(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】分散型マルチノード制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/04 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G05B19/04
(21)【出願番号】P 2020568673
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2019092124
(87)【国際公開番号】W WO2019242696
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】201810637356.4
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520480887
【氏名又は名称】東莞市李群自動化技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】陳理輝
(72)【発明者】
【氏名】沙▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】王彬
(72)【発明者】
【氏名】雷宇
(72)【発明者】
【氏名】鄭栄魁
(72)【発明者】
【氏名】劉江
(72)【発明者】
【氏名】郭仲才
(72)【発明者】
【氏名】杜恵
(72)【発明者】
【氏名】田雪林
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-059308(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105824303(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0121240(US,A1)
【文献】特表2015-518597(JP,A)
【文献】特開平08-179816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231524(US,A1)
【文献】特開2015-197802(JP,A)
【文献】特開2007-328782(JP,A)
【文献】特開2016-095586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型マルチノード制御システムであって、
第1の制御ノード、第2の制御ノード、複数のサーボノード及び実行装置を含み、前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードがそれぞれ前記複数のサーボノードと通信可能に接続され、前記サーボノードが前記実行装置と電気的に接続され、対応する前記実行装置の動作状態を制御するように構成され、前記第1の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第1のサーボノードの動作状態を制御するように構成され、前記第2の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第2のサーボノードの動作状態を制御するように構成され、
前記分散型マルチノード制御システムはスケジューリング制御ノードをさらに含み、前記スケジューリング制御ノードはそれぞれ前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードと通信可能に接続され、前記スケジューリング制御ノードは、予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードの動作状態情報を取得し、前記動作状態情報に基づいて、前記第1の制御ノードに対応する前記第1のサーボノードの数及び前記第2の制御ノードに対応する前記第2のサーボノードの数を調整するように構成される、
ことを特徴とする分散型マルチノード制御システム。
【請求項2】
前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードはいずれも非対称デュアルカーネルアーキテクチャである、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項3】
前記第1の制御ノードはLinux(登録商標)システムを実行する第1のカーネル及びRTOSシステムを実行する第2のカーネルを含み、前記第1のカーネルは、制御命令を受信し、かつ受信した前記制御命令を前記第2のカーネルに送信するように構成され、前記第2のカーネルは前記制御命令及び対応する前記第1のサーボノードに基づいて、各前記第1のサーボノードに対応する実行命令を算出し、かつ対応する前記第1のサーボノードに割り当てる、
ことを特徴とする請求項2に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項4】
前記第1の制御ノードは共有記憶領域を含み、前記第1のカーネルは、予め設定されたプロトコルに従って前記第2のカーネルに送信する必要のあるデータを転送データに変換して、前記共有記憶領域に記憶し、前記第1のカーネルは、前記共有記憶領域内の対応する位置から前記転送データを取り出すように前記第2のカーネルに通知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項5】
前記サーボノードは対称デュアルカーネルアーキテクチャであり、対応する2つのカーネルは、両方ともリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を実行するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項6】
前記第1の制御ノードは予め設定された時間間隔に基づいて第1のサーボノード及び対
応する実行装置の動作状態データを取得し、前記第1の制御ノードが取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動し、前記第2の制御ノードは、予め設定された時間間隔に基づいて前記第2のサーボノード及び対応する実行装置の動作状態データを取得し、前記第2の制御ノードが取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項7】
前記実行装置は制御モータ及び入力出力(IO)装置を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型マルチノード制御システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の分散型マルチノード制御システムに適用される分散型マルチノード制御方法であって、前記第1の制御ノードは第1のカーネル及び第2のカーネルを含み、前記分散型マルチノード制御方法は、
前記第1のカーネルは制御命令を受信するステップと、
前記第1のカーネルは受信した前記制御命令を前記第2のカーネルに送信するステップと、
前記第2のカーネルは前記制御命令及び対応する前記第1のサーボノードに基づいて、各前記第1のサーボノードに対応する実行命令を算出するステップと、
前記第2のカーネルは前記実行命令をそれぞれ対応する前記第1のサーボノードに送信するステップと、
前記第1のサーボノードは受信した前記実行命令に基づいて、対応する前記実行装置の動作状態を制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする分散型マルチノード制御方法。
【請求項9】
前記分散型マルチノード制御システムはスケジューリング制御ノードをさらに含み、前記スケジューリング制御ノードはそれぞれ前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードと通信可能に接続され、前記分散型マルチノード制御方法は、
前記スケジューリング制御ノードは予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードの動作状態情報を取得するステップと、
前記スケジューリング制御ノードは前記動作状態情報に基づいて前記第1の制御ノードに対応する前記第1のサーボノードの数及び前記第2の制御ノードに対応する前記第2のサーボノードの数を調整するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の分散型マルチノード制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年6月20日に国家知識産権局に提出された、出願番号CN201810637356.4、名称「分散型マルチノード制御システム及び方法」の中国特許出願の優先権を請求し、その全内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は制御技術分野に関し、具体的には、分散型マルチノード制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴って、産業用ロボットはその安定性及び効率性をもとに、今後の生産においてますます重要な役割を果たすことになる。ますます多くの業種は人間の代わりにロボットを用いて再現性の高い作業をこなす。コントローラは、産業用ロボットの最も重要な部品として、現在の適用において幾つかの実際の課題が存在する。一方では、コントローラの集積度が高いため、故障が発生すると機械全体を修理する必要があり、コストが高い。他方では、コントローラの受け持つ仕事量が大きく、制御効率が確保できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、上記課題を解決するように分散型マルチノード制御システム及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本出願の実施例で採用された技術案は以下のとおりである。
【0006】
本出願の実施例は分散型マルチノード制御システムを提供し、前記分散型マルチノード制御システムは、第1の制御ノード、第2の制御ノード、複数のサーボノード及び実行装置を含み、前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードがそれぞれ前記複数のサーボノードと通信可能に接続され、前記サーボノードが前記実行装置と電気的に接続され、対応する前記実行装置の動作状態を制御するように構成される。前記第1の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第1のサーボノードの動作状態を制御するように構成され、前記第2の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第2のサーボノードの動作状態を制御するように構成される。
【0007】
さらに、前記分散型マルチノード制御システムはスケジューリング制御ノードをさらに含み、前記スケジューリング制御ノードはそれぞれ前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードと通信可能に接続される。前記スケジューリング制御ノードは、予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードの動作状態情報を取得し、前記動作状態情報に基づいて、前記第1の制御ノードに対応する前記第1のサーボノードの数及び前記第2の制御ノードに対応する前記第2のサーボノードの数を調整するように構成される。
【0008】
さらに、前記第1の制御ノード及び第2の制御ノードはいずれも非対称デュアルカーネルアーキテクチャである。
【0009】
さらに、前記第1の制御ノードはLinuxシステムを実行する第1のカーネル及びリアルタイムオペレーティングシステム(RTOSシステム)を実行する第2のカーネルを含み、前記第1のカーネルは、制御命令を受信し、かつ受信した前記制御命令を前記第2のカーネルに送信するように構成され、前記第2のカーネルは制御命令及び対応する前記第1のサーボノードに基づいて、各前記第1のサーボノードに対応する実行命令を算出し、かつ対応する前記第1のサーボノードに割り当てる。
【0010】
さらに、前記第1の制御ノードは共有記憶領域を含み、前記第1のカーネルは、予め設定されたプロトコルに従って前記第2のカーネルに送信する必要のあるデータを転送データに変換して、前記共有記憶領域に記憶する。前記第1のカーネルは、前記共有記憶領域内の対応する位置から前記転送データを取り出すように前記第2のカーネルに通知する。
【0011】
さらに、前記サーボノードは対称デュアルカーネルアーキテクチャであり、対応する2つのカーネルは、両方ともRTOSシステムを実行するように構成される。
【0012】
さらに、前記第1の制御ノードは予め設定された時間間隔に基づいて第1のサーボノード及び対応する実行装置の動作状態データを取得し、前記第1の制御ノードが取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動する。前記第2の制御ノードは、予め設定された時間間隔に基づいて前記第2のサーボノード及び対応する実行装置の動作状態データを取得し、前記第2の制御ノードが取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動する。
【0013】
さらに、前記実行装置は制御モータ及び入力出力(IO)装置を含む。
【0014】
本出願の実施例は分散型マルチノード制御方法を提供し、上記分散型マルチノード制御システムに適用される。前記第1の制御ノードは第1のカーネル及び第2のカーネルを含み、前記方法は、前記第1のカーネルは制御命令を受信するステップと、前記第1のカーネルは受信した前記制御命令を前記第2のカーネルに送信するステップと、前記第2のカーネル制御命令及び対応する前記第1のサーボノードに基づいて、各前記第1のサーボノードに対応する実行命令を算出するステップと、前記第2のカーネルは前記実行命令をそれぞれ対応する前記第1のサーボノードに送信するステップと、前記第1のサーボノードは受信した前記実行命令に基づいて、対応する前記実行装置の動作状態を制御するステップと、を含む。
【0015】
さらに、前記分散型マルチノード制御システムはスケジューリング制御ノードをさらに含み、前記スケジューリング制御ノードはそれぞれ前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードと通信可能に接続される。前記方法は、前記スケジューリング制御ノードが予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードの動作状態情報を取得するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本出願によって提供される分散型マルチノード制御システムにおける第1の制御ノード及び第2の制御ノードは、それぞれ複数のサーボノードと通信可能に接続されることにより、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第1のサーボノードの動作状態を制御して対応する実行装置を制御するように第1の制御ノードを構成し、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第2のサーボノードの動作状態を制御して対応する実行装置を制御するように第2の制御ノードを構成することを容易にする。即ち、リアルタイムな計算量を複数の制御ノードで分担することによって、分散型制御を実現し、計算スピードを上げる。さらに、このようなマルチノードによって連携されて協力し合うシステムは、メンテナンスを容易にして、メンテナンスコストの削減に有利である。
【0017】
本出願の上記目的、特徴及び利点をより明確で理解しやすいものにするために、以下は好ましい実施例を挙げるとともに、添付の図面と組み合わせて、以下のように詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は実施例において必要とされる図面を簡単に紹介する。以下の図面は本出願の一部の実施例を示すものに過ぎないため、範囲を限定するものとして見なすべきではなく、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、さらにこれらの図面に基づいて関連する他の図面を取得できることを理解されたい。
【0019】
【
図1】本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御システムの概略図が示される。
【
図2】本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御システムの別の種類の概略図が示される。
【
図3】本出願の好ましい実施例によって提供される第1の制御ノードの概略図が示される。
【
図4】本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御方法のフローチャートが示される。
【
図5】本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御方法のフローチャートの別の部分が示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願の実施例の図面と組み合わせて、本出願の実施例における技術案を明確、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。通常、本明細書の図面において説明及び示される本出願の実施例のアセンブリは、様々な構成で配置及び設計することができる。そのため、以下は図面で提供される本出願の実施例への詳しい説明は特許請求している本出願の範囲を限定することを意図しておらず、本出願の選択された実施例を表すものに過ぎない。本出願の実施例をもとに、当業者は創造的な労力なしに得られた他のすべての実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属している。
【0021】
なお、類似する符号及びアルファベットは以下の図面において類似する項目を表すため、1つの項目が1つの図面において定義されると、その後の図面においてさらに定義及び説明する必要がなくなる。同時に、本出願の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとして理解すべきではないことを留意されたい。
【0022】
第1の実施例
【0023】
図1を参照すると、
図1は、本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御システム100の概略図である。
図1に示すように、該分散型マルチノード制御システム100は、制御ノード10、複数のサーボノード20及び実行装置30を含む。制御ノード10はサーボノード20と通信可能に接続され、サーボノード20は実行装置30に電気的に接続される。
【0024】
本出願の実施例において、
図2に示すように、上記分散型マルチノード制御システム100はスケジューリング制御ノード40をさらに含む。前記制御ノード10は、第1の制御ノード11及び第2の制御ノード12を含んでも良いが、これらに限定されない。スケジューリング制御ノード40はそれぞれ第1の制御ノード11及び第2の制御ノード12と通信可能に接続される。第1の制御ノード11及び前記第2の制御ノード12はそれぞれ上記複数のサーボノード20と通信可能に接続される。第1の制御ノード11は、前記複数のサーボノード20のうちの少なくとも1つの第1のサーボノード21の動作状態を制御するように構成され、前記第2の制御ノード12は、前記複数のサーボノード20のうちの少なくとも1つの第2のサーボノード22の動作状態を制御するように構成される。スケジューリング制御ノード40は、各制御ノード10によって制御されるサーボノード20を割り当てるように構成され得る。
【0025】
さらに、各制御ノード10のリソースを十分に活用するために、本出願の実施例において、スケジューリング制御ノード40はさらに、予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード11及び前記第2の制御ノード12の動作状態情報を取得して、前記動作状態情報に基づいて前記第1の制御ノード11に対応する前記第1のサーボノード21の数及び前記第2の制御ノード12に対応する前記第2のサーボノード22の数を調整するように構成される。上記動作状態情報はシステム占有情報、負荷情報などを含んでも良い。
【0026】
一つのコントローラを介してすべてのサーボ機構を集中的に制御するという関連技術におけるポリシーに対して、本出願の実施例は複数のサーボノード20を複数の制御ノード10に割り当てることによって、各制御ノード10の仕事量を減らし、計算スピードを上げる。
【0027】
本出願の実施例において、上記第1の制御ノード11及び第2の制御ノード12はいずれも非対称デュアルカーネルアーキテクチャである。
【0028】
選択的に、第1の制御ノード11はLinuxシステムを実行する第1のカーネル111及びRTOSシステムを実行する第2のカーネル112を含み、前記第1のカーネル111は制御命令を受信し、かつ受信した前記制御命令を前記第2のカーネル112に送信するように構成され、前記第2のカーネル112は制御命令及び対応する前記第1のサーボノード21に基づいて、各前記第1のサーボノード21に対応する実行命令を算出し、かつ対応する前記第1のサーボノード21に割り当てる。Linuxシステムを実行する第1のカーネル111は、外界との通信及びインタラクション、命令及びパラメータの受信などに用いられる。RTOSシステムを実行する第2のカーネル112は、第1のカーネル111から受信されたデータに基づいて処理することによって、各第1のサーボノード21に対応する実行命令を生成するように構成され、上記実行命令はサーボ命令を指すものであってもよい。第2のカーネル112は、ネットワークを介して生成された実行命令を対応する第1のサーボノード21に送信する。
【0029】
さらに、上記プロセスにおいて、LinuxシステムとRTOSシステムとの間はデータの転送が必要とされ、しかしながら、異なるシステムの間のデータ交換には互換性がないという課題が依然として存在している。この課題を解決するために、本出願の実施例では、
図3に示すように、第1の制御ノード11は共有記憶領域113を含む。前記第1のカーネル111は、予め設定されたプロトコルに従って、前記第2のカーネル112に送信する必要のあるデータを転送データに変換して、前記共有記憶領域113に記憶する。前記第1のカーネル111は、前記共有記憶領域113内の対応する位置から前記転送データを取り出すように前記第2のカーネル112に通知する。即ち、予め設定されたプロトコルによって、Linuxシステムが送信したデータをRTOSシステムによって識別可能なデータに変換することができる。無論、予め設定されたプロトコルによって、RTOSシステムが送信したデータをLinuxシステムによって識別可能なデータに変換してもよい。
【0030】
本出願の実施例において、第1の制御ノード11は予め設定された時間間隔に基づいて前記第1のサーボノード21及び対応する実行装置30の動作状態データを取得する。前記第1の制御ノード11が取得した動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動する。選択的に、動作状態データが異常状態データに属することを判定する方式は、サーボノード20または対応する実行装置30がフィードバックした動作状態データを予期の動作状態データと比較したうえ、異常状態データに属するか否かを判定するものであってもよく、或いは、サーボノード20または対応する実行装置30がフィードバックした動作状態データに異常情報が含まれているか否かに基づいて判定するものであってもよい。選択的に、上記異常警告動作は、第1の制御ノード11の表示ユニットに異常状態データに対応するデバイスの識別子を表示するものであってもよく、例えば、1つのサーボノード20が第1の制御ノード11にフィードバックした動作状態データが異常状態データに属する場合、表示ユニットに該サーボノード20の識別情報を表示し、メンテナンススタッフによる点検を容易にする。
【0031】
選択的に、第2の制御ノード12はLinuxシステムを実行する第3のカーネル及びRTOSシステムを実行する第4のカーネルを含み、前記第3のカーネルは、制御命令を受信し、かつ受信した前記制御命令を前記第4のカーネルに送信するように構成され、前記第4のカーネルは、制御命令及び対応する前記第2のサーボノード22に基づいて、各前記第2のサーボノード22に対応する実行命令を算出し、かつ対応する前記第2のサーボノード22に送信するように構成される。Linuxシステムを実行する第3のカーネルは、外界との通信及びインタラクション、命令及びパラメータの受信などに用いられる。RTOSシステムを実行する第4のカーネルは、第3のカーネルから受信されたデータに基づいて処理することによって、各第2のサーボノード22に対応する実行命令を生成するように構成され、上記実行命令はサーボ命令を指すものであってもよい。第4のカーネルは、ネットワークを介して生成された実行命令を対応する第2のサーボノード22に送信する。
【0032】
さらに、第2の制御ノード12は、共有記憶領域113も含む。前記第3のカーネルは、予め設定されたプロトコルに従って、前記第4のカーネルに送信する必要のあるデータを転送データに変換して、前記共有記憶領域113に記憶する。なお、該予め設定されたプロトコルはLinuxシステムが送信したデータをRTOSシステムによって識別可能なデータに変換することができる。前記第3のカーネルは転送データを共有記憶領域113内に記憶した後、第4のカーネルにトリガー命令を送信し、前記共有記憶領域113内の対応する位置から該転送データを取り出すように前記第4のカーネルに通知する。
【0033】
本出願の実施例において、前記第2の制御ノード12は予め設定された時間間隔に基づいて前記第2のサーボノード22及び対応する実行装置30の動作状態データを取得し、前記第2の制御ノード12が取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、異常警告動作を起動する。
【0034】
本出願の実施例において、上記サーボノード20は対称デュアルカーネルアーキテクチャである。該サーボノード20に対応する2つのカーネルは、両方ともRTOSシステムを実行するように構成される。サーボノード20が実行命令を受信した後、2つのカーネルのシステムリソース占有状況に応じて、予め設定されたタスク割り当てアルゴリズムに従ってタスクの割り当てを行う。
【0035】
本出願の実施例において、上記実行装置30は制御モータまたはIO装置であってもよい。
【0036】
第2の実施例
【0037】
図4を参照すると、
図4は本出願の好ましい実施例によって提供される分散型マルチノード制御方法のフローチャートである。該分散型マルチノード制御方法は上記分散型マルチノード制御システム100に適用される。
【0038】
図4に示すように、上記分散型マルチノード制御方法は以下のステップを含む。
【0039】
ステップS101、第1の制御ノード11の第1のカーネル111はユーザ操作によって生成された制御命令を受信した。
【0040】
ステップS102、前記第1のカーネル111は受信した前記制御命令を前記第2のカーネル112に送信する。
【0041】
本実施例において、第1のカーネル111はまず、予め設定されたプロトコルに従って制御命令を第2のカーネル112によって識別可能な伝送データに変換して共有記憶領域113に記憶し、さらに第1のカーネル111によって第2のカーネル112をトリガーして識別可能な転送データに変換された制御命令を該共有記憶領域113から取得するものであっても良い。
【0042】
ステップS103、第2のカーネル112は制御命令及び対応する第1のサーボノード21に基づいて、各前記第1のサーボノード21に対応する実行命令を算出する。
【0043】
ステップS104、前記第2のカーネル112は前記実行命令をそれぞれ対応する前記第1のサーボノード21に送信する。
【0044】
ステップS105、前記第1のサーボノード21は、受信した前記実行命令に基づいて対応する前記実行装置30の動作状態を制御する。
【0045】
なお、すべての制御ノード10がユーザ操作によって生成された制御命令またはパラメータを受信したなどの処理フローは上記ステップと基本的に同じであり、ここでは詳述しない。
【0046】
さらに、
図5に示すように、上記分散型マルチノード制御方法はさらに以下のステップを含んでもよい。
【0047】
ステップS201、前記スケジューリング制御ノード40は予め設定された時間間隔に基づいて前記第1の制御ノード11及び前記第2の制御ノード12の動作状態情報を取得する。
【0048】
本出願の実施例において、上記動作状態情報は制御ノード10のシステムリソース占有情報、負荷情報などを指すものであっても良い。
【0049】
ステップS202、前記スケジューリング制御ノード40は前記動作状態情報に基づいて前記第1の制御ノード11に対応する前記第1のサーボノード21の数及び前記第2の制御ノード12に対応する前記第2のサーボノード22の数を調整する。
【0050】
さらに、上記分散型マルチノード制御方法は、第1の制御ノード11は予め設定された時間間隔に基づいて前記第1のサーボノード21の動作状態データを取得し、前記第1の制御ノード11が取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、該第1のサーボノード21に関連する異常警告動作を起動するステップと、第1の制御ノード11は予め設定された時間間隔に基づいて、第1のサーボノード21を介して実行装置30の動作状態データを取得し、取得した該動作状態データが異常状態データに属する場合、該実行装置30に関連する異常警告動作を起動するステップと、第2の制御ノード12は予め設定された時間間隔に基づいて前記第2のサーボノード22の動作状態データを取得し、前記第2の制御ノード12が取得した前記動作状態データが異常状態データに属する場合、該第2のサーボノード22に関連する異常警告動作を起動するステップと、第2の制御ノード12は予め設定された時間間隔に基づいて、第2のサーボノード22を介して対応する実行装置30の動作状態データを取得し、取得した該動作状態データが異常状態データに属する場合、該実行装置30に関連する異常警告動作を起動するステップと、を含む。従って、実行中に、あるノードに障害が発生した場合、機器全体を置き換える必要がなく、同じタイプの新しいノードを直接用いて置き換えることができ、改めて設定した後、引き続き実行することができ、便利でコストが削減される。その後、置き換えられたノードに対してトラブルシューティングを実行し、生産に影響せず、メンテナンスコストを削減するという利点を有する。
【0051】
以上より、本出願は分散型マルチノード制御システム及び方法を提供し、前記分散型マルチノード制御システムは、第1の制御ノード、第2の制御ノード、複数のサーボノード及び実行装置を含み、前記第1の制御ノード及び前記第2の制御ノードがそれぞれ前記複数のサーボノードと通信可能に接続され、前記サーボノードが前記実行装置と電気的に接続され、対応する前記実行装置の動作状態を制御するように構成される。前記第1の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第1のサーボノードの動作状態を制御するように構成され、前記第2の制御ノードは、前記複数のサーボノードのうちの少なくとも1つの第2のサーボノードの動作状態を制御するように構成される。リアルタイムな計算量を複数の制御ノードで分担することによって、分散型制御を実現し、計算スピードを上げる。さらに、このようなマルチノードによって連携されて協力し合うシステムは、メンテナンスを容易にして、メンテナンスコストの削減に有利である。
【0052】
本出願によって提供された幾つかの実施例において、開示された装置及び方法は、他の方式で実現することもできることを理解されたい。上記で説明された装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、図面におけるフローチャートやブロック図は、本出願の複数の実施例に係る装置、方法及びコンピュータプログラム製品によって実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示している。この点について、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部を表すことができ、前記モジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部は、規定の論理機能を実現するように構成される1つまたは複数の実行可能な命令を含む。なお、一部の代替的な実現形態において、ブロック内に示された機能は、図面に示された順番と異なる順番で発生する場合もあることを留意されたい。例えば、関連する機能に応じて、連続する2つのブロックは実際には、基本的に並列して実行することができ、時には、逆の順番で実行する場合もある。ブロック図及び/またはフローチャート内の各ブロック、及びブロック図及び/またはフローチャート内のブロックの組み合わせは、規定の機能または動作を実行する専用の、ハードウェアに基づくシステムによって実現でき、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現できることも留意されたい。
【0053】
また、本出願の各実施例における各機能モジュールは、一体に集積されて1つの独立した部分を形成することができ、または各モジュールが単独で存在することができ、2つまたは2つ以上のモジュールが集積されて1つの独立した部分を形成こともできる。
【0054】
前記機能はソフトウェア機能モジュールの形態で実現され、かつ独立した製品として販売または使用される場合、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づき、本出願の技術案は本質的にソフトウェア製品の形態で表すことができ、または、従来技術に貢献した部分または該技術案の一部がソフトウェア製品の形態で体現することができ、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体に記憶され、一つのコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、あるいはネットワークデバイスなどであってもよい)に本出願の各実施例に記載の方法の全部または一部のステップを実行させるための複数の命令を含む。上記記憶媒体は、USBメモリ、ポータブルハードディスク、リードオンリメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなど、プログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0055】
なお、本明細書において、第1及び第2のような関係用語は、1つのエンティティまたは操作を他のエンティティまたは操作を区別することに用いられ、必ずしもこれらのエンティティまたは操作の間にこのような実際の関係または順序が存在することを求めるまたは暗示するとは限らない。さらに、「含む」、「包含」という用語またはその任意の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図しているため、一連の要素を含むプロセス、方法、物品またはデバイスは、それらの要素を含むだけではなく、明確に挙げられていない他の要素をさらに含み、あるいはこのようなプロセス、方法、物品またはデバイスの固有の要素をさらに含む。これ以上の制限がない場合、「1つの......を含む」という文によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品またはデバイスに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0056】
以上に記載されたのは、本出願の好ましい実施例に過ぎず、本出願を限定するものではない。当業者にとって、本出願は様々な変更と変化が可能である。本出願の精神と原則を逸脱しない限り、行われたすべての変更、置換、改良などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。なお、類似する番号及びアルファベットは以下の図面において類似する項目を表すため、1つの項目が1つの図面において定義されると、その後の図面においてさらに定義及び説明する必要がなくなる。
【0057】
以上に記載されたのは、本出願の具体的な実施形態に過ぎず、本出願の保護範囲はそれによって限定されず、当業者が本出願の開示された技術範囲内に容易に想到し得る変化または置換は、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。そのため、本出願の保護範囲は、前記特許請求の範囲に準ずるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100: 分散型マルチノード制御システム
10 : 制御ノード
11 : 第1の制御ノード
111: 第1のカーネル
112: 第2のカーネル
113: 共有記憶領域
12 : 第2の制御ノード
20 : サーボノード
21 : 第1のサーボノード
22 : 第2のサーボノード
30 : 実行装置
40 : スケジューリング制御ノード