、酸化物530aおよび酸化物530bへと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水または水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0365】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。
【0366】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく導電体560を形成することができる。
【0367】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、および絶縁体550の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体550、および絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0368】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、またはマグネシウム等から選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0369】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素等の不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0370】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524等と同様に、膜中の水または水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0371】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、および導電体540bを配置する。導電体540aおよび導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。導電体540aおよび導電体540bは、後述する導電体546、および導電体548と同様の構成である。
【0372】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体582には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル等の金属酸化物を用いることが好ましい。
【0373】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分等の不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分等の不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0374】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体586として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0375】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、および絶縁体586には、導電体546、および導電体548等が埋め込まれている。
【0376】
導電体546、および導電体548は、容量600、トランジスタ500、またはトランジスタ390と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体546、および導電体548は、導電体328、または導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0377】
なお、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入することを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体514または絶縁体522に達する開口を形成し、絶縁体514または絶縁体522に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため好適である。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522と同様の材料を用いればよい。
【0378】
続いて、トランジスタ500の上方には、容量600が設けられている。容量600は、導電体610、導電体620、および絶縁体630を有する。
【0379】
また、導電体546、および導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体610は、容量600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、および導電体610は、同時に形成することができる。
【0380】
導電体612、および導電体610には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物等の導電性材料を適用することもできる。
【0381】
図24では、導電体612、および導電体610は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0382】
絶縁体630を介して導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料等の導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデン等の高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体等の他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0383】
導電体620、および絶縁体630上には、絶縁体640が設けられている。絶縁体640は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体640は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0384】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
【0385】
図27A図27Bは、図26A図26Bに示すトランジスタ500の変形例である。図26Aはトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、図26Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図である。なお、図27A図27Bに示す構成は、トランジスタ390等、本発明の一態様の半導体装置が有する他のトランジスタにも適用することができる。
【0386】
図27Aは、トランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、図27Bは、トランジスタ500のチャネル幅方向の断面図である。図27A図27Bに示すトランジスタ500は、絶縁体402および絶縁体404を有する点が、図26A図26Bに示すトランジスタ500と異なる。また、導電体540aの側面に接して絶縁体552が設けられ、導電体540bの側面に接して絶縁体552が設けられる点が、図26A図26Bに示すトランジスタ500と異なる。さらに、絶縁体520を有さない点が、図26A図26Bに示すトランジスタ500と異なる。
【0387】
図27A図27Bに示すトランジスタ500は、絶縁体512上に絶縁体402が設けられる。また、絶縁体574上、および絶縁体402上に絶縁体404が設けられる。
【0388】
図27A図27Bに示すトランジスタ500では、絶縁体514、絶縁体516、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、および絶縁体574がパターニングされており、絶縁体404がこれらを覆う構造になっている。つまり、絶縁体404は、絶縁体574の上面、絶縁体574の側面、絶縁体580の側面、絶縁体544の側面、絶縁体524の側面、絶縁体522の側面、絶縁体516の側面、絶縁体514の側面、絶縁体402の上面とそれぞれ接する。これにより、酸化物530等は、絶縁体404と絶縁体402によって外部から隔離される。
【0389】
絶縁体402および絶縁体404は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)または水分子の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。例えば、絶縁体402および絶縁体404として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることが好ましい。これにより、酸化物530に水素等が拡散することを抑制することができるので、トランジスタ500の特性が低下することを抑制することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0390】
絶縁体552は、絶縁体581、絶縁体404、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に接して設けられる。絶縁体552は、水素または水分子の拡散を抑制する機能を有するが好ましい。たとえば、絶縁体552として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素バリア性が高い材料であるので、絶縁体552として用いると好適である。絶縁体552として水素バリア性が高い材料を用いることにより、水または水素等の不純物が、絶縁体580等から導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580に含まれる酸素が導電体540aおよび導電体540bに吸収されることを抑制することができる。以上により、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0391】
図28は、トランジスタ500およびトランジスタ390を図27A図27Bに示す構成とした場合における、半導体装置の構成例を示す断面図である。導電体546の側面に、絶縁体552が設けられている。
【0392】
図29A図29Bは、図27A図27Bに示すトランジスタの変形例である。図29Aはトランジスタのチャネル長方向の断面図であり、図29Bはトランジスタのチャネル幅方向の断面図である。図29A図29Bに示すトランジスタは、酸化物530cが酸化物530c1および酸化物530c2の2層構造である点が、図27A図27Bに示すトランジスタと異なる。
【0393】
酸化物530c1は、絶縁体524の上面、酸化物530aの側面、酸化物530bの上面および側面、導電体542aおよび導電体542bの側面、絶縁体544の側面、および絶縁体580の側面と接する。酸化物530c2は、絶縁体550と接する。
【0394】
酸化物530c1として、例えばIn-Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物530c2として、酸化物530cが1層構造である場合に酸化物530cに用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。例えば、酸化物530c2として、n:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いることができる。
【0395】
酸化物530cを酸化物530c1および酸化物530c2の2層構造とすることにより、酸化物530cを1層構造とする場合より、トランジスタのオン電流を高めることができる。よって、トランジスタを、例えばパワーMOSトランジスタとすることができる。なお、図26A図26Bに示すトランジスタが有する酸化物530cも、酸化物530c1と酸化物530c2の2層構造とすることができる。
【0396】
図29A図29Bに示すトランジスタは、例えばトランジスタ390に適用することができる。前述のように、トランジスタ390は、上記実施の形態の図25に示すOSトランジスタに適用することができる。よって、出力トランジスタとしての機能を有する場合、OSトランジスタのオン電流を高めることができ、本発明の一態様の半導体装置から出力される電圧の精度を高めることができる。なお、図29A図29Bに示す構成は、トランジスタ500等、本発明の一態様の半導体装置が有する、トランジスタ390以外のトランジスタにも適用することができる。
【0397】
図30は、トランジスタ500を図26A図26Bに示す構成とし、トランジスタ390を図29A図29Bに示す構成とした場合における、半導体装置の構成例を示す断面図である。なお、図28と同様に、導電体546の側面に絶縁体552を設ける構成としている。図30に示すように、本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ390とトランジスタ500を両方ともOSトランジスタとしつつ、トランジスタ390とトランジスタ500のそれぞれを異なる構成にすることができる。
【0398】
本実施の形態は、他の実施の形態等に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0399】
C1:容量、C2:容量、M1:トランジスタ、M2:トランジスタ、M3:トランジスタ、R1:抵抗、R2:抵抗、R3:抵抗、RS1:抵抗、RS2:抵抗、SW1:スイッチ、SW3:スイッチ、10:回路、10A:回路、20:回路、21:回路、21A:回路、22:回路、22A:回路、30:回路、31:回路、31a:回路、31A:回路、31b:回路、31c:回路、32:回路、32a:スイッチ、32A:回路、32b:スイッチ、33:スイッチ、40:二次電池モジュール、40A:二次電池モジュール、41:二次電池、42:センサ、43:抵抗、50a:比較回路、50b:メモリ、51:比較回路、51a:比較回路、51b:メモリ、52a:比較回路、52b:メモリ、53a:比較回路、53b:メモリ、60a:比較回路、60b:メモリ、61:比較回路、61a:比較回路、61b:メモリ、62a:比較回路、62b:メモリ、63a:比較回路、63b:メモリ、71:配線、72:配線、73:配線、74:配線、75:配線、76:配線、77:配線、78:配線、211a:正極、211b:負極、212a:リード、212b:リード、214:セパレータ、215a:接合部、215b:接合部、217:固定部材、250:二次電池、251:外装体、262:シール部、263:シール部、300:二次電池、301:正極缶、302:負極缶、303:ガスケット、304:正極、305:正極集電体、306:正極活物質層、307:負極、308:負極集電体、309:負極活物質層、310:セパレータ、311:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、326:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、352:絶縁体、354:絶縁体、356:導電体、360:絶縁体、362:絶縁体、364:絶縁体、366:導電体、370:絶縁体、372:絶縁体、374:絶縁体、376:導電体、380:絶縁体、382:絶縁体、384:絶縁体、386:導電体、390:トランジスタ、402:絶縁体、404:絶縁体、500:トランジスタ、503:導電体、503a:導電体、503b:導電体、510:絶縁体、512:絶縁体、514:絶縁体、516:絶縁体、518:導電体、520:絶縁体、522:絶縁体、524:絶縁体、530:酸化物、530a:酸化物、530b:酸化物、530c:酸化物、530c1:酸化物、530c2:酸化物、540a:導電体、540b:導電体、542:導電体、542a:導電体、542b:導電体、543a:領域、543b:領域、544:絶縁体、546:導電体、548:導電体、550:絶縁体、552:絶縁体、560:導電体、560a:導電体、560b:導電体、574:絶縁体、580:絶縁体、581:絶縁体、582:絶縁体、586:絶縁体、600:容量、610:導電体、612:導電体、620:導電体、630:絶縁体、640:絶縁体、700:二次電池、701:正極集電体、702:正極活物質層、703:正極、704:負極集電体、705:負極活物質層、706:負極、707:セパレータ、708:電解液、709:外装体、710:正極リード電極、711:負極リード電極、800:二次電池、801:正極キャップ、802:電池缶、803:正極端子、804:正極、805:セパレータ、806:負極、807:負極端子、808:絶縁板、809:絶縁板、811:PTC素子、812:安全弁機構、813:導電板、814:導電板、815:モジュール、816:導線、817:温度制御装置、900:回路基板、910:ラベル、911:端子、912:回路、913:二次電池、914:アンテナ、915:アンテナ、916:層、917:層、918:アンテナ、920:表示装置、921:センサ、922:端子、930:筐体、930a:筐体、930b:筐体、931:負極、932:正極、933:セパレータ、950:捲回体、951:端子、952:端子、980:二次電池、981:フィルム、982:フィルム、993:捲回体、994:負極、995:正極、996:セパレータ、997:リード電極、998:リード電極、7100:携帯表示装置、7101:筐体、7102:表示部、7103:操作ボタン、7104:二次電池、7200:携帯情報端末、7201:筐体、7202:表示部、7203:バンド、7204:バックル、7205:操作ボタン、7206:入出力端子、7207:アイコン、7300:表示装置、7304:表示部、7400:携帯電話機、7401:筐体、7402:表示部、7403:操作ボタン、7404:外部接続ポート、7405:スピーカ、7406:マイク、7407:二次電池、7500:電子タバコ、7501:アトマイザ、7502:カートリッジ、7504:二次電池、8000:表示装置、8001:筐体、8002:表示部、8003:スピーカ部、8004:二次電池、8021:充電装置、8022:ケーブル、8024:二次電池、8100:照明装置、8101:筐体、8102:光源、8103:二次電池、8200:室内機、8201:筐体、8202:送風口、8203:二次電池、8204:室外機、8300:電気冷凍冷蔵庫、8301:筐体、8302:冷蔵室用扉、8303:冷凍室用扉、8304:二次電池、8400:自動車、8401:ヘッドライト、8406:電気モーター、8500:自動車、8600:スクータ、8601:サイドミラー、8602:二次電池、8603:方向指示灯、8604:座席下収納、9600:タブレット型端末、9625:スイッチ、9627:スイッチ、9628:操作スイッチ、9630:筐体、9630a:筐体、9630b:筐体、9631:表示部、9631a:表示部、9631b:表示部、9633:太陽電池、9634:充放電制御回路、9635:蓄電体、9636:DCDCコンバータ、9637:コンバータ、9640:可動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
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図18E
図19A
図19B
図20A
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図21A
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図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26A
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図27A
図27B
図28
図29A
図29B
図30