IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 ゼンショーホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図1
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図2
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図3
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図4
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図5
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図6
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図7
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図8
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図9
  • 特許-厨房装置、及び自己診断方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】厨房装置、及び自己診断方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20240620BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A47J27/14 G
A47J27/00 103D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021075329
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2020054764の分割
【原出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021154130
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】水野 誠一
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-263819(JP,A)
【文献】特許第6896907(JP,B1)
【文献】特開平08-168437(JP,A)
【文献】特開2007-301263(JP,A)
【文献】特開2002-065557(JP,A)
【文献】中国実用新案第207640204(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A47J 27/00
A47L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの空間が接続され、一方の空間から他方の空間へ流体を移動可能な厨房装置であって、
前記他方の空間側の重量を測定する重量計と、
前記一方の空間から前記他方の空間の前記流体を移動する第1配管と、
前記一方の空間から前記流体を排水する第2配管と、
所定量の流体を前記一方の空間から前記第1配管を介して前記他方の空間へ流体を移動させる際の前記所定量の流体の重量変化を前記重量計で測定し、
前記重量変化に基づき状態を診断する診断部と、
を備え
前記診断部は、前記重量計で測定される前記流体の重量が、前記所定量の流体に対応する重量よりも減少する場合に、漏水があると診断し
第2診断モードの場合には、所定量の前記流体を前記一方の空間に供給し、前記第2配管から排水した後に、更に前記第1配管を介して前記他方の空間に排水する、厨房装置。
【請求項2】
第1診断モードの場合には、前記所定量の前記流体を前記一方の空間に供給し、前記第1配管を介して前記他方の空間に排水する、請求項1に記載の厨房装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記重量計で測定される前記流体の重量が所定値よりも増加する場合に、前記第2配管に詰まりがあると診断する、請求項2に記載の厨房装置。
【請求項4】
少なくとも2つの空間が接続され、洗米タンク内の一方の空間から炊飯装置本体内の他方の空間へ流体を移動可能な厨房装置であって、
前記他方の空間側の重量を測定する重量計と、
所定量の流体を前記一方の空間から前記他方の空間へ流体を移動させる際の前記所定量の流体の重量変化を前記重量計で測定し、
前記重量変化に基づき状態を診断する診断部と、
を備え
前記診断部は、前記重量計で測定される前記流体の重量が、前記所定量の流体に対応する重量よりも減少する場合に、漏水があると診断する、厨房装置。
【請求項5】
少なくとも2つの空間が接続され、食洗機本体部内の一方の空間から貯水容器内の他方の空間へ流体を移動可能な厨房装置であって、
前記他方の空間側の重量を測定する重量計と、
所定量の流体を前記一方の空間から前記他方の空間へ流体を移動させる際の前記所定量の流体の重量変化を前記重量計で測定し、
前記重量変化に基づき状態を診断する診断部と、
を備え
前記診断部は、前記重量計で測定される前記流体の重量が、前記所定量の流体に対応する重量よりも減少する場合に、漏水があると診断する、厨房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、厨房装置、及び自己診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗米炊飯器などの厨房装置では、貯米槽から所定量の米を洗米槽に供給し、配水管から水を供給し、洗米槽内で洗米が行われる。次に洗浄された米を所定量の水と共に炊飯装置本体に導き、ここでバーナ等により炊飯が行われる。このように、店舗の従業員は、厨房装置を操作し、より美味しく調理された調理物を顧客に提供できるように努めている。また、より美味しく調理された調理物を顧客に提供するために、洗米炊飯器などのメンテナンスが計画的に行われる。このメンテナンスを行う際に、部品を取外し、その後に部品を組み立てる作業がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-43168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、組み立て作業の際に、バルブ等の締め付けが甘い等の作業不備が生じる恐れがある。このような作業不備により不適切な箇所が残った状態で例えば洗米を開始すると、洗米がやり直しになってしまう。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、不適切な箇所の自己診断が可能な厨房装置、及び不適切な箇所の自己診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る厨房装置は、少なくとも2つの空間が接続され、一方の空間から他方の空間へ流体を移動可能な厨房装置
であって、
他方の空間側の重量を測定する重量計と、
一方の空間から他方の空間へ流体を移動させる際の重量変化を重量計で測定し、
重量変化に基づき状態を診断する診断部と、
を備える。
【0007】
診断部は、重量で測定される流体の重量が所定値よりも減少する場合に、漏水があると診断もよい。
【0008】
一方の空間から他方の空間へ流体を移動する第1配管と、を備え、
第1診断モードの場合には、所定量の流体を一方の空間に供給し、第1配管を介して他方の空間に排水してもよい。
【0009】
一方の空間から他方の空間へ流体を移動する第1配管と、
一方の空間から流体を排水する第2配管と、を備え、
第2診断モードの場合には、所定量の流体を一方の空間に供給し、第2配管から排水した後に、更に第1配管を介して他方の空間に排水してもよい。
【0010】
診断部は、重量で測定される流体の重量が所定値よりも増加する場合に、第2配管に詰まりがあると診断してもよい。
【0011】
一方の空間は、洗米タンク内の空間であり、他方の空間は炊飯装置本体内の空間であってもよい。
【0012】
一方の空間は、食洗機本体部内の空間であり、他方の空間は貯水容器内の空間であってもよい。
【0013】
一実施形態に係る自己診断方法は、加熱制御方法は少なくとも2つの空間が接続され、一方の空間から他方の空間へ流体を移動可能な厨房装置の自己診断方法であって、
一方の空間から他方の空間へ流体を移動させる際の重量変化を重量計で測定し、
重量変化に基づき状態を診断する、自己診断方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自己診断が可能な厨房装置、及び自己診断方法を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態による厨房装置の構成を示すブロック図。
図2】第1容器部から第2容器部に供給される流体の重量を示す図。
図3】第2診断モードでの第1容器部から第2容器部に供給される流体の重量を示す図。
図4】厨房装置の動作例を示すフローチャート。
図5】繰り返し数に応じた第2容器部に供給される流体の重量を示す図。
図6】第1実施形態の変形例係る厨房装置の構成を示す図。
図7】第2実施形態に係る厨房装置の構成を示す図。
図8】第2実施形態に係る厨房装置の診断処理例を示すフローチャート。
図9】第3実施形態に係る厨房装置の構成を示す図。
図10】第3実施形態に係る厨房装置の診断処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る厨房装置、及び自己診断方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による厨房装置1の構成を示すブロック図である。図1の厨房装置1は、自己診断が可能な装置である。図1に示すように、本実施形態による厨房装置1は、第1容器部12と、第2容器部14と、重量計16と、制御部18と、配管p2、p4、p6とを備える。なお、第1容器部12と、第2容器部14と、重量計16と、配管p2、p4、p6とは、厨房装置本体部50を構成する。
【0018】
配管p2は、所定量の流体、例えば水を第1容器部12に供給する配管である。本実施形態に係る流体は、液体、粒状の固体、粉末などを含む。液体は、例えば水、油、調理用水、調理物を含む液体、洗浄液などを含む。また、粒状の固体は、例えば白米、玄米、麦などの穀粒を含む。さらにまた、粉末は、例えば穀物を粉状にした小麦粉などや、食塩、砂糖などの調味料などを含む。或いは、これらの混合物でもよい。
【0019】
第1容器部12は、内部に第1空間を有する。第1容器部12は、配管p2から供給される所定量の流体を保持可能である。ここで、本実施形に係る空間は、流体を保持可能な領域を意味する。このため、第1容器部12は、第1空間内の食物、食器などを洗浄する処理が可能な洗米機、洗浄機などの機械でもよい。或いは、第1容器部12は、例えば流体自体を保管するタンクなどでもよい。なお、本実施形態に係る第1容器部12は、流体を保持可能な領域を有すればよく、機械、タンクなどに限定されない。例えば、水槽、米びつ、粉末用サイロなどでも良い。
【0020】
配管p4は、第1容器部12と第2容器部14と接続する配管である。
配管p6は、第1容器部12内の流体を排出する配管である。例えば、第1容器部12内で洗浄などが行われる場合に、配管p6を介して排出される。一方で、配管p4を介して第1容器部12内の流体を第2容器部14に供給することも可能である。配管p4及び配管p6のそれぞれは、制御部18の制御にしたがい開閉が可能である。
【0021】
第2容器部14は、内部に第2空間を有する。第2容器部14は、配管p4を介して流体が移動される容器である。このように、少なくとも2つの空間である第1容器部12と第2容器部14が接続され、一方の空間である第1容器部12から他方の空間である2容器部14へ流体を移動可能である。第2容器部14は、例えば、炊飯器、洗米器、水タンクなどである。なお、本実施形態に係る第1容器部12は、流体を保持可能な領域を有すればよく、炊飯器、洗米器、水タンクなどに限定されない。
【0022】
重量計16は、第2容器部14の下部に配置され、第2容器部14の重量を計測可能である。重量計16で計測した重量は、制御部18の取得部20に出力される。
【0023】
制御部18は、厨房装置1を制御することが可能であり、取得部20と、記憶部22と、操作部24と、診断部26と、表示部28と、を有する。制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。
【0024】
取得部20は第1容器部12と、第2容器部14と、重量計16と、制御部18と、配管p2、p4、p6とから状態情報を取得し、記憶部22に記憶する。
取得部20は、例えばネットワークにも接続されており、ネットワークを介して、状態情報を取得することも可能である。
【0025】
記憶部22は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等で構成される。記憶部22は、取得部20が取得した情報を記憶する。また、記憶部22は、制御及び診断を実行するための各種のプログラムを記憶している。これにより、制御部18は、例えば記憶部22に記憶されるプログラムを実行することにより、各処理部を構成する。
【0026】
操作部24は、取得部20が取得した情報に基づき、第1容器部12、第2容器部14、重量計16、及び配管p2、p4、p6に対する制御操作を行う。
診断部26は、厨房装置1における状態の自己診断を行う。すなわち、この診断部26は、一方の空間である第1容器部12から他方の空間である2容器部14へ流体を移動させる際の重量変化を重量計16で測定し、重量変化に基づき、厨房装置1の状態を診断する。診断部26の詳細は後述する。表示部28は、例えば液晶モニターであり、各種の情報を表示する。
【0027】
ここで、図2に基づき、診断部26の処理例を説明する。図2は、第1容器部12から第2容器部14に供給される流体の重量を示す図である。横軸は配管p2からの流体の供給時間を示し、縦軸は流体の重量を示す。
【0028】
診断部26は、第1診断モード、及び第2診断モードを有する。第1診断モードは、所定量の流体を第1容器部12に供給し、配管p4を介して第2容器部14に供給するモードである。一方で、第2診断モードは、所定量の流体を第1容器部12に供給し、配管p6を介して所定時間排出した後に、配管p4を介して第2容器部14に供給するモードである。
【0029】
第1診断モードでは、まず、配管p4、p6を閉じ、配管p2を介して第1容器部12に供給する。すなわち、供給時間に比例した所定量の流体を、配管p2を介して第1容器部12に供給する。その後で、配管p2からの流体の供給を停止し、配管p4を開く。これにより、第1容器部12に供給された流体は、全て第2容器部14に供給される。
【0030】
図2に示すように、配管p4などに漏洩がない場合には、ラインL1に示すように、配管p2からの流体の供給時間に比例した重量が重量計16により計測される。一方で、管p4などに漏洩がある場合には、ラインL2に示すように、本来の重量変化よりも少ない重量が重量計16により計測される。
【0031】
これにより、診断部26は、第1診断モードでは、第1容器部12に供給された所定量の流体の重量に対応する重量が計測された場合に、正常と自己診断する。一方で、断部26は、第1容器部12に供給された所定量の流体の重量に対応する重量よりも少ない場合に、第1異常、例えば漏洩ありと診断する。
【0032】
第2診断モードでは、まず、配管p4、p6を閉じ、時間経過に比例した所定量の流体を、配管p2を介して第1容器部12に供給する。その後で、配管p2からの流体の供給を停止し、配管p6を所定時間開く。これにより、第1容器部12に供給された流体は、配管p6から単位時間あたりの配管p6の単位排出量に比例して排出される。その後に、配管p4を介して第2容器部14に流体を供給する。
【0033】
図3は、第2診断モードでの第1容器部12から第2容器部14に供給される流体の重量を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は流体の重量を示す。
図3に示すように、配管p6に詰まりがない場合には、ラインL3に示すように、第2容器部14内の時間経過にしたがう重量変化はL3となる。すなわち、配管p6に詰まりがない場合には、配管p6を介して第1容器部12内の流体は、時間あたりの配管p6の単位排出量に比例して排出される。
【0034】
一方で、配管p6に詰まりがある場合には、ラインL4に示すように、配管p6を介して第1容器部12内の流体は、時間あたりの配管p6の単位排出量よりも少ない単位排出量に比例して排出される。
【0035】
これにより、診断部26は、第2診断モードでは、時間あたりの配管p6の単位排出量に比例した重量が計測された場合に、正常と自己診断する。一方で、診断部26は、時間あたりの配管p6の単位排出量よりも少ない単位排出量に比例した重量が計測された場合に、第2異常、例えば詰まりありと診断する。
【0036】
つまり、所定量の流体を第1容器部12から第2容器部14に移動させることにより、所定量の流体が第2容器部14に移動していない場合に、第1容器部12から第2容器部14への流体の移動経路、又は排出経路に異常があると判断可能となる。このように、所定量の流体を第1容器部12から第2容器部14に移動させることにより、流体の重量変化を測定するだけで、第1容器部12から第2容器部14への流体の移動経路、又は排出経路に異常があるか否かを判断できる。このため、第1容器部12及び第2容器部14などに流体検知センサーなどを設けなくとも、第2容器部14の重量変化を測定する重量計のみで移動経路に異常があるか否かを判定可能となる。これにより、厨房装置1の検査設備のコストも低減可能である。
【0037】
また、厨房装置1は、家庭用製品と異なり、扱う食品などの量が多大であり、自己診断機能を設けない場合に、故障が生じた際の損失がより大きくなってしまう。このため、例えば、調理前にこのような判定処理を行うことにより、食品などの損失の発生を抑制可能となる。このように、厨房装置1が自己診断機能を有することにより、より効率的に調理を行うことが可能となる。
【0038】
以上が、厨房装置1の構成の説明である。次に、厨房装置1の動作例を図4に基づき説明する。図4は、厨房装置1の動作例を示すフローチャートである。ここでは、第2モードに相当する処理を複数回繰り返し、第1モードに相当する処理を行う場合を説明する。
【0039】
まず、操作部24は、配管p4、p6を閉じ、所定量の流体を、配管p2を介して第1容器部12に供給する(ステップS100)。次に、操作部24は、配管p2からの流体の供給を停止し、配管p6を開け、第1容器部12内の流体を排出する(ステップS102)。次に、操作部24は、配管p6を閉じ、所定量の流体を、配管p2を介して第1容器部12に供給する(ステップS104)。
【0040】
次に、操作部24は、第1容器部12への所定量の流体の排出と供給とが所定回数繰り返されたか否かを判定する(ステップS106)。所定回数繰り返されてないと判定した場合(ステップS106のNO)、操作部24は、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0041】
一方で、所定回数繰り返されたと判定された場合(ステップS106のYES)、操作部24は、配管p2からの流体の供給を停止し、配管p4を開け、第1容器部12内の流体を第2容器部14内に排出する(ステップS108)。
【0042】
次に、重量計16で計測された重量は、取得部20を介して診断部26に供給される。
図5は、繰り返し数に応じた第1容器部12から第2容器部14に供給される流体の重量を示す図である。横軸は繰り返し回数を示し、縦軸は流体の重量を示す。
【0043】
診断部26は、第2容器部14に供給される流体の重量が所定重量か否かを判定する(ステップS112)。診断部26は、第2容器部14に供給される流体の重量が、ステップS102で第1容器部12供給された所定重量と同じ、すなわち、ラインL5(図5)で示す重量と同等であると判定する場合(ステップS112のYES)、正常と診断する(ステップS114)。
【0044】
一方で、所定重量でないと判定する場合(ステップS112のNO)、所定重量よりも増加している否かを判定する(ステップS116)、所定重量よりも減少している、例えばラインL6(図5)で示す重量と同等であると判定する場合(ステップS116のNO)、第1異常(漏れが生じている)と診断する。
【0045】
一方で、所定重量よりも増加している、例えばラインL7(図5)で示す重量と同等であると判定する場合(ステップS116のYES)、第2異常(詰まりれが生じている)と診断する。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、第1容器部12と第2容器部14が接続され、一方の空間である第1容器部12から他方の空間である2容器部14へ流体を移動させる際の重量変化を重量計16で測定し、診断部26が重量変化に基づき状態を診断することとした。これにより、重量が所定値よりも減少している場合には、第1容器部12と第2容器部14の間の配管p4に漏れがあると診断可能となる。
【0047】
また、第1容器部12への流体の供給と第1容器部12からの排水を繰り返した後に、1容器部12から他方の空間である2容器部14へ流体を移動させ、重量が所定値よりも増加している場合には、第1容器部12の配管p6に詰まりがあると診断可能となる。このように、第1容器部12から他方の空間である2容器部14へ流体を移動させる際の重量変化により、不適切な箇所の自己診断が可能となる。
【0048】
(第1実施形態の変形例)
図6は、第1実施形態の変形例係る厨房装置1の構成を示す図である。図6に示すように、複数の厨房装置本体部50を、ネットワークnwを介して制御部18が制御、診断する点で第1実施形態に係る厨房装置1と相違する。このように、ネットワークを介して複数の厨房装置本体部50を診断することも可能である。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る厨房装置1は、厨房装置本体部50aが洗米炊飯器である。第1実施形態に係る厨房装置1と相違する点を以下に説明する。
【0050】
図7は、第2実施形態に係る厨房装置1の構成を示す図である。図7に示すように、厨房装置本体部50は、貯米タンク7aと、洗米タンク12aと、炊飯装置本体14aと、重量計16と、配管p2a、p4a、p6aとを備える。
【0051】
図7に示すように、貯米タンク7aの下部には洗米タンク12aが接続されている。また、洗米タンク12aの下方には間隔をおいて、炊飯装置本体14aが配置され、炊飯装置本体14aの下部に重量計16が配置されている。
【0052】
貯米タンク7aの下半分はホッパー状になっており、このホッパー下端部には回転式の計量機が取り付けられている。これにより、貯米タンク7aからこの計量機に搬入される所定量の米を一定量ごとに、洗米タンク12aに供給する。
【0053】
洗米タンク12aには、所定量の水が配管p2aか供給される。洗米タンク12aの内周面に沿った形状の撹拌羽根回転し米が洗米される。所定時間経過すると、洗米タンク12a内の水がフィルタを介して配管p6aから排出される。このような、配管p2aからの所定量の水の供給、撹拌羽根回転による洗米、配管p6aからの排出を複数回繰り返す。
【0054】
そして、洗米タンク12aの排米弁が開くと、洗浄後の米を下方の炊飯装置本体14aに落下させることができる。これが通常の洗米炊飯の処理である。なお、炊飯装置本体14aを取り外し、貯留容器を配置する構成にしてもよい。この場合、重量計16は、貯留容器の重量を測定する。
【0055】
次に、図8に従い診断処理例を説明する。図8は、第2実施形態に係る厨房装置1の診断処理例を示すフローチャートである。診断処理では、貯米タンク7aから洗米タンク12aに米を供給せずに、洗米処理及び炊飯装置本体14aへの洗米供給処理を行う。すなわち、水のみが炊飯装置本体14aへ供給される。
【0056】
まず、操作部24は、配管p4a、p6aを閉じ、所定量の水を、配管p2aを介して洗米タンク12aに供給する(ステップS200)。次に、操作部24は、配管p2aからの水の供給を停止し、配管p6aを開け、洗米タンク12a内の水を排出する(ステップS202)。次に、操作部24は、配管p4a、p6aを閉じ、所定量の水を、配管p2aを介して洗米タンク12aに供給する(ステップS204)。
【0057】
次に、操作部24は、洗米タンク12aへの所定量の流体の排出と供給とが所定回数繰り返されたか否かを判定する(ステップS206)。所定回数繰り返されてないと判定した場合(ステップS206のNO)、操作部24は、ステップS202からの処理を繰り返す。
【0058】
一方で、所定回数繰り返されたと判定された場合(ステップS206のYES)、操作部24は、配管p2aからの水の供給を停止し、配管p4aを開け、洗米タンク12a内の水を炊飯装置本体14a内の炊飯釜に排出する(ステップS208)。後は、第1実施形態と同様の処理を行う。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、洗米タンク12aと炊飯装置本体14aが接続され、一方の空間である洗米タンク12aから他方の空間である炊飯装置本体14aの炊飯釜へ水を移動させる際の重量変化を重量計16で測定し、診断部26が重量変化に基づき状態を診断することとした。これにより、重量が所定値よりも減少している場合には、洗米タンク12aと炊飯装置本体14aの間の配管p4aに水の漏れがあると診断可能となる。
【0060】
また、洗米タンク12aへ水の供給と洗米タンク12aからの排水を繰り返した後に、洗米タンク12aから他方の空間である2炊飯装置本体14aの炊飯釜へ水を移動させ、重量が所定値よりも増加している場合には、洗米タンク12aの配管p6aに詰まりがあると診断可能となる。このように、一方の空間である洗米タンク12aから他方の空間である炊飯装置本体14aの炊飯釜へ水を移動させる際の重量変化により、自己診断が可能となる。
【0061】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る厨房装置1は、厨房装置本体部50bが食洗機である点で第1実施形態に係る厨房装置1と相違する。第1実施形態に係る厨房装置1と相違する点を以下に説明する。
【0062】
図9は、第3実施形態に係る厨房装置1の構成を示す図である。図9に示すように、厨房装置本体部50bは、食洗機本体部12bと、貯留容器14bと、重量計16と、配管p2b、p4b、p6bとを備える。図9に示すよう、貯留容器14bの下部に重量計16が配置されている。
【0063】
食洗機本体部12bには、所定量の水が配管p2bか供給される。食洗機本体部12bには、水の拡散部が配置され、食器が洗浄される。所定時間経過すると、食洗機本体部12b内の水がフィルタを介して配管p6bから排出される。このような、配管p2bからの所定量の水の供給、洗浄、配管p6bからの排出を複数回繰り返す。そして、食洗機本体部12b内の乾燥処理が行われる。
【0064】
次に、図10に従い診断処理例を説明する。図10は、第3実施形態に係る厨房装置1の診断処理例を示すフローチャートである。診断処理では、最終の排出を配管p4bから行い、貯留容器14bに排水する点で通常処理と相違する。
【0065】
まず、操作部24は、配管p4b、p6bを閉じ、所定量の水を、配管p2bを介して食洗機本体部12b内に供給する(ステップS300)。次に、操作部24は、配管p2bからの水の供給を停止し、配管p6bを開け、食洗機本体部12b内の水を排出する(ステップS302)。なお、配管p6bを開け放しにしておいてもよい。次に、操作部24は、配管p4b、p6bを閉じ、所定量の水を、配管p2bを介して食洗機本体部12b内に供給する(ステップS304)。
【0066】
次に、操作部24は、食洗機本体部12bへの所定量の流体の排出と供給とが所定回数繰り返されたか否かを判定する(ステップS306)。所定回数繰り返されてないと判定した場合(ステップS306のNO)、操作部24は、ステップS302からの処理を繰り返す。
【0067】
一方で、所定回数繰り返されたと判定された場合(ステップS306のYES)、操作部24は、配管p2bからの水の供給を停止し、配管p4bを開け、食洗機本体部12b内の水を貯留容器14bに排出する(ステップS308)。後は、第1実施形態と同様の処理を行う。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、食洗機本体部12bと貯留容器14bが接続され、一方の空間である食洗機本体部12bから他方の空間である貯留容器14bへ水を移動させる際の重量変化を重量計16で測定し、診断部26が重量変化に基づき状態を診断することとした。これにより、重量が所定値よりも減少している場合には、食洗機本体部12bと貯留容器14bの間の配管p4bに水の漏れがあると診断可能となる。
【0069】
また、食洗機本体部12bへ水の供給と食洗機本体部12bからの排水を繰り返した後に、洗米タンク12aから他方の空間である貯留容器14bへ水を移動させ、重量が所定値よりも増加している場合には、食洗機本体部12bの配管p6bに詰まりがあると診断可能となる。このように、一方の空間である食洗機本体部12bから他方の空間である貯留容器14bへ水を移動させる際の重量変化により、不適切な箇所の自己診断が可能となる。
【0070】
上述した実施形態で説明した厨房装置1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御部の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク部やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0071】
また、厨房装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0072】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1:厨房装置、12:第1容器部、12a:洗米タンク、12b:食洗機本体部、14:第2容器部、14a:炊飯装置本体、14b:貯留容器、16:重量計、26:診断部、p2、p4、p6、p2a、p4a、p6a、p2b、p4b、p6b:配管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10